説明

肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子の使用

本発明は、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子を用いて、哺乳類における血糖値を正常化する方法を提供する。本発明はまた、グルコースの正常化または高血糖性症状とは独立して、肝臓の代謝を増大させ、またアポトーシスを減少させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子を利用して、哺乳類において血糖値を正常化する方法に関する。本発明はまた、グルコース正常化または高血糖性症状とは独立して、肝臓代謝を増加させ、またアポトーシスを減少させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコキナーゼ(GK)は、哺乳類の持つ四つのヘキソキナーゼの内の一つである。ヘキソキナーゼは、グルコース代謝の最初の段階を触媒し、グルコースをグルコース-6-リン酸に転換する。GKは、血糖の恒常性において、必須の役割を担う。GKはグルコースのリン酸化を触媒し、肝臓実質細胞(liver parenchymal cells)およびすい臓β細胞(pancreatic β-cells)における解糖作用の律速反応である。肝臓において、GKはグルコース取り込みおよびグリコーゲン合成の両方の速度を決定し、また、様々なグルコース応答遺伝子の制御に必須であると考えられている。すい臓β細胞において、GKは、グルコースの利用を決定し、このためグルコース刺激によるインスリン分泌にとって必須である。GKはまた、視床下部の神経細胞集団(摂食行動に関連があるとされる)において、および消化管(GLP-1といった腸インクレチン(enteroincretins)の分泌に寄与するとされる)において発現する。しかしながら、これらの組織におけるGKの機能的な重要性は、まだ明らかではない。
【0003】
血糖の恒常性におけるGK遺伝子発現の増加または減少の効果を決定するために、多くの研究が行われてきた。これらの研究は、GK遺伝子のコピー数と血糖濃度の間の相互の関係を明らかにした。これらの研究に基づいて、GKの発現または活性の増大に向けた方策が、2型糖尿病の新たな治療上の取り組みとして提案され、これらはグルコース恒常性の改善をもたらすと考えられている。
【0004】
ヒトにおいて、GK変異は、若年発症型成人型糖尿病(maturity onset diabetes of the young type 2)(MODY2)に関連することがわかっていた。GK変異のその他の例は、Gloynによって議論されている(Gloyn, A. L. (2003) Hum Mutat 22, 353-362)。この文献ではまた、GKの活性または発現の減少が2型糖尿病の人における食後高血糖に寄与しうると示唆されている。
【0005】
多くの特許出願にて、インスリン分泌を増大させ2型糖尿病の治療に有用であると考えられている、グルコキナーゼ活性化因子と名付けられた分類の化学的化合物について記載されている。しかしながら、すい臓β細胞のGK活性化に応答したインスリン分泌の増加に起因する低血糖の危険性が、これらの組成物を使用する上での問題として残っている。これらの症状における低血糖の発生の危険性は、すい臓および肝臓の両方において、グルコースに対するGKの親和性を変えるGK活性化の変異をもつ患者が、高インスリン血症および低血糖症を患うという事実によって例証される。
【0006】
本発明は、肝臓のGKが選択的に活性化され、それによって低血糖症の著しい危険性を伴うことなく血糖の減少をもたらす方法を記載する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、低血糖症の著しい危険性を伴わないグルコースの正常化のための方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、1型糖尿病の治療のための方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、腎障害、神経障害、網膜症等(これらに限られない)を含む、微小血管疾患(microvascular diseases)の予防のための方法を提供し、該方法は、単独でまたはその他の薬剤と組み合わせて行われ、血糖の正常化をもたらす。
【0010】
本発明はまた、(耐糖能異常、GDM、PCOS、代謝症候群を患う個人 (これらに限定されない)を含む)危険のある集団における糖尿病の発生の予防のための方法であって、血糖の正常化をもたらす方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、(耐糖能異常、GDM、代謝症候群を患う個人 (これらに限定されない)を含む)危険のある集団における大血管疾患(macrovascular diseases)の発生の予防を単独で、または脂質低下剤(lipid-lowering drugs)、例えば、LPL活性化因子、HSL阻害剤、エスタチン(estatins)、フィブラート(fibrates)、PPARα作用薬、PPARδ作用薬等と組み合わせて行うための方法であって、血糖の正常化をもたらす方法を提供する。大血管疾患(macrovascular diseases)には、アテローム硬化型循環器病、冠状動脈疾患(CAD)、脳血管疾患、末梢血管疾患、心不全、および高血圧症が含まれるが、これらに限定されない。
【0012】
本発明はまた、低いGK活性と関連のある病理学的症状、例えば、MODY2、およびホモ接合の変異による持続性新生児真性糖尿病(Persistent Neonatal Diabetes Mellitus)の治療のための方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、血糖の正常化によりもたらされる、ベータ細胞の量および機能の維持のための方法である。
【0014】
本発明はまた、ベータ細胞の量および機能の増加のための方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、ベータ細胞の死を誘導するIAPPに関連したグルコキナーゼ活性化因子の抗アポトーシス/保護作用を提供する。
【0016】
本発明はまた、細胞死を誘導するアミロイドベータペプチドの保護作用のための方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、食品に添加される投与を含む、血糖の正常化から利益を得ることができる全ての徴候のための獣医学的使用のための方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、血糖の正常化から利益を得る肝臓の症状の治療のための方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、肝臓機能の改善および/または抗アポトーシス作用により利益を得る肝臓の症状、例えば、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎(steatohepatitis)(非アルコール性脂肪肝疾患)、アルコール性脂肪性肝炎(steatohepatitis)(アルコール性脂肪肝疾患)、大滴性脂肪肝(macrovesicular fatty liver)、小滴性脂肪肝(microvesicular fatty liver)、アルコール性肝炎、アミロイド症、およびアルコール性肝硬変の治療のための方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、重大な病気に起因する、または例えばHIV治療といった様々な治療の結果である高血糖性症状の治療のための方法を提供する。本発明はまた、癌といった重大な病気に起因する、または例えば癌治療、HIV治療といった様々な治療の結果である肝臓の症状の治療のための方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、短時間作用性インスリン、長時間作用性インスリン、またはそれらの混合物との組み合わせによる、全ての型の処方および投与療法[経口、皮下注射、吸入、膏薬(patches)、ポンプ(pumps)等(これらに限定されない)を含む]における、1型糖尿病の治療のための方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、インスリン要求性2型糖尿病においてインスリンの補助としての、または当該療法においてインスリンの代わりとしての治療の方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、脂肪萎縮症(lipodistrophy)の治療のための方法を提供する。
【0024】
本発明はまた、様々な外傷、糖尿病性ケトアシドーシス等といった、肝不全の徴候を示さない、重篤な身体的ストレスに関連する高血糖症の治療のための方法を提供する。
【0025】
本発明はまた、1型糖尿病の予防の方法を提供する。
【0026】
本発明はまた、膵島移植を受けた患者における、ベータ細胞の量および機能の維持および/または増加の方法を提供する。
【0027】
本発明はまた、手術中および手術後のグルコース調節の改善の方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、肝移植を受けている患者における肝臓の機能および/または生存を改善する方法を提供し、ここにおいて、投与は、移植の前、間、もしくは後、またはそれらの何れかの組み合わせであってよい。
【0029】
本発明はまた、血糖の正常化を獲得する方法を提供する。
【0030】
本発明はまた、糖尿病遅発型合併症の抑制または回復の方法を提供する。
【0031】
本発明はまた、1型または2型糖尿病の治療の方法であって、体重増加をもたらさない方法を提供する。
【0032】
本発明はまた、糖尿病性ケトアシドーシスの予防の方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0033】
グルコキナーゼは、二つの主な特色ある特徴をもつ:(1)グルコース感応性が必要な組織(主に肝臓およびすい臓β細胞)に限定される、その発現、および(2)ヘキソキナーゼファミリーの他のメンバーに比べて非常に高い (8-12 mM)、グルコースに対してS0.5という値をもつ、そのS字飽和曲線である。これらの動力学的な特徴のために、血清中のグルコース値における変化は、肝臓でのグルコース代謝における変化に相当し、順番に肝臓のグルコース産出量(HGO)とグルコース消費の間のバランスを制御する。
【0034】
肝臓およびすい臓β細胞の間におけるGK制御組織特異的な違いが明らかになった。肝臓では、GK遺伝子の転写は、インスリンにより刺激され、グルカゴンにより阻害される。重要なことに、肝臓ではGKの活性はまた、グルコキナーゼ調節タンパク質(GKRP)によって調節され、GKRPは、グルコースと競合してGKと結合しおよびGKを阻害する。基礎のグルコース状態(~5.5mM)において、肝臓のGKは、大部分GKRPに結合し、肝細胞の核に局在する。しかしながら、高グルコース(10-30mM)またはフルクトース(50μMから1mM)のどちらかにさらされた後、GKはGKRPから放たれ、非結合性でグルコースのリン酸化が可能な状態で核から出る。島においてGK遺伝子発現は、大部分は構成的と考えられるにもかかわらず、グルコースは、おそらく酵素の半減期に直接影響することによって、GK含量を調節しており、これはGKRPsがすい臓β細胞において存在が確認されていないためである。肝臓においてGKを過剰発現する遺伝子組換え動物における実験は、インスリン分泌における変化が観察されることなく、GK遺伝子のコピー数(GK活性)と血糖濃度の間の相互の関係を明確に示した。本発明による方法は、例えば、内容をそのまま引用することによって本出願に取り込む、WO 2004 002481号に記載されるような、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子を利用する。肝臓選択的GK活性化因子(グルコース応答におけるインスリン分泌の増大を誘導することなく、肝臓にてグルコースの利用を増大させるGK活性化因子)の使用は、低血糖症を誘導する危険性が非常に低いであろう。活性化因子が肝臓のGKの動力学を変更させる場合でさえ、GKRPは、基本のレベルよりも低いグルコース濃度にて、GKを阻害するだろう。この利点は、GK活性化因子がGKの動力学のS字飽和曲線を変更し、およびグルコースへのその親和性を増加させる状況において、より大きな意味を持つ。
【0035】
肝臓におけるグルコキナーゼの選択的活性化は、グルコース依存的に、肝臓のグルコースの利用を増大させる。驚くべきことに、この増大は、インスリン分泌の増大を必要とせずに、糖尿病の動物における血糖値の正常化に十分である。肝臓におけるグルコキナーゼの選択的活性化は、血糖症を制御するために最適な機構であるだろう。それは現在の治療に関して主な長所を示すだろう:(i)それは、ベータ細胞においてストレスを減少させるだろう、つまり、それはベータ細胞の量/機能を保護し、その結果疾病の進行を遅延/停止させるだろう;(ii)ほぼ一日中の血糖の正常化は、ヘモグロビンA1Cを著しく減少させ、およびそれは遅発型糖尿病合併症の発症を抑制または回復させるだろう;(iii)その機構はグルコース依存的であるため、低血糖の現象の危険性は無視できるであろう;(iv) 作用様式は、血漿中のインスリンレベルの増加に関与せず、このため、体脂肪量および体重の増加、低血糖症、大血管疾患(macrovascular disease)および異脂肪血症といった、インスリン過剰に起因する副作用は無関係であろう。
【0036】
近年の生化学的発見から、肝臓のグルコキナーゼは、アポトーシスの鍵となる調節因子であるタンパク質BADと複合体を形成することがわかり、グルコース代謝とアポトーシスの間のつながりを裏付けることがわかった。
【0037】
グルコキナーゼの活性化因子によって誘導される肝臓の解糖の増大は、深刻な肝不全または肝硬変といった、大規模なアポトーシスを伴う肝臓の症状を改善するだろう。肝臓の健康状態は、老化またはウイルス感染細胞といった不要な細胞の、主にアポトーシスによる、効率的な除去に依存する。生理学的な環境において、有糸分裂によって作られた新たな細胞は、除去された細胞と入れ替わり、組織の恒常性を保証する。細胞死と増殖の間のこのバランスにおける変化は、そのバランスが増殖に傾くかアポトーシスに傾くかに依存して、癌または肝炎といった肝臓疾患を引き起こし得る。深刻な損傷の後の過度なアポトーシスは、肝臓組織の大規模な領域の破壊を引き起こし、他方で、持続的で適度に高いアポトーシスは、線維症およびもしかすると肝硬変をもたらす。ほとんどの肝臓疾患に関する悪い予後(poor prognosis)および高い死亡率を考慮すると、この臓器におけるアポトーシスを減らす治療は重要な臨床応用有している。肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子は、肝臓を標的とする抗アポトーシス治療を提供するだろう。そのような肝保護的な治療は、深刻な肝臓障害において生命を守るために、および慢性の肝臓障害において肝臓線維症を最小化するために有用となりうるだろう。
【0038】
本発明から利益を得る肝臓の症状は、肝硬変、深刻な肝臓障害、その他の薬剤の治療による肝不全、脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎(steatohepatitis)(非アルコール性脂肪肝疾患)、アルコール性脂肪性肝炎(steatohepatitis)(アルコール性脂肪肝疾患)、大滴性脂肪肝(macrovesicular fatty liver)、小滴性脂肪肝(microvesicular fatty liver)、アルコール性肝炎、およびアルコール性肝硬変が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明は、その一定の好ましい実施態様に関して記載され、説明された一方で、当業者は、様々な変更、修正および置換を、本発明の意図および範囲からそれることなく、そこで行うことができることが認識されるだろう。例えば、本出願において説明される好ましい投与量よりも効果的な投与量は、グルコキナーゼ欠損に仲介される疾病の治療を受けている哺乳類の応答性における変化の結果として適応可能であってよい。同様に、観察される特異的な薬理学的応答は、選択される特有の活性化合物、または現在の医薬品の担体があるかどうか、ならびに用いる製剤の型および投与の様式に従って、およびそれらに依存して異なってよく、そのような期待された変化または相違は、結果として、本発明の対象および実施と一致して、熟考される。
【0040】
本明細書における肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子という用語は、グルコース応答によるインスリン分泌の何れの著しい増加の誘導も伴わない、肝臓におけるグルコースの利用を増大させる化合物を意味する。
【0041】
別の実施態様として、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子は、Ins-1細胞におけるこの化合物の活性に比べ、単離された肝細胞において著しく高い活性を示す化合物とみなすことができる。
【0042】
別の実施態様として、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子は、グルコキナーゼ活性試験(III)にて記載の通りに測定される、Ins-1細胞におけるこの化合物の活性に比べ、グルコキナーゼ活性試験(II)にて記載の通りの測定で、単離された肝細胞において著しく高い活性を示す化合物とみなすことができる。
【0043】
別の実施態様として、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子は、グルコキナーゼ活性試験(III)にて記載の通りに測定される、Ins-1細胞におけるこの化合物の活性に比べ、グルコキナーゼ活性試験(II)にて記載の通りの測定で、単離された肝細胞において著しく高い活性、つまり少なくとも1.1倍高い活性、例えば少なくとも1.2倍、例えば少なくとも1.3倍、例えば少なくとも1.4倍、例えば少なくとも1.5倍、例えば少なくとも1.6倍、例えば少なくとも1.7倍、例えば少なくとも1.8倍、例えば少なくとも1.9倍、例えば少なくとも2.0倍、例えば少なくとも3.0倍、例えば少なくとも4.0倍、例えば少なくとも5.0倍、例えば少なくとも10倍高い活性を示す化合物とみなすことができる。
【0044】
別の実施態様として、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子は、グルコキナーゼ活性試験(III)にて記載の通りに測定される、Ins-1細胞において活性を示さない化合物とみなすことができる。
【0045】
本明細書における正常血糖という用語は、当業者によって普通に理解される意味を有しており、例えば、ともに米国糖尿病学会(American Diabetes Association)および世界保健機関により示されるような、高血糖の定義より低く、低血糖とみなされるであろう血糖値より高い血糖値である。
【0046】
あるいは、低血糖は、対抗制御的(counter-regulatory)な機構が実行される血糖値として理解され得る。
【0047】
本明細書における治療という用語は、疾病、障害および症状と闘う目的のために、患者を管理しケアすることを意味する。この用語は、患者が患っている所定の障害のための治療の全域を含み、疾病、障害および症状の進行を遅らせること、症状および合併症の緩和もしくは軽減、疾病の予防および/または疾病、障害および症状を癒すこともしくは取り除くことを含む。治療される患者は、好ましくは哺乳類であり、特にヒトである。
【0048】
このため、本発明は、グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病、またはグルコキナーゼ活性の増加によって利益を受ける症状の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0049】
別の実施態様として、本発明は、上述された症状/疾病が1型糖尿病である方法を提供する。
【0050】
別の実施態様として、本発明は、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子が、インスリン、短時間作用性インスリン、長時間作用性インスリン、またはそれらの混合物との組み合わせによって投与される方法を提供する。
【0051】
別の実施態様として、本発明は、グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病がグルコキナーゼ変異を原因とする方法を提供する。
【0052】
別の実施態様として、本発明は、グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病が、若年発症型成人型糖尿病、新生児真性糖尿病(Neonatal Diabetes Mellitus)、または持続性新生児真性糖尿病(Persistent Neonatal Diabetes Mellitus)である方法を提供する。
【0053】
別の実施態様として、本発明は、耐糖能異常、妊娠糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング症候群または代謝症候群を示す被験者において、糖尿病の発生を抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0054】
別の実施態様として、本発明は、微小血管疾患(microvascular diseases)を抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0055】
別の実施態様として、本発明は、耐糖能異常、妊娠糖尿病、または代謝症候群を示す被験者において、大血管疾患(macrovascular diseases)を抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を、単独でまたは脂質低下剤(lipid-lowering drugs)と組み合わせて投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0056】
別の実施態様として、本発明は、ベータ細胞の量および機能を維持するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0057】
別の実施態様として、本発明は、細胞死を誘導するアミロイドベータペプチドを抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0058】
別の実施態様として、本発明は、被験者が獣医学的被験者である方法を提供する。
【0059】
別の実施態様として、本発明は、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子が食品添加として投与される方法を提供する。
【0060】
別の実施態様として、本発明は、血糖の正常化により利益を受ける肝臓の症状の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0061】
別の実施態様として、本発明は、肝臓の機能の改善により利益を受ける肝臓の症状の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0062】
別の実施態様として、本発明は、重大な病気に起因する、または治療的処置の結果による高血糖症の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0063】
別の実施態様として、本発明は、癌のような重大な病気に起因する、または例えば癌治療もしくはHIV治療といった治療の結果による肝臓の症状の治療のための方法であって、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0064】
別の実施態様として、本発明は、インスリン要求性2型糖尿病においてインスリンの補助としての、またはインスリンの代わりとしての治療の方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0065】
別の実施態様として、本発明は、脂肪萎縮症(lipodistrophy)のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0066】
別の実施態様として、本発明は、肝不全の徴候を示さない、重篤な身体的ストレスに起因する高血糖症の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0067】
別の実施態様として、本発明は、重篤な身体的ストレスが、様々な外傷または糖尿病性ケトアシドーシスである方法を提供する。
【0068】
別の実施態様として、本発明は、アポトーシスの肝臓損傷を予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0069】
別の実施態様として、本発明は、低血糖を予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0070】
別の実施態様として、本発明は、ベータ細胞の量および機能を増加させるための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0071】
別の実施態様として、本発明は、1型糖尿病を予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0072】
別の実施態様として、本発明は、膵島移植受けた患者における、ベータ細胞の量および機能の維持および/または増加の方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0073】
別の実施態様として、本発明は、手術中および手術後のグルコース調節を改善する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0074】
別の実施態様として、本発明は、肝臓移植を行っている患者における、肝臓の機能および/または生存を改善する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0075】
別の実施態様として、本発明は、請求項26に記載の方法であって、投与が、移植の前、間、もしくは後、またはそれらの何れかの組み合わせにて行われる方法を提供する。
【0076】
別の実施態様として、本発明は、血糖の正常化を獲得する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法を提供する。
【0077】
別の実施態様として、本発明は、遅発型糖尿病合併症を予防または回復させる方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0078】
別の実施態様として、本発明は、1型または2型糖尿病の治療の方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、その治療の結果として体重増加とならない方法を提供する。
【0079】
別の実施態様として、本発明は、糖尿病性ケトアシドーシスを予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0080】
[投与量および製剤]
適した肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子は、グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病、またはグルコキナーゼ活性の増加によって利益を受ける症状の治療のために、患者に対し、単独でおよび/または医薬製剤の形態において許容可能な担体と混合した化合物として、投与することができる。グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病、またはグルコキナーゼ活性の増加によって利益を受ける症状の治療の当業者は、その治療を必要とする、ヒトを含めた哺乳類に当該化合物を投与する量および経路を容易に決定することができる。投与の経路は、経口、口腔内、直腸、経皮、頬側、鼻腔内、肺、皮下、筋肉内、皮内、舌下、結腸内、眼内、静脈内、または腸管投与を含んでよいが、これらに限定されない。当該化合物は、許容可能な薬学の慣例(Finglらによる「薬物療法学の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」Ch. 1, p.1, 1975;「レミントンの医薬品科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」18th ed., Mack Publishing Co, Easton, PA, 1990)を基礎とした投与の経路に従って処方される。
【0081】
本発明による医薬的に許容可能な肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子の組成物は、錠剤、カプセル(それぞれが持続性放出または定時放出製剤を含む)、丸薬、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、ゲル内(in situ gels)、微粒子、結晶性複合体、リポソーム、微小-乳剤、チンキ、懸濁剤、シロップ、エアロゾルスプレーおよび乳剤といった様々な投与形態にて投与され得る。本発明による化合物はまた、経口、静脈内(大量瞬時投与または注入)、腹腔内、皮下、経皮的または筋肉内の形態、医薬品技術における当業者に周知の全ての使用投与形態にて、投与されることができる。当該組成物は、単独で投与されてよいが、一般に、選択された投与の経路および標準的な医薬の習慣に基づいて選ばれる医薬担体とともに投与されるだろう。
【0082】
本発明による組成物のための投与計画は、もちろん、既知の因子に依存して、つまり、特定の薬剤の薬力学的特徴およびその投与の様式および経路;受容者の種、年齢、性別、健康状態、医療の状態、および体重;症状の性質および程度;同時に行う治療の種類;治療の頻度;投与の経路、患者の腎臓および肝臓の機能、および期待される効果に依存して変化するだろう。医師または獣医師は、疾病の状態の進行を予防する、無効にする、または抑止するために必要な薬剤の有効量を決定しおよび処方することができる。
【0083】
一般的な手引きによって、活性成分の日々の経口投与量は、示される効果のために用いられるとき、約0.001から1000 mg/kg体重の間であり、好ましくは約0.01から100 mg/kg体重の間であり、最も好ましくは約0.6から20 mg/kg/dayの間の範囲であるだろう。静脈内によって、活性成分の日々の投与量が、示された効果のために用いられるとき、一定の速度での注入の間、0.001から100.0 ng/min/kg体重の間の範囲だろう。そのような一定の静脈内注入は、好ましくは0.01から50 ng/mm/Kg体重の割合で、最も好ましくは0.1ngから10.0 mg/mm/Kg体重にて投与され得る。本発明による組成物は、一日一度の用量にて投与されてよく、または一日の全投与量は、一日に2回、3回、または4回に分かれた用量にて投与されてかまわない。本発明による組成物はまた、望まれる日/週/月の期間に亘る薬剤の持続性放出を可能とするデポー製剤によって投与されてよい。
【0084】
本発明による組成物は、適した鼻腔内溶媒の局所的使用を介して、または経皮性皮膚膏薬(transdermal skin patches)を用いて経皮の経路を介して、鼻腔内の形態にて投与され得る。鼻腔内送達機構の形態にて投与されるとき、投与量投与(dosage administration)は、もちろん、投与計画を通して、断続的よりもむしろ連続的であろう。
【0085】
当該組成物は典型的に、意図された投与の形態、つまり、経口錠剤、カプセル、エリキシル剤、噴霧剤とともにまたは噴霧剤なしに製作されるエアロゾルスプレー、およびシロップに関連して適切に選択された、適した医薬の希釈剤、賦形剤、または担体(本明細書にて医薬品の担体として集合的に言及される)と組み合わせにて、および通常の医薬の習慣と一致して投与される。
【0086】
たとえば、錠剤またはカプセルの形態における経口投与のために、活性薬剤成分は、経口、非毒性、医薬的に許容可能、不活性な担体、つまりラクトース、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトールおよびソルビトール(これらに限定されない)と組み合わせることができ;液体の形態における経口投与のために、経口薬剤成分は、何れかの経口、非毒性、医薬的に許容可能な担体、つまりエタノール、グリセロール、および水(これらに限定されない)と組み合わせることができる。そのうえ、要求される場合または必要な場合には、適した結合剤、潤滑剤、崩壊剤、および着色剤がまた、混合物中に取り込むことができる。適した結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然の糖(これらに限定されない)、つまりグルコースまたはベータラクトース、コーン甘味料、天然および合成ゴム(これらに限定されない)、つまりアカシア、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびワックスを含む。これらの投与形態にて用いられる潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含むが、これらに限定されない。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、およびキサンタンガムを含むが、これらに限定されない。
【0087】
本発明による組成物はまた、混合ミセルまたはリポソーム送達機構の形態、つまり小型単層小胞(small unilamellar vesicles)、大型単層小胞(large unilamellar vesicles)、および多層小胞(multilamellar vesicles)の形態にて投与されてよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンといった、様々なリン脂質から形成することができる。浸透促進因子(permeation enhancers)は、薬剤の吸収を亢進するために加えられてよい。
【0088】
プロドラッグは、医薬品の多くの望ましい特質を高めるとして知られているため(すなわち、可溶性、生物利用性、製造等)、本発明による化合物は、プロドラッグの形態にて送達されてよい。このため、本発明は本出願にて請求する化合物、同化合物の送達の方法および同化合物を含む組成物の送達の方法を包含するよう意図される。
【0089】
本発明による化合物はまた、目標設定可能な(targetable)薬剤担体として、可溶性ポリマーと結合させてよい。そのようなポリマーは、パルミトイル残基で置換される、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはポリエチレンオキシドポリリジンを含むことができる。そのうえ、本発明による組成物はまた、薬剤の調節的放出を達成する場合に有用な、生分解性ポリマーの種類、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋結合されたまたは両親媒性のブロック・コポリマー(block copolymers)と併用されてよい。
【0090】
投与に適した投与形態(医薬組成物)は、投与単位あたり、0.1ミリグラムから500ミリグラムの活性成分を含んでよい。これらの医薬組成物において、活性成分は普通、組成物全体の重量に対して、約0.5から95%の重量比の量にて存在するだろう。
【0091】
ゼラチンカプセルは、活性成分および粉状担体、つまりラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸を含んでよい。同様な希釈剤は、圧縮錠剤の製作のために用いることができる。錠剤およびカプセルの両方は、数時間に亘る薬品の連続的放出の提供のために持続性放出生成物として製造することができる。圧縮錠剤は、何れかの不快な味覚を遮断し、大気から錠剤を保護するために、糖でコートまたはフィルムでコートでき、消化管における選択的な崩壊のために、腸溶性コートをすることができる。
【0092】
経口投与のための液体投与形態は、患者への許容性を高めるために、着色および味付けを含むことができる。
【0093】
一般に、水、適した油、生理食塩水、水溶性ブドウ糖(グルコース)、および関連糖(related sugar)溶液および、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールといったグリコールは、非経口溶液のための適した担体である。非経口投与のための溶液は、好ましくは活性成分の水溶性塩、適した安定化剤、および必要であれば、緩衝物質を含む。重亜硫酸塩ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸といった抗酸化剤は、単独でも組み合わせでも、適した安定化剤である。クエン酸およびその塩ならびにEDTAナトリウムもまた用いられる。加えて、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン、およびクロロブタノールといった保存剤を含むことができる。
【0094】
適した医薬担体は、「レミントン:薬学の科学と実際、第19版(Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Edition)」(Mack Publishing Company, 1995)という、この分野における標準的な参考教科書に記載されている。
【0095】
本発明による化合物の投与のための、代表的な有用な医薬の投与形態は、以下のように説明することができる:
カプセル
たくさんの数の単位カプセルが、標準的な二部品性のハードゼラチンカプセルに、粉状活性成分100ミリグラム、ラクトース150ミリグラム、セルロース50ミリグラム、およびステアリン酸マグネシウム6ミリグラムを充填することで、作製することができる。
【0096】
ソフトゼラチンカプセル
ダイズ油、綿実油またはオリーブ油といった消化可能な油における活性成分の混合物は、100ミリグラムの活性成分を含むソフトゼラチンカプセルの形成のために、ゼラチンに容積式ポンプを用いて注入して作製してよい。当該カプセルは、洗浄され乾燥されるべきである。
【0097】
錠剤
錠剤は、通常の方法によって作製されてよく、それにより、投与形態は、例えば、活性成分100ミリグラム、コロイド状の二酸化ケイ素0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム5ミリグラム、微結晶性セルロース275ミリグラム、デンプン11ミリグラムおよびラクトース98.8ミリグラムである。適切なコーティングが、嗜好性の増加または吸収を遅延させるために適用されてよい。
【0098】
注射剤
注射による投与に適した非経口組成物は、例えば、重量で1.5%の活性成分、体積で10%のポリピレングリコールおよび水を撹拌することにより作製されてよい。当該溶液は、塩化ナトリウムで等張にされ、滅菌されるべきである。
【0099】
懸濁剤
水溶性懸濁剤は、経口および/または非経口投与のために作製することができ、それによって、例えば、それぞれ5mL中に、微細活性成分を100mg、カルボキシメチルセルロースナトリウムを20mg、安息香酸ナトリウムを5mg、ソルビトール溶液を1.0g、U.S.P.、およびバニリンまたはその他の嗜好性調味料を0.025mL含む。
【0100】
生分解性微小粒子
注射による投与に適した持続性放出非経口組成物は、例えば、溶媒に適した生分解性ポリマーを溶解し、そのポリマー溶液に取り込もうとする活性薬剤を加え、およびマトリックスから溶媒を取り除き、これによりマトリックスを通して活性薬剤を分布させてポリマーのマトリックスを形成することにより、作製されてよい。
【実施例】
【0101】
[実施例1]:糖尿病性ob/obマウスおよびストレプトゾトシン-ニコチンアミド糖尿病性ミニブタ(STZ-NIA-minipigs)におけるグルコース正常化
方法1
重い糖尿病である(朝の血糖(BG)が20mM)ob/obマウス(ウーメオ大学、スウェーデンから入手)を、溶媒または、構造/合成はWO 2004 002481号に記載の通りである、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子(GKas)を、3週間(160mg/kg、経口、09:00および21:00に、0.5%高粘性カルボキシメチル-セルロースにおいてリジン塩として処方)処理した。溶媒処理のやせた非糖尿病のマウスのグループはまた、糖尿病の正常化の程度の測定もおこなった。血糖(尾部の静脈から、動物の意識がある状態で)は一日おきに、朝と午後の投与の直前に測定し、HbA1Cは、週に1度測定した。3週間の研究の終わりに、マウスは麻酔を行った;肝臓および腎臓を液体窒素中に固定して、後のグリコーゲンレベルの決定まで凍結した(Katz, J., Golden, S,, and Wals, P.A. (1976) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 73, 3433-3437)。
【0102】
方法2
糖尿病/減少したベータ細胞の量は、成体のオスのゲッティンゲンミニブタ(Ellergaard Goettingen Minipigs A/S,Dalmose, Denmark)にて、ニコチンアミド(NIA) (67 mg/kg)およびストレプトゾトシン(STZ) (125 mg/kg)を投与して、実験を始める前の少なくとも2週間、以前に記載されたとおりに誘導した。(参照: Larsen et al. AJP 282:E1342, 2002「ゲッティンゲンミニブタにおける穏和なストレプトゾトシン糖尿病:中程度のインスリン欠損および糖尿病の新規のモデル(Mild streptozotocin diabetes in the Gottingen minipig: A novel model of moderate insulin deficiency and diabetes)」)
経口グルコース負荷試験(OGTT)をNIA+STZによる糖尿病誘導の前後に行った。
【0103】
18時間絶食させた動物から得た血液サンプルを、-40、-35、-30、-20、-5、0、15、30、45、60、90、120、150、180、240分の時点におよび次の日の24時間の時点に採取した。-30分の時点において動物に対して、GKas(50 mg/kg)または溶媒を3分間に亘って静脈注射した。経口によるグルコース添加を、0分の時点において25gのSDSミニブタ飼料と混合したグルコース(2g/kg、50%溶液 = 4 ml/kg)にて行った。該グルコースは、管理の下ボールにて与えられた。血漿が分離され、グルコース、ラクトース、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、曝露(exposure)、未処理の全GLP-1およびGIPのための試験に用いた。
【0104】
[実施例2]:グルコース正常化の結果による糖尿病遅発型合併症(例えば、糖尿病性腎障害)の予防
腎障害の主な予防は、グルコースのよい調節に依拠する。HbA1Cにおいて1%の減少が起こると、ミクロアルブミン尿症の発生の危険性は、20-40%減少する。そのうえ、未処理の慢性糖尿病の動物において、グリコーゲンは尿細管に蓄積し(糖尿病性グリコーゲン腎症)、これは、糖尿病における腎臓機能障害に対して大きく寄与し得る。(Bamri-Ezzine S, Ao ZJ, Londono I, Gingras D, Bendayan M. LABORATORY INVESTIGATION. 83 (7): 1069-1080 JUL 2003. Nannipieri M, Lanfranchi A, Santerini D, Catalano C, Van de Werve G, Ferrannini E.))NEPHRON 87 (1): 50-57 JAN 2001.)
溶媒処理した糖尿病性ob/obマウスの腎臓におけるグリコーゲンレベルは、やせた非糖尿病のマウス(6.0 ± 0.9 μmol/g wW)の2倍以上である(15.5 ± 2.0 μmol/g wW)。
【0105】
3週間のGKasによる処理は、腎臓のグリコーゲンレベルを正常化し(6.3 ± 1.6 μmol/g wW)、GK活性化の後に正常血糖が得られたことを示しており、糖尿病性腎障害を抑制/改善するだろう。
【0106】
[実施例3]:重い糖尿病のゲッティンゲンミニブタのインスリン要求における、肝臓選択的GK活性化因子の効果
動物:
ゲッティンゲンミニブタを、ストレプトゾトシン(125 mg/kg)を用いて糖尿病にした。
【0107】
方法:
ストレプトゾトシンの投与の2日後、1日2回のInsulatardによる処理を開始する。インスリン投与量は、10と15mMの間で、空腹時血漿グルコース(FPG)を得るために、個々に漸増させる。インスリンの開始投与量は0.2 IU/kgである。漸増期間の間、FPGを3日おきに測定し、インスリン投与量を調整する。
【0108】
3週間後、GKAまたは溶媒による処理を開始し(それぞれの処理に対して、同程度のグループサイズにて)、FPGを毎日記録した。同時に、一日のインスリンの投与量を、GKAブタにおいて、処理の前に必要量の3/4に減少させ、一方で、溶媒ブタは、同じ一日のインスリンの投与量を維持する。個々の動物においてFPGが10mMを下回った場合、インスリン投与量は個々に減少させる。
【0109】
さらに、GKA/溶媒の投与の1週間後、動物にグルコース投与(glucose challenge) (2g/kg グルコース)を行った。毎日のインスリン投与を全ての動物において行った(GKAブタには3/4で、溶媒ブタには1で)。
【0110】
血液サンプルの採取を、GKA/溶媒およびグルコースの投与に対して、-15、-10、-5分、および1/2、1、1+1/2、2、3、4、4+1/2、5、6時間の時点で行った。サンプルは、血漿中のヒトインスリン、グルコース、ブタC-ペプチドおよびグルカゴンの測定に供した。
【0111】
結果の解釈:
二つのグループにおけるFPGレベルおよびグルコース耐性が同等であれば、インスリン投与量はGKAのグループで減少するが、GKAを用いた場合に、同程度のグルコース調節が、インスリン投与量を減らした状態でも維持される。
【0112】
[実施例4]:体重の中立(neutrality):ラットの長期体重増加における肝臓選択的GKAの効果
動物:
8週間処理したGKラット。
【0113】
方法:
GKラットをGKAまたは溶媒にて8週間処理し、体重および食物取り込みを、処理期間の間、週に2回測定する。研究の間における、累積的な食物取り込みおよび体重におけるパーセント増加量を算出する。
【0114】
結果の解釈:
GKAで処理したラットが、溶媒で処理したラットと著しく異ならない体重増加を示した場合、GKAによる処理は体重増加に影響しない。
【0115】
[実施例5]:低血糖を伴わない正常血糖:給餌および絶食糖尿病ob/obマウスの血糖(BG)における肝臓選択性GKAの効果
動物:
給餌(平均BGが10-22mM)および絶食(平均BGが8-10mM)糖尿病ob/obマウス。
【0116】
方法:
給餌および絶食ob/obマウスをGKAまたは溶媒で処理し、BGを処理前および処理の2時間後に測定する。処理前後のBGの違いをそれぞれの動物に対して計算する。
【0117】
結果の解釈:
給餌糖尿病マウスにおいて、BGプロファイルの間、血糖値がGKA処理の後に5-13mM下がり、一方で、血糖値が決して4mMを下回ることのない(正常血糖)、絶食糖尿病マウスにおいて、BGプロファイルの間に3-6mMしか減少しない場合、肝臓選択的GKAは、低血糖を伴わずに正常血糖を起こした。
【0118】
[実施例6]:糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の低い影響:重い糖尿病のMHBBラットの糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の発生における、肝臓選択的GKAの効果
動物:
LinPlantインスリンにて処理した、自然発症性糖尿病のMHBBラット。
【0119】
方法:
糖尿病のMHBBラットに、製品説明書に従って、LinPlant移植組織を移植する。HbA1Cを測定し、それに従ってラットを処理グループに分配する(HbA1Cの平均は7.1から7.6%となるだろう)。
【0120】
GKAまたは溶媒による処理を開始し(それぞれの処理に対して、同程度のグループサイズにて)、DKAを、週1回で6週間、尿中のケトン体出現量にて測定する。
【0121】
結果の解釈:
DKAを示した動物の数が、溶媒で処理したラットに比べてGKAで処理したラットにおいて減少する場合、GKAによる処理は、DKAの発症を抑制または遅延させた。
【0122】
生物学的試験:
グルコキナーゼ活性試験(I)
グルコキナーゼ活性を、化合物のグルコキナーゼ活性化を決定するため、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼと組み合わせて、分光測定的に測定する。最終的な測定は、50 mM Hepes、pH 7.1、50 mM KCl、5 mM MgCl2、2 mMジチオスレイトール、0.6 mM NADP、1 mM ATP、0.195 μM G-6-Pデヒドロゲナーゼ(Rocheより、127 671)、15 nM 組み換えヒトグルコキナーゼを含む。グルコキナーゼは、N末端にHisタグ((His)8-VEQILA......Q466)を有するN末端切断型ヒト肝臓グルコキナーゼであり、肝臓抽出GKに匹敵する酵素活性を持った可溶性タンパク質としてE.coliにて発現させる。
【0123】
Hisタグ付加型ヒトグルコキナーゼ(hGK)の精製は、以下のように行った:50 mlのE. coli培養液から回収した細胞塊を、0.25 mg/mlリゾチームおよび50 μg/mlアジ化ナトリウムを添加した5 ml抽出バッファーA(25 mM HEPES、pH 8.0、1 mM MgCl2、150 mM NaCl、2 mlメルカプトエタノール)に再懸濁した。5分後、室温にて、5 mlの抽出バッファーB(1.5 M NaCl、100 mM CaCl2、100 mM MgCl2、0.02 mg/ml DNA分解酵素1、プロテアーゼ阻害剤錠剤(Complete(登録商標) 1697498):バッファー20 mlあたり錠剤一つ)を加えた。そして。抽出液を15,000gで30分間遠心した。その結果得られた上清を、Ni2+を充填した1 mlの金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(MCAC)カラムに通した。そのカラムを、20 mMイミダゾールを含んだ2倍量のバッファーAで洗浄し、引き続いて結合したhisタグ付加型hGKを、20から500 mMでイミダゾールの勾配をつけてバッファーAにて20分間溶出する。画分を、SDSゲル電気泳動を用いて試験し、hGK(MW: 52 KDa)を含んだ画分を蓄える。最後に、ゲルろ過の工程を、最後の精製およびバッファーの交換のために行った。hGKを含む画分を、Superdex 75 (16/60)ゲルろ過カラムに通し、バッファーB(25 mM HEPES、pH 8.0、1 mM MgCl2、150 mM NaCl、1 mMジチオスレイトール)にて溶出する。精製したhGKを、SDSゲル電気泳動およびMALDI質量分析にて試験し、最終的に20%グリセロールを添加して冷凍した。50 mlのE. coli培養液からの収量は、一般に約2-3 mgのhGKであり、90%より大きい精製度である。
【0124】
試験する化合物を、最終的に2.5% DMSOの濃度で、化合物の必要とされる濃度、例えば1、5、10、25または50μMとするのに十分な量で、ウェルに加える。グルコースを、終濃度2、5、10または15 mMで加えた後、反応を開始する。試験は96ウェルUVプレートを用い、最終的に用いた試験体積は200μl/ウェルである。プレートは25℃で5分間インキィベートし、動力学を、340nmにて、30秒毎に5分間、SpectraMaxで測定する。それぞれの化合物の結果は、グルコキナーゼ酵素および化合物がない「ブランク」を差し引いた後、化合物がない状態の試験におけるグルコキナーゼ酵素の活性と比較して、グルコキナーゼ活性が何倍の活性となるかで表される。それぞれの実施例での化合物は、この試験においてグルコキナーゼの活性を示す。30μM以下の濃度で、化合物がない試験の結果に比べて1.5倍高いグルコキナーゼ活性を示した化合物は、グルコキナーゼの活性化因子と考えられる。
【0125】
その化合物のグルコース感応性は、10μMの化合物濃度および5および15 mMのグルコース濃度にて測定する。
【0126】
Bio1:5 mMグルコース、10μM化合物濃度における、倍率活性、
Bio1:15 mMグルコース、10μM化合物濃度における、倍率活性。
【0127】
グルコキナーゼ活性試験(II)
摘出されたラットの肝細胞におけるグリコーゲン蓄積の検出
肝細胞を、二段階灌流技術(a two-step perfusion technique)によって任意に給餌させたラットから摘出した。トリパンブルー排除法によって評価した細胞の生存度は、ばらつきなく80%以上である。細胞は、コラーゲンコートされた96ウェルプレートの4% FCS添加基本培地[0.1μMデキサメサゾン、100ユニット/mlペニシリン、100 mg/mlストレプトマイシン、2 mM L-グルタミンおよび1 nMインスリンが添加された、Medium 199 (5.5 mグルコース)]に、30,000細胞/ウェルの細胞密度でまいた。死んだ細胞を除くため、最初にまいてから1時間後に、その培地を基本培地と交換する。グリコーゲン合成を誘導するために、培地を、24時間後、9.5 mMグルコースおよび10 nMインスリンを添加した基本培地に交換し、翌日実験を行う。肝細胞は、前もって温めた(37℃)バッファーA(117.6 mM NaCl、5.4 mM KCl、0.82 mM Mg2SO4、1.5 mM KH2PO4、20 mM HEPES、9 mM NaHCO3、0.1% w/v HASおよび2.25 mM CaCl2、pH 7.4、37°C)で二度洗浄し、15 mMグルコースを含む100μlのバッファーAにて、例えば1、5、10、25、50または100μMといった濃度で試験する化合物を増加させて、180分間インキュベートする。グリコーゲン含量は、標準的方法(Agius, L.et al, Biochem J. 266, 91-102 (1990))を用いて測定する。この試験に用いて、化合物がない試験による結果に比べて、著しいグリコーゲン含量を示す化合物は、この試験において活性を有すると考えられる。
【0128】
グルコキナーゼ活性試験(III)
INS-1E細胞における、グルコキナーゼ活性化因子によるインスリン分泌の刺激
グルコース応答性β細胞株INS-1Eを、Asfari Mらによって記載される通り(「内分泌学(Endocrinology)」130, 167-178 (1992))に培養する。その細胞を、次に96ウェル細胞培養プレートにまき、1ウェルあたり約5 x 104の密度になるまで生育させる。グルコース依存性インスリン分泌の刺激は、2.5から15 mMのグルコース濃度であるKrebs Ringer Hepesバッファー中で、グルコキナーゼ活性化化合物を例えば1、5、10、25、50または100μMの濃度で添加してまたは添加せずに、2時間培養し、上清を回収し、ELISA(n=4)にてインスリン濃度を測定することにより試験する。この試験で、化合物の添加をせずに行われた試験の結果と比較して、グルコースに応答したインスリン分泌が有意に増加した化合物は、この試験において活性を有すると考えられる。
【0129】
2型糖尿病の齧歯動物モデルにおいて、および糖尿病性STZ-NIAミニブタにおいて、肝臓選択的GK活性化因子の急性的または慢性的な投与は、低血糖の徴候なく血糖の正常化という結果をもたらす。その上、同じ用量を、やせて正常なおよび糖尿病性のラット/マウスへ投与しても、低血糖を引き起こさない。
【0130】
本出願にて引用される、刊行物、特許出願、および特許を含む、全ての参照は、これにより、それぞれの参照が個々におよび特に参照して取り込まれるよう示され、(法で許される最大の範囲まで)そのまま本出願に記載されるかのように、同程度に参照して取り込まれる。
【0131】
全ての可能なその変形における、上述した要素の何れかの組み合わせは、本出願で示されていない限りまたは文脈から明らかに否定されない限り、本発明の範囲に属す。
【0132】
本出願の記述に関して(特に上述の請求項に関して)、「ひとつの(“a”および”an”)」および「その(“the”)」という用語および同様の指示物の使用は、本出願で示されていない限りまたは文脈から明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈される。
【0133】
「含む(“comprising”)」、「有する(“having”)」、「含む(“including”)」および「含む(“containing”)」という用語は、本出願で示されていない限り、拡張可能(つまり、「含むが、これらに限られない(“including, but not limited to,”)」)な用語として解釈され、「成る("consisting")」、「〜を実質的に含む("substantially comprised of")」および「〜から本質的に成る("consisting essentially of ")」という語句を包含するよう読まれるべきである。(例えば、特別な成分を「含む("comprising")」組成物の開示が成される場合に、本出願はまた、関連する部分において、その成分から本質的に成ることを特徴付けられる、別の同一の組成物、および(独立に)その成分から単に成る組成物を提供すると理解されるべきである。)
本出願における価の範囲の詳述は、本出願で示されていない限り、単に、その範囲に入るそれぞれの異なる価を個々に言及する簡略表記の方法として役目を持つよう意図され、それぞれの異なる価は、それが独立して本出願に列挙されるかのように、本明細書に取り込まれる。記述されない限り、本出願にて提供される全ての正確な価は、相当するおよその値を代表する。(例えば、特別な要素または測定に関して提供される、全ての正確な代表的な値はまた、適切な場合に、「約(“about”)」で修飾される、相当するおよその測定を提供すると考慮され得る。)
本出願に記載される全ての方法は、本出願で示されていない限りまたは文脈から明らかに否定されない限り、何れかの適した順序(order)で行われ得る。
【0134】
何れかおよび全ての例示、または代表的な言葉(例えば、「〜といった(“such as”)」)の使用は、単に、本発明をより解明するために意図され、主張のない限り、本発明の範囲における限定を提示しない。明細書における言葉は、本発明の実施に必須である、何れの主張されていない要素を示すものとして解釈されるべきでない。
【0135】
本出願における特許文献の引用および取り込みは、都合のよい場合にのみなされ、そのような特許文献の妥当性、特許性、および/または実施性の何れの観点も反映しない。
【0136】
本発明による好ましい実施態様は、本出願に記載される。それらの好ましい実施態様の変形は、前述の記述を読むことで、通常技術を持つ当業者に明白になってよい。本発明者らは、そのような変形を適切に使用するために、習熟した技工を期待し、本発明者らは、本出願にて明確に記載されることとは異なって、本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法にて許されるように、ここに付加される請求項にて列挙される主題の、全ての改変されたものおよび同等なものを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病、またはグルコキナーゼ活性の増加によって利益を受ける症状の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項2】
前記症状/疾病が1型糖尿病である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子が、インスリン、短時間作用性インスリン、長時間作用性インスリン、またはそれらの混合物と組み合わせて投与される方法。
【請求項4】
前記グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病が、グルコキナーゼ変異に起因する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記グルコキナーゼ欠損に仲介される症状/疾病が、若年発症型成人型糖尿病(Maturity-Onset Diabetes of the Young)、新生児真性糖尿病(Neonatal Diabetes Mellitus)、または持続性新生児真性糖尿病(Persistent Neonatal Diabetes Mellitus)である方法。
【請求項6】
耐糖能異常、妊娠糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、クッシング症候群または代謝症候群を示す被験者において、糖尿病の発生を抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項7】
微小血管疾患(microvascular diseases)を抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項8】
耐糖能異常、妊娠糖尿病、または代謝症候群を示す被験者において、大血管疾患(macrovascular diseases)を抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を、単独でまたは脂質低下剤(lipid-lowering drugs)と組み合わせて投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項9】
ベータ細胞の量および機能を維持するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項10】
細胞死を誘導するアミロイドベータペプチドを抑制するための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項11】
前記被験者が獣医学的被験者である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子が、食品に添加されて投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
血糖の正常化から利益を得る肝臓の症状の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項14】
肝臓の機能の改善により利益を受ける肝臓の症状の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項15】
重大な病気に起因する、または治療的処置の結果による高血糖症の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項16】
癌のような重大な病気に起因する、または例えば癌治療もしくはHIV治療といった治療の結果による肝臓の症状の治療のための方法であって、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項17】
インスリン要求性2型糖尿病においてインスリンの補助としての、またはインスリンの代わりとしての治療の方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項18】
脂肪萎縮症(lipodistrophy)のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項19】
肝不全の徴候を示さない、重篤な身体的ストレスに起因する高血糖症の治療のための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項20】
前記重篤な身体的ストレスが、様々な外傷または糖尿病性ケトアシドーシスである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アポトーシスの肝臓損傷を予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項22】
低血糖を予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項23】
ベータ細胞の量および機能を増加させるための方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項24】
1型糖尿病を予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項25】
膵島/ベータ細胞の移植を受けた患者における、ベータ細胞の量および機能の維持および/または増加の方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項26】
手術中および手術後のグルコース調節を改善する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項27】
肝臓移植を行っている患者における、肝臓の機能および/または生存を改善する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項28】
前記投与が、移植の前、間、もしくは後、またはそれらの何れかの組み合わせに行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
血糖の正常化を獲得する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、血糖の正常化が低血糖の危険性の低減とともに起こる方法。
【請求項30】
遅発型糖尿病合併症を予防または回復させる方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項31】
1型または2型糖尿病の治療の方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含み、その治療が体重増加を生じない方法。
【請求項32】
糖尿病性ケトアシドーシスを予防する方法であって、そのような治療が必要な被験者に対し、肝臓選択的グルコキナーゼ活性化因子またはその医薬組成物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2008−502658(P2008−502658A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515964(P2007−515964)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052818
【国際公開番号】WO2005/123132
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】