説明

育毛剤

【課題】優れた育毛効果を発揮することのできる育毛剤を提供する。
【解決手段】黒茶を有効成分とする育毛剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛剤、さらに詳しくは黒茶の抽出エキスを配合して得られる育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、老若男女を問わず毛髪への関心は高く、特に美容上、頭髪の量の減少は、精神的なコンプレックスを生む原因となっている。この問題を解決する育毛剤として、例えばフィナステライドを有効成分として配合する育毛剤(特許文献1)や、センブリエキスやニンジンエキス等の天然成分を配合する育毛剤が知られている。
【0003】
フィナステライドは5−α還元酵素の阻害剤であり、男性型脱毛症(アンドロゲン性脱毛症)の原因となるジヒドロテストステロンが5−α還元酵素の作用によってテストステロンから生成することを防止し、脱毛症の進行を食い止めるものである。そのような作用を有するフィナステライド等の5−α還元酵素阻害剤は、男性機能を低下させるおそれがある。また、(全身性の)内服剤として用いられるものであるため、頭髪等、育毛したい箇所以外にも全身に育毛効果が発現してしまうという問題がある。なお、センブリエキスやニンジンエキス等の育毛効果はそれ程強力ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3058351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らはこのような事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、黒茶(プーアル茶)、あるいはその抽出エキスが育毛促進作用を有することを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、外用剤としても優れた育毛効果を発揮することのできる育毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、黒茶を有効成分とする育毛剤である。前記有効成分とされた黒茶が、黒茶葉を水または有機溶媒で抽出したエキスであることが好ましい。また、前記エキスに育毛成分がさらに添加されてなることが好ましい。また、前記育毛成分がトウガラシ抽出エキスであることが好ましい。また、前記育毛成分がショウガ抽出エキスであることが好ましい。また、前記育毛成分が蒸留酒発酵残渣であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の育毛剤によれば、外用剤としても優れた育毛効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る育毛剤を塗布した場合の育毛状態を説明するためのマウスの背部写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、黒茶を有効成分とする育毛剤に関する。本発明で使用する黒茶の原料茶葉は特に限定されるものではないが、中国大葉種、中国小葉種、シャン種、アッサム種等の茶樹から得られる茶葉を好適に使用することができる。原料茶葉の発酵処理を行う前に茶葉中に含まれる酵素による酸化等を防ぐ目的で加熱処理を行うことが好ましく、この加熱処理により茶葉の青臭さ等の生臭が消え、良い香りを得ることができる。熱処理にあたっては、収穫された茶葉をそのまま加熱処理してもよいが、加熱処理前に茶葉に含まれる酵素で自己消化し発酵させた後に加熱処理を行ってもよい。加熱の方法としては、釜を用いた直火法、電気等を熱源とする各種乾燥機や、蒸気を利用する蒸煮加熱乾燥機を使用する方法、日光にさらす天日乾燥等が挙げられるが、茶葉を加熱処理し、酵素を失活できれば、いかなる手法でもよい。このときの加熱条件は、20℃以上、好ましくは100〜200℃の高温で10秒以上、好ましくは30〜3,000秒加熱すればよい。
【0010】
発酵に用いる茶葉と茶の茎の大きさは特に限定されない。そのまま使用してもよく、破砕機、粉砕機、製粉機、ボールミル等によって裁断したものを使用してもよい。
【0011】
加熱後の放冷は、特に限定されるものではないが、発酵室内で通風機による冷却、クーラーによる冷却等で行ってもよく、自然に冷却されるのを待ってもよい。
【0012】
また、発酵にあたっては、発酵茶特有の風味と生理活性を充分に得るために、微生物(カビ)を共存させて発酵することが好ましい。使用するカビは自然に存在するものでも構わないが、アスペルギルスアワモリ(Aspergillus awamori)やアスペルギルスサイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus orizae)等のAspergillus属またはリゾパスデリマー(Rhizopus delemar)等のRhizopus属、その他テンペ菌等の食品加工用のカビを使用することができ、生理活性の発現の点において、Aspergillus属やRhizopus属を使用することが好ましい。使用するカビの種類は1種、あるいは複数種を混合して用いることができる。発酵期間は特に制限されるものではないが、一般に6週間〜18ヵ月程度が好ましい。
【0013】
上述した方法によって製造された黒茶は育毛作用等の生理活性を有するものであり、有効成分を抽出するにあたっては、水または熱水、あるいは各種有機溶媒で抽出処理をすることができる。有機溶媒としては、特に限定されないが、人体に適用した場合の毒性を考慮して、エタノールや酢酸エチルが好ましい。抽出物を得る方法としては、発酵茶葉を抽出タンクに入れ、水または熱水、あるいは有機溶媒を添加して抽出することができ、得られた抽出液は、さらに遠心分離による固液分離処理後、フィルタープレスにより異物等が除去される。この抽出物を濃縮した濃縮物(以下、抽出物、濃縮物を単に黒茶エキスという場合もある)の形態で、あるいは、さらに乾燥した乾燥物の形態で使用してもよく、濃縮方法としては、特に限定されないが減圧濃縮、膜濃縮、凍結濃縮等があり、乾燥方法としては、スプレードライ、フリーズドライ、ニーダー、ナウターミキサー等の機械を用いて粉末化する方法がある。そして、このように濃縮あるいは乾燥されて、液状または粉末化されたエキスは、そのままでもよく、あるいは後述する他の有効成分を含んでもよい。育毛剤における黒茶エキスの濃度は、特に限定されるものではないが、育毛効果の発現とコストパフォーマンスの観点から、好ましくは0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.1〜30重量%であり、最も好ましくは0.5〜15重量%である。
【0014】
黒茶エキスの投与量は、化合物の種類、投与方法、投与される者の状態や年齢により異なるが、1日あたり通常は0.01mg/kg〜100mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kgである。本発明の黒茶エキスは通常、製剤用担体と混合して調製して製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の黒茶エキスと反応しない物質が挙げられる。
【0015】
特に、黒茶エキスの育毛作用は、ショウガ抽出エキスやトウガラシ抽出エキス、蒸留酒発酵残渣(例えば焼酎発酵抽出かす等)を混合することにより、その効果が相乗、相加的に促進される。これらのエキス成分は、黒茶エキスに対して混合比として1:99〜99:1、さらには10:90から90:10の割合で混合し使用することができる。
【0016】
本発明の育毛剤には、必要に応じて種々の他の有効成分をさらに含んでいてもよい。このような他の有効成分としては、例えば細胞賦活剤、血行促進剤、抗男性ホルモン剤、皮脂分泌抑制剤、免疫抑制剤、抗ヒスタミン剤、殺菌消毒剤、局所刺激剤、角質軟化剤、消炎剤、抗アポトーシス剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的には、例えばパントテン酸およびその誘導体、プラセンタエキス、肝酵素、ニンジンエキス、ビオチン、モノニトログアヤコール、塩化カルプロニウムまたはその水和物、ビタミンEおよびその誘導体、センブリエキス、トウガラシチンキ、セファランチン、ニコチン酸およびその誘導体、エストラジオール、エチニルエストラジオール、ランジック酸、ミノキシジルおよびその類縁体や誘導体、5−α還元酵素阻害剤、1,2−テトラデカノイルフォルボール1,3−アセテート(1,2-Tetradecanoylphorbol-1,3-acetate)、オウセイ、カギカズラ、オオアザミ、センナ、カンゾウといった生薬、安息香酸エストラジオール、ジフェンヒドラミン、レゾルシン、ヒノキチオール、l−メントール、サリチル酸、カシュウ成分、チクセツニンジン成分、パンテノール、二硫化セレン、塩酸ピリドキシン、ジピリジオンZn、オクトピロックス、ジンクピリチオン、イオウ、ピロクトンオラミン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ジアルキルモノアミン誘導体、センブリ抽出液、シソエキス、ブクリョウエキス、β−グリチルレチン酸、硝酸ミコナゾール、安息香酸、サリチル酸ナトリウム、フィトステロール、ワイン酵母エキス、タカナール、イソプロピルメチルフェノール、セファランチンビオチン、D−パントテニルアルコール、ジアルキルモノ誘導体、ヒウキオコシエキス、ボタンエキス、シナノエキス、エピネエキス、ソフォラ抽出エキス、クララエキス、クジンエキス、ショウキョウエキス、6−ベンジルアミノプリン、ペンタデカン酸グリセリド、t−フラバノン、クアチャララーテエキス、アマチャ抽出エキス、アデノシン等を、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
また、上述のような他の有効成分の含有量は、所望される効果や適用される被験体の年齢、性別、状態等の種々の要因により適宜変更することができるが、例えば育毛剤の全体重量に対して0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.001〜5重量%とすることができる。
【0018】
さらに、上記成分の他に用途あるいは剤形等に応じて、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等に通常使用することができる任意の成分を適宜配合してもよい。配合できる成分としては、特に制限されないが、例えば担体、基剤、添加剤等が挙げられる。具体的には、例えば糖類(例えばマンニトール、乳糖、デキストラン等)、セルロース類(例えばヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、結晶性セルロース等)、水難溶性ガム類(例えばアラビアガム、トラガントガム等)、架橋ビニル重合体、脂質類、水、油脂類、鉱物油類、ロウ類、脂肪酸類、シリコーン油類、ステロール類、エステル類、金属石鹸類、アルコール、界面活性剤、可溶化成分、乳化剤、油分、安定化剤、増粘剤、防腐剤、結合剤、滑沢剤、分散剤、pH調整剤、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、経皮吸収促進剤、抗酸化剤、崩壊剤、可塑剤、緩衝剤、ビタミン類、アミノ酸類、着色剤、香料等を、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。本発明の育毛剤は、医薬品、医薬部外品、食品、化粧品等として幅広く利用可能な任意の製剤であり得るが、好ましくは、医薬品、医薬部外品、または化粧品として利用可能な製剤である。
【0019】
本発明の育毛剤の剤形は特に制限されず、任意の剤形をとることができる。例えば本発明の育毛剤は、内服剤、外用剤、注射用剤等であり得るが、好ましくは外用剤である。外用剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品等で一般的な任意の形態をとることができ、例えば液状、乳液状、クリーム状、ローション状、ペースト状、ムース状、ジェル状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状、オイル状、パック状、ゲル状、軟膏状等の形態であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本発明の育毛剤は常法に従って用いられる。例えば外用剤の場合には、育毛効果の望まれる箇所(例えば頭部)の皮膚に、直接塗布または噴霧等をすることによって適用することができる。例えば皮膚用外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコール等に加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体等の粘着剤と練合した後ポリアルキル等の不織布に展延してテープ剤とすることができる。また、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアパック剤あるいはゲル等の種々の形態で医薬部外品や香粧品中に配合して育毛剤とすることもできる。なおクリーム状、エマルジョン状あるいはゲル状の育毛剤とする際に、一般的に使用される種々の添加剤を配合することができる。添加剤は特に限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール等の低級脂肪族アルコール、あるいはグリセリンや1,2−プロピレングリコールのようなグリコール等の溶媒を配合することができる。さらにその他に、アルキルトリメチルアンモニウム塩やアルキルベタイン、オキシエチル化脂肪族アルコール、胎肪酸アルカノールアミド、オキシエチル化脂肪酸エステル等のカチオン性、両性あるいは非イオン性界面活性剤からなる湿潤剤、乳化剤、香油、エチレングリコールジステアレート等の乳白剤、2,4,4−トリクロル−2−ヒドロキシジフェニルエーテルやメチルイソチアゾリノンのような殺菌剤や防カビ剤、緩衝剤、保湿剤、酸化防止剤を適宜使用することができる。
【0021】
また、本発明の育毛剤は、その形態や所望される効果の程度等に応じて、1日あたり1回から複数回(例えば2〜10回程度)に分けて投与することができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を示す。
【0023】
実施例1
中国大葉種の茶葉を収穫し、釜入り後、35%の水分となるように加水後、アスペルギルス属のカビ(Aspergillus niger)を植菌して、2ヵ月間発酵し黒茶を得た。上記で得られた発酵茶葉198gを抽出タンクに入れ、水1000mLを添加し、120℃で1時間抽出し、抽出液1150mLを得た。この抽出液を遠心分離後、フィルタープレスにより異物を除去し、得られた抽出液を濃縮後、噴霧乾燥して黒茶エキスを得た。
【0024】
(育毛試験)
毛包は一定の周期で常に生え変わる器官であり、毛周期は成長期、退行期、休止期から構成される。C3H/Heマウスにおいては、7週齢から50日間、毛周期は休止期に同調していることが知られている。また、C3H/Heマウスの背部毛は、生後45〜95日が休止期にあたり、この時期に背部毛を剃毛すると、皮膚はピンク色に呈することが知られている。そして、毛包が成長期にはいると、皮膚は次第に灰化し、徐々に再生毛が皮膚上に観察されるようになる。この成長期に入った部分を観察することにより、育毛促進作用を評価することができる。そこで、このマウスを本試験で使用することとした。
【0025】
本発明では、毛周期が休止期にある7週齢の雄性C3H/Heマウス18匹の背部をバリカンとシェーバーにより脱毛し、3日間の回復期間をおいた後、塗布を開始した。なお、試験に使用した溶液は、水:エタノール:プロピレングリコール=2:3:5に混合した液をコントロール溶液とし、これに5%濃度となるように黒茶エキスを溶解した。剃毛したマウスを9匹ずつの2群に分け、それぞれにコントロール溶液または試験液0.15mLを背部に毎日塗布し、背部の毛様子を観察した。
【0026】
塗布開始、2週間後育毛促進作用について評価を行った。評価はすべて横並びで実施するため、コントロール群、5%塗布群(試験群)のすべてのマウスを同時に屠殺した。結果を図1に示す。図1において、上段はコントロール群のマウスの写真であり、下段は黒茶エキスを塗布した群のマウスの写真である。参照符号Mはマウス、参照符号1は育毛効果が確認されなかった背部、参照符号2は育毛効果が顕著に確認された背部、参照符号3は育毛効果が確認された背部を示す。図1に示されるように、コントロール群のマウスでは、2週間の観察で1匹のみわずかに育毛が見られたが、その他については育毛の効果が見られなかった。すなわち、2週間の期間では、依然として毛周期が休止期間に属していることが判る。一方、5%塗布群では、ほぼすべてのマウスに顕著な育毛効果が見られた。すなわち、本来であれば毛周期は休止期に属するため育毛効果が見られないはずであるが、本実施例では、育毛が促進されたことが判る。
【0027】
本実施例では、まったく生えてないマウスを0、最も生えているマウスを10として10段階評価を行なった。得られた各値の平均値およびS.E.を算出し、t−検定による統計解析を行った。その結果、コントロール群2.0±0.29に対して、5%塗布群では6.0±0.35と有意に増加していた(p<0.01)。すなわち、コントロール群では、すべてのマウスで育毛効果が確認できないかほとんど確認されなかったのに対し、黒茶エキスを塗布した群のマウスでは、ほぼすべてのマウスで育毛効果が顕著に確認された。
【0028】
実施例2
黒茶エキスの含有量を0.5%に変更したほかは実施例1と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.1±0.39に対して、試験群では3.3±0.22と有意に増加していた(p<0.05)。
【0029】
実施例3
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、ショウガ抽出物を1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例1と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群1.9±0.31に対して、試験群では5.1±0.31と有意に増加していた(p<0.01)。
【0030】
実施例4
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、トウガラシ抽出物を1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例1と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群1.8±0.32に対して、試験群では5.3±0.28と有意に増加していた(p<0.01)。
【0031】
実施例5
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、大麦を焼酎製造用にアルコール発酵後、その蒸留残渣を乾燥したものを1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例1と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.1±0.26に対して、試験群では4.3±0.33と有意に増加していた(p<0.01)。
【0032】
実施例6
黒茶を抽出する際に、水からエタノールに替えて抽出したほかは実施例1と同様の方法により黒茶エキスを調製した。この黒茶エキスを用いて、実施例1と同様、5%となるように試験液を調製して試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群1.9±0.31に対して、試験群では7.3±0.58と有意に増加していた(p<0.01)。
【0033】
実施例7
黒茶エキスの含有量を0.5%に変更したほかは実施例6と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群1.9±0.31に対して、試験群では4.1±0.29と有意に増加していた(p<0.01)。
【0034】
実施例8
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、ショウガ抽出物を1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例6と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群1.9±0.31に対して、試験群では5.3±0.22と有意に増加していた(p<0.01)
【0035】
実施例9
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、トウガラシ抽出物を1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例6と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.2±0.28に対して、試験群では5.9±0.32と有意に増加していた(p<0.01)。
【0036】
実施例10
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、麦焼酎発酵抽出かすを1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例6と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.2±0.26に対して、試験群では5.1±0.32と有意に増加していた(p<0.01)。
【0037】
実施例11
黒茶を抽出する際に、水から酢酸エチルに替えて抽出したほかは実施例1と同様の方法により黒茶エキスを調製した。この黒茶エキスを用いて、実施例1と同様、5%となるように試験液を調製して試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.2±0.28に対して、試験群では5.1±0.20と有意に増加していた(p<0.01)。
【0038】
実施例12
黒茶エキスの含有量を0.5%に変更したほかは実施例11と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.1±0.31に対して、試験群では4.9±0.26と有意に増加していた(p<0.01)。
【0039】
実施例13
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、ショウガ抽出物を1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例11と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.1±0.26に対して、試験群では6.1±0.37と有意に増加していた(p<0.01)。
【0040】
実施例14
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、トウガラシ抽出物を1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例11と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.0±0.29に対して、試験群では6.6±0.38と有意に増加していた(p<0.01)。
【0041】
実施例15
黒茶エキスの含有量5%に替えて、黒茶エキス1%に対し、焼酎発酵抽出かすを1%となるように溶液を調製し、これをサンプルとして用いたほかは実施例11と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.0±0.29に対して、試験群では5.9±0.40と有意に増加していた(p<0.01)。
【0042】
比較例1
黒茶エキス5%を麦焼酎発酵抽出かす5%に変更したほかは、実施例1と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.10±0.39に対して、試験群では1.83±0.41であり、育毛促進作用は認められなかった。
【0043】
比較例2
黒茶エキス5%をショウガ抽出物5%に変更したほかは、実施例1と同様の方法により試験を実施した。その結果について実施例1と同様に10段階評価を行い、平均値およびS.E.を算出したところ、コントロール群2.10±0.39に対して、試験群では2.14±0.22であり、育毛促進作用は認められなかった。
【符号の説明】
【0044】
1 育毛効果が確認されなかった背部
2 育毛効果が顕著に確認された背部
3 育毛効果が確認された背部
M マウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒茶を有効成分とする育毛剤。
【請求項2】
前記有効成分とされた黒茶が、黒茶葉を水または有機溶媒で抽出したエキスである請求項1記載の育毛剤。
【請求項3】
前記エキスに、育毛成分がさらに添加されてなる請求項2記載の育毛剤。
【請求項4】
前記育毛成分が、トウガラシ抽出エキスである請求項3記載の育毛剤。
【請求項5】
前記育毛成分が、ショウガ抽出エキスである請求項3記載の育毛剤。
【請求項6】
前記育毛成分が、蒸留酒発酵残渣である請求項3記載の育毛剤。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−148792(P2011−148792A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288245(P2010−288245)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(500333132)日本サプリメント株式会社 (9)
【Fターム(参考)】