説明

肥料と農薬の投げ込みパック剤

本発明は、場合により分解性の包装を含む新たな植物で使用するための物品であって、前記包装が、閉じた空間を形成する前記物品に関する。少なくとも1種の植物増強剤、少なくとも1種の農薬及び/又は少なくとも1種の吸水性材料は、前記包装によって形成された閉じた空間中に位置している。更に、本発明は、植物の処理方法及び植物へのショックを減らす方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、植物増強剤と、農薬と、吸水性材料とを、場合により分解性の包装内に含有されて含む物品に関する。特に、本発明は、農薬と、植物増強剤と、吸水性材料とを、分解性の包装内に含有されて含む、例えば新たに樹木、花及び低木を植えるときに使用するのに適した物品であって、昆虫を制御し、植物の成長を促進し、植物撒水の必要性を減らし、こうして植物のストレス耐性を強化する前記物品に関する。
【0002】
発明の背景
肥料と農薬は、新たに植えられた樹木及び低木に健康的な始まりを提供するための重要な配合物である。特に、植物増強剤と農薬は、有害な昆虫に対して保護し、成長を促進し、ストレスを減らし、そして必要な栄養を提供する。樹木及び低木を植えるときに、未熟な園芸家は、通常、植物を予め掘られた穴に入れ、隙間に土を詰め、そして水を加える。時折の撒水を欠いて、未熟者は新しい植物の世話をやめる。熟練者は、前記事項に従うことがあるが、一握りの植物増強剤を乾燥形か湿潤形のいずれかで植栽後に加え、頻繁に水を加える。昆虫の制御は、通常は、園芸家が葉っぱに目に見える虫害を観察したかなり後に行われる。園芸家が植栽においてどれほど慎重であるかにかかわらず、植物は、コンテナから穴に移るときに、"移植ショック"に見舞われる。移植ショックは、環境の突然の変化と、栄養及び水の供給の混乱によって引き起こされる。移植ショックは、新たに植えられた植物の主な死因の一つである。
【0003】
生分解性の包装は、多くの他の可能性のなかでも、水溶性もしくは水分解性の包装であってよい。水溶性の包装は、一般に、ポリビニルアルコール("PVA")もしくは生分解性の紙のいずれかから製造される。米国特許第3,892,905号は、農薬の液体用途での使用のための農薬を含有する冷水可溶性のPVA包装品を開示している。ここで、消費者は、該包装品を既知の量の水中に入れることになる。それにより、農薬は正しい濃度に希釈される。同様に、米国特許第4,156,047号は、包装品の形成のための溶融加工可能なPVAを開示している。米国特許第4,544,693号は、保持している農業用化学物質用の耐湿性包装をもたらすポリマーブレンドを含むPVAフィルムを開示している。同様に、米国特許第4,692,494号は、PVAとポリアクリル酸とを含む耐湿性フィルムを開示している。米国特許第5,272,191号は、PVAフィルムであって、該PVAフィルムの溶解を補助する水不溶性セルロース材料を含むフィルムを開示している。米国特許第6,783,006号は、保持している水分散性の粉末もしくは造粒物のための2層の可溶性包装を開示している。これらの特許のいずれも、包装品を植え穴中に植物の挿入前に入れることを開示していない。
【0004】
発明の概要
本発明は、新たな樹木、花及び低木を植えるときに使用するのに適した、移植ショックを減らすための植物増強剤と農薬との組み合わせ物品を提供する。特に、本発明の物品は、以下の、植物増強剤と、農薬と、吸水性材料の少なくとも1つを含む包装品であって、植え穴中に植物の挿入後に入れることが可能な包装品を含む。該包装品は、それらの植物に良好な始まりを起こさせるために、消費者にとって簡単なワンステップの手順を提供する。個々の成分の正しい及び/又は理想的な量を別々に植え穴中に加えることは困難であり、時間を消費するものであり、かつ未熟な園芸家もしくは熟練した園芸家によってさえもうまくいかない。さらに、正しくない量の適用は、植物にショックを与え又は飢えをもたらし、それにより、移植ショック、植物の病気、あるいは植物の死さえも増える恐れがある。また、該包装品を根の近くに入れると、水の流出がほとんど起こらず、土壌面に個々の成分を適用したことによる紫外線分解もほとんど起こらない。本発明の包装品は、昆虫による損傷から植物を保護し、植物の成長を促進し、かつ植物の撒水の必要性を減らし、こうして植物のストレス耐性を強化する、予め調整された組合せ物を提供する。植物のストレス耐性の向上は、特に未熟な園芸家による移植ショックによる植物の死の可能性を減らし、植物の生命力を高め、こうすることで、植物はより健康になり、園芸家にはより喜ばれる。さらに、本発明の物品並びに方法は、また、植物の成長の向上を提供し、緩効性の栄養補給を提供し、植物の生存を高め、水分貯留を改善し、撒水頻度及び撒水の必要性を減らし、植物と根の熱ストレスを減らし、急速な根の成長を促進し、土壌通気を改善するなどの1つ以上の更なる利点を提供しうる。さらに、本発明の包装品は、容易な貯蔵を提供し、ほとんど棚スペースを取らない。それというのも、多くの単独の成分を貯蔵する必要がないからである。
【0005】
本発明の一態様によれば、植物の挿入後に植え穴中に適用するのに適した物品が提供される。ここで、該物品は、閉じた空間を形成する、場合により分解性の包装と、植物増強剤、農薬及び吸水性材料からなる群から選択される少なくとも1つの成分とを含み、前記少なくとも1つの成分は、前記包装の閉じた空間中に位置している。
【0006】
本発明のもう一つの態様において、植物を穴中に入れることと、少なくとも1種の植物増強剤、少なくとも1種の農薬及び/又は少なくとも1種の吸水性材料を含む少なくとも1つの包装品を前記穴中に入れることと、前記植物に撒水することとを含む植物の処理方法であって、前記の植物増強剤、農薬及び/又は吸水性材料が、前記の穴全体にわたって分散される前記処理方法が提供される。
【0007】
本発明の追加の対象、特徴及び利点は、以下の詳細な説明に示され、部分的には、該詳細な説明から自明であり、又は本発明の実施によって知得されうるものである。本発明の対象、特徴及び利点は、特許請求の範囲で特に指摘された手段及び組み合わせによって実現され、かつ取得されうるものである。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、新たな植物における移植ショックを減らすための新規の物品に関する。
【0009】
一般に、本発明は、植え穴中に植物の挿入後に入れるための、以下の、植物増強剤と、農薬と、吸水性材料の少なくとも1つを含む包装品を含んでいる。植物増強剤は、一般に、植物の改善、保全、生存、健康及び繁殖を意図するものであり、例えば植物栄養、微量元素、栄養性化学物質、植物接種剤、土壌改良資材、ビタミン・ホルモン園芸製品などを含みうる。一実施態様においては、少なくとも1種の植物増強剤と農薬は、ほぼ一体の植物標本についての正確な量を提供するように予め調整されている。複数の包装品を、所望であれば、より大きな植物のために組み合わせてもよい。例えば、約3/4インチの樹幹直径を有する新たな樹木は、一般に、2つの包装品を必要とする。吸水性材料は、隣接する土から吸水することによって植物の根の近くに保水するのを助ける。この保水特性は、通常の成長条件下で、ほとんどの植物の永久しおれ点を倍増させる。さらに、吸水性材料は、包装の分解と組み合わさって、植え穴内で植物増強剤と農薬を分散させる。本発明の包装は、一実施態様においては、ティーバッグ様のものであってよく、その際、それは、多孔質の外側シェル内部に複数の成分を含んでよく、それにより、該包装内部の成分は、前記シェルから浸出でき、そして次いで該包装に隣接する土壌もしくは植物中に吸収されうる。その包装は、例えば、分解しないが、土壌を傷つけない繊維質材料であってよい。もう一つの実施態様においては、その包装は、分解性であるか、又は生分解性であってもよい。選択的に、もう一つの実施態様においては、その包装は、適用のすぐ前に利用者によって開放することができ、そして該包装内部の成分を、土壌に、種子に、植物にもしくは果実に又はそれに隣接する領域に加えることができる。
【0010】
好ましい一実施態様においては、植物増強剤は、肥料であってよい該肥料は、乾燥養分、例えば窒素、カリウム、リン、ソーダ灰及びマグネシウムなどの乾燥養分の任意の組み合わせを含みうる。好ましくは、該肥料は、窒素、カリウム及びリン並びに他の微量養分の組み合わせである。最も好ましくは、該肥料は、窒素と、カリウムと、リンとの、ほぼ1:2:1の比率の組合せ物である。
【0011】
農薬は、当業者に公知の任意の化合物であって、当該農薬の根による取り込みなどを通じて、植物上のもしくは植物周りの有害生物個体群を制御することが可能な化合物であってよい。農薬は、有害生物により引き起こされる損傷を防止し、制御し、もしくは減らすために使用される任意の物質又は物質混合物を含む。農薬は、化学物質、ウイルスもしくは細菌などの生物学的剤、抗微生物剤又は消毒剤であってよい。有害生物は、例えば、昆虫、植物病原体、雑草、軟体動物、鳥類、哺乳動物、魚、回虫などの線虫、微生物と同様に、成長している植物、種子もしくは果実に損害をもたらすか又はもたらす恐れがあるものを含む。
【0012】
好適な農薬は、殺虫剤を含み、それらは昆虫の制御のための農薬の特定のカテゴリーであり、すなわち殺卵剤(卵を死滅させる物質)、殺幼虫剤(幼虫を死滅させる物質)又は殺成虫剤(成虫を死滅させる物質)を含む。農薬は、また、殺ダニ剤、ダニ駆除剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤及び他のカテゴリーの剤をも含みうる。好ましくは、農薬は、クロロニコチニルである。最も好ましくは、農薬は、イミダクロプリドである。
【0013】
吸水性材料は、当業者に公知の任意の化合物であって、水を取り込み貯留できる化合物であってよい。好ましくは、吸水性材料は、セルロースもしくはポリマー性材料であり、一実施態様においては、吸水性材料は、アクリル酸カリウムコポリマーを含む。最も好ましくは、吸水性材料は、Degussa Stockhausen,Inc.社から入手できるStockosorb(商標)である。
【0014】
好ましくは、包装は、分解性の包装である。その分解性の包装は、例えば、当業者に、水もしくは他の物質のいずれかの存在下に溶けることが知られている任意の容器であってよい。該包装が分解性でなく、かつ包装品全体が土壌中に単一の単位としてその内容物と一緒に埋められることが意図されている場合に、外側の包装は、内側にある成分を経時的に浸出させる組成となっている。包装品が土壌もしくは植物に適用する前に開放されるべきであれば、外側の包装は、成分を保持できる任意の所望の材料、好ましくは0〜50℃の温度にわたって、かつ広い範囲の湿度レベルにおいて成分を貯蔵安定に保つ任意の所望の材料であってよい。
【0015】
生分解性の包装は、幾つかの実施態様において好ましい。好適な包装の例は、ポリビニルアルコールフィルム、熱可塑性のポリビニルアルコール、生分解性の紙、生分解性のポリマー及び/又は生分解性の布を含む。一実施態様においては、分解性の包装は、水の存在下で、約4℃〜約40℃の温度で溶ける。好ましくは、分解性の包装は、ポリビニルアルコールを含む。最も好ましくは、包装は、MonoSol,LLCによって配給されるポリビニルアルコールである。分解性の包装は、好ましくは、任意の二次元形状であって、三次元の形態になると乾式成分を保持するように設計されている形状であってよい。かかる二次元形状は、それらに制限されないが、正方形、楕円形、三角形、星形、円形、矩形、五角形、六角形及び八角形を含む。好ましくは、その形状は矩形である。該分解性の包装は、任意の寸法であってもよい。好ましくは、その寸法は、約0.1オンス〜約8オンスの、最も好ましくは約1.3オンスの内部体積をもたらす。
【0016】
もう一つの実施態様においては、農薬は、単体の配合物を形成するように植物増強剤に付されている。米国特許第5,783,203号は、本願で参照をもってその全体が開示されたものとするが、それは、殺虫剤と肥料の一体型の配合物を製造する方法を開示している。かかる単体の配合物の場合に、肥料と農薬を、水、固形キャリヤー粒子、バインダー及び/又は他の添加剤と混合させうることで、肥料と農薬の一体型の配合物が形成される。該肥料は、窒素、カリウム、リン、ソーダ灰及びマグネシウムなどの養分の任意の組み合わせを含みうる。好ましくは、該肥料は、窒素、カリウム及びリンの組み合わせである。最も好ましくは、該肥料は、窒素と、カリウムと、リンとの、ほぼ1:2:1の比率の組合せ物である。農薬は、当業者に公知の任意の化合物であって、植物上もしくは植物周りの有害生物を制御する化合物であってよい。好ましくは、農薬は、クロロニコチニルである。最も好ましくは、農薬は、イミダクロプリドである。
【0017】
単一の包装品における各成分の質量%は、処理されるべき植物の寸法に依存して変動しうる。該包装品は、少なくとも1種の成分、すなわち農薬、植物増強剤及び吸水性材料を含んでいてよい。好ましい一実施態様において、全ての3種の成分が該包装品中に存在する。一般に、農薬の質量%は、約0.001%〜約99.9質量%、好ましくは約0.2〜2.5質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%であり、特定の一実施態様においては、約0.69質量%である。植物増強剤の質量%は、約0.001質量%〜約99.9質量%の幅があり、好ましくは20〜99質量%の幅があり、より好ましくは50〜90質量%もしくは60〜85質量%の幅があり、特定の一実施態様においては、約79質量%である。吸水性材料の質量%は、約0.001質量%〜約99.9質量%であり、好ましくは2〜40質量%であり、より好ましくは15〜35質量%であり、特定の一実施態様においては、約20質量%である。単一の包装品における成分の全質量は、一般に、約0.1オンス〜約8.0オンスであり、好ましくは約1.3オンスである。
【0018】
単一の分解性の包装品は、単一の新たに植えられた低木を処理することができるが、一方で、2つの包装品が、新たに植えられた樹木に必要となる場合がある。様々な用途に必要とされる量は、意図される使用に基づき望み通りに適合できる。より大きい包装品は、大きな低木もしくは樹木に利用することが意図される場合に使用できるが、一方で、より小さな包装品は、一年草用の穴に挿入するか、又は例えば庭で利用することができる。分解性の包装品を使用するために、一般に、消費者は、植物を保持しているコンテナよりもわずかに大きい穴を掘ることになる。植物の根土網状組織をその穴に入れる。正しい数の包装品を、約4インチ〜6インチの深さで、穴側と、植物の根土網状組織側との間に入れる。その穴に土を詰めて、水を満たす。各適用は、約3ヶ月までの栄養、水分率調節及び昆虫からの保護を提供する。該包装品が土壌中に埋められるべきでなければ、利用者は、その包装品を開放して、内容物を、樹木もしくは植物が植えられる穴に適用できる。
【0019】
本発明の包装品は、様々な昆虫、例えばカサアブラムシ、アリマキ、グンバイムシ、リーフマイナー、カイガラムシ、コナジラミ、キノコバエ、マメコガネ、ハムシ、ヨコバイ、コナカイガラムシ、マツノシンマダラメイガ幼虫、キジラミ、ネゾウムシ幼虫、ダイオウヤシムシ(royal palm bug)、ハバチ幼虫、アザミウマ、ジムシ幼虫及び他の有害生物の制御に使用することができる。
【0020】
更なる一実施態様においては、可溶性の包装品は、異なる場所もしくは保管所に移すために植物を地面からコンテナへと移送する際に使用できる。ここで、植物の根土網状組織は、コンテナ内部に入れられ、可溶性の包装品は、その根土網状組織とコンテナ側との間に入れられる。土を加えることで、コンテナと、根土網状組織との間の間隔が満たされる。コンテナが一杯になるまで水を加える。この状況で分解性の包装品を使用すると、移植ショックが低下し、コンテナ中にある間の植物の保管寿命が延びる。
【0021】
植物を植えるときに使用するのに適した物品であって、閉じた空間を形成する、場合により分解性の包装と、植物増強剤、農薬及び吸水性材料からなる群から選択される少なくとも1つの成分とを含む物品において、前記少なくとも1つの成分が前記包装の閉じた空間中に位置し、かつ前記農薬が、75%の設定農薬濃度で、前記包装中の全内容物の質量に対して約0.50質量%〜約0.90質量%で存在し、前記の植物増強剤が、前記包装中の全内容物の質量に対して約70質量%〜85質量%で存在し、かつ前記吸水性材料が、前記包装中の全内容物の質量に対して約15質量%〜約30質量%で存在する前記物品。
【0022】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記植物増強剤が、肥料を含む前記物品。
【0023】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記植物増強剤が、窒素、カリウム及び/又はリンを含む前記物品。
【0024】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記窒素、カリウム及びリンが、約1:2:1の比率で存在する前記物品。
【0025】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記農薬が、クロロニコチニルである前記物品。
【0026】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記農薬が、イミダクロプリドである前記物品。
【0027】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記農薬及び前記植物増強剤が、前記農薬を前記植物増強剤に付着されて含んでいる顆粒状組合せ物を含む前記物品。
【0028】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記吸水性材料が、セルロースもしくはポリマーである前記物品。
【0029】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記吸水性材料が、アクリレートポリマーである前記物品。
【0030】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記農薬が、75%の設定農薬濃度で、前記包装中の全内容物の質量に対して約0.69質量%の量で存在し、前記の植物増強剤が、前記包装中の全内容物の質量に対して約78.9質量%の量で存在し、かつ前記吸水性材料が、前記包装中の全内容物の質量に対して約19.7質量%の量で存在する前記物品。
【0031】
前記の段落「0021」における特許請求の範囲に記載された物品であって、前記包装が、生分解性である前記物品。
【0032】
植物を穴中に入れることと、少なくとも1種の植物増強剤、少なくとも1種の農薬及び/又は少なくとも1種の吸水性材料を含む少なくとも1つの包装品を前記穴中に入れることと、前記植物に撒水することとを含む植物の処理方法であって、前記の植物増強剤、農薬及び/又は吸水性材料が、前記の穴全体にわたって分散され、かつ前記農薬が、前記包装中の全内容物の質量に対して約0.50質量%〜約0.90質量%で75%の設定農薬濃度をもって存在し、前記の植物増強剤が、前記包装中の全内容物の質量に対して約70質量%〜85質量%で存在し、かつ前記吸水性材料が、前記包装中の全内容物の質量に対して約15質量%〜約30質量%で存在する前記処理方法。
【0033】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、前記農薬が、クロロニコチニルである前記方法。
【0034】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、前記農薬が、イミダクロプリドである前記方法。
【0035】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、前記植物増強剤が、窒素、カリウム及びリンを含む前記方法。
【0036】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、前記吸水性材料が、セルロースもしくはポリマーである前記方法。
【0037】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、前記吸水性材料が、アクリレートポリマーである前記方法。
【0038】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、前記包装が、分解性である前記方法。
【0039】
前記の段落「0032」における特許請求の範囲に記載された方法であって、新たに植えられた植物における移植ショックが減少される前記方法。
【0040】
実施例
実施例1
実施例1は、サクラの樹木の成長に対する該分解性の包装品の結果を示している。該包装品は、以下の成分を含有していた:75質量%のイミダクロプリド殺虫剤を全成分の質量に対して0.92質量%の濃度で;鉱油を全成分の質量に対して0.5質量%の濃度で;Stockosorb(商標)を全成分の質量に対して19.7質量%の濃度で;及び肥料6−10−6を全成分の質量に対して78.88質量%の濃度で。対照品は、植物増強剤もしくは農薬を含有しなかった。この研究は、イリノイ州ホワイトヒースで3ヶ月間にわたって実施した。全体で8本の樹木を調査した。そのうち4本は非処理であり、4本は植栽の時点で該分解性の包装品で処理したものであった。各樹木の根土網状組織を、該網状構造よりわずかに大きい穴の内部に入れた。2つの分解性の包装品を、それぞれの穴中に、根土網状組織と穴側との間で反対端でかつ表面より約4〜6インチ下方で入れた。土を、根土網状組織の周りに詰め、樹木を取り囲む領域を水で一杯にした。約2〜4インチのマルチを、各樹木の樹幹の周りに設置した。3ヶ月後に、該分解性の包装品で処理されたサクラの樹木の平均直径は、非処理のサクラの樹木の平均直径の2倍の大きさであった。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例2
実施例2は、バラの木の成長に対する該分解性の包装品の結果を示している。該包装品は、以下の成分を含有していた:75質量%のイミダクロプリド殺虫剤を全成分の質量に対して0.92質量%の濃度で;鉱油を全成分の質量に対して0.5質量%の濃度で;Stockosorb(商標)を全成分の質量に対して19.7質量%の濃度で;及び肥料6−10−6を全成分の質量に対して78.88質量%の濃度で。対照品は、植物増強剤もしくは農薬を含有しなかった。この研究は、イリノイ州ホワイトヒースで3ヶ月間にわたって実施した。全体で8本の木を調査した。そのうち4本は非処理であり、4本は植栽の時点で該分解性の包装品で処理したものであった。各木の根土網状組織を、該網状組織よりわずかに大きい穴の内部に入れた。1つの分解性の包装品を、それぞれの穴中に、根土網状組織と穴側との間でかつ表面より約4〜6インチ下方で入れた。土を、根土網状組織の周りに詰め、木を取り囲む領域を水で一杯にした。約2〜4インチのマルチを、各木の周りに設置した。3ヶ月後に、該分解性の包装品で処理されたバラの木の平均高さは、非処理のバラの木の平均高さとほぼ同じであった。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例3
実施例3は、バラの木の花の成長に対する該分解性の包装品の結果を示している。該包装品は、以下の成分を含有していた:75質量%のイミダクロプリド殺虫剤を全成分の質量に対して0.92質量%の濃度で;鉱油を全成分の質量に対して0.5質量%の濃度で;Stockosorb(商標)を全成分の質量に対して19.7質量%の濃度で;及び肥料6−10−6を全成分の質量に対して78.88質量%の濃度で。対照品は、植物増強剤もしくは農薬を含有しなかった。これらの研究は、イリノイ州ホワイトヒースとノースキャロライナ州クレイトンで実施した。全体で16本の木々を調査した(それぞれの場所で8本)。そのうち8本は非処理であり、8本は該分解性の包装品で処理したものであった。各木の根土網状組織を、該網状組織よりわずかに大きい穴の内部に入れた。1つの分解性の包装品を、それぞれの穴中に、根土網状組織間でかつ表面より約4〜6インチ下方で入れた。土を、根土網状組織の周りに詰め、木を取り囲む領域を水で一杯にした。約2〜4インチのマルチを、各木の周りに設置した。3ヶ月後に、該分解性の包装品で処理されたバラの木にある花の平均数は、非処理のバラの木にある花の平均数より約16%多かった。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例4
実施例4は、オレアンダーとユーゲニア・ミルチフォリア(Eugenia Myrtifolia)といった植物種に対する平均生長力評点(1=死んだもしくは貧弱な植物;10=優秀な植物)を示している。該包装品は、以下の成分を含有していた:75質量%のイミダクロプリド殺虫剤を全成分の質量に対して0.92質量%の濃度で;鉱油を全成分の質量に対して0.5質量%の濃度で;Stockosorb(商標)を全成分の質量に対して19.7質量%の濃度で;及び肥料6−10−6を全成分の質量に対して78.88質量%の濃度で。対照品は、植物増強剤もしくは農薬を含有しなかった。それらの研究は、カリフォルニア州バレーセンターで実施した。全体で16本の植物を調査した(8本の各植物種)。そのうち4本は非処理であり、4本は該分解性の包装品で処理したものであった。各植物の根土網状組織を、本来の網状組織よりわずかに大きいコンテナの内部に入れた。1つの分解性の包装品を、根土網状組織とコンテナとの間に入れた。土を、根土網状組織の周りに詰め、該植物を取り囲む領域を水で一杯にした。91日後に、オレアンダー植物は、非処理の植物よりも生長力の点で約7%の平均増加を示し、そしてユーゲニア・ミルチフォリア植物は、非処理の植物よりも植物生長力の点で約8%の平均増加を示した。
【0047】
【表4】

【0048】
実施例5
実施例5は、該分解性の包装品で処理してから189日後の、オレアンダー、ユーゲニア・ミルチフォリア及びフォチニア・フラセリイ(Photinia fraserii)の平均草高(インチ)を示している。該包装品は、以下の成分を含有していた:75質量%のイミダクロプリド殺虫剤を全成分の質量に対して0.92質量%の濃度で;鉱油を全成分の質量に対して0.5質量%の濃度で;Stockosorb(商標)を全成分の質量に対して19.7質量%の濃度で;及び肥料6−10−6を全成分の質量に対して78.88質量%の濃度で。対照品は、植物増強剤もしくは農薬を含有しなかった。それらの研究は、カリフォルニア州バレーセンターで実施した。全体で24本の植物を調査した(8本の各植物種)。そのうち4本は非処理であり、4本は該分解性の包装品で処理したものであった。各植物の根土網状組織を、本来の根網状組織よりわずかに大きいコンテナの内部に入れた。1つの分解性の包装品を、根土網状組織とコンテナとの間に入れた。土を、根土網状組織の周りに詰め、該植物を取り囲む領域を水で一杯にした。189日後に、オレアンダー植物は、非処理の植物に対して草高の点で約14%の平均増加を示し、ユーゲニア・ミルチフォリア植物は、非処理の植物に対して草高の点で約4%の平均増加を示し、かつフォチニア・フラセリイ植物は、非処理の植物に対して草高の点で約12%の平均増加を示した。
【0049】
【表5】

【0050】
前記の結果は驚くべきものである。当業者は、これらの結果が、包装成分を個別に植物全面にわたって適用して得られたものと予想するはずである。この予想は、とりわけ、分解性の包装品は、その成分を植物の寸法の増大をもたらすようには分散しないということに由来するものである。その包装品内容物は固定された場所に留まって、恐らく、局所領域に高濃度の肥料となるため植物の根を破壊することが予想されるかもしれない。高濃度の肥料によって引き起こされる根の損傷は、発育阻害された植物をもたらすことになる。しかしながら、前記に示したように、このような場合にはならない。
【0051】
さらに、前記の結果は、該包装品がどこで使用されるかにかかわらず、植物の寸法の増大をもたらすことを示している。それらの結果は、ノースキャロライナ州、イリノイ州及びカリフォルニア州といった3つの離れた場所で生じた。それぞれの場所は、互いに異なる土壌組成を有している。ある場所では、土壌に養分の欠乏がないかもしれない。別の場所では、土壌が干ばつ状態を受けてないかもしれない。もう一方では、昆虫の問題がない。当業者は、1つもしくは2つの包装成分だけが必要とされるにすぎず、従って3つを組み合わせないものと予想するはずである。例えば、肥沃な土壌を有しており干ばつ状態がない場所において3つ全てを組み合わせることは、多すぎる植物養分と水の存在のため植物の寸法の低下をもたらすことがある。しかしながら、前記に示したように、該包装品は、土壌状態にかかわらず植物寸法の増大をもたらす。これは予想されるものではない。
【0052】
追加の利点、特徴及び変更は、当業者には容易に見出される。従って、本発明はその広範な態様において、本願で示された及び記載された特定の細部及び代表的な機構に限定されない。従って、本願の特許請求の範囲及びその相当箇所によって定義される本発明の一般概念の主旨もしくは範囲から逸脱しなければ様々な変更がなされてよい。
【0053】
本願で参照した全ての文献は、具体的に、参照をもってその全体が開示されたものとする。
【0054】
本願明細書と特許請求の範囲で使用される場合に、"the"、"a"及び"an"などの冠詞は、単数もしくは複数を内包する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた空間を形成する、場合により分解性の包装と、植物増強剤、農薬及び吸水性材料からなる群から選択される少なくとも1つの成分とを含む、植物を植えるときに使用するのに適した物品であって、前記少なくとも1つの成分が、前記包装の閉じた空間中に位置している前記物品。
【請求項2】
前記包装が、ポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記包装が、生分解性の紙を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
さらに、少なくとも1種の発根刺激剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記の植物増強剤が、窒素、カリウム及び/又はリンを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記の窒素、カリウム及びリンが、約1:2:1の比率で存在する、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記植物増強剤が、肥料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記農薬が、クロロニコチニルである、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記農薬が、イミダクロプリドである、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記農薬及び前記植物増強剤が、前記植物増強剤に付着した前記農薬を含む顆粒状組合せ物を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記吸水性材料が、セルロースもしくはポリマーである、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記の吸水性材料が、アクリレートポリマーである、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記農薬が、75%の設定農薬濃度で、前記包装中の全内容物の質量に対して約0.50質量%〜約0.90質量%で存在し、前記の植物増強剤が、前記包装中の全内容物の質量に対して約70質量%〜約85質量%で存在し、かつ前記吸水性材料が、前記包装中の全内容物の質量に対して約15質量%〜約30質量%で存在する、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記農薬が、75%の設定農薬濃度で、前記包装中の全内容物の質量に対して約0.69質量%の量で存在し、前記の植物増強剤が、前記包装中の全内容物の質量に対して約78.9質量%の量で存在し、かつ前記吸水性材料が、前記包装中の全内容物の質量に対して約19.7質量%の量で存在する、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記包装が、分解性である、請求項13に記載の物品。
【請求項16】
植物を穴中に入れることと、少なくとも1種の植物増強剤、少なくとも1種の農薬及び/又は少なくとも1種の吸水性材料を含む少なくとも1つの包装品を前記穴中に入れることと、前記植物に撒水することとを含む植物の処理方法であって、前記の植物増強剤、農薬及び/又は吸水性材料が、前記の穴全体にわたって分散される前記処理方法。
【請求項17】
前記農薬が、クロロニコチニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記農薬が、イミダクロプリドである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記の植物増強剤が、窒素、カリウム及びリンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記吸水性材料が、セルロースもしくはポリマーである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記の吸水性材料が、アクリレートポリマーである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記包装が、分解性である、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
新たに植えられた植物における移植ショックを減らす、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2011−519815(P2011−519815A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508587(P2011−508587)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/042775
【国際公開番号】WO2009/137434
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(507124988)バイエル クロップサイエンス エルピー (5)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE LP
【Fターム(参考)】