説明

育毛剤

【課題】 これまでに知られていない微生物を用いて得られる大豆を原料にした発酵物を有効成分として配合した新規な育毛剤を提供すること。
【解決手段】 乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキー(Lactobacillus delbruekii)またはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分として配合した育毛剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性の薄毛や脱毛症のみならず女性の薄毛や脱毛症に対しても優れた予防効果や改善効果を有する育毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薄毛や脱毛症に悩む男性は数多くいるが、今日では、生活環境の変化やストレスなどに起因するホルモン分泌バランスの不均衡などが原因となって、薄毛や脱毛症に悩む女性も年々増加傾向にある。そのため、男性型脱毛症の予防や改善を目的とした育毛剤の開発はもとより、女性型脱毛症の予防や改善を目的とした育毛剤の開発も盛んに進められている。近年、微生物を用いて植物素材を発酵することで得られる発酵物を育毛剤の有効成分として利用する方法が提案されており、例えば、特許文献1には、真菌に属するノイロスポラ シトフィラ(Neurospora sitophila)を用いて得られる落花生や大豆を原料にした発酵物が、特許文献2には、リゾプス属(Rhizopus)に属する真菌を用いて得られる大豆を原料にした発酵物が、それぞれ育毛剤の有効成分として利用できることが記載されている。また、特許文献3には、大豆を含む様々な植物素材の発酵物を化粧品や医薬品の様々な有効成分として利用することが提案されており、発酵に用いることができる多数の乳酸菌や酵母とともに、その用途の1つとして毛髪成長の刺激作用が記載されている。しかしながら、特許文献3には、毛髪成長の刺激作用の具体的な開示はない。このように、微生物を用いて得られる大豆を原料にした発酵物の育毛剤の有効成分としての利用については、既にいくつかの微生物に関して知られているところではあるが、微生物の種類の豊富さに鑑みれば、より優れた育毛剤の有効成分として利用できる発酵物を作り出す微生物の存在を否定できないことから、その探求は非常に意義深い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2553906号公報
【特許文献2】特許第2640349号公報
【特許文献3】特表2005−521649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、これまでに知られていない微生物を用いて得られる大豆を原料にした発酵物を有効成分として配合した新規な育毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキー(Lactobacillus delbruekii)を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物が、優れたエストロゲン受容体αアゴニスト活性作用などに基づいて優れた育毛作用を有することを見出した。
【0006】
上記の知見に基づいてなされた本発明は、請求項1記載の通り、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキーまたはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分として配合した育毛剤である。
また、本発明は、請求項2記載の通り、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキーまたはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を育毛剤を製造する際にその有効成分として使用する方法である。
また、本発明は、請求項3記載の通り、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキーまたはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分とする薄毛および/または脱毛症の予防および/または改善剤である。
また、本発明は、請求項4記載の通り、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキーまたはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分とするエストロゲン受容体αアゴニスト活性作用剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、これまでに知られていない微生物を用いて得られる大豆を原料にした発酵物を有効成分として配合した新規な育毛剤として、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキーまたはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分として配合した育毛剤を提供することができる。ラクトバチルス デルブリッキーとその亜種は、ラクトバチルス属に属する乳酸菌として公知の微生物であり、例えば特許文献3にも大豆を含む様々な植物素材の発酵に用いることができる乳酸菌として記載されている。しかしながら、前述したように、特許文献3には、毛髪成長の刺激作用の具体的な開示はない。加えて、特許文献3には、ラクトバチルス デルブリッキーを用いて得られる発酵物の具体的な開示もない。また、特許第2804312号公報には、豆乳の乳酸菌発酵物を含む化粧料が記載されているとともに、発酵に用いることができる乳酸菌としてラクトバチルス デルブリッキーが記載されている。しかしながら、特許第2804312号公報に記載されている化粧料は、色白を目的とするものであって、育毛を目的とするものではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の育毛剤は、乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキーまたはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分として配合したものであり、男性の薄毛や脱毛症のみならず女性の薄毛や脱毛症に対しても優れた予防効果や改善効果を有する。
【0009】
前述したように、ラクトバチルス デルブリッキーとその亜種は、ラクトバチルス属に属する乳酸菌として公知の微生物であり、例えば微生物分譲機関から入手することができる他、既知の方法で自ら単離同定することもできる。ラクトバチルス デルブリッキーの亜種としては、ラクトバチルス デルブリッキー サブスピーシーズ ブルガリクス(Lactobacillus delbruekii sub.bulgaricus)やラクトバチルス デルブリッキー サブスピーシーズ ラクティス(Lactobacillus delbruekii sub.lactis)などが挙げられる。ラクトバチルス デルブリッキーとその亜種であれば、単一の菌を用いてもよいし、複数種類の菌の混合物を用いてもよい。
【0010】
豆乳発酵物の原料として用いる豆乳としては、例えば、予め水に浸漬しておいた大豆(丸大豆や脱皮大豆や脱脂大豆など)に水や熱水(炭酸ナトリウムを添加したものでもよい)を加えて磨砕や圧搾し、ろ過によっておからを除去してから加熱滅菌する方法で得られる豆乳が挙げられる。
【0011】
ラクトバチルス デルブリッキーやその亜種を用いて豆乳発酵物を得る方法は、乳酸菌を用いて豆乳発酵物を得る方法として知られている方法、例えば、前培養した乳酸菌の菌液(スターター)を豆乳に接種した後、30℃〜45℃で10時間〜30時間培養する方法を採用することができる。菌の増殖や発酵を促すために、スクロース、グルコース、フルクトース、転化糖などの糖類、肉エキス、ペプトン、酵母エキスなどを必要に応じて豆乳に添加してもよい。また、豆乳のpHを調整するために、塩酸などの無機酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸などの有機酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリを必要に応じて豆乳に添加してもよい。所定の条件のもとでの発酵を行った後は、菌を死滅させるための加熱殺菌を行う。
【0012】
以上のようにして得られる豆乳発酵液は、そのまま育毛剤の有効成分として用いることができるが、豆乳発酵液の性状の均一化を図るためや、取り扱い性や保存安定性を高めるために、以上のようにして得られる豆乳発酵液に対し、不溶物の除去、脱臭や脱色、pHの調整、防腐剤や保存剤や酸化防止剤をはじめとする添加剤の添加などを行ってもよい。また、豆乳発酵液に対して乾燥や濃縮を行い、得られる固形物や半固形物や粉末を育毛剤の有効成分として用いてもよい。
【0013】
ラクトバチルス デルブリッキーやその亜種を用いて得た豆乳発酵物は、本発明の育毛剤の有効成分として例えば0.001重量%〜1重量%の含量となるように配合される(固形分重量として)。育毛剤の製剤形態は、例えば外用剤として薄毛や脱毛症の予防や改善のために用いることができるものであればどのようなものであってもよく、医薬品や医薬部外品や化粧品の分野において一般的に採用される、ローション、乳液、クリーム、ジェル、パウダリー、ワックス、ムースなどから任意に選択することができ、育毛用ヘアトニック、育毛用ヘアクリームやジェル、育毛用ヘアローション、育毛用ヘアリキッド、育毛用ヘアスプレーなどとして提供することができる。また、本発明の育毛剤は、薄毛や脱毛症の予防や改善を図ることができるシャンプー、リンス、コンディショナーなどとして提供することもできる。それぞれの製剤の組成は一般的なものであってよい。エアゾールの形態である場合は、n−プロピルアルコールやイソプロピルアルコールなどの低級アルコール、ブタン、プロパン、イソブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの可燃性ガス、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガスなどを用いることができる。
【0014】
また、本発明の育毛剤には、本発明の目的や効果を損なわない範囲で他の任意成分を配合してもよい。任意成分は目的に応じて適宜選択することができる。その具体例としては、アルコール類や多価アルコール類、脂肪酸類、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤をはじめとする界面活性剤、増粘剤、天然高分子化合物や合成高分子化合物、天然油脂や合成油脂、シリコーン類、キレート剤、角質溶解剤、樹脂、紫外線吸収剤、ビタミン類、アミノ酸類、核酸類、抗菌剤、抗炎症剤、保湿剤、細胞賦活剤、酸化防止剤、色素、香料などが挙げられる。これらの任意成分の育毛剤への配合量としては、例えば0.0001重量%〜50重量%が挙げられる。
【0015】
また、本発明の育毛剤には、その育毛効果を高めるために、ラクトバチルス デルブリッキーやその亜種を用いて得た豆乳発酵物の加えて、その他の育毛剤の有効成分として用いることができる物質、例えば、ビタミンE類(DL−α−トコフェロールやDL−α−酢酸トコフェロールなど)、塩化カルプロニウム、グリチルリチン、グリチルレチン酸、パントテニルエチルエーテル、ミノキシジル、アデノシン、t−フラバノン、6−ベンジルアミノプリン、ペンタデカン酸グリセリド、フィナステリド、セファランチン、ニコチン酸ベンジル、ジンクピリジオン、アセチルコチン、エチニルエストラジオール、センブリエキス、ニンニクエキス、オタネニンジンエキス、チンキ類(トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキなど)などを配合してもよい。これらの有効成分の育毛剤への配合量としては、例えば0.001重量%〜10重量%が挙げられる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0017】
実施例1:育毛剤その1(育毛用ヘアローション)
水洗後、水に一昼夜浸漬した丸大豆に、水を加えてミキサーで磨砕し、95℃に加熱した後、ろ過によっておからを除去してから145℃で加熱滅菌して豆乳を得た。こうして得られた豆乳2.4kg、D−グルコース60g、酵母エキス18gを水に溶解して全量を6kgに調整し、145℃で加熱滅菌して培養基とした。この培養基に、スターターとして前培養したラクトバチルス デルブリッキー(NBRC3202)180gを接種し、37℃で20時間培養した。培養終了後、80℃以上で加熱殺菌して菌を死滅させた。次いで、エタノールを30重量%の含量となるよう添加した後、撹拌し、不溶物をろ過によって除去し、澄明な豆乳発酵液を得た(固形分含量:約0.4重量%)。
以上のようにして得られた豆乳発酵液を用いて表1に示す成分組成の育毛用ヘアローションを製造した。具体的には、成分1〜成分3を混合撹拌した後、成分4と成分5を添加し、さらに成分6を添加して撹拌後、成分7を添加してから成分8を添加してpH調整を行って製造した。
【0018】
【表1】

【0019】
実施例2:育毛剤その2(シャンプータイプ)
実施例1と同様にして得られた豆乳発酵液を用いて表2に示す成分組成の薄毛や脱毛症の予防や改善のためのシャンプーを製造した。具体的には、成分1に成分2を分散させた後、成分3〜成分5を添加し、さらに成分6〜成分9を添加して80℃で10分間加熱した後、30℃まで冷却し、成分10を添加してpH調整を行って製造した。
【0020】
【表2】

【0021】
試験例1:育毛作用
実施例1で得た豆乳発酵液に対して減圧濃縮を行った後、凍結乾燥を行い、得られた固形物を微粉砕することで得た豆乳発酵粉末の育毛作用を以下の方法で評価した。
豆乳発酵粉末0.08gを50%エタノール水溶液に溶解して全量を100mLとしたものを供試サンプルとした。ブランクには50%エタノール水溶液を用いた。脱毛症状(ハミルトン・ノーウッド分類でII型、II型Vertex、III型)を呈するパネラー5名のそれぞれの左頭部にブランクを、右頭部に供試サンプルを、ブラインドにて1日2回、1ヶ月間外用連用させた。試験終了後の毛髪の状態を試験前と比較し、「改善」「変化なし」「悪化」の3段階にて評価した。結果を表3に示す。また、表3には、比較例として、ラクトバチルス デルブリッキーとサッカロミセス属に属する酵母であるサッカロミセス セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を用いて得た複合豆乳発酵粉末(調製方法は下記の参考例を参照のこと)について同様にして育毛作用を評価した結果をあわせて示す。
表3から明らかなように、本発明の豆乳発酵粉末は、比較例の複合豆乳発酵粉末よりも脱毛症状の改善効果が高く、優れた育毛作用を有することがわかった。
【0022】
【表3】

【0023】
試験例2:エストロゲン受容体αアゴニスト活性作用
試験例1で用いた本発明の豆乳発酵粉末と比較例の複合豆乳発酵粉末のエストロゲン受容体αアゴニスト活性作用をレポーター遺伝子アッセイにより評価した。具体的には、ヒトエストロゲン受容体α発現プラスミド(hERα/pcDNA3.1)とレポータープラスミド(ERE−AUG−Luc+)を一過性に導入したヒト子宮頸ガン由来細胞株HeLa(ATCC No.CCL−2)に対し、本発明の豆乳発酵粉末または比較例の複合豆乳発酵粉末を終濃度として0.05重量%〜0.00000005重量%添加し、ルシフェラーゼ活性を指標として評価した(必要であれば例えばTakeyoshi M.et al.,Toxicol Lett.,126,91−98やTakeyoshi M.et al.,Arch Toxicol.,77,274−279を参照のこと)。陽性対照区の最大転写活性化倍率(通常1nM 17β−エストラジオール)の50%の値を与える濃度(PC50)を濃度区間を結ぶ一次回帰式より求めたところ、本発明の豆乳発酵粉末と比較例の複合豆乳発酵粉末いずれにもエストロゲン受容体αアゴニスト活性作用が認められたが、前者の方が後者よりも1.39倍高い作用を有していた。以上の結果から、試験例1から明らかになった本発明の豆乳発酵粉末が有する優れた育毛作用は、その優れたエストロゲン受容体αアゴニスト活性作用などに基づいていると推察された。
【0024】
試験例3:毛髪に関連する遺伝子の発現量に対する作用
(試験方法)
常法に従って、ヒト毛髪から、マイクロダイセクション法で、毛乳頭組織を採取した。得られた毛乳頭組織を、コラゲナーゼ処理し、ヒト正常毛乳頭細胞を得た。得られたヒト正常毛乳頭細胞を、15%牛胎児血清(FBS)含有Minimum Essential Medium(MEM)(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて、37℃、飽湿、5%CO条件下で培養した。培養細胞がデッシュにおいてセミコンフルエント(70%〜80%)になった時点で、培地をFBSを含有しないMEMに切り替え、試験例1で用いた本発明の豆乳発酵粉末をその濃度が100μg/mLとなるように添加し、さらに培養した。24時間後、培養細胞から、ISOGEN(和光純薬工業株式会社)を用いて、total RNAを抽出した。得られたRNAサンプルは、Deoxyribonuclease(和光純薬工業株式会社)を用いて処理した後、SuperScript VILO cDNA Synthesis Kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて逆転写反応を行った。逆転写反応によって得られたcDNAから、Rotor−Gene SYBR Green PCR Kit(株式会社キアゲン)を用いて、定量的PCR装置:Rotor−Gene Q(株式会社キアゲン)により定量的PCRを行い、種々の遺伝子の発現量を測定した(n=3)。なお、内在性コントロールとしてGAPDHを用いた。本発明の豆乳発酵粉末を添加しないで培養した場合についても同様にして種々の遺伝子の発現量を測定した(n=3)。本発明の豆乳発酵粉末を添加した試験群と添加しないコントロール群における種々の遺伝子の発現量をT−検定によって比較し、後者よりも前者において発現量が有意に多い(p<0.05)遺伝子の有無を調べた。
(試験結果)
毛包形成に重要な役割を担っていることが知られているBMP4、Ephrin−A3、Wnt10bの各遺伝子と、毛母細胞の増殖に関与することが知られているFGF7遺伝子について、コントロール群に比較して試験群における有意な発現量の増加が認められた。以上の結果から、本発明の豆乳発酵粉末が有するこれらの毛髪に関連する遺伝子の発現量に対する増加作用も、試験例1から明らかになったその優れた育毛作用に寄与していると推察された。
【0025】
参考例:比較例の複合豆乳発酵粉末の調製方法
水洗後、水に一昼夜浸漬した丸大豆に、水を加えてミキサーで磨砕し、95℃に加熱した後、ろ過によっておからを除去してから145℃で加熱滅菌して豆乳を得た。こうして得られた豆乳80g、D−グルコース2g、酵母エキス0.6gを水に溶解して全量を200gに調整し、145℃で加熱滅菌して培養基とした。この培養基に、スターターとして前培養したラクトバチルス デルブリッキー(NBRC3202)6gを接種し、37℃で21時間培養した。続いて、スターターとして前培養したサッカロミセス セルビシエ(NBRC10217)6gを培養液に接種し、25℃で17時間培養した。培養終了後、80℃以上で加熱殺菌して菌を死滅させた。次いで、エタノールを30重量%の含量となるよう添加した後、撹拌し、不溶物をろ過によって除去し、澄明な豆乳発酵液を得た後、減圧濃縮を行ってから凍結乾燥を行い、得られた固形物を微粉砕することで目的とする複合豆乳発酵粉末を得た。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、これまでに知られていない微生物を用いて得られる大豆を原料にした発酵物を有効成分として配合した新規な育毛剤を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキー(Lactobacillus delbruekii)またはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分として配合した育毛剤。
【請求項2】
乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキー(Lactobacillus delbruekii)またはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を育毛剤を製造する際にその有効成分として使用する方法。
【請求項3】
乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキー(Lactobacillus delbruekii)またはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分とする薄毛および/または脱毛症の予防および/または改善剤。
【請求項4】
乳酸菌に属するラクトバチルス デルブリッキー(Lactobacillus delbruekii)またはその亜種から選択される少なくとも1種を用いて豆乳を発酵することで得られる豆乳発酵物(ただしその他の微生物の共存下で得られる豆乳発酵物を除く)を有効成分とするエストロゲン受容体αアゴニスト活性作用剤。

【公開番号】特開2012−176931(P2012−176931A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246735(P2011−246735)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(505045300)アンファー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】