説明

肥料組成物および方法

部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる有機物の農学的に許容される複合混合物を含む第1の成分と接触した粒状形態物を含む組成物であって、前記第1の成分が前記粒状形態物の少なくとも一部に撒布されるか、または前記粒状形態物と混合されているかもしくは混ぜられている、組成物。植物の健康を改善する方法であって、植え付けられた種子または植物の場所を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させるステップを含み、前記接触させるステップでは、前記第1の成分が、前記粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または前記粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第1の成分と接触した粒状形態物、およびその制御放出製剤、ならびにそれを使用して植物全体の健康を改善し、病気または有害生物に対する植物の感受性を低減させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥料添加物として、有機化合物の様々な混合物が当技術分野で提案されている。具体的には、土壌から植物への微量栄養素、より詳しくは、陽イオン栄養素の移動を補助するために、フミン酸組成物、Bio−Liquid複合体(商標)が、Bio Ag Technologies International(1999)www.phelpstek.com/portfolio/humic_acid.pdfによって記載されている。
【0003】
American Agritech製のTriFlex(商標)Bloom Formula栄養組成物は、「リン酸、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム[および]ケイ酸ナトリウム」を含有すると記載されている。American Agritech製のTriFlex(商標)Grow Formula2−4−1栄養組成物は、「硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カリウム[および]ケイ酸ナトリウム」を含有すると記載されている。両組成物とも、「選択されたビタミン、植物組織培養成分、必須アミノ酸、海藻、フミン酸、フルボ酸および炭水化物が強化されている」といわれている。www.horticulturesource.com/product_info.php/products_id/82を参照のこと。これらの製品は、主に、果実および花卉作物の「土壌を用いないハイドロガーデニング」(すなわち、水耕栽培)のために処方されているといわれているが、コンテナ土壌ガーデンにおける従来の化学肥料より優れるともいわれている。水耕または土壌成長培地への適用とは対照的に、葉面適用のためのその適合性またはそれ以外のことは記載されていない。www.americanagritech.com/product/product_detail.asp?ID= I &pro _id_pk=4−0参照のこと。
【0004】
Actagro,LLCによって所有されている商標Monarch(商標)は、天然有機物質に由来する3%の非植物肥料(non plant food)有機組成物を含む2−20−15の基本的な植物栄養素を含有する肥料組成物である。
【発明の概要】
【0005】
粒状形態物の少なくとも一部に撒布されたか、または粒状形態物と混合されたもしくは混ぜられた第1の成分と接触した粒状形態物を含む組成物がここに提供される。任意選択的に、駆除剤、微量栄養素、多量栄養素、成長調節物質またはそれらの混合物の農学的に許容される供給源から選択される第2の成分も、粒状形態物の少なくとも一部に撒布されるか、または粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられる。
【0006】
さらに、植え付けられた種子または植物の場所を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させるステップを含む、植物の健康を改善する方法が提供され、この接触させるステップでは、第1の成分は、粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられる。
【0007】
さらに、植え付けられた種子または植物の場所を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させるステップであって、この接触させるステップでは、第1の成分が、粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられる、ステップと、植え付けられた種子または植物の発芽、出芽、根の発達および栄養取り込みのうち1つまたは複数を、粒状形態物および第1の成分と接触されていない植え付けられた種子または植物の場所と比較して、増強するステップとを含む方法が提供される。
【0008】
さらに、第1の成分と、駆除剤と、任意選択的に植物栄養素とを含む組成物を、種子、植物の葉表面または植物の場所に適用することを含む、植物の成長または栄養摂取を改善する方法が提供される。
【0009】
さらに、植物または種子に栄養素を遅延放出する方法が提供される。この方法は、植物の場所もしくは葉表面または種子を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させることを含み、この接触させるステップでは、第1の成分は、粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられ、この接触させるステップの後、粒状形態物からの第1の成分の有効量の放出は、所定の時間遅延される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】対照に対する、本明細書に開示および記載される第1の成分と粒状の肥料組成物とに接触した植物の、出芽後20、34および54日(DAE)における植物重量の実験データを表す図である。
【図2】対照に対する、本明細書に開示および記載される第1の成分と粒状の肥料組成物とに接触した植物の、出芽後20、34および54日(DAE)における、最初の処理後所定の時間にわたる植物重量の実験データを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
粒状形態物と、組成が明らかな天然有機物質を含む第1の成分とを含む、植物の成長、栄養または健康のための物質、組成物および方法が、一部において、本明細書に開示および記載される。任意選択的に、少なくとも1種の駆除剤(個別にまたは集合的に、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、植物栄養素、またはそれらの組合せ)を含む第2の成分が含まれる。本明細書に開示および記載される組成物および方法は、意図される適用方法、適用される植物種、植物の成長条件およびその他の要因に応じて変動する。
【0012】
本明細書に開示および記載される組成物は、通常、顆粒または微粒子の形態をとり、一般に、この形態は、植え付けられた種子または植物の場所に対して農学的に許容される。粒状形態物は、経時的に、および/または農学的な条件下で、分解または遊離して、場所に少なくとも第1の成分を提供する種類のものであり得る。粒状形態物自体は、種子または植物への栄養の供給源であり得る。
【0013】
本明細書において物質または組成物に適用される用語「農学的に許容される」とは、植物またはその環境にとって、許容されないほど有害ではないか、または毒性でないこと、また、本明細書に記載されるように使用される場合には、物質に曝露され得る使用者または他者にとって危険ではないことを意味する。
【0014】
語句「有効量」とは、農学的に非毒性であるが、所望の効果を提供するには十分な、活性薬剤または活性成分(a.i.)の量を指す。例えば、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分の有効量は、植え付けられた種子または植物の発芽、出芽、根の発達および栄養取り込みを、測定可能な程度改善するのに十分な量である。有効量は、種子、場所、気候、季節、適用様式、(場所、植物もしくは種子の)既存の性質、およびそれらと関連し得る任意のこれまでの処理、または、場所、植物もしくは種子の、同時に起こり得る関連するかもしくは関連しないあらゆる処理または条件に従って変動する。有効量は、当業者によって、または本出願において記載される例示的なガイドラインに従うことによって、過度の実験を行うことなく決定することができる。
【0015】
本明細書において「葉表面」は、通常、葉の表面であるが、葉柄、托葉、茎、苞葉、花芽などを含む植物のその他の緑色の部分は、第1の成分または第2の成分の吸収を可能にし得る表面を有しており、本発明の目的においては、「葉表面」は、このような緑色の部分の表面を含むと理解される。
【0016】
本明細書において使用される用語「粒状の」および語句「粒状形態物」とは、顆粒、微粒子、ビーズおよびそれらの組合せを指す。例えば、粒状形態物とは、農業環境においてよく使用される分配装置に適したものである。粒状形態物は、農業環境において、または農業装置において使用するのに適した任意の形または大きさのものであり得る。
【0017】
本明細書において使用される「場所」とは、葉表面を含み、また、植物に近接した区域、または複数の種子が植え付けられているか、もしくは植え付けられようとしている区域も含む。例えば、作物の場所は、土壌を含み、土壌中に植え付けられるか、または土壌中で成長している作物の部分をさらに含み得る。
【0018】
本明細書において使用される用語「種子」とは、任意の特定の種類の種子に限定されず、単一の植物種に由来する種子、複数の植物種に由来する種子の混合物、植物種内の様々な系統に由来する種子ブレンドまたは遺伝子改変種子(GM)を指し得る。開示および記載される組成物および方法を利用して、裸子植物種子、双子葉被子植物種子および単子葉被子植物種子を処理することができる。
【0019】
<第1の成分>
本明細書に開示および記載される組成物の第1の成分は、天然有機物が豊富な供給源から、水溶液中に単離および抽出された有機物質の混合物を含む。天然有機物は、主として、土壌環境において経時的に様々な程度に改変されている植物物質に由来する。植物物質のなかには、最近、環境中に堆積されたものもある。天然有機物の少なくとも一部は、腐植化の部分的プロセスを通過して、部分的に腐植化された天然有機物となっている。腐植化は、天然有機物の、微生物による、真菌による、および/もしくは環境(熱、圧力、日光、電光、炎など)による分解ならびに/または酸化を含む。最も好ましくは、第1の成分は、大きく腐植化を受けなかった天然有機物(部分的に腐植化された天然有機物)を含有する。一態様では、天然有機物は、通常、約5ppm〜約500ppmの間の溶存有機物(DOM)を含有するかまたはどこかに提供する環境から得られる。他の態様では、天然有機物は、通常、約500ppm〜約3000ppm、またはそれ以上の間のDOMを含有または提供する環境から得られる。
【0020】
天然有機物は極めて複雑であり、一般に、供給源およびその供給源の周囲で多く見られる環境条件に応じて、数千もの化合物が存在する。フルボ酸(CAS番号479−66−3)およびフミン酸(CAS番号1415−93−6)などの腐植物質が、天然有機物に由来する有機複合体の例であるが、以下に詳述するように、第1の成分は、フルボ酸およびフミン酸とは化学的および生物学的に異なる独特なものである。
【0021】
第1の成分は溶存有機物を含有し、この有機物は、上記のように腐植化のプロセス、例えば、微生物の、殺真菌性の、および/または環境的な(熱、圧力、日光、電光、炎など)分解プロセスの際に形成される。その他の天然または合成天然有機物分解プロセスが関与し得るか、または使用され得る。一態様では、第1の成分は、大きく腐植化を受けなかった天然有機物(例えば、部分的に腐植化された天然有機物)を主に含有する。腐植化の量は、既知の方法を使用して、例えば、13C NMRによって決定し、特性決定することができる。
【0022】
一態様では、第1の成分は、その元の供給源に対して約10倍〜約5000倍の間の溶存有機物(DOM)濃度レベルを有する第1の成分を提供するように、その供給源から天然有機物を取り出すこと、任意選択的に加工することおよび/または濃縮することによって得られる。別の態様では、溶存有機物(DOM)濃度レベルの第1の成分の濃度は、約7500倍〜約50,000倍までの間であり得る。第1の成分を、DOMの濃度が約10ppm〜約700,000ppmの間であるように調整してもよい。好ましくは、第1の成分を、DOMの濃度が約1000ppm〜約500,000ppmの間であるように調整してもよい。第1の成分を、水溶液中、500ppmの増分で任意のppm値(例えば、10,500ppm、11,000ppm、11,500ppm、12,000ppmなど)を含む、1000ppm〜50,000ppmの間の任意のppm値によって表されるDOM値に調整してもよい。その他のDOM濃度を使用してもよく、例えば、約75,000ppm〜約750,000ppmの間の極めて濃縮された組成物を調製してもよい。例えば、元の供給源の約30,000倍の濃縮物は、約550,000ppmのDOMを含有し得る。特定の態様では、第1の成分は、およそ約91%〜約99%が水であり、残りの有機物質は、主に、微量のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および遷移金属塩を含むDOMである。さらにその他の態様では、第1の成分のDOMは、水溶液で再構成するのに適した形態で乾燥または凍結乾燥されている。
【0023】
第1の成分は、物質の複合混合物であり、通常、単一の構造式では事足りない、化合物の不均一な混合物である。以下にさらに論じられるように、第1の成分の元素的および分光学的な特性決定によって、第1の成分は、フミン酸およびフルボ酸などの、ほとんどのその他の腐植質をベースとする有機複合体と区別される。一貫性を提供し、天然由来物質の通常の変動を補うために、第1の成分の個々のバッチのブレンドを実施してもよい。
【0024】
詳細な化学的および生物学的な検査によって、第1の成分の物質の複合混合物は、フミン酸およびフルボ酸と比較して、植物に対するその生物学的効果およびその化学組成の両方において独特な組成物であることが示された。
【0025】
<第1の成分の特性決定および方法>
組成物の第1の成分を構成する有機化合物は、様々な方法(例えば、分子量、種々の官能基間の炭素の分布、相対元素組成、アミノ酸含量、炭水化物含量など)により特性決定することができる。一態様では、第1の成分を、腐植質ベースの物質の既知の標準に対して特性決定した。
【0026】
種々の官能基間の炭素分布の特性決定のために適した技術としては、制限するものではないが、13C−NMR、元素分析、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR−MS)およびフーリエ変換赤外分光法(FTIR)が挙げられる。第1の成分および腐植物質標準の化学特性決定を、Huffman Laboratories, Inc.およびワシントン大学(The University of Washington)によって実施される、エレクトロスプレーイオン化フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(ESI−FTICR−MS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)およびICP−AESを使用する金属の元素分析を使用して実施した。
【0027】
第1の成分の元素的、分子量的および分光学的な特徴は、主に、リグニンおよびタンニン化合物(ならびに縮合型タンニンと非縮合型タンニンの混合物)、縮合芳香族化合物、ならびに微量の脂質および無機物からなる有機複合体と一致する。225〜700ダルトンの範囲の分子量を有する、数千もの化合物が存在し、化合物の大部分は、1分子あたり約10〜約39個の炭素原子を有する。第1の成分は、一般に、炭素、酸素、および水素、ならびに少量の窒素および硫黄から構成される。第1の成分はまた、カリウムおよび鉄も5%を上回るレベルで含有する。
【0028】
通常、第1の成分中に存在する溶解固体の元素組成を、表Aに示す。有機化合物が無機元素から分離されている場合には、元素の内訳は、C 55%、H 4%、O 38%、N 1.8%およびS 2.2%である。
【0029】
【表1】

【0030】
表A.10の異なるロットから得た平均値に基づいた、第1の成分中の溶解固体の平均元素組成。
【0031】
分析によって、第1の成分中に存在する有機化合物のクラスの中でも、概して、リグニンおよびタンニン(縮合型および非縮合型の混合物)、縮合芳香族化合物、未同定物質ならびに一部の脂質が存在することが明らかにされる。これらのクラスの化合物の各々は、より狭いMw範囲および炭素数/分子によって、さらに特性決定される。第1の成分の代表的なサンプリングの様々な化合物クラスの各々の数およびパーセンテージの内訳、そのMWおよび炭素原子/分子(炭素範囲)を、表B1に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
組成物の3種の異なる製造バッチの平均に基づく、第2の代表的なサンプリングの様々な化合物クラスの各々の数およびパーセンテージの内訳、そのMWおよび炭素原子/分子(炭素範囲)を、表B2に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
表Cは上記のクラスの定義において使用される酸素対炭素比(O/C)および水素対炭素比(H/C)を要約する。一態様では、CP組成物は、質量分析による測定で、溶存有機物のO/C比が、約0.4を超えることを特徴とする。一態様では、CP組成物は、質量分析による測定で、溶存有機物のH/C比が、約0.8を超えることを特徴とする。別の態様では、CP組成物は、質量分析による測定で、溶存有機物のH/C比が、約0.85を超えることを特徴とする。
【0036】
【表4】

【0037】
<腐植物質標準との比較>
腐植物質と第1の成分のサンプルとを対比して、比較による元素的および構造的な特性決定を実施した。国際腐植物質学会から得た3種の腐植物質標準、すなわち、レオナルダイト(Leonardite)フミン酸(LHA)、パホキーピート(Pahokee Peat)フミン酸(PPHA)、およびスワニーリバー(Suwannee River)フルボ酸II(SRFA)を使用した。各腐植物質標準および第1の成分の各サンプルを、FTIRおよびESI−FTICR−MSによって分析した。ESI−FTICR−MS分析のために、各腐植物質標準の一部をNHOH/水に溶解した。陽イオン交換樹脂(AG MP−50、Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)を用いる分析のために、第1の成分の3種のサンプル(1番、2番および3番)を調製した。腐植物質標準および第1の成分の各サンプルの比較を、表Dに示す。
【0038】
【表5】

【0039】
表Dは、腐植物質標準と第1の成分を代表するサンプルとの間には大きな相違があることを示す。例えば、O/C比は、腐植物質のすべてにおいて0.4未満であるが、第1の成分サンプルについては0.5を上回る。サンプルのDBEはまた、フミン酸標準のものよりも大幅に低く、平均MWはより大きい。
【0040】
質量スペクトル分析に基づくと、第1の成分サンプル中には、腐植物質標準においては実質的に存在しないか、大幅に低減しているいくつかの化合物が存在する。特に、第1の成分の少なくとも1種の成分は、1種または複数のタンニン化合物と対応し得る。比較すると、腐植物質標準中には、タンニン化合物の割合%が少量で存在する。例えば、表Eに示されるように、フルボ酸標準およびフミン酸標準において、両標準は、第1の成分サンプルにおいて見られるタンニンの割合%の少なくとも3分の1〜4分の1である。
【0041】
【表6】

【0042】
IHSS標準と第1の成分サンプルのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを比較すると、主に、1600〜1800cm−1の領域において類似性がある。両サンプルセットにおいて、本発明者らは、カルボキシル官能基に由来する1700cm−1辺りでのC=Oストレッチによる極めて強いピーク、およびアルケンまたは芳香族化合物に由来するC=C結合と一致する1590〜1630領域におけるピークを見出す。しかし、700〜1450cm−1の領域における大幅な相違が観察される。すべてのスペクトルにおいて1160〜1210でのピークは存在し、これは、アルコール、エーテル、エステルおよび酸のC−O結合に起因する。最大の相違は、第1の成分サンプル中の870cm−1でのピークであり、これは、IHSS標準中には存在しない。このピークは、アルケンおよび芳香族化合物のC−H結合によるものであり得る。
【0043】
特性決定データに基づいて、第1の成分は、約300〜約18,000ダルトンの分子量分布を有する比較的小さい分子または超分子凝集物を含有し得る。有機分子の混合物が分画される有機物中に含まれるものとしては、様々な腐植物質、有機酸および微生物の浸出物がある。この混合物は、脂肪族および芳香族の特徴の両方を有することが示されている。例示的に、炭素分布は、カルボニルおよびカルボキシル基において約35%、芳香族基において約30%、脂肪族基において約18%、アセタール基において約7%、また、その他のヘテロ脂肪族基において約12%を示す。
【0044】
一部の実施形態では、第1の成分中の化合物の混合物は、約300〜約30,000ダルトン、例えば、約300〜約25,000ダルトン、約300〜約20,000ダルトン、または約300〜約18,000ダルトンの分子量分布を有する有機分子または超分子凝集物を含む。
【0045】
種々の官能基間の炭素分布を特性決定するために使用され得る、適した技術として、制限するものではないが、13C−NMR、元素分析、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FTICR−MS)およびフーリエ変換赤外分光法(FTIR)が挙げられる。
【0046】
一態様では、カルボキシおよびカルボニル基は、第1の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約25%〜約40%、例えば、約30%〜約37%を、例示的には、約35%をともに占める。
【0047】
一実施形態では、芳香族基は、第1の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約20%〜約45%、例えば、約25%〜約40%または約27%〜約35%、例示的には、約30%を占める。
【0048】
一実施形態では、脂肪族基は、第1の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約10%〜約30%、例えば、約13%〜約26%または約15%〜約22%、例示的には、約18%を占める。
【0049】
一実施形態では、アセタールおよびその他のヘテロ脂肪族基は、第1の成分の有機化合物の混合物中の炭素原子の約10%〜約30%、例えば、約13%〜約26%または約15%〜約22%、例示的には、約19%を占める。
【0050】
一態様では、芳香族対脂肪族炭素の比は、第1の成分では、約2:3〜約4:1、例えば、約1:1〜約3:1または約3:2〜約2:1である。
【0051】
特定の例示的態様では、第1の成分の有機化合物の混合物中の炭素分布は、以下のとおりである。カルボキシおよびカルボニル基、約35%;芳香族基、約30%;脂肪族基、約18%;アセタール基、約7%;およびその他のヘテロ脂肪族基、約12%。
【0052】
第1の成分の有機化合物の元素組成は、一連の実施形態においては、独立に、以下のとおりである。重量で、C、約28%〜約55%、例示的に、約38%;H、約3%〜約5%、例示的に、約4%;O、約30%〜約50%、例示的に、約40%;N、約0.2%〜約3%、例示的に、約1.5%;S、約0.2%〜約4%、例示的に、約2%。
【0053】
第1の成分の有機化合物の元素組成は、別の一連の実施形態では、独立に、以下のとおりである。重量で、C、約45%〜約55%、例示的に、約50%;H、約3%〜約5%、例示的に、約4%;O、約40%〜約50%、例示的に、約45%;N、約0.2%〜約1%、例示的に、約0.5%;S、約0.2%〜約0.7%、例示的に、約0.4%。
【0054】
特定の例示的態様では、元素分布は、重量で、C、約38%;H、約4%;O、約40%;N、約1.5%;およびS、約2%である。第1の成分中の差引残は、主に無機イオン、主としてカリウムおよび鉄からなる。
【0055】
別の特定の例示的態様では、元素分布は、重量で、第1の成分中、C、約50%;H、約4%;O、約45%;N、約0.5%;およびS、約0.4%である。
【0056】
様々な態様において、第1の成分中に存在し得る有機化合物のクラスの中には、アミノ酸、炭水化物(単糖類、二糖類および多糖類)、糖アルコール、カルボニル化合物、ポリアミン、脂質およびそれらの混合物がある。これらの特定の化合物は、通常、微量、例えば、化合物の総量%の5%未満で存在する。
【0057】
存在し得るアミノ酸の例として、制限するものではないが、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシンおよびバリンが挙げられる。
【0058】
存在し得る単糖および二糖の糖の例として、制限するものではないが、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、リボースおよびキシロースが挙げられる。
【0059】
上記の化学的、元素的および構造的な特性決定に基づいて、第1の成分は、フミン酸およびフルボ酸またはその組合せとは化学的および生物学的に異なる独特なものである。さらに、植物の健康、乾燥および塩分ストレス抵抗性の改善に関する、第1の成分の遺伝子調節の性質および程度ならびに全体的な効果の結果として、概して、第1の成分は、このような活性および特性が質および量において一般に不足している既知のフミン酸および/またはフルボ酸組成物および処理に対して独特であると考えられる。第1の成分のその他の有益な植物機能特性は、存在し得るか、あるいは第1の成分から得られる処理方法および/または遺伝子調節の結果生じ得る。
【0060】
理論に縛られるものではないが、少なくとも錯イオンに対する第1の成分の能力は、植物中でのイオンの取り込みおよび/または転流を促進することによって植物の栄養摂取を補助すると考えられる。イオンの取り込みおよび/または転流を促進することは、植物の成長点および結実点への木部または師部を経由するイオンの選択的移動によって起こり得る。あるいは、または上記と組み合わせて、イオンの取り込みおよび/または転流を促進することは、植物または種子のイオン輸送またはその他の生物学的機能と関連している1種または複数の遺伝子の調節によって起こり得る。イオンの取り込みおよび/または転流を促進することは、植える前または植えた後の種子の種皮による吸収および輸送によって起こり得る。無機イオンは、正電荷を持つカチオンまたは負電荷を持つアニオンであり得る。無機カチオンの例として、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Fe2+およびFe3+が挙げられる。無機アニオンの例として、ホウ酸塩およびケイ酸塩が挙げられる。このような可逆的結合または錯体形成は、キレート化の形態をとり得るか、またはイオン性もしくは非イオン性相互作用によるものであり得る。植物の栄養摂取を補助するための第1の成分のその他の能力が存在し得るか、またはそれを使用することができる。
【0061】
有機化合物の適した混合物は、Floratine Biosciences,Inc.(FBS)のCarbon Boost−S土壌溶液およびKAFE(商標)−F葉溶液として市販されている製品中に見ることができる。これらの製品に関する情報は、www.fbsciences.comで入手できる。したがって、本明細書に開示および記載される態様の例示的な組成物は、適した容積の水に、第1の成分としてCarbon Boost(商標)−SまたはKAFE(商標)−F葉溶液、第2の成分として少なくとも1種の駆除剤を加えることによって調製することができる。
【0062】
組成物中に存在するべき第1の成分の量は、使用される特定の有機混合物に応じて変わる。この量は、例えば、組成物における混合物の溶解度の限界を超えることによって、またはその他の必須成分を溶液から出してしまうことによって、物理的に不安定な組成物をもたらすほど多量であるべきではない。他方、この量は、目的の植物種に適用される場合に、栄養の増強、成長、ストレス抵抗性の増強または駆除剤/疾患からの保護の増強を提供できないほど少量であるべきではない。どのような特定の有機混合物についても、当業者ならば、日常的な製剤安定性試験および生物学的有効性試験によって、任意の特定の使用のために組成物中の有機混合物の量を最適化することができる。
【0063】
特に、例えば、Carbon Boost(商標)−SおよびKAFE(商標)−Fの商標名のもとで販売される市販の製剤において見られるように、有機化合物の混合物が使用される場合、栄養組成物において必要とされる第1の成分の量は、著しく少ないことが見出される場合が多い。例えば、ある状況では、わずか1重量部(水を除く)のそのような混合物が、約1000重量部までの、またはそれを超える第2の成分の、植物の沈着部位への葉面送達を補助し得る。その他の状況では、日常的な試験に基づいて、より多量の有機混合物を加えることが有益であることが見出される場合もある。
【0064】
<第2の成分>
本明細書において使用される第2の成分とは、少なくとも1種の駆除剤を指し、本明細書において、用語「駆除剤」は、少なくとも1種の除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤またはそれらの組合せを指す。一態様では、第2の成分は、少なくとも1種の殺虫剤および/または少なくとも1種の殺真菌剤である。さらに別の態様では、第2の成分は、少なくとも1種の殺菌剤および/または少なくとも1種の抗ウイルス剤である。
【0065】
除草剤としては、例えば、雑草の防除または改善に有効である任意の除草剤、例えば、イミダゾリノン、スルホニル尿素、グリホセート、グルホシネート、L−ホスフィノトリシン、トリアジン、ベンゾニトリルおよびそれらの組合せが挙げられる。除草剤としてはまた、ジカンバ(3,6−ジクロロ−o−アニス酸または3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸)、Banvel(商標)(BASF)、Clarity(商標)(BASF)およびVanquish(商標)(Syngenta)などの除草剤中の有効成分も挙げられる。
【0066】
殺虫剤としては、例えば、昆虫の防除または改善に有効である任意の殺虫剤が挙げられ、これには殺卵剤および殺幼虫剤が含まれる。例示的な殺虫剤としては、有機塩素、有機ホスフェート、カルバメート、ネオニコチノイド、フェニルピラゾール、およびピレスロイド、例えば、テフルトリン、テルブホス、シペルメトリン、チオジカルブ、リンデン、フラチオカルブ、アセフェート、ブトカルボキシム、カルボフラン、NTN、エンドスルファン、ジエチオン、アルドキシカルブ、メチオカルブ、オフタノール、(イソフェンホス)、クロルピリホス、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、オキサミル、パラチオン、カプホス(capfos)、ジメトエート、ホノホス、クロルフェンビンホス、カルタップ、フェンチオン、フェニトロチオン、HCH、デルタメトリン、マラチオン、ジスルホトンおよびそれらの組合せが挙げられる。一態様では、第2の成分は、殺虫剤的に有効量の、少なくとも1種のネオニコチノイドまたはフェニルピラゾール殺虫剤およびそれらの組合せを含む。
【0067】
殺真菌剤としては、例えば、真菌および卵菌の防除に有効である任意の殺真菌剤、例えば、子嚢菌類(フサリウム(Fusarium)属種、チエラビオプシス(Thielaviopsis)属種、ベルチシリウム(Verticillium)属種、イネいもち病菌(Magnaporthe grisea))、担子菌類(リゾクトニア(Rhizoctonia)属種、ファコスポラ・パチリージ・シドウ(Phakospora pachyrhizi Sydow)、プクシニア(Puccinia)属種)、および卵菌類(フィトフトラ(Phytophthora)、フィチウム(Pythium)属種、フィトフトラ属種)に属する植物病原性真菌の防除または改善に有効である殺真菌剤が挙げられる。例示的な殺真菌剤としては、ベノミル(ベンレートとしても知られる)、ビテルタノール、カプタン、カルベンダジム、カルボキシン(カルバチインとしても知られる)、カプロパミド(Capropamid)、シモキサニル、シプロジニル、ジフェノコナゾール、エチリモール、フェンピクロニル、フェンプロピモルフ、フルジオキソニル、フルキンコナゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ホセチル−アルミニウム、フベリダゾール、グアザチン、ヒメキサノール(Hymexanol)、カスガマイシン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン−トリアセテート、イプコナゾール、イプロジオン、マンコゼブ、マンネブ、メプロニル、メタラキシル、メタラキシル−M(メフェノキサム)、メトコナゾール、メチラム、MON65500(シルチオファム−ISO提唱)、ミクロブタニル、ヌアリモール、オキサジキシル、オキシン−銅、オキソリン酸、ペルフラゾエート(Perfurazoate)、ペンシクロン、プロクロラズ、プロパモカルブ塩酸塩、ピロキロン、キントゼン(PCNBとしても知られる)、シルチオファム−MON65500参照、テブコナゾール、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオフェネート−メチル、チラム、トルクロホス−メチル、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリフルミゾール、トリチコナゾールおよびそれらの組合せが挙げられる。一態様では、第2の成分は、殺真菌剤的に有効量の、少なくとも1種のフェニルアミド(アシルアラニン型)と、少なくとも1種のフェニルピロールと、少なくとも1種のトリアゾールとを含む、少なくとも2種の殺真菌剤を含む。別の態様では、第2の成分は、殺真菌剤的に有効量の、少なくとも1種のフェニルアミド(アシルアラニン型)と、少なくとも1種のフェニルピロールと、少なくとも1種のトリアゾールとを含む、少なくとも3種の殺真菌剤を含む。
【0068】
殺菌剤としては、例えば、アグロバクテリウム、バークホルデリア、プロテオバクテリア(例えば、ザントモナス属種およびシュードモナス属種)、フィトプラズマ、およびスピロプラズマの防除または改善に有効である任意の殺菌剤が挙げられる。
【0069】
抗ウイルス剤としては、例えば、無症候性ウイルス、線虫原虫および寄生植物の防除または改善に有効である薬剤が挙げられる。
【0070】
一態様では、第2の成分は、殺虫剤的に有効量の、少なくとも1種のネオニコチノイドまたはフェニルピラゾール殺虫剤と、殺真菌剤的に有効量の、フェニルアミド(アシルアラニン型)、フェニルピロール、またはトリアゾールから選択される少なくとも1種の殺真菌剤との組合せを含む。特定の一態様では、第2の成分は、殺虫剤的に有効量の、少なくとも1種のネオニコチノイドまたはフェニルピラゾール殺虫剤と、殺真菌剤的に有効量の、少なくとも1種のフェニルアミド(アシルアラニン型)、少なくとも1種のフェニルピロール、および少なくとも1種のトリアゾールを含む少なくとも3種の殺真菌剤との組合せを含む。
【0071】
第2の成分はまた、1種または複数の成長調節物質、例えば、サイトカイニン、オーキシン、ジベレリンおよびそれらの組合せを含み得る。
【0072】
第2の成分はまた、1種または複数の植物多量栄養素または植物微量栄養素を含み得る。用語「多量栄養素」とは、微量栄養素に対して相対的に多量で植物によって利用される植物成長のための元素を指すことができる。用語「微量栄養素」とは、多量栄養素に対して少量で使用される、成長の間に植物によって利用される元素を指す。例えば、植物多量栄養素として、窒素、カリウム、リン、カルシウム、マグネシウムおよび硫黄が挙げられる。第2の成分は、個々の多量栄養素の様々な組合せおよび相対量を含み得る。例えば、植物微量栄養素として、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、モリブデンおよびコバルトが挙げられる。多数の化合物および物質が、第2の成分として微量栄養素を提供するために利用可能である。微量栄養素の様々な組合せおよび相対量を、第2の成分において利用できる。
【0073】
通常、第1の成分と第2の成分との適した比は、約1:2000〜約1:5、例えば、約1:1000〜約1:10または約1:500〜約1:20、例示的には、約1:100である。有機化合物の供給源としてCarbon Boost(商標)−SまたはKAFE(商標)−F溶液を使用する場合には、第2の成分の濃縮組成物中に含まれるのに適したこのような溶液の量としては、本明細書において、約5〜約25重量部、例えば、約8〜約18重量部、例示的には、約12重量部の濃縮組成物中、約1重量部のCarbon Boost(商標)−SまたはKAFE(商標)−F溶液である。
【0074】
任意選択的に、上記のような第1および第2の成分と一緒に、さらなる成分が、本発明の組成物中に存在していてもよい。例えば、組成物は、第1および第2の成分として使用されるもの以外の植物栄養素の少なくとも1種の農学的に許容される供給源を、第3の成分としてさらに含み得る。これらの栄養素のさらなる供給源は、必要に応じて存在し得る。その供給源が任意選択的に含まれ得る、その他の植物栄養素の例としては、カリウム(K)および硫黄(S)、リン(P)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、銅(Cu)およびホウ素(B)が挙げられる。
【0075】
本明細書に開示および記載される組成物中には、(例えば、葉表面の湿潤を増強するための)界面活性剤、散布ドリフト制御剤、消泡剤、粘度調整剤、不凍剤、着色剤、カビ阻害剤、吸収剤、浸透剤などの従来の製剤アジュバントを含むその他の成分が、任意選択的に存在し得る。これらのいずれも、組成物の必須成分を不安定化しない限り、必要に応じて添加することができる。
【0076】
<第1の成分を用いて処理された粒状形態物>
一態様では、粒状形態物を、第1の成分と接触させて、製造組成物を提供する。一態様では、組成物は、第1の成分の制御放出または遅延放出形態を提供する。適した粒状形態物は、粘土であり得、例えば、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよび含水アルミノケイ酸塩鉱物が挙げられる。モンモリロナイト鉱物は、非膨潤性ベントナイトクラスの粘土(例えば、Ripley,MS and Mounds、IL製)に由来する。モンモリロナイトは、低いかさ密度および高い吸収性を有し、これによって第1の成分の水溶液の高い液体保持能が可能となる。フラー土としても知られるアタパルジャイト鉱物も、非膨潤性ベントナイトクラスに由来し、Ochlocknee、GAから得られる。アタパルジャイトの低いかさ密度および高い吸収性によって、第1の成分の水溶液の高い液体保持能が可能となる。含水アルミノケイ酸塩も、第1の成分の水溶液の高い液体保持能を可能にする低いかさ密度および高い吸収性を有する。本明細書において開示される第1の成分とともに使用するのに適した粘土の粒状形態物は、Oil−Dri Corp.(Alpharetta、Georgia)から入手可能である。粘土の顆粒のミクロ細孔構造は、農業において使用するための第1の成分の吸収を最適化し、および/または放出を最適化し、および/または環境安定性を最適化するように調整される。
【0077】
特定の粘土顆粒の相対表面pHは、酸性または塩基性、例えば、約3〜約11の間であり得る。粘土顆粒の相対表面pHは、種子または植物の場所に適用した後に、第1の成分の放出を制御し、および/または長期の生物学的利用能を改善し、および/または有効量の第1の成分を遅延放出するように選択することができる。例えば、比較的酸性の表面化学特性を有する粘土顆粒は、通常、比較的塩基性の表面化学特性を有する粘土顆粒よりも遅い分解および放出特性を有する。比較的酸性の表面pHの粘土の粒状形態物への第1の成分の適用は、第1の成分の直接的な土壌適用と比較して、有効量の第1の成分の遅延放出を提供しながら、有効性がほとんどまたは全く喪失しない第1の成分の長期の生物学的利用能を提供する。
【0078】
特定の態様では、第1の成分とともに、約4〜約6のpHを有する持続放出顆粒を使用して、植え付けられた種子および/もしくは植物の健康、成長、もしくは有害生物抵抗性を改善し、ならびに/または有効量の第1の成分を遅延放出させる。他の態様では、約9〜約10のpHを有する迅速放出粘土顆粒および約4〜約6のpHを有する持続放出顆粒の、第1の成分との組合せを使用して、植え付けられた種子および/または植物の健康、成長、または有害生物抵抗性を改善する。酸性/塩基性の粒状形態物のこのような組合せによって、実質的に即時の有効量の第1の成分の放出と、その後の所定の時間での有効量の第1の成分の遅延放出を提供する。
【0079】
一態様では、第1の成分を、粘土の顆粒上に噴霧し、乾燥させてもよい。別の態様では、粘土の顆粒を第1の成分とともに混転してもよく、または流動床を使用してもよい。次いで、処理された粘土の粒状形態物を、植え付けられた種子および/または植物の場所に適用して、その健康、成長、または有害生物抵抗性を改善することができる。
【0080】
別の態様では、粘土の粒状形態物を、植え付けられた種子または植物の場所に適用してもよく、第1の成分を、実質的に同一の場所に適用することができるが、粘土の顆粒の少なくとも一部は第1の成分と接触させられて、土壌および/または葉への実質的に即時の有効量の第1の成分の放出と、その後の所定の時間での場所への有効量の第1の成分の遅延放出を提供する。
【0081】
一態様では、粘土の粒状形態物を、第2の成分と組み合わされた第1の成分と接触させるか、または、第1の成分に続いて第2の成分と接触させて、植え付けられた種子または植物の健康、成長、またはストレス抵抗性の改善のための処理を提供する。別の態様では、粘土の粒状形態物を、第1の成分もしくは少なくとも1種の第2の成分と順次接触させ、いずれかの成分の有効性を最大にするか、またはこれらの成分および/もしくは粘土の粒状形態物の相互作用を最小にしてもよい。
【0082】
一態様では、第1の成分、および任意選択的に第2の成分と接触した粘土の粒状形態物を、種子と実質的に同時に、例えば、種子が植え付けられるときに、場所に適用する。
【0083】
<第1の成分と尿素の粒状形態物>
一態様では、粒状形態物は、尿素を含む。粒状の尿素を、第1の成分と接触させて、農学的使用に適した製造組成物を提供する。一態様では、粒状形態物は、本明細書において尿素の粒状形態物としてまとめて後述される、硫黄コーティングされた尿素(SCU)またはポリマーコーティングされた尿素(PCUまたはESN)である。
【0084】
硫黄コーティングされた尿素(SCU)は、制御放出窒素肥料であり、通常、約25−0−0〜約38−0−0のNPK分析および約10〜30%の硫黄を提供する。SCUのものは、通常、窒素(尿素など)の迅速放出形態が、迅速な緑化および即時的な施肥のために提供され、持続放出形態が、長期持続性栄養物のために提供されるよう設計されている。
【0085】
SCU硫黄コーティングされた尿素の粒状形態物は、いくつかの方法で、通常、予熱した尿素顆粒を溶融硫黄および任意選択的にワックスとともに噴霧することによって調製することができる。硫黄コーティングの厚さは、積載、輸送、ブレンドおよび袋詰めにおける取り扱いを最適化するように、また、時期尚早な分解およびすべての窒素の一度での放出を低減するように制御することができる。SCU顆粒は、種々の粒状のサイズで市販されている。適したSCUとして、例えば、Nu−Gro Technologies SCU(登録商標)(Ontario、Canada)が挙げられる。
【0086】
一態様では、第1の成分を、SCU顆粒上に噴霧し、乾燥させてもよい。別の態様では、SCU顆粒を第1の成分とともに混転してもよく、または流動床を使用してもよい。次いで、処理されたSCU顆粒を、植え付けられた種子および/または植物の場所に適用して、その健康、成長、または有害生物抵抗性を改善することができる。別の態様では、SCUの粒状形態物を、植え付けられた種子または植物の場所に適用してもよく、第1の成分を、実質的に同一の場所に適用できるが、実質的に即時の有効量の第1の成分の土壌処理および/または葉面処理と、その後の所定の時間での場所への有効量の第1の成分の遅延放出を提供するために、SCUの粒状形態物の少なくとも一部は、第1の成分と接触させられる。
【0087】
硫黄で尿素をコーティングすることと、その後の第1の成分との接触とによって、植え付けられた種子または植物の健康、成長、またはストレス抵抗性の改善のための、第1の成分と組み合わせた窒素供給源および硫黄供給源の制御放出が提供される。通常、第1の成分と接触した硫黄コーティングされた尿素は、適用後、実質的に直ちに、環境条件に応じて、約8、9、10、11もしくは約12週間までの期間、またはそれを超える期間継続して、植え付けられた種子または植物の健康、成長またはストレス抵抗性の改善を提供し得る。第1の成分と組み合わせた、硫黄および窒素の持続した、制御された放出は、成長および病気抵抗性にとって不可欠であるその他の栄養素の取り込みの増強を提供する。第1の成分と接触したSCUを含む制御放出組成物は、適用の総数を低減し得、および/または植物損傷を防ぎ得る。
【0088】
一態様では、第1の成分を第2の成分(以下に記載される)と組み合わせ、この組合せをSCU顆粒と接触させて、植え付けられた種子または植物の健康、成長、またはストレス抵抗性の改善のための処理を提供する。別の態様では、SCU微粒子を、第1の成分もしくは少なくとも1種の第2の成分と順次接触させて、いずれかの成分の有効性を最大にするか、またはこれらの成分および/もしくはSCU微粒子の相互作用を最小にしてもよい。
【0089】
<第1の成分を用いて処理された、ポリマーコーティングされた尿素>
一態様では、第1の成分を、ポリマーコーティングされた尿素(PCUまたはESN)の顆粒と接触させて、肥料と組み合わせた第1の成分の制御放出形態を提供する。ポリマーコーティングされた尿素(PCUまたはESN)は、通常、硫黄を含まないSCUと同様のNPK分析を提供する制御放出窒素肥料である。PCUのものは、通常、窒素(尿素など)の迅速放出形態が、迅速な緑化および即時的な施肥のために提供され、持続放出形態が長期持続性栄養物のために提供されるよう設計されている。
【0090】
PCUコーティングされた尿素は、いくつかの方法で、通常、尿素顆粒をポリマー溶液とともに噴霧し、乾燥することによって調製することができる。ポリマーコーティングの厚さは、積載、輸送、ブレンドおよび袋詰めにおける取り扱いを最適化するように、また、尿素の放出速度を改変または調整するように、制御することができる。例えば、尿素の放出速度は、ポリマーの化学的性質および/またはポリマーコーティングの厚さを調整することによって、制御してもよい。ポリマーコーティングの化学的性質を調整して、温度および/または湿度に基づいて尿素の放出を制御してもよい。ポリマーコーティングは、尿素放出の間に、またはその後に生分解性であるか、または無傷のままであり得る。適したPCUとして、例えば、POLYCON、ESN(登録商標)Smart Nitrogen(Agrium Inc.、Calgary、Canada)が挙げられる。
【0091】
一態様では、第1の成分を、PCU顆粒上に噴霧し、乾燥させてもよい。別の態様では、PCU顆粒を、第1の成分とともに混転してもよく、または流動床を使用してもよい。第1の成分は、ポリマー上にコーティングを形成し得るか、ポリマーコーティングに浸透し得るか、またはその両方である。一態様では、第1の成分を、ポリマーと混合するか、そうでなければ、ポリマーとともに撒布またはポリマーとブレンドして、その後、尿素顆粒をコーティングしてもよい。
【0092】
別の態様では、PCUの粒状形態物を、植え付けられた種子または植物の場所に適用してもよく、第1の成分を、実質的に同一の場所に適用できるが、PCUの粒状形態物の少なくとも一部を、第1の成分と接触させて、実質的に即時の有効量の第1の成分の土壌処理および/または葉面処理と、その後の所定の時間での場所への有効量の第1の成分の遅延放出を提供する。
【0093】
別の態様では、第1の成分を第2の成分と組み合わせ、その組合せをPCU顆粒と接触させて(または尿素微粒子のコーティングの前にポリマーコーティングと混合して)、植え付けられた種子または植物の健康、成長、またはストレス抵抗性の改善のための処理を提供する。別の態様では、PCU微粒子を、第1の成分もしくは少なくとも1種の第2の成分と順次接触させて、いずれかの成分の有効性を最大にするか、またはこれらの成分および/もしくはPCU微粒子の相互作用を最小にしてもよい。
【0094】
第1の成分を含有するポリマーでの尿素のポリマーコーティング、またはポリマーコーティングされた尿素の第1の成分とのその後の接触によって、植え付けられた種子または植物の健康、成長、またはストレス抵抗性の改善のための、第1の成分と組み合わせた窒素供給源の制御放出が提供される。通常、第1の成分と接触したポリマーコーティングされた尿素は、適用後、実質的に直ちに、環境条件に応じて、約8、9、10、11もしくは約12週間までの期間、またはそれを超える期間継続して、植え付けられた種子または植物の健康、成長、またはストレス抵抗性の改善を提供し得る。第1の成分と組み合わせた、窒素の持続した、制御された放出は、成長および病気抵抗性にとって不可欠であるその他の栄養素の取り込みの増強を提供する。第1の成分と接触したPCUを含む制御放出組成物は、適用の総数を低減し得、および/または植物損傷を防ぎ得る。
【0095】
別の態様では、粒状形態物の少なくとも1種を、最初に、または場所への適用に続いて、第1の成分と接触させて、肥料と組み合わせた有効量の第1の成分の制御放出形態を提供する条件で、上記で開示される粘土の粒状形態物と組み合わせて、尿素の粒状形態物(SCUまたはPCU)を使用する。粘土の粒状形態物と、尿素の粒状形態物とのこのような組合せは、肥料を伴う有効量の第1の成分の実質的に即時の土壌処理および/または葉面処理と、その後の所定の時間での場所への有効量の第1の成分の遅延放出を提供する。
【0096】
尿素ホルムアルデヒド(UF)および/またはメチレン尿素(MU)のコーティングされたまたはコーティングされていない粒状形態物、例えば、ホルモレン(Formolene)、FLUF、ニトロ26CRN、ニトロホルムまたはCoRoNを含む、尿素のその他の形態を、本明細書において開示内容の実施のために、SCUと置き換えて、またはSCUと組み合わせて、硫黄コーティングまたはポリマーコーティングしてもよい。UFおよびMUの放出特性を、物質のN−C−N鎖長を調整することによって制御してもよい。様々な種類の冷水可溶性窒素(CWSN)、冷水不溶性窒素(CWIN)および熱水不溶性窒素(HWIN)の形態の尿素およびそれらの組合せを使用してもよい。イソブチレンジウレア(IBDU)を使用してもよい。
【0097】
第1の成分を、粘土または尿素の粒状形態物と接触させることを補助するために、様々な加工助剤を使用してもよい。このような加工助剤としては、一般に知られており、実施されているような、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アルコール、オイルなどの浸透剤、粘着付与剤、乳化剤、分散剤、接着促進剤、消泡剤などが挙げられる。
【0098】
本明細書において開示および記載される組成物を調製するプロセスは、通常、成分および粒状形態物の簡単な混合を要する。添加の順序は、一般に、重要ではない。一態様では、顆粒に適用される第1の成分の量は、分配装置を使用して、植え付けられた種子または植物の場所を均一に覆うのに十分な顆粒の量が提供されるように選択される。粒状形態物の重量に対するa.i.としての第1の成分の量は、当業者によって、または本出願に記載される例示的ガイドラインに従って、過度の実験を行わなくとも容易に決定される。
【0099】
<方法>
栄養を提供する土壌処理および/もしくは葉面処理のための、ならびに/または植物の病気に対する感受性を低減させるための、本明細書に記載される組成物の使用方法がさらに開示される。任意選択的に少なくとも1種の第2の成分とともに、少なくとも第1の成分を用いて処理された粒状形態物(粘土、SCU、PCUなど)(本明細書において、以下、「処理された粒状形態物」と呼ばれる)を、単一植物(例えば、室内用鉢植え植物または庭園用観賞植物)に、一定区域を占める植物の集まりに、または植え付けられた種子または植物の場所に適用することができる。処理された粒状形態物を、種子が土壌もしくはその他の成長媒体中もしくはその上に導入されるときに種子と組み合わせてもよく、または処理された粒状形態物を、播種後に場所に、もしくは、抽水植物の場所に適用してもよい。いくつかの実施形態では、組成物を、農作物または園芸作物またはその場所に、特には、食用作物に適用する。本明細書において「食用作物」とは、主に、ヒトの消費のために成長させた作物を意味する。本発明の方法は、野外使用において、および保護された栽培、例えば温室使用においての両方に適している。
【0100】
本方法は、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、エンバクおよびコメを含む穀類などのイネ科(イネ科に属する)作物にとって有益であり得るが、本方法はまた、野菜作物、果実作物および種子作物を含む非イネ科作物にも非常に適している。本明細書において、用語「果実」および「野菜」は、農業的意味または料理的意味で使用され、厳密な植物学的意味では使用されない。例えば、トマト、キュウリおよびズッキーニは、本目的上野菜と考えられるが、植物学的にいえば、消費されるのはこれらの作物の果実である。
【0101】
本方法が有用であると見出され得る野菜作物として、制限するものではないが、以下が挙げられる。
アマランス、ビートグリーン、ビターリーフ、チンゲン菜、芽キャベツ、キャベツ、ブタナ、セルタス、チョクウィー(choukwee)、ツルムラサキ、チコリー、フユアオイ、キクの葉、ノジシャ、クレス、タンポポ、エンダイブ、アリタソウ、シロザ、ゼンマイ、フルーテッド・パンプキン、ゴールデン・サンファイア、グッド・キング・ヘンリー、オオベンケイソウ、ジャンブー、カイラン、ケール、小松菜、クカ(kuka)、ラゴス・ボロギ(Lagos bologi)、ランドクレス、レタス、アメリカハンゲショウ、モロヘイヤ、ミズナ、カラシナ、白菜、ツルナ、オラーチェ、エンドウ葉、ポルク(polk)、赤チコリー、ロケット(アルガラ)、サムファイア、ハマフダンソウ、ハマナ、シエラ・レオネ・ボロギ(Sierra Leone bologi)、ソコ(soko)、スイパ、ホウレンソウ、スベリヒユ、フダンソウ、タアサイ、カブの葉、オランダガラシ、ヨウサイ、冬スベリヒユおよび油菜などの、葉物野菜およびサラダ用野菜、
エイコーン・スクワッシュ、アルメニアン・キューカンバー、アボカド、ピーマン、ニガウリ、バターナッツ・スクワッシュ、カイグア、ケープ・グーズベリー、カイエンペッパー、ハヤトウリ、チリペッパー、キュウリ、ナス(オーベルジーヌ)、アーティチョーク、ヘチマ、マラバル・ゴード(Malabar gourd)、パルワル、ペポカボチャ、多年生キュウリ、カボチャ、カラスウリ、スクワッシュ(マロー)、スイートコーン、スイートペッパー、ティンダ、トマト、トマティロ、冬瓜、ウエスト・インディアン・ガーキンおよびズッキーニ(コルゲット)などの、花の咲く野菜および実のなる野菜、
アメリカホドイモ、小豆、黒豆、ササゲ、ヒヨコマメ(ガルバンゾ・ビーン)、ドラムスティック、フジマメ、ソラマメ(ブロード・ビーン)、サヤインゲン、グアー、ハリコットマメ、ホースグラム、インディアン・ピー(Indian pea)、インゲンマメ(kidney bean)、レンズマメ、ライマメ、モスビーン、緑豆、白インゲンマメ、オクラ、エンドウマメ、ピーナッツ(落花生)、キマメ、インゲンマメ(pinto bean)、ツルアズキ、ベニバナインゲン、大豆、タルウィ、テパリービーン、ウラドマメ、ハッショウマメ、シカクマメおよびジュウロクササゲなどの、マメ科の野菜(マメ科植物)、
アスパラガス、カルドン、セルリアック、セロリ、エレファントガーリック、ウイキョウ、ニンニク、コールラビ、クラト、リーキ、レンコン、ノパル、タマネギ、プロイセンアスパラガス、エシャロット、ネギおよび行者ニンニクなどの、鱗茎菜および茎菜、
アヒパ、アラカチャ、タケノコ、ビートルート、ブラッククミン、ゴボウ、ブロードリーフ・アローヘッド(broadleaf arrowhead)、カマス、カンナ、ニンジン、キャッサバ、チョロギ、大根、落花生エンドウ、ゾウコンニャク、エンセーテ、生姜、ゴボウ、ハンブルグパセリ、セイヨウワサビ、キクイモ、ヒカマ、パースニップ、ヒッコリー、プレクトランサス、ジャガイモ、プレイリー・ターナップ、ラディッシュ、ルタバガ(スイード)、サルシフィ、スコルツォネラ、ムカゴニンジン、サツマイモ、タロイモ、ティー、タイガーナッツ、ターナップ、ウルコ、ワサビ、ウォーターチェスナット、ヤーコンおよびヤムなどの、塊根野菜および塊茎野菜、ならびに
アンジェリカ、アニス、バジル、ベルガモット、キャラウェー、カルダモン、カモミール、チャイブ、シラントロ、コリアンダー、ディル、フェンネル、チョウセンニンジン、ジャスミン、ラベンダー、レモンバーム、レモンバジル、レモングラス、マジョラム、ミント、オレガノ、パセリ、ポピー、サフラン、セージ、スターアニス、タラゴン、タイム、ターメリックおよびバニラなどのハーブ類。
【0102】
本方法が有用であると見出され得る果実作物としては、制限するものではないが、リンゴ、アプリコット、バナナ、ブラックベリー、クロフサスグリ、ブルーベリー、ボイセンベリー、カンタロープ、サクラ、シトロン、クレメンタイン、クランベリー、ダムスン、ドラゴンフルーツ、イチジク、ブドウ、グレープフルーツ、セイヨウスモモ、セイヨウスグリ、グアバ、ハニーデュー、ジャックフルーツ、キーライム、キウィフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ローガンベリー、リュウガン、ビワ、マンダリン、マンゴー、マンゴスチン、メロン、マスクメロン、オレンジ、パパイヤ、モモ、セイヨウナシ、カキ、パイナップル、オオバコ、プラム、ザボン、ウチワサボテン、マルメロ、ラズベリー、アカフサスグリ、スターフルーツ、ストロベリー、タンジェロ、タンジェリン、タイベリー、アグリフルーツおよびスイカが挙げられる。
【0103】
本方法が有用であると見出され得る種子作物としては、穀類(例えば、オオムギ、トウモロコシ(メイズ)、キビ、エンバク、コメ、ライムギ、ソルガム(ミロ)およびコムギ)に加えて、ソバ、綿、亜麻仁(リンシード)、カラシ、ケシ、菜種(キャノーラを含む)、サフラワー、ゴマおよびヒマワリなどの非イネ科種子作物が挙げられる。
【0104】
本方法が有用であると見出され得る、上記のカテゴリーのいずれにも適合しないその他の作物として、制限するものではないが、サトウダイコン、サトウキビ、ホップおよびタバコが挙げられる。
【0105】
上記で列挙される作物の各々は、その独自の特定の栄養摂取および疾患保護の必要性を有する。特定の作物のための本明細書に記載される組成物のさらなる最適化は、過度の実験を行うことなく、本開示内容に基づいて当業者によって容易に行うことができる。
【0106】
本明細書に開示および記載される組成物を使用する方法は、本明細書に記載されるように、植え付けられた種子もしくは植物の場所または植物の葉表面に、または実質的に種子を植え付ける間に、処理された粒状形態物を適用することを含む。
【0107】
本明細書に開示および記載される組成物は、葉表面または場所に、顆粒を適用するための任意の従来の系を使用して適用できる。散布展着法による適用が最も好都合であると見出されることが通例であるが、必要に応じてその他の技術を使用してもよい。
【0108】
葉または場所への適用のための、処理された粒状形態物の適用比率は、通常、場所または植物に適用される第1の成分の量が、土壌中に適用されるかまたは植物の葉もしくは場所への葉面適用として適用される第1の成分量、約0.1グラム/ヘクタール〜約10.0グラム/ヘクタールの間の乾燥重量、約0.1グラム/ヘクタール〜約7.0グラム/ヘクタールの間の乾燥重量、0.5グラム/ヘクタール〜約5グラム/ヘクタールの間の乾燥重量または約1グラム/ヘクタール〜約4.0グラム/ヘクタールの間の乾燥重量、と同等となるように、顆粒の大きさおよび空隙率に基づいて調整される。
【0109】
本明細書に開示および記載される、処理された粒状形態物の適用の頻度は、多数の要因に応じて変えることができる。比較的高い「スターター」比率と、それに続く、より低い比率での1回または複数のその後の適用を利用することは有利であり得る。特定の状況では、処理された粒状形態物は、有効量の第1の成分の、持続された有効性を有する単回適用を提供する。その他の状況では、1回目のおよび/またはさらなる適用は、植物の特定の成長周期または昆虫、寄生生物もしくは望ましくない植物種の既知の生活環もしくは固有の習性に先行し得るか、取って代わり得るか、対応し得る。
【0110】
<処理された粒状形態物と種子との組合せ>
一態様では、処理された粒状形態物を種子と組み合わせること、または少なくとも第1の成分と、任意選択的に1種または複数の駆除剤から選択される第2の成分とを含む、処理された粒状形態物と種子とを実質的に同時に植え付けることを含む、植物種子の健康な成長を促進する方法が提供される。種子を、ローリングまたは混転などの従来手段によって、処理された粒状形態物と物理的にブレンドまたは混合してもよい。種子を、粒状形態物と同時にコーティングしてもよい。
【0111】
したがって、処理された粒状形態物と種子との組合せは、種子と、第1の成分および任意選択的に少なくとも1種の第2の成分と接触している粒状形態物とを含み得る。第2の成分は、駆除剤から選択することができる。例えば、少なくとも1種の駆除剤は、フィプロニルおよびその他のフルオロシアノベンピラゾール、テブコナゾール(穀物、大豆およびその他の作物における広い範囲の病気から保護する広域スペクトル殺真菌剤処理)ならびにアゾールのクラスのその他のメンバー、すなわち、チラム(広範な作物において有効な、立ち枯れ病、疫病菌およびその他の土壌伝染病の防疫のための殺真菌剤処理)、ミクロブタニル(綿における腰折病および黒根腐病のための殺真菌剤)、イミダクロプリド、および浸透移行性の、早期昆虫防除に有効なその他のネオニコチノイド、フィチウム属および疫病菌の浸透移行性の防除のためのメタラキシル、テブコナゾールおよびメタラキシルなどの駆除剤の組合せ、ならびにテブコナゾール、イミダクロプリドおよびメタラキシル、ストリガ属に対する有効な保護を提供するためのイマザピル(StrigAway(登録商標))、亜鉛イオン、銅イオン、マンガンイオンまたはそれらの組合せ(例えば、Zn+Cu、Zn+Mn)を含み得る。第1の成分および駆除剤の組合せを、一定濃度で水性媒体中で混合し、種子および/または粒状形態物と、植物の健康および/または成長の改善に適した負荷を提供するのに十分な時間接触させてもよい。
【0112】
別の態様では、植物の健康、成長または有害生物抵抗性の改善の提供において有効な方法は、第1の成分、および任意選択的に植物成長調整物質またはホルモンを含む少なくとも1種の第2の成分を含む処理された粒状形態物と組み合わせて、種子を植え付けることを含む。植物成長ホルモンは、アブシジン酸、オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、ブラシノライド、サリチル酸、ジャスモン酸エステル、植物ペプチド、ポリアミンおよびストリゴラクトンのクラスに由来するものであり得る。
【0113】
別の態様では、植え付けられた種子の場所に、処理された粒状形態物を適用することを含む、植え付けられた種子の健康な成長を促進する方法が提供され、ここで、処理された粒状形態物は、ポリマーまたはその他のマトリックスのコーティングまたはドレッシングを含み、ポリマーまたはマトリックスは、第1の成分と、任意選択的に1種または複数の第2の成分とを含む。ポリマーまたはマトリックスは、第1の成分と、任意選択的に1種もしくは複数の駆除剤および/または1種もしくは複数の天然植物ホルモン(まとめて「活性物質」)を放出することができる。ポリマーまたはマトリックスは、温度、水分含量、日光、時間またはそれらの組合せに応じて活性物質を放出するよう設計することができる。ポリマーまたはマトリックスは、制御可能に溶解または崩壊し、活性物質を放出し得るか、あるいは活性物質を経時的に、または温度、水分含量、日光、時間もしくはそれらの組合せなどの所定の条件に応じて、制御可能に放出し得る。ポリマーまたはマトリックスは、例えば、コーティングを破壊して湿気進入を可能にするために、活性物質を収容するためなどの個別の層を含む多層であってもよい。適したポリマーまたはマトリックスとして、ハイドロゲル、ミクロゲル、ゾルゲルが挙げられる。粒子をコーティングする特定の物質および方法は、種子をコーティングするのにも適したプロセスであり、例えば、Intellicoat(商標)(Landec Inc.、Indiana)、ThermoSeed(商標)(Incotec、Netherlands)CelPril(商標)(Bayer CropScience)、ApronMaxx(商標)(Syngenta)、およびNacret(商標)(Syngenta)のようなプロセスが挙げられる。活性物質は、ナノ粒子として提供し、ポリマーもしくはマトリックス中に組み込んでもよく、または静電力もしくはその他の力によって顆粒に直接的に付着させてもよい。ポリマーまたはマトリックスコーティングの厚さは、約0.01ミル〜約10ミルの厚さであり得るが、その他の厚さを使用してもよい。コーティングは、顆粒に、機械的および環境的な被害からの保護をさらに提供し得る。
【0114】
<植物の健康のための相乗的組成物>
上記で詳述される方法および処理された粒状形態物の組成物は、植物の栄養摂取にとって有用である。制限するものではないが、高品質の農産物、成長の改善および/または長期の成長期(いずれにせよ、高収量の農産物につながり得る)、ストレス抵抗性の増大ならびに/またはストレスからの回復の改善、機械的強度の増大、根の発達の改善、乾燥抵抗性の改善および植物の健康の改善を含めた植物ストレス管理の改善を含む、栄養摂取の増強のあらゆる予想外の利益が、本方法の利益であり得る。予想外の利益の組合せを得ることができる。
【0115】
様々な実施形態では、農産物の収量は、例えば、栄養処理を受けていない植物を少なくとも約2%、少なくとも約4%、少なくとも約6%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約25%または少なくとも約50%上回って、予想外に増大され得る。
【0116】
植物の健康の改善、特に病気、特に細菌または真菌の病気に対する抵抗性またはそれからの保護が、本明細書に開示および記載される方法の重要な利益である。一実施形態では、昆虫、真菌または細菌の病気に対する植物の感受性を低減させるための方法が提供される。本明細書において「感受性の低減」とは、真菌感染または細菌感染の発生率の低減ならびに/または植物の健康および成長に対して起こるような、このような感染の影響の低減を含む。理論に縛られるものではないが、本明細書において開示および記載される組成物によって与えられる栄養摂取の増強が、真菌および細菌病原体に対する植物の天然の防御を強化すると考えられる。このような病原体の例として、制限するものではないが、アルテルナリア属種(Alternaria)、ウドンコ病菌(Blumeria graminis)、灰色カビ病菌(Bottytis cinerea)、コクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus)、コレトトリカム・グロエオスポリオイデス(Colletotrichum gloeosporioides)、ジプロカルポン・ロサエ(Diplocarpon rosae)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、イネいもち病菌、マグナポルテ・サルビニー(Magnaporthe salvinii)、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)、フィチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、フィチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、スクレロチニア・ホモエオカルパ(Sclerotinia homoeocarpa)、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)、スファエロテカ・パノサ(Sphaerotheca pannosa)、スファエロテカ・キサンチー(Sphaerotheca xanthii)、タナテホルス・ククメリス(Thanatephorus cucumeris)およびウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)が挙げられる。
【0117】
単一種の病原体が、異なる作物において様々な異なる病気を引き起こし得る。植物の細菌および真菌性の病気の例として、制限するものではないが、炭疽病、アルミラリア属、アスコチタ(ascochyta)、アスペルギルス、白葉枯病、潰瘍病、斑葉細菌病、斑点細菌病、青枯れ病、苦腐病、黒葉(black leaf)、黒脚病、黒腐病、黒斑病、芽細胞、胴枯れ病、アオカビ、ボトリチス、褐色腐敗病、褐斑病、サーコスポラ(cercospora)、炭腐病、クラドスポリウム、こぶ病、堅黒穂病、クレーターロット(crater rot)、根頭腐敗病、立ち枯れ病、ダラースポット病、べと病、夏疫病、麦角、エルウィニア、偽裸黒穂病(false loose smut)、火傷病、すそ腐れ病、果実汚斑病(fruit blotch)、フサリウム、灰色斑点病、灰色カビ病、心腐れ病、後期疫病(late blight)、葉枯病(leaf blight)、葉枯病(leaf blotch)、縮葉病、黄斑病、葉さび病、斑点病、ウドンコ病(mildew)、壊死、ペロノスポラ(peronospora)、フォーマ(phoma)、バラ色カビ病、ウドンコ病(powdery mildew)、リゾプス(rhizopus)、根がん腫病、根腐病、さび病、そうか病、黒穂病、白絹病、枝枯れ病、菌核病、バーティシリウム(verticillyium)、白カビ病、野火病および萎黄病が挙げられる。
【実施例】
【0118】
<実験1−第1の成分の粘土顆粒遅延放出>
本実験の目的は、人工の粘土顆粒(Oil Dri Corporation、Chicagoから入手したVerge Granules)の、第1の成分の吸収剤、制御放出担体としての使用を評価すること、ならびに粒状の肥料と組み合わせて使用した場合の、第1の成分の放出および有効性に対する顆粒のサイズおよび分解速度の効果を決定することである。調査は、試験作物としてトウモロコシ(Zea mays)を使用し、温室において実施した。調査の過程の間、植物を植物重量について、出芽の20日後、34日後および54日後(DAE)に評価した。
【0119】
この実験のために、顆粒の大きさ、および適用後にそれらが分解するために必要な時間が異なる4種の異なる粘土顆粒を使用した。200SGNおよび140SGNと表される2つの異なるサイズの顆粒があり、1ポンドあたり顆粒約200,000個〜1ポンドあたり顆粒400,000個のかさ密度を有していた。各顆粒サイズに対して、2つの異なる崩壊速度、つまり、水分と接触した場合にほとんど即時に崩壊する速度、および水分と接触した場合により遅く制御されて崩壊する速度があった。同様に2種の顆粒の相対pHにおいて有意差がある。より遅く崩壊する顆粒は、約4〜約6の相対pHを有しているが、迅速に崩壊する顆粒は、約9〜約10の相対pHを有する。実験サンプルについて、1.4gのa.i./顆粒2.85kg(約3.5gのa.i./ヘクタールの有効割合)の割合で、第1の成分を顆粒上に噴霧した。
【0120】
すべての種子を、1ポットあたり5kgの土壌を含有する直径6インチのポットに植えた。1処理あたり6個のポットとし、各ポット中に、20個の種子を約1/2インチの深さに植えた。未処理の粒状のNPK肥料を、120ポンドのN、Pとして60ポンドのP、およびKOとして40ポンドのKの、野外適用と実質的に同等となる割合で、各ポットの表面に適用した。6種の処理を、表Fに要約する。
【0121】
【表7】

【0122】
各処理において適用された第1の成分の量は、直径6インチの土壌表面あたり約0.01mgのa.i.と同等であった。図1に示されるように、この実験の結果は、以下の予想外の結果を示した。1)使用される顆粒のサイズは、第1の成分の放出割合に大きな影響を与えなかった。2)処理された粒状形態物の崩壊速度は、第1の成分の直接的な土壌への処理(示されていないデータ)と比較して、植物の場所への有効量の第1の成分の遅延放出および第1の成分からの利益の持続期間に影響を与える。ならびに3)より遅く崩壊する、処理された粒状形態物は、有効量の第1の成分の遅延放出の最良の長期性能を提供し、中でも注目すべきは、54DAEで評価された場合である。
【0123】
図2に示されるように、処理番号1、2および4の結果のみを比較すると、植物重量において明確な相違が経時的に観察された。粒状の肥料単独(番号1)および粒状の肥料と土壌にのみ直接適用された第1の成分(番号2)は、粒状の肥料と、第1の成分を用いて処理されたSGN200 Slow粘土の粒状形態物(番号4)よりも植物重量を最初に大幅に増大した。しかし、約34日後、粒状の肥料(番号1)ならびに粒状の肥料および土壌のみに適用された第1の成分(番号2)については、成長の速度が遅くなったのに対し、粒状の肥料、および第1の成分と接触したSGN200 Slowの粒状形態物(番号4)を用いて処理された場所は、成長速度が増大した植物を提供した。この結果は予想外であり、有効量の第1の成分が、粒状形態物によって、元の適用よりも遅い、所定の時間後に放出されており、結果として、植物の成長周期において後期に、例えば、栄養需要が増大するか、増大すると予想される時点で栄養増強を提供することを示す。
【0124】
<実験2−第1の成分と接触した、コーティングされた尿素の粒状形態物>
この実験は、尿素の粒状形態物として、第1の成分と接触している、および接触していない、ポリマーコーティングされた尿素(ESN、Agrium)を使用して、ハルコムギにおいて小区画複製試験で実施した。この試験の対照は、未処理の粒状のNPK肥料の適用とし、ここで、Nは、ポリマーコーティングされた尿素(ESN)として存在した。第2の処理では、第1の成分を、ポリマーコーティングされた尿素顆粒上に噴霧したが、肥料ブレンド中のPおよびK顆粒は処理しなかった。第3の処理では、粒状の肥料のすべてに、例えば、N、PおよびK顆粒に第1の成分を適用した。処理2および3では、有効成分の最終量が、約3.0g/haと同等であるように第1の成分を適用した。小区画にはすべて、実質的に同量のNPK肥料を与えた。ハルコムギの成長期間の間の目視観察は、第1の成分で処理された小区画が、対照のものよりも、予想外に大きなバイオマスおよび大きな根系を有することを示した。さらに、ESN顆粒上のみに第1の成分を有する小区画の成長および/または健康は、NPK顆粒のすべてに適用した第1の成分を用いて処理された小区画よりも良好であると思われた。このデータも予想外であった。
【0125】
第1の成分と接触しているNPK肥料を使用して、一連の複製試験においてさらなる実験を、コメ、トウモロコシおよびコムギを含めたいくつかの作物で実施した。ここで、NPK肥料は、持続放出窒素供給源(硫黄コーティングされた尿素)およびコーティングされていないNPK顆粒の組合せからなる。同一であるが、ただし第1の成分を含まないNPK肥料を対照とした。第1の成分の適用割合は、約3.0g/haの有効成分と同等とした。目視観察は、第1の成分で処理された小区画が、対照よりも大きなバイオマスおよび大きな根系を有することを示した。第1の成分およびNPK肥料の組合せによって得られた、より大きなバイオマスは予想外であった。
【0126】
<実験3−ジャガイモにおける収量の増大>
この実験では、第1の成分を含浸させたNPK肥料を用いて処理されたジャガイモと、第1の成分を含まないNPK肥料を用いて処理されたジャガイモの収量結果を決定した。第1の成分を含む肥料は、NPK肥料のみを用いて処理された畝と交互になっている、田畑を横切る畝において適用した。NPK肥料(16−13−16ブレンド)の割合は、1235kg/haとし、第1の成分は、1.5グラム/haの割合で適用した。収穫時に、各畝において列の15フィートの区域を収穫し、すべてのジャガイモの重量を測定し、これを、15フィートの列あたりのポンドとして記録した。結果を表1に示す。
【0127】
【表8】

【0128】
この実験における結果は、第1の成分を含む含浸粒状肥料が、収量を大幅に増大したことを示す。ジャガイモは、通常、最適作物収量をもたらすために多量の栄養素を必要とする作物であり、この実験では、第1の成分が、栄養素の利用能および取り込みを増大し、収量の増大につながった。第1の成分とNPK肥料の組合せによって得られた、より多量の栄養取り込み、および対応する収量増強は予想外であった。
【0129】
<実験2−トウモロコシにおける栄養取り込みの増大および収量の増大>
南米における営利農場で実施されたこの実験では、10ヘクタールのトウモロコシ畑を、2つの5ヘクタールの畝に分割し、一方を、粒状の第一リン酸アンモニウム(MAP)肥料のみを用いて処理し、もう一方を、第1の成分を含浸させたMAPを用いて処理した。両方の畝に90kg/haのMAPを与え、第1の成分は、1グラム/haの割合で適用した。収穫時に、MAPのみを用いて処理された畝から9404kg/haが得られたのに対し、第1の成分を含浸させたMAPを用いて処理された畝から、10,194kg/haが得られ、8.4%収量が増大した。トウモロコシの収量は、それらにとって利用可能である栄養素の量に直接的に依存することが一般に知られており、そのため、収量の増大は、MAPのみを用いて処理された畝に対するMAPおよび第1の成分を用いて処理された畝における栄養素の利用能の増大と直接的に相関する可能性がある。
【0130】
<実験3.クロロフィル含量の増大および収量の増大の実験>
北米西部において、コムギ葉組織におけるクロロフィル含量の増大のための、粒状の肥料上に含浸させた第1の成分の有効性を評価するために、コムギ試験を実施した。クロロフィルは、光合成に必要な化合物であり、日光からのエネルギー獲得を担っており、それを使用することにより植物のエネルギーを作製する。クロロフィルは、電磁スペクトルの青および赤において光を最も強力に吸収するが、緑部分、すなわち植物の葉などの緑色のクロロフィル含有組織では吸収が不十分である。これらの試験を、4回の反復実験を含む、無作為完備型ブロック計画実験を利用して小区画で実施した。試験は、4つの地点で実施し、畑には、適当なNPK粒状肥料ブレンドを使用し、土壌試験勧告に従って肥料を与えた。小区画のサイズは、2.0×6.0mとした。肥料含浸は、ジャーを使用することならびに適当な容量の第1の成分を肥料に適用することおよび十分に混合することによって達成した。Minolta SPAD−502クロロフィルメーターを使用してクロロフィルデータを集めた。各小区画について、測定される小区画あたり10枚の葉および平均を算出して、代表的なクロロフィル読み取り値を得た。結果を、表2に示す。
【0131】
【表9】

【0132】
この実験は、植物活性を増強するための植物中への栄養素の移動およびクロロフィル含量の増大における第1の成分の効果を明確に実証し、これは、光合成および全体的な植物の健康の増大につながった。第1の成分および肥料の組合せによって得られた、より多量の栄養取り込み、および対応するクロロフィルの増強は予想外であった。
【0133】
<実験4−過剰の窒素軽減および高さ改善>
この実験は、第1の成分を含有しない尿素に対する、第1の成分を含浸させた尿素の効果を、尿素の様々な割合で実証するように設計された温室実験とした。試験を、1処理あたり5回の反復実験を含む無作為完備型ブロック計画において準備した。第1の成分を用いて処理されるポットのために、第1の成分を尿素顆粒上に直接含浸させた。適当な量の肥料を、土壌の上部3センチメートルと混合し、次いで、種子を植えた。種子が発芽した26日後に、すべての植物の高さ測定を行い、結果を以下の表3に示した。
【0134】
【表10】

【0135】
このデータは、窒素を利用する植物の能力の増強における第1の成分の効果を明確に示し、これは、第1の成分を含まない同量の窒素と比較して、より大きな植物高につながった。過剰に存在する最高レベルの窒素(ユニットN(kg/ha))でさえ、第1の成分は、第1の成分を用いない植物と比較して、過剰の窒素の影響の一部を軽減し、植物高を増大した。第1の成分および肥料の組合せによって得られる、より高い植物高および過剰の窒素軽減は予想外であった。
【0136】
単語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」は、排他的にではなくむしろ包括的に解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に腐植化された天然有機物によって特徴付けられる有機物質の農学的に許容される複合混合物を含む第1の成分と接触した粒状形態物を含む組成物。
【請求項2】
前記第1の成分が、
a.縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物、
b.約0.5を超える、溶存有機物の酸素対炭素比、
c.質量分析による測定で、約0.5〜約1.4の水素対炭素比および約0.7未満の芳香族性指数を有する、総数約200を超えるタンニン化合物、または
d.質量分析による測定で、約55〜60%のリグニン化合物、27〜35%のタンニン化合物、および約8〜15%の縮合炭化水素である質量分布
のうち2つ以上を特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも10%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも20%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
第2の成分をさらに含み、前記第2の成分が、駆除剤、微量栄養素、多量栄養素、成長調節物質またはそれらの組合せの農学的に許容される供給源から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記駆除剤が、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤のうち少なくとも1種またはそれらの組合せから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒状形態物が、モンモリロナイト、アタパルジャイト、アルミノケイ酸塩、尿素、尿素ホルムアルデヒド、メチレン尿素、イソブチレン尿素、硫黄コーティングされた尿素またはポリマーコーティングされた尿素からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記粒状形態物が、モンモリロナイト、アタパルジャイトまたはアルミノケイ酸塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記粒状形態物が、ポリマーコーティングされた尿素または硫黄コーティングされた尿素である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒状形態物からの前記第1の成分の放出が遅延される、請求項1、5、8または9に記載の組成物。
【請求項11】
植物の健康を改善する方法であって、
植え付けられた種子または植物種の場所を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させるステップを含み、
前記接触させるステップにおいて、前記第1の成分が、前記粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または前記粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられる、方法。
【請求項12】
前記第1の成分が、
(a)縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物、
(b)約0.5を超える、溶存有機物の酸素対炭素比、
(c)質量分析による測定で、約0.5〜約1.4の水素対炭素比および約0.7未満の芳香族性指数を有する、総数約200を超えるタンニン化合物、または
(d)質量分析による測定で、約55〜60%のリグニン化合物、27〜35%のタンニン化合物、および約8〜15%の縮合炭化水素である質量分布
のうち2つ以上を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも10%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも20%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記場所を、第2の成分と接触させるステップをさらに含み、前記第2の成分が、農学的に許容される駆除剤、微量栄養素、多量栄養素、成長調節物質およびそれらの混合物から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記駆除剤が、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤またはそれらの組合せである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記粒状形態物が、硫黄またはポリマーでコーティングされている、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記粒状形態物が、硫黄またはポリマーでコーティングされた尿素である、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーまたは硫黄が、前記第1の成分を放出可能に含有する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記粒状形態物が、前記第2の成分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
植え付けられた種子または植物種の場所を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させるステップであって、前記接触させるステップにおいて、前記第1の成分が、前記粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または前記粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられる、ステップと、
前記粒状形態物および前記第1の成分と接触していない、植え付けられた種子または植物種の場所と比較して、植え付けられた種子または植物種の発芽、出芽、根の発達および栄養取り込みのうち1つまたは複数を増強するステップとを含む、
方法。
【請求項22】
前記第1の成分が、
a.縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物、
b.約0.5を超える、溶存有機物の酸素対炭素比、
c.質量分析による測定で、約0.5〜約1.4の水素対炭素比および約0.7未満の芳香族性指数を有する、総数約200を超えるタンニン化合物、または
d.質量分析による測定で、約55〜60%のリグニン化合物、27〜35%のタンニン化合物、および約8〜15%の縮合炭化水素である質量分布
のうち2つ以上を特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも10%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも20%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
【請求項25】
前記場所を、第2の成分と接触させるステップをさらに含み、前記第2の成分が、農学的に許容される駆除剤、微量栄養素、多量栄養素、成長調節物質およびそれらの混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記駆除剤が、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤のうち少なくとも1種またはそれらの組合せから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記粒状形態物が、ポリマーコーティングされた尿素または硫黄コーティングされた尿素を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマーコーティングされた尿素または硫黄コーティングされた尿素が、前記第1の成分を放出可能に含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記粒状形態物が、前記第2の成分をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記駆除剤の駆除活性を増強するステップ、前記植物もしくは種子の栄養取り込みを改善するステップ、または前記駆除剤の駆除活性を増強し、かつ植物もしくは種子の栄養取り込みを改善するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
植物または種子種に遅延放出栄養素を提供する方法であって、
植物または種子種の場所または葉表面を、粒状形態物と、部分的に腐植化された天然有機物の農学的に許容される混合物を含む第1の成分とに接触させるステップを含み、前記接触させるステップにおいて、前記第1の成分が、前記粒状形態物の少なくとも一部に最初にもしくは後で撒布されるか、または前記粒状形態物と混合されるかもしくは混ぜられ、
前記粒状形態物からの有効量の前記第1の成分の放出が、前記接触させるステップの後、所定の時間遅延される、方法。
【請求項32】
前記第1の成分が、
a.縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物、
b.約0.5を超える、溶存有機物の酸素対炭素比、
c.質量分析による測定で、約0.5〜約1.4の水素対炭素比および約0.7未満の芳香族性指数を有する、総数約200を超えるタンニン化合物、または
d.質量分析による測定で、約55〜60%のリグニン化合物、27〜35%のタンニン化合物、および約8〜15%の縮合炭化水素である質量分布
のうち2つ以上を特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも10%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の成分が、縮合炭化水素、リグニン、ならびにタンニンおよび/または縮合型タンニンの混合物を含むことを特徴とし、組成物の化合物の総量%の少なくとも20%が、タンニンおよび/または縮合型タンニンであることを特徴とする、請求項30または31に記載の方法。
【請求項35】
前記粒状形態物が、酸性の表面化学特性を有する、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項36】
前記粒状形態物が、塩基性の表面化学特性を有する、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項37】
非イネ科作物の種子をさらに含む、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項38】
果実作物または野菜作物の種子をさらに含む、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項39】
遺伝子改変された種子をさらに含む、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項40】
種子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
所定のサイズの場所に植え付けられた植物の収量が、同一の所定のサイズの場所に植え付けられた同一植物と比較して増大する、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項42】
植物種のクロロフィルの量が、第1の成分と接触していない同一の植物種と比較して増大する、請求項11、21または31に記載の方法。
【請求項43】
植物に対する過剰の窒素の影響が、第1の成分と接触していない同一の植物と比較して低減される、請求項11、21または31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505892(P2013−505892A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531112(P2012−531112)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/050519
【国際公開番号】WO2011/038388
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(511009592)エフビーサイエンシズ・ホールディングス,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】