説明

肥満を処置するための薬物併用療法

少なくとも1種の抗コリンエステラーゼ剤と少なくとも1種の抗うつ剤とを投与することにより、過体重または肥満の個体において望ましい体重減少を達成する方法が、提供される。本発明はまた、少なくとも1種の抗コリンエステラーゼ剤と少なくとも1種の抗うつ剤との同時送達のための薬学的組成物およびキットもまた、提供する。本発明は、肥満を処置するための方法、望ましい体重減少を達成するための方法、望ましくない体重増加を予防するための方法、体重減少を促進するための方法、体重減少を補助するための方法、安定な体重を維持する方法および肥満の個体または過体重の個体において体重を減少させる方法を提供し、これらの方法は、一般に、その個体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2003年11月19日に出願された、米国仮特許出願番号60/523,610の利益を主張する。米国仮特許出願番号60/523,610の開示は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(連邦政府に支援された研究および開発を受けてなされた発明への権利に関する声明)
適用せず。
【0003】
(発明の背景)
肥満は、米国、そしておそらく先進国世界において、最も一般的な栄養性障害である。多数の研究が、過剰な体重の減少が、慢性疾患(例えば、糖尿病、高血圧、高脂血症、冠動脈心疾患および筋骨格疾患)に対する危険性を劇的に低下させることを示している。現在利用可能な肥満および体重減少のための薬理学的処置としては、食欲抑制剤であるフェンテルミン(特許文献1を参照のこと)と一緒に選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)を投与すること;光学的に純粋なシブトラミン代謝物(特許文献2を参照のこと)を投与すること;抗うつ剤(例えば、トラゾドン、ブプロピオン(またはフルオキセチン(特許文献3を参照のこと)と一緒にレセルピンを投与することが挙げられる。他の薬理学的処置としては、アセチルコリネステラーゼ再活性化剤(特許文献4を参照のこと)、アザ−インドリル誘導体(特許文献5を参照のこと)または熱産生を増加させ、かつ脂肪分解を増加させる化合物(特許文献6を参照のこと)を投与することが挙げられる。
【特許文献1】米国特許第6,548,551号明細書
【特許文献2】米国特許第6,538,034号明細書
【特許文献3】米国特許第4,895,845号明細書
【特許文献4】米国特許第5,900,418号明細書
【特許文献5】米国特許第6,583,134号明細書
【特許文献6】米国特許第6,534,496号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の体重減少および肥満のための薬理学的処置の問題としては、まず第一に、多くの患者が体重減少を達成することを補助できない薬剤が挙げられる。最初に働くこれらの薬理学的レジメンは、しばしば、多くの患者が体重減少を達成し続けることまたは安定な体重を維持し続けることを補助できない。明らかに、所望の体重減少を達成するための、そして肥満を処置するための効果的な薬理学的処置の必要性が、依然として存在する。本発明は、この必要性および他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、肥満を処置するための方法、望ましい体重減少を達成するための方法、望ましくない体重増加を予防するための方法、体重減少を促進するための方法、体重減少を補助するための方法、安定な体重を維持する方法および肥満の個体または過体重の個体において体重を減少させる方法を提供し、これらの方法は、一般に、その個体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、これらの方法は、肥満の個体または過体重の個体に、有効量のベンラファキシンとリバスチグミン(rivastigmine)とを投与する工程を包含する。通常、これらの方法は、長期間にわたって実施される。本発明はまた、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との混合物からなる薬学的組成物を提供する。好ましい実施形態において、この薬学的組成物は、制御放出処方物を含む。
【0006】
(発明の詳細な説明)
(定義)
用語「肥満の」または「肥満」とは、過剰な脂肪組織のために、30kg/m以上のボディマス指数(BMI)を有する個体をいう。肥満はまた、身体脂肪含有量に基づいて定義され得る:男性に対しては25%を超える身体脂肪含有量、または女性に対しては30%を超える身体脂肪含有量。「病的に肥満の」個体は、35kg/mより大きいボディマス指数を有する。
【0007】
用語「過体重」とは、25kg/mより大きいが、30kg/mよりも小さいボディマス指数を有する個体をいう。
【0008】
用語「ボディマス指数」または「BMI」とは、個体の体重がその身長に対して適切であるか否かを評価する体重対身長比の測定値をいう。本明細書中で使用される場合、個体のボディマス指数は、以下のように計算される:
BMI=(ポンド×700)/(身長(インチ))
または
BMI=(キログラム)/(身長(メートル))
【0009】
用語「基準体重」とは、処置の開始時に、上記個体によって提示された体重をいう。
【0010】
本明細書中で使用される場合、「投与する」とは、経口投与、坐剤としての投与、局所的接触、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病巣内投与、鼻腔内投与もしくは皮下投与、または被験体への徐放性デバイス(例えば、ミニ浸透圧ポンプ)の移植を意味する。投与は、任意の経路による投与(非経口、および経粘膜(例えば、経口、経鼻、経膣、直腸または経皮)が挙げられる)である。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、経細動脈、経皮、皮下、腹腔内、脳室内および頭蓋内が挙げられる。送達の他の様式としては、リポソーム処方物の使用、静脈注入、経皮パッチなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
用語「コリンエステラーゼインヒビター」および「抗コリンエステラーゼ」とは、互換的に、酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AchE)の活性を阻害する薬学的化合物をいう。コリンエステラーゼインヒビターは、一般に、「可逆性」、「偽性非可逆性」または「緩徐可逆性(slow reversible)」、および「非可逆性」に分類される。「可逆性」コリンエステラーゼインヒビターは、代表的に、非共有結合性インヒビターである。「偽性非可逆性」コリンエステラーゼインヒビター、「偽性可逆性」コリンエステラーゼインヒビターまたは「緩徐可逆性」コリンエステラーゼインヒビターは、高親和性でAChEと、共有結合性または非共有結合性で反応する。偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビターは、排他的ではないが代表的に、カルバモイルエステル結合を有し、AChEにより加水分解されるが、アセチルコリンよりも非常に遅い。AChEの活性中心のセリンによる攻撃が、カルバモイル化AChEを生じさせる。カルバモイル化抗コリンエステラーゼ剤による阻害期間は、約3〜4時間であり得る。このようなカルバモイル化剤(例えば、フィゾスチグミン、ネオスチグミンおよびピリドスチグミン)の半減期は、約1〜2時間であり得る。「偽性非可逆性」コリンエステラーゼインヒビターと「可逆性」コリンエステラーゼインヒビターとの間の差異は、一般的に、アシル化酵素の脱アシル化の速度における定量的な違いを反映する。「偽性非可逆性」コリンエステラーゼインヒビターを用いると、ジメチルカルバモイル酵素の加水分解に対する半減期(tl/2)は、約15分〜30分である。「非可逆性」コリンエステラーゼインヒビターは、通常、有機リン酸化合物である。「非可逆性」コリンエステラーゼインヒビターを用いると、活性酵素が、1〜数時間後に自発的に、またはAChE活性の回復が新しい酵素の合成に依存するくらい緩徐に、再生し得る。抗コリンエステラーゼ剤は周知であり、そして例えば、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第8章、第10版、Hardman,LimbirdおよびGoodman−Gilman編、McGraw−Hill(2001)(本明細書中に参考として援用される)に詳しく説明される。
【0012】
用語「制御放出(controlled release)」、「徐放(sustained release)」、「長期放出(extended release)」および「時間放出(timed release)は、互換的に、薬物の放出が即時性ではない(すなわち、「制御放出」処方物を用いると、経口投与が、吸収プール(absorption pool)への薬物の即時放出をもたらさない)、任意の薬物含有処方物をいうことを意図される。これらの用語は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Gennaro編、Lippencott Williams & Wilkins(2003)に定義されるように、「非即時性放出」と互換的に使用される。そこで説明される通り、即時性放出および非即時性放出は、以下の式を参照して反応速度論的に定義され得る:
【0013】
【化1】


【0014】
用語「吸収プール」は、特定の吸収部位に投与された薬物の溶液を示し、k、kおよびkは、それぞれ(1)処方物からの薬物の放出、(2)吸収、および(3)排出に対する一次速度定数である。即時性放出投薬形態に対しては、薬物放出についての速度定数kは、吸収速度定数のkよりもずっと大きい。制御放出処方物に対しては、その逆が真である、すなわち、k<<kであり、その結果、その投薬形態からの薬物の放出速度が、標的領域への薬物送達における律速段階である。
【0015】
用語「徐放」および「長期放出」は、それらの従来の意味で使用され、長期間(例えば、12時間以上)にわたる段階的な薬物の放出を提供し、そして必須ではないが好ましくは、長期間にわたって実質的に一定の薬物血中レベルをもたらす薬物処方物をいう。
【0016】
本明細書中で使用される場合、「遅延放出(delayed release)」とは、胃をインタクトで通過し、小腸において溶解する薬学的調製物をいう。
【0017】
(概要)
本発明は、過体重または肥満の個体において所望の体重減少を達成するための、そして長期間にわたる継続的な体重減少および体重管理を達成するための、効果的な薬理学的処置を提供する。1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤との同時投与は、予想外に、特に長期的な抗うつ剤の投与に一般に関連する体重増加の副作用(例えば、MasandおよびGupta、Ann.Clin.Psych.14:175(2002);ならびにDeshmukhおよびFranco,Cleve.Clin.J.Med.70:614(2003)を参照のこと)を考慮すると、いずれかの種類の薬物単独の投与により達成されるよりも多量の体重の体重減少の維持を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(詳細な実施形態)
(処置方法)
1つの局面において、本発明は、肥満を処置するための方法を提供する。別の局面において、本発明は、肥満または過体重の個体において望ましい体重減少を促進、補助および達成する方法を提供する。別の局面において、本発明は、肥満または過体重の個体において体重を減少させるための方法を提供する。別の局面において、本発明は、安定な体重を維持するための方法、および肥満または過体重の個体において所望されない体重増加を予防するための方法を提供する。一般的に、これらの方法は、肥満または過体重の個体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを、体重減少を実現および/または維持するのに有効な期間投与する工程を包含する。
【0019】
通常、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との上記組み合わせは、長期間にわたって上記個体に投与される。代表的に、上記方法は、少なくとも20日間、より代表的には、少なくとも40日間、60日間、80日間または100日間、そして通常は、少なくとも150日間、200日間、250日間、300日間、350日間、1年間またはそれより長い間実施される。特定の個体は、本処置方法を、1年間より長く、代表的には少なくとも400日間、450日間、500日間、550日間、600日間、650日間、700日間、800日間、900日間、1000日間受け、より少ない体重を首尾よく維持する。しかし、個体は、本方法で処置され、2年間、3年間、4年間またはそれより長くより少ない体重を首尾よく維持し得る。重要なことには、本方法は、処置の長期間にわたって、所望の体重減少および体重安定を維持する。
【0020】
上記方法は、うつ病と診断されていないかまたは罹患していない個体の処置に有用であるが、うつ病と診断されかつうつ病を罹患している個体の処置にもまた用途を見出す。
【0021】
代表的に、上記抗コリンエステラーゼは、1種以上の可逆性コリンエステラーゼまたは偽性非可逆性抗コリンエステラーゼを含有する。例示的な可逆性インヒビターとしては、タクリン、ドネペジルおよびガランタミンが挙げられる。例示的な偽性非可逆性インヒビターとしては、フィゾスチグミン、エプタスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、ガンスチグミン(ganstigmine)およびリバスチグミンが挙げられる。偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビターとしてはまた、カルバメート殺虫剤(カルバリル(Sevin)、プロポクスル(Baygon)およびアルジカルブ(aldicarb)(Temik)を含む)が挙げられる。代表的に、偽性非可逆性抗コリンエステラーゼは、カルバメート部分(例えば、リバスチグミン、エプタスチグミン、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、ピリドスチグミンおよびガンスチグミン)を含む。本発明の使用に適した他の臨床的に使用される可逆性抗コリンエステラーゼ剤としては、デメカリウム、アンベノニウムおよびエドロホニウムが挙げられる。本発明において用途を見出し得るさらなるコリンエステラーゼインヒビターとしては、ヒュペルジン(huperzine)A、T−82、フェンセリン(phenserine)、キノスチグミン(quilostigmine)およびTAK−147が挙げられる。1つの好ましい実施形態において、リバスチグミンが投与される。1つの好ましい実施形態において、ガランタミンが投与される。1つの好ましい実施形態において、ドネペジルが投与される。当業者は、他の列挙されていない抗コリンエステラーゼ剤が適用可能であることを容易に認識する。
【0022】
特定の実施形態において、上記抗コリンエステラーゼは、1種以上の非可逆性抗コリンエステラーゼ剤を含有する。例えば、コリンエステラーゼ活性の阻害は、有機リン酸塩(有機フルオロリン酸塩、有機シアノリン酸塩、有機チオリン酸塩または有機チオシアノリン酸塩)の使用により達成され得る。例示的な非可逆性インヒビターとしては、サリン、メトリホナート、ソマン、タブン、フルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)ならびに上記殺虫剤のパラチオン、パラオクソンおよびマラチオンが挙げられる。これらの治療剤は、活性部位のセリンをアシル化することにより、コリンエステラーゼを共有結合的に改変する。メトリホナートの作用についての半減期は、ヒトにおいて約15日であると報告されている。非可逆性阻害は、患者の服薬遵守を向上させるために魅力的であり得る。必要な場合、非可逆性コリンエステラーゼインヒビターの効果は、その患者にアトロピンおよび/またはプラリドキシムを与えることにより相殺され得る。前者は、非特異的ムスカリン性アセチルコリンレセプターアンタゴニストであり、後者は、活性部位のセリンのアシル化を戻すことによりコリンエステラーゼを再活性化する。
【0023】
特定の実施形態において、上記抗コリンエステラーゼは、AChEの活性中心のアシルポケット、AChEの活性中心のコリンサブサイトまたはAChEの周辺アニオン性部位に結合する1種以上のコリンエステラーゼインヒビター剤を含有する。例えば、エドロホニウムおよびタクリンは、AChEのトリプトファン86およびグルタミン酸202の周辺のコリンサブサイトに結合する。ドネペジルは、より高い親和性でAChEの活性中心に結合する。プロピジウムおよびそのおよびペプチド毒素であるファシクリン(fasciculin)は、AChEの周辺アニオン性部位に結合する。これは、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、上記、175−89ページ(本明細書中に参考として援用される)に概説される。
【0024】
特定の実施形態において、上記抗コリンエステラーゼはまた、ニコチン性アセチルコリンレセプターに対して、その作用のアロステリックな増強剤として作用し得る。同様にニコチン性レセプターの増強剤である例示的な抗コリンエステラーゼは、ガランタミンである。
【0025】
抗コリンエステラーゼ剤および抗うつ剤についての投与される投薬量は、当業者により実施される投薬レジメンおよび日程レジメンに従う。本方法において使用される薬剤の適切な投薬のための一般的な指針は、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、Hardman,LimbirdおよびGoodman−Gilman編、McGraw−Hill(2001)ならびにPhysicians’ Desk Reference(PDR)(例えば、第57版または第58版)Thomson PDR(2003または2004)(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に提供される。抗コリンエステラーゼ剤および抗うつ剤の公表されている投薬は、体重減少を促進するかまたは体重増加を阻害する処置とは異なる効能のためのものである。代表的に、本発明の実施のための効果的な抗コリンエステラーゼ剤および抗うつ剤の投薬量は、それぞれ他の効能(例えば、アルツハイマー病およびうつ病)のための公表された投薬量と同等またはそれ未満(例えば、約25%、50%、75%または100%)であり得る。
【0026】
1種以上のコリンエステラーゼインヒビターの適切な投薬量は、他の因子(例えば、患者の応答)のうちで、選択された投薬経路および組成物の処方に従って変動する。その投薬量は、個体患者により要求されるように、経時的に増加または減少され得る。通常、患者は、低用量を最初に与えられ、これは次いで患者が耐えられる効果的な投薬量に増加される。例えば、ネオスチグミンの効率的な非経口用量は、用量当たり約0.5mg〜約2.0mgであり、等価な経口用量は、用量当たり約15mg〜約30mg以上である。塩化エドロホニウムの適切な経口用量は、1日当たり約2mg〜約10mgであり、アンベノニウムの経口用量は、1日当たり約2.5mg〜約5mgである。ピリドスチグミンは、30mg〜60mg用量の「即時性放出」調製物において、そして約180mgの徐放性処方物において投与され得る。本方法の実施において使用するために、リバスチグミンは、用量当たり約0.4mg〜約6.0mgで、通常は用量当たり約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約4.5mgで、そして最高1日当たり12.0mgの量で投与され得る。本方法において、ガランタミンは、1日当たり約2mg〜12mgで、そして通常1日当たり約4mg、約6mg、約8mgまたは約10mgの投薬量で投与され得る。ドネペジルは、1日あたり約1mgと約10mgとの間、好ましくは1日当たり約5mgまたは約10mgの投薬量で投与され得る。
【0027】
非限定的な例示を提供するために、リバスチグミンの初期用量は、1日に1.25mgを2回であり得、例えば、1回は夕食前で1回は夕食前である(PDR,第57版、2003(上記)を参照のこと)。患者がこの用量で体重を減少した場合、その用量は増加されない。体重が減少されない場合、夕食前に採られる用量が2.5mgに増加され得る。いくらかの患者において、大きな問題は、晩の間(すなわち、夕食後)の食事である。この場合において、次の工程は、夕食前の用量を2.5mgに増加させる代わりに、夕食前の用量の2〜3時間後の1.25mg(合計の1日量が4.5mg)の投与であるかもしれない。最大の1日量は、通常、1日当たり12mgである。合計の1日量は、患者のニーズに従って、3回の合間(朝、夕食および晩)の間に患者に分配され得る。患者が1週間以上その投薬を中止する場合、処置は、少用量でやり直すことにより再開され得、そしてその用量は、相対的に速やかに増加され得る。リバスチグミンは、シトクロムP450により代謝されないため、他の薬物とほとんど相互作用を有さない。副作用は、通常、胃腸性であり、用量を調整することにより対処され得る。必要な場合、プロトンポンプインヒビター(例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール)が使用され得る。別の例として、ガランタミンの初期用量は、朝食および夕食と一緒に採られる1日に4mgを2回であり得る。これが効果的でない場合、その用量は、1日に8mgを2回に増加され得る。最大用量は、通常、1日に12mgを2回である。さらなる例を提供するために、ドネペジルは、代表的に、持続期間が長いので、1日に1回のみ与えられる。開始用量は、5mgであり得、そして最高の用量は、通常、10mgである。患者が総量の特定のコリンエステラーゼインヒビターを許容し得ない場合、第二のコリンエステラーゼインヒビターが、十分に許容されていないコリンエステラーゼインヒビターと一緒に(例えば、少用量のドネペジル+リバスチグミン)与えられ得る。
【0028】
特定の患者のために、本方法は、最初に抗コリンエステラーゼ剤を単独で投与し、引き続いて抗コリンエステラーゼと抗うつ剤とを同時投与することにより、実施される。特定の患者のために、その方法は、最初に抗うつ剤を単独で投与し、引き続いて抗コリンエステラーゼと抗うつ剤とを同時投与することにより、実施される。患者は、抗コリンエステラーゼおよび抗うつ剤の両方の投与を開始する前に、最初に抗うつ剤または抗コリンエステラーゼのいずれかを単独で、3日間、5日間、7日間、10日間、14日間、20日間、または30日間与えられ得る。非限定的な例を提供するために、患者は、ベンラファキシンを単独で1週間(7日間)または10日間与えられ、次いでベンラファキシンおよびリバスチグミンの両方を与えられる。
【0029】
本発明における使用のための抗うつ剤は、その作用機構によって限定されず、任意の種類の抗うつ剤が適用可能である。例えば、三環系抗うつ剤(TCA)およびそのアナログ、セロトニン再取り込みインヒビター、モノアミンオキシダーゼインヒビター(MAOI)、セロトニンアゴニストおよびそのプロドラッグ、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ドーパミン再取り込みインヒビターおよびセロトニン再取り込み促進剤は全て、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と組み合わせて投与され、体重減少もしくは体重の安定化に影響し得るかまたは体重増加を予防し得る。セロトニン再取り込みインヒビターは、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)およびセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビター(SNRI)の両方を包含する。ノルエピネフリン再取り込みインヒビターは、特異的ノルエピネフリン再取り込みインヒビターおよび混合性ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター(NDRI)の両方を包含する。セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビターまたは「トリプル再取り込みインヒビター」もまた、本発明における用途を見出す。
【0030】
本発明における使用のための三環系抗うつ剤としては、アミネプチン、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、ドチエピン(dothiepin)、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、アモキサピン、四環マプロチリンおよび筋弛緩剤のシクロベンザプリンが挙げられる。他の列挙されていない三環系抗うつ剤およびそのアナログもまた、使用され得る。
【0031】
1つの好ましい実施形態において、有効量の1種以上の抗コリンエステラーゼ剤が、有効量の選択的セロトニン再取り込みインヒビターと一緒に同時投与される。例示的な選択的セロトニン再取り込みインヒビターとしては、シタロプラム(citalopram)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンが挙げられるが、列挙されていないSSRIも適用可能である。1つの好ましい実施形態において、シタロプラムは、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と一緒に同時投与される。さらに好ましい実施形態において、有効量のガランタミンが、有効量のシタロプラムと一緒に同時投与される。さらに好ましい実施形態において、有効量のドネペジルが、有効量のセルトラリンと一緒に同時投与される。
【0032】
1つの好ましい実施形態において、有効量の1種以上のセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターが、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと一緒に同時投与される。例示的なセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターとしては、ミルナシプラン、ミルタザピン、ベンラファキシン、デュロキセチン(duloxetine)、(−)1−(1−ジメチルアミノメチル−5−メトキシベンゾ−シクロブタン−1−イル)シクロヘキサノール(S33005)、DVS−233(デスベンラファキシン(desvenlafaxine))、DVS−233 SRおよびシブトラミンが挙げられるが、列挙されていないSNRIもまた、有用である。1つの好ましい実施形態において、ベンラファキシンが、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と一緒に同時投与される。さらに好ましい実施形態において、有効量のベンラファキシンが、有効量のリバスチグミンと一緒に同時投与される。1つの好ましい実施形態において、有効量のデュロキセチンが、有効量の1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と一緒に同時投与される。
【0033】
他の実施形態において、有効量の1種以上の選択的ノルエピネフリン再取り込みインヒビターが、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと一緒に同時投与される。例示的な選択的ノルエピネフリン再取り込みインヒビターとしては、レボキセチンおよびアトモキセチン(atomoxetine)が挙げられる。
【0034】
1つの好ましい実施形態において、有効量の1種以上のノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビターが、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと一緒に同時投与される。例示的なノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビターとしては、アミネプチン、GW353162およびブプロピオンが挙げられる。ブプロピオンの場合、代謝物が、ノルアドレナリン再取り込み遮断を担うと考えられる。
【0035】
1つの好ましい実施形態において、有効量の1種以上のトリプル(セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン)再取り込みインヒビターが、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと一緒に同時投与される。例示的なトリプル再取り込みインヒビターとしては、SEP−225289、DOV 216,303および(+)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ−[3.1.0]ヘキサン塩酸塩(DOV 21,947)が挙げられる。
【0036】
本発明における使用のためのモノアミンオキシダーゼインヒビターとしては、徐放送達形態および経皮送達形態と一緒になった、ベフロキサトン(befloxatone)、ブロファロミン、デプレニール、イソカルボキサジド、モクロベミド(moclobemide)、パルジリン、フェネルジン、セレギリンおよびトラニルシプロミンが挙げられる。
【0037】
抗コリンエステラーゼ剤と一緒に同時投与されて体重減少または体重安定化に影響し得るかまたは体重増加を予防し得る他の抗うつ剤としては、マプロチリン、チアネプチン、ネファゾドンおよびトラゾドンが挙げられる。
【0038】
抗うつ剤のための適切な投薬量は、他の因子のうちで、選択された投与の経路および組成物の処方に依存する。例えば、三環系抗うつ剤は、1日当たり約25mg〜約600mgの用量で、そして通常1日当たり約75mg〜約300mgの用量で投与される。セロトニン−再取り込みインヒビターは、1日当たり約5mg〜約400mgの用量で、そして通常1日当たり約20mg〜250mgの用量で投与される。特に、本方法の実施において、ベンラファキシンは、用量当たり約9mg〜約225mgで投与され得、そして通常は、用量当たり約37.5mg、75mg、150mgまたは225mgで投与される。ベンラファキシンは、代表的に、1日当たり約25mg〜550mgで、そして通常は1日当たり約37.5mg〜375mgで、より代表的には1日当たり約75mg〜約225mgで、そして最も代表的には1日当たり約37.5mg、約75mg、約150mg、約225mgまたは約300mgで投与される。個々の患者に適切なように、毎日のベンラファキシン投薬量は、1日に1回、2回、3回、4回またはそれより多い回数に分割および投与され得る。本方法を実施するにあたり、シタロプラムは、1日当たり約5mg〜約60mgで、そして好ましくは1日当たり約10mg、約20mgまたは約30mgで投与される。通常、シタロプラムは、1日に1回、例えば朝または晩に投与される。しかし、いくらかの患者は、投薬量のシタロプラムを、1日に2回以上で与えられる。特殊な抗うつ剤(ブプロピオン、ネファゾドンおよびトラゾドンを含む)は、1日当たり約50mg〜600mg、そして通常は1日当たり約150mg〜400mgの用量で投与される。モノアミンオキシダーゼインヒビターは、代表的に、1日当たり約5mg〜90mgで、そして通常は1日当たり約10mg〜60mgの用量で投与される。
【0039】
非限定的な具体例を提供するために、SSRIのシタロプラムに対する常用量は、1日当たり20mgである。シタロプラムは、1日に1回、通常は朝に与えられ得る。シタロプラムは患者を弛緩させ、食物摂取の減少をより許容性にする。シタロプラムとコリンエステラーゼインヒビターとの間には、公知の有害な相互作用は存在しない。シタロプラムは、ベンラファキシンと一緒に使用され得る。その用量は、1日当たり5mg〜60mgにわたり得る。別の例として、ベンラファキシンは、コリンエステラーゼインヒビターの効果を増強する。ベンラファキシンは最初に、1日当たり30mg〜40mgで投与され得、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターを同時投与する前に、1週間または2週間で1日当たり100mg〜150mgに段階的に増加される。副作用がより多用量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターの使用を阻害する場合、ベンラファキシンの用量における増加が体重の減少を増加し得る。病的な肥満のために、1日当たり375mgの用量が使用され得る。ベンラファキシンは、好ましくは、コリンエステラーゼインヒビターと同時に投与される。ベンラファキシンの吸収は、食物の存在により影響されない。1日当たり300mgを超える用量において、血圧の緩やかな上昇が、患者の15%において起こり得る。これは、利尿剤、ループ利尿剤、ACEインヒビターもしくはアンギオテンシン−IIレセプターI型インヒビターまたは他の血圧低下剤の投与により、容易に相殺される。より多用量のベンラファキシンはまた、心拍数の増加を引き起こし得る。これが問題となる場合は、ベンラファキシンの用量は減少されるべきである。β遮断薬の使用は、ベンラファキシンの治療的効果を妨害する傾向がある。ベンラファキシンは、他の薬物の代謝についてほとんど影響を有さず、そして他の薬物は、ベンラファキシンの代謝についてわずかな影響のみを有する。
【0040】
本発明の併用処置は、望ましくない体重増加を予防または安定な体重を維持するために予防的に投与されてもよいし、望ましい体重減少を達成または連続した期間にわたってそのような体重減少を維持するために治療的に投与されてもよい。一般的に、本方法の実施において、1種以上の抗うつ剤と同時投与される有効量の1種以上の抗コリンエステラーゼ剤は、一緒に投与されても別々に投与されてもよいし、同時に投与されても異なる時に投与されてもよい。その抗コリンエステラーゼ剤および抗うつ剤は、必要に応じて、独立して1日に1回、2回、3回、4回、またはそれより多いかもしくは少ない頻度で投与され得る。好ましくは、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤および1種以上の抗うつ剤は、いずれも1日に1回、同時に、例えば混合物として投与される。好ましくは、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤との組み合わせは、徐放処方物において投与される。
【0041】
通常、本発明に従って処置される被験体は、処置の約50日、約60日〜約70日後に少なくとも約10ポンド、約15ポンド〜約20ポンド減少し得、処置の約80日、約90日、約100日〜約110日後に少なくとも約20ポンド、約25ポンド、約30ポンド〜約35ポンド減少し得、そして処置の約200日、約300日、約350日〜約400日後に少なくとも約35ポンド、約40ポンド、約45ポンド、約50ポンド〜55ポンド減少し得る。代表的に、本方法に従って処置される個体は、その個体の基準体重の少なくとも約5%、そしてより普通には基準体重の少なくとも約10%、約15%または約20%を減少し得、そして100日、150日、200日、250日、300日、350日、400日、450日、500日、550日、600日、700日、800日、900日、1000日以上処置レジメンを実施することにより、この所望の体重減少を安定に維持する。重要なことには、長期間にわたって有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターおよび有効量の1種以上の抗うつ剤を投与することは、長期間の処置を通じて、安定な体重状態および望ましくない体重増加の予防を促進する。本発明の併用処置は、肥満および過体重の個体のために特に適しているが、体重の減少、安定な体重の維持または好ましくない体重増加の予防を願望する任意の個体にもまた投与され得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、食欲抑制剤がさらに投与される。例示的な食欲抑制剤としては、アンフェタミン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン、フェンテルミン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、ジエチルプロピオン、マチンドール、フェンフルラミンおよびフェニルプロパノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。穏やかな刺激剤もまたさらに、投与され得る。例示的な刺激剤としては、プソイドエフェドリン、メチルフェニデート(methyl phenidate)およびモダフィニルが挙げられる。
【0043】
(薬学的処方/投与経路)
本発明はさらに、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との混合物を含む薬学的組成物を提供する。一般的に、その薬学的組成物は、AChEの可逆性インヒビター、AChEの偽性非可逆性インヒビターおよびAChEの非可逆性インヒビターからなる群より選択される抗コリンエステラーゼ剤を含有する。特定の実施形態において、その薬学的組成物は、カルバメート部分を含有する1種以上のコリンエステラーゼインヒビターを含む。1つの実施形態において、その薬学的組成物は、リバスチグミン、ガランタミンおよびドネペジルからなる群より選択される1種以上の抗コリンエステラーゼ剤を含む。
【0044】
特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビター(SNRI)、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ドーパミン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター(NDRI)、セロトニン−エピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン再取り込み促進剤、セロトニンアゴニストおよびそのプロドラッグである、1種以上の抗うつ剤を含有する。1つの実施形態において、その薬学的組成物は、ベンラファキシン、デュロキセチン、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SR、ブプロピオン、GW353162およびセルトラリンからなる群より選択される1種以上の抗うつ剤を含有する。
【0045】
1つの好ましい実施形態において、上記薬学的組成物は、有効量のリバスチグミンとベンラファキシンとを含有する。1つの好ましい実施形態において、その薬学的組成物は、有効量のガランタミンとシタロプラムとを含有する。1つの好ましい実施形態において、その薬学的組成物は、有効量のドネペジルとセルトラリンとを含有する。1つの好ましい実施形態において、その薬学的組成物は、有効量のガランタミンとパロキセチンとを含有する。1つの好ましい実施形態において、その薬学的組成物は、有効量のガランタミンとデュロキセチンとを含有する。
【0046】
1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤との組み合わせが、被験体(例えば、ヒト患者、家畜(例えば、ネコまたはイヌ))に、独立してまたは一緒に、それらの薬学的に受容可能な塩の形態において、または薬学的組成物の形態において投与され得る。この薬学的組成物において、上記化合物は、治療的有効量で(例えば、所望の体重減少もしくは体重維持または所望されない体重増加の予防に効果的に影響する用量で)、適切なキャリアまたは賦形剤と混合される。
【0047】
本発明の抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤の組み合わせは、治療的投与のための種々の処方物に組み込まれ得る。より具体的には、本発明の組み合わせは、適切な薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤との処方により、一緒にまたは別々に薬学的処方物内に処方され得、そして固形物形態、半固形物形態、液体形態または気体形態の調製物(例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、糖衣錠、ゲル、スラリー、軟膏剤(ointment)、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤および噴霧剤)に処方され得る。それ自体で、抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤の組み合わせの投与は、種々の方法(経口投与、口内投与、非経口投与、静脈内投与、皮内投与(例えば、皮下投与、筋肉内投与)、経皮投与などが挙げられる)において達成され得る。さらに、その化合物は、全身様式よりむしろ局所様式で、例えば、蓄積放出処方物または徐放処方物において、投与され得る。好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1種の抗コリンエステラーゼ剤と少なくとも1種の抗うつ剤とからなる薬学的組成物を提供する。
【0048】
本発明における使用のために適切な処方物は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第21版,Gennaro編,Lippencott Williams & Wilkins(2003)(これは本明細書中に参考として援用される)において見出される。本明細書中に記載される薬学的組成物は、当業者に公知な様式において、すなわち、従来の混合処理、溶解処理、顆粒化処理、糖衣作製処理、微粒子化(levigating)処理、乳化処理、被膜(encapsulating)処理、被膜処理(entrapping)または凍結乾燥処理の手段により、製造され得る。以下の方法および賦形剤は、単に例示であり、決して限定ではない。
【0049】
1つの好ましい実施形態において、抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤の組み合わせは、徐放処方物、制御放出処方物、長期放出処方物、時間放出処方物または遅延放出処方物(例えば、上記治療剤を含有する固形疎水性ポリマーの半透性マトリックス)における送達のために調製される。種々の型の徐放材料が確立され、そして当業者に周知である。現在の長期放出処方物としては、フィルムコート錠、多粒子システムまたはペレットシステム、疎水性材料または親油性材料を使用するマトリックス技術、および孔形成賦形剤を含むワックスベースの錠剤が挙げられる(例えば、Huangら、Drug Dev.Ind.Pharm.29:79(2003);Pearnchobら、Drug Dev.Ind.Pharm.29:925(2003);Maggiら、Eur.J.Pharm.Biopharm.55:99(2003);Khanvilkarら、Drug Dev.Ind.Pharm.228:601(2002);およびSchmidtら、Int.J.Pharm.216:9(2001)を参照のこと)。徐放送達システムは、その設計に依存して、上記化合物を、数時間または数日間の単位にわたって(例えば、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間またはそれより多い時間にわたって)放出し得る。通常、徐放処方物は、天然に生じるポリマーまたは合成ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)のようなポリマー性ビニルピロリドン;カルボキシビニル親水性ポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのような疎水性および/または親水性親水コロイド;ならびにカルボキシポリメチレン)を使用して調製され得る。
【0050】
上記徐放処方物または長期放出処方物はまた、無機質のような天然成分(二酸化チタン、二酸化シリコン、二酸化亜鉛および粘土を含む)(米国特許第6,638,521号を参照のこと、これは本明細書中に参考として援用される)を使用して調製され得る。本発明の抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤の組み合わせの送達において使用され得る例示的な長期放出処方物としては、米国特許第6,635,680号;同第6,624,200号;同第6,613,361号;同第6,613,358号;同第6,596,308号;同第6,589,563号;同第6,562,375号;同第6,548,084号;同第6,541,020号;同第6,537,579号;同第6,528,080号および同第6,524,621号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。具体的に目的とする制御放出処方物としては、米国特許第6,607,751号;同第6,599,529号;同第6,569,463号;同第6,565,883号;同第6,482,440号;同第6,403,597号;同第6,319,919号;同第6,150,354;同第6,080,736号;同第5,672,356号;同第5,472,704号;同第5,445,829号;同第5,312,817号および同第5,296,483号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。当業者は、他の適用可能な徐放処方物を容易に認識する。
【0051】
経口投与のために、抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤の組み合わせは、当該分野において周知な薬学的に受容可能なキャリアと混合することにより、容易に処方され得る。このようなキャリアは、処置されるべき患者による経口摂取のために、上記化合物が、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、乳剤、親油性懸濁液および親水性懸濁液、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方されることを可能にする。経口使用のための薬学的調製物は、所望される場合は錠剤または糖衣錠のコアを得るために適切な補助を加えた後に、上記化合物を固形賦形剤と混合し、必要に応じて得られる混合物を研磨し、そして顆粒の混合物を処理することによって、得られ得る。適切な賦形剤は、特に、糖のような充填剤(ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、イネデンプン、ポテトデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP))である。所望される場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天もしくはアルギン酸、またはそれらの塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)のような、崩壊剤が加えられ得る。
【0052】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチン製の押しはめ式(push−fit)カプセル、ならびにゼラチン製の柔らかい密閉カプセルおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)が挙げられる。その押しはめ式カプセルは、上記活性成分を、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)および/または潤滑剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸ナトリウム)、および必要に応じて安定剤との混合物として含有し得る。柔らかいカプセルにおいて、その活性化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール)に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が加えられ得る。経口投与のための全ての処方物は、このような投与のために適切な投薬量であるべきである。
【0053】
糖衣錠のコアは、適切なコーティングを備える。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、これは必要に応じて、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポル(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。染料または色素が、活性化合物用量の異なる組み合わせの識別または特徴付けのために、上記錠剤または糖衣錠コーティングに加えられ得る。
【0054】
上記化合物は、注射(例えば、ボーラス注射または継続注射)による非経口投与のために処方され得る。注射のために、抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤が、水性溶媒または非水性溶媒(例えば、植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステルまたはプロピレングリコール)に、所望される場合は従来の添加剤(例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および防腐剤)と一緒に、それらを溶解、懸濁または乳化することにより、調製物中に処方され得る。好ましくは、本発明の組み合わせは、水溶液に、好ましくは、生理的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス液、リンゲル液または生理食塩水緩衝液)に処方され得る。注射用処方物は、添加の防腐剤と一緒に、単位投薬形態において(例えば、アンプルまたは複数用量容器において)、提示され得る。その組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中で、懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態をとり得、そして懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方用因子を含み得る。
【0055】
非経口投与用薬学的処方物は、水溶形態の上記活性化合物の水溶液を含む。さらに、その活性化合物の懸濁液が、適切な油性注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒または親油性ビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、その懸濁液の粘度を増加させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン)を含み得る。必要に応じて、その懸濁液は、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために、その化合物の溶解性を増加させる適切な安定剤または因子もまた含み得る。あるいは、その活性成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)と一緒に構築するための粉末形態であり得る。
【0056】
全身投与もまた、経粘膜手段または経皮手段によるものであり得る。経粘膜投与または経皮投与のために、浸透されるべき障壁に対して適切な浸透剤が、処方物中に使用される。局所的な投与のために、その因子は、軟膏剤、クリーム、軟膏(salve)、粉末およびゲルに処方される。1つの実施形態において、経皮送達因子は、DMSOであり得る。経皮送達システムとしては、例えば、パッチが挙げられ得る。経粘膜投与のために、浸透されるべき障壁に対して適切な浸透剤が、処方物中に使用される。このような浸透剤は、当該分野において一般に公知である。本発明において用途を見出し得る例示的な経皮送達処方物としては、米国特許第6,589,549号;同第6,544,548号;同第6,517,864号;同第6,512,010号;同第6,465,006号;同第6,379,696号;同第6,312,717号および同第6,310,177号(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。
【0057】
口内投与のために、上記組成物は、従来の様式で処方された錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0058】
先に記載された処方物に加えて、本発明の抗コリンエステラーゼ−抗うつ剤の組み合わせはまた、蓄積調製物としても処方され得る。そのような長期的に作用する処方物は、(例えば、皮下または筋肉内への)移植または筋肉内注射により、投与され得る。従って、例えば、上記化合物は、適切なポリマー性物質もしくは疎水性物質(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と一緒に、あるいはわずかに(sparingly)可溶な誘導体(例えば、わずかに可溶な塩)として、処方され得る。
【0059】
上記薬学的組成物はまた、適切な固形相もしくはゲル相のキャリアまたは賦形剤を含み得る。そのようなキャリアまたは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0060】
本発明における使用のために適した薬学的組成物は、上記活性成分が治療的有効量で含有される組成物を包含する。投与される組成物の量は、当然、処置される被験体、その被験体の体重、罹患の重症度、投与様式および処方医の判断に依存する。有効量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示を考慮すると、十分に当業者の能力内である。一般的に、効果的なまたは有効量の1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤との組み合わせは、最初に低用量または少量の抗コリンエステラーゼ剤のみか、抗うつ剤のみか、または抗コリンエステラーゼ剤と抗うつ剤との組み合わせを投与し、有害な副作用が最小かまたはなく、処置される被験体にて体重減少もしくは体重安定化または体重増加の予防という所望の効果が観察されるまで、必要に応じて第二の投薬を加えながら、次いで投与される用量または投薬を段階的に増加させることによって決定される。本発明の組み合わせの投与のための適切な用量および投薬スケジュールを決定するための適用可能な方法は、例えば、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,第10版,Hardman,LimbirdおよびGoodman−Gilman編,McGraw−Hill(2001)、ならびにRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第21版,Gennaro編,Lippencott Williams & Wilkins(2003)(これらのいずれも、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0061】
投薬量および投薬間隔は、治療的効果を維持するのに十分な上記活性化合物の血漿レベルを提供するように、個々に調整され得る。好ましくは、治療的に有効な血清レベルが、単回の1日量を投与することにより達成されるが、効果的な複数回の1日量スケジュールは本発明に包含される。局所的投与または選択的取り込みの場合、効果的な上記薬物の局所濃度は、血漿濃度と関連しないかもしれない。当業者は、実験をすることなく、治療的に有効な局所的投薬量を最適化し得る。
【0062】
本発明の薬学的組成物は、キットにおいて提供され得る。特定の実施形態において、本発明のキットは、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤とを、別々の処方物において含有する。特定の実施形態において、そのキットは、1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤とを、同じ処方物内に含有する。特定の実施形態において、そのキットは、その1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤とを、処置の過程を通して均一な投薬処方物において提供する。特定の実施形態において、そのキットは、その1種以上の抗コリンエステラーゼ剤と1種以上の抗うつ剤とを、処置の過程にわたって段階的な投薬において提供する。その段階的な投薬は、増加するかまたは減少するが、通常は個体の要求に従って効果的な投薬レベルへと増加する。
【0063】
1つの実施形態において、上記キットは、可逆性インヒビター、偽性非可逆性インヒビターおよび非可逆性インヒビターからなる群より選択される1種以上の抗コリンエステラーゼ剤を含む1種以上の薬学的組成物を含有する。1つの実施形態において、そのキットは、リバスチグミン、ガランタミンおよびドネペジルからなる群より選択される1種以上の抗コリンエステラーゼ剤を含む1種以上の薬学的組成物を含有する。
【0064】
特定の実施形態において、上記キットは、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビター(SNRI)、エピネフリン再取り込みインヒビター、ドーパミン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター(NDRI)、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビターおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の抗うつ剤を含有する。1つの実施形態において、そのキットは、ベンラファキシン、デュロキセチン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SR、ブプロピオン、GW353162およびセルトラリンからなる群より選択される1種以上の抗うつ剤を含む1種以上の薬学的組成物を含有する。
【0065】
1つの好ましい実施形態において、上記キットは、有効量のリバスチグミンとベンラファキシンとを含む1種以上の薬学的組成物を含有する。1つの好ましい実施形態において、そのキットは、有効量のガランタミンとシタロプラムとを含む1種以上の薬学的組成物を含有する。1つの好ましい実施形態において、そのキットは、有効量のドネペジルとセルトラリンとを含む1種以上の薬学的組成物を含有する。1つの好ましい実施形態において、そのキットは、有効量のガランタミンとパロキセチンとを含む1種以上の薬学的組成物を含有する。1つの好ましい実施形態において、そのキットは、有効量のガランタミンとデュロキセチンとを含む1種以上の薬学的組成物を含有する。
【0066】
本明細書に列挙された全ての刊行物および特許出願は、各々の個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参考として援用されると示されたかのように、本明細書中に参考として援用される。前述の発明は、理解を明らかにする目的のための例示および例としていくらか詳細に説明されてきたが、当業者には、本発明の教示を考慮して、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、特定の変化および改変が本発明になされ得ることが容易に明らかとなる。本発明は、具体的な実施例として、より詳細に説明される。
【0067】
以下の実施例は、例示の目的で提供され、本発明をどのような様式においても限定することは意図されない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更または改変され得る種々の重要でないパラメーターを、容易に認識する。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は、個体への抗コリンエステラーゼ剤と抗うつ剤との同時投与による、長期の安定な体重減少の達成における例示的な処置レジメンおよび得られた相乗効果を例示する。個々の患者は、英数字の識別子を与えられている。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
【表9】

【0078】
【表10】

【0079】
【表11】

【0080】
【表12】

【0081】
【表13】

【0082】
【表14】

【0083】
【表15】

【0084】
【表16】

【0085】
【表17】

【0086】
【表18】

【0087】
【表19】

【0088】
【表20】

【図面の簡単な説明】
【0089】
適用せず。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満を処置する方法であって、該方法は、その必要のある被験体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含し、それにより該肥満が処置される、方法。
【請求項2】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターが、可逆性コリンエステラーゼインヒビター、偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビター、非可逆性コリンエステラーゼインヒビターおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種以上の可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、タクリン、ドネペジル、エドロホニウム、ガランタミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1種以上の偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、フィゾスチグミン、エプタスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、ガンスチグミン、リバスチグミン、デメカリウム、アンベノニウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記1種以上の非可逆性コリンエステラーゼインヒビターが有機リン酸塩を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記1種以上の非可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、サリン、メトリホナート、ソマン、タブン、フルオロリン酸ジイソプロピルおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上の抗うつ剤が、三環系抗うつ剤およびそのアナログ、セロトニン再取り込みインヒビター、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ドーパミン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン再取り込み促進剤、セロトニンアゴニストおよびそのプロドラッグ、モノアミンオキシダーゼインヒビターならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記三環系抗うつ剤およびそれらのアナログが、アミネプチン、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、ドチエピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、アモキサピン、マプロチリン、シクロベンザプリンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記セロトニン再取り込みインヒビターが、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンおよびそれらの混合物からなる群より選択される選択的セロトニン再取り込みインヒビターである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記セロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターが、ミルナシプラン、ミルタザピン、ベンラファキシン、デュロキセチン、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SR、シブトラミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ノルエピネフリン再取り込みインヒビターが、レボキセチン、アトモキセチンおよびそれらの混合物からなる群より選択される選択的ノルエピネフリン再取り込みインヒビターである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビターが、アミネプチン、ブプロピオン、GW353162およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記モノアミンオキシダーゼインヒビターが、ベフロキサトン、ブロファミン、デプレニール、イソカルボキサジド、モクロベミド、パルジリン、フェネルジン、セレジリン、トラニルシプロミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
有効量のコリンエステラーゼインヒビターと選択的セロトニン再取り込みインヒビターとの組み合わせを投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記組み合わせが、有効量のガランタミンとシタロプラムとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガランタミンが、4mg/用量の量にて投与され、前記シタロプラムが、20mg/用量の量にて投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガランタミンおよび前記シタロプラムが、1日当たり1回投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組み合わせが、有効量のドネペジルとセルトラリンとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
有効量のコリンエステラーゼインヒビターとセロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビターとの組み合わせを投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記組み合わせが、有効量のリバスチグミンとベンラファキシンとを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記リバスチグミンが、0.4〜6.0mg/用量の量にて投与され、前記ベンラファキシンが、37.5〜225mg/用量の量にて投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リバスチグミンおよび前記ベンラファキシンが、1日当たり2回投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記コリンエステラーゼインヒビターが、リバスチグミン、ガランタミンおよびドネペジルからなる群より選択され、前記抗うつ剤が、ベンラファキシン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、ブプロピオン、GW353162、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SRおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記コリンエステラーゼインヒビターと前記抗うつ剤とが同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記組み合わせが、制御放出処方物において投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記コリンエステラーゼインヒビターと前記抗うつ剤とが、異なる時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記被験体が、処置の約70日後に、少なくとも15ポンドを減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記被験体が、処置の約100日後に、少なくとも約20ポンドを減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
有効量の食欲抑制剤を投与する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記食欲抑制剤が、アンフェタミン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン、フェンテルミン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、ジメチルプロピオン、マチンドール、フェンフルラミン、フェニルプロパノールアミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
望ましい体重減少を達成する方法であって、該方法は、その必要のある被験体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含し、それにより該被験体が、望ましい量の体重を減少する、方法。
【請求項32】
望ましくない体重増加を予防する方法であって、該方法は、その必要のある被験体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含し、それにより該被験体が、望ましくない量の体重増加から予防される、方法。
【請求項33】
前記被験体が過体重である、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記被験体が肥満である、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項35】
うつ病を罹患していない個体における体重減少を促進する方法であって、該方法は、該個体に、体重減少を達成するのに十分な量の、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含する、方法。
【請求項36】
体重減少が必要な個体において体重減少を補助する方法であって、該方法は、該個体に、連続した期間にわたって、体重減少を補助するのに十分な量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
個体において安定な体重を維持する方法であって、該方法は、該個体に、有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含し、それにより該個体が、安定な体重を維持する、方法。
【請求項38】
前記個体が肥満である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
体重を減少させる必要のある個体において体重を減少させる方法であって、該方法は、該個体に、連続した期間にわたって、該個体において体重減少を引き起こすのに十分な量の、1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との組み合わせを投与する工程を包含する、方法。
【請求項40】
有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との混合物を含む、薬学的組成物。
【請求項41】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターが、可逆性コリンエステラーゼインヒビター、偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビター、非可逆性コリンエステラーゼインヒビターおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
前記1種以上の可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、タクリン、ドネペジル、エドロホニウム、ガランタミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記1種以上の偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、フィゾスチグミン、エプタスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、ガンスチグミン、リバスチグミン、デメカリウム、アンベノニウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記1種以上の非可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、有機リン酸塩を含む、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記1種以上の非可逆性コリンエステラーゼインヒビターが、サリン、メトリホナート、ソマン、タブン、フルオロリン酸ジイソプロピルおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記1種以上の抗うつ剤が、三環系抗うつ剤およびそれらのアナログ、セロトニン再取り込みインヒビター、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ドーパミン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン再取り込み促進剤、セロトニンアゴニストおよびそのプロドラッグ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターが、リバスチグミン、ガランタミンおよびドネペジルからなる群より選択され、前記1種以上の抗うつ剤が、ベンラファキシン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、ブプロピオン、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SRおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターがリバスチグミンを含み、前記1種以上の抗うつ剤がベンラファキシンを含む、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項49】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターがガランタミンを含み、前記1種以上の抗うつ剤がシタロプラムを含む、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターがドネペジルを含み、前記1種以上の抗うつ剤がセルトラリンを含む、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項51】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターがガランタミンを含み、前記1種以上の抗うつ剤がデュロキセチンを含む、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項52】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターがガランタミンを含み、前記1種以上の抗うつ剤がパロキセチンを含む、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項53】
前記組成物が制御放出組成物である、請求項40に記載の薬学的組成物。
【請求項54】
有効量の1種以上のコリンエステラーゼインヒビターと1種以上の抗うつ剤との混合物を含む、キット。
【請求項55】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターが、可逆性コリンエステラーゼインヒビター、偽性非可逆性コリンエステラーゼインヒビター、非可逆性コリンエステラーゼインヒビターおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項54に記載のキット。
【請求項56】
前記1種以上の抗うつ剤が、三環系抗うつ剤およびそのアナログ、セロトニン再取り込みインヒビター、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン再取り込みインヒビター、ドーパミン再取り込みインヒビター、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込みインヒビター、セロトニン再取り込み促進剤、セロトニンアゴニストおよびそのプロドラッグ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項54に記載のキット。
【請求項57】
前記1種以上のコリンエステラーゼインヒビターが、リバスチグミン、ガランタミンおよびドネペジルからなる群より選択され、前記1種以上の抗うつ剤が、ベンラファキシン、シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、ブプロピオン、GW353162、S33005、DVS−233(デスベンラファキシン)、DVS−233 SRおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項56に記載のキット。

【公表番号】特表2007−511611(P2007−511611A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541555(P2006−541555)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/038981
【国際公開番号】WO2005/051297
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(505413679)テラコス・インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】