説明

肥満細胞媒介疾患を治療するための1−アミノ−アルキルシクロヘキサン誘導体

本発明は、肥満細胞媒介疾患に苦しむ個体の治療であって、その個体に有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体を投与することを含む治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満細胞媒介疾患(mast cell mediated disease)に苦しむ個体の治療であって、その個体に有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体を投与することを含む治療に関する。
【0002】
本発明は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎及び角結膜炎を含む肥満細胞媒介疾患に苦しむ患者を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肥満細胞(MC)及び血中好塩基球は後天性及び先天性ヒト免疫系の極めて重要な構成要素である。異なるサブタイプがほとんど全ての組織に見いだされ、皮膚、気道及び消化管には最も豊富に見いだされる。肥満細胞は免疫グロブリンE(IgE)が媒介する炎症反応における一次エフェクター細胞であり、皮膚及び粘膜の恒常性の維持に関与すると共に、アレルギー性炎症などのさまざまな炎症過程に関連する神経液性相互作用にも関与する。肥満細胞は、じんま疹、皮膚肥満細胞症、アトピー性皮膚炎及び乾癬などといった一定の炎症性皮膚病、並びに多病因的(polyetiological)なそう痒に関与する。肥満細胞は、鼻炎、全身性肥満細胞症、アレルギー性及び非アレルギー性気管支喘息、結膜炎及び角結膜炎などの皮膚外疾患にも関与する。肥満細胞が引き金となる炎症過程におけるキー事象(key event)は、さまざまなサイトカイン及び神経伝達物質(例えばセロトニン及び/又はヒスタミン)の幅広い混合物が周辺組織に送達される肥満細胞脱顆粒である。
【0004】
肥満細胞は骨髄由来のCD34+骨髄球性前駆細胞から分化する。血流を離れた後、これらの前駆体は、局所成長因子の影響を受けて、成熟組織肥満細胞へと分化する(Wedemeyer et al., 2000, Curr Opin Immunol. 2000;12(6):624-31)。肥満細胞は血管、神経及び表面上皮に近接して存在する。ヒト皮膚では、毛包、汗腺、皮脂腺及び乳頭層の毛細管付近に、最も高い肥満細胞密度を見いだすことができる(Toruniowa, Jablonska 1988)。肥満細胞と末梢神経の間の解剖学的及び機能的相互作用も報告されている(Bienenstock et al., 1987 Int Arch Allergy Appl Immunol 82:238-43;Naukkarinen et al., 1996 J Pathol. 1996;180(2):200-5)。
【0005】
肥満細胞は9〜11μmの直径を持ち、多数の好塩基性顆粒を特徴とする。肥満細胞はアレルギー反応の重要なエフェクターである。肥満細胞は、数多くの活性化刺激に対するその感受性ゆえに、そしてまた、極めて多量のさまざまなメディエーターを放出するというその能力ゆえに、多くの生理過程及び病理過程において重要な役割を果たす。肥満細胞は、炎症、過敏症、及び組織修復を含む数多くの皮膚疾患及び粘膜疾患に関連づけられている(Benoist及びMathis, 2002;Nature 2002;420(6917):875-8)。肥満細胞はヒスタミン放出を介して感覚神経及び血管と情報交換することにより、神経原性の炎症及びそう痒を調節する(Steinhoff et al., 2003, Arch Dermatol. 2003;139(11):1479-88)。
【0006】
じんま疹は、活性化された肥満細胞が関わる皮膚病である。じんま疹病巣では、肥満細胞が脱顆粒を起こし、ヒスタミンのような血管作用性肥満細胞構成要素の効果が、臨床症状を支配する。多くの患者は、発疹(hives)、そう痒及び軟組織腫脹に悩まされる。じんま疹の原因は数多く、実際、例えばピーナッツアレルギー患者がピーナッツを摂取した後などに起こるアレルギー性アナフィラキシー(allergic anaphylaxis)の症状としての急性じんま疹など、さまざまな実体がある。この点に関して、I型アレルギーはユニークである。なぜなら、この効果を誘導するには、特異的機序と特異的作用物質とが必要だからである。他の形態のじんま疹では、特異的トリガーが知られていないか、又は存在しない(Maurer et al., Hautarzt. 2003;54(2):138-43)。じんま疹はウイルス感染又は細菌感染に関連して起こることもある。神経内分泌因子も、例えばアドレナリン性又はコリン性じんま疹(これらはどちらも身体運動後に起こる)などの発症に関与することが知られている(Maurer et al., Hautarzt. 2004;55(4):350-6;Mlynek et al., Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2008;8(5):433-7)。
【0007】
じんま疹の典型的治療では、H1サブタイプの、またそれほど多くはないがH2サブタイプの、ヒスタミン受容体の遮断が行われる。他の薬理作用物質(例えばクロモクリシン酸(cromoclycine acid)又はモンテルカスト)は肥満細胞膜を「安定化する」と報告されているが、これらの薬剤はじんま疹の治療にはあまり有効でないとも報告されている。さらにまた、重症例では、アナフィラキシーの発症を防止するために、ステロイドを投与する必要がある。
【0008】
現在のじんま疹治療に付随する主要な欠点の一つは、生命に関わる重度な形態の急性じんま疹や、確定できる原因がなく、したがって特発性と呼ばれる慢性型のじんま疹の治療における、抗ヒスタミン薬の効力の低さである。一部の患者は、特発性型のじんま疹に数年間にわたって悩まされ、生活の質が著しく低下している(Mlynek et al., Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2008;8(5):433-7)。
【0009】
乾癬は、複雑な病理発生過程を持つポリジーン遺伝性多因子(polygenetic hereditary multifactor)炎症性皮膚疾患であり、これは、いくつかの環境因子の影響を受け得る。この疾患に関与する病理発生機序に関する相当な進歩にも関わらず、多くの因子が今なお未解決のままである。初期及び発達中の乾癬病巣では肥満細胞及びマクロファージが目立つが、これらは安定病巣にも見いだされる。臨床的乾癬表現型につながる後期事象はよく理解されているが(例えば表皮乾癬反応パターンをもたらすTh1支配サイトカインの関与)、遺伝子改変や極めて重要な病理発生チェックポイントを解明することになるかもしれない初期事象は、不明瞭なままである。
【0010】
数系列の証拠が乾癬の病理発生過程におけるコリン作動系の関与を示唆している。50年以上前にハンガリーの研究グループが、副交感神経系が乾癬病巣における増加したアセチルコリン含有量の原因であり、したがって疾患の発症を開始させ疾患の経過を媒介しているに違いないという仮定に基づいて、乾癬患者を抗コリン作用物質アトロピンで治療した(Helmeczi, Dermatologica, 1955 110:439-48)。Helmecziの研究で提示された患者の注意深い解析から、経口アトロピン治療に応答したのは「発疹性乾癬(eruptive psoriasis)」の患者にほぼ限られ、慢性プラーク型乾癬の患者は一般に応答しなかったことがわかる。いくつかの組織学的研究によれば、乾癬病巣に「到着する」最初の細胞は肥満細胞及び好中性顆粒球である。実際、肥満細胞は、滴状乾癬及び掌蹠乾癬では特に、数が著しく増加していることが見いだされているが(Schubert及びChristophers, Arch Dermatol Res 1985;277:352-8;Brody, J Invest Dermatol. 1984 May;82(5):460-4;Naukkarinen et al., J Pathol. 1996 Oct;180(2):200-5;Ashenagar et al., Arch Dermatol Res. 2007 Feb;298(9):421-6)、慢性病巣ではリンパ球及びマクロファージが優勢である(Ghoreschi K及びRoecken M;J Dtsch Dermatol Ges 2003;1:524-32)。
【0011】
ある研究では、そう痒を訴える患者でのみ慢性乾癬病巣における肥満細胞の有意な増加が示されているが(Nakamura et al., 2003 Br J Dermatol;149(4):718-30)、他の免疫細胞及びサイトカインは何の相違も示さなかった。また、肥満細胞脱顆粒は、乾癬表皮におけるICAM-1発現を誘導することで炎症カスケードを開始させることが示されている(Ackermann及びHarvima, Arch Dermatol Res. 1998 Jul;290(7):353-9)。乾癬における肥満細胞の役割に関する追加の証拠もマウスモデルから得られている。いわゆるフレイキーマウス(flaky mouse)(コンジェニックfsn/fsn)は、乾癬を強く想起させるびまん性表皮正角化過角化症(diffuse epidermal orthokeratotic hyperkeratosis)を示す。このマウスでは、数多くの肥満細胞が表皮の下に並んでいる(Sundberg et al., Eur J Immunol 1998 Apr;28(4):1379-88)。肥満細胞が多量の炎症誘発性神経伝達物質を含有する自由神経終末と「シナプス様」に近接していることと、CRH及びウロコルチンのような「ストレスホルモン」に対するその応答性が十分に立証されていることから、肥満細胞はストレス関連及び神経原性炎症過程に関して理想的なターゲットであり(Arck et al., J Mol Med. 2005;83(5):386-96)、それは乾癬と情動ストレスとの臨床的関連性にも合致する(Singh et al., J Pharmacol Exp Ther. 1999 Mar;288(3):1349-56)。肥満細胞の生理機能は盛んに議論されてきたが(Maurer et al., Exp Dermatol. 2003 Dec;12(6):886-910)、肥満細胞が神経内分泌炎症過程のキー細胞(key cell)であって(Arck et al., J Mol Med. 2005; 83(5):386-96;Siebenhaar et al., J Allergy Clin Immunol. 2008;121(4):955-61)、極めて多様な種々の刺激(とりわけアセチルコリン)がそれらを刺激できること(Fantozzi et al., 1978 Nature 273:473-4)については、説得力のある証明がなされている。
【0012】
肥満細胞の分泌産物、特にヒスタミンに的を絞った乾癬治療プロトコールはいくつかある。H1-R及びH2-R遮断薬の使用が提案され、小規模な試験で記録が残されているが(Kristensen et al., Br J Dermatol. 1995 Dec;133(6):905-8;Petersen et al., Acta Derm Venereol. 1998 May;78(3):190-3)、無作為化対照治験では有意な治療効果が示されなかった。これらの結果/効果の欠如は、PASIスコアを使用したこと、及び乾癬のサブタイプ又は重症度(acuity)を層化因子として使用しなかったことが原因だったかもしれない(Zonneveld et al., J Am Acad Dermatol. 1997 Jun;36(6 Pt 1):932-4. 7-103)。
【0013】
乾癬病巣ではコリン作動系の変化がいくつか記録されている:SLURP-2は、乾癬病巣中で上昇していることが見いだされているニコチン性コリン作動性受容体のペプチド調整物質である。SLURP-2はカスパーゼ3及びフィラグリンを阻害することが示されているので、ケラチノサイト過剰増殖及び/又はT細胞分化/活性化におけるその役割を介して乾癬に関与することが示唆されている(Tsuji et al., Genomics 2003;81(1):26-33)。
【0014】
喫煙は、少なくとも患者の部分集合では、乾癬のリスクを増加させる。この効果は、おそらく、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のリガンドであり(Arathi et al., Am J Med, 2007, 120 (11):953-959)、肥満細胞中に存在するα10nAChRでも活性である、主要なタバコ毒素であるニコチンに関係しているのだろう。また、特殊な形態の乾癬である掌蹠膿疱症(PPP)は喫煙と強く相関している。PPP病巣は、アセチルコリンエステラーゼを発現する肥満細胞と、ChAT及びαnAChRを発現する顆粒球とが、特に豊富である(Hagforsen et al., Acta Derm Venereol 2002;82(5):341-6)。
【0015】
肥満細胞は、気管支喘息におけるキーエフェクター細胞でもある。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)に作用する抗コリン作用物質は、喘息治療用として販売されている(チオトロピウム)。リンパ球及びマクロファージ、肥満細胞が関わる肺粘膜炎症には、ニューロン由来AChと非ニューロン由来AChの両方の関与があることが示唆されている(Wessler及びKirkpatrick, Pulm Pharmacol Ther. 2001;14(6):423-34)。この考えは、一方では、肺疾患におけるタバコ由来ニコチン作用の問題に、また他方では、慢性気道疾患における抗ムスカリン作動性薬の使用に、直接的な影響を持つ。
【0016】
鼻炎は鼻の粘膜の炎症及び腫脹を伴い、鼻水及び鼻閉を特徴とし、通常は感冒又はアレルギーによって引き起こされる。
【0017】
アレルギー性鼻炎は最もよく見られる鼻炎の原因である。これは極めてよく見られる状態であり、人口の約20%が罹患している。アレルギー性鼻炎は生命に関わる状態ではないものの、合併症が生じる場合があり、その状態は生活の質を著しく損なって、それがいくつかの間接的コストにつながる場合がある。アレルギー性鼻炎の直接的及び間接的コストの総額は、年間53億ドルと、最近見積もられた。
【0018】
アレルギー性鼻炎は、鼻、眼、エウスタキオ管、中耳、副鼻腔(sinues)及び咽頭の粘膜の炎症を伴う。鼻は必ず関与し、一定の個体では他の器官も冒される。粘膜の炎症は炎症性メディエーターの複雑な相互作用を特徴とするが、最終的には、外因性タンパク質に対する免疫グロブリンE(IgE)媒介性応答が引き金になる。
【0019】
外因性アレルゲン(アレルギー反応を引き起こす能力を持つタンパク質)に対するアレルギー反応又はIgE媒介性反応を発生させる傾向には、遺伝的要素がある。感受性の高い個体では、一定の外来タンパク質への曝露が、それらのタンパク質に対する特異的IgEの産生を特徴とするアレルギー感作をもたらす。この特異的IgEは鼻粘膜中に存在する肥満細胞の表面を覆う。特異的タンパク質(例えば特異的花粉粒)が鼻に吸い込まれると、それが肥満細胞上のIgEに結合して、いくつかのメディエーターの即時及び遅延放出をもたらし得る。
【0020】
即時放出されるメディエーターには、ヒスタミン、トリプターゼ、キマーゼ、キニン、及びヘパリンが含まれる。肥満細胞は、ロイコトリエン及びプロスタグランジンD2を含む他のメディエーターを迅速に合成する。これらのメディエーターは、さまざまな相互作用を介して、最終的には鼻漏の症状(すなわち、鼻詰まり、くしゃみ、かゆみ、発赤、流涙、腫脹、耳の圧迫感(ear pressure)、後鼻漏)をもたらす。粘液腺が刺激され、それが分泌物の増加をもたらす。血管透過性が増加し、それが血漿滲出をもたらす。血管拡張が起こり、それがうっ血及び圧迫感をもたらす。感覚神経が刺激され、それがくしゃみ及びかゆみをもたらす。これらの事象の全てが数分の内に起こるので、この反応は、反応の初期相又は即時相と呼ばれる。
【0021】
4〜8時間かけて、上記のメディエーターは、事象の複雑な相互作用により、粘膜への、好中球、好酸球、リンパ球、及びマクロファージなどといった他の炎症細胞の動員をもたらす。その結果、後期相応答と呼ばれる継続的な炎症が起こる。後期相応答の症状は初期相のものに似ているが、くしゃみとかゆみは弱くなり、鼻詰まりと粘液産生量は増加する傾向がある。後期相は数時間又は数日間持続し得る。
【0022】
アトピー性皮膚炎は、通常は早期乳児期(early infancy)に始まる原因不明のそう痒性疾患であり(成人発症型も認知されている)、そう痒、湿疹性病変、乾皮症(乾燥肌)、及び苔癬化(皮膚の肥厚及び皮膚紋理(skin markings)の増加)を特徴とする。アトピー性皮膚炎は他のアトピー性(免疫グロブリンE[IgE])疾患(例えば喘息、アレルギー性鼻炎、じんま疹、食物に対する急性アレルギー反応)と関連し得る。アトピー性皮膚炎は罹病率(morbidity)が高く、その発生率(incidence)と有病率(prevalence)は増加しつつあるようである。
【0023】
アトピー性皮膚炎(AD)の発生には遺伝因子が重要であることは、たくさんの証拠が示しているが、その病態生理はまだよくわかっていない。この炎症性病変の発生に関して二つの主要な仮説が提案されている。第1の仮説は、IgE感作の原因となる免疫機能障害及び二次的な上皮障壁障害を示唆するものである。第2の仮説は、上皮細胞の欠陥が不完全な障壁という問題をもたらすと提唱するものであり、免疫学的側面は付帯徴候であるとしている。
【0024】
そう痒は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、及び他のアレルギー反応などといった皮膚病によく見られる症状である。そう痒を効果的に治療すれば、掻爬が誘発する合併症、例えば慢性単純性苔癬及び膿痂疹を防止することができる。
【0025】
そう痒は、手首及び足首に最も多く集中している皮膚の自由神経終末内で始まる。そう痒の感覚は、C線維を通って脊髄の後角に伝達され、次に脊髄視床路を通って大脳皮質に伝達される。そう痒は、深部腱反射と同程度に先天性である脊髄反射応答、すなわち掻爬を生じさせる。原因がなんであれ、そう痒はしばしば、皮膚炎症、乾燥した周囲条件又は暑い周囲条件、皮膚血管拡張、及び心理的ストレス要因によって悪化する。
【0026】
じんま疹及び他のアレルギー反応を持つ人々において肥満細胞が放出するヒスタミンは、古典的にそう痒と結びつけられている因子の一つである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Wedemeyer et al.著, 2000, Curr Opin Immunol. 2000;12(6):624-31
【非特許文献2】Toruniowa, Jablonska著, 1988
【非特許文献3】Bienenstock et al.著, 1987 Int Arch Allergy Appl Immunol 82:238-43
【非特許文献4】Naukkarinen et al.著, 1996 J Pathol. 1996;180(2):200-5
【非特許文献5】Benoist及びMathis著, 2002;Nature 2002;420(6917):875-8
【非特許文献6】Steinhoff et al.著, 2003, Arch Dermatol. 2003;139(11):1479-88
【非特許文献7】Maurer et al.著, Hautarzt. 2003;54(2):138-43
【非特許文献8】Maurer et al.著, Hautarzt. 2004;55(4):350-6
【非特許文献9】Mlynek et al.著, Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2008;8(5):433-7
【非特許文献10】Helmeczi著, Dermatologica, 1955 110:439-48
【非特許文献11】Schubert及びChristophers著, Arch Dermatol Res 1985;277:352-8
【非特許文献12】Brody, J Invest Dermatol. 1984 May;82(5):460-4
【非特許文献13】Ashenagar et al.著, Arch Dermatol Res. 2007 Feb;298(9):421-6
【非特許文献14】Ghoreschi K及びRoecken M著, J Dtsch Dermatol Ges 2003;1:524-32
【非特許文献15】Nakamura et al.著, 2003 Br J Dermatol;149(4):718-30
【非特許文献16】Ackermann及びHarvima著, Arch Dermatol Res. 1998 Jul;290(7):353-9
【非特許文献17】Sundberg et al.著, Eur J Immunol 1998 Apr;28(4):1379-88
【非特許文献18】Arck et al.著, J Mol Med. 2005;83(5):386-96
【非特許文献19】Singh et al.著, J Pharmacol Exp Ther. 1999 Mar;288(3):1349-56
【非特許文献20】Maurer et al.著, Exp Dermatol. 2003 Dec;12(6):886-910
【非特許文献21】Siebenhaar et al.著, J Allergy Clin Immunol. 2008;121(4):955-61
【非特許文献22】Fantozzi et al.著, 1978 Nature 273:473-4
【非特許文献23】Kristensen et al.著, Br J Dermatol. 1995 Dec;133(6):905-8
【非特許文献24】Petersen et al.著, Acta Derm Venereol. 1998 May;78(3):190-3
【非特許文献25】Zonneveld et al.著, J Am Acad Dermatol. 1997 Jun;36(6 Pt 1):932-4. 7-103
【非特許文献26】Tsuji et al.著, Genomics 2003;81(1):26-33
【非特許文献27】Arathi et al.著, Am J Med, 2007, 120 (11):953-959
【非特許文献28】Hagforsen et al.著, Acta Derm Venereol 2002;82(5):341-6
【非特許文献29】Wessler及びKirkpatrick著, Pulm Pharmacol Ther. 2001;14(6):423-34
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
上述のように、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎及び角結膜炎などの肥満細胞媒介疾患に利用することができる治療にはさまざまな短所がある。したがって、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎及び角結膜炎並びに他の肥満細胞媒介疾患のための改良された治療が必要とされている。
【0029】
ネラメキサン(1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサンとも呼ばれている)などの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は、さまざまな疾患の治療に、とりわけアルツハイマー病及び神経障害性痛を含む一定の神経疾患の治療に、有用であることが見いだされている。ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は、米国特許第6,034,134号及び同第6,071,966号に詳しく開示されており、これらの特許の内容は参照により本明細書に組み込まれる。ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の治療作用は、神経細胞のN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体における過剰なグルタミン酸の効果の阻害に関係すると考えられ、それゆえ、これらの化合物は、NMDAアンタゴニスト又はNMDA受容体アンタゴニストにも分類される。
【0030】
ネラメキサンはα9α10ニコチン性アセチルコリン受容体の遮断薬でもある。ネラメキサンは非競合的アンタゴニストとして挙動する。1mMより高い濃度でのネラメキサンによる遮断は、膜電位にはわずかに依存するに過ぎないと報告されており、脱感作の速度を変更しないとも報告されているので、別の機序が関与するのかもしれない(Plazas, Paola V. et al., European Journal of Pharmacology 2007;566:11-19)。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎、及び角結膜炎などの肥満細胞媒介疾患の治療及び/又は予防を必要とする対象における当該肥満細胞媒介疾患を治療及び/又は予防する方法であって、その個体に、有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)を投与することを含む方法に関する。
【0032】
また、本発明は、食物アレルギーなどの肥満細胞媒介疾患の治療及び/又は予防を必要とする対象における当該肥満細胞媒介疾患を治療及び/又は予防する方法であって、その個体に、有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)を投与することを含む方法に関する。
【0033】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回投与される、上述の方法に関する。
【0034】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が即放性製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0035】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が放出調節製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0036】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が外用(topical)リンスオフ(rinse off)又はリーブオン(leave on)製剤などの外用製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0037】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が経口製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0038】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が全身性に投与される、上述の方法に関する。
【0039】
本発明のさらにもう一つの態様は、肥満細胞媒介疾患の治療及び/又は予防を必要とする対象における当該肥満細胞媒介疾患を治療及び/又は予防する方法であって、その個体に、有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と、肥満細胞媒介疾患の治療又は予防に有効であることが示されている一つ以上の追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン(ciproxifan)、クロベンプロピット(clobenpropit)、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とを投与することを含む方法に関する。
【0040】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが協同的に(conjointly)投与される、上述の方法に関する。
【0041】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが単一の製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0042】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが、外用リンスオフ又はリーブオン製剤などの外用製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0043】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが全身性に投与される、上述の方法に関する。
【0044】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが経口製剤として投与される、上述の方法に関する。
【0045】
本発明のさらにもう一つの態様は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎、及び角結膜炎などの肥満細胞媒介疾患に苦しむ個体を治療するための1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)に関する。
【0046】
本発明のさらにもう一つの態様は、食物アレルギーなどの肥満細胞媒介疾患に苦しむ個体を治療するための1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)に関する。
【0047】
本発明のさらにもう一つの態様は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎、及び角結膜炎などの肥満細胞媒介疾患に苦しむ個体を治療するための医薬を製造するための、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)の使用に関する。
【0048】
本発明のさらにもう一つの態様は、食物アレルギーなどの肥満細胞媒介疾患に苦しむ個体を治療するための医薬を製造するための、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)の使用に関する。
【0049】
本発明のさらにもう一つの態様は、メシル酸ネラメキサンが約5mg〜約150mg/日の範囲で投与されるか、メシル酸ネラメキサンが約5mg〜約100mg/日の範囲で投与されるか、メシル酸ネラメキサンが約5mg〜約75mg/日の範囲で投与されるか、メシル酸ネラメキサンが約50mg/日で投与されるか、メシル酸ネラメキサンが、例えば経口製剤として、約75mg/日で投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0050】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0051】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が即放性製剤又は放出調節製剤として投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0052】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が、外用リンスオフ又はリーブオン製剤などの外用製剤として投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0053】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が経口製剤として投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0054】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)が全身性に投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0055】
本発明のさらにもう一つの態様は、肥満細胞媒介疾患の治療又は予防に有効であることが示されている少なくとも一つの追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)が投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0056】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが協同的に投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0057】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが単一の製剤として投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0058】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが、外用リンスオフ又はリーブオン製剤などの外用製剤として投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0059】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが経口製剤として投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0060】
本発明のさらにもう一つの態様は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とが全身性に投与される、上に規定した誘導体又は使用に関する。
【0061】
本発明のさらにもう一つの態様は、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と、場合により、少なくとも一つの医薬上許容される担体又は賦形剤とを含む、肥満細胞媒介疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0062】
本発明のさらにもう一つの態様は、即放性製剤又は放出調節製剤中に治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)を含む、肥満細胞媒介疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0063】
本発明のさらにもう一つの態様は、外用製剤中に治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)を含む、肥満細胞媒介疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0064】
本発明のさらにもう一つの態様は、経口製剤中に治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)を含む、肥満細胞媒介疾患を治療するための医薬組成物に関する。
【0065】
本発明のさらにもう一つの態様は、肥満細胞媒介疾患の治療に有効であることが示されている少なくとも一つの追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)と組み合わされた治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と、場合により、少なくとも一つの医薬上許容される担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0066】
本発明のさらにもう一つの態様は、肥満細胞媒介疾患の治療に有効であることが示されている、少なくとも一つの追加医薬剤(例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)と組み合わされた治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン又は医薬上許容されるその塩、例えばメシル酸ネラメキサン)と、場合により、少なくとも一つの医薬上許容される担体又は賦形剤とを含む、外用製剤又は経口製剤の形態である医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】インビトロでの肥満細胞脱顆粒に対するネラメキサンの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本明細書で使用する肥満細胞媒介疾患という用語は、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎、及び角結膜炎を包含する。
【0069】
本明細書で使用する肥満細胞媒介疾患という用語は、食物アレルギーも包含する。
【0070】
本明細書で使用するじんま疹という用語は、アレルギー性じんま疹及び非アレルギー性じんま疹を包含する。
【0071】
本明細書で使用するアトピー性皮膚炎という用語は、アトピー性湿疹を包含する。
【0072】
本明細書で使用する乾癬という用語は、尋常性乾癬、プラーク乾癬(plaque psoriasis)、屈曲部乾癬(flexural psoriasis)、倒置乾癬(inverse psoriasis)、滴状乾癬、膿疱性乾癬、爪乾癬、乾癬性紅皮症及び乾癬性関節炎を包含する。
【0073】
本明細書で使用する喘息という用語は、気管支喘息、アレルギー性喘息及び非アレルギー性喘息を包含する。
【0074】
本明細書で使用する鼻炎という用語は、アレルギー性鼻炎(例えば季節性鼻炎、通年性鼻炎、及び職業性鼻炎)及び非アレルギー性鼻炎(例えば好酸球増多性、自律神経性、ホルモン性、薬物誘発性、萎縮性、及び味覚性鼻炎)及び感染性鼻炎を包含する。
【0075】
本明細書で使用する肥満細胞症という用語は、皮膚肥満細胞症及び全身性肥満細胞症を包含する。
【0076】
本明細書で使用する食物アレルギーという用語は、食物タンパク質に対する免疫応答、例えば乳製品アレルギー、卵アレルギー、ピーナッツアレルギー、木の実アレルギー、海産物アレルギー、甲殻類アレルギー、大豆アレルギー、及び小麦アレルギー又はそれらの組合せを包含する。
【0077】
本明細書で使用するメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、チオトロピウム、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、シクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、ジロートン、メチルキサンチン類、テオフィリン、アミノフィリン、オマリズマブ、メトトレキサート、及びケトチフェンという用語は、それぞれ、その光学異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、水和物、医薬上許容される塩、及び混合物を包含する。
【0078】
本明細書で使用する「対象」という用語は、動物及びヒトを含む哺乳動物を包含する。
【0079】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体という用語は、本明細書では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン又は1-アミノ-アルキルシクロヘキサンから誘導される化合物、例えば1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の医薬上許容される塩を示すために使用される。
【0080】
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は、一般式(I):
【化1】

[式中、R*は-(CH2)n-(CR6R7)m-NR8R9であり、
n+m=0、1、又は2であり、
R1〜R7は、水素及びC1-6アルキルからなる群より独立して選択され、R8及びR9は、水素及びC1-6アルキルからなる群より独立して選択されるか、全体として低級アルキレン-(CH2)x-(式中、xは2〜5(両端を含む)である)を表す]
並びにその光学異性体、エナンチオマー、水和物、及び医薬上許容される塩によって表すことができる。
【0081】
本発明に従って使用される1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類の限定でない例には、次に挙げるものが含まれる:
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1(trans),3(trans),5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1(cis),3(cis),5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン(ネラメキサン)、
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-cis-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1S,5S)cis-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-trans-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1R,5S)trans-3-エチル-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチル-シクロヘキサン、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン、
3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルメチルアミン、
1-アミノ-1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5(trans)-テトラメチルシクロヘキサン(アキシャルアミノ基)、
3-プロピル-1,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシルアミン半水和物、
1-アミノ-1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-プロピルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3(trans),5(trans)-トリメチル-3(cis)-プロピルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3-ジメチル-3-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、
cis-3-エチル-1(trans)-3(trans)-5-トリメチルシクロヘキサミン、
1-アミノ-1,3(trans)-ジメチルシクロヘキサン、
1,3,3-トリメチル-5,5-ジプロピルシクロヘキシルアミン、
1-アミノ-1-メチル-3(trans)-プロピルシクロヘキサン、
1-メチル-3(cis)-プロピルシクロヘキシルアミン、
1-アミノ-1-メチル-3(trans)-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(cis)-エチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3-トリメチル-5(trans)-エチルシクロヘキサン、
cis-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、
trans-3-プロピル-1,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、
N-エチル-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシルアミン、
N-メチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-メチルシクロヘキサン、
N,N-ジメチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
2-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)エチルアミン、
2-メチル-1-(3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)プロピル-2-アミン、
2-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル-l)-エチルアミン半水和物、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)-ピロリジン、
1-アミノ-1,3(trans),5(trans)-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,3(cis),5(cis)-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1R,5S)trans-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-(1S,5S)cis-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(cis)-イソプロピル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3(trans)-イソプロピル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1-メチル-3(cis)-エチル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1-メチル-3(cis)-メチル-シクロヘキサン、
1-アミノ-5,5-ジエチル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン、
1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキサン、
1-アミノ-1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、
N-エチル-1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン、
N-(1,3,5-トリメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-[1,3(trans),5(trans)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-[1,3(cis),5(cis)-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,5,5-テトラメチル-3-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,5,5-トリメチル-3,3-ジエチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3-トリメチル-cis-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-[(1S,5S)cis-5-エチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3-トリメチル-trans-5-エチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-[(1R,5S)trans-5-エチル,3,3-トリメチルシクロヘキシル]ピロリジン又はピペリジン、
N-(1-エチル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1-プロピル-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキシル)ピロリジン又はピペリジン、
N-(1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキシル)ピロリジン、
並びにその光学異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、水和物、それらの医薬上許容される塩、及び混合物。
【0082】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン、1-アミノ-1,3,3,5,5-ペンタメチルシクロヘキサン)は、米国特許第6,034,134号及び同第6,071,966号に開示されている。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、医薬上許容される塩、溶媒和物、異性体、コンジュゲート、及びプロドラッグのいずれの形態でも、本発明に従って使用することができ、本明細書における1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)への言及はいずれも、そのような塩、溶媒和物、異性体、コンジュゲート、及びプロドラッグへの言及でもあると理解すべきである。
【0083】
医薬上許容される塩には、酸付加塩、例えば塩酸、メチルスルホン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、炭酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、及び2-アセトキシ安息香酸を使って製造されるものなどが含まれるが、これらに限るわけではない。これらの塩(又は他の類似する塩)は全て、従来の手段によって製造することができる。塩の性質は、それが無毒性であり、且つ所望の薬理活性を実質的に妨害しない限り、決定的な問題ではない。
【0084】
「類似体」又は「誘導体」という用語は、本明細書では、従来の薬学的意味で、基準分子(例えばネラメキサン)に構造的に似ているが、基準分子の一つ以上の特定置換基を代替置換基で置き換えることによって基準分子に構造的に類似する分子が生じるように、標的を絞った制御された方法で修飾された分子を指すために用いられる。改善された特質又は偏った特質(例えば、特異的標的受容体タイプにおける力価及び/又は選択性の向上、哺乳動物の障壁、例えば細胞膜を貫通する能力の増大、副作用の低減など)を持ち得る、既知化合物のわずかに修飾された異形を同定するために行われる、類似体の合成及びスクリーニング(例えば構造解析及び/又は生化学的解析を使用するもの)は、薬化学においては周知のドラッグデザインアプローチである。
【0085】
「治療する」という用語は、本明細書では、対象における疾患の少なくとも一つの症状を軽減又は緩和することを意味するために用いられる。本発明において、「治療する」という用語は、発症を阻止すること、発症を遅延させること(すなわち疾患の臨床症状発現前の期間)、及び/又は疾患が進行若しくは悪化するリスクを低下させることも表す。
【0086】
用量又は量に適用される「治療(的に)有効」という用語は、それを必要とする哺乳動物への投与後に所望の活性をもたらすのに十分な化合物又は医薬組成物の分量を指す。
【0087】
本発明の組成物に関連して使用される「医薬上許容される」という表現は、哺乳動物(例えばヒト)に投与された場合に生理学的に認容でき、不都合な反応を典型的には生じない、当該組成物の分子的実体及び他の成分を指す。「医薬上許容される」という用語は、哺乳動物(特にヒト)における使用に関して、連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認されていること、又は米国薬局方若しくは他の広く認識されている薬局方に記載されていることも意味する。
【0088】
本発明の医薬組成物に適用される「担体」という用語は、活性化合物(例えばネラメキサン)と一緒に投与される希釈剤、賦形剤、又は媒体(vehicle)を指す。そのような医薬担体は、水、食塩溶液、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、及び油(石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含む)などの滅菌された液体であることができる。適切な医薬担体は、例えばA.R.Gennaro編「Remington's Pharmaceutical Sciences」第20版に記載されている。
【0089】
「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の20%以内、或いは10%以内(5%以内を含む)を意味する。或いは、とりわけ生物系では、「約」という用語は、所与の値の約1log(すなわち一桁)以内(2分の1〜2倍以内(within a factor of two)を含む)を意味する。
【0090】
医薬製剤及び投与
本発明の方法と併せて、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を含む医薬組成物も提供される。本発明の組成物は担体又は賦形剤(全て医薬上許容されるもの)をさらに含み得る。本組成物は1日1回投与用、1日2回投与用、又は1日3回投与用に製剤化することができる。
【0091】
本発明の活性成分(例えばメシル酸ネラメキサンなどのネラメキサン)又は組成物は、上述した障害の少なくとも一つを治療するために使用することができ、その場合、治療は、本明細書に開示する特定の投与(例えば1日1回投与、1日2回投与、又は1日3回投与)に適合するか、そのような投与に合わせて適切に準備される。この目的のために、添付文書及び/又は患者向け医薬品情報は、対応する情報を含む。
【0092】
本発明の活性成分(例えばメシル酸ネラメキサンなどのネラメキサン)又は組成物は、上述した障害の少なくとも一つを治療するための医薬の製造に使用することができ、その場合、医薬は、本明細書に開示する特定の投与(例えば1日1回投与、1日2回投与、又は1日3回投与)に適合するか、そのような投与に合わせて適切に製造される。この目的のために、添付文書及び/又は患者向け医薬品情報は、対応する情報を含む。
【0093】
本発明によれば、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)の剤形は、下記のとおり、固形、半固形、又は液状製剤であることができる。
【0094】
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、従来の医薬上許容される無毒性の担体を含有する投薬単位製剤として、経口投与、外用投与、非経口投与、又は粘膜(例えば口腔粘膜、吸入、又は直腸)投与することができる。小児対象に投与するためのもう一つの実施形態では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体を、フレーバ付の液体(例えばペパーミントフレーバ)として製剤化することができる。本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体は、カプセル剤、錠剤などの形態で、若しくは液状製剤として経口的に投与するか、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、ヒドロゲル剤などの半固形物として外用的に投与することができる(A.R. Gennaro編「Remington's Pharmaceutical Sciences」第20版を参照されたい)。
【0095】
錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与するには、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、無毒性の医薬上許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール並びに他の還元糖及び非還元糖、微結晶セルロース、硫酸カルシウム、又はリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、又はシリカ、ステアリン酸(steric acid)、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウムなど);崩壊剤(例えばバレイショデンプン又はグリコール酸デンプンナトリウム);又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤及び着香剤(flavoring agent)、ゼラチン、甘味剤、天然ゴム及び合成ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカント又はアルギナート)、緩衝塩、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどと組み合わせることができる。
【0096】
錠剤は、例えばアラビアゴム、ゼラチン、滑石、二酸化チタンなどを含有し得る濃縮糖溶液でコーティングすることができる。或いは、易揮発性有機溶媒又は有機溶媒の混合物に溶解するポリマーで錠剤をコーティングすることができる。特定の実施形態では、ネラメキサンが即放性(IR)剤形又は放出調節(MR)剤形に製剤化される。即放性固形剤形は、短期間、例えば60分以下で、活性成分の大半又は全てを放出させて、薬物の迅速な吸収を可能にする(ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサンの即放性製剤は米国特許出願公開第2006/0002999号及び同第2006/0198884号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。放出調節固形経口剤形は、長期間にわたって治療的に有効な血漿中レベルを維持し、且つ/又は活性成分の他の薬物動態特性を修飾する目的で、同様に長期間にわたる活性成分の徐放を可能にする(ネラメキサンの放出調節製剤は米国特許出願公開第2007/0141148号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0097】
軟ゼラチンカプセル剤を製剤化するために、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、例えば植物油又はポリエチレングリコールと混合することができる。硬ゼラチンカプセル剤は、上述の錠剤用賦形剤、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン(例えばバレイショデンプン、トウモロコシデンプン又はアミロペクチン)、セルロース誘導体又はゼラチンを使った、活性物質の顆粒を含有し得る。液状又は半固形の薬物も硬ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0098】
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、マイクロスフェア又はマイクロカプセル(例えばポリグリコール酸/乳酸(PGLA)から作製されるもの)の中に導入することもできる(例えば米国特許第5,814,344号、同第5,100,669号及び同第4,849,222号、PCT公開番号WO95/11010及び同WO93/07861を参照されたい)。薬物の放出制御の達成には生体適合性ポリマーを使用することができ、これには、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーが含まれる。
【0099】
半固形又は液状である本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の製剤も使用することができる。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、その製剤の0.1〜99重量%を構成することができ、より具体的に述べると、注射用製剤の場合は0.5〜20重量%を、また経口投与に適した製剤の場合は0.2〜50重量%を構成することができる。
【0100】
外用投与に適した半固形型又は液状型である本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の製剤も使用することができる。そのような製剤には、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、ヒドロゲル剤、ペースト剤、乳剤、噴霧剤、溶液剤、ローション剤などが含まれる。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、製剤の0.1〜99重量%、より具体的には製剤の0.5%〜50重量%、又は製剤の1%〜25重量%、又は製剤の2%〜20重量%を構成し得る。
【0101】
本発明の一実施形態では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)が放出調節製剤として投与される。放出調節剤形は、患者のコンプライアンスを改善する手段になり、薬物有害反応の発生頻度を低下させることによって効果的且つ安全な治療を保証する手段にもなる。即放性剤形と比較して、放出調節剤形は、投与後の薬理作用を引き延ばすために使用することができ、また、投薬間隔全体にわたる薬物の血漿中濃度の変動を低減することによって急激なピークを排除又は低減するために使用することができる。
【0102】
放出調節剤形は薬物でコーティングされたコア又は薬物を含有するコアを含み得る。その場合、コア部は放出調節ポリマーでコーティングされ、その内部に薬物が分散される。放出調節ポリマーは徐々に崩壊し、時間をかけて薬物を放出する。こうして、組成物の最外層は、組成物が水性環境、すなわち消化管にばく露された時に、コーティング層を横切る薬物の拡散を効果的に減速することによって調節する。薬物の正味の拡散速度は、主として、コーティング層又はマトリックスに浸透する胃液の能力と、薬物自体の溶解性とに依存する。
【0103】
本発明のもう一つの実施形態では、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)が、経口液状製剤に製剤化される。経口投与用の液状調製物は、例えば溶液剤、シロップ剤、乳剤又は懸濁剤の形態をとるか、使用前に水若しくは他の適切な媒体で再構成するための乾燥製品として提示することができる。経口投与用の調製物は活性化合物の放出制御又は放出延期が起こるように適切に製剤化することができる。1-アミノ-アルキルシクロヘキサン類(例えばネラメキサン)の経口液状製剤はPCT国際出願第PCT/US2004/037026号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
液状での経口投与には、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、無毒性の医薬上許容される不活性担体(例えばエタノール、グリセロール、水)、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂)、乳化剤(例えばレシチン又はアラビアゴム)、非水性媒体(例えばアーモンド油、油状エステル、エチルアルコール又は分画植物油)、保存剤(例えばメチル若しくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)などと組み合わせることができる。剤形を安定化するために、酸化防止剤(例えばBHA、BHT、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸)などの安定剤も加えることができる。例えば、溶液剤は約0.2重量%〜約20重量%のネラメキサンを含有し、残りは糖並びにエタノール、水、グリセロール及びプロピレングリコールの混合物であることができる。場合により、そのような液状製剤は、着色剤、着香剤、甘味剤、及びカルボキシメチル-セルロースなどの増粘剤、又は他の賦形剤を含有してもよい。
【0105】
もう一つの実施形態では、治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)が、保存剤、甘味剤、可溶化剤、及び溶媒を含有する経口溶液剤として投与される。経口溶液剤は、一つ以上の緩衝剤、香料(flavoring)、又は追加の賦形剤を含み得る。さらにもう一つの実施形態では、ペパーミント又は他の香料が、ネラメキサン誘導体経口液状製剤に加えられる。
【0106】
吸入による投与の場合は、本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)を、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切な気体を使って、加圧容器又は噴霧器から、エアロゾルスプレー提示の形で、都合よく送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計測された量を送達するためのバルブを設けることによって決定することができる。化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有する、吸入器用又は吹入器(insufflator)用の、例えばゼラチン製などのカプセル及びカートリッジを製剤化することができる。
【0107】
注射による非経口適用のための溶液剤は、活性物質の医薬上許容される水溶性塩の水溶液として、例えば約0.5重量%〜約10重量%の濃度で製造することができる。これらの溶液剤は、安定剤及び/又は緩衝剤も含有することができ、さまざまな投薬単位アンプルに入れて、都合よく提供することができる。
【0108】
本発明の製剤は、非経口的に、すなわち静脈内(i.v.)、脳室内(i.c.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、真皮下(s.d.)、又は皮内(i.d.)投与により、例えばボーラス注射又は持続注入による直接的注射で、送達することができる。注射用の製剤は、単位剤形で、例えばアンプルに入れて、又は保存剤を添加して多用量容器に入れて、提示することができる。或いは、活性成分は、使用前に適切な媒体、例えば滅菌パイロジェンフリー水で再構成するための粉末の形態であってもよい。
【0109】
本発明は、1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)と、場合により、さらなる製剤成分とを含有する一つ以上の容器を含む、医薬パック又は医薬キットも提供する。ある特定の実施形態では、ネラメキサンが、2ティスプーン容量(2 teaspoon capacity)のシリンジ(dosage KORC(登録商標))を使って投与するための経口溶液剤(2mg/ml)として提供される。各経口シリンジは測定用のハッチマークを持ち、シリンジの右側(先端を下にした場合)にtsp単位を表す線、左側にml単位を表す線が引かれている。
【0110】
至適治療有効量は、薬物を投与する際の厳密な投与様式、その投与が目的とする適応症、関与する対象(例えば体重、健康状態、年齢、性別など)、並びに担当する医師又は獣医師の好み及び経験を考慮して、実験的に決定することができる。
【0111】
直腸適用のための投薬単位は溶液剤又は懸濁剤であるか、中性脂肪基剤と混合されたネラメキサンを含む坐剤若しくは停留浣腸剤、又は植物油若しくはパラフィン油と混合された活性物質を含むゼラチン直腸カプセル剤の形態で製造することができる。
【0112】
本発明の組成物の毒性及び治療効力は、実験動物において、標準的な薬学的手順により、例えばLD50(集団の50%にとって致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定することなどによって、決定することができる。治療効果と毒性効果の間の用量比が治療係数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療係数を示す組成物は好ましい。
【0113】
ヒトの治療的治療における本発明の活性化合物の適切な1日量は、経口投与の場合で約0.01〜10mg/kg体重、非経口投与の場合で0.001〜10mg/kg体重である。例えば成人の場合、ネラメキサン(例えばメシル酸ネラメキサン)の適切な1日量は、1日あたり約5mg〜約150mg、例えば1日あたり約5mg〜約120mg、約5mg〜約100mg、又は約5mg〜約75mg、又は約5mg〜約50mgの範囲内、例えば25mg又は37.5mg又は50mgである。例えば1日量は、体重90kgまでは50mg/日、又は体重≧90kgの患者については75mg/日など、体重に合わせて調節することができる。等モル量の、他の医薬上許容されるその塩、溶媒和物、異性体、コンジュゲート、プロドラッグ又は誘導体、例えば塩酸ネラメキサンも、適切である。4〜14歳の小児対象には、ネラメキサン(例えばメシル酸ネラメキサン)を、経口液状剤形として、約0.5mg/日から、最大10mg/日までの用量で投与することができる。
【0114】
本明細書に示す1日量は、例えば1投与単位又は2投与単位として、1日に1回、2回、又は3回、投与することができる。したがって、1投薬単位あたりの適切な用量は、1日に投与される投薬単位の数で1日量を(例えば等しく)分割した量になり、したがって典型的には、1日量にほぼ等しいか、その2分の1、3分の1、4分の1又は6分の1になる。したがって、投薬単位あたりの投薬量は、本明細書に示す各1日投薬量から算出することができる。例えば5mgという1日量は、選択した投与レジメンに応じて、1投与単位あたり例えば約5mg、2.5mg、1.67mg、1.25mg及び0.83mgの用量を与えると理解することができる。同様に、1日あたり150mgの投薬量は、対応する投与レジメンに合わせて、1投与単位あたり約150mg、75mg、50mg、37.5mg、及び25mgの投薬量に相当する。
【0115】
治療継続期間は、短期間、例えば数週間(例えば8〜14週間)であってもよいし、さらなる投与はもはや必要ないと担当医が考えるまで、長期間にわたってもよい。
【0116】
本発明の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体(例えばネラメキサン)は、単剤療法として投与するか、又は肥満細胞媒介疾患の治療に処方されるもう一つの薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0117】
活性成分に適用される「組合せ」という用語は、本明細書においては、二つの活性剤を含む単一の医薬組成物(製剤)(例えばネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体と、肥満細胞媒介疾患の治療に処方されるもう一つの薬剤、例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とを含む医薬組成物)を規定するか、又はそれぞれが一つの活性剤を含む二つの別個の医薬組成物(例えばネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体を含む医薬組成物と、肥満細胞媒介疾患の治療に処方されるもう一つの薬剤、例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)を含むもう一つの医薬組成物)であって、協同的に投与されるものを規定するために用いられる。
【0118】
本発明に関して、「協同的(conjoint)投与」という用語は、ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体と、1つ以上の追加活性剤(例えば肥満細胞媒介疾患の治療に処方されるもう一つの薬剤、例えば抗コリン作用物質(例えばメカミラミン、キヌレン酸、d-ツボクラリン、ヘキサメトニウム、アトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、及びチオトロピウム)、抗ヒスタミン薬(例えばジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、クエチアピン、フェキソフェナジン、フェニラミン、セチリジン、プロメタジン、シメチジン、ファモチジン、ラニチジン、ニザチジン、A-349,821、ABT-239、シプロキシファン、クロベンプロピット、チオペラミド、JNJ7777120、クロモグリケート、ネドクロミル)、コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド(例えばシクレソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、及びトリアムシノロン)、ロイコトリエン調整物質(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、及びジロートン)、メチルキサンチン類(例えばテオフィリン及びアミノフィリン)、オマリズマブ、メトトレキサート及びケトチフェン)とを、一つの組成物として同時に投与するか、又は異なる組成物として同時に投与するか、又は逐次的に投与することを指すために用いられる。ただし、逐次的投与が「協同的」であるとみなされるには、ネラメキサンなどの1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体と1つ以上の追加薬剤とが、哺乳動物における肥満細胞媒介疾患の治療にとって有益な効果がまだ生じ得るような時間間隔で投与されなければならない。
【0119】
代表的製剤の例
よく使用される溶媒、補助剤及び担体を利用して、活性成分を錠剤、コート錠、カプセル剤、点滴液、坐剤、注射及び注入調製物、ゲル剤、クリーム剤、軟膏などに加工し、経口経路、直腸経路、非経口経路、外用経路、及び他の経路で、治療的に適用することができる。経口投与に適した錠剤は、従来の製錠技法によって製造することができる。以下の例は、例示のために記載するに過ぎず、これを限定であると解釈してはならない。
【0120】
製剤例1:メシル酸ネラメキサン即放性錠剤
以下の表に、活性構成要素、コーティング剤、及び他の賦形剤を含む、投薬量12.5、25.0、37.5、及び50.0mgのネラメキサン即放性錠剤の構成を記載する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0121】
以下の表に、ネラメキサン外用製剤の構成を示す。
【0122】
製剤例2:
【表5】

【表6】

【表7】

【0123】
製剤例3:
【表8】

【表9】

【表10】

【0124】
製剤例4:
【表11】

【表12】

【表13】

【0125】
製剤例5:
【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【実施例】
【0126】
以下に実施例を挙げて本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0127】
実施例1:アセチルコリンによって誘導される肥満細胞活性化にネラメキサンが及ぼす効果
ネラメキサンをインビトロでの肥満細胞脱顆粒を阻害するその能力について試験した。
【0128】
材料と方法
細胞培養
ヒト肥満細胞株HMC-1をJ.H.Butterfield(米国ミネソタ州)から入手し、37℃のRPMI培地1640(GIBCO、ドイツ・カールスルーエ)中、標準的条件下で培養する。機能アッセイのために、培地のカルシウム濃度を1mMに調節する。
【0129】
機能アッセイ
IBL(ドイツ・ハンブルク)製のサンドイッチ-ELISAを使って培養培地中のヒスタミン濃度を決定することにより、肥満細胞脱顆粒をモニタリングする。無処理細胞、細胞を含まない培地、カルシマイシン(陽性対照として使用されるカルシウムイオノフォア)で処理したHMC-1細胞でのヒスタミン濃度を決定する。細胞の反応性(reagibilty)をチェックするためのさらなる対照は、LPS(リポ多糖)及びPMA(ホルボール12-ミリステート13-アセテート)である。ヒスタミン濃度は、各物質を添加した10分後に決定する。nAChRにはニコチン及びコリンを刺激物質として使用し、mAChRにはムスカリンを刺激物質として使用し、汎コリン作動性(pancholinergic)刺激物として、アセチルコリンとエゼリン(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)の組合せを使用する。ネラメキサンを10E-6M〜10E-16Mの範囲の濃度で試験し、各コリン作動性刺激物質の5分前に培養培地に加える。全ての実験を四つ一組にして2回行う。
【0130】
データの評価
統計解析はウィルコクソンの順位和検定(www.statpages.netで利用することができる)を使って行う。
【0131】
コリン作動性シグナルに対する肥満細胞の感受性を決定するために、低又は高カルシウム濃度の標準条件下で培養したHMC-1細胞株を使用する。低カルシウム濃度を使用すると、HMC-1細胞はACH、ニコチン及びカルシマイシンに対して非応答性のままである。カルシウム濃度を1mMまで上昇させると、HMC-1細胞が、コリン作動性刺激に対して高感度になる。ACh、コリン及びニコチンは、培養上清中のヒスタミン濃度によって証明される肥満細胞脱顆粒を用量依存的に引き起こす。完全な脱顆粒を誘導するにはナノモル濃度のACh及びニコチンで十分である。得られた効果の特異性は、HMC-1細胞を抗コリン作用物質とプレインキュベートすることによって実証することができる。メシル酸ネラメキサンは、観察された効果を等モル濃度で阻害し、各アゴニストより低い濃度でさえ、用量依存的に阻害する。培養培地にムスカリンを添加してもヒスタミンの遊離は起こらない。これらの結果を図1に示す。
【0132】
結果
ネラメキサンは、肥満細胞脱顆粒に対して用量依存的阻害効果を示す。これらの結果は、ネラメキサンが、じんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎及び角結膜炎などの肥満細胞媒介疾患の治療に役立ち得ることを示している。
【0133】
これらの結果はさらに、ネラメキサンが食物アレルギーなどの肥満細胞媒介疾患の治療に役立ち得ることも示している。
【0134】
本発明は、本明細書に記載する具体的実施形態によってその範囲を限定されるものではない。実際、上述の説明から当業者には、本明細書に記載する実施形態の他に、本発明のさまざまな変更実施形態が明白になるだろう。そのような変更実施形態は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0135】
本明細書で言及する特許、特許出願、刊行物、試験方法、文献、及び他の資料は全て、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満細胞媒介疾患を治療又は予防するための1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体。
【請求項2】
肥満細胞媒介疾患を治療又は予防するための医薬を製造するための1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体の使用。
【請求項3】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体がネラメキサン又は医薬上許容されるその塩である、請求項1又は2に記載の誘導体/使用。
【請求項4】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体がメシル酸ネラメキサンである、請求項3に記載の誘導体/使用。
【請求項5】
メシル酸ネラメキサンが約5mg〜約150mg/日の範囲、又は約5mg〜約100mg/日の範囲、又は約5mg〜約75mg/日の範囲で投与される、請求項4に記載の誘導体/使用。
【請求項6】
メシル酸ネラメキサンが約50mg/日で投与される、請求項4に記載の誘導体/使用。
【請求項7】
メシル酸ネラメキサンが約75mg/日で投与される、請求項4に記載の誘導体/使用。
【請求項8】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が1日1回、1日2回(b.i.d.)、又は1日3回投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の誘導体/使用。
【請求項9】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が外用製剤として投与される、請求項1〜4又は8のいずれか一項に記載の誘導体/使用。
【請求項10】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が製剤の0.1〜99重量%で投与される、請求項9に記載の誘導体/使用。
【請求項11】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体が経口製剤として投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の誘導体/使用。
【請求項12】
肥満細胞媒介疾患が乾癬ではない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の誘導体/使用。
【請求項13】
肥満細胞媒介疾患がじんま疹、アトピー性皮膚炎、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎及び角結膜炎から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の誘導体/使用。
【請求項14】
肥満細胞媒介疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項13に記載の誘導体/使用。
【請求項15】
肥満細胞媒介疾患が食物アレルギーである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の誘導体/使用。
【請求項16】
肥満細胞媒介疾患がじんま疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、そう痒、喘息、鼻炎、肥満細胞症、結膜炎及び角結膜炎から選択される、請求項9又は10に記載の誘導体/使用。
【請求項17】
肥満細胞媒介疾患の治療又は予防に有効であることが示されている追加医薬剤と組み合わされた治療有効量の1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体と、場合により、少なくとも一つの医薬上許容される担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
1-アミノ-アルキルシクロヘキサン誘導体がネラメキサン又は医薬上許容されるその塩である、請求項17に記載の医薬組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−510967(P2012−510967A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538907(P2011−538907)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009151
【国際公開番号】WO2010/069595
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(397045220)メルツ・ファルマ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクティーン (31)
【Fターム(参考)】