説明

育毛剤原料及び育毛剤組成物

【課題】 優れた育毛効果を有し、しかも頭皮に対してアレルギー反応を起こすことのない安全な育毛剤原料及び育毛剤組成物の提供にある。
【解決手段】 ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm)、カルメグ(Andrographis paniculata Nees)、ビャクダン(Santalum album L. )のうちの少なくとも1種、或いはこれらの抽出物からなることを特徴とする育毛剤原料とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、育毛剤原料及び育毛剤組成物に係り、その目的は、優れた育毛効果を有し、しかも頭皮に対してアレルギー反応を起こすことのない安全な育毛剤原料及び育毛剤組成物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】従来より、育毛・養毛の目的で使用される頭髪用化粧品や医薬品、医薬部外品が多数創出されており、一般的な育毛剤組成物には、毛根に浸透して血管を拡張、血行を促進、さらには、毛乳頭を刺激し、毛髪の生成を促進する育毛成分、清涼感を与える成分、殺菌作用を有する成分、フケやカユミを防止する成分等が配合されている。具体的には、育毛成分として、女性ホルモン、ビタミンE、パントテン酸、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、センブリエキス、セファランチン、感光素等が、清涼感を与え殺菌作用を有する成分としてエタノール等が、フケ防止成分として、レゾルシン、サリチル酸、ジンクピリジオン等が、更にカユミ防止成分として抗ヒスタミン等が配合されたものが多数存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記したような従来の育毛剤組成物では十分な育毛効果が得られず、また、頭皮に対して好ましくない刺激を与えてしまうこともあった。そこで、優れた育毛効果を有しており、しかも頭皮に対して好ましくない刺激を与えることのない安全な育毛剤原料及び育毛剤組成物の創出が望まれており、本発明者らは、特願平8−153371号において、タカサブロウ(Eclipta alba (L.)Hassk)の有機溶媒による抽出物が優れた育毛効果を有しており、しかも頭皮に対して安全であることを開示している。更に、特願平11−013342号においては、クサギ(Clerodendron trichotomum Thunb. )、ノトパナックススクテラリウム(Notopanax scutellarium Mer. )、ククイノキ(Aleuritesmoluccana Willd. )、カユプテ(Melaleuca leucadendra L.)及びツルグミ(Elaeagnus glabra Thunb. )もまた、優れた育毛効果を有することを提案している。
【0004】本発明者らは、優れた育毛効果を有し、しかも天然物由来で頭皮に対する安全性の高い育毛剤原料に関する鋭意研究を更に続けたところ、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm.)、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )、更にはこれらの抽出物が優れた育毛効果を有することを見出し、本発明の完成に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、請求項1に係る発明は、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする育毛剤原料に関する。
【0006】また、請求項2に係る発明は、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )それぞれの抽出物のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする育毛剤原料に関する。
【0007】請求項3に係る発明は、前記抽出物が、一価アルコール、多価アルコール又はその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素又はそのハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種以上が含まれてなる無水、或いは含水有機溶媒による抽出物であることを特徴とする請求項2記載の育毛剤原料に関し、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3記載の育毛剤原料のうちの少なくとも1種が含有されてなる化粧品、医薬品、医薬部外品であることを特徴とする育毛剤組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係る育毛剤原料には、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )より選択された1種以上の植物が用いられる。
【0009】ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)は、その根茎からは澱粉を採取することができる。また、別に球茎を有しその中心部は青色である。本発明においては、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、その全草を用いても、或いは葉部や根部、茎部などの各部位を単独で、或いは適宜混合して用いてもよい。特に根茎や球茎には有効成分が多く含まれるため好ましく用いられる。また、乾燥状態のもの、非乾燥状態のものいずれも好適に用いられる。
【0010】パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )はタコノキ属タコノキ科に属する単子葉植物である。本発明においては、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、その全草を用いても、或いは葉部や根部、茎部などの各部位を単独で、或いは適宜混合して用いてもよい。特に葉部には有効成分が多く含まれるため好ましく用いられる。また、乾燥状態のもの、非乾燥状態のものいずれも好適に用いられる。
【0011】ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )は、西マレーシア地域に多く分布する大型のショウガの仲間の多年草である。本発明においては、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm.)の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、その全草を用いても、或いは葉部や根部、茎部などの各部位を単独で、或いは適宜混合して用いてもよい。特に根茎には有効成分が多く含まれるため好ましく用いられる。また、乾燥状態のもの、非乾燥状態のものいずれも好適に用いられる。
【0012】カルメグ(Andrographis paniculata Neees )は、キツネノマゴ科に属する一年生草本で、苦味物質を多く含み、薬として用いられている。本発明においては、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、その全草を用いても、或いは葉部や根部、茎部などの各部位を単独で、或いは適宜混合して用いてもよい。また、乾燥状態のもの、非乾燥状態のものいずれも好適に用いられる。
【0013】ビャクダン(Santalum album L. )はビャクダン科に属する常緑の高木で、インド南部、インドネシアに分布し、仏像、美術彫刻等に用いられ、また薫香、抹香、線香の材料とされている。本発明においては、ビャクダン(Santalum album L. )の地上部及び地下部の全部位が使用可能で、その全草を用いても、或いは葉部や根部、茎部などの各部位を単独で、或いは適宜混合して用いてもよい。また、乾燥状態のもの、非乾燥状態のものいずれも好適に用いられる。
【0014】上記植物の使用形態は特に限定されず、植物の粉砕物や乾燥粉末等をそのまま育毛剤原料としてもよい。また、本発明においては、上記した5種の植物の抽出物を育毛剤原料とすることもでき、更に、抽出物を濃縮や乾燥により軟エキス、乾燥エキスとしたものを用いることもできる。
【0015】抽出物を育毛剤原料とする場合、使用する溶媒は特に限定されないが、無水、或いは含水有機溶媒、特に一価アルコール、多価アルコール又はその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素又はそのハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種以上が含まれてなる無水、或いは含水有機溶媒を用いると育毛効果が十分発揮され好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクタノール等の炭素数1〜8の一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の炭素数2〜6の多価アルコール或いはその誘導体、アセトン、メチルアセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等の炭素数3〜6のケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の炭素数4〜5のエステル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等の炭素数4〜8のエーテルや石油エーテル、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の炭素数4〜8の脂肪族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の炭素数1〜2の脂肪族炭化水素のハロゲン化物、ベンゼン、トルエン等の炭素数6〜7の芳香族炭化水素のうちの1種、或いは2種以上が含まれてなる無水或いは含水有機溶媒を好ましい例として挙げることができる。
【0016】上記抽出溶媒により得られた抽出液から溶媒を留去して得られた抽出物を育毛剤原料とすることができるが、抽出溶媒としてエタノールを用いた場合には、エタノールは皮膚に対する安全性が高いため、抽出液から溶媒を留去することなく育毛剤原料とすることができる。
【0017】本発明に係る育毛剤組成物には、上記育毛剤原料のうちの1種以上が配合される。育毛剤原料の配合量は特に限定されないが、少なすぎると育毛剤原料配合による効果が十分発揮されないため、全組成物中0.01〜100重量%とするのが望ましく、植物の乾燥粉末や植物の抽出物のみを育毛剤組成物とすることも可能である。
【0018】本発明に係る育毛剤組成物には、上記育毛剤原料以外に、育毛・養毛成分として、例えば、ビタミンE及びその誘導体、センブリエキス、ニンニクエキス、セファランチン、塩化カルプロニウム、アセチルコリン等の血行促進剤、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、ノニル酸バニルアミド等の局所刺激剤、サリチル酸、レゾルシン、乳酸などの角質溶解剤、プラセンタエキス、ペンタデカン酸グリセリド、パントテニルエチルエーテル、ビオチン、ヒノキチオール、アラントイン等の代謝賦活剤、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸等の消炎剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等の殺菌剤、メントール、カンフル等の清涼剤、その他女性ホルモン等を適宜配合することも可能である。
【0019】更に、本発明の効果を損なわない範囲で、アルコ−ル、多価アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、界面活性剤、精製水、香料、防腐剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、清涼剤、色素等の通常の化粧品成分、或いはホルモン類、ビタミン類、アミノ酸類、収れん剤及び胎盤抽出物、エラスチン、コラーゲン、ムコ多糖、アロエ抽出物、ヘチマ水、ローヤルゼリー、バーチ、ニンジンエキス、カモミラエキス、甘草エキス、サルビアエキス、アルテアエキス、セイヨウノコギリソウエキス等の生薬成分をはじめとする動植物抽出成分等の特殊配合成分を、目的に応じて適宜任意に配合してもよい。
【0020】尚、本発明に係る育毛剤組成物は化粧品、医薬部外品或いは医薬品として用いることができ、例えば、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアトリートメントとして用いることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)乾燥したムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)の根茎の粉砕物100gにメタノール600mlを加えて還流抽出し、抽出液を冷却、濾過後、溶媒を留去して得られた抽出物4.8gを実施例1の試料とした。
【0022】(実施例2)乾燥したパンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )の葉の粉砕物100gにメタノール500mlを加えて還流抽出し、抽出液を冷却、濾過後、溶媒を留去して得られた抽出物3.1gを実施例2の試料とした。
【0023】(実施例3)乾燥したジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )の根茎の粉砕物100gにメタノール500mlを加えて還流抽出し、抽出液を冷却、濾過後、溶媒を留去して得られた抽出物2.5gを実施例3の試料とした。
【0024】(実施例4)乾燥したカルメグ(Andrographis paniculata Neees )の全草の粉砕物100gにメタノール500mlを加えて還流抽出し、抽出液を冷却、濾過後、溶媒を留去して得られた抽出物2.8gを実施例4の試料とした。
【0025】(実施例5)乾燥したビャクダン(Santalum album L. )の心材の粉砕物100gにメタノール500mlを加えて還流抽出し、抽出液を冷却、濾過後、溶媒を留去して得られた抽出物3.50gを実施例5の試料とした。
【0026】
【試験例】〔試験例1:マウスの発毛に対する効果〕
(試験方法)
■試料溶液の調製実施例1〜5の各試料を、その濃度が5%(w/v)となるように99.9%エタノールに溶解したものを検体溶液とした。また、99.9%エタノールを比較例1の検体溶液とした。
【0027】■マウスへの塗布C3H/HeN Crjマウス(8週齢、体重21〜26g)を一週間以上馴化飼育を行ったあと、異常のなかったものについて、背部被毛を電気バリカンで、2cm×4cmの広さに毛刈りし、さらに電気シェーバーにて除毛し、検体溶液の投与部位とした。除毛してから3日後、実施例1〜5及び比較例1の検体溶液を各10匹のマウスに連続19日間、100μlずつ、1日1回午前中に塗布した。試験期間中、C3H/HeN Crjマウスは、温度22±2℃、相対湿度55±15%、換気回数20回/時、照射時間を午前6時から午後6時に設定した飼育室で、プラスチックケージ(14.5cm×26cm×12.5cm)を用いて5匹ずつ飼育した。
【0028】検体塗布部位の状態を定期的に観察し、以下の評価基準に従ってスコアをつけ、10匹の平均点を算出した。
皮膚がピンク色を呈する…0点皮膚が灰色に変化(100%未満)…1点皮膚が灰色に変化(100%)…2点発毛が茶色に変化(100%未満)…3点発毛が茶色に変化(100%)…4点発毛が黒色に変化…5点
【0029】結果を表1に示す。
【表1】


【0030】表1の結果から、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )の抽出物が優れた育毛効果を有していることがわかる。
【0031】〔試験例2:マウス毛包由来細胞の増殖に対する効果〕
(試験方法)
■試料溶液の調製まず、実施例1〜5の試料を、培養液に添加したときの最終濃度が後記表2〜6に示す濃度となるように、99.9%エタノールに溶解した。また比較例2としては、近年優れた育毛効果を有する物質として注目されているミノキシジルを培養液に添加したときの最終濃度が70μg/mlとなるように、99.9%エタノールに溶解したものを用いた。
【0032】■毛根の回収生後4日齢のC3H/HeSlc系新生仔マウスの皮膚を無菌的に採取し、10%FBS−DMEM培地で数回洗浄した。筋組織を取り除き、皮膚片を約1mm幅の短冊状に切り、毛包下部が現れるよう真皮結合組織を剥離した。出来るだけ多くの完全な毛球が得られるよう、メスで真皮組織をさらに細かく分け、0.2%コラゲナーゼDMEM培養液(カルシウム、マグネシウム不含)で60分間、37℃でインキュベートした後、5℃に冷し、10%FBS−DMEM培地を加え反応を止め、毛球を回収した。
【0033】■細胞の培養得られた毛根をトリプシン処理し、毛球部分の細胞(主に毛母細胞)を得、この細胞を10%FBS−DMEM培地に分散させコラーゲンコートした96ウェルマイクロプレートに播種した。5%CO2 ,37℃条件下で24時間培養した後、培養液を試験培地(MCDB153培地に、5μg/mlのインシュリン、5ng/ml のEGF,0.5μg/mlのHydrocortisone及び、35μg-protein/ml-Bovine Pituitary Extract を添加したもの)に試験物質又は99.9%エタノールのみを1/100容添加したものに交換し、引き続き同じ条件で4日間培養した後、細胞数を測定した。また、対照例として、99.9%エタノールのみを添加したものについても同様に培養し、細胞数を測定した。尚、比較例及び対照例の試料を用いた試験は、実施例1〜5それぞれについて、実施例と同じ条件下で行った。
【0034】■実施例1〜5及び比較例2の試料溶液を添加した場合について得られた細胞数を、対照例について得られた細胞数と比較し、細胞増殖比の平均値±標準偏差を算出した。対照例との有意差検定は、危険率5%未満(p<0.05)を有意とし、t−test検定を用いて行った。
【0035】実施例1に関する結果を表2に示す。
【表2】


【0036】表2の結果より、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)のメタノール抽出物は培養液中1〜10μg/mlの濃度において、130.5〜170.3%と優れた育毛効果を有しており、ミノキシジルよりも低い濃度でミノキシジルよりも優れた育毛効果を示すことが分かる。
【0037】実施例2に関する結果を表3に示す。
【表3】


【0038】表3の結果より、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifoliusfolia )のメタノール抽出物は培養液中0.01〜10μg/mlの濃度において、92.4〜124.9%と優れた育毛効果を有しており、10μg/mlの濃度でミノキシジル70μg/mlの濃度のときの育毛効果と略同様の育毛効果を示すことが分かる。
【0039】実施例3に関する結果を表4に示す。
【表4】


【0040】表4の結果より、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )のメタノール抽出物は培養液中0.01〜1μg/mlの濃度において、120.07〜133.9%と優れた育毛効果を有しており、1μg/mlの濃度でミノキシジル70μg/mlの濃度のときの育毛効果と略同様の育毛効果を示すことが分かる。
【0041】実施例4に関する結果を表5に示す。
【表5】


【0042】表5の結果より、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )のメタノール抽出物は培養液中0.1〜100μg/mlの濃度において、115.3〜310.1%と優れた育毛効果を有しており、10μg/mlの濃度でミノキシジル70μg/mlの濃度のときの育毛効果と略同様の育毛効果を示すことが分かる。
【0043】実施例5に関する結果を表6に示す。
【表6】


【0044】表6の結果より、ビャクダン(Santalum album L. )のメタノール抽出物は培養液中0.5〜100μg/mlの濃度において、155.4〜194.6%と優れた育毛効果を有しており、ミノキシジルよりも低い濃度でミノキシジルよりも優れた育毛効果を示すことが分かる。
【0045】以下、本発明に係る育毛剤原料を配合した、育毛剤組成物の処方例を示す。


【0046】
(処方例2)
育毛剤 配合率(重量%)
実施例5で得られた ビャクダン抽出物 5.0 酢酸トコフェロール 0.1 パントテニルアルコール 0.2 グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 キナエキス 0.5 ポリオキシエチレン(EO60)硬化ヒマシ油 0.3 香料 0.1 プロピレングリコール 2.0 エタノール 60.0 精製水 残 部 合 計 100.0
【0047】
(処方例3)
育毛剤 配合率(重量%)
実施例2で得られた パンダナスアマリリフォリウス抽出物 5.0 酢酸トコフェロール 0.1 パントテニルアルコール 0.2 グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 キナエキス 0.5 ヒノキチオール 0.05 ポリオキシエチレン(EO60) 硬化ヒマシ油 0.3 香料 0.1 プロピレングリコール 5.0 エタノール 60.0 精製水 残 部 合 計 100.0
【0048】


【0049】


【0050】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1に係る発明は、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする育毛剤原料に関するものであるから、優れた育毛効果を有するという効果を奏する。また、天然物由来であるから、頭皮に対してアレルギー反応を起こすことがなく安全であるという優れた効果を奏する。
【0051】また請求項2に係る発明は、ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographispaniculata Neees )、ビャクダン(Santalum album L. )それぞれの抽出物のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする育毛剤原料に関し、請求項3に係る発明は、前記抽出物が、一価アルコール、多価アルコール又はその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素又はそのハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種以上が含まれてなる無水、或いは含水有機溶媒による抽出物であることを特徴とする請求項2記載の育毛剤原料に関するものであるから、植物中の有効成分が効率よく育毛効果を発揮するという効果を奏する。
【0052】更に請求項4に係る発明は、請求項1乃至3記載の育毛剤原料のうちの少なくとも1種が含有されてなる化粧品、医薬品、医薬部外品であることを特徴とする育毛剤組成物に関するものであるから、優れた育毛効果を有し、しかも頭皮に対してアレルギー反応を起こすことがなく安全であるという優れた効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculataNeees )、ビャクダン(Santalum album L. )のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする育毛剤原料。
【請求項2】 ムラサキガジュツ(Curcuma aeruginosa Baker)、パンダナスアマリリフォリウス(Pandanas amaryllifolius folia )、ジンギバーゼルベット(Zingiber zerumbet (L.) E. Sm. )、カルメグ(Andrographis paniculataNeees )、ビャクダン(Santalum album L. )それぞれの抽出物のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする育毛剤原料。
【請求項3】 前記抽出物が、一価アルコール、多価アルコール又はその誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油エーテル、脂肪族炭化水素又はそのハロゲン化物、芳香族炭化水素より選択された1種以上が含まれてなる無水、或いは含水有機溶媒による抽出物であることを特徴とする請求項2記載の育毛剤原料。
【請求項4】 請求項1乃至3記載の育毛剤原料のうちの少なくとも1種が含有されてなる化粧品、医薬品、医薬部外品であることを特徴とする育毛剤組成物。

【公開番号】特開2000−336017(P2000−336017A)
【公開日】平成12年12月5日(2000.12.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−148793
【出願日】平成11年5月27日(1999.5.27)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】