説明

肺機能検査装置

【課題】肺機能検査装置において、正確な測定のためには最大努力呼吸が求められるが、努力度を判定しその結果を分かり易く表示する技術を提供する。
【解決手段】フローボリューム検査の結果表示画面82’において、判定バー表示領域81’に努力呼出開始時努力度判定バー、呼出時間努力度判定バー、再現性判定バー、GOLDによる病期判定バー、換気機能障害判定バーを表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肺機能検査装置に関するものであり、特に、正確な測定をおこない、結果を分かり易く表示する技術を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
肺機能検査には、肺へのガスの出入りを検査する換気機能検査や、肺におけるガスと血液の間で酸素と炭酸ガスの交換を検査するガス交換機能検査などがあるが、本発明は主に換気機能検査に関する。
【0003】
換気機能検査は、図8のように、呼吸流量計101に呼吸フィルタ102とマウスピース103を接続し、マウスピース103を口でくわえ、所定の呼吸をおこなわせ、そのときの呼吸流量を測定して様々なパラメータを求めるもので、 肺気量分画検査やフローボリューム検査などがある。
【0004】
肺気量分画検査は、図9に示すように、安静呼吸と、これに続いてゆっくりと最大の呼出位(最大呼気位)まで呼出し、続けて最大の吸気位(最大吸気位)まで吸気する検査である。
【0005】
フローボリューム検査は、図10のように、安静呼吸の後、最大吸気位まで吸気した後、一気に、最大努力をして、最大呼気位まで呼出する検査である。図の縦軸はフロー(l/sec)、横軸はボリューム(l)である。
【0006】
検査結果のパラメータには、実測値の他に、性別や年齢、体格などのIDデータ、IDデータから予測される予測値、実測値や予測値から計算される計算値などがある。例えば、実測値の1秒量と努力性肺活量の比から求められる1秒率(計算値)、1秒量の実測値と予測値の比から求められる%1秒量(計算値)、肺活量の実測値と予測値の比から求められる%肺活量(計算値)などがある。
【0007】
肺機能検査の大きな目的の一つが閉塞性換気障害と拘束性換気障害の鑑別である。これはフローボリューム検査でおこなうことができる。
【0008】
閉塞性換気障害は、気道から肺胞にかけての空気の通路が炎症等によって細くなり、空気の出入りが阻害されるもので、気管支喘息や肺気腫等の病気が含まれる。1秒率が70%以下の場合、閉塞性換気障害と判定される。
【0009】
拘束性換気障害は肺全体の弾力性が低下して換気機能が低下するもので、間質性肺炎や肺線維症などがある。%肺活量が80%以下の場合拘束性換気障害と判定される。
【0010】
換気機能障害は、図12のように、縦軸と横軸に%肺活量と1秒率をとり、これに1秒率が70%と%肺活量が80%の直線を引き、正常、閉塞性、拘束性、混合性の4つのコンパートメントに分けた図で示すことが多い。この表に実測値をプロットすると、疾患の種類と程度を一目で判断することができる。検査レポートでは、 この換気機能障害分類表を添付することが多い(特許文献1など)。
【0011】
肺疾患の中で、最近、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)が注目されている。これは気道の慢性の炎症性疾患で、他の脳血管障害や心疾患等代表的な疾患が減少傾向にある中で、本疾患だけが世界的に患者数と死亡者数が増加傾向にあるため、GOLD(Global Initiative For ChronicObstructive Lung Disease)が診断基準を定め、日本もこれに準拠して、臨床で広く使用されるようになってきている。GOLDは、1秒率と%1秒率を用いて、図11(A)のように、COPDの病期を5つの病期に分類している。これを表にしたものが図11(B)である。検査結果をこの図にプロットしてレポートすることが多くなってきている(非特許文献2)。
【0012】
このように、換気機能障害では、図12の換気機能障害分類表と、図11のGOLDの分類表の両方が併用されるようになってきている。以下に、図で説明をおこなう。
【特許文献1】特公昭57-20815
【非特許文献2】COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 日本呼吸器学会COPDガイドライン第2版作成委員会編
【0013】
図9は肺気量分画検査の例である。この検査は、図に示すように、安静呼吸と、これに続いてゆっくりと最大の呼出位(最大呼気位)まで呼出し、続けて最大の吸気位(最大吸気位)まで吸気をおこなわせ、再度最大呼気位まで呼出し、このときの呼吸気を測定しておこなう。この検査では、図9に示すような、1回換気量や肺活量などの肺の容量に関する測定をおこなうことができる。1回換気量は安静呼吸中の1回の呼吸で肺に出入りするガスの量であり、肺活量は最大吸気位と最大呼気位の間に肺に出入りするガス量である。
【0014】
図10はフローボリューム検査の例である。検査は、安静呼吸の後、最大吸気位まで吸気し、その後最大努力で一気に最大呼気位まで呼出させ、このときの呼吸流量を測定しておこなう。図の縦軸はフロー(l/sec)、横軸はボリューム(l)である。この検査では、ピークフローや1秒量、努力性肺活量などが測定できる。ピークフローは最大努力呼出時の流速の最大値、1秒量は呼出開始から1秒間に呼出されるガス量、努力性肺活量は最大吸気位から最大呼気位まで努力呼出したときの全呼気量である。表示は時間とボリュームの関係にしてもよい。
【0015】
図12は換気機能障害分類表の例である。図は、縦軸に1秒率、横軸に%肺活量をとり、1秒率が70%、%肺活量が80%の直線を引いて、正常、閉塞性疾患、拘束性疾患、混合性疾患の4つのコンパートメントに分けている。この中に1秒率と%肺活量の実測値をプロット(×印)して、障害の種類と程度が一目で判るようにして、レポートすることが多い。
【0016】
図11はGOLDの病期分類である。GOLDは、図11(A)のように、1秒率と1秒量を用いて、COPDの病期を5つの病期に分類している。縦軸と横軸に%1秒量と1秒率をとると、図(B)のように、病期を5つのコンパートメントに分割して表現することができ、これに実測値をプロットすると、病期とその程度を一目で確認することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
肺気量分画検査は、図9のように、安静呼吸の後、ゆっくりと最大呼気位まで呼出した後、ゆっくりと最大吸気位まで吸気して、続けて最大呼気位まで呼出し、その間に呼吸気流量を測定しておこなう。しかし、呼吸中に咳が出たり喉がつかえたりして、ディップが生じると、これも呼気と吸気と判断し、1回換気量の値等に大きな誤差が生じる可能性がある。呼吸器疾患を検査するので、小さな流量を測定できるようにしているが、咳などの異常呼吸が混じると、正常と異常の呼吸の識別が困難な場合がある。このような誤差を無くし、正確な検査をおこなえるようにすることが、本発明の第一の目的である。
【0018】
フローボリューム検査は、安静呼吸の後、最大吸気位まで吸気した後、一気に、最大努力で最大呼気位まで呼出する検査である。この検査では最大努力をおこなうことが重要で、これがデータの再現性や正確さ等、データの質に直接影響する。
【0019】
このため、被検者が最大努力をしたかどうかを判定するための医学会で基準が定められている。その内容は、呼出開始時の努力度が適切であったかどうか6秒以上呼出を続けたか複数回の呼出において再現性は確保されているのか総検査回数と(1)、(2)を両方共に満足させた測定は何回あったのかなどであり、最近の装置は、大部分はこれらの努力度をチェックする機能を有する。
【0020】
しかし、フローボリューム検査で得られる測定データは膨大な量である。これに対して、努力度のチェック結果は補助的なものと考えられる傾向にあった。このため、努力度のチェック結果は、画面に表示しなかったり、表示しても隅に小さく表示したりしていた。このような場合、努力度のチェック結果を見たい場合、表示を画面上で探したり、表示しない場合はキー操作をして呼び出したりする必要があった。つまり、検査結果が信頼性のあるものかどうかを一目で判断することはできないか、又はこれを探して確認するという面倒な確認作業が必要であった。本発明の第二の目的は、検査時の努力度が十分であったかどうかを判断し、これを判りやすく表示するようにすることである。
【0021】
このように、フローボリューム検査では膨大な量のデータを何ページもの画面に表示するが、検査の結論を一目で判るように表示するものは無かった。本発明の第三の目的は、スクリーニングされた病気の判定結果を一目で判るように表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1の発明では、フローボリューム検査で、呼出開始時の努力度が適切であったかを、一目で確認することができるように、努力呼出開始時の努力度の良否を判定し、表示器に設けた判定バーに判定結果を表示するようにした。
【0023】
請求項2の発明では、フローボリューム検査で、努力呼出時間が十分であったかどうかを、一目で確認することができるように、努力呼出開始以降の時間を測定し、この呼出時間が十分であったか否かを判定して、 表示器に設けた判定バーに判定結果を表示するようにした。
【0024】
請求項3の発明では、 再現性の良否を一目で確認することができるように、複数回おこなったフローボリューム検査の再現性の良否を判定し、 表示器に設けた判定バーにその判定結果を表示するようにした。
【0025】
請求項4の発明では、 GOLDの基準による病期を一目で確認することができるように、フローボリューム検査によって得られたデータから、GOLDの基準による病期を判定し、 表示器に設けた判定バーにこの判定結果を表示するようにした。
【0026】
請求項5の発明では、 換気機能障害の種類を一目で確認することができるように、フローボリューム検査と肺気量分画検査によって得られたデータから、換気機能障害の種類を判定し、 表示器に設けた判定バーにこの判定結果を表示するようにした。
【0027】
請求項6の発明では、 請求項3から請求項7及び請求項10に記載した判定バーをより見やすくするためのもので、測定結果の画面の一部に判定バーを表示する表示領域を設け、請求項1から請求項5に記載した判定バーの1個又は複数個の判定バーを表示するようにした。
【0028】
請求項7の発明では、操作性を良くし、画面を見やすくするために、タッチパネル式の表示器を用い、表示器の一部に測定モードを選択するタブを表示するタブ領域を設け、ある測定モードのタブを押すとその測定モードの測定結果表示画面に入り、測定結果表示画面にはタブ領域の他に曲線表示領域と数値データ表示領域、判定バー表示領域などに割り当てるようにした。請求項8の発明では、フローボリューム検査で、呼出開始時の努力度と呼出時間をみて、この両方の努力度が適切であったかを判定し、表示器に設けた判定バーに判定結果を表示するようにした。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明により、複数回おこなったフローボリューム検査の再現性の良否を判定し、 表示器に設けた判定バーにその判定結果を表示する。このため、再現性の良否を一目で確認することができ、信頼性の高いデータを得ることができる。
【0030】
請求項2の発明により、フローボリューム検査によって得られたデータから、GOLDの基準に基づいて病期を判定し、 表示器に設けた判定バーにこの判定
結果を表示する。このため、GOLDの基準に基づく病期を一目で確認することができる。
【0031】
請求項3の発明では、フローボリューム検査と肺気量分画検査によって得られたデータから、換気機能障害の種類を判定し、 表示器に設けた判定バーにこの判定結果を表示する。このため、換気機能障害の種類と程度を一目で確認することができる。
【0032】
請求項6の発明により、測定結果の画面の一部に判定バーを表示する表示領域を設け、請求項3から請求項5及び請求項8に記載した判定バーの1個又は複数個の判定バーを表示する。本請求項記載の発明により、請求項1から請求項5及び請求項8に記載した判定バーをまとめて所定の位置に表示するので、測定データと共に、努力度、換気障害の種類、及びGOLDによる病期の判定結果を、まとめて一目で確認することができる。このため、測定データが信頼性のあるものか、疾患の種類と程度はどうかを、一目で確認することができる。
【0033】
請求項7の発明では、タッチパネル式の表示器を用い、表示器の一部に測定モードを選択するタブを表示するタブ領域を設け、ある測定モードのタブを押すとその測定モードの測定結果表示画面に入り、測定結果表示画面にはタブ領域の他に曲線表示領域と数値データ表示領域、判定バー表示領域などに割り当てるようにした。操作は、所定位置のモード選択タブをタップするだけでよいため操作性が向上している。また、各種データは所定の位置に表示されるので、非常に見易い。測定結果は所定位置の判定バーに表示されるので、データの信頼性と判定結果を一目で確認することができる。請求項8記載の発明では、呼出開始時の努力度と、所定時間以上努力したかの両方の努力度を見て、両方とも十分に努力が行なわれているかどうかを判定し、この判定結果を、画面に設けた判定表示領域に、表示する。このため、呼出開始時の努力と呼出努力時間の両方が、十分に努力されている検査回数を一目で確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
請求項1の発明は、フローボリューム検査時に、 努力呼出開始時の努力度の良否を判定し、検査結果の画面に、表示器に設けた判定バーに判定結果を表示する。
【0035】
努力呼出開始時の努力度の判定は、前述のように、 信頼性の高いデータを得るために、ATSや日本呼吸器学会によって定められてる。この努力度の良否の判定は従来からおこなわれている。これは、フローボリューム曲線の立ち上がりの程度を評価すればよい。従来も、この判定結果を知ることはできた。しかし、キー操作をして、判定結果を呼び出して表示させる必要があった。又は、他の情報に埋もれて表示されていたため、 画面で探す必要があり、表示自体が見難いという問題があった。つまり、検査終了時に、努力呼出開始時の努力度の良否を一目で確認することができなかった。このため、検査結果を見、 努力呼出開始時の努力度の良否の判定結果を確認するという、手間をかける必要があった。
【0036】
本請求項記載の発明によると、検査結果とともに、努力呼出開始時の努力度の良否を、所定の位置に表示する。つまり、検査をしてその結果の画面になると、FVC曲線データ、数値データと共に、所定の判定バーの表示位置に、呼出開始時の努力度の良否が表示される。このため、測定データを一目で確認でき、データが信頼できるものであるか否かの判断もすぐにできる。精度管理にも有効で、検者の手間を省力化し、正しい診断にも有効である。
【0037】
請求項2の発明は、フローボリューム検査時に、努力呼出開始以降の時間を測定し、この呼出時間が十分であったか否かを判定して、 表示器に設けた判定バーに判定結果を表示する。
【0038】
この努力度判定も、 ATSや日本呼吸器学会によって定められている。このため、従来もこの機能は使用されていた。しかし、その判定結果は測定結果画面に表示されていなかったり、多くの情報の中に埋もれて表示されていた。このため、請求項1の発明の実施例で記載したように、この指標も見難い、又は見るのにキー操作が必要などの不都合があり、検査結果とその信頼性を一目で確認するというわけにはいかなかった。
【0039】
本請求項記載の発明によると、検査結果と共に、呼出時間の努力の程度を表示し、呼出時間が十分であったかどうかを判断し、この判断結果を例えば良又は否のように、所定の位置に、表示される。このため、検査データを一目で確認でき、データが信頼できるものであるか否かの判断も同時にできる。精度管理にも有効で、検者の手間を省力化し、正しい診断にも有効である。
【0040】
請求項3の発明は、複数回おこなったフローボリューム検査の再現性の良否を判定し、 表示器に設けた判定バーにその判定結果を表示するものである。この判定についても、 ATSや日本呼吸器学会によって定められている。このため、従来もこの機能は使用されていた。しかし、その判定結果は測定結果画面に表示されていなかったり、多くの情報の中に埋もれて表示されていた。このため、請求項1の発明の実施例で記載したように、この指標も見難い、又は見るのにキー操作が必要などの不都合があり、検査結果とその信頼性を一目で確認するというわけには行かなかった。
【0041】
本請求項記載の発明によると、検査結果と共に、複数回の検査の再現性の良否を判定し、この判断結果を例えば良又は否のように、所定の位置の判定バーに表示する。このため、検査データを一目で確認できるとともに、再現性の良否を一目で確認することができ、データが信頼できるものであるか否かの判断も同時にできる。精度管理にも有効で、検者の手間を省力化し、正しい診断にも有効である。
【0042】
請求項4の発明は、フローボリューム検査によって得られたデータから、GOLDの基準に基づいて病期を判定し、 表示器に設けた判定バーにこの判定結果を表示する。GOLDの基準は公知であり、図11(A)に示すような病期の表や同図(B)の病期の表も使用されている。しかし、その判定結果は測定結果画面に表示されていなかったり、多くの情報の中に埋もれて表示されていた。このため、請求項1の発明の実施例で記載したように、この指標も見難い、又は見るのにキー操作が必要などの不都合があり、検査結果とその信頼性を一目で確認するというわけにはいかなかった。
【0043】
本請求項記載の発明によると、検査結果と共に、GOLDの基準に基づく病期を判定し、この判断結果を例えば病期2のように、所定の位置の判定バーに表示する。判定バーには病期0から4までの、又は正常の、いずれかを表示すればよい。このため、検査データを一目で確認できるとともに、患者がどの病期かが同時にわかる。検者の手間を省力化し、正しい診断にも有効である。
【0044】
請求項5の発明では、フローボリューム検査によって得られたデータから、換気機能障害の種類を判定し、 表示器に設けた判定バーにこの判定結果を表示する。検査結果から、換気機能障害の種類と程度を表す図12の表は従来から用いられている。しかし、その判定結果は測定結果画面に表示されていなかったり、多くの情報の中に埋もれて表示されていた。このため、請求項1の発明の実施例で記載したように、この指標も見難い、又は見るのにキー操作が必要などの不都合があり、検査結果とその信頼性を一目で確認するというわけにはいかなかった。
【0045】
本請求項記載の発明によると、検査結果と共に、換気機能障害の種類と程度を求め、この結果から例えば閉塞性障害であるという判定をし、これを所定の位置の判定バーに表示する。判定バーには、閉塞性、拘束性、混合性、正常のいずれかを識別できるように表示すればよい。例えば、閉、拘、混、正のように、またはこれに対応する数値や記号で表示してもよい。このため、検査データを一目で確認できるとともに、患者はどのような種類の換気障害であるのかを一目で確認することができる。検者の手間を省力化し、正しい診断にも有効である。
【0046】
請求項6の発明では、フローボリューム検査結果の表示画面に判定バー表示領域を設け、 この判定バー表示領域には請求項1から請求項5及び請求項8に記載した判定バーの中の少なくとも1つの判定バーを表示するようにした。従来は、呼出努力の判定結果や換気機能障害の種類、程度、GOLDの基準に基づく病期判定結果は、別々の場所に表示又は格納され、検査結果と共に、これらを同時にまとめて見ることはできなかった。本請求項記載の発明によると、フローボリューム曲線、数値データとともに、努力度の判定結果と、換気障害の種類、程度、GOLDの基準に基づく病期を、所定の位置に、同時に表示するため、検査データと共に、データの信頼性、病気の程度や種類を、一つの画面で一目で確認することができる。このため、検者の手間を省力化し、正しい診断にも有効である。
【0047】
請求項7の発明は、操作性をよくし、検査結果を判り易く表示する技術に関するものである。画面を、曲線表示領域、数値データ表示領域、操作用のタブ表示領域、判定バー表示領域等に分割して、データは所定の領域に表示して見やすくした。また、タッチパネル式の表示器を用いて、表示器の一部に測定モードを選択するタブを表示するタブ領域を設けて、操作し易くした。ある測定モードのタブをタップするだけでその測定モードの測定結果表示画面に入ることができる。また、測定結果を表示することができる。測定結果表示画面は、タブ領域の他に、曲線表示領域と数値データ表示領域、判定バー表示領域などに割り当てているため、非常に見易い。検査時の努力度は所定位置の判定バーに表示されるので、データの信頼性も一目で判断できる。測定データと共に、この測定結果が信頼性の高いものであるかどうかも一目で判断できるので、判定結果を一目で確認することができる。
【0048】
請求項8の発明は、フローボリューム検査時に、努力呼出開始時の努力度と努力呼出時間から見た努力度の両方を見て、両方とも十分な努力が行なわれている検査の回数をカウントし、この回数を、検査結果の画面に、表示器に設けた判定バーに表示する。努力呼出開始時の努力度の判定は、前述のように、 信頼性の高いデータを得るために、ATSやつまり、本請求項記載の発明により、信頼性の高い検査が何回行なわれたかを、判定バーを見るだけで、一目で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】請求項1記載の発明の測定開始時の努力度の判定バーの例である。
【図2】請求項2記載の発明の呼出時間から見た努力度の判定バーの例である。
【図3】請求項3記載の発明の再現性の判定バーの例である。
【図4】請求項4記載の発明のGOLDに基づく病期判定バーの例である。
【図5】請求項5記載の発明の換気機能障害の判定バーの例である。
【図6】請求項6記載の発明の判定バー表示領域を示す領域の例である。
【図7】請求項7記載の発明の測定結果表示画面の例である。
【図8】肺機能検査で使用する流量計、フィルタ、マウスピースの例である。
【図9】肺気量分画の図である。
【図10】フローボリューム曲線の例である。
【図11】GOLDの基準に基づく病期分類(A)とその表(B)である。
【図12】換気機能障害の種類と程度を表す表である。
【図13】請求項8の発明の、呼出開始時と努力呼出の両方とも十分な努力が行われた
【符号の説明】
【0050】
TVI:吸気量 TI:吸気時間TVE:呼気量 TE:呼気時間41:努力呼出開始時努力度判定バー 32判定バー表示領域51:呼出時間努力度判定バー61:再現性判定バー71:GOLDによる病期判定バー81:換気機能障害判定バー81’:判定バー表示領域 82’:表示画面91:測定モード選択タブ92:判定バー93:測定曲線表示領域94:測定数値データ表示領域 95:表示画面101:流量計 102:フィルタ103:マウスピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローボリューム検査の検査結果画面に努力呼出開始時の努力度を表示する努力呼出判定バー
を設け、フローボリューム検査で、努力呼出開始時の努力度を医学会で基準によって判定し、この判定結果を、努力呼出判定バーに表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項2】
フローボリューム検査の検査結果画面に努力呼出時間を表示する呼出時間判定バーを設け、フローボリューム検査で、努力呼出時間を測定して呼出努力度を判定し、この判定結果を、呼出時間判定バーに表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項3】
フローボリューム検査の検査結果画面に再現性の良否を表示する再現性良否判定バーを設け、複数回おこなったフローボリューム検査の結果を比較して再現性の良否を判定し、 この判定結果を、再現性良否判定バーに表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項4】
フローボリューム検査の検査結果画面にGOLDの基準に基づく病期判定結果を表示するGOLD病期判定バーを設け、フローボリューム検査によって得られたデータから、GOLDの基準に基づく病期を判定し、この判定結果を、GOLD病期判定バーに表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項5】
フローボリューム検査の検査結果画面に換気機能障害の種類を表示する換気機能障害判定バーを設け、フローボリューム検査によって得られたデータから換気機能障害の種類を判定し、 この判定結果を、換気機能障害判定バーに表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項6】
フローボリューム検査結果の表示画面に判定バー表示領域を設け、 この判定バー表示領域には請求項3から請求項7に記載した判定バーの中の少なくとも1つを表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項7】
所定の呼吸をおこなわせ、そのときの呼吸流量を測定して、 肺気量分画検査やフローボリューム検査などをおこなう肺機能検査装置において、表示器にタッチパネル式の表示器を用い、表示器に測定モードを選択するタブを表示する領域を設け、ある測定モードのタブを押すとその測定モードの初期画面に入り、そのまま測定を開始できるようにし、測定後はその測定結果表示画面に移り、ある測定モードの測定結果表示画面は、タブ領域、曲線表示領域、数値データ表示領域、判定バー表示領域に分割し、分かり易く表示するようにした肺機能検査装置。
【請求項8】
フローボリューム検査で、努力呼出開始時の努力度が十分な検査と、努力呼出時間が十分な検査の、両方を満たす検査の回数を求め、この結果を、表示器に設けた判定バーに表示するようにした肺機能検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−66094(P2012−66094A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239352(P2011−239352)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2005−214242(P2005−214242)の分割
【原出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000114190)ミナト医科学株式会社 (31)
【Fターム(参考)】