説明

肥満症に用いる小分子

本発明は、肥満症および関連疾患を治療するため、またトリグリセリドレベルおよび体重を減少するための新しい治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重過多および肥満症を治療するための医薬的な化合物および方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関の推定によると、2009年現在において世界中では10億人以上が体重過多である。これらの人のほぼ3分の1が臨床的な肥満であり;また、循環器疾患、2型糖尿病、癌、および脳卒中の危険性が著しく高くなっている。動物における体脂肪含有量の制御は、複数の栄養の統合、主に脳および脂肪組織レベルでの感覚性およびホルモン性インプットによって生じる。この統合ネットワークは、遺伝子だけではなくて、概日リズム並びに物理的および社会的環境の影響も受ける。従って、肥満症は、複雑でシステムレベルの疾患である。
【0003】
レプチンの発見もあって、脂肪症制御の役割を担う分子および経路を特定するための進歩は著しい。遺伝子ターゲットマウスおよびヒトにおける一遺伝子性の肥満症障害のトラッキングの研究を通じてされた印象的な結び付け(impressive bounds)は、下等動物の研究によって補完されている。実質的に調査された今までの全ての主要な代謝レギュレーターは、門を超えた保存機能を示す(例えば、インスリンシグナル、mTOR、および主要リパーゼ、例えばATGLを含む)。哺乳類と同様に、モデル生物(例えば、キイロショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、およびシー・エレガンス)は、エネルギー需要、栄養状態、およびエイジングのバランスを保つために、複数の分子および組織ベースの制御ネットワークを有するので、代謝研究の強力なゲノム手段となる。例えば、RNAiフィーディングモデル(feeding model)を用いて、シー・エレガンスにおける脂肪貯蔵の強力なレギュレーターを特定した。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、トリグリセリド障害、体重過多、および肥満症の治療に適した修飾のためのさらなる遺伝子、酵素経路、および活性化合物を特定することである。
【0005】
従って、本発明は、表1の化合物から選択される治療化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法を提供する。例えば、これらの化合物について、他の治療用途のために開示または承認された治療量を用いることができる。
【0006】
さらなる態様において、本発明が提供するのは、表1の化合物から選択される治療化合物を投与することを特徴とする、患者のトリグリセリドレベル(特に、LDLレベル)を減少させる方法である。
【0007】
類似の態様において、本発明が提供するのは、患者の体重および/または体脂肪を減少させるかあるいは肥満症を治療するための治療投与薬物の製造における、表1の化合物の使用である。さらに提供するのは、本明細書で開示する治療に用いるための、これらの化合物である。本発明はさらに、特許請求の範囲の内容によって定義される。
【0008】
つまり、本発明は、上述の治療(特に、患者の体重および/または体脂肪の減少)に用いる以下の化合物:
・ バンデタニブ、
・ ダサチニブ、
・ タネスピマイシン(17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシン、「17−AAG」)、
・ S−17092、
・ ソラフェニブ、
・ リントプリド、
・ フェノプロフェン、
・ スルファフェナゾール、
・ フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾンを含む;「ユビゾル(Ubizol)」)、
・ ロリプラム、
・ フェブキソスタット、
・ ベラパミル(ノルベラパミルを含む)、
・ 遺伝子CG9438またはそのオルソログ(特に、ヒトのオルソログCYP3A4)の修飾因子から選択される治療化合物、つまり、エルロチニブ、ゲフィチニブおよびラパチニブから選択される化合物、
・ 遺伝子CG8222またはそのオルソログ(特に、ヒトのオルソログKDR)の修飾因子から選択される治療化合物、つまり、アキシチニブ、パゾパニブおよびセマクサニブ(セマキシニブまたはSU5416としても知られている)から選択される化合物、
・ 遺伝子CG6919またはそのオルソログ(特に、ヒトのオルソログHTR4)の修飾因子から選択される治療化合物、つまり、シサプリド、モサプリド、ピボセロド、プルカロプリド、レンザプリド、テガセロッド、トロピセトロンおよびザコプリドから選択される化合物、
あるいは、上述の化合物と、表1の化合物から選択される化合物(好ましくは、上述の化合物)の1つまたはそれ以上との任意の組み合わせに関する。しかしながら、別の態様では、本明細書に記載の治療において、本化合物を単独で用いてもよい。この態様において、本治療のために本発明はが提供するのは、患者の体重および/または体脂肪の減少または肥満症の治療において、唯一の活性な(または、示された)治療化合物として投与されることを特徴とする化合物である。具体的には、国際公開第2006/005613号に記載のようにDPP IV阻害剤なしで本化合物(特に、リントプリド)は投与に用いられる。
【0009】
本明細書に記載の本化合物の使用には、医薬的に許容される塩またはその水和物の形態の任意の使用が含まれる。
【0010】
好ましい態様において、本化合物は肥満症(特に、重篤な肥満症)の治療に用いられる。肥満症は、体脂肪の過多として定義される。肥満度指数[BMI:被験者の体重(kg)をその身長(m)の二乗で割った割合]は、脂肪分布の有益な尺度である。重要なことは、BMIが、罹患率と死亡率の危険性の増加、および適切な治療介入の特定を確認するための患者カテゴリーの層別化を可能とすることである。さらには、BMIは、治療介入戦略を評価するための確かな根拠を提供する。BMIによると、肥満症の層別化は以下の通りである。
BMI≧25 : 体重過多、
BMI=25〜29.99 : 前肥満、
BMI=30〜34.99 : 肥満クラスI、
BMI=35〜39.99 : 肥満クラスII、
BMI≧40 : 肥満クラスIII(WHO, 2000)。
クラスIIの肥満症は重篤な肥満症であり、クラスIIIの肥満症は極度の肥満症と言われており、極めて高い合併性リスクを伴い、例えば2型糖尿病;高血圧症;脂質異常症;冠動脈疾患、脳卒中およびうっ血性心不全などの循環器疾患;非アルコール性脂肪性肝疾患(脂肪肝、脂肪性肝炎、硬変症);閉塞性睡眠時無呼吸、肥満性の低換気症候群、喘息、および拘束性肺疾患などの呼吸器疾患;癌;骨関節炎;胆石症;胃食道逆流症;不妊症および異常月経などの婦人科異常疾患;静脈うっ血;間擦疹および蜂窩織炎などの皮膚異常;外科手術または妊娠の間における併発症リスク増加;尿失禁;並びに特発性頭蓋内圧亢進症が含まれる(Hensrud et al., 2006)。肥満症の重症度が増すにつれて、全死因死亡率のリスクも増加する。極度の肥満症は、性別、年齢、人種などの要因によって、5〜20年ほど寿命を縮めると推定されている(Fontaine et al., 2003)。肥満外科手術は重篤な肥満症患者を治療する一般的な方法であり、肥満症(特に、重篤な肥満症)の罹患率の増加に伴い、1年あたり行われる手術の数も増えている。米国で行われた肥満外科手術の数は、1998年が13,386件であったの対して、2005年は170,000件にまで増加した推定されている(Ecinosa et al., 2005)。しかしながら、2002年の1100万人以上の極度の肥満症患者におけるわずか0.6%のみが手術の適格を満たし、実際に肥満外科治療が行われた(Ecinosa et al., 2005)。さらに、極度の肥満症は、精神的疾患の罹患率の増加も伴う。肥満外科手術の全志願者のうちの半分から3分の2は、うつ病、身体化障害、社会恐怖症、心気症、または強迫性障害などの第I軸(Axis I)精神障害を有する(Rosick et al., 2005; Sarwer et al., 2004)。
【0011】
本発明によって治療できる患者は、ヒト以外の任意の動物またはヒトである。好ましい患者は哺乳類であり、特に好ましい態様においてはヒトである。
【0012】
本発明によって治療または予防(特に、予防的投与の意味)できるのは、肥満症および肥満症に関連する疾患(例えば、糖尿病)である。本明細書で用いる「予防する」または「予防」は、心疾患の完全予防という意味の完全な成功を必要とするのではなくて、疾患が発症するリスクを減少させること、または重症度の低い疾患へ進行させることを示す。同様に、「治療」も完全な治癒のみに理解されるべきではなくて、疾患またはその症状の寛解も含む。
【0013】
「約」は、所定の値と異なっていても、示された用量と同じ効果を有する特定の用量を示すのに用いられる。ある態様において、「約」は所定の値の±20%または10%を示すのに用いてよい。
【0014】
好ましくは、本化合物は、前記の疾患を治療または予防するのに十分な用量を投与する。投与の例として、単回投与または連続もしくは反復投与(例えば、1日に2回、毎日、少なくとも1日おき、少なくとも2日おき、少なくとも3日おき、少なくとも1週間おき、好ましくは少なくとも2週間おき、少なくとも4週間おき、少なくとも8週間おき、またはより好ましくは少なくとも12週間おき)することができる。
【0015】
本発明のさらなる好ましい態様において、本化合物は、医薬的な組成物または薬物に含まれて提供される。該組成物または薬物は、医薬的な担体を含んでもよい。医薬的な担体物質は、薬物耐性の向上に役立ち、溶解性の向上を可能とし、また、薬物に含まれる活性物質のバイオアベイラビリティを高める。これには、例えば、乳化剤、増粘剤、酸化還元成分、デンプン、アルコール溶液、ポリエチレングリコール、および脂質が含まれる。適した医薬的担体の選択は、投与の態様に大きく依存する。経口投与では液体または固体の担体が用いられてもよく、注射では最終的な組成物が液体であるものが望まれる。細胞をターゲットにする場合、適当なベヒクル(例えば、リポソームおよびミクロソーム)を含ませてもよい。
【0016】
好ましくは、本発明において使用する薬物または化合物は、緩衝物質または昇圧物質を含む。緩衝剤によって、薬物のpHを生理的状態に調整することができ、さらにはpHのゆらぎを弱めるかまたは緩衝させることができる。その例として、リン酸緩衝液が挙げられる。昇圧物質はモル浸透圧濃度を調整するのに役立ち、その例として、イオン性物質(例えば、NaCl等の無機塩)および非イオン性物質(例えば、グリセロールおよび炭水化物)が含まれる。
【0017】
本化合物または薬物を、局所的、経腸的または非経口的、特に好ましくは、経口的または直腸的、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、皮内または腹腔内、経皮、経粘膜的または吸入性投与することができる。本発明の剤の好ましい投与経路は非経口経路であり、好ましくは腹腔内または静脈内投与であり、特に好ましいのは静脈内投与である。静脈内投与は、例えば、ボーラス注入、またはより長い期間(例えば、30分〜6時間、特に1〜3時間)にわたる連続的静脈内送達によって行うことができる。さらなる経路には、経口、経皮、または皮下経路が含まれる。特に好ましいのは、経口投与である。消化可能な剤(例えば、活性タンパク質、ペプチド、およびsiRNA)に関しては、非経口経路が好ましい。
【0018】
本発明において使用する薬物または化合物は、経口または鼻腔内投与に適当な形態として製造することができる。本発明の薬物のこれらの投与形態は、粘膜による活性物質の取り込みを急速かつ単純に行うことを可能とする。経鼻摂取では、点鼻剤または鼻用スプレーが適している。経口投与に関しては、固体または液体薬物を、例えばそれぞれ、直接投与するか、または溶解もしくは希釈状態中で投与してもよい。
【0019】
本発明において使用する薬物または化合物は、静脈内、動脈内、筋肉内、血管内、全身的、腹腔内、または皮下投与に適当な形態として製造することができる。このために、例えば、注射または注入が適している。血流への直接投与は、薬物の活性物質が全身に行き渡り、ターゲット組織(特に、心筋)に早く到達する、という利点を有する。
【0020】
本化合物は、治療上の有効量を投与してもよい。該有効量は、非肥満症に関する投与として、これらの化合物で知られている用量の範囲内にある。特に、具体的な使用量は、ショウジョウバエまたはマウス試験系(例えば、実施例3で示す)によって決定することができる。好ましくは、該用量は、マウス(例えば、生後6週間のDIO B6マウスを用いる)に高脂肪食(例えば、60kcal% 脂肪食)を与えて肥満症を誘発させるマウス試験によって決定される。適切な用量は、肥満症の症状(特に、体脂肪量または体重)の減少度に関連する。用量は、例えば、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも10mg/kgおよび/または最大で1mg/kg、最大で10mg/kg、最大で100mg/kg、最大で1g/kgであり、またこれらの間の任意の用量も含む。好ましい用量範囲は0.01mg/kgから1g/kgの間にあり、より好ましくは0.1mg/kgから100mg/kgの間にある。
【0021】
バンデタニブ
バンデタニブは、ザクティマ(Zactima);ZD6474;4−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−[6−メトキシ−7−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−キナゾリン−4−イル]−アミンとしても知られており、経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。
【0022】
バンデタニブは現在、様々な癌(結腸直腸癌、非小細胞肺癌、肝細胞癌、および甲状腺髄様癌を含む)治療のための臨床試験中である。バンデタニブは現在、FDA腫瘍薬諮問委員会[Oncologic Drugs Advisory Committee(ODAC)]により再検討され、切除不能な局所進行性のまたは転移性髄様甲状腺癌の患者の治療に適用されることが提案されている。
【0023】
バンデタニブを、1日あたり15mg〜300mgの用量で経口投与してもよい。1日あたり300mgの経口用量が、ヒトにおける最大耐量である。臨床で使用される用量は、100mg〜300mgの範囲にある。
【0024】
ダサチニブ
ダサチニブは、BMS−354825としても知られている。ダサチニブは、イマチニブなどの前治療に対して抵抗性または不耐性を有する、慢性、加速性、または骨髄性もしくはリンパ系急性転化期の慢性骨髄性白血病(CML)の大人の治療に用いられる。
【0025】
慢性期のCMLにおいて、ダサチニブの推奨される経口投与開始量は、100mgを1日1回である。加速性、骨髄性、またはリンパ系急性転化期のCMLまたはフィラデルフィア染色体陽性のALLにおいて、推奨される投与開始量は、70mgを1日2回である。最大で140mgを1日1回の用量で慢性期のCML患者に使用しており、進行期のCMLまたはALL患者には最大でl00mgを1日2回使用している。ダサチニブを1日あたり15mg〜240mg(60kgの大人ヒトの用量)で投与してもよく、好ましくは経口投与による。
【0026】
ソラフェニブ
ソラフェニブおよびそのトシル酸塩型であるソラフェニブトシル酸塩[化学名は、4−(4−{3−[4−クロロ−3(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)−N2−メチルピリジン−2−カルボキサミド−4−メチルベンゼンスルホン酸塩]は、RAFキナーゼおよびVEGF受容体をターゲットすることにより、腫瘍細胞増殖および血管形成を阻害する。ソラフェニブは、一般的にそのトシル酸塩型として製造される。ソラフェニブおよびその医薬的に許容される塩は、国際公開第00/042012号に開示されている。ソラフェニブは、国際公開第00/041698号にも開示されている。これらの特許文献にはいずれも、ソラフェニブの製法も開示されている。
【0027】
ソラフェニブは、原発性腎臓癌(進行性腎臓細胞癌)および進行性原発性肝臓癌(肝細胞癌)の治療に承認されている。ヒトの最大耐量は、400mgを1日2回の経口投与である。国際公開第00/042012号および国際公開第00/041698号を参照(これらは、参照によって本明細書で援用する)。
【0028】
ソラフェニブは、遺伝子CG8222(PDGFおよびVEGF受容体に関する)の活性をアンタゴナイズする。この遺伝子の、全身および脂肪体の特異的ノックダウンによって、ハエにおけるトリグリセリドが減少した。この遺伝子のヒトオルソログはKDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体、タイプIIIの受容体チロシンキナーゼ)であり、内皮細胞増殖、生存、遊走、管状の形態形成および新芽形成のメディエーターとして機能する。この受容体のシグナル伝達および輸送は多数の因子(Rab GTPase、P2Yプリンヌクレオチド受容体、インテグリン αVβ3、およびT細胞タンパク質チロシンホスファターゼを含む)によって制御されている。
【0029】
ソラフェニブは経口投与されてもよく、また25〜48時間の半減期を有する。その用量を50および600mgの間とすることができ(成人の用量)、好ましくは約200mgである。
【0030】
タネスピマイシン
タネスピマイシン(tanespimycin)は、17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)またはKOS−953としても知られており、抗腫瘍剤として作用するアンサマイシン抗生物質である。具体的に、タネスピマイシンはHsp90(熱ショックタンパク質90)と結合し、これを阻害する。Hsp90は、シグナル伝達タンパク質と結合するタンパク質シャペロンであり、クライアントタンパク質として知られている。これらのクライアントタンパク質は主要な癌関連標的を含み、例えば変異型p53、Bcr−Abl、Her2、Akt、Raf−1、およびB−Rafなどを含む。タネスピマイシンは、Hsp90−クライアントタンパク質複合体を分裂させ、クライアントタンパク質の分解を導くことができる。タネスピマイシンおよび関連化合物アルベスピマイシン(Alvespimycin)(INN)[17−ジメチルアミノ−ゲルダナマイシン(17−DMAG)またはKOS−1022としても知られている]は、毒性の低いゲルダナマイシン(GA)アナログである。
【0031】
タネスピマイシンは、再発した抵抗性多発性骨髄腫、転移性乳頭癌または明細胞腎臓細胞癌、再発した進行性上皮性卵巣癌または原発性腹膜腔癌、転移性乳房癌および抵抗性もしくは進行性固形腫瘍または血液学的悪性腫瘍の患者の治療のために研究がされている。
【0032】
タネスピマイシンは水に不溶性であり、よって患者には、有機溶媒(例えば、DMSO)を用いて静脈内投与する。タネスピマイシン(KOS−953)の製剤として、DMSOではなくて、Cremophor EL(ポリエトキシ化ヒマシ油)を含むものが既に作られている。295mg/m、308mg/m、および450mg/mの推奨される第II相用量が患者に投与されている。
【0033】
ショウジョウバエ遺伝子CG1242のノックダウンによって、ハエトリグリセリドレベルの減少をもたらした。この遺伝子のヒトオルソログは、熱ショックタンパク質HSP90AA1である。HSP90タンパク質は、シグナル伝達、タンパク質フォールディング、タンパク質分解、および形態進化に重要な役割を果たす、高度に保存された分子シャペロンである。HSP90タンパク質は通常、他のシャペロンと共同して、新しく合成されたタンパク質のフォールディング、またはストレス後の変性タンパク質の安定化およびリフォールディングに重要な役割を果たす。HSP90AA1は、2つの主要な細胞質HSP90タンパク質のうちの1つである。
【0034】
好ましい態様において、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシンは腹腔内、点滴、または経口投与してもよく、好ましくは腹腔内であり、例えば腹腔内に60、40、および26.67mg/kgの用量、および40mg/kgの経口用量。好ましくは、用量は、体重の1mg/kg〜500mg/kg、好ましくは少なくとも20mg/kgまたは80mg/kg以上である。
【0035】
S−17092
「S−17092」または「S17092−1」、すなわち(2S、3aS、7aS)−1{[(R、R)−2−フェニルシクロプロピル]カルボニル}−2−[(チアゾリジン−3−イル)カルボニル]オクタ−ヒドロ−1H−インドールは、酵素プロリルエンドペプチダーゼの選択的阻害剤である。この酵素は、脳内における多くの神経ペプチド(神経伝達物質)の代謝分解に係わっており、よって、これら神経ペプチドの活性を増加する酵素活性を阻害する。これによって向知性効果を奏するので、当該効果がS−17092を、神経変性症状(例えば、アルツハイマー病およびパーキンソン病)の治療に有望で新規なものとさせる。S−17092は認知増強作用に加えて、精神安定効果も有するかもしれない。
【0036】
S−17092は、100、400、800または1200mgを1日1回の用量で患者に経口投与されている(Morain et al., 2000)。
【0037】
ショウジョウバエ遺伝子CG5355のノックダウンによって、ハエにおけるトリグリセリドレベルが減少した。肝臓および脂肪体における組織特異的除去によっても、ハエにおけるトリグリセリドレベルが減少した。CG5355のヒトオルソログは、PREPである。PREP(プロリルエンドペプチダーゼ)は、最大で長さがおよそ30アミノ酸のペプチドを含むプロリル残基のC末端側のペプチド結合を切断する、サイトゾルのプロリルエンドペプチダーゼである。プロリルエンドペプチダーゼは、ペプチドホルモンおよび神経ペプチドの、成熟および分解に係わっていることが報告されている。
【0038】
リントプリド
リントプリド[リントプリル(Lintopril)とも言われる]は、適度なSHT−3アンタゴニスト特性を有する5HT−4アンタゴニストである。リントプリドは、嚥下後のLOSの生理的弛緩の影響を受けることなく、下部食道括約筋(LOS)運動の基礎張力(basal tone)を増加させることがヒトで示されており、食道における蠕動の増加をもたらす。
【0039】
リントプリドは経口的または静脈内投与が可能であり、ヒトにおいて0.1、0.3、0.5mg/kgの用量で使用されている。
【0040】
ショウジョウバエ遺伝子CG6919の全身および筋肉の特異的ノックダウンによって、ハエにおけるトリグリセリドレベルが減少した。この遺伝子のヒトオルソログは、HTR4である。この遺伝子は、セロトニン受容体ファミリーの一員であり、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)に応答してcAMP産生を刺激するGタンパク質共役受容体である。当該遺伝子の産物は、末梢および中枢神経系の両方で機能し、様々な神経伝達物質の放出を調節するグリコシル化膜貫通タンパク質である。
【0041】
フェノプロフェン
非ステロイド性抗炎症薬であるフェノプロフェンは、鎮痛性、抗炎症性および解熱性効果を有するプロピオン酸誘導体である。フェノプロフェンカルシウムは、関節リウマチ、骨関節炎、および軽度から中程度の痛みの症状軽減に用いられる。
【0042】
CG8451の全身、ニューロンおよび肝臓の特異的ノックダウンによって、ハエのトリグリセリドレベルが減少する。この遺伝子は、ヒト遺伝子SLC5A8のオルソログである。このようなフェノプロフェンは抗炎症薬であり、このトランスポーターの遮断薬として機能する。
【0043】
フェノプロフェンは、1日あたり200mgから最大推奨用量の3.2gまでの範囲の用量で経口投与される。
【0044】
スルファフェナゾール
スルファフェナゾールは、スルホンアミド抗菌薬であり、CYP2C9の特異的阻害剤である。スルファフェナゾールは、CYP2C9によって媒介される、リノール酸の炎症誘発性およびアテローム生成的効果(酸化ストレスの増加およびAP−1の活性化)をブロックする。
【0045】
スルファフェナゾールは、静脈内および動脈内灌流(0.03μg/100mL 組織/分)によって患者に投与されている(Giannarelli et al., 2009)。
【0046】
ハエ遺伝子CG3466の全身および肝臓特異的ノックダウンによって、トリグリセリドレベルが減少した。CG3466は、チトクロムP450酵素ファミリーの一員である。スルファフェナゾールは、チトクロム機能阻害剤として働く。
【0047】
フルチカゾン
プロピオン酸フルチカゾン[ユビゾール(Ubizol)]は、喘息およびアレルギー性鼻炎(枯草熱)の治療に用いられるフルチカゾンから生じる合成コルチコステロイドである。それは、好酸球性食道炎を治療するのにも用いられる。プロピオン酸フルチカゾンはエアロゾル製剤として送達され、また湿疹および乾癬の治療にクリーム剤としても用いられる。
【0048】
最近の研究が示したことによると、プロピオン酸フルチカゾンは、ヘッジホッグ(Hedgehog)シグナル伝達を活性化させるスムーゼンド(Smoothened)(Smo)アゴニストとして機能する(Wang et al., 2010)。
【0049】
プロピオン酸フルチカゾンの水性点鼻薬の最大推奨投与量は、1日あたり200マイクログラムである。プロピオン酸フルチカゾンの2mg(推奨投与量の10倍)を1日に2回、7日間、健常人に鼻腔内投与したところ、耐容性がよかった。最大で16mgの単回経口投与の研究によって、健常人において急性毒性影響の無いことが報告されている。1日あたり最大で80mgを10日間、健常人に繰り返し経口投与し、また1日あたり最大で10mgを14日間、患者に繰り返し経口投与したところ、いずれも耐容性がよかった。
【0050】
ロリプラム
ロリプラムは、抗うつ作用を有するホスホジエステラーゼIV阻害剤である。ロリプラムは抗炎症薬であるが、現在の抗うつ薬の代替薬としての可能性が研究されている。最近の研究は、ロリプラムが抗精神病薬としての効果を有するかもしれないことを示す。ロリプラムの他の有益な効果には、長期記憶の改善、覚醒状態の増大、および神経保護の増大などが含まれる。ロリプラムは、アルツハイマー病やパーキンソン病の寛解に効果を発揮し、また、切断された脊髄軸索体の再生にも効果を発揮する。
【0051】
ロリプラムは通常、1日あたり0.001〜10mgの範囲の用量で経口的または静脈内に投与することができる。
【0052】
フェブキソスタット
フェブキソスタット(INN)は、キサンチンオキシダーゼの阻害剤である。キサンチンオキシダーゼの機能は、ヒポキサンチンおよびキサンチンの両方を連続的に尿酸に酸化させることである。フェブキソスタットによるキサンチンオキシダーゼ阻害は、尿酸の産生を減少させる。フェブキソスタットは、高尿酸血症および痛風の治療に使用される。推奨経口用量は、1日あたり40mgまたは80mgである。
【0053】
ベラパミル、ノルベラパミル
ベラパミルおよびその塩(ベラパミル塩酸塩)は、フェニルアルキルアミン系のL型カルシウムチャネルブロッカーであり、高血圧症、狭心症、心臓の不整脈、および片頭痛の治療に用いられている。ベラパミルは、血管の凍結保存の間における血管拡張薬としても用いられており、クラス4の抗不整脈薬である。1日あたりのヒトの推奨最大用量は、480mg/日の経口投与である。
【0054】
さらに好ましい化合物は遺伝子CG9438とそのヒトオルソログCYP3A4に関連しており、エルロチニブ、ゲフィチニブおよびラパチニブのリストから選択される。
【0055】
エルロチニブ
エルロチニブは好ましくはその塩酸塩(商品名:タルセバ)の形態で用いられており、非小細胞肺癌、膵臓癌、および他の種類の多数の癌を治療するために用いる薬である。エルロチニブはチロシンキナーゼ阻害剤であり、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)に作用する。
【0056】
ゲフィチニブ
ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)は、進行性非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に用いられるEGFR阻害剤である。
【0057】
ラパチニブ
ラパチニブは好ましくはジトシル酸ラパチニブ(USAN)(タイケルブ/タイバーブ、GSK)の形態で用いられており、乳癌および他の固形腫瘍の治療のための経口活性薬である。ラパチニブは、HER2成長受容体経路に作用する二重チロシンキナーゼ阻害剤である。
【0058】
さらに好ましい化合物は遺伝子CG8222とそのヒトオルソログKDRに関連しており、アキシチニブ、パゾパニブ、およびセマクサニブ(セマキシニブまたはSU5416としても知られている)のリストから選択される。
【0059】
アキシチニブ
アキシチニブは、小分子チロシンキナーゼ阻害剤である。アキシチニブは、異種移植モデルにおいて、乳癌の成長を著しく阻害することが示されており;また腎臓細胞癌(RCC)および他の多数の腫瘍型の試験でも成功している。
【0060】
パゾパニブ
パゾパニブは、複数標的(multi-targeted)受容体チロシンキナーゼ阻害剤である。パゾパニブは腎臓細胞癌の治療に承認されている。パゾパニブは、卵巣癌および軟組織肉腫に活性があり、また非小細胞肺癌の治療にも有効であり得る。
【0061】
セマクサニブ(セマキシニブまたはSU5416としても知られている)
セマクサニブは、進行期の結腸直腸癌患者で治療効果を示せず、その後、臨床試験から姿を消したチロシンキナーゼ阻害剤である。
【0062】
さらに好ましい化合物は遺伝子CG6919とそのヒトオルソログHTR4に関連しており、シサプリド、モサプリド、ピボセロド、プルカロプリド、テガセロッド、トロピセトロン、レンザプリド、およびザコプリドのリストから選択される。
【0063】
シサプリド
シサプリドは消化管運動促進剤であり、上部消化管における運動性を高める薬である。シサプリドは、胃食道逆流症患者の食道括約筋における筋緊張を増加させる。シサプリドは、腸の便秘症を治療するのにも用いられている。
【0064】
モサプリド
モサプリドは、胃内容排出を促す消化管運動促進剤であり;胃酸の逆流、過敏性腸症候群、および機能性消化不良の治療に用いられる。
【0065】
ピボセロド
ピボセロド(piboserod)(SB207266としても知られている)は、心房細動および過敏性腸症候群の治療に用いられる。ピボセロドは、心不全治療としても研究がされている。
【0066】
プルカロプリド
プルカロプリドは、慢性便秘症に伴う運動障害を治療することによって排便を正常化する。
【0067】
レンザプリド
レンザプリド(renzapride)は、消化管運動促進剤および制吐薬であり、下痢型過敏性腸症候群(IBS−C)の治療のために研究されていた。レンザプリドは、交互の排便パターンを有する過敏性腸症候群(IBS−A)にも強力な効果を有する。しかしながら、レンザプリドは第III相臨床試験でプラセボに対する効果を示せず、開発は中断された。
【0068】
テガセロッド
テガセロッドは、胃腸の運動および蠕動反射を刺激する運動刺激剤として機能する。テガセロッドは、過敏性腸症候群および便秘症の治療に承認されていた。
【0069】
トロピセトロン
トロピセトロンは、化学療法後の嘔気および嘔吐を治療するのに用いられる制吐薬である。トロピセトロンは、腱障害および筋筋膜疼痛症候群の局所治療における鎮痛薬としても実験的に用いられている。
【0070】
ザコプリド
ザコプリド(zacopride)は、抗不安および向知性効果を含む多くの活性を有することが示されている。ザコプリドは制吐薬作用および呼吸促進効果(pro-respiratory effects)を有し、いずれも動物研究において、睡眠時無呼吸を減少させ、オピオイド誘発の呼吸抑制を逆転させることが示されている。
【0071】
上述の例示は、本発明の肥満症試験によって明らかにしたのが、ヒトの症状および疾患の治療に関して治療上許容されることがよく知られている医薬化合物であることを示す。かくして当該化合物は、肥満症および関連する二次疾患(例えば、糖尿病およびメタボリックシンドローム)の治療に用いることもできる。当然のことだが、表1の化合物の一覧全体が、新規な治療概念を提供する。
【0072】
本発明において、いずれかの治療の形態で用いられるさらなる化合物(例えば、上述の化合物との組み合わせで、または単独で使用する化合物)は、以下のいずれか一つから選択される:(5−(2−メトキシ−5−クロロ−5−フェニル)フラン−2−イルカルボニル)グアニジン、(E)−4−(2−(2−(N−アセチル−N−(4−メトキシベンゼンスルホニル)アミノ)スチルバゾール))1−オキシド、(melle−4)サイクロスポリン、1−(1−シクロヘキシルエチルアミノ)−4−フェニルフタラジン、1−(2−メトキシフェニル)−4−(4−(2−フタルイミド)ブチル)ピペラジン、15−デオキシプロスタグランジン J2、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、17−(ジメチルアミノエチルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、1−アミノオキシ−3−アミノプロパン、1−ベータ−D−アラビノフラノシル−シトシン、1−カルバモイル−4−フェニルピロリドン−2、1−カルボキシグルタミン酸、1−デオキシガラクトノジリマイシン、1−ヒドロキシメチルミダゾラム、2−[2−[2−[2−[2−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソ−プロピル]アミノ−1−オキソ−エチル]アミノ−1−オキソ−エチル]アミノ−1−オキソ−3−フェニル−プロピル]アミノ−4−メチル−ペンタン酸、25−デスアセチルリファブチン、2−AAF、2−AAF、2−AG、2−AG、2−AP、2−シクロペンチル−5−(5−イソキノリルスルホニル)−6−ニトロ−1H−ベンゾ(D)イミダゾール、2−DG、2−ヒドロキシ−1−ナフチルアルデヒドイソニコチノイルヒドラゾン、2−メトキシ酢酸 [2−[2−[3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)プロピル−メチル−アミノ]エチル]−6−フルオロ−1−イソプロピル−テトラリン−2−イル]エステル、2−メチルアラキドニル−2’−フルオロエチルアミド、2−フェニル−4−オキソヒドロキノリン、2−プロピルキノリン、3−(5−((4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル)メチル)−1H−インドール−2−イル)キノリン−2(1H)−オン、3−AB、3’−デアミノ−3’−ヒドロキシドキソルビシン、3−HF、3−メトキシエストラジオール、3−MF、4−(4−(1−アミノ−1−メチルエチル)フェニル)−2−(4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル、4’−エピドキソルビシン、4−メチル−N−(3−(4−メチルイミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−((4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ)ベンズアミド、4’−N−ベンゾイルスタウロスポリン、4PBA、4−PCB、5−(4’−(N−ピペリジニル)フェニルアゾ)インダゾール、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルベータ−ガラクトシド、5−カルボキサミドトリプタミン、5−デメチルオバリシン、5’−O−(((2−デカノイルアミノ−3−フェニルプロピルオキシカルボニル)アミノ)スルホニル)ウリジン、6’−N−メチルシソマイシン、7HC、7,8−BF、7C3MT、7−ヒドロキシスタウロスポリン、7−ケトコレステロール、8−ヒドロキシ−2−(ジ−n−プロピルアミノ)テトラリン、8−ヒドロキシグアノシン、9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン、9−ベータ−D−エリスロフラノシルアデニン、9−CRA、9−ヒドロキシ−リスペリドン、A−300−I、a−ADP、AAL881、AATP、AB2、アバカビル、アブフェン、アセノクマロール、アセチジン、アセトルファン、アセトキシメチル−エステル、アクラルビシン、ACNU、アコレン、ACON、アセチン、アクテオシド、アクチヘミル、アクトシン、アダリムマブ、アダノン(Adanon)、ADMA、ADMA、アドフィード、アドレノール、アドリン(Adrin)、AEBSF、AEE 788、AG 1879、アホエン、アクラビン、アラクロール、アラト(Alat)、ALDA、アルダラ、アルドコルチン、アレムツズマブ、アレンドロネート、アルファロール、アルフェンタニル、アリムタ、アリスキレン、アライ、ALLNal、アリルアミノ−デメトキシ−ゲルダナマイシン、アルファ−ネオエンドルフィン、アルテルナギン−C、アルベスコ、アルビモパン、Am 80、アマチン(Amatin)、AMCHA、AMD 070、アメントフラボン、アミロライド、アミンBB、アミオダロン、アミオダロン、アンレキサノクス、アムロジピン、アモ(Ammo)、アンピシリン、アンプレナビル、アムルビシン、AMSA、アムソン酸、アナボリーン、アナンダミド、アンコ(Anco)、アンド−カルボキシフルオレセイン−ジアセテート−サクシニミジル−エステル、アンドロステンジオール、アニリニル、アニソマイシン、ANSA、アンチバイオティックG418、アンチバイオティックH107、アンチネオプラストンA10、アンチゾール、APAP、APDC、アフィディコリン、アフィディコリン、アフロイオール、アピシジン、アピゲニン、アプリジン、アプレピタント、APRL、アプソール(Apsor)、アプチガネル、アラレン(Aralen)、アルクチイン、アレコリン、アリーセル(Areether)、アルガトロバン、アリピプラゾール、アルモア(Armor)、アルテイン(Artein)、ASTA、アスタチン、アステミゾール、アタザナビル、アトレール、アトルバスタチン、アトシル、アトバコン、ATRA、アウルトン(Auluton)、オーレオバシジンA、オーロチオグルコース、AuTM、アクサート(Axert)、アキシチニブ、アクサイン(Axsain)、アザシクロノール、アザドC(Azadc)、アザムリン、アザンジイル基、アザスピラン、アゼラスチン、アゼルニジピン、アジドプラゾシン、アジラン(Aziran)、アジスロマイシン、アゾール(Azor)、アズールA、アズールB、BA(VAN)、バクロフェン、バグレン、バイカレイン、バルニジピン、BAY 11−7085、ベフラビン(Beflavin)、ベニジピン、ベンゾイル−スタウロスポリン、ベラプロスト、ベルバミン、ベルベリン、ベルガモチン、ベルガプトール、ベスタチン、ベータ−シトロネロール、ベータ−オイデスモール、ベータ−フナルトレキサミン、ベータ−ガンマ−イミノ三リン酸、ベキサロテン、ベザフィブラート、BID 1870、ビアピゲニン、BIBF 1000、BIBW 22、ビフェプルノックス、ビソプロロール、ビスフェノール A−グリシジルメタクリラート、ビセレシン、ブレオマイシン、BM 41.440、BMS 310705、BMS−262084、BMS 453、BMS−470539、BMY 7378、ボレリア-ブルグドルフェリ、 ボルテゾミブ、 ボセンタン、 ボスチニブ、Bo−Xan、ブレフェルジンA、ブレマゾシン、ブリオスタチン、ブデソニド、ブファリン、ブメタニド、ブピバカイン、ブプレノルフィン、ブスピロン、ブチオニン、ブチオニンスルホキシイミン、カベルゴリン、CACP、カルシジェックス、カルシマイシン、カルフォスチンC、カリクリン、カンプトテシン、カンデサルタン、カンドキサトリル、カンドキサトリラート、カネフ、CAPE、カプサンチン、カプザゼピン、カルバマゼピン、カルバミン酸、カルジオリピン、心停止液、カレバスチン、カルフェンタニル、カリソプロドール、CAR−NOSOL、カルバクロール、カルベジロール、カソデックス、カスポファンギン、カスチシン、カテキン、CD 437、セフォタキシム、セフタジジム、セレコキシブ、セリプロロール、CEP 701、セファロマンニン、セリバスタチン、セルレニン、セチリジン、セチリジン、セツキシマブ、CGS 26303、CGS 35066、CGS 35601、クロラムフェニコール、クロロプロカイン、クロルゾキサゾン、キモスタチン、シカプロスト、シグリタゾン、シグアトキシン類、シローラ(Cillora)、シロスタゾール、シメチジン、CINK 4、シポール(Cipol)N、シプロフロキサシン、シプロール、シサプリド、シタロプラム、シトクス(Citox)、CJ−15161、クラドリビン、クラボシンB、クラブロンII、クロバザム、クロドロン酸、クロファジミン、クロフィブリン酸、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロニジン置換物質、クロピドグレル、クロチアゼパム、クロザピン、CMDBS 25、Co 2−1970、コルヒチン、タリノロール(Cordanum)、コルヌシド、コスツノリド、コチニン、コトリム、クマリン、クマリン、クマリン、クーママイシン、CP 31398、CRA 026440、CREBtide、クレストール、クロドアシッド(Crodacid)、クリプトタンシノン、クリプトキサンチン、シクランデレート、シクロヘキサンカルボン酸 (2−(4−(2−ブロモ−5−メトキシベンジル)ピペラジン−1−イル)エチル)−(2−トリフルオロメトキシフェニル)アミド、シクロパミン、シクロピアゾン酸、シクロプロジギオシン、サイクロスポリンG、シクロテオンアミド(cyclotheonamide)A、シプロテロンアセテート、シスタミン、シタラビン、D 21266、DA 8159、DABS、ダカルバジン、DADA、DADSO、ダイゼイン、ダルテパリン、D−AM、ダナパロイド、ダナゾール、ダプソン、ダラル(Daral)、ダリフェナシン、ダサチニブ、DAU 6285、ダウノルビシン、ダウリシン、ダイフェン、Dddd−PGD2、デクルシン、デフェロキサミン、DEHP、デヒドロアリピプラゾール、硫酸デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロキシメチルエポキシキノマイシン、デラビルジン、デルフィニジン、デルタ−1−ピロリン−5−カルボキシレート、デルタ8−THC、デナガード、デンビノビン、デノスマブ、デオキシハイプシン、デオキシベルコシジン、デパス、デホスホノカリクリンA、デプロセプチン(Deproceptin)、デラムシクラン、デルモルフィン、デスエチルクロロキン、デスロラタジン、デスメチルアゼラスチン、デスメチルデプレニル、デスメチル−タモキシフェン、DEVD−CHO、デキセカドトリル、デキシロキシグルミド、デキストロプロポキシフェン、ジアベン、ダイアコミット、ジアデノシン 四リン酸エステル、ジダノシン、ジラピオール、ジルチアゼム、ジノプロストン、ジオスゲニン、ジオスメチン、ジオキシラン、ジオキソラン、ジピロン、ジソピラミド、ジチオカルブ、マレイン酸ジゾシルピン、DNSCl、Doca、ドフェキダル、 ドロルミン(Dolomin)、ドンペリドン、ドキサゾシン、ドキシフルリジン、ドキシサイクリン、DPC 681、DPCPX、DPPH、ドロキシア、ドライソル、デュロキセチン、デュラパタイト、ドルスバノキソン(Dursbanoxon)、DX 9065a、Dxms、ダイナペン、ダイナトラ(Dynatra)、ダイノルフィン、ジシデニン、ジスプロシウム、ジストロブレビン、E 10、EACA、エバスチン、エブロチジン、Econ、エコナゾール、エクチナサイジン743、エクトイン、Edex、エドロホニウム、エファビレンツ、エフラペプチン、EGCg、EGRck、EHT 1864、エレトリプタン、エンベリン、エベリスタチン、EMD 53998、EMD 61753、エメチン、E−MIX80、エモジン、エンペシド、エムトリシタビン、エナドリン、エナラプリル、エナラプリラート、エンジイン、エノロン(Enelone)、エノキシモン、EPIB、エピカール(Epicar)、エピカテキンガラート、エピメジンC、エポプロステノール、エポスタン、エポチロン類、エポキシベルガモチン、イプシロン−ビニフェリン、エプチフィバチド、エルゴタミン、エリオカリキシンB、エルロチニブ、エルシン、Eryc、エスカジン、エストラムスチン、ET18−Ome、Etfccpd、エタクリニック酸、エタンブトール、エチドロン酸、エトドラク、エトポシド、エトリコキシブ、エトルフィン、エトラビリン、Eufor、ユーメラニン、オイパチリン、エベロリムス、エヴェックス(Evex)、エボジン、エクセナチド、エクスティナ、エゼチミベ、F 11440、ファンキニン、F−Ara−A、フェブキソスタット、フェルバメー
ト、フェロジピン、フェニトロチオン、フェノフィブリン酸、フェノプロフェン、フェンレチニド、フェキソフェナジン、フィンゴリモド、フィプロニル、フィセチン、FLCZ、フレカイニド、フレシノキサン、フリバンセリン、フロキサシリン、フルデオキシグルコースF18、フルナリジン、フルオレキソン、フルオロウラシル、フルパロキサン、フルペンチキソール、フルボキサミン、フォンダパリヌクス、ホノホス、フォルマート(Format)、フォルスコリン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、フラケファミド、フコイダン、フルベストラント、Fura−2、フラフィリン、フリルフルアミド、FYDE、ガンボグ酸、ゲズニン、ゲフィチニブ、ゲルダナマイシン、ゲムフィブロジル、ゲニピン、ゲンタマイシン、ゲピロン、ゲストデン、GF 120918、GGTI 298、GI 129471、イチョウ抽出物、グラブリジン、GLCa、グルタミン、グリチロン、グリオクス(glyox)、グニジマクリン、ゴシペチン、ゴシポール、GR 113808、グリホリン、グロフォ(Grofo)、ググルステロン、グスペリムス、ハルゾル、Hbim、ヘスペレチン、ヘキサジメトリン、HMBA、ヒプシジプレノールA9、ヒプシン、ヒルチオエレクチンA、イバンドロン酸、IBMX、I−BOP、イボテン酸、イコサペント、ICRF 193、イデベノン、IDN 5390、イホスファミド、イホスファミド、IGF−1、イロプロスト、イマチニブ、イミダフェナシン、インペラトリン、インプルシン、イムレコキシブ、イムテックス、インダゾール、インジナビル、インディプロン、インジルビン−3’−モノキシム、インフリキシマブ、イノガトラン、イプラール、イプリバスク(Iprivask)、イプサピロン、イルベサルタン、イレッサ、イリノテカン、イリソリドン、イロフルベン、アイロックス(Irox)、イスモ(Ismo)、イソバック、イソカイフラクトン、イソドノール、イソフラボン、イソラムネチン、イソステビオール、イスラジピン、ヒスチジン(Istidina)、ITF 2357、イトラコナゾール、イベルメクチン、イクサベピロン、J 113397、J 113397、ジャスプラキノリド、ユグロン、十全大補湯、K 252、ケンペロール、KAFA、カーウェオール、カイニン酸、加味温胆湯、カオリン、KB2796、K−DR、ケロイド、Kemi、ケタゾシン、ケトPGF1アルファ、KKHA−761、KN 62、KN 93、KNK 437、KP372−1、K−PAM、KPMK、KR 31831、KRM 1648、K−SR、クラリノン、KYNA、L 685458、L 797591、LAGA、ラミブジン、ラモトリギン、ランレオチド、ラパケノール、ラパチニブ、LAQ824、ラキニモド、ラトランクリンA、LBH 589、レフルノミド、レナリドミド、レンドルム、レンチナン、ロイコトリエンB4、ロイコトリエンC4、ロイコトリエンD4、ロイコトリエンス、レボノルゲストレル、リアロゾール、リントプリド、リクイリチン、LMWH、LNAC、ロナファーニブ、ロニダミン、ロペラミド、ロピナビル、ロプリル、ロラタジン、ロラゼパム、ロレックス(Lorex)、ロサルタン、ローヴァン(Lovan)、ロキシグルミド、L−T3、ルペオール、ルテオリン、ルテチウム、ルテックス(Lutex)、LY 117018、LY 293111、LY 293284、LY 303511、LY 231514、マハニン、マレイミド類、マリックス(Malix)、マンザミンA、マラビロク、MBCl、MCYST−LR、メブマール(Mebumal)、メデマイシン、メドロキシプロゲステロン−17−酢酸エステル、メラトール(Melatol)、メレチン、メリチン、メロキシカム、メマンチン、メナテトレノン、MENT、メフェニトイン、メプロバメート、MeSAdo、メサラミン、メサトン(Mesaton)、メソグリカン、メソール(Mesol)、メタザクロル、Meth、メタノプテリン、メトルファン、メトキサレン、メトキシモルフィナン、メチルプレドニゾロン、メチルチオイノシン、メトケファミド、メトピロン、メトリボロン、ミアジン、ミコナゾール、ミクトノーム、ミダゾラム、ミフェプリストン、ミグルスタット、ミルベマイシン、ミモシン、ミルタザピン、Mit−C、ミトラマイシンA、ミトキサントロン、MK−0524、MLN 944、モルシドミン、モネンシン、モノシリンI、モノダンシルカダベリン、モノ−N−デメチルアジナゾラム、モノルデン、MORIN、モルフィン−3−グルクロニド、モサプリド、モタピゾン、モツポリン、モキシフロキサシン、MRK 003、MTPA、ムラン(Muran)、ムスカリン、N−(4−アミノフェネチル)スピロペリドール、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−シアノ−ベンゾ(b)チオフェン−2−カルボニル)グアニジン、N−(8−アミノ−1−カルボキシオクチル)−アラニル−プロリン、N(アルファ)−(4−アミノ−4−デオキシプテロイル)−N(デルタ)−ヘミフタロイル−L−オルニチン、N−(m−ヘプチル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミド、N−3−イソキノリニル−2−((4−ピリジニルメチル)アミノ)ベンズアミド、NABU、ナフタレン(Naftalen)、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルトリンドール、NAN−190臭化水素酸塩、ナンチャングマイシン、ナファゾリン、ナリンゲニン、ナテグリニド、N−ベンジルオキシカルボニルプロリルプロリナール、N−デヒドロキシジロートン、N−デスメチルクロバザム、ネダプラチン、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネモナプリド、ネオジム、ネオマイシン、N−エチルマレイミド、ネトグリタゾン、ニューロメジンC、Neut、ネビラピン、ナイアシンアミド、ニカラベン、ニカルジピン、ニセリトロール、ナイジェリシン、ニグルジピン、ニモジピン、NK 104、NMDA、N−メチルスルホニル−6−(2−プロパルギルオキシフェニル)ヘキサンアミド、NN 703、ノビレチン、NOC 18、ノシセプチン、ノルアルフェンタニル、ノルビナルトルフィミン、ノルカンタリジン、ノルジヒドログアイヤレチン酸、ノルエチンドロン、ノレキシミド、ノルフルオキセチン、ノルラウダノソリン(norlaudanosoline)、ノルチリジン、ノルベラパミル、ノボビオシン、NPI 031L、NRDC、NSC 23766、NSC 295558、NSC 366140、NSC663284、N−tert−ブチル−3−[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]−2−フェニルプロパンアミド、NU 2058、NU 6102、ヌトリン3、NVP−AEW541、オボバトール、OC 144−093、オクラトキシンA、オクトレオチド、オクトレオチド、O−デメチルトラマドール、O−デスエチルレボキセチン、オエノテインB、オジェン、OH−pro、オクタン(Oktan)、オラミン、オランザピン、オレアンドリン、オレイルアミド、オルメリン(olmelin)、オロモウシン、Olymp、オマリズマブ、オマパトリラト、オメガ−N−メチルアルギニン、オメプラゾール、オメプラゾールスルホン、オンダンセトロン、ONO 1301、オプテフ、Org 31540、オルフェナドリン、OSI 930、OSU 03012、ウアバイン、オバリシン、オベックス、オキサリプラチン、オキサトミド、オキスカルバゼピン、オキシドパミン、オキシマトリン、オキシトロール、パクリタキセル、パリトキシン、パミドロネート、p−アミノ馬尿酸、パナキサジオール、パントプラゾール、PAPP、パルテノライド、パツリン、パゾパニブ、PCSO、PD 169316、PD 173074、PD 98059、PDBU、ペクテノトキシンII、ペグビソマント、ペメトレキセド、ペントシジン、ペントキシフィリン、ペプロマイシン、ペプスタチンA、ペラジン、ペリロール、ペリンドプリル、ペリレンビスイミド、phen、phen、フェナントレン、フェノチアジン類、フェンプロクモン、フェニトイン、フェオホルビド a、フロレチン、ピシバニール、ピクリン酸、ピクロポドフィリン、ピドチモド、ピフィスリン、ピンドビンド、ピオグリタゾン、ピロキシカム、プルンバギン、プルロニックP−85、PMPA、PMSF、ポサコナゾール、PP−IX、プラグモリン、プラバスタチン、プラゾシン、PRDL、プレドニゾン、プロイシン、プリミドン、プロアジフェン、プロカシル、プロセトフェン、プロジギオシン、プロディクス(Prodix)、プロメゲストン、プロポフォール、プロスタグランジンA1、プロスタグランジンD2、プロスタグランジンE1、プロスタグランジンF2アルファ、プロスタグランジンH2、プロスタグランジンJ2、プロスタグランジン類、プロスタグランジン類G、プロストラチン、プルカロプリド、プルヌスタチンA、プソイドヒペリシン、プソイドラリン酸B、サイロシビン、ソラレン、PTAP、PTX−B、プエラリン、PUGNAc、p−XSC、ピレトリン類、ピルビニウム、クエルシトリン、クエチアピン、クイシファル(Quicifal)、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、R 101933、ラベプラゾール、ラデステル、ラロキシフェン、ラミプリラート、レバミピド、レボキセチン、レミフェンタニル、レンザプリド、レパグリニド、レキップ、Revex、ロジナール、リアコン(Riacon)、リバビリン、リファブチン、リルゾール、リモルフィン、リセドロン酸、リスペリドン、リトドリン、リトナビル、リツキシマブ、RMI 12330A、Ro 13−8996、Ro 64−0802、ロビテト(Robitet)、ロリプラム、ロミデプシン、ロピバカイン、ロクエホルチン、ロスコビチン、ロシグリタゾン、ロスマリン酸、ロスバスタチン、ロゼビン、RPR 121056、ルリッド、ルテカルピン、ルチン、S 17092−1、S 9788、S アザビサボレン(azabisabolene)、サフィンゴール、SAHA、サイントピン、サリシン、サリノマイシン、サリノスポラミドA、サルブリンアル、サルビン、サルビノリンA、サマリウム、サンパトリラト、サンギバマイシン、サキナビル、Sarasar、サリゾタン、SB 203580、SB 207266、SB 216763、SB 225002、SB 415286、SB−649915、SB−706375、SCH 66712、シザンドリンB、SCIO−469、スコパロン、セディール、セラメクチン、セレギリン、Serad、セサミン、セボフルラン、シルデナフィル、シリビン、シゾフィラン、ソファルコン、ソラフェニブ、SP 100030、スパルフロキサシン、スピラドリン、スピラプリラート、スピロゲルマニウム、SR 48692、SR 59230A、SRI 63−154、SRIH、ST 1481、STA 5326、スタチオボトリジアル、スタノゾロール、スタブジン、SU 1498、SU 5416、SU 5614、SU 6656、SU 6668、SU 9516、スクラルファート、スフェンタニル、スレム(Sulem)、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファミド、スルファフェナゾール、スルホキシミン、スリンダク、スルトプリド、スマトリプタン、スニチニブ、sural、T 0901317、TAC 101、タクロリムス、タモゲル(Tamogel)、タムスロシン、タンドスピロン、タンゲレチン、タンシノン、タリキダル、タセレン(Taseron)、 タウロリジン、タキソテール、タザロテン、TBDZ、TBHQ、TCDD、テガフール、テガセロッド、テリスロマイシン、テルミサルタン、テモゾロマイド、テムシロリムス、テニポシド、テルフェナジン、テリパラチド、テトラプレノール、TG 101209、タリカルピン、タプシガルジン、テアフラビン、チアゾリジネジオン類、チオコラリン、チオリダジン、チオルファン、トロンボキサンB2、ツリウム、チマルファシン、チモペンチン、チモキノン、チクロピジン、チリジン、チピファルニブ、チプラナビル、チリラザド、TKI−31、Tmndga、TMPN、トダリン(Toddalin)、トドララジン、トフィソパム、トルテロジン、トピラメート、トポテカン、トレミフェン、トキサフェン、トラマドール、トラマット、トランドラプリル、トラピジル、トラポ
キシンA、トラスツズマブ、トラゾドン、トレモード、トリアゾラム、トリアゾベンゾジアゼピン類、トリブチルスタンナン、トリコスタチンA、トリコスタチン類、トリフロペラジン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリオレイン、トリプトライド、TRK820、トログリタゾン、トロレアンドマイシン、トロピセトロン、塩化トロスピウム、ツニカマイシン、チロホリン、チロックス(Tylox)、チルホスチンAG−490、チベロース、U 0126、U 69593、ユビゾール(Ubizol)、UH 301、Usaf B−12、USAN、バルプロ酸、バルサルタン、バルスポダール(valspodar)、バンデタニブ、バプレオチド、ベンラファキシン、ベラパミル、ベルルカスト、ベルコシジン、ベルシペロスタチン、VGA1155、ビジル(Vigil)、ビンカロイコブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビスケン、Viviq、ボリコナゾール、ボロゾール、ブルニバクチン、ワキル、ワルファリン、ワルトマンニン、WAY 100635、オウゴニン、WR 1065、WS 79089B、キサントフモール、Xaxa、キシメラガトラン、キシリット、Y 27632、YM−201627、YM−231146、ザコプリド、ザフィルルカスト、ZD 4190、ゼアキサンチン、ゼルドックス、ジロートン、ジムコ(Zimco)、ジンコブ、ZK 112993、ZM 323881、ゾピクロン、ZSTK 474、ザイモサン、およびそれらの組み合わせ。これらの化合物は、脂肪沈着機能、トリグリセリド循環(circulation)および肥満症の新たに同定された重要な制御因子(レギュレーター)と相互作用する。機構的に本発明の治療には、表1に列記の遺伝子の、遺伝子および遺伝子機能の修飾または遺伝子産物(特に、タンパク質)との相互作用が含まれる。
【0073】
本明細書に記載の発見に基づいて、これらの化合物が、以下から選択される少なくとも1つの遺伝子を修飾することを見出した。すなわち、ショウジョウバエ遺伝子CG30184、CG 10369、CG 32401、CG 2374、CG 8693、CG 14909、CG 13299、CG 7847、CG 30462、CG 30462、CG 15169、CG 1650、CG 6577、CG 30491、CG 4373、CG 10407、CG 2198、CG 6356、CG 5744、CG 9506、CG 31169、CG 1728、CG 9220、CG 15625、CG 5550、CG 13088、CG 13188、CG 14968、CG 1503、CG 1666、CG 14869、CG 2702、CG 2984、CG 4394、CG 9922、CG 14529、CG 17781、CG 17781、CG 9153、CG 15178、CG 5641、CG 3879、CG 15579、CG 1422、CG 6299、CG 8107、CG 7103、CG 10617、CG 30360、CG 32971、CG 32336、CG 31036、CG 12602、CG 9676、CG 1433、CG 1100、CG 31697、CG 7095、CG 2165、CG 10230、CG 10916、CG 3274、CG 18767、CG 5072、CG 3396、CG 15582、CG 16826、CG 6788、CG 9487、CG 1888、CG 4637、CG 15162、CG 5719、CG 2254、CG 4695、CG 14936、CG 17867、CG 15646、CG 5402、CG 15095、CG 8250、CG 18030、CG 14303、CG 14164、CG 14677、CG 12105、CG 17440、CG 32459、CG 11404、CG 8954、CG 13138、CG 9056、CG 12997、CG 12997、CG 5436、CG 14330、CG 10809、CG 1622、CG 3893、CG 1112、CG 31690、CG 12664、CG 13679、CG 17556、CG 10062、CG 31744、CG 9760、CG 1555、CG 14375、CG 32170、CG 4271、CG 32234、CG 7287、CG 14341、CG 30486、CG 31692、CG 31421、CG 5467、CG 30065、CG 9086、CG 1688、CG 17026、CG 4415、CG 10343、CG 15388、CG 13984、CG 3313、CG 13116、CG 4662、CG 6919、CG 17841、CG 30411、CG 9053、CG 1180、CG 14166、CG 13125、CG 13344、CG 1490、CG 2867、CG 5591、CG 14362、CG 1531、CG 15390、CG 6689、CG 14234、CG 14265、CG 5674、CG 3917、CG 8257、CG 9028、CG 1722、CG 18402、CG 7082、CG 11797、CG 3663、CG 16704、CG 31172、CG 31219、CG 1363、CG 6721、CG 5688、CG 8527、CG 13137、CG 6612、CG 6947、CG 7737、CG 1705、CG 14704、CG 10300、CG 3597、CG 3425、CG 2540、CG 6856、CG 12259、CG 4583、CG 3843、CG 9634、CG 3809、CG 9295、CG 9485、CG 11555、CG 11601、CG 14095、CG 10166、CG 2852、CG 14164、CG 14164、CG 2898、CG 3162、CG 6603、CG 8721、CG 17742、CG 14127、CG 8665、CG 9438、CG 32113、CG 32353、CG 4957、CG 33558、CG 11570、CG 32669、CG 11575、CG 30271、CG 7830、CG 31061、CG 2076、CG 17596、CG 6824、CG 17921、CG 12875、CG 13020、CG 13972、CG 13673、CG 10772、CG 8079、CG 13127、CG 9144、CG 8979、CG 7097、CG 11768、CG 10632、CG 14903、CG 1874、CG 33466、CG 3367、CG 4851、CG 17985、CG 31229、CG 3260、CG 13023、CG 11125、CG 17184、CG 31812、CG 13360、CG 30075、CG 30183、CG 7485、CG 5495、CG 5495、CG 7065、CG 13202、CG 7779、CG 9322、CG 7091、CG 16758、CG 5071、CG 4920、CG 1516、CG 9554、CG 10101、CG 3004、CG 7796、CG 10152、CG 18741、CG 8444、CG 11425、CG 10128、CG 10542、CG 11878、CG 14434、CG 12345、CG 2091、CG 31459、CG 13319、CG 7177、CG 7776、CG 15005、CG 31605、CG 7213、CG 17283、CG 18268、CG 3017、CG 7567、CG 32091、CG 9695、CG 8222、CG 1515、CG 8256、CG 1975、CG 32467、CG 3817、CG 4038、CG 6193、CG 1572、CG 8117、CG 3526、CG 7099、CG 18525、CG 9198、CG 30470、CG 17273、CG 31439、CG 1387、CG 9952、CG 6580、CG 10840、CG 13221、CG 8202、CG 8786、CG 7199、CG 11663、CG 12683、CG 31161、CG 8009、CG 17202、CG 1683、CG 17335、CG 33204、CG 14694、CG 11229、CG 16836、CG 12209、CG 18414、CG 13475、CG 11621、CG 13332、CG 11756、CG 11133、CG 18586、CG 4944、CG 3213、CG 4152、CG 6147、CG 8515、CG 5827、CG 12691、CG 8308、CG 13807、CG 2260、CG 30004、CG 4247、CG 4247、CG 5739、CG 4202、CG 4264、CG 5245、CG 13707、CG 3523、CG 10686、CG 9565、CG 4111、CG 14673、CG 31132、CG 5355、CG 32149、CG 8443、CG 17461、CG 8190、CG 13744、CG 9258、CG 6043、CG 1759、CG 8534、CG 14792、CG 8451、CG 8654、CG 12806、CG 14938、CG 9399、CG 10542、CG 13168、CG 31845、CG 6277、CG 17819、CG 2818、CG 1688、CG 13868、CG 17736、CG 7546、CG 31693、CG 12897、CG 2146、CG 3440、CG 3696、CG 12426、CG 18319、CG 18279、CG 18279、CG 3054、CG 2145、CG 3825、CG 9781、CG 13423、CG 12030、CG 14911、CG 3911、CG 6122、CG 7206、CG 8566、CG 30476、CG 9470、CG 6127、CG 5381、CG 12505、CG 1279、CG 32140、CG 12184、CG 31364、CG 1963、CG 5484、CG 4634、CG 9748、CG 32442、CG 1921、CG 18740、CG 1242、CG 9946、CG 11121、CG 3497、CG 6817、CG 30080、CG 1171、CG 11430、CG 10691、CG 13281、CG 11352、CG 3839、CG 14368、CG 14024、CG 9936、CG 11505、CG 11906、CG 1263、CG 14011、CG 11339、CG 12015、CG 30389、CG 17331、CG 15432、CG 15507、CG 14842、CG 3906、CG 17754、CG 5289、CG 5378、CG 5625、CG 6156、CG 13243、CG 8239、CG 1821、CG 7762、CG 3108、CG 8053、CG 3605、CG 4207、CG 8431、CG 9098、CG 5270、CG 5595、CG 6064、CG 6967、CG 7134、CG 7549、CG 6892、CG 10687、CG 10712、CG 11981、CG 12770、CG 15599、CG 18563、CG 7770、CG 6322、CG 3806、CG 3980、CG 6054、CG 7292、CG 3992、CG 2998、CG 8337、CG 13194、CG 5147、CG 16903、CG 11202、CG 10084、CG 12323、CG 31484、CG 6949、CG 7352、CG 10728、CG 11376、CG 32210、CG 7109、CG 8615、CG 9160、CG 8298、CG 15115、CG 1965、CG 12595、CG 15321、CG 6009、CG 11267、CG 4453、CG 3971、CG 17255、CG 32791、CG 14016、CG 14016、CG 1740、CG 32667、およびこれらのヒトオルソログ。本発明によって、少なくとも1つのこれらの遺伝子の機能が本化合物(特に、表1に記載の小分子)により修飾される。好ましい態様において、本化合物は、少なくとも2、3、4、5、6またはそれ以上の遺伝子(またはオルソログ)を調節する。遺伝子機能を調節するのに適したさらなる化合物には、治療的なタンパク質または核酸[例えば、導入遺伝子または阻害性核酸(RNAi分子、siRNA、アンチセンスRNAまたはDNA)]の投与が含まれる。そのような干渉核酸は、遺伝子メッセージ(message)と結合し、遺伝子発現の抑制や低下をもたらす。好ましい治療的なタンパク質には、これらの遺伝子(アゴニストとして)の遺伝子産物またはこれらのタンパク質に特異的に結合する抗体[アンタゴニストとしてであるが、同時にタンパク質活性が増加するならば(例えば、阻害剤結合部位と結合しブロックすることによって)アゴニストとしてでもある]が含まれる。本化合物は、上記列記した遺伝子のいずれか一つの酵素的経路におけるタンパク質の遺伝子機能を高める(mRNA制御またはタンパク質との相互作用による)ことによってアゴニスト、または前記経路におけるアンタゴニストのいずれかとして作用することができる。化合物の拮抗または活性化(アゴニスト)活性は、好ましくは同定した肥満症遺伝子(それらの遺伝子産物も含む)自身またはその結合パートナーに作用する。好ましい態様において、肥満症遺伝子のアンタゴニストが用いられる。
【0074】
ターゲットできる遺伝子は、摂食コントロールの有望な制御因子でもある。例えば、匂い分子受容体の遺伝子10a、56a、65a、67a、83cd、CG10407、並びに味覚受容体98bおよび36bをターゲット(特に、抑制または拮抗)することができる。ドパミン受容体DopR2、2つのオクトパミン受容体(TyrRおよびoa2)、並びにNmda受容体関連タンパク質のNmda1も含む。また、変質(altered)脂肪沈着は、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(fbp)、グリセロールリン酸シャトルのメンバーの2つ(CG31169およびGpo−1)、ミトコンドリアのアシル担体タンパク質1(mtacp1)、ADP/ATPトランスロカーゼ2(Ant2)、ピルビン酸カルボキシキナーゼ(CG1516)、および脂肪酸シンターゼ(fasn)を含むグルコース/脂質動員に係わる遺伝子の修飾の応答において観察された。本発明において修飾できる遺伝子のさらなる例には、グルカゴン(akh)、インスリン受容体(dInR)、および下流キナーゼであるPI3−キナーゼ(dPI3K)、リボソーム性S6キナーゼ(dRSK)、CREBコアクチベーターdTORC、および決定的なTORシグナリング構成物dTSC−1のショウジョウバエオルソログ、重要な早期脂肪生成レギュレーターNCOR1/2、Jag1/2、およびTAK1、または代謝レギュレーターCRTC1/2およびピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)のショウジョウバエホモログが含まれる。ショウジョウバエ遺伝子の全てに対して、本発明は、治療化合物の本発明用途によってターゲットできるヒトオルソログを同定した(表1)。
【0075】
本発明において、全ての表1に記載の遺伝子、実施例1.2に示すもの、特に実施例1.3、1.4または1.5に示すものは、適当な化合物の治療投与によって修飾することができる。本発明において、修飾されるのに好ましい遺伝子は上述したもの、並びにLSD(Lipid storage droplet)およびLPD(Lipid Depleted)遺伝子、ショウジョウバエインスリン様ペプチド(Ilp’s)、グルカゴンホモログakhおよびその受容体 akhr、並びにadipose(adp)、bubblegum(bbg)、およびショウジョウバエSREBPホモログ、HLH106、CG8451、並びにもちろんそれらのヒトオルソログである。
【0076】
表1:治療化合物のリスト
小分子:化合物名(下記の同義語リストを参照)、ヒトオルソログ:治療標的(ターゲット)のヒト遺伝子名、ヒトEntrez ID:遺伝子ID、ショウジョウバエ:オルソログショウジョウバエ遺伝子ID、型:分子相互作用のタイプ(O:肥満症−肥満症経路相互作用、B:確認された結合パートナー)



















































































































【0077】
好ましい態様において、本発明は以下の通り定義される。
【0078】
定義1
表1の化合物から選択される治療化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【0079】
定義2
CG30184、CG10369、CG32401、CG2374、CG8693、CG14909、CG13299、CG7847、CG30462、CG30462、CG15169、CG1650、CG6577、CG30491、CG4373、CG10407、CG2198、CG6356、CG5744、CG9506、CG31169、CG1728、CG9220、CG15625、CG5550、CG13088、CG13188、CG14968、CG1503、CG1666、CG14869、CG2702、CG2984、CG4394、CG9922、CG14529、CG17781、CG17781、CG9153、CG15178、CG5641、CG3879、CG15579、CG1422、CG6299、CG8107、CG7103、CG10617、CG30360、CG32971、CG32336、CG31036、CG12602、CG9676、CG1433、CG1100、CG31697、CG7095、CG2165、CG10230、CG10916、CG3274、CG18767、CG5072、CG3396、CG15582、CG16826、CG6788、CG9487、CG1888、CG4637、CG15162、CG5719、CG2254、CG4695、CG14936、CG17867、CG15646、CG5402、CG15095、CG8250、CG18030、CG14303、CG14164、CG14677、CG12105、CG17440、CG32459、CG11404、CG8954、CG13138、CG9056、CG12997、CG12997、CG5436、CG14330、CG10809、CG1622、CG3893、CG1112、CG31690、CG12664、CG13679、CG17556、CG10062、CG31744、CG9760、CG1555、CG14375、CG32170、CG4271、CG32234、CG7287、CG14341、CG30486、CG31692、CG31421、CG5467、CG30065、CG9086、CG1688、CG17026、CG4415、CG10343、CG15388、CG13984、CG3313、CG13116、CG4662、CG6919、CG17841、CG30411、CG9053、CG1180、CG14166、CG13125、CG13344、CG1490、CG2867、CG5591、CG14362、CG1531、CG15390、CG6689、CG14234、CG14265、CG5674、CG3917、CG8257、CG9028、CG1722、CG18402、CG7082、CG11797、CG3663、CG16704、CG31172、CG31219、CG1363、CG6721、CG5688、CG8527、CG13137、CG6612、CG6947、CG7737、CG1705、CG14704、CG10300、CG3597、CG3425、CG2540、CG6856、CG12259、CG4583、CG3843、CG9634、CG3809、CG9295、CG9485、CG11555、CG11601、CG14095、CG10166、CG2852、CG14164、CG14164、CG2898、CG3162、CG6603、CG8721、CG17742、CG14127、CG8665、CG9438、CG32113、CG32353、CG4957、CG33558、CG11570、CG32669、CG11575、CG30271、CG7830、CG31061、CG2076、CG17596、CG6824、CG17921、CG12875、CG13020、CG13972、CG13673、CG10772、CG8079、CG13127、CG9144、CG8979、CG7097、CG11768、CG10632、CG14903、CG1874、CG33466、CG3367、CG4851、CG17985、CG31229、CG3260、CG13023、CG11125、CG17184、CG31812、CG13360、CG30075、CG30183、CG7485、CG5495、CG5495、CG7065、CG13202、CG7779、CG9322、CG7091、CG16758、CG5071、CG4920、CG1516、CG9554、CG10101、CG3004、CG7796、CG10152、CG18741、CG8444、CG11425、CG10128、CG10542、CG11878、CG14434、CG12345、CG2091、CG31459、CG13319、CG7177、CG7776、CG15005、CG31605、CG7213、CG17283、CG18268、CG3017、CG7567、CG32091、CG9695、CG8222、CG1515、CG8256、CG1975、CG32467、CG3817、CG4038、CG6193、CG1572、CG8117、CG3526、CG7099、CG18525、CG9198、CG30470、CG17273、CG31439、CG1387、CG9952、CG6580、CG10840、CG13221、CG8202、CG8786、CG7199、CG11663、CG12683、CG31161、CG8009、CG17202、CG1683、CG17335、CG33204、CG14694、CG11229、CG16836、CG12209、CG18414、CG13475、CG11621、CG13332、CG11756、CG11133、CG18586、CG4944、CG3213、CG4152、CG6147、CG8515、CG5827、CG12691、CG8308、CG13807、CG2260、CG30004、CG4247、CG4247、CG5739、CG4202、CG4264、CG5245、CG13707、CG3523、CG10686、CG9565、CG4111、CG14673、CG31132、CG5355、CG32149、CG8443、CG17461、CG8190、CG13744、CG9258、CG6043、CG1759、CG8534、CG14792、CG8451、CG8654、CG12806、CG14938、CG9399、CG10542、CG13168、CG31845、CG6277、CG17819、CG2818、CG1688、CG13868、CG17736、CG7546、CG31693、CG12897、CG2146、CG3440、CG3696、CG12426、CG18319、CG18279、CG18279、CG3054、CG2145、CG3825、CG9781、CG13423、CG12030、CG14911、CG3911、CG6122、CG7206、CG8566、CG30476、CG9470、CG6127、CG5381、CG12505、CG1279、CG32140、CG12184、CG31364、CG1963、CG5484、CG4634、CG9748、CG32442、CG1921、CG18740、CG1242、CG9946、CG11121、CG3497、CG6817、CG30080、CG1171、CG11430、CG10691、CG13281、CG11352、CG3839、CG14368、CG14024、CG9936、CG11505、CG11906、CG1263、CG14011、CG11339、CG12015、CG30389、CG17331、CG15432、CG15507、CG14842、CG3906、CG17754、CG5289、CG5378、CG5625、CG6156、CG13243、CG8239、CG1821、CG7762、CG3108、CG8053、CG3605、CG4207、CG8431、CG9098、CG5270、CG5595、CG6064、CG6967、CG7134、CG7549、CG6892、CG10687、CG10712、CG11981、CG12770、CG15599、CG18563、CG7770、CG6322、CG3806、CG3980、CG6054、CG7292、CG3992、CG2998、CG8337、CG13194、CG5147、CG16903、CG11202、CG10084、CG12323、CG31484、CG6949、CG7352、CG10728、CG11376、CG32210、CG7109、CG8615、CG9160、CG8298、CG15115、CG1965、CG12595、CG15321、CG6009、CG11267、CG4453、CG3971、CG17255、CG32791、CG14016、CG14016、CG1740、CG32667、またはそのオルソログから選択される遺伝子の1つまたはそれ以上のアンタゴニストを投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪の減少あるいは肥満症治療の方法。
【0080】
定義3
化合物またはアンタゴニストが、治療上の有効量で投与されることを特徴とする、定義1または2の方法。
【0081】
定義4
化合物が、局所的、経腸的または非経口投与され、特に好ましくは、経口的または直腸的、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、皮内または腹腔内、経皮、経粘膜的または吸入性投与されることを特徴とする、定義1〜3のいずれか一つの方法。
【0082】
定義5
患者が、哺乳類、好ましくはヒトであることを特徴とする、定義1〜4のいずれか一つの方法。
【0083】
定義6
化合物またはアンタゴニストが、薬物中に含まれて提供されることを特徴とする、定義1〜5のいずれか一つの方法。
【0084】
定義7
化合物またはアンタゴニストが、医薬的に許容される担体または緩衝剤と一緒に提供されることを特徴とする、定義1〜6のいずれか一つの方法。
【0085】
定義8
化合物またはアンタゴニストが、0.01mg/kgから1g/kgの間の用量で投与されることを特徴とする、定義1〜6のいずれか一つの方法。
【0086】
定義9
患者の体重および/または体脂肪を減少させるかあるいは肥満症を治療または予防するための治療投与薬物の製造における、定義1の化合物または定義2のアンタゴニスト(好ましくは、定義3〜8のいずれか一つ)の使用。
【0087】
より好ましい定義は、特許請求の範囲にある。
【0088】
本発明は、以下の図および実施例によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】成体ショウジョウバエインビボにおける肥満症因子に関する全ゲノムRNAiスクリーン (A)スクリーン設計の模式図:未交尾の熱ショック誘導性(Hsp70−GAL4;Tub−GAL80ts)メスをUAS−RNAiトランスジェニックのオスと交雑させた。RNAiをエクロージャー(eclosure)の2日前に誘発し、4日後にまた繰り返した。RNAi誘導から1週間後、トリグリセリドおよびタンパク質レベルを96ウェル型で測定し、内部コントロール(internal controls)(つまり、同じ交雑で非誘導の子孫)と比較した。 (B、C)当該システムは、(B)発生上および性特異的な脂肪貯蔵パターン、および(C)様々な餌条件の脂肪貯蔵パターン、の検出を可能とした。データは、平均トリグリセリド含有量±SEMで示す(n=8)。 (D、E)ポジティブコントロール株に関するプライマリー(primary)スクリーン結果の二重盲検検索(retrieval)の予測では、トリグリセリドレベルが(D)減少または(E)増加した。 (F)プライマリースクリーン結果のZ−スコア分布。赤い線は、+1.65以上および−1.65以下のベースラインレベルのZ−スコアを示す。 (G)3ラウンドのテスト後の、±1.65以上または以下のZ−スコアを有するアノテート(annotated)した全ての遺伝子に関する、生物学的プロセスのためのレベル5カットオフを有する遺伝子オントロジー分析。図2および4も参照。
【0090】
【図2】ショウジョウバエにおける基本トリグリセリドおよびタンパク質含有量(図1に関連) (A)比色定量エンドポイントを有する、培地スループット(medium−throughput)96ウェルプレートに基づくシステムを用いて、発達中に測定したw1118ショウジョウバエ系のトリグリセリド含有量。 (B)同じ実験装置で測定した、w1118ショウジョウバエのタンパク質含有量。(A)および(B)のデータはいずれも、平均トリグリセリド含有量±s.e.mで示される(n=5〜8)。 (C)それぞれエクロージャー(eclosure)して2〜4日後に測定した、8つの雄性ハエの異なる80セットにおける、個別のトリグリセリドおよびタンパク質含有量。測定は、全ゲノムスクリーンのために設計された培地スループット(medium throughput)実験システムを検証するために行われた。 (D)3ラウンドのテストによる、±1.65を超えるZ−スコアを有するアノテート(annotated)した全ての遺伝子に関する、生物学的プロセスのための遺伝子オントロジー分析を用いて、最も枯渇した機能分類を要約したパイチャート。
【0091】
【図3】脂肪貯蔵の組織特異的制御 (A)nsyb−GAL4[パンニューロン(pan-neuronal)]、oe−GAL4(扁桃細胞)、C57−GAL4(筋肉)、およびppl−GAL4(脂肪体)ドライバー(drivers)と交雑させたプライマリースクリーンヒットに関するトリグリセリド変化のヒートマップ(heat-map)。変化は、それぞれのGAL4ドライバーと交雑した、コントロールRNAi株およびアイソジェニックなw1118ハエと関連する。 (B〜E)左のパネルは、各組織カテゴリーにおける、トップスコアの脂肪増強(赤線)および脂肪枯渇(青線)遺伝子に関する組織特異的ノックダウン後の、トリグリセリドにおける平均変化を示す。注目すべき点は、顕著なニューロン特異性、脂肪体および扁桃細胞応答におけるオーバーラップ、並びにトップスコアの筋肉応答性遺伝子に関する特異性の相対的欠乏である。右パネルに、各カテゴリーに関する遺伝子オントロジー分析をまとめる(生物学的プロセスに関するレベル5カットオフ)。赤の強度は、GOターム(term)有意性が高まったことを反映する。
【0092】
【図4】候補肥満症遺伝子に関する相互作用ネットワーク(図1に関連) 相互作用ネットワークを、STRING、DROIDB、およびBIOGRIDから想起される(retrieved)相互作用に基づくCytoscape 2.6.2を用いて構築した(assembled)。データセットは、酵母ツーハイブリッド(yeast-2-hybrid)、テキストマイニング(text−mining)、およびデータベースアノテーション(annotation)(例えば、KEGG)からなる。ビジュアルレイアウト(visual layout)の構築は、自動強制レイアウト(automated force−directed layout)の修正マニュアル(manual modification)を用いて行った。挿入図は、ヘッジホッグおよびインスリンシグナル伝達経路の両方の位置を強調する。
【0093】
【図5】組織特異性の分析が明らかにする、トリグリセリドレベルの脂肪体特異的レギュレーターとしてのヘッジホッグシグナル伝達 候補遺伝子のトリグリセリド応答。(A)パンニューロン、(B)筋肉、(C)扁桃細胞、および(D)脂肪体コンパートメントにおいて最も組織限定された応答を有するRNAi株における脂肪症の変化。(E)可能なアノテートされたヘッジホッグ(hedgehog)およびノッチ(notch)経路をターゲットする、UAS−RNAi遺伝子組み換えのハエ株において観察された脂肪症のヒートマップ。変化は、それぞれのGAL4ドライバー(driver)と交雑した、コントロールRNAi株およびw1118ハエと関連する。遺伝子は、ポジティブ(+)またはネガティブ(−)エフェクター、あるいはリガンドプロセッシングおよびリリース(Lp)のメディエーターのいずれかとしての役割に従って群分けされた。ヘッジホッグシグナル伝達エフェクターのppl−GAL4ドライブされた(driven)ノックダウンの応答に対する(F)代表的なトリグリセリド変化および(G)経路のリプレッサー。データは、平均±s.e.m.として表され、n=4。*p<0.05。図6も参照。
【0094】
【図6】ヘッジホッグおよびOxPhos経路トリグリセリド変化の組織特異性(図5に関連) (A)組織特異的ドライバーnsyb−GAL4(パンニューロン)、oe−GAL4(扁桃細胞)、C57−GAL4(筋肉)、およびppl−GAL4(脂肪体)と交雑した、ヘッジホッグシグナル伝達をターゲットするRNAi株におけるトリグリセリドレベルの相関分析。組織特異的トリグリセリド変化(y軸)は、誘導性のユビキタスなHsp70−GAL4;Tub−GAL80tsを用いて観察されたもの(x軸)と相関する。 (B)ヘッジホッグ特異的リガンドプロセッシングおよびリリース(release)遺伝子をターゲットする、ppl−GAL4駆動(driven)UAS−RNAi遺伝子組み換え株における、トリグリセリド変化。 (C)遺伝子オントロジーカテゴリー酸化的リン酸化のメンバーをターゲットする、UAS−RNAi遺伝子組み換えのハエ株の脂肪症のヒートマップ。脂肪症における変化は、nsyb−GAL4(パンニューロン)、oe−GAL4(扁桃細胞)、C57−GAL4(筋肉)、およびppl−GAL4(脂肪体)のドライバーを用いる組織特異的サイレンシングに応答した。変化は、それぞれのGAL4株と交雑した、コントロールRNAi株およびw1118ハエの平均と関連する。 (D)熱ショック誘導性ユビキタスなノックダウンに対する、RNAi−遺伝子組み換え株をターゲットする同じ酸化的リン酸化のトリグリセリド応答。データは、平均±s.e.m.として表され、n=4。
【0095】
【図7】aP2−Sufuマウスが示す、白色脂肪組織特異的な脂肪萎縮症 (A)aP2−SufuKOマウスは健康な状態で、メンデル比で生まれた。 (B)aP2−SufuKOマウスおよびSufu発現同腹子(littermate)コントロールのNMR画像。 (C)肩甲骨あたりでの横断面は、変化しない(unaltered)茶色脂肪の貯蔵物(depot)を示す(黄色の線を付す)。 (D)PCRは、BATおよびWAT貯蔵物の両方において、Sufuアレル(allele)(Sufu 4−8)の健常者(robust)欠失を明らかにした。微量な欠失は、骨格筋、肺、および脾臓において検出された。 (E)組織切開した白色脂肪組織(WAT;上のパネル)および茶色脂肪組織(BAT;下のパネル)は、aP2−SufuKOマウスにおいて白色脂肪組織の貯蔵物が大幅に損なわれたにもかかわらず、十分に発達した茶色脂肪の貯蔵物であることを明らかにした。点線は、白色脂肪組織を示す。 (F、G)aP2−SufuKOおよびコントロール同腹子マウスからの、(F)茶色(BAT)および(G)白色(WAT)脂肪組織の代表的なH&E染色切片。 (H、I)Gli1、Gli2、Ptch1およびPtch2をターゲットする転写性ヘッジホッグの定量的RT−PCRによって、aP2−Sufu KOマウスは、ターゲットされた(flox)およびaP2−cre(cre)トランスジェニック同腹子コントロールに対して、(H)WATおよび(I)BATの両方でヘッジホッグシグナル伝達の活性化が確認された。データは、平均±s.e.m.として表される。1グループあたりn=5マウス。*p<0.05。図8も参照。
【0096】
【図8】脂肪細胞におけるヘッジホッグシグナル伝達のIBMXおよびデキサメタゾン依存および脂肪萎縮性Sufu変異体マウスの産生(図7に関連) (A)ヘッジホッグアゴニストSAG(200nM)の非存在(コントロール)または存在(SAG)下で、最小(インスリン/トログリタゾン)または完全(インスリン/トログリタゾン/IBMX/Dex)の分化混合物(cocktails)で誘発された3T3−L1細胞のオイルレッドO染色。1つの実験は典型的には、5反復が示される。 (B)ターゲット遺伝子Gli1およびPtch1を有するヘッジホッグ経路活性化の定量的なRT−PCRモニタリングによって、SAGによる活性化およびIBMXおよびDex存在下でのヘッジホッグ誘導の抑制が確認された。 (C)インビボモデルを確立して脂肪生物学に関するヘッジホッグ効果を評価するために、ターゲティング戦略(targeting strategy)を用いて条件的なSufuアレルを有するマウスを産生した。条件的なSufuは、翻訳領域のエクソン4〜8に隣接する2つのCre感受性loxP部位を有する(encorporate)。数字を付したボックスは、エクソンを示す。 (D)白色(生殖腺周囲の)脂肪組織、肩甲骨間の茶色脂肪組織、および筋肉(ヒラメ筋および腓腹筋)量を、生後8週間のaP2−SufuKOマウスで決定した。loxPが導入された(floxed)アレル(flox)またはaP2−Cre(cre)を運ぶ同腹子のデータは、コントロールとして示される。データは、平均±s.e.m.として表される。1グループあたりのマウス、n=4。**p<0.01。 (E)皮膚のH&E染色箇所は、皮膚脂肪組織における明確な減少をハイライトする。 (F)生後4週間の雄性のaP2−Sufu KOマウス、loxPが導入された同腹子(flox)、およびaP2−Cre(cre)コントロールから得た、生殖腺周囲の脂肪体における白色脂肪細胞サイズ分布。測定は、H&E染色インターバル(interval)切片化(sectioned)脂肪組織(1マウスあたり、3つ)のスキャニングおよび続くソフトウェア補助による形態計測分析の組み合わせを用いて、1動物あたり>10,000(KO)および>35,000(コントロール)の細胞数を形態計測することにより行った。 (G)生後4〜8週間の雄性aP2−Sufu KOマウス、loxPが導入された同腹子(flox)、およびaP2−Cre(cre)コントロールにおける、白脂肪細胞細胞の総数。データは、平均±s.e.m.として表され、n=5。
【0097】
【図9】バンデタニブ投与マウスにおける体重減少 C57BL6/J DIOマウスは、経口投与により、40/mg/kg/日が投与された。マウスの体重を毎日測定し、その値を初期体重のパーセンテージとして表現した(第1日)。投与して13日までに、バンデタニブ投与群ではベヒクルコントロールと比較して、有意な体重減少があり(p<0.05;独立student t検定)、それは実験の間ずっと保たれた。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【0098】
【図10】バンデタニブ投与マウスにおける、空腹時グルコースレベルの低下 バンデタニブ投与してからの第7日、マウスに対してインスリン負荷試験を行った。要するにマウスを2時間、絶食させた。血液を時間0、つまりインスリン注射の前に回収した。血液を注射後15、30、45および60分で回収し、グルコース応答を測定した。インスリン応答は両方のグループで類似していたものの、バンデタニブ投与マウスは空腹時の血中グルコースレベルが、コントロールと比較して低いことを示した(p<0.05;独立student t検定)。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【0099】
【図11】バンデタニブ投与マウスを、ベヒクルコントロールと比較した経口グルコース負荷試験(oGTT) マウスを終夜絶食させ、第35日に、血液サンプルを採取して、空腹時グルコースレベルを測定した(時間0)。マウスにグルコースを投与し、グルコース投与の15、45および60分後に血液を回収し、グルコースレベルを測定した。グルコース投与の15、45および60分後において、バンデタニブ投与マウスはベヒクル投与群と比較して、グルコース応答が改善されたことを示す(p<0.05;独立student t検定)。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【0100】
【図12】生殖腺周囲の(perigonadal)脂肪体重量の測定 バンデタニブおよびベヒクル投与マウスを、投与してからの第38日に屠殺した。生殖腺周囲の(perigonadal)脂肪体を解剖し、その重量(グラム)を体長(cm)に対する割合として表現した。グラフの各点は、各マウスからの2つの生殖腺周囲の(perigonadal)脂肪体の平均重量(g)を体長(cm)に対する割合として表現したものを示す。バンデタニブ投与マウスは、ベヒクルコントロールと比べて、比例的に低い脂肪体量を有する(p<0.05;独立student t検定)。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【0101】
【図13】ダサチニブ投与マウスにおける体重減少 C57BL6/J DIOマウスを、5/mg/kg/日で27日間、投与した。マウスの体重を毎日測定し、その値を初期体重のパーセンテージとして表現した(第1日)。第28日に、ダサチニブ投与群ではベヒクルコントロールと比較して、有意な体重減少があった(p<0.001;独立student t検定)。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【0102】
【図14】投与して15日の、ダサチニブ投与マウスにおける改善されたインスリン応答 終夜かけて絶食させたマウスにおいて、経口グルコース負荷試験(oGTT)を行った。血液サンプルを採取して、空腹時グルコースレベルを測定した(時間0)。マウスにグルコースを投与し、グルコース投与の15、30、45および60分後に血液を回収し、グルコースレベルを測定した。ダサチニブ投与マウスは、ベヒクル投与群と比較して、15分(p<0.01)、30および45分(p<0.05)の時点で、グルコース投与に対して改善された早い応答を示す。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【0103】
【図15】第29日のダサチニブ投与マウスにおける改善されたインスリン応答 終夜かけて絶食させたマウスにおいて、経口グルコース負荷試験(oGTT)を行った。血液サンプルを採取して、空腹時グルコースレベルを測定した(時間0)。マウスにグルコースを投与し、グルコース投与の15、45および60分後に血液を回収し、グルコースレベルを測定した。各マウスについて得られた値は、初期グルコースレベル(t=0)に対するパーセンテージで表現された。ダサチニブ投与マウスでは、ベヒクル投与群と比較して、グルコース 投与の45分後(p<0.05)および60分後(p<0.01)に改善されたグルコースクリアランスを示した(Student t検定;p<0.05)。エラーバーは、平均の標準誤差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0104】
実施例1:ショウジョウバエにおける肥満症遺伝子に関するインビボハイスループットスクリーニング(high throughput screen)
肥満症遺伝子候補を同定するために、熱ショック誘導性のHsp70−GAL4系を用いて、成体ショウジョウバエにおける脂肪含量に関する、ゲノム全体でのRNAi遺伝子組み換えRNAiスクリーンを行った(図1A)。動物において主要な脂質貯蔵型であるトリグリセリドは、ハエ脂肪症の直接的な尺度として選ばれた。ハエの全トリグリセリドレベルを比色定量で測定し、タンパク質に基準化した(図1A)。この実験手順を用いて、発達にわたるトリグリセリド変化の追跡(track)、脂肪含量に関する性特異的違いの明確な区別(図1B;図2A,B)、および様々な栄養利用能(availability)によって生じる違いの明確な区別(図1C)をすることができた。1回目のスクリーニング後、脂肪含量を制御すると以前に報告(previously report)された遺伝子をターゲットするRNAi株の二重盲検分析が明らかにしたことは、脂質変化が期待された除脂肪(図1D)および肥満(図1E)のフェノタイプと一致しているということである。これに含まれていたのは、LSD(Lipid Storage Droplet)およびLPD(LiPid Depleted)遺伝子、並びにショウジョウバエインスリン様ペプチド(Ilp’s)、 グルカゴンホモログakhおよびその受容体akhr、並びに脂肪(adp)、バブルガム(bubblegum)(bbg)、およびショウジョウバエSREBPホモログ、HLH106である(Gronke et al., 2007; Hader et al., 2003; Min and Benzer, 1999)。
【0105】
実施例1.1:成体ショウジョウバエにおける全ゲノム肥満症スクリーン
成体ハエにおける、10,812個のトランスジーン・コンストラクトおよび10,489個の別々のORFに対応する、11,594個の異なるUAS−RNAi遺伝子組み換え株の脂肪制御力を試験した。プライマリー(primary)スクリーニングには3ラウンドの試験が含まれ、1.65よりも大きいZ−スコアを有する候補は再試験のために選択された(図1A、F)。3ラウンドのセレクションの後に、516個のRNAi遺伝子組み換え株が残り、その中で462個は単一プライマリーターゲット予想(single primary target predictions)のみを有した(Dietzl et al., 2007に記載のように、S19スコア≧0.8および≦6CAN繰り返す)。これらの知見を哺乳類との関連で翻訳するにあたって重要なことは、InParanoid、OrthoMCL、およびEnsemblデータベースによると、516個のうちの319個(62%)がヒトオルソログを有するということである。
【0106】
生物学的プロセスに関する経路分析に基づく遺伝子オントロジー(GO)は、細胞運命決定、細胞性タンパク質代謝プロセス、シグナル伝達、細胞内輸送、およびスムーズンドシグナル伝達の制御に関与する遺伝子セットの濃縮(enrichment)を明らかにした。スクリーンの間に最も枯渇していた経路(つまり、脂肪調節に関係しないもの)には、遺伝子制御行動、細胞周期、細胞小器官組織化および生合成、運動性行動、並びに染色体組織化が含まれていた。酵母ツーハイブリッド、テキストマイニング(text−mining)、並びにショウジョウバエヒットおよびそれらの哺乳類オルソログに関する経路データベース情報に基づくネットワーク相互作用アセンブリー(assembly)は、発生、栄養輸送、細胞周期制御、プロテアソーム、タンパク質翻訳、およびクロマチンリモデリングにおける遺伝子を強調する相互作用ネットワークマップを明らかにした(図4)。特に興味深いことに、候補遺伝子リストには、給餌コントロールの有望なレギュレーターが多数含まれていた。例えば、6つの嗅覚および2つの味覚受容体遺伝子がターゲットされた(嗅覚受容体は、10a、56a、65a、67a、83cd、およびCG10407;味覚受容体は、98bおよび36b)。また、ドパミン受容体DopR2、2つのオクトパミン受容体(TyrRおよびoa2)およびNmda受容体関連タンパク質Nmda1は全て、体脂肪含有量の減少および引き続くRNAi誘導を示した。また、異常脂肪沈着は、グルコース/脂質動員の公知メディエーター[フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(fbp)、グリセロールリン酸シャトルの2つのメンバー(CG31169およびGpo−1)、ミトコンドリアのアシル担体タンパク質1(mtacp1)、ADP/ATPトランスロカーゼ2(Ant2)、ピルビン酸カルボキシキナーゼ(CG1516)、および脂肪酸合成酵素(fasn)を含む]のRNAiノックダウンに応答して観察された。また、同定されたのは、グルカゴン(akh)、インスリン受容体(dInR)のショウジョウバエオルソログ、並びに下流キナーゼであるPI3−キナーゼ(dPI3K)、リボソーム−S6−キナーゼ(dRSK)、CREB−コアクチベーターdTORC、および決定的なTORシグナル伝達構成物dTSC−1、決定的な早期の脂肪生成レギュレーターNCOR1/2、Jag1/2、およびTAK1のショウジョウバエホモログ(Ross et al., 2004; Suzawa et al., 2003; Yu et al., 2005)、または代謝のレギュレーターCRTC1/2およびピルビン酸カルボキシキナーゼ(PC)である(Altarejos et al., 2008; Koo et al., 2005; Zhang et al., 1995)。我々は、主な発生上のモルフォゲン(例えば、ヘッジホッグ)を輸送することが以前に示されているショウジョウバエのリポプロテインrfabg(レチノール脂肪酸結合糖タンパク質)もヒット(hit)した(Panakova, 2005)。実際、我々の遺伝子オントロジー分析において、「スムーズンド[ヘッジホッグ]シグナル伝達の制御」が最も高度に濃縮されたシグナル伝達経路であった(図1G)。したがって、我々の全ゲノムアプローチは、脂肪細胞発達および機能に関連する従前の多数の公知の分子の働きを特定した。最も重要なことは、スクリーンによって、以前は肥満症と関連づけられていなかった多数の候補遺伝子を明らかにしたことである。
【0107】
実施例1.2:肥満症遺伝子候補の組織特異マッピング
脂質貯蔵を支配する、代謝の複雑性および認識されている組織特異的プロセス多様性を考慮して(Leopold and Perrimon, 2007; Speakman et al., 2008)、我々は、組織特異性に従って候補脂質レギュレーターを機能的に分類することを試みた。462個のプライマリースクリーン候補遺伝子のRNAi株を、パンニューロン(pan-neuronal)(nsyb−GAL4)、筋肉(C57−GAL4)、扁桃細胞(oe−GAL4)、および脂肪体(ppl−GAL4)を有する4つの独立したGAL4ドライバー(driver)とそれぞれ交雑させ(cross)、それぞれのトリグリセリドレベルを決定した(図3A)。興味深いことに、パンニューロン(nsyb−GAL4)ノックダウン後、脂肪含量を最も強く制御するRNAi株は、筋肉、扁桃細胞または脂肪体に導入された場合、ハエトリグリセリドレベルをほとんど減少させないか全く変化させなかった(図3B)。一方、筋肉特異的な遺伝子サイレンシング(C57−GAL4)は、扁桃細胞および脂肪体にターゲットされた場合にトリグリセリドにおける顕著な変化をもたらす遺伝子を濃縮した(図3C)。扁桃細胞および脂肪体の特異的ノックダウンに実質的に最も反応するRNAi株は、脂肪症制御の協調および相互パターンを示した(図3Dおよび3E)。これらの知見は、哺乳類の脂肪および肝臓のこれらの相関に関して報告された密接な制御の相互作用と整合する(Gutierrez et al., 2007)。4つの試験された組織のそれぞれの、組み合わさった、脂肪増強および脂肪減少の遺伝子セットのGO分析は、図3B〜Eでまとめている。現スクリーンの誘発性デザイン(inducible design)のサポートとして、分析で強い濃縮を示した細胞運命、細胞分化および臓器発生経路(図3B〜E、右パネル)は:ニューロンのヒット(nsyb−GAL4)がCG5436、CG2091、CG17461、CG11339、CG11202、CG5245、CG14911、CG30075、CG16836、CG5147、CG17184、CG10728、CG17742、CG4851、CG5381、CG18563、CG18268、CG10542、CG12015、CG4152、CG32669、CG32149、CG11756、CG12691、CG12595、CG32210、CG1279、CG17255、CG2260、CG14024、CG2146、CG7776、CG31132、CG3497、CG9936、CG10152、CG14842、CG6043、CG8515、CG9946、CG17819、CG11125、CG2145、CG12030、CG1759、CG1921、CG14303、CG6603、CG3906、CG30271、CG18740、CG12505、CG13202、CG8451、CG15507、CG6817、CG2818、CG12105、CG13423、CG32667、CG18586、CG17736、CG11376、CG11430、CG2898、CG4957、CG3054、CG12345、CG18414、CG14673、CG2254、CG32442、CG6122、CG13360、CG8298、CG6147、CG13319、CG33558、CG5625、CG13679、CG12806、CG3806、CG6064、CG15095、CG10691、CG3971、CG11505、CG3017、CG3108、CG3992、CG17754、CG14164、CG13332、CG3839、CG8443、CG7065、CG10632、CG1516、CG4247、CG4247、CG3004、CG31845、CG31744、CG9028、CG16826、CG13137、CG7082、CG6299、CG32091、CG30184、CG30491、CG11768、CG14968、CG17921、CG4415、CG5072、CG7199、CG4373、CG30411、CG14166、CG1555、CG2198、CG6947、CG6824、CG8079、CG1888、CG9295、CG14903、CG10617、CG10230、CG17781、CG17781、CG6721、CG7103、CG32170、CG3526、CG7737、CG11601、CG32336、CG1975、CG14909、CG11797、CG9922、CG11555、CG30470、CG17841、CG9153、CG31172、CG17335、CG7287、CG3396、CG13116、CG13984、CG33466、CG30065、CG14265、CG32234、CG2076、CG4038、CG14704、CG9053、CG30486、CG31219、CG1171、CG10840、CG6577、CG7099、CG1433、CG13673;筋肉(C57−GAL4)ヒットがCG11339、CG18740、CG11376、CG7206、CG4583、CG12015、CG32667、CG14011、CG14024、CG11601、CG9634、CG12505、CG9695、CG14911、CG30486、CG12595、CG17754、CG9936、CG6009、CG1705、CG30080、CG32210、CG3817、CG8202、CG18268、CG31421、CG31692、CG31605、CG9748、CG14434、CG31161、CG12806、CG6947、CG3054、CG12770、CG6127、CG11505、CG1963、CG11555、CG5147、CG13319、CG4634、CG17819、CG32091、CG9160、CG18279、CG18279、CG32467、CG8337、CG8239、CG12259、CG3911、CG8654、CG1279、CG32140、CG7776、CG6892、CG13984、CG2091、CG17026、CG33204、CG11121、CG3497、CG6122、CG15321、CG6949、CG14375、CG10687、CG17283、CG14903、CG10101、CG14677、CG7830、CG9056、CG32459、CG2254、CG1422、CG17867、CG17781、CG17781、CG4373、CG3879、CG11756、CG10916、CG10809、CG15390、CG14265、CG9322、CG1650、CG6299、CG5550、CG2260、CG11570、CG10369、CG16836、CG30075、CG2076、CG3213、CG9220、CG31132、CG13868、CG1180、CG14166、CG14095、CG13127、CG31061、CG14362、CG32401、CG7796、CG1728、CG9506、CG3260、CG15625、CG7779、CG8107、CG30411、CG7103、CG7485、CG9676、CG3809、CG2702、CG15646、CG13972、CG14968、CG12664、CG12997、CG12997、CG4957、CG14869、CG3274、CG5719、CG5591、CG11133、CG7847、CG11768、CG8721、CG9258、CG5674、CG17184、CG13673、CG17461、CG11404、CG1622、CG9554、CG13707、CG13344、CG4264、CG10772、CG13360;扁桃細胞ヒット(oe−GAL4)がCG12505、CG33204、CG4207、CG15507、CG1683、CG32353、CG17461、CG11202、CG15432、CG9198、CG9295、CG1490、CG7830、CG31161、CG9028、CG3497、CG14265、CG4944、CG11229、CG11376、CG3825、CG31484、CG32210、CG1705、CG11339、CG11133、CG3806、CG3971、CG13807、CG18414、CG10166、CG12015、CG6127、CG14234、CG12595、CG17596、CG7292、CG2898、CG32091、CG17754、CG5625、CG10632、CG9634、CG2145、CG10084、CG10728、CG3526、CG6967、CG5270、CG15115、CG3425、CG9485、CG13707、CG8009、CG9160、CG33558、CG6892、CG14024、CG6689、CG3906、CG8079、CG1874、CG1516、CG5674、CG12184、CG2852、CG9438、CG6054、CG17921、CG15599、CG8202、CG33466、CG14362、CG2540、CG7352、CG9695、CG1572、CG13319、CG3313、CG13188、CG13137、CG31744、CG30360、CG3893、CG5436、CG3696、CG4851、CG7287、CG10916、CG8527、CG14909、CG3004、CG7213、CG1422、CG9760、CG30486、CG32234、CG13088、CG3440、CG4373、CG7485、CG14936、CG11425、CG10152、CG12345、CG15582、CG15646、CG8693、CG11404、CG15625、CG11125、CG2374、CG14677、CG2702、CG32401、CG9676、CG1622、CG13299、CG8107、CG31421、CG3879、CG5719、CG7737、CG4271、CG13168、CG31692、CG10101、CG17867、CG16758、CG32170、CG7796、CG5641、CG10369、CG17283、CG30184、CG9220、CG3017、CG30462、CG30462、CG31605、CG14968、CG12664、CG6299、CG2984、CG14341、CG8250、CG9399、CG3809、CG9506、CG8444、CG2818、CG31812、CG7103、CG3523、CG30065;並びに脂肪体ヒット(ppl−GAL4)がCG17461、CG15432、CG11339、CG32091、CG9565、CG3839、CG13972、CG30183、CG6721、CG14011、CG13243、CG12323、CG5245、CG11267、CG8515、CG32210、CG8654、CG2260、CG3274、CG9554、CG31845、CG8337、CG8190、CG6788、CG11376、CG3497、CG11229、CG17754、CG31697、CG32467、CG18402、CG2146、CG3523、CG30470、CG30075、CG1975、CG4264、CG32442、CG9322、CG9160、CG10632、CG16836、CG6949、CG6147、CG8079、CG3817、CG5595、CG12806、CG3980、CG16903、CG9487、CG7099、CG13744、CG11133、CG3992、CG9952、CG12875、CG7091、CG3440、CG6156、CG4038、CG32791、CG31484、CG1433、CG10687、CG5625、CG9258、CG6892、CG7776、CG31812、CG30080、CG7199、CG17331、CG6277、CG14016、CG14016、CG1874、CG5071、CG9144、CG12015、CG13332、CG32667、CG1888、CG33466、CG12602、CG31693、CG6580、CG12595、CG9056、CG7779、CG7796、CG5495、CG8298、CG15115、CG3260、CG17985、CG8534、CG420
2、CG3108、CG3906、CG6054、CG3971、CG7830、CG5688、CG13868、CG7292、CG18767、CG14434、CG12184、CG11621、CG6356、CG9086、CG15646、CG10542、CG6689、CG3425、CG7206、CG11575、CG5719、CG32669、CG15579、CG1722、CG7287、CG4394、CG9220、CG14164、CG14164、CG14164、CG14704、CG3809、CG15169、CG11570、CG18319、CG31690、CG1531、CG7847、CG31692、CG4583、CG13088、CG8566、CG8107、CG32971、CG31421、CG3054、CG15390、CG14869、CG8444、CG30476、CG3879、CG2145、CG3017、CG10809、CG32459、CG14166、CG14936、CG4957、CG14095、CG8665、CG13984、CG13188、CG17841、CG32170、CG12105、CG14968、CG5381、CG18268、CG13299、CG17781、CG17781、CG4271、CG5641、CG8693、CG32140、CG32353、CG30065、CG14909、CG3893、CG6577、CG10152、CG17867、CG13116、CG3843、CG9153、CG30184、CG2984、CG1180、CG14341、CG11404、CG1622、CG32234、CG9506、CG4373、CG2374、CG12997、CG12997、CG13423、CG1963、CG5674、CG14362、CG13344、CG8250である。よって、我々は、ショウジョウバエにおける4つの主要な代謝組織の〜500の肥満症遺伝子候補の機能アノテーションを提供する。
【0108】
実施例1.3:ニューロンヒット(Neuronal hits)
哺乳類において、レプチン/AgRP/POMC軸(axis)は、給餌行動、代謝率、インスリン抵抗性、そして故に肥満症リスクの根深いニューロン依存性を例証する。ハエはこの軸に関する公知のホモログを有さないものの、それらの給餌行動はニューロンに支えられている。ニューロン性nsyb−GAL4ドライバー(driver)と交雑した場合、プライマリースクリーンヒットリスト(hit list)のおよそ3分の1は、>25%(25%より大きい)トリグリセリド変化を引き起こした。選択したいくつかは、それらの応答において密接なニューロン制御を示した(図5A)。含まれていたのは、SLC5A8に関するショウジョウバエホモログ(CG8451;図5A)、ニューロン性の脂肪酸および乳酸塩トランスポーターである。げっ歯類において、隣接するグリア細胞によって産生する乳酸塩のニューロンプロセシング(processing)によって脂肪酸は感知される。同様に、グルカゴンのホモログ(akh、ショウジョウバエにおいてニューロンにより分泌)およびニューロンのZn−トランスポーターSLC39A10をターゲットとする株は、いずれも、密接なニューロン応答を示した。また、TSC1(dTSC1)、アミノ酸応答性のTORシグナル伝達経路の決定的レギュレーターは、ニューロンおよび脂肪体特異的応答性を顕著に示した(図5D)。栄養貯蔵の末梢制御の他に、CNSにおけるTORシグナル伝達も、給餌行動に対してアミノ酸状態を伝える(relay)と考えられる。栄養感知において直接的な役割を担うと考えられるさらなるニューロンの応答性ターゲットには、嗅覚/味覚受容体のObp56aおよびTyRが含まれていた。従って、哺乳類と同様に、ショウジョウバエにおける脂肪貯蔵もニューロン遺伝子の複雑のネットワークによって制御されているようにみえる。
【0109】
実施例1.4:筋肉ヒット
複数の遺伝子が密接な筋肉特異性を示し、それにはプロリン生合成PYCR1(P5cr)、グリコーゲン脱分枝酵素AGL(CG9485)、およびfbp(フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ)のホモログ、つまり解糖系の主なレギュレーターが含まれていた(図5B)。コレステロール生合成をサポートしまたコレステロールレベルを低下させるために現在臨床試験がされているメバロン酸デカルボキシラーゼ(Mevalonate decarboxylase)(CG8239)は、ステロール制御酵素ARV1(CG32442)が示したのと同様の筋肉特異性を示した。ARV1の変異体は、以前から、異常な脂質代謝を示すことが示されている。興味深いことに、TLR−シグナル伝達(IM10)、リボソームおよびタンパク質翻訳(CG3213)、タンパク質分解(Fur1)、転写制御(CG5591)、並びにミクロRNAによって媒介されたサイレンシング(Smg5)に関与する遺伝子もまた、筋細胞で特異的にトリグリセリドレベルを制御することが分かった(図5B)。
【0110】
実施例1.5:脂肪および扁桃細胞の候補遺伝子
スクリーンヒットの最多数は、扁桃細胞(oe−GAL4)および脂肪体(ppl−GAL4)応答を示した(図5C、D)。興味深いターゲットには、炎症関連遺伝子:ARID2[インターフェロン応答性遺伝子を制御(Yan et al., 2005)]、dTraf(ハエTraf様タンパク質)、パターン認識受容体PGLYRP2、インターロイキンエンハンサー結合因子ILF2、細胞外マトリックスタンパク質テネイシン(TNC)、ユビキチン抱合酵素UBE2N(TNFおよびToll様受容体シグナル伝達に重要)、または脱ユビキチン化酵素USP7のホモログが含まれる。ユビキチン−リガーゼ機構の付加的成分、すなわち、UBR2、HERC4、およびFBWX5(TSC1をコントロールし、ゆえにTORシグナル伝達をコントロール)も明らかになった。これらのデータを合わせると、ショウジョウバエにおける脂肪貯蔵制御に関する免疫性制御ネットワークおよびユビキチン化の働きがサポートされる。
【0111】
扁桃細胞および脂肪体特異的ノックダウン分析は、グリセロールおよび脂質代謝に関与する遺伝子も同定した(図5C、D)。例えば、インスリンシグナル伝達に関連する遺伝子であり、PP1(阻害的サブユニット15b)、S6KII、EIF2B、PI3Kおよびインスリン受容体それ自身(IR)のホモログが含まれる。また、脂質およびグルコース代謝の直接的メディエーターも同定され、例えば、ADP/ATPシンポーターANT、NDUFAB1、GDPD、およびGPD2のホモログである。後半、グリセロール−リン酸シャトルの一部、は解糖速度およびROS産生を制御する。興味深いのは、GPD2欠損マウスは、白色脂肪量における40%減少を示し(Brown et al., 2002)、また扁桃細胞特異的ドライブ(drive)を用いて発見した別の酵素であるグリセロールキナーゼ(GK)の欠乏と複数の表現型特性が同じである。さらに、我々は、T3dh(脂肪酸およびケトン体代謝の鉄依存レギュレーター)、Cyp6a2(コレステロール、ステロイドおよび脂質合成の無数のステップを触媒するチトクロムP450タンパク質)を発見し、特に脂肪酸エロンガーゼ(elongase)ELOVL6のショウジョウバエホモログである健常者(robust)を扁桃細胞および脂肪体分析の両方で発見した。Elovl6−/−マウスは、著しい肥満症および肝臓脂肪症(hepatosteatosis)を発症し、また高インスリン血症、高血糖、および血糖値上昇からの保護を示した(Matsuzaka et al., 2007)。脂肪体特異的ノックダウンを用いて、我々は、ELOVL7のショウジョウバエホモログもヒットした。おそらく最も重要なことは、我々は、扁桃細胞および/または脂肪体に依存する方法で脂肪含量を制御する、以前は不特定であった多数の遺伝子を発見したことである(図5C、D)。従って、我々のスクリーンは、トリグリセリド貯蔵レベルをコントロールする、多数の一般的および組織特異的候補ハエ遺伝子並びに多数の経路を明らかにした。
【0112】
実施例2:マウスインビボ経路修飾
生物学的プロセス「スムーズンド[ヘッジホッグ]シグナル伝達の制御」は、プライマリースクリーンにおける全経路の中で最も顕著なシグナル伝達経路の一つであった。ヘッジホッグシグナル伝達の修飾因子に関するショウジョウバエS2細胞スクリーンにおいて最近同定された、さらに8つの強力なヘッジホッグシグナル伝達メンバー(Nybakken et al., 2005)もまた、我々のプライマリー肥満症スクリーンでヒットした。これらが示すことは、ヘッジホッグシグナル伝達経路に関する20倍より大きい(>20)濃縮である。重要なことは、ヘッジホッグシグナル伝達は脂肪体応答性経路において3位のスコアであった一方で、筋肉またはニューロンのデータセットではスコアを全く示さなかったことである(図5E;図6A)。ヘッジホッグ修飾は、肥満症治療のターゲットとして従来から指摘されている(Suh et al. Cell Metabolism, 2006; WO2000/51628)。従って、ハエスクリーンに関する原理の証拠を提供するため、また我々のショウジョウバエ結果を直接哺乳類の文脈において翻訳するため、我々はヘッジホッグ 経路をさらに調べた(homed into)。
【0113】
ショウジョウバエスクリーン結果のインビボ関連性を評価するために、哺乳類の脂肪生成におけるヘッジホッグシグナル伝達をさらに研究した。脂肪特異的Sufuノックアウト動物(aP2−SufuKO)を産生した(図8C)。Sufuは、哺乳類におけるヘッジホッグシグナル伝達の強力な内在性阻害剤である。Sufuflox/floxマウスを脂肪組織削除(adipose-tissue deleting)aP2−Cre遺伝子組み換え株と交雑し(図8C)、それによりaP2−SufuKO動物が健常かつメンデル比で生まれた。PCR増幅が明らかにしたのは、白色脂肪組織(WAT)および茶色脂肪組織(BAT)の両方におけるターゲット欠損であった(図7A、D)。aP2−SufuKOマウスは、即時型で明白な除脂肪表現型を示した。MRI分析が明らかにしたのは、白色脂肪組織量における顕著かつ全体的な減少であり、皮下、生殖腺周囲(perigonadal)および腸間膜の貯蔵物が含まれる(図7B)。興味深いことに、WATの総損失に反して、肩甲骨間部位の断面調査が明らかにしたのは、通常サイズおよび脂質含有の両方が十分に発達したBAT貯蔵物を有することである(図7B、C)。WATおよびBAT貯蔵物重量の直接測定によって、不変のBAT量を同時に有するaP2−SufuKOマウスにおいて、生殖腺周囲の(perigonadal)脂肪体量の〜85%減少を有する多岐にわたるWAT/BAT表現型が実証された(図7E、図8D)。組織重量および組織学的分析によって、膵臓および肝臓(脂肪肝を示さない)を含む複数の他の組織における顕著な表現型を欠いており、筋肉量は影響されないことが確認された(図8D)。皮膚脂肪も顕著に減少した(図8E)。Sufu欠失BAT貯蔵物の形態学はコントロール動物のそれと大きく区別できなかったのに対して(図7E、F)、複数のWATパッドの調査は、変異体動物における脂肪細胞サイズ(図7E,G;図8F)と総数(図8G)の両方で顕著かつ有意な減少を明らかにした。注目すべきことは、qPCRは、WAT(図7H)およびBAT(図7I)の両方において上昇したGli1、Gli2、およびPtch2発現を示し、これは両方の組織における、意図した経路の活性化を立証する。このようにして、脂肪組織における、また特筆すべきは通常の茶色脂肪組織においても、Sufuの欠失は、白色脂肪細胞数を著しく減少させる。これらの結果が示すことは、ヘッジホッグ活性化はWAT発達の完全な阻害を実質的にもたらすが、全くインタクトな茶色脂肪細胞の分化プロセスを残すということである。
【0114】
実施例3:活性化合物の試験
(一般的な好ましい設計)
マウスをいくつかのケージに分け、1ケージ当たり2〜4匹のマウスとし;また少なくとも2週間は新しい住まい環境に慣れさせた。マウスの体重は毎週測定することによって、その体重をモニターし、また、実験開始に先立ってマウスの体重が増加または安定しているのかを確認した。マウスは化合物投与のために、その体重をマッチングさせた群にランダムに割り当てられた。化合物用量および投与経路を、公知文献および薬物動態学的研究に基づいて決定した。
【0115】
マウスにおけるポジティブ候補を試験するために、以下のプロトコールを用いた。生後18週間のJAX(商標登録) DIO B6マウスをJax labsから購入し、同じような体重のマウス2〜4匹の群に分けた。食餌性肥満の(DIO)C57BL/6J マウスの給餌および世話についてのJax labsプロトコールは、以下の通りである。雄性マウスは、生後4週間でランダムに選択され、6%脂肪(wt/wt)の固形飼料(Lab Diet(商標登録) 5k52)が与えられる。生後6週間でマウスを離乳させ、10匹の群かならなるケージに移し、高脂肪食を与えて肥満症を誘発する(リサーチダイエット社、D12492i、60kcal% 脂肪)。マウスが自由に餌および水を得られるようにする。Jax labsから動物を受け取り、これらの動物をJax labsと同様の環境および給餌条件で飼育した、つまり、マウスに高脂肪食(Test Diet(商標登録) 58Y1 脂肪から60%エネルギー)を与えられ続けた。
【0116】
特に、以下のプロトコールによる方法が用いられた。トリグリセリドまたは脂肪調節に働く、新たに同定した遺伝子のモジュレーター(modulator)化合物について、2ラウンドの試験を行った。第1ラウンドでは、ショウジョウバエにおける全ての候補化合物をスクリーンし、引き続きポジティブ候補を、高脂肪食を与えることによって肥満を誘発したマウスにおいて試験した。生後2日のW1118雄性キイロショウジョウバエを1バイアルあたり20匹ずつに分けて、通常のハエの餌を、各試験化合物の存在下または非存在下で置いた。ハエのエサの表面に試験化合物を液体形態で加え、試験化合物をエサの最上層に3つの用量(0.001μmol/kg/日、1μmol/kg/日、および1000μmol/kg/日)で吸収させた。
【0117】
処理の1週間後、ハエを熱ショックで乾燥させ、乾燥重量を脂肪症の指標として用いた。コントロールのバイアルにおける平均値の乾燥重量の75%よりも低い(<75%)ハエを全て、肥満症低下活性を有するポジティブ候補とみなした。ポジティブ候補の中で明らかな行動障害を誘発したものは、ポジティブ候補の群から除いた。行動テストは、バイアルのタッピング(この場合、ハエはジャンプして飛行すべきである)および光への暴露(この場合、ハエは光源へ進むべきである)を含んだ。残ったポジティブ候補は全て、マウスにおける分析のために用いられた。
【0118】
マウスにおけるポジティブ候補を試験するために、以下のプロトコールを用いた。生後12週間のJAX(商標登録) DIO B6マウスをJax labsから購入して、均等な体重の8〜10マウスの群に分けた。食餌性肥満の(DIO)C57BL/6J マウスの給餌および世話についてのJax labsプロトコールは、以下の通りである。雄性マウスは、生後4週間でランダムに選択され、6%脂肪(wt/wt)固形飼料(Lab Diet(商標登録) 5k52)が与えられる。生後6週間でマウスを離乳させ、10匹の群かならなるケージに移し、高脂肪食を与えて肥満症を誘発する(リサーチダイエット社、D12492i、60kcal% 脂肪)。マウスが自由に餌および水を得られるようにする。Jax labsから動物を受け取り、これらの動物をJax labsと同様の環境および給餌条件で飼育した(すなわち、マウスは、継続して上述の高脂肪食を与えられた)。哺乳類において経口可能であることが知られているあらゆる物質に関して、マウスを推奨されるヒト治療量の5×および250×で水を飲ませて処理した。他の化合物に関する投与量は、マウスにおける発表されている薬物動態に基づくか、または利用できない場合は、ハエにおける最も低い機能的投与量(すなわち、ハエにおける最も低い機能的投与量の1×および50×)に基づいた。哺乳類において、経口投与ができないことが知られている化合物は、1日1回、腹腔内の手動注射によって、セルロース注射ベヒクル中、上記で決定した投与量で投与した。体重並びに食物および水摂取量を2週間の処理期間にわたってモニターし、コントロール動物と比較した平均体重減少はt−検定(p<0.05)により有意であり、屠殺時に総体重並びに生殖腺周囲および皮下脂肪体の重量を測定することにより体脂肪組成が2g(体重の〜5%)を超えたことを評価した。体重変化が、体脂肪組成変化に直接関連する化合物は、哺乳類の肥満症に関してポジティブな治療候補とみなした。
【0119】
実施例3.1.バンデタニブの投与
ZD6474としても知られるバンデタニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)および上皮細胞成長因子受容体(EGFR)のアンタゴニストとして機能するチロシンキナーゼ阻害剤である。バンデタニブ粉末をSelleck Chemicalsから得た(S1046)。生後30週間の雄性C57Bl6/J DIOマウスの体重をマッチングし(weight matched)、1ケージに2マウスの群で飼育し、12時間の明暗サイクルに置いた。食物および水を自由に与えた。8匹の化合物投与マウス(実験)および7匹のベヒクル投与マウス(コントロール)が実験に含まれた。マウスは、バンデタニブの一日量を経口投与によって与えられた。バンデタニブは、1% tweenのPBSを含むベヒクル中で送達された。コントロールマウスは、経口投与によって毎日ベヒクル単独のみを与えられた。本試験で選択されたバンデタニブの投与量は、40mg/kg/dであった。これは、様々なマウス癌モデルにおいてVEGFRターゲットの阻害に関して、有効用量であることが決定されている。Choi et al 2008において、バンデタニブは、1% tween80とPBSを含むベヒクル中、50mg/kg/dの量で4週間、ヒト腺様嚢胞癌モデルの視能矯正ヌード(orthopic nude)マウスに経口投与された。この治療期間の間、バンデタニブはマウスによって良く許容されており、有害な副作用や体重減少は観察されなかった (Choi et al 2008)。この投与量は、ベヒクル投与コントロールと比較して、腫瘍容積を有意に減少させるのに効果的でいあった(Choi et al 2008)。腎臓細胞癌マウスモデルにおける50mg/kgの投与量で21日間の治療は、良く許容され、薬物に伴う体重または行動変化は観察されなかった(Drevs et al. , 2004)。この投与量は、原発腫瘍容積を減少させるのにも有効であった(Drevs et al., 2004)。前臨床試験におけるバンデタニブのマウス投与は、12.5〜150mg/kg/日の範囲である(Wedge et al., 2002; Ciardiello et al., 2003; Taguchi et al., 2004; Damiano et al., 2005)。一般的に、25mg/kg/日より多い投与量は、腫瘍成長の抑制または腫瘍退縮の誘導をもたらす一方で、それと同じまたはそれ未満のレベルでは、腫瘍成長を遅らせる傾向にある(Wedge et al., 2002; Gustafson et al., 2006)。マウスにおいて35日間、バンデタニブを最大で100mg/kgの投与量まで投与したところ、臨床症状に対する明確な効果は無かった(Wedge et al., 2002)。DIOマウスの体重を、最初の化合物投与と同じ日の投与前に測定した(第1日)。マウスの体重を実験の間、毎日測定し、明白な毒性またはストレスの兆候をモニターした。研究の間、バンデタニブは良く許容され、有害な副作用も観察されなかった。化合物投与したマウスでは、ベヒクル投与のコントロールと比較して、体重減少の増加が観察された(図1)。第13日までには、バンデタニブを投与したマウスでは、実験の間そのままに保たれたコントロールと比較して、統計的に有意な体重減少が観察された(p<0.05;独立student t検定)。第7日に、インスリン負荷試験が行われた(図10)。インスリン応答は実験およびコントロール群のいずれにおいても類似していたものの、空腹時グルコースレベルでは、実験マウスにおいてコントロールと比較した有意な減少が観察された(p<0.05)。第35日に、経口グルコース負荷試験が行われた(図11)。グルコース投与後の15、45および60分の時点でグルコースレベルの減少が観察され、バンデタニブ投与マウスはコントロールと比較して、改善されたインスリン応答を示す(p<0.05)。第38日の化合物投与でマウスは屠殺された。生殖腺周囲の(perigonadal)脂肪体を単離し、重さを量った。これらの値を、マウスの体長に対する割合で表現した(図12)。バンデタニブ投与群では脂肪体重の減少が観察され、これらのマウスにおける体重減少が脂肪量減少によることを示す(p<0.05;独立student t検定)。これらのデータを合わせて分かることは、バンデタニブは、実験の間にわたって安定してほぼ10%体重減少をもたらしたということである。血中グルコースレベルの減少およびグルコース処理の改善は、脂肪症において観察された減少と一貫している。
【0120】
実施例3.2.ダサチニブの投与
ダサチニブは、複数(multiple)BCR/abl Srcファミリーのチロシンキナーゼ阻害剤である。ダサチニブは、慢性骨髄性白血病の治療における使用として承認されている。ダサチニブを、Selleck chemicalsから粉末として得た。生後19週間の33gより重いC57Bl6/J DIOマウスの体重をマッチングし(weight matched)、1ケージに4マウスの群で飼育し、12時間の明暗サイクルに置いた。食物および水を自由に与えた。5匹のダサチニブ投与マウス(実験)および4匹のベヒクル投与マウス(コントロール)を実験で用いた。マウスは、ダサチニブを、ベヒクル(1:1プロピレングリコール/水)中で腹腔内に5mg/kg/日の投与量を毎日与えられた。コントロール動物は、ベヒクル単独が投与された。K562異種移植の皮下注射を有する重篤な複合免疫不全マウスにおける研究に基づくと、1.25mg/kg/1回分 BIDまたは2.5mg/kg/1回分 QDは、最小有効投与量と考えられる(Lee et al., 2004)。2.5mg/kg/日の前臨床有効投与量は、およそ25mg/日の臨床用量と同等である(Luo et al., 2006)。マウスの投与計画(5mg/kg、PO)は、100mgの投与量を1日1回の承認されたヒトの薬物動態をよく模倣する。これに基づいて、肥満マウスモデルにおいて5mg/kg/日の投与量を投与することを決定した。DIOマウスの体重を、最初の化合物投与と同じ日の投与前に測定した(第1日)。マウスの体重を実験の間、毎日測定し、明白な毒性またはストレスの兆候をモニターした。研究の間、ダサチニブは良く許容され、有害な副作用も観察されなかった。ダサチニブ投与したマウスでは、ベヒクル投与のコントロールと比較して、有意な体重減少が観察された(図13)。第5日にダサチニブ群において有意な体重減少が観察され;第28日までには、これらのマウスは、これらの初期体重が平均で20%減少されていた。これは、ベヒクル投与マウスと比較して統計的に有意な減少を示す(p<0.001;独立student t検定)。第15日に、経口グルコース負荷試験が行われた。いずれの投与グループも類似の空腹時グルコースレベルを有したものの(時間:0)、実験群においては、グルコース投与後の15、30および45分でインスリン応答が改善された(図14)。これが示すのは、高脂肪食を与えたマウスにおいて、ダサチニブが、インスリン応答およびグルコースクリアランスの改善をもたらすということである。第29日に、経口グルコース負荷試験が行われた。各グループにおいて、時間:0(100%とみなす)における空腹時グルコースレベルを比較してグルコース測定をし、グルコースクリアランスにおける相対的な変化を決定した(図15)。ダサチニブ投与マウスにおいて、グルコースクリアランスが改善されたことを観察した(45分p<0.05;60分p<0.01)。これらのデータを合わせると、インスリン感受性およびグルコース処理の改善は、観察された体重減少と一貫している。
【0121】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療化合物バンデタニブを投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【請求項2】
治療化合物バンデタニブを投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる治療方法に用いるバンデタニブ。
【請求項3】
ダサチニブ、タネスピマイシン、S−17092、およびソラフェニブから選択される治療化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【請求項4】
リントプリド、フェノプロフェン、スルファフェナゾール、フルチカゾン、ロリプラム、フェブキソスタット、およびベラパミルから選択される治療化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【請求項5】
遺伝子CG9438またはそのオルソログ(特に、ヒトのオルソログCYP3A4)の修飾因子から選択される治療化合物であり、エルロチニブ、ゲフィチニブおよびラパチニブから選択される化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【請求項6】
遺伝子CG8222またはそのオルソログ(特に、ヒトのオルソログKDR)の修飾因子から選択される治療化合物であり、アキシチニブ、パゾパニブおよびセマクサニブから選択される化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【請求項7】
遺伝子CG6919またはそのオルソログ(特に、ヒトのオルソログHTR4)の修飾因子から選択される治療化合物であり、シサプリド、モサプリド、ピボセロド、プルカロプリド、レンザプリド、テガセロッド、トロピセトロンおよびザコプリドから選択される化合物を投与することを特徴とする、患者の体重および/または体脂肪を減少させる方法。
【請求項8】
表1の治療化合物の1つまたはそれ以上、好ましくは請求項1〜7のいずれか一つの化合物の1つまたはそれ以上を組み合わせた化合物を投与することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項9】
治療が、患者の肥満症治療であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項10】
患者が、少なくとも35の肥満度指数(BMI)、好ましくは少なくとも40のBMIである、重篤な肥満症に羅患していることを特徴とする、請求項9の方法または化合物。
【請求項11】
化合物が、治療上の有効量で投与されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項12】
化合物が、局所的、経腸的または非経口的投与され、特に好ましくは、経口的または直腸的、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、皮内または腹腔内、経皮、経粘膜的または吸入性投与されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項13】
患者が、哺乳類、好ましくはヒトであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項14】
化合物またはアンタゴニストが、薬物中に含まれて提供されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項15】
化合物またはアンタゴニストが、医薬的に許容される担体または緩衝剤と一緒に提供されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項16】
化合物が、0.01mg/kgから1g/kgの間の用量で投与されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか一つの治療化合物が、患者の体重および/または体脂肪の減少または肥満症の治療において、唯一の活性な治療化合物として投与されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つの方法または化合物。
【請求項18】
患者の体重および/または体脂肪を減少させるかあるいは肥満症を治療または予防するための治療投与薬物の製造における、請求項1〜7のいずれか一つ、好ましくは請求項8〜17のいずれか一つの化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−516442(P2013−516442A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547515(P2012−547515)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050186
【国際公開番号】WO2011/083150
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512178640)アクロン・モレキュールズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】AKRON MOLECULES GMBH
【Fターム(参考)】