説明

育毛作用を有する物質のスクリーニング方法

【課題】従来の育毛剤とは異なる新規な作用機構を有する、優れた育毛剤のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】ABCトランスポーター遺伝子とプリン誘導体に対する受容体遺伝子で形質転換させた細胞に対して被験物質を添加し、そのときの該細胞内へのカルシウム流入量を指標とする育毛作用を有する物質のスクリーニング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛作用を有する物質のスクリーニング方法に関し、特に新規作用機構を有する育毛作用物質のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、 ヒト特に男性型脱毛を治療または予防する試みにおいて、多くの薬剤の使用が提案されてきた。 そのような薬剤としては、例えば、血管拡張剤、男性ホルモン受容体阻害剤、ステロイド−5α−レダクターゼ阻害剤、 ビタミン類、 免疫抑制剤等が挙げられる。 しかし、実際には、これらの薬剤の育毛剤としての有効性は十分満足できるものではないのが現状である。
【0003】
また、これまで、ヒト特に男性型脱毛を治療または予防する試みにおいて、いくつかの育毛物質のスクリーニング方法が提案されてきた。例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット等の小動物、特に適当な週齢のC3HマウスやC57BLマウス等の主として背部毛を剃り、試験物質を塗布して発毛の程度を観察する方法、マウスのヒゲ、ヒトの頭髪等を摘出し、得られた毛組織を器官培養し、試験物質を添加してその成長の程度を評価する方法、または毛組織をさらに細胞レベルにまで分画し、特に毛乳頭細胞または外毛根鞘細胞を個別にまたは共存培養した系に、試験物質を添加して増殖促進効果を試験する方法、適当な動物またはヒトでの血管拡張作用または血流促進効果を試験するもの等が試みられている。また、特に男性型脱毛においては、その発症に男性ホルモンが関与していることから、男性ホルモン受容体阻害試験や男性ホルモンであるテストステロンをジヒドロテストステロンに変換させる酵素であるステロイド−5α−レダクターゼ阻害試験等も応用されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−042416号公報
【0005】
【特許文献2】特開平02−311411号公報
【0006】
【特許文献3】特開平04−108721号公報
【0007】
【特許文献4】特開昭63−101307号公報
【0008】
【特許文献5】特開平06−128125号公報
【0009】
【特許文献6】特開平03−133920号公報
【0010】
【特許文献7】特開平08−073325号公報
【0011】
【特許文献8】特開平09−249539号公報
【0012】
【特許文献9】特開昭63−166837号公報
【0013】
【特許文献10】特開平05−286834号公報
【0014】
【特許文献11】特開平08−073320号公報
【0015】
【特許文献12】特開平10−203933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、従来の育毛剤とは異なる新規な作用機構を有する、優れた育毛剤を提供するためのスクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のスクリーニング方法は、ABCトランスポーター遺伝子とプリン誘導体に対する受容体遺伝子で形質転換させた細胞に対して被験物質を添加し、そのときの細胞内へのカルシウム流入量を指標とすることを特徴とするものである。
【0018】
上記ABCトランスポーター遺伝子は、スルホニルウレア受容体遺伝子とすることができる。
【0019】
上記プリン誘導体に対する受容体遺伝子はアデノシン受容体遺伝子またはATP受容体遺伝子とすることができる。
【0020】
細胞内へのカルシウム流入量は蛍光カルシウム指示薬を用いた蛍光強度で測定することができる。
【0021】
ABCトランスポーター遺伝子またはプリン誘導体に対する受容体遺伝子の形質転換を、宿主ベクター系による遺伝子組み換え技術によって行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、従来の育毛剤よりも高い育毛効果を有する育毛剤を提供することが可能である。
【0023】
特に、本発明によりスクリーニングされる育毛剤は、例えば、ATP、ATP誘導体、アデノシン、アデノシン誘導体等を細胞から放出させて、ATP受容体及び/又はアデノシン受容体を刺激して、育毛効果を発揮するという新規な作用機構に基づいており、顕著な育毛効果を奏するものである。
【0024】
なお、ATP受容体刺激作用を有する化合物を育毛剤とする場合、当該化合物としてアデノシン−5’−ジリン酸誘導体又はアデノシン−5’−トリリン酸誘導体を用いた場合に、特に高い育毛効果を得ることができる。
【0025】
そして、本発明では、ABCトランスポーターへの刺激作用を介するプリン受容体刺激作用、すなわちATP受容体及び/又はアデノシン受容体刺激作用、により、育毛効果を発揮するという新規な作用機構を有する育毛作用物質のスクリーニングを、容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の育毛剤及び本発明の方法によってスクリーニングされる物質の、作用機構を示す説明図である。
【図2】本発明のスクリーニング方法の実施例の結果を示すグラフである。
【図3】本発明のスクリーニング方法の実施例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、優れた有効性を有する育毛成分について鋭意研究の結果、驚くべきことに、アデノシン受容体及びATP受容体を含むプリン受容体への刺激作用が育毛効果と密接な関連を有していることを見出した。本発明は、この知見に基づくものである。
【0028】
既述したように、プリン受容体はアデノシン受容体及びATP受容体に大別される。そこで、まずアデノシン受容体について説明する。
【0029】
アデノシン受容体は、薬理学的及び構造的な特徴をもとに、現在、A1、A2a、A2b、A3の4種類のサブタイプに分類されている。そして、A1受容体は抗けいれん効果、神経保護効果、行動抑制効果、睡眠効果等を、A2(A2a又はA2b)受容体は行動抑制効果、睡眠効果等を、そしてA3受容体は肥満細胞の脱顆粒促進効果等の生理作用を有することが知られている。
【0030】
アデノシン受容体は生体中において様々な臓器に分布しており、細胞機能及び生理機能の調節に関与しているものと考えられている。例えば、心臓の血管平滑筋に分布するアデノシン受容体は、血中のアデノシン受容体刺激作用を有する化合物との結合により、血管を拡張し、冠血管の血流量を増大させることが知られている。また、近年、細胞上に存在するアデノシン受容体の刺激が細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させる等の現象を発生させることが明らかとなっている。
【0031】
本発明者らは、アデノシン受容体刺激作用がもたらす様々な現象が細胞組織の他の機能の調節に重要な役割を有する可能性について様々な側面から研究を重ねた結果、アデノシン受容体刺激作用が毛髪の生育に関して深く関与していることを突き止めた。
【0032】
アデノシン受容体刺激作用を有する物質としては、アデノシン受容体刺激作用を有する化合物の1種又は2種以上の他に、生体に適用後にアデノシン受容体刺激作用を有する化合物を遊離する化合物、若しくは、アデノシン受容体刺激作用を有する化合物の当該作用を増強する化合物の1種又は2種以上が挙げられる。
【0033】
アデノシン受容体刺激作用を有する前記化合物は、アデノシン受容体を刺激する作用を有するものであれば特に限定されるものではないが、アデノシン受容体との結合性の点では、アデノシン、N6−シクロヘキシルアデノシン、N6−シクロペンチルアデノシン、(R)−N6−フェニルイソプロピルアデノシン、(S)−N6−フェニルイソプロピルアデノシン、(R)−フェニル−イソプロピルアデノシン、N−[R−(2−ベンゾチアゾリル)チオ−2−プロピル]−2−クロロアデノシン、2−クロロ−N6−シクロペンチルアデノシン、N6−[4−[[[4−[[[2−[[[(p−イソチオシアナトフェニル)アミノ]チオカルボニル]アミノ]エチル]アミノ]カルボニル]メチル]アミノカルボニル]メチル]フェニル]アデノシン、N6−[4−[[[4−[[[2−[[[(m−イソチオシアナトフェニル)アミノ]チオカルボニル]アミノ]エチル]アミノ]カルボニル]メチル]アミノカルボニル]メチル]フェニル]アデノシン、N−(メチル−フェネチル)アデノシン、ミノプリニル−デオキシ−N−エチルリボフラヌロアミド、5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン、2−クロロアデノシン、N−エチル−1’−デオキシ−1’−[6−アミノ−2−[1−(3−ヒドロキシ−3−フェニル)プロピニル]−9H−プリン−9−イル]−β−D−リボフラン−5’−ウロナミド、N6−2−(4−アミノフェニル)エチルアデノシン、5’−N−シクロプロピルカルボキサミドアデノシン、N6−(p−スルホフェニル)アデノシン、1−デアザ−2−クロロ−−N6−シクロペンチルアデノシン、8−ブチルアデノシン、1−シクロプロピルイソグアノシン、6−シクロヘキシル−2’−O−メチルアデノシン、2−β−D−リボフラノシルオキサゾール−4−カルボキサミド、2−ヨード−N6−シクロペンチルアデノシン、N6−シクロペンチル−2’−メチル−2−クロロアデノシン、N6−シクロヘキシル−2’−O−メチルデノシン、2−[P−(2−カルボキシエチル)フェニルエチルアミノ]−5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン、2−[(2−アミノエチルアミノ)カルボニルエチルフェニルエチルアミノ]−5’−エチルカルボキサミドアデノシン、2−ヘキシニル−5−メチルカルボキサミドアデノシン、2−シクロヘキシルメチリデンヒドラ
ジノアデノシン、N−エチルカルボキサミドアデノシン、5’−(N−シクロプロピル)カルボキサミドアデノシン、N−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)フェニルエチル]アデノシン、N−(2−メチルベンジル)アデノシン、2−オクチニルアデノシン、2−フェニルアミノアデノシン、2−[2−(4−フルオロフェニル)エトキシ]アデノシン、2−[(シクロヘキシルメチレン)ヒドラジノ]アデノシン、2−クロロ−N6−(3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロナミド、N6−(3−イソチオシアナートベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロナミド、2−クロロ−N6−(3−ヨードベンジルアデノシン−5’−N−メチルカルボキサミド、デフィブロチド(短鎖デオキシリボヌクレオチド)、ピナシジル、アデノシン−5’−モノリン酸、アデノシン−5’−モノリン酸メチルエステル、N6−メチルアデノシン−5’−モノリン酸、8−ブチルアミノアデノシン又はこれらの過ヨウ素酸酸化物が好ましく、また、育毛効果の面では、A1及びA2タイプのアデノシン受容体への刺激作用が高い化合物がより好ましい。
【0034】
また、育毛効果の点では、アデノシン受容体刺激作用を有する前記化合物又は生体に適用後にアデノシン受容体刺激作用を有する化合物を遊離する前記化合物は、下記
【化1】

[式中、nは0または1、R〜Rはそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜5のアシル基を示し、Rは水素原子または保護基を示す。]に示される構造を有する化合物であることが好ましく、その場合は、R〜Rはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアシル基、Rは水素原子又は保護基とされることが好ましい。
【0035】
ところで、アデノシンをはじめとするアデノシン受容体刺激作用を有する化合物は、生体の様々な組織においてその生成と代謝が行われている。したがって、アデノシン受容体刺激作用を有する化合物の当該作用を増強する化合物にも、アデノシン受容体刺激作用を有する化合物と同様の効果が存在する。アデノシン受容体刺激作用を有する化合物の当該作用を増強する化合物としては、具体的には、アデノシン受容体刺激作用を有する化合物の取り込み阻害剤及び不活性化阻害剤が好ましい。なお、前記不活性化剤としては、アデノシン受容体刺激作用を有する化合物の酵素による代謝を阻害する化合物を挙げることができ、例えば、アデノシンを生体内で不活性なイノシンに代謝するアデノシンデアミナーゼの阻害剤が挙げられる。
【0036】
前記取り込み阻害剤としては、取り込み阻害効果の点で、がジピリダモール、ジラセップ、リドフラジン、ヘキソベンジン、カルボクロメン、クロモナール酸、シネパジド、ジアゼパム、パパベリン、6−(2’−ハイドロキシニトロベンジル)チオグアノシン、プロベントフィリンが好ましく、また、前記不活性化阻害剤としては、その効果の点で、2’−デオキシコホルマイシン、エリスロ−9−(2−ハイドロキシ−3−ノニル)アデニンが好ましい。
【0037】
次に、ATP受容体について説明する。
【0038】
ATP受容体には、リガンドの刺激を細胞内に伝達する方法としてイオンの細胞膜透過を利用するものとGTP結合蛋白を介するものの2種類があるとされており、P2X型及びP2Y型(それぞれ7つのサブタイプを有する)と称呼されている。
【0039】
ATP受容体は生体中では様々な臓器に分布しており、情報伝達や機能調節に関与しているものと考えられている。例えば、神経系ではシナプス変調作用、大動脈では血圧調節を担っているものと考えられている。しかし、いまだその分布の詳細や機能については明確にされていないのが現状である。アデノシン及びATP(アデノシントリリン酸)はいずれもプリン環を有することから、プリン受容体の概念には、アデノシン受容体及びATP(アデノシントリリン酸)受容体が含まれる。
【0040】
ところで、近年、細胞上に存在するATP受容体の刺激が細胞内のカルシウムイオン濃度の上昇を引き起こすこと等が明らかとなってきている。本発明者らは、ATP受容体刺激作用が細胞組織の他の機能の調節に重要な役割を有する可能性について、様々な側面から研究を重ねた結果、ATP受容体刺激作用が毛髪の生育に関して深く関与していることを突き止めた。
【0041】
ATP受容体への刺激作用を有する物質としては、ATP受容体刺激作用を有する化合物の1種又は2種以上が挙げられる。
【0042】
上記化合物は、ATP受容体刺激作用を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アデノシンジリン酸、アデノシントリリン酸又はそれらの誘導体を挙げることができる。生体における機能の点では、前記アデノシンジリン酸及び前記アデノシントリリン酸において、リン酸部分の結合位は、5’位の炭素が好ましい。したがって、上記した例の中では、アデノシン−5’−ジリン酸、アデノシン−5’−トリリン酸及びこれらの誘導体が好ましい。
【0043】
また、育毛効果の面では、アデノシン−5’−ジリン酸の誘導体又はアデノシン−5’−トリリン酸の誘導体としてエステル誘導体が好ましい。なお、エステル誘導体としては、アデノシン部位の2’又は3’位の炭素に結合した酸素原子が、1〜10、好適には1〜5の炭素原子を含むアシル基と共にエステルを形成していることが好ましい。
【0044】
アデノシン−5’ジリン酸の誘導体及びアデノシン−5’−トリリン酸の誘導体は、具体的には、下記
【化2】

[式中、nは2または3、R〜Rはそれぞれ水素原子または炭素原子数1〜5のアシル基を示し、Rは水素原子または保護基を示す。]に示される化合物であってもよく、その場合は、R〜Rはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアシル基、Rは水素原子または適当な保護基とされることが好ましい。
【0045】
なお、育毛効果の点では、前記アデノシン−5’−ジリン酸誘導体は、α、β−メチレンアデノシン−5’−ジリン酸エステル誘導体、2−メチルチオアデノシン−5’−ジリン酸エステル誘導体、2’−ベンゾイルアデノシン−5’−ジリン酸エステル誘導体、又は、3’−ベンゾイルアデノシン−5’−ジリン酸エステル誘導体であることが好ましい。
【0046】
同様に、育毛効果の点では、前記アデノシン−5’−トリリン酸エステル誘導体は、α、β−メチレンアデノシン−5’−トリリン酸エステル、2−メチルチオアデノシン−5’−トリリン酸、2’−ベンゾイルアデノシン−5’−トリリン酸、又は、3’−ベンゾイルアデノシン−5’−トリリン酸であってもよい。
【0047】
ところで、ABCトランスポーターは、細胞内のATPの細胞外への放出を引き起こす作用を有する類似タンパクの総称であり、タンパクとしては、いわゆるABCタンパクスーパーファミリーを構成する一部で、ATPバインディングカセット、ATP結合タンパク、ABC結合トランスポーターまたはABCタンパクとも呼ばれており、MDR(P糖タンパク質、multidrug resistance protein)、MRP(MDR-related protein)、CFTR(cyctic fibrosis transmembrane conductance regulator)、SUR(スルホニルウレア受容体)などが挙げられ、様々な細胞機能の発現やその調節に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。
【0048】
例えば膵臓のベータ細胞膜に存在するABCトランスポーターは、隣接するATP依存性カリウムチャンネルの開閉をコントロールしてカリウムイオンの細胞外への放出とその後のカルシウムイオンの流入を調節し、細胞小胞内のインスリンの細胞外への分泌をコントロールしている。さらに、心筋のABCトランスポーターはミトコンドリアに存在し、同じくミトコンドリアに存在するATP感受性カリウムチャンネルの機能を調節し、虚血再灌流時のプレコンディショニング効果(心筋保護効果)の発現に関与していることが明らかとなってきている。一方、ABCトランスポーターは心筋や血管平滑筋をはじめとして、生体の様々な組織に存在していることが知られるようになってきており、トランスポーターとしての役割、即ち細胞内のATPの細胞外への放出を引き起こす作用も様々な調節作用に関与していることが推察されている。また、膵臓のβ細胞、血管平滑筋及び心筋に存在するABCトランスポーターはスルホニルウレア受容体であることが明らかになっている。
【0049】
スルホニルウレア受容体は、ATP感受性カリウムチャネルの制御因子として機能することが知られている(稲垣ら、「スルホニル尿素受容体」(生化学第69巻第9号1067頁、1997年))。
【0050】
本発明者らは、毛乳頭細胞にABCトランスポーターとATP受容体またはアデノシン受容体が発現していることを見出した。そして、これらの受容体、すなわちプリン受容体の刺激作用を有する化合物を細胞から放出させる作用を有する化合物、特にABCトランスポーターを刺激することによりその作用を発揮する化合物が、従来の育毛成分には見られなかった優れた有効性を示すことを見出した。プリン受容体刺激作用を有する化合物には、ATP受容体及び/又はアデノシン受容体刺激作用を有する化合物が含まれ、具体的には、ATP、ATP誘導体又はATP代謝物、及び/又は、アデノシン、アデノシン誘導体又はアデノシン代謝物が挙げられる。
【0051】
プリン受容体刺激作用を有する化合物を細胞から放出させる作用と育毛効果との関連性について、本発明者らは、図1に示すように、例えばスルホニルウレア受容体などのABCトランスポーターを刺激することにより、アデノシントリリン酸(ATP)が細胞内から放出され、これがATP受容体に作用するか、またはATPが分解して生成したアデノシンがアデノシン受容体に作用し、細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こし、毛成長速度や毛周期を調節する機構を司っているものと考えている。または、ミトコンドリアに存在するスルホニルウレア受容体の刺激がミトコンドリアに存在するATP感受性カリウムチャンネルに作用し、これがATP、アデノシン、それらの誘導体又は代謝物を細胞から放出させることも考えられる。
【0052】
したがって、本発明のスクリーニング方法の対象となる物質の育毛作用は、プリン受容体刺激作用を有する化合物を細胞から放出させる作用に基づくものである。この物質としては、具体的には、ATP、アデノシン、それらの誘導体または代謝物を細胞から放出させる作用を有する化合物の1種又は2種以上が挙げられる。
【0053】
プリン受容体刺激作用を有する化合物、例えばアデノシンおよびその誘導体または代謝物、を細胞から放出させる作用の具体例としては、例えば当該細胞に存在するABCトランスポーターを刺激することがあげられる。
【0054】
前記アデノシンおよびその誘導体または代謝物としては、アデノシン、アデノシンモノホスフェート、アデノシンジホスフェートおよびアデノシントリホスフェートなどが挙げられる。
【0055】
ABCトランスポーターへの刺激作用を有する化合物としては、MDR、MRP、CFTR、スルホニルウレア受容体のいずれかへの刺激作用を有する化合物を用いることができるが、好ましくはスルホニルウレア受容体を刺激作用を有する化合物が挙げられる。
【0056】
スルホニルウレア受容体を刺激作用を有する化合物としては、例えば、メグリチニド、ニコランジル、レボクロマカリム、クロマカリム、ピナシジル、ジアゾキサイド、ジソピラミド、チリソロール、アプリカム、ビマカリム、MgATP、MnATP、CaATP、ZnATP、SrATP、MgADP、MnADP、CaADP、ZnADP、SrADP、MgAMP、MnAMP、CaAMP、ZnAMP、SrAMP、アデニル-5-イルイミドジホスフェート、L−リジン、L−アルギニン、カルシウム、マンガン、マグネシウム、亜鉛またはストロンチウムの二価陽イオンを含む塩、および下記式

R−S−CoA

[式中、Rは分岐しても良い炭素数14〜30のアシル基で、二重結合を0〜3個含む]で示される長鎖アシルコエンザイムA、その中でも特にオレオイル−CoA、パルミトイル−CoA、オレイル−CoA、ミリストイル−CoA、ペンタデカノイル−CoA、ステアリル−CoAが挙げられる。
【0057】
これらの物質は、カリウムチャネルの開口剤として知られている(例えば、高橋ら、「Kチャネル開口薬」、医薬ジャーナル、vol.34, S-1, P.70-74 (1998)、および遠藤ら、「カリウムチャネル開口薬」、医薬ジャーナル、vol.35, S-1, P.112-119 (1999)参照)。スルホニルウレア受容体は、ATP感受性カリウムチャネルの制御因子として機能しており、カリウムチャネルの開口剤が、スルホニルウレア受容体に結合することはすでに知られている(例えば、Brayら、Jounal of Bailogical Chemistry, vol.267, p.11689 (1992)参照)。そして、スルホニルウレア受容体が、細胞内より細胞外へATPの放出に関与していることもすでに提唱されている(Awqatiら、Science vol.269, 805 (1995)参照)。
【0058】
したがって、カリウムチャネルの開口剤として知られている上記物質は、スルホニルウレア受容体に結合して、これを刺激するものと考えられる。本発明は、これらの物質のスルホニルウレア受容体への結合によるスルホニルウレア刺激作用、すなわちABCトランスポーターへの刺激作用が、ATP、アデノシン、それらの誘導体または代謝物等のプリン受容体刺激作用を有する化合物を細胞から放出させ、育毛効果を発揮させることに初めて着目したものである。
【0059】
次に、本発明の育毛物質のスクリーニング方法について記述する。
【0060】
図1に関連して既に説明したとおり、毛乳頭細胞にはABCトランスポーターとATP受容体又はアデノシン受容体が発現しており、これらは相互に密接に関連して育毛作用を示すものと思われる。特に、ABCトランスポーターに対する刺激作用を有する化合物については、このABCトランスポーターに対する刺激作用を介するATP受容体またはアデノシン受容体の刺激により、細胞内カルシウム濃度の上昇を伴って育毛効果を示すのではないかと考えられる。
【0061】
そこで、毛乳頭細胞を用いて育毛剤のスクリーニングを実施したが、目的とする毛乳頭細胞は、増殖能が極めて悪く、スクリーニングに必要な細胞数を確保するには多量の毛組織が必要で、その実施には多大な労力と費用を要した。そのため、ABCトランスポーターを介してATP受容体またはアデノシン受容体に作用して効果を示す物質を見出す簡便な方法の開発が望まれた。
【0062】
そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、ABCトランスポーター遺伝子と、ATP受容体遺伝子またはアデノシン受容体遺伝子を適当な宿主ベクター法による遺伝子組み替え技術によって遺伝子組み替え細胞とし、この細胞へのカルシウムの流入を測定することにより育毛物質をスクリーニングする方法を確立し、本発明を完成させた。
【0063】
即ち、本発明の育毛物質のスクリーニング方法は、ABCトランスポーター遺伝子およびプリン誘導体に対する受容体遺伝子を宿主ベクター法によって発現させた細胞を使用し、細胞内へのカルシウムの流入を指標とすることを特徴とする。
【0064】
上記したとおり、ABCトランスポーターは、細胞内のATPの細胞外への放出を引き起こす作用を有する類似タンパクの総称であり、タンパクとしては、いわゆるABCタンパクスーパーファミリーを構成する一部で、ATPバインディングカセット、ATP結合タンパク、ABC結合トランスポーターまたはABCタンパクとも呼ばれている。ABCトランスポーターとしては、例えば、MDR(P糖タンパク質、multidrug resistance protein)、MRP(MDR-related protein)、CFTR(cyctic fibrosis transmembrane conductance regulator)、SUR(スルホニルウレア受容体)などが挙げられる。中でも、本発明に用いられるATP結合トランスポーター遺伝子としては特にスルホニルウレア受容体遺伝子(以下SUR遺伝子ともいう)が好ましい。
【0065】
スルホニル受容体遺伝子は、すでに知られているSUR遺伝子配列の情報、例えばY.Tokuyamaら、Biochemical and Biophysical Research Communications, 220, p.532-538 (1996)に記載されたハムスターSUR遺伝子配列の情報を元に該配列から作成した適当なプローブを用いて、周知のPCR法やcDNAライブラリーからのハイブリダイゼーション法などにより得られることができる。また、ラットのSURcDNA配列も知られている(GenBank Accession No.L40624)。ハムスターSUR遺伝子導入に関しては、Aguilar-Bryanら、Science, vol.268, p.423 (1995)に記載されている。ラット、マウスSURのアミノ酸配列については、稲垣ら、「スルホニル尿素受容体」(生化学第69巻、第9号、1067頁、1997年)に記載されている。
【0066】
上記アデノシン誘導体に対する受容体遺伝子としては、プリン受容体遺伝子またはアデノシン受容体遺伝子が挙げられる。
【0067】
アデノシン受容体遺伝子としては、すでにヒトのcDNA遺伝子配列が知られている(GenBank Accession No.X68485)。あるいはスルホニル受容体遺伝子と同様に、周知のPCR法またはcDNAライブラリーからのハイブリダイゼーション法などにより得られることができる。
【0068】
ATP受容体遺伝子についても、ヒトのcDNA遺伝子配列が知られている(GenBank Accession No.X83688)。
【0069】
これらの遺伝子の種に関しては特に制限はなく、例えば、ヒト、ラット、マウス、ハムスター由来のものが挙げられる。
【0070】
これらの遺伝子をクローン化する方法としては、例えば、Sambrookら, Molecular Biology: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York 1989等に記載された一般的な方法を用いることができる。
【0071】
上記ABCトランスポーター遺伝子またはプリン誘導体に対する受容体遺伝子としては、形質転換後に形質転換細胞内でABCトランスポーターまたはプリン誘導体に対する受容体として機能する範囲で、遺伝子配列の内部または末端の一部が、挿入、置換あるいは削除されたものも含む。
【0072】
また、本発明に用いられる宿主としては導入した遺伝子が効率よく発現され、培養が容易なものであれば特に限定されないが、エシェリヒア属菌であるEscherichia coliの各種菌株、バチルス属菌種であるBacillus subtilisの各種菌株、酵母としてはSaccharomyces cerevisiaeの各種菌株、動物細胞としてはCOS−7細胞、CHO細胞、PC12細胞、NIH3T3細胞、NRK細胞、CV−1細胞、COS−1細胞等が好ましい。
【0073】
ベクターとしては、調製が容易で効率よく導入できるものであれば特に限定されないが、大腸菌由来のプラスミド(例:pBR322、pUC118など)、枯草菌由来のプラスミド(例:pUB110、pC194など)、酵母由来のプラスミド(例:pSH19など)、さらにバクテリオファージやレトロウィルスやワクシニアウィルス等の動物ウィルス等が好ましい。さらに、該当遺伝子を発現させるために、遺伝子の上流に適当な発現プロモーターを接続する。使用するプロモーターは、宿主に応じて選択すればよい。例えば、宿主が大腸菌である場合には、T7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、γPLプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合にはSPO系プロモーター等が、宿主が酵母である場合にはPHOプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が、宿主が動物細胞である場合にはSV40由来プロモーター、レトロウィルスプロモーター等が、それぞれ使用できる。
【0074】
形質転換は、DNAが、染色体外要素として、あるいは染色体組み込みによりDNAが複製可能となるように、DNAを生体内に導入することを意味する。
【0075】
上記組み替えベクターを用いて宿主細胞を形質転換する方法としては、各宿主細胞に対して一般に用いられる形質転換方法、例えば塩化カルシウムを使用するカルシウム処理、リン酸カルシウム法によるトランスフェクション、エレクトロポレーション、またはリポフェクションなどが適用できる(Sambrookら, Molecular Biology: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York 1989など)。
【0076】
こうして得られた形質転換細胞を適当な選択培地で培養してスクリーニングに供する。このスクリーニングのための培養は、細胞をカバーグラス上で培養して供することが好ましい。例えば、形質転換細胞を細胞濃度3×10mLとなるように培地に懸濁し、適量をカバーグラス上に載せ、24〜48時間程度、約37℃で培養する。
【0077】
スクリーニングの方法としては、培養細胞に、被験物質溶液を添加し、細胞内へのカルシウムの流入量を測定することにより行う。
【0078】
細胞内カルシウム濃度測定法としては、カルシウムキレート剤でありカルシウム結合量に応じてその蛍光特性が変化する周知の蛍光カルシウム指示薬、例えばfura−2、fura−2−AM、indo−1、quin2、fluo−3、rhod−2などを用いることができるが、なかでもfura−2−AM(1-(2-(5'-カルボキシオキサゾール-2'-イル)-6-アミノベンゾフラン-5-オキシ)-2-(2'-アミノ-5'-メチルフェノキシ)-エタン-N,N,N',N'-テトラアセチックアシッドペンタアセトキシメチルエステル、和光純薬(東京))を使用した蛍光強度法を用いることが好ましい(唐木、実験医学、7(6)、626(1989))。
【0079】
例えば、1〜20μg/mlのfura−2−AMを20〜40分間ロードし、タイロード液(135mM NaCl, 5.6mM KCl, 1.2mM MgSO2.2mM CaCl10mMグルコース, 20mM HEPES([4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン]エタンスルホン酸)/NaOH(pH7.4))にて洗浄した後、細胞内カルシウム濃度の指標として340nmおよび380nmの蛍光強度の比を求める。これには、例えばカバーガラスを循環定温チャンバー付蛍光測定装置(ARGUS-50、浜松フォトニクス社、浜松)を用いることができる。
【実施例】
【0080】
次に、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0081】
<目的遺伝子の細胞への形質転換>
COS−1細胞(3×10個 /直径35mmシャーレ)を10%牛胎児血清を含んだダルベッコ変性MEM培地にて5%CO雰囲気下、37℃で培養した。 別に、ヒトアデノシン受容体cDNA(GenBank Accession No.X68485、参考文献:C.A.Kollias-Bakerら、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,281(2),761-768(1997))とラットスルホニルウレア受容体cDNA(GenBank Accession No.L40624、参考文献:Y.Tokuyamaら、Biochemical and Biophysical Research Communications, 220, 532-538 (1996))をpcDNA3.1ベクター(インビトロジェン社、カリフォルニア、米国)とpcDNA3.1/Hygroベクター(インビトロジェン社、カリフォルニア、米国)に常法に従ってそれぞれ導入し、pcDNA3.1hADおよびpcDNA3.1/Hygro raSURを得た。
【0082】
pcDNA3.1hADは、pcDNA3.1ベクターのEcoRI/NotI部位に、ヒトアデノシン受容体cDNAのHindIII/XbaI断片(1.4kb)が挿入されたものである。
【0083】
pcDNA3.1/Hygro raSURは、pcDNA3.1/HygroベクターのHindIII/XbaI部位に、ラットスルホニルウレア受容体cDNAの塩基番号208−5086のDNA断片が挿入されたものである。
【0084】
こうして得られたpcDNA3.1hAD(1μg)およびpcDNA3.1/Hygro raSUR(1μg)を、先に培養しておいたCOS−1細胞中に、リポフェクタミンとOpti−MEMI試薬、Nobuya Inagakiら、Science, 270, 1166-1170 (1995)に記載された方法に準じて、トランスフェクトした。
【0085】
その後、細胞をさらに培養し、コンフルーエントに達したところでリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、0.05%トリプシンと0.53mMのEDTA溶液で処理した。
【0086】
ネオマイシンおよびハイグロマイシン耐性を指標にして高発現細胞株を得た。
【0087】
スクリーニングには細胞をカバーグラス上で培養して供した。また、細胞内カルシウム濃度の測定には、FURA−2を使用した蛍光強度法を用いた。すなわち5μg/mlのfura−2 amを30分間ロードし、タイロード液にて洗浄した後、細胞内カルシウム濃度の指標として340nmおよび380nmの蛍光強度の比を求めた。
【0088】
試験例
上記操作によって得られた細胞を用いて、以下の試験を行った。
【0089】
試験例1
スルホニルウレア受容体刺激剤として知られているニコランジルを用いて、本発明のスクリーニング法の有効性を確認した。その結果、図2に示す通り、ニコランジル25、100μM添加により細胞内カルシウム濃度が上昇するが、この作用はアデノシン受容体の阻害剤である8−スルホフェニルテオフィリン1μMの前処理により抑制されることが確認された。
【0090】
試験例2
アデノシン受容体刺激剤としてアデノシン1.0および10.0μMを添加すると、図3に示す通り、細胞内カルシウム濃度は濃度依存的に上昇した。この作用はアデノシン受容体阻害剤である8−スルホフェニルテオフィリン1μMの前処理により抑制された。
【0091】
試験例1および2の結果から、本発明の形質導入細胞では、スルホニルウレア受容体とアデノシン受容体が発現し、機能していることが確認できた。
【0092】
なお、カルシウム除去培地ではニコランジルおよびアデノシンの作用は認められなかった。このことから、細胞内カルシウム濃度の増大は、細胞外カルシウムの流入によるものであることは明らかである。本発明で得られた形質転換細胞は、増殖能も良好で、育毛剤のスクリーニングに容易に使用することができる。
【0093】
参考例1(外用ローション剤)
(成分) 配合量(W/V%)
ニコランジル 1.0
プロピレングリコール 20.0
エタノール 50.0
精製水 全100 ml
上記成分を撹拌し、均一に溶解させ外用ローション剤を調製した。
【0094】
参考例2−6
表1に示すように、参考例1におけるニコランジルを、ピナシジル(参考例2)、クロマカリム(参考例3)、MnATP(参考例4)、メグリチニド(参考例5)、L−アルギニン(参考例6)に代えた以外は参考例1と同様に外用ローション剤を調製した。
【0095】
比較例
表1に示すように、参考例1におけるニコランジルを除いた以外は参考例1と同様に外用ローション剤を調製した。
【0096】
【表1】

【0097】
参考例1〜6と比較例の外用ローション剤を用いた発毛試験を、C3H/HeNCrJマウスを用い、以下の通り行った。
試験法はマウスを1群10匹とし、試料投与群および無投与群の8群に分け、マウスの背部をバリカンおよびカミソリにて剃毛し、それぞれのサンプルを1日1回、剃毛した背部8平方cm当たり100μLずつ塗布した。参考例23〜28の試料投与群、比較例の試料投与群および無投与群の塗布面積に対する毛の再生面積(15日後)を表2に示す。
【0098】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABCトランスポーター遺伝子とプリン誘導体に対する受容体遺伝子で形質転換させた細胞に対して被験物質を添加し、そのときの該細胞内へのカルシウム流入量を指標とすることを特徴とする、育毛作用を有する物質のスクリーニング方法。
【請求項2】
ABCトランスポーター遺伝子がスルホニルウレア受容体遺伝子である請求項1記載のスクリーニング方法。
【請求項3】
プリン誘導体に対する受容体遺伝子がアデノシン受容体遺伝子である請求項1または2記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
プリン誘導体に対する受容体遺伝子がATP受容体遺伝子である請求項1または2記載のスクリーニング方法。
【請求項5】
細胞内へのカルシウム流入量を、蛍光カルシウム指示薬を用いた蛍光強度で測定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスクリーニング方法。
【請求項6】
ABCトランスポーター遺伝子またはプリン誘導体に対する受容体遺伝子の形質転換を、宿主ベクター系による遺伝子組み換え技術によって行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のスクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−142281(P2009−142281A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−423(P2009−423)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2000−34181(P2000−34181)の分割
【原出願日】平成12年2月10日(2000.2.10)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】