説明

肥満症およびその他のCNS障害の治療のためのヒスタミン3受容体阻害剤としての4−ピペリジノール第三級アミン

本発明は、薬理活性を有する化合物、これらの化合物を含有する組成物、およびこれらの化合物および組成物を採用する治療の方法に関する。より詳しくは、本発明は、いくつかの非イミダゾール系第三級アミン誘導体ならびにこれらの塩および溶媒和物と関係する。これらの化合物は、Hヒスタミン受容体アンタゴニスト活性を有する。本発明は、また、これらの化合物を含有する医薬品組成物およびヒスタミンH受容体遮断が有利である障害治療の方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性を有する化合物、これらの化合物を含有する組成物、およびこれらの化合物および組成物を採用する治療の方法に関する。より詳しくは、本発明は、いくつかの非イミダゾール系第三級アミン誘導体ならびにこれらの塩および溶媒和物と関係する。これらの化合物は、Hヒスタミン受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニスト活性を有する。本発明は、また、これらの化合物を含有する医薬品組成物およびヒスタミンH受容体遮断が有利である障害治療の方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンは、さまざまな複雑な生物学的作用に関与する化学的伝達物質である。ヒスタミンは、遊離されたとき、細胞表面または標的細胞内で特定の高分子受容体と相互作用し、多くの異なる身体機能の変化を誘発する。平滑筋、血液細胞、免疫系の細胞、内分泌および外分泌細胞ならびに神経細胞を含むさまざまな種類の細胞が、ホスファチジルイノシトールまたはアデニル酸シクラーゼの形成を含む細胞内シグナルの形成を刺激してヒスタミンに応答する。ヒスタミンが神経伝達物質としての役割を果たす証拠は、1970年代中期から後期までに確立された[(Schwartz、1975)Life Sci.17:503〜518]。免疫組織化学の研究により、間脳および終脳中にいっぱいに広がった視床下部後部の結節乳頭体核中にヒスタミン感作性細胞体の存在が確認された[(Inagakiら、1998)J.Comp.Neurol.273:283〜300]。
【0003】
神経細胞に対するヒスタミンの生化学的作用を媒介する2つのヒスタミン受容体(HおよびH)の確認が報告された。最近の研究により、ヒスタミン受容体の3番目のサブタイプのヒスタミンH受容体の存在が立証された[(Schwartzら、1986)TIPS 8:24〜28]。さまざまな研究により、ヒスタミンH受容体が、ヒトを含むいくつかの種の脳内のヒスタミン作動性神経終末上に見出されることが今や立証されている[(Arrangら、1983)Nature 302:832〜837]。ヒスタミン作動性神経終末上に見出されるH受容体は、自己受容体として定義され、神経細胞から遊離されるヒスタミンの量を完全に制御することができた。天然化合物のヒスタミンは、この自己受容体を刺激する能力があるが、既知のHおよびH受容体アゴニストおよびアンタゴニストに対して試験したときは明確な薬理学的特性が現れた。さらにH受容体は、大脳皮質および大脳血管を含む末梢神経系(PNS)および中枢神経系内のコリン作動性、セロトニン作動性およびモノアミン神経終末上に確認されている。これらの観測結果は、H受容体が、ヒスタミンならびにその他の神経伝達物質の遊離を調節するために独自に配置され、Hアンタゴニストが神経活動の重要なモジュレーターであり得ることを示唆する。
【0004】
このように、CNSヒスタミン作動性細胞体は、視床下部の乳頭状部分の巨大細胞核内に見出され、これらの神経細胞は、前脳の大きな領域に広く投射している。視床下部後部の結節乳頭核中のヒスタミン作動性細胞体の存在、覚醒状態の維持に関与する脳領域、および大脳皮質へのそれらの投射は、覚醒状態または睡眠/目覚め状態を調節する役割を示唆する。海馬体および扁桃体などの多くの辺縁構造へのヒスタミン作動性投射は、自律神経制御、情動および動機付けられた行動の調整、ならびに記憶プロセスなどの機能における役割を示唆する。
【0005】
ヒスタミン作動性経路の部位によって示唆されるように、ヒスタミンが覚醒の状態に対して重要であるという概念は、他のタイプの証拠によって裏付けられる。視床下部後部の病変は、睡眠を引き起こすことがよく知られている。神経化学的および電気生理学的研究により、ヒスタミン作動性神経細胞の活性は、覚醒状態の間が最大であり、バルビツール酸塩および他の睡眠薬によって抑圧されることも示されている。脳室内のヒスタミンは、ウサギにおける覚醒脳波(EEG)パターンおよび増大した自発運動活性、生理食塩水およびペントバルビタールの両方で処置したネズミにおける身づくろいおよび探索行動の出現を引き起こす。
【0006】
対照的に、ヒスタミン合成に関与する唯一の酵素であるヒスチジンデカルボキシラーゼの極めて選択的な阻害剤は、ネズミにおける目覚めを悪くすることが示されている。これらのデータは、ヒスタミンが行動性覚醒状態を調節する機能を有し得るという仮説を裏付ける。睡眠−目覚めパラメータにおけるH受容体の役割が近年立証された[(Linら、1990)Brain Res.592;325〜330]。HアゴニストであるRAMHAの経口投与は、ネコにおける深い徐波睡眠の顕著な増加を引き起こした。反対に、Hアンタゴニストであるチオペラミドは、容量依存型の覚醒状態を高めた。チオペラミドは、また、ネズミにおいて、覚醒状態を増大し、徐波睡眠およびレム睡眠を減少させることが示されている。これらの結果は、チオペラミドがヒスタミンの合成および遊離の増大を引き起こしたことを立証したインビボ検査と一致する。これらのデータは、共に、選択的Hアンタゴニストが、覚醒状態および睡眠障害の治療で有用であり得ることを立証する。
【0007】
セロトニン、ヒスタミン、およびアセチルコリンは、すべてアルツハイマー病(AD)の脳において減少することが実証されている。ヒスタミンH受容体は、これらの神経伝達物質のそれぞれの放出を調整することが立証されている。H受容体アンタゴニストは、それ故、脳中のこれらの神経伝達物質の放出を増すことが期待される。ヒスタミンは、覚醒および用心深さにおいて重要であることが立証されているため、H受容体アンタゴニストは、神経伝達物質放出のレベルを増すことによって覚醒および用心深さを増進し、認知を改善することができる。したがって、AD、注意欠陥障害(ADD)、加齢に伴う記憶機能障害およびその他の認知障害におけるH受容体アンタゴニストの使用が支持される。
【0008】
受容体アンタゴニストは、いくつかのその他のCNS障害の治療で有用であり得る。ヒスタミンは、睡眠/目覚め状態ならびに覚醒と俊敏さの状態、脳循環、エネルギー代謝、および視床下部ホルモン分泌の制御に関与し得ることが示唆されている。てんかんの治療におけるHアンタゴニストの使用の可能性が最近の証拠により示されている。研究により、間代性痙攣の持続時間と脳ヒスタミン濃度の間の逆相関が立証されている。Hアンタゴニストのチオペラミドもまた、電気的に誘起された痙攣後の痙攣局面の持続時間を顕著に、用量依存的に短縮し、電撃許容限界を増すことを示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
受容体結合部位は、これらの密度が低いにも関わらず、脳の外側で検出することができる。いくつかの研究によって、胃腸管中、ならびに呼吸器の神経細胞にHヘテロ受容体が存在することが明らかとなっている。したがって、H受容体アンタゴニストは、喘息、鼻炎、気道鬱血、炎症、運動過剰および運動性低下ならびに胃腸管の酸分泌などの疾患および状態の治療において有用であり得る。H受容体の末梢および中枢神経封鎖もまた、血圧、心拍数および心血管拍出量における変化の一因となり得、循環器疾患の治療、および肥満症、片頭痛、炎症、乗り物酔い、疼痛注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知症、鬱病、パーキンソン病、統合失調症、てんかん、ナルコレプシー、急性心筋梗塞および喘息などの疾患または状態の治療に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その主たる態様において、一般式:
【0011】
【化6】

[式中、
は、Hであり;
、RおよびRは独立して:
(C1〜C8)直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは
(C3〜C8)シクロアルキルであるか、あるいは
、Rは、これらが結合している原子と共に、メチレンの1つまたは複数がO、NまたはSにより場合によって置換されていてもよいシクロアルキル−(CH3〜7−を形成しており;
は、CHCH
CH=CH、
C≡Cまたは
【0012】
【化7】

(これは、(C1−C4)直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはハロゲンにより場合によって置換されている。)であり;
およびArは、アリールまたはシクロアルキルであるが、R、RおよびRが直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、およびRが−C≡C−であるとき、Arは非置換ナフチルではなくてもよいことを条件とする。]
の化合物および医薬として許容できるこれらの塩および立体異性体を提供する。
【0013】
本発明は、また、式(I)
【0014】
【化8】

[式中、
は、Hであり;
、RおよびRは独立して:
(C1〜C8)直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは
(C3〜C8)シクロアルキルであるか、あるいは
、Rは、これらが結合している原子と共に、メチレンの1つまたは複数がO、NまたはSにより場合によって置換されていてもよいシクロアルキル−(CH3〜7−を形成しており;
は、CHCH
CH=CH
C≡Cまたは
【0015】
【化9】

((C1−C4)直鎖状もしくは分枝状アルキルまたはハロゲンにより場合によって置換されている。)である。]
の少なくとも1つの化合物および医薬として許容できるこれらの塩および立体異性体の有効量と組み合わされた医薬として許容できる担体を含む医薬品組成物を提供する。
【0016】
本発明は、また、炎症、片頭痛、乗り物酔い、疼痛、パーキンソン病、てんかん、循環器疾患(すなわち、高血圧症または低血圧症、急性心筋梗塞)、胃腸障害(酸分泌、運動性)および注意もしくは認識力障害を含むCNS傷害(すなわち、アルツハイマー病、注意欠陥障害、加齢に伴う記憶機能障害、脳卒中など)、精神障害(すなわち、鬱病、統合失調症、強迫性障害など)ならびに睡眠障害(すなわち、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸、不眠症、バイオリズムおよび概日リズム障害、睡眠過剰および睡眠不足、ならびに肥満症、食欲不振/過食症、体温調節、ホルモン放出などの関連障害)などのヒスタミンH受容体の拮抗作用が治療上重要であり得る状態を治療する、式(I)
【0017】
【化10】

[式中、
は、Hであり;
、RおよびRは独立して:
(C1〜C8)直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは
(C3〜C8)シクロアルキルであるか、あるいは
、Rは、これらが結合している原子と共に、メチレンの1つまたは複数がO、NまたはSにより場合によって置換されていてもよいシクロアルキル−(CH3〜7−を形成しており;
は、CHCH
CH=CH
C≡Cまたは
【0018】
【化11】

(これは、(C1−C4)直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはハロゲンにより場合によって置換されている。)であり;
Arは、アリールまたはシクロアルキルである。]
の化合物および医薬として許容できるこれらの塩および立体異性体の有効量を、そのような治療を必要としている患者に投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
好ましくは、式(I)の化合物に対して、R、RおよびRは、CHであり、Rは、−CH−CH−または−C≡C−であり、Arは、1−ナフチルまたは
【0020】
【化12】

である。
【0021】
目下の好ましい化合物としては、
1,2,5−トリメチル−4−キノリン−3−イルエチニル−ピペリジン−4−オール;
6−メチル−7−ナフタレン−1−イルエチニル−オクタヒドロ−インドリジン−7−オール;および
4’−(7−ヒドロキシ−6−メチル−オクタヒドロ−インドリジン−7−イルエチニル)−ビフェニル−4−カルボニトリルが挙げられる。
【0022】
本発明のいくつかの化合物は、種々の異性体(例えば、鏡像異性体および立体異性体)の形で存在することができる。本発明は、純粋な形とラセミ混合物を含む混合物の形の両方のすべてのそのような異性体を対象としている。エノール型もまた含まれる。
【0023】
本発明の化合物は、非溶媒和型ならびに水和型、例えば半水和物を含む溶媒和型で存在することができる。一般に、医薬として許容できる例えば水、エタノールなどによる溶媒和型は、本発明の目的に対しては非溶媒和型と同等である。
【0024】
本発明のいくつかの化合物は、また、医薬として許容できる塩、例えば酸付加塩を形成する。例えば、窒素原子は、酸と塩を形成することができる。塩形成に適する酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸および当業者にはよく知られたその他の鉱酸、カルボン酸類である。これらの塩は、通常の方法で遊離塩基の形態を十分量の所望の酸と接触させて塩を生成させることにより調製される。遊離塩基の形態は、水酸化物、炭酸カリウム、アンモニア、および重炭酸ナトリウム希薄水溶液などの適当な塩基の希薄水溶液で塩を処理することによって再生させることができる。遊離塩基の形態は、それらの個々の塩の形態とは極性溶媒中の溶解性など特定の物理的特性が幾分異なるが、酸塩は、本発明の目的に対してはそれらの個々の遊離塩基の形態と同等である。例えば、参照により本明細書に組み込まれているS.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」J.Pharm.Sci.,66:1〜19(1977)を参照。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、以下の用語は、これらに与えられた意味を有する:
本明細書において用いられる用語「アルキル」とは、飽和炭化水素から1個の水素原子を除去することによって誘導される直鎖状または分枝鎖ラジカルを指す。アルキル基の代表的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどが挙げられる。アルキル基は、非置換であるかまたは低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロ、メルカプト、ニトロ、ニトライト、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキシアミドから独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されていてもよい。
【0026】
本明細書において使用される用語「シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子および限定はされないがとりわけシクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルを含む1〜3個の環を有する脂肪族環系を指す。シクロアルキル基は、非置換であるかまたは低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、ハロ、メルカプト、ニトロ、ニトライト、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキシアミドから独立に選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されていてもよい。
【0027】
「シクロアルキル」はシス形またはトランス形を含む。さらに、置換基は、架橋二環式系内のエンド位またはエキソ位のいずれかにあることができる。
【0028】
本明細書において使用される用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、I、Br、ClまたはFを指す。
【0029】
本明細書において単独または組み合わせで使用される用語「アリール」または「芳香族」とは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルなどの約6〜12個の炭素原子を有する置換もしくは非置換炭素環芳香族基またはフリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−チアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフトリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フェノキサジニル、ポラゾロ[1,5−c]トリアジニルなどの少なくとも1つの環内のN、OまたはS原子を含有する複素環式芳香族基を指す。
【0030】
本明細書において使用される用語「ヘテロ原子」とは、少なくとも1つのN、OまたはS原子を指す。
【0031】
本明細書において使用される用語「組成物」とは、一定量の特定成分を含む生成物、ならびに一定量の特定成分の組み合わせの結果直接または間接的に生ずる任意の生成物を網羅することが意図されている。
【0032】
本発明の化合物は、無機酸または有機酸に由来する医薬として許容できる塩の形態で使用することができる。語句「医薬として許容できる塩」とは、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適している正しい医療判断の範囲内にあり、利点/危険度比率が適度に釣り合っているような塩を意味する。医薬として許容できる塩は、技術的によく知られている。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,l977,66:1以下、において医薬として許容できる塩について詳細に記載している。塩は、本発明の化合物の最後の単離および精製の間にその場で、または遊離の塩基性官能基を適当な有機酸と反応させることによって独立して調製することができる。代表的な酸付加塩としては、限定はされないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。また、塩基性窒素含有基を、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどのハロゲン化低級アルキル;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル硫酸エステルのようなジアルキル硫酸エステル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルのようなハロゲン化アリールアルキルならびにその他の作用物質により第四級化することができる。水または油に可溶性または分散性の製品がこれにより得られる。医薬として許容できる酸付加塩を形成するために採用することができる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。
【0033】
塩基付加塩は、本発明の化合物の最後の単離および精製の間に、カルボン酸含有成分を、医薬として許容できる金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩などの適当な塩基と、あるいはアンモニアまたは有機第一級、第二級もしくは第三級アミンと反応させることによってその場で調製することができる。医薬として許容できる塩としては、限定はされないがとりわけ、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属に基づくカチオン、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびアルミニウム塩など、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびエチルアンモニウムを含む毒性のない第四級アンモニアおよびアミンカチオンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用なその他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0034】
本発明の化合物の局所性投与向けの剤形としては、粉剤、噴霧剤、軟膏剤および吸入剤が挙げられる。活性化合物は、無菌状態のもとで、医薬として許容できる担体および任意の必要な保存料、緩衝剤または必要であり得る高圧ガスと混合される。眼科製剤、眼軟膏剤、粉剤および液剤もまた、本発明の範囲であることが意図されている。
【0035】
本発明の医薬品組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物および投与の様式に対して所望の治療反応を達成するための有効な活性化合物(1つまたは複数)の量を得るように変化させることができる。選択される投与量レベルは、特定の化合物の活性度、投与経路、治療される状態の重症度ならびに治療される患者の状態とこれまでの病歴による。しかしながら、当技術分野の熟練者であれば、化合物の投与量は、所望の治療効果を達成するのに必要であるより低いレベルから開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増やしていく。
【0036】
上記およびその他の治療において使用されるとき、本発明の1化合物の治療有効量は、純粋な形態または、かかる形態が存在する場合は、医薬として許容できる塩、エステルもしくはプロドラッグ形態のものを使用することができる。別法では、この化合物は、1つまたは複数の医薬として許容できる賦形剤と組み合わされた要の化合物を含む医薬品組成物として投与することができる。本発明の化合物の「治療有効量」という語句は、任意の医療に対して適度の利点/危険度比率で障害を治療する化合物の十分量を意味する。しかし当然のことながら、本発明の化合物および組成物の全体の1日の用法は、主治医による正しい医学的判断に従って決定される。個々の患者に対する特定の治療有効投薬量レベルは、治療される障害およびその障害の重症度;採用される特定の化合物の活性;採用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食習慣;採用される特定の化合物の投与時間、投与経路、および排泄の速度;治療の継続期間;採用される特定の化合物との組み合わせまたは同時に使用される薬物;ならびに医療技術分野ではよく知られた同様の要因を含むさまざまな要因に依存する。例えば、まさに当技術分野の熟練者であれば、化合物の投与量は、所望の治療効果を達成するのに必要であるより低いレベルから開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増やしていく。
【0037】
ヒトまたは下等動物に投与される本発明の化合物の合計一日量は、約0.0001から約1000mg/kg/日の範囲であり得る。経口投与のためのより好ましい投与量は、約0.001から約5mg/kg/日の範囲であり得る。必要に応じて、有効一日量は投与の効果のために複数回投与に分割することができ、その結果、単回投与組成物は、一日量を構成するような量またはその分量を含有する。
【0038】
本発明は、また、1つまたは複数の毒性のない医薬として許容できる担体と共に配合された本発明の化合物を含む医薬品組成物を提供する。この医薬品組成物は、固体または液体の形態の経口投与向け、非経口の注射向けまたは直腸投与向けに特別に製剤化することができる。
【0039】
本発明の医薬品組成物は、ヒトおよびその他の哺乳動物に、経口で、直腸に、非経口で、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所に(粉剤、軟膏剤または点滴剤によるなど)、口腔内にまたは経口用もしくは鼻腔用噴霧剤として投与することができる。本明細書で使用される用語「非経口で」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内注射および注入を含む投与の様式を指す。
【0040】
別の態様において、本発明は、本発明の成分および生理的に容認できる希釈剤を含む医薬品組成物を提供する。本発明は、とりわけ、非経口注射用、経鼻送達用、固体または液体形態の経口投与用、直腸または局所投与用に、1つまたは複数の毒性のない生理的に容認できるまたは許容できる本明細書では集合的に希釈剤と呼ぶ希釈剤、担体、補助剤または媒体と共に配合して組成物とした1つまたは複数の上記の化合物を含む。
【0041】
この組成物は、また、標的部位における局所送達のため、冠動脈内ステント(細かいワイヤーメッシュで構成されている管状デバイス)によるか、または生分解性ポリマーによるカテーテルを通して送達することができる。化合物は、また、標的への到達のため抗体などのリガンドに複合体化することができる。
【0042】
非経口の注射に適する組成物は、生理的に許容できる無菌の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液および無菌の注射できる溶液または分散液に再構成するための無菌の粉末を含むことができる。適当な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒または媒体としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物油(オリーブ油など)、オレイン酸エチルなどの注射できる有機エステル、ならびにこれらの適当な混合物が挙げられる。
【0043】
これらの組成物は、また、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含有することができる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確保することができる。例えば砂糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含有することもまた望ましい。注射可能な薬剤形態の遷延性吸収は、吸収を遅らす試剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0044】
懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、ミクロクリスタリンセルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天ならびにトラガカント、またはこれらの物質の混合物などの懸濁化剤を含有することができる。
【0045】
場合によっては、薬物の効果を引き伸ばすために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性の劣る結晶質もしくは非結晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。薬物の吸収の速度は、このとき、順次、結晶の大きさおよび結晶性形状に依存し得るその溶解速度に依存する。別法では、非経口投与薬物形態の遅延型吸収は、薬物を油媒体に溶解または懸濁させることによって達成される。
【0046】
注射可能な持続性製剤の形は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比率および採用される特定のポリマーの性質によって、薬物放出の速度を調節することができる。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。持続性薬剤の注射可能な製剤は、また、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を封入することによって調製される。
【0047】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持性フィルターを通して濾過するかまたは無菌の水もしくはその他の無菌の注射可能な媒質に使用直前に溶解もしくは分散することができる無菌の固体組成物の形態の中に殺菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0048】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、ピル、粉剤および顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な医薬として許容できるクエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなどの賦形剤もしくは担体および/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギニン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、0第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物などの滑剤と混合することができる。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、この剤形はまた緩衝剤を含んでもよい。
【0049】
類似タイプの固体組成物は、また、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いる軟および硬充填ゲル化カプセル中の充填剤としても採用することができる。
【0050】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび薬剤配合技術においてよく知られているその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルによって調製することができる。これらは、場合によって、不透明化剤を含有してもよく、また、これらが活性成分(1つまたは複数)を、腸管の特定部分に、そこのみにすなわち選択的に、場合によっては遅延した様式で、放出するような組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0051】
活性化合物は、また、適切な場合は、1つまたは複数の上記の賦形剤によりマイクロカプセル化した形態のものであってもよい。
【0052】
経口投与向けの液体剤形としては、薬剤として許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、この液体剤形は、例えば水またはその他の、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビタンの脂肪酸エステル類ならびにこれらの混合物などの溶媒、可溶化剤および乳化剤などの当技術分野で通常使用される不活性希釈剤を含有することができる。
【0053】
不活性希釈剤以外に、経口用組成物は、また、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味料および芳香剤などの補助剤を含むことができる。
【0054】
直腸または膣投与のための組成物は、本発明の化合物を、室温では固体であるが体温では液体であり、そのため直腸または膣腔中で溶融し活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスなどの適当な刺激性のない賦形剤または担体と混合することにより調製することができる好ましくは坐薬である。
【0055】
本発明の化合物は、また、リポソームの形態で投与することもできる。技術的に知られているように、リポソームは、リン脂質またはその他の脂肪物質から一般に誘導される。リポソームは、水性媒質中に分散している単層または多重層膜水和液晶である。毒性がなく、生理的に許容でき、代謝できるリポソームを形成することができる任意の脂質を使用することができる。リポソームの形の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存料、賦形剤などを含有することができる。好ましい脂質は、天然もしくは合成リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)であり、別々にまたは一緒に使用される。
【0056】
リポソームを形成する方法は、技術的に知られている。例えば、Prescott,Ed.,Methods in Cell Biologv,Volume XIV,Academic Press,New York,N.Y.(1976),p.33以下参照。
【0057】
本明細書で使用される用語「薬剤として許容できるプロドラッグ」とは、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適している正しい医療判断の範囲内にあり、利点/危険度比率が適度に釣り合っており、それらの意図した用途に対して効果的である本発明の化合物のプロドラッグならびに可能な場合は本発明の化合物の両性イオンの形態を表す。本発明のプロドラッグは、例えば血液中の加水分解によって上記の式の親化合物にインビボで急速に転化させることができる。参照により本明細書に組み込まれている、the A.C.S.Symposium SeriesのT.HiguchiおよびV.StellaによるPro−drugs as Novel Delivery Systems,V.14、およびEdward B.Roche編、Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press(1987)に徹底的議論が提供されている。
【0058】
哺乳動物に投与された異なる化合物のインビボにおける転化によって形成される本発明の化合物は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0059】
本発明の化合物は、不斉もしくはキラル中心が存在する立体異性体として存在することができる。これらの立体異性体は、キラル炭素原子の周りの置換基の立体配置によって「R型」または「S型」である。本発明は、さまざまな立体異性体およびそれらの混合物を考慮している。立体異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマー、ならびに鏡像異性体またはジアステレオマーの混合物を含む。本発明の化合物の個々の立体異性体は、不斉もしくはキラル中心を含有する市販の出発材料から合成的に、または、ラセミ混合物を調製したのち当業者にはよく知られている分割をすることによって調製することができる。これらの分割の方法としては、(1)鏡像異性体混合物をキラル補助基に結合し、得られたジアステレオマー混合物を再結晶またはクロマトグラフィーにより分離し、光学的に純粋な生成物を補助基から遊離させるか、あるいは(2)光学的鏡像異性体混合物のキラルクロマトグラフカラムによる直接分離が例示される。
【0060】
本発明の化合物は、非溶媒和形態ならびに半水和物などの水和形態を含む溶媒和形態で存在することができる。一般に、とりわけ水およびエタノールなどの医薬として許容できる溶媒による溶媒和形態は、本発明の目的に対しては非溶媒和形態と同等である。
【0061】
本発明を、以下の代表的な実施例により説明する。
【実施例1】
【0062】
1,2,5−トリメチル−4−ナフタレン−1−イルエチニル−ピペリジン−4−オール
【0063】
【化13】

【0064】
3−[(2−メトキシカルボニル−プロピル)−メチル−アミノ]酪酸エチルエステル:トルエン(250mL)およびnBuOH(25mL)中の3−(2−メトキシカルボニル−プロピルアミノ)−酪酸エチルエステル(58.6g、253mmol)およびポラホルムアルデヒド(9.9g、330mmol)を室温で撹拌(1時間)し、続いて100℃に加熱するとすぐに反応混合物は均一となった。ギ酸(10mL、266mmol)を40分間かけて滴下し、続いてこの反応混合物を45分間還流させた。遊離したHOを、ディーンスターク装置を用いて共沸により除去した。この反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc(400mL)とNaHCO飽和水溶液(150mL)の間に分配した。水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。このEtOAc層を合わせ、NaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOにより乾燥し、デカンテーションで取出し、濃縮して粗生成物59.1g(95%)を生じさせ、これをさらなる精製なしでそのまま使用した。R 0.60、40%EtOAc−ヘキサン、KMnO可視化。
Thomas,J.B.;Herault,X.M.;Rothman,R.B.;Atkinson,R.N.;Burgess,J.P.;Mascarella,S.W.;Dersch,C.M.;Xu,H.;Flippen−Anderson,J.L.;George,C.F.;Carroll,F.I.J.Med.Chem.2001,44,972〜987。
【0065】
1,2,5−トリメチル−ピペリジン−4−オン:金属ナトリウム(1.1g、48mmol)を3−[(2−メトキシカルボニル−プロピル)−メチル−アミノ]酪酸エチルエステル(59.1g)のキシレン(270mL)中の溶液に室温で加えた。EtOH(5mL)を加え、得られた混合物を加熱して4時間還流させた。この反応物を〜75℃まで冷却し、そのとき追加の金属ナトリウム(1.4g、61mmol)を加え、続いてさらに4時間加熱して還流させた。この反応混合物を冷却し、減圧してキシレンを除去した。(R 0.37 10%MeOH−EtOAc、KMnO可視化)。20%HCl水溶液を加え、この混合物を6時間還流させ、続いて0℃に冷却し、次いで40%KOH水溶液を用いてpH10の塩基性にした。この混合物をEtO(6×100mL)で抽出した。合わせたEtO層をNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOにより乾燥し、デカンテーションで取出し、濃縮して所望の生成物16.01g(3ステップを経て47%)を得た。R 0.20、10%MeOH−EtOAc、KMnO可視化。この生成物をさらなる精製なしで使用した。
【0066】
1,2,5−トリメチル−4−ナフタレン−1−イルエチニル−ピペリジン−4−オール:BuLi(ヘキサン中1.8Mを21.7mL、39mmol)を、0℃で撹拌しながら1−エチニルナフタレン(5.18g、5.54mL、39mmol)のTHF(130mL)中の溶液に5分間かけて滴下して加えた。得られた溶液を0℃で20分間撹拌し、続いて室温まで温めて40分間撹拌した。1,2,5−トリメチル−ピペリジン−4−オン(5.0g、35mmol)のTHF(10mL)中の溶液を加え、得られた溶液を室温で1時間撹拌した。この反応混合物を次に冷たい1MのHCl水溶液(100mL)およびヘキサン(100mL)中に注いだ。この水層を1:1のEtO−ヘキサン(2×50mL)で抽出した。この水層をNaCOの飽和水溶液を用いてpH9〜10付近の塩基性とし、次いでEtOAc(3×150mL)で抽出した。このEtOAc層を合わせ、NaCl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOにより乾燥し、デカンテーションで取出し、濃縮してジアステレオマーの混合物としての生成物、6.9g(67%)を得た。得られたジアステレオマーを5%EtN−EtOAcで溶離するカラムクロマトグラフィー(SiO)を用いて分離した。活性で、最も極性なジアステレオマーが単離され、2.26g(22%)を生じた。MS(ES):[M+1]2024NOの計算値、:294.40;測実値、294.20。
【実施例2】
【0067】
(2R,4S,5S)−1,2,5−トリメチル−4−ナフタレン−1−イルエチニル−ピペリジン−4−オールの分割
【0068】
【化14】

【0069】
(2R,4S,5S)−1,2,5−トリメチル−4−ナフタレン−1−イルエチニル−ピペリジン−4−オール:1,2,5−トリメチル−4−ナフタレン−1−イルエチニル−ピペリジン−4−オール(1.7g)およびジ−p−トルオイル−L−酒石酸(2.24g)の溶液を、熱メタノールを加えて全部の固体を溶解することにより調製した。フラスコをしっかりと密封し、室温までそのまま冷却し、48時間そのまま静置し、続いて冷凍庫中−10℃でさらに24時間冷却した。得られた結晶化生成物を、真空濾過により単離した。この固体を冷たいメタノールで洗浄し、減圧デシケーター中で乾燥した。この結晶を水に溶解し、その溶液を、水酸化ナトリウム(10%水溶液)を加えて塩基性(pH10)とした。その溶液をEtOAcで抽出した(5回)。合わせた有機部分をMgSOにより乾燥し、減圧下で濃縮し、95%ee(ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩のNMRにより測定)を超える所望の鏡像異性体(0.522g)を得た。
0.18,5% EtN−EtOAc;H NMR(CDCl,300MHz):δ8.32(d,J=8.1Hz,1H)、7.80〜7.89(m,2H)、7.69(d,J=7.2Hz,1H)、7.50〜7.62(m,2H)、7.43(t,J=7.7Hz,1H)、2.80(dd,J=11.9Hz,J=3.6Hz,1H)、2.38〜2.51(m,1H)、2.30(t,J=11.9Hz,1H)、2.32(s,3H)、2.17(dd,J=12.4Hz,J=2.5Hz,1H)、2.00〜2.13(m,1H)、1.77(t,J=12.1Hz,1H)、1.56〜1.81(br s,1H)、1.18(d,J=6.2Hz,6H);MS(ES):[M+1]2024NOの計算値:294.40;実測値、294.23。
注:ジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩の一部をX線構造決定のために結晶化し、それによって上記立体化学配置を確認した。
【0070】
【化15】

【0071】
1−(2,2−ジブロモ−ビニル)−2−メトキシ−ナフタレン:トリフェニルホスフィン(2.82g、10.75mmol)および四臭化炭素(1.78g、5.37mmol)を、CHCl(22mL)に溶解し、0℃で5分間撹拌した。2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドのCHCl(5mL)溶液を加え、得られた溶液を0℃で15分間撹拌し、次いでNaCO(25mLの飽和水溶液)で反応を停止させ、CHCl(25mL)で希釈した。この水層をCHCl(15mL)で抽出した。合わせたCHCl層をHO(25mL)、NaCl飽和水溶液(25mL)で洗浄し、NaSOにより乾燥し、デカンテーションで取出し、濃縮した。得られた固体を5%のEtO−ヘキサンですりつぶして濾過した。濾過液を濃縮して所望の生成物を生じさせ、それを次のステップでさらなる精製なしで使用した。
【0072】
4−(2−メトキシ−ナフタレン−1−イルエチニル)−1,2,5−トリメチル−ピペリジン−4−オール:n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.9M、895μL、1.70mmol)を、−78℃のTHF(5.6mL)中のジブロミド(290mg、0.85mmol)の溶液に滴下しながら加えた。得られた溶液を90分間で室温まで温めた。1,2,4−トリメチル−ピペリジン−4−オン(180mg、1.28mmol)を加え、得られた混合物を室温で15分間撹拌し、次いでHO(15mL)で反応を停止させ、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせたEtOAc層を、NaCl飽和水溶液(25mL)で洗浄し、NaSOにより乾燥し、デカンテーションで取出し、濃縮してジアステレオマーの混合物を得た。この粗生成物を、5%EtN−EtOAcで溶離するカラムクロマトグラフィー(SiO)により精製し、純粋なジアステレオマーを得た(44mg、19%)。
0.15,5% EtN−EtOAc;H NMR(CDCl,300MHz):δ8.23(d,J=8.5Hz,1H)、7.83(d,J=9.2Hz,1H)、7.79(d,J=8.3Hz,1H)、7.50〜7.58(m,1H)、7.35〜7.42(m,1H)、7.25(d,J=9.2Hz,1H)、4.01(s,3H)、2.79(dd,J=11.9Hz,J=3.8Hz,1H)、2.43〜2.56(m,1H)、2.30〜2.40(m+s(2.32)、4H)、2.18(dd,J=12AHz,J=2.6Hz,1H)、1.99〜2.12(m,1H)、1.76(t,12.1Hz,1H)、1.56〜1.82(br s,1H)、1.19(d,J=5.5Hz,3H)、1.17(d,J=5.1Hz,3H);MS(ES):[M+1]2126NOの計算値:324.43;実測値、324.72。
【実施例3】
【0073】
1,2,5−トリメチル−4−キノリン−3−イルエチニル−ピペリジン−4−オール
【0074】
【化16】

【0075】
3−トリメチルシラニルエチニル−キノリン:3−ブロモ−キノリン(1.0g、5.0mmol)のベンゼン(10mL)中の溶液に、トリエチルアミン(1.4mL、10mmol)、ヨウ化銅(I)(285mg、1.5mmol)、およびトランス−ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(350mg、0.5mmol)を加えた。この反応物を窒素で30秒間フラッシングし、次いでトリメチルシリルアセチレン(1.0mL、7.5mmol)を加えた。この反応物を密封し、70℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(10〜30%EtOAc/ヘキサン)により精製し、3−トリメチルシラニルエチニル−キノリン(650mg、56%)を提供した。MS(ES):[M+1]1416NSiに対する計算値、226.10;測実値、226.76。
【0076】
3−エチニル−キノリン:3−トリメチルシラニルエチニル−キノリン(225mg、1.0mmol)のメタノール(1mL)およびTHF(1mL)中の溶液に、KF(180mg、3.0mmol)を加えた。この混合物を室温で6時間撹拌した。固体を濾過によって除去し、濾過液を濃縮して3−エチニル−キノリン(150mg、100%)を得た。MS(ES):[M+1]11Nに対する計算値、154.06;測実値、154.49。
【0077】
1,2,5−トリメチル−4−キノリン−3−イルエチニル−ピペリジン−4−オール:3−エチニル−キノリン(153mg、1.0mmol)のTHF(3mL)中の溶液に、n−ブチルリチウム(1.6M、0.63mL、1.0mmol)を0℃で加えた。得られた混合物を、0℃で5分間と室温で20分間撹拌した。この反応物を0℃まで冷却し、1,2,5−トリメチル−ピペリジン−4−オン(210mg、1.5mmol)を加えた。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮して残留物を得た。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、純粋なジアステレオマー(32mg、11%)を得た。
MS(ES):[M+1]1923Oの計算値、295.17;実測値、295.50。H−NMR(CDCl,300MHz)(ppm):δ8.93(s,1H)、8.24(s,1H)、8.10(d,J=7.7Hz,1H)、7.77〜7.78(m,2H)、7.57(t,J=6.2Hz,1H)、2.31(s,3H)、2.23〜1.98(m,3H)、1.77(m,3H)、1.19(t,J=6.7Hz,6H)。
【実施例4】
【0078】
6−メチル−7−ナフタレン−1−イルエチニル−オクタヒドロ−インドリジン−7−オール
【0079】
【化17】

【0080】
6−メチル−ヘキサヒドロ−インドリジン−7−オン:3−メチル−3−ブテン−2−オン(0.92g,10.9mmol)のメタノール(2ml)中の溶液を、4−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール(1.33g、10mmol)のメタノール(6ml)中の冷却した(0℃)溶液に滴下しながら加えた。この反応物を0℃で30分間撹拌し、そのまま室温まで温めて一晩おいた。溶媒を減圧下で除去し、暗黄色油状物を得た。この残留物を酢酸(5%水溶液20ml)に溶解し、加熱して4時間還流させた。この反応物を冷却し、溶液を、NaHCOの溶液(5%水溶液50ml)中にゆっくりと注いだ。この水性混合物をジクロロメタン(4×20ml)で抽出した。合わせた有機部分を、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して淡褐色油状物としての所望の生成物(0.72g)を得、これをさらなる精製なしで使用した。
【0081】
6−メチル−7−ナフタレン−1−イルエチニル−オクタヒドロ−インドリジン−7−オール:n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、0.6mL、0.96mmol)を、1−エチニルナフタレン(0.144g、0.95mmol)のTHF(10mL)中の−78℃の撹拌溶液中に滴下しながら加えた。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。6−メチル−ヘキサヒドロ−インドリジン−7−オン(0.072g、0.47mmol)のTHF(3ml)中の溶液を、この反応物に滴下しながら加えた。この反応物を室温までゆっくりと温め、室温で1時間撹拌した。この反応混合物に水(50ml)を加え、得られた溶液を酢酸エチル(4×20ml)で抽出した。合わせた有機部分を、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られたジアステレオマーの混合物をシリカゲル(5%EtN−EtOAc)により分離し、純粋なジアステレオマー、93mgを得た。MS(ES):[M+1]2124NOに対する計算値、306.19;測実値、306.50。
【実施例5】
【0082】
4’−(7−ヒドロキシ−6−メチル−オクタヒドロ−インドリジン−7−イルエチニル)−ビフェニル−4−カルボニトリル
【0083】
【化18】

【0084】
4’−トリメチルシラニルエチニル−ビフェニル−4−カルボニトリル:(4−ブロモ−フェニルエチニル)−トリメチル−シラン(1g、3.95mmol)のジメトキシエタン(10ml)中の溶液に、4−シアノフェニルホウ酸(1.2g、8.2mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(0.2g、0.17mmol)および炭酸ナトリウム(2M水溶液2ml)を加えた。この反応物を、窒素でフラッシングし、続いて加熱して一晩還流させた。この反応物を冷却し、得られた溶液を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、水酸化ナトリウム(10%水溶液、3×20ml)、水、ブラインで抽出し、MgSOにより乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル(0%〜15%EtOAc:ヘキサン)により精製し、淡黄色固体としての4’−トリメチルシラニルエチニル−ビフェニル−4−カルボニトリル(0.706g)を得た。
【0085】
4’−エチニル−ビフェニル−4−カルボニトリル:4’−トリメチルシラニルエチニル−ビフェニル−4−カルボニトリル(0.624g、2.27mmol)のTHF(5ml)とメタノール(10ml)の溶液中に、フッ化テトラブチルアンモニウムの溶液(THF中1M、2.3ml、2.3mmol)を室温で加えた。この反応物を室温で4時間撹拌すると、TLCモニタリングにより、反応が完了したことが示された。この反応物をEtOAcと水の間で分配した。有機層を分離し、水、NaHCO飽和水溶液、ブラインで洗浄し、MgSOにより乾燥し、減圧下で濃縮して黄白色固体としての所望の生成物(0.531g)を得、これをさらなる精製なしで使用した。
【0086】
4’−(7−ヒドロキシ−6−メチル−オクタヒドロ−インドリジン−7−イルエチニル)−ビフェニル−4−カルボニトリル:n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、0.66ml)を、4’−エチニル−ビフェニル−4−カルボニトリル(0.2g、0.99mmol)のTHF(5mL)中の−78℃で撹拌中の溶液に滴下しながら加えた。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。6−メチル−ヘキサヒドロ−インドリン−7−オン(0.1g、mmol)のTHF(3ml)中の溶液をこの反応物に滴下しながら加えた。この反応物を室温までゆっくり温め、室温で1時間撹拌した。この反応混合物に水(50ml)を加え、得られた溶液を酢酸エチル(4×20ml)で抽出した。合わせた有機部分を、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られたジアステレオマーの混合物をシリカゲル(5%EtN−EtOAc)により分離し、純粋なジアステレオマー、35mgを得た。MS(ES):[M+1]2325Oに対する計算値、345.20;測実値、345.52。
【0087】
実施例1〜5の手順により調製された本発明の代表的な化合物を、以下の手順により、マウスおよびヒトH受容体細胞に対する結合実験において評価した。
【0088】
細胞培養
RAGE細胞:ヒトヒスタミンH受容体およびGqαi5を発現するHT1080 RAGE細胞(16107.3B.B2.A8.C7)を、10%FBS、3μg/mlピューロマイシン、7μg/mlブラストサイジン、および3.2μMメトトレキサートを含有するアルファ改変MEM中、5%CO/95%大気中37℃で増殖した。
【0089】
マウスH3細胞:マウスヒスタミンH受容体およびGqαi5を発現するHT1080(クローンF5)を、10%FBS、3μg/mlピューロマイシン、および7μg/mlブラストサイジンを含有するアルファ改変MEM中、5%CO/95%大気中37℃で増殖した。
【0090】
膜標本
細胞を、低温のPBS緩衝液で2回洗浄し、プレートを削り取り、1000×gで5分間遠心分離した。細胞を、10mMトリス、pH7.4、5mMのEDTA、プロテアーゼインヒビターカクテル錠剤(Roche Molecular Biochemicals)の氷冷緩衝液中に再懸濁し、氷上で10分間インキュベートし、Dounceホモジナイザーもしくはポリトロン組織破砕装置により均質化し、4℃で10分間、1000×gで遠心分離した。上清を、4℃で30分間、32,000×gで遠心分離した。膜を、使用するまで−80℃で保存されていた50mMトリス、pH7.4およびプロテアーゼインヒビターカクテル錠剤の緩衝液中に再懸濁した。タンパク質濃度は、Bradfordの方法により測定した。
【0091】
放射性リガンド結合実験
膜を、50mMトリス/HCl、1mMのEDTA pH7.4、プロテアーゼインヒビターカクテル錠剤を含有する緩衝液中で均質化した。放射性リガンドの解離定数(K)および最大結合部位数(Bmax)は、飽和結合実験において測定した。KおよびIC50は、拮抗実験において決定した。
【0092】
結合実験は、3通りまたは4通りの96ウェルのポリプロピレンプレート中で行った。反応混合物は、100μlの膜懸濁液、50μlの4%DMSO、50μlの増量していく[H]Nα−メチルヒスタミン(ヒトRAGE細胞の飽和結合実験に対しては0.01〜20nM、マウスH細胞に対しては0.05〜40nMの最終濃度)を含有した。非特異的結合は、10μMのクロベンプロピット(clobenpropit)により規定した。拮抗結合実験は、100μlの膜懸濁液(ヒトRAGE H細胞に対しては、〜100μg/ウェル、マウスH細胞に対しては、〜20μg/ウェル)、50μlの[H]Nα−メチルヒスタミン(最終濃度は、RAGE H細胞に対しては、〜2nM、マウスH細胞に対しては、〜10nM)、および50μlの化合物を含有する反応混合物中で行った。化合物は、DMSO中に希釈して10mMとし、次いで4%DMSOで希釈し、最終DMSO濃度は、1%であった。インキュベーションは、室温で1.5時間行った。反応は、Brandel細胞ハーベスターを用いて、0.3%PEI中に30分間予め浸したガラス繊維のGF/Cフィルター(Perkin Elmers、マサチューセッツ州)を通す急速濾過により終了させた。このフィルターを、50mMトリス−HClを含有する500mlの氷冷緩衝液、pH7.4、で洗浄し、乾燥し、メルチレックスワックスシンチレート(Meltilex wax scintillate)(Perkin Elmers、マサチューセッツ州)を含浸させ、ベータプレートシンチレーションカウンタ(Betaplate scintillation counter)(Perkin Elmers、マサチューセッツ州)によりカウントした。
【0093】
カルシウム動態化
細胞(10/ウェル)を、ブラック384−ウェルプレートに播種し、5%CO/95%大気中、37℃で一晩インキュベートした。培地を除去した後、細胞を、Calcium3 dye(Molecular Device、カリフォルニア州)およびプロベネシドを含有するCsClリンゲル緩衝液(136mMのCsCl、5.4mMのKCl、5.5mMのD−グルコース、20mMのHepes、pH7.5、2.1mMのMgCl、1.2mMのCaCl)でメーカーの指示に従い60分間処理した。化合物を、0.2%のウシ血清アルブミンおよび1.0%のDMSOを含有するCsClリンゲル緩衝液中に希釈した。最大反応の75%を刺激する濃厚なR−α−メチルヒスタミンを使用して化合物を試験した。リガンド誘発蛍光発光を、蛍光イメージングプレート読み取り装置(FIuorometric Imaging Plate Reader)(FLIPR、Molecular Device、カリフォルニア州)により測定した。
【0094】
データ解析
すべてのデータは、Prism4.0ソフトウェアを用いる非線形最小二乗法曲線の当てはめにより解析した。[H]Nα−メチルヒスタミンおよびBmaxに対するKは、方程式、RL=RL/(K+L)から誘導した。RLは、平衡状態にある受容体結合リガンド濃度であり、Lは、遊離リガンド濃度であり、Rは、全体の受容体濃度である。競合結合実験に対して、IC50(特異的結合の50%の阻害を生ずる化合物の濃度)は、4−パラメータロジスティック方程式に当てはめることにより誘導した。見掛けのKi値は、Cheng−Prussofの方程式、Ki=IC50/(1+(L)/Kd)(式中、Lは、リガンド濃度である。)を用いて計算した。FLIPRにおけるアゴニスト刺激およびアンタゴニスト阻害は、方程式、Y=最低値+(最高値−最低値)/(l+10((LogEC50−X)))(Xは、化合物の濃度の対数であり、Yは、反応である。)を用いるシグモイド用量反応に合わせた。
【0095】
この実験の結果を以下の表1に示す。
【0096】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
は、Hであり;
、RおよびRは独立して:
(C1〜C8)直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは
(C3〜C8)シクロアルキルであるか、あるいは
およびRは、これらが結合している原子と共に、メチレンの1つ以上がO、NまたはSにより場合によって置換されていてもよいシクロアルキル−(CH3〜7−を形成しており;
は、CHCH
CH=CH
C≡Cまたは
【化2】

((C1〜C4)直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはハロゲンにより場合によって置換されている。)である。]
の化合物および医薬として許容できるこれらの塩および立体異性体。
【請求項2】
、RおよびRがCHであり、ならびにRが、−CH−CH−または−C≡C−であり、ならびにArが1−ナフチルまたは
【化3】

である、請求項1の化合物。
【請求項3】
1,2,5−トリメチル−4−キノリン−3−イルエチニル−ピペリジン−4−オール;
6−メチル−7−ナフタレン−1−イルエチニル−オクタヒドロ−インドリジン−7−オール;および
4’−(7−ヒドロキシ−6−メチル−オクタヒドロ−インドリジン−7−イルエチニル)−ビフェニル−4−カルボニトリル
からなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の少なくとも1つの化合物を医薬として許容できる担体と組み合わせて含む医薬品組成物。
【請求項5】
ヒスタミンH受容体の拮抗作用が治療上重要な患者の状態を治療する方法であり、少なくとも1つの
【化4】

[式中、
は、Hであり;
およびRおよびRは独立して:
(C1〜C8)直鎖状もしくは分枝状アルキルまたは
(C3〜C8)シクロアルキルであるか、あるいは
、Rは、これらが結合している原子と共に、メチレンの1つ以上がO、NまたはSにより場合によって置換されていてもよいシクロアルキル−(CH3〜7−を形成しており;
は、CHCH
CH=CH
C≡Cまたは
【化5】

((C1〜C4)直鎖状もしくは分枝状アルキルもしくはハロゲンにより場合によって置換されている。)であり;および
Arは、アリールまたはシクロアルキルである。]
の化合物および医薬として許容できるこれらの塩および立体異性体の有効量を、かかる治療を必要としている患者に投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2008−525484(P2008−525484A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548496(P2007−548496)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/046703
【国際公開番号】WO2006/071750
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(504156083)アサーシス, インク. (11)
【氏名又は名称原語表記】ATHERSYS, INC.
【住所又は居所原語表記】3201 Carnegie Avenue, Cleveland, OH 44115 (US)
【Fターム(参考)】