説明

肥満症治療用スリーブ

【課題】消化管の特定の部位における食物の吸収を制限し、病的肥満の患者に食習慣の改善を可能にする負のフィードバックをもたらすため、消化管内に阻害スリーブを適用する装置を提供する。
【解決手段】胃腸内埋込装置は、両端で開いており、腸内まで延びて腸における栄養素の吸収を制限し、腸内で小さな容積に収縮できるように薄くて柔軟な素材からなり、遠位端で非支持である可撓スリーブ202と、スリーブ202の近位端に結合されて自己拡張型で収縮可能なアンカー208とを備え、アンカー208は、アンカー208の外表面から延びてアンカー208が拡張してスリーブ202の近位端を消化管内に固定するときに、筋肉組織への挿入に適した構造であり、筋肉組織への挿入に適した方向に配置された針状突起物210を有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2002年12月2日出願の米国特許仮出願第60/430,321号の利益を主張した2003年1月9日付の米国特許出願第10/339,786号の部分継続出願である。さらに本出願は、2003年10月17日出願の米国特許仮出願第60/512,145号の利益を主張する。上記出願の教示の全体は、参照により本明細書に引用したものとする。
【背景技術】
【0002】
疾病管理センター(Center for Disease Control(CDC))によれば、米国の人口の60%超が太りすぎであり、ほぼ20%が肥満である。これは、米国において、肥満度指数(BMI)が30以上である成人が3,880万人存在することを意味する。BMIは、人間の体重(キログラム単位)を身長(メートル単位)の2乗で除算したものとして定義される。臨床上病的に肥満であると判断されるためには、35を超えるBMI、理想体重に対する100ポンドの体重超過または100%の超過という3つの条件のうちの1つを満たしていなければならない。さらには、体重が350ポンドを超える者については超肥満という分類もある。
【0003】
肥満症は、対策の困難な健康問題である。この過剰な体重の保持に伴う巨大な負担のため、神経系および循環系などの器官に悪影響を与える。2000年に、国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(the National Institute of Diabetes, Digestive and Kidney Diseases(NIDDK))は、280,000人が肥満に直接関係して死亡したと推計した。さらにNIDDKは、米国における肥満に関する直接的な医療コストが510億ドルであると推定した。さらに、米国民は、減量関連製品に毎年330億ドルを費やしている。このような経済的コストおよび消費者の尽力にもかかわらず、肥満症は危険な速度で広がり続けている。1991年から2000年まで、米国における肥満は61%増加した。米国だけの問題にとどまらず、世界的な肥満の地域も劇的に増加している。
【0004】
医療システムの主要コストの1つは、肥満に関連する複合疾患に起因している。2型糖尿病が、人口の7.3%に上っている。2型糖尿病を患う者のうち、ほぼ半数が臨床的には肥満であり、3分の2が肥満に近い。他の複合疾患には、高血圧症、冠動脈疾患、高コレステロール血症、睡眠時無呼吸、および肺高血圧症がある。
【0005】
肥満の生理学および心理学は複雑であるが、その原因がきわめて単純であり、すなわち現代社会に見られるカロリーの過剰摂取とエネルギー消費の減少との組み合わせであることは、医学的に意見の一致するところである。治療がきわめて直観的であると思われるのに反し、治療法の確立は、医学の最良の努力を今日まで悩ませている複雑な問題である。食事療法は、大部分の人々にとって適切な長期的解決策ではない。ひとたび30のBMIを超えると、生活スタイルの大幅な変更が、唯一の解決策である。
【0006】
飲食への要求を減らすことによって飲食消費量の問題に対処するため、患者の生体構造を外科的に変更しようとする多くの試みが、過去になされてきている。胃の容積を減らして早めに満腹感を得るための胃のサップリング(sapling)すなわち胃形成術が、198
0年代および1990年代の初めに行なわれた。早期の体重減少が達成できるが、持続的な減少は得られなかった。その理由のすべてが判明しているわけではないが、いくつかの要因が関係するものと考えられている。その1つは、胃が時間とともに伸張して容積を増す一方で、心理学的要因が、小さくなった胃袋で完全に飲食するための新しい方法を見つ
けるように患者を誘導することにある。
【0007】
現時点において、長期的な体重減少を成功裏に生み出す2つの外科的施術が存在し、すなわち、ルーY型(Roux−en−Y)胃バイパス手術、およびBPD手術(十二指腸切換を伴う胆膵路分岐術)である。両方の施術とも、胃の寸法を小さくするとともに、栄養素の吸収に利用できる腸の有効長さを短くしている。胃の寸法の縮小は、胃の容量および患者の食物摂取の能力を小さくする。十二指腸をバイパスすることによって、脂肪および糖分が多く炭水化物に富んでいる食品の消化がより困難になる。この施術の目的の1つは、これらの食品を飲食した場合にダンピング症候群を生じさせ、患者にフィードバックをもたらすことにある。ダンピングは、炭水化物が十二指腸で最初に調整されることなく、直接空腸に入った場合に生じる。その結果、腸の内壁から食物に大量の流体が放出されることになる。この全体的影響が、患者に軽い頭痛を感じさせ、深刻な下痢を生じさせる。さらに、理由は未だはっきりしていないが、この施術は、糖尿病に対する迅速な治療上の効果を有している。
【0008】
生理学的に簡単であると思われるにもかかわらず、これらの施術の作用の正確なメカニズムはわかっていない。現在の理論は、誤った食品を大量に飲食したとき、食道への逆流およびダンピングの両者から不快なフィードバックがもたらされるというものである。最終的には、患者は、これらの問題の両方を回避するために、彼らの生体構造の変更によって課された食事の制約に従わなければならないことを学習する。BPD術においては、空腸の長さの多くがバイパスされて吸収不良を生じさせ、したがってカロリーの摂取が減らされる。実際には、BPD術においては胃の寸法がそれほど減らされず、患者は充分な量の食物を摂取して、吸収の減少を補うことができる。この施術は、長期にわたる吸収不良のいくつかの深刻な副作用が存在するため、最も病的な肥満のために留保されている。
【0009】
残念なことに、これらの施術は大きな犠牲を伴う。外科的施術の死亡率の高さは憂慮すべきほどであり、11%は、矯正のための外科的介入を必要とする。これらの手術において、初期の小腸閉塞症が2〜6%の間の確率で生じ、死亡率が約0.5〜1.5%になると報告されている。外科的手術が有効な回答であるように思われるが、現在の侵襲施術は、これら合併症の割合のため容認できないものである。これらの外科手術に適用される腹腔鏡技法は、手術の合併症を少なくするが、依然、これら重症患者を高い手術のリスクにさらしているほか、外科医にきわめて高いレベルの技能を要求している。小腸における吸収を少なくするための装置が提案されている(米国特許第5,820,584号(クラブ(Crabb))、米国特許第5,306,300号(ベリー(Berry))、および米国特許第4,315,509号(スミト(Smit))を参照)。しかし、これらの装置は、成功裏に実現されてはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、消化管の特定の部位における食物の吸収を制限し、病的肥満の患者に食習慣の改善を可能にする負のフィードバックをもたらすため、消化管内に阻害スリーブを適用する方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
胃腸内埋込装置は、可撓スリーブと、スリーブの近位部に取り付けられたストラット(strut:網を形成する素線)からなる網で構成されるステントとを備えている。可撓スリ
ーブは、両端で開いており、十二指腸内へと延びて十二指腸における栄養素の吸収を制限する。ステントは、胃の中に保持されるように構成されている。ステントを幽門口内に保持して、幽門を開いた状態に保つことができる。ステントは収縮可能であり、埋込装置の取り出しを可能にしている。ステントは、スリーブの近位部によって覆われており、スリ
ーブの第1の内側層と第2の外側層との間に挟まれている。スリーブは、スリーブの近位端に流し込まれて胃を出る糜粥が、トライツ靭帯の下の遠位端を通ってスリーブを出るような長さである。スリーブの素材は、0.2よりも小さい摩擦係数を有している。スリーブは、発砲ポリテトラフルオロエチレンや低密度ポリエチレン・フィルムなどの低摩擦の素材から形成することができ、またポリウレタンまたはシリコンで被覆または含浸して、透過性を小さくすることができる。スリーブの遠位端に、方向性の表面加工を施すことができる。
【0012】
スリーブの近位部を胃に固定するため、ステントの外表面から針状突起物が延びている。針状突起物は、2つの方向に向けることができる。この針状突起物が、可撓スリーブを胃の幽門筋に固定する。
【0013】
座屈防止装置をスリーブに組み合わせ、ステントの下流から可撓スリーブの遠位端まで延ばすことにより、スリーブの捩れおよび座屈を軽減できる。スリーブにより、十二指腸で分泌された酵素がスリーブの外側で十二指腸を通過できるようになる。
【0014】
胃腸内埋込装置は、送入カテーテルと組み合わせて内視鏡的に挿入することができ、さらに回収装置と組み合わせて内視鏡的に取り出すことができる。1つの実施形態においては、輸送装置は、腸を通過するカテーテルと、カテーテルの遠位端に組み合わされた球状の部材とを備えている。球状の部材は、遠隔操作によって解放することができる。
【0015】
別の実施形態においては、胃腸内埋込装置は、スリーブの近位端に取り付けられた収縮可能なアンカーを備えている。アンカーは、アンカーが拡張されたときにスリーブの近位部を胃に固定するために、組織に挿入される針状突起物を備えている。
【0016】
さらに別の実施形態においては、胃腸内埋込装置は、スリーブの近位端に取り付けられた収縮可能なアンカーを備えている。アンカーは、スリーブの近位部を胃に固定するため、間隔を空けて位置する直径の異なる2つのリングを備えている。
【0017】
この胃腸用埋込装置は、腸管の疾患を治療するための方法として使用可能である。可撓スリーブが、胃の中に固定される。スリーブは両端において開いており、炎症を軽減する薬剤で含浸されている。可撓スリーブは、空腸内に位置している。
【0018】
この胃腸内埋込装置は、肥満を治療する方法として使用可能である。可撓スリーブが胃の中に固定される。スリーブは両端で開いており、満腹ホルモンで強化され、また可撓スリーブは十二指腸に延びている。
【0019】
この胃腸内埋込装置は、2型糖尿病を治療する方法として使用可能である。両端で開いている可撓スリーブの近位部が、収縮可能なアンカーに結合されている。アンカーは、アンカーが拡張されたときにスリーブの近位部を胃に固定するために、組織に挿入される針状突起物を備えている。可撓スリーブは十二指腸まで延びて、栄養素の吸収を制限する。
【0020】
本発明の前述およびその他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示す本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明で明らかになるであろう。図面では、同一参照符号は異なる図面においても同一部品を指す。図面は必ずしも縮尺通りでなく、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】人体の消化管の一部分の断面図である。
【図2】本発明の原理による胃腸内埋込装置の斜視図である。
【図3A】図2に示した胃腸内埋込装置の近位部の平面図である。
【図3B】図3Aの線A−Aに沿って切断した断面図であり、図2に示したステントならびにスリーブの第1内側層および第2外側層が示されている。
【図4】胃腸内埋込装置の斜視図であり、スリーブの第2外側層は省略されている。
【図5】人体の一部分の断面図であり、消化器系に埋め込まれた胃腸内埋込装置が示されている。
【図6】胃腸内埋込装置内の収縮可能な自己拡張型ステントの斜視図である。
【図7】図6に示したステントの圧縮した状態の斜視図である。
【図8】ステントの別の実施形態の圧縮した状態の斜視図である。
【図9】図8に示したステントの斜視図であり、ストラットの端部が曲げられ対向する針状突起物を生成している。
【図10】図8に示したステントの拡張したときの斜視図である。
【図11】座屈防止機構を備える図1に示した胃腸内埋込装置を示している。
【図12】胃腸内埋込装置の輸送のためのカテーテル・システムの斜視図である。
【図13】図12の線E−Eに沿って切断された内側軸の断面図である。
【図14A】図12に示したデッドボルト機構の拡大平面図である。
【図14B】図14Aに示したデッドボルト機構の断面図であり、スリーブを通すスリーブ保持用ワイヤが示されている。
【図15】カテーテル・システムの一部分の断面図であり、収縮されたステントがシース内に収容されている。
【図16A】カテーテル・システムの平面図であり、収縮されたステントが胃腸内埋込装置の外側シース内に収容されている。
【図16B】カテーテル・システムの平面図であり、ステントが外側シースから解放された後の胃腸内埋込装置が示されている。
【図16C】カテーテル・システムの平面図であり、スリーブ保持用ワイヤが解放された後の拡張された胃腸内埋込装置が示されている。
【図17】図12に示したカテーテル・システムの別の実施形態の斜視図である。
【図18】より長いスリーブを輸送するための反転カテーテル・システムの断面図である。
【図19】胃腸内埋込装置を消化管から取り除くための回収装置の斜視図である。
【図20】ステントと係合した回収装置の斜視図である。
【図21】胃腸内埋込装置の別の実施形態の斜視図である。
【図22】図21に示した固定用リングの斜視図である。
【図23】図21に示した固定用リングについて、挿入および取り出しのために収縮された状態の斜視図である。
【図24】図23に示した収縮可能リングを胃の幽門部の筋肉組織に固定するためのアンカーの斜視図である。
【図25A】胃腸内埋込装置が胃に配置された後にアンカーを送入する送入システムの斜視図である。
【図25B】図25Aに示した輸送システムの平面図である。
【図25C】図25Bの線B−Bに沿って切断されたカテーテルの遠位端の断面図である。
【図25D】胃腸内埋込装置の斜視図であり、組織と係合したアンカーが示されている。
【図25E】輸送後に組織と係合している針状突起物を示した等角投影図である。
【図26A】スリーブの遠位端を所定の位置に保持するための捕捉ワイヤを備えている輸送システムの平面図である。
【図26B】図26Aの線CCに沿って切断された内側シースの断面図である。
【図26C】図26Aの線DDに沿って切断された外側シースの断面図であり、外側シース内には内側シースが示されている。
【図26D】カテーテルの遠位部の断面図であり、スリーブの遠位端を保持する捕捉ワイヤが示されている。
【図26E】カテーテルの遠位部の断面図であり、捕捉ワイヤによる係合機構が示されている。
【図27】遠位端に表面加工部分を有している胃腸内埋込装置の遠位部の斜視図である。
【図28】別の実施形態の固定装置を備える胃腸内埋込装置の斜視図である。
【図29】図28に示した胃腸内埋込装置のリングのうちの1つの平面図である。
【図30】図28に示した胃腸内埋込装置の斜視図であり、体内に輸送するために輸送用チューブ内に収縮された状態にある。
【図31】胃腸内埋込装置の斜視図であり、図30に示した輸送用チューブからの遠位側リングの展開状態が示されている。
【図32】胃腸内埋込装置について、遠位側リングの展開後かつ近位側リングの展開前の斜視図である。
【図33】別の実施形態の固定装置を備えている図28に示した胃腸内埋込装置の斜視図である。
【図34】図33に示した胃腸内埋込装置の斜視図である。
【図35】図28に示した固定リングのうちの1つの別の実施形態の斜視図である。
【図36】さらに別の実施形態のアンカーを備えている胃腸内埋込装置の斜視図である。
【図37】図36に示したアンカーの斜視図であり、スリーブは省略されている。
【図38】図36に示した胃腸用装置の斜視図であり、体内に輸送するために輸送用チューブ内に収縮された状態である。
【図39】輸送システムの斜視図であり、輸送用チューブからの遠位側リング2803の展開状態が示されている。
【図40A】回転防止および係止の特徴を追加で備えている図38に示した胃腸用装置の平面図である。
【図40B】図40Aに示したアンカーの平面図であり、スリーブは省略されている。
【図41】図28に示した胃腸内埋込装置の別の実施形態の斜視図である。
【図42A】胃腸内埋込装置の輸送のためのカテーテル・システムの一部分の斜視図である。
【図42B】図42Aの線42B−42Bに沿って切断したカテーテル軸の断面図である。
【図43】人体の消化管の一部分の断面図であり、胃鏡/案内チューブ・アセンブリの配置が示されている。
【図44】人体の消化管の一部分の断面図であり、案内チューブ4300の遠位端から延びるカテーテルの遠位端が示されている。
【図45】図28の胃腸内埋込装置が輸送された後の人体の消化管の一部分の断面図である。
【図46】カテーテル・システムの遠位端の平面図であり、解放可能なボール先端機構が示されている。
【図47】カテーテルの遠位端の平面図であり、解放可能なボール先端機構の別の実施形態が示されている。
【図48】カテーテルの遠位端の平面図であり、解放可能なボール先端機構のさらに別の実施形態が示されている。
【図49】剛体球状部材の別の実施形態の断面図である。
【図50A】膨張可能な球状部材を備えるカテーテル遠位端の平面図である。
【図50B】膨張可能な球状部材を膨張させた後のカテーテル遠位端の平面図である。
【図51】胃腸内埋込装置を輸送するための別の輸送システムの平面図である。
【図52】図51に示した輸送機構の別の実施形態の平面図である。
【図53】Aは、ガイドワイヤ上に配置するための中央管腔を有するカテーテル・システム4250の別の実施形態である送入する方法を示している。Bは、ガイドワイヤ上に配置するための中央管腔を有するカテーテル・システム4250の別の実施形態である送入する方法を示している。Cは、ガイドワイヤ上に配置するための中央管腔を有するカテーテル・システム4250の別の実施形態である送入する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0023】
図1は、体内の消化管の一部の断面図である。消化される食物は、食道から噴門110を通って胃102に入る。胃での胃内消化によって生成された糜粥状、半流動体状、均質なクリーム状または粥状の物質が、幽門口(幽門)108を通って胃から出て、小腸112に入る。幽門108は、胃102の遠位側の開口であって、環状のの強い帯で囲まれている。小腸は、長さ約9フィートの回旋状の管状器官であって、幽門から大腸につながる回盲弁まで延びている。小腸は、十二指腸104、空腸106、および回腸(図示されていない)という3つの部位を有している。小腸の最初の8〜10インチの部分が十二指腸であり、小腸の最も短く、最も幅広く、かつ最も固定されている部分である。
【0024】
十二指腸は、上部、下行部、水平部、および上行部という4つの部位を有し、通常はU字を形成している。上部は約2インチの長さであり、胆嚢頸で終わっている。下行部は、約3〜4インチの長さであり、乳頭状の構造(ファーテル乳頭)114を有しており、そこから膵臓からの膵液、および肝臓で作られ胆嚢に保存された胆液が、膵管を通って十二指腸に入る。膵液は、たんぱく質の消化に不可欠な酵素を含んでおり、胆液は、脂肪消化の生成物を分解する。上行部は約2インチの長さであって、十二指腸空腸曲116を形成しており、ここで小腸の次の部位である空腸106につながっている。十二指腸空腸曲116は、トライツ靭帯118(十二指腸提筋)に固定されている。十二指腸内に分泌された液が、途中まで消化された食物を、人体によって吸収されるのに充分小さい粒子に分解する。消化系については、グレイズ・アナトミー(Gray’s Anatomy)(ヘンリー・グレイ(Henry Gray)の「人体の組織(Anatomy of the Human Body)」)、およびヴァンデール(Vander)の「人間の生理(Human Physiology)」、第3版、マグロウヒル出版(McGraw Hill)、1980年に説明されており、これらの全内容は、参照により本明細書に引用されたものとする。
【0025】
図2は、本発明の原理による胃腸内埋込装置200の斜視図である。胃腸内埋込装置200は、第1の近位側開口204と第2の遠位側開口206とを有している細長い開放端可撓スリーブまたはチューブ202を含んでいる。スリーブ202の内側は、胃102(図1)を出た糜粥を輸送するための第1の近位側開口204から第2の遠位側開口206まで延びる通路である。通路の表面(埋め込み装置200の内面)は、糜粥が容易に通過できるよう平滑である。埋め込み装置200の外表面は平滑にして、組織の成長を防止し、かつ腸管を刺激しないようにする。
【0026】
埋込装置200内には、第1の近位側開口204を含む近位端に、収縮可能な自己拡張型ステント208がある。ステント208は、埋込装置200を胃102の幽門筋に固定するため、複数の対向する針状突起物210を備えている。ステント208の直径は、幽門口108(図1)の直径によって決まり、人体構造のばらつきに応じて約0.8インチ〜1.1インチである。1つの実施形態において、ステント208の長さlは、幽門108を通って延び、幽門108を恒久的に開いた状態に保って「ダンピング症候群」を生じ
させるように選択される。別の実施形態においては、より短い長さlのステントによって、幽門108を通常通り開閉するようにできる。
【0027】
スリーブの素材は、腸内で小さな容積に収縮して腸管への刺激を最小にするよう、薄くて柔軟である。糜粥が容易に滑って通過でき、かつ腸管が容易に周囲を滑ることができるよう、小さい摩擦係数(<0.20)を有している。この素材の流体に対する透過性は低いためて、糜粥が腸管に触れず、かつ消化酵素が糜粥をあまり分解しない。また生物学的に不活性であって、組織を刺激しない。このような材料の1つは、壁の厚さが約0.006インチであり節間距離が20ミクロンである発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。この材料は疎水性であるが、わずかに多孔質である。しかしな、これらの極小の穴は、時間とともに塞がるであろう。材料の内面または外面あるいは孔内を、シリコンまたはポリウレタンの希釈液で被覆することにより、多孔性を減じてもよい。別の材料は、壁の厚さが0.001インチよりも小さいポリエチレンである。他の材料としては、キャストPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標))、ピン・ホールを最小にするためFEP(フッ化エチレンプロピレン)またはPFA(パーフルオロアルコキシ)を被覆してなるキャストPTFE、発泡FEP、および発泡PFAがある。これらの材料は、多孔性であるePTFEと対照的に中実であって無孔性であるが、やはりテフロンであると考えられる。ゴム状の材料は、通常は1〜4の摩擦係数を有し、これらの材料よりもかなり粘着性である。ただし、別の実施形態においては、同様の特性を有する他の材料も使用可能である。
【0028】
スリーブ202は、少なくとも近位端に2つの材料の層を有している。第1の外側層は、ステントの外側を覆っている。第2の内側層は、ステント208の内表面を覆っている。針状突起物210は、スリーブ202の第1の外側層を貫いてステント208の外表面から突き出している。第1の外側層において、針状突起物210が突き出している孔は、消化液と通路を通過して流れる糜粥との混合を制限するため、シリコンまたはウレタンなどの不浸透性の材料で満たされている。スリーブ202の直径は、スリーブ202の第1の外側層がステント208を覆って納まるように選択されている。
【0029】
スリーブの長さ212は、約1フィート〜約5フィートの範囲にある。典型的なスリーブ208の長さは、胃の幽門領域に位置するアンカー(針状突起物210)から下流のトライツ靭帯118(図1)まで、約1.5フィートである。スリーブ202の長さ212は、十二指腸104(図1)および空腸の一部をバイパスするように選択されている。空腸106(図1)をより長い部分にわたってバイパスすることによって吸収をさらに減らすため、長さは延長される。スリーブ202の長さ212は、さまざまに変えることができ、患者の肥満度指数(BMI)によって決まる。この施術は、肥満および病的肥満の治療のための外科手術に代わり、より非侵襲的であり、さらに2型糖尿病に対する新たな治療方法を実現する。
【0030】
被覆されているステント208は、内視鏡的な送入ができるように、直径が1/4インチよりも小さいシースに収縮することができる。ステント208の外表面をスリーブ202の第1の外側層で覆うことにより、ステント208の外表面への組織の成長を防止して、埋込装置200の内視鏡的な取り出しが可能になる。
【0031】
スリーブ202の外表面にマーキングを付加することにより、蛍光透視画像でスリーブの位置および向きを検出し、さらにスリーブが捩れていないかどうかを検出できる。例えば、タンタル含浸インクを使用して装置200の全長にわたってストライプを塗装することができ、あるいは装置の外表面にタンタル帯を貼り付けることができる。スリーブ202が捩れている場合、近位端にバルーンを挿入して装置を密閉し、次いでスリーブ内に水を低圧で注入することによってスリーブ202の捩れを戻すことができる。
【0032】
図3Aは、図2に示した胃腸内埋込装置の近位部分の平面図である。図3Bは、図3Aの線AAに沿って切断した断面図であり、図2に示したスリーブ202のステント208、第1の外側層300、および第2の内側層302が示されている。図2に関連して説明したとおり、スリーブ202は、第1の外側層300および第2の内側層302を備えている。第1の外側層300は、ステント208の遠位端の下流の位置306およびステント208の近位端の上流の位置308において、第2の内側層302に貼り付けられている。スリーブ202の第2の内側層302の内側の通路304によって、糜粥がスリーブ202を通って通過することができる。ステント208は、スリーブ202の近位端において第1の外側層300と第2の内側層302との間にサンドイッチ状に挟まれており、遠位端において、スリーブ202の第1の外側層300と第2の内側層302の内側で可動である。ステント208の外表面が覆われていることにより、組織の成長が防止され、埋込装置200の取り外しが可能である。ステント208の内表面が覆われていることによって、糜粥が十二指腸104をバイパスするための滑らかな通路がもたらされている。
【0033】
図4は、胃腸内埋込装置200の斜視図であり、スリーブ202の第1の外側層300は省略されている。相互に連結しているストラットによって、ダイアモンド状に開いた開口を有するメッシュが形成されており、これらストラットは充分に柔軟で、ステントを送入用カテーテルの内側に収縮でき、また充分な弾性を有して、カテーテルが引き抜かれたとき、幽門を開いた状態に保つことができる。幽門を開いた状態に保つのに必要な力は、ステントが最大直径から25%圧縮されたとき、約1〜2ポンドの半径方向外側向きの力である。
【0034】
図5は、消化器系内に埋め込まれた胃腸内埋込装置200を示す人体の断面図である。埋め込み装置200の第1の近位端204が、胃102の幽門部の筋肉に固定されている。針状突起物210は、埋込装置200が胃および腸の運動とともに胃の中に引き込まれたり、あるいは腸へと下流に引きずられたりすることがないよう、埋込装置200を所定の位置に固定するように筋肉を把持する。
【0035】
スリーブ202は、トライツ靭帯118を通過し近位空腸を越えて延びている。スリーブをトライツ靭帯の下流まで延ばすことによって、スリーブが十二指腸104を通って胃102に戻らないようにしている。
【0036】
胃腸内埋込装置200が体内に配置され、胃の幽門部に固定されたのち、胃を離れる糜粥は、スリーブ202の内側の通路304(図3B)を通過して、十二指腸および近位空腸をバイパスする。糜粥を、スリーブ202を通って導くことによって、十二指腸における吸収作用が妨害される。糜粥と十二指腸内の液との混合を妨げることによって、途中まで消化された食物物質は、体による吸収のための充分小さい粒子に分解されることがない。さらに、糜粥が空腸に至るまで、胆液と糜粥との混合も発生しない。胆液と糜粥との混合を遅らせることによって、脂肪および炭水化物の吸収が低減される。
【0037】
幽門弁は周期的に開いて、糜粥が胃102を出て十二指腸104に入るようにする。本発明の1つの実施形態においては、ステント208の長さを選択することにより、幽門弁を恒久的に開いた状態に保って「ダンピング症候群」を生じさせる。幽門弁を開いた状態に保つことによって、糜粥が最小限の消化でスリーブ202内にすみやかに注がれ、スリーブを通過して空腸に注がれる。これが、過剰かつ急激な糜粥の空腸への投入の反応である「ダンピング症候群」を生じさせ、患者に不快、目眩、および吐き気を感じさせる。この症候群は、糖分および炭水化物を飲食し、それらが直接空腸まで通過したときに、とくに強くあらわれる。
【0038】
幽門弁を開いた状態に保つため、ステントの長さは少なくとも1.5インチとして、ステントが胃の幽門部の固定位置から幽門口108(幽門弁が開いているときの胃からの開口)を通って延びるようにしなければならない。ステントの長さは、ステントの遠位端が十二指腸乳頭114(図1)の上方にあるように選択される。図示のとおり、ステント208は幽門口108を通過して延びて、幽門弁を恒久的に開いた状態に保つ。別の実施形態においては、ステント208の長さを選択して、ステント208が幽門口108の胃側で終わって幽門弁が通常どおりに動作できるようにする。
【0039】
スリーブ202は、不快なフィードバックをもたらし、脂肪の消化を減少させ、さらに食物への欲求を減らすことによって、減量のメカニズムを提供する。脂肪の消化の減少は、スリーブ200が胆液および膵液と糜粥との混合を、糜粥がスリーブを出るまで遅らせることによって生じる。食物への欲求の減少は、スリーブ202が十二指腸からのホルモンの放出を阻害するために生じる。
【0040】
胃からの糜粥がスリーブを通過したのち、スリーブはきわめて薄くて柔らかくなり、スリーブが腸の内壁に沿った形状になる。スリーブが腸壁に沿わずに腸壁から離れて垂れ下がり、膵液が十二指腸乳頭を通って十二指腸に、妨げられることなく流れることができる。腸を通って糜粥を前進させるため、腸管の通常の蠕動が使用される。
【0041】
図6は、図2に示した胃腸内埋込装置200内で、収縮可能な自己拡張型ステント600の拡張したときの斜視図である。ステント600は、編み合わされておらず、収縮可能であり、かつ自己拡張性を有し、埋込装置200の内視鏡的な挿入および取り出しを可能にしている。ステント600は、自己拡張性を確保しつつ容易に収縮できるよう、開放空間パターンを構成する複数の平坦なストラット602を備えている。この開放空間パターンによって、内視鏡的な送入および取出しのため、カテーテル内に収縮可能である。ストラット602は、ニチノール(Nitinol)またはMP35Nなど、熱処理されたばね鋼から製作することができる。
【0042】
図に示した実施形態においては、ステントの長さLは約1.5インチであり、直径Dは約1インチである。ストラット602は平坦であって、幅が約0.010インチであり、厚さが約0.004〜0.010インチである。このステントは、管状の素材から、レーザ切断後、引き延ばしおよび熱処理によって形成でき、あるいは当業者には公知の他の方法で形成することもできる。
【0043】
別の実施形態では、ストラット602は個別に形成することができ、ストラットの交点を溶接し、あるいは当業者には公知の他の手段によって固定することができる。外観上、ストラットは、ステントの周囲を巡る部位604を形成している。各部位は一連の三角形を有しており、三角形のそれぞれは、1つの遠位側ストラット接続部606および2つの近位側ストラット接続部608、610によって形成されている。このステントについて、拡張時の直径に対する収縮時の直径の比は、約1:4である。
【0044】
拡張されたとき、分岐するストラットの部位間の角度αは約45〜50°であり、ステントの直径は約1インチである。圧縮されたとき、分岐するストラットの部位間の角度βは約5〜6°となり、ステントの直径を約0.21インチにまで減じて、内視鏡的な送入および取り出しを可能にする。ストラットの弾性が、このような圧縮を可能にする。半径方向の圧縮が解放されたとき、ストラットの弾性がステントを直径Dに拡張する。ステントは、弾性回復力が最小の応力を求めるため、所望の直径をとる。
【0045】
ステント600の近位端においては、胃102の幽門部の筋肉に固定するため、ストラットの端部が細長く、針状突起物612を備えるような形状とされている。
【0046】
図7は、図6に示したステント600についての、圧縮された状態の斜視図である。ステント600は、分岐するストラットの部位間の角度βが約5〜6°になり、ステント600の直径Aが約0.21インチに減少するまで圧縮され、内視鏡的な送入および取り出しを可能にする。ステントの近位端の針状突起物704は延長して、ステントを幽門筋に固定する形状とすることができる。
【0047】
図8は、別の実施形態における圧縮された状態のステント800の斜視図である。ステント800の近位端にあるペアの針状突起物802は延長して、対向する針状突起物を備える形状とし、ステント800を幽門の筋肉に固定可能にできる。
【0048】
図9は、図8に示した圧縮された状態のステント800の斜視図であり、ストラットの端部902、900は、対向する針状突起物904、906を備えるように曲げられている。針状突起物904、906は幽門の筋肉と係合して、胃腸内埋込装置を胃の幽門部に固定する。図9に示すように、ストラットの端部900、902は、ステント800の外表面から反対向きに突き出している。これらは、相互に直角であってもよい。対向するストラット端900、902のそれぞれの端部の針状突起物904、906は、ステントを固定するために幽門筋に埋め込まれる。突き出している対向するストラット端900、902の端部の針状突起物904、906は、ステント800の両方向への移動を防止し、すなわち、ステント800の胃の方向への動きを防止し、十二指腸を通って下流に向かうステント800の動きを防止する。
【0049】
図10は、図8に示したステント800について、拡張した状態の斜視図である。図9に関連して述べたとおり、ステント800が拡張されたとき、対向するストラット端904、906が幽門の筋肉に係合する。この係合位置において、針状突起物904、906はステント800の縦軸から半径方向外側に広がり、針状突起物の先端が組織と接触して係合する。
【0050】
図11は、図1に示した胃腸用装置1100を示しており、座屈防止機構1102を備えている。柔軟であって回転しない座屈防止機構1102がスリーブ202に取り付けられ、ステントの遠位端の下流からスリーブ202の遠位端まで、スリーブの長さLに沿って延びている。図示の実施形態においては、座屈防止機構1102は、可撓スリーブの外側層の外表面に取り付けられたガイドワイヤ機構である。ガイドワイヤ機構は、当業者には公知である。ガイドワイヤ機構の第1の近位端1104が、ステントの下流側に取り付けられ、ガイドワイヤ機構の第2の遠位端1106が、可撓スリーブの遠位端に取り付けられている。ガイドワイヤの直径は、約0.010インチ〜0.016インチの範囲である。
【0051】
胃腸内埋込装置200は、内視鏡的に配置されるように設計されている。図12は、胃腸内埋込装置を送入するためのカテーテル・システム1200の一部についての斜視図である。このカテーテル・システムはガイドワイヤ1212に追従して、胃の幽門部に向かって食道および胃を通過する。ガイドワイヤ1212は、カテーテル・システム1200の近位端1208において第1の内側管腔に進入し、カテーテル・システム1200の遠位端1222において第1の内側管腔から出る。
【0052】
カテーテル・システム1200は、ステント208を収縮した形態で収容する外側シース1202、外側シース1202を引き戻すフランジ1216、およびステントが外側シース1202が解放された後に可撓スリーブ202の近位端からスリーブ保持用ワイヤ1210を解放するためのスリーブ保持用ワイヤ解放機構1224を備えている。
【0053】
図12に関連して説明したとおり、胃腸内埋込装置の遠位端は、十二指腸および空腸を通る可撓スリーブ202を含んでいる。スリーブ保持用ワイヤ1210は、第2の内側管腔を通って移動して第2の内側管腔を出て、スリーブ202の遠位端を内側シース1226に固定する。スリーブ保持用ワイヤ1210は、胃腸内埋込装置が胃の幽門部に配置された後にスリーブ保持用ワイヤ1210を解放するため、スリーブ保持用ワイヤ解放機構1224に接続されている。この解放機構1224については、図16Bに関連して後で説明する。
【0054】
スリーブ202は、内側シース1226の外側に一時的に固定され、胃腸内埋込装置を適切に配置し、次いで解放することができる。図示のとおり、スリーブ202は、デッドボルト機構1206を使用し、スリーブ保持用ワイヤ1210によって固定される。曲がりくねった人体の通路に適合して解放を容易にするため、スリーブ保持用ワイヤ1210にはテフロンなどの非粘着性被覆を施すことが好ましい。スリーブ保持用ワイヤ1210は、カテーテル・システム1200の解放機構1224からデッドボルト機構1206まで、第2の内側管腔を通って延びている。デッドボルト機構1206については、図14Aに関連して後で説明する。スリーブ保持用ワイヤ1210は、スリーブを所定の位置に保持している。収縮されたスリーブの遠位端が、スリーブ保持用ワイヤ1210をカテーテルの近位端1208から後方に引くことにより、解放機構1224によって解放される。
【0055】
図2に関連して説明したとおり、胃腸内埋込装置の近位部分は、被覆されたステントを備えている。この被覆されたステントは、十二指腸には進入せず、したがって胃幽門部に残るため、スリーブよりも剛性である。胃腸内埋込装置のステントは収縮され、フランジ1216と外側シース1202の近位端1208の間において、外側シース1202内の外側管腔内に収容される。ステントは、外側シース1202によって、収縮された状態で支持される。カテーテル1200が、食道を通って胃の幽門部まで、消化器系に挿入される。外側シース1202の近位端が胃の中に位置し、位置決めリング1240を使用することによって幽門に位置する。外側シース1202を配置した後、フランジ1216をカテーテル・システム1200の近位端に向かって引くことによって、ステントがカテーテルの外側管腔から引き込まれる。解放後、ステントは自身の弾性回復力によって自己拡張し、胃幽門部において胃の筋肉の固定位置に係合する。
【0056】
図13は、図12の線E−Eに沿って切断した内側軸1226の断面図である。スリーブ保持用ワイヤ1210は、内側シース1226の第2の内側管腔1314を通過する。スリーブ保持用ワイヤ1210は、図14Aの1304にて第2の内側管腔1314から出て、収縮されたスリーブ202に通されている。スリーブ保持用ワイヤ1210は、1302(図14A)において第2の内側管腔1314に再度進入している。ガイドワイヤ1212は、第1の内側管腔1310を通過している。
【0057】
図14Aは、図12に示したデッドボルト機構1206の拡大斜視図である。スリーブ202は、送入のために折り重ねられている。スリーブは、内側シース1226の周囲を囲み、内側シース1226上に束ねられている。スリーブは、スリーブ保持用ワイヤ1210をスリーブ202の折り重ね部分を通過して通すことによって、内側シース1226の周囲で折り重ね部分位置に保持される。スリーブ保持用ワイヤ1210は、開口1304を通って第2の内側管腔1314から出て、1304においてスリーブ202の折り重ね部分を貫通している。スリーブ202の折り重ね部分を通過してスリーブ保持用ワイヤ1210を通すことにより、スリーブ202の遠位端に複数の小さな孔が生じる。これらの孔は、材料の裂けを防止するため、シリコンまたはウレタンで補強される。スリーブ保持用ワイヤ1210は、第2の孔1302を通って第2の内側管腔に再び進入し、第2の内側管腔内を第2の内側管腔の遠位端に向かってに充分な距離だけ進入し、第2の内側管
腔の引き抜き力に耐える。
【0058】
図14Bは、図14Aに示したデッドボルト機構1206の断面図であり、スリーブを貫通して通されたスリーブ保持用ワイヤ1210が示されている。スリーブ保持用ワイヤ1210は、1306において第2の内側管腔から出て、1304においてスリーブ202の折り重ね部分を貫通している。スリーブ保持用ワイヤ1210は、第2の孔1302において第2の内側管腔に再度進入している。
【0059】
図15は、図12に示したカテーテル・システム1200の一部分の断面図であり、ステント208が収縮されて外側シース1202の内側に収容されて示されている。ステント208は、前もって圧縮され、収縮された形態でカテーテルの外側シース1202の内側に保持されている。外側シース1202はフランジ1216によってカテーテル・システム1200の近位端に向かって引き戻されることで、自己拡張するステント208を解放する。ステントは、それ自体の弾性回復力により半径方向に拡張する。ガイドワイヤ1212は内側シース1226の第1の内側管腔を通って案内されており、スリーブ保持用ワイヤ1210は第2の内側管腔を通って案内されている。内側シースは、ガイドワイヤが通過する第1の内側管腔、およびスリーブ保持用ワイヤが通過する第2の内側管腔を備えている。
【0060】
図16A〜Cは、胃腸内埋込装置の送入方法を示している。図16Aは、カテーテル・システム1200の平面図であり、収縮されたステントが胃腸内埋込装置の外側シース1202の内側に収容されて示されている。図12に関連して説明したとおり、ステント208が外側シースの内側に収容され、スリーブ202の遠位端が、スリーブ保持用ワイヤ1210によって内側シースの外側に固定されている。
【0061】
図16Bは、カテーテル・システム1200の平面図であって、ステントが外側シースから解放された後の胃腸内埋込装置を示している。外側シース1202をステントから引き戻すため、フランジ1216はカテーテル・システム1200の近位端に向かって引き戻されており、ステント208は自己拡張により拡張している。スリーブ保持用ワイヤ1210はスリーブ202の遠位端を保持している。
【0062】
所定の位置に置かれると、スリーブ保持用ワイヤ1210を取り去ることができる。図12に関連してすでに述べたように、スリーブ保持用ワイヤ1210は係止機構1224に接続されている。係止機構1224のハンドル1600が、スリーブ保持用ワイヤ1210をデッドボルト機構1206から引き出すための旋回機構として作用する。胃腸内埋込装置の遠位端は、ハンドル1600を時計方向1604に動かすことによって解放される。ハンドル1600が矢印方向1604に動かされるとき、スリーブの折り重ね部分を貫通して通されているスリーブ保持用ワイヤ1210は、第2の内側管腔1314を通って引き戻され、胃腸内埋込装置の遠位端においてスリーブから外れる。スリーブ保持用ワイヤ1210は、胃腸内埋込装置の遠位端から、第2の内側管腔1314を通って延びている。このワイヤは、カテーテルの近位端においてハンドル1600に接続されている。
【0063】
図16Cは、カテーテル・システム1200の平面図であって、スリーブ保持用ワイヤが解除された後の拡張された状態の胃腸内埋込装置を示している。ハンドル1600が時計方向に動かされ、スリーブ保持用ワイヤ1210が第2の内側管腔1314を通って引き戻されて、スリーブ202の遠位端が解放されている。
【0064】
図17は、図16に示したカテーテル・システムの別の実施形態の斜視図である。このカテーテルは、カテーテルを、消化管を通して胃幽門部に案内するため、ボール1800を内側シース1226の遠位端1222に接続して備えている。このボール1800は充
分に小さく、これにより、胃腸内埋込装置が送入され、ステントが拡張され、スリーブ保持用ワイヤ1210が解放された後に、胃腸内埋込装置を通って引き戻すことができる。スリーブは、均一に折り重ねられて示されている。しかし、スリーブを必ずしも均一に折り重ねる必要はない。
【0065】
図18は、より長い可撓スリーブを送入するために折り返されているカテーテル・システム1900を示している。胃腸内埋込装置200は、ステント・スリーブ・アンカー1901および取り付けられたスリーブ1902が人体に送入された状態で示されている。したがって、先に説明した送入用カテーテルは、取り除かれている。バルーン・カテーテル1906がステント・スリーブ・アンカー1901に導入され、バルーン1908はステント1901の管腔を密閉するように膨らまされている。スリーブ1902は内側に折り返され、スリーブの端部を密閉するため弾性バンド1912が使用されている。次いで、バルーン・カテーテル軸1906を通じてスリーブ管腔1910に流体が注入され、管腔を満たして圧力を加える。この流体の圧力を利用して、内側スリーブを遠位方向1904に押す。スリーブ1902が遠位方向に完全に展開されたとき、弾性バンド1912は、スリーブ1902の閉じられている端部から脱落し、腸内を遠位方向に通過して排泄される。この機構によれば、送入装置の長さの2倍の長さのスリーブを展開することができる。これは、ガイドワイヤでは腸の遠位部分にアクセスすることが困難であるときに必要とされる。この折り返しのカテーテル・システムによれば、図12に関して説明した送入カテーテルのみを使用して可能なものよりも、より長い長さのスリーブを送入することができる。
【0066】
図19は、胃腸内埋込装置200を消化管から取り除くための回収装置2000の斜視図である。すでに述べたとおり、ステント208の外表面は、細胞の成長を防止してステント208の容易な取り出しを可能にする材料で覆われている。回収装置2000は、内側シース2004および外側シース2006を備えている。複数のフィンガ2002が、内側シース2004の近位端から延びている。このフィンガ2002は、胃腸用装置の外表面と係合する。内側シース2004がフィンガに被さるように下流に移動すると、フィンガ2002は半径方向内側に引かれて、ステントの近位側の直径を減少させ、収縮された装置を外側シース2006内に引き込む。
【0067】
図20は、ステント208と係合した状態の回収装置2000の斜視図である。回収装置のフィンガ2002は、ステント208の周囲に位置している。内側シース2004がフィンガ2002に被さるように押されたとき、フィンガはステント208の近位端を半径方向内側に引き込み、ステント208の近位端が収縮される。ステント208が充分に収縮され、近位側のステント直径が外側シース2006の直径よりも小さくなった後、ステントが外側シース2006の内側に引き込まれる。このようにして、回収装置2000を胃および食道を通過して引くことによって、胃腸内埋込装置の全体を患者から容易に取り去ることができる。
【0068】
図21は、胃腸内埋込装置2200の別の実施形態の斜視図である。この胃腸内埋込装置2200は、スリーブ202および固定用リング2204を備えている。固定用リング2204の遠位端が、スリーブ202の近位端に結合されている。この装置を図24に示すアンカーを使用して幽門筋に固定するため、複数の小穴2206がリングの近位端の周辺周りに分布している。固定用リング2204はシリコンなどの柔軟な材料で作られ、リング2204を収縮することにより、内視鏡的な挿入および取り出しを可能にしている。
【0069】
この固定リング2204は幽門を開いた状態に保つものではない。しかし、別の実施形態においては、固定用リング2204を充分な長さおよび直径を有するステントに結合することにより、図2に関連して説明したとおり、幽門を開いた状態に保つことができる。
固定用リング2204が装置を固定し、ステントが幽門を開いた状態に保つ。
【0070】
図22は、図21に示した固定用リング2204の拡張した状態の斜視図である。スリーブは、直径が0.8インチまたはスリーブの直径とほぼ同一の固定用リングの遠位端の外表面2300に結合される。固定用リング2204は装置を所定の位置に固定するための少なくとも4つの小穴を備る。リングの最大外径は、約1インチである。別の実施形態においては、4つよりも多くの小穴を設けることができる。
【0071】
図23は、図21に示した固定用リング2204が挿入および取り出しのために収縮された状態の斜視図である。図21に示した環状のリング2204は圧縮されて長円形になり、これにより、固定用リングを送入するためのカテーテルの管腔内に挿入できるようになる。
【0072】
図24は、図23に示した収縮可能なリングを幽門口の筋肉組織に固定するアンカー2500の斜視図である。アンカー2500は、可撓軸2502で第2のピン2506に接続されたアンカー・ピン2504を備えている。アンカー・ピン2504は、アンカー2500を組織に係止する成型針状突起物2508を備えている。アンカー2500は、収縮可能なリングが幽門口に配置された後に送入される。アンカーは、アンカー・ピン2504の針状突起物部分が組織に向かって案内された状態で、アンカー・ピン2504が対応する小穴を通って導かれるよう案内される。針状突起物2508が組織内に係止された後、第2のピン2506が胃腸内埋込装置内に位置する一方で、アンカー・ピン2504の針状突起物部分2508は、幽門筋組織内に位置する。胃腸内埋込装置を体内から取り出すため、アンカー2500の可撓軸2502が切断される。
【0073】
図25Aは、胃腸内埋込装置が幽門口に配置された後に、アンカー2500を送入する送入システム2600の斜視図である。アンカー2500は、ただ1つの管腔筒2600を有するカテーテルの遠位端に装填されている。送入装置の中空の遠位端は、幽門筋に貫入するように作られた鋭い針である。別の実施形態においては、内視鏡的方法による小穴へのアクセスを改善するため、送入装置の遠位端を円弧状に形成することができる。カテーテル2600は、アンカー2500を解放するための押出器2604を備えている。押出器2604は縦方向2602に移動して、アンカー2500を管腔から解放する。
【0074】
図25Bは、図25Aに示した送入システム2600の平面図である。図25Cは、図25Bの線B−Bに沿って切断したカテーテル2600の遠位端の断面図である。図24に関連して説明したとおり、アンカー2500は、可撓軸2502で接続されたピン2504、2506を備えている。アンカー2500は、カテーテル2600の遠位端において管腔内に装填されている。アンカー・ピン2504はチューブ2600の遠位端に位置し、第2のピン2506は近位端に位置する。アンカー・ピン2504の針状突起物2508は、筋肉組織内で解放されたときに組織と係合するよう、チューブ2600の近位端を向いている。このカテーテルは幽門口内に位置するリングの中心に進められる。次いで、鋭い端部2510が小穴を通過して筋肉組織内に押し込まれる。押出器2604を縦方向2602に押して、アンカーの遠位側2504を解放する。アンカーの遠位側が解放されると、送入システムが引き戻され、可撓軸が小穴を通過した状態でアンカーの近位部分が送入システムの外に引き出され、アンカーの近位部分は装置の内側に残る。図22に示したリングの実施形態においては、4つのアンカー2500を送入して、4つの小穴によって胃腸内埋込装置を固定する。
【0075】
図25Dは、アンカー2500を組織2512に送入するために小穴2206を通って挿入される針の尖端2510を示した等角投影図である。カテーテルの遠位端は、小穴2206へのアクセスを改善するため円弧状2520に形成されている。カテーテルの尖端
2510は、小穴2206を通って組織2512に挿入されている。アンカーのアンカー・ピン2504は、管腔から組織2512に押し出されている。
【0076】
図25Eは、送入後に組織2512と係合している針状突起物2508を示した等角投影図である。カテーテルは、アンカー・ピン2504を組織2512と係合した状態に維持しながら、小穴2206から取り外されている。
【0077】
図26A〜Eは係止機構の別の実施形態を示しており、この係止機構は、胃腸内埋込装置の送入の間、スリーブ202の遠位端を所定の位置に保持する。可動部材である捕捉ワイヤ2656が、カテーテルの管腔の1つを通過して遠位端に延びている。遠位端において、捕捉ワイヤ2656の端部がループを描いて戻り、カテーテル内に固定または取り付けられている。スリーブ202の折り重ね部分がこの捕捉ループを通して進められる。捕捉ハンドル2664は捕捉ワイヤ2656を引っ張り、および解放することにより、スリーブ202の遠位端を係止および解放する。この送入システムは、ステントを収縮した状態に保持している引き紐を解放するための引張り栓2666を備えている。
【0078】
図26Bは、図26Aの内側シース2650を線C−Cに沿って切断した断面図である。内側シースは2つの管腔2654、2656を有しており、直径は約0.078インチである。第1の管腔2654は、内側シースを通ってガイドワイヤを通過させるためのものであり、直径は約0.04インチである。第2の管腔2656は、内側シースを通って捕捉ワイヤを通過させるためのものであり、直径は約0.02インチである。捕捉ワイヤの端部2658は、内側シースの内部に固定されている。
【0079】
図26Cは、図26Aの外側シース2600を線D−Dに沿って切断した断面図であり、外側シースの内側に内側シースが示されている。外側シースの内径は約0.1インチであり、外径は約0.143インチである。外側シースの内側の開放空間を、外側シースを通って引き紐を通過させるのに使用できる。
【0080】
図26Dは、カテーテルの遠位端の断面図であり、捕捉ワイヤ2656がスリーブの遠位端を捉えた状態で示されている。スリーブ202の遠位端は、捕捉ワイヤ2656によって形成されたループでスリーブの遠位端を引っ張ることで、捕捉ワイヤ2656に捉えられている。
【0081】
図26Eは、カテーテルの遠位端の断面図であり、捕捉係止機構が示されている。スリーブの遠位端は捕捉ワイヤ2656を送入システムの近位端に向かって縦方向2664に引くことによって係止され、収縮されたスリーブの折り重ね部分を内側軸に捕捉する。胃腸内埋込装置が体内の適切な位置に配置された後、捕捉ワイヤは送入システムの遠位端に向かって縦方向2662に進められる。これにより、捕捉ワイヤ2656が開き、スリーブ202が解放される。
【0082】
図27は、胃腸内埋込装置の遠位部の斜視図であり、表面加工部分2700を有している。スリーブの遠位端の表面加工を追加することにより、蠕動の作用によってスリーブが胃に向かって近位方向に進まずに、腸内で引っ張られた状態に保つことを保証できる。スリーブの遠位端において、方向性を有する表面加工2700を付加することができる。表面加工部分2700は、スリーブの素材中に成型することができ、あるいは接着剤または熱溶着法によって付加することができる。表面加工部分の材料は、近位方向に移動する蠕動波によってスリーブに作用する力が、遠位方向への蠕動波によってスリーブに作用する力よりも小さくなるよう、近位方向に向けられた小繊維を含んでいる。
【0083】
この胃腸内埋込装置は、他の減量手段および行動様式の変更努力が効果を発揮しない場
面について、新規の代替方法を提供する。この胃腸内埋込装置は内視鏡的に導入されるため、挿入時のリスクが外科的手術に比べて低減される。さらに、この施術が完全に可逆であることが、この方法を体重増につながる行動様式を変更することに必死の患者にとって理想的な解決策にしている。
【0084】
体内に挿入されたとき、この胃腸内埋込装置は、ルーY型(Roux−en−Y)術による十二指腸のバイパスに類似する。この埋込装置は、酵素と食物の混合を遅らせてカロリーの吸収を少なくし、糖分の多い食事を摂取したときにダンピング症候群を生じさせることによって、ルーY型術により生成されるフィードバックを提供する。幽門にステントを挿入して幽門を開いた状態に保つことにより、胃がすみやかに空になり、さらにすべての食物が十二指腸をバイパスして、迅速に空腸まで通過する。この埋込装置は、侵襲が最小限であって可逆であるため、ルーY型術の改良型であるといえる。大幅な減量が達成されない超肥満の治療においては、患者を吸収不良の状態にさらに近づけるため、ステントの下流の埋込装置の長さをさらに増やすことができる。
【0085】
胃腸内埋込装置の設置は、効果的に、摂取された食物が通常通りには消化されないようにし、通常放出される消化管ホルモンを変化させる。これらのホルモンは、空腹および消化に影響を与えるいくつかの生理的変化を引き起こす。消化管ホルモンには、ペプチドYY(PYY)、コレシストキニン(CCK)、およびグレリンが含まれる。
【0086】
消化不足の食物が空腸または小腸の遠位部分に進入すると、ペプチドYYすなわちPYYと呼ばれるホルモンが分泌される。このホルモンは、食欲に直接の作用を有し、分泌時に食欲を減退させることが明らかになっている。空腸に未消化の食物が存在することは、食物が過剰に摂取されたことを示す。したがって、この胃腸内埋込装置は、スリーブの長さに応じて、未消化または途中まで消化された食物が腸管の遠位部分に溜まるように促進できる。この結果、腸内へのスリーブの配置によって、未消化の食品の空腸への送入が促進され、PYYの分泌を促進して人間の食欲を減退させる。
【0087】
ホルモンのコレシストキニン(CCK)は、食物が十二指腸に接触したときに分泌される。したがって、十二指腸にスリーブを配置することによってCCKの分泌が少なくなり、胆液の分泌が少なくなって、食物の消化の低減がもたらされる。
【0088】
食物が十二指腸に接触すると、いくらかのグレリンが分泌される。グレリンは、食欲の制御における一要因であることが判明している。この埋込装置は、十二指腸をバイパスすることによってグレリンの分泌を少なくし、これによって食欲を減退させる。
【0089】
2型糖尿病は、患者が自身の生成するインシュリンを適切に使用できない場合に生じる肥満の疾患である。通常は、患者が充分なインシュリンを生成できないのではなく、生成されたインシュリンを患者の体が効果的に使用することができない。2型糖尿病の特に危険な結果は、食事後の血糖値の急上昇である。これは、摂食後過血糖と呼ばれている。この血糖の急上昇は、心血管および微小血管に障害を引き起こす。摂食後過血糖を抑制するのに使用される薬剤の一種は、α−グルコシダーゼ抑制剤である。それらは、炭水化物の糖への分解および吸収を減らすことによって機能する。スリーブは、胆液を減らし、通常は十二指腸で容易に吸収されるが空腸および回腸ではあまり吸収されない傾向にある炭水化物について、分解および吸収を遅らせる同様の機能を有している。したがって、炭水化物の消化を遅らせるために腸の近位部分にスリーブを配置することで、摂食後過血糖が軽減され、2型糖尿病を抑制することができる。
【0090】
この胃腸内埋込装置は、十二指腸をバイパスすることによって2型糖尿病の症状を軽減できる。胃のバイパス手術の後、患者は一般に、2型糖尿病の完全な反転を経験する。こ
の注目すべき影響の正確なメカニズムには未だ知られていないが、この事例については高い割合で臨床結果が報告されている。胃のバイパス後の2型糖尿病の反転については、ルビーノ(Rubino)らの「2型糖尿病の治療における手術の可能性(Potential of Surgery for Curing Type 2 Diabetes
Mellitus)」)に記載されており、その全内容は参照により本明細書に引用したものとする。胃腸内埋込装置は、これと同等の阻害効果を十二指腸でのプロセスにもたらすため、手術による障害なく同様の効果が得られる。肥満ではないが2型糖尿病の患者には、変更された胃腸内埋込装置が挿入される。この胃腸内埋込装置は、吸収を阻害することなく膵臓のプロセスおよび受容体を抑制するのに必要な効果を提供する。
【0091】
糖尿病を治療する胃腸内埋込装置の実施形態においては、ステントの長さを、幽門が通常どおり動作できるように選択できる。スリーブの長さは、十二指腸のバイパスを模擬するために短くできる。スリーブは、十二指腸提筋の直ぐ下流まで延びるが、さらに空腸まで延びることはなく、したがって空腸における吸収が可能である。
【0092】
胃腸内埋込装置を胃または十二指腸内に一時的に配置して、組織の治癒ができる。例えば、スリーブを一時的に配置することにより、胃および十二指腸の潰瘍の治癒を促進できる。潰瘍は、胃および十二指腸の組織に形成される病変である。それらが出血する場合、それらは通常は、電気外科によって焼灼される。潰瘍が治癒するには、それらが酸性の環境から保護されなければならない。スリーブを、例えば1〜2週間程度の短い期間で配置することで、酸性の環境が除かれて組織の治癒が可能になり、胃および十二指腸における潰瘍の治癒が促進される。
【0093】
腸管の疾患部位を除去するため、腸の吻合が実行される。ホチキス止めや縫合による接続は、治癒するまでの間の漏れを生じやすい。この胃腸内埋込装置の腸管内への一時的設置を利用して、この領域を糜粥から保護し漏れを最小にすることによって、小腸の吻合の治癒を促進することができる。
【0094】
この胃腸内埋込装置を利用して、薬剤、ホルモン、および他の作用物質を腸に送達できる。物質を送達するため、スリーブは当該物質で被覆され、あるいは当該物質によって含浸される。
【0095】
最も一般的な2つの腸管疾患は、クローン病および潰瘍性大腸炎である。クローン病は、消化管のあらゆる部分で生じる可能性がある。この疾患の正確な原因は明らかでないが、腸の内壁の慢性の炎症につながる患者の異常な免疫反応であると思われている。
【0096】
クローン病は、炎症を抑える目的の薬品を用いて治療される。それらには、アミノサリチル酸、コルチコステロイド、アザチオプリンおよびメトトレキサートなどの免疫抑制剤、ならびにアンピシリンおよびシプロを含む抗生物質が含まれる。これらの薬品は、全身に投与された場合には副作用を生じる。薬品は、実際に局所的にのみ必要とされているため、組織に直接送達されるならば、使用する薬品の量をより少なくすることができる。
【0097】
腸用スリーブは、これらの薬品を含浸させたポリマーで被覆される。被覆には、ポリウレタン、シリコン、およびハイドロマーのような親水性ポリマーが含まれる。これらの被覆は、浸漬技法または噴霧技法によって、スリーブの素材に付着させることができる。ePTFEなどの多孔性のスリーブ素材が使用される場合は、薬品で満たされたポリマーを、スリーブ内の内圧を利用して孔内に押し込むことができる。これにより、利用できる薬品の量を増やすことができる。
【0098】
スリーブの素材は、薬品を直接壁面に付着できるポリマーであってもよい。このような
ポリマーには、エチレンビニルアセテート(EVA)およびポリウレタンが含まれる。この場合、壁面には単なる被覆よりも多い素材が存在するため、被覆に比べてより多くの量の薬品を付着でき、より長い時間の薬品の放出を実現できる。薬品をポリマー中に混合し、次いで、通常通りの押出し成形をして、スリーブを製造するためのチューブまたはシートを形成する。
【0099】
スリーブは、食道を通して十二指腸および空腸の近位部に配置される。スリーブが組織と接触したとき、被覆中の薬品が直接組織に放出される。さらに、スリーブは食道の粘膜への接触を阻害するように作用し、これにより、糜粥によって生じる刺激を少なくすることができる。薬品が素材から完全に溶出してしまうと、スリーブは取り除かれ、新しいスリーブが配置される。
【0100】
人間の食欲の制御は、ホルモンの相互作用の複雑な関数である。グレリン、ペプチドYY(PYY)、レプチン、グルカゴン様ペプチド1(GLA−1)、コレシストキニン(CCK)、およびインシュリンなどを含むいくつかのホルモンが、食欲の制御に関与している。これらのホルモンは、十二指腸内の食物の存在によって放出あるいは抑制される。例えば、PYYは、PYYの注入がラットおよび人間の両者において食物の摂取を減らすことが明らかになっているため、満腹ホルモンとして機能し、レプチンの減少は、空腹を刺激することが示されている。
【0101】
これらのホルモンの多くが放出される十二指腸に配置されたスリーブは、これらのホルモンによって含浸される。埋め込まれたとき、ホルモンがスリーブから周囲の組織に溶出し、種々の満腹機構を活性化させる。
【0102】
図28は、縮小可能な自己拡張型固定装置の別の実施形態を備える胃腸内埋込装置の斜視図である。胃腸内埋込装置2800は、スリーブ202と胃腸内埋込装置を幽門に固定する固定装置とを備えている。固定装置は、直径の相違する2つのリング2803、2802を備えている。一部分2806は、リング2803、2802を示すために切り取られている。リングは、熱処理されたばね鋼などの金属から作られている。1つの実施形態においては、リングはニチノールで作られている。
【0103】
リングは、互いに間隔を空けて位置し、スリーブ202で覆われている。近位側リング2803の遠位端はスリーブ202の近位端に結合されている。遠位側リング2802も、近位側リングの遠位側でスリーブに結合されている。両リングは、胃腸内埋込装置が体内に配置されたときに、近位側リングが胃の中に位置し、遠位側リングが十二指腸内に位置するよう、間隔を開けて位置している。
【0104】
近位側リング2803は、装置が遠位方向2805に十二指腸内に移動しないように作用する。遠位側リング2802は、近位方向2804への移動を止めるように作用する。それぞれのリングの直径は、さまざまであるが、近位側リングの直径が遠位側リングの直径よりも大きい。1つの実施形態においては、近位側リング2803の直径が約1.4インチ(35.6mm)であり、遠位側リング2802の直径が約1.0インチ(25.4mm)である。リングの直径は、人体に応じて決まる。近位側リング2803の直径は通常は直径が約1インチである幽門口よりも大きくなるように選択され、これにより、リングが幽門口を通過して腸内に引き込まれるのを防止している。遠位側リング2802の直径は、リングが十二指腸の直径よりも小さくなるように選択される。リング間の間隔は、幽門口の長さによって決まる。この間隔は、近位側リング2803が胃の中に位置するときに、遠位側リング2802が十二指腸内で幽門口の遠位端に位置するように選択される。さらに、リング間の間隔は、幽門を開いた状態に保つか否かを決定する。リング間の間隔が幽門の長さに等しいとき、幽門は開いた状態に保たれる。リング間の間隔が幽門の長
さよりも大であるとき、リング間のスリーブ素材が緩んだ状態にあり、幽門が通常どおりに動作することができる。
【0105】
図29は、図28に示した胃腸内埋込装置のリング2803のうちの1つについての平面図である。リング2803は、ワイヤ2906およびクリンプ・コネクタ2907を有している。リング2803を形成するため、ワイヤの両端2908、2909が、クリンプ・コネクタ2907によって接続されている。固定装置は、内視鏡的な送入を可能にするため、シース内に収縮可能である。
【0106】
ワイヤはニチノール素材で作られ、また熱処理されて、室温から体温までの温度範囲において超弾性状態を実現している。ワイヤ2906の直径は、約0.020インチ〜0.027インチである。ワイヤの直径は、体内の力によって収縮変形しない充分な半径方向の剛性を有するが、一方で送入装置内に収縮変形して収納できるように選択される。
【0107】
図30は、図28に示した胃腸内埋込装置の固定装置の斜視図であり、体内への送入のために送入チューブ3010内に収縮された状態にある。固定装置は、リング2803、2802のそれぞれを2つのU字形状に折り曲げてリングの直径および長さを小さくすることにより、リングが内視鏡的送入のため送入チューブ3010内に嵌まり込むようにし、かつリングを順に展開できるようにして、胃の中に送入される。
【0108】
送入チューブ3010は、約0.394インチ〜0.591インチ(10〜15mm)の直径を有し、長さは約2インチである。リング2803、2804は、送入チューブ3010内に嵌まり込み、かつニチノールの弾性限界を超えないように折り曲げられている。さらに、2つのU字からなる形状に折り曲げることによって、体内への送入のためにリング2802、2803を、送入チューブ3010から遠位方向2805に順に押し出すことができる。胃腸用装置を送入した後、送入チューブ3010は、胃を通って近位方向2804に体内から取り去られる。
【0109】
図31は、胃腸内埋込装置の斜視図であり、図30に示した送入チューブ3010からの遠位側リングの展開が示されている。図30に関連して説明したとおり、リング2803、2802は、2つのU字の形状に折り曲げられ、送入チューブ3010内に装填されている。ピストン3101および近位側の軸3102は送入チューブ3010に対して可動であり、送入チューブ3010が近位方向2804に引かれたとき、あるいは軸3102が遠位方向2805に押されたとき、まず遠位側リング2803が十二指腸内で展開され、次いで近位側リング2802が近位側で胃の中で展開される。
【0110】
図32は、遠位側リング2803の展開後および近位側リング2802の展開前についての胃腸内埋込装置の斜視図である。展開後、遠位側リング2803は自身の弾性力により広がり、十二指腸に位置する。次いで、スリーブ202のリング間の部分が、近位方向2804に引き出される。第2リングである近位側リング2802が解放されたとき、近位側リング2802は胃の中に位置する。
【0111】
図33は、別の実施形態の固定装置を備えた図28に示した胃腸内埋込装置の斜視図である。この固定装置は、直径の異なる2つのニチノール・リング3300、3302を備えており、ここではリングは、リングが捩れないように安定化耳形状部3304を備えた形状とされている。
【0112】
リング3300、3302はそれぞれ、すでに述べたとおりニチノール・ワイヤから作られている。リングはそれぞれ、リングの直径を超えて突き出したループ(安定化耳形状部)3304を有している。これらのループ3304は、組織への強い固定を実現し、特
に所定の位置におけるリングの回転を制限するのに役立つ。各リングにループを追加することによって、ワイヤの直径および/またはリングの直径を小さくすると同時に、同様の固定能力を維持できる。これは、固定される組織の損傷を少なくすることにもなる。ループ3304の数は、さまざまである。2、3、または4個のループを設けることができる。図示の実施形態においては、リングのそれぞれは4つのループを有する。胃腸内埋込装置は取り外し可能であるため、固定装置内への組織の成長は望ましくない。したがって、各ループ3304を、浸漬プロセスによりポリウレタンなどのポリマーで被覆し、開口を完全に覆う。
【0113】
図34は、図33に示した胃腸内埋込装置の斜視図である。各リングにあるループはスリーブの外表面を通って突き出て、組織を押し付け、胃腸内埋込装置を胃の幽門の領域に固定する。各リングのループではない部分は、スリーブによって包まれている。
【0114】
図35は、図28に示した固定リングのうちの1つの別の実施形態の斜視図である。図示の実施形態においては、リング3500は複数のワイヤから形成されている。この場合、2つのワイヤ・ループ3502、3504は緩やかに絡み合わされて、1つの固定リング3500を形成している。リングを複数のワイヤから構成することで、ワイヤの直径を小さくできる。その結果、リングをより小さい送入装置内に折り曲げることができ、さらに、展開時にリングを所定の位置に保つための組織に加える半径方向の力を、ワイヤが1本である実施形態と同じに保つことができる。ワイヤの直径をさらに小さくするため、別のワイヤを使用することもできる。組織への固定を強化するため、ワイヤ3502は、リング3500の直径を越えて突き出るループ3506を有する。
【0115】
図36は、さらに別の実施形態のアンカーを備えた胃腸内埋込装置の斜視図である。この装置は、直径の異なる2つのニチノール・リングを備えており、それらがリング2803、2802を安定させるための接続ロッド3600で一体に連結されている。接続ロッド3600は、リングの動きを制限することによってアンカーを安定させる。
【0116】
アンカーは、少なくとも1つの接続ロッド3600で緩やかに接続された近位側リング2803および遠位側リング2802で形成されている。各接続ロッド3600の端部にはループ3602、3604が設けられ、ループ3602、3604はそれぞれ、リング2803および2802の対応する1つと係合している。スリーブ202はこのアセンブリ全体を包んでいる。
【0117】
図37は、図36に示したアンカーの斜視図であり、スリーブ202は省略されている。4つの相互接続バー3600が、リング2803、2802の直径周りを互いに離間して設けられている。相互接続バー3600は複数の機能を有する。第1に、アンカーが近位側リング2803を胃の中に、遠位側リング2803を十二指腸の中に位置させた体内の所定の位置にあるとき、相互接続バー3600は、ステントとして幽門を開くように機能する。第2に、相互接続バー3600は、リング2803、2802のそれぞれを安定させ、リングの相互の捩れまたは平行移動を制限するよう機能する。
【0118】
図38は、図37に示したアンカーの斜視図であり、体内に送入する送入チューブ3010内に折りたたまれた状態である。接続バー3600によって接続されたリング2803、2802は、2つのU字形状に折り曲げられ、送入チューブ3010内に位置している。図30に関連して説明したとおり、胃腸内埋込装置を送入した後、送入チューブ3010は、胃を通って近位方向2804に体内から取り除かれる。
【0119】
図39は、図37に示したアンカーの斜視図であり、図38に示した送入チューブ3010からの遠位側リング2803の展開が示されている。図31に関連して説明したとお
り、最初に遠位側リング2803が、幽門の遠位側の十二指腸の中に展開され、次いで近位側リング2802が、幽門の近位側の胃の中に展開される。
【0120】
図40Aは、図38に示した胃腸用装置の平面図であるが、追加の回転防止および係止の特徴を備えている。接続ロッド3600は、さらにループ延長部4000を備えて形成されている。それぞれの接続ロッド3600のループ延長部4000は、お互いの方向に曲げられている。これらのループ延長部4000は幽門の筋肉を押し付け、胃腸内埋込装置を胃の幽門部に固定し、また装置の直線運動を防止するのに役立つ。同様に、装置の回転も制限する。このループ延長部4000は、組織の成長を防止するためにウレタンで被覆される。
【0121】
図40Bは、図40Aに示したアンカーの斜視図であり、スリーブは省略されている。接続バー3600のループ延長部4000は、直線運動を防止するためにお互いの方向に曲げられる。接続バー3600の近位端のループ延長部は遠位方向に曲げられ、接続バーの遠位端のループ延長部は近位方向に曲げられている。
【0122】
図41は、図28に示した胃腸内埋込装置の別の実施形態の平面図である。胃腸内埋込装置は、図28に関連して説明した実施形態に関して説明したとおり、直径の異なる2つのニチノール・リング2802、2803を備えている。胃腸内埋込装置は、スリーブ素材202を内側に有しており、このスリーブ素材およびリングはポリウレタン4100などのポリマーによって外側を覆われている。
【0123】
図42Aは、胃腸内埋込装置を送入するための小型カテーテル・システム4250の一部分の斜視図である。この小型カテーテルは内側軸4200の遠位端に着脱可能なほぼ球形の部材4218を取り付けており、これにより、消化管を通って腸までのカテーテルの送入を容易にしている。胃腸内埋込装置が送入された後、球形の部材(ボール)4218が取り外され、突起物のなくなったカテーテルが、胃腸内埋込装置を通過して取り去られる。腸管の通常の蠕動を利用して、解放されたボールを、腸を通って移動させる。
【0124】
カテーテル・システム4250は、胃腸内埋込装置の収縮可能なアンカー部を収縮した形態で収容する外側シース4222を備えている。収縮可能な固定装置については、図7、23、および30に関連してすでに説明した。スリーブ202は、内側シース4200の外側に一時的に固定され、胃腸内埋込装置の適切な位置決めおよびその後の解放を可能にしている。
【0125】
図42Bは、図42Aの線42B−42Bに沿って切断したカテーテル・システムの内側軸4200の断面図である。1つの実施形態においては、内側軸4200はペバックス(Pebax)からなる3管腔の押出し材であって、0.080インチの外径を有し、円形の内側管腔4202、4204、4206は、それぞれ0.040インチ、0.020インチ、および0.020インチの直径を有している。この材料は、良好な熱可塑性および接合特性を備える材料から、小型を保ち、小さな最小曲げ半径、すなわち捩れなしで0.5インチを下回る曲げ半径を維持し、内側のガイドワイヤ線で補強されたときに良好な柱形強度を保ち、さらに低摩擦係数を維持するように選択される。
【0126】
第1の管腔4202は、腸内へのカテーテル導入においてカテーテル軸の剛性を向上させるガイドワイヤまたはマンドレル4226を、カテーテル軸を通すために使用される。さらに第1の管腔4202は流体を注入するのに使用され、これにより、胃腸内埋込装置が腸に送入された後に、スリーブ素材202を内側軸4200から離れるように持ち上げる。第2の管腔4204は、可動部材であるスリーブ保持ワイヤ4208を胃腸内埋込装置の遠位端に通すのに使用される。スリーブ保持ワイヤは、スリーブ202の遠位端を内
側軸4200の外側に保持するのに使用される。第3の管腔4206はカテーテルの先端に流体を注入するために使用され、カテーテル・システム4250を人体から取り去る前に、スリーブ202の遠位端を内側軸4200から持ち上げる。
【0127】
図42Aに戻ると、ガイドワイヤ4226は第1の管腔4202に接続された金具4210を通過している。スリーブ202は、カテーテルの内側軸4200上に同軸に位置している。スリーブ202は、その遠位端において、スリーブ保持用ワイヤ4208によって内側軸4200に保持されている。スリーブ保持用ワイヤ4208は、送入の際にスリーブ202を所定に位置に保つ。
【0128】
近位側の金具4220が第2の管腔に接続され、近位側の金具4212が第3の管腔4206に接続されている。胃腸内埋込装置の送入の際、第1の管腔4202は、0.035インチのテフロン被覆ガイドワイヤ4226で満たされ、このガイドワイヤ4226によって、適度な推進の可能な柱形強度が、カテーテルの内側軸4200の可撓性を損なうことなく与えられる。直径0.015インチのテフロン被覆鋼製ワイヤが第2の管腔4204に配置され、スリーブの遠位側の保持用ワイヤとして機能する。第2の管腔4204は、カテーテル軸4200の遠位端の近傍に、2つの横穴4214、4216を有している。スリーブ遠位側保持用ワイヤ4208は、近位側の横穴4214を通って第2の管腔4204から出、カテーテル軸の遠位側の外径に密に巻き付いているスリーブ素材202を通って送られ、遠位側の横穴4216を通って第2の管腔4204に再度進入している。これにより、解放の準備ができるまでスリーブ202を軸4200に保持するデッドボルト式の係止が、図14Aおよび図14Bに示した2管腔カテーテル軸に関して説明したデッドボルト式の係止と同様に生み出される。
【0129】
軸の遠位端は剛体または膨張可能である球形の部材4218で終端され、非外傷性の先端を形成する。図示の実施形態においては、この球形の部材は、図17に関連して説明したボールと同様の剛体球である。ボールの直径は、図示の実施形態においては約0.5インチ(12.7mm)であるが、直径の範囲は約0.25インチ(6.4mm)〜約0.75インチ(19.2mm)である。膨張可能な球形部材の実施形態については、図50A〜50Bに関連して後で説明する。カテーテル軸の端部のボール4218は、ボール4218への張力を維持するスリーブ保持用ワイヤ4208によって軸4200に保持されているが、これについては図46に関連して後で説明する。
【0130】
収縮されたアンカー・アセンブリが、外側シース4222内に位置している。カテーテルの端部のボール4218は、カテーテルを引き戻すために解放される。解放機構がスリーブ保持用ワイヤを引っ張り、ボール端を解放し、スリーブの端部を解放する。次いで、アンカー・アセンブリが、すでに説明したとおり外側シースから解放される。
【0131】
カテーテルは、腸管へのアクセスが望まれるあらゆる時点で使用できる。例えば、カテーテルを使用して、内視鏡を腸内に通すことができる。このカテーテルは、迅速に腸を通り、ガイドワイヤを配置し、次いで配置されたガイドワイヤを内視鏡の進路として利用できる。
【0132】
図43〜45は、図42A〜42Bに関連して説明した小型カテーテルを使用した胃腸内埋込装置の送入のステップを示している。図43は、体内の消化管の一部分の断面図であり、胃鏡/案内チューブ・アセンブリの配置を示している。
【0133】
小腸への内視鏡的なアクセスは、半剛体であるチューブを胃、幽門および十二指腸近位部まで通過させ、腸管を好ましくは水である流体で膨張させ、次いで大きな非外傷性のボール端を備える細い可撓カテーテルを腸管を通過させることによって行なわれる。
【0134】
案内チューブ4300が、胃鏡4302の端部を覆って配置される。次いで、案内チューブ/胃鏡アセンブリが、患者の口を通って食道を下流に通り、胃102の中に配置される。次いで、アセンブリは、幽門108および十二指腸104まで通される。
【0135】
案内チューブ4300は、約0.63インチ(16mm)の内径、および約0.70インチ(18mm)の外径を有している。長さは約30インチ(76.2cm)であって、ウレタンなどの柔軟なポリマーで作られ、捩れの防止および推進性を与えるため、平ワイヤによる外皮を有している。案内チューブ4300の遠位端には、幽門108の損傷を最小限にするため、短い柔軟な端部を備えることができる。
【0136】
配置がなされると、遠位側で腸を膨張させるため、胃鏡4300の通路を通って流体が導入される。生理食塩水または水が好ましいが、空気または二酸化炭素(CO)を使用することもできる。長さ4フィートのスリーブを送入するため、約500〜1000ccの流体が導入される。スリーブが短いと、膨張させる腸の長さが短くなるため、必要とされる流体は少なくなる。流体が導入された後、胃鏡が案内チューブから取り除かれる。
【0137】
必要に応じて、胃鏡4302を案内チューブ4300から取り除き、バルーン・カテーテルを導入して流体を送入できる。バルーン・カテーテルは幽門に送入され、約0.394インチ〜0.591インチ(10〜15mm)まで膨らまされて、腸を密閉する。バルーン・カテーテルについては、図18に関連してすでに説明した。
【0138】
図44は、体内の消化管の一部分の断面図であり、案内チューブ4300の遠位部から延びるカテーテル・アセンブリの遠位部分を示している。胃鏡4302が案内チューブから取り去られた後、カテーテル・アセンブリ4250は、案内チューブ4300を通って進められる。カテーテル・アセンブリ4250の端部のボール4218により、カテーテルは非外傷性の先端を有して、腸の輪郭に従って進む。
【0139】
図45は、図28の胃腸内埋込装置が送入された後の体内の消化管の一部分の断面図である。胃腸内埋込装置のアンカーが、幽門108に位置する送入用チューブ4222の内側に位置している。カテーテルが完全に挿入されたとき、カテーテル4200の近位端のマーカが、案内チューブ4300の対応するマーカと整列する。胃腸内埋込装置が所定の位置に置かれると、スリーブ202を所定の位置に保持し、さらにボール4218をカテーテルの遠位端に保持しているカテーテル4200内のスリーブ保持用ワイヤ4208を、図16A〜16Cに示したカテーテル・システムに関して説明したとおりに取り除くことができる。スリーブ保持用ワイヤが遠位方向に引き戻されると、ボール4218およびスリーブ4500の遠位端の両者が解放される。次いで、スリーブ202を開き、スリーブを拡張してカテーテル軸4200から離れるようにし、カテーテルの第3の管腔4206を通って流体が導入される。水または生理食塩水が好ましい流体であるが、空気またはCOを使用することもできる。約100〜200ccが注入される。流体は、中間点の横穴4502からカテーテルを出て、遠位および近位の両方向に移動する。次いで、約20ccの流体が、第2の管腔4204を通って注入され、遠位側の横穴4216から出る。この流体が、スリーブ202の遠位端を持ち上げて、内側カテーテル軸4200から離す。
【0140】
次いで、案内チューブ4300が取り除かれ、胃鏡が胃内に再度導入されて幽門108を観察する。続いて、カテーテルの近位端に接続されている送入チューブ4222を引き戻すことによって、近位側のアンカーが拡張される。アンカーが、図31および32に関連して説明したとおりに拡張された後、カテーテル・システム4250が患者から引き抜かれる。ボールはその場に残されるため、カテーテル4200は、胃102および食道を
通って引き戻されるときにスリーブ202に引っ掛かる可能性のある縁部を有していない。この外形に突起物がないカテーテルの構造は、カテーテルまたは他の装置を後方に残しつつ胃腸管から装置を引き抜くことが通常はきわめて困難であるため、重要である。
【0141】
口を通ってカテーテルを通過させることによって小腸にアクセスする方法は、図43〜45に関連して説明した。この小型のカテーテルは、胃を切開して小腸にアクセスするのにも使用できる。カテーテルを、図43に示すように胃の上部を通過して送入する代わりに、カテーテルを例えば図43の位置4304の切開部を通過し、胃を通過して送入できる。腸管が好ましくは水である流体で満たされ、次いで腸管を通過する大きな非外傷性のボール端を備える細い可撓カテーテルが、図43〜45に関して説明したとおり腸管に通される。
【0142】
図46〜48は、カテーテルの遠位端に着脱可能な球状部材を取り付ける実施形態を示している。図46は、カテーテル・システムの遠位端の平面図であって、着脱可能なボール端機構が示されている。図42に示したカテーテル・システムに関連して説明したとおり、スリーブ保持用ワイヤ4208が、カテーテル軸4200内の第2の管腔4204を通過して延び、近位側の横穴4214を通って第2の管腔4204から出て、遠位側の横穴4216を通って第2の管腔に再度進入している。
【0143】
ワイヤ4600の両端はボール4218に取り付けられており、さらにワイヤ4600はスリーブ保持用ワイヤ4208を通してループを形成し、ボール4218をカテーテルの内側軸4200の遠位端に保持する。ボール4218は、金具4220(図42A)を用いてスリーブ保持用ワイヤ4208を、ワイヤ4600がスリーブ保持用ワイヤ4208によって保持されなくなるまで引き戻すことによって解放される。これにより、ボール4218は、カテーテルの内側軸4200の遠位端から脱落し、通常の蠕動によって腸を通過して体内から出る。
【0144】
図47は、カテーテル遠位端の平面図であり、着脱可能なボール端機構の別の実施形態を示している。内側軸4200はボール4218の凹所4708に嵌まり込んでいる。スリーブ保持用ワイヤ4208は、近位側の横穴4214を通って内側軸4200から出て、スリーブ202を貫き、遠位側の横穴4216を通って内側軸4200に再度進入している。スリーブ保持用ワイヤ4208の遠位端はコイル形状4700に形成され、ボール4218のポケット4702内に置かれている。ポケット4702は、凹所4708よりも直径が小さくかつポケット4702よりも直径が小さい孔4704によって、凹所4708に接続されている。スリーブ保持用ワイヤ4208の遠位端は焼きなまし処理されており、これにより、スリーブ保持用ワイヤ4208を近位方向に引き戻すことができ、ワイヤを真っ直ぐにして孔4704を通過できるようにする。
【0145】
図48は、着脱可能なボール端機構のさらに別の実施形態である。内側軸4200が、ボール4218の凹所4708に嵌まり込んでいる。スリーブ保持用ワイヤ4208は、近位側の横穴4214を通って内側軸4200から出て、スリーブ202を貫き、遠位側の横穴4216を通って内側軸4200に再度進入している。
【0146】
ボール4218は、凹所4708からボール4218の外表面に延びる2つの孔4800、4802を備えている。スリーブ保持用ワイヤ4208の遠位端は、孔4800を通過し、孔4802に一巡して戻されている。スリーブ保持用ワイヤ4208が近位方向に引かれると、ワイヤ4208は、孔4802を通り、次いで孔4800を通って引き戻され、ボール4218がカテーテルの遠位端から解放される。
【0147】
図49は、剛体球状部材の別の実施形態の断面図である。ボール4900は2つに分割
された4902および4904で作られている。スリーブ保持用ワイヤ4600は、S字の通路4908に嵌まり込んでいる。通路4908のS字によって充分な摩擦が生成され、胃腸内埋込装置の送入の際にボールをカテーテルの端部に保持する。スリーブ保持用ワイヤ4600は通路4908に隙間なく嵌まり込んでいるが、手前側に引くことにより、スリーブ保持用ワイヤ4600をボール4900から解放できる。カテーテルの軸は凹所4906に嵌まり込む。
【0148】
カテーテルの遠位端において、ボール4218の代わりに小型のバルーンを使用できる。図50A〜50Bは、図44に示したカテーテルの遠位端の平面図であり、小型のバルーンを備えている。図示の実施形態においては、図44に示したカテーテルの遠位端のボールを小型のバルーンに置き換えている。図50Aは、膨張可能な球状部材を備えたカテーテル遠位端の平面図である。図50Bは、膨張可能な球状部材が膨らまされた後のカテーテル遠位端の平面図である。
【0149】
図50Aを参照すると、シリコンまたはラテックスのスリーブ202が、カテーテル軸4302の遠位端に取り付けられている。注入孔5010がカテーテルの内側管腔につながっており、膨張可能球状部材(バルーン)5008の膨張のための通路を与えている。バルーン5008は、金属バンド5000によって軸4302に取り付けられており、この金属バンド5000は先細りの近位側移行部5002を有して、スリーブ202を送入後にスリーブ202に引っ掛かる可能性のある縁部を最小限にしている。金属バンド5000の厚さは、約0.003〜0.005インチ(0.076〜0.127mm)である。バルーン5008は、壁の薄い、成型による、筒状のポリウレタンまたはシリコンであってよい。バルーンは、バルーンがカテーテルの先端を超えて広がることがないよう、遠位端をカテーテル軸の管腔にプラグ5006によってカテーテル軸4302に取り付けた状態で、カテーテル軸4302の遠位部に沿って保持されている。
【0150】
図50Bは、バルーン5008が球状に拡張された後のカテーテル4302の遠位端を示している。バルーンは、カテーテル軸を通過して流れて流体通過孔を通ってカテーテル軸からバルーン5008に進入する流体によって、拡張される。カテーテル軸の端部のプラグ5006が、カテーテルの先端を超えるバルーンの拡張を制限することによって、バルーンが図50の実施形態に示したボールのように機能することを保証し、さらにプラグは、バルーンに若干の横方向強度をもたらしている。カテーテル遠位端のボールをバルーンで置き換えることによって、遠位端が軸方向の圧縮に対してより安定する。
【0151】
装置を腸内にさらに深く通過させようと試みるにつれ、摩擦および曲がりが増加するため、困難さも大になる。図51は、胃腸内埋込装置を送入する別の送入システムの平面図である。この送入システムは、長いスリーブを腸内に送入できるようにし、収縮されたスリーブ素材を内部に有するピルを遠位側に備えている。蠕動が、ピルを腸内で遠位方向に運び、スリーブ素材の展開を生じさせる。
【0152】
この送入システムを、図28に関連して示した胃腸用装置の実施形態の送入について説明する。ただし、この送入システムは、胃腸内埋込装置のこの実施形態のスリーブの遠位部分の送入には限定されない。図28に関連して説明したとおり、胃腸内埋込装置は、近位側リング2802、遠位側リング2803、およびスリーブ202を備えている。スリーブの近位部分は完全に展開されており、スリーブ202の遠位部分のいくらかは、ピル5100内に詰め込まれている。
【0153】
胃腸内埋込装置は、すでに説明したとおりに腸近位部に送入される。腸内に配置されると、腸の自然な活動からの蠕動によって、ピル5100が腸を通過して遠位側へと引き込まれる。ピルが遠位側に引き込まれるにつれて、スリーブ202の遠位端がピルから引き
出され、腸内で真っ直ぐに展開される。蠕動によってピルが腸の残りの部分を通過して引かれ、最終的にピルが体内から出される。
【0154】
長さ1フィートのスリーブ素材を、長さ1インチ(25.4mm)、直径0.47インチ(12mm)のピルに詰め込むことが可能である。したがって、胃腸内埋込装置の送入のためにカテーテルを腸内に2インチだけ進める場合、ピル5100によって、3フィートのスリーブの追加の1フィートの部分をピル5100内に入れて送入することで、長さ3フィートのスリーブを送入できる。
【0155】
図52は、図51に示した送入機構の別の実施形態の平面図である。この送入機構は、長いスリーブを腸内に送入できるようにし、ピルの形状で形成されたカプセルに入れたスリーブ素材を有している。各ピルは、体内において異なる速度で溶解し、ピルの被覆が溶解したときスリーブが拡張されるため、蠕動によるスリーブの遠位方向への引き出しを可能にしている。
【0156】
この送入機構を、図28に関連して説明した胃腸内埋込装置の送入について示す。すでに説明したとおり、スリーブ202の第1の部分は、胃腸内埋込装置が腸近位部に送入された後に完全に拡張される。スリーブ202の複数の遠位部分は被覆され、複数の溶解可能ピル5200、5202、5204を形成する。それぞれのピル5200、5202、5204を形成するのに利用される被覆は、溶解可能な材料で作られており、被覆のそれぞれは、構成されたポリマーおよび周囲の環境に応じて異なる時点で溶解するように調製されている。ピル5200、5202、5204のそれぞれは、蠕動によって遠位方向に運ばれる。第1のピル5200の被覆は最初に溶解するように選択されている。第1のピル5200の被覆が溶解した後、第2および第3のピル5202および5204が、詰め込まれているスリーブ202を遠位方向に引っ張る。第2のピル5202の被覆が次に溶解し、第3のピル5204が、スリーブをさらに遠位方向に引っ張る。最後に第3のピル5204の被覆が溶解し、スリーブ202が完全に拡張される。溶解可能な複数のピルは、単にスリーブの最初の1〜2フィートの部分を腸近位部に送入するだけで、数フィートのスリーブ素材の究極的な送入を可能にする。図51に示した実施形態に関して説明したとおり、長さ1フィートのスリーブ素材を、長さ1インチ(25.4mm)、直径0.47インチ(12mm)のピルに詰め込むことが可能である。
【0157】
ポリエチレン・グリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、およびポリカプロラクトン(PCL)を含む多くの生体分解性材料を、ピルの被覆に使用できる。これらの材料は、成形可能な樹脂、またはさまざまな種類の化学および光化学反応によって固体に変化する液体として製造される。これらの材料は、体内組織にとって安全な化学物質に分解される。これらの樹脂は、主鎖に加水分解に対して不安定な結合を有するように基本分子を調合することで、生体分解性となる。
【0158】
例えば、PEGは、主鎖に乳酸を組み込むことによって生体分解性となる。ラクチド分子の一端が、水の存在下で即座に分解する結合を形成する。分解速度を制御する一手段は、主鎖内のラクチド分子の数を変化させることによる。数が多いほど、鎖が素早く分解する。さらに、得られる固体の固体率または密度を変化させて、分解速度を変えることができる。より高密度の材料は、分解により長い時間を必要とする。さらに、加水分解に対して不安定である結合は、pHが高い環境において、より速く分解する。このような環境は、小腸内において、胆液および重炭酸塩が溜まっているスリーブの外側に自然に生じている。
【0159】
図53A〜53Cは、ガイドワイヤ上への配置のための中央管腔を有しているカテーテル・システム4250の別の実施形態である送入する方法を示している。図53Aは、体
内の消化管の一部分の断面図であり、胃を通過し、幽門108を通過して十二指腸104に延びる腸鏡5300が示されている。続いて、ガイドワイヤ5302が、腸鏡5300を通過して通される。ガイドワイヤを通過させた後、腸鏡5300は取り除かれる。図53Bは、体内の消化管の一部分の断面図であり、腸鏡5300の除去後について、胃102および十二指腸104を通過して延びているガイドワイヤ5302が示されている。カテーテル・システムは、食道および胃を通過して胃102の幽門部108までガイドワイヤ5302に追従する。図53Cは、体内の消化管の一部分の断面図であり、ガイドワイヤ5302上で胃102および十二指腸104を通過して延びているカテーテルが示されている。胃腸内埋込装置が送入された後、カテーテル4200は胃を通過して引き戻される。カテーテルが取り除かれた後、ガイドワイヤ5302は腸および胃102を通って引き戻される。
【0160】
本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照して詳細に示し、説明してきたが、当業者には、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の技術的範囲を逸脱することなく、形態および細部についてさまざまな変更が可能であることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0161】
102 胃
104 十二指腸
112 小腸
118 トライツ靭帯
200、2200、2800 胃腸内埋込装置
202 可塑スリーブ
208、600、800 ステント
210、612、704、 針状突起物
904、906、2508 針状突起物
602 ストラット
1200、1900、4250 カテーテル・システム
1202、2006、4222 外側シース(送付チューブ)
1210、4208 スリーブ保持ワイヤ(可動部材)
1212、4226 ガイドワイヤ
1224 スリーブ保持用ワイヤ開放機構(係止機構)
1226、4200 内側シース(内側軸)
1310、2564、4202 第1の(内側)管腔
1314、2656、4204 第2の(内側)管腔
1800、4218、4900 ボール(球状部材)
1901、2500 アンカー(固定装置)
2000 回収装置
2002 フィンガ
2512 組織
2600 送入システム(カテーテル)
2656 捕捉ワイヤ(可動部材)
2664 捕捉ハンドル(開放機構)
2802、3302 遠位端リング
2803、3300 近位端リング
3010 送入チューブ
4200、4302 カテーテル軸(内側軸)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端で開いており、腸内まで延びて腸における栄養素の吸収を制限する可撓スリーブと、
ストラットからなる網で構成され、前記スリーブの近位部に結合され、スリーブを固定するステントと、
を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ステントは幽門口内に保持されて幽門を開いた状態に保つ胃腸内埋込装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記ステントは収縮可能である胃腸内埋込装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記ステントは、前記スリーブの近位部によって覆われている胃腸内埋込装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ステントは、前記スリーブの第1の内側層と前記スリーブの第2の外側層との間にサンドイッチ状にはさまれている胃腸内埋込装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記スリーブの長さは、前記スリーブの近位端に流し込まれて胃を出る糜粥が、トライツ靭帯の下流の遠位端を通って前記スリーブを出るような長さである胃腸内埋込装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記スリーブの素材は0.2よりも小さい摩擦係数を有している胃腸内埋込装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記スリーブは発泡ポリテトラフルオロエチレンで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記スリーブはポリエチレンで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記スリーブはシリコンで被覆されている胃腸内埋込装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記スリーブはポリウレタンで被覆されている胃腸内埋込装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記スリーブの遠位端に、方向性を有する表面加工が施されている胃腸内埋込装置。
【請求項13】
請求項1において、
さらに、前記ステントの外表面から突き出て、前記スリーブの近位端を筋肉に固定する針状突起物を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記針状突起物が2つの方向を向いている胃腸内埋込装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記針状突起物が前記可撓スリーブを胃の幽門筋に固定する胃腸内埋込装置。
【請求項16】
請求項1において、
さらに、前記スリーブに結合され、前記ステントの下流から前記可撓スリーブの遠位端まで延びて前記スリーブの座屈を軽減する座屈防止装置を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項17】
請求項1において、
前記スリーブは、十二指腸で分泌された酵素が前記スリーブの外側で十二指腸を通過できるようにしている胃腸内埋込装置。
【請求項18】
請求項1において、
前記可撓スリーブを挿入するカテーテルと組み合わされる胃腸内埋込装置。
【請求項19】
請求項1において、
前記可撓スリーブを取り除く回収装置と組み合わされる胃腸内埋込装置。
【請求項20】
両端で開いており、腸内まで延びて腸における栄養素の吸収を制限する可撓スリーブと、
収縮可能なアンカーと、を備え、
前記アンカーは、アンカーが拡張して前記スリーブの近位端を消化管内に固定するときに、組織に挿入される針状突起物を有する、胃腸内埋込装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記アンカーは幽門口内に保持されて幽門を開いた状態に保つ胃腸内埋込装置。
【請求項22】
請求項20において、
前記アンカーは前記スリーブの近位部によって覆われている胃腸内埋込装置。
【請求項23】
請求項22において、
前記アンカーは、前記スリーブの第1の内側層と前記スリーブの第2の外側層との間にサンドイッチ状にはさまれている胃腸内埋込装置。
【請求項24】
請求項20において、
前記スリーブの長さは、前記スリーブの近位端に流し込まれて胃を出る糜粥が、トライツ靭帯の下流の遠位端を通って前記スリーブを出るような長さである胃腸内埋込装置。
【請求項25】
請求項20において、
前記スリーブの素材は0.2よりも小さい摩擦係数を有している胃腸内埋込装置。
【請求項26】
請求項20において、
前記スリーブは発泡ポリテトラフルオロエチレンで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項27】
請求項20において、
前記スリーブはポリエチレンで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項28】
請求項26において、
前記スリーブはシリコンで被覆されている胃腸内埋込装置。
【請求項29】
請求項26において、
前記スリーブはポリウレタンで被覆されている胃腸内埋込装置。
【請求項30】
請求項20において、
前記スリーブの遠位端に、方向性を有する表面加工が施されている胃腸内埋込装置。
【請求項31】
請求項20において、
前記針状突起物が2つの方向を向いている胃腸内埋込装置。
【請求項32】
請求項20において、
前記針状突起物が前記可撓スリーブを筋肉に固定する胃腸内埋込装置。
【請求項33】
請求項20において、
さらに、前記スリーブに結合され、前記アンカーの下流から前記可撓スリーブの遠位端まで延びて前記スリーブの捩れを軽減する座屈防止装置を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項34】
請求項20において、
前記スリーブは、十二指腸で分泌された酵素が前記スリーブの外側で十二指腸を通過できるようにしている胃腸内埋込装置。
【請求項35】
請求項20において、
前記可撓スリーブを挿入するカテーテルと組み合わされている胃腸内埋込装置。
【請求項36】
請求項20において、
前記可撓スリーブを取り除く回収装置と組み合わされている胃腸内埋込装置。
【請求項37】
ストラットからなる網で構成され、両端が開いている可撓スリーブの近位部に結合されたステントを、消化管の中に固定し、
前記可撓スリーブを腸内まで延ばして栄養素の吸収を制限する、各ステップを含む治療方法。
【請求項38】
請求項37において、
前記ステントは幽門口内に保持されて幽門を開いた状態に保つ治療方法。
【請求項39】
請求項37において、
前記収縮可能なステントを用いる治療方法。
【請求項40】
請求項37において、
前記ステントは前記スリーブの近位部によって覆われている治療方法。
【請求項41】
請求項40において、
前記ステントは、前記スリーブの第1の内側層と前記スリーブの第2の外側層との間にサンドイッチ状にはさまれている治療方法。
【請求項42】
請求項37において、
前記スリーブの長さは、前記スリーブの近位端に流し込まれて胃を出る糜粥が、トライツ靭帯の下流の遠位端を通って前記スリーブを出るような長さである治療方法。
【請求項43】
請求項37において、
前記スリーブは発泡ポリテトラフルオロエチレンで形成されている治療方法。
【請求項44】
請求項37において、
前記スリーブはポリエチレンで形成されている治療方法。
【請求項45】
請求項43において、
前記スリーブはシリコンで被覆されている治療方法。
【請求項46】
請求項43において、
前記スリーブはポリウレタンで被覆されている治療方法。
【請求項47】
請求項37において、
前記スリーブの遠位端に、方向性を有する表面加工が施されている治療方法。
【請求項48】
請求項37において、
さらに、前記ステントの外表面から延びている針状突起物によって、前記スリーブの近位部を胃に固定することを含む治療方法。
【請求項49】
請求項48において、
前記針状突起物が2つの方向を向いている治療方法。
【請求項50】
請求項49において、
前記針状突起物が前記可撓スリーブを胃の幽門筋に固定する治療方法。
【請求項51】
請求項37において、
さらに、前記ステントの下流から前記可撓スリーブの遠位端まで延びて前記スリーブの捩れを軽減する座屈防止装置を、前記スリーブに結合することを含む治療方法。
【請求項52】
請求項37において、
前記スリーブは、十二指腸で分泌された酵素が前記スリーブの外側で十二指腸を通過できるようにしている治療方法。
【請求項53】
請求項37において、
前記可撓スリーブおよびステントは胃に適用され、食道カテーテルから引き出される治療方法。
【請求項54】
請求項37において、
前記可撓スリーブおよびステントは食道を通って取り除かれる治療方法。
【請求項55】
両端で開いており、収縮可能なアンカーに結合されている可撓スリーブの近位部を固定することを含み、前記アンカーが拡張して、前記スリーブの近位部を消化管内に固定するときに、組織に挿入される針状突起物を有しており、さらに、
前記可撓スリーブを腸内まで延ばし栄養素の吸収を制限するステップを含む治療方法。
【請求項56】
請求項55において、
前記アンカーは幽門口内に保持されて幽門を開いた状態に保つ治療方法。
【請求項57】
請求項55において、
前記アンカーは前記スリーブの近位部によって覆われている治療方法。
【請求項58】
請求項57において、
前記アンカーは、前記スリーブの第1の内側層と前記スリーブの第2の外側層との間に
サンドイッチ状に挟まれている治療方法。
【請求項59】
請求項55において、
前記スリーブの長さは、前記スリーブの近位端に流し込まれて胃を出る糜粥が、トライツ靭帯の下流の遠位端を通って前記スリーブを出るような長さである治療方法。
【請求項60】
請求項55において、
前記スリーブの素材は0.2よりも小さい摩擦係数を有している治療方法。
【請求項61】
請求項55において、
前記スリーブは発泡ポリテトラフルオロエチレンで形成されている治療方法。
【請求項62】
請求項55において、
前記スリーブはポリエチレンで形成されている治療方法。
【請求項63】
請求項61において、
前記スリーブはシリコンで被覆されている治療方法。
【請求項64】
請求項61において、
前記スリーブはポリウレタンで被覆されている治療方法。
【請求項65】
請求項55において、
前記スリーブの遠位端に方向性を有する表面加工が施されている治療方法。
【請求項66】
請求項55において、
前記針状突起物が前記可撓スリーブを筋肉に固定する治療方法。
【請求項67】
請求項55において、
前記針状突起物が2つの方向を向いている治療方法。
【請求項68】
請求項55において、
さらに、前記スリーブに座屈防止装置を結合するステップを含み、この座屈防止装置が前記アンカーの下流から前記可撓スリーブの遠位端まで延びて、前記スリーブの捩れを軽減する、治療方法。
【請求項69】
請求項55において、
前記スリーブは、十二指腸で分泌された酵素が前記スリーブの外側で十二指腸を通過できるようにしている治療方法。
【請求項70】
請求項55において、
前記可撓スリーブおよびアンカーは胃に適用され、食道カテーテルから出る治療方法。
【請求項71】
請求項55において、
前記可撓スリーブおよびアンカーは食道を通して取り除かれる治療方法。
【請求項72】
両端が開いている可撓スリーブを胃の中に固定し、
前記可撓スリーブを十二指腸内まで延びて、十二指腸における栄養素の吸収を制限することを含む、2型糖尿病の治療方法。
【請求項73】
請求項72において、
前記スリーブの長さは、前記スリーブの近位端に流し込まれて胃を出る糜粥が、トライツ靭帯の下流の遠位端を通って前記スリーブを出るような長さである治療方法。
【請求項74】
請求項72において、
前記スリーブは発泡ポリテトラフルオロエチレンで形成されている治療方法。
【請求項75】
請求項72において、
前記スリーブはポリエチレンで形成されている治療方法。
【請求項76】
請求項74において、
前記スリーブはシリコンで被覆されている治療方法。
【請求項77】
請求項74において、
前記スリーブはポリウレタンで被覆されている治療方法。
【請求項78】
請求項72において、
前記スリーブの遠位端に、方向性を有する表面加工が施されている治療方法。
【請求項79】
請求項72において、
さらに、前記スリーブの近位部を胃に固定するため、前記スリーブの外表面から突き出している針状突起物を収縮可能なアンカーに結合することを含む治療方法。
【請求項80】
請求項79において、
前記針状突起物が2つの方向を向いている治療方法。
【請求項81】
請求項80において、
前記針状突起物が前記可撓スリーブを胃の幽門筋に固定する治療方法。
【請求項82】
請求項72において、
前記スリーブに座屈防止装置を結合することを含み、座屈防止装置は前記可撓スリーブの遠位端まで延びて、前記スリーブの捩れを軽減する治療方法。
【請求項83】
請求項72において、
前記スリーブは、十二指腸で分泌された酵素が前記スリーブの外側で十二指腸を通過できるようにしている治療方法。
【請求項84】
請求項72において、
カテーテルと組み合わせて、前記可撓スリーブを挿入する治療方法。
【請求項85】
請求項72において、
回収装置と組み合わせて、前記可撓スリーブを取り除く治療方法。
【請求項86】
送入システムの近位部内にあり、胃腸内埋込装置の近位部を収容する外側シースであって、この胃腸内埋込装置の前記近位部は胃の中に埋込装置を固定する固定装置を含む、外側シースと、
前記外側シース内の内側シースであって、この内側シースは前記外側シースを越えて当該送入システムの遠位端の方向に延び、前記内側シース内の第1管腔はガイドワイヤ上で前記外側シースを通過させ、前記内側シース内の第2管腔は可動部材を移動させて、前記固定装置に結合されたスリーブの遠位端を前記内側シースに固定する、内側シースと、
前記固定装置を前記外側シースから解放する解放機構と、
前記スリーブの遠位端を解放する、前記可動部材に結合されたスリーブ解放機構と、を備えている、胃腸内埋込装置を体内に配置する送入システム。
【請求項87】
請求項86において、
前記可動部材は、前記第2管腔を出て前記スリーブの遠位端を貫通するスリーブ保持用ワイヤである送入システム。
【請求項88】
請求項86において、
前記可動部材は、前記スリーブの遠位端を捕捉する捕捉ワイヤである送入システム。
【請求項89】
請求項86において、
前記解放機構は前記外側シースを送入システムの近位端の方向に引くことにより、前記外側シースを前記固定装置から取り除く送入システム。
【請求項90】
請求項89において、
前記固定装置が解放された後に、前記スリーブ解放機構は前記可動部材を送入システムの近位端に向かって引くことにより、前記スリーブの遠位端を解放する送入システム。
【請求項91】
請求項86において、
前記スリーブの遠位部はピルに収容して送入され、このスリーブの遠位部は蠕動によって前記ピルから解放される送入システム。
【請求項92】
請求項86において、
前記スリーブの遠位部は溶解可能なピルに収容して送入される送入システム。
【請求項93】
請求項86において、
さらに、当該送入システムの遠位端に、前記可動部材によって保持されている球状部材を備えている送入システム。
【請求項94】
請求項93において、
前記球状部材は遠隔操作で解放可能である送入システム。
【請求項95】
請求項94において、
前記球状部材は、前記可動部材によって保持された部材保持用ワイヤに結合されている送入システム。
【請求項96】
請求項94において、
前記可動部材は、前記球状部材を通るループを形成している送入システム。
【請求項97】
請求項94において、
前記可動部材の遠位端はコイル状とされ、前記球状部材内に収容されている送入システム。
【請求項98】
請求項94において、
前記可動部材は、前記球状部材内のS字の通路に保持されている送入システム。
【請求項99】
請求項86において、
さらに、当該送入システムの遠位端に拡張可能バルーンを備えている送入システム。
【請求項100】
請求項86において、
前記内側シースは、前記スリーブを当該送入システムの遠位端から解放するための、流体が通過する第3管腔を備えている送入システム。
【請求項101】
請求項94において、
前記固定装置が解放された後に、前記スリーブ解放機構が前記可動部材を当該送入システムの近位端の方向に引くことにより、前記球状部材を解放する送入システム。
【請求項102】
胃腸内埋込装置を体内から取り除く回収装置であって、
胃腸内埋込装置の近位部を収容する外側シースであって、この胃腸内埋込装置の近位部はこの埋込装置を消化管内に固定する自己拡張型固定装置を含む、外側シースと、
前記外側シース内に位置する内側シースであって、遠位端から延びる複数のフィンガを有し、このフィンガは前記固定装置の近位端を収縮させて、この固定装置を前記外側シース内に引き込みできるようにする、内側シースと、
を備えている回収装置。
【請求項103】
請求項102において、
前記フィンガは、前記ステントと係合して前記ステントの近位端を半径方向内側に引くことによって前記ステントを収縮する回収装置。
【請求項104】
請求項102において、
前記内側シースが前記フィンガを覆うように移動するとき、前記フィンガは半径方向内側に引き寄せられる回収装置。
【請求項105】
両端で開いており、腸内に延びて腸における栄養素の吸収を制限する可撓スリーブと、
前記スリーブの近位端に結合された収縮可能なアンカーと、を備え、
前記アンカーは、前記スリーブの近位部を消化管内に固定する、直径の異なる2つの間隔を空けたリングを有する、胃腸内埋込装置。
【請求項106】
請求項105において、
前記リングはニチノールから作られている胃腸内埋込装置。
【請求項107】
請求項105において、
前記リングのそれぞれは、少なくとも2つの安定化耳形状部を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項108】
請求項105において、
前記リングは、緩やかに絡み合わされたワイヤで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項109】
請求項105において、
前記リングは接続ロッドで連結されている胃腸内埋込装置。
【請求項110】
請求項109において、
前記接続ロッドはロッドの外表面から延びる延長部を備え、この延長部により前記スリーブの近位部を消化管内に固定している胃腸内埋込装置。
【請求項111】
請求項110において、
近位側のリングの外表面から延びる延長部、および遠位側のリングの外表面から延びる延長部が、相互の方向に曲げられている胃腸内埋込装置。
【請求項112】
請求項105において、
前記アンカーは前記スリーブの近位部で覆われている胃腸内埋込装置。
【請求項113】
請求項105において、
前記リングの内表面は前記スリーブによって覆われ、前記リングの外表面はポリマーで被覆されている胃腸内埋込装置。
【請求項114】
請求項105において、
カテーテルと組み合わせて前記可撓スリーブを挿入する胃腸内埋込装置。
【請求項115】
請求項114において、
前記リングはU字形に折り曲げられ、前記可撓スリーブを挿入するための送入チューブ内に収容されている胃腸内埋込装置。
【請求項116】
請求項105において、
前記スリーブは満腹ホルモンで含浸されている胃腸内埋込装置。
【請求項117】
請求項116において、
前記満腹ホルモンはペプチド−YYである胃腸内埋込装置。
【請求項118】
請求項105において、
前記スリーブは炎症を軽減する薬品で含浸されている胃腸内埋込装置。
【請求項119】
請求項105において、
前記リング間の間隔は幽門を開いた状態に保つように選択されている胃腸内埋込装置。
【請求項120】
両端で開いており、炎症を軽減する薬品で含浸されている可撓スリーブを消化管内に固定し、
前記可撓スリーブを腸内にまで延ばす、各ステップを含む腸管の疾患を治療する方法。
【請求項121】
両端で開いており、満腹ホルモンで強化されている可撓スリーブを消化管内に固定し、
前記可撓スリーブを腸内にまで延ばす、各ステップを含む肥満を治療する方法。
【請求項122】
両端で開いており、腸内まで延びて腸における栄養素の吸収を制限する収縮可能なスリーブと、
ストラットからなる網で構成され、前記スリーブの近位部に結合され、消化管内にスリーブを固定するステントと、
を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項123】
両端で開いており、腸内まで延びて腸における栄養素の吸収を制限し、素材が0.2よりも小さい摩擦係数を有する収縮可能なスリーブと、
前記スリーブの近位部に結合され、消化管内にスリーブを固定する固定装置と、
を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項124】
発泡ポリテトラフルオロエチレンで形成され、両端で開いており、腸内まで延びて腸における栄養素の吸収を制限する収縮可能なスリーブと、
前記スリーブの近位部に結合され、消化管内にスリーブを固定する固定装置と、
を備えている胃腸内埋込装置。
【請求項125】
腸を通過するカテーテルと、
前記カテーテルの遠位端に結合された球状部材と、
を備えている送入装置。
【請求項126】
請求項125において、
前記球状部材は遠隔操作によって解放可能である送入装置。
【請求項127】
請求項72において、
前記可撓スリーブは薄くて柔軟な材料を使用する、治療方法。
【請求項128】
請求項1において、
前記スリーブはポリテトラフルオロエチレンで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項129】
請求項20において、
前記スリーブはポリテトラフルオロエチレンで形成されている胃腸内埋込装置。
【請求項130】
請求項37において、
前記スリーブをポリテトラフルオロエチレンで形成している治療方法。
【請求項131】
請求項55において、
前記スリーブをポリテトラフルオロエチレンで形成している治療方法。
【請求項132】
請求項72において、
前記スリーブをポリテトラフルオロエチレンで形成している治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図25E】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図26E】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40A】
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【図40B】
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【図41】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50A】
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【図50B】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2012−152576(P2012−152576A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88087(P2012−88087)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2010−33475(P2010−33475)の分割
【原出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【出願人】(505205362)ジーアイ・ダイナミックス・インコーポレーテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】GI DYNAMICS,INC.
【Fターム(参考)】