説明

肺動脈高血圧の処置のための1,4−ジアリール−ジヒドロピリミジン−2−オン誘導体の使用

本発明は、肺動脈高血圧および他の形態の肺高血圧の処置および/または予防のための式(I)の1,4−ジアリール−ジヒドロピリミジン−2−オン誘導体、および、肺動脈高血圧および他の形態の肺高血圧の処置および/または予防用の薬物を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防のための式(I)の1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体の使用、および、肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肺動脈高血圧(PAH)は、処置しなければ診断後平均2.8年で死に至る進行性肺障害である。増大する肺循環の収縮は、右心へのストレスの増大を導き、それは、右心不全に発展し得る。定義では、慢性肺高血圧の場合の平均肺動脈圧(mPAP)は、安静時に>25mmHg、または、労作中に>30mmHg(正常値<20mmHg)である。肺動脈高血圧の病態生理は、肺血管の血管収縮および再構築を特徴とする。慢性PAHでは、最初は筋肉化されていない肺血管の筋肉新生(neomuscularization)があり、既に筋肉化された血管の血管筋の周径は増大する。この増大する肺循環の閉塞は、右心に進行性ストレスをもたらし、それは、右心からの拍出の減少を導き、そして、最終的には右心不全に終わる (M. Humbert et al., J. Am. Coll. Cardiol. 2004, 43, 13S-24S)。PAHは、百万人当たり1−2人の罹患率の極めて稀少な障害である。患者の平均年齢は、36歳と推定され、患者の10%のみが60歳を超える。明確に、男性よりも女性の方が多く罹患する(G.E. D'Alonzo et al., Ann. Intern. Med. 1991, 115, 343-349)。
【0003】
肺動脈高血圧の治療におけるあらゆる進歩にも拘わらず、依然としてこの深刻な障害の治癒の見通しはない。市場で入手できる標準的な治療薬(例えば、プロスタサイクリン類似体、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤)は、生活の質、運動耐容能および患者の予後を改善できる。これらの治療の原理は、主として血行動態的であり、血管の緊張に影響を与えるが、病的再構築過程に対する直接的影響はない。加えて、これらの薬物を使用する可能性は、深刻な副作用および/または複雑な投与形態により制限されるときもある。特定の単剤療法により患者の臨床的状況が改善または安定化され得る期間は、限られている。最終的に、治療は拡大し、かくして、複数の薬物が同時に与えられなければならない併用療法が適用される。
【0004】
新しい併用療法は、肺動脈高血圧の処置のために最も将来有望な治療選択肢の一つである。これに関して、PAHの処置用の新規の薬理的メカニズムの発見は、特に興味深い(Ghofrani et al., Herz 2005, 30, 296-302; E.B. Rosenzweig, Expert Opin. Emerging Drugs 2006, 11, 609-619; T. Ito et al., Curr. Med. Chem. 2007, 14, 719-733)。再構築事象に直接介入する治療選択肢(抗再構築メカニズム)は、特に、より原因的な処置の基礎を形成し得、従って患者にとって非常に有利であろう。これに関して、既知および新規の治療を組み合わせることが可能であるべきである。そのような併用療法において妨害する薬物−薬物相互作用のリスクを最小化するために、これらの新規有効成分は、代謝性P450 CYP酵素を非常に低い程度でのみ阻害するか、全く阻害しないべきである。
【0005】
用語「肺動脈高血圧」には、例えば世界保健機関(WHO)により指定される、特定のタイプの肺高血圧が含まれる(Clinical Classification of Pulmonary Hypertension, Venice 2003; G. Simonneau et al., J. Am. Coll. Cardiol. 2004, 43, 5S-12S)。
【0006】
この分類によると、肺動脈高血圧には、特発性肺動脈高血圧(IPAH、以前は原発性肺高血圧とも呼ばれた)、家族性肺動脈高血圧(FPAH)、並びに、膠原線維症、先天性全身−肺シャント(congenital systemic-pulmonary shunts)、門脈圧亢進症、HIV感染、特定の薬物および医薬の摂取に、他の障害(甲状腺障害、糖原貯蔵障害、ゴーシェ病、遺伝性末梢血管拡張症、異常ヘモグロビン症、骨髄増殖性障害、脾摘出)に、肺静脈閉塞症および肺毛細血管腫症などの重大な静脈/毛細血管の関与のある障害、および、新生児の持続性肺高血圧に関連する、随伴性肺動脈高血圧(APAH)が含まれる。
【0007】
他のタイプの肺高血圧には、例えば、左心障害に、例えば、心室または心臓弁の障害に関連する肺高血圧、気道および/または肺の障害に、例えば、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、または、肺線維症に関連する肺高血圧、慢性血栓性および/または塞栓性障害に起因し得る、例えば、肺動脈の血栓塞栓性閉塞に関連する肺高血圧、並びに、一般的な炎症性疾患の過程または特定の原因により引き起こされる(例えば、住血吸虫症、サルコイドーシス、新生物疾患に関連する)肺高血圧が含まれる。
【0008】
ヒト白血球エラスターゼ(HLE、EC3.4.21.37)は、ヒト好中球エラスターゼ(HNE、hNE)とも呼ばれ、セリンプロテアーゼのファミリーに属する。このタンパク質分解酵素は、多形核白血球(PMN白血球)のアズール顆粒に見られる。細胞内エラスターゼは、食作用により取り込まれた外来粒子を分解することにより、病原体に対する防御において重要な機能を担う。活性化された好中球細胞は、HNEを顆粒から細胞外空間に放出し(細胞外HNE)、放出されたHNEのいくらかは、好中球細胞膜の外側に残る(膜結合HNE)。この活性の高い酵素は、多数の結合組織のタンパク質、例えば、タンパク質エラスチン、コラーゲンおよびフィブロネクチンを分解できる。エラスチンは、高い弾力を示す全ての組織タイプに、例えば肺および動脈に、高濃度で存在する。HNEは、多数の病的過程(例えば組織損傷)に関連する、組織の分解および変形(組織再構築)に関与する。HNEは、また、重要な炎症過程のモジュレーターである。HNEは、例えば、インターロイキン−8(IL−8)遺伝子発現の増大を誘導する。従って、HNEは多くの肺障害(例えば慢性閉塞性肺疾患、COPD;急性呼吸促迫症候群、ARDS;嚢胞性線維症、CF;肺気腫)において、そしてまた、心血管系の障害(例えば、心筋梗塞後の、そして、心不全に関連する、組織変化)において、重要な役割を果たすと想定される。
【0009】
肺動脈圧が上昇した(肺動脈高血圧の)動物モデルおよび患者において、結合組織(内弾性板)の断片化を見出すことができた [Rabinovitch et al., Lab. Invest. 55, 632-653 (1986)]。肺動脈高血圧の動物モデル(低酸素およびモノクロタリンラットモデル)において、エラスターゼ活性が増大し、結合組織の断片化と関連することを示すことができた[Todorovich-Hunter et al., Am. Rev. Respir. Dis. 146, 213-223 (1992)]。肺動脈高血圧の疾患過程で観察される組織再構築は、エラスターゼに媒介される結合組織関連増殖因子、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子bFGFの放出により誘導されることが疑われる[Rabinovitch, Am. J. Physiol. 277, L5-L12 (1999)]。肺動脈高血圧の低酸素マウスモデルにおいて、過剰発現したエラスターゼ阻害タンパク質による正の効果を示すことができた[Zaidi et al., Circulation 105, 516-521 (2002)]。肺動脈高血圧のモノクロタリンラットモデルにおいて、合成低分子量エラスターゼ阻害剤による正の効果を示すことができた [Cowan et al., Nature Med. 6, 698-702 (2000)]。しかしながら、全ての過去に開示された低分子量エラスターゼ阻害剤は、選択性が低く、化学的に反応性であり、かつ/または、限定された経口アベイラビリティーしかなく、従って、今日まで、これらの適応症のための経口エラスターゼ阻害剤の開発を不都合にしている。
【0010】
一般的に、エラスターゼに媒介される病的過程は、遊離エラスターゼと内在性エラスターゼ阻害タンパク質(主にアルファ−1アンチトリプシン、AAT)との平衡のずれに基づくと想定される[Stockley, Neutrophils and protease/antiprotease imbalance, Am. J. Respir. Crit. Care Med. 160, 49-52 (1999)]。AATは、血漿中に大過剰に存在し、従って、非常に迅速に遊離HNEを中和する。遊離エラスターゼの濃度は、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害剤とのバランスにおけるプロテアーゼに有利な局所的移動があるように、様々な病的過程で上昇する。加えて、活性化PMN細胞の膜結合エラスターゼは、極めて実質的に、AATによる阻害から保護されている。同じことが、好中球細胞と隣接する組織細胞(例えば内皮細胞)との間にある接近困難な微小区画に位置する遊離エラスターゼにも適用される。加えて、活性化白血球の近傍には強い酸化条件が行き渡り(酸化バースト)、従って、AATは酸化され、桁違いに阻害効果を失う。
【0011】
新規エラスターゼ阻害性有効成分(外来性に投与されるHNEの阻害剤)は、従って、膜結合HNEおよび保護された微小区画(上記参照)に存在するHNEに到達し、阻害できるように、低分子量であるべきである。この目的でまた必要なのは、良好なインビボでの物質の安定性(低いインビボクリアランス)である。加えて、これらの化合物は、病的過程において阻害力を失わないように、酸化条件下で安定であるべきである。併用療法が実施されるか、または将来的に予想される適応症、例えばPAHには、特に、活性医薬成分を変形および分解できる酵素(P450CYP酵素)との相互作用が、わずかのみであることが有利である。
【0012】
WO2004/024700、WO2004/024701、WO2005/082863およびWO2005/082864は、様々な1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体を、慢性閉塞性肺疾患、急性冠血管症候群、心筋梗塞および心不全の処置用のHNE阻害剤として開示している。
【0013】
この度、驚くべきことに、ある種の1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体が、肺動脈高血圧(PAH)の処置に特に適することが見出された。後述するこれらの化合物は、低分子量、非反応性、選択的かつ強力な好中球エラスターゼの阻害剤であり、それは、経口投与後の十分に高いバイオアベイラビリティー、および/または、非経腸投与のための良好な溶解性を有し、肝細胞に関して低いインビトロクリアランスを示し、そして、ミクロソームからのCYP酵素の阻害はわずかにすぎない。従って、それらは、単剤療法として、または他の有効成分との併用において、肺動脈高血圧の処置用の新規医薬のために非常に有望な出発点である。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
Xは、CHまたはNであり、
は、水素、式−(CH−C(=O)−O−R1Aまたは−(CH−C(=O)−NR1B1Cの基、または、式
【化2】

の基であり
{式中、*は、N原子への結合点を意味し、
nは、1または2の数であり、
1Aは、水素または(C−C)−アルキルであり、
そして、R1BおよびR1Cは、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルである}、
は、シアノ、または、式−C(=O)−R2Aまたは−C(=O)−O−R2Aの基であり
{式中、R2Aは、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、モノ−および/またはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよく、各場合で、化学的に安定な化合物が得られる限り、CH基は、O原子により置き換えられていてもよい}、
そして、
は、水素であり、かつ、Rは、水素、フッ素または塩素であるか、
または、
は、フッ素または塩素であり、かつ、Rは水素である]
の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防用の医薬を製造するための使用に関する。
【0015】
これに関して、好ましいのは、式中、
Xが、CHまたはNであり、
が、水素、式−CH−C(=O)−OHまたは−CH−C(=O)−NHの基、または、式
【化3】

の基であり
{式中、*は、N原子への結合点を意味する}、
が、シアノ、アセチル、シクロブチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたは2−ヒドロキシエトキシカルボニルであり、
が、水素であり、
そして、
が、水素またはフッ素である、
式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の使用である。
【0016】
特に好ましいのは、以下の構造:
【化4】

【化5】

を有する式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の使用である。
【0017】
ことさら特に好ましいのは、以下の構造:
【化6】

を有する式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の使用である。
【0018】
式(I)の1,4−ジアリールジヒドロピリミジン−2−オン誘導体のいくつかは、それ自体新規である。従って、本発明は、さらに、以下の構造:
【化7】

を有する式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に、そして、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用に関する。
【0019】
本発明の化合物、または、本発明に従い使用できる化合物(また、以後、包括的に本発明の化合物と呼ばれる)は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される上述および後述の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0020】
本発明の化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に純粋な構成分を、既知方法で単離できる。
本発明の化合物が互変異性体で存在し得る場合、本発明は、全ての互変異性体を包含する。
【0021】
本発明の目的上、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。それら自体は医薬的使用に適さないが、例えば本発明の化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0022】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0023】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0024】
本発明の目的上、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。水和物は、本発明に関して好ましい溶媒和物である。
【0025】
加えて、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば、代謝または加水分解により)本発明の化合物に変換される化合物を包含する。
【0026】
本発明に関して、置換基は、断りの無い限り、以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明の目的上、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルである。
【0027】
(C−C)−シクロアルキルは、本発明の目的上、3個ないし6個の炭素原子を有する単環式の飽和シクロアルキル基を表す。好ましく言及し得る例は:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0028】
(C−C)−アルコキシは、本発明の目的上、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。好ましく言及し得る例は:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびtert−ブトキシである。
【0029】
モノ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明の目的上、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましく言及し得る例は:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノおよびtert−ブチルアミノである。
【0030】
ジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明の目的上、各々が1個ないし4個の炭素原子を有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましく言及し得る例は:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−メチルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノである。
【0031】
本発明の式(I)の化合物は、大部分、WO2004/024700、WO2005/082863およびWO2005/082864で開示されている。それらは、そこで詳述されている通りに、または、それらと同様に、製造できる。一般に、式(I)の化合物は、式(II)
【化8】

(式中、Xは上記の意味を有する)
の化合物を、酸または酸無水物の存在下、3成分のワンポット反応で、または連続的に、式(III)
【化9】

(式中、Rは上記の意味を有する)
の化合物、および式(IV)
【化10】

(式中、RおよびRは上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(I−A)
【化11】

(式中、R、R、RおよびXは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、Rが水素ではない場合、後者を、塩基の存在下で、式(V)
1*−Z (V)
(式中、R1*は、上記Rの意味を有するが、水素ではなく、
そして、Zは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基である)
の化合物と反応させ、かくして得られる式(I−A)または(I)の化合物を、当業者に知られている方法によりそれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することにより製造する。
【0032】
工程(II)+(III)+(IV)→(I−A)に適する溶媒は、反応条件下で変化しない通常の有機溶媒である。これらには、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロメタンまたはクロロベンゼンなどのハロ炭化水素類、または、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの他の溶媒が含まれる。上述の溶媒の混合物を用いることが同様に可能である。好ましくは、テトラヒドロフランまたはジオキサンを使用する。
【0033】
工程(II)+(III)+(IV)→(I−A)に適する酸は、通常の無機または有機酸または酸無水物である。これらには、好ましくは、カルボン酸、例えば酢酸またはトリフルオロ酢酸、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸またはリン酸もしくはホスホン酸無水物、例えばポリリン酸、ポリリン酸エチルエステルまたはプロパンホスホン酸無水物が含まれる。好ましくは、ポリリン酸エチルエステルを使用する。一般的に、化合物(III)1molを基準として、0.25molないし100molの量で酸を用いる。
【0034】
工程(II)+(III)+(IV)→(I−A)は、一般的に、+20℃ないし+150℃、好ましくは+60℃ないし+100℃の温度範囲で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧(例えば、0.5ないし5bar)で行うことができる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0035】
工程(I−A)+(V)→(I)に適する溶媒は、反応条件下で変化しない通常の有機溶媒である。これらには、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどのエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロメタンまたはクロロベンゼンなどのハロ炭化水素類、または、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルtert−ブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)またはN−メチルピロリドン(NMP)などの他の溶媒が含まれる。上述の溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。好ましくは、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドを使用する。
【0036】
工程(I−A)+(V)→(I)の塩基として適するのは、通常の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはセシウム、アルカリ金属アルコラート、例えば、ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシド、アルカリ金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムまたはカリウム、アミド、例えば、リチウムまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミド、または、有機アミン、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは4−N,N−ジメチルアミノピリジンが含まれる。炭酸カリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムを好ましくは使用する。塩基は、一般的に、化合物(I−A)1molを基準として、0.1molないし10mol、好ましくは1molないし3molの量で用いる。
【0037】
工程(I−A)+(V)→(I)は、一般的に、0℃ないし+150℃、好ましくは+20℃ないし+80℃の温度範囲で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧(例えば、0.5ないし5bar)で行うことができる。それは、一般的に大気圧下で実施する。
【0038】
式(II)、(III)、(IV)および(V)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献からわかる方法と同様に製造できる。
【0039】
本発明に従い使用できる式(I)の化合物は、必要および便宜に応じて、上記の方法で得られる他の式(I)の化合物から出発して、個々の置換基、特に、RおよびRで列挙されるものの官能基の変形によっても製造できる。これらの変形は、通常の方法により実施され、例えば、エステル化、エステル開裂または加水分解、還元、触媒的水素化、酸化、水酸化、アミノ化またはアルキル化、および、一時的な保護基の導入および除去などの反応を含む。
【0040】
上記の方法は、以下の反応スキームにより例示説明できる:
スキーム1
【化12】

【0041】
スキーム2
【化13】

【0042】
本発明の化合物は、好都合な物理化学的および薬物動態的特性を有する、低分子量、非反応性、選択的かつ強力な好中球エラスターゼ阻害剤である。特に、それらの経口投与後のバイオアベイラビリティーは、十分に高く、かつ/または、それらの溶解性は、非経腸投与に申し分なく、そして、それらは、肝細胞に関して低いインビトロクリアランスを示し、そして、ミクロソームからのCYP酵素の阻害はわずかにすぎない。
【0043】
従って、本発明の化合物は、特発性および家族性肺動脈高血圧などのサブタイプを含む肺動脈高血圧、および、例えば、門脈圧亢進症、繊維性障害、HIV感染または不適切な薬物または毒物に関連する肺動脈高血圧の処置および/または予防に特に適する。
【0044】
本発明の化合物は、また、他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防に使用できる。従って、例えば、それらは、左心房または左心室の障害、および、左心の弁障害に関連する肺高血圧の処置および/または予防に用いることができる。加えて、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、肺線維症、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気を伴う障害、高山病および肺発達の障害に関連する肺高血圧の処置および/または予防に適する。
【0045】
本発明の化合物は、さらに、慢性血栓性および/または塞栓性障害、例えば、近位肺動脈の血栓塞栓症、遠位肺動脈の閉塞および肺栓塞を基礎とする肺高血圧の処置および/または予防に適する。本発明の化合物は、さらに、サルコイドーシス、組織球症Xまたはリンパ脈管筋腫症に関連する肺高血圧、そして、肺高血圧が血管の外部圧迫(リンパ節、腫瘍、繊維化縦隔炎(fibrosing mediastinitis))に起因する場合の肺高血圧の処置および/または予防に使用できる。
【0046】
本発明の化合物は、それらの薬理的作用プロフィールのために、肺動脈高血圧、および、慢性閉塞性および/または繊維性肺障害に関連する肺高血圧、および、慢性血栓性および/または塞栓性障害に起因し得る肺高血圧の処置および/または予防に特に適する。
【0047】
本発明の化合物は、単独で、または、他の有効成分と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明の化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。組合せに適する有効成分は、例えば、そして好ましくは、以下のものである:
・例えば、そして好ましくは、キナーゼ阻害剤の群からの、特に、チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤の群からの、シグナル伝達カスケードを阻害する化合物;
・有機硝酸塩およびNO供給源、例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入NO;
・NOに依存しないが、ヘムに依存する可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤、例えば、特に、WO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
・NOおよびヘムに依存しない可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤、例えば、特に、WO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載の化合物;
・プロスタサイクリン類似体、例えば、そして好ましくは、イロプロスト、ベラプロスト、トレプロスチニルまたはエポプロステノール;
・可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を阻害する化合物、例えば、N,N'−ジシクロヘキシルウレア、12−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)ドデカン酸または1−アダマンタン−1−イル−3−{5−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル}ウレア;
・心臓のエネルギー代謝に影響を与える化合物、例えば、そして好ましくは、エトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル;
・例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの、抗血栓作用を有する物質;
・例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、Rho−キナーゼ阻害剤および利尿剤の群からの、血圧を下げる有効成分;および/または、
・例えば、そして好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの、脂質代謝を改変する有効成分。
【0048】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、キナーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ボルテゾミブ、カネルチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ロナファーニブ、ペガプタニブ、ペリチニブ(pelitinib)、セマキシニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タンズチニブ(tandutinib)、ティピファニブ、バタラニブ、ファスジル、ロニダミン、レフルノミド、BMS−3354825またはY−27632と組み合わせて用いる。
【0049】
抗血栓作用を有する物質は、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0050】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、血小板凝集阻害剤、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与する。
【0051】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、トロンビン阻害剤、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンと組み合わせて投与する。
【0052】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブと組み合わせて投与する。
【0053】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、Xa因子阻害剤、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン、DU−176b、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリナックス、イドラパリナックス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与する。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与する。
【0055】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ビタミンKアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、クマリンと組み合わせて投与する。
【0056】
血圧を下げる物質は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、Rhoキナーゼ阻害剤および利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0057】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、カルシウム拮抗薬、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与する。
【0058】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、アルファ−1受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プラゾシンと組み合わせて投与する。
【0059】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ベータ−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール(adaprolol)、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与する。
【0060】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタン(embusartan)と組み合わせて投与する。
【0061】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ACE阻害剤、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)と組み合わせて投与する。
【0062】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、エンドセリンアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ボセンタン、ダルセンタン(darusentan)、アンブリセンタンまたはシタキセンタン(sitaxsentan)と組み合わせて投与する。
【0063】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、レニン阻害剤、例えば、そして好ましくは、アリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与する。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与する。
【0065】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、Rhoキナーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ファスジル、Y−27632、SLx−2119、BF−66851、BF−66852、BF−66853、KI−23095、SB−772077、GSK−269962AまたはBA−1049と組み合わせて投与する。
【0066】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、利尿剤、例えば、そして好ましくは、フロセミドと組み合わせて投与する。
【0067】
脂質代謝を改変する物質は、好ましくは、CETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0068】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、CETP阻害剤、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ(CP−529414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与する。
【0069】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、甲状腺受容体アゴニスト、例えば、そして好ましくは、D−チロキシン、3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(axitirome)(CGS26214)と組み合わせて投与する。
【0070】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、スタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与する。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、スクアレン合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与する。
【0072】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ACAT阻害剤、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797と組み合わせて投与する。
【0073】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、MTP阻害剤、例えば、そして好ましくは、インプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与する。
【0074】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、PPAR−ガンマアゴニスト、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与する。
【0075】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、PPAR−デルタアゴニスト、例えば、そして好ましくは、GW−501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与する。
【0076】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、コレステロール吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドと組み合わせて投与する。
【0077】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、リパーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、オーリスタットと組み合わせて投与する。
【0078】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ポリマー性胆汁酸吸着剤、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、コレスタゲル(CholestaGel)またはコレスチミドと組み合わせて投与する。
【0079】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、胆汁酸再吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ゲンカベン(gemcabene)カルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与する。
【0081】
本発明は、さらに、特発性または家族性肺動脈高血圧、または、医薬、毒物または他の障害と関連する肺動脈高血圧の処置および/または予防用の、左心房または左心室の障害、左心の弁障害、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、肺線維症、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気を伴う障害、高山病および肺発達の障害、慢性血栓性および/または塞栓性障害、例えば、近位肺動脈の血栓塞栓症、遠位肺動脈の閉塞および肺栓塞に関連する、または、サルコイドーシス、組織球症Xもしくはリンパ脈管筋腫症に関する、肺高血圧の処置および/または予防用の、そして、血管の外部圧迫に起因する肺高血圧の処置および/または予防用の、医薬を製造するための、単独で、または、1種またはそれ以上の上述の有効成分と組み合わせた、本発明の化合物の使用に関する。
【0082】
本発明は、さらに、有効量の少なくとも1種の本発明の化合物または少なくとも1種の本発明の化合物を含む医薬を投与することによる、ヒトおよび動物における肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防方法に関する。
【0083】
本発明による使用に準じて製造される医薬、または、本発明に従って使用される医薬は、少なくとも1種の本発明の化合物を、通常、1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む。
【0084】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物を、1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、上述の障害の処置および/または予防のための医薬に関する。
【0085】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的作用を有し得る。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜もしくは耳の経路で、またはインプラントもしくはステントとして、投与できる。
本発明の化合物を、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0086】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明の化合物を迅速に、かつ/または、改変された方法で送達し、本発明の化合物を結晶形および/または無定形および/または溶解形で含有するものであり、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば、胃液耐性であるか、または、不溶であるかもしくは遅延して溶解し、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0087】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0088】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳および眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
経口または非経腸投与、特に経口および静脈内投与が好ましい。
【0089】
本発明の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0090】
一般に、非経腸投与で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになった。経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは0.1ないし10mg/体重kgである。
【0091】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別用量に分配するのが望ましいことがある。
【0092】
下記の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、断りの無い限り、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0093】
A. 実施例
略号:
【表1】

【0094】
HPLCおよびLC−MSの方法:
方法1(分析HPLC):
HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD; カラム: Phenomenex Synergi 2 μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0095】
方法2(分析HPLC):
HPLC装置タイプ:HP 1050 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2 μ Max-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+0.05%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル1l;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0096】
方法3(分析HPLC):
装置:DAD 検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;溶離剤A:HClO(70%)5ml/水1L、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0097】
方法4(分析HPLC):
装置:DAD 検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;溶離剤A:HClO(70%)5ml/水1L、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分90%B→9.2分2%B→10分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0098】
方法5(キラル相の分析HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−D−ロイシンtert−ブチルアミドをベースとするキラルシリカゲル相;カラム:250 mm x 4.6 mm;溶離剤:酢酸エチル;流速:2.0ml/分;温度:24℃;UV検出:260nm。
【0099】
方法6(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795/HP 1100; カラム: Phenomenex Synergi 2 μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0100】
方法7(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2 μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0101】
方法8(LC−MS):
装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2 μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0102】
方法9(LC−MS):
装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo HyPURITY Aquastar 3 μ 50 mm x 2.1 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0103】
方法10(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD; カラム: Phenomenex Gemini 3 μ 30 mm x 3.0 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0104】
方法11(分取HPLC):
装置:Gilson Abimed HPLC; バイナリー・ポンプ・システム; カラム: Kromasil-100A C18, 5 μm, 250 mm x 21 mm;溶離剤A:水/0.5%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル;0−10分10%B、勾配10.01−55分100%B;流速:20ml/分;UV検出:210nm。
【0105】
方法12(分取HPLC):
装置:Gilson Abimed HPLC; バイナリー・ポンプ・システム; カラム: Kromasil-100A C18, 5 μm, 250 mm x 20 mm;溶離剤A:水/0.05%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル;0−1分10%B、勾配1.01−30分95%B、30.01−34分95%B、34.01−35分10%B;流速:25ml/分;UV検出:210nm。
【0106】
方法13(分取HPLC):
装置:Gilson Abimed HPLC; バイナリー・ポンプ・システム; カラム: Kromasil-100A C18, 5 μm, 250 mm x 20 mm;溶離剤A:水/0.1%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル;0−1分10%B、勾配1.01−40分90%B、40−45分90%B;流速:25ml/分;UV検出:210nm。
【0107】
方法14(分取HPLC):
装置:Gilson Abimed HPLC; バイナリー・ポンプ・システム; カラム: GromSil 120 ODS-4HE, 250 mm x 40 mm, 10 μm;溶離剤A:水、溶離剤B:アセトニトリル;0−3分10%B、勾配3.01−27分98%B、27.01−34分98%B、34.01−38分10%B;流速:50ml/分;UV検出:214nm。
【0108】
方法15(分取HPLC):
装置:Abimed Gilson Pump 305/306, Manometric Module 806; カラム: GromSil 120 ODS 4HE, 10 μm, 250 mm x 30 mm;溶離剤A:水、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0.0分30%B→3分30%B→31分95%B→44分95%B→45分30%B;流速:50ml/分;カラム温度:RT;UV検出:210nm。
【0109】
方法16(キラル相の分取HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシンtert−ブチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相でのエナンチオマー分離;カラム:125 mm x 20 mm;サンプルを1:5THF/酢酸エチル混合物に溶解する;溶離剤:酢酸エチル;流速:20ml/分;UV検出:260nm;温度:24℃。
【0110】
方法17(キラル相の分取HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシンD−メンチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相でのエナンチオマー分離;カラム:250 mm x 30 mm;溶離剤:段階的グラジエント100%酢酸エチル→100%メタノール;流速:50ml/分;温度:24℃;UV検出:260nm。分析用カラム:250 mm x 4.6 mm;溶離剤:酢酸エチル/メタノール10:1;流速:2ml/分。
【0111】
方法18(キラル相の分取HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシンl−メンチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相でのエナンチオマー分離;カラム:680 mm x 40 mm;溶離剤:段階的グラジエント100%酢酸エチル→100%メタノール;流速:50ml/分;温度:24℃;UV検出:260nm。分析用カラム: 250 mm x 4.6 mm;溶離剤:酢酸エチル;流速:2ml/分。
【0112】
方法19(キラル相の分取HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシンD−メンチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相でのエナンチオマー分離;カラム:250 mm x 30 mm;溶離剤:段階的グラジエント100%酢酸エチル→100%メタノール;流速:30ml/分;温度:24℃;UV検出:260nm。分析用カラム:250mmx4.6mm;溶離剤:酢酸エチル/メタノール5:1;流速:2ml/分。
【0113】
方法20(キラル相の分取HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−D−ロイシン3−ペンチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相でのエナンチオマー分離;カラム:500 mm x 63 mm;溶離剤:段階的グラジエント100%酢酸エチル(0−16.33分)→100%メタノール(16.34−24.12分)→100%酢酸エチル(24.13−35.0分);流速:100ml/分;温度:24℃;UV検出:340nm。
【0114】
方法21(キラル相の分取HPLC):
セレクターポリ(N−メタクリロイル−L−ロイシンジシクロプロピルメチルアミド)をベースとするキラルシリカゲル相でのエナンチオマー分離;カラム:250 mm x 20 mm;溶離剤:段階的グラジエントイソヘキサン/酢酸エチル(40:60)(0−8分)→100%酢酸エチル(8.01−12分)→イソヘキサン/酢酸エチル(40:60)(12.01−20分);流速:25ml/分;温度:24℃;UV検出:280nm。分析用カラム: 250 mm x 4.6 mm;溶離剤:酢酸エチル/イソヘキサン1:1;流速:2ml/分。
【0115】
方法22(分取HPLC):
装置:Gilson Abimed HPLC;バイナリー・ポンプ・システム;カラム:GromSil 120 ODS-4HE, 250 mm x 40 mm, 10 μm;溶離剤A:水+0.1%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル;10%B、90%Bまで45分間で勾配。
【0116】
方法23(分取HPLC):
装置:Abimed Gilson Pump 305/306, Manometric Module 806;カラム:GromSil C18, 250 mm x 30 mm, 10 μm;溶離剤A:水+0.1%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−3分10%B、勾配3.01−34分95%B、34.01−38分95%B、38.01−40分10%B;流速:50ml/分;UV検出:210nm。
【0117】
方法24(LC−MS):
MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0118】
方法25(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0119】
出発化合物および中間体:
実施例1A
N−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア
【化14】

5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン34g(189.819mmol)を、2−プロパノール227mlに溶解し、50℃で、トリメチルシリルイソシアネート32.803g(284.728mmol)を10分間かけて滴下して添加する。混合物を50℃で終夜撹拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をジクロロメタンで撹拌し、固体を吸引濾過し、高真空下で乾燥する。標的化合物25.0g(理論値の59%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 1.69 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 223.0 (100) [M+H]+
HPLC (方法 3): Rt = 3.88 分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 6.12 (br. s, 2H), 7.12 (d, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.61 (s, 1H), 9.12 (br. s, 1H).
【0120】
実施例2A
N−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア
【化15】

4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン2500mg(13.957mmol)を1N塩酸15mlに溶解し、シアン酸カリウム1132mg(13.957mmol)を添加する。懸濁液を室温で終夜撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、透明な2相溶液を得る。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を乾燥し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をシリカゲルでクロマトグラフィーする(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール80:1、次いで10:1)。標的化合物2180mg(理論値の70%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 1.82 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 223.0 (100) [M+H]+.
【0121】
実施例3A
4−{(4R)−5−(1H−イミダゾール−1−イルカルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル
【化16】

アルゴン保護ガス雰囲気下、(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1[3(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸(2.05g、5mmol;WO2005/082863、実施例10Aに従い製造)を、乾燥DMF(21ml)に導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール(2.43g、15mmol)を添加する。混合物を室温で30分間撹拌する。次いでそれを濃縮し、酢酸エチル(約150ml)に取り、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(約50ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮する。表題化合物を粗生成物(2.87g、定量的収量、純度約80%)として得、それをさらに精製せずに反応させる。
HPLC (方法 2): Rt = 2.3 分.
【0122】
実施例4A
(4R)−3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸
【化17】

この反応はアルゴン下で実施する。アリル(4R)−3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(2.50g、4.5mmol;ラセミ化合物の製造には、WO2005/082863、実施例23A参照)およびモルホリン(588mg、6.8mmol)を、THF(25ml)に導入する。混合物を注意深く排気し、次いでアルゴンを導入する。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(260mg、0.225mmol)を添加し、反応混合物をRTで60分間撹拌する。その後、HPLCチェックは完全な変換を示す。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を酢酸エチル(200ml)に取る。次いで、有機相を飽和塩化アンモニウム溶液(75ml)、水(50ml)および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、残渣を分取HPLC(カラム:Kromasil 5μm;溶離剤:アセトニトリル/水+0.1%TFA10:90→90:10)により精製する。かくして、表題化合物を固体(1.9g、理論値の82%)として得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.4 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 516 (5) [M+H]+; MS (ESIneg): m/z (%) = 514.2 (100) [M-H].
【0123】
例示的実施態様:
実施例1
エチル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
【化18】

ラセミのエチル4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(60g;製造には、WO2004/024700、実施例1参照)を、酢酸エチル(360ml)に溶解し、クロマトグラフィー(方法20)によりエナンチオマーに分画する。表題化合物(29.9g、理論値の99%、99.1%ee)および異性体のエチル(4S)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2オキソ−1[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレートを得る。
HPLC (方法 5): Rt = 1.55 分.
さらなる分析データは、ラセミ化合物について報告されたものに相当する(WO2004/024700、実施例1参照)。
【0124】
実施例2
4−{(4R)−5−イソブチリル−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル
【化19】

5−メチルヘキサン−2,4−ジオン2000mg(15.604mmol)、4−ホルミルベンゾニトリル2046mg(15.604mmol)および1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア3186mg(15.604mmol)を、THF60mlに溶解し、エチルポリホスフェート(PPE)10gを添加する。混合物を80℃で終夜撹拌し、次いで水と酢酸エチルとに分配する。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣を最初にシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)により、次いでキラル相の分取HPLC(方法18)により精製し、かくして、エナンチオマーを分離する(所望のエナンチオマー:R=4.70分)。分取HPLC(方法15)によるさらなる精製により、表題化合物530mg(理論値の8%)を得る。
MS (ESIpos): m/z (%) = 428 (100) [M+H]+
HPLC (方法 3): Rt = 8.33 分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.80 (d, 3H), 0.95 (d, 3H), 1.86 (s, 3H), 2.95 (tt, 1H), 5.48 (d, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.62 (d, 2H), 7.68 (t, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.89 (d, 2H), 8.41 (d, 1H).
【0125】
実施例3
4−{(4R)−5−(シクロブチルカルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル
【化20】

ラセミ化合物をWO2005/082864(実施例20)に記載の通りに製造する。ラセミ体をキラル相の分取HPLC(方法19)によりエナンチオマーに分離する。
HPLC (方法 19): Rt = 2.68 分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.67 (m, 1H), 1.82 (m, 2H), 1.94 (s, 3H), 1.96-2.19 (m, 3H), 3.49 (dt, 1H), 5.37 (d, 1H), 7.53 (d, 1H), 7.61 (d, 2H), 7.68 (m, 2H), 7.78 (d, 1H), 7.89 (d, 2H), 8.42 (d, 1H).
【0126】
実施例4
tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(シクロブチルカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート
【化21】

4−{(4R)−5−(シクロブチルカルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル170mg(0.387mmol)を、DMF3mlに溶解し、tert−ブチルブロモアセテート91mg(0.464mmol)および炭酸カリウム96mg(0.696mmol)を添加する。混合物を室温で終夜撹拌する。次いで、さらにtert−ブチルブロモアセテート91mg(0.464mmol)および炭酸カリウム50mg(0.362mmol)を添加し、懸濁液を50℃で6時間にわたり撹拌する。後処理に、混合物を水30mlに添加する。水相を数回酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をメタノールに取り、分取HPLC(方法14)により精製する。標的化合物196mg(理論値の92%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 3.06 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 554.2 (18) [M+H]+.
【0127】
実施例5
tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート
【化22】

アルゴン保護ガス雰囲気下、エチル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(10.74g、25mmol)および固体炭酸カリウム(5.53g、40mmol)をジメチルホルムアミド(100ml)に導入する。撹拌しながら、tert−ブチルブロモアセテート(7.8g、40mmol)を滴下して添加する。反応混合物を室温で20時間撹拌し、次いで60℃でさらに3時間反応させる。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を酢酸エチル(200ml)に取る。次いで、有機相を水(2x各回50ml)で、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルでフラッシュクロマトグラフィーする(溶離剤:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル6:4のグラジエント)。表題化合物12.5g(理論値の91%)を固体として得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 2.94 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 488.1 (100) [M+H-C4H8]+;
MS (ESIneg): m/z (%) = 542.2 (100) [M-H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.05 (t, 3H), 1.25 (s, 9H), 2.05 (s, 3H), 3.85 (d, 1H), 4.0 (m, 3H), 5.55 (s, 1H), 7.60-7.90 (m, 8H).
【0128】
実施例6
2,3−ジヒドロキシプロピル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
【化23】

アリル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート(WO2005/082863、実施例6Aに従い製造)200mg(0.453mmol)を、アセトン/水(3:1)20mlに溶解する。溶液を0℃に冷却し、アセトン/水(3:1)10ml中の過マンガン酸カリウム72mg(0.453mmol)の溶液を添加する。室温で90分間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を添加し、混合物をさらに30分間撹拌する。少量のメタノールで溶出する珪藻土カラムでの吸引濾過により、混合物を後処理する。有機相を分離した後、水相を酢酸エチルで2回逆抽出する。合わせた有機相を濃縮し、残渣を分取HPLC(方法14)により精製する。表題化合物119mg(理論値の54%)を得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 2.06 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 476.1 (100) [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.05 (s, 3H), 3.19-3.31 (m, 2H), 3.60 (m, 1H), 3.89 (ddd, 1H), 4.05 (ddd, 1H), 4.61 (q, 1H), 4.92 (dd, 1H), 5.44 (m, 1H), 7.57 (br. s, 1H), 7.63 (m, 2H), 7.70 (m, 2H), 7.79 (d, 1H), 7.87 (d, 2H), 8.41 (m, 1H).
【0129】
実施例7
4−{(4R)−5−アセチル−1−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル
【化24】

2,4−ペンタンジオン465mg(4.646mmol)、4−ホルミルベンゾニトリル609mg(4.646mmol)およびN−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア1200mg(4.646mmol)を、THF12mlに溶解し、エチルポリホスフェート(PPE)3000mgを添加する。混合物を還流下で6時間撹拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を最初にシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1→2:1→1:1)により、次いで分取HPLC(方法14)により精製する。得られるラセミ体をキラル相の分取HPLC(方法17)により分画する。かくして、表題化合物303mg(理論値の16%)を得る。
HPLC (方法 17): Rt = 4.70 分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.02 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 5.47 (d, 1H), 7.61 (m, 4H), 7.74 (br. s, 1H), 7.88 (d, 2H), 8.48 (d, 1H).
【0130】
実施例8
[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(シクロブチルカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化25】

tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(シクロブチルカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート190mg(0.343mmol)を、ジクロロメタン3mlに溶解し、トリフルオロ酢酸3mlを添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(方法14)により精製する。表題化合物160mg(理論値の94%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 2.62 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 498.1 (100) [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.66 (m, 1H), 1.83 (m, 2H), 1.92 (s, 3H), 2.02 (m, 2H), 2.16 (m, 1H), 3.53 (dt, 1H), 3.84 (d, 1H), 4.18 (d, 1H), 5.60 (s, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.65-7.74 (m, 4H), 7.81 (d, 1H), 7.88 (d, 2H), 12.70 (s, 1H).
【0131】
実施例9
5−{(4R)−5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ピリジン−2−カルボニトリル
【化26】

WO2004/024700(実施例74)に記載の通りに、表題化合物を製造する。
【0132】
実施例10
2−ヒドロキシエチル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
【化27】

WO2004/024700(実施例72)に記載の通りに、表題化合物を製造する。
【0133】
実施例11
2−(ジメチルアミノ)エチル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレートトリフルオロアセテート
【化28】

アルゴン保護ガス雰囲気下、4−{(4R)−5−(1H−イミダゾール−1−イルカルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル(実施例3A;2.26g、5mmol)を、N,N−ジメチルエタノールアミン(20ml)に溶解し、次いで100℃で3時間撹拌する。混合物を真空で濃縮し、残渣を酢酸エチル(150ml)に取り、次いで水(50ml)および飽和塩化ナトリウム溶液(50ml)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣を分取HPLC(方法22)により精製する。表題化合物2.38g(理論値の77%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 1.2 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 473.5 (100) [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.05 (s, 3H), 2.10 (br. s, 6H), 2.40 (m, 2H), 4.10 (m, 2H), 5.40 (d, 1H), 7.55-7.70 (m, 5H), 7.80 (d, 1H), 7.90 (d, 2H), 8.40 (d, 1H).
【0134】
実施例12
4−{(4R)−5−アセチル−1−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−6−メチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−4−イル}ベンゾニトリル
【化29】

アルゴン保護ガス雰囲気下、2,4−ペンタンジオン(90.1mg、0.9mmol)を、THF(10ml)に導入する。4−シアノベンズアルデヒド(118mg、0.9mmol)、N−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(200mg、0.9mmol)およびエチルポリホスフェート(551mg)を連続的に添加する。TLCチェックが完全な変換を示すまで(約4時間)、混合物を還流下で撹拌する。混合物を真空で濃縮し、残渣を直接クロマトグラフィーする(biotage 中圧システム、シリカゲルカラム、溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1→3:1→2:1→1:1)。ラセミの表題化合物188mg(理論値の50%)を得る。続いて、ラセミ体をクロマトグラフィー(方法16)によりエナンチオマーに分離する。エナンチオマーピュアな表題化合物(>99.5%ee)28mgを、ラセミ体65mgから得る。
HPLC (方法 16): Rt = 23.27 分
LC-MS (方法 7): Rt = 2.2 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 418.1 (100) [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.00 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 5.44 (d, 1H), 7.55 (m, 4H), 7.75 (br. s, 1H), 7.85 (d, 2H), 8.45 (d, 1H).
【0135】
実施例13
[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化30】

tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート(165mg、0.30mmol)を、アルゴン保護ガス雰囲気下、ジクロロメタン(1.5ml)に導入し、トリフルオロ酢酸(1.5ml)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を分取HPLC(方法13)により精製する。表題化合物132mg(理論値の89%)を得る。
HPLC (方法 2): Rt = 3.0 分
LC-MS (方法 7): Rt = 2.3 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 488.1 (100) [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.10 (t, 3H), 2.05 (s, 3H), 3.75 (d, 1H), 4.05 (q, 2H), 4.10 (d, 1H), 5.60 (s, 1H), 7.60-7.75 (m, 5H), 7.80 (d, 1H), 7.90 (d, 2H), 12.70 (s, 1H).
【0136】
実施例14
[(6R)−5−{[2−(カルボキシメトキシ)エトキシ]カルボニル}−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化31】

表題化合物を、WO2005/082864(実施例5)に記載の通りに製造する。
【0137】
実施例15
tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−イソブチリル−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート
【化32】

アルゴン保護ガス雰囲気下、水素化ナトリウム(1.17g、29.2mmol)を、THF(50ml)に導入する。THF(150ml)中の実施例2の化合物(5.0g、11.7mmol)の溶液を、ゆっくりと添加し、反応混合物を室温で発泡させながら1時間撹拌する。次いで、tert−ブチルブロモアセテート(3.4g、17.5mmol)をゆっくりと添加する。2時間後、薄層クロマトグラムは、完全な変換を示す。水(300ml)を注意深く混合物に添加する。水相を固体塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮する。残渣をシリカゲルに吸収させ、MPLC(シリカゲル200g、溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル4:1)により精製する。純度79%で5g、純度70%で4.4gの表題化合物を得、さらに分取HPLCにより精製できる。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.8 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 486 (100) [M-C4H8+H]+;
MS (ESIneg): m/z (%) = 540 (100) [M-H].
さらなる分析データについて、ラセミ化合物(WO2005/082863、実施例34A)について報告されたものを参照せよ。
【0138】
実施例16
[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−イソブチリル−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化33】

tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−イソブチリル−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート(4.43g、8.2mmol)を、アルゴン保護ガス雰囲気下、ジクロロメタン(50ml)に導入し、トリフルオロ酢酸(18.7g、164mmol)を添加し、混合物を室温で約4時間(TLCチェックが完全な変換を示すまで)撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(Biotage クロマトグラフィーシステム、シリカゲル、溶離剤:ジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール100:1→50:1)により精製する。表題化合物1.44g(理論値の34%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.3 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 486.1 (100) [M+H]+;
MS (ESIneg): m/z (%) = 484.2 (80) [M-H], 969.5 (100)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.60 (d, 3H), 0.70 (d, 3H), 1.60 (s, 3H), 2.70 (m, 1H), 3.60 (d, 1H), 4.00 (d, 1H), 5.50 (s, 1H), 7.35-7.50 (m, 5H), 7.60 (d, 1H), 7.65 (d, 2H), 12.50 (br. s, 1H).
【0139】
実施例17
3−{[(6R)−5−アセチル−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]メチル}安息香酸
【化34】

表題化合物を、WO2005/082863(実施例21)に記載の通りに製造する。
【0140】
実施例18
4−{[(6R)−5−アセチル−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]メチル}安息香酸
【化35】

表題化合物を、WO2005/082863(実施例22)に記載の通りに製造する。
【0141】
実施例19
tert−ブチル[(6R)−5−アセチル−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート
【化36】

この反応は、アルゴン下で実施する。固体水素化ナトリウム(3.76g、93.9mmol)を、THF(450ml)中の{4R}−4−{5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−ピリミジニル}ベンゾニトリル(15.0g、37.6mmol;WO2005/082864、実施例18A)の溶液に、数回に分けて添加する。混合物をRTで1時間撹拌し、次いでtert−ブチルブロモアセテート(11g、56.3mmol)をゆっくりと添加し、混合物を再度RTで1時間撹拌する。TLCチェックは、完全な変換を示す。水(500ml)を混合物に注意深く添加する。飽和塩化ナトリウム水溶液を添加し、次いで、混合物を酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮する。粗生成物をMPLCによりシリカゲル(溶離剤:シクロヘキサン/塩化メチレン1:1)で精製する。無色固体を生成物として得(9.94g、理論値の51%)、さらなる精製段階を経ずに、次の反応で用いることができる。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.25 (s, 9H), 2.00 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 3.95 (d, 1H), 4.15 (d, 1H), 5.70 (s, 1H), 7.60-7.90 (m, 8H).
【0142】
実施例20
[(6R)−5−アセチル−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化37】

この反応は、アルゴン下で実施する。トリフルオロ酢酸(36.5ml、473.2mmol)を、ジクロロメタン(160ml)中の実施例19の化合物(12.2g、23.7mmol)の溶液に添加する。反応混合物をRTで終夜撹拌する。次いで、TLCチェックは、完全な変換を示す。続いて、混合物を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:塩化メチレン→塩化メチレン/メタノール100:1→塩化メチレン/メタノール50:1)により精製する。生成物として固体を得る(7.55g、理論値の70%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.95 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 2.95 (d, 1H), 4.15 (d, 1H), 5.80 (s, 1H), 7.55-7.90 (m, 8H).
【0143】
実施例21
2−[(6R)−5−アセチル−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセトアミド
【化38】

この反応は、アルゴン下で実施する。実施例20の[(6R)−5−アセチル−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸(12.0g、26.2mmol)を、DMF(150ml)に導入し、0℃で、HATU(19.95g、52.5mmol)を添加し、混合物を20分間撹拌する。次いで、塩化アンモニウム(7.0g、131.2mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(23.7g、183.6mmol)を添加し、混合物をRTで90分間撹拌する。次いで、HPLCまたはTLCチェックは、完全な変換を示す。反応混合物を真空で濃縮する。次いで、残渣を酢酸エチル(400ml)に取り、重炭酸ナトリウム水溶液(70ml)、10%強度クエン酸溶液(3x各回70ml)、重炭酸ナトリウム溶液(70ml)および飽和塩化ナトリウム溶液(70ml)で連続的に洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮し、残渣を高真空下で乾燥する。得られる粗生成物を分取HPLCにより精製する。この目的で、粗生成物をアセトニトリル(80ml)、メタノール(60ml)、水(20ml)およびトリフルオロ酢酸(1ml)の混合物に溶解する。Kromasil 100 C18 5 μm を固定相(カラム寸法:250mmx20mm)として使用する。0.2%強度TFA/アセトニトリル1:1で、均一溶媒の溶出を実施する。かくして、無色固体を生成物として得る(9.1g、理論値の76%)。
LC-MS (方法 8): Rt = 2.2 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 457.0 (100) [M+H]+, 439.9 (60);
MS (ESIneg): m/z (%) = 455.0 (100) [M-H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.95 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 3.40 (d, 1H), 4.15 (d, 1H), 5.65 (s, 1H), 7.15 (br. s, 1H), 7.45 (br. s, 1H), 7.60-7.90 (m, 8H).
【0144】
実施例22
エチル(4R)−3−(2−アミノ−2−オキソエチル)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
【化39】

実施例13の[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸100mg(0.205mmol)を、THF7.5mlに溶解し、−20℃に冷却する。N−メチルモルホリン52mg(0.513mmol)およびエチルクロロホルメート56mg(0.513mmol)をこの溶液に添加する。混合物を−20℃で30分間撹拌し、次いで、THF1.5ml中の35%強度アンモニア水溶液0.2mlの混合物を添加する。次いで、反応混合物をゆっくりと室温に到達させ、次いで、フラスコの内容物を3N塩酸に入れる。水相を酢酸エチルで抽出し、分離する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣を分取HPLC(方法23)により精製する。かくして、表題化合物78mg(理論値の78%)を得る。
MS (ESIpos): m/z (%) = 487 (100) [M+H]+
HPLC (方法 4): Rt = 4.31 分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.12 (t, 3H), 2.03 (s, 3H), 3.31 (d, 1H), 4.05 (dq, 2H), 4.12 (d, 1H), 5.51 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.63-7.66 (m, 3H), 7.73 (t, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.89 (d, 2H).
【0145】
実施例23
(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル
【化40】

表題化合物を、WO2005/082863(実施例15A)に記載の通りに製造する。
【0146】
実施例24
tert−ブチル[(6R)−5−シアノ−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート
【化41】

(4R)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボニトリル5900mg(15.431mmol)を、DMF150mlに溶解し、炭酸カリウム7677mg(55.551mmol)およびtert−ブチルブロモアセテート7224mg(37.034mmol)を添加する。次いで、反応混合物を60℃で終夜撹拌する。続いて、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を酢酸エチルおよび水の混合物に取る。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルに吸収させ、シリカゲルのMPLCにより精製する(溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル1:2)。かくして、表題化合物5570mg(理論値の73%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 2.65 分; MS (ESIneg): m/z (%) = 495.2 (100) [M-H]-
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.29 (s, 9H), 1.86 (s, 3H), 3.71 (d, 1H), 3.96 (d, 1H), 5.49 (s, 1H), 7.70-7.75 (m, 2H), 7.78 (d, 2H), 7.84 (d, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.96 (d, 2H).
【0147】
実施例25
[(6R)−5−シアノ−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化42】

tert−ブチル[(6R)−5−シアノ−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート5840mg(11.762mmol)をジクロロメタン40mlに溶解し、トリフルオロ酢酸13412mg(117.625mmol)を添加する。混合物を50℃で5時間撹拌する。次いで、揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をシリカゲルのMPLCにより精製する(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール10:1)。かくして、表題化合物3120mg(理論値の58%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 2.47 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 441.1 (100) [M+H]+.
【0148】
実施例26
2−[(6R)−5−シアノ−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセトアミド
【化43】

[(6R)−5−シアノ−6−(4−シアノフェニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸100mg(0.227mmol)を、THF5mlに溶解し、−20℃に冷却する。N−メチルモルホリン57mg(0.568mmol)およびエチルクロロホルメート62mg(0.568mmol)をこの溶液に添加する。混合物を−20℃で30分間撹拌し、次いで、THF1.5ml中の35%強度アンモニア水溶液0.15mlの混合物を添加する。次いで、反応混合物をゆっくりと室温に到達させ、次いで、フラスコの内容物を3N塩酸に入れる。水相を酢酸エチルで抽出し、分離する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残渣を分取HPLC(方法23)により精製する。かくして、表題化合物44mg(理論値の44%)を得る。
MS (DCI): m/z (%) = 457 (100) [M+NH4]+, 440 (6) [M+H]+
HPLC (方法 3): Rt = 4.19 分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.82 (s, 3H), 3.20 (d, 1H), 4.10 (d, 1H), 5.45 (s, 1H), 7.12 (s, 1H), 7.39 (s, 1H), 7.72-7.76 (m, 4H), 7.83 (d, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.89 (d, 2H).
【0149】
実施例27
tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−[(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル]−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート
【化44】

(4R)−3−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボン酸(実施例4A;515mg、1mmol)、2−ブロモエタノール(521mg、4mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(258mg、2mmol)を、DMF(15ml)中、70℃で24時間撹拌する。次いで、反応混合物を真空で濃縮し、残渣を酢酸エチルに取る。有機相を水で、次いで濃塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。次いで、それを硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製する(溶離剤:シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル1:2)。無色固体を生成物として得る(472mg、理論値の84%)。
LC-MS (方法 8): Rt = 2.6 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 504.1 (100), 560 (20) [M+H]+;
MS (ESIneg): m/z (%) = 558.4 (100) [M-H].
【0150】
実施例28
[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−[(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル]−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸
【化45】

tert−ブチル[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−[(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル]−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]アセテート(実施例27;235mg、0.42mmol)を、ジクロロメタン(2ml)に導入する。次いで、トリフルオロ酢酸(2ml)を添加し、混合物をRTで24時間撹拌する。次いで、反応混合物を真空で濃縮し、粗生成物を分取HPLC(カラム:Kromasil 5 μm;溶離剤:アセトニトリル/水+0.1%TFA10:90→90:10)により精製する。表題化合物を固体として得る(115mg、理論値の54%)。
LC-MS (方法 7): Rt = 1.9 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 504.1 (100) [M+H]+; MS (ESIneg): m/z (%) = 502.1 (70) [M-H].
【0151】
実施例29
2−ヒドロキシエチル(4R)−3−(2−アミノ−2−オキソエチル)−4−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
【化46】

この反応は、アルゴン下で実施する。[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−[(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル]−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸(実施例28;40mg、79μmol)をDMF(2ml)に導入し、0℃で、HATU(151mg、0.4mmol)を添加し、混合物を20分間撹拌する。次いで、塩化アンモニウム(21mg、0.4mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(103mg、0.8mmol)を添加し、反応混合物をRTで16時間撹拌する。得られる粗混合物を分取HPLCにより直接精製する(カラム:Gromsil C18 10 μm;溶離剤:アセトニトリル/水+0.1%TFA10:90→90:10)。表題化合物を無色固体として得る(16mg、理論値の40%)。
LC-MS (方法 24): Rt = 2.9 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 503.2 (60) [M+H]+, 441.2 (100);
MS (ESIneg): m/z (%) = 501.2 (100) [M-H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.00 (s, 3H), 3.30 (d, 1H), 3.50 (t, 2H), 4.05 (m, 2H), 4.15 (d, 1H), 5.55 (s, 1H), 7.15 (br. s, 1H), 7.50 (br. s, 1H), 7.60-7.90 (m, 8H).
【0152】
実施例30
エチル(4R)−4−(4−シアノフェニル)−3−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエチル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−カルボキシレート
【化47】

[(6R)−6−(4−シアノフェニル)−5−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2−オキソ−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3,6−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル]酢酸(実施例13)975mg(2.00mmol)を、DMF4mlに溶解し、2MジメチルアミンのTHF溶液2.2ml(4.401mmol)を添加する。次いで、4−N,N−ジメチルアミノピリジン449mg(4.00mmol)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物595mg(4.401mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩844mg(4.401mmol)を添加する。混合物をRTで終夜撹拌する。混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した後、粗生成物を分取HPLC(方法23)により精製する。かくして、表題化合物795mg(理論値の77%)を得る。
LC-MS (方法 25): Rt = 3.67 分; MS (ESIpos): m/z (%) = 515.4 (100) [M+H]+.
【0153】
B. 薬理活性の評価
本発明の化合物の薬理的効果は、下記のアッセイで示すことができる:
略号:
【表2】

【0154】
B−1. インビトロHNE阻害アッセイ
本発明の化合物の効力を、インビトロの阻害アッセイで確認する。これに関して、HNEに媒介される適当なペプチド基質のアミド分解的開裂は、蛍光の増大を導く。蛍光のシグナル強度は、酵素活性に直接比例する。酵素の半分が阻害される試験化合物の有効濃度(蛍光のシグナル強度50%)を、IC50として示す。
【0155】
方法:
酵素(80pM HNE;Serva, Heidelbergより)および基質(20μM MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMC;Bachem, Weil am Rheinより)を、全部で50μlのアッセイバッファー(0.1M HEPES pH7.4、0.5M NaCl、0.1% w/v BSA、1% v/v DMSO)のアッセイ体積で、384ウェルのマイクロタイタープレート中、試験物質の存在下および非存在下で、37℃で、2時間インキュベートする。アッセイ混合物からの蛍光の強度を測定する(Ex.380nm、Em.460nm)。蛍光の強度を活性物質の濃度に対してプロットすることにより、IC50値を決定する。
【0156】
本発明の化合物の代表的なIC50値を、下表に示す:
:ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害
【表3】

【0157】
B−2. 肺動脈高血圧の動物モデル
ラットでモノクロタリンにより誘導される肺高血圧は、幅広く使用される肺動脈高血圧の動物モデルである。ピロリジジンアロカロイドのモノクロタリンは、皮下注射後、肝臓で毒性のモノクロタリンピロールに代謝され、数日内に肺循環に内皮損傷をもたらし、続いて小さい肺動脈の再構築が起こる(中膜肥厚(media hypertrophy)、新規筋肉化(de novo muscularization))。単回の皮下注射は、ラットで4週間以内に明白な肺高血圧を誘導するのに十分である [Cowan et al., Nature Med. 6, 698-702 (2000)]。
【0158】
雄の Sprague-Dawley ラットをこのモデルに使用する。0日目に、動物はモノクロタリン60mg/kgの皮下注射を受ける。動物の処置は、モノクロタリン注射の14日後より早くには開始せず、少なくとも14日間続く。試験の終了時に、動物は血行動態的調査を受け、動脈および中心静脈の酸素飽和度を測定する。血行動態的測定のために、まず、ラットをペントバルビタール(60mg/kg)で麻酔する。次いで、動物を気管切開し、人工呼吸器をつける(速度:呼気数60/分;呼気・吸気比:50:50;呼気終末陽圧:1cmHO;一回換気量:10ml/体重kg;FIO:0.5)。イソフルラン吸入麻酔により麻酔を維持する。Millar マイクロチップカテーテルを使用して、全身の血圧を左頸動脈で測定する。ポリエチレンカテーテルを、右頸静脈を通して右心室に進め、右室圧を測定する。温度希釈により心拍出を測定する。血行動態測定に続き、心臓を取り出し、右心室と、中隔を含む左心室との比を決定する。加えて、血漿サンプルを得、バイオマーカー(例えばproBNP)および血漿の物質レベルを測定する。
【0159】
B−3. CYP阻害アッセイ
ヒトのCYP1A2、CYP2C9、CYP2D6およびCYP3A4を阻害し得るであろう物質の能力を、酵素供給源としてプールしたヒト肝臓ミクロソームを用いて、CYP特異的代謝物を形成する標準的基質(後述)の存在下で調べる。6つの異なる濃度の試験化合物(2.8、5.6、8.3、16.7、25および50μM)を用いて、試験化合物の非存在下の標準的基質のCYP特異的代謝物の形成の程度と比較して、阻害効果を調べ、対応するIC50値を算出する。異なるシリーズ間で結果を比較可能にするために、単一のCYPアイソフォームを特異的に阻害する標準的阻害剤を常にインキュベーションに含める。
【0160】
方法:
フェナセチン、ジクロフェナク、トルブタミド、デキストロメトルファンまたはミダゾラムの、ヒト肝臓ミクロソームとのインキュベーションを、各場合で6つの異なる濃度の試験化合物(潜在的な阻害剤として)の存在下で、ワークステーション(Tecan, Genesis, Crailsheim, Germany)上で実施する。標準的インキュベーション混合物は、1.3mM NADP、3.3mM MgClx6HO、3.3mMグルコース6−ホスフェート、グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(0.4U/ml)および100mMリン酸バッファー(pH7.4)を、全量200μl中に含む。試験化合物を、好ましくはアセトニトリルに溶解する。96ウェルのプレートを、プールしたヒト肝臓ミクロソームと、37℃で、定められた時間にわたりインキュベートする。アセトニトリル100μlの添加により、反応を停止し、その中には適する内部標準が常に存在する。沈殿したタンパク質を遠心分離により除去し、上清を合わせ、LC−MS/MSにより分析する。
【0161】
B−4. 代謝安定性を測定するための肝細胞アッセイ
実験中に可能な限り線形の動態学的条件を確保するために、化合物を低濃度(好ましくは1μM未満)で、そして低細胞数(好ましくは1*10細胞/ml)でインキュベートすることにより、肝細胞の存在下での試験化合物の代謝安定性を測定する。化合物の半減期(即ち、分解)を測定するために、インキュベーション溶液の7つのサンプルを、LD−MS分析用に固定した時間パターンで取る。様々なクリアランスパラメーター(CL)およびFmax値を、この半減期から算出する(下記参照)。
【0162】
ClおよびFmax値は、肝細胞における化合物の第1相および第2相代謝の測定値を表す。インキュベーション混合物中の有機溶媒の酵素に対する影響を最小化するために、この濃度を一般的に1%(アセトニトリル)または0.1%(DMSO)に限定する。
【0163】
肝臓中の肝細胞の細胞数1.1*10細胞/肝臓gを、全ての種(species and breeds)について計算に使用する。インキュベーション時間(通常90分間)を超えて延びる半減期に基づいて算出したCLパラメーターは、大まかなガイドラインと見なし得るだけである。
【0164】
算出したパラメーターおよびそれらの意味は、以下の通りである:
max十分に撹拌[%] 経口投与後の最大の可能なバイオアベイラビリティー
計算: (1−CL血液十分に撹拌/QH)*100
CL血液十分に撹拌[L/(h*kg)] 算出される血液クリアランス(十分に撹拌したモデル)
計算: (QH*CL'内因性)/(QH+CL'内因性
CL'内因性[ml/(分*kg)] 化合物を代謝する肝臓の(肝細胞の)最大能力(肝臓の血流が律速ではないと仮定して)
計算: CL'内因性、明白*種特異的肝細胞数[1.1*10/肝臓g]*種特異的肝臓重量[g/kg]
CL'内因性、明白[ml/(分*mg)] 用いた肝細胞の細胞数x(x*10/ml)で除去定数(elimination constant)を除すことにより、それを標準化する
計算: kel[1/分]/(細胞数[x*10]/インキュベーション体積[ml])
(QH=種特異的な肝臓の血流)
【0165】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF Co., Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。乾燥後、顆粒をステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を通常の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0166】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMC のキサンタンガム、Pennsylvania, USA)400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。混合物を、Rhodigelの膨潤が完了するまで、約6時間撹拌する。
【0167】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールとポリソルベートの混合物中に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、撹拌過程を継続する。
【0168】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張生理食塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に、飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に充填するのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Xは、CHまたはNであり、
は、水素、式−(CH−C(=O)−O−R1Aまたは−(CH−C(=O)−NR1B1Cの基、または、式
【化2】

の基であり
{式中、*は、N原子への結合点を意味し、
nは、1または2の数であり、
1Aは、水素または(C−C)−アルキルであり、
そして、R1BおよびR1Cは、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルである}、
は、シアノ、または、式−C(=O)−R2Aまたは−C(=O)−O−R2Aの基であり
{式中、R2Aは、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノ、モノ−および/またはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよく、各場合で、CH基は、O原子により置き換えられていてもよい}、
そして、
は、水素であり、かつ、Rは、水素、フッ素または塩素であるか、
または、
は、フッ素または塩素であり、かつ、Rは水素である]
の化合物、または、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の1つの、肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防用の医薬を製造するための使用。
【請求項2】
式中、
Xが、CHまたはNであり、
が、水素、式−CH−C(=O)−OHまたは−CH−C(=O)−NHの基、または、式
【化3】

の基であり
{式中、*は、N原子への結合点を意味する}、
が、シアノ、アセチル、シクロブチルカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたは2−ヒドロキシエトキシカルボニルであり、
が、水素であり、
そして、
が、水素またはフッ素である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の1つの、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
【化4】

【化5】

からなる化合物の群から選択される、請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、および、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
【化6】

からなる化合物の群から選択される、請求項1、請求項2または請求項3に記載の式(I)の化合物、および、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
以下の構造:
【化7】

の1つを有する請求項1に記載の式(I)の化合物、並びに、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物、並びに、キナーゼ阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤および活性化剤、プロスタサイクリン類似体、エンドセリン受容体アンタゴニストおよびホスホジエステラーゼ阻害剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む、組合せ。
【請求項8】
肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項7に記載の組合せの使用。
【請求項9】
特発性または家族性肺動脈高血圧、または、医薬、毒物または他の障害と関連する肺動脈高血圧の処置および/または予防用の、左心房または左心室の障害、左心の弁障害、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、肺線維症、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気を伴う障害、高山病、肺発達の障害、慢性血栓性および/または塞栓性障害、または、サルコイドーシス、組織球症Xもしくはリンパ脈管筋腫症に関するものの処置および/または予防用の、血管の外部圧迫に起因する肺高血圧の処置および/または予防用の、医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物、または、請求項7に記載の組合せの使用。
【請求項10】
請求項5に記載の化合物を、必要に応じて1種またはそれ以上の不活性な非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項11】
請求項7に記載の組合せを、必要に応じて1種またはそれ以上の不活性な非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項12】
肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防のための、請求項10または請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物、請求項7に記載の組合せ、または、少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物を含む医薬を投与することによる、ヒトおよび動物における肺動脈高血圧および他のタイプの肺高血圧の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2009−541384(P2009−541384A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516962(P2009−516962)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005579
【国際公開番号】WO2008/003412
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】