説明

育苗移植用連続集合鉢体およびその製造方法

【課題】増長部分を折り畳んだり、あるいは切り込みを入れることなく連結片を延長可能とし、もって株間間隔の変更に安全かつ確実に対応できる育苗移植用連続集合鉢体を提供する。
【解決手段】薄膜5を展開することにより形成される六角筒状の個別鉢体1を連結片2にて接続して連続体3となし、該連続体3を重ね合せると共に、前記重ね合せた連続体3の相互間を水溶性接着剤にて貼着した連続集合鉢体4において、前記連結片2を個別鉢体1と独立に形成すると共に、各連結片2を連続体3の両側に交互に千鳥状に配列し、各連結片の両端部を隣接する個別鉢体1,1の側面に非水溶性接着剤にて貼着すると共に、各連結片2の片面を個別鉢体1の側面に水溶性接着剤にて貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、花卉等の作物の育苗、移植に用いられる育苗移植用連続集合鉢体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の育苗移植用連続集合鉢体は、従来一般には、紙または紙のような薄膜を展開することにより形成される四角または六角筒状の個別鉢体を連結片にて接続して連続体となし、該連続体を重ね合せると共に、前記重ね合せた連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着した構造となっている(例えば、特許文献1参照)。このような育苗移植用連続集合鉢体によれば、保管時に圧扁状態として、使用時に展開することでハニカム状に多数の個別鉢体が密に集合した状態で出現し、個別鉢体に栽培土を充填してこれに播種することにより集中的に多数の苗を育成できる。また、この連続集合鉢体は、育苗時の潅水で水溶性接着剤が退化するので、所定日数育苗した後、一端を引くと、重ね合せた連続体の相互間が分離して一列に引出し可能となり、例えば、特許文献2に記載されるような接地型の簡易移植機を用いて、苗の植付けを効率的に行うことができるようになる。
【0003】
ところで、上記した従来一般の連続集合鉢体(六角筒状)によれば、密に集合させる必要上、連結片の長さが個別鉢体の一側面の幅と同等に設定されており、上記特許文献2に記載されるような簡易移植機を用いて連続的に苗を植付けようとすると、その株間間隔は連結片の長さによって制限され、育苗作物の種類によっては株間間隔が狭すぎて、その利用を断念せざるを得ない場合が生じる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献3には、連結片に個別鉢体の一側面の幅より長い増長部分を設け、この増長部分を折畳んで相互に水溶性接着剤にて貼着すると共に、前または後側の個別鉢体の側面に水溶性接着剤にて貼着した連続集合鉢体が開示され、また、特許文献4には、連結片または個別鉢体に所定形状の切り込みを設けて、連結片を前記切り込みを介して伸長可能とした連続集合鉢体が開示されている。
【特許文献1】特公昭58−11817号公報
【特許文献2】特開平5−308822号公報
【特許文献3】特開平8−205687号公報
【特許文献4】特開平7−123869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に開示された連続集合鉢体によれば、連結片の増長部分の折畳み部分への潅水の浸透が不足し、育苗中における水溶性接着剤の退化が不十分となって、移植時に連結片の折畳み部分が円滑に分離、伸長せず、連結片の長さ、すなわち株間間隔にバラツキが生じ易い、という問題があった。また、連結片の増長部分を折畳んで相互に接着剤により貼着しなければならないことに加え、この折畳み部分を個別鉢体に貼着しなければならないため、製造が面倒になり、製造コストが高くなる、という問題もあった。一方、特許文献4に開示された連続集合鉢体によれば、移植作業のために個別鉢体を一列に引出す際、切り込み部分のエッジに応力が集中して切断し易い、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、増長部分を折り畳んだり、あるいは切り込みを入れることなく連結片を延長可能とし、もって株間間隔の変更に安全かつ確実に対応できると共に、コスト低減に寄与する育苗移植用連続集合鉢体とその製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る育苗移植用連続集合鉢体は、紙または紙のような薄膜を展開することにより形成される四角または六角筒状の個別鉢体を連結片にて接続して連続体となし、該連続体を重ね合せると共に、前記重ね合せた連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着した育苗移植用連続集合鉢体において、前記連結片と前記個別鉢体とを独立に形成すると共に、各連結片を、並列させた前記個別鉢体の両側に交互に千鳥状に配列し、各連結片の両端部を隣接する個別鉢体のそれぞれの側面に非水溶性接着剤にて貼着すると共に、各連結片の片面を前記個別鉢体の側面に水溶性接着剤にて接合したことを特徴とする。
【0008】
このように構成した育苗移植用連続集合鉢体においては、隣接する個別鉢体の側面に対する連結片の両端部の貼着位置(非水溶性接着剤による貼着)を適当に選択することで、六角筒状の個別鉢体を集合させる場合は、連結片の長さを個別鉢体の一側面の幅の1〜7倍の範囲内で自由に変更することができ、また、四角筒状の個別鉢体を集合させる場合は、連結片の長さを個別鉢体の一側面の幅の1〜5倍の範囲内で自由に変更することができる。また、連結片は、連続体の両側に交互に千鳥状に配列されると共に、複数層に折畳むことなく個別鉢体の側面に貼着されるだけなので、育苗中の潅水によって水溶性接着剤が十分に退化し、移植に際して連結片が円滑に分離、伸長する。
【0009】
また、本発明に係る育苗移植用連続集合鉢体の製造方法は、帯状薄膜の両側端部を非水溶性接着剤にて貼合せて、筒状の個別鉢体を形成する第1工程と、所定数だけ並列させた前記個別鉢体の両側に交互に千鳥状に連結片を配列し、該連結片の両端部を隣接する個別鉢体の側面に非水溶性接着剤にて貼着すると共に、該連結片の片面を前記個別鉢体の側面に水溶性接着剤にて貼着して連続体を形成する第2工程と、前記連続体を重ね合せて相互に水溶性接着剤にて貼着する第3工程とを含むことを特徴とする。
このように行う育苗移植用連続集合鉢体の製造方法においては、連結片の増長部分を折畳む必要がないので、工程が簡素化される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る育苗移植用連続集合鉢体によれば、育苗中の潅水によって水溶性接着剤が十分に退化するので、移植に際して連結片が円滑に分離、伸長し、所望の株間間隔で安定して移植を行なうことができる。また、連結片を複数層に折畳む必要がなく、所要長さの連結片を個別鉢体の側面に貼着するだけなので、育苗中の潅水によって水溶性接着剤が十分に退化し、移植に際して連結片が円滑に分離、伸長し、所望の株間間隔を安定して確保することができる。
【0011】
また、本発明に係る育苗移植用連続集合鉢体の製造方法によれば、連結片を複数層に折畳む必要がないので、工程が簡素化され、製造コストが低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の第1実施形態としての育苗移植用連続集合鉢体を示したものである。本第1実施形態は、六角筒状の個別鉢体1を多数集合させたもので、各個別鉢体1は連結片2により接続されている。これら個別鉢体1と連結片2とによって形成された一連の連続体3は、個別鉢体1が1/2 ピッチずれるように水溶性接着剤を介して重ね合され、これによって個別鉢体1を密に集合させた連続集合鉢体4が形成されている。なお、図1,2では、理解を助けるため、個別鉢体1と連結片2との間隔および連続体3の各層の間隔を開けて示しているが、これらの間には、実際には図示を略す水溶性接着剤が介在している。
【0014】
上記個別鉢体1は、1枚の薄膜5の両端部の重ね部を非水溶性接着剤にて貼着(貼着部6)することにより筒状に形成されており、その一側面(六角形の1辺)の幅と同等の間隔をあけて配列されている。一方、各連結片2は、個別鉢体1と別体に形成され、かつ並列された個別鉢体1の両側に交互に千鳥状に配列されている。各連結片2の両端部は、ここでは、隣接する個別鉢体1の相互間で最も離間する側面1a,1aであって、相互に内側となる稜角に近接する部位に非水溶性接着剤にて貼着(貼着部7)されている。したがって、ここでは各連結片2は、個別鉢体1の一側面の幅の略5倍の長さを有するものとなっている。
【0015】
各連続体3は、個別鉢体1の側面に各連結片2を水溶性接着剤(図示略)により接合することにより形成されている。各連続体3はまた、所定長さごとに180度反転(転回)して重ね合されている。この場合、連続体3相互の連結部分では、前記所定の長さの連結片2よりも長尺な折返し片8が必要となる。そこで、本実施形態においては、図1、2に示されるように、前記折返し片8を二分割して、その一方の分割片8aを上側の連続体3の端部に位置する個別鉢体1に、その他方の分割片8bを下側の連続体3の端部に位置する個別鉢体1にそれぞれ設け、両分割片8a、8bを非水溶性接着剤による貼着部9により連結するようにしている。
【0016】
ここで、上記薄膜5の材種は任意であるが、少なくとも育苗期間中は耐腐性を有するものを選択するものとする。一般に育苗期間は、40日前後であるが、長ネギ、玉ネギなどの場合は40〜90日あるいはそれ以上となる。40日前後の耐腐性を有する材種としては、例えば植物繊維紙に防腐剤または殺菌剤を塗布または混抄した紙や天然パルプに合成繊維を混抄した合成繊維紙などがある。また、40〜90日あるいはそれ以上の耐腐性を有する材種としては、薬剤で合成繊維混抄紙を処理して湿潤強度を大とした耐腐紙や、非腐食性の不織シート、天然パルプを薬剤処理した紙または合成繊維混抄紙を殺菌剤等の耐腐性薬剤で処理した紙などがある。
【0017】
また、上記した接着剤の種類も任意であり、水溶性接着剤としては、例えばポリビニールアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド等の化学合成物、あるいはアラビアゴム、糊精、カルボキシメチルセルロース等の天然物を用いることができる。また、非水溶性接着剤としては、例えばポリ酢酸ビニールエマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ホットメルト等の化学合成物を用いることができる。
【0018】
このように構成された連続集合鉢体4は、図2に示されるように圧扁状態で保管および提供され、この状態で連続体3の積層方向へ引き伸ばされると、図1に示すように多数の個別鉢体1がハニカム状に展開し、所定の大きさの連続集合鉢体4が出現する。育苗に際しては、この連続集合鉢体4を展開状態で育苗箱(図示略)内にセットし、各個別鉢体1に栽培土を充填してこれに播種する。そして、所定日数育苗すると、この育苗中の灌水で、個別鉢体1の側面と連結片2の間の水溶性接着剤および連続体3の相互間の水溶性接着剤が退化する。したがって、育苗後の移植に際し、連続集合鉢体4を構成する連続体3の一端を引くと、図3に示すように連続体3が一列に引出され、これによって効率のよい植付けが可能になる。この場合、連結片2の長さは、個別鉢体1の一側面の幅のほぼ5倍長となり、広い株間間隔を必要とする作物の栽培に有効に対応できる。
【0019】
ここで、上記連結片2は、隣接する個別鉢体1に対する貼着部7の位置を変更することで、種々の長さとすることができる。例えば、図4(同一部分に同一符号を付す)は、連結片2の長さを個別鉢体1の一側面の幅の略3.5倍にする例を示したもので、この場合は、各連結片2の両端部を、隣接する個別鉢体1の相互間で中間的に離間する側面1b、1bの中間部位に非水溶性接着剤にて貼着(貼着部7)すればよい。
【0020】
また、図5(同一部分に同一符号を付す)は、連結片2の長さを個別鉢体1の一側面の幅の略7倍にする例を示したもので、この場合は、各連結片2の両端部を、隣接する個別鉢体1の相互間で最も離間する側面1a、1aであって、相互に外側となる稜角に近接する部位に非水溶性接着剤にて貼着(貼着部7)し、さらに、各連結片2を、前記貼着部7の外縁を支点に折返すようにする。なお、この図5に示す例において、各連結片2を貼着部7で折返さない場合は、連結片7の長さは個別鉢体1の一側面の幅の略6.5倍長となる。
【0021】
さらに、上記各実施形態では、隣接する個別鉢体1の線対象となる位置(例えば、側面1aまたは1b上)に連結片2の両端部を貼着して、隣接する個別鉢体1に対して均等に連結片2を延ばすようにしているが、この連結片2は、隣接する個別鉢体1に対して不均等に延ばしてもよいことはもちろんで、この場合は、個別鉢体1の一側面の幅の1〜7倍の範囲内で、連結片2の長さをより細かく変化させることができる。
【0022】
図6および図7は、本発明の第2実施形態としての育苗移植用連続集合鉢体を示したものである。本第2実施形態は、四角筒状の個別鉢体11を多数集合させたもので、各個別鉢体11は連結片12により接続されている。これら個別鉢体11と連結片12とによって形成された一連の連続体13は、個別鉢体11が格子状となるように水溶性接着剤を介して重ね合され、これによって個別鉢体11を密に集合させた連続集合鉢体14が形成されている。なお、図6、7では、理解を助けるため、個別鉢体11と連結片12との間隔および連続体13の各層の間隔を開けて示しているが、これらの間には、実際には図示を略す水溶性接着剤が介在する。
【0023】
上記個別鉢体11は、1枚の薄膜15の両端部の重ね部を非水溶性接着剤にて貼着(貼着部16)することにより筒状に形成されており、その一側面が隣接する個別鉢体11の一側面と密着し、格子状となるように配列されている。一方、図7に示すように、連結片12は、個別鉢体11と別体に形成され、かつ個別鉢体11をその一側面の幅(四角筒の一辺)と同等の間隔をあけて並列してなる個別鉢体11の両側交互に千鳥状に配列されている。各連結片12の両端部は、ここでは、隣接する個別鉢体11の相互間で最も離間する位置に非水溶性接着剤にて貼着(貼着部17)されている。したがって、ここでは各連結片12は、個別鉢体11の一側面の幅のほぼ5倍の長さを有するものとなっている。
【0024】
各連続体13は、個別鉢体11の側面に各連結片12を水溶性接着剤(図示略)により接合すると共に、図8に示すように個別鉢体11がその一側面の幅だけ重なり合うように、個別鉢体11の側面に沿って各連結片11を折り返して(矢印R、R´方向)、その相互間を水溶性接着剤にて貼着することにより形成されている。各連続体13はまた、1枚おきに180度反転(転回)して重ね合されている。なおこの場合、連続体13相互の連結部分では、前記所定長さの連結片12と同等の折返し片18が必要となる。そこで、本第2実施形態においては、前記折返し片18を二分割して、それぞれの分割片18a、18bを連続体13の両端部に位置する個別鉢体11にそれぞれ設け、両分割片18a、18bを非水溶性接着剤による貼着部19により連結するようにしている。
【0025】
このように構成された連続集合鉢体14は、第1実施形態と同様に圧扁状態で保管および提供され、この状態で連続体13の積層方向へ引き伸ばされると、図6に示すように多数の個別鉢体11が格子状に展開し、所定の大きさの連続集合鉢体14が出現する。この連続集合鉢体14は、個別鉢体11の形状(四角筒状)と、連続体13の連結形態が第1実施形態と異なるが、播種および育苗方法などは、第1実施形態と同様である。さらに、本第2実施形態では、連結片12の長さを個別鉢体11の一側面の幅の5倍長としたが、前記一側面の幅の1〜5倍の範囲内であれば、栽培する作物に応じて連結片12の長さ(株間間隔)を任意に設定することができる。
【0026】
図9は、上記第1実施形態である六角筒状の個別鉢体1を集合させた連続集合鉢体4を工業的に製造する場合の1つの実施形態を示したもので、この場合は、個別鉢体用の幅広の薄膜(原紙)が巻かれた第1原紙ロール20と連結片用の幅広の薄膜(原紙)が巻かれた2つの第2原紙ロール21とが用意される。そして、第1原紙ロール20から引出された原紙22は、スリッター23によって所定幅でかつ所定枚数の帯状薄膜24に裁断される。これらの帯状薄膜24は、製筒糊付装置25および製筒装置(成型樋)26に順に導かれ、製筒糊付装置25によって各帯状薄膜24の一側縁部に、前記貼着部6を形成する非水溶性接着剤が塗布される共に、製筒装置26によって円筒状に成形され、これによって前記個別鉢体1と同じ断面大きさを有する帯状筒体27となる。この帯状筒体27は、所定の間隔(個別鉢体1の一側面の幅と同等の間隔)で並列して連結ローラ28に送られる。
【0027】
一方、2つの第2原紙ロール21,21から引出された原紙29,29は、スリッター30、30によって所定幅でかつ所定枚数の帯状薄膜(帯状連結片)31,31に裁断される。これらの帯状連結片31は2つの連結片糊付装置32,33に順に導かれ、前段の連結片糊付装置32によって各帯状連結片31の両側縁部に、前記貼着部7を形成する非水溶性接着剤が塗布される共に、後段の連結片糊付装置33によって、それらの中央部の所定範囲を除く部分に水溶性接着剤が塗布され、前記連結ローラ28へ送られる。この時、帯状連結片31、31は、前記連続体3の両側交互に千鳥状に配列されるように(図1、4、5参照)、すなわち前記帯状筒体27を上・下から挟み込むように連結ローラ28に導かれ、これによって前記連続体3の断面形状(図2参照)と同様の断面形状を有する帯状連続体34が形成される。
【0028】
上記帯状連続体34は、続いて糊付ローラ35および糊付装置36に順に導かれ、糊付ローラ35によって帯状連続体34の上面に水溶性接着剤が塗布されると共に、糊付装置36によって帯状連続体34の端部に、前記折返し片8の貼着部9を形成する非水溶性接着剤が塗布される。そして、前記接着剤が塗布された帯状連続体34は、ロータリーカッタ37によって所定の幅(個別鉢体1の高さに相当)に切断され、これによって前記連続体3が形成される。そして、この連続体3は、次の反転機38によって一枚おきに180度反転されて、積層貼合装置39へ送られ、これにより連続体3は相互に水溶性接着剤を介して積層貼着され、これにて本連続集合鉢体4は完成する。
【0029】
ここで、図示を略すが、上記した糊付ローラ35には、帯状連続体34の送り量を検出する装置が設けられており、所定量の帯状連続体34がロータリーカッタ37へ送られると、糊付ローラ35が上昇し、一枚の連続体3の幅(個別鉢体1の高さ)に相当する分だけ、帯状連続体34の上面に水溶性接着剤を塗布しないようになっている。これにより、積層貼合装置39で所定枚数の連続体3が積層貼着されるようになり、連続集合鉢体4として1冊ずつ取出すことが可能になる。
【0030】
なお、図5に示したように、各連結片2の両端部を折返して貼着部7で貼着する態様の連続集合鉢体4を製造する場合は、連結片糊付装置32の前段に、帯状連結片31の両側部を折り曲げる工程が設けられる。
【0031】
一方、第2実施形態である四角筒状の個別鉢体11を集合させた連続集合鉢体14を工業的に製造する方法は、基本的には、図9に示した処理フローと同じであり、これを図9に示した符号を用いて説明すると、以下のとおりとなる。
【0032】
まず、第1原紙ロール20から引出した原紙22をスリッター23によって帯状薄膜24に裁断し、製筒糊付装置25によって非水溶性接着剤を塗布し、製筒装置26によって前記個別鉢体11と同じ断面大きさを有する帯状筒体27を形成する。一方、2つの第2原紙ロール21,21から引出した原紙29,29は、スリッター30、30によって帯状薄膜(帯状連結片)31,31に裁断し、その両側縁部に非水溶性接着剤を、その中央部を除く部分に水溶性接着剤をそれぞれ塗布する。そして、前記帯状連結片31、31が帯状筒体27を上・下から挟み込むように連結ローラ28に導かれ、両者は連結される。
【0033】
四角筒状の個別鉢体11を集合させた連続集合鉢体14を製造する場合は、上記連結ローラ28の後段に、図示を略す折返し糊付装置、折返し装置および連続体形成ローラが順に配設される。そして、まず前記折返し糊付装置によって帯状連結片31の両面に水溶性接着剤が塗布され、続いて前記折返し装置によって個別鉢体11として提供される帯状筒体27に対して帯状連結片31が折返され(図8参照)、さらに前記連続体形成ローラによって前記連続体13の断面形状と同様の断面形状を有する帯状連続体34が形成される。
【0034】
このように形成された帯状連続体34は、以降、図8に示した処理フローに従って、糊付ローラ35、糊付装置36およびロータリーカッタ37に連続に送られて連続体13となり、さらに反転機38および積層貼合装置39に送られ、これによって四角筒状の個別鉢体11を集合させた連続集合鉢体14が完成する。なお、帯状連続体34の送り量を検出して帯状連続体34の上面に水溶性接着剤を塗布しない領域を設ける点は、上記と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態である育苗移植用連続集合鉢体の構造を模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示した育苗移植用連続集合鉢体の圧扁状態を示す模式図である。
【図3】図1に示した育苗移植用連続集合鉢体の引出し状態を示す模式図である。
【図4】第1実施形態の変形例である育苗移植用連続集合鉢体の構造を模式的に示す平面図である。
【図5】第1実施形態の他の変形例である育苗移植用連続集合鉢体の構造を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態である育苗移植用連続集合鉢体の構造を模式的に示す平面図である。
【図7】図6に示した育苗移植用連続集合鉢体における個別鉢体と連結片との貼着状態を示す模式図である。
【図8】図6に示した育苗移植用連続集合鉢体における連続体を形成する過程を示す模式図である。
【図9】本育苗移植用連続集合鉢体(六角筒状)を工業的に製造する場合の製造工程の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
1、11 個別鉢体
2、12 連結片
3、13 連続体
4、14 連続集合鉢体
5、15 薄膜
6、16 個別鉢体の貼着部
7、17 連結片の貼着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙または紙のような薄膜を展開することにより形成される四角または六角筒状の個別鉢体を連結片にて接続して連続体となし、該連続体を重ね合せると共に、前記重ね合せた連続体の相互間を水溶性接着剤にて貼着した育苗移植用連続集合鉢体において、前記連結片と前記個別鉢体とを独立に形成すると共に、各連結片を、並列させた前記個別鉢体の両側に交互に千鳥状に配列し、各連結片の両端部を隣接する個別鉢体の側面に非水溶性接着剤にて貼着すると共に、各連結片の片面を前記個別鉢体のそれぞれの側面に水溶性接着剤にて接合したことを特徴とする育苗移植用連続集合鉢体。
【請求項2】
個別鉢体が六角筒状であり、かつ連結片が、前記個別鉢体の一側面の幅の1〜7倍(ただし、1倍は含まず)の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の育苗移植用連続集合鉢体。
【請求項3】
個別鉢体が四角筒状であり、かつ連結片が、前記個別鉢体の一側面の幅の1〜5倍(ただし、1倍は含まず)の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の育苗移植用連続集合鉢体。
【請求項4】
帯状薄膜の両側端部を非水溶性接着剤にて貼合せて、筒状の個別鉢体を形成する第1工程と、所定数だけ並列させた前記個別鉢体の両側に交互に千鳥状に連結片を配列し、該連結片の両端部を隣接する個別鉢体のそれぞれの側面に非水溶性接着剤にて貼着すると共に、該連結片の片面を前記個別鉢体の側面に水溶性接着剤にて貼着して連続体を形成する第2工程と、前記連続体を重ね合せて相互に水溶性接着剤にて貼着する第3工程とを含むことを特徴とする育苗移植用連続集合鉢体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−180779(P2006−180779A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377907(P2004−377907)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000231981)日本甜菜製糖株式会社 (58)
【Fターム(参考)】