説明

肥料製造方法

【課題】廃棄物である貝類等を肥料の原料として用いることによってリサイクルを行い、製造過程において悪臭の発生を低減させることを実現した肥料製造方法を提供する。
【解決手段】貝類を主成分とする原材料を粉砕する粉砕工程ST3と、粉砕工程ST3で粉砕された原材料に木くずを混合する混合工程ST4と、混合工程ST4で混合された原材料と木くずとを、1ヶ月以上発酵させる発酵工程ST5とを有し、混合工程における、原材料と木くずとの混合比を2:1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貝類を含む廃棄物を利用する肥料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、火力発電所あるいは原子力発電所においては、ボイラの熱を水に伝えて水蒸気を生成し、この水蒸気をタービンに送り込んでタービンを回転させることによって、発電を行っている。そして、タービンに送り込んだ水蒸気は、冷却水によって冷却され、復水された後にボイラに再び供給される。
【0003】
水蒸気を復水するための冷却水としては海水が利用されており、取水設備の運転によって取水口から海水が取り込まれ、発電施設に供給される。そして、発電施設において熱交換された海水は海に放流される。
【0004】
取水設備の運転によって取水口から取り込まれた海水の中には、貝類(赤フジツボ,ムラサキイガイ他)、海草類、小魚等(以下、これらを貝類等と称する)が含まれており、取水設備においては、海水から貝類等を除去してから、発電施設に海水を供給する。このとき、海水から除去された貝類等は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)等に基づき事業系一般廃棄物として、行政処理施設(例えば、ゴミ処理場)で焼却処分する必要がある。
【0005】
また、従来、発電所における冷却用海水の配管等に付着した貝を焼却してなる貝殻焼却灰を、汚泥発酵肥料の原材料の必須成分として用いることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−055081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、貝類中に含まれる塩分は、燃焼過程でダイオキシン濃度の上昇を招くおそれがあるため、行政処理施設の受入基準(塩分濃度の低減)を満足する必要がある。従来、処理施設の受入基準を満足させるため、以下に示す対応を行っている。
1.陸揚げされた貝類等の水切りを行う[1週間程度]。
2.上水による貝類等の洗浄(塩分除去)を行う。洗浄水は全て回収し、産業廃棄物の汚泥として処理する。
3.貝類等を土嚢袋に封入し、水切り・天日乾燥を行う[1〜2週間程度]。
4.処理施設受入基準に基づき貝類等を搬出する[80袋/週]。
【0008】
しかし、上記の対応には次のような課題がある。
まず、貝類等は、リサイクル可能な廃棄物であり、このような廃棄物を焼却処分することは、『循環型社会形成推進基本法』に沿ってない。更に、貝類等の廃棄物を焼却処分することは、例えば、汚泥といった別の廃棄物を発生させている。また、廃棄物(貝類等)の焼却過程で有害物質(ダイオキシン等)が発生するおそれがある。
【0009】
また、水切りの過程で貝類等が腐敗し、悪臭の原因となるおそれがある。また、焼却処分するまでに上記の対応を行う必要があるため、廃棄物処理コストが増加する。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決し、貝類等を肥料の原料として用いることによってリサイクルを行い、また、肥料の製造過程において悪臭の発生を低減させることを実現した肥料製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0012】
(1) 貝類を主成分とする原材料を粉砕する粉砕工程と、当該粉砕工程で粉砕された原材料に木くずを混合する混合工程と、当該混合工程で混合された原材料と木くずとを、1ヶ月以上発酵させる発酵工程とを有し、前記混合工程における、前記原材料と木くずとの混合比を2:1とすることを特徴とする肥料製造方法。
【0013】
(1)によれば、原材料は、土壌環境基準値を満たすものの、主成分が貝類であるため、悪臭が発生するおそれがある。そこで、原材料と木くずとの混合比を2:1となるように、粉砕した原材料と木くずとを混ぜることにより、木くずの消臭作用によって、悪臭の発生を低減することができる。また、原材料と木くずとの混合物を1ヶ月以上発酵させることにより、悪臭を除去した肥料を製造することが可能となる。しかも、従来、焼却処分にしていた廃棄物(貝類)を、肥料としてリサイクル利用することが可能になり、その結果、焼却処分によって発生していた有害物質を低減し、環境に優しい肥料として土壌に返すことが可能になる。
【0014】
(2) (1)において、前記木くずは、35mm以下の長さであることを特徴とする肥料製造方法。
【0015】
(2)によれば、35mm以下の長さの木くずを混ぜて製造した肥料は、土壌に散布した際に、木くずが目立つことがなくなる。
【0016】
(3) (1)又は(2)において、前記原材料は、発電施設に供給する海水を取り込む取水設備において、海水から除去した廃棄物であることを特徴とする肥料製造方法。
【0017】
(3)によれば、発電所の取水設備において陸揚げされた、貝類、海草、小魚等を、焼却処分とするのではなく、肥料として再生することが可能になる。
【0018】
(4) (1)〜(3)において、前記原材料の80%以上が貝類であることを特徴とする肥料製造方法。
【0019】
(4)によれば、貝類の貝の部分が石灰成分、及び貝類の中身が有機成分となるため、植物に適した肥料を製造することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、廃棄物である貝類等を肥料の原料として用いることによってリサイクルを行い、製造過程において悪臭の発生を低減させることを実現した肥料製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】発電施設に海水を供給する取水路の経路を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態における肥料製造方法による製造工程を示す工程図である。
【図3】原材料に混合する混合対象物の化学分析結果を示す図である。
【図4】原材料に混合する混合対象物の評価結果を示す図である。
【図5】原材料と木くずとの混合物の化学分析結果を示す図である。
【図6】発酵工程における混合対象物及び木くずの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[取水経路及び除塵機の配置]
図1は、発電施設に海水を供給する取水路の経路を示す説明図である。海中には取水路10が設けられており、この取水路10によって導入された海水は、発電施設50に供給され、発電機を回転させるタービンに供給した蒸気の冷却に用いられる。また、取水路10には除塵機12が設けられている。この除塵機12は海岸付近に配置されている。
【0024】
除塵機12は、複数のかご部材(図示せず)を水車のように回転させることで海水中の混入物をすくい上げるように除去するものである。かご部材は、網状部材によって形成されており、取水路10を流れる海水から所定以上の大きさである混入物を分離して陸揚げするものである。混入物としては、貝、小魚、海草が多く、季節によってはくらげが陸揚げされる場合もある。
【0025】
本実施形態の肥料製造方法は、除塵機12によって陸揚げされた貝、小魚、海草等を原材料として肥料を製造することにある。
【0026】
[肥料の製造工程]
図2は、本発明の一実施形態における肥料製造方法による製造工程を示す工程図である。図2に示すように、本実施形態における肥料製造方法は、原材料となる貝類等を陸揚げする陸揚げ工程ST1と、陸揚げされた原材料を一時保管する保管工程ST2と、陸揚げされた原材料を粉砕する粉砕工程ST3と、粉砕した原材料に木くずを混合させる混合工程ST4と、原材料と木くずとの混合物を袋詰めにして発酵させる発酵工程ST5とを備えている。
【0027】
陸揚げ工程ST1においては、除塵機12(図1参照)によって、肥料の原材料となる混入物が海から陸揚げされ、取水設備の所定のエリアに積載される。除塵機12(図1参照)で陸揚げされる混入物の8割以上は、貝類(赤フジツボ,ムラサキイガイ他)であり、他に、海草類、小魚等が含まれている。
【0028】
陸揚げされた混入物は、コンベアに載せられて保管所に搬送され、保管所においてフレコンバックに袋詰めされる。混入物に金属、ガラス、プラスチックのような無機質ゴミが混じっていた場合には、混入物がコンベアによって搬送されている間に、無機質ゴミの除去が行われる。
【0029】
保管工程ST2においては、原材料がフレコンバックに袋詰めされた状態で、保管所に1〜2ヶ月間一時保管される。ここで、フレコンバックに袋詰めされた原材料は、陸揚げされた後に洗浄処理が実施されていないために、塩分を含んだままである。また、貝類も中身が詰まったままフレコンバックに袋詰めされる。
【0030】
粉砕工程ST3においては、フレコンバックに袋詰めされた原材料が粉砕機に投入され、粒状にされる。粒状となった原材料には、貝殻のカルシウム成分の他に、貝類も中の身や、海草類、小魚等による有機成分が含まれている。
【0031】
混合工程ST4においては、粉砕された原材料に、木くずが加えられて混合される。木くずとしては、木くずやおがくずが適用可能であり、特に、長さ25〜35mm程度の木くずが好適である。また、木の種類としては、広葉樹、ヒノキ、スギの木くずが適用可能である。また、原材料と木くずの混合割合については、詳細については後述するが、実験の結果、原材料と木くずとの混合比が2:1である場合(木くずの含有率が約33%)である場合に良好な結果が得られた。
【0032】
発酵工程ST5においては、原材料と木くずとの混合物は、所定の発酵場所に蓄積され、1ヶ月以上発酵させる。発酵期間は季節に応じて適宜調整する。そして、1ヶ月以上の発酵期間が経過した後、原材料と木くずとの混合物からなる肥料が完成する。
【0033】
ところで、貝類を主成分とする原材料のみを使用し、上述した保管工程ST2、粉砕工程ST3及び発酵工程ST5を経て製造した肥料の成分分析を行い、環境基準法で定められている土壌環境基準を満たしているか評価してみた。その結果、貝類を主成分とする原材料のみから製造した肥料は、土壌環境基準を満たしていることが分かった。しかしながら、製造過程において悪臭が発生するため、この悪臭を抑える必要がある。
【0034】
そこで、悪臭を抑えるために、貝類を主成分とする原材料に対して、混合工程ST4において、木くずを加えている。しかし、出来上がった肥料が土壌環境基準を満たしていなければ、肥料として使用することができない。このため、原材料に混合する木くずについても、化学成分分析を行って、原材料に対して混合可能なものであるか否かを判別する必要がある。
【0035】
[混合対象物の候補の選定]
ここで、参考のために、廃棄物である木くずを肥料化してなるバーク堆肥のサンプルを3種類ほど抽出し、土壌環境基準を満たしているか評価してみた。その結果、土壌環境基準の項目に含まれている砒素及びほう素の少なくともいずれかの値が超過していることが分かった。
【0036】
その原因を検討してみたところ、バーク堆肥は、木材加工の際に木材の表面から除去される樹皮を細かく切断し、例えば、鶏糞や下水汚泥といった発酵促進材料を添加して発酵させたものである。この発酵促進材料の添加が、砒素あるいはほう素値の超過原因であると推察される。このため、混合工程ST4において混合する木くずとして、発酵促進材料が含まれていない木くずを選定することにした。
【0037】
次に、消臭性を有する材料として発酵促進材料が含まれていない木くずを3種類選定し、肥料として適しているかを評価してみた。
【0038】
まず、原材料に混合する混合対象物の候補として、3種類の木くず、すなわちバーク堆肥の原料となる長さ60mm〜70mmの木くず(以下、混合物Aと称する)、雑草の繁殖を防止するために土壌に敷かれる長さ25mm〜35mmの木くず(以下、混合物Bと称する)、及びおがくず(以下、混合物Cと称する)を用意し、それぞれ単体の化学分析を行い、これら混合対象物の候補の、砒素、ふっ素及びほう素の値を調べてみた。また、参考として、ダム土についても同様に調べてみた。
【0039】
その結果、図3(a)に示すように、混合物C及びダム土は、土壌環境基準における砒素、ふっ素及びほう素の項目を満たしているが、混合物Aはほう素、混合物Bは砒素の値が規制値を超過していることがわかった。
【0040】
このため、混合物C又はダム土を混合物として選定する場合には、混合物C又はダム土と原材料との混合比を任意に設定することが可能である。また、混合物A又は混合物Bを混合物として選定する場合には、原材料に混合物A又は混合物Bを混合した場合に、ほう素又は砒素の値が、土壌環境基準の規制値を越えないように、混合物A又は混合物Bと原材料との混合比を設定する必要がある。
【0041】
次に、混合物Bの含有率が33%(原材料:混合物B=2:1)になるように、原材料に混合物Bとを混合したものの化学分析を行い、砒素、ふっ素及びほう素の値を調べてみた。また、参考として、ダム土の含有率が50%(原材料:ダム土=1:1)になるように、原材料にダム土混合したものの化学分析を行い、砒素、ふっ素及びほう素の値を調べてみた。
【0042】
その結果、図3(b)に示すように、混合物Bの含有率が33%のもの、ダム土の含有率が50%のものは、いずれも土壌環境基準における砒素、ふっ素及びほう素の項目を満たしていることが分かった。したがって、混合物Bの含有率が33%以下であれば、土壌環境基準における砒素、ふっ素及びほう素の項目を満たすようになることが分かった。
【0043】
図4は、原材料に混合する混合対象物の候補として挙げた混合物A〜Cの3種類の木くず及びダム土に対し、外観調査、単体化学分析、悪臭調査、混合化学分析、コスト調査を行い、それぞれ適しているか否かを評価した結果を示すものである。
【0044】
外観調査は、作成した肥料の外観の調査を行うものであり、調査の結果は、混合物B、C、ダム土については問題ないが、混合物Aは、木くず自体が大きく、肥料として散布するには見栄えが悪いと評価した。
【0045】
単体化学分析は、土壌環境基準における砒素、ふっ素及びほう素の値を調査するものである。分析結果は、図3(a)に示すように、混合物A、Bについては規制値を超過した項目があるが、混合物C、ダム土については、規制値を満足していると評価した。
【0046】
悪臭調査の結果は、混合物A、B、Cについては、原材料と混合してから1週間程度は、生臭さがある。しかしそれ以降、悪臭は解消されるため、問題ないと評価した。ダム土については若干の生臭さが残った。
【0047】
混合化学分析の結果は、混合物C及びダム土については、規制値を満足していると評価した。また、混合物Bについては、図3(b)に示すように、規制値を満足していると評価した。なお、混合物Aについては化学分析を行っていない。
【0048】
コストについては、混合物A、B及びダム土については、安価に入手することが可能であるが、混合物Cについては、コストがかかる。
【0049】
以上の評価に基づいて総合的に評価したところ、混合物Bが混合対象物として最適であり、混合物Bの含有率が33%となるように原材料と混合物Bとを混合して製造した肥料が、最も良好な評価が得られた。また、ダム土も混合対象物として適しており、ダム土の含有率が50%となるように原材料とダム土とを混合することによって製造した肥料も、概ね良好な評価が得られた。また、混合物Cについては、コスト高であることから混合対象物として適していないと評価した。また、混合物Aについては、木くず自体が大きく、肥料として散布するには見栄えが悪いという理由で混合対象物として適していないと評価した。したがって、本実施形態においては、混合物Bの含有率が33%になるように原材料と混合物Bとを混合したものを発酵させて、肥料化することとした。
【0050】
なお、混合物C(おがくず)が安価に入手可能になった場合には、原材料への混合対象物として採用することが可能になる。また、混合物A(バーク堆肥の原料となる木くず)については、例えば、原材料に混合した後、発酵期間を長くして、混合物Aが崩れやすいになった後に、粉砕機に通して粉砕し、必要に応じて更に発酵期間をおくことにより、肥料として用いることが可能になる。
【0051】
[製造した肥料の評価]
次に、混合物Bの含有率が33%になるように原材料と混合物Bとを混合して製造した肥料の化学分析を行い、土壌環境基準に定められた項目、及び肥料成分の分析値を図5にまとめてみた。
【0052】
図5に示すように、混合物Bの含有率が33%になるように原材料と混合物Bとを混合して製造した肥料は、土壌環境基準に定められた項目を全て満たしていることがわかった。また、肥料成分として窒素、リン酸、カリが含まれていることがわかった。
【0053】
したがって、混合物Bの含有率が33%になるように原材料と混合物Bとを混合して製造した肥料は、土壌に散布することが可能であり、植物の成長に役立つ肥料として用いることが可能である。
【0054】
また、悪臭の発生を抑えるためには、木くずの含有率を増やすことが有効であるが、廃棄物である原材料をできるだけ多く肥料化するためには、原材料の含有率を増やす必要がある。このため、発酵期間が終了する頃に悪臭が解消されているように、原材料と木くずとの混合比を設定するのが望ましい。本実施形態によれば、原材料と木くずとの混合比を2:1に設定したことにより、悪臭の発生を抑え、かつ原材料をできるだけ多く肥料化することが可能になる。
【0055】
また、図4に示すように、原材料と木くずとを混合した後、約1週間後に生臭さが解消されているため、木くずの含有率を若干低く(例えば、30%)設定しても、発酵期間である約1ヶ月間には生臭さを解消することができると推測することが可能である。また、図3に示すように、混合物B単体における砒素の含有量が0.014であったのが、原材料と木くずとを混合比を2:1で混合することによって、0.007に低下した。ここで、土壌環境基準における砒素の規制値が0.01であるため、木くずの含有率を若干高く(例えば、35%)設定しても、土壌環境基準値を満たすと推測することが可能である。したがって、本実施形態によれば、原材料と木くずとの混合比を2:1に設定しているが、原材料と木くずとを厳密に2:1に混合する必要はなく、概ね2:1であればよい。例えば、木くずの含有率が30%〜35%程度であること、言い換えれば、原材料の含有率が65%〜70%程度であればよい。
【0056】
以上、説明したように本実施形態によれば、粉砕された原材料は、土壌環境基準値を満たすものの、主成分が貝類であるため、悪臭が発生するおそれがある。そこで、原材料と木くずとの混合比が2:1になるように、粉砕した原材料と木くずとを混ぜることにより、木くずの消臭作用によって、悪臭の発生を低減することができる。また、原材料と木くずとの混合物を1ヶ月以上発酵させることにより、悪臭を除去した肥料を製造することが可能となる。しかも、従来、焼却処分にしていた廃棄物を、肥料としてリサイクル利用することにより、焼却処分によって発生していた有害物質を低減し、環境に優しい肥料として土壌に返すことが可能になる。
【0057】
また本実施形態によれば、35mm以下の長さの木くずを混ぜて製造した肥料は、土壌に散布した際に、木くずが目立つことがなくなる。
【0058】
また本実施形態によれば、発電所の取水設備において陸揚げされた、貝類、海草、小魚等を、焼却処分とするのではなく、肥料として再生することが可能になる。
【0059】
また本実施形態によれば、貝類の貝の部分の石灰成分、及び貝類の中身が有機成分となり、植物に適した肥料を製造することが可能になる。
【0060】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、発酵工程ST5において、例えば、原材料と木くずとを混合する場合に、用意した木くずの2/3を原材料に混合する。この原材料と木くずとの混合物を発酵場所に蓄積する際に、図6に示すように、残りの1/3の木くずを混合物の上下あるいは周囲に敷き詰めた状態におく。そして、1週間程度経過したのち、混合物との周囲に敷き詰めた木くずとを混ぜ合わせる。このように発酵工程を行うことにより、更に悪臭の発生を抑えることができる。
【0061】
また、発酵場所を、発電施設で熱交換されて温められた海水を排水する配管がある場所に作り、温められた海水の温度を、発酵場所にある肥料に加えることによって、特に、冬季において、発酵を促してもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 取水路
12 除塵機
50 発電施設
ST1 陸揚げ工程
ST2 保管工程
ST3 粉砕工程
ST4 混合工程
ST5 発酵工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貝類を主成分とする原材料を粉砕する粉砕工程と、
当該粉砕工程で粉砕された原材料に木くずを混合する混合工程と、
当該混合工程で混合された原材料と木くずとを、1ヶ月以上発酵させる発酵工程とを有し、
前記混合工程における、前記原材料と木くずとの混合比を2:1とすることを特徴とする肥料製造方法。
【請求項2】
前記木くずは、35mm以下の長さであることを特徴とする請求項1記載の肥料製造方法。
【請求項3】
前記原材料は、発電施設に供給する海水を取り込む取水設備において、海水から除去した廃棄物であることを特徴とする請求項1又は2記載の肥料製造方法。
【請求項4】
前記原材料の80%以上が貝類であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の肥料製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−171856(P2012−171856A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38525(P2011−38525)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】