肺炎連鎖球菌莢膜多糖コンジュゲートを含むワクチン
本発明は、肺炎球菌莢膜糖類コンジュゲートワクチンの分野におけるものである。具体的には、2種以上の異なる担体タンパク質にコンジュゲートされた異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する様々なコンジュゲート化莢膜糖類を有する多価肺炎連鎖球菌免疫原性組成物であって、ジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197にコンジュゲートされた血清型19Fの莢膜糖類を含み、必要に応じて該組成物において19Fがジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197にコンジュゲートされた唯一の糖類である、前記組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
2歳未満の子供は多くの多糖類ワクチンに対する免疫応答を高めないため、タンパク質担体への化学的結合により多糖類を免疫原性にする必要があった。T依存的抗原であるタンパク質へのT非依存的抗原である多糖類の結合は、該多糖類に対して、アイソタイプスイッチング、親和性成熟、および記憶誘導などのT依存性の特性を付与する。
【0003】
しかしながら、多糖類-タンパク質コンジュゲート、または多価ワクチンを形成する多糖類-タンパク質コンジュゲートの組合せの反復投与には問題も存在し得る。例えば、タンパク質担体として破傷風トキソイド(TT)を用いるb型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)多糖(PRP)ワクチンを、標準的な幼児計画に従って(遊離)TTおよび肺炎球菌多糖-TTコンジュゲートワクチンを用いる同時免疫化について一定の用量範囲で試験したことが報告されている。肺炎球菌ワクチンの用量が増加するにつれて、HibコンジュゲートワクチンのPRP多糖部分に対する免疫応答、例えば、おそらく同じ担体タンパク質の使用を介する、該多糖類の免疫妨害などが低下した(Daganら、Infect Immun. (1998); 66: 2093-2098)。
【0004】
前記タンパク質自体に対する体液性応答に対する担体-タンパク質用量の効果も、多面的であることが証明されている。ヒト幼児においては、四価破傷風トキソイドコンジュゲートの用量が、破傷風担体に対する応答の低下をもたらすことが報告されている(Daganら、上掲)。組合せワクチンのこれらの効果の古典的分析が担体により誘導されるエピトープ抑制として記載されており、これは完全には理解されていないが、過剰量の担体タンパク質の結果生じると考えられる(Fattom, Vaccine 17: 126 (1999))。これは、担体タンパク質に対するB細胞、および多糖類に対するB細胞による、Th細胞との競合をもたらすようである。担体タンパク質に対するB細胞が優勢である場合、多糖類に特異的なB細胞のために必要な援助を提供するのに利用可能な十分な数のTh細胞が存在しない。しかしながら、観察された免疫学的効果は、いくつかの例においては担体タンパク質の総量が免疫応答を増加させ、他の場合、免疫応答を低下させることと一致していなかった。
【0005】
従って、単一の有効なワクチン製剤中に複数の多糖類コンジュゲートを混合する際には技術的困難性が依然として存在する。
【0006】
肺炎連鎖球菌は、かなりの罹患率および死亡率(特に、若者および高齢者における)の原因となり、肺炎、菌血症および髄膜炎などの侵襲的疾患、ならびに急性中耳炎などのコロニー形成と関連する疾患を引き起こすグラム陽性細菌である。60歳を超える年齢に関する米国における連鎖球菌性肺炎の割合は、100,000人あたり3〜8人であると見積もられている。20%の事例において、これは菌血症、および髄膜炎などの他の兆候をもたらすが、抗生物質治療を行ってもその死亡率は30%に近い。
【0007】
肺炎球菌は、血清型特異性を付与する化学的に結合された多糖類の莢膜を有する。90種の公知の血清型の肺炎球菌が存在し、莢膜は補体から細菌の内部表面を防御するだけでなく、それ自身、免疫原性が低いため、それは肺炎球菌の主要なビルレンス決定因子である。多糖類はT非依存的抗原であり、MHC分子上で処理または提示されてT細胞と相互作用することができない。しかしながら、それらは、B細胞上の表面受容体の架橋を含む代替的な機構を介して免疫系を刺激することができる。
【0008】
侵襲性肺炎球菌疾患に対する防御は、莢膜に特異的な抗体と最も強く相関し、その防御は血清型特異的であることが、いくつかの実験において示された。
【0009】
肺炎連鎖球菌は、幼児および小児における侵襲性細菌疾患および中耳炎の最も一般的な原因である。同様に、高齢者は肺炎球菌ワクチンに対してあまり応答せず[Roghmannら(1987), J. Gerontol. 42:265-270]、従って、この集団における細菌性肺炎の発生率の上昇をもたらす[VergheseおよびBerk, (1983) Medicine (Baltimore) 62:271-285]。
【0010】
肺炎連鎖球菌により引き起こされる主な臨床症候群が広く認識されており、あらゆる標準的な医学書で考察されている(Fedson DS, Muscher DM. In: Plotkin SA, Orenstein WA(編)、Vaccines. 第4版、PhiladelphiaWB Saunders Co, 2004a: 529-588)。例えば、侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)は、肺炎連鎖球菌が血液または別の通常は無菌性の部位から単離される任意の感染症と定義される(Musher DM. Streptococcus pneumoniae. In Mandell GL, Bennett JE, Dolin R (編). Principles and Practice of Infectious diseases (第5版). New York, Churchill Livingstone, 2001, p2128-2147)。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、同時に存在することが多いいくつかの症状(気道閉塞、慢性気管支炎、細気管支炎もしくは末梢気道疾患および肺気腫)を包含すると認識される。患者は、通常は息切れの増加と関連するその症状の悪化を患い、粘液もしくは膿性痰をもたらす咳が増加することが多い(Wilson, Eur Respir J 2001 17:995-1007)。COPDは、慢性気管支炎および/または肺気腫を有する患者における不可逆的または部分的に可逆的な気道閉塞の存在により生理学的に定義される(Standards for the diagnosis and care of patients with chronic obstructive pulmonary disease. American Thoracic Society. Am J Respir Crit Care Med. 1995 Nov;152(5 Pt 2):S77-121)。COPDの悪化は、細菌(例えば、肺炎球菌)感染により引き起こされることが多い(Sethi S, Murphy TF. Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease in 2000: a state-of-the-art review. Clin Microbiol Rev. 2001 Apr;14(2):336-63)。
【発明の概要】
【0011】
かくして、本発明の目的は、複数の血清型の肺炎連鎖球菌多糖コンジュゲートワクチンの改良された製剤を開発することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】高齢のアカゲザルにおけるコンジュゲートの免疫原性(II後の抗PS IgGレベル)を示す。棒グラフは高齢のアカゲザルにおける11価コンジュゲートの免疫原性を示す。明るい方の棒は、リン酸アルミニウムアジュバント中の11価コンジュゲートを2回接種した後のGMCを表す。暗い方の棒はアジュバントC中の11価コンジュゲートを2回接種した後のGMCを表す。
【図2】高齢のアカゲザルにおけるコンジュゲートの免疫原性(II後の抗PS3記憶B細胞頻度)を示す。棒グラフは、アジュバントCまたはリン酸アルミニウムアジュバント中の11価コンジュゲートを接種した後のPS3に関する記憶B細胞を示す。
【図3】Balb/cマウスにおけるPS19Fの免疫原性(III後のIgGレベル)を示す。棒グラフは、4価プレーン多糖および4価dPlyコンジュゲートに関するBalb/cマウスにおける抗多糖19Fの免疫原性を示す。
【図4】Balb/cマウスにおけるPS22Fの免疫原性(III後のIgGレベル)を示す。棒グラフは、4価プレーン多糖および4価PhtDコンジュゲートに関するBalb/cマウスにおける抗多糖22Fの免疫原性を示す。
【図5】血清抗PS IgG抗体レベルを示す。棒グラフは、Balb/cマウスにおける抗22F IgG応答を示す。
【図6】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。棒グラフはBalb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図7】新規アジュバントまたはAlPO4を用いるIII回目の免疫後の若いC57Blマウスにおいて誘導されるIgG応答の比較を示す。棒グラフは、様々なアジュバント中で製剤化された13価コンジュゲートワクチンを用いる免疫後の若いC57Blマウスにおいて誘導されるIgG応答を比較する。棒グラフは、右手欄に示されるのと同じ順序である。
【図8】アカゲザルにおける19F型肺コロニー形成に対するPhtDおよびdPlyタンパク質組合せの防御効果を示す。棒グラフは、サルの肺炎モデルにおける様々なワクチン組合せの防御効果を示す。「死亡」カテゴリーは、抗生物質治療を投与したが死亡したサルを含む。
【図9】血清抗PhtD IgG応答を示す。棒グラフは、22F-PhtDまたは22F-AH-PhtDコンジュゲートを用いる免疫後のBalb/cマウスにおける抗PhtD IgG応答を示す。
【図10】マウスにおける4型肺炎球菌チャレンジに対する防御を示す。22F-PhtDまたは22F-AH-PhtDを用いる免疫後のマウスにおける4型肺炎球菌チャレンジに対する防御を示す。
【図11】PhtDを用いる免疫および血清型3多糖に対する抗体を用いる受動免疫後の肺炎連鎖球菌3/43株を用いる致死的チャレンジに対する防御を示す。
【図12】PhtDを用いる免疫および血清型1多糖に対する抗体を用いる受動免疫後の肺炎連鎖球菌1/57株を用いる致死的チャレンジに対する防御を示す。
【図13】高齢のC57ブラックマウスにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図14】高齢のC57ブラックマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図15】Balb/cマウスにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図16】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図17】モルモットにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図18】モルモットにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図19】Balb/cマウスにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図20】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図21】OF1における抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図22】OF1における抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、2種以上の担体タンパク質にコンジュゲート(結合)された異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する10種以上(例えば、11、12、13、14または15種以上)の莢膜糖類を含む改良された肺炎連鎖球菌ワクチンであって、ジフテリアトキソイドまたはCRM197にコンジュゲートされた血清型19Fの莢膜糖類およびタンパク質Dにコンジュゲートされた異なる血清型から選択される2〜8種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む、前記ワクチンを提供する。
【0014】
本発明の目的のために、「COPDの悪化に対するヒト宿主を免疫すること」または「COPDの悪化の治療もしくは予防」または「COPD悪化の重篤度の低下」とは、COPD悪化の発生率もしくは速度の低下(例えば、0.1、0.5、1、2、5、10、20%以上の速度の低下)、または例えば、本発明の組成物もしくはワクチンで免疫された患者群内での、上記で定義されたCOPD悪化の重篤度の低下を指す。
【0015】
典型的には、本発明の肺炎連鎖球菌ワクチンは、糖類が少なくとも10種の血清型の肺炎連鎖球菌から誘導された、莢膜糖類抗原(好ましくは、コンジュゲートされたもの)を含むであろう。肺炎連鎖球菌莢膜糖類の数は、10種の異なる血清型(または「v」、価数)から23種の異なる血清型(23v)の範囲であってよい。一実施形態においては、10、11、12、13、14または15種の異なる血清型が存在する。本発明の別の実施形態においては、前記ワクチンはコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌糖類とコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌糖類を含んでもよい。好ましくは、糖類血清型の総数は23以下である。例えば、本発明は、10種のコンジュゲートされた血清型および13種のコンジュゲートされていない糖類を含んでもよい。同様の様式で、前記ワクチンは11、12、13、14、15もしくは16種のコンジュゲートされた糖類およびそれぞれ12、11、10、9、8もしくは7種のコンジュゲートされていない糖類を含んでもよい。
【0016】
用語「異なる血清型から選択される」とは、タンパク質Dにコンジュゲートされた莢膜糖類が19F以外の肺炎連鎖球菌血清型に由来することを意味する。
【0017】
本発明の免疫原性組成物は、タンパク質Dが担体タンパク質である、2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、3〜5種、4〜5種、2〜4種、2〜3種、3〜4種もしくは2種、3種、4種、5種、6種、7種もしくは8種の莢膜糖類コンジュゲートを含む。例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fまたは23Fに由来する糖類をタンパク質Dにコンジュゲート(結合)させる。例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fから選択される2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、3〜5種、4〜5種、2〜4種、2〜3種、3〜4種もしくは2種、3種、4種、5種、6種、7種もしくは8種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。
【0018】
一実施形態においては、少なくとも血清型1と3、1と4、1と5、1と6A、1と6B、1と7、1と9V、1と14、1と22F、1と23F、3と4、3と5、3と6A、3と6B、3と7F、3と9V、3と14、3と22F、3と23F、4と5、4と6A、4と6B、4と7F、4と9V、4と14、4と22F、4と23F、5と6A、5と6B、5と7F、5と9V、5と14、5と22F、5と23F、6Aと6B、6Aおよび7F、6Aと7F、6Aと9V、6Aと14、6Aと22F、6Aと23F、6Bと7F、6Bと9V、6Bと14、6Bと22F、6Bと23F、7Fと9V、7Fと14、7Fと22F、7Fと23F、9Vと14、9Vと22F、9Vと23F、14と22F、14と23Fまたは22Fと23Fに由来する糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。
【0019】
一実施形態においては、少なくとも血清型1、3および4; 1、3および5; 1、3および6A; 1、3および6B; 1、3および7F; 1、3および9V; 1、3および14; 3、4および7F; 3、4および5; 3、4および7F; 3、4および9V; 3、4および14; 4、5および7F; 4、5および9V; 4、5、および14; 5、7Fおよび9V; 5、7Fおよび14; 7F、9Vおよび14; 1、3、4および5; 3、4、5および7F; 4、5、7Fおよび9V; 4、5、7Fおよび14; 4、5、9Vおよび14; 4、7F、9Vおよび14; 5、7F、9Vおよび14;または4、5、7F、9Vおよび14に由来する糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。
【0020】
一実施形態においては、半分または少数の本発明の免疫原性組成物中に存在する莢膜糖類コンジュゲートは、担体タンパク質としてタンパク質Dを含む。例えば、10価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4または5種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、11価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4または5種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、12価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5または6種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、13価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5または6種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、14価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6または7種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、15価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6または7種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、16価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7または8種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、17価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7または8種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、18価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7、8または9種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、19価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7、8または9種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。必要に応じて、タンパク質Dにコンジュゲートさせた血清型を、上記の群から選択する。
【0021】
一実施形態においては、本発明の多価肺炎球菌ワクチンを、以下の血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択することができるが、1種または2種の他の血清型を、ワクチンを受けるレシピエントの年齢およびワクチンを投与することができる地理的な位置に応じて置換してもよいこと(例えば、血清型6Aをリストに含むことができる)が理解される。例えば、10価ワクチンは、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fに由来する多糖類を含んでもよい。11価ワクチンはまた、血清型3に由来する糖類を含んでもよい。12価または13価の小児用(幼児用)ワクチンは、血清型6Aと19A、または6Aと22F、または19Fと22F、または6Aおよび15、または19Aと15、または22Fと15を補給した10価または11価の製剤を含んでもよいが、13価の高齢者用ワクチンは血清型19Aと22F、8と12F、または8と15、または8と19A、または8と22F、または12Fと15、または12Fと19A、または12Fと22F、または15と19A、または15と22Fを補給した11価の製剤を含んでもよい。14価の小児用ワクチンは、血清型3、6A、19Aおよび22F;血清型6A、8、19Aおよび22F;血清型6A、12F、19Aおよび22F;血清型6A、15、19Aおよび22F;血清型3、8、19Aおよび22F;血清型3、12F、19Aおよび22F;血清型3、15、19Aおよび22F;血清型3、6A、8および22F;血清型3、6A、12Fおよび22F;または血清型3、6A、15および22Fを補給した上記の10価の製剤を含んでもよい。
【0022】
一実施形態においては、前記組成物は血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F(好ましくはコンジュゲートされたもの)から誘導された莢膜糖類を含む。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも11種の糖類抗原(好ましくはコンジュゲートされたもの)は、例えば、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類を含む。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも12種もしくは13種の糖類抗原が含まれ、例えば、ワクチンは血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類または血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類を含んでもよいが、さらなる糖類抗原、例えば、23価(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fなど)も本発明により意図される。
【0023】
本発明の免疫原性組成物は、インフルエンザ菌に由来するタンパク質D(PD)を含む(例えば、EP 0594610の図9を参照)。インフルエンザ菌は中耳炎の重要な原因生物であり、本発明者らは、肺炎連鎖球菌ワクチン中へのこのタンパク質の含有は、インフルエンザ菌に関連する中耳炎に対する一定レベルの防御を提供することを示した(Pyrmulaら、Lancet 367; 740-748 (2006))。一態様においては、PDは1種以上の糖類のための担体タンパク質として存在する。別の態様においては、タンパク質Dは遊離タンパク質としてワクチン組成物中に存在してもよい。さらなる態様においては、タンパク質Dは担体タンパク質および遊離タンパク質の両方として存在する。タンパク質Dを、完全長タンパク質として、または断片として用いることができる(WO0056360)。さらなる態様においては、タンパク質Dは、多くの糖類のための担体タンパク質として存在し、例えば、6、7、8、9種以上の糖類をタンパク質Dに結合することができる。この態様においては、タンパク質Dは遊離タンパク質としても存在してもよい。
【0024】
本発明のワクチンは、2種以上の異なる型の担体タンパク質を含む。それぞれの型の担体タンパク質は、同じか、または異なっていてもよい2つ以上の糖類のための担体として働くことができる。例えば、血清型3および4を同じ担体タンパク質に、担体タンパク質の同じ分子に、または同じ担体タンパク質の異なる分子に結合させることができる。一実施形態においては、2種以上の異なる糖類を、同じ担体タンパク質に、担体タンパク質の同じ分子に、または同じ担体タンパク質の異なる分子に結合させることができる。
【0025】
各肺炎連鎖球菌莢膜糖類(常にDTまたはCRM197、好ましくはDTにコンジュゲートされる血清型19Fに由来する糖類以外)を、TT、DT、CRM197、TTの断片C、PhtD、PhtDE融合物(特にWO 01/98334およびWO 03/54007に記載のもの)、解毒された肺炎球菌溶血素およびタンパク質Dからなる群より独立に選択された担体タンパク質に結合させることができる。本発明のコンジュゲート中で用いることができる担体タンパク質のより完全な一覧を以下に提供する。
【0026】
タンパク質担体が組成物における2種以上の糖類について同一である場合には、当該糖類を当該タンパク質担体の同一分子にコンジュゲートさせることができる(それにコンジュゲートされた2種以上の異なる糖類を有する担体分子)[例えば、WO04/083251を参照]。あるいは、糖類をタンパク質担体の異なる分子にそれぞれ別々にコンジュゲートさせてもよい(それにコンジュゲートされた1つの型の糖類のみを有するタンパク質担体の各分子)。
【0027】
本発明の免疫原性組成物中に存在するコンジュゲート中の1種以上の肺炎連鎖球菌莢膜糖類に結合される担体タンパク質は、必要に応じて、いくつかのポリヒスチジントライアドファミリー(Pht)タンパク質、その断片または融合物である。PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtEタンパク質は、WO 00/37105またはWO 00/39299に開示された配列(例えば、PhtDについてはWO 00/37105の配列番号4のアミノ酸配列1〜838または21〜838)と80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。例えば、融合タンパク質は、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEの2、3または4の完全長または断片から構成される。融合タンパク質の例は、N末端で最初に言及されたものと連結された、PhtA/B、PhtA/D、PhtA/E、PhtB/A、PhtB/D、PhtB/E、PhtD/A、PhtD/B、PhtD/E、PhtE/A、PhtE/BおよびPhtE/Dである(例えば、WO 01/98334を参照)。
【0028】
Phtタンパク質の断片を用いる場合(別々に、または融合タンパク質の一部として)、それぞれの断片は必要に応じて、そのようなポリペプチドの1個以上のヒスチジントライアドモチーフおよび/またはコイルドコイル領域を含む。ヒスチジントライアドモチーフは、配列HxxHxH(式中、Hはヒスチジンであり、xはヒスチジン以外のアミノ酸である)を有するポリペプチドの一部である。コイルドコイル領域は、「Coils」アルゴリズム(Lupus, Aら(1991) Science 252; 1162-1164)により予測される領域である。一実施形態においては、その断片またはそれぞれの断片は、1個以上のヒスチジントライアドモチーフならびに少なくとも1個のコイルドコイル領域を含む。一実施形態においては、その断片またはそれぞれの断片は、正確に、または少なくとも2、3、4もしくは5個のヒスチジントライアドモチーフ(必要に応じて、2個以上のトライアド間の天然Pht配列、または天然の肺炎球菌トライアド内Pht配列、例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4に示されるトライアド内配列と50、60、70、80、90%以上もしくは100%同一であるトライアド内配列)を含む。一実施形態においては、その断片またはそれぞれの断片は、正確に、または少なくとも2、3もしくは4個のコイルドコイル領域を含む。一実施形態においては、本明細書に開示されたPhtタンパク質は、シグナル配列が結合した完全長タンパク質、シグナルペプチドが除去された成熟な完全長タンパク質(例えば、N末端の20個のアミノ酸)、Phtタンパク質の天然変異体およびPhtタンパク質の免疫原性断片(例えば、上記の断片またはWO 00/37105(配列番号4、6、8もしくは10)もしくはWO 00/39299(配列番号2、4、6、8、10もしくは14)中のアミノ酸配列に由来する少なくとも15もしくは20個の連続するアミノ酸を含むポリペプチドであって、WO 00/37105もしくはWO 00/39299中の該アミノ酸配列に特異的な免疫応答を誘起する(引き出す)ことができる前記ポリペプチド)を含む。
【0029】
特に、本明細書で用いられる用語「PhtD」は、シグナル配列が結合した完全長タンパク質、シグナルペプチド(例えば、N末端の20個のアミノ酸)が除去された成熟な完全長タンパク質、PhtDの天然変異体およびPhtDの免疫原性断片(例えば、上記の断片またはWO 00/37105もしくはWO 00/39299中のPhtDアミノ酸配列に由来する少なくとも15もしくは20個の連続するアミノ酸を含むポリペプチドであって、該ポリペプチドはWO 00/37105もしくはWO 00/39299中の該PhtDアミノ酸配列に特異的な免疫応答を誘起することができる前記ポリペプチド(例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4もしくはWO 00/392999中の配列番号14))を含む。上記のPhtDの全ての形態を本発明において使用することができる。
【0030】
タンパク質担体が前記組成物中の2種以上の糖類について同じである場合、前記糖類をタンパク質担体の同じ分子(それに結合させた2個以上の異なる糖類を有する担体分子)に結合させることができる[例えば、WO 04/083251を参照]。あるいは、前記糖類を、タンパク質担体の異なる分子(それに結合させた1種の型の糖類のみを有するタンパク質担体のそれぞれの分子)にそれぞれ別々に結合させることができる。
【0031】
本発明において用いることができる担体タンパク質の例は、DT(ジフテリアトキソイド)、TT(破傷風トキソイド)またはTTの断片C、DT CRM197(DT変異体)、CRM176、CRM228、CRM45などの他のDT点突然変異体(Uchidaら、J. Biol. Chem. 218; 3838-3844, 1973);CRM 9、CRM 45、CRM102、CRM 103およびCRM107ならびにNichollsおよびYoule、Genetically Engineered Toxins、Frankel(編)、Maecel Dekker Inc, 1992により記載された他の突然変異;Glu-148からAsp、GlnもしくはSer、および/またはAla158からGlyへの欠失もしくは突然変異ならびに米国特許第4,709,017号もしくは米国特許第4,950,740号に開示された他の突然変異;少なくとも1個以上の残基Lys 516、Lys 526、Phe 530および/もしくはLys 534の突然変異ならびに米国特許第5,917,017号もしくは第6,455,673号に開示された他の突然変異;または米国特許第5,843,711号に開示された断片、肺炎球菌溶血素(Kuoら(1995) Infect Immun 63; 2706-13)、例えば、いくつかの様式で解毒されたply、例えば、dPLY-GMBS(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)もしくはdPLY-formol、PhtX、例えば、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEおよびPhtタンパク質の融合物、例えば、PhtDE融合物、PhtBE融合物(WO 01/98334およびWO 03/54007)、(PhtA-Eを以下により詳細に説明する)OMPC(通常は髄膜炎菌血清群Bから抽出される、髄膜炎菌外膜タンパク質-EP0372501)、PorB(髄膜炎菌由来)、PD(インフルエンザ菌タンパク質D、例えば、EP 0 594 610 Bを参照)、またはその免疫学的に機能的な等価物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712、WO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、増殖因子もしくはホルモン(WO 91/01146)、N19タンパク質(Baraldoiら(2004) Infect Immun 72; 4884-7)、肺炎球菌表面タンパク質PspA (WO 02/091998)、鉄取込みタンパク質(WO 01/72337)、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)の毒素AもしくはB(WO 00/61761)などの様々な病原体に由来する抗原(Falugiら(2001) Eur J Immunol 31; 3816-3824)に由来する複数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質である。
【0032】
Nurkkaら、Pediatric Infectious Disease Journal. 23(11):1008-14, 2004 Nov.は、PDに結合させた全ての血清型を有する11価の肺炎球菌ワクチンを記載した。しかしながら、本発明者らは、PDに結合させた19Fと比較して、DTに結合させた19Fを有するコンジュゲートを用いて誘導された抗体について、オプソニン食作用活性が改善されたことを示した。さらに、本発明者らは、DTに結合させた19Fについて、19Aに対するより大きい交叉反応性が認められることを示した。従って、血清型19FをDTまたはCRM 197に結合させることが本発明の組成物の特徴である。一態様においては、血清型19FをDTに結合させる。前記免疫原性組成物の残りの糖類血清型を全て、DTではない1種以上の担体タンパク質に結合させる(すなわち、19FのみをDTに結合させる)か、またはDTではない、およびDT自身である1種以上の担体タンパク質の間で分割することができる。一実施形態においては、19FをDTまたはCRM 197に結合させ、残りの血清型の全部をPDに結合させる。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPDと、TTもしくはDTもしくはCRM 197との間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM 197に結合させ、1種以下の糖類をTTに結合させる。この実施形態の一態様においては、前記1種の糖類は18Cまたは12Fである。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、2種以下の糖類をTTに結合させる。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TTおよびDTもしくはCRM 197の間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TTと肺炎球菌溶血素の間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TTとCRM 197との間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TT、肺炎球菌溶血素と、必要に応じて、PhtDもしくはPhtD/E融合タンパク質との間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM197に結合させ、19Aを肺炎球菌溶血素もしくはTTに結合させ、1種(2または3種)のさらなる糖類をTTに結合させ、1種のさらなる糖類をPhtDもしくはPhtD/Eに結合させ、全てのさらなる糖類をPDに結合させる。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM197に結合させ、19Aを肺炎球菌溶血素に結合させ、1種(2または3種)のさらなる糖類をTTに結合させ、1種のさらなる糖類を肺炎球菌溶血素に結合させ、2種のさらなる糖類をPhtDもしくはPhtD/Eに結合させ、全てのさらなる糖類をPDに結合させる。
【0033】
本明細書を通して用いられる用語「糖類」は、多糖類またはオリゴ糖を示し、その両方を含んでもよい。多糖類を細菌から単離し、公知の方法(例えば、EP497524およびEP497525を参照されたい)ならびに好ましくは微小流動化によりある程度までサイズを変えることができる。多糖類をサイズ変更して、多糖類サンプル中での粘度を低下させ、および/または結合産物に関する濾過性を改善することができる。オリゴ糖は少数の反復単位(典型的には、5〜30個の反復単位)を有し、典型的には加水分解された多糖類である。
【0034】
肺炎連鎖球菌の莢膜多糖は、最大で8個の糖残基を含んでもよい反復オリゴ糖単位を含む。重要な肺炎連鎖球菌血清型のオリゴ糖単位の概説については、JONES, Christopher. Vaccines based on the cell surface carbohydrates of pathogenic bacteria. An. Acad. Bras. Cienc., June 2005, vol.77, no.2, p.293-324. Table II ISSN 0001-3765を参照されたい。一実施形態においては、莢膜糖類抗原は完全長多糖類であってよいが、他の実施形態においては、それは1個のオリゴ糖単位、または天然の長さの糖鎖の反復オリゴ糖単位よりも短いものであってよい。一実施形態においては、前記ワクチン中に存在する全ての糖類は多糖類である。完全長多糖類を「サイズ変更する」ことができる、すなわち、酸加水分解処理、過酸化水素処理、オリゴ糖断片を作製するためのemulsiflex(登録商標)、次いで過酸化水素処理によるサイズ変更または微小流動化などの様々な方法により、そのサイズを低下させることができる。
【0035】
本発明者らはまた、当業界の焦点はコンジュゲート製造を容易にするためにオリゴ糖を用いることであったことに留意した。本発明者らは、天然の、もしくはわずかにサイズ変更された多糖類コンジュゲートを用いることにより、1個以上の以下の利点を実現することができることを見出した:1)濾過可能である高い免疫原性を有するコンジュゲート、2)コンジュゲート中の多糖類とタンパク質の比率を、コンジュゲート中の多糖類とタンパク質の比率(w/w)を増加させることができるように変化させることができる(担体抑制効果に対する効果を有し得る)、3)加水分解を受けやすい免疫原性コンジュゲートを、コンジュゲーションのためにより大きい糖類の使用により安定化することができる。より大きい多糖類の使用は、コンジュゲート単体とのより多い架橋をもたらし、コンジュゲートからの遊離糖類の遊離を低下させることができる。従来技術において記載されたコンジュゲートワクチンは、コンジュゲーションを改善するためにコンジュゲーションの前に多糖類を脱重合させる傾向がある。本発明者らは、より大きいサイズの糖類を保持する糖類コンジュゲートワクチンが、肺炎球菌疾患に対する良好な免疫応答を提供することができることを見出した。
【0036】
かくして、本発明の免疫原性組成物は、コンジュゲーション前の各糖類の平均サイズ(例えば、重量平均分子量;Mw)が、80 kDa、100 kDa、200 kDa、300 kDa、400 kDa、500 kDaまたは1000 kDaを超えるものである、1種以上の糖類コンジュゲートを含んでもよい。一実施形態においては、本発明の1種以上の糖類コンジュゲートは、コンジュゲーションの前に50〜1600、80〜1400、100〜1000、150〜500、または200〜400 kDaの平均サイズの糖類を有するべきである(平均サイズがMwである場合、「kDa」単位を「x 103」と置換するべきであることに留意されたい)。一実施形態においては、コンジュゲーション後のコンジュゲートは、濾過前のサンプルと比較して、濾過後に50、60、70、80、90または95%を超える収率が得られるように、0.2μmのフィルターを通して容易に濾過可能であるべきである。
【0037】
本発明の目的のために、「天然多糖類」とは、その目的が糖類のサイズを低下させることであるプロセス(例えば、精製後のプロセス)にかけられていない糖類を指す。多糖類は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに低下することになってもよい。そのような糖類は依然として天然である。多糖類がサイズ変更技術にかけられた場合にのみ、この多糖類は天然でないと考えられる。天然多糖類のサイズは、例えば、250 kDa〜2,000 kDa、400〜1,500 kDa、750 kDa〜1,250 kDa、300 kDa〜600 kDa、500〜1,000 kDa、または1,000〜1,500 kDaであり、当業者により理解されるように、異なるサイズの天然多糖類を有する異なる血清型を有する。
【0038】
本発明の目的のために、「最大でx2の因子によりサイズ変更される」とは、前記糖類が、該糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの半分を超えるサイズを保持するように意図されたプロセスにかけられることを意味する。x3、x4などは同じように解釈される、すなわち、前記糖類が、該多糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの1/3、1/4などを超えるサイズを保持するように意図されたプロセスにかけられると解釈される。
【0039】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質に結合された少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌糖類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種もしくはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類が天然多糖類である、前記糖類を含む。
【0040】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質に結合された少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌糖類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類が最大でx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10の因子によりサイズ変更される、前記糖類を含む。この態様に一実施形態においては、大部分の糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類が最大でx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10の因子によりサイズ変更される。
【0041】
本明細書に記載の糖類の分子量または平均分子量(またはサイズ)とは、コンジュゲーションの前に測定され、MALLSにより測定される糖類の重量平均分子量(Mw)を指す。
【0042】
MALLS技術は当業界でよく知られており、典型的には、実施例2に記載のように実行される。肺炎球菌糖類のMALLS分析のためには、2個のカラム(TSKG6000および5000PWxl)を組合わせて使用し、糖類を水中に溶出させる。光散乱検出器(例えば、488 nmの10 mWのアルゴンレーザーを備えたWyatt Dawn DSP)および干渉屈折計(例えば、P100セルおよび498 nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を用いて糖類を検出する。
【0043】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類は天然多糖類または通常の抽出プロセスの間にサイズが低下した天然多糖類である。
【0044】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、機械的切断により、例えば、微小流動化または超音波処理によりサイズ変更する。微小流動化および超音波処理は、濾過可能なコンジュゲートを提供するのに十分なより大きい天然多糖類のサイズを低下させる利点を有する。サイズ変更は、x20、x10、x8、x6、x5、x4、x3またはx2以下の因子による。
【0045】
一実施形態においては、前記免疫原性組成物は、天然多糖類と、x20以下の因子によりサイズ変更された糖類との混合物から作製された肺炎連鎖球菌コンジュゲートを含む。この実施形態の一態様においては、大部分の前記糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類を、最大でx2、x3、x4、x5またはx6によりサイズ変更する。
【0046】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、リンカー、例えば、二官能性リンカーを介して担体タンパク質に結合させる。このリンカーは必要に応じて、例えば、1個の反応性アミノ基および1個の反応性カルボン酸基、2個の反応性アミノ基または2個の反応性カルボン酸基を有する、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性である。前記リンカーは、例えば、4〜20、4〜12、5〜10個の炭素原子を有する。可能性のあるリンカーは、ADHである。他のリンカーとしては、B-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Geverら(1979) Med. Microbiol. Immunol. 165; 171-288)、ハロゲン化ハロアルキル(米国特許第4057685号)、グリコシド結合(米国特許第4,673,574号、第4,808,700号)、ヘキサンジアミンおよび6-アミノカプロン酸(米国特許第4,459,286号)が挙げられる。一実施形態においては、血清型18Cに由来する糖類を結合させるためのリンカーとしてADHを用いる。一実施形態においては、血清型22Fに由来する糖類を結合させるためのリンカーとしてADHを用いる。
【0047】
本発明の免疫原性組成物中に存在する糖類コンジュゲートを、任意の公知のカップリング技術により調製することができる。コンジュゲーション方法は、シアン酸エステルを形成する1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)による糖類の活性化に依存し得る。かくして、活性化された糖類を、担体タンパク質上のアミノ基に、直接的に、またはスペーサー(リンカー)基を介して結合させることができる。例えば、スペーサーは、マレイミドにより活性化される担体タンパク質(例えば、GMBSを用いる)またはハロアセチル化担体タンパク質(例えば、ヨードアセトイミド[例えば、エチルヨードアセトイミドHCl]もしくはN-スクシンイミジルブロモアセテートもしくはSIAB、もしくはSIA、もしくはSBAPを用いる)との反応後に得られるチオエーテル結合を介して担体に結合させることができるチオール化多糖類を与えるシスタミンまたはシステアミンであってよい。好ましくは、シアン酸エステル(必要に応じて、CDAP化学により作製される)を、ヘキサンジアミンまたはADHと結合させ、アミノ誘導体化された糖類を、タンパク質担体上のカルボキシル基を介するカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学を用いて担体タンパク質に結合させる。そのようなコンジュゲートはPCT公開出願WO 93/15760 Uniformed Services UniversityならびにWO 95/08348およびWO 96/29094に記載されている。
【0048】
他の好適な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを用いる。多くがWO 98/42721に記載されている。コンジュゲーションは、糖類の遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethellら、J. Biol. Chem. 1979, 254; 2572-4, Hearnら、J. Chromatogr. 1981. 218; 509-18)、次いで、タンパク質との反応によりカルバメート結合を形成させることにより形成することができるカルボニルリンカーを含んでもよい。これは、一次ヒドロキシル基へのアノマー末端の還元、必要に応じて、CDIカルバメート中間体を形成する一次ヒドロキシル基とCDIとの一次ヒドロキシル基の反応の保護/脱保護およびCDIカルバメート中間体とタンパク質上のアミノ基とのカップリングを含んでもよい。
【0049】
前記コンジュゲートを、米国特許第4,365,170号 (Jennings)および米国特許第4,673,574号 (Anderson)に記載の直接的還元的アミノ化方法により調製することもできる。他の方法は、EP-0-161-188、EP-208375およびEP-0-477508に記載されている。
【0050】
さらなる方法は、例えば、EDACを用いる、カルボジイミド縮合(Chu C.ら、Infect. Immunity, 1983 245 256)による、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化されたシアノゲンブロミド(もしくはCDAP)活性化糖類の、タンパク質担体へのカップリングを含む。
【0051】
一実施形態においては、糖類上のヒドロキシル基(好ましくは、活性化されたヒドロキシル基、例えば、シアン酸エステルを作るために活性化された[例えば、CDAPを用いて]ヒドロキシル基)を、タンパク質上のアミノ基またはカルボキシル基に、直接的または間接的(リンカーを介して)に連結する。リンカーが存在する場合、糖類上のヒドロキシル基を、例えば、CDAPコンジュゲーションを用いることにより、リンカー上のアミノ基に連結するのが好ましい。リンカー(例えば、ADH)中のさらなるアミノ基を、例えば、カルボジイミド化学を用いることにより、例えば、EDACを用いることにより、タンパク質上のカルボン酸基に結合させることができる。一実施形態においては、肺炎球菌莢膜糖類を、最初にリンカーに結合させた後、リンカーを担体タンパク質に結合させる。あるいは、リンカーを担体に結合させた後、糖類に結合させることができる。
【0052】
いくつかの糖類-タンパク質コンジュゲートをCDAPにより、およびいくつかを還元的アミノ化により調製する、技術の組合せを用いてもよい。
【0053】
一般的には、タンパク質担体上の以下の型の化学基をカップリング/コンジュゲーションに用いることができる。
【0054】
A)カルボキシル基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸を介する)。一実施形態においては、この基を糖類上のアミノ基に直接的に、またはカルボジイミド化学、例えば、EDACを用いてリンカー上のアミノ基に連結する。
【0055】
B)アミノ基(例えば、リジンを介する)。一実施形態においては、この基を、糖類上のカルボキシル基に直接的に、またはカルボジイミド化学、例えば、EDACを用いてリンカー上のカルボキシル基に連結する。別の実施形態においては、この基を、糖類上のCDAPもしくはCNBrで活性化されたヒドロキシル基に直接的に、またはリンカー上のそのような基に;アルデヒド基を有する糖類もしくはリンカーに;スクシンイミドエステル基を有する糖類もしくはリンカーに連結する。
【0056】
C)スルフヒドリル基(例えば、システインを介する)。一実施形態においては、この基を、マレイミド化学を用いて、ブロモもしくはクロロアセチル化糖類またはリンカーに連結する。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0057】
D)ヒドロキシル基(例えば、チロシンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0058】
E)イミダゾリル基(例えば、ヒスチジンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0059】
F)グアニジル基(例えば、アルギニンを介する)。
【0060】
G)インドリル基(例えば、トリプトファンを介する)。
【0061】
糖類上で、一般的には以下の基をカップリングのために用いることができる:OH、COOHまたはNH2。アルデヒド基を、過ヨウ素酸塩、酸加水分解、過酸化水素などの当業界で公知の様々な処理の後に生成することができる。
【0062】
直接的カップリング手法:
糖類-OH + CNBrまたはCDAP -----> シアン酸エステル + NH2-Prot ----> コンジュゲート
糖類-アルデヒド + NH2-Prot ----> Schiff塩基 + NaCNBH3 ----> コンジュゲート
糖類-COOH + NH2-Prot + EDAC ----> コンジュゲート
糖類-NH2 + COOH-Prot + EDAC ----> コンジュゲート。
【0063】
スペーサー(リンカー)手法を介する間接的カップリング:
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ---> シアン酸エステル + NH2----NH2 ----> 糖類----NH2 + COOH-Prot + EDAC -----> コンジュゲート
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ----> シアン酸エステル + NH2-----SH -----> 糖類----SH + SH-Prot (システインが露出した天然タンパク質、または、例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質) -----> 糖類-S-S-Prot
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ---> シアン酸エステル + NH2----SH -------> 糖類----SH + マレイミド-Prot (アミノ基の改変) ----> コンジュゲート
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ---> シアン酸エステル + NH2-----SH ---> 糖類-SH + ハロアセチル化-Prot ----> コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2-----NH2 ---> 糖類------NH2 + EDAC + COOH-Prot ----> コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC+ NH2----SH -----> 糖類----SH + SH-Prot (システインが露出した天然タンパク質、または例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質) -----> 糖類-S-S-Prot
糖類-COOH + EDAC+ NH2----SH -----> 糖類----SH + マレイミド-Prot (アミノ基の改変) ----> コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2----SH ---> 糖類-SH + ハロアセチル化-Prot ----> コンジュゲート
糖類-アルデヒド + NH2-----NH2 ----> 糖類---NH2 + EDAC + COOH-Prot ----> コンジュゲート。
【0064】
注記:上記のEDACの代わりに、任意の好適なカルボジイミドを用いることができる。
【0065】
まとめると、糖類とのカップリングに一般的に用いることができるタンパク質担体化学基の型は、アミノ基(例えば、リジン残基上の)、COOH基(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基上の)ならびにSH基(利用可能である場合)(例えば、システイン残基上の)である。
【0066】
好ましくは、担体タンパク質と肺炎連鎖球菌糖類の比率は、1:5〜5:1、例えば、1:0.5〜4:1、1:1〜3.5:1、1.2:1〜3:1、1.5:1〜2.5:1、例えば、1:2〜2.5:1、1:1〜2:1(w/w)である。一実施形態においては、多数のコンジュゲート、例えば、6、7、8、9種以上のコンジュゲートは、1:1より大きい、例えば、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1または1.6:1である担体タンパク質と糖類の比率を有する。
【0067】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌糖類を、CDAPおよびEDACを用いてリンカーを介して担体タンパク質に結合させる。例えば、18Cまたは22Fを、上記のようにCDAPおよびEDACを用いてリンカー(例えば、ADHなどのその末端に2個のヒドラジノ基を有するもの)を介してタンパク質に結合させることができる。リンカーを用いる場合、CDAPを用いて、リンカーに糖類を結合させた後、EDACを用いてリンカーをタンパク質に結合させるか、またはあるいは、EDACを用いて最初にリンカーをタンパク質に結合させた後、CDAPを用いてリンカーを糖類に結合させることができる。
【0068】
一般的には、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg、1〜10μgまたは1〜3μgの糖類の各糖類コンジュゲートの用量を含んでもよい。
【0069】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg;0.5〜10μg;0.5〜5μgまたは1〜3μgの糖類の用量のそれぞれの肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む。一実施形態においては、莢膜糖類は、様々な用量で存在してもよく、例えば、いくつかの莢膜糖類は約1μgもしくは正確に1μgの用量で存在してもよく、またはいくつかの莢膜糖類は約3μgもしくは正確に3μgの用量で存在してもよい。一実施形態においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)に由来する糖類は、他の糖類よりも高い用量で存在する。この実施形態の一態様においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)は約3μgもしくは正確に3μgの用量で存在するが、免疫原性組成物中の他の糖類は約1μgもしくは正確に1μgの用量で存在する。
【0070】
「約」または「ほぼ」は、本発明の目的のためには、与えられた数値のおおよそ10%以内と定義される。
【0071】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、担体タンパク質に直接結合させる(例えば、上記の化合物の1種を用いる);好ましくは、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、CDAPにより直接結合させる。一実施形態においては、多数の莢膜糖類、例えば、5、6、7、8、9種以上の莢膜糖類を、CDAPにより担体タンパク質に直接連結する(WO 95/08348およびWO 96/29094を参照されたい)。
【0072】
前記免疫原性組成物は、本明細書では本発明の肺炎連鎖球菌タンパク質と呼ばれる、肺炎連鎖球菌タンパク質を含んでもよい。そのようなタンパク質を担体タンパク質として用いるか、または遊離タンパク質として存在してもよく、または担体タンパク質および遊離タンパク質の両方として存在してもよい。本発明の肺炎連鎖球菌タンパク質は、少なくとも肺炎球菌の生活環の一部の間に、表面露出されたものであるか、または肺炎球菌により分泌もしくは放出されたタンパク質である。好ましくは、本発明のタンパク質を、LXXC(式中、Xは任意のアミノ酸、例えば、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)である)のII型シグナル配列モチーフを有するタンパク質、コリン結合タンパク質(CbpX)、I型シグナル配列モチーフを有するタンパク質(例えば、Sp101)、LPXTGモチーフ(式中、Xは任意のアミノ酸、例えば、Sp128、Sp130である)を有するタンパク質、ならびに毒素(例えば、Ply)などのカテゴリーから選択する。これらのカテゴリー(またはモチーフ)内の好ましい例は、以下のタンパク質、またはその免疫学的に機能的な等価物である。
【0073】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質を含む。さらなる実施形態においては、免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、およびSp128からなる群より選択される2種以上のタンパク質を含む。1つのさらなる実施形態においては、前記免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、肺炎球菌溶血素(Ply)、およびSp128からなる群より選択される2種以上のタンパク質を含む。
【0074】
Pht(ポリヒスチジントライアド)ファミリーは、タンパク質PhtA、PhtB、PhtD、およびPhtEを含む。このファミリーは、脂質化配列、プロリンに富む領域により分離された2つのドメインおよびおそらく、金属もしくはヌクレオシド結合または酵素活性に関与する、いくつかのヒスチジントライアド、(3-5)コイルドコイル領域、保存されたN末端ならびに異種性C末端を特徴とする。それは試験した全ての株の肺炎球菌に存在する。他の連鎖球菌およびナイセリア菌においては、相同タンパク質も見出された。本発明の一実施形態においては、本発明のPhtタンパク質はPhtDである。しかしながら、用語「PhtA、B、DおよびE」は、以下に記載の引用物に開示された配列を有するタンパク質ならびに参照タンパク質と少なくとも90%同一である配列相同性を有するその天然の(および人工の)変異体を指すことが理解される。好ましくは、それは少なくとも95%同一であり、最も好ましくは、それは97%同一である。
【0075】
PhtXタンパク質に関して、PhtAはWO 98/18930に開示されており、Sp36とも呼ばれる。それはポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、LXXCのII型シグナルモチーフを有する。PhtDはWO 00/37105に開示されており、Sp036Dとも呼ばれる。上記のように、それもポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、II型LXXCシグナルモチーフを有する。PhtBはWO 00/37105に開示されており、Sp036Bとも呼ばれる。PhtBファミリーの別のメンバーは、WO 00/17370に開示されたC3-分解ポリペプチドである。このタンパク質もポリヒスチジントライアドファミリーに由来し、II型LXXCシグナルモチーフを有する。好ましい免疫学的に機能的な等価物は、WO 98/18930に開示されたタンパク質Sp42である。PhtBトランケート(約79 kD)はWO 99/15675に開示されており、PhtXファミリーのメンバーであるとも考えられる。PhtEはWO 00/30299に開示されており、BVH-3とも呼ばれる。本明細書で任意のPhtタンパク質に言及する場合、それはPhtタンパク質の免疫原性断片またはその融合物を用いることができることを意味する。例えば、PhtXに対する参照は、任意のPhtタンパク質に由来する免疫原性断片またはその融合物を含む。PhtDまたはPhtBに対する参照はまた、例えば、WO 0198334に見出されるように、PhtDEまたはPhtBE融合体に対する参照でもある。
【0076】
肺炎球菌溶血素は、異なる細胞溶解活性(溶血活性)および補体活性化活性を有する多機能毒素である(Rubinsら、Am . Respi. Cit Care Med, 153:1339-1346 (1996))。この毒素は肺炎球菌によって分泌されないが、それは自己溶解素の影響下での肺炎球菌の溶解の際に放出される。その効果としては、例えば、ヒト単球による炎症性サイトカインの産生、ヒト気道上皮上での繊毛の脈動の阻害、ならびに好中球の殺菌活性および移動の低下が挙げられる。肺炎球菌溶血素の最も明らかな効果は、赤血球の溶解におけるものであり、それはコレステロールへの結合を含む。それは毒素であるため、それを解毒する必要があり(すなわち、防御にとって好適な用量で提供された場合、ヒトに対して非毒性的である)、その後、in vivoで投与することができる。野生型または天然の肺炎球菌溶血素の発現およびクローニングは当業界で公知である。例えば、Walkerら(Infect Immun, 55:1184-1189 (1987))、Mitchellら(Biochim Biophys Acta, 1007:67-72 (1989))およびMitchellら(NAR, 18:4010 (1990))を参照されたい。plyの解毒を、化学的手段により、例えば、ホルマリンもしくはグルタルアルデヒド処理または両方の組合せにかけることにより行うことができる(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)。そのような方法は、様々な毒素について当業界でよく知られている。あるいは、plyを遺伝的に解毒することができる。かくして、本発明は、例えば、突然変異タンパク質であってよい、肺炎球菌タンパク質の誘導体を包含する。本明細書で用いられる用語「突然変異された」とは、例えば、部位特異的突然変異誘発などのよく知られた技術または任意の他の従来方法を用いて、1個以上のアミノ酸の欠失、付加または置換を受けた分子を意味する。例えば、上記のように、突然変異plyタンパク質を、それがその免疫原性エピトープを維持しながら、生物学的に不活性であるように変化させることができ、例えば、WO90/06951、Berryら(Infect Immun, 67:981-985 (1999))およびWO99/03884を参照されたい。
【0077】
本明細書で用いられる場合、用語「Ply」とは医学的使用にとって好適な突然変異されるか、または解毒された(すなわち、非毒性的である)肺炎球菌溶血素を指すことが理解される。
【0078】
コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)に関しては、そのファミリーのメンバーは元々、コリンアフィニティクロマトグラフィーにより精製することができる肺炎球菌タンパク質として同定されたものである。コリン結合タンパク質は全部、細胞壁のテイコ酸および膜に結合したリポテイコ酸のホスホリルコリン部分に非共有結合している。構造的に、それらはファミリー全体に渡って一般的にいくつかの領域を有するが、このタンパク質の正確な性質(アミノ酸配列、長さなど)は変化してもよい。一般的には、コリン結合タンパク質は、N末端領域(N)、保存された反復領域(R1および/もしくはR2)、プロリンに富む領域(P)ならびに該タンパク質の約半分を含む、複数の反復からなる、保存されたコリン結合領域(C)を含む。本明細書で用いられるように、用語「コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)」は、WO 97/41151に同定されたコリン結合タンパク質、PbcA、SpsA、PspC、CbpA、CbpDおよびCbpGからなる群より選択される。CbpAはWO 97/41151に開示されている。CbpDおよびCbpGはWO 00/29434に開示されている。PspCはWO 97/09994に開示されている。PbcAはWO 98/21337に開示されている。SpsAはWO 98/39450に開示されたコリン結合タンパク質である。好ましくは、コリン結合タンパク質を、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。
【0079】
別の好ましい実施形態は、「CbpX」が上記に定義されたものであり、「トランケート」がコリン結合領域(C)の50%以上を欠くCbpXタンパク質を指す、CbpXトランケートである。好ましくは、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。より好ましくは、そのようなタンパク質トランケートは、(i)コリン結合領域および(ii)該タンパク質のN末端の半分の部分を欠き、ならびに少なくとも1個の反復領域(R1またはR2)を保持する。より好ましくは、該トランケートは、2個の反復領域(R1およびR2)を有する。そのような好ましい実施形態の例は、WO 99/51266またはWO 99/51188に例示されたNR1xR2およびR1xR2であるが、同様のコリン結合領域を欠く他のコリン結合タンパク質も本発明の範囲内に意図される。
【0080】
LytXファミリーは、細胞溶解に関連する膜結合タンパク質である。そのN末端ドメインはコリン結合ドメインを含むが、LytXファミリーは上記のCbpAファミリーに認められる全ての特徴を有さず、かくして、本発明については、LytXファミリーはCbpXファミリーとは異なると考えられる。CbpXファミリーとは対照的に、C末端ドメインは、LytXタンパク質ファミリーの触媒ドメインを含む。前記ファミリーは、LytA、BおよびCを含む。LytXファミリーに関して、LytAはRondaら、Eur J Biochem, 164:621-624 (1987)に開示されている。LytBはWO 98/18930に開示されており、Sp46とも呼ばれる。LytCもWO 98/18930に開示されており、Sp91とも呼ばれる。そのファミリーの好ましいメンバーはLytCである。
【0081】
別の好ましい実施形態は、「LytX」が上記に定義され、「トランケート」がコリン結合領域の50%以上を欠くLytXタンパク質を指す、LytXトランケートである。好ましくは、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。本発明のさらに別の好ましい実施形態は、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合物)である。好ましくは、これはCbpXのNR1xR2(またはR1xR2)およびLytX(例えば、LytCCtermまたはSp91Cterm)のC末端部分(Cterm、すなわち、コリン結合ドメインを欠く)を含む。より好ましくは、CbpXを、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。より好ましくは、それはCbpAである。好ましくは、LytXはLytC(Sp91とも呼ばれる)である。本発明の別の実施形態は、コリン結合ドメイン(C)を欠くPspAまたはPsaAトランケートであり、LytXとの融合タンパク質として発現される。好ましくは、LytXはLytCである。
【0082】
PsaAおよびPspAに関しては、両方とも当業界で公知である。例えば、PsaAおよびその膜貫通欠失変異体は、Berry & Paton, Infect Immun 1996 Dec;64(12):5255-62により記載されている。PspAおよびその膜貫通欠失変異体は、例えば、米国特許第5,804,193号、WO 92/14488、およびWO 99/53940に開示されている。
【0083】
Sp128およびSp130は、WO 00/76540に開示されている。Sp125は、LPXTG(式中、Xは任意のアミノ酸である)の細胞壁固定モチーフを有する肺炎球菌表面タンパク質の例である。このモチーフを有するこのクラスの肺炎球菌表面タンパク質内の任意のタンパク質は、本発明の状況内で有用であることがわかっており、従って、本発明のさらなるタンパク質であると考えられる。Sp125自体は、WO 98/18930に開示されており、ZmpB(亜鉛メタロプロテイナーゼ)としても知られる。Sp101はWO 98/06734に開示されている(それは参照番号y85993を有する)。それはI型シグナル配列を特徴とする。Sp133はWO 98/06734に開示されている(それは参照番号y85992を有する)。それもI型シグナル配列を特徴とする。
【0084】
組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができる好ましいモラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)タンパク質抗原の例は、OMP106 [WO 97/41731 (Antex) & WO 96/34960 (PMC)]; OMP21またはその断片(WO 0018910); LbpA &/or LbpB [WO 98/55606 (PMC)]; TbpAおよび/またはTbpB [WO 97/13785 & WO 97/32980 (PMC)]; CopB [Helminen MEら(1993) Infect. Immun. 61:2003-2010]; UspA1および/またはUspA2 [WO 93/03761 (University of Texas)]; OmpCD; HasR (PCT/EP99/03824); PilQ (PCT/EP99/03823); OMP85 (PCT/EP00/01468); lipo06 (GB 9917977.2); lipo10 (GB 9918208.1); lipo11 (GB 9918302.2); lipo18 (GB 9918038.2); P6 (PCT/EP99/03038); D15 (PCT/EP99/03822); OmplA1 (PCT/EP99/06781); Hly3 (PCT/EP99/03257); ならびにOmpEである。組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができる非分類性インフルエンザ菌抗原またはその断片の例としては、フィンブリンタンパク質[(米国特許第5,766,608号 - Ohio State Research Foundation)]およびそれに由来するペプチドを含む融合物[例えば、LB1(f)ペプチド融合物; 米国特許第5,843,464号 (OSU)もしくはWO 99/64067]; OMP26 [WO 97/01638 (Cortecs)]; P6 [EP 281673 (State University of New York)]; TbpAおよび/またはTbpB; Hia; Hsf; Hin47; Hif; Hmw1; Hmw2; Hmw3; Hmw4; Hap; D15 (WO 94/12641); P2
; ならびにP5 (WO 94/26304)が挙げられる。
【0085】
本発明のタンパク質を有益に混合することもできる。混合するとは、免疫原性組成物が、担体タンパク質として、または遊離タンパク質として、または2つの混合物として、以下の組合せ内に由来する全てのタンパク質を含むことを意味する。例えば、本明細書の以後に記載する2つのタンパク質の組合せにおいては、両タンパク質を担体タンパク質として用いるか、または両タンパク質を遊離タンパク質として存在させるか、または両方を担体として、および遊離タンパク質として存在させるか、または一方を担体タンパク質および遊離タンパク質として存在させるが、他方を担体タンパク質としてのみ、もしくは遊離タンパク質としてのみ存在させるか、または一方を担体タンパク質として存在させ、他方を遊離タンパク質として存在させることができる。3種のタンパク質の組合せを与える場合、同様の可能性が存在する。好ましい組合せとしては、限定されるものではないが、PhtD + NR1xR2、PhtD + NR1xR2-Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtD + Ply、PhtD + Sp128、PhtD + PsaA、PhtD + PspA、PhtA + NR1xR2、PhtA + NR1xR2-Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtA + Ply、PhtA + Sp128、PhtA + PsaA、PhtA + PspA、NR1xR2 + LytC、NR1xR2 + PspA、NR1xR2 + PsaA、NR1xR2 + Sp128、R1xR2 + LytC、R1xR2 + PspA、R1xR2 + PsaA、R1xR2 + Sp128、R1xR2 + PhtD、R1xR2 + PhtAが挙げられる。好ましくは、NR1xR2(またはR1xR2)はCbpAまたはPspCに由来する。より好ましくは、それはCbpAに由来するものである。他の組合せとしては、PhtD + NR1xR2 + Ply、およびPhtA + NR1xR2 + PhtDなどの3種のタンパク質の組合せが挙げられる。一実施形態においては、前記ワクチン組成物は、担体タンパク質として解毒された肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはPhtDEを含む。さらなる実施形態においては、前記ワクチン組成物は、遊離タンパク質として解毒された肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはPhtDEを含む。
【0086】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物と製薬上許容し得る賦形剤とを含むワクチンを提供する。
【0087】
本発明のワクチンを、特に、幼児集団における使用だけでなく、高齢者集団における使用について意図される場合、アジュバント化してもよい。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲルもしくはリン酸アルミニウムもしくはミョウバンなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、マグネシウム、鉄もしくは亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化チロシン、もしくはアシル化糖、陽イオン的もしくは陰イオン的に誘導体化された糖類、もしくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。
【0088】
前記アジュバントをTH1型の応答の優先的な誘導因子であるように選択するのが好ましい。そのような高レベルのTh1型サイトカインは所与の抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を好む傾向があるが、高レベルのTh2型サイトカインは該抗原に対する体液性免疫応答の誘導を好む傾向がある。
【0089】
Th1およびTh2型免疫応答の区別は絶対的ではない。現実には、個体は主にTh1または主にTh2であると記載される免疫応答を支援するであろう。しかしながら、MosmannおよびCoffman (Mosmann, T.R.およびCoffman, R.L. (1989) TH1 and TH2 cells: different patterns of lymphokine secretion lead to different functional properties. (Annual Review of Immunology, 7, p145-173))によりマウスCD4 + ve T細胞クローンにおいて記載されたことに関してサイトカインのファミリーを考慮することが都合がよいことが多い。伝統的には、Th1型応答は、Tリンパ球によるINFγおよびIL-2サイトカインの産生と関連する。Th1型免疫応答の誘導と直接関連することが多い他のサイトカイン、例えば、IL-12などは、T細胞によっては産生されない。対照的に、Th2型応答はIL-4、IL-5、IL-6、IL-10の分泌と関連する。主にTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、モノホスホリルリピドAもしくはその誘導体、特に、3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(その調製については、GB 2220211 Aを参照されたい);ならびにモノホスホリルリピドA、好ましくは、3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAと、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウムもしくは水酸化アルミニウム)または水中油乳濁液との組合せが挙げられる。そのような組合せにおいては、抗原と3D-MPLを、同じ粒子状構造中に含有させ、抗原および免疫刺激シグナルのより効率的な送達を可能にする。3D-MPLがミョウバンに吸着された抗原の免疫原性をさらに増強することができることが研究により示された[Thoelenら、Vaccine (1998) 16:708-14; EP 689454-B1]。
【0090】
増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体の組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合せ、またはQS21がWO 96/33739に開示されたコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。水中油乳濁液中にQS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が、WO 95/17210に記載されている。一実施形態においては、前記免疫原性組成物はさらに、QS21であってよいサポニンを含む。前記製剤はまた、水中油乳濁液およびトコフェロールを含んでもよい(WO 95/17210)。非メチル化VpG含有オリゴヌクレオチド(WO 96/02555)および他の免疫調節オリゴヌクレオチド(WO 0226757およびWO 03507822)も、TH1応答の優先的な誘導因子であり、本発明における使用にとって好適である。
【0091】
特定のアジュバントは、金属塩、水中油乳濁液(水中油型エマルジョン)、Toll様受容体アゴニスト(特に、Toll様受容体2アゴニスト、Toll様受容体3アゴニスト、Toll様受容体4アゴニスト、Toll様受容体7アゴニスト、Toll様受容体8アゴニストおよびToll様受容体9アゴニスト)、サポニンまたはその組合せの群から選択されたものである。
【0092】
本発明のワクチン組成物と共に用いることができるアジュバントは、ブレブまたはWO 02/09746により教示されたものなどのグラム陰性細菌株に由来する外膜ベシクル調製物、特に、髄膜炎菌ブレブである。ブレブのアジュバント特性を、その表面上にLOS(リポオリゴ糖)を保持することにより改良することができる(例えば、低濃度の洗剤[例えば、0〜0.1%デオキシコール酸]を用いる抽出を介する)。LOSを、WO 02/09746に考察されたmsbB(-)またはhtrB(-)突然変異を介して解毒することができる。アジュバント特性を、髄膜炎菌ブレブに由来するPorBを保持することにより(および必要に応じて、PorAを除去することにより)改良することもできる。アジュバント特性を、例えば、WO2004/014417に考察されたlgtB(-)突然変異を介して、髄膜炎菌ブレブ上のLOSの外核糖類構造をトランケートすることにより改良することもできる。あるいは、上記のLOS(例えば、msbB(-)および/またはlgtB(-)株から単離されたもの)を精製し、本発明の組成物中のアジュバントとして用いることができる。
【0093】
本発明の組成物と共に用いることができるさらなるアジュバントを、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド、リン酸アルキルグルコサミニド、水中油乳濁液またはその組合せの群から選択することができる。さらに好ましいアジュバントは、別のアジュバントと組合わせた金属塩である。前記アジュバントは、Toll様受容体アゴニスト、特に、Toll様受容体2、3、4、7、8もしくは9のアゴニスト、またはサポニン、特に、Qs21であるのが好ましい。アジュバント系は、上記一覧に由来する2種以上のアジュバントを含むことがさらに好ましい。特に、前記組合せは、サポニン(特に、Qs21)アジュバントおよび/またはCpG含有免疫刺激オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体9アゴニストを含むのが好ましい。他の好ましい組合せは、サポニン(特に、Qs21)およびモノホスホリルリピドAもしくはその3脱アシル化誘導体、3D-MPLなどのToll様受容体4アゴニスト、またはサポニン(特に、QS21)およびリン酸アルキルグルコサミニドなどのToll様受容体4リガンドを含む。
【0094】
特に好ましいアジュバントは、3D-MPLとQS21の組合せ(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414)、または他の担体と共に製剤化された3D-MPL (EP 0 689 454 B1)である。他の好ましいアジュバント系は、米国特許第6,558,670号、米国特許第6,544,518号に記載の3D-MPL、QS21とCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0095】
一実施形態においては、前記アジュバントはToll様受容体(TLR)4リガンド、好ましくは、リピドA誘導体、具体的には、モノホスホリルリピドAまたはより具体的には3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)などのアゴニストである(またはそれを含む)。
【0096】
3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals North Americaから入手可能であり、IFN-g(Th1)表現型を有するCD4+ T細胞応答を主に促進する。それを、GB 2 220 211 Aに開示された方法に従って製造することができる。化学的には、それは3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと3、4、5または6アシル化鎖の混合物である。好ましくは、本発明の組成物においては、小粒子3D-MPLを用いる。小粒子3D-MPLは、それを0.22μmフィルターを通して濾過することができるような粒子経を有する。そのような調製物は、国際特許出願第WO 94/21292号に記載されている。
【0097】
リピドAの合成誘導体は公知であり、限定されるものではないが、
OM174 (2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルリン酸二水素) (WO 95/14026)、
OM 294 DP (3S,9R)-3--[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(リン酸二水素) (WO99 /64301およびWO 00/0462)、
OM 197 MP-Ac DP (3S-,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-リン酸二水素10-(6-アミノヘキサノエート) (WO 01/46127)、
などのTLR4アゴニストであると考えられる。
【0098】
用いることができる他のTLR4リガンドは、WO9850399または米国特許第6,303,347号(AGPの調製のためのプロセスも開示されている)に開示されたものなどのアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、または米国特許第6,764,840号に開示されたAGPの製薬上許容し得る塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、いくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。
【0099】
本発明における使用のための別の好ましい免疫刺激剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、1974年にDalsgaardら(「Saponin adjuvants」、Archiv. fur die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)によりアジュバント活性を有すると最初に記載された。Quil A (EP 0 362 278)、例えば、QS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)に関連する毒性を有さずにアジュバント活性を保持する、Quil Aの精製された断片は、HPLCにより単離された。QS-21はキラヤ・サポナリア・モリナの樹皮から誘導される天然サポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および優勢なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明の状況において好ましいサポニンである。
【0100】
特に好ましいQS21の特定の製剤が記載されており、これらの製剤はステロールをさらに含む(WO 96/33739)。本発明の一部を形成するサポニンは、ミセル、混合ミセル(排他的ではないが、優先的に胆汁塩を含む)の形態で分離していてもよく、またはISCOMマトリクス(EP 0 109 942 B1)、コレステロールおよび脂質と共に製剤化される場合、リポソームまたはワーム様もしくはリング様マルチマー複合体などの関連するコロイド構造もしくは脂質/層状構造およびラメラの形態にあるか、または水中油乳濁液(例えば、WO 95/17210に記載のもの)の形態にあってよい。サポニンを、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と結合させるのが好ましい(WO 98/15287)。好ましくは、サポニンを、リポソーム、ISCOMまたは水中油乳濁液の形態で提供する。
【0101】
増強された系は、モノホスホリルリピドA(もしくは解毒されたリピドA)とサポニン誘導体の組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合せ、またはQS21がWO 96/33739に開示されたコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。水中油乳濁液中にQS21および/または3D-MPLを含むか、または含まないトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が、WO 95/17210に記載されている。一実施形態においては、免疫原性組成物はさらに、QS21であってよいサポニンを含む。
【0102】
免疫刺激オリゴヌクレオチドまたは任意の他のToll様受容体(TLR)9アゴニストを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチン中での使用のための好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む、CpG含有オリゴヌクレオチドである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、次いでグアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態においては、前記オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間結合はホスホロジチオエート結合、またはより好ましくは、ホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステル結合および他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを製造する方法は、米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号およびWO95/26204に記載されている。
【0103】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。この配列は、好ましくはホスホロチオエート改変ヌクレオチド間結合を含む:
OLIGO 1(配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
OLIGO 3(配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
OLIGO 5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。
【0104】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそれに加えて重要でない欠失または付加を有する点で、上記の好ましい配列を含んでもよい。本発明において用いられるCpGオリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法により合成することができる(例えば、EP 468520を参照されたい)。都合がよいことに、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0105】
前記アジュバントは水中油乳濁液であってもよく、または他のアジュバントと組合わせた水中油乳濁液を含んでもよい。乳濁液系の油相は、好ましくは、代謝性油を含む。用語「代謝性油」の意味は当業界でよく知られている。代謝性を、「代謝により転換され得る」と定義することができる(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company、第25版 (1974))。油は、レシピエントにとって毒性的ではなく、代謝により転換され得る任意の野菜油、魚油、動物油または合成油であってよい。ナッツ、種子、および穀類は野菜油の一般的な起源である。合成油も本発明の一部であり、NEOBEE(登録商標)などの市販の油が挙げられる。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメの肝油中に大量に認められ、オリーブ油、小麦胚芽油、ぬか油、および酵母中により少量に認められる不飽和油であり、本発明における使用にとって特に好ましい油である。スクアレンは、それがコレステロールの生合成における中間体であるという事実のため、代謝性油である(Merck index、第10版、登録番号8619)。
【0106】
トコール(例えば、ビタミンE)も油乳濁液アジュバント中で用いられることが多い(EP 0 382 271 B1;米国特許第5,667,784号; WO 95/17210)。本発明の油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)において用いられるトコールを、トコールが、必要に応じて、好ましくは直径1μm未満の乳化剤を含む、トコール液滴の分散物であってよい点で、EP 0 382 271 B1中に記載のように製剤化することができる。あるいは、トコールを、別の油との組合せにおいて用いて、油乳濁液の油相を形成することができる。上記の代謝性油などの、トコールと共に用いることができる油乳濁液の例は本明細書に記載されている。
【0107】
水中油乳濁液アジュバント自体は、アジュバント組成物として有用であると示唆されており(EP 0 399 843B)、水中油乳濁液と他の活性薬剤との組合せも、ワクチンのためのアジュバントとして記載されている(WO 95/17210; WO 98/56414; WO 99/12565; WO 99/11241)。油中水乳濁液(米国特許第5,422,109号;EP 0 480 982 B2)および水中の油中水乳濁液(米国特許第5,424,067号;EP 0 480 981 B)などの他の油乳濁液アジュバントが記載されている。それらは全て、本発明のアジュバントおよび組成物を形成するための好ましい油乳濁液系(特に、トコールを含む場合)を形成する。
【0108】
最も好ましくは、油乳濁液(例えば、水中油乳濁液)はさらに、TWEEN 80などの乳化剤および/またはコレステロールなどのステロールを含む。好ましい油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)は、スクアラン、スクアレンまたはα-トコフェロールなどのトコフェロール(および好ましくは、スクアレンおよびα-トコフェロールの両方)などの代謝性の非毒性油ならびに必要に応じて、Tween 80などの乳化剤(または界面活性剤)を含む。ステロール(好ましくは、コレステロール)を含有させることもできる。水中油乳濁液を製造する方法は当業者にはよく知られている。一般的には、この方法は、トコールを含有する油相とPBS/TWEEN 80(商標)溶液などの界面活性剤とを混合した後、ホモジェナイザーを用いて均質化することを含み、シリンジ針を通して混合物を2回通過させることを含む方法が、少量の液体を均質化させるのに好適であることが当業者には明らかであろう。同様に、当業者であれば、マイクロフルイダイザー(M110S Microfluidics装置、6バールの最大圧力入力(約850バールの出力圧力)で2分間、最大50回の通過)中での乳化プロセスを、より少量または大量の乳濁液を製造するために適合化させることができる。この適合化を、必要な直径の油滴を有する調製物が達成されるまで、得られる乳濁液の測定を含む日常的な実験により達成することができる。水中油乳濁液においては、油および乳化剤は水性担体中にあるべきである。水性担体は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。
【0109】
安定な水中油乳濁液内に認められる油滴のサイズは、光子相関分光法により測定されるように、好ましくは1μm未満であり、実質的には直径30〜600 nm、好ましくは実質的には約30〜500 nm、および最も好ましくは、実質的に150〜500 nmの範囲にあり、特に、直径約150 nmであってよい。これに関して、数で油滴の80%が好ましい範囲内にあるべきであり、より好ましくは、数で90%を超える油滴および最も好ましくは、数で95%を超える油滴が規定のサイズ範囲内にある。本発明の油乳濁液中に存在する成分の量は、従来は、スクアレンなどの、0.5〜20%もしくは2〜10%の油(合計用量の);および存在する場合、2〜10%のα-トコフェロール;ならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの、0.3〜3%の界面活性剤の範囲内にある。好ましくは、油(好ましくは、スクアレン)とトコール(好ましくは、α-トコフェロール)の比率は1以下であり、これはより安定な乳濁液を提供する。Tween 80またはSpan 85などの乳化剤は、約1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合においては、本発明のワクチンが安定化剤をさらに含むことが有利である。
【0110】
好ましい乳濁液系の例は、必要に応じて、免疫刺激剤QS21および/または3D-MPLと共に製剤化された、スクアレン、α-トコフェロール、およびTWEEN 80に基づく乳濁液アジュバントを開示するWO 95/17210、WO 99/11241およびWO 99/12565に開示されている。かくして、本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明のアジュバントは、LPSもしくはその誘導体、および/またはサポニンなどのさらなる免疫刺激剤をさらに含んでもよい。さらなる免疫刺激剤の例は、本明細書ならびに「Vaccine Design - The Subunit and Adjuvant Approach」、1995, Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Powell, M.F.およびNewman, M.J.(編)、Plenum Press, New YorkおよびLondon, ISBN 0-306-44867-Xに記載されている。
【0111】
好ましい態様においては、本発明に従うアジュバントおよび免疫原性組成物は、必要に応じて、ステロール(好ましくは、コレステロール)と共に、上記の油乳濁液中にサポニン(好ましくは、QS21)および/またはLPS誘導体(好ましくは、3D-MPL)を含む。さらに、油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)は、span 85および/またはレシチンおよび/またはトリカプリリンを含んでもよい。水中油乳濁液、ステロールおよびサポニンを含むアジュバントは、WO 99/12565に記載されている。
【0112】
典型的には、ヒトへの投与のためには、サポニン(好ましくは、QS21)および/またはLPS誘導体(好ましくは、3D-MPL)は、用量あたり10〜100μg、好ましくは、10μg〜50μgなどの1μg〜200μgの範囲の免疫原性組成物のヒト用量中に存在するであろう。典型的には、油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)は、2〜10%の代謝性油を含むであろう。好ましくは、それは2〜10%のスクアレン、2〜10%のα-トコフェロールおよび0.3〜3%(好ましくは、0.4〜2%)の乳化剤(好ましくは、tween 80[モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン])を含むであろう。スクアレンおよびα-トコフェロールの両方が存在する場合、好ましくは、スクアレン:α-トコフェロールの比率は1以下であり、これはより安定な乳濁液を提供する。また、Span 85(トリオレイン酸ソルビタン)が本発明において用いられる乳濁液中に0.5〜1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合、本発明の免疫原性組成物およびワクチンが、安定化剤、例えば、他の乳化剤/界面活性剤、例えば、カプリル酸(merck index、第10版、登録番号1739)をさらに含むことが有利であり、トリカプリリンが特に好ましい。
【0113】
スクアレンおよびサポニン(好ましくは、QS21)を含有させる場合、ステロール(好ましくは、コレステロール)は乳濁液中の油の総量を低下させるため、製剤にこれを含有させるのも有益である。これは製造費用の低下、ワクチン接種の全体の快適性の改善、ならびにIFN-γ産生の改善などの得られる免疫応答の定性的および定量的改善をももたらす。従って、本発明のアジュバント系は、典型的には、200:1〜300:1の範囲の代謝性油:サポニンの比率(w/w)を含み、また本発明を1:1〜200:1、好ましくは20:1〜100:1、および最も好ましくは、実質的に48:1である好ましい範囲の「低油」形態で用いることができ、このワクチンは全ての成分の有益なアジュバント特性を保持し、反応原性プロフィールが非常に低下している。従って、特に好ましい実施形態は、1:1〜250:1の範囲のスクアレン:QS21(w/w)の比率を有し、また好ましい範囲は20:1〜200:1であり、好ましくは20:1〜100:1、最も好ましくは実質的に48:1である。好ましくは、本明細書に記載のようなサポニン:ステロールの比率で存在するステロール(最も好ましくは、コレステロール)も含有させる。
【0114】
本発明の乳濁液系は、μm以下の範囲の小さい油滴サイズを有するのが好ましい。最も好ましくは、油滴サイズは直径120〜750 nm、および最も好ましくは、120〜600 nmの範囲にあるであろう。
【0115】
特に強力なアジュバント製剤(本発明の免疫原性組成物中でのAlPO4との究極の組合せについて)は、WO 95/17210またはWO 99/12565(特に、実施例2、表1に記載のアジュバント製剤)に記載のサポニン(好ましくは、QS21)、LPS誘導体(好ましくは、3D-MPL)および油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液中のスクアレンおよびα-トコフェロール)を含む。
【0116】
TLR2アゴニストの例としては、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が挙げられる。イミキモッドおよびレシキモッドなどのイミダゾキノリンは、公知のTLR7アゴニストである。一本鎖RNAも公知のTLRアゴニスト(ヒトにおいてはTLR8およびマウスにおいてはTLR7)であるが、二本鎖RNAおよびポリIC(ウイルスRNAの市販の合成模倣物質であるポリイノシン酸-ポリシチジル酸)はTLR3アゴニストの例である。3D-MPLはTLR4アゴニストの例であるが、CPGはTLR9アゴニストの例である。
【0117】
前記免疫原性組成物は、金属塩上に吸着された抗原と免疫刺激剤を含んでもよい。抗原および免疫刺激剤3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)を同じ粒子上に吸着させたアルミニウムに基づくワクチン製剤は、EP 0 576 478 B1、EP 0 689 454 B1、およびEP 0 633 784 B1に記載されている。これらの場合、まず抗原をアルミニウム塩上に吸着させた後、同じアルミニウム塩粒子上に免疫刺激剤3D-MPLを吸着させる。そのようなプロセスは最初に、粒子が80〜500 nmのサイズに達するまで水浴中で超音波処理することにより3D-MPLを懸濁することを含む。典型的には、前記抗原を、攪拌下、室温で1時間、アルミニウム塩上に吸着させる。次いで、3D-MPL懸濁液を吸着された抗原に添加し、製剤を室温で1時間インキュベートした後、使用するまで4℃で保持する。
【0118】
別のプロセスにおいては、免疫刺激剤と抗原は、EP 1126876に記載のように、別々の金属粒子上にある。改良されたプロセスは、金属塩粒子上への免疫刺激剤の吸着、次いで、別の金属塩粒子上への抗原の吸着、次いで、個別の金属粒子を混合してワクチンを形成することを含む。本発明における使用のためのアジュバントは、金属塩粒子が他の抗原を実質的に含まないことを特徴とする、金属塩粒子上に吸着された、免疫刺激剤を含むアジュバント組成物であってよい。さらに、本発明により提供されるワクチンは、免疫刺激剤を、他の抗原を実質的に含まない金属塩の粒子上に吸着させること、および抗原に吸着された金属塩の粒子が他の免疫刺激剤を実質的に含まないことを特徴とする。
【0119】
従って、本発明は、前記組成物が他の抗原を実質的に含まないことを特徴とする、金属塩の粒子上に吸着させた免疫刺激剤を含むアジュバント製剤を提供する。さらに、このアジュバント製剤は、そのようなアジュバントを用いる場合、ワクチンの製造にとって必要とされる中間体であってよい。従って、金属粒子上に吸着させた1種以上の免疫刺激剤であるアジュバント組成物と、抗原とを混合することを含むワクチンの製造のためのプロセスが提供される。好ましくは、前記抗原は金属塩上に予め吸着されたものである。前記金属塩は、免疫刺激剤上に吸着された金属塩と同一であるか、または類似してもよい。好ましくは、前記金属塩はアルミニウム塩、例えば、リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムである。
【0120】
本発明はさらに、第1および第2の金属塩粒子が別々の粒子であることを特徴とする、第1の金属塩粒子上に吸着された免疫刺激剤と、金属塩上に吸着された抗原とを含むワクチン組成物を提供する。
【0121】
本明細書に記載のLPSもしくはLOS誘導体もしくは突然変異体またはリピドA誘導体を、天然のリポ多糖よりも毒性が低くなり(例えば、3D-MPL)、本明細書に記載のこれらの部分の任意の使用に関して互換性の等価物であるように設計する。それらは上記のTLR4リガンドであってよい。他のそのような誘導体は、WO020786737、WO9850399、WO0134617、WO0212258、WO03065806に記載されている。
【0122】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、リポソーム担体(リン脂質(ジオレイルホスファチジルコリン[DOPC]および必要に応じて、ステロール[コレステロールなど]から公知の技術により作製される)を含む。そのようなリポソーム担体は、リピドA誘導体[3D-MPLなど-上記を参照されたい]および/またはサポニン[QS21など-上記を参照されたい]を担持してもよい。一実施形態においては、前記アジュバントは、(0.5 mL用量あたり)0.1-10mg、0.2-7、0.3-5、0.4-2、もしくは0.5-1 mg (例えば、0.4-0.6、0.9-1.1、0.5もしくは1 mg)のリン脂質(例えば、DOPC)、0.025-2.5、0.05-1.5、0.075-0.75、0.1-0.3、もしくは0.125-0.25 mg (例えば、0.2-0.3、0.1-0.15、0.25もしくは0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)、5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)、および5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む。
【0123】
このアジュバントは、高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(および血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない。
【0124】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、代謝性油(スクアレンなど)、乳化剤(Tween 80など)および必要に応じて、トコール(α-トコフェロールなど)から作製された水中油乳濁液を含む。一実施形態においては、アジュバントは(0.5 mL用量あたり)0.5-15、1-13、2-11、4-8、もしくは5-6mg (例えば、2-3、5-6、もしくは10-11 mg)の代謝性油(スクアレンなど)、0.1-10、0.3-8、0.6-6、0.9-5、1-4、もしくは2-3 mg (例えば、0.9-1.1、2-3もしくは4-5 mg)の乳化剤(Tween 80など)および必要に応じて、0.5-20、1-15、2-12、4-10、5-7 mg (例えば、11-13、5-6、もしくは2-3 mg)のトコール(α-トコフェロールなど)を含む。
【0125】
このアジュバントは、必要に応じて、5-60、10-50、または20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)をさらに含んでもよい。
【0126】
これらのアジュバントは、幼児用または高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(およびまた、血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない。
【0127】
このアジュバントは、必要に応じて、0.025-2.5、0.05-1.5、0.075-0.75、0.1-0.3、もしくは0.125-0.25 mg (例えば、0.2-0.3、0.1-0.15、0.25もしくは0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)、5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)、および5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含んでもよい。
【0128】
このアジュバントは、高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(およびまた、血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価はヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない。
【0129】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、リン酸アルミニウムおよびリピドA誘導体(3D-MPLなど)を含む。このアジュバントは、(0.5 mL用量あたり) 100-750、200-500、もしくは300-400μgのリン酸アルミニウムとしてのAl、および5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含んでもよい。
【0130】
このアジュバントは、高齢者用または幼児用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(およびまた、血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価はヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない。
【0131】
本発明の免疫原性組成物を含むワクチン調製物を用いて、全身または粘膜経路を介して外ワクチンを投与することにより、感染に罹りやすい哺乳動物を防御または治療することができる。これらの投与としては、筋肉内(IM)、腹腔内(IP)、皮内(ID)もしくは皮下(SC)経路を介する注入;または経口/消化管、気道、尿生殖路への粘膜投与が挙げられる。肺炎または中耳炎の治療のためのワクチンの鼻内(IN)投与が好ましい(肺炎球菌の鼻咽頭運搬をより効率的に防止し、かくして、その最も早い段階で感染を弱めることができる)。本発明のワクチンを単回投与として投与することができるが、その成分を同時に、または異なる時点で一緒に同時投与することもできる(例えば、肺炎球菌糖類コンジュゲートを、別々に、同時に、または互いに関して免疫応答の最適な協調のためにワクチンの任意の細菌タンパク質成分の投与の1〜2週間後に投与することができる)。同時投与のためには、最適なTh1アジュバントは、異なる投与のいずれか、または全部に存在してもよい。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を用いてもよい。例えば、糖類または糖類コンジュゲートをIM(またはID)投与し、細菌タンパク質をIN(またはID)投与することができる。さらに、本発明のワクチンを、初回用量についてはIMで、追加用量についてはINで投与することができる。
【0132】
ワクチン中のタンパク質抗原の含量は、典型的には、1〜100μg、好ましくは、5〜50μgの範囲、例えば、5〜25μgの範囲にあるであろう。初回のワクチン接種後、被験体は十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。
【0133】
ワクチン調製物はVaccine Design (「The subunit and adjuvant approach」(Powell M.F. & Newman M.J.(編)) (1995) Plenum Press New York)に一般的に記載されている。リポソーム内への封入は、Fullertonの米国特許第4,235,877号により記載されている。
【0134】
本発明のワクチンを、溶液中で保存するか、または凍結乾燥することができる。好ましくは、この溶液を、スクロースまたはラクトースなどの糖の存在下で凍結乾燥する。それらを凍結乾燥し、使用前に即席に再構成させるのがさらに好ましい。凍結乾燥はより安定な組成物(ワクチン)をもたらし、3D-MPLの存在下およびアルミニウムに基づくアジュバントの非存在下ではおそらくより高い抗体力価をもたらし得る。
【0135】
本発明の一態様においては、必要に応じて、凍結乾燥形態の本発明の免疫原性組成物を含むバイアルを含み、および本明細書に記載のアジュバントを含むバイアルをさらに含むワクチンキットを提供する。本発明のこの態様においては、前記アジュバントを用いて、凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成することが想定される。
【0136】
本発明のワクチンを任意の経路により投与することができるが、皮膚への記載のワクチンの投与(ID)は、本発明の一実施形態を形成する。ヒトの皮膚は、表皮の上にある、角質層と呼ばれる外側の「角質」キューティクルを含む。この表皮の下は、順に皮下組織の上にある真皮と呼ばれる層である。研究者らにより、皮膚、および特に真皮へのワクチンの注入は免疫応答を刺激し、これはまたいくつかのさらなる利点と関連することが示された。本明細書に記載のワクチンを用いる皮内ワクチン接種は、本発明の好ましい特徴を形成する。
【0137】
皮内注射の従来技術、「マントゥー手順」は、皮膚を洗浄した後、一方の手で伸ばし、狭いゲージの針(26〜31ゲージ)の先端面取り部を上に向けて針を10〜15°の角度で挿入する工程を含む。針の先端面取り部を挿入したら、針の先端面取り部を下げ、わずかに圧力をかけながらさらに進行させて、皮膚の下でそれを上昇させる。次いで、液体を非常にゆっくりと注入し、それによって皮膚表面上に気泡または隆起を形成させた後、針をゆっくり引き抜く。
【0138】
より最近では、皮膚の中に、または皮膚を横切って液体薬剤を投与するために特異的に設計された装置が記載されており、例えば、WO 99/34850およびEP 1092444に記載の装置、また、例えば、WO 01/13977; 米国特許第5,480,381号、第5,599,302号、第5,334,144号、第5,993,412号、第5,649,912号、第5,569,189号、第5,704,911号、第5,383,851号、第5,893,397号、第5,466,220号、第5,339,163号、第5,312,335号、第5,503,627号、第5,064,413号、第5,520,639号、第4,596,556号、第4,790,824号、第4,941,880号、第4,940,460号、WO 97/37705およびWO 97/13537に記載のジェット注入装置が記載されている。ワクチン調製物の皮内投与の代替的な方法は、従来のシリンジと針、または固形ワクチンの弾道送達のために設計された装置(WO 99/27961)、または経皮パッチ(WO 97/48440; WO 98/28037);皮膚表面への適用(経皮送達、WO 98/20734 ; WO 98/28037)を含んでもよい。
【0139】
本発明のワクチンを皮膚、またはより具体的には、真皮中に投与しようとする場合、該ワクチンは低い液体容量、特に、約0.05 ml〜0.2 mlの容量にある。
【0140】
本発明の皮膚または皮内ワクチン中の抗原含量は、筋肉内ワクチンに認められる従来の用量と類似するものであってよい(上記参照)。しかしながら、製剤が「低用量」であってよいことが皮膚または皮内ワクチンの特徴である。従って、「低用量」ワクチン中のタンパク質抗原は、用量あたり0.1〜10μg、好ましくは0.1〜5μgの少なさで存在するのが好ましい;ならびに糖類(好ましくはコンジュゲートされたもの)抗原は、用量あたり0.01〜0.1μg、および好ましくは0.01〜0.5μgの糖類の範囲で存在してもよい。
【0141】
本明細書で用いられる用語「皮内送達」は、皮膚中の真皮の領域へのワクチンの送達を意味する。しかしながら、ワクチンは真皮中にのみ配置される必要はないであろう。真皮は、ヒト皮膚中の表面から約1.0〜約2.0 mmに位置する皮膚中の層であるが、個体間で、および身体の様々な部分において特定量の変動がある。一般的には、皮膚表面の下に1.5 mm行くことにより真皮に到達すると予想することができる。真皮は角質層と下の表面および皮下層の表皮との間に位置する。送達の様式に応じて、究極的には、ワクチンを真皮内にのみ、もしくは主に真皮内に配置させるか、または究極的にはそれを表皮と真皮の内側に分布させることができる。
【0142】
本発明はさらに、インフルエンザ菌タンパク質、例えば、コンジュゲートされた形態のタンパク質Dの添加により、インフルエンザ菌により引き起こされる中耳炎の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。さらに、本発明はさらに、本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物に、遊離タンパク質として、またはコンジュゲートされたタンパク質として1種または2種の肺炎球菌タンパク質を添加することによる、幼児における肺炎球菌感染(例えば、中耳炎)の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。前記肺炎球菌を含まないタンパク質は、担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じであるか、または異なっていてもよい。1種以上のモラクセラ・カタラリスタンパク質抗原を、遊離形態またはコンジュゲートされた形態で組合せワクチン中に含有させることもできる。かくして、本発明は、幼児における中耳炎に対する(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。
【0143】
別の実施形態においては、本発明は、安全かつ有効な量の本発明のワクチン[小児用ワクチン]を投与することにより、幼児(本発明の文脈においては0〜2歳の年齢と定義される)における(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。本発明のさらなる実施形態は、医学における使用のための本発明の抗原性肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物の提供および肺炎球菌疾患の予防(または治療)のための医薬の製造における本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲートの使用を含む。
【0144】
別の実施形態においては、本発明は、好ましくは、遊離肺炎連鎖球菌タンパク質が担体担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じか、または異なるものであってよい、遊離タンパク質またはコンジュゲートされたタンパク質として存在する1種または2種の肺炎連鎖球菌タンパク質と結合させた、安全かつ有効な量の本発明のワクチンを投与することにより、高齢者集団(本発明の文脈においては、患者が50歳以上の年齢であり、典型的には、55歳を超える年齢であり、より一般的には、60歳を超える年齢である場合、高齢者であると考えられる)における(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。
【0145】
本発明のさらなる態様は、免疫防御用量の本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットを宿主に投与することを含む、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患に対してヒト宿主を免疫する方法である。
【0146】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための本発明の免疫原性組成物である。
【0147】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットの使用である。
【0148】
本明細書に記載の用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、全ての例において、それぞれ、必要に応じて用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」および「からなる(consists of)」と置換可能であると本発明者らにより意図される。
【0149】
本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書に記載の実施形態は、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態にも適用可能であり、その逆も可能である。
【0150】
本特許明細書内で引用される全ての参考文献または特許出願は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0151】
本発明をより良好に理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみのためであり、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0152】
(実施例)
実施例1:タンパク質Dの発現
インフルエンザ菌タンパク質D
タンパク質D発現のための遺伝子構築物
出発材料
タンパク質DをコードするDNA
タンパク質Dが、全ての血清型および非分類性株のインフルエンザ菌の間で高度に保存されている。タンパク質D遺伝子全体をコードするDNA配列を含むベクターpHIC348は、Dr. A. Forsgren, Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmo General Hospital, Malmo, Swedenから取得されたものである。タンパク質DのDNA配列は、Jansonら(1991) Infect. Immun. 59: 119-125により公開されている。
【0153】
発現ベクターpMG1
発現ベクターpMG1は、外来挿入遺伝子の転写および翻訳のためのバクテリオファージλ由来制御エレメントが導入された(Shatzmanら、1983)pBR322の誘導体(Grossら、1985)である。さらに、アンピシリン耐性遺伝子を、カナマイシン耐性遺伝子と交換した。
【0154】
大腸菌株AR58
大腸菌株AR58を、SA500誘導体(galE::TN10、λKil-cI857ΔH1)上で予め増殖させたP1ファージ保存液を用いてN99を形質導入することにより作製した。N99およびSA500は、National Institute of HealthのMartin Rosenberg博士の研究室に由来する大腸菌K12株である。
【0155】
発現ベクターpMG 1
タンパク質Dの製造のために、該タンパク質をコードするDNAを、発現ベクターpMG 1中にクローニングした。このプラスミドは、挿入された外来遺伝子の転写および翻訳を駆動するλファージDNAに由来するシグナルを使用する。このベクターは、プロモーターPL、オペレーターOLならびにNタンパク質が提供された場合、転写極性効果を軽減する2個の利用部位(NutLおよびNutR)を含む(Grossら、1985)。PLプロモーターを含むベクターを、大腸菌溶原性宿主に導入して、プラスミドDNAを安定化させる。溶原性宿主株は、ゲノム中に組込まれた複製欠損性λファージDNAを含む(Shatzmanら、1983)。染色体λファージDNAは、ベクターのOLリプレッサーに結合するcIリプレッサータンパク質の合成を指令し、PLプロモーターへのRNAポリメラーゼの結合を阻害し、それによって、挿入された遺伝子の転写を阻害する。発現株AR58のcI遺伝子は、温度感受性突然変異体を含み、PLにより指令された転写を、温度シフトにより調節することができる、すなわち、培養温度の増加が、リプレッサーを不活化し、外来タンパク質の合成を開始させる。この発現系により、特に、細胞に対して毒性的であり得る外来タンパク質の合成の制御が可能になる(ShimatakaおよびRosenberg、1981)。
【0156】
大腸菌株AR58
タンパク質D担体の製造に用いたAR58溶原性大腸菌株は、標準的なNIHの大腸菌K12株N99の誘導体(F- su- galK2, lacZ- thr-)である。それは、欠損性溶原性λファージ(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)を含む。Kil-表現型は、宿主の大分子合成の遮断を阻害する。cI857突然変異は、cIリプレッサーに対して温度感受性障害を付与する。ΔH1の欠失は、λファージの右オペロンならびに宿主のbio、uvr3、およびchlA座を除去する。AR58株を、SA500誘導体(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)上で予め増殖させたP1ファージ保存液を用いてN99を形質導入することにより作製した。N99への欠損性溶原菌の導入を、隣接するgalE遺伝子中でテトラサイクリン耐性をコードするTN10トランスポゾンの存在のため、テトラサイクリンで選択した。
【0157】
ベクターpMGMDPPrDの構築
インフルエンザウイルスの非構造S1タンパク質をコードする遺伝子を含むpMG1ベクター(pMGNSI)を用いて、pMGMDPPrDを構築した。タンパク質D遺伝子を、それぞれ、5'および3'末端にNcoIおよびXbaI制限部位を含むPCRプライマーを用いて、pHIC348ベクター(Jansonら、1991 Infect. Immun. 59:119-125)からPCRにより増幅した。次いで、NcoI/XbaI断片を、NcoIとXbaIの間でpMGNS1中に導入し、かくして、NSタンパク質のN末端の81アミノ酸、次いで、PDタンパク質を含む融合タンパク質を作製した。このベクターは標識されたpMGNS1PrDであった。上記の構築物に基づいて、タンパク質D発現のための最終構築物を作製した。BamHI/BamHI断片を、pMGNS1PrDから除去した。このDNA加水分解は、最初の3個のN末端残基を除いて、NS1コード領域を除去する。ベクターの再連結の際に、WO 07/71711、実施例1、44頁に示された配列との融合タンパク質をコードする遺伝子を作製する。
【0158】
タンパク質Dは、リーダーペプチドまたは脂質鎖が通常結合したN末端システインを含まない。従って、このタンパク質はペリプラズム中に排出もされず、脂質化もされず、可溶性形態で細胞質中に残る。
【0159】
最終構築物pMG-MDPPrDを、37℃での熱ショックによりAR58宿主株に導入した。プラスミド含有細菌を、カナマイシンの存在下で選択した。タンパク質DコードDNA挿入物の存在を、選択されたエンドヌクレアーゼによる単離されたプラスミドDNAの消化により証明した。この組換え大腸菌株を、ECD4と呼ぶ。
【0160】
タンパク質Dの発現は、λPLプロモーター/OLオペレーターの制御下にある。宿主株AR58は、OLに結合することにより低温でλPLからの発現を遮断するゲノム中に温度感受性cI遺伝子を含む。一度、温度が上昇したら、cIはOLから放出され、タンパク質Dが発現される。
【0161】
小規模調製
発酵の終わりに、細胞を濃縮し、凍結する。
【0162】
収穫された細胞からの抽出とタンパク質Dの精製を以下のように実施した。凍結された細胞培養ペレットを解凍し、最終OD650=60となるように細胞破壊溶液(クエン酸バッファーpH 6.0)中に再懸濁した。懸濁液を、P=1000バールの高圧ホモジェナイザーに2回通過させる。細胞培養ホモジェネートを遠心分離により清澄化し、細胞破片を濾過により除去する。第1の精製工程において、濾過された溶解物を陽イオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Fast Flow)に印加する。PDはイオン相互作用によりゲルマトリックスに結合し、溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出される。
【0163】
第2の精製工程において、不純物を陰イオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)上に保持する。PDは、ゲル上には結合せず、流出液中で回収することができる。
【0164】
両方のカラムクロマトグラフィー工程において、画分の回収をODによりモニターする。精製されたタンパク質Dを含む陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの流出液を、限外濾過により濃縮する。
【0165】
タンパク質Dを含む限外濾過保持液を、最後に0.2μm膜に通過させる。
【0166】
大規模調製
収穫された細胞からの抽出およびタンパク質Dの精製を、以下のように実施した。収穫された培地を冷却し、約800バールの圧力で高圧ホモジェナイザーを2回直接通過させる。
【0167】
第1の精製工程においては、細胞培養ホモジェネートを希釈し、陽イオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Bigビーズ)に印加する。PDはイオン相互作用によりゲルマトリックスに結合し、溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出させ、濾過する。
【0168】
第2の精製工程においては、不純物を陰イオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)上に保持させる。PDはゲル上には結合せず、流出液中で回収することができる。
【0169】
両方のカラムクロマトグラフィー工程において、画分の回収をODによりモニターする。精製されたタンパク質Dを含む陰イオン交換クロマトグラフィーの流出液を濃縮し、限外濾過により透析濾過する。
【0170】
タンパク質Dを含有する限外濾過保持液を、最終的に0.2μm膜に通過させる。
【0171】
実施例1b:PhtDの発現
PhtDタンパク質は、ヒスチジントライアド(HXXHXHモチーフ)の存在を特徴とする肺炎球菌ヒスチジントライアド(Pht)タンパク質ファミリーのメンバーである。PhtDは、838アミノ酸の分子であり、5個のヒスチジントライアドを担持する(MedImmune WO00/37105 アミノ酸配列については配列番号4およびDNA配列については配列番号5を参照されたい)。PhtDはLXXCモチーフを有する20アミノ酸のN末端シグナル配列を有する。
【0172】
遺伝子構築物
成熟MedImmune PhtDタンパク質(アミノ酸21〜838)の遺伝子配列を、pλプロモーターを担持する組織内pTCMP14ベクターを用いて、大腸菌を組換え的に導入した。この大腸菌宿主株はAR58であり、これはcI857温度感受性リプレッサーを担持し、プロモーターの熱誘導を可能にする。
【0173】
ポリメラーゼ連鎖反応を行って、MedImmuneプラスミド(肺炎連鎖球菌株Norway 4(血清型4)に由来するphtD遺伝子を担持する-WO 00/37105に記載の配列番号5)に由来するphtD遺伝子を増幅した。phtD遺伝子にのみ特異的なプライマーを用いて、2個の断片中でphtD遺伝子を増幅した。プライマーは、NdeIおよびKpnIまたはKpnIおよびXbaI制限部位を担持する。これらのプライマーは、phtD特異的遺伝子配列だけでなく、ベクターに由来する任意のヌクレオチドとハイブリダイズしない。人工ATG開始コドンを、NdeI制限部位を担持する第1のプライマーを用いて挿入した。次いで、生成されたPCR産物をpGEM-Tクローニングベクター(Promega)に挿入し、DNA配列を確認した。次いで、TCMP14発現ベクター中の断片のサブクローニングを、標準的な技術を用いて行って、ベクターをAR58大腸菌中に形質転換した。
【0174】
PhtDの精製
PhtDの精製を以下のように達成する:
・カナマイシンの存在下での大腸菌細胞の増殖:30℃で30時間の増殖、次いで、39.5℃で18時間の誘導、
・EDTA 5 mMおよびプロテアーゼ阻害剤としてのPMSF 2 mMの存在下、OD±115:Rannie、2回の継代、1000バールでの全培養物に由来する大腸菌細胞の破壊、
・室温(20℃)での拡張ベッドモードのStreamline Q XLクロマトグラフィー上での抗原捕捉および細胞破片除去;カラムをNaCl 150 mM + Empigen 0.25% pH 6.5で洗浄し、25 mMリン酸カリウムバッファーpH 7.4中のNaCl 400 mM + Empigen 0.25%で溶出する、
・Sartobran 150カートリッジ(0.45 + 0.2μm)上での濾過、
・4℃の5 mMのイミダゾールの存在下、pH 7.4でのZn++キレート化Sepharose FF IMACクロマトグラフィー上への抗原結合;カラムをイミダゾール 5 mMおよびEmpigen 1%で洗浄し、50 mMイミダゾールで溶出する(両方とも25 mMリン酸カリウムバッファーpH 8.0中)、
・4℃、pH 8.0(25 mMリン酸カリウム)でのFractogel EMD DEAE上、陽性モードの弱い陰イオン交換クロマトグラフィー;夾雑物(タンパク質およびDNA)が交換樹脂上に吸着されたままにしながら、カラムを140 mM NaClで洗浄し、200 mM NaClで溶出する、
・50 kDaの膜上、2 mM Na/Kリン酸pH 7.15を用いる濃縮および限外濾過、
・Millipak-20 0.2μmフィルターカートリッジ上での精製バルクの滅菌濾過。
【0175】
実施例1c:肺炎球菌溶血素の発現
肺炎球菌溶血素を、WO 2004/081515およびWO 2006/032499に記載のように調製し、解毒した。
【0176】
実施例2:
コンジュゲートの調製
精製された肺炎球菌多糖類を作製する方法は当業界でよく知られている。これらの実施例のために、多糖類を本質的にはEP072513に記載のように、または密接に関連する方法により作製した。コンジュゲーションの前に、多糖類を以下に記載のように微小流動化によりサイズ変更することができる。
【0177】
活性化およびカップリング条件は、それぞれの多糖類に特異的である。これらを表1に与える。サイズ変更された多糖類(PS5、6Bおよび23F以外)を、NaCl 2M、NaCl 0.2Mまたは注入用の水(WFI)に溶解した。最適多糖類濃度を全ての血清型について評価した。血清型18C以外の全ての血清型を、以下に詳述されるように担体タンパク質に直接結合させた。2種の代替的な血清型22Fコンジュゲートを作製した;1種を直接結合させ、1種をADHリンカーを介して結合させた。
【0178】
アセトニトリルまたはアセトニトリル/水 50%/50%溶液中の100 mg/ml保存溶液から、CDAP (CDAP/PS比0.5〜1.5 mg/mg PS)を多糖類溶液に添加した。1.5分後、0.2M〜0.3MのNaOHを添加して、特異的活性化pHを得た。25℃で3分間、このpHで多糖類の活性化を行った。精製されたタンパク質(タンパク質D、PhtD、肺炎球菌溶血素またはDT)(その量は最初のPS/担体タンパク質比に依存する)を活性化された多糖類に添加し、カップリング反応をpH調節下で最大2時間(血清型に応じて)、特定のpHで行った。次いで、未反応のシアン酸エステル基をクエンチするために、2Mグリシン溶液を混合物に添加した。pHをクエンチングpH(pH 9.0)に調整した。溶液を25℃で30分間攪拌した後、連続的にゆっくり攪拌しながら、2〜8℃で一晩放置した。
【0179】
18Cの調製:
18Cを、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して担体タンパク質に連結した。多糖類血清型18Cを微小流動化した後、結合させた。
【0180】
EDACを用いる破傷風トキソイドの誘導体化
破傷風トキソイドの誘導体化のために、精製されたTTを0.2M NaCl中で25 mg/mlで希釈し、ADHスペーサーを添加して、0.2Mの最終濃度を達成した。スペーサーの溶解が完了した時、pHを6.2に調整した。次いで、EDAC(1-エチル-3-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド)を添加して、0.02Mの最終濃度を達成し、混合物をpH調節下で1時間攪拌した。25℃で少なくとも30分間、pHを9.0まで増加させることにより、縮合反応を停止させた。次いで、誘導体化されたTTを透析濾過(10 kDa CO膜)して、残留ADHおよびEDAC試薬を除去した。
【0181】
最後に、TTAHバルクを滅菌濾過し、カップリング工程まで-70℃で保存した。
【0182】
PS18CへのTTAHの化学的カップリング
コンジュゲーションパラメーターの詳細を、表1に見出すことができる。
【0183】
2グラムの微小流動化されたPSを、水中に規定の濃度で希釈し、NaCl粉末添加により2M NaClに調整した。
【0184】
CDAP溶液(50/50 v/vのアセトニトリル/WFI中で新鮮に調製された100 mg/ml)を添加して、好適なCDAP/PS比を達成した。
【0185】
0.3M NaOHの添加によりpHを活性化pH 9.0まで上昇させ、TTAHの添加までこのpHで安定化させた。
【0186】
3分後、誘導体化されたTTAH(0.2M NaCL中の20 mg/ml)を添加して、2のTTAH/PS比を達成した;pHをカップリングpH 9.0に調節した。溶液をpH調節下で1時間放置した。
【0187】
クエンチングのために、2Mのグリシン溶液を混合物PS/TTAH/CDAPに添加した。
【0188】
pHをクエンチングpH(pH 9.0)に調整した。
【0189】
溶液を25℃で30分間攪拌した後、連続的にゆっくり攪拌しながら、2〜8℃で一晩放置した。
【0190】
PS22FAH-PhtDコンジュゲート
この糖類のための第2のコンジュゲーション方法(第1の方法は、表1に示される直接的PS22-PhtDコンジュゲーション方法である)において、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して22Fを担体タンパク質に連結した。多糖類血清型22Fを微小流動化した後、結合させた。
【0191】
PS 22F誘導体化
温度制御された水浴中、連続攪拌下、25℃で活性化およびカップリングを実施する。
【0192】
微小流動化されたPS22Fを希釈して、0.2M NaCl中、6 mg/mlの最終PS濃度を得て、溶液を0.1N HClでpH 6.05±0.2に調整した。
【0193】
CDAP溶液(アセトニトリル/WFI、50/50中で新鮮に調製された100 mg/ml)を添加して、好適なCDAP/PS比(1.5/1 w/w)を達成した。
【0194】
0.5M NaOHの添加によりpHを活性化pH 9.00±0.05まで上昇させ、ADHの添加までこのpHで安定化させた。
【0195】
3分後、ADHを添加して、好適なADH/PS比(8.9/1 w/w)を達成した;pHをカップリングpH 9.0に調節した。溶液をpH調節下で1時間放置した。
【0196】
PSAH誘導体を濃縮し、透析濾過した。
【0197】
カップリング
O.2M NaCl中、10 mg/mlのPhtDをPS22FAH誘導体に添加して、4/1のPhtD/PS22FAH比(w/w)を達成した。pHをHClで5.0±0.05に調整した。EDAC溶液(0.1M Tris-HCl pH 7.5中、20 mg/ml)を10分かけて手動で添加して(250μl/分)、1 mg EDAC/mg PS22FAHを達成した。得られた溶液を、攪拌およびpH調節下、25℃で150分間(しかし、60分も用いた)インキュベートした。1M Tris-HCl pH 7.5(最終容量の1/10)の添加により溶液を中和し、25℃で30分間放置した。
【0198】
Sephacryl S400HR上での溶出の前に、5μmのMinisartフィルターを用いてコンジュゲートを清澄化した。
【0199】
得られるコンジュゲートは、4.1(w/w)の最終PhtD/PS比、1%未満の遊離PS含量ならびに36.3%の抗原性(α-PS/α-PS)および7.4%の抗PhtD抗原性を有する。タンパク質と多糖類の比率を、LowryおよびResorcinol法を用いて測定し、サンドイッチELISAを用いて抗原性を決定した。
【0200】
コンジュゲートの精製:
0.15M NaClで平衡化させたSephacryl S400HRゲル濾過(18CについてはS500HR)を用いるゲル濾過によりコンジュゲートを精製して、小分子(DMAPなど)ならびにコンジュゲートされていないPSおよびタンパク質を除去した。反応成分の様々な分子サイズに基づいて、PS-PD、PS-TT、PS-PhtD、PS-肺炎球菌溶血素またはPS-DTコンジュゲートが最初に溶出した後、遊離PS、次いで、遊離PDまたは遊離DT、最後にDMAPおよび他の塩(NaCl、グリシン)が溶出する。コンジュゲートを含む画分を、UV280 nmにより検出する。画分をそのKdに従ってプールし、滅菌濾過(0.22μm)し、+2〜8℃で保存する。コンジュゲート調製物中のPS/タンパク質比を決定した。
【0201】
PS肺炎連鎖球菌-タンパク質D/TT/DT/PhtD/Plyコンジュゲートの特異的活性化/カップリング/クエンチング条件
「μfluid」が行頭にある場合、それは糖類がコンジュゲーションの前に微小流動化によりサイズ変更されたことを示す。微小流動化後の糖類のサイズを、表2に与える。
【表1】
【0202】
特性評価:
各コンジュゲートを特性評価したところ、表2に記載の仕様を満たしていた。多糖類含量(μg/ml)をResorcinol試験により測定し、タンパク質含量(μg/ml)をLowry試験により測定した。最終PS/PD比(w/w)を、濃度比により決定する。
【0203】
遊離多糖類含量(%):
4℃で保持するか、または37℃で7日間保存したコンジュゲートの遊離多糖類含量を、α-担体タンパク質抗体および飽和硫酸アンモニウムとのインキュベーションし、次いで遠心分離した後に得られた上清上で決定した。
【0204】
上清中の遊離多糖類の定量のために、α-PS/α-PS ELISAを用いた。また、コンジュゲートの非存在を、α-担体タンパク質/α-PS ELISAにより制御した。
【0205】
抗原性:
同じコンジュゲート上の抗原性を、抗体の捕捉および検出が、それぞれ、α-PSおよびα-タンパク質であるサンドイッチ型ELISAにおいて分析した。
【0206】
遊離タンパク質含量(%):
コンジュゲートされていない担体タンパク質を、精製工程の間にコンジュゲートから分離することができる。遊離残留タンパク質の含量を、サイズ排除クロマトグラフィー(TSK 5000-PWXL)、次いで、UV検出(214 nm)を用いて決定した。溶出条件により、遊離担体タンパク質およびコンジュゲートの分離が可能になった。次いで、コンジュゲートバルク中の遊離タンパク質含量を、補正曲線に対して決定した(0〜50μg/mlの担体タンパク質)。遊離担体タンパク質(%)を以下のように得た:遊離担体(%)=(遊離担体(μg/ml)/(Lowryにより測定された対応する担体タンパク質の総濃度(μg/ml)*100%)。
【0207】
安定性:
分子量分布(Kav)および安定性を、4℃で保持し、37℃で7日間保存したコンジュゲートについて、HPLC-SECゲル濾過(TSK 5000-PWXL)上で測定した。
【0208】
10/11/13/14価の特性評価を、表2に与える(その下の注釈を参照)。
【0209】
タンパク質コンジュゲートをリン酸アルミニウム上に吸着させ、プールして最終ワクチンを形成させることができる。
【表2】
【0210】
血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fのコンジュゲートを混合することにより(例えば、それぞれヒト用量あたり、1、3、1、1、1、1、1、3、3、1μg用量の糖類)、10価ワクチンを作製した。表5に由来する血清型3のコンジュゲートをさらに添加することにより(例えば、ヒト用量あたり1μgの糖類)、11価ワクチンを作製した。上記の血清型19Aおよび22Fのコンジュゲートをさらに添加することにより(PhtDに直接連結されたか、またはあるいはADHリンカーを介して連結された22F)[例えば、ヒト用量あたりそれぞれ3μgの用量の糖類]、13価のワクチンを作製した。上記の血清型6Aのコンジュゲートをさらに添加することにより[例えば、ヒト用量あたり1μg用量の糖類]、14価のワクチンを作製することができる。
【0211】
実施例3:本発明の免疫原性組成物中のインフルエンザ菌タンパク質Dの含有が急性中耳炎(AOM)に対する改善された防御を提供することができるという証拠
試験設計
この試験には、インフルエンザ菌に由来するタンパク質Dにそれぞれコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fを含む11Pn-PDワクチン(実施例4の表5を参照)を用いた。被験者を2群に無作為化し、約3、4、5および12〜15ヶ月齢の11Pn-PDワクチンまたはHavrixの4回用量を受けた。全ての被験者は、3、4および5ヶ月齢で同時にGSK Biological's Infanrix-hexa (DTPa-HBV-IPV/Hib)ワクチンを受けた。Infanrix-hexaは、投与前に混合されたPediarixとHibの組合せである。「プロトコルに従う」分析のための有効性追跡を、3回目のワクチン用量の投与の2週間後に開始し、24〜27ヶ月齢まで継続した。肺炎連鎖球菌およびインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬を、被験者の選択されたサブセットにおいて評価した。
【0212】
子供が病気であるか、耳の痛み、鼓膜の自然穿孔または自然耳漏を有する場合、彼らの両親は調査者に相談するように忠告された。調査者がAOMの発現を疑った場合、子供を診断の確認のために耳鼻咽喉科(ENT)の専門医にすぐに紹介した。
【0213】
AOMの臨床診断は、鼓膜の外観(すなわち、発赤、腫れ、対光反射の消失)または中耳液流出の存在(単純な、もしくは空気圧式耳鏡検査法によるか、もしくは顕微鏡により証明される)に基づくものであった。さらに、以下の兆候または症候の少なくとも2種が存在しなければならない:耳の痛み、耳漏、聴力消失、発熱、無気力、興奮性、食欲不振、嘔吐、または下痢。ENT専門医が臨床診断を確認した場合、細菌試験のために鼓室穿刺術により中耳液の標本を収集した。
【0214】
病気訪問を繰り返す被験者については、以前の症状発現の開始以来、30日を超えて経過した場合、新しいAOM症状発現が開始したものと考えた。さらに、単離された細菌/血清型が、2つの連続的な症状発現の間隔がどんなものでも、以前の単離物と異なっていた場合、AOMの症状発現を新しい細菌の症状発現であると考えた。
【0215】
試験の結果
合計4968人の幼児を登録し、2489人を11Pn-PD群に、2479人を対照群に登録した。2つの群の間には人口学的特性または危険因子における主な差異は存在しなかった。
【0216】
臨床症状発現およびAOM事例の定義
プロトコルあたりの追跡期間に、11Pn-PD群において合計333個の臨床AOMの症状発現が記録され、対照群においては499個が記録された。
【0217】
表3は、AOMの任意の症状発現ならびに様々な肺炎球菌血清型、インフルエンザ菌、NTHiおよびモラクセラ・カタラリスにより引き起こされるAOMに対する、11Pn-PDワクチンならびに、フィンランドで以前に試験された両方の7価ワクチン(Eskolaら、N Engl J Med 2001; 344: 403-409およびKilpiら、Clin Infect Dis 2003 37:1155-64)の防御効果を提供する。病因に関係なく、AOM疾患負荷全体の33.6%の統計学的に有意かつ臨床的に関連する減少が11Pn-PDについて達成された(表3)。11Pn-PDワクチン中に含まれる11種の肺炎球菌血清型のいずれかに起因するAOM症状発現に対する全体の効果は、57.6%であった(表3)。
【0218】
現在の研究の別の重要な知見は、インフルエンザ菌により引き起こされるAOMに対する11Pn-PDワクチンにより提供される35.6%の防御(および特に、NTHiにより提供される35.3%の防御)である。この知見は、肺炎球菌コンジュゲートワクチン時代におけるAOMの主要な原因としてのインフルエンザ菌の重要性の増加を考慮すれば、主に臨床的に有意なものである。AOMに対して提供される防御と一致して、11Pn-PDワクチンも人生の2年目における追加投与後のインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬を低下させた。これらの知見は、両方の7価肺炎球菌コンジュゲートワクチンについて、インフルエンザ菌に起因するAOM症状発現の増加が、病因交換の証拠として観察されたフィンランドでの以前の観察(Eskolaら、およびKilpiら)とは対照的である。
【0219】
Hiに起因するAOM症状発現に対する防御と、担体タンパク質Dに対する抗体レベルとの明確な相関を確立することができなかったが、Hi AOM症状を発現しないままであった、初回免疫後の11Pn-PDワクチン被接種者における抗PD IgG抗体濃度は、有効性追跡期間に少なくとも1つのHi AOM症状発現を生じた11Pn-PDワクチン被接種者において測定された初回免疫後の抗PD IgG抗体レベルと本質的に同じであった。しかしながら、ワクチンの生物学的影響と、初回免疫後のIgG抗PD免疫原性との相関を確立することができなかったが、インフルエンザ菌株間で高度に保存されたPD担体タンパク質が、Hiに対する防御の誘導においてかなりの程度まで寄与したと仮定することは合理的である。
【0220】
AOM疾患に対する効果は、ワクチン血清型肺炎球菌およびインフルエンザ菌について同様の規模のものである鼻咽頭運搬に対する効果と同時に生じた(図1)。PD-コンジュゲートのワクチン被接種者におけるインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬のこの低下は、たとえ、防御効果と、ELISAにより測定される抗PD IgG免疫応答とを相関させることができなかった場合でも、インフルエンザ菌に対するPD-コンジュゲートワクチンの直接的防御効果の仮説を支持する。
【0221】
以下の実験においては、チンチラ中耳炎モデルを、本実施例の11価製剤または実施例2の10価製剤で免疫した幼児から得た血清プールと共に用いた(表1および2ならびにその下の注釈も参照されたい)。両方のプールは、免疫前の血清プールに対する中耳炎を有する動物の割合の有意な低下を誘導する。10価と11価の免疫プールの間には有意差はない。これは、両方のワクチンがこのモデルにおいては非分類性インフルエンザ菌により引き起こされる中耳炎に対する防御を誘導する類似する能力を有することを示している。
【表3】
【0222】
実施例4:血清型19Fに関する担体タンパク質の選択
用いたELISAアッセイ
22F阻害ELISA法は、本質的にはConcepcionおよびFraschにより2001年に提唱されたアッセイに基づくものであり、Henckaertsら、2006, Clinical and Vaccine Immunology 13:356-360により報告された。簡単に述べると、精製された肺炎球菌多糖を、メチル化ヒト血清アルブミンと混合し、Nunc Maxisorp(商標)(Roskilde, DK)高結合マイクロタイタープレート上に4℃で一晩吸着させた。プレートを、攪拌しながら室温で1時間、PBS中の10%ウシ胎仔血清(FBS)でブロックした。血清サンプルを、10%FBS、10μg/mLの細胞壁多糖(SSI)および2μg/mLの血清型22Fの肺炎球菌多糖(ATCC)を含むPBS中に希釈し、同じバッファーを含むマイクロタイタープレート上でさらに希釈した。89-SF中、血清型特異的IgG濃度を用いる標準血清89-SFに対して補正された内部参照を、同じ方法で処理し、プレート毎に含有させた。洗浄した後、結合した抗体を、10%FBS(PBS中)中に希釈したペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgGモノクローナル抗体(Stratech Scientific Ltd., Soham, UK)を用いて検出し、攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。室温で暗室中、即時使用単一成分テトラメチルベンズイジンペルオキシダーゼ酵素免疫アッセイ基質キット(BioRad, Hercules, CA, US)を用いて発色させた。0.18M H2SO4を用いて反応を停止させ、光密度を450 nmで読み取った。サンプル中の血清型特異的IgG濃度(μg/mL)を、SoftMax Pro(商標)(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)ソフトウェアを用いて算出された4パラメーターロジスティックlog方程式によりモデル化された、内部参照血清曲線に対して規定の限界内の光密度点を参照することにより算出した。ELISAに関するカットオフは、検出限界および定量限界を考慮に入れて、全ての血清型について0.05μg/mLのIgGであった。
【0223】
オプソニン食作用アッセイ
2003年6月のWHOコンサルテーションミーティングで、Romero-Steinerら、Clin Diagn Lab Immunol 2003 10 (6): pp1019-1024に記載のOPAアッセイを使用することが推奨された。このプロトコルを用いて、以下の試験において血清型のOPA活性を試験した。
【0224】
コンジュゲートの調製
試験11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007において、タンパク質Dに結合させた1μgの多糖(19F-PD)の代わりに、3μgの19F多糖をジフテリアトキソイドに結合させた(19F-DT)、3種の11価ワクチン製剤(表4)を含有させた。試験11Pn-PD、11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007に関する結合パラメーターを、それぞれ、表5、6および7に開示する。
【0225】
これらの19F-DT製剤を用いる初回ワクチン接種の1ヶ月後の血清型19Fに対する抗肺炎球菌抗体応答およびOPA活性を、それぞれ、表8および9に示す。表10は、23価プレーン多糖追加ワクチン接種の前後の、22F-ELISA抗体濃度および0.2μg/mLの閾値に到達する被験者の割合を示す。
【0226】
オプソニン食作用活性は、初回ワクチン接種の1ヶ月後の、より高い血清陽性率(オプソニン食作用力価≧1.8)およびOPA GMTにより示されるように、これらの19F-DT製剤を用いて誘導された抗体について明確に改善されることが示された(表9)。23価プレーン多糖追加ワクチン接種の1ヶ月後に、19F抗体のオプソニン食作用活性は19F-DT製剤を初回接種された子供については、有意により良好なままであった(表11)。
【0227】
表12は、Prevnar(登録商標)の4回の連続投与と比較して、19F-DTまたは19F-PDコンジュゲートを以前に初回接種された幼児における11Pn-PD追加投与後の免疫原性データを提供する。米国におけるPrevnar(登録商標)の誘導後に報告された画期的事例を考慮すれば、DT担体タンパク質に結合させた場合、血清型19Fに対する改善されたオプソニン食作用活性は、候補ワクチンに関する利点であってよい。
【0228】
表13は、交叉反応性血清型19Aに関して、19F-DTコンジュゲートについてのELISAおよびOPAデータを提供する。19F-DTは19Aに対する低いが、有意なOPA活性を誘導することが見出された。
【表4】
【0229】
【表5】
【0230】
【表6】
【0231】
【表7】
【0232】
【表8】
【0233】
【表9】
【0234】
【表10】
【0235】
【表11】
【0236】
【表12】
【0237】
【表13】
【0238】
実施例5:前臨床モデルにおけるアジュバント実験:高齢のアカゲザルにおける肺炎球菌11価多糖コンジュゲートの免疫原性に対する影響
高齢集団におけるコンジュゲート肺炎連鎖球菌ワクチンに対して誘起される応答を最適化するために、GSKは新規アジュバント(アジュバントC)を含む11価多糖(PS)コンジュゲートワクチンを製剤化した。以下を参照されたい。
【0239】
5匹の高齢アカゲザルの群(14〜28歳)を、315μgのAlPO4上に吸着された11価PSコンジュゲートまたはアジュバントCと混合した11価PSコンジュゲートの500μlを用いて、0日目および28日目に筋肉内(IM)的に免疫した。
【0240】
両ワクチン製剤において、11価PSコンジュゲートはそれぞれ、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-PD、PS19F-PD、PS23F-DTおよびPS6B-DTから構成されていた。用いたワクチンは、以下のCDAPプロセス条件:9 mg/mlのサイズ変更された糖類、5 mg/mlのPD、1.2/1の初期PD/PS比、0.75 mg/mg PSのCDAP濃度、pHa=pHc=pHq 9.0/9.0/9.0および60分のカップリング時間、に従って19Fを作製した以外は、表6の条件(実施例4)に従って結合されたヒト用量のワクチンの1/5用量であった(6Bについて[10μg]以外はヒト用量あたり5μgの各糖類)。
【0241】
抗PS ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収された血清中で用量化した。抗PS3記憶B細胞頻度を、42日目に回収された末梢血細胞からElispotにより測定した。
【0242】
本明細書の以下に示される結果に従えば、アジュバントCは、高齢のサルにおいて、AlPO4を用いるコンジュゲートに対して、11価PSコンジュゲートの免疫原性を有意に改善した。新規アジュバントは、PSに対するIgG応答(図1)およびオプソニン食作用抗体力価(表14)を増強した。PS3特異的記憶B細胞の頻度がアジュバントCの使用により増加する支持的な証拠も存在した(図2)。
【表14】
【0243】
B細胞Elispot
このアッセイの原理は、記憶B細胞が、CpGと共に5日間培養した後、in vitroで形質細胞に成熟するという事実に依存する。in vitroで生成された抗原特異的形質細胞は容易に検出することができ、従って、B細胞elispotアッセイを用いて数えることができる。特異的形質細胞の数は、培養の開始時の記憶B細胞の頻度を反映する。
【0244】
簡単に述べると、in vitroで生成された形質細胞を、抗原で被覆された培養プレート中でインキュベートする。抗原特異的形質細胞は、抗体/抗原スポットを形成し、これを従来の免疫酵素手順により検出し、記憶B細胞として数える。
【0245】
現在の試験においては、多糖類を用いて培養プレートをコーティングして、それぞれの記憶B細胞を数えている。結果を、100万個の記憶B細胞内のPS特異的記憶B細胞の頻度として表す。
【0246】
この試験は、アジュバントCがPS3追加性の公知の問題を軽減することができることを示す(5th International Symposium on Pneumococci and Pneumococcal Diseases, April 2-6 2006, Alice Springs, Central Australia. Specificities of immune responses against a serotype 3 pneumococcal conjugate. Schuerman L, Prymula R, Poolman J. Abstract book p 245, PO10.06を参照されたい)。
【0247】
実施例6:若いBalb/cマウスにおけるPS 19Fの免疫原性を増強するタンパク質担体としての解毒された肺炎球菌溶血素(dPly)の有効性
40匹の雌Balb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合された、50μlの4価プレーンPSまたは4価dPly-コンジュゲート化PSを用いて0、14および28日目にIM的に免疫した。
【0248】
両ワクチン製剤は、0.1μg(糖類の量)のそれぞれ以下のPS:PS8、PS12F、PS19FおよびPS22Fのから構成されていた。
【0249】
抗PS ELISA IgGレベルを42日目に回収された血清中で用量化した。
【0250】
図3に一例として示される抗PS19F応答は、プレーンPSで免疫されたマウスと比較して、4価dPlyコンジュゲートを与えられたマウスにおいて強く増強された。抗PS8、12Fおよび22F IgG応答について、同じ改善が観察された(データは示さない)。
【0251】
実施例7:若いBalb/cマウスにおけるPS 22Fの免疫原性を増強するタンパク質担体としての肺炎球菌ヒスチジントライアドタンパク質D(PhtD)の有効性
40匹の雌Balb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合された、50μlの4価プレーンPSまたは4価PhtD-コンジュゲート化PSを用いて0、14および28日目にIM的に免疫した。
【0252】
両ワクチン製剤は、0.1μg(糖類の量)のそれぞれの以下のPS:PS8、PS12F、PS19FおよびPS22Fから構成されていた。
【0253】
抗PS ELISA IgGレベルを42日目に回収された血清中で用量化した。
【0254】
図4に一例として示される抗PS22F応答は、プレーンPSで免疫されたマウスと比較して、4価PhtDコンジュゲートを与えられたマウスにおいて強く増強された。抗PS8、12Fおよび19F IgG応答について、同じ改善が観察された(データは示さない)。
【0255】
実施例8:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの高齢のC57Blマウスにおける免疫原性
30匹の高齢C57Blマウス(69週齢を超える)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて0、14および28日目にIM的に免疫した(下記参照)。
【0256】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照)。さらに、13価ワクチン製剤は、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った(WO 04/81515に記載の方法)。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0257】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、以下の手順を用いて42日目に回収された個々の血清中で評価した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清において測定した。
【0258】
マウス血清学手順:
抗PS19A ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて42日目に回収された血清中で評価した。
【0259】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型19A(10μg/ml)を用いて37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下で30分間、室温でインキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗マウスIgG-ペルオキシダーゼコンジュゲート(1/2500希釈)を添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中の4 mgのOPDA)を各ウェルに15分間添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は血清中に存在する抗体量と直接比例する。
【0260】
血清サンプル中に存在する抗PS19A IgGのレベルを、参照曲線との比較により決定し、μg/mlで表す。参照曲線を、添加した既知量の血清に関するELISA結果から各プレートについて作製した。
【0261】
抗PS22F ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて、42日目に回収された血清中で評価した。
【0262】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型22F(10μg/ml)を用いて37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下で30分間、室温でインキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗マウスIgG抗体ペルオキシダーゼコンジュゲート(1/2500希釈)を添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中の4 mgのOPDA)を各ウェルに15分間添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は血清中に存在する抗体量と直接比例する。
【0263】
未知の血清中に存在する抗PS22F IgGのレベルを、参照曲線と各プレート上に添加された血清との比較により決定し、μg/mlで表す。
【0264】
他の全ての血清型に対する免疫応答を、マウスの血清をプールしたこと以外は同じ手順に従って行った。
【0265】
13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、高齢のC57Blマウスにおいて免疫原性であることが示された(表15)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えたマウスにおいて負に影響しなかった。
【表15】
【0266】
マウスOPA手順:
血清サンプルを56℃で45分間加熱して、残存する内因性補体を不活化した。25μlアリコートのそれぞれ1:2希釈された血清サンプルを、96穴丸底マイクロタイタープレートのウェルあたり25μlのOPAバッファー(HBSS-14.4%不活化FBS)中に2倍連続希釈した。続いて、例えば、4/2/1の比率(v/v/v)の活性化HL-60細胞(1 x 107細胞/ml)、新鮮に解凍された肺炎球菌ワーキングシードおよび新鮮に解凍されたベビーラビット補体の混合物25μlを希釈された血清に添加して、最終容量50μlを得た。アッセイプレートを回転振とう(210 rpm)を用いて37℃で2時間インキュベートして、食作用プロセスを促進した。少なくとも1分間、氷上にマイクロプレートを載せることにより、反応を停止させた。次いで、プレートの各ウェルの20μlアリコートを、96穴平底マイクロプレートの対応するウェルに移し、50μlのTodd-Hewitt Broth-0.9%寒天を各ウェルに添加した。37℃かつ5%CO2で一晩インキュベートした後、寒天中に出現する肺炎球菌コロニーを、自動化画像分析系(KS 400, Zeiss, Oberkochen, Germany)を用いて計数した。血清サンプルを含まない8個のウェルを、細菌対照として用いて、ウェルあたりの肺炎球菌数を決定した。対照ウェルのCFUの平均数を決定し、各血清サンプルに関する殺傷活性の算出に用いた。血清サンプルに関するOPA力価を、肺炎球菌の50%の殺傷を容易にすることができる血清の希釈率逆数により決定した。オプソニン食作用力価を、4パラメーターの曲線適合分析を用いることにより算出した。
【0267】
オプソニン食作用アッセイの結果を、図13および14に示す。
【0268】
実施例9:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いBalb/cマウスにおける免疫原性
30匹の若いBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した(下記参照)。
【0269】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。さらに、13価ワクチン製剤は0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体を、GMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った(WO 04/81515に記載の方法)。群2および3においては、PhtDを用いて、PS 22Fを結合させ、群4および4においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0270】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、42日目に回収された個々の血清中で用量化した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、若いBalb/cマウスにおいて免疫原性であることが示された(表16)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えたマウスにおいて負に影響しなかった。
【0271】
ELISAaを、実施例8に記載のように実行した。
【表16】
【0272】
マウスOPA手順:
血清サンプルを56℃で45分間加熱して、残存する内因性補体を不活化した。25μlアリコートのそれぞれ1:2希釈された血清サンプルを、96穴丸底マイクロタイタープレートのウェルあたり25μlのOPAバッファー(HBSS-14.4%不活化FBS)中に2倍連続希釈した。続いて、例えば、4/2/1の比率(v/v/v)の活性化HL-60細胞(1 x 107細胞/ml)、新鮮に解凍された肺炎球菌ワーキングシードおよび新鮮に解凍されたベビーラビット補体の混合物25μlを希釈された血清に添加して、最終容量50μlを得た。アッセイプレートを回転振とう(210 rpm)を用いて37℃で2時間インキュベートして、食作用プロセスを促進した。少なくとも1分間、氷上にマイクロプレートを載せることにより、反応を停止させた。次いで、プレートの各ウェルの20μlアリコートを、96穴平底マイクロプレートの対応するウェルに移し、50μlのTodd-Hewitt Broth-0.9%寒天を各ウェルに添加した。37℃かつ5%CO2で一晩インキュベートした後、寒天中に出現する肺炎球菌コロニーを、自動化画像分析系(KS 400, Zeiss, Oberkochen, Germany)を用いて計数した。血清サンプルを含まない8個のウェルを、細菌対照として用いて、ウェルあたりの肺炎球菌数を決定した。対照ウェルのCFUの平均数を決定し、各血清サンプルに関する殺傷活性の算出に用いた。血清サンプルに関するOPA力価を、肺炎球菌の50%の殺傷を容易にすることができる血清の希釈率逆数により決定した。オプソニン食作用力価を、4パラメーターの曲線適合分析を用いることにより算出した。
【0273】
結果を、図15および16に示す。
【0274】
ミョウバン製剤における結果:
19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いBalb/cマウスにおける免疫原性
40匹の若いBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともAlPO4上に吸着させた、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した。Infanrix Hexaも同時投与した。
【0275】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。さらに、13価ワクチン製剤は、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22F])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0276】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルならびにオプソニン食作用力価を、42日目に回収された個々の血清中で測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。
【0277】
13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、免疫原性であることが示され、若いBalb/cマウスにおいてオプソニン食作用力価を誘導した(表17および図19〜20)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えられたマウスにおいて負に影響しなかった。
【0278】
オプソニン食作用アッセイを用いて血清を評価し、その結果を図19および20に示す。
【表17】
【0279】
19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いOF1マウスにおける免疫原性
40匹の若いOF1マウス(4週齢)の群を、両方ともAlPO4上に吸着させた、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した。Infanrix Hexaも同時投与した。
【0280】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。さらに、13価ワクチン製剤は、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った(WO 04/81515に記載の方法)。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においてはPhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0281】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収された個々の血清中で測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。
【0282】
13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは免疫原性であることが示され、若いOF1マウスにおいてオプソニン食作用力価を誘導した(表18および図21〜22)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えられたマウスにおいて負に影響しなかった。
【0283】
また、血清をオプソニン食作用アッセイにより評価し、その結果を図21および22に示す。
【表18】
【0284】
実施例10:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートのモルモット(Guinea Pig)における免疫原性
20匹の若いモルモット(Hartley Strain;5週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、125μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した(下記参照)。
【0285】
11価ワクチン製剤を、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.25μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。13価ワクチン製剤はさらに、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においてはPhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0286】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、以下のプロトコルを用いて、42日目に回収された個々の血清中で評価した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。
【0287】
モルモット血清学手順:
抗PS19A ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて、42日目に回収された血清中で評価した。
【0288】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型19A(10μg/ml)を用いて、37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05% Tween 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下、室温で30分間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗モルモットIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(1/1000希釈)を添加し、プレートをRTで30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中、4 mgのOPDA)を15分間、各ウェルに添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は、血清中に存在する抗体量に正比例する。
【0289】
未知の血清中に存在する抗PS19A IgGのレベルを、参照曲線と各プレート上に添加された血清とを比較することにより決定し、μg/mlで表す。
【0290】
抗PS22F ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて、42日目に回収された血清中で用量化した。
【0291】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型22F(10μg/ml)を用いて、37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05% Tween 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下、室温で30分間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗モルモットIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(1/1000希釈)を添加し、プレートをRTで30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中、4 mgのOPDA)を15分間、各ウェルに添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は、血清中に存在する抗体量に正比例する。
【0292】
未知の血清中に存在する抗PS22F IgGのレベルを、参照曲線と各プレート上に添加された血清とを比較することにより決定し、μg/mlで表す。
【0293】
他の全ての血清型に対する免疫応答を、モルモットの血清をプールすること以外は同じ手順に従って行った。
【表19】
【0294】
また、オプソニン食作用アッセイを用いて血清を試験し、その結果を図17および18に示す。
【0295】
実施例11:製剤を作製し、試験する
a)以下の製剤を作製する(表1に由来する13価ワクチンおよび表5に由来する血清型3を用いる - 表2の下で考察された14価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22FまたはADHリンカーを介してコンジュゲートされた22Fを用いる])。糖類を、以下に示されるようにリン酸アルミニウムおよび3D-MPLを用いて製剤化する。
【0296】
【0297】
b)同じ糖類製剤を、以下のアジュバントの各々を用いてアジュバント化した。以下の表においては、500μlあたりの乳濁液成分の濃度を示す。
【0298】
【0299】
c)また、糖類を2つのリポソームに基づくアジュバントを用いて製剤化する:
アジュバントB1の組成
定性定量(0.5 mL用量あたり)
リポソーム:
- DOPC 1 mg
- コレステロール0.25 mg
3DMPL 50μg
QS21 50μg
KH2PO4 1 3.124 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.290 mgバッファー
NaCl 2.922 mg
(100 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH 6.1
1. 合計PO4濃度 = 50 mM
アジュバントB2の組成
定性定量(0.5 mL用量あたり)
リポソーム
- DOPC 0.5 mg
- コレステロール 0.125 mg
3DMPL 25μg
QS21 25μg
KH2PO4 1 3.124 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.290 mgバッファー
NaCl 2.922 mg
(100 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH 6.1。
【0300】
d)また、糖類をアジュバントCと共に製剤化する(このアジュバントを用いた他の組成物については上記を参照されたい):
定性定量(0.5 mL用量あたり)
水中油乳濁液:50μl
- スクアレン 2.136 mg
- α-トコフェロール 2.372 mg
- Tween 80 0.97 mg
- コレステロール 0.1 mg
3DMPL 50μg
QS21 50μg
KH2PO4 1 0.470 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.219 mgバッファー
NaCl 4.003 mg
(137 mM)
KCl 0.101 mg
(2.7 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH 6.8。
【0301】
実施例12:Balb/cマウスにおける22F-PhtDコンジュゲート免疫原性に対するコンジュゲーション化学の影響
30匹の雌のBalb/cマウスの群を、PS 1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fを含む13価PS製剤(用量:0.3μg糖類/PS 4、18C、19A、19Fおよび22Fのコンジュゲートならびに0.1μg糖類/他のPSのコンジュゲート)を用いて、0、14および28日目に筋肉内(IM)経路により免疫した。
【0302】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、19Aをホルモル解毒されたPlyに、22FをPhtDに、および他のPSをPDに結合させた。
【0303】
直接CDAP化学により調製された22F-PhtDまたは22F-AH-PhtD(ADH誘導体化PS)からなる2種の製剤を比較した。直接コンジュゲートされたか、またはADHスペーサーを介してコンジュゲートされた22Fを用いて作製された13価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下の注釈を参照されたい。ワクチン製剤にアジュバントCを補給した。
【0304】
抗PS22F ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収された血清中で測定した。
【0305】
22F-AH-PhtDは、IgGレベル(図5)およびオプソニン食作用力価(図6)の両方に関して、22F-PhtDよりも非常に免疫原性が高いことが示された。
【0306】
実施例13:肺炎連鎖球菌莢膜PSコンジュゲートの免疫原性に対する新しいアジュバントの影響
40匹の若いC57B1マウスの群を、PS 1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fを含む13価PS製剤を用いて、0、14および28日目にIM経路により免疫した(用量:0.3μg/PS 4、18C、19A、19Fおよび22Fのコンジュゲートならびに0.1μg/他のPSのコンジュゲート)。
【0307】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、19Aをホルモル解毒されたPlyに、22FをPhtDに、ならびに他のPSをPDに結合させた。直接コンジュゲートされた22Fを用いて作製された13価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下の注釈を参照されたい。
【0308】
AlPO4、アジュバントA1、アジュバントA4またはアジュバントA5を補給された4つの製剤を比較した。
【0309】
抗PS、Ply、PhtDおよびPD ELISA IgGレベルを、42日目に回収され、1群あたりにプールされた血清中で測定した。以下の比率を、それぞれの抗原について算出した:試験した新しいアジュバントで誘導されたIgGレベル/AlPO4で誘導されたIgGレベル。
【0310】
試験した全ての新しいアジュバントは、古典的なAlPO4製剤と比較して、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび22Fコンジュゲートに対して免疫応答を少なくとも2倍改善した(図7)。この実験においては、血清型23Fについて信頼できる応答が得られなかった。
【0311】
実施例14:肺炎球菌サル肺炎モデルにおけるPhtD/解毒されたPlyコンボの防御効果
最も低い予め存在する抗19F抗体レベルを有するものとして選択された、6匹のアカゲザル(3〜8歳齢)の群を、11価PSコンジュゲート(すなわち、1μgのPS 1、3、5、6B、7F、9V、14および23F、ならびに3μgのPS 4、18Cおよび19F[の糖類])またはPhtD(10μg) + ホルモル解毒されたPly(10μg)もしくはPhtD/E融合タンパク質(10μg)およびホルモル解毒されたPly(10μg)もしくはアジュバントのみを用いて、0および28日目に筋肉内的に免疫した。
【0312】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、および他のPSをPDに結合させた。11価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下の注釈を参照されたい。全ての製剤にアジュバントCを補給した。
【0313】
19F型肺炎球菌(5.108 cfu)を、42日目に右肺中に接種した。チャレンジ後1、3および7日目に回収された気管支肺胞洗浄液中でコロニーを計測した。結果を、チャレンジ後7日目に死んだ、肺でコロニー形成した、または消失した1群あたりの動物数として表した。
【0314】
図8に示されたように、統計的有意差に近い良好な防御(用いた動物数が少ないにも拘わらず)が、アジュバントのみの群と比較して、11価コンジュゲートおよびPhtD+dPlyコンボ(p<0.12、フィッシャーの直接確率検定)について得られた。
【0315】
実施例15:抗PhtD抗体応答に対するコンジュゲーション化学の影響および22F-PhtDコンジュゲートにより誘導される4型チャレンジに対する防御効果
20匹の雌のOF1マウスの群を、3μgの22F-PhtD(直接CDAP化学により調製)もしくは22F-AH-PhtD(ADH-誘導体化PS)、またはアジュバントのみを用いて、0および14日目に筋肉内経路により免疫した。両方の1価22Fコンジュゲートを、実施例2のプロセスにより作製した(表1および表2も参照されたい)。それぞれの製剤にアジュバントCを補給した。
【0316】
抗PhtD ELISA IgGレベルを、28日目に回収された血清中で測定した。
【0317】
マウスを、5.106 cfuの4型肺炎球菌(すなわち、試験したワクチン製剤中に存在するPSにより潜在的にカバーされていない肺炎球菌血清型)を用いて、29日目に鼻内的にチャレンジした。誘導された死亡率を、チャレンジ後10日目までモニターした。
【0318】
図9に示される結果は、22F-AH-PhtDが、22F-PhtDと比較して有意に高い抗PhtD IgG応答を誘導したことを示す。これは、図10に示されるように、22F-PhtDと比較して、4型チャレンジに対するより良好な防御に反映されていた。
【0319】
実施例16:防御免疫応答の生成における多糖類とタンパク質を組合わせる利益
PhtDに対する免疫応答と莢膜多糖との潜在的な相乗効果を、マウス致死的肺炎連鎖球菌チャレンジモデルにおいて評価した。マウスを、PhtDを用いて3回(D0、14および28)、筋肉内的に免疫した。細菌チャレンジの1時間前に、抗多糖類抗体を、マウスに受動的に導入した(IP、200μl)。肺炎連鎖球菌により誘導される致死性を、チャレンジ後8または11日間追跡した。防御の相乗効果を、本明細書では2つの肺炎連鎖球菌株(血清型3および血清型1)について提供する。
【0320】
肺炎連鎖球菌3/43株チャレンジモデル:
この実験においては、OF1マウスをAlPO4上に吸着させたPhtDで免疫し、1.25μgの抗PS3モルモット抗体を、肺炎連鎖球菌血清型3(Spn 3/43)を用いるチャレンジの1時間前に受動的に導入した。
【0321】
結果を図11に示す。PBSのみを受けたマウスにおいては、70%の致死性が観察された。抗PS3抗体を受けたマウス群またはPhtDで免疫したマウス群においては、中程度の防御が観察された。ほとんど完全な防御を誘導する相乗効果が、それぞれ、PhtDおよびPS3に対する能動および受動免疫を組合わせたマウスにおいて観察された。
【0322】
肺炎連鎖球菌血清型1/57チャレンジモデル:
この実験においては、OF1マウスをTH1アジュバントでアジュバント化されたPhtDで免疫し、抗PS1モルモット抗体を、肺炎連鎖球菌血清型1(Spn 1/57)を用いるチャレンジの1時間前に受動的に導入した。
【0323】
結果を図12に示す。マウスがTH1アジュバント(能動免疫)およびPBSのみ(受動免疫)を受けた対照群においては、高い致死性が観察された。抗PS1抗体を受けたマウス群(55%生存)、またはPhtDで免疫したマウス群(25%生存)においては、中程度の防御が観察された。ほとんど完全な防御を誘導する相乗効果が、それぞれ、PhtDおよびPS1に対する能動免疫および受動免疫を組合わせたマウスにおいて観察された。
【0324】
これらのデータは、肺炎連鎖球菌感染に対する防御の機構における、肺炎球菌タンパク質(すなわち、PhtD)および莢膜多糖に対する免疫応答の相乗効果を支持している。
【0325】
実施例17:11価製剤中の残存する肺炎球菌PS-PDコンジュゲートに対する免疫応答における肺炎球菌PS-TTおよびPS-DTコンジュゲートの影響
11 PS-PDコンジュゲートを含む製剤を、マウスおよびモルモット免疫原性モデルの両方において、7 PS-PD、2 PS-TT(PB 6Bおよび23F)ならびに2 PS-DT(PS 18Cおよび19F)コンジュゲートを含む製剤と比較した。
【0326】
マウスを、ヒト用量の1/10のワクチン(0.1μgのPS)で3回、筋肉内的に免疫した。血液サンプルを42日目に回収し、各多糖に対する免疫応答をELISAにより測定した。
【0327】
モルモットを、ヒト用量の1/4のワクチン(0.25μgのPS)で3回、筋肉内的に免疫した。Infanrix Hexaを同時投与して、ヒトの状況を模倣した。血液サンプルを42日目に回収し、各多糖に対する免疫応答をELISAにより測定した。
【0328】
【0329】
PDにコンジュゲートさせた多くの多糖に対する免疫応答の増加が、マウスおよびモルモットにおいて、11-V PD製剤と比較した場合、TT(PS 6Bおよび23F)ならびにDT(PS 18Cおよび19F)にコンジュゲートさせた2種の多糖を含む製剤中で観察された。これらの差異は、マウスおよびモルモットにおいて、それぞれPS 1、4、5、9Vおよび14ならびにPS1、7Fおよび14に対して統計的に有意であった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
2歳未満の子供は多くの多糖類ワクチンに対する免疫応答を高めないため、タンパク質担体への化学的結合により多糖類を免疫原性にする必要があった。T依存的抗原であるタンパク質へのT非依存的抗原である多糖類の結合は、該多糖類に対して、アイソタイプスイッチング、親和性成熟、および記憶誘導などのT依存性の特性を付与する。
【0003】
しかしながら、多糖類-タンパク質コンジュゲート、または多価ワクチンを形成する多糖類-タンパク質コンジュゲートの組合せの反復投与には問題も存在し得る。例えば、タンパク質担体として破傷風トキソイド(TT)を用いるb型インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)多糖(PRP)ワクチンを、標準的な幼児計画に従って(遊離)TTおよび肺炎球菌多糖-TTコンジュゲートワクチンを用いる同時免疫化について一定の用量範囲で試験したことが報告されている。肺炎球菌ワクチンの用量が増加するにつれて、HibコンジュゲートワクチンのPRP多糖部分に対する免疫応答、例えば、おそらく同じ担体タンパク質の使用を介する、該多糖類の免疫妨害などが低下した(Daganら、Infect Immun. (1998); 66: 2093-2098)。
【0004】
前記タンパク質自体に対する体液性応答に対する担体-タンパク質用量の効果も、多面的であることが証明されている。ヒト幼児においては、四価破傷風トキソイドコンジュゲートの用量が、破傷風担体に対する応答の低下をもたらすことが報告されている(Daganら、上掲)。組合せワクチンのこれらの効果の古典的分析が担体により誘導されるエピトープ抑制として記載されており、これは完全には理解されていないが、過剰量の担体タンパク質の結果生じると考えられる(Fattom, Vaccine 17: 126 (1999))。これは、担体タンパク質に対するB細胞、および多糖類に対するB細胞による、Th細胞との競合をもたらすようである。担体タンパク質に対するB細胞が優勢である場合、多糖類に特異的なB細胞のために必要な援助を提供するのに利用可能な十分な数のTh細胞が存在しない。しかしながら、観察された免疫学的効果は、いくつかの例においては担体タンパク質の総量が免疫応答を増加させ、他の場合、免疫応答を低下させることと一致していなかった。
【0005】
従って、単一の有効なワクチン製剤中に複数の多糖類コンジュゲートを混合する際には技術的困難性が依然として存在する。
【0006】
肺炎連鎖球菌は、かなりの罹患率および死亡率(特に、若者および高齢者における)の原因となり、肺炎、菌血症および髄膜炎などの侵襲的疾患、ならびに急性中耳炎などのコロニー形成と関連する疾患を引き起こすグラム陽性細菌である。60歳を超える年齢に関する米国における連鎖球菌性肺炎の割合は、100,000人あたり3〜8人であると見積もられている。20%の事例において、これは菌血症、および髄膜炎などの他の兆候をもたらすが、抗生物質治療を行ってもその死亡率は30%に近い。
【0007】
肺炎球菌は、血清型特異性を付与する化学的に結合された多糖類の莢膜を有する。90種の公知の血清型の肺炎球菌が存在し、莢膜は補体から細菌の内部表面を防御するだけでなく、それ自身、免疫原性が低いため、それは肺炎球菌の主要なビルレンス決定因子である。多糖類はT非依存的抗原であり、MHC分子上で処理または提示されてT細胞と相互作用することができない。しかしながら、それらは、B細胞上の表面受容体の架橋を含む代替的な機構を介して免疫系を刺激することができる。
【0008】
侵襲性肺炎球菌疾患に対する防御は、莢膜に特異的な抗体と最も強く相関し、その防御は血清型特異的であることが、いくつかの実験において示された。
【0009】
肺炎連鎖球菌は、幼児および小児における侵襲性細菌疾患および中耳炎の最も一般的な原因である。同様に、高齢者は肺炎球菌ワクチンに対してあまり応答せず[Roghmannら(1987), J. Gerontol. 42:265-270]、従って、この集団における細菌性肺炎の発生率の上昇をもたらす[VergheseおよびBerk, (1983) Medicine (Baltimore) 62:271-285]。
【0010】
肺炎連鎖球菌により引き起こされる主な臨床症候群が広く認識されており、あらゆる標準的な医学書で考察されている(Fedson DS, Muscher DM. In: Plotkin SA, Orenstein WA(編)、Vaccines. 第4版、PhiladelphiaWB Saunders Co, 2004a: 529-588)。例えば、侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)は、肺炎連鎖球菌が血液または別の通常は無菌性の部位から単離される任意の感染症と定義される(Musher DM. Streptococcus pneumoniae. In Mandell GL, Bennett JE, Dolin R (編). Principles and Practice of Infectious diseases (第5版). New York, Churchill Livingstone, 2001, p2128-2147)。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、同時に存在することが多いいくつかの症状(気道閉塞、慢性気管支炎、細気管支炎もしくは末梢気道疾患および肺気腫)を包含すると認識される。患者は、通常は息切れの増加と関連するその症状の悪化を患い、粘液もしくは膿性痰をもたらす咳が増加することが多い(Wilson, Eur Respir J 2001 17:995-1007)。COPDは、慢性気管支炎および/または肺気腫を有する患者における不可逆的または部分的に可逆的な気道閉塞の存在により生理学的に定義される(Standards for the diagnosis and care of patients with chronic obstructive pulmonary disease. American Thoracic Society. Am J Respir Crit Care Med. 1995 Nov;152(5 Pt 2):S77-121)。COPDの悪化は、細菌(例えば、肺炎球菌)感染により引き起こされることが多い(Sethi S, Murphy TF. Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease in 2000: a state-of-the-art review. Clin Microbiol Rev. 2001 Apr;14(2):336-63)。
【発明の概要】
【0011】
かくして、本発明の目的は、複数の血清型の肺炎連鎖球菌多糖コンジュゲートワクチンの改良された製剤を開発することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】高齢のアカゲザルにおけるコンジュゲートの免疫原性(II後の抗PS IgGレベル)を示す。棒グラフは高齢のアカゲザルにおける11価コンジュゲートの免疫原性を示す。明るい方の棒は、リン酸アルミニウムアジュバント中の11価コンジュゲートを2回接種した後のGMCを表す。暗い方の棒はアジュバントC中の11価コンジュゲートを2回接種した後のGMCを表す。
【図2】高齢のアカゲザルにおけるコンジュゲートの免疫原性(II後の抗PS3記憶B細胞頻度)を示す。棒グラフは、アジュバントCまたはリン酸アルミニウムアジュバント中の11価コンジュゲートを接種した後のPS3に関する記憶B細胞を示す。
【図3】Balb/cマウスにおけるPS19Fの免疫原性(III後のIgGレベル)を示す。棒グラフは、4価プレーン多糖および4価dPlyコンジュゲートに関するBalb/cマウスにおける抗多糖19Fの免疫原性を示す。
【図4】Balb/cマウスにおけるPS22Fの免疫原性(III後のIgGレベル)を示す。棒グラフは、4価プレーン多糖および4価PhtDコンジュゲートに関するBalb/cマウスにおける抗多糖22Fの免疫原性を示す。
【図5】血清抗PS IgG抗体レベルを示す。棒グラフは、Balb/cマウスにおける抗22F IgG応答を示す。
【図6】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。棒グラフはBalb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図7】新規アジュバントまたはAlPO4を用いるIII回目の免疫後の若いC57Blマウスにおいて誘導されるIgG応答の比較を示す。棒グラフは、様々なアジュバント中で製剤化された13価コンジュゲートワクチンを用いる免疫後の若いC57Blマウスにおいて誘導されるIgG応答を比較する。棒グラフは、右手欄に示されるのと同じ順序である。
【図8】アカゲザルにおける19F型肺コロニー形成に対するPhtDおよびdPlyタンパク質組合せの防御効果を示す。棒グラフは、サルの肺炎モデルにおける様々なワクチン組合せの防御効果を示す。「死亡」カテゴリーは、抗生物質治療を投与したが死亡したサルを含む。
【図9】血清抗PhtD IgG応答を示す。棒グラフは、22F-PhtDまたは22F-AH-PhtDコンジュゲートを用いる免疫後のBalb/cマウスにおける抗PhtD IgG応答を示す。
【図10】マウスにおける4型肺炎球菌チャレンジに対する防御を示す。22F-PhtDまたは22F-AH-PhtDを用いる免疫後のマウスにおける4型肺炎球菌チャレンジに対する防御を示す。
【図11】PhtDを用いる免疫および血清型3多糖に対する抗体を用いる受動免疫後の肺炎連鎖球菌3/43株を用いる致死的チャレンジに対する防御を示す。
【図12】PhtDを用いる免疫および血清型1多糖に対する抗体を用いる受動免疫後の肺炎連鎖球菌1/57株を用いる致死的チャレンジに対する防御を示す。
【図13】高齢のC57ブラックマウスにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図14】高齢のC57ブラックマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図15】Balb/cマウスにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図16】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図17】モルモットにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図18】モルモットにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図19】Balb/cマウスにおける抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図20】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【図21】OF1における抗19Aオプソニン食作用力価を示す。
【図22】OF1における抗22Fオプソニン食作用力価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、2種以上の担体タンパク質にコンジュゲート(結合)された異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する10種以上(例えば、11、12、13、14または15種以上)の莢膜糖類を含む改良された肺炎連鎖球菌ワクチンであって、ジフテリアトキソイドまたはCRM197にコンジュゲートされた血清型19Fの莢膜糖類およびタンパク質Dにコンジュゲートされた異なる血清型から選択される2〜8種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む、前記ワクチンを提供する。
【0014】
本発明の目的のために、「COPDの悪化に対するヒト宿主を免疫すること」または「COPDの悪化の治療もしくは予防」または「COPD悪化の重篤度の低下」とは、COPD悪化の発生率もしくは速度の低下(例えば、0.1、0.5、1、2、5、10、20%以上の速度の低下)、または例えば、本発明の組成物もしくはワクチンで免疫された患者群内での、上記で定義されたCOPD悪化の重篤度の低下を指す。
【0015】
典型的には、本発明の肺炎連鎖球菌ワクチンは、糖類が少なくとも10種の血清型の肺炎連鎖球菌から誘導された、莢膜糖類抗原(好ましくは、コンジュゲートされたもの)を含むであろう。肺炎連鎖球菌莢膜糖類の数は、10種の異なる血清型(または「v」、価数)から23種の異なる血清型(23v)の範囲であってよい。一実施形態においては、10、11、12、13、14または15種の異なる血清型が存在する。本発明の別の実施形態においては、前記ワクチンはコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌糖類とコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌糖類を含んでもよい。好ましくは、糖類血清型の総数は23以下である。例えば、本発明は、10種のコンジュゲートされた血清型および13種のコンジュゲートされていない糖類を含んでもよい。同様の様式で、前記ワクチンは11、12、13、14、15もしくは16種のコンジュゲートされた糖類およびそれぞれ12、11、10、9、8もしくは7種のコンジュゲートされていない糖類を含んでもよい。
【0016】
用語「異なる血清型から選択される」とは、タンパク質Dにコンジュゲートされた莢膜糖類が19F以外の肺炎連鎖球菌血清型に由来することを意味する。
【0017】
本発明の免疫原性組成物は、タンパク質Dが担体タンパク質である、2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、3〜5種、4〜5種、2〜4種、2〜3種、3〜4種もしくは2種、3種、4種、5種、6種、7種もしくは8種の莢膜糖類コンジュゲートを含む。例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fまたは23Fに由来する糖類をタンパク質Dにコンジュゲート(結合)させる。例えば、血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fから選択される2〜8種、2〜7種、2〜6種、2〜5種、3〜5種、4〜5種、2〜4種、2〜3種、3〜4種もしくは2種、3種、4種、5種、6種、7種もしくは8種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。
【0018】
一実施形態においては、少なくとも血清型1と3、1と4、1と5、1と6A、1と6B、1と7、1と9V、1と14、1と22F、1と23F、3と4、3と5、3と6A、3と6B、3と7F、3と9V、3と14、3と22F、3と23F、4と5、4と6A、4と6B、4と7F、4と9V、4と14、4と22F、4と23F、5と6A、5と6B、5と7F、5と9V、5と14、5と22F、5と23F、6Aと6B、6Aおよび7F、6Aと7F、6Aと9V、6Aと14、6Aと22F、6Aと23F、6Bと7F、6Bと9V、6Bと14、6Bと22F、6Bと23F、7Fと9V、7Fと14、7Fと22F、7Fと23F、9Vと14、9Vと22F、9Vと23F、14と22F、14と23Fまたは22Fと23Fに由来する糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。
【0019】
一実施形態においては、少なくとも血清型1、3および4; 1、3および5; 1、3および6A; 1、3および6B; 1、3および7F; 1、3および9V; 1、3および14; 3、4および7F; 3、4および5; 3、4および7F; 3、4および9V; 3、4および14; 4、5および7F; 4、5および9V; 4、5、および14; 5、7Fおよび9V; 5、7Fおよび14; 7F、9Vおよび14; 1、3、4および5; 3、4、5および7F; 4、5、7Fおよび9V; 4、5、7Fおよび14; 4、5、9Vおよび14; 4、7F、9Vおよび14; 5、7F、9Vおよび14;または4、5、7F、9Vおよび14に由来する糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。
【0020】
一実施形態においては、半分または少数の本発明の免疫原性組成物中に存在する莢膜糖類コンジュゲートは、担体タンパク質としてタンパク質Dを含む。例えば、10価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4または5種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、11価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4または5種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、12価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5または6種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、13価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5または6種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、14価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6または7種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、15価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6または7種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、16価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7または8種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、17価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7または8種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、18価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7、8または9種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。例えば、19価肺炎連鎖球菌ワクチンにおいては、様々な血清型に由来する2、3、4、5、6、7、8または9種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる。必要に応じて、タンパク質Dにコンジュゲートさせた血清型を、上記の群から選択する。
【0021】
一実施形態においては、本発明の多価肺炎球菌ワクチンを、以下の血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択することができるが、1種または2種の他の血清型を、ワクチンを受けるレシピエントの年齢およびワクチンを投与することができる地理的な位置に応じて置換してもよいこと(例えば、血清型6Aをリストに含むことができる)が理解される。例えば、10価ワクチンは、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fに由来する多糖類を含んでもよい。11価ワクチンはまた、血清型3に由来する糖類を含んでもよい。12価または13価の小児用(幼児用)ワクチンは、血清型6Aと19A、または6Aと22F、または19Fと22F、または6Aおよび15、または19Aと15、または22Fと15を補給した10価または11価の製剤を含んでもよいが、13価の高齢者用ワクチンは血清型19Aと22F、8と12F、または8と15、または8と19A、または8と22F、または12Fと15、または12Fと19A、または12Fと22F、または15と19A、または15と22Fを補給した11価の製剤を含んでもよい。14価の小児用ワクチンは、血清型3、6A、19Aおよび22F;血清型6A、8、19Aおよび22F;血清型6A、12F、19Aおよび22F;血清型6A、15、19Aおよび22F;血清型3、8、19Aおよび22F;血清型3、12F、19Aおよび22F;血清型3、15、19Aおよび22F;血清型3、6A、8および22F;血清型3、6A、12Fおよび22F;または血清型3、6A、15および22Fを補給した上記の10価の製剤を含んでもよい。
【0022】
一実施形態においては、前記組成物は血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F(好ましくはコンジュゲートされたもの)から誘導された莢膜糖類を含む。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも11種の糖類抗原(好ましくはコンジュゲートされたもの)は、例えば、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類を含む。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも12種もしくは13種の糖類抗原が含まれ、例えば、ワクチンは血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類または血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類を含んでもよいが、さらなる糖類抗原、例えば、23価(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fなど)も本発明により意図される。
【0023】
本発明の免疫原性組成物は、インフルエンザ菌に由来するタンパク質D(PD)を含む(例えば、EP 0594610の図9を参照)。インフルエンザ菌は中耳炎の重要な原因生物であり、本発明者らは、肺炎連鎖球菌ワクチン中へのこのタンパク質の含有は、インフルエンザ菌に関連する中耳炎に対する一定レベルの防御を提供することを示した(Pyrmulaら、Lancet 367; 740-748 (2006))。一態様においては、PDは1種以上の糖類のための担体タンパク質として存在する。別の態様においては、タンパク質Dは遊離タンパク質としてワクチン組成物中に存在してもよい。さらなる態様においては、タンパク質Dは担体タンパク質および遊離タンパク質の両方として存在する。タンパク質Dを、完全長タンパク質として、または断片として用いることができる(WO0056360)。さらなる態様においては、タンパク質Dは、多くの糖類のための担体タンパク質として存在し、例えば、6、7、8、9種以上の糖類をタンパク質Dに結合することができる。この態様においては、タンパク質Dは遊離タンパク質としても存在してもよい。
【0024】
本発明のワクチンは、2種以上の異なる型の担体タンパク質を含む。それぞれの型の担体タンパク質は、同じか、または異なっていてもよい2つ以上の糖類のための担体として働くことができる。例えば、血清型3および4を同じ担体タンパク質に、担体タンパク質の同じ分子に、または同じ担体タンパク質の異なる分子に結合させることができる。一実施形態においては、2種以上の異なる糖類を、同じ担体タンパク質に、担体タンパク質の同じ分子に、または同じ担体タンパク質の異なる分子に結合させることができる。
【0025】
各肺炎連鎖球菌莢膜糖類(常にDTまたはCRM197、好ましくはDTにコンジュゲートされる血清型19Fに由来する糖類以外)を、TT、DT、CRM197、TTの断片C、PhtD、PhtDE融合物(特にWO 01/98334およびWO 03/54007に記載のもの)、解毒された肺炎球菌溶血素およびタンパク質Dからなる群より独立に選択された担体タンパク質に結合させることができる。本発明のコンジュゲート中で用いることができる担体タンパク質のより完全な一覧を以下に提供する。
【0026】
タンパク質担体が組成物における2種以上の糖類について同一である場合には、当該糖類を当該タンパク質担体の同一分子にコンジュゲートさせることができる(それにコンジュゲートされた2種以上の異なる糖類を有する担体分子)[例えば、WO04/083251を参照]。あるいは、糖類をタンパク質担体の異なる分子にそれぞれ別々にコンジュゲートさせてもよい(それにコンジュゲートされた1つの型の糖類のみを有するタンパク質担体の各分子)。
【0027】
本発明の免疫原性組成物中に存在するコンジュゲート中の1種以上の肺炎連鎖球菌莢膜糖類に結合される担体タンパク質は、必要に応じて、いくつかのポリヒスチジントライアドファミリー(Pht)タンパク質、その断片または融合物である。PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtEタンパク質は、WO 00/37105またはWO 00/39299に開示された配列(例えば、PhtDについてはWO 00/37105の配列番号4のアミノ酸配列1〜838または21〜838)と80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。例えば、融合タンパク質は、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEの2、3または4の完全長または断片から構成される。融合タンパク質の例は、N末端で最初に言及されたものと連結された、PhtA/B、PhtA/D、PhtA/E、PhtB/A、PhtB/D、PhtB/E、PhtD/A、PhtD/B、PhtD/E、PhtE/A、PhtE/BおよびPhtE/Dである(例えば、WO 01/98334を参照)。
【0028】
Phtタンパク質の断片を用いる場合(別々に、または融合タンパク質の一部として)、それぞれの断片は必要に応じて、そのようなポリペプチドの1個以上のヒスチジントライアドモチーフおよび/またはコイルドコイル領域を含む。ヒスチジントライアドモチーフは、配列HxxHxH(式中、Hはヒスチジンであり、xはヒスチジン以外のアミノ酸である)を有するポリペプチドの一部である。コイルドコイル領域は、「Coils」アルゴリズム(Lupus, Aら(1991) Science 252; 1162-1164)により予測される領域である。一実施形態においては、その断片またはそれぞれの断片は、1個以上のヒスチジントライアドモチーフならびに少なくとも1個のコイルドコイル領域を含む。一実施形態においては、その断片またはそれぞれの断片は、正確に、または少なくとも2、3、4もしくは5個のヒスチジントライアドモチーフ(必要に応じて、2個以上のトライアド間の天然Pht配列、または天然の肺炎球菌トライアド内Pht配列、例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4に示されるトライアド内配列と50、60、70、80、90%以上もしくは100%同一であるトライアド内配列)を含む。一実施形態においては、その断片またはそれぞれの断片は、正確に、または少なくとも2、3もしくは4個のコイルドコイル領域を含む。一実施形態においては、本明細書に開示されたPhtタンパク質は、シグナル配列が結合した完全長タンパク質、シグナルペプチドが除去された成熟な完全長タンパク質(例えば、N末端の20個のアミノ酸)、Phtタンパク質の天然変異体およびPhtタンパク質の免疫原性断片(例えば、上記の断片またはWO 00/37105(配列番号4、6、8もしくは10)もしくはWO 00/39299(配列番号2、4、6、8、10もしくは14)中のアミノ酸配列に由来する少なくとも15もしくは20個の連続するアミノ酸を含むポリペプチドであって、WO 00/37105もしくはWO 00/39299中の該アミノ酸配列に特異的な免疫応答を誘起する(引き出す)ことができる前記ポリペプチド)を含む。
【0029】
特に、本明細書で用いられる用語「PhtD」は、シグナル配列が結合した完全長タンパク質、シグナルペプチド(例えば、N末端の20個のアミノ酸)が除去された成熟な完全長タンパク質、PhtDの天然変異体およびPhtDの免疫原性断片(例えば、上記の断片またはWO 00/37105もしくはWO 00/39299中のPhtDアミノ酸配列に由来する少なくとも15もしくは20個の連続するアミノ酸を含むポリペプチドであって、該ポリペプチドはWO 00/37105もしくはWO 00/39299中の該PhtDアミノ酸配列に特異的な免疫応答を誘起することができる前記ポリペプチド(例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4もしくはWO 00/392999中の配列番号14))を含む。上記のPhtDの全ての形態を本発明において使用することができる。
【0030】
タンパク質担体が前記組成物中の2種以上の糖類について同じである場合、前記糖類をタンパク質担体の同じ分子(それに結合させた2個以上の異なる糖類を有する担体分子)に結合させることができる[例えば、WO 04/083251を参照]。あるいは、前記糖類を、タンパク質担体の異なる分子(それに結合させた1種の型の糖類のみを有するタンパク質担体のそれぞれの分子)にそれぞれ別々に結合させることができる。
【0031】
本発明において用いることができる担体タンパク質の例は、DT(ジフテリアトキソイド)、TT(破傷風トキソイド)またはTTの断片C、DT CRM197(DT変異体)、CRM176、CRM228、CRM45などの他のDT点突然変異体(Uchidaら、J. Biol. Chem. 218; 3838-3844, 1973);CRM 9、CRM 45、CRM102、CRM 103およびCRM107ならびにNichollsおよびYoule、Genetically Engineered Toxins、Frankel(編)、Maecel Dekker Inc, 1992により記載された他の突然変異;Glu-148からAsp、GlnもしくはSer、および/またはAla158からGlyへの欠失もしくは突然変異ならびに米国特許第4,709,017号もしくは米国特許第4,950,740号に開示された他の突然変異;少なくとも1個以上の残基Lys 516、Lys 526、Phe 530および/もしくはLys 534の突然変異ならびに米国特許第5,917,017号もしくは第6,455,673号に開示された他の突然変異;または米国特許第5,843,711号に開示された断片、肺炎球菌溶血素(Kuoら(1995) Infect Immun 63; 2706-13)、例えば、いくつかの様式で解毒されたply、例えば、dPLY-GMBS(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)もしくはdPLY-formol、PhtX、例えば、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEおよびPhtタンパク質の融合物、例えば、PhtDE融合物、PhtBE融合物(WO 01/98334およびWO 03/54007)、(PhtA-Eを以下により詳細に説明する)OMPC(通常は髄膜炎菌血清群Bから抽出される、髄膜炎菌外膜タンパク質-EP0372501)、PorB(髄膜炎菌由来)、PD(インフルエンザ菌タンパク質D、例えば、EP 0 594 610 Bを参照)、またはその免疫学的に機能的な等価物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712、WO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、増殖因子もしくはホルモン(WO 91/01146)、N19タンパク質(Baraldoiら(2004) Infect Immun 72; 4884-7)、肺炎球菌表面タンパク質PspA (WO 02/091998)、鉄取込みタンパク質(WO 01/72337)、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)の毒素AもしくはB(WO 00/61761)などの様々な病原体に由来する抗原(Falugiら(2001) Eur J Immunol 31; 3816-3824)に由来する複数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質である。
【0032】
Nurkkaら、Pediatric Infectious Disease Journal. 23(11):1008-14, 2004 Nov.は、PDに結合させた全ての血清型を有する11価の肺炎球菌ワクチンを記載した。しかしながら、本発明者らは、PDに結合させた19Fと比較して、DTに結合させた19Fを有するコンジュゲートを用いて誘導された抗体について、オプソニン食作用活性が改善されたことを示した。さらに、本発明者らは、DTに結合させた19Fについて、19Aに対するより大きい交叉反応性が認められることを示した。従って、血清型19FをDTまたはCRM 197に結合させることが本発明の組成物の特徴である。一態様においては、血清型19FをDTに結合させる。前記免疫原性組成物の残りの糖類血清型を全て、DTではない1種以上の担体タンパク質に結合させる(すなわち、19FのみをDTに結合させる)か、またはDTではない、およびDT自身である1種以上の担体タンパク質の間で分割することができる。一実施形態においては、19FをDTまたはCRM 197に結合させ、残りの血清型の全部をPDに結合させる。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPDと、TTもしくはDTもしくはCRM 197との間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM 197に結合させ、1種以下の糖類をTTに結合させる。この実施形態の一態様においては、前記1種の糖類は18Cまたは12Fである。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、2種以下の糖類をTTに結合させる。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TTおよびDTもしくはCRM 197の間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TTと肺炎球菌溶血素の間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TTとCRM 197との間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM 197に結合させ、残りの血清型をPD、TT、肺炎球菌溶血素と、必要に応じて、PhtDもしくはPhtD/E融合タンパク質との間で分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM197に結合させ、19Aを肺炎球菌溶血素もしくはTTに結合させ、1種(2または3種)のさらなる糖類をTTに結合させ、1種のさらなる糖類をPhtDもしくはPhtD/Eに結合させ、全てのさらなる糖類をPDに結合させる。さらなる実施形態においては、19FをDTもしくはCRM197に結合させ、19Aを肺炎球菌溶血素に結合させ、1種(2または3種)のさらなる糖類をTTに結合させ、1種のさらなる糖類を肺炎球菌溶血素に結合させ、2種のさらなる糖類をPhtDもしくはPhtD/Eに結合させ、全てのさらなる糖類をPDに結合させる。
【0033】
本明細書を通して用いられる用語「糖類」は、多糖類またはオリゴ糖を示し、その両方を含んでもよい。多糖類を細菌から単離し、公知の方法(例えば、EP497524およびEP497525を参照されたい)ならびに好ましくは微小流動化によりある程度までサイズを変えることができる。多糖類をサイズ変更して、多糖類サンプル中での粘度を低下させ、および/または結合産物に関する濾過性を改善することができる。オリゴ糖は少数の反復単位(典型的には、5〜30個の反復単位)を有し、典型的には加水分解された多糖類である。
【0034】
肺炎連鎖球菌の莢膜多糖は、最大で8個の糖残基を含んでもよい反復オリゴ糖単位を含む。重要な肺炎連鎖球菌血清型のオリゴ糖単位の概説については、JONES, Christopher. Vaccines based on the cell surface carbohydrates of pathogenic bacteria. An. Acad. Bras. Cienc., June 2005, vol.77, no.2, p.293-324. Table II ISSN 0001-3765を参照されたい。一実施形態においては、莢膜糖類抗原は完全長多糖類であってよいが、他の実施形態においては、それは1個のオリゴ糖単位、または天然の長さの糖鎖の反復オリゴ糖単位よりも短いものであってよい。一実施形態においては、前記ワクチン中に存在する全ての糖類は多糖類である。完全長多糖類を「サイズ変更する」ことができる、すなわち、酸加水分解処理、過酸化水素処理、オリゴ糖断片を作製するためのemulsiflex(登録商標)、次いで過酸化水素処理によるサイズ変更または微小流動化などの様々な方法により、そのサイズを低下させることができる。
【0035】
本発明者らはまた、当業界の焦点はコンジュゲート製造を容易にするためにオリゴ糖を用いることであったことに留意した。本発明者らは、天然の、もしくはわずかにサイズ変更された多糖類コンジュゲートを用いることにより、1個以上の以下の利点を実現することができることを見出した:1)濾過可能である高い免疫原性を有するコンジュゲート、2)コンジュゲート中の多糖類とタンパク質の比率を、コンジュゲート中の多糖類とタンパク質の比率(w/w)を増加させることができるように変化させることができる(担体抑制効果に対する効果を有し得る)、3)加水分解を受けやすい免疫原性コンジュゲートを、コンジュゲーションのためにより大きい糖類の使用により安定化することができる。より大きい多糖類の使用は、コンジュゲート単体とのより多い架橋をもたらし、コンジュゲートからの遊離糖類の遊離を低下させることができる。従来技術において記載されたコンジュゲートワクチンは、コンジュゲーションを改善するためにコンジュゲーションの前に多糖類を脱重合させる傾向がある。本発明者らは、より大きいサイズの糖類を保持する糖類コンジュゲートワクチンが、肺炎球菌疾患に対する良好な免疫応答を提供することができることを見出した。
【0036】
かくして、本発明の免疫原性組成物は、コンジュゲーション前の各糖類の平均サイズ(例えば、重量平均分子量;Mw)が、80 kDa、100 kDa、200 kDa、300 kDa、400 kDa、500 kDaまたは1000 kDaを超えるものである、1種以上の糖類コンジュゲートを含んでもよい。一実施形態においては、本発明の1種以上の糖類コンジュゲートは、コンジュゲーションの前に50〜1600、80〜1400、100〜1000、150〜500、または200〜400 kDaの平均サイズの糖類を有するべきである(平均サイズがMwである場合、「kDa」単位を「x 103」と置換するべきであることに留意されたい)。一実施形態においては、コンジュゲーション後のコンジュゲートは、濾過前のサンプルと比較して、濾過後に50、60、70、80、90または95%を超える収率が得られるように、0.2μmのフィルターを通して容易に濾過可能であるべきである。
【0037】
本発明の目的のために、「天然多糖類」とは、その目的が糖類のサイズを低下させることであるプロセス(例えば、精製後のプロセス)にかけられていない糖類を指す。多糖類は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに低下することになってもよい。そのような糖類は依然として天然である。多糖類がサイズ変更技術にかけられた場合にのみ、この多糖類は天然でないと考えられる。天然多糖類のサイズは、例えば、250 kDa〜2,000 kDa、400〜1,500 kDa、750 kDa〜1,250 kDa、300 kDa〜600 kDa、500〜1,000 kDa、または1,000〜1,500 kDaであり、当業者により理解されるように、異なるサイズの天然多糖類を有する異なる血清型を有する。
【0038】
本発明の目的のために、「最大でx2の因子によりサイズ変更される」とは、前記糖類が、該糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの半分を超えるサイズを保持するように意図されたプロセスにかけられることを意味する。x3、x4などは同じように解釈される、すなわち、前記糖類が、該多糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの1/3、1/4などを超えるサイズを保持するように意図されたプロセスにかけられると解釈される。
【0039】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質に結合された少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌糖類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種もしくはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類が天然多糖類である、前記糖類を含む。
【0040】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質に結合された少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌糖類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類が最大でx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10の因子によりサイズ変更される、前記糖類を含む。この態様に一実施形態においては、大部分の糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類が最大でx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10の因子によりサイズ変更される。
【0041】
本明細書に記載の糖類の分子量または平均分子量(またはサイズ)とは、コンジュゲーションの前に測定され、MALLSにより測定される糖類の重量平均分子量(Mw)を指す。
【0042】
MALLS技術は当業界でよく知られており、典型的には、実施例2に記載のように実行される。肺炎球菌糖類のMALLS分析のためには、2個のカラム(TSKG6000および5000PWxl)を組合わせて使用し、糖類を水中に溶出させる。光散乱検出器(例えば、488 nmの10 mWのアルゴンレーザーを備えたWyatt Dawn DSP)および干渉屈折計(例えば、P100セルおよび498 nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を用いて糖類を検出する。
【0043】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類は天然多糖類または通常の抽出プロセスの間にサイズが低下した天然多糖類である。
【0044】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、機械的切断により、例えば、微小流動化または超音波処理によりサイズ変更する。微小流動化および超音波処理は、濾過可能なコンジュゲートを提供するのに十分なより大きい天然多糖類のサイズを低下させる利点を有する。サイズ変更は、x20、x10、x8、x6、x5、x4、x3またはx2以下の因子による。
【0045】
一実施形態においては、前記免疫原性組成物は、天然多糖類と、x20以下の因子によりサイズ変更された糖類との混合物から作製された肺炎連鎖球菌コンジュゲートを含む。この実施形態の一態様においては、大部分の前記糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類を、最大でx2、x3、x4、x5またはx6によりサイズ変更する。
【0046】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、リンカー、例えば、二官能性リンカーを介して担体タンパク質に結合させる。このリンカーは必要に応じて、例えば、1個の反応性アミノ基および1個の反応性カルボン酸基、2個の反応性アミノ基または2個の反応性カルボン酸基を有する、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性である。前記リンカーは、例えば、4〜20、4〜12、5〜10個の炭素原子を有する。可能性のあるリンカーは、ADHである。他のリンカーとしては、B-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Geverら(1979) Med. Microbiol. Immunol. 165; 171-288)、ハロゲン化ハロアルキル(米国特許第4057685号)、グリコシド結合(米国特許第4,673,574号、第4,808,700号)、ヘキサンジアミンおよび6-アミノカプロン酸(米国特許第4,459,286号)が挙げられる。一実施形態においては、血清型18Cに由来する糖類を結合させるためのリンカーとしてADHを用いる。一実施形態においては、血清型22Fに由来する糖類を結合させるためのリンカーとしてADHを用いる。
【0047】
本発明の免疫原性組成物中に存在する糖類コンジュゲートを、任意の公知のカップリング技術により調製することができる。コンジュゲーション方法は、シアン酸エステルを形成する1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)による糖類の活性化に依存し得る。かくして、活性化された糖類を、担体タンパク質上のアミノ基に、直接的に、またはスペーサー(リンカー)基を介して結合させることができる。例えば、スペーサーは、マレイミドにより活性化される担体タンパク質(例えば、GMBSを用いる)またはハロアセチル化担体タンパク質(例えば、ヨードアセトイミド[例えば、エチルヨードアセトイミドHCl]もしくはN-スクシンイミジルブロモアセテートもしくはSIAB、もしくはSIA、もしくはSBAPを用いる)との反応後に得られるチオエーテル結合を介して担体に結合させることができるチオール化多糖類を与えるシスタミンまたはシステアミンであってよい。好ましくは、シアン酸エステル(必要に応じて、CDAP化学により作製される)を、ヘキサンジアミンまたはADHと結合させ、アミノ誘導体化された糖類を、タンパク質担体上のカルボキシル基を介するカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学を用いて担体タンパク質に結合させる。そのようなコンジュゲートはPCT公開出願WO 93/15760 Uniformed Services UniversityならびにWO 95/08348およびWO 96/29094に記載されている。
【0048】
他の好適な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを用いる。多くがWO 98/42721に記載されている。コンジュゲーションは、糖類の遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethellら、J. Biol. Chem. 1979, 254; 2572-4, Hearnら、J. Chromatogr. 1981. 218; 509-18)、次いで、タンパク質との反応によりカルバメート結合を形成させることにより形成することができるカルボニルリンカーを含んでもよい。これは、一次ヒドロキシル基へのアノマー末端の還元、必要に応じて、CDIカルバメート中間体を形成する一次ヒドロキシル基とCDIとの一次ヒドロキシル基の反応の保護/脱保護およびCDIカルバメート中間体とタンパク質上のアミノ基とのカップリングを含んでもよい。
【0049】
前記コンジュゲートを、米国特許第4,365,170号 (Jennings)および米国特許第4,673,574号 (Anderson)に記載の直接的還元的アミノ化方法により調製することもできる。他の方法は、EP-0-161-188、EP-208375およびEP-0-477508に記載されている。
【0050】
さらなる方法は、例えば、EDACを用いる、カルボジイミド縮合(Chu C.ら、Infect. Immunity, 1983 245 256)による、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化されたシアノゲンブロミド(もしくはCDAP)活性化糖類の、タンパク質担体へのカップリングを含む。
【0051】
一実施形態においては、糖類上のヒドロキシル基(好ましくは、活性化されたヒドロキシル基、例えば、シアン酸エステルを作るために活性化された[例えば、CDAPを用いて]ヒドロキシル基)を、タンパク質上のアミノ基またはカルボキシル基に、直接的または間接的(リンカーを介して)に連結する。リンカーが存在する場合、糖類上のヒドロキシル基を、例えば、CDAPコンジュゲーションを用いることにより、リンカー上のアミノ基に連結するのが好ましい。リンカー(例えば、ADH)中のさらなるアミノ基を、例えば、カルボジイミド化学を用いることにより、例えば、EDACを用いることにより、タンパク質上のカルボン酸基に結合させることができる。一実施形態においては、肺炎球菌莢膜糖類を、最初にリンカーに結合させた後、リンカーを担体タンパク質に結合させる。あるいは、リンカーを担体に結合させた後、糖類に結合させることができる。
【0052】
いくつかの糖類-タンパク質コンジュゲートをCDAPにより、およびいくつかを還元的アミノ化により調製する、技術の組合せを用いてもよい。
【0053】
一般的には、タンパク質担体上の以下の型の化学基をカップリング/コンジュゲーションに用いることができる。
【0054】
A)カルボキシル基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸を介する)。一実施形態においては、この基を糖類上のアミノ基に直接的に、またはカルボジイミド化学、例えば、EDACを用いてリンカー上のアミノ基に連結する。
【0055】
B)アミノ基(例えば、リジンを介する)。一実施形態においては、この基を、糖類上のカルボキシル基に直接的に、またはカルボジイミド化学、例えば、EDACを用いてリンカー上のカルボキシル基に連結する。別の実施形態においては、この基を、糖類上のCDAPもしくはCNBrで活性化されたヒドロキシル基に直接的に、またはリンカー上のそのような基に;アルデヒド基を有する糖類もしくはリンカーに;スクシンイミドエステル基を有する糖類もしくはリンカーに連結する。
【0056】
C)スルフヒドリル基(例えば、システインを介する)。一実施形態においては、この基を、マレイミド化学を用いて、ブロモもしくはクロロアセチル化糖類またはリンカーに連結する。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0057】
D)ヒドロキシル基(例えば、チロシンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0058】
E)イミダゾリル基(例えば、ヒスチジンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0059】
F)グアニジル基(例えば、アルギニンを介する)。
【0060】
G)インドリル基(例えば、トリプトファンを介する)。
【0061】
糖類上で、一般的には以下の基をカップリングのために用いることができる:OH、COOHまたはNH2。アルデヒド基を、過ヨウ素酸塩、酸加水分解、過酸化水素などの当業界で公知の様々な処理の後に生成することができる。
【0062】
直接的カップリング手法:
糖類-OH + CNBrまたはCDAP -----> シアン酸エステル + NH2-Prot ----> コンジュゲート
糖類-アルデヒド + NH2-Prot ----> Schiff塩基 + NaCNBH3 ----> コンジュゲート
糖類-COOH + NH2-Prot + EDAC ----> コンジュゲート
糖類-NH2 + COOH-Prot + EDAC ----> コンジュゲート。
【0063】
スペーサー(リンカー)手法を介する間接的カップリング:
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ---> シアン酸エステル + NH2----NH2 ----> 糖類----NH2 + COOH-Prot + EDAC -----> コンジュゲート
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ----> シアン酸エステル + NH2-----SH -----> 糖類----SH + SH-Prot (システインが露出した天然タンパク質、または、例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質) -----> 糖類-S-S-Prot
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ---> シアン酸エステル + NH2----SH -------> 糖類----SH + マレイミド-Prot (アミノ基の改変) ----> コンジュゲート
糖類-OH + CNBrまたはCDAP ---> シアン酸エステル + NH2-----SH ---> 糖類-SH + ハロアセチル化-Prot ----> コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2-----NH2 ---> 糖類------NH2 + EDAC + COOH-Prot ----> コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC+ NH2----SH -----> 糖類----SH + SH-Prot (システインが露出した天然タンパク質、または例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質) -----> 糖類-S-S-Prot
糖類-COOH + EDAC+ NH2----SH -----> 糖類----SH + マレイミド-Prot (アミノ基の改変) ----> コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2----SH ---> 糖類-SH + ハロアセチル化-Prot ----> コンジュゲート
糖類-アルデヒド + NH2-----NH2 ----> 糖類---NH2 + EDAC + COOH-Prot ----> コンジュゲート。
【0064】
注記:上記のEDACの代わりに、任意の好適なカルボジイミドを用いることができる。
【0065】
まとめると、糖類とのカップリングに一般的に用いることができるタンパク質担体化学基の型は、アミノ基(例えば、リジン残基上の)、COOH基(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基上の)ならびにSH基(利用可能である場合)(例えば、システイン残基上の)である。
【0066】
好ましくは、担体タンパク質と肺炎連鎖球菌糖類の比率は、1:5〜5:1、例えば、1:0.5〜4:1、1:1〜3.5:1、1.2:1〜3:1、1.5:1〜2.5:1、例えば、1:2〜2.5:1、1:1〜2:1(w/w)である。一実施形態においては、多数のコンジュゲート、例えば、6、7、8、9種以上のコンジュゲートは、1:1より大きい、例えば、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1または1.6:1である担体タンパク質と糖類の比率を有する。
【0067】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌糖類を、CDAPおよびEDACを用いてリンカーを介して担体タンパク質に結合させる。例えば、18Cまたは22Fを、上記のようにCDAPおよびEDACを用いてリンカー(例えば、ADHなどのその末端に2個のヒドラジノ基を有するもの)を介してタンパク質に結合させることができる。リンカーを用いる場合、CDAPを用いて、リンカーに糖類を結合させた後、EDACを用いてリンカーをタンパク質に結合させるか、またはあるいは、EDACを用いて最初にリンカーをタンパク質に結合させた後、CDAPを用いてリンカーを糖類に結合させることができる。
【0068】
一般的には、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg、1〜10μgまたは1〜3μgの糖類の各糖類コンジュゲートの用量を含んでもよい。
【0069】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg;0.5〜10μg;0.5〜5μgまたは1〜3μgの糖類の用量のそれぞれの肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む。一実施形態においては、莢膜糖類は、様々な用量で存在してもよく、例えば、いくつかの莢膜糖類は約1μgもしくは正確に1μgの用量で存在してもよく、またはいくつかの莢膜糖類は約3μgもしくは正確に3μgの用量で存在してもよい。一実施形態においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)に由来する糖類は、他の糖類よりも高い用量で存在する。この実施形態の一態様においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)は約3μgもしくは正確に3μgの用量で存在するが、免疫原性組成物中の他の糖類は約1μgもしくは正確に1μgの用量で存在する。
【0070】
「約」または「ほぼ」は、本発明の目的のためには、与えられた数値のおおよそ10%以内と定義される。
【0071】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、担体タンパク質に直接結合させる(例えば、上記の化合物の1種を用いる);好ましくは、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、CDAPにより直接結合させる。一実施形態においては、多数の莢膜糖類、例えば、5、6、7、8、9種以上の莢膜糖類を、CDAPにより担体タンパク質に直接連結する(WO 95/08348およびWO 96/29094を参照されたい)。
【0072】
前記免疫原性組成物は、本明細書では本発明の肺炎連鎖球菌タンパク質と呼ばれる、肺炎連鎖球菌タンパク質を含んでもよい。そのようなタンパク質を担体タンパク質として用いるか、または遊離タンパク質として存在してもよく、または担体タンパク質および遊離タンパク質の両方として存在してもよい。本発明の肺炎連鎖球菌タンパク質は、少なくとも肺炎球菌の生活環の一部の間に、表面露出されたものであるか、または肺炎球菌により分泌もしくは放出されたタンパク質である。好ましくは、本発明のタンパク質を、LXXC(式中、Xは任意のアミノ酸、例えば、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)である)のII型シグナル配列モチーフを有するタンパク質、コリン結合タンパク質(CbpX)、I型シグナル配列モチーフを有するタンパク質(例えば、Sp101)、LPXTGモチーフ(式中、Xは任意のアミノ酸、例えば、Sp128、Sp130である)を有するタンパク質、ならびに毒素(例えば、Ply)などのカテゴリーから選択する。これらのカテゴリー(またはモチーフ)内の好ましい例は、以下のタンパク質、またはその免疫学的に機能的な等価物である。
【0073】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質を含む。さらなる実施形態においては、免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、およびSp128からなる群より選択される2種以上のタンパク質を含む。1つのさらなる実施形態においては、前記免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、肺炎球菌溶血素(Ply)、およびSp128からなる群より選択される2種以上のタンパク質を含む。
【0074】
Pht(ポリヒスチジントライアド)ファミリーは、タンパク質PhtA、PhtB、PhtD、およびPhtEを含む。このファミリーは、脂質化配列、プロリンに富む領域により分離された2つのドメインおよびおそらく、金属もしくはヌクレオシド結合または酵素活性に関与する、いくつかのヒスチジントライアド、(3-5)コイルドコイル領域、保存されたN末端ならびに異種性C末端を特徴とする。それは試験した全ての株の肺炎球菌に存在する。他の連鎖球菌およびナイセリア菌においては、相同タンパク質も見出された。本発明の一実施形態においては、本発明のPhtタンパク質はPhtDである。しかしながら、用語「PhtA、B、DおよびE」は、以下に記載の引用物に開示された配列を有するタンパク質ならびに参照タンパク質と少なくとも90%同一である配列相同性を有するその天然の(および人工の)変異体を指すことが理解される。好ましくは、それは少なくとも95%同一であり、最も好ましくは、それは97%同一である。
【0075】
PhtXタンパク質に関して、PhtAはWO 98/18930に開示されており、Sp36とも呼ばれる。それはポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、LXXCのII型シグナルモチーフを有する。PhtDはWO 00/37105に開示されており、Sp036Dとも呼ばれる。上記のように、それもポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、II型LXXCシグナルモチーフを有する。PhtBはWO 00/37105に開示されており、Sp036Bとも呼ばれる。PhtBファミリーの別のメンバーは、WO 00/17370に開示されたC3-分解ポリペプチドである。このタンパク質もポリヒスチジントライアドファミリーに由来し、II型LXXCシグナルモチーフを有する。好ましい免疫学的に機能的な等価物は、WO 98/18930に開示されたタンパク質Sp42である。PhtBトランケート(約79 kD)はWO 99/15675に開示されており、PhtXファミリーのメンバーであるとも考えられる。PhtEはWO 00/30299に開示されており、BVH-3とも呼ばれる。本明細書で任意のPhtタンパク質に言及する場合、それはPhtタンパク質の免疫原性断片またはその融合物を用いることができることを意味する。例えば、PhtXに対する参照は、任意のPhtタンパク質に由来する免疫原性断片またはその融合物を含む。PhtDまたはPhtBに対する参照はまた、例えば、WO 0198334に見出されるように、PhtDEまたはPhtBE融合体に対する参照でもある。
【0076】
肺炎球菌溶血素は、異なる細胞溶解活性(溶血活性)および補体活性化活性を有する多機能毒素である(Rubinsら、Am . Respi. Cit Care Med, 153:1339-1346 (1996))。この毒素は肺炎球菌によって分泌されないが、それは自己溶解素の影響下での肺炎球菌の溶解の際に放出される。その効果としては、例えば、ヒト単球による炎症性サイトカインの産生、ヒト気道上皮上での繊毛の脈動の阻害、ならびに好中球の殺菌活性および移動の低下が挙げられる。肺炎球菌溶血素の最も明らかな効果は、赤血球の溶解におけるものであり、それはコレステロールへの結合を含む。それは毒素であるため、それを解毒する必要があり(すなわち、防御にとって好適な用量で提供された場合、ヒトに対して非毒性的である)、その後、in vivoで投与することができる。野生型または天然の肺炎球菌溶血素の発現およびクローニングは当業界で公知である。例えば、Walkerら(Infect Immun, 55:1184-1189 (1987))、Mitchellら(Biochim Biophys Acta, 1007:67-72 (1989))およびMitchellら(NAR, 18:4010 (1990))を参照されたい。plyの解毒を、化学的手段により、例えば、ホルマリンもしくはグルタルアルデヒド処理または両方の組合せにかけることにより行うことができる(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)。そのような方法は、様々な毒素について当業界でよく知られている。あるいは、plyを遺伝的に解毒することができる。かくして、本発明は、例えば、突然変異タンパク質であってよい、肺炎球菌タンパク質の誘導体を包含する。本明細書で用いられる用語「突然変異された」とは、例えば、部位特異的突然変異誘発などのよく知られた技術または任意の他の従来方法を用いて、1個以上のアミノ酸の欠失、付加または置換を受けた分子を意味する。例えば、上記のように、突然変異plyタンパク質を、それがその免疫原性エピトープを維持しながら、生物学的に不活性であるように変化させることができ、例えば、WO90/06951、Berryら(Infect Immun, 67:981-985 (1999))およびWO99/03884を参照されたい。
【0077】
本明細書で用いられる場合、用語「Ply」とは医学的使用にとって好適な突然変異されるか、または解毒された(すなわち、非毒性的である)肺炎球菌溶血素を指すことが理解される。
【0078】
コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)に関しては、そのファミリーのメンバーは元々、コリンアフィニティクロマトグラフィーにより精製することができる肺炎球菌タンパク質として同定されたものである。コリン結合タンパク質は全部、細胞壁のテイコ酸および膜に結合したリポテイコ酸のホスホリルコリン部分に非共有結合している。構造的に、それらはファミリー全体に渡って一般的にいくつかの領域を有するが、このタンパク質の正確な性質(アミノ酸配列、長さなど)は変化してもよい。一般的には、コリン結合タンパク質は、N末端領域(N)、保存された反復領域(R1および/もしくはR2)、プロリンに富む領域(P)ならびに該タンパク質の約半分を含む、複数の反復からなる、保存されたコリン結合領域(C)を含む。本明細書で用いられるように、用語「コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)」は、WO 97/41151に同定されたコリン結合タンパク質、PbcA、SpsA、PspC、CbpA、CbpDおよびCbpGからなる群より選択される。CbpAはWO 97/41151に開示されている。CbpDおよびCbpGはWO 00/29434に開示されている。PspCはWO 97/09994に開示されている。PbcAはWO 98/21337に開示されている。SpsAはWO 98/39450に開示されたコリン結合タンパク質である。好ましくは、コリン結合タンパク質を、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。
【0079】
別の好ましい実施形態は、「CbpX」が上記に定義されたものであり、「トランケート」がコリン結合領域(C)の50%以上を欠くCbpXタンパク質を指す、CbpXトランケートである。好ましくは、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。より好ましくは、そのようなタンパク質トランケートは、(i)コリン結合領域および(ii)該タンパク質のN末端の半分の部分を欠き、ならびに少なくとも1個の反復領域(R1またはR2)を保持する。より好ましくは、該トランケートは、2個の反復領域(R1およびR2)を有する。そのような好ましい実施形態の例は、WO 99/51266またはWO 99/51188に例示されたNR1xR2およびR1xR2であるが、同様のコリン結合領域を欠く他のコリン結合タンパク質も本発明の範囲内に意図される。
【0080】
LytXファミリーは、細胞溶解に関連する膜結合タンパク質である。そのN末端ドメインはコリン結合ドメインを含むが、LytXファミリーは上記のCbpAファミリーに認められる全ての特徴を有さず、かくして、本発明については、LytXファミリーはCbpXファミリーとは異なると考えられる。CbpXファミリーとは対照的に、C末端ドメインは、LytXタンパク質ファミリーの触媒ドメインを含む。前記ファミリーは、LytA、BおよびCを含む。LytXファミリーに関して、LytAはRondaら、Eur J Biochem, 164:621-624 (1987)に開示されている。LytBはWO 98/18930に開示されており、Sp46とも呼ばれる。LytCもWO 98/18930に開示されており、Sp91とも呼ばれる。そのファミリーの好ましいメンバーはLytCである。
【0081】
別の好ましい実施形態は、「LytX」が上記に定義され、「トランケート」がコリン結合領域の50%以上を欠くLytXタンパク質を指す、LytXトランケートである。好ましくは、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。本発明のさらに別の好ましい実施形態は、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合物)である。好ましくは、これはCbpXのNR1xR2(またはR1xR2)およびLytX(例えば、LytCCtermまたはSp91Cterm)のC末端部分(Cterm、すなわち、コリン結合ドメインを欠く)を含む。より好ましくは、CbpXを、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。より好ましくは、それはCbpAである。好ましくは、LytXはLytC(Sp91とも呼ばれる)である。本発明の別の実施形態は、コリン結合ドメイン(C)を欠くPspAまたはPsaAトランケートであり、LytXとの融合タンパク質として発現される。好ましくは、LytXはLytCである。
【0082】
PsaAおよびPspAに関しては、両方とも当業界で公知である。例えば、PsaAおよびその膜貫通欠失変異体は、Berry & Paton, Infect Immun 1996 Dec;64(12):5255-62により記載されている。PspAおよびその膜貫通欠失変異体は、例えば、米国特許第5,804,193号、WO 92/14488、およびWO 99/53940に開示されている。
【0083】
Sp128およびSp130は、WO 00/76540に開示されている。Sp125は、LPXTG(式中、Xは任意のアミノ酸である)の細胞壁固定モチーフを有する肺炎球菌表面タンパク質の例である。このモチーフを有するこのクラスの肺炎球菌表面タンパク質内の任意のタンパク質は、本発明の状況内で有用であることがわかっており、従って、本発明のさらなるタンパク質であると考えられる。Sp125自体は、WO 98/18930に開示されており、ZmpB(亜鉛メタロプロテイナーゼ)としても知られる。Sp101はWO 98/06734に開示されている(それは参照番号y85993を有する)。それはI型シグナル配列を特徴とする。Sp133はWO 98/06734に開示されている(それは参照番号y85992を有する)。それもI型シグナル配列を特徴とする。
【0084】
組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができる好ましいモラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)タンパク質抗原の例は、OMP106 [WO 97/41731 (Antex) & WO 96/34960 (PMC)]; OMP21またはその断片(WO 0018910); LbpA &/or LbpB [WO 98/55606 (PMC)]; TbpAおよび/またはTbpB [WO 97/13785 & WO 97/32980 (PMC)]; CopB [Helminen MEら(1993) Infect. Immun. 61:2003-2010]; UspA1および/またはUspA2 [WO 93/03761 (University of Texas)]; OmpCD; HasR (PCT/EP99/03824); PilQ (PCT/EP99/03823); OMP85 (PCT/EP00/01468); lipo06 (GB 9917977.2); lipo10 (GB 9918208.1); lipo11 (GB 9918302.2); lipo18 (GB 9918038.2); P6 (PCT/EP99/03038); D15 (PCT/EP99/03822); OmplA1 (PCT/EP99/06781); Hly3 (PCT/EP99/03257); ならびにOmpEである。組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができる非分類性インフルエンザ菌抗原またはその断片の例としては、フィンブリンタンパク質[(米国特許第5,766,608号 - Ohio State Research Foundation)]およびそれに由来するペプチドを含む融合物[例えば、LB1(f)ペプチド融合物; 米国特許第5,843,464号 (OSU)もしくはWO 99/64067]; OMP26 [WO 97/01638 (Cortecs)]; P6 [EP 281673 (State University of New York)]; TbpAおよび/またはTbpB; Hia; Hsf; Hin47; Hif; Hmw1; Hmw2; Hmw3; Hmw4; Hap; D15 (WO 94/12641); P2
; ならびにP5 (WO 94/26304)が挙げられる。
【0085】
本発明のタンパク質を有益に混合することもできる。混合するとは、免疫原性組成物が、担体タンパク質として、または遊離タンパク質として、または2つの混合物として、以下の組合せ内に由来する全てのタンパク質を含むことを意味する。例えば、本明細書の以後に記載する2つのタンパク質の組合せにおいては、両タンパク質を担体タンパク質として用いるか、または両タンパク質を遊離タンパク質として存在させるか、または両方を担体として、および遊離タンパク質として存在させるか、または一方を担体タンパク質および遊離タンパク質として存在させるが、他方を担体タンパク質としてのみ、もしくは遊離タンパク質としてのみ存在させるか、または一方を担体タンパク質として存在させ、他方を遊離タンパク質として存在させることができる。3種のタンパク質の組合せを与える場合、同様の可能性が存在する。好ましい組合せとしては、限定されるものではないが、PhtD + NR1xR2、PhtD + NR1xR2-Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtD + Ply、PhtD + Sp128、PhtD + PsaA、PhtD + PspA、PhtA + NR1xR2、PhtA + NR1xR2-Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtA + Ply、PhtA + Sp128、PhtA + PsaA、PhtA + PspA、NR1xR2 + LytC、NR1xR2 + PspA、NR1xR2 + PsaA、NR1xR2 + Sp128、R1xR2 + LytC、R1xR2 + PspA、R1xR2 + PsaA、R1xR2 + Sp128、R1xR2 + PhtD、R1xR2 + PhtAが挙げられる。好ましくは、NR1xR2(またはR1xR2)はCbpAまたはPspCに由来する。より好ましくは、それはCbpAに由来するものである。他の組合せとしては、PhtD + NR1xR2 + Ply、およびPhtA + NR1xR2 + PhtDなどの3種のタンパク質の組合せが挙げられる。一実施形態においては、前記ワクチン組成物は、担体タンパク質として解毒された肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはPhtDEを含む。さらなる実施形態においては、前記ワクチン組成物は、遊離タンパク質として解毒された肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはPhtDEを含む。
【0086】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物と製薬上許容し得る賦形剤とを含むワクチンを提供する。
【0087】
本発明のワクチンを、特に、幼児集団における使用だけでなく、高齢者集団における使用について意図される場合、アジュバント化してもよい。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲルもしくはリン酸アルミニウムもしくはミョウバンなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、マグネシウム、鉄もしくは亜鉛の塩であってもよく、またはアシル化チロシン、もしくはアシル化糖、陽イオン的もしくは陰イオン的に誘導体化された糖類、もしくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。
【0088】
前記アジュバントをTH1型の応答の優先的な誘導因子であるように選択するのが好ましい。そのような高レベルのTh1型サイトカインは所与の抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を好む傾向があるが、高レベルのTh2型サイトカインは該抗原に対する体液性免疫応答の誘導を好む傾向がある。
【0089】
Th1およびTh2型免疫応答の区別は絶対的ではない。現実には、個体は主にTh1または主にTh2であると記載される免疫応答を支援するであろう。しかしながら、MosmannおよびCoffman (Mosmann, T.R.およびCoffman, R.L. (1989) TH1 and TH2 cells: different patterns of lymphokine secretion lead to different functional properties. (Annual Review of Immunology, 7, p145-173))によりマウスCD4 + ve T細胞クローンにおいて記載されたことに関してサイトカインのファミリーを考慮することが都合がよいことが多い。伝統的には、Th1型応答は、Tリンパ球によるINFγおよびIL-2サイトカインの産生と関連する。Th1型免疫応答の誘導と直接関連することが多い他のサイトカイン、例えば、IL-12などは、T細胞によっては産生されない。対照的に、Th2型応答はIL-4、IL-5、IL-6、IL-10の分泌と関連する。主にTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、モノホスホリルリピドAもしくはその誘導体、特に、3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(その調製については、GB 2220211 Aを参照されたい);ならびにモノホスホリルリピドA、好ましくは、3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドAと、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウムもしくは水酸化アルミニウム)または水中油乳濁液との組合せが挙げられる。そのような組合せにおいては、抗原と3D-MPLを、同じ粒子状構造中に含有させ、抗原および免疫刺激シグナルのより効率的な送達を可能にする。3D-MPLがミョウバンに吸着された抗原の免疫原性をさらに増強することができることが研究により示された[Thoelenら、Vaccine (1998) 16:708-14; EP 689454-B1]。
【0090】
増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体の組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合せ、またはQS21がWO 96/33739に開示されたコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。水中油乳濁液中にQS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が、WO 95/17210に記載されている。一実施形態においては、前記免疫原性組成物はさらに、QS21であってよいサポニンを含む。前記製剤はまた、水中油乳濁液およびトコフェロールを含んでもよい(WO 95/17210)。非メチル化VpG含有オリゴヌクレオチド(WO 96/02555)および他の免疫調節オリゴヌクレオチド(WO 0226757およびWO 03507822)も、TH1応答の優先的な誘導因子であり、本発明における使用にとって好適である。
【0091】
特定のアジュバントは、金属塩、水中油乳濁液(水中油型エマルジョン)、Toll様受容体アゴニスト(特に、Toll様受容体2アゴニスト、Toll様受容体3アゴニスト、Toll様受容体4アゴニスト、Toll様受容体7アゴニスト、Toll様受容体8アゴニストおよびToll様受容体9アゴニスト)、サポニンまたはその組合せの群から選択されたものである。
【0092】
本発明のワクチン組成物と共に用いることができるアジュバントは、ブレブまたはWO 02/09746により教示されたものなどのグラム陰性細菌株に由来する外膜ベシクル調製物、特に、髄膜炎菌ブレブである。ブレブのアジュバント特性を、その表面上にLOS(リポオリゴ糖)を保持することにより改良することができる(例えば、低濃度の洗剤[例えば、0〜0.1%デオキシコール酸]を用いる抽出を介する)。LOSを、WO 02/09746に考察されたmsbB(-)またはhtrB(-)突然変異を介して解毒することができる。アジュバント特性を、髄膜炎菌ブレブに由来するPorBを保持することにより(および必要に応じて、PorAを除去することにより)改良することもできる。アジュバント特性を、例えば、WO2004/014417に考察されたlgtB(-)突然変異を介して、髄膜炎菌ブレブ上のLOSの外核糖類構造をトランケートすることにより改良することもできる。あるいは、上記のLOS(例えば、msbB(-)および/またはlgtB(-)株から単離されたもの)を精製し、本発明の組成物中のアジュバントとして用いることができる。
【0093】
本発明の組成物と共に用いることができるさらなるアジュバントを、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチド、リン酸アルキルグルコサミニド、水中油乳濁液またはその組合せの群から選択することができる。さらに好ましいアジュバントは、別のアジュバントと組合わせた金属塩である。前記アジュバントは、Toll様受容体アゴニスト、特に、Toll様受容体2、3、4、7、8もしくは9のアゴニスト、またはサポニン、特に、Qs21であるのが好ましい。アジュバント系は、上記一覧に由来する2種以上のアジュバントを含むことがさらに好ましい。特に、前記組合せは、サポニン(特に、Qs21)アジュバントおよび/またはCpG含有免疫刺激オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体9アゴニストを含むのが好ましい。他の好ましい組合せは、サポニン(特に、Qs21)およびモノホスホリルリピドAもしくはその3脱アシル化誘導体、3D-MPLなどのToll様受容体4アゴニスト、またはサポニン(特に、QS21)およびリン酸アルキルグルコサミニドなどのToll様受容体4リガンドを含む。
【0094】
特に好ましいアジュバントは、3D-MPLとQS21の組合せ(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21を含む水中油乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414)、または他の担体と共に製剤化された3D-MPL (EP 0 689 454 B1)である。他の好ましいアジュバント系は、米国特許第6,558,670号、米国特許第6,544,518号に記載の3D-MPL、QS21とCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0095】
一実施形態においては、前記アジュバントはToll様受容体(TLR)4リガンド、好ましくは、リピドA誘導体、具体的には、モノホスホリルリピドAまたはより具体的には3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)などのアゴニストである(またはそれを含む)。
【0096】
3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals North Americaから入手可能であり、IFN-g(Th1)表現型を有するCD4+ T細胞応答を主に促進する。それを、GB 2 220 211 Aに開示された方法に従って製造することができる。化学的には、それは3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと3、4、5または6アシル化鎖の混合物である。好ましくは、本発明の組成物においては、小粒子3D-MPLを用いる。小粒子3D-MPLは、それを0.22μmフィルターを通して濾過することができるような粒子経を有する。そのような調製物は、国際特許出願第WO 94/21292号に記載されている。
【0097】
リピドAの合成誘導体は公知であり、限定されるものではないが、
OM174 (2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルリン酸二水素) (WO 95/14026)、
OM 294 DP (3S,9R)-3--[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(リン酸二水素) (WO99 /64301およびWO 00/0462)、
OM 197 MP-Ac DP (3S-,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-リン酸二水素10-(6-アミノヘキサノエート) (WO 01/46127)、
などのTLR4アゴニストであると考えられる。
【0098】
用いることができる他のTLR4リガンドは、WO9850399または米国特許第6,303,347号(AGPの調製のためのプロセスも開示されている)に開示されたものなどのアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、または米国特許第6,764,840号に開示されたAGPの製薬上許容し得る塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、いくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。
【0099】
本発明における使用のための別の好ましい免疫刺激剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quilaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、1974年にDalsgaardら(「Saponin adjuvants」、Archiv. fur die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)によりアジュバント活性を有すると最初に記載された。Quil A (EP 0 362 278)、例えば、QS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)に関連する毒性を有さずにアジュバント活性を保持する、Quil Aの精製された断片は、HPLCにより単離された。QS-21はキラヤ・サポナリア・モリナの樹皮から誘導される天然サポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および優勢なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明の状況において好ましいサポニンである。
【0100】
特に好ましいQS21の特定の製剤が記載されており、これらの製剤はステロールをさらに含む(WO 96/33739)。本発明の一部を形成するサポニンは、ミセル、混合ミセル(排他的ではないが、優先的に胆汁塩を含む)の形態で分離していてもよく、またはISCOMマトリクス(EP 0 109 942 B1)、コレステロールおよび脂質と共に製剤化される場合、リポソームまたはワーム様もしくはリング様マルチマー複合体などの関連するコロイド構造もしくは脂質/層状構造およびラメラの形態にあるか、または水中油乳濁液(例えば、WO 95/17210に記載のもの)の形態にあってよい。サポニンを、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と結合させるのが好ましい(WO 98/15287)。好ましくは、サポニンを、リポソーム、ISCOMまたは水中油乳濁液の形態で提供する。
【0101】
増強された系は、モノホスホリルリピドA(もしくは解毒されたリピドA)とサポニン誘導体の組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLの組合せ、またはQS21がWO 96/33739に開示されたコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。水中油乳濁液中にQS21および/または3D-MPLを含むか、または含まないトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が、WO 95/17210に記載されている。一実施形態においては、免疫原性組成物はさらに、QS21であってよいサポニンを含む。
【0102】
免疫刺激オリゴヌクレオチドまたは任意の他のToll様受容体(TLR)9アゴニストを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチン中での使用のための好ましいオリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む、CpG含有オリゴヌクレオチドである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、次いでグアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、典型的にはデオキシヌクレオチドである。好ましい実施形態においては、前記オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間結合はホスホロジチオエート結合、またはより好ましくは、ホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステル結合および他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートを製造する方法は、米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号およびWO95/26204に記載されている。
【0103】
好ましいオリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。この配列は、好ましくはホスホロチオエート改変ヌクレオチド間結合を含む:
OLIGO 1(配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
OLIGO 3(配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
OLIGO 5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。
【0104】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそれに加えて重要でない欠失または付加を有する点で、上記の好ましい配列を含んでもよい。本発明において用いられるCpGオリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法により合成することができる(例えば、EP 468520を参照されたい)。都合がよいことに、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0105】
前記アジュバントは水中油乳濁液であってもよく、または他のアジュバントと組合わせた水中油乳濁液を含んでもよい。乳濁液系の油相は、好ましくは、代謝性油を含む。用語「代謝性油」の意味は当業界でよく知られている。代謝性を、「代謝により転換され得る」と定義することができる(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company、第25版 (1974))。油は、レシピエントにとって毒性的ではなく、代謝により転換され得る任意の野菜油、魚油、動物油または合成油であってよい。ナッツ、種子、および穀類は野菜油の一般的な起源である。合成油も本発明の一部であり、NEOBEE(登録商標)などの市販の油が挙げられる。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメの肝油中に大量に認められ、オリーブ油、小麦胚芽油、ぬか油、および酵母中により少量に認められる不飽和油であり、本発明における使用にとって特に好ましい油である。スクアレンは、それがコレステロールの生合成における中間体であるという事実のため、代謝性油である(Merck index、第10版、登録番号8619)。
【0106】
トコール(例えば、ビタミンE)も油乳濁液アジュバント中で用いられることが多い(EP 0 382 271 B1;米国特許第5,667,784号; WO 95/17210)。本発明の油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)において用いられるトコールを、トコールが、必要に応じて、好ましくは直径1μm未満の乳化剤を含む、トコール液滴の分散物であってよい点で、EP 0 382 271 B1中に記載のように製剤化することができる。あるいは、トコールを、別の油との組合せにおいて用いて、油乳濁液の油相を形成することができる。上記の代謝性油などの、トコールと共に用いることができる油乳濁液の例は本明細書に記載されている。
【0107】
水中油乳濁液アジュバント自体は、アジュバント組成物として有用であると示唆されており(EP 0 399 843B)、水中油乳濁液と他の活性薬剤との組合せも、ワクチンのためのアジュバントとして記載されている(WO 95/17210; WO 98/56414; WO 99/12565; WO 99/11241)。油中水乳濁液(米国特許第5,422,109号;EP 0 480 982 B2)および水中の油中水乳濁液(米国特許第5,424,067号;EP 0 480 981 B)などの他の油乳濁液アジュバントが記載されている。それらは全て、本発明のアジュバントおよび組成物を形成するための好ましい油乳濁液系(特に、トコールを含む場合)を形成する。
【0108】
最も好ましくは、油乳濁液(例えば、水中油乳濁液)はさらに、TWEEN 80などの乳化剤および/またはコレステロールなどのステロールを含む。好ましい油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)は、スクアラン、スクアレンまたはα-トコフェロールなどのトコフェロール(および好ましくは、スクアレンおよびα-トコフェロールの両方)などの代謝性の非毒性油ならびに必要に応じて、Tween 80などの乳化剤(または界面活性剤)を含む。ステロール(好ましくは、コレステロール)を含有させることもできる。水中油乳濁液を製造する方法は当業者にはよく知られている。一般的には、この方法は、トコールを含有する油相とPBS/TWEEN 80(商標)溶液などの界面活性剤とを混合した後、ホモジェナイザーを用いて均質化することを含み、シリンジ針を通して混合物を2回通過させることを含む方法が、少量の液体を均質化させるのに好適であることが当業者には明らかであろう。同様に、当業者であれば、マイクロフルイダイザー(M110S Microfluidics装置、6バールの最大圧力入力(約850バールの出力圧力)で2分間、最大50回の通過)中での乳化プロセスを、より少量または大量の乳濁液を製造するために適合化させることができる。この適合化を、必要な直径の油滴を有する調製物が達成されるまで、得られる乳濁液の測定を含む日常的な実験により達成することができる。水中油乳濁液においては、油および乳化剤は水性担体中にあるべきである。水性担体は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。
【0109】
安定な水中油乳濁液内に認められる油滴のサイズは、光子相関分光法により測定されるように、好ましくは1μm未満であり、実質的には直径30〜600 nm、好ましくは実質的には約30〜500 nm、および最も好ましくは、実質的に150〜500 nmの範囲にあり、特に、直径約150 nmであってよい。これに関して、数で油滴の80%が好ましい範囲内にあるべきであり、より好ましくは、数で90%を超える油滴および最も好ましくは、数で95%を超える油滴が規定のサイズ範囲内にある。本発明の油乳濁液中に存在する成分の量は、従来は、スクアレンなどの、0.5〜20%もしくは2〜10%の油(合計用量の);および存在する場合、2〜10%のα-トコフェロール;ならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの、0.3〜3%の界面活性剤の範囲内にある。好ましくは、油(好ましくは、スクアレン)とトコール(好ましくは、α-トコフェロール)の比率は1以下であり、これはより安定な乳濁液を提供する。Tween 80またはSpan 85などの乳化剤は、約1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合においては、本発明のワクチンが安定化剤をさらに含むことが有利である。
【0110】
好ましい乳濁液系の例は、必要に応じて、免疫刺激剤QS21および/または3D-MPLと共に製剤化された、スクアレン、α-トコフェロール、およびTWEEN 80に基づく乳濁液アジュバントを開示するWO 95/17210、WO 99/11241およびWO 99/12565に開示されている。かくして、本発明の特に好ましい実施形態においては、本発明のアジュバントは、LPSもしくはその誘導体、および/またはサポニンなどのさらなる免疫刺激剤をさらに含んでもよい。さらなる免疫刺激剤の例は、本明細書ならびに「Vaccine Design - The Subunit and Adjuvant Approach」、1995, Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Powell, M.F.およびNewman, M.J.(編)、Plenum Press, New YorkおよびLondon, ISBN 0-306-44867-Xに記載されている。
【0111】
好ましい態様においては、本発明に従うアジュバントおよび免疫原性組成物は、必要に応じて、ステロール(好ましくは、コレステロール)と共に、上記の油乳濁液中にサポニン(好ましくは、QS21)および/またはLPS誘導体(好ましくは、3D-MPL)を含む。さらに、油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)は、span 85および/またはレシチンおよび/またはトリカプリリンを含んでもよい。水中油乳濁液、ステロールおよびサポニンを含むアジュバントは、WO 99/12565に記載されている。
【0112】
典型的には、ヒトへの投与のためには、サポニン(好ましくは、QS21)および/またはLPS誘導体(好ましくは、3D-MPL)は、用量あたり10〜100μg、好ましくは、10μg〜50μgなどの1μg〜200μgの範囲の免疫原性組成物のヒト用量中に存在するであろう。典型的には、油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液)は、2〜10%の代謝性油を含むであろう。好ましくは、それは2〜10%のスクアレン、2〜10%のα-トコフェロールおよび0.3〜3%(好ましくは、0.4〜2%)の乳化剤(好ましくは、tween 80[モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン])を含むであろう。スクアレンおよびα-トコフェロールの両方が存在する場合、好ましくは、スクアレン:α-トコフェロールの比率は1以下であり、これはより安定な乳濁液を提供する。また、Span 85(トリオレイン酸ソルビタン)が本発明において用いられる乳濁液中に0.5〜1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合、本発明の免疫原性組成物およびワクチンが、安定化剤、例えば、他の乳化剤/界面活性剤、例えば、カプリル酸(merck index、第10版、登録番号1739)をさらに含むことが有利であり、トリカプリリンが特に好ましい。
【0113】
スクアレンおよびサポニン(好ましくは、QS21)を含有させる場合、ステロール(好ましくは、コレステロール)は乳濁液中の油の総量を低下させるため、製剤にこれを含有させるのも有益である。これは製造費用の低下、ワクチン接種の全体の快適性の改善、ならびにIFN-γ産生の改善などの得られる免疫応答の定性的および定量的改善をももたらす。従って、本発明のアジュバント系は、典型的には、200:1〜300:1の範囲の代謝性油:サポニンの比率(w/w)を含み、また本発明を1:1〜200:1、好ましくは20:1〜100:1、および最も好ましくは、実質的に48:1である好ましい範囲の「低油」形態で用いることができ、このワクチンは全ての成分の有益なアジュバント特性を保持し、反応原性プロフィールが非常に低下している。従って、特に好ましい実施形態は、1:1〜250:1の範囲のスクアレン:QS21(w/w)の比率を有し、また好ましい範囲は20:1〜200:1であり、好ましくは20:1〜100:1、最も好ましくは実質的に48:1である。好ましくは、本明細書に記載のようなサポニン:ステロールの比率で存在するステロール(最も好ましくは、コレステロール)も含有させる。
【0114】
本発明の乳濁液系は、μm以下の範囲の小さい油滴サイズを有するのが好ましい。最も好ましくは、油滴サイズは直径120〜750 nm、および最も好ましくは、120〜600 nmの範囲にあるであろう。
【0115】
特に強力なアジュバント製剤(本発明の免疫原性組成物中でのAlPO4との究極の組合せについて)は、WO 95/17210またはWO 99/12565(特に、実施例2、表1に記載のアジュバント製剤)に記載のサポニン(好ましくは、QS21)、LPS誘導体(好ましくは、3D-MPL)および油乳濁液(好ましくは、水中油乳濁液中のスクアレンおよびα-トコフェロール)を含む。
【0116】
TLR2アゴニストの例としては、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が挙げられる。イミキモッドおよびレシキモッドなどのイミダゾキノリンは、公知のTLR7アゴニストである。一本鎖RNAも公知のTLRアゴニスト(ヒトにおいてはTLR8およびマウスにおいてはTLR7)であるが、二本鎖RNAおよびポリIC(ウイルスRNAの市販の合成模倣物質であるポリイノシン酸-ポリシチジル酸)はTLR3アゴニストの例である。3D-MPLはTLR4アゴニストの例であるが、CPGはTLR9アゴニストの例である。
【0117】
前記免疫原性組成物は、金属塩上に吸着された抗原と免疫刺激剤を含んでもよい。抗原および免疫刺激剤3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)を同じ粒子上に吸着させたアルミニウムに基づくワクチン製剤は、EP 0 576 478 B1、EP 0 689 454 B1、およびEP 0 633 784 B1に記載されている。これらの場合、まず抗原をアルミニウム塩上に吸着させた後、同じアルミニウム塩粒子上に免疫刺激剤3D-MPLを吸着させる。そのようなプロセスは最初に、粒子が80〜500 nmのサイズに達するまで水浴中で超音波処理することにより3D-MPLを懸濁することを含む。典型的には、前記抗原を、攪拌下、室温で1時間、アルミニウム塩上に吸着させる。次いで、3D-MPL懸濁液を吸着された抗原に添加し、製剤を室温で1時間インキュベートした後、使用するまで4℃で保持する。
【0118】
別のプロセスにおいては、免疫刺激剤と抗原は、EP 1126876に記載のように、別々の金属粒子上にある。改良されたプロセスは、金属塩粒子上への免疫刺激剤の吸着、次いで、別の金属塩粒子上への抗原の吸着、次いで、個別の金属粒子を混合してワクチンを形成することを含む。本発明における使用のためのアジュバントは、金属塩粒子が他の抗原を実質的に含まないことを特徴とする、金属塩粒子上に吸着された、免疫刺激剤を含むアジュバント組成物であってよい。さらに、本発明により提供されるワクチンは、免疫刺激剤を、他の抗原を実質的に含まない金属塩の粒子上に吸着させること、および抗原に吸着された金属塩の粒子が他の免疫刺激剤を実質的に含まないことを特徴とする。
【0119】
従って、本発明は、前記組成物が他の抗原を実質的に含まないことを特徴とする、金属塩の粒子上に吸着させた免疫刺激剤を含むアジュバント製剤を提供する。さらに、このアジュバント製剤は、そのようなアジュバントを用いる場合、ワクチンの製造にとって必要とされる中間体であってよい。従って、金属粒子上に吸着させた1種以上の免疫刺激剤であるアジュバント組成物と、抗原とを混合することを含むワクチンの製造のためのプロセスが提供される。好ましくは、前記抗原は金属塩上に予め吸着されたものである。前記金属塩は、免疫刺激剤上に吸着された金属塩と同一であるか、または類似してもよい。好ましくは、前記金属塩はアルミニウム塩、例えば、リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムである。
【0120】
本発明はさらに、第1および第2の金属塩粒子が別々の粒子であることを特徴とする、第1の金属塩粒子上に吸着された免疫刺激剤と、金属塩上に吸着された抗原とを含むワクチン組成物を提供する。
【0121】
本明細書に記載のLPSもしくはLOS誘導体もしくは突然変異体またはリピドA誘導体を、天然のリポ多糖よりも毒性が低くなり(例えば、3D-MPL)、本明細書に記載のこれらの部分の任意の使用に関して互換性の等価物であるように設計する。それらは上記のTLR4リガンドであってよい。他のそのような誘導体は、WO020786737、WO9850399、WO0134617、WO0212258、WO03065806に記載されている。
【0122】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、リポソーム担体(リン脂質(ジオレイルホスファチジルコリン[DOPC]および必要に応じて、ステロール[コレステロールなど]から公知の技術により作製される)を含む。そのようなリポソーム担体は、リピドA誘導体[3D-MPLなど-上記を参照されたい]および/またはサポニン[QS21など-上記を参照されたい]を担持してもよい。一実施形態においては、前記アジュバントは、(0.5 mL用量あたり)0.1-10mg、0.2-7、0.3-5、0.4-2、もしくは0.5-1 mg (例えば、0.4-0.6、0.9-1.1、0.5もしくは1 mg)のリン脂質(例えば、DOPC)、0.025-2.5、0.05-1.5、0.075-0.75、0.1-0.3、もしくは0.125-0.25 mg (例えば、0.2-0.3、0.1-0.15、0.25もしくは0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)、5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)、および5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む。
【0123】
このアジュバントは、高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(および血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない。
【0124】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、代謝性油(スクアレンなど)、乳化剤(Tween 80など)および必要に応じて、トコール(α-トコフェロールなど)から作製された水中油乳濁液を含む。一実施形態においては、アジュバントは(0.5 mL用量あたり)0.5-15、1-13、2-11、4-8、もしくは5-6mg (例えば、2-3、5-6、もしくは10-11 mg)の代謝性油(スクアレンなど)、0.1-10、0.3-8、0.6-6、0.9-5、1-4、もしくは2-3 mg (例えば、0.9-1.1、2-3もしくは4-5 mg)の乳化剤(Tween 80など)および必要に応じて、0.5-20、1-15、2-12、4-10、5-7 mg (例えば、11-13、5-6、もしくは2-3 mg)のトコール(α-トコフェロールなど)を含む。
【0125】
このアジュバントは、必要に応じて、5-60、10-50、または20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)をさらに含んでもよい。
【0126】
これらのアジュバントは、幼児用または高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(およびまた、血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない。
【0127】
このアジュバントは、必要に応じて、0.025-2.5、0.05-1.5、0.075-0.75、0.1-0.3、もしくは0.125-0.25 mg (例えば、0.2-0.3、0.1-0.15、0.25もしくは0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)、5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)、および5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含んでもよい。
【0128】
このアジュバントは、高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(およびまた、血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価はヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない。
【0129】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、リン酸アルミニウムおよびリピドA誘導体(3D-MPLなど)を含む。このアジュバントは、(0.5 mL用量あたり) 100-750、200-500、もしくは300-400μgのリン酸アルミニウムとしてのAl、および5-60、10-50、もしくは20-30μg (例えば、5-15、40-50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含んでもよい。
【0130】
このアジュバントは、高齢者用または幼児用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部(およびまた、血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価はヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない。
【0131】
本発明の免疫原性組成物を含むワクチン調製物を用いて、全身または粘膜経路を介して外ワクチンを投与することにより、感染に罹りやすい哺乳動物を防御または治療することができる。これらの投与としては、筋肉内(IM)、腹腔内(IP)、皮内(ID)もしくは皮下(SC)経路を介する注入;または経口/消化管、気道、尿生殖路への粘膜投与が挙げられる。肺炎または中耳炎の治療のためのワクチンの鼻内(IN)投与が好ましい(肺炎球菌の鼻咽頭運搬をより効率的に防止し、かくして、その最も早い段階で感染を弱めることができる)。本発明のワクチンを単回投与として投与することができるが、その成分を同時に、または異なる時点で一緒に同時投与することもできる(例えば、肺炎球菌糖類コンジュゲートを、別々に、同時に、または互いに関して免疫応答の最適な協調のためにワクチンの任意の細菌タンパク質成分の投与の1〜2週間後に投与することができる)。同時投与のためには、最適なTh1アジュバントは、異なる投与のいずれか、または全部に存在してもよい。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を用いてもよい。例えば、糖類または糖類コンジュゲートをIM(またはID)投与し、細菌タンパク質をIN(またはID)投与することができる。さらに、本発明のワクチンを、初回用量についてはIMで、追加用量についてはINで投与することができる。
【0132】
ワクチン中のタンパク質抗原の含量は、典型的には、1〜100μg、好ましくは、5〜50μgの範囲、例えば、5〜25μgの範囲にあるであろう。初回のワクチン接種後、被験体は十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。
【0133】
ワクチン調製物はVaccine Design (「The subunit and adjuvant approach」(Powell M.F. & Newman M.J.(編)) (1995) Plenum Press New York)に一般的に記載されている。リポソーム内への封入は、Fullertonの米国特許第4,235,877号により記載されている。
【0134】
本発明のワクチンを、溶液中で保存するか、または凍結乾燥することができる。好ましくは、この溶液を、スクロースまたはラクトースなどの糖の存在下で凍結乾燥する。それらを凍結乾燥し、使用前に即席に再構成させるのがさらに好ましい。凍結乾燥はより安定な組成物(ワクチン)をもたらし、3D-MPLの存在下およびアルミニウムに基づくアジュバントの非存在下ではおそらくより高い抗体力価をもたらし得る。
【0135】
本発明の一態様においては、必要に応じて、凍結乾燥形態の本発明の免疫原性組成物を含むバイアルを含み、および本明細書に記載のアジュバントを含むバイアルをさらに含むワクチンキットを提供する。本発明のこの態様においては、前記アジュバントを用いて、凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成することが想定される。
【0136】
本発明のワクチンを任意の経路により投与することができるが、皮膚への記載のワクチンの投与(ID)は、本発明の一実施形態を形成する。ヒトの皮膚は、表皮の上にある、角質層と呼ばれる外側の「角質」キューティクルを含む。この表皮の下は、順に皮下組織の上にある真皮と呼ばれる層である。研究者らにより、皮膚、および特に真皮へのワクチンの注入は免疫応答を刺激し、これはまたいくつかのさらなる利点と関連することが示された。本明細書に記載のワクチンを用いる皮内ワクチン接種は、本発明の好ましい特徴を形成する。
【0137】
皮内注射の従来技術、「マントゥー手順」は、皮膚を洗浄した後、一方の手で伸ばし、狭いゲージの針(26〜31ゲージ)の先端面取り部を上に向けて針を10〜15°の角度で挿入する工程を含む。針の先端面取り部を挿入したら、針の先端面取り部を下げ、わずかに圧力をかけながらさらに進行させて、皮膚の下でそれを上昇させる。次いで、液体を非常にゆっくりと注入し、それによって皮膚表面上に気泡または隆起を形成させた後、針をゆっくり引き抜く。
【0138】
より最近では、皮膚の中に、または皮膚を横切って液体薬剤を投与するために特異的に設計された装置が記載されており、例えば、WO 99/34850およびEP 1092444に記載の装置、また、例えば、WO 01/13977; 米国特許第5,480,381号、第5,599,302号、第5,334,144号、第5,993,412号、第5,649,912号、第5,569,189号、第5,704,911号、第5,383,851号、第5,893,397号、第5,466,220号、第5,339,163号、第5,312,335号、第5,503,627号、第5,064,413号、第5,520,639号、第4,596,556号、第4,790,824号、第4,941,880号、第4,940,460号、WO 97/37705およびWO 97/13537に記載のジェット注入装置が記載されている。ワクチン調製物の皮内投与の代替的な方法は、従来のシリンジと針、または固形ワクチンの弾道送達のために設計された装置(WO 99/27961)、または経皮パッチ(WO 97/48440; WO 98/28037);皮膚表面への適用(経皮送達、WO 98/20734 ; WO 98/28037)を含んでもよい。
【0139】
本発明のワクチンを皮膚、またはより具体的には、真皮中に投与しようとする場合、該ワクチンは低い液体容量、特に、約0.05 ml〜0.2 mlの容量にある。
【0140】
本発明の皮膚または皮内ワクチン中の抗原含量は、筋肉内ワクチンに認められる従来の用量と類似するものであってよい(上記参照)。しかしながら、製剤が「低用量」であってよいことが皮膚または皮内ワクチンの特徴である。従って、「低用量」ワクチン中のタンパク質抗原は、用量あたり0.1〜10μg、好ましくは0.1〜5μgの少なさで存在するのが好ましい;ならびに糖類(好ましくはコンジュゲートされたもの)抗原は、用量あたり0.01〜0.1μg、および好ましくは0.01〜0.5μgの糖類の範囲で存在してもよい。
【0141】
本明細書で用いられる用語「皮内送達」は、皮膚中の真皮の領域へのワクチンの送達を意味する。しかしながら、ワクチンは真皮中にのみ配置される必要はないであろう。真皮は、ヒト皮膚中の表面から約1.0〜約2.0 mmに位置する皮膚中の層であるが、個体間で、および身体の様々な部分において特定量の変動がある。一般的には、皮膚表面の下に1.5 mm行くことにより真皮に到達すると予想することができる。真皮は角質層と下の表面および皮下層の表皮との間に位置する。送達の様式に応じて、究極的には、ワクチンを真皮内にのみ、もしくは主に真皮内に配置させるか、または究極的にはそれを表皮と真皮の内側に分布させることができる。
【0142】
本発明はさらに、インフルエンザ菌タンパク質、例えば、コンジュゲートされた形態のタンパク質Dの添加により、インフルエンザ菌により引き起こされる中耳炎の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。さらに、本発明はさらに、本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物に、遊離タンパク質として、またはコンジュゲートされたタンパク質として1種または2種の肺炎球菌タンパク質を添加することによる、幼児における肺炎球菌感染(例えば、中耳炎)の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。前記肺炎球菌を含まないタンパク質は、担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じであるか、または異なっていてもよい。1種以上のモラクセラ・カタラリスタンパク質抗原を、遊離形態またはコンジュゲートされた形態で組合せワクチン中に含有させることもできる。かくして、本発明は、幼児における中耳炎に対する(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。
【0143】
別の実施形態においては、本発明は、安全かつ有効な量の本発明のワクチン[小児用ワクチン]を投与することにより、幼児(本発明の文脈においては0〜2歳の年齢と定義される)における(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。本発明のさらなる実施形態は、医学における使用のための本発明の抗原性肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物の提供および肺炎球菌疾患の予防(または治療)のための医薬の製造における本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲートの使用を含む。
【0144】
別の実施形態においては、本発明は、好ましくは、遊離肺炎連鎖球菌タンパク質が担体担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じか、または異なるものであってよい、遊離タンパク質またはコンジュゲートされたタンパク質として存在する1種または2種の肺炎連鎖球菌タンパク質と結合させた、安全かつ有効な量の本発明のワクチンを投与することにより、高齢者集団(本発明の文脈においては、患者が50歳以上の年齢であり、典型的には、55歳を超える年齢であり、より一般的には、60歳を超える年齢である場合、高齢者であると考えられる)における(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。
【0145】
本発明のさらなる態様は、免疫防御用量の本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットを宿主に投与することを含む、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患に対してヒト宿主を免疫する方法である。
【0146】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための本発明の免疫原性組成物である。
【0147】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットの使用である。
【0148】
本明細書に記載の用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、全ての例において、それぞれ、必要に応じて用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」および「からなる(consists of)」と置換可能であると本発明者らにより意図される。
【0149】
本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書に記載の実施形態は、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態にも適用可能であり、その逆も可能である。
【0150】
本特許明細書内で引用される全ての参考文献または特許出願は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0151】
本発明をより良好に理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみのためであり、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0152】
(実施例)
実施例1:タンパク質Dの発現
インフルエンザ菌タンパク質D
タンパク質D発現のための遺伝子構築物
出発材料
タンパク質DをコードするDNA
タンパク質Dが、全ての血清型および非分類性株のインフルエンザ菌の間で高度に保存されている。タンパク質D遺伝子全体をコードするDNA配列を含むベクターpHIC348は、Dr. A. Forsgren, Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmo General Hospital, Malmo, Swedenから取得されたものである。タンパク質DのDNA配列は、Jansonら(1991) Infect. Immun. 59: 119-125により公開されている。
【0153】
発現ベクターpMG1
発現ベクターpMG1は、外来挿入遺伝子の転写および翻訳のためのバクテリオファージλ由来制御エレメントが導入された(Shatzmanら、1983)pBR322の誘導体(Grossら、1985)である。さらに、アンピシリン耐性遺伝子を、カナマイシン耐性遺伝子と交換した。
【0154】
大腸菌株AR58
大腸菌株AR58を、SA500誘導体(galE::TN10、λKil-cI857ΔH1)上で予め増殖させたP1ファージ保存液を用いてN99を形質導入することにより作製した。N99およびSA500は、National Institute of HealthのMartin Rosenberg博士の研究室に由来する大腸菌K12株である。
【0155】
発現ベクターpMG 1
タンパク質Dの製造のために、該タンパク質をコードするDNAを、発現ベクターpMG 1中にクローニングした。このプラスミドは、挿入された外来遺伝子の転写および翻訳を駆動するλファージDNAに由来するシグナルを使用する。このベクターは、プロモーターPL、オペレーターOLならびにNタンパク質が提供された場合、転写極性効果を軽減する2個の利用部位(NutLおよびNutR)を含む(Grossら、1985)。PLプロモーターを含むベクターを、大腸菌溶原性宿主に導入して、プラスミドDNAを安定化させる。溶原性宿主株は、ゲノム中に組込まれた複製欠損性λファージDNAを含む(Shatzmanら、1983)。染色体λファージDNAは、ベクターのOLリプレッサーに結合するcIリプレッサータンパク質の合成を指令し、PLプロモーターへのRNAポリメラーゼの結合を阻害し、それによって、挿入された遺伝子の転写を阻害する。発現株AR58のcI遺伝子は、温度感受性突然変異体を含み、PLにより指令された転写を、温度シフトにより調節することができる、すなわち、培養温度の増加が、リプレッサーを不活化し、外来タンパク質の合成を開始させる。この発現系により、特に、細胞に対して毒性的であり得る外来タンパク質の合成の制御が可能になる(ShimatakaおよびRosenberg、1981)。
【0156】
大腸菌株AR58
タンパク質D担体の製造に用いたAR58溶原性大腸菌株は、標準的なNIHの大腸菌K12株N99の誘導体(F- su- galK2, lacZ- thr-)である。それは、欠損性溶原性λファージ(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)を含む。Kil-表現型は、宿主の大分子合成の遮断を阻害する。cI857突然変異は、cIリプレッサーに対して温度感受性障害を付与する。ΔH1の欠失は、λファージの右オペロンならびに宿主のbio、uvr3、およびchlA座を除去する。AR58株を、SA500誘導体(galE::TN10, λKil- cI857 ΔH1)上で予め増殖させたP1ファージ保存液を用いてN99を形質導入することにより作製した。N99への欠損性溶原菌の導入を、隣接するgalE遺伝子中でテトラサイクリン耐性をコードするTN10トランスポゾンの存在のため、テトラサイクリンで選択した。
【0157】
ベクターpMGMDPPrDの構築
インフルエンザウイルスの非構造S1タンパク質をコードする遺伝子を含むpMG1ベクター(pMGNSI)を用いて、pMGMDPPrDを構築した。タンパク質D遺伝子を、それぞれ、5'および3'末端にNcoIおよびXbaI制限部位を含むPCRプライマーを用いて、pHIC348ベクター(Jansonら、1991 Infect. Immun. 59:119-125)からPCRにより増幅した。次いで、NcoI/XbaI断片を、NcoIとXbaIの間でpMGNS1中に導入し、かくして、NSタンパク質のN末端の81アミノ酸、次いで、PDタンパク質を含む融合タンパク質を作製した。このベクターは標識されたpMGNS1PrDであった。上記の構築物に基づいて、タンパク質D発現のための最終構築物を作製した。BamHI/BamHI断片を、pMGNS1PrDから除去した。このDNA加水分解は、最初の3個のN末端残基を除いて、NS1コード領域を除去する。ベクターの再連結の際に、WO 07/71711、実施例1、44頁に示された配列との融合タンパク質をコードする遺伝子を作製する。
【0158】
タンパク質Dは、リーダーペプチドまたは脂質鎖が通常結合したN末端システインを含まない。従って、このタンパク質はペリプラズム中に排出もされず、脂質化もされず、可溶性形態で細胞質中に残る。
【0159】
最終構築物pMG-MDPPrDを、37℃での熱ショックによりAR58宿主株に導入した。プラスミド含有細菌を、カナマイシンの存在下で選択した。タンパク質DコードDNA挿入物の存在を、選択されたエンドヌクレアーゼによる単離されたプラスミドDNAの消化により証明した。この組換え大腸菌株を、ECD4と呼ぶ。
【0160】
タンパク質Dの発現は、λPLプロモーター/OLオペレーターの制御下にある。宿主株AR58は、OLに結合することにより低温でλPLからの発現を遮断するゲノム中に温度感受性cI遺伝子を含む。一度、温度が上昇したら、cIはOLから放出され、タンパク質Dが発現される。
【0161】
小規模調製
発酵の終わりに、細胞を濃縮し、凍結する。
【0162】
収穫された細胞からの抽出とタンパク質Dの精製を以下のように実施した。凍結された細胞培養ペレットを解凍し、最終OD650=60となるように細胞破壊溶液(クエン酸バッファーpH 6.0)中に再懸濁した。懸濁液を、P=1000バールの高圧ホモジェナイザーに2回通過させる。細胞培養ホモジェネートを遠心分離により清澄化し、細胞破片を濾過により除去する。第1の精製工程において、濾過された溶解物を陽イオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Fast Flow)に印加する。PDはイオン相互作用によりゲルマトリックスに結合し、溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出される。
【0163】
第2の精製工程において、不純物を陰イオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)上に保持する。PDは、ゲル上には結合せず、流出液中で回収することができる。
【0164】
両方のカラムクロマトグラフィー工程において、画分の回収をODによりモニターする。精製されたタンパク質Dを含む陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの流出液を、限外濾過により濃縮する。
【0165】
タンパク質Dを含む限外濾過保持液を、最後に0.2μm膜に通過させる。
【0166】
大規模調製
収穫された細胞からの抽出およびタンパク質Dの精製を、以下のように実施した。収穫された培地を冷却し、約800バールの圧力で高圧ホモジェナイザーを2回直接通過させる。
【0167】
第1の精製工程においては、細胞培養ホモジェネートを希釈し、陽イオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Bigビーズ)に印加する。PDはイオン相互作用によりゲルマトリックスに結合し、溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出させ、濾過する。
【0168】
第2の精製工程においては、不純物を陰イオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)上に保持させる。PDはゲル上には結合せず、流出液中で回収することができる。
【0169】
両方のカラムクロマトグラフィー工程において、画分の回収をODによりモニターする。精製されたタンパク質Dを含む陰イオン交換クロマトグラフィーの流出液を濃縮し、限外濾過により透析濾過する。
【0170】
タンパク質Dを含有する限外濾過保持液を、最終的に0.2μm膜に通過させる。
【0171】
実施例1b:PhtDの発現
PhtDタンパク質は、ヒスチジントライアド(HXXHXHモチーフ)の存在を特徴とする肺炎球菌ヒスチジントライアド(Pht)タンパク質ファミリーのメンバーである。PhtDは、838アミノ酸の分子であり、5個のヒスチジントライアドを担持する(MedImmune WO00/37105 アミノ酸配列については配列番号4およびDNA配列については配列番号5を参照されたい)。PhtDはLXXCモチーフを有する20アミノ酸のN末端シグナル配列を有する。
【0172】
遺伝子構築物
成熟MedImmune PhtDタンパク質(アミノ酸21〜838)の遺伝子配列を、pλプロモーターを担持する組織内pTCMP14ベクターを用いて、大腸菌を組換え的に導入した。この大腸菌宿主株はAR58であり、これはcI857温度感受性リプレッサーを担持し、プロモーターの熱誘導を可能にする。
【0173】
ポリメラーゼ連鎖反応を行って、MedImmuneプラスミド(肺炎連鎖球菌株Norway 4(血清型4)に由来するphtD遺伝子を担持する-WO 00/37105に記載の配列番号5)に由来するphtD遺伝子を増幅した。phtD遺伝子にのみ特異的なプライマーを用いて、2個の断片中でphtD遺伝子を増幅した。プライマーは、NdeIおよびKpnIまたはKpnIおよびXbaI制限部位を担持する。これらのプライマーは、phtD特異的遺伝子配列だけでなく、ベクターに由来する任意のヌクレオチドとハイブリダイズしない。人工ATG開始コドンを、NdeI制限部位を担持する第1のプライマーを用いて挿入した。次いで、生成されたPCR産物をpGEM-Tクローニングベクター(Promega)に挿入し、DNA配列を確認した。次いで、TCMP14発現ベクター中の断片のサブクローニングを、標準的な技術を用いて行って、ベクターをAR58大腸菌中に形質転換した。
【0174】
PhtDの精製
PhtDの精製を以下のように達成する:
・カナマイシンの存在下での大腸菌細胞の増殖:30℃で30時間の増殖、次いで、39.5℃で18時間の誘導、
・EDTA 5 mMおよびプロテアーゼ阻害剤としてのPMSF 2 mMの存在下、OD±115:Rannie、2回の継代、1000バールでの全培養物に由来する大腸菌細胞の破壊、
・室温(20℃)での拡張ベッドモードのStreamline Q XLクロマトグラフィー上での抗原捕捉および細胞破片除去;カラムをNaCl 150 mM + Empigen 0.25% pH 6.5で洗浄し、25 mMリン酸カリウムバッファーpH 7.4中のNaCl 400 mM + Empigen 0.25%で溶出する、
・Sartobran 150カートリッジ(0.45 + 0.2μm)上での濾過、
・4℃の5 mMのイミダゾールの存在下、pH 7.4でのZn++キレート化Sepharose FF IMACクロマトグラフィー上への抗原結合;カラムをイミダゾール 5 mMおよびEmpigen 1%で洗浄し、50 mMイミダゾールで溶出する(両方とも25 mMリン酸カリウムバッファーpH 8.0中)、
・4℃、pH 8.0(25 mMリン酸カリウム)でのFractogel EMD DEAE上、陽性モードの弱い陰イオン交換クロマトグラフィー;夾雑物(タンパク質およびDNA)が交換樹脂上に吸着されたままにしながら、カラムを140 mM NaClで洗浄し、200 mM NaClで溶出する、
・50 kDaの膜上、2 mM Na/Kリン酸pH 7.15を用いる濃縮および限外濾過、
・Millipak-20 0.2μmフィルターカートリッジ上での精製バルクの滅菌濾過。
【0175】
実施例1c:肺炎球菌溶血素の発現
肺炎球菌溶血素を、WO 2004/081515およびWO 2006/032499に記載のように調製し、解毒した。
【0176】
実施例2:
コンジュゲートの調製
精製された肺炎球菌多糖類を作製する方法は当業界でよく知られている。これらの実施例のために、多糖類を本質的にはEP072513に記載のように、または密接に関連する方法により作製した。コンジュゲーションの前に、多糖類を以下に記載のように微小流動化によりサイズ変更することができる。
【0177】
活性化およびカップリング条件は、それぞれの多糖類に特異的である。これらを表1に与える。サイズ変更された多糖類(PS5、6Bおよび23F以外)を、NaCl 2M、NaCl 0.2Mまたは注入用の水(WFI)に溶解した。最適多糖類濃度を全ての血清型について評価した。血清型18C以外の全ての血清型を、以下に詳述されるように担体タンパク質に直接結合させた。2種の代替的な血清型22Fコンジュゲートを作製した;1種を直接結合させ、1種をADHリンカーを介して結合させた。
【0178】
アセトニトリルまたはアセトニトリル/水 50%/50%溶液中の100 mg/ml保存溶液から、CDAP (CDAP/PS比0.5〜1.5 mg/mg PS)を多糖類溶液に添加した。1.5分後、0.2M〜0.3MのNaOHを添加して、特異的活性化pHを得た。25℃で3分間、このpHで多糖類の活性化を行った。精製されたタンパク質(タンパク質D、PhtD、肺炎球菌溶血素またはDT)(その量は最初のPS/担体タンパク質比に依存する)を活性化された多糖類に添加し、カップリング反応をpH調節下で最大2時間(血清型に応じて)、特定のpHで行った。次いで、未反応のシアン酸エステル基をクエンチするために、2Mグリシン溶液を混合物に添加した。pHをクエンチングpH(pH 9.0)に調整した。溶液を25℃で30分間攪拌した後、連続的にゆっくり攪拌しながら、2〜8℃で一晩放置した。
【0179】
18Cの調製:
18Cを、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して担体タンパク質に連結した。多糖類血清型18Cを微小流動化した後、結合させた。
【0180】
EDACを用いる破傷風トキソイドの誘導体化
破傷風トキソイドの誘導体化のために、精製されたTTを0.2M NaCl中で25 mg/mlで希釈し、ADHスペーサーを添加して、0.2Mの最終濃度を達成した。スペーサーの溶解が完了した時、pHを6.2に調整した。次いで、EDAC(1-エチル-3-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド)を添加して、0.02Mの最終濃度を達成し、混合物をpH調節下で1時間攪拌した。25℃で少なくとも30分間、pHを9.0まで増加させることにより、縮合反応を停止させた。次いで、誘導体化されたTTを透析濾過(10 kDa CO膜)して、残留ADHおよびEDAC試薬を除去した。
【0181】
最後に、TTAHバルクを滅菌濾過し、カップリング工程まで-70℃で保存した。
【0182】
PS18CへのTTAHの化学的カップリング
コンジュゲーションパラメーターの詳細を、表1に見出すことができる。
【0183】
2グラムの微小流動化されたPSを、水中に規定の濃度で希釈し、NaCl粉末添加により2M NaClに調整した。
【0184】
CDAP溶液(50/50 v/vのアセトニトリル/WFI中で新鮮に調製された100 mg/ml)を添加して、好適なCDAP/PS比を達成した。
【0185】
0.3M NaOHの添加によりpHを活性化pH 9.0まで上昇させ、TTAHの添加までこのpHで安定化させた。
【0186】
3分後、誘導体化されたTTAH(0.2M NaCL中の20 mg/ml)を添加して、2のTTAH/PS比を達成した;pHをカップリングpH 9.0に調節した。溶液をpH調節下で1時間放置した。
【0187】
クエンチングのために、2Mのグリシン溶液を混合物PS/TTAH/CDAPに添加した。
【0188】
pHをクエンチングpH(pH 9.0)に調整した。
【0189】
溶液を25℃で30分間攪拌した後、連続的にゆっくり攪拌しながら、2〜8℃で一晩放置した。
【0190】
PS22FAH-PhtDコンジュゲート
この糖類のための第2のコンジュゲーション方法(第1の方法は、表1に示される直接的PS22-PhtDコンジュゲーション方法である)において、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して22Fを担体タンパク質に連結した。多糖類血清型22Fを微小流動化した後、結合させた。
【0191】
PS 22F誘導体化
温度制御された水浴中、連続攪拌下、25℃で活性化およびカップリングを実施する。
【0192】
微小流動化されたPS22Fを希釈して、0.2M NaCl中、6 mg/mlの最終PS濃度を得て、溶液を0.1N HClでpH 6.05±0.2に調整した。
【0193】
CDAP溶液(アセトニトリル/WFI、50/50中で新鮮に調製された100 mg/ml)を添加して、好適なCDAP/PS比(1.5/1 w/w)を達成した。
【0194】
0.5M NaOHの添加によりpHを活性化pH 9.00±0.05まで上昇させ、ADHの添加までこのpHで安定化させた。
【0195】
3分後、ADHを添加して、好適なADH/PS比(8.9/1 w/w)を達成した;pHをカップリングpH 9.0に調節した。溶液をpH調節下で1時間放置した。
【0196】
PSAH誘導体を濃縮し、透析濾過した。
【0197】
カップリング
O.2M NaCl中、10 mg/mlのPhtDをPS22FAH誘導体に添加して、4/1のPhtD/PS22FAH比(w/w)を達成した。pHをHClで5.0±0.05に調整した。EDAC溶液(0.1M Tris-HCl pH 7.5中、20 mg/ml)を10分かけて手動で添加して(250μl/分)、1 mg EDAC/mg PS22FAHを達成した。得られた溶液を、攪拌およびpH調節下、25℃で150分間(しかし、60分も用いた)インキュベートした。1M Tris-HCl pH 7.5(最終容量の1/10)の添加により溶液を中和し、25℃で30分間放置した。
【0198】
Sephacryl S400HR上での溶出の前に、5μmのMinisartフィルターを用いてコンジュゲートを清澄化した。
【0199】
得られるコンジュゲートは、4.1(w/w)の最終PhtD/PS比、1%未満の遊離PS含量ならびに36.3%の抗原性(α-PS/α-PS)および7.4%の抗PhtD抗原性を有する。タンパク質と多糖類の比率を、LowryおよびResorcinol法を用いて測定し、サンドイッチELISAを用いて抗原性を決定した。
【0200】
コンジュゲートの精製:
0.15M NaClで平衡化させたSephacryl S400HRゲル濾過(18CについてはS500HR)を用いるゲル濾過によりコンジュゲートを精製して、小分子(DMAPなど)ならびにコンジュゲートされていないPSおよびタンパク質を除去した。反応成分の様々な分子サイズに基づいて、PS-PD、PS-TT、PS-PhtD、PS-肺炎球菌溶血素またはPS-DTコンジュゲートが最初に溶出した後、遊離PS、次いで、遊離PDまたは遊離DT、最後にDMAPおよび他の塩(NaCl、グリシン)が溶出する。コンジュゲートを含む画分を、UV280 nmにより検出する。画分をそのKdに従ってプールし、滅菌濾過(0.22μm)し、+2〜8℃で保存する。コンジュゲート調製物中のPS/タンパク質比を決定した。
【0201】
PS肺炎連鎖球菌-タンパク質D/TT/DT/PhtD/Plyコンジュゲートの特異的活性化/カップリング/クエンチング条件
「μfluid」が行頭にある場合、それは糖類がコンジュゲーションの前に微小流動化によりサイズ変更されたことを示す。微小流動化後の糖類のサイズを、表2に与える。
【表1】
【0202】
特性評価:
各コンジュゲートを特性評価したところ、表2に記載の仕様を満たしていた。多糖類含量(μg/ml)をResorcinol試験により測定し、タンパク質含量(μg/ml)をLowry試験により測定した。最終PS/PD比(w/w)を、濃度比により決定する。
【0203】
遊離多糖類含量(%):
4℃で保持するか、または37℃で7日間保存したコンジュゲートの遊離多糖類含量を、α-担体タンパク質抗体および飽和硫酸アンモニウムとのインキュベーションし、次いで遠心分離した後に得られた上清上で決定した。
【0204】
上清中の遊離多糖類の定量のために、α-PS/α-PS ELISAを用いた。また、コンジュゲートの非存在を、α-担体タンパク質/α-PS ELISAにより制御した。
【0205】
抗原性:
同じコンジュゲート上の抗原性を、抗体の捕捉および検出が、それぞれ、α-PSおよびα-タンパク質であるサンドイッチ型ELISAにおいて分析した。
【0206】
遊離タンパク質含量(%):
コンジュゲートされていない担体タンパク質を、精製工程の間にコンジュゲートから分離することができる。遊離残留タンパク質の含量を、サイズ排除クロマトグラフィー(TSK 5000-PWXL)、次いで、UV検出(214 nm)を用いて決定した。溶出条件により、遊離担体タンパク質およびコンジュゲートの分離が可能になった。次いで、コンジュゲートバルク中の遊離タンパク質含量を、補正曲線に対して決定した(0〜50μg/mlの担体タンパク質)。遊離担体タンパク質(%)を以下のように得た:遊離担体(%)=(遊離担体(μg/ml)/(Lowryにより測定された対応する担体タンパク質の総濃度(μg/ml)*100%)。
【0207】
安定性:
分子量分布(Kav)および安定性を、4℃で保持し、37℃で7日間保存したコンジュゲートについて、HPLC-SECゲル濾過(TSK 5000-PWXL)上で測定した。
【0208】
10/11/13/14価の特性評価を、表2に与える(その下の注釈を参照)。
【0209】
タンパク質コンジュゲートをリン酸アルミニウム上に吸着させ、プールして最終ワクチンを形成させることができる。
【表2】
【0210】
血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fのコンジュゲートを混合することにより(例えば、それぞれヒト用量あたり、1、3、1、1、1、1、1、3、3、1μg用量の糖類)、10価ワクチンを作製した。表5に由来する血清型3のコンジュゲートをさらに添加することにより(例えば、ヒト用量あたり1μgの糖類)、11価ワクチンを作製した。上記の血清型19Aおよび22Fのコンジュゲートをさらに添加することにより(PhtDに直接連結されたか、またはあるいはADHリンカーを介して連結された22F)[例えば、ヒト用量あたりそれぞれ3μgの用量の糖類]、13価のワクチンを作製した。上記の血清型6Aのコンジュゲートをさらに添加することにより[例えば、ヒト用量あたり1μg用量の糖類]、14価のワクチンを作製することができる。
【0211】
実施例3:本発明の免疫原性組成物中のインフルエンザ菌タンパク質Dの含有が急性中耳炎(AOM)に対する改善された防御を提供することができるという証拠
試験設計
この試験には、インフルエンザ菌に由来するタンパク質Dにそれぞれコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fを含む11Pn-PDワクチン(実施例4の表5を参照)を用いた。被験者を2群に無作為化し、約3、4、5および12〜15ヶ月齢の11Pn-PDワクチンまたはHavrixの4回用量を受けた。全ての被験者は、3、4および5ヶ月齢で同時にGSK Biological's Infanrix-hexa (DTPa-HBV-IPV/Hib)ワクチンを受けた。Infanrix-hexaは、投与前に混合されたPediarixとHibの組合せである。「プロトコルに従う」分析のための有効性追跡を、3回目のワクチン用量の投与の2週間後に開始し、24〜27ヶ月齢まで継続した。肺炎連鎖球菌およびインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬を、被験者の選択されたサブセットにおいて評価した。
【0212】
子供が病気であるか、耳の痛み、鼓膜の自然穿孔または自然耳漏を有する場合、彼らの両親は調査者に相談するように忠告された。調査者がAOMの発現を疑った場合、子供を診断の確認のために耳鼻咽喉科(ENT)の専門医にすぐに紹介した。
【0213】
AOMの臨床診断は、鼓膜の外観(すなわち、発赤、腫れ、対光反射の消失)または中耳液流出の存在(単純な、もしくは空気圧式耳鏡検査法によるか、もしくは顕微鏡により証明される)に基づくものであった。さらに、以下の兆候または症候の少なくとも2種が存在しなければならない:耳の痛み、耳漏、聴力消失、発熱、無気力、興奮性、食欲不振、嘔吐、または下痢。ENT専門医が臨床診断を確認した場合、細菌試験のために鼓室穿刺術により中耳液の標本を収集した。
【0214】
病気訪問を繰り返す被験者については、以前の症状発現の開始以来、30日を超えて経過した場合、新しいAOM症状発現が開始したものと考えた。さらに、単離された細菌/血清型が、2つの連続的な症状発現の間隔がどんなものでも、以前の単離物と異なっていた場合、AOMの症状発現を新しい細菌の症状発現であると考えた。
【0215】
試験の結果
合計4968人の幼児を登録し、2489人を11Pn-PD群に、2479人を対照群に登録した。2つの群の間には人口学的特性または危険因子における主な差異は存在しなかった。
【0216】
臨床症状発現およびAOM事例の定義
プロトコルあたりの追跡期間に、11Pn-PD群において合計333個の臨床AOMの症状発現が記録され、対照群においては499個が記録された。
【0217】
表3は、AOMの任意の症状発現ならびに様々な肺炎球菌血清型、インフルエンザ菌、NTHiおよびモラクセラ・カタラリスにより引き起こされるAOMに対する、11Pn-PDワクチンならびに、フィンランドで以前に試験された両方の7価ワクチン(Eskolaら、N Engl J Med 2001; 344: 403-409およびKilpiら、Clin Infect Dis 2003 37:1155-64)の防御効果を提供する。病因に関係なく、AOM疾患負荷全体の33.6%の統計学的に有意かつ臨床的に関連する減少が11Pn-PDについて達成された(表3)。11Pn-PDワクチン中に含まれる11種の肺炎球菌血清型のいずれかに起因するAOM症状発現に対する全体の効果は、57.6%であった(表3)。
【0218】
現在の研究の別の重要な知見は、インフルエンザ菌により引き起こされるAOMに対する11Pn-PDワクチンにより提供される35.6%の防御(および特に、NTHiにより提供される35.3%の防御)である。この知見は、肺炎球菌コンジュゲートワクチン時代におけるAOMの主要な原因としてのインフルエンザ菌の重要性の増加を考慮すれば、主に臨床的に有意なものである。AOMに対して提供される防御と一致して、11Pn-PDワクチンも人生の2年目における追加投与後のインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬を低下させた。これらの知見は、両方の7価肺炎球菌コンジュゲートワクチンについて、インフルエンザ菌に起因するAOM症状発現の増加が、病因交換の証拠として観察されたフィンランドでの以前の観察(Eskolaら、およびKilpiら)とは対照的である。
【0219】
Hiに起因するAOM症状発現に対する防御と、担体タンパク質Dに対する抗体レベルとの明確な相関を確立することができなかったが、Hi AOM症状を発現しないままであった、初回免疫後の11Pn-PDワクチン被接種者における抗PD IgG抗体濃度は、有効性追跡期間に少なくとも1つのHi AOM症状発現を生じた11Pn-PDワクチン被接種者において測定された初回免疫後の抗PD IgG抗体レベルと本質的に同じであった。しかしながら、ワクチンの生物学的影響と、初回免疫後のIgG抗PD免疫原性との相関を確立することができなかったが、インフルエンザ菌株間で高度に保存されたPD担体タンパク質が、Hiに対する防御の誘導においてかなりの程度まで寄与したと仮定することは合理的である。
【0220】
AOM疾患に対する効果は、ワクチン血清型肺炎球菌およびインフルエンザ菌について同様の規模のものである鼻咽頭運搬に対する効果と同時に生じた(図1)。PD-コンジュゲートのワクチン被接種者におけるインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬のこの低下は、たとえ、防御効果と、ELISAにより測定される抗PD IgG免疫応答とを相関させることができなかった場合でも、インフルエンザ菌に対するPD-コンジュゲートワクチンの直接的防御効果の仮説を支持する。
【0221】
以下の実験においては、チンチラ中耳炎モデルを、本実施例の11価製剤または実施例2の10価製剤で免疫した幼児から得た血清プールと共に用いた(表1および2ならびにその下の注釈も参照されたい)。両方のプールは、免疫前の血清プールに対する中耳炎を有する動物の割合の有意な低下を誘導する。10価と11価の免疫プールの間には有意差はない。これは、両方のワクチンがこのモデルにおいては非分類性インフルエンザ菌により引き起こされる中耳炎に対する防御を誘導する類似する能力を有することを示している。
【表3】
【0222】
実施例4:血清型19Fに関する担体タンパク質の選択
用いたELISAアッセイ
22F阻害ELISA法は、本質的にはConcepcionおよびFraschにより2001年に提唱されたアッセイに基づくものであり、Henckaertsら、2006, Clinical and Vaccine Immunology 13:356-360により報告された。簡単に述べると、精製された肺炎球菌多糖を、メチル化ヒト血清アルブミンと混合し、Nunc Maxisorp(商標)(Roskilde, DK)高結合マイクロタイタープレート上に4℃で一晩吸着させた。プレートを、攪拌しながら室温で1時間、PBS中の10%ウシ胎仔血清(FBS)でブロックした。血清サンプルを、10%FBS、10μg/mLの細胞壁多糖(SSI)および2μg/mLの血清型22Fの肺炎球菌多糖(ATCC)を含むPBS中に希釈し、同じバッファーを含むマイクロタイタープレート上でさらに希釈した。89-SF中、血清型特異的IgG濃度を用いる標準血清89-SFに対して補正された内部参照を、同じ方法で処理し、プレート毎に含有させた。洗浄した後、結合した抗体を、10%FBS(PBS中)中に希釈したペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgGモノクローナル抗体(Stratech Scientific Ltd., Soham, UK)を用いて検出し、攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。室温で暗室中、即時使用単一成分テトラメチルベンズイジンペルオキシダーゼ酵素免疫アッセイ基質キット(BioRad, Hercules, CA, US)を用いて発色させた。0.18M H2SO4を用いて反応を停止させ、光密度を450 nmで読み取った。サンプル中の血清型特異的IgG濃度(μg/mL)を、SoftMax Pro(商標)(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)ソフトウェアを用いて算出された4パラメーターロジスティックlog方程式によりモデル化された、内部参照血清曲線に対して規定の限界内の光密度点を参照することにより算出した。ELISAに関するカットオフは、検出限界および定量限界を考慮に入れて、全ての血清型について0.05μg/mLのIgGであった。
【0223】
オプソニン食作用アッセイ
2003年6月のWHOコンサルテーションミーティングで、Romero-Steinerら、Clin Diagn Lab Immunol 2003 10 (6): pp1019-1024に記載のOPAアッセイを使用することが推奨された。このプロトコルを用いて、以下の試験において血清型のOPA活性を試験した。
【0224】
コンジュゲートの調製
試験11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007において、タンパク質Dに結合させた1μgの多糖(19F-PD)の代わりに、3μgの19F多糖をジフテリアトキソイドに結合させた(19F-DT)、3種の11価ワクチン製剤(表4)を含有させた。試験11Pn-PD、11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007に関する結合パラメーターを、それぞれ、表5、6および7に開示する。
【0225】
これらの19F-DT製剤を用いる初回ワクチン接種の1ヶ月後の血清型19Fに対する抗肺炎球菌抗体応答およびOPA活性を、それぞれ、表8および9に示す。表10は、23価プレーン多糖追加ワクチン接種の前後の、22F-ELISA抗体濃度および0.2μg/mLの閾値に到達する被験者の割合を示す。
【0226】
オプソニン食作用活性は、初回ワクチン接種の1ヶ月後の、より高い血清陽性率(オプソニン食作用力価≧1.8)およびOPA GMTにより示されるように、これらの19F-DT製剤を用いて誘導された抗体について明確に改善されることが示された(表9)。23価プレーン多糖追加ワクチン接種の1ヶ月後に、19F抗体のオプソニン食作用活性は19F-DT製剤を初回接種された子供については、有意により良好なままであった(表11)。
【0227】
表12は、Prevnar(登録商標)の4回の連続投与と比較して、19F-DTまたは19F-PDコンジュゲートを以前に初回接種された幼児における11Pn-PD追加投与後の免疫原性データを提供する。米国におけるPrevnar(登録商標)の誘導後に報告された画期的事例を考慮すれば、DT担体タンパク質に結合させた場合、血清型19Fに対する改善されたオプソニン食作用活性は、候補ワクチンに関する利点であってよい。
【0228】
表13は、交叉反応性血清型19Aに関して、19F-DTコンジュゲートについてのELISAおよびOPAデータを提供する。19F-DTは19Aに対する低いが、有意なOPA活性を誘導することが見出された。
【表4】
【0229】
【表5】
【0230】
【表6】
【0231】
【表7】
【0232】
【表8】
【0233】
【表9】
【0234】
【表10】
【0235】
【表11】
【0236】
【表12】
【0237】
【表13】
【0238】
実施例5:前臨床モデルにおけるアジュバント実験:高齢のアカゲザルにおける肺炎球菌11価多糖コンジュゲートの免疫原性に対する影響
高齢集団におけるコンジュゲート肺炎連鎖球菌ワクチンに対して誘起される応答を最適化するために、GSKは新規アジュバント(アジュバントC)を含む11価多糖(PS)コンジュゲートワクチンを製剤化した。以下を参照されたい。
【0239】
5匹の高齢アカゲザルの群(14〜28歳)を、315μgのAlPO4上に吸着された11価PSコンジュゲートまたはアジュバントCと混合した11価PSコンジュゲートの500μlを用いて、0日目および28日目に筋肉内(IM)的に免疫した。
【0240】
両ワクチン製剤において、11価PSコンジュゲートはそれぞれ、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-PD、PS19F-PD、PS23F-DTおよびPS6B-DTから構成されていた。用いたワクチンは、以下のCDAPプロセス条件:9 mg/mlのサイズ変更された糖類、5 mg/mlのPD、1.2/1の初期PD/PS比、0.75 mg/mg PSのCDAP濃度、pHa=pHc=pHq 9.0/9.0/9.0および60分のカップリング時間、に従って19Fを作製した以外は、表6の条件(実施例4)に従って結合されたヒト用量のワクチンの1/5用量であった(6Bについて[10μg]以外はヒト用量あたり5μgの各糖類)。
【0241】
抗PS ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収された血清中で用量化した。抗PS3記憶B細胞頻度を、42日目に回収された末梢血細胞からElispotにより測定した。
【0242】
本明細書の以下に示される結果に従えば、アジュバントCは、高齢のサルにおいて、AlPO4を用いるコンジュゲートに対して、11価PSコンジュゲートの免疫原性を有意に改善した。新規アジュバントは、PSに対するIgG応答(図1)およびオプソニン食作用抗体力価(表14)を増強した。PS3特異的記憶B細胞の頻度がアジュバントCの使用により増加する支持的な証拠も存在した(図2)。
【表14】
【0243】
B細胞Elispot
このアッセイの原理は、記憶B細胞が、CpGと共に5日間培養した後、in vitroで形質細胞に成熟するという事実に依存する。in vitroで生成された抗原特異的形質細胞は容易に検出することができ、従って、B細胞elispotアッセイを用いて数えることができる。特異的形質細胞の数は、培養の開始時の記憶B細胞の頻度を反映する。
【0244】
簡単に述べると、in vitroで生成された形質細胞を、抗原で被覆された培養プレート中でインキュベートする。抗原特異的形質細胞は、抗体/抗原スポットを形成し、これを従来の免疫酵素手順により検出し、記憶B細胞として数える。
【0245】
現在の試験においては、多糖類を用いて培養プレートをコーティングして、それぞれの記憶B細胞を数えている。結果を、100万個の記憶B細胞内のPS特異的記憶B細胞の頻度として表す。
【0246】
この試験は、アジュバントCがPS3追加性の公知の問題を軽減することができることを示す(5th International Symposium on Pneumococci and Pneumococcal Diseases, April 2-6 2006, Alice Springs, Central Australia. Specificities of immune responses against a serotype 3 pneumococcal conjugate. Schuerman L, Prymula R, Poolman J. Abstract book p 245, PO10.06を参照されたい)。
【0247】
実施例6:若いBalb/cマウスにおけるPS 19Fの免疫原性を増強するタンパク質担体としての解毒された肺炎球菌溶血素(dPly)の有効性
40匹の雌Balb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合された、50μlの4価プレーンPSまたは4価dPly-コンジュゲート化PSを用いて0、14および28日目にIM的に免疫した。
【0248】
両ワクチン製剤は、0.1μg(糖類の量)のそれぞれ以下のPS:PS8、PS12F、PS19FおよびPS22Fのから構成されていた。
【0249】
抗PS ELISA IgGレベルを42日目に回収された血清中で用量化した。
【0250】
図3に一例として示される抗PS19F応答は、プレーンPSで免疫されたマウスと比較して、4価dPlyコンジュゲートを与えられたマウスにおいて強く増強された。抗PS8、12Fおよび22F IgG応答について、同じ改善が観察された(データは示さない)。
【0251】
実施例7:若いBalb/cマウスにおけるPS 22Fの免疫原性を増強するタンパク質担体としての肺炎球菌ヒスチジントライアドタンパク質D(PhtD)の有効性
40匹の雌Balb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合された、50μlの4価プレーンPSまたは4価PhtD-コンジュゲート化PSを用いて0、14および28日目にIM的に免疫した。
【0252】
両ワクチン製剤は、0.1μg(糖類の量)のそれぞれの以下のPS:PS8、PS12F、PS19FおよびPS22Fから構成されていた。
【0253】
抗PS ELISA IgGレベルを42日目に回収された血清中で用量化した。
【0254】
図4に一例として示される抗PS22F応答は、プレーンPSで免疫されたマウスと比較して、4価PhtDコンジュゲートを与えられたマウスにおいて強く増強された。抗PS8、12Fおよび19F IgG応答について、同じ改善が観察された(データは示さない)。
【0255】
実施例8:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの高齢のC57Blマウスにおける免疫原性
30匹の高齢C57Blマウス(69週齢を超える)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて0、14および28日目にIM的に免疫した(下記参照)。
【0256】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照)。さらに、13価ワクチン製剤は、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った(WO 04/81515に記載の方法)。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0257】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、以下の手順を用いて42日目に回収された個々の血清中で評価した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清において測定した。
【0258】
マウス血清学手順:
抗PS19A ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて42日目に回収された血清中で評価した。
【0259】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型19A(10μg/ml)を用いて37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下で30分間、室温でインキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗マウスIgG-ペルオキシダーゼコンジュゲート(1/2500希釈)を添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中の4 mgのOPDA)を各ウェルに15分間添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は血清中に存在する抗体量と直接比例する。
【0260】
血清サンプル中に存在する抗PS19A IgGのレベルを、参照曲線との比較により決定し、μg/mlで表す。参照曲線を、添加した既知量の血清に関するELISA結果から各プレートについて作製した。
【0261】
抗PS22F ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて、42日目に回収された血清中で評価した。
【0262】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型22F(10μg/ml)を用いて37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下で30分間、室温でインキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗マウスIgG抗体ペルオキシダーゼコンジュゲート(1/2500希釈)を添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中の4 mgのOPDA)を各ウェルに15分間添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は血清中に存在する抗体量と直接比例する。
【0263】
未知の血清中に存在する抗PS22F IgGのレベルを、参照曲線と各プレート上に添加された血清との比較により決定し、μg/mlで表す。
【0264】
他の全ての血清型に対する免疫応答を、マウスの血清をプールしたこと以外は同じ手順に従って行った。
【0265】
13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、高齢のC57Blマウスにおいて免疫原性であることが示された(表15)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えたマウスにおいて負に影響しなかった。
【表15】
【0266】
マウスOPA手順:
血清サンプルを56℃で45分間加熱して、残存する内因性補体を不活化した。25μlアリコートのそれぞれ1:2希釈された血清サンプルを、96穴丸底マイクロタイタープレートのウェルあたり25μlのOPAバッファー(HBSS-14.4%不活化FBS)中に2倍連続希釈した。続いて、例えば、4/2/1の比率(v/v/v)の活性化HL-60細胞(1 x 107細胞/ml)、新鮮に解凍された肺炎球菌ワーキングシードおよび新鮮に解凍されたベビーラビット補体の混合物25μlを希釈された血清に添加して、最終容量50μlを得た。アッセイプレートを回転振とう(210 rpm)を用いて37℃で2時間インキュベートして、食作用プロセスを促進した。少なくとも1分間、氷上にマイクロプレートを載せることにより、反応を停止させた。次いで、プレートの各ウェルの20μlアリコートを、96穴平底マイクロプレートの対応するウェルに移し、50μlのTodd-Hewitt Broth-0.9%寒天を各ウェルに添加した。37℃かつ5%CO2で一晩インキュベートした後、寒天中に出現する肺炎球菌コロニーを、自動化画像分析系(KS 400, Zeiss, Oberkochen, Germany)を用いて計数した。血清サンプルを含まない8個のウェルを、細菌対照として用いて、ウェルあたりの肺炎球菌数を決定した。対照ウェルのCFUの平均数を決定し、各血清サンプルに関する殺傷活性の算出に用いた。血清サンプルに関するOPA力価を、肺炎球菌の50%の殺傷を容易にすることができる血清の希釈率逆数により決定した。オプソニン食作用力価を、4パラメーターの曲線適合分析を用いることにより算出した。
【0267】
オプソニン食作用アッセイの結果を、図13および14に示す。
【0268】
実施例9:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いBalb/cマウスにおける免疫原性
30匹の若いBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した(下記参照)。
【0269】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。さらに、13価ワクチン製剤は0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体を、GMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った(WO 04/81515に記載の方法)。群2および3においては、PhtDを用いて、PS 22Fを結合させ、群4および4においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0270】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、42日目に回収された個々の血清中で用量化した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、若いBalb/cマウスにおいて免疫原性であることが示された(表16)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えたマウスにおいて負に影響しなかった。
【0271】
ELISAaを、実施例8に記載のように実行した。
【表16】
【0272】
マウスOPA手順:
血清サンプルを56℃で45分間加熱して、残存する内因性補体を不活化した。25μlアリコートのそれぞれ1:2希釈された血清サンプルを、96穴丸底マイクロタイタープレートのウェルあたり25μlのOPAバッファー(HBSS-14.4%不活化FBS)中に2倍連続希釈した。続いて、例えば、4/2/1の比率(v/v/v)の活性化HL-60細胞(1 x 107細胞/ml)、新鮮に解凍された肺炎球菌ワーキングシードおよび新鮮に解凍されたベビーラビット補体の混合物25μlを希釈された血清に添加して、最終容量50μlを得た。アッセイプレートを回転振とう(210 rpm)を用いて37℃で2時間インキュベートして、食作用プロセスを促進した。少なくとも1分間、氷上にマイクロプレートを載せることにより、反応を停止させた。次いで、プレートの各ウェルの20μlアリコートを、96穴平底マイクロプレートの対応するウェルに移し、50μlのTodd-Hewitt Broth-0.9%寒天を各ウェルに添加した。37℃かつ5%CO2で一晩インキュベートした後、寒天中に出現する肺炎球菌コロニーを、自動化画像分析系(KS 400, Zeiss, Oberkochen, Germany)を用いて計数した。血清サンプルを含まない8個のウェルを、細菌対照として用いて、ウェルあたりの肺炎球菌数を決定した。対照ウェルのCFUの平均数を決定し、各血清サンプルに関する殺傷活性の算出に用いた。血清サンプルに関するOPA力価を、肺炎球菌の50%の殺傷を容易にすることができる血清の希釈率逆数により決定した。オプソニン食作用力価を、4パラメーターの曲線適合分析を用いることにより算出した。
【0273】
結果を、図15および16に示す。
【0274】
ミョウバン製剤における結果:
19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いBalb/cマウスにおける免疫原性
40匹の若いBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともAlPO4上に吸着させた、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した。Infanrix Hexaも同時投与した。
【0275】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。さらに、13価ワクチン製剤は、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22F])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0276】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルならびにオプソニン食作用力価を、42日目に回収された個々の血清中で測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。
【0277】
13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、免疫原性であることが示され、若いBalb/cマウスにおいてオプソニン食作用力価を誘導した(表17および図19〜20)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えられたマウスにおいて負に影響しなかった。
【0278】
オプソニン食作用アッセイを用いて血清を評価し、その結果を図19および20に示す。
【表17】
【0279】
19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いOF1マウスにおける免疫原性
40匹の若いOF1マウス(4週齢)の群を、両方ともAlPO4上に吸着させた、50μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した。Infanrix Hexaも同時投与した。
【0280】
11価ワクチン製剤は、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.1μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。さらに、13価ワクチン製剤は、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った(WO 04/81515に記載の方法)。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においてはPhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0281】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収された個々の血清中で測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。
【0282】
13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは免疫原性であることが示され、若いOF1マウスにおいてオプソニン食作用力価を誘導した(表18および図21〜22)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫されたマウスと比較して、13価製剤を与えられたマウスにおいて負に影響しなかった。
【0283】
また、血清をオプソニン食作用アッセイにより評価し、その結果を図21および22に示す。
【表18】
【0284】
実施例10:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートのモルモット(Guinea Pig)における免疫原性
20匹の若いモルモット(Hartley Strain;5週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、125μlの11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートを用いて、0、14および28日目にIM的に免疫した(下記参照)。
【0285】
11価ワクチン製剤を、以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDのそれぞれの0.25μgの糖類から構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに関する注釈を参照されたい)。13価ワクチン製剤はさらに、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22Fを用いる])。群2および4においては、肺炎球菌溶血素担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fを結合させ、群4および5においてはPhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに結合させ、22Fをタンパク質Dに結合させた。
【0286】
抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、以下のプロトコルを用いて、42日目に回収された個々の血清中で評価した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールされた血清中で測定した。
【0287】
モルモット血清学手順:
抗PS19A ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて、42日目に回収された血清中で評価した。
【0288】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型19A(10μg/ml)を用いて、37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05% Tween 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下、室温で30分間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗モルモットIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(1/1000希釈)を添加し、プレートをRTで30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中、4 mgのOPDA)を15分間、各ウェルに添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は、血清中に存在する抗体量に正比例する。
【0289】
未知の血清中に存在する抗PS19A IgGのレベルを、参照曲線と各プレート上に添加された血清とを比較することにより決定し、μg/mlで表す。
【0290】
抗PS22F ELISA IgGレベルを、本明細書の以下に記載の手順を用いて、42日目に回収された血清中で用量化した。
【0291】
マイクロプレートを、PBSバッファー中の精製された肺炎球菌PS型22F(10μg/ml)を用いて、37℃で2時間コーティングした。プレートをNaCl 0.9% mM-Tween 20 0.05%で4回洗浄した。血清を、PBS 0.05% Tween 20中の50μg/mlのCPS(V/V)と共に37℃で1時間インキュベートした。血清をマイクロウェルに添加し、PBS-BSA 0.05% Tween 0.05%中で連続希釈した(2倍希釈段階)。プレートを攪拌下、室温で30分間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、抗モルモットIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(1/1000希釈)を添加し、プレートをRTで30分間インキュベートした。洗浄後、基質(10 mlのクエン酸0.1M pH 4.5および5μlのH2O2中、4 mgのOPDA)を15分間、各ウェルに添加した。HCl 1Nの添加により反応を停止させた。分光光度計を用いて490〜620 nmで吸光度を読み取った。発色は、血清中に存在する抗体量に正比例する。
【0292】
未知の血清中に存在する抗PS22F IgGのレベルを、参照曲線と各プレート上に添加された血清とを比較することにより決定し、μg/mlで表す。
【0293】
他の全ての血清型に対する免疫応答を、モルモットの血清をプールすること以外は同じ手順に従って行った。
【表19】
【0294】
また、オプソニン食作用アッセイを用いて血清を試験し、その結果を図17および18に示す。
【0295】
実施例11:製剤を作製し、試験する
a)以下の製剤を作製する(表1に由来する13価ワクチンおよび表5に由来する血清型3を用いる - 表2の下で考察された14価ワクチンに関する注釈を参照されたい[直接コンジュゲートされた22FまたはADHリンカーを介してコンジュゲートされた22Fを用いる])。糖類を、以下に示されるようにリン酸アルミニウムおよび3D-MPLを用いて製剤化する。
【0296】
【0297】
b)同じ糖類製剤を、以下のアジュバントの各々を用いてアジュバント化した。以下の表においては、500μlあたりの乳濁液成分の濃度を示す。
【0298】
【0299】
c)また、糖類を2つのリポソームに基づくアジュバントを用いて製剤化する:
アジュバントB1の組成
定性定量(0.5 mL用量あたり)
リポソーム:
- DOPC 1 mg
- コレステロール0.25 mg
3DMPL 50μg
QS21 50μg
KH2PO4 1 3.124 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.290 mgバッファー
NaCl 2.922 mg
(100 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH 6.1
1. 合計PO4濃度 = 50 mM
アジュバントB2の組成
定性定量(0.5 mL用量あたり)
リポソーム
- DOPC 0.5 mg
- コレステロール 0.125 mg
3DMPL 25μg
QS21 25μg
KH2PO4 1 3.124 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.290 mgバッファー
NaCl 2.922 mg
(100 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH 6.1。
【0300】
d)また、糖類をアジュバントCと共に製剤化する(このアジュバントを用いた他の組成物については上記を参照されたい):
定性定量(0.5 mL用量あたり)
水中油乳濁液:50μl
- スクアレン 2.136 mg
- α-トコフェロール 2.372 mg
- Tween 80 0.97 mg
- コレステロール 0.1 mg
3DMPL 50μg
QS21 50μg
KH2PO4 1 0.470 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.219 mgバッファー
NaCl 4.003 mg
(137 mM)
KCl 0.101 mg
(2.7 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH 6.8。
【0301】
実施例12:Balb/cマウスにおける22F-PhtDコンジュゲート免疫原性に対するコンジュゲーション化学の影響
30匹の雌のBalb/cマウスの群を、PS 1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fを含む13価PS製剤(用量:0.3μg糖類/PS 4、18C、19A、19Fおよび22Fのコンジュゲートならびに0.1μg糖類/他のPSのコンジュゲート)を用いて、0、14および28日目に筋肉内(IM)経路により免疫した。
【0302】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、19Aをホルモル解毒されたPlyに、22FをPhtDに、および他のPSをPDに結合させた。
【0303】
直接CDAP化学により調製された22F-PhtDまたは22F-AH-PhtD(ADH誘導体化PS)からなる2種の製剤を比較した。直接コンジュゲートされたか、またはADHスペーサーを介してコンジュゲートされた22Fを用いて作製された13価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下の注釈を参照されたい。ワクチン製剤にアジュバントCを補給した。
【0304】
抗PS22F ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収された血清中で測定した。
【0305】
22F-AH-PhtDは、IgGレベル(図5)およびオプソニン食作用力価(図6)の両方に関して、22F-PhtDよりも非常に免疫原性が高いことが示された。
【0306】
実施例13:肺炎連鎖球菌莢膜PSコンジュゲートの免疫原性に対する新しいアジュバントの影響
40匹の若いC57B1マウスの群を、PS 1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fを含む13価PS製剤を用いて、0、14および28日目にIM経路により免疫した(用量:0.3μg/PS 4、18C、19A、19Fおよび22Fのコンジュゲートならびに0.1μg/他のPSのコンジュゲート)。
【0307】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、19Aをホルモル解毒されたPlyに、22FをPhtDに、ならびに他のPSをPDに結合させた。直接コンジュゲートされた22Fを用いて作製された13価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下の注釈を参照されたい。
【0308】
AlPO4、アジュバントA1、アジュバントA4またはアジュバントA5を補給された4つの製剤を比較した。
【0309】
抗PS、Ply、PhtDおよびPD ELISA IgGレベルを、42日目に回収され、1群あたりにプールされた血清中で測定した。以下の比率を、それぞれの抗原について算出した:試験した新しいアジュバントで誘導されたIgGレベル/AlPO4で誘導されたIgGレベル。
【0310】
試験した全ての新しいアジュバントは、古典的なAlPO4製剤と比較して、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび22Fコンジュゲートに対して免疫応答を少なくとも2倍改善した(図7)。この実験においては、血清型23Fについて信頼できる応答が得られなかった。
【0311】
実施例14:肺炎球菌サル肺炎モデルにおけるPhtD/解毒されたPlyコンボの防御効果
最も低い予め存在する抗19F抗体レベルを有するものとして選択された、6匹のアカゲザル(3〜8歳齢)の群を、11価PSコンジュゲート(すなわち、1μgのPS 1、3、5、6B、7F、9V、14および23F、ならびに3μgのPS 4、18Cおよび19F[の糖類])またはPhtD(10μg) + ホルモル解毒されたPly(10μg)もしくはPhtD/E融合タンパク質(10μg)およびホルモル解毒されたPly(10μg)もしくはアジュバントのみを用いて、0および28日目に筋肉内的に免疫した。
【0312】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、および他のPSをPDに結合させた。11価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下の注釈を参照されたい。全ての製剤にアジュバントCを補給した。
【0313】
19F型肺炎球菌(5.108 cfu)を、42日目に右肺中に接種した。チャレンジ後1、3および7日目に回収された気管支肺胞洗浄液中でコロニーを計測した。結果を、チャレンジ後7日目に死んだ、肺でコロニー形成した、または消失した1群あたりの動物数として表した。
【0314】
図8に示されたように、統計的有意差に近い良好な防御(用いた動物数が少ないにも拘わらず)が、アジュバントのみの群と比較して、11価コンジュゲートおよびPhtD+dPlyコンボ(p<0.12、フィッシャーの直接確率検定)について得られた。
【0315】
実施例15:抗PhtD抗体応答に対するコンジュゲーション化学の影響および22F-PhtDコンジュゲートにより誘導される4型チャレンジに対する防御効果
20匹の雌のOF1マウスの群を、3μgの22F-PhtD(直接CDAP化学により調製)もしくは22F-AH-PhtD(ADH-誘導体化PS)、またはアジュバントのみを用いて、0および14日目に筋肉内経路により免疫した。両方の1価22Fコンジュゲートを、実施例2のプロセスにより作製した(表1および表2も参照されたい)。それぞれの製剤にアジュバントCを補給した。
【0316】
抗PhtD ELISA IgGレベルを、28日目に回収された血清中で測定した。
【0317】
マウスを、5.106 cfuの4型肺炎球菌(すなわち、試験したワクチン製剤中に存在するPSにより潜在的にカバーされていない肺炎球菌血清型)を用いて、29日目に鼻内的にチャレンジした。誘導された死亡率を、チャレンジ後10日目までモニターした。
【0318】
図9に示される結果は、22F-AH-PhtDが、22F-PhtDと比較して有意に高い抗PhtD IgG応答を誘導したことを示す。これは、図10に示されるように、22F-PhtDと比較して、4型チャレンジに対するより良好な防御に反映されていた。
【0319】
実施例16:防御免疫応答の生成における多糖類とタンパク質を組合わせる利益
PhtDに対する免疫応答と莢膜多糖との潜在的な相乗効果を、マウス致死的肺炎連鎖球菌チャレンジモデルにおいて評価した。マウスを、PhtDを用いて3回(D0、14および28)、筋肉内的に免疫した。細菌チャレンジの1時間前に、抗多糖類抗体を、マウスに受動的に導入した(IP、200μl)。肺炎連鎖球菌により誘導される致死性を、チャレンジ後8または11日間追跡した。防御の相乗効果を、本明細書では2つの肺炎連鎖球菌株(血清型3および血清型1)について提供する。
【0320】
肺炎連鎖球菌3/43株チャレンジモデル:
この実験においては、OF1マウスをAlPO4上に吸着させたPhtDで免疫し、1.25μgの抗PS3モルモット抗体を、肺炎連鎖球菌血清型3(Spn 3/43)を用いるチャレンジの1時間前に受動的に導入した。
【0321】
結果を図11に示す。PBSのみを受けたマウスにおいては、70%の致死性が観察された。抗PS3抗体を受けたマウス群またはPhtDで免疫したマウス群においては、中程度の防御が観察された。ほとんど完全な防御を誘導する相乗効果が、それぞれ、PhtDおよびPS3に対する能動および受動免疫を組合わせたマウスにおいて観察された。
【0322】
肺炎連鎖球菌血清型1/57チャレンジモデル:
この実験においては、OF1マウスをTH1アジュバントでアジュバント化されたPhtDで免疫し、抗PS1モルモット抗体を、肺炎連鎖球菌血清型1(Spn 1/57)を用いるチャレンジの1時間前に受動的に導入した。
【0323】
結果を図12に示す。マウスがTH1アジュバント(能動免疫)およびPBSのみ(受動免疫)を受けた対照群においては、高い致死性が観察された。抗PS1抗体を受けたマウス群(55%生存)、またはPhtDで免疫したマウス群(25%生存)においては、中程度の防御が観察された。ほとんど完全な防御を誘導する相乗効果が、それぞれ、PhtDおよびPS1に対する能動免疫および受動免疫を組合わせたマウスにおいて観察された。
【0324】
これらのデータは、肺炎連鎖球菌感染に対する防御の機構における、肺炎球菌タンパク質(すなわち、PhtD)および莢膜多糖に対する免疫応答の相乗効果を支持している。
【0325】
実施例17:11価製剤中の残存する肺炎球菌PS-PDコンジュゲートに対する免疫応答における肺炎球菌PS-TTおよびPS-DTコンジュゲートの影響
11 PS-PDコンジュゲートを含む製剤を、マウスおよびモルモット免疫原性モデルの両方において、7 PS-PD、2 PS-TT(PB 6Bおよび23F)ならびに2 PS-DT(PS 18Cおよび19F)コンジュゲートを含む製剤と比較した。
【0326】
マウスを、ヒト用量の1/10のワクチン(0.1μgのPS)で3回、筋肉内的に免疫した。血液サンプルを42日目に回収し、各多糖に対する免疫応答をELISAにより測定した。
【0327】
モルモットを、ヒト用量の1/4のワクチン(0.25μgのPS)で3回、筋肉内的に免疫した。Infanrix Hexaを同時投与して、ヒトの状況を模倣した。血液サンプルを42日目に回収し、各多糖に対する免疫応答をELISAにより測定した。
【0328】
【0329】
PDにコンジュゲートさせた多くの多糖に対する免疫応答の増加が、マウスおよびモルモットにおいて、11-V PD製剤と比較した場合、TT(PS 6Bおよび23F)ならびにDT(PS 18Cおよび19F)にコンジュゲートさせた2種の多糖を含む製剤中で観察された。これらの差異は、マウスおよびモルモットにおいて、それぞれPS 1、4、5、9Vおよび14ならびにPS1、7Fおよび14に対して統計的に有意であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の異なる担体タンパク質にコンジュゲートされた異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する9種以上、10種以上、11種以上、13種以上または14種以上の莢膜糖類を含む肺炎連鎖球菌免疫原性組成物であって、ジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197にコンジュゲートされた血清型19Fの莢膜糖類およびタンパク質Dにコンジュゲートされた異なる血清型から選択される2〜9種の莢膜糖類を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物において、19Fがジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197にコンジュゲートされた唯一の糖類である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
血清型19Fをジフテリアトキソイドにコンジュゲートさせる、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
3、4または5種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
血清型4の糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
血清型5の糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
血清型7Fの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
血清型9Vの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
血清型14の糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
血清型22Fの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
血清型23Fの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
少数の莢膜糖類コンジュゲートが担体タンパク質としてタンパク質Dを含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
19F莢膜糖類を担体タンパク質に直接コンジュゲートさせる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
19F莢膜糖類を、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
リンカーが二官能性である、請求項14に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
リンカーがADHである、請求項14または15に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
リンカーを、カルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて担体タンパク質に結合させる、請求項14〜16のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
前記糖類をリンカーにコンジュゲートさせた後、担体タンパク質を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項14〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
担体タンパク質をリンカーにコンジュゲートさせた後、前記糖類を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項14〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
19F糖類を、CDAP化学を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
担体タンパク質と19F糖類の比率が5:1〜1:5、4:1〜1:1、2:1〜1:1または1.5:1〜1.4:1(w/w)である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
19F糖類の平均サイズ(例えば、MW)が100 kDaを超える、請求項1〜21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
19F糖類の平均サイズ(例えば、MW)が100〜750、110〜500、120〜250または125〜150 kDaである、請求項22に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
19F糖類が天然の多糖類であるか、またはx5以下の因子によりサイズ変更されたものである、請求項22または23に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
19F糖類が微小流動化によりサイズ変更されたものである、請求項22〜24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
19F糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
2種の異なる担体タンパク質を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
3、4、5または6種の異なる担体タンパク質を含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
1種以上または全部の担体タンパク質が、DT、CRM 197、TT、断片C、dPly、PhtA、PhyB、PhtD、PhtE、PhtDE、OmpC、PorBおよびインフルエンザ菌タンパク質Dから成る群より選択される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
1つの担体タンパク質がTTである、請求項29に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートされた莢膜糖類18Cを含み、必要に応じて前記組成物において18CがTTにコンジュゲートされた唯一の糖類である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
18C莢膜糖類を担体タンパク質に直接コンジュゲートさせる、請求項1〜31のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
18C莢膜糖類を、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる、請求項1〜32のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
リンカーが二官能性である、請求項33に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
リンカーがADHである、請求項33または34に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
リンカーを、カルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて担体タンパク質に結合させる、請求項33〜35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
前記糖類をリンカーにコンジュゲートさせた後、担体タンパク質を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項33〜36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
担体タンパク質をリンカーにコンジュゲートさせた後、前記糖類を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項33〜36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
18C糖類を、CDAP化学を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項1〜38のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
18C糖類を、還元的アミノ化を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項41】
担体タンパク質と18C糖類の比率が0.5:1〜5:1、1:1〜4:1、1.5:1〜3:1または2:1〜2.5:1(w/w)である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
18C糖類の平均サイズ(例えば、MW)が50 kDaを超える、請求項1〜41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
18C糖類の平均サイズ(例えば、MW)が50〜500、60〜400、70〜300、75〜200または80〜100 kDaである、請求項42に記載の免疫原性組成物。
【請求項44】
18C糖類が天然の多糖類であるか、またはx5以下の因子によりサイズ変更されたものである、請求項43に記載の免疫原性組成物。
【請求項45】
18C糖類が微小流動化によりサイズ変更されたものである、請求項42〜44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
18C糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類である、請求項1〜45のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項47】
18C糖類コンジュゲートの用量が3μgの糖類である、請求項46に記載の免疫原性組成物。
【請求項48】
血清型6Bの莢膜糖類コンジュゲートが存在するが、DTおよび/またはCRM197にコンジュゲートされていない、請求項1〜47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項49】
血清型23Fの莢膜糖類コンジュゲートが存在するが、DTおよび/またはCRM197にコンジュゲートされていない、請求項1〜48のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
少なくとも血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fがコンジュゲートされた糖類として存在する、請求項1〜49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項51】
コンジュゲートされた糖類として存在する血清型3をさらに含む、請求項1〜50のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項52】
血清型6Aおよび/または15(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜51のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項53】
血清型19A(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜52のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項54】
血清型22F(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜53のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項55】
血清型8(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜54のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項56】
血清型12F(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜55のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項57】
100〜1000、200〜800、250〜600または300〜400 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型1(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜56のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項58】
50〜500、60〜300、70〜200または75〜125 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型4(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜57のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項59】
100〜1000、200〜700、300〜500または350〜450 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型5(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜58のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項60】
500〜1600、750〜1500または1000〜1400 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型6B(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜59のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項61】
50〜1000、100〜750、150〜500または200〜300 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型7F(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜60のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項62】
50〜1000、100〜750、150〜500、200〜400または250〜300 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型9V(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜61のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項63】
50〜1000、100〜750、150〜500または200〜250 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型14(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜62のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項64】
500〜1500、700〜1300、800〜1100または900〜1000 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型23F(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜63のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項65】
50〜800 kDa、110〜700 kDa、110〜300、120〜200、130〜180または140〜160 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型19A(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜64のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項66】
50〜800 kDa、110〜700 kDa、110〜300、120〜200、130〜180または150〜170 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型22F(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜65のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項67】
500〜1600 kDaまたは1100〜1540 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型6A(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜66のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項68】
50〜1000 kDa、60〜800、70〜600、80〜400、100〜300または150〜250 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型3(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜67のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項69】
天然の糖類として血清型5、6Bおよび23Fを含む、請求項1〜68のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項70】
莢膜糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類/コンジュゲートである、請求項1〜69のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項71】
コンジュゲートあたり3μgの糖類の用量で血清型4、18Cおよび19Fのコンジュゲートを含む、請求項1〜70のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項72】
コンジュゲートあたり2μgの糖類の用量で血清型1、5、6B、7F、9V、14および23Fのコンジュゲートを含む、請求項1〜71のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項73】
コンジュゲートあたり2μgの糖類の用量で血清型6Aおよび/または3のコンジュゲートを含む、請求項1〜72のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項74】
コンジュゲートあたり5μgの糖類の用量で血清型19Aおよび/または22Fのコンジュゲートを含む、請求項1〜73のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項75】
コンジュゲートされた糖類血清型とコンジュゲートされていない糖類血清型の数が23以下となるように、コンジュゲートされたものとは異なる血清型のコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌糖類をさらに含む、請求項1〜74のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項76】
1種以上のコンジュゲートされていないか、またはコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌タンパク質をさらに含む、請求項1〜75のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項77】
1種以上のコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌タンパク質を含む、請求項76に記載の免疫原性組成物。
【請求項78】
前記1種以上の肺炎連鎖球菌タンパク質が、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、解毒された肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133から選択される、請求項76または77に記載の免疫原性組成物。
【請求項79】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項80】
アジュバントがTh1応答の優先的な誘導因子である、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項81】
アジュバントがQS21、MPL(登録商標)または免疫刺激オリゴヌクレオチドから選択される1種以上の成分を含む、請求項79または80に記載の免疫原性組成物。
【請求項82】
アジュバントがQS21およびMPLを含む、請求項79〜81のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項83】
アジュバントがリポソーム担体を含む、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項84】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.1〜10 mg、0.2〜7、0.3〜5、0.4〜2、または0.5〜1 mg(例えば、0.4〜0.6、0.9〜1.1、0.5または1 mg)のリン脂質(例えば、DOPC)を含む、請求項83に記載の免疫原性組成物。
【請求項85】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)を含む、請求項83または84に記載の免疫原性組成物。
【請求項86】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項83〜85のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項87】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む、請求項83〜86のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項88】
アジュバントが水中油乳濁液を含む、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項89】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.5〜15、1〜13、2〜11、4〜8、または5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6、または10〜11 mg)の代謝性油(スクアレンなど)を含む、請求項88に記載の免疫原性組成物。
【請求項90】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.1〜10、0.3〜8、0.6〜6、0.9〜5、1〜4、または2〜3 mg(例えば、0.9〜1.1、2〜3または4〜5 mg)の乳化剤(Tween 80など)を含む、請求項88または89に記載の免疫原性組成物。
【請求項91】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.5〜20、1〜15、2〜12、4〜10、5〜7 mg(例えば、11〜13、5〜6、または2〜3 mg)のトコール(α-トコフェロールなど)を含む、請求項88〜90のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項92】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項88〜91のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項93】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)を含む、請求項88〜92のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項94】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む、請求項88〜93のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項95】
アジュバントが金属塩およびリピドA誘導体を含む、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項96】
アジュバントが、リン酸アルミニウムとして(0.5 mL用量あたり)100〜750、200〜500、または300〜400μgのAlを含む、請求項95に記載の免疫原性組成物。
【請求項97】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項95または96に記載の免疫原性組成物。
【請求項98】
請求項1〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含み、同時または連続投与のために請求項80〜97のいずれか1項に定義されたアジュバントをさらに含む、ワクチンキット。
【請求項99】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と、製薬上許容し得る賦形剤とを含むワクチン。
【請求項100】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と、製薬上許容し得る賦形剤とを混合する工程を含む、請求項99に記載のワクチンを作製する方法。
【請求項101】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチンの免疫防御用量をヒト宿主に投与することを含む、肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患に対して該宿主を免疫する方法。
【請求項102】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が肺炎もしくは侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化である、請求項101または102に記載の方法。
【請求項104】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が中耳炎である、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が髄膜炎および/または菌血症である、請求項101または104に記載の方法。
【請求項106】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が肺炎および/または結膜炎である、請求項101、104または105に記載の方法。
【請求項107】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチン。
【請求項108】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチンの使用。
【請求項109】
疾患がヒト高齢者の肺炎もしくは侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項108に記載の使用。
【請求項110】
疾患がヒト高齢者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化である、請求項108または109に記載の使用。
【請求項111】
疾患がヒト幼児の中耳炎である、請求項108に記載の使用。
【請求項112】
疾患がヒト幼児の髄膜炎および/または菌血症である、請求項108または111に記載の使用。
【請求項113】
疾患がヒト幼児の肺炎および/または結膜炎である、請求項108、111または112に記載の使用。
【請求項114】
別々の、または混合した成分として、連続的または同時に、(i)請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンならびに(ii)タンパク質Dが遊離しているかおよび/もしくはコンジュゲートされていてもよいインフルエンザ菌に由来するタンパク質Dを投与することを含む、中耳炎に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項115】
請求項1〜114のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することにより肺炎連鎖球菌に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項116】
組合わせて、連続的に、または同時に、(i)請求項1〜115のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチン、(ii)PhtXファミリーおよび肺炎球菌溶血素からなる群より選択される1種以上の肺炎連鎖球菌表面タンパク質を投与することにより、肺炎連鎖球菌に対する高齢者における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項117】
請求項1〜116のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することにより中耳炎に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項118】
別々の、または混合した成分として、連続的に、または同時に、(i)請求項1〜117のいずれか1項に記載のワクチン、(ii)PhtXファミリーおよび肺炎球菌溶血素からなる群より選択される1種以上の肺炎連鎖球菌表面タンパク質を投与することにより、中耳炎に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項119】
以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチン。
【請求項120】
血清型4に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119に記載の免疫原性組成物。
【請求項121】
血清型6Bに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119または120に記載の免疫原性組成物。
【請求項122】
血清型9Vに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜121のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項123】
血清型14に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜122のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項124】
血清型18Cに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜123のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項125】
血清型19Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜124のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項126】
血清型23Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜125のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項127】
血清型3の糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜126のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項128】
血清型6Aの糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜127のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項129】
血清型19Aの糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜128のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項130】
血清型22Fの糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜129のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項1】
2種以上の異なる担体タンパク質にコンジュゲートされた異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する9種以上、10種以上、11種以上、13種以上または14種以上の莢膜糖類を含む肺炎連鎖球菌免疫原性組成物であって、ジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197にコンジュゲートされた血清型19Fの莢膜糖類およびタンパク質Dにコンジュゲートされた異なる血清型から選択される2〜9種の莢膜糖類を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物において、19Fがジフテリアトキソイド(DT)またはCRM197にコンジュゲートされた唯一の糖類である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
血清型19Fをジフテリアトキソイドにコンジュゲートさせる、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
3、4または5種の莢膜糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
血清型4の糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
血清型5の糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
血清型7Fの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
血清型9Vの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
血清型14の糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
血清型22Fの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
血清型23Fの糖類をタンパク質Dにコンジュゲートさせる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
少数の莢膜糖類コンジュゲートが担体タンパク質としてタンパク質Dを含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
19F莢膜糖類を担体タンパク質に直接コンジュゲートさせる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
19F莢膜糖類を、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
リンカーが二官能性である、請求項14に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
リンカーがADHである、請求項14または15に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
リンカーを、カルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて担体タンパク質に結合させる、請求項14〜16のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
前記糖類をリンカーにコンジュゲートさせた後、担体タンパク質を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項14〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
担体タンパク質をリンカーにコンジュゲートさせた後、前記糖類を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項14〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
19F糖類を、CDAP化学を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
担体タンパク質と19F糖類の比率が5:1〜1:5、4:1〜1:1、2:1〜1:1または1.5:1〜1.4:1(w/w)である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
19F糖類の平均サイズ(例えば、MW)が100 kDaを超える、請求項1〜21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
19F糖類の平均サイズ(例えば、MW)が100〜750、110〜500、120〜250または125〜150 kDaである、請求項22に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
19F糖類が天然の多糖類であるか、またはx5以下の因子によりサイズ変更されたものである、請求項22または23に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
19F糖類が微小流動化によりサイズ変更されたものである、請求項22〜24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
19F糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
2種の異なる担体タンパク質を含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
3、4、5または6種の異なる担体タンパク質を含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
1種以上または全部の担体タンパク質が、DT、CRM 197、TT、断片C、dPly、PhtA、PhyB、PhtD、PhtE、PhtDE、OmpC、PorBおよびインフルエンザ菌タンパク質Dから成る群より選択される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
1つの担体タンパク質がTTである、請求項29に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
破傷風トキソイド(TT)にコンジュゲートされた莢膜糖類18Cを含み、必要に応じて前記組成物において18CがTTにコンジュゲートされた唯一の糖類である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
18C莢膜糖類を担体タンパク質に直接コンジュゲートさせる、請求項1〜31のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
18C莢膜糖類を、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる、請求項1〜32のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
リンカーが二官能性である、請求項33に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
リンカーがADHである、請求項33または34に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
リンカーを、カルボジイミド化学により、好ましくはEDACを用いて担体タンパク質に結合させる、請求項33〜35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
前記糖類をリンカーにコンジュゲートさせた後、担体タンパク質を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項33〜36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
担体タンパク質をリンカーにコンジュゲートさせた後、前記糖類を該リンカーにコンジュゲートさせる、請求項33〜36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
18C糖類を、CDAP化学を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項1〜38のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
18C糖類を、還元的アミノ化を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項41】
担体タンパク質と18C糖類の比率が0.5:1〜5:1、1:1〜4:1、1.5:1〜3:1または2:1〜2.5:1(w/w)である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
18C糖類の平均サイズ(例えば、MW)が50 kDaを超える、請求項1〜41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
18C糖類の平均サイズ(例えば、MW)が50〜500、60〜400、70〜300、75〜200または80〜100 kDaである、請求項42に記載の免疫原性組成物。
【請求項44】
18C糖類が天然の多糖類であるか、またはx5以下の因子によりサイズ変更されたものである、請求項43に記載の免疫原性組成物。
【請求項45】
18C糖類が微小流動化によりサイズ変更されたものである、請求項42〜44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
18C糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類である、請求項1〜45のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項47】
18C糖類コンジュゲートの用量が3μgの糖類である、請求項46に記載の免疫原性組成物。
【請求項48】
血清型6Bの莢膜糖類コンジュゲートが存在するが、DTおよび/またはCRM197にコンジュゲートされていない、請求項1〜47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項49】
血清型23Fの莢膜糖類コンジュゲートが存在するが、DTおよび/またはCRM197にコンジュゲートされていない、請求項1〜48のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
少なくとも血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fがコンジュゲートされた糖類として存在する、請求項1〜49のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項51】
コンジュゲートされた糖類として存在する血清型3をさらに含む、請求項1〜50のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項52】
血清型6Aおよび/または15(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜51のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項53】
血清型19A(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜52のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項54】
血清型22F(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜53のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項55】
血清型8(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜54のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項56】
血清型12F(のコンジュゲートされた莢膜糖類)をさらに含む、請求項1〜55のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項57】
100〜1000、200〜800、250〜600または300〜400 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型1(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜56のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項58】
50〜500、60〜300、70〜200または75〜125 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型4(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜57のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項59】
100〜1000、200〜700、300〜500または350〜450 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型5(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜58のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項60】
500〜1600、750〜1500または1000〜1400 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型6B(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜59のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項61】
50〜1000、100〜750、150〜500または200〜300 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型7F(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜60のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項62】
50〜1000、100〜750、150〜500、200〜400または250〜300 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型9V(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜61のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項63】
50〜1000、100〜750、150〜500または200〜250 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型14(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜62のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項64】
500〜1500、700〜1300、800〜1100または900〜1000 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型23F(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜63のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項65】
50〜800 kDa、110〜700 kDa、110〜300、120〜200、130〜180または140〜160 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型19A(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜64のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項66】
50〜800 kDa、110〜700 kDa、110〜300、120〜200、130〜180または150〜170 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型22F(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜65のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項67】
500〜1600 kDaまたは1100〜1540 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型6A(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜66のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項68】
50〜1000 kDa、60〜800、70〜600、80〜400、100〜300または150〜250 kDaの平均糖類サイズ(例えば、MW)を有する血清型3(糖類コンジュゲート)を含む、請求項1〜67のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項69】
天然の糖類として血清型5、6Bおよび23Fを含む、請求項1〜68のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項70】
莢膜糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類/コンジュゲートである、請求項1〜69のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項71】
コンジュゲートあたり3μgの糖類の用量で血清型4、18Cおよび19Fのコンジュゲートを含む、請求項1〜70のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項72】
コンジュゲートあたり2μgの糖類の用量で血清型1、5、6B、7F、9V、14および23Fのコンジュゲートを含む、請求項1〜71のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項73】
コンジュゲートあたり2μgの糖類の用量で血清型6Aおよび/または3のコンジュゲートを含む、請求項1〜72のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項74】
コンジュゲートあたり5μgの糖類の用量で血清型19Aおよび/または22Fのコンジュゲートを含む、請求項1〜73のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項75】
コンジュゲートされた糖類血清型とコンジュゲートされていない糖類血清型の数が23以下となるように、コンジュゲートされたものとは異なる血清型のコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌糖類をさらに含む、請求項1〜74のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項76】
1種以上のコンジュゲートされていないか、またはコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌タンパク質をさらに含む、請求項1〜75のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項77】
1種以上のコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌タンパク質を含む、請求項76に記載の免疫原性組成物。
【請求項78】
前記1種以上の肺炎連鎖球菌タンパク質が、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、解毒された肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133から選択される、請求項76または77に記載の免疫原性組成物。
【請求項79】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項80】
アジュバントがTh1応答の優先的な誘導因子である、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項81】
アジュバントがQS21、MPL(登録商標)または免疫刺激オリゴヌクレオチドから選択される1種以上の成分を含む、請求項79または80に記載の免疫原性組成物。
【請求項82】
アジュバントがQS21およびMPLを含む、請求項79〜81のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項83】
アジュバントがリポソーム担体を含む、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項84】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.1〜10 mg、0.2〜7、0.3〜5、0.4〜2、または0.5〜1 mg(例えば、0.4〜0.6、0.9〜1.1、0.5または1 mg)のリン脂質(例えば、DOPC)を含む、請求項83に記載の免疫原性組成物。
【請求項85】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)を含む、請求項83または84に記載の免疫原性組成物。
【請求項86】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項83〜85のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項87】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む、請求項83〜86のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項88】
アジュバントが水中油乳濁液を含む、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項89】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.5〜15、1〜13、2〜11、4〜8、または5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6、または10〜11 mg)の代謝性油(スクアレンなど)を含む、請求項88に記載の免疫原性組成物。
【請求項90】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.1〜10、0.3〜8、0.6〜6、0.9〜5、1〜4、または2〜3 mg(例えば、0.9〜1.1、2〜3または4〜5 mg)の乳化剤(Tween 80など)を含む、請求項88または89に記載の免疫原性組成物。
【請求項91】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.5〜20、1〜15、2〜12、4〜10、5〜7 mg(例えば、11〜13、5〜6、または2〜3 mg)のトコール(α-トコフェロールなど)を含む、請求項88〜90のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項92】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項88〜91のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項93】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)を含む、請求項88〜92のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項94】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む、請求項88〜93のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項95】
アジュバントが金属塩およびリピドA誘導体を含む、請求項79に記載の免疫原性組成物。
【請求項96】
アジュバントが、リン酸アルミニウムとして(0.5 mL用量あたり)100〜750、200〜500、または300〜400μgのAlを含む、請求項95に記載の免疫原性組成物。
【請求項97】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項95または96に記載の免疫原性組成物。
【請求項98】
請求項1〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含み、同時または連続投与のために請求項80〜97のいずれか1項に定義されたアジュバントをさらに含む、ワクチンキット。
【請求項99】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と、製薬上許容し得る賦形剤とを含むワクチン。
【請求項100】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と、製薬上許容し得る賦形剤とを混合する工程を含む、請求項99に記載のワクチンを作製する方法。
【請求項101】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチンの免疫防御用量をヒト宿主に投与することを含む、肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患に対して該宿主を免疫する方法。
【請求項102】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が肺炎もしくは侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化である、請求項101または102に記載の方法。
【請求項104】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が中耳炎である、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が髄膜炎および/または菌血症である、請求項101または104に記載の方法。
【請求項106】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が肺炎および/または結膜炎である、請求項101、104または105に記載の方法。
【請求項107】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチン。
【請求項108】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチンの使用。
【請求項109】
疾患がヒト高齢者の肺炎もしくは侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項108に記載の使用。
【請求項110】
疾患がヒト高齢者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化である、請求項108または109に記載の使用。
【請求項111】
疾患がヒト幼児の中耳炎である、請求項108に記載の使用。
【請求項112】
疾患がヒト幼児の髄膜炎および/または菌血症である、請求項108または111に記載の使用。
【請求項113】
疾患がヒト幼児の肺炎および/または結膜炎である、請求項108、111または112に記載の使用。
【請求項114】
別々の、または混合した成分として、連続的または同時に、(i)請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンならびに(ii)タンパク質Dが遊離しているかおよび/もしくはコンジュゲートされていてもよいインフルエンザ菌に由来するタンパク質Dを投与することを含む、中耳炎に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項115】
請求項1〜114のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することにより肺炎連鎖球菌に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項116】
組合わせて、連続的に、または同時に、(i)請求項1〜115のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチン、(ii)PhtXファミリーおよび肺炎球菌溶血素からなる群より選択される1種以上の肺炎連鎖球菌表面タンパク質を投与することにより、肺炎連鎖球菌に対する高齢者における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項117】
請求項1〜116のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することにより中耳炎に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項118】
別々の、または混合した成分として、連続的に、または同時に、(i)請求項1〜117のいずれか1項に記載のワクチン、(ii)PhtXファミリーおよび肺炎球菌溶血素からなる群より選択される1種以上の肺炎連鎖球菌表面タンパク質を投与することにより、中耳炎に対する幼児における防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項119】
以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全部に由来する糖類コンジュゲートを含み、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項99に記載のワクチン。
【請求項120】
血清型4に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119に記載の免疫原性組成物。
【請求項121】
血清型6Bに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119または120に記載の免疫原性組成物。
【請求項122】
血清型9Vに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜121のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項123】
血清型14に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜122のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項124】
血清型18Cに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜123のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項125】
血清型19Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜124のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項126】
血清型23Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されるものよりも有意に低くない、請求項119〜125のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項127】
血清型3の糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜126のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項128】
血清型6Aの糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜127のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項129】
血清型19Aの糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜128のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項130】
血清型22Fの糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜129のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2010−531331(P2010−531331A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513884(P2010−513884)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057999
【国際公開番号】WO2009/000826
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057999
【国際公開番号】WO2009/000826
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】
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