説明

肺炎連鎖球菌莢膜多糖類コンジュゲートを含むワクチン

【課題】複数血清型の肺炎連鎖球菌多糖類コンジュゲートワクチンの改良された製剤の提供。
【解決手段】血清型19Aおよび19Fに由来する肺炎連鎖球菌莢膜糖類コンジュゲートを含み、19Aは第1の細菌トキソイドである担体タンパク質にコンジュゲートされ、19Fは第2の細菌トキソイドである担体タンパク質にコンジュゲートされる免疫原性組成物、免疫原性組成物と製薬上許容し得る賦形剤とを含むワクチン、および免疫原性組成物と共に用いることができるアジュバント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)ワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
2歳未満の子供は、多くの多糖類ワクチンに対する免疫応答を生じないので、タンパク質担体への化学的コンジュゲーションにより多糖類を免疫原性にさせることが必要であった。多糖類、T非依存的抗原を、タンパク質、T依存的抗原にカップリングさせることは、該多糖類にアイソタイプスイッチング、親和性成熟、および記憶誘導などのT依存性の特性を付与する。
【0003】
しかしながら、多糖類-タンパク質コンジュゲート、または多価ワクチンを形成する多糖類-タンパク質コンジュゲートの組合せの反復投与に関する問題が存在し得る。例えば、タンパク質担体として破傷風トキソイド(TT)を用いるB型インフルエンザ菌多糖類(PRP)ワクチンを、標準的な幼児スケジュールに従って、(遊離の)TTおよび肺炎球菌多糖類-TTコンジュゲートワクチンを用いる同時免疫化について一定の用量範囲において試験したことが報告されている。肺炎球菌ワクチンの用量が増加するにつれて、HibコンジュゲートワクチンのPRP多糖類部分に対する免疫応答は低下するが、これは、おそらく同じ担体タンパク質の使用を介する、該多糖類の免疫干渉を示唆している(Daganら、Infect Immun. (1998); 66: 2093-2098)。
【0004】
担体-タンパク質用量の、該タンパク質自身に対する体液性応答に対する効果も、多角的であることが証明されている。ヒト幼児においては、4価破傷風トキソイドコンジュゲートの用量を増加させることにより、破傷風担体に対する応答の低下がもたらされることが報告された(Daganら、上掲)。組合せワクチンのこれらの効果の古典的分析は、担体誘導性エピトープ抑制として記載されており、これは完全には理解されていないが、過剰量の担体タンパク質から生じると考えられている(Fattom, Vaccine 17: 126(1999))。これは、B細胞と担体タンパク質、およびB細胞と多糖類による、Th細胞に関する競合をもたらすようである。担体タンパク質に対してB細胞が優勢である場合、多糖類に特異的なB細胞にとって必要な援助を提供するために利用可能な十分な数のTh細胞が存在しない。しかしながら、観察された免疫学的効果は一貫せず、いくつかの例においては担体タンパク質の総量は免疫応答を増加させ、他の事例においては、免疫応答を減少させた。
【0005】
従って、単一の有効なワクチン製剤中に複数の多糖類コンジュゲートを混合することにおいては、技術的困難性が依然として存在する。
【0006】
肺炎連鎖球菌は、かなりの罹患率および死亡率(特に、若者および高齢者において)の原因となるグラム陽性細菌であり、肺炎、菌血症および髄膜炎などの侵襲的疾患、ならびに急性中耳炎などのコロニー形成に関連する疾患を引き起こす。60歳を超える年齢の人々に関する米国における肺炎連鎖球菌性肺炎の比率は、100,000人あたり3〜8人であると見積もられている。20%の事例においては、これは菌血症、および髄膜炎などの他の兆候を誘導し、抗生物質治療を用いてもその死亡率は30%に近い。
【0007】
肺炎球菌は、血清型特異性を付与する化学的に連結された多糖類でカプセル化されている。肺炎球菌の90種類の公知の血清型が存在し、このカプセルは補体から細菌の内部表面を保護するだけでなく、それ自身、免疫原性が低いため、該カプセルは肺炎球菌の原理毒性決定因子である。多糖類はT非依存的抗原であり、MHC分子上でプロセッシングまたは提示されてT細胞と相互作用することができない。しかしながら、それらはB細胞上への表面受容体の交叉連結を含む代替的な機構を介して免疫系を刺激することができる。
【0008】
侵襲的肺炎球菌疾患に対する防御が、カプセルに特異的な抗体と最も強く相関し、その防御が血清型特異的であることが、いくつかの実験で示された。
【0009】
肺炎連鎖球菌は、幼児および小児における侵襲的細菌疾患および中耳炎の最も一般的な原因である。同様に、高齢者は肺炎球菌ワクチンに対する応答をあまり生成せず[Roghmannら、(1987), J. Gerontol. 42:265-270]、従って、この集団における細菌性肺炎の発生率が増加する[VergheseおよびBerk, (1983) Medicine (Baltimore) 62:271-285]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かくして、本発明の課題は、複数血清型の肺炎連鎖球菌多糖類コンジュゲートワクチンの改良された製剤を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、血清型19Aおよび19Fに由来する肺炎連鎖球菌莢膜糖類コンジュゲートを含み、19Aは第1の細菌トキソイドである担体タンパク質にコンジュゲートされ、19Fは第2の細菌トキソイドである担体タンパク質にコンジュゲートされる免疫原性組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】高齢アカゲザルにおける11価コンジュゲートの免疫原性を示す棒グラフである。明るい方のバーは、リン酸アルミニウムアジュバント中の11価コンジュゲートを2回接種した後のGMCを表す。暗い方のバーは、アジュバントC中の11価コンジュゲートを2回接種した後のGMCを表す。
【図2】アジュバントCまたはリン酸アルミニウムアジュバント中の11価コンジュゲートを接種した後のPS3についての記憶B細胞を示す棒グラフである。
【図3】4価プレーン多糖類および4価dPlyコンジュゲートに関するBalb/cマウスにおける抗多糖類19F免疫原性を示す棒グラフである。
【図4】4価プレーン多糖類および4価PhtDコンジュゲートに関するBalb/cマウスにおける抗多糖類22F免疫原性を示す棒グラフである。
【図5】Balb/cマウスにおける抗22F IgG応答を示す棒グラフである。
【図6】Balb/cマウスにおける抗22Fオプソニン食作用力価を示す棒グラフである。
【図7】異なるアジュバント中で製剤化された13価コンジュゲートワクチンで免疫した後の若いC57B1マウスにおいて誘導されたIgG応答を比較する棒グラフである。
【図8】サル肺炎モデルにおける様々なワクチン組合せの防御効率を示す棒グラフである。
【図9】22F-PhtDまたは22F-AH-PhtDコンジュゲートで免疫した後のBalb/cマウスにおける抗PhtD IgG応答を示す棒グラフである。
【図10】22F-PhtDまたは22F-AH-PhtDで免疫した後のマウスにおける4型肺炎球菌チャレンジに対する防御を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「莢膜糖類」は、莢膜多糖類および莢膜多糖類から誘導可能なオリゴ糖を含む。オリゴ糖は、少なくとも4個の糖残基を含む。用語「コンジュゲート」および「コンジュゲートされた」とは、担体タンパク質に共有結合した莢膜糖類に関する。
【0014】
本発明の目的のために、「COPDの再燃に対してヒト宿主を免疫すること」または「COPDの再燃の治療もしくは予防」または「COPD再燃の重篤度の低下」とは、例えば、本発明の組成物またはワクチンを用いて免疫された患者群内での、COPD再燃の発生もしくは速度の低下(例えば、0.1、0.5、1、2、5、10、20%以上の割合での低下)を指す。
【0015】
用語「細菌トキソイド」は、遺伝子突然変異、化学的処理またはコンジュゲーションにより不活化される細菌毒素を含む。好適な細菌トキソイドとしては、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、百日咳トキソイド、細菌細胞溶解素またはニューモリシンが挙げられる。ニューモリシンの毒性を低下させるニューモリシン(Ply)の突然変異が記載されている(WO 90/06951、WO 99/03884)。同様に、毒性を低下させるジフテリア毒素の遺伝子突然変異も公知である(以下を参照)。ジフテリア毒素の遺伝的に解毒された類似体としては、CRM197ならびに米国特許第4,709,017号、第5,843,711号、第5,601,827号、および第5,917,017号に記載の他の突然変異体が挙げられる。CRM197は、非毒性形態のジフテリア毒素であるが、ジフテリア毒素とは免疫学的に識別することができない。CRM197は、毒素産生性カリネファージbのニトロソグアニジン突然変異誘発により作製された非毒素産生性ファージβ197toxにより感染したジフテリア菌(C. diphtheriae)により産生される(Uchidaら、Nature New Biology (1971) 233; 8-11)。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、構造遺伝子における1個の塩基の変化により、それとは異なる。これは、断片Aを、NADに結合できなくし、従って、非毒性にする位置52でのアミノ酸のグリシンからグルタミンへの変化を誘導する(Pappenheimer 1977, Ann Rev, Biochem. 46; 69-94, Rappuoli Applied and Environmental Microbiology Sept 1983 p560-564)。
【0016】
第1および第2の細菌トキソイドは、同じであっても、または異なっていてもよい。第1および第2の細菌トキソイドが異なる場合、それらは異なるアミノ酸配列を有することを意味する。
【0017】
例えば、19Aおよび19Fを、それぞれ、破傷風トキソイドおよび破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイドおよびジフテリアトキソイド;Crm197およびCRM197、ニューモリシンおよびニューモリシン、破傷風トキソイドおよびジフテリアトキソイド;破傷風トキソイドおよびCRM197;破傷風トキソイドおよびニューモリシン;ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイド;ジフテリアトキソイドおよびCRM197、ジフテリアトキソイドおよびニューモリシン;CRM197および破傷風トキソイド、CRM197およびジフテリアトキソイド;CRM197およびニューモリシン;ニューモリシンおよび破傷風トキソイド;ニューモリシンおよびジフテリアトキソイド;またはニューモリシンおよびCRM197にコンジュゲートさせることができる。
【0018】
一実施形態においては、19Aおよび19Fの肺炎連鎖球菌糖類コンジュゲートに加えて、前記免疫原性組成物は、肺炎連鎖球菌莢膜糖類4、6B、9V、14、18Cおよび23Fのコンジュゲートをさらに含む。
【0019】
一実施形態においては、19Aおよび19Fの肺炎連鎖球菌糖類コンジュゲートに加えて、前記免疫原性組成物は、肺炎連鎖球菌莢膜糖類1、4、5、6B、7F、9V、14、18Cおよび23Fのコンジュゲートをさらに含む。
【0020】
一実施形態においては、19Aおよび19Fの肺炎連鎖球菌糖類コンジュゲートに加えて、前記免疫原性組成物は、肺炎連鎖球菌莢膜糖類1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、22Fおよび23Fのコンジュゲートをさらに含む。
【0021】
一実施形態においては、19Aおよび19Fの肺炎連鎖球菌糖類コンジュゲートに加えて、前記免疫原性組成物は、肺炎連鎖球菌莢膜糖類1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、22Fおよび23Fのコンジュゲートをさらに含む。
【0022】
一実施形態においては、19Aおよび19Fの肺炎連鎖球菌糖類コンジュゲートに加えて、前記免疫原性組成物は、肺炎連鎖球菌莢膜糖類1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、22Fおよび23Fのコンジュゲートをさらに含む。
【0023】
典型的には、本発明の肺炎連鎖球菌ワクチンは、莢膜糖類抗原(必要に応じてコンジュゲートされた)であって、該糖類は少なくとも10種の血清型の肺炎連鎖球菌から誘導される前記抗原を含むであろう。肺炎連鎖球菌莢膜糖類の数は、10種の異なる血清型(または「V」、価数)から23種の異なる血清型(23V)までの範囲であってもよい。一実施形態においては、10、11、12、13、14または15種の異なる血清型が存在する。本発明の別の実施形態においては、前記ワクチンはコンジュゲート化肺炎連鎖球菌糖類および非コンジュゲート化肺炎連鎖球菌糖類を含んでもよい。必要に応じて、糖類血清型の総数は、23以下である。例えば、本発明は、10種のコンジュゲート化血清型および13種の非コンジュゲート化糖類を含んでもよい。同様の様式で、前記ワクチンは11、12、13、14または16種のコンジュゲート化糖類およびそれぞれ12、11、10、9または7種の非コンジュゲート化糖類を含んでもよい。
【0024】
一実施形態においては、本発明の多価肺炎球菌ワクチンを、以下の血清型、1、2、3、4、5、6A、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択することができるが、1種以上の他の血清型を、該ワクチンを受容するレシピエントの年齢およびワクチンを投与する地理的位置に依存して置換することができると理解される。例えば、10価ワクチンは、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fに由来する多糖類を含んでもよい。11価ワクチンも、血清型3に由来する糖類を含んでもよい。12または13価の小児用(幼児用)ワクチンも、血清型6Aおよび19A、または6Aおよび22F、または19Aおよび22F、または6Aおよび15B、または19Aおよび15B、または22Fおよび15Bを補給した11価の製剤を含んでもよいが、13価の高齢者用ワクチンは血清型19Aおよび22F、8および12F、または8および15B、または8および19A、または8および22F、または12Fおよび15B、または12Fおよび19A、または12Fおよび22F、または15Bおよび19A、または15Bおよび22Fを補給した10または11価の製剤を含んでもよい。14価の小児用ワクチンは、血清型3、6A、19Aおよび22F;血清型6A、8、19Aおよび22F;血清型6A、12F、19Aおよび22F;血清型6A、15B、19Aおよび22F;血清型3、8、19Aおよび22F;血清型3、12F、19Aおよび22F;血清型3、15B、19Aおよび22F;血清型3、6A、8および22F;血清型3、6A、12Fおよび22F;または血清型3、6A、15Bおよび22Fを補給した上記の10価製剤を含んでもよい。
【0025】
一実施形態においては、前記組成物は、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23F(必要に応じてコンジュゲートされた)から誘導された莢膜糖類を含む。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも11種の糖類抗原(必要に応じてコンジュゲートされた)、例えば、血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類が含まれる。本発明のさらなる実施形態においては、少なくとも12または13種の糖類抗原が含まれ、例えば、ワクチンは血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類または血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23Fから誘導された莢膜糖類を含んでもよいが、さらなる糖類抗原、例えば、23価(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33F)も本発明により意図される。
【0026】
本発明のワクチンは、インフルエンザ菌に由来するDタンパク質(protein D;PD)を含んでもよい(例えば、EP 0594610を参照)。インフルエンザ菌は、中耳炎の主要な原因となる生物であり、本発明者らは、肺炎連鎖球菌ワクチン中にこのタンパク質を含有させることが、インフルエンザ菌に関連する中耳炎に対する一定レベルの防御を提供することを示した(POETの刊行物を参照)。一実施形態においては、前記ワクチン組成物は、Dタンパク質を含む。一態様においては、PDは1種以上の糖類のための担体タンパク質として存在する。別の態様においては、Dタンパク質は、遊離タンパク質として前記ワクチン組成物中に存在してもよい。さらなる態様においては、Dタンパク質は、担体タンパク質および遊離タンパク質の両方として存在する。Dタンパク質を、完全長タンパク質として、または断片として用いることができる(WO 0056360)。さらなる態様においては、Dタンパク質は、大多数の糖類のための担体タンパク質として存在し、例えば、6、7、8、9種以上の糖類を、Dタンパク質にコンジュゲートさせることができる。この態様においては、Dタンパク質はまた遊離タンパク質として存在してもよい。
【0027】
本発明のワクチンは、1、2種以上の異なる型の担体タンパク質を含む。それぞれの型の担体タンパク質は、同じであるか、または異なっていてもよい2種以上の糖類のための担体として働いてもよい。例えば、血清型3および4を、同じ担体タンパク質、担体タンパク質の同じ分子または同じ担体タンパク質の異なる分子にコンジュゲートさせることができる。一実施形態においては、2種以上の異なる糖類を、同じ担体タンパク質、担体タンパク質の同じ分子または同じ担体タンパク質の異なる分子にコンジュゲートさせることができる。
【0028】
19Aおよび19Fとは別の本発明の免疫原性組成物中に存在する任意の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、TT、DT、CRM197、TTの断片C、PhtD、PhtBEまたはPhtDE融合物(特に、WO 01/98334およびWO 03/54007に記載のもの)、解毒されたニューモリシンおよびDタンパク質からなる群より独立に選択される担体タンパク質にコンジュゲートさせることができる。本発明のコンジュゲートにおいて用いることができる担体タンパク質のより完全な一覧を、以下に提供する。
【0029】
本発明の免疫原性組成物中に存在するコンジュゲート中の1種以上の肺炎連鎖球菌莢膜糖類にコンジュゲートさせた担体タンパク質は、必要に応じて、ポリヒスチジントライアドファミリー(Pht)タンパク質のメンバー、その断片または融合タンパク質である。PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtEタンパク質は、WO 00/37105またはWO 00/39299に開示された配列(例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4のアミノ酸配列1〜838または21〜838)と80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有してもよい。例えば、融合タンパク質は、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEの完全長または2、3もしくは4の断片から構成される。融合タンパク質の例は、PhtA/B、PhtA/D、PhtA/E、PhtB/A、PhtB/D、PhtB/E、PhtD/A、PhtD/B、PhtD/E、PhtE/A、PhtE/BおよびPhtE/Dであり、このタンパク質はN末端で最初に言及したものに連結される(例えば、WO 01/98334を参照)。
【0030】
Phtタンパク質の断片を用いる場合(別々に、または融合タンパク質の一部として)、各断片は必要に応じて、1個以上のヒスチジントライアドモチーフおよび/またはそのようなポリペプチドのコイルドコイル領域を含む。ヒスチジントライアドモチーフは、配列HxxHxH(式中、Hはヒスチジンであり、xはヒスチジン以外のアミノ酸である)を有するポリペプチドの一部である。コイルドコイル領域は、「コイル(Coils)」アルゴリズム、Lupus, Aら(1991) Science 252; 1162-1164により予測される領域である。一実施形態においては、該断片または各断片は、1個以上のヒスチジントライアドモチーフならびに少なくとも1個のコイルドコイル領域を含む。一実施形態においては、該断片または各断片は、正確に、または少なくとも2、3、4もしくは5個のヒスチジントライアドモチーフを含む(必要に応じて、天然の肺炎球菌トライアド内Pht配列、例えば、PhtDについては、WO 00/37105の配列番号4に示されるトライアド内配列と50、60、70、80、90%以上もしくは100%同一である2個以上のトライアド、またはトライアド内配列間の天然Pht配列)。一実施形態においては、該断片または各断片は、正確に、または少なくとも2、3もしくは4個のコイルドコイル領域を含む。一実施形態においては、本明細書に開示されるPhtタンパク質は、シグナル配列が結合した完全長タンパク質、シグナルペプチド(例えば、N末端の20アミノ酸)が除去された成熟完全長タンパク質、Phtタンパク質の天然の変異体およびPhtタンパク質の免疫原性断片(例えば、上記の断片またはWO 00/37105もしくはWO 00/39299中のアミノ酸配列に由来する少なくとも15個もしくは20個の連続したアミノ酸を含むポリペプチドであって、WO 00/37105もしくはWO 00/39299中の前記アミノ酸配列に特異的な免疫応答を引き出すことができる前記ポリペプチド)を含む。
【0031】
特に、本明細書で用いられる用語「PhtD」は、シグナル配列が結合した完全長タンパク質、シグナルペプチドが除去された成熟完全長タンパク質(例えば、N末端の20アミノ酸)、PhtDの天然の変異体およびPhtDの免疫原性断片(例えば、上記の断片またはWO 00/37105もしくはWO 00/39299中のPhtDアミノ酸配列に由来する少なくとも15個もしくは20個の連続したアミノ酸を含むポリペプチドであって、WO 00/37105もしくはWO 00/39299中の前記アミノ酸配列に特異的な免疫応答を引き出すことができる前記ポリペプチド)を含む。
【0032】
担体タンパク質が組成物中の2種以上の糖類について同じである場合、該糖類を、該担体タンパク質(それにコンジュゲートされた2種以上の異なる糖類を有する担体分子)の同じ分子にコンジュゲートさせることができる[例えば、WO 04/083251を参照]。あるいは、前記糖類を、それぞれ別々にタンパク質担体の異なる分子(それにコンジュゲートされた1種の型の糖類のみを有するタンパク質担体のそれぞれの分子)にコンジュゲートさせることができる。
【0033】
本発明において用いることができる担体タンパク質の例は、DT(ジフテリアトキソイド)、TT(破傷風トキソイド)もしくはTTのC断片、DT CRM197(DT突然変異体)、CRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら、J. Biol. Chem. 218; 3838-3844, 1973)などの他のDT点突然変異体;CRM9、CRM45、CRM102、CRM103およびCRM107ならびにNichollsおよびYoule(Genetically Engineered Toxins, Frankel(編), Maecel Dekker Inc, 1992)により記載された他の突然変異;Glu-148からAsp、GlnもしくはSerおよび/またはAla158からGlyへの欠失または突然変異ならびに米国特許第4,709,017号もしくは米国特許第4,950,740号に開示された他の突然変異;Lys516、Lys526、Phe530および/もしくはLys534のうちの少なくとも1個以上の残基の突然変異ならびに米国特許第5,917,017号もしくは米国特許第6,455,673号に開示された他の突然変異;または米国特許第5,843,711号に開示された断片、いくつかの様式で解毒されたplyを含む肺炎球菌のニューモリシン(Kuoら(1995) Infect Immun 63; 2706-13)、例えば、dPLY-GMBS (WO 04081515, PCT/EP2005/010258)もしくはdPLY-formol、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEおよびPhtタンパク質の融合物、例えば、PhtDE融合物、PhtBE融合物(WO 01/98334およびWO 03/54007)などのPhtX (Pht A-Eは以下により詳細に記載されている)、OMPC(髄膜炎菌外膜タンパク質-通常、髄膜炎菌血清群Bから抽出される-EP0372501)、PorB(髄膜炎菌由来)、PD(インフルエンザ菌Dタンパク質-例えば、EP 0 594 610 Bを参照)、もしくはその免疫学的に機能的な等価物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO 93/17712、WO 94/03208)、百日咳タンパク質(WO 98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、増殖因子もしくはホルモン(WO 91/01146)、N19タンパク質(Baraldoiら(2004) Infect Immun 72; 4884-7)、肺炎球菌表面タンパク質PspA (WO 02/091998)、鉄取込みタンパク質(WO 01/72337)、クロストリジウム・ディフィシレの毒素AもしくはB(WO 00/61761)などの様々な病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら(2001) Eur J Immunol 31; 3816-3824)である。
【0034】
Nurkkaら、Pediatric Infectious Disease Journal. 23(11):1008-14, 2004 Nov.は、全血清型がPDにコンジュゲートされた11価の肺炎球菌ワクチンを記載した。しかしながら、本発明者らは、PDにコンジュゲートされた19Fと比較して、DTにコンジュゲートされた19Fを有するコンジュゲートを用いて誘導された抗体について、オプソニン食作用活性が改善されることを示した。さらに、本発明者らは、DTにコンジュゲートされた19Fについて、19Aに対するより大きい交叉反応性が見られることを示した。従って、血清型19Fを、細菌トキソイド、例えば、TT、ニューモリシン、DTまたはCRM197にコンジュゲートさせることが本発明の組成物の特徴である。一態様においては、血清型19FをDTにコンジュゲートさせる。また、血清型19Aを、細菌トキソイド、例えば、TT、ニューモリシン、DTまたはCRM197にコンジュゲートさせることも本発明の特徴である。前記免疫原性組成物の残りの糖類血清型を、DTではない1種以上の担体タンパク質に全てコンジュゲートさせるか(すなわち、19FのみをDTにコンジュゲートさせる)、またはDTではない1種以上の担体タンパク質と、DT自身との間に分割することができる。一実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、残りの血清型の全部をPDにコンジュゲートさせる。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、残りの血清型をPDと、TTまたはDTまたはCRM197との間に分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、2種以上の糖類をTTにコンジュゲートさせる。この実施形態の一態様においては、前記1種の糖類は18Cまたは12Fである。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、2種以上の糖類をTTにコンジュゲートさせる。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、残りの血清型を、PD、TTと、DTまたはCRM197との間に分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、残りの血清型を、PD、TTとニューモリシンとの間に分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、残りの血清型を、PD、TTとCRM197との間に分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、残りの血清型を、PD、TT、ニューモリシンと、必要に応じてPhtDまたはPhtD/E融合タンパク質との間に分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、19AをニューモリシンまたはTTにコンジュゲートさせ、残りの血清型を、PD、TT、ニューモリシンと、必要に応じてPhtDまたはPhtD/E融合タンパク質との間に分割する。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、19AをニューモリシンまたはTTにコンジュゲートさせ、1種のさらなる糖類をTTにコンジュゲートさせ、1種のさらなる糖類をPhtDまたはPhtD/Eにコンジュゲートさせ、全てのさらなる糖類をPDにコンジュゲートさせる。さらなる実施形態においては、19FをDTまたはCRM197にコンジュゲートさせ、19Aをニューモリシンにコンジュゲートさせ、1種のさらなる糖類をTTにコンジュゲートさせ、1種のさらなる糖類をニューモリシンにコンジュゲートさせ、2種のさらなる糖類をPhtDまたはPhtD/Eにコンジュゲートさせ、全てのさらなる糖類をPDにコンジュゲートさせる。
【0035】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、インフルエンザ菌に由来するDタンパク質を含む。この実施形態においては、PDが19F以外の任意の糖類をコンジュゲートさせるのに用いられる担体タンパク質の1つでない場合、例えば、他の血清型を、PDではない1種以上の異なる担体タンパク質にコンジュゲートさせながら、19FをDTにコンジュゲートさせる場合、PDは遊離タンパク質としてワクチン組成物中に存在するであろう。PDが19F以外の糖類をコンジュゲートさせるのに用いられる担体タンパク質の1つである場合、PDは必要に応じて遊離タンパク質としてワクチン組成物中に存在するであろう。
【0036】
本明細書を通して用いられる用語「糖類」は、多糖類またはオリゴ糖を示してもよく、両方を含む。多糖類を、細菌から単離し、公知の方法(例えば、EP497524およびEP497525を参照)および必要に応じて微小流体化によりいくらかの程度までサイズ縮小することができる。多糖類をサイズ縮小して、多糖類サンプル中の粘度を低下させ、および/またはコンジュゲートされた生成物の濾過性を改善することができる。オリゴ糖は低い数の反復単位(典型的には、5〜30反復単位)を有し、典型的には、加水分解された多糖類である。
【0037】
肺炎連鎖球菌の莢膜多糖類は、最大8個の糖残基を含んでもよい反復オリゴ糖単位を含む。主要な肺炎連鎖球菌血清型のオリゴ糖単位の概説については、JONES, Christopher. 「病原性細菌の細胞表面糖鎖に基づくワクチン(Vaccines based on the cell surface carbohydrates of pathogenic bacteria.)」、An. Acad. Bras. Cienc., June 2005, vol.77, no.2, p.293-324. ISSN 0001-3765を参照されたい。一実施形態においては、莢膜糖類抗原は完全長多糖類であってよいが、他の実施形態においては、それは1個のオリゴ糖単位であってもよく、または反復オリゴ糖単位の自然長糖鎖よりも短いものであってもよい。一実施形態においては、ワクチン中に存在する全ての糖類は多糖類である。完全長多糖類を、「サイズ縮小」することができる、すなわち、酸加水分解処理、過酸化水素処理、emulsiflex(登録商標)によるサイズ縮小の後、過酸化水素処理を行って、オリゴ糖断片を作製すること、または微小流体化などの様々な方法により、そのサイズを低下させることができる。
【0038】
本発明者らはまた、当業界の焦点は、コンジュゲート産生を容易にするためにオリゴ糖を使用する必要があることにも留意した。本発明者らは、天然またはわずかにサイズ縮小された多糖類コンジュゲートを用いることにより、以下の利点のうちの1個以上:1)濾過性のある高い免疫原性を有するコンジュゲート、2)コンジュゲート中の多糖類とタンパク質との比率(w/w)が増加するように(担体抑制効果に対する効果を有し得る)、コンジュゲート中の多糖類とタンパク質との比率を変化させることができること、3)加水分解されやすい免疫原性コンジュゲートを、コンジュゲーションのためにより大きい糖類の使用によって安定化させることができることを実現することができることを見出した。より大きい多糖類の使用は、コンジュゲート担体とのより多い架橋をもたらし、該コンジュゲートからの遊離糖類の放出を低下させることができる。従来技術において記載されたコンジュゲートワクチンは、多糖類を、コンジュゲーションの前に脱重合させて、コンジュゲーションを改善する傾向がある。本発明者らは、より大きいサイズの糖類を保持する糖類コンジュゲートワクチンは、肺炎球菌疾患に対する良好な免疫応答を提供することができることを見出した。
【0039】
かくして、本発明の免疫原性組成物は、コンジュゲーション前の各糖類の平均サイズ(重量平均分子量;Mw)が80 kDa、100 kDa、200 kDa、300 kDa、400 kDa、500 kDaまたは1000 kDaを超えるものである1種以上の糖類コンジュゲートを含んでもよい。一実施形態においては、コンジュゲーション後のコンジュゲートは、濾過前のサンプルと比較して、濾過後に、50、60、70、80、90または95%を超える収率が得られるように、0.2μmのフィルターを通して容易に濾過可能であるべきである。
【0040】
本発明の目的のために、「天然多糖類」とは、加工の目的が糖類のサイズを低下させることである該加工にかけられていない糖類を指す。多糖類は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに低下するようになる。そのような糖類は依然として天然である。多糖類をサイズ縮小技術にかけた場合のみ、該多糖類は天然ではないと考えられる。
【0041】
本発明の目的のために、「最大で2倍の係数によりサイズ縮小される」とは、糖類を、該糖類のサイズを低下させるが、天然の多糖類のサイズの半分を超えるサイズを保持することを意図されたプロセスにかけることを意味する。3倍、4倍などは、同じように解釈されるべきであり、すなわち、糖類を、多糖類のサイズを低下させるが、天然の多糖類のサイズの1/3、1/4などを超えるサイズを保持することを意図されたプロセスにかける。
【0042】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌を含み、ここで、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種、またはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類は天然多糖類である。
【0043】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌を含み、ここで、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種、またはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類は、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍の係数によりサイズ縮小される。この態様の一実施形態においては、大多数の糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類を、2、3、4、5、6、7、8、9または10倍の係数によりサイズ縮小させる。
【0044】
本明細書に記載の糖類の分子量または平均分子量は、コンジュゲーションの前に測定された糖類の重量-平均分子量(Mw)を指し、MALLSにより測定される。
【0045】
MALLS技術は当業界でよく知られており、典型的には、実施例2に記載のように実行する。肺炎球菌糖類のMALLS分析のためには、2個のカラム(TSKG6000および5000PWxl)を組み合わせて使用し、該糖類を水中に溶出させる。糖類を、光散乱検出装置(例えば、488 nmの10 mWアルゴンレーザーを備えたWyatt Dawn DSP)およびインフェロメトリック(inferometric)屈折計(例えば、P100セルおよび498 nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を用いて検出する。
【0046】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類は天然多糖類または通常の抽出プロセスの間にサイズが低下した天然多糖類である。
【0047】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、機械的切断、例えば、微小流体化または超音波処理によりサイズ縮小させる。微小流体化および超音波処理は、濾過可能なコンジュゲートを提供するのに十分な程度に、より大きい天然多糖類のサイズを低下させる利点を有する。サイズ縮小化は、20、10、8、6、5、4、3または2倍以下である。
【0048】
一実施形態においては、前記免疫原性組成物は、天然多糖類と、20倍以下にサイズ縮小された糖類との混合物から作製される肺炎連鎖球菌コンジュゲートを含む。この実施形態の一態様においては、大多数の糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類を、最大で2、3、4、5または6倍、サイズ縮小させる。
【0049】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、リンカー、例えば、二官能性リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる。このリンカーは、必要に応じて、例えば、反応性アミノ基と反応性カルボン酸基、2個の反応性アミノ基もしくは2個の反応性カルボン酸基を有する、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性である。このリンカーは、例えば、4〜20個、4〜12個、5〜10個の炭素原子を有する。可能なリンカーは、ADHである。他のリンカーとしては、B-プロピオンアミド(WO 00/10599)、ニトロフェニル-エチルアミン(Geverら(1979) Med. Microbiol. Immunol. 165; 171-288)、ハロゲン化ハロアルキル(米国特許第4,057,685号)、グリコシド結合(米国特許第4,673,574号、同第4,808,700号)、ヘキサンジアミンおよび6-アミノカプロン酸(米国特許第4,459,286号)が挙げられる。一実施形態においては、ADHを、血清型18Cに由来する糖類をコンジュゲートさせるためのリンカーとして用いる。
【0050】
本発明の免疫原性組成物中に存在する糖類コンジュゲートを、任意の公知のカップリング技術により調製することができる。このコンジュゲーション方法は、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸(CDAP)を用いて糖類を活性化させて、シアン酸エステルを形成させることに依存する。かくして、活性化された糖類を、直接またはスペーサー(リンカー)基を介して、担体タンパク質上のアミノ基にカップリングさせることができる。例えば、スペーサーは、マレイミドにより活性化された担体タンパク質(例えば、GMBSを用いる)またはハロアセチル化された担体タンパク質(例えば、ヨードアセトイミド[例えば、エチルヨードアセトイミドHCl]もしくはN-スクシンイミジルブロモアセテートまたはSIAB、もしくはSIA、もしくはSBAPを用いる)との反応後に得られたチオエーテル結合を介して該担体にカップリングさせることができるチオール化多糖類を得るためのシスタミンまたはシステアミンであってよい。必要に応じて、シアン酸エステル(必要に応じて、CDAP化合物により作製される)を、ヘキサンジアミンまたはADHとカップリングさせ、アミノ誘導体化された糖類を、タンパク質担体上のカルボキシル基を介してカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化合物を用いて、担体タンパク質にコンジュゲートさせる。そのようなコンジュゲートは、PCT公開出願WO 93/15760(Uniformed Services University)ならびにWO 95/08348およびWO 96/29094に記載されている。
【0051】
他の好適な技術は、カルボジイミド、カルビイニド(carbiinide)、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを用いる。多くはWO 98/42721に記載されている。コンジュゲーションは、糖類の遊離ヒドロキシル基と、CDIとの反応(Bethellら、J. Biol. Chem. 1979, 254; 2572-4, Hearnら、J. Chromatogr. 1981. 218; 509-18)、次いで、カルバメート結合を形成するタンパク質との反応により形成させることができるカルボニルリンカーを含んでもよい。これは、主要なヒドロキシル基へのアノマー末端の還元、主要なヒドロキシル基の任意的な保護/脱保護、CDIカルバメート中間体を形成する主要なヒドロキシル基とCDIとの反応、およびタンパク質上での該CDIカルバメート中間体とアミノ基とのカップリングを含んでもよい。
【0052】
前記コンジュゲートを、米国特許第4,365,170号(Jennings)および米国特許第4,673,574号(Anderson)に記載の直接還元的アミノ化方法により調製することもできる。他の方法は、EP-0-161-188、EP-208375およびEP-0-477508に記載されている。
【0053】
さらなる方法は、例えば、EDACを用いる、カルボジイミド縮合(Chuら、Infect. Immunity, 1983, 245-256)による、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化された臭化シアン(またはCDAP)活性化糖類のタンパク質担体へのカップリングを含む。
【0054】
一実施形態においては、糖類上のヒドロキシル基(必要に応じて、活性化ヒドロキシル基、例えば、シアン酸エステルを作製するために活性化された[例えば、CDAPを用いる]ヒドロキシル基)を、直接的または間接的に(リンカーを介して)タンパク質上のアミノ基またはカルボキシル基に連結する。リンカーが存在する場合、糖類上のヒドロキシル基を、必要に応じて、例えば、CDAPコンジュゲーションを用いることにより、リンカー上のアミノ基に連結する。該リンカー中のさらなるアミノ基(例えば、ADH)を、例えば、カルボジイミド化合物、例えば、EDACを用いることにより、タンパク質上のカルボン酸にコンジュゲートさせることができる。一実施形態においては、肺炎球菌莢膜糖類を、最初にリンカーにコンジュゲートさせた後、該リンカーを担体タンパク質にコンジュゲートさせる。あるいは、リンカーを担体にコンジュゲートさせた後、糖類にコンジュゲートさせることができる。
【0055】
いくつかの糖類-タンパク質コンジュゲートをCDAPにより調製し、いくつかを還元的アミノ化により調製するなど、技術の組合せを用いてもよい。
【0056】
一般的には、タンパク質担体上の以下の型の化学基を、カップリング/コンジュゲーションに用いることができる:
A)カルボキシル基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸を介する)。一実施形態においては、この基を、直接的に糖類上のアミノ基に連結するか、またはカルボジイミド化合物、例えば、EDACを用いてリンカー上のアミノ基に連結する。
【0057】
B)アミノ基(例えば、リジンを介する)。一実施形態においては、この基を、直接的に糖類上のカルボキシル基に連結するか、またはカルボジイミド化合物、例えば、EDACを用いてリンカー上のカルボキシル基に連結する。別の実施形態においては、この基を、直接的に糖類上の、CDAPもしくはCNBrで活性化されたヒドロキシル基に連結するか、またはリンカー上のそのような基に;アルデヒド基を有する糖類もしくはリンカーに;スクシンイミドエステル基を有する糖類もしくはリンカーに連結する。
【0058】
C)スルフヒドリル基(例えば、システインを介する)。一実施形態においては、この基を、マレイミド化合物を用いてブロモもしくはクロロアセチル化された糖類またはリンカーに連結する。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0059】
D)ヒドロキシル基(例えば、チロシンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0060】
E)イミダゾリル基(例えば、ヒスチジンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0061】
F)グアニジル基(例えば、アルギニンを介する)。
【0062】
G)インドリル基(例えば、トリプトファンを介する)。
【0063】
糖類上で、一般的には、以下の基をカップリングのために用いることができる:OH、COOHまたはNH2。ペリオダート、酸加水分解、過酸化水素などの当業界で公知の様々な処理の後に、アルデヒド基を作製することができる。
【0064】
直接カップリング手法:
糖類-OH + CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル + NH2-Prot→コンジュゲート
糖類-アルデヒド + NH2-Prot→シッフ塩基 + NaCNBH3→コンジュゲート
糖類-COOH + NH2-Prot + EDAC→コンジュゲート
糖類-NH2 + COOH-Prot + EDAC→コンジュゲート
【0065】
スペーサー(リンカー)手法を用いる間接的カップリング:
糖類-OH + CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル + NH2----NH2→糖類----NH2 +COOH-Prot + EDAC→コンジュゲート
糖類-OH + CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル + NH2----SH→糖類----SH + SH-Prot(露出したシステインを含むか、または例えば、SPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質)→糖類-S-S-Prot
糖類-OH + CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル + NH2----SH→糖類----SH + マレイミド-Prot(アミノ基の改変)→コンジュゲート
糖類-OH + CNBrまたはCDAP→シアン酸エステル + NH2----SH→糖類-SH + ハロアセチル化-Prot→コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2----NH2→糖類----NH2 + EDAC + COOH-Prot→コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2----SH→糖類----SH + SH-Prot(露出したシステインを含むか、または例えば、SPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質)→糖類-S-S-Prot
糖類-COOH + EDAC + NH2----SH→糖類----SH + マレイミド-Prot(アミノ基の改変)→コンジュゲート
糖類-COOH + EDAC + NH2----SH→糖類-SH + ハロアセチル化-Prot→コンジュゲート
糖類-アルデヒド + NH2----NH2→糖類----NH2 + EDAC + COOH-Prot→コンジュゲート
注釈:上記のEDACの代わりに、任意の好適なカルボジイミドを用いることができる。
【0066】
まとめると、糖類とのカップリングに一般的に用いることができるタンパク質担体化学基の型は、アミノ基(例えば、リジン残基上)、COOH基(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基上)およびSH基(近接可能な場合)(例えば、システイン残基上)である。
【0067】
必要に応じて、担体タンパク質と肺炎連鎖球菌糖類の比率は、1:5〜5:1;1:2〜2.5:1;1:1〜2:1(w/w)である。一実施形態においては、大多数のコンジュゲート、例えば、6、7、8、9種以上のコンジュゲートは、1:1より大きい担体タンパク質と糖類の比率、例えば、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1または1.6:1を有する。
【0068】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌糖類を、CDAPおよびEDACを用いてリンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる。例えば、18Cを、上記のようにCDAPおよびEDACを用いて、リンカー(例えば、ADHなどのその末端に2個のヒドラジノ基を有するもの)を介してタンパク質にコンジュゲートさせることができる。リンカーを用いる場合、CDAPを用いて糖類をリンカーにコンジュゲートさせた後、EDACを用いて、リンカーをタンパク質にコンジュゲートさせるか、またはあるいは、EDACを最初に用いて、リンカーをタンパク質にコンジュゲートさせた後、CDAPを用いて、リンカーを糖類にコンジュゲートさせることができる。
【0069】
一般的には、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg、1〜10μgまたは1〜3μgの糖類の各糖類コンジュゲートの用量を含んでもよい。
【0070】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg、0.5〜10μg、0.5〜5μgまたは1〜3μgの糖類の用量の各肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む。一実施形態においては、莢膜糖類は、様々な用量で存在してもよく、例えば、いくつかの莢膜糖類は、正確に1μgの用量で存在してもよく、またはいくつかの莢膜糖類は正確に3μgの用量で存在してもよい。一実施形態においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)に由来する糖類は、他の糖類よりも高い用量で存在する。この実施形態の一態様においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)は、ほぼ3μgまたは正確に3μgの用量で存在するが、免疫原性組成物中の他の糖類はほぼ1μgまたは正確に1μgの用量で存在する。
【0071】
「ほぼ」または「約」は、本発明の目的のために、所与の数字のおおよそ10%以内として定義される。
【0072】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、直接担体タンパク質にコンジュゲートさせる。必要に応じて、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、CDAPにより直接コンジュゲートさせる。一実施形態においては、大多数の莢膜糖類、例えば、5、6、7、8、9種以上を、CDAPにより直接担体タンパク質に連結する(WO 95/08348およびWO 96/29094を参照)。
【0073】
前記免疫原性組成物は、本明細書では本発明の肺炎連鎖球菌タンパク質と呼ばれる、肺炎連鎖球菌タンパク質を含んでもよい。そのようなタンパク質を担体タンパク質として用いるか、またはそれは遊離タンパク質として存在するか、もしくは担体タンパク質および遊離タンパク質の両方として存在してもよい。本発明の肺炎連鎖球菌タンパク質は、肺炎球菌の生活環の少なくとも一部の間に、表面露出されたものであるか、または肺炎球菌により分泌もしくは放出されるタンパク質である。必要に応じて、本発明のタンパク質を、LXXC(式中、Xは任意のアミノ酸、例えば、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)である)のII型シグナル配列モチーフを有するタンパク質、コリン結合タンパク質(CbpX)、I型シグナル配列モチーフを有するタンパク質(例えば、Sp101)、LPXTGモチーフ(式中、Xは任意のアミノ酸であり、例えば、Sp128、Sp130である)を有するタンパク質、および毒素(例えば、Ply)などのカテゴリーから選択する。これらのカテゴリー(またはモチーフ)内の例は、以下のタンパク質、またはその免疫学的に機能的な等価物である。
【0074】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合物)、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133からなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質を含む。さらなる実施形態においては、前記免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、およびSp128からなる群より選択される2種以上のタンパク質を含む。さらなる実施形態においては、前記免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(もしくは融合物)、ニューモリシン(Ply)、およびSp128からなる群より選択される2種以上のタンパク質を含む。
【0075】
Pht(ポリヒスチジントライアド)ファミリーは、PhtA、PhtB、PhtDおよびPhtEタンパク質を含む。このファミリーは、脂質化配列、おそらく金属もしくはヌクレオシド結合または酵素活性に関与する、プロリンに富む領域といくつかのヒスチジントライアドにより分離される2個のドメイン、(3-5)コイルドコイル領域、保存されたN末端および異種性C末端を特徴とする。それは試験した肺炎球菌の全ての株に存在する。他の連鎖球菌およびナイセリア菌においては、相同タンパク質も見出されている。本発明の一実施形態においては、本発明のPhtタンパク質はPhtDである。しかしながら、用語「PhtA、B、DおよびE」とは、以下の引用物に開示された配列を有するタンパク質ならびに参照タンパク質と少なくとも90%同一である配列相同性を有するその天然(および人工)変異体を指すと理解される。必要に応じて、それは少なくとも95%同一であるか、または少なくとも97%同一である。
【0076】
PhtXタンパク質に関しては、PhtAはWO 98/18930に開示されており、Sp36とも呼ばれる。上記のように、それはポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、LXXCのII型シグナルモチーフを有する。PhtDはWO 00/37105に開示されており、Sp036Dとも呼ばれる。上記のように、それもポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、II型LXXCシグナルモチーフを有する。PhtBはWO 00/37105に開示されており、Sp036Bとも呼ばれる。PhtBファミリーの別のメンバーは、WO 00/17370に開示されたようなC3-分解ポリペプチドである。このタンパク質もポリヒスチジントライアドファミリーに由来し、II型LXXCシグナルモチーフを有する。例えば、免疫学的に機能的な等価物はWO 98/18930に開示されたタンパク質Sp42である。PhtBトランケート(約79 kD)はWO 99/15675に開示されており、PhtXファミリーのメンバーであるとも考えられる。PhtEはWO 00/30299に開示されており、BVH-3と呼ばれる。任意のPhtタンパク質を本明細書で呼ぶ場合、Phtタンパク質の免疫原性断片またはその融合物を用いることができることを意味する。例えば、PhtXに対する参照は、任意のPhtタンパク質に由来する免疫原性断片またはその融合物を含む。PhtDまたはPhtBに対する参照はまた、例えば、WO 0198334に認められるような、PhtDEまたはPhtBE融合物に対する参照でもある。
【0077】
ニューモリシンは、異なる細胞溶解活性(溶血)および補体活性化活性を有する多機能毒素である(Rubinsら、Am . Respi. Cit Care Med, 153:1339-1346 (1996))。この毒素は肺炎球菌によって分泌されないが、オートリシンの影響下での肺炎球菌の溶解に際して放出される。その効果としては、例えば、ヒト単球による炎症性サイトカインの産生の刺激、ヒト気道上皮上の繊毛の鼓動(beating)の阻害、ならびに殺菌活性の低下および好中球の移動が挙げられる。ニューモリシンの最も明らかな効果は、コレステロールへの結合を含む、赤血球の溶解である。それは毒素であるので、それをin vivoで投与する前に解毒する必要がある(すなわち、防御にとって好適な用量で提供する場合、ヒトに対して非毒性である)。野生型または天然のニューモリシンの発現およびクローニングは、当業界で公知である。例えば、Walkerら(Infect Immun, 55:1184-1189 (1987))、Mitchellら(Biochim Biophys Acta, 1007:67-72 (1989)およびMitchellら(NAR, 18:4010 (1990))を参照されたい。plyの解毒を、化学的手段、例えば、ホルマリンもしくはグルタルアルデヒド処理にかけること、またはその両方の組合せ(WO 04081515、PCT/EP2005/010258)によって行うことができる。そのような方法は、様々な毒素に関して当業界でよく知られている。あるいは、plyを、遺伝的に解毒することができる。かくして、本発明は、例えば、突然変異されたタンパク質であってよい肺炎球菌タンパク質の誘導体を包含する。本明細書で用いられる用語「突然変異された」とは、部位特異的突然変異誘発または任意の他の従来方法に関するよく知られた技術を用いて、1個以上のアミノ酸の欠失、付加または置換を受けた分子を意味する。例えば、上記のように、突然変異体plyタンパク質を、それがその免疫原性エピトープを依然として維持しながら、生物学的に不活性となるように変化させることができる。例えば、WO90/06951、Berryら(Infect Immun, 67:981-985 (1999))およびWO99/03884を参照されたい。
【0078】
本明細書で用いられる用語「Ply」とは、医学的使用にとって好適な(すなわち、非毒性)突然変異された、または解毒されたニューモリシンを指すと理解される。
【0079】
コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)に関しては、そのファミリーのメンバーは、元々はコリンアフィニティクロマトグラフィーにより精製することができる肺炎球菌タンパク質として同定された。コリン結合タンパク質は全て、細胞壁テイコ酸および膜結合リポテイコ酸のホスホリルコリン部分に非共有結合する。構造的には、それらはファミリー全体に渡る共通のいくつかの領域を有するが、タンパク質の正確な性質(アミノ酸配列、長さなど)は変化してもよい。一般的には、コリン結合タンパク質は、N末端領域(N)、保存された反復領域(R1および/またはR2)、プロリンに富む領域(P)および該タンパク質の約半分を含む、複数の反復から構成される保存されたコリン結合領域(C)を含む。本明細書で用いられるように、用語「コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)」は、WO 97/41151で同定されたコリン結合タンパク質、PbcA、SpsA、PspC、CbpA、CbpDおよびCbpGからなる群より選択される。CbpAはWO 97/41151に開示されている。CbpDおよびCbpGはWO 00/29434に開示されている。PspCはWO 97/09994に開示されている。PbcAはWO 98/21337に開示されている。SpsAはWO 98/39450に開示されたコリン結合タンパク質である。必要に応じて、コリン結合タンパク質を、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。
【0080】
本発明の一実施形態は、「CbpX」が上記のように定義され、「トランケート」がコリン結合領域(C)の50%以上を欠くCbpXタンパク質を指す、CbpXトランケートを含む。必要に応じて、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。必要に応じて、そのようなタンパク質トランケートは、(i)コリン結合領域および(ii)依然として少なくとも1個の反復領域(R1またはR2)を保持する、同様のタンパク質のN末端の半分の一部を欠く。必要に応じて、該トランケートは、2個の反復領域(R1およびR2)を有する。そのような実施形態の例は、WO 99/51266またはWO 99/51188に例示されたようなNR1xR2およびR1xR2であるが、同様のコリン結合領域を欠く他のコリン結合タンパク質も、本発明の範囲内に意図される。
【0081】
LytXファミリーは、細胞溶解に関連する膜結合タンパク質である。そのN末端ドメインは、コリン結合ドメインを含むが、LytXファミリーは上記のCbpAファミリーに認められる全ての特徴を有さず、かくして、本発明については、LytXファミリーはCbpXファミリーとは異なると考えられる。CbpXファミリーとは対照的に、そのC末端ドメインは、LytXタンパク質ファミリーの触媒ドメインを含む。このファミリーは、LytA、BおよびCを含む。LytXファミリーに関しては、LytAはRondaら、Eur J Biochem, 164:621-624 (1987)に開示されている。LytBはWO 98/18930に開示されており、Sp46とも呼ばれる。LytCもWO 98/18930に開示されており、Sp91とも呼ばれる。本発明の一実施形態はLytCを含む。
【0082】
別の実施形態は、「LytX」が上記のように定義され、「トランケート」がコリン結合領域の50%以上を欠くLytXタンパク質を指す、LytXトランケートを含む。必要に応じて、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。本発明のさらに別の実施形態は、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質(または融合物)を含む。必要に応じて、これは、CbpXのNR1xR2(またはR1xR2)およびLytXのC末端部分(Cterm、すなわち、コリン結合ドメインを欠く)(例えば、LytCCtermまたはSp91Cterm)を含む。必要に応じて、CbpXを、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。必要に応じて、それはCbpAである。必要に応じて、LytXはLytC(Sp91とも呼ばれる)である。本発明の別の実施形態は、コリン結合ドメイン(C)を欠くPspAまたはPsaAトランケートであり、LytXとの融合タンパク質として発現される。必要に応じて、LytXはLytCである。
【0083】
PsaAおよびPspAに関しては、両方とも当業界で公知である。例えば、PsaAおよびその膜貫通欠失変異体が、Berry & Paton, Infect Immun 1996 Dec;64(12):5255-62により記載されている。PspAおよびその膜貫通欠失変異体を、例えば、米国特許第5,804,193号、WO 92/14488、およびWO 99/53940に開示されている。
【0084】
Sp128およびSp130はWO 00/76540に開示されている。Sp125は、LPXTG(式中、Xは任意のアミノ酸である)の細胞壁固定モチーフを有する肺炎球菌表面タンパク質の一例である。このモチーフを有するこのクラスの肺炎球菌表面タンパク質内の任意のタンパク質は、本発明の文脈内で有用であることが見出されており、従って、本発明のさらなるタンパク質であると考えられる。Sp125自体は、WO 98/18930に開示されており、ZmpB(亜鉛メタロプロテイナーゼ)としても知られる。Sp101はWO 98/06734 (ここでそれは参照番号y85993を有する)に開示されている。それは、I型シグナル配列を特徴とする。Sp133はWO 98/06734 (ここでそれは参照番号y85992を有する)に開示されている。それもI型シグナル配列を特徴とする。
【0085】
組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができるモラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)タンパク質の例は、OMP106 [WO 97/41731 (Antex)およびWO 96/34960 (PMC)]; OMP21またはその断片(WO 0018910); LbpAおよび/もしくはLbpB [WO 98/55606 (PMC)]; TbpAおよび/もしくはTbpB [WO 97/13785およびWO 97/32980 (PMC)]; CopB [Helminen MEら(1993) Infect. Immun. 61:2003-2010]; UspA1および/もしくはUspA2 [WO 93/03761 (University of Texas)]; OmpCD; HasR (PCT/EP99/03824); PilQ (PCT/EP99/03823); OMP85 (PCT/EP00/01468); lipo06 (GB 9917977.2); lipo10 (GB 9918208.1); lipo11 (GB 9918302.2); lipo18 (GB 9918038.2); P6 (PCT/EP99/03038); D15 (PCT/EP99/03822); OmplA1 (PCT/EP99/06781); Hly3 (PCT/EP99/03257);ならびにOmpEである。組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができる非分類型インフルエンザ菌抗原またはその断片の例としては、フィンブリンタンパク質[(米国特許第5,766,608号-Ohio State Research Foundation)]およびそれに由来するペプチドを含む融合物[例えば、LB1(f)ペプチド融合物;米国特許第5,843,464号(OSU)もしくはWO 99/64067];OMP26 [WO 97/01638 (Cortecs)]; P6 [EP 281673 (State University of New York)]; TbpAおよび/もしくはTbpB; Hia; Hsf; Hin47; Hif; Hmw1; Hmw2; Hmw3; Hmw4; Hap; D15 (WO 94/12641); P2;ならびにP5 (WO 94/26304)が挙げられる。
【0086】
本発明のタンパク質を、有益に組み合わせることもできる。組み合わせるとは、免疫原性組成物が、以下の組合せ、担体タンパク質もしくは遊離タンパク質として、またはその2つの混合物として、その中に由来する全てのタンパク質を含むことを意味する。例えば、本明細書の以後に記載の2種のタンパク質の組合せにおいては、両タンパク質を担体タンパク質として用いることができるか、または両タンパク質は遊離タンパク質として存在してもよく、または両方とも担体および遊離タンパク質として存在してもよく、または一方は担体タンパク質および遊離タンパク質として存在するが、他方は担体タンパク質としてのみ、もしくは遊離タンパク質としてのみ存在するか、または一方は担体タンパク質として存在し、他方は遊離タンパク質として存在してもよい。3種のタンパク質の組合せを与える場合、同様の可能性が存在する。組合せとしては、限定されるものではないが、PhtD + NR1xR2、PhtD + NR1xR2-Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtD + Ply、PhtD + Sp128、PhtD + PsaA、PhtD + PspA、PhtA + NR1xR2、PhtA + NR1xR2-Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtA + Ply、PhtA + Sp128、PhtA + PsaA、PhtA + PspA、NR1xR2 + LytC、NR1xR2 + PspA、NR1xR2 + PsaA、NR1xR2 + Sp128、R1xR2 + LytC、R1xR2 + PspA、R1xR2 + PsaA、R1xR2 + Sp128、R1xR2 + PhtD、R1xR2 + PhtAが挙げられる。必要に応じて、NR1xR2(またはR1xR2)は、CbpAまたはPspCに由来する。必要に応じて、それはCbpAに由来する。他の組合せとしては、PhtD + NR1xR2 + PlyおよびPhtA + NR1xR2 + PhtDなどの3種のタンパク質の組合せが挙げられる。一実施形態においては、前記ワクチン組成物は、解毒されたニューモリシンおよび担体タンパク質としてPhtDまたはPhtDEを含む。さらなる実施形態においては、前記ワクチン組成物は、解毒されたニューモリシンおよび遊離タンパク質としてPhtDまたはPhtDEを含む。
【0087】
独立した態様においては、本発明は、異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する糖類を含む少なくとも4種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類コンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、少なくとも1種の糖類をPhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートさせ、該免疫原性組成物がPhtDに対する有効な免疫応答を引き出すことができる、前記組成物を提供する。
【0088】
PhtDまたはその融合タンパク質に対する有効な免疫応答を、例えば、実施例15に記載のものなどの防御アッセイにより測定する。有効な免疫応答は、異種株を用いるチャレンジの7日後に、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%または90%の生存を提供する。チャレンジ株が異種性である場合、提供される防御はPhtDまたはその融合タンパク質に対する免疫応答に起因するものである。あるいは、PhtDに対する有効な免疫応答を、実施例14に記載のようなELISAにより測定する。有効な免疫応答は、少なくとも250、300、350、400、500、550または600μg/mlのGMCの抗PhtD IgG応答を与える。
【0089】
例えば、免疫原性組成物は、PhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートされた異なる血清型に由来する少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む。例えば、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、23Fおよび33Fからさらに選択された血清型22Fおよび1、2、3、4、5、6または7を、PhtDにコンジュゲートさせる。一実施形態においては、血清型3、6Aおよび22Fのうちの2または3種を、PhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートさせる。
【0090】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、リンカー、例えば、ADHを介してPhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む。一実施形態においては、以下に列挙したコンジュゲーション化合物の1つを用いる。
【0091】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、PhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含み、ここで該コンジュゲート中のPhtDと糖類の比率は、6:1〜1:5、6:1〜2:1、6:1〜2.5、6:1〜3:1、6:1〜3.5:1 (w/w)であるか、または2.0:1、2.5:1、3.0:1、3.5:1または4.0:1(w/w)よりも大きい(すなわち、より大きい割合のPhtDを含む)。
【0092】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、ニューモリシンを含む。
【0093】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物と製薬上許容し得る賦形剤とを含むワクチンを提供する。
【0094】
特に、高齢者集団における使用だけでなく、幼児集団における使用も意図する場合、本発明のワクチンをアジュバント化することができる。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲルもしくはリン酸アルミニウムもしくはミョウバンなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、マグネシウム、鉄もしくは亜鉛などの他の金属塩であってもよく、またはアシル化チロシン、もしくはアシル化糖、陽イオンもしくは陰イオン的に誘導体化された糖類、もしくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってよい。
【0095】
必要に応じて、アジュバントを、TH1型の応答の優先的な誘導因子となるように選択する。そのような高レベルのTh1型サイトカインは、所与の抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を好む傾向があるが、高レベルのTh2型サイトカインは該抗原に対する体液性免疫応答の誘導を好む傾向がある。
【0096】
Th1およびTh2型免疫応答の区別は絶対的なものではない。現実には、個体は主にTh1または主にTh2であると記載される免疫応答を支持するであろう。しかしながら、MosmannおよびCoffman (Mosmann, T.R.およびCoffman, R.L. (1989))によりマウスCD4 +ve T細胞クローンにおいて記載された点でサイトカインのファミリーと考えるのが便利であることが多い。TH1およびTH2細胞:様々なパターンのリンホカイン分泌は、異なる機能的特性を誘導する(Annual Review of Immunology, 7, p145-173)。伝統的には、Th1型応答はTリンパ球によるIFN-γおよびIL-2サイトカインの産生に関連する。Th1型免疫応答の誘導に直接関連することが多い他のサイトカイン、例えば、IL-12などは、T細胞によっては産生されない。対照的に、Th2型応答は、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10の分泌と関連する。主にTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、モノホスホリルリピドAまたはその誘導体(または一般的には、解毒されたリピドA-例えば、WO2005107798を参照)、特に、3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)(その調製については、GB 2220211 Aを参照);およびモノホスホリルリピドA、必要に応じて、3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドAと、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウムもしくは水酸化アルミニウム)もしくは水中油型乳濁液との組合せが挙げられる。そのような組合せにおいては、抗原と3D-MPLは同じ粒子構造中に含まれ、抗原シグナルおよび免疫刺激シグナルのより効率的な送達を可能にする。研究により、3D-MPLがミョウバンに吸着された抗原の免疫原性をさらに増強することができることが示された[Thoelenら、Vaccine (1998) 16:708-14; EP 689454-B1]。
【0097】
増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組合せ、具体的には、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLとの組合せ、またはWO 96/33739に開示されたようにQS21をコレステロールを用いてクエンチした反応性の低い組成物を含む。水中油型乳濁液中にQS21、3D-MPLおよびトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が、WO 95/17210に記載されている。一実施形態においては、前記免疫原性組成物はさらに、サポニンを含み、それはQS21であってもよい。この製剤はまた、水中油型乳濁液とトコフェロールを含んでもよい(WO 95/17210)。非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド(WO 96/02555)および他の免疫調節オリゴヌクレオチド(WO 0226757およびWO 03507822)も、TH1応答の主な誘導因子であり、本発明における使用にとって好適である。
【0098】
特定のアジュバントは、金属塩、水中油型乳濁液、Toll様受容体アゴニスト(具体的には、Toll様受容体2アゴニスト、Toll様受容体3アゴニスト、Toll様受容体4アゴニスト、Toll様受容体7アゴニスト、Toll様受容体8アゴニストおよびToll様受容体9アゴニスト)、サポニンまたはその組合せからなる群より選択されるものである。
【0099】
本発明のワクチン組成物と共に用いることができるアジュバントは、WO 02/09746により教示されたものなどのグラム陰性細菌株に由来するブレブまたは外膜ベシクル調製物、具体的には、髄膜炎菌のブレブである。ブレブのアジュバント特性を、その表面上にLOS(リポオリゴ糖)を保持する(例えば、低濃度の界面活性剤(例えば、0〜0.1%デオキシコール酸)を用いる抽出を介する)ことにより改善することができる。LOSを、WO 02/09746で考察されたmsbB(-)またはhtrB(-)突然変異を介して解毒することができる。また、アジュバント特性を、髄膜炎菌のブレブに由来するPorBを保持する(および必要に応じて、PorAを除去する)ことにより改善することもできる。アジュバント特性を、例えば、WO2004/014417で考察されたlgtB(-)突然変異を介して、髄膜炎菌のブレブ上でLOSの外核糖類をトランケートすることにより改善することもできる。あるいは、上記のLOS(例えば、msbB(-)および/またはlgtB(-)株から単離する)を精製し、本発明の組成物におけるアジュバントとして用いることができる。
【0100】
本発明の組成物と共に用いることができるさらなるアジュバントを、サポニン、リピドAもしくはその誘導体、免疫刺激的オリゴヌクレオチド、リン酸アルキルグルコサミニド、水中油型乳濁液またはその組合せからなる群より選択することができる。本発明の組成物と共に用いることができるさらなるアジュバントは、別のアジュバントと組み合わせた金属塩である。一実施形態においては、前記アジュバントは、Toll様受容体アゴニスト、具体的には、Toll様受容体2、3、4、7、8もしくは9のアゴニスト、またはサポニン、具体的にはQS21である。一実施形態においては、アジュバント系は、上記一覧に由来する2種以上のアジュバントを含む。特に、前記組合せは、必要に応じて、サポニン(特に、QS21)アジュバントおよび/またはCpG含有免疫刺激的オリゴヌクレオチドなどのToll様受容体9アゴニストを含む。他の組合せは、サポニン(特に、QS21)およびモノホスホリルリピドAもしくはその3脱アシル化誘導体、3D-MPLなどのToll様受容体4アゴニスト、またはサポニン(特に、QS21)およびリン酸アルキルグルコサミニドなどのToll様受容体4リガンドを含む。
【0101】
一実施形態においては、アジュバントは、3D-MPLとQS21の組合せ(EP 0 671 948 B1)、3D-MPLとQS21とQS21を含む水中油型乳濁液(WO 95/17210、WO 98/56414)、または他の担体と共に製剤化された3D-MPLとQS21(EP 0 689 454 B1)である。一実施形態においては、アジュバント系は、米国特許第6,558,670号、米国特許第6,544,518号に記載された3D-MPL、QS21およびCpGオリゴヌクレオチドの組合せを含む。
【0102】
一実施形態においては、前記アジュバントは、Toll様受容体(TLR)4リガンド、必要に応じて、リピドA誘導体、具体的には、モノホスホリルリピドA、より具体的には3脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)などのアゴニストである。
【0103】
3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals North Americaから入手可能であり、主にIFN-g (Th1)表現型を有するCD4+ T細胞応答を促進する。それを、GB 2 220 211 Aに開示された方法に従って製造することができる。化学的には、それは、3-脱アシル化モノホスホリルリピドAと、3、4、5または6アシル化鎖との混合物である。一実施形態においては、本発明の組成物、小粒子3D-MPLを用いる。小粒子3D-MPLは、0.22μmフィルターを通して滅菌濾過することができるような粒子径を有する。そのような調製物は、国際特許出願WO 94/21292に記載されている。
【0104】
リピドAの合成誘導体は公知であり、TLR4アゴニストであると考えられ、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0105】
OM174(2-デオキシ-6-o-[2-デオキシ-2-[(R)-3-ドデカノイルオキシテトラ-デカノイルアミノ]-4-o-ホスホノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]-α-D-グルコピラノシルジヒドロゲンホスフェート)(WO 95/14026)。
【0106】
OM294 DP(3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9(R)-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1,10-ビス(ジヒドロゲンホスフェート) (WO 99/64301およびWO 00/0462)。
【0107】
OM197 MP-AcDP(3S,9R)-3-[(R)-ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-4-オキソ-5-アザ-9-[(R)-3-ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン-1,10-ジオール,1-ジヒドロゲンホスフェート10-(6-アミノヘキサノエート)(WO 01/46127)。
【0108】
用いることができる他のTLR4リガンドは、WO 98/50399もしくは米国特許第6,303,347号(AGPの調製方法も開示されている)に開示されたものなどのアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、または米国特許第6,764,840号に開示されたようなAGPの製薬上許容し得る塩である。いくつかのAGPはTLR4アゴニストであり、いくつかはTLR4アンタゴニストである。両方ともアジュバントとして有用であると考えられる。
【0109】
本発明における使用のための別の好ましい免疫刺激剤は、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは、南米の樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン調製物であり、1974年にDalsgaardら(「サポニンアジュバント(Saponin adjuvants)」、Archiv. fur die gesamte virusforschung, Vol.44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)によりアジュバント活性を有すると初めて記載された。例えば、QS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)などのQuil Aと関連する毒性を持たずにアジュバント活性を保持するQuil Aの精製された断片が、HPLCにより単離された(EP 0 362 278)。QS-21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮から誘導された天然サポニンであり、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞および顕著なIgG2a抗体応答を誘導し、本発明の文脈において好ましいサポニンである。
【0110】
本発明の一実施形態であるQS21の特定の製剤が記載されており、これらの製剤はステロールをさらに含む(WO 96/33739)。本発明のサポニン形成部分は、ミセル、混合ミセル(必要に応じて、胆汁塩を含む)の形態で分離していてもよく、またはコレステロールおよび脂質と共に製剤化した場合、ISCOMマトリックス(EP 0 109 942 B1)、ワーム状もしくは環状マルチマー複合体もしくは脂質/層化構造およびラメラなどのリポソームもしくは関連するコロイド状構造の形態にあってもよく、または水中油型乳濁液(例えば、WO 95/17210に記載のような)の形態にあってもよい。サポニンは、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどの金属塩と結合していてもよい(WO 98/15287)。必要に応じて、サポニンを、リポソーム、ISCOMまたは水中油型乳濁液の形態で提供する。
【0111】
増強された系は、モノホスホリルリピドA(もしくは解毒されたリピドA)とサポニン誘導体との組合せ、特に、WO 94/00153に開示されたQS21と3D-MPLとの組合せ、またはQS21をWO 96/33739に開示されたコレステロールをクエンチする反応性の低い組成物を含む。水中油型乳濁液中にQS21および/または3D-MPLを含むか、または含まないトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤は、WO 95/17210に記載されている。一実施形態においては、前記免疫原性組成物はさらにサポニンを含み、それはQS21であってもよい。
【0112】
免疫刺激的オリゴヌクレオチドまたは任意の他のToll様受容体(TLR)9アゴニストを用いることもできる。本発明のアジュバントまたはワクチンにおける使用のためのオリゴヌクレオチドは、必要に応じて、CpG含有オリゴヌクレオチド、必要に応じて、少なくとも3個、必要に応じて、少なくとも6個以上のヌクレオチドにより分離された2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドである。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチド、次いで、グアニンヌクレオチドである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、典型的には、デオキシヌクレオチドである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間結合はジチオリン酸であるか、またはチオリン酸結合であるが、ホスホジエステルおよび他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲内にある。また、混合ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。チオリン酸オリゴヌクレオチドまたはジチオリン酸を製造する方法は、米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号およびWO 95/26204に記載されている。
【0113】
オリゴヌクレオチドの例は、以下の配列を有する。この配列は、必要に応じて、チオリン酸修飾されたヌクレオチド間結合を含む。
【0114】
OLIGO 1(配列番号1): TCC ATG ACG TTC CTG ACG TT (CpG 1826)
OLIGO 2 (配列番号2): TCT CCC AGC GTG CGC CAT (CpG 1758)
OLIGO 3(配列番号3): ACC GAT GAC GTC GCC GGT GAC GGC ACC ACG
OLIGO 4 (配列番号4): TCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT (CpG 2006)
OLIGO 5 (配列番号5): TCC ATG ACG TTC CTG ATG CT (CpG 1668)
OLIGO 6 (配列番号6): TCG ACG TTT TCG GCG CGC GCC G (CpG 5456)。
【0115】
代替的なCpGオリゴヌクレオチドは、それらがそこでの重要でない欠失または付加を有するような上記の配列を含んでもよい。本発明において用いられる免疫刺激的オリゴヌクレオチドを、当業界で公知の任意の方法(例えば、EP 468520を参照されたい)により合成することができる。都合の良いことには、そのようなオリゴヌクレオチドを、自動化合成装置を用いて合成することができる。
【0116】
アジュバントは、水中油型乳濁液であってもよく、または他のアジュバントと共に水中油型乳濁液を含んでもよい。乳濁液系の油相は、必要に応じて、代謝可能な油を含む。用語「代謝可能な油」の意味は、当業界でよく知られている。「代謝可能」を、「代謝により変換され得る」として定義することができる(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company、第25版(1974))。この油は、レシピエントにとって非毒性的であり、代謝により変換され得る任意の野菜油、魚油、動物油または合成油であってよい。木の実、種子、および穀物が野菜油の一般的な供給源である。合成油も本発明の一部であり、NEOBEE (登録商標)などの市販の油を含んでもよい。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は不飽和の油であり、サメの肝油中に大量に見出され、オリーブ油、胚芽油、米ぬか油、および酵母中に少量で見出され、本発明における使用のための油である。スクアレンは、それがコレステロールの生合成における中間体であるという事実の点で代謝可能な油である(Merck index、第10版、エントリー番号8619)。
【0117】
トコール(例えば、ビタミンE)は、油乳濁液アジュバント中で用いられることも多い(EP 0 382 271 B1; 米国特許第5,667,784号; WO 95/17210)。本発明の油乳濁液(必要に応じて、水中油型乳濁液)中で用いられるトコールを、EP 0 382 271 B1中に記載のように製剤化することができ、ここでこのトコールは、必要に応じて直径1μm未満の乳化剤を含むトコール液滴の分散物であってよい。あるいは、トコールを別の油と組み合わせて用いて、油乳濁液の油相を形成させることができる。上記の代謝可能な油などの、トコールと組み合わせて用いることができる油乳濁液の例は、本明細書に記載されている。
【0118】
水中油型乳濁液自体は、アジュバント組成物として有用であると提言され(EP 0 399 843B)、水中油型乳濁液と他の活性物質との組合せもワクチンのためのアジュバントとして記載されている(WO 95/17210; WO 98/56414; WO 99/12565; WO 99/11241)。油中水型乳濁液(米国特許第5,422,109号;EP 0 480 982 B2)および水中油中水型乳濁液(米国特許第5,424,067号;EP 0 480 981 B)などの、他の油乳濁液アジュバントが記載されている。それらは全て油乳濁系を形成して(特に、トコールを含む場合)、アジュバントおよび本発明の組成物を形成する。
【0119】
一実施形態においては、油乳濁液(例えば、水中油型乳濁液)はさらに、TWEEN 80および/またはコレステロールなどのステロールなどの乳化剤を含む。一実施形態においては、油乳濁液(必要に応じて、水中油型乳濁液)は、スクアラン、スクアレンもしくはα-トコフェロールなどのトコフェロール(および必要に応じて、スクアレンとα-トコフェロールの両方)などの代謝可能な、非毒性の油ならびに必要に応じて、Tween 80などの乳化剤(もしくは界面活性剤)を含む。ステロール(例えば、コレステロール)を含有させることもできる。
【0120】
水中油型乳濁液を製造する方法は当業者にはよく知られている。一般的には、この方法は、トコール含有油相を、PBS/TWEEN80(商標)溶液などの界面活性剤と混合した後、ホモジェナイザーを用いて均質化することを含み、該混合物をシリンジ針に2回通過させることを含む方法は少量の液体を均質化するのに好適であることが当業者には明らかであろう。同じく、当業者であれば、微小流体化装置(M110S Microfluidics機械、6バールの最大圧入力(約850バールの出力圧)で2分間、最大50パス)中での乳化プロセスを適合させて、より少量またはより大量の乳濁液を製造することができるであろう。この適合を、必要な直径の油滴を有する調製物が達成されるまで、得られる乳濁液の測定を含む日常的な実験により達成することができる。水中油型乳濁液においては、油および乳化剤は水性担体中にあるべきである。水性担体は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。
【0121】
安定な水中油型乳濁液内に認められる油滴のサイズは、必要に応じて、1μm未満であり、光子相関分光法により測定されるように、実質的に直径30〜600 nm、必要に応じて、実質的に直径約30〜500 nm、および必要に応じて実質的に直径150〜500 nmの範囲にあり、および特に、直径約150 nmであってよい。この点で、数で80%の油滴がこの範囲内にあるべきであり、必要に応じて、90%を超える、および必要に応じて95%を超える数の油滴が定義されたサイズの範囲内にある。本発明の油乳濁液中に存在する成分の量は、従来はスクアレンなどの、0.5〜20%または2〜10%の油(総量)、存在する場合、2〜10%のα-トコフェロール;およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートなどの0.3〜3%の界面活性剤の範囲にある。必要に応じて、油(例えば、スクアレン):トコール(例えば、α-トコフェロール)の比率は、これはより安定な乳濁液を提供するため、1以下である。Tween80またはSpan85などの乳化剤は、約1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合、本発明のワクチンが安定剤をさらに含むのが有利であるかもしれない。
【0122】
乳濁液系の例はWO 95/17210、WO 99/11241およびWO 99/12565に記載されており、必要に応じて、免疫刺激剤QS21および/または3D-MPLと共に製剤化された、スクアレン、α-トコフェロール、およびTWEEN 80に基づく乳濁液アジュバントを開示している。かくして、本発明の一実施形態においては、本発明のアジュバントはLPSもしくはその誘導体、および/またはサポニンなどのさらなる免疫刺激剤をさらに含んでもよい。さらなる免疫刺激剤の例は、本明細書ならびに「ワクチン設計-サブユニットおよびアジュバント手法(Vaccine Design - The Subunit and Adjuvant Approach)」、1995, Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Powell, M.F.およびNewman, M.J.(編), Plenum Press, New YorkおよびLondon, ISBN 0-306-44867-Xに記載されている。
【0123】
一実施形態においては、本発明に従うアジュバントおよび免疫原性組成物は、必要に応じてステロール(例えば、コレステロール)と共に、上記の油乳濁液中のサポニン(例えば、QS21)および/またはLPS誘導体(例えば、3D-MPL)を含む。さらに、油乳濁液(必要に応じて、水中油型乳濁液)は、span 85および/またはレシチンおよび/またはトリカプリリンを含んでもよい。水中油型乳濁液、ステロールおよびサポニンを含むアジュバントは、WO 99/12565に記載されている。
【0124】
典型的には、ヒトへの投与のためには、サポニン(例えば、QS21)および/またはLPS誘導体(例えば、3D-MPL)は、用量あたり10〜100μg、または10μg〜50μgなどの1μg〜200μgの範囲にあるヒト用量の免疫原性組成物中に存在するであろう。典型的には、油乳濁液(必要に応じて、水中油型乳濁液)は、2〜10%の代謝可能な油を含むであろう。必要に応じて、それは2〜10%のスクアレン、2〜10%のα-トコフェロールおよび0.3〜3%(必要に応じて、0.4〜2%)の乳化剤(必要に応じて、tween 80[ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート])を含むであろう。スクアレンとα-トコフェロールの両方が存在する場合、必要に応じて、スクアレン:α-トコフェロールの比率は、これがより安定な乳濁液を提供するため、1以下である。Span 85(ソルビタントリオレアート)も、本発明において用いられる乳濁液中に0.5〜1%のレベルで存在してもよい。いくつかの場合、本発明の免疫原性組成物およびワクチンは、安定剤、例えば、他の乳化剤/界面活性剤、例えば、カプリル酸(Merck index、第10版、エントリー番号1739)、例えば、トリカプリリンをさらに含むことが有利であるかもしれない。
【0125】
スクアレンおよびサポニン(必要に応じて、QS21)が含まれる場合、乳濁液中の油の総レベルの低下を可能にするため、製剤にステロール(必要に応じて、コレステロール)を含有させることも有益である。これは、製造費用の低下、ワクチン接種の全体の快適性の改善、ならびにまた得られる免疫応答の質的および量的な改善、例えば、IFN-γ産生の改善をもたらす。従って、本発明のアジュバント系は、典型的には、200:1〜300:1の範囲の代謝可能な油:サポニンの比率(w/w)を含み、また本発明を、1:1〜200:1、必要に応じて20:1〜100:1、または実質的には48:1である任意の範囲の「低い油」の形態で用いることもでき、このワクチンは、反応性プロフィールが大きく低下した全ての成分の有益なアジュバント特性を保持する。従って、いくつかの実施形態は、1:1〜250:1、または20:1〜200:1、または20:1〜100:1、または実質的には48:1の範囲にあるスクアレン:QS21の比率(w/w)を有する。必要に応じて、ステロール(例えば、コレステロール)も、本明細書に記載のようなサポニン:ステロールの比率で存在させて含有させる。
【0126】
本発明の乳濁液系は、必要に応じて、サブミクロン範囲の小さい油滴サイズを有する。必要に応じて、この油滴サイズは直径120〜750 nm、または120〜600 nmの範囲にあるであろう。
【0127】
特に強力なアジュバント製剤(本発明の免疫原性組成物中のAlPO4との究極の組合せに関する)は、WO 95/17210またはWO 99/12565(特に、実施例2、表1のアジュバント製剤11)に記載のようなサポニン(例えば、QS21)、LPS誘導体(例えば、3D-MPL)および油乳濁液(例えば、水中油型乳濁液中のスクアレンおよびα-トコフェロール)を含む。
【0128】
TLR2アゴニストの例としては、ペプチドグリカンまたはリポタンパク質が挙げられる。イミキモッドおよびレシキモッドなどのイミダゾキノリンが、公知のTLR7アゴニストである。一本鎖RNAも公知のTLRアゴニスト(ヒトにおいてはTLR8およびマウスにおいてはTLR7)であるが、二本鎖RNAおよびポリIC(ポリイノシン酸-ポリシチジル酸-ウイルスRNAの市販の合成模倣物質)はTLR3アゴニストの例である。3D-MPLはTLR4アゴニストの例であるが、CPGはTLR9アゴニストの例である。
【0129】
前記免疫原性組成物は、金属塩上に吸着させた抗原および免疫刺激剤を含んでもよい。抗原および免疫刺激剤3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)を同じ粒子上に吸着させるアルミニウムに基づくワクチン製剤が、EP 0 576 478 B1、EP 0 689 454 B1およびEP 0 633 784 B1に記載されている。これらの場合、抗原をアルミニウム上に最初に吸着させた後、同じアルミニウム塩粒子上に免疫刺激剤3D-MPLを吸着させる。そのようなプロセスはまず、粒子が80〜500 nmのサイズに到達するまで、水浴中での超音波処理により3D-MPLを懸濁することを含む。典型的には、抗原を、攪拌下、室温で1時間、アルミニウム塩上に吸着させる。次いで、3D-MPL懸濁液を吸着された抗原に添加し、製剤を室温で1時間インキュベートした後、使用するまで4℃で保持する。
【0130】
別のプロセスにおいては、免疫刺激剤および抗原は、EP 1126876に記載のように、別の金属粒子上にある。改良されたプロセスは、金属塩粒子上に免疫刺激剤を吸着させた後、抗原を別の金属塩粒子上に吸着させ、次いで、個別の金属粒子を混合してワクチンを形成させることを含む。本発明における使用のためのアジュバントは、金属塩粒子が実質的に他の抗原を含まないことを特徴とする、金属塩粒子上に吸着された免疫刺激剤を含むアジュバント組成物であってよい。さらに、ワクチンを本発明により提供し、このワクチンは免疫刺激剤を、実質的に他の抗原を含まない金属塩の粒子上に吸着させること、および抗原に吸着させた金属塩の粒子が実質的に他の免疫刺激剤を含まないことを特徴とする。従って、本発明は、前記組成物が実質的に他の抗原を含まないことを特徴とする、金属塩の粒子上に吸着させた免疫刺激剤を含むアジュバント製剤を提供する。さらに、このアジュバント製剤は、そのようなアジュバントを用いる場合、ワクチンの製造にとって必要である中間体であってよい。従って、金属粒子上に吸着させた1種以上の免疫刺激剤であるアジュバント組成物と、抗原とを混合することを含むワクチンの製造のためのプロセスが提供される。必要に応じて、前記抗原は、金属塩上に予め吸着させたものである。前記金属塩は、免疫刺激剤上に吸着された金属塩と同一であるか、または類似してもよい。必要に応じて、前記金属塩はアルミニウム塩、例えば、リン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムである。本発明はさらに、金属塩の第1および第2の粒子が別の粒子であることを特徴とする、金属塩の第1の粒子上に吸着させた免疫刺激剤、ならびに金属塩上に吸着させた抗原を含むワクチン組成物を提供する。
【0131】
本明細書に記載のLPSもしくはLOS誘導体もしくは突然変異体またはリピドA誘導体を、天然のリポ多糖類よりも毒性が低くなり(例えば、3D-MPL)、本明細書に記載のこれらの部分の任意の使用に関して互換的な等価物であるように設計する。
【0132】
一実施形態においては、本発明の組成物に用いられるアジュバントは、リポソーム担体(リン脂質(ジオレイルホスファチジルコリン[DOPC]など)および必要に応じて、ステロール[コレステロールなど])から公知の技術により作製される)を含む。そのようなリポソーム担体は、リピドA誘導体[3D-MPLなど-上記参照]および/またはサポニン(QS21など-上記参照)を担持してもよい。一実施形態においては、アジュバントは、(0.5 mL用量あたり)0.1〜10 mg、0.2〜7、0.3〜5、0.4〜2、または0.5〜1 mg(例えば、0.4〜0.6、0.9〜1.1、0.5もしくは1 mg)のリン脂質(例えば、DOPC)、0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25もしくは0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)、5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)、および5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40もしくは50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む。
【0133】
このアジュバントは、高齢者用ワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、少なくとも全部の以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fから誘導された糖類コンジュゲートを含み(およびまた血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)、ここで、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない。
【0134】
一実施形態においては、本発明の組成物のために用いられるアジュバントは、代謝可能な油(スクアレンなど)、乳化剤(Tween 80など)および必要に応じて、トコール(α-トコフェロールなど)から作製された水中油型乳濁液を含む。一実施形態においては、前記アジュバントは、(0.5 mL用量あたり)0.5〜15、1〜13、2〜11、4〜8、または5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6もしくは10〜11 mg)の代謝可能な油(スクアレンなど)、0.1〜10、0.3〜8、0.6〜6、0.9〜5、1〜4、または2〜3 mg(例えば、0.9〜1.1、2〜3もしくは4〜5 mg)の乳化剤(Tween 80など)および必要に応じて0.5〜20、1〜15、2〜12、4〜10、5〜7 mg(例えば、11〜13、5〜6もしくは2〜3 mg)のトコール(α-トコフェロールなど)を含む。
【0135】
このアジュバントは、必要に応じて、5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)をさらに含んでもよい。
【0136】
これらのアジュバントは、幼児または高齢者用のワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、少なくとも全部の以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fから誘導された糖類コンジュゲートを含み(およびまた血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)、ここで、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない。
【0137】
このアジュバントは必要に応じて、0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg (例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25もしくは0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)、5〜60、10〜50または20〜30μg (例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)、および5〜60、10〜50または20〜30μg (例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40もしくは50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含んでもよい。
【0138】
このアジュバントは、高齢者用のワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、少なくとも全部の以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fから誘導された糖類コンジュゲートを含み(およびまた血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)、ここで、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない。
【0139】
一実施形態においては、本発明の組成物のために用いられるアジュバントは、リン酸アルミニウムおよびリピドA誘導体(3D-MPLなど)を含む。このアジュバントは、(0.5 mL用量あたり)リン酸アルミニウムとして100〜750、200〜500、または300〜400μgのAl、および5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40もしくは50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含んでもよい。
【0140】
このアジュバントは、高齢者または幼児用のワクチン製剤にとって特に好適である。一実施形態においては、このアジュバントを含むワクチン組成物は、少なくとも全部の以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fから誘導された糖類コンジュゲートを含み(およびまた血清型3、6A、19A、および22Fに由来する1種以上を含んでもよい)、ここで、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの1種以上(または全部)に対して誘導されるGMC抗体力価は、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない。
【0141】
本発明の免疫原性組成物を含むワクチン調製物を用いて、全身経路または粘膜経路を介して該ワクチンを投与することにより、感染に罹りやすい哺乳動物を保護または治療することができる。これらの投与は、筋肉内、腹腔内、皮内もしくは皮下経路を介する注入;または経口/消化管、気道、尿生殖路への粘膜投与を介する投与を含んでもよい。肺炎または中耳炎の治療のためのワクチンの鼻内投与が可能である(肺炎球菌の鼻咽頭保菌をより効率的に防止し、かくして、その最も早い段階で感染を弱めることができるため)。本発明のワクチンを、単回用量として投与することができるが、その成分を同じ時間または異なる時間に一緒に同時投与することもできる(例えば、肺炎球菌糖類コンジュゲートを、別々に、同時に、または互いに関して免疫応答の最適な調整のための該ワクチンの任意の細菌タンパク質成分の投与の1〜2週間後に投与することができる)。同時投与のためには、任意のTh1アジュバントが、任意の、または全ての異なる投与において存在してもよい。単一経路の投与に加えて、2種の異なる経路の投与を用いることができる。例えば、糖類または糖類コンジュゲートを、IM(またはID)で投与し、細菌タンパク質をIN(またはID)で投与することができる。さらに、本発明のワクチンを、初回用量についてはIMで、追加用量についてはINで投与することができる。
【0142】
ワクチン中のタンパク質抗原の含量は、典型的には1〜100μg、必要に応じて、5〜50μg、最も典型的には、5〜25μgの範囲にあるであろう。初回のワクチン接種後、被験者は十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。
【0143】
ワクチン調製物は、Vaccine Design (「サブユニットおよびアジュバント手法(The subunit and adjuvant approach)」、(Powell M.F. & Newman M.J.(編)) (1995) Plenum Press New York)に一般的に記載されている。リポソーム内のカプセル封入はFullertonの米国特許第4,235,877号に記載されている。
【0144】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物を、溶液中で保存するか、または凍結乾燥することができる。一実施形態においては、溶液を、スクロース、トレハロース、グルコース、マンノース、マルトースまたはラクトースなどの不定形の凍結乾燥保護剤として働く糖の存在下で凍結乾燥させる。一実施形態においては、溶液を不定形の凍結乾燥保護剤として働く糖、およびグリシンまたはマンニトールなどの改善されたケーキ構造を提供するバルキング剤の存在下で凍結乾燥させる。結晶バルキング剤の存在により、高い塩濃度の存在下での凍結乾燥サイクルの短縮が可能になる。本発明の免疫原性組成物またはワクチンの凍結乾燥における使用のためのそのような混合物の例としては、スクロース/グリシン、トレハロース/グリシン、グルコース/グリシン、マンノース/グリシン、マルトース/グリシン、スクロース/マンニトール/トレハロース/マンニトール、グルコース/マンニトール、マンノース/マンニトールおよびマルトース/マンニトールが挙げられる。典型的には、2つの構成要素のモル比は、必要に応じて、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5または1:6である。本発明の免疫原性組成物は、必要に応じて、上記の凍結乾燥試薬を含む。
【0145】
上記の安定化剤および安定化剤の混合物は、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ヒドロキシエチルスターチもしくはデキストランなどの、前記製剤のガラス転移温度(Tg')を増加させることができるポリマー、または例えば、1500〜6000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)およびデキストランなどの結晶バルキング剤として働くポリマーをさらに含んでもよい。
【0146】
本発明の免疫原性組成物を、必要に応じて凍結乾燥し、使用前に即席に再構成させる。凍結乾燥は、より安定な組成物(ワクチン)をもたらし、3D-MPLの存在下およびアルミニウムに基づくアジュバントの非存在下でより高い抗体力価をもたらすことができる。
【0147】
本発明の一態様においては、必要に応じて凍結乾燥形態の、本発明の免疫原性組成物を含むウイルスを含み、本明細書に記載のアジュバントを含むウイルスをさらに含むワクチンキットが提供される。本発明のこの態様においては、アジュバントを用いて凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成することができることが想定される。
【0148】
本発明のワクチンを任意の経路により投与することができるが、皮膚への記載のワクチンの投与(ID)は本発明の一実施形態を形成する。ヒト皮膚は、表皮の上にある角質層と呼ばれる外側の「角」キューティクルを含む。この表皮の下は、順に皮下組織の上にある真皮と呼ばれる層である。研究者らにより、皮膚、特に真皮へのワクチンの注入が、免疫応答を刺激し、これがまたいくつかのさらなる利点と関連してもよいことが示された。本明細書に記載のワクチンを用いる皮内ワクチン接種は、本発明の任意の特徴を形成する。
【0149】
皮内注入の従来技術である「マントゥー手順」は、皮膚をクリーニングした後、一方の手で伸ばし、狭いゲージの針(26〜31ゲージ)の先端面取り部を上に向けて、10〜15°の角度で針を挿入する工程を含む。一度、針の先端面取り部を挿入したら、針の胴部を下ろし、わずかに圧力を印加して皮膚の下でそれを上昇させながら、さらに進行させる。次いで、液体を非常にゆっくり注入し、それによって皮膚表面上にブレブまたは瘤を形成させた後、針をゆっくりと引き抜く。
【0150】
より最近では、皮膚の中に、または皮膚を横切って液体薬剤を投与するために特異的に設計された装置、例えば、WO 99/34850およびEP 1092444に記載の装置、また、例えば、WO 01/13977; 米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号、同第5,334,144号、同第5,993,412号、同第5,649,912号、同第5,569,189号、同第5,704,911号、同第5,383,851号、同第5,893,397号、同第5,466,220号、同第5,339,163号、同第5,312,335号、同第5,503,627号、同第5,064,413号、同第5,520, 639号、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第4,940,460号、WO 97/37705およびWO 97/13537に記載のジェット注入装置も記載されている。ワクチン調製物の皮内投与の代替的な方法としては、従来のシリンジおよび針、または固形ワクチンの弾道送達のために設計された装置(WO 99/27961)、または経皮パッチ(WO 97/48440;WO 98/28037);または皮膚の表面への適用(経皮もしくは経皮下送達、WO 98/20734;WO 98/28037)が挙げられる。
【0151】
本発明のワクチンを皮膚、またはより具体的には、真皮中に投与する場合、該ワクチンは低い液体容量、特に、約0.05 ml〜0.2 mlの容量にある。
【0152】
本発明の皮膚または皮内ワクチン中の抗原の含量は、筋肉内ワクチンにおいて認められる従来の用量と類似していてもよい(上記参照)。しかしながら、前記製剤が「低用量」であってよいことも皮膚または皮内ワクチンの特徴である。従って、「低用量」ワクチン中のタンパク質抗原は、必要に応じて、用量あたり0.1〜10μgまたは0.1〜5μgの量で存在してもよい;および糖類(必要に応じて、コンジュゲートされた)抗原は、用量あたり0.01〜1μgの範囲で存在してもよく、または0.01〜0.5μgの糖類を含んでもよい。
【0153】
本明細書で用いられる用語「皮内送達」とは、皮膚中の真皮の領域への前記ワクチンの送達を意味する。しかしながら、ワクチンは必ずしも真皮にのみ位置するわけではないであろう。真皮は、ヒト皮膚中の表面から約1.0〜約2.0 mmに位置する皮膚中の層であるが、個体と身体の様々な部分との間では特定量の変動がある。一般的には、皮膚の表面の1.5 mm下に行くことにより真皮に到達すると予想することができる。真皮は角質層と表面の表皮との間に位置し、その下に皮下層がある。送達の様式に依存して、ワクチンは究極的には、専ら、もしくは主に真皮内に位置するか、または究極的には、表皮と真皮内に分布し得る。
【0154】
本発明はさらに、インフルエンザ菌タンパク質、例えば、遊離形態またはコンジュゲートした形態のDタンパク質の添加による、インフルエンザ菌により引き起こされた中耳炎の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。さらに、本発明はさらに、本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物への、遊離タンパク質またはコンジュゲートされたタンパク質としての1種または2種の肺炎球菌タンパク質の添加に依存することによる、幼児における肺炎球菌感染(例えば、中耳炎)の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。前記肺炎球菌遊離タンパク質は、担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌と同じか、または異なってもよい。1種以上のモラクセラ・カタラリスタンパク質抗原を、遊離形態またはコンジュゲートされた形態で組合せワクチン中に含有させることもできる。かくして、本発明は、幼児における中耳炎に対する(防御的)免疫応答を引き出すための改良された方法である。
【0155】
別の実施形態においては、本発明は、安全かつ有効な量の本発明のワクチン[小児用ワクチン]を投与することによる、幼児(本発明の内容においては0〜2歳の年齢と定義される)における(防御的)免疫応答を引き出すための改良された方法である。本発明のさらなる実施形態は、医学における使用のための本発明の抗原性肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物の提供および肺炎球菌疾患の予防(または治療)のための医薬の製造における本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲートの使用を含む。
【0156】
さらに別の実施形態においては、本発明は、必要に応じて、遊離タンパク質またはコンジュゲートされたタンパク質として存在する、遊離の肺炎連鎖球菌タンパク質が担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じか、または異なっていてもよい1種または2種の肺炎連鎖球菌タンパク質と結合させた、安全かつ有効な量の本発明のワクチンを投与することによる、高齢者集団(本発明の内容においては、患者が50歳以上の年齢、典型的には、55歳を超える年齢およびより一般的には60歳を超える年齢である場合、高齢者であると考える)における(防御的)免疫応答を引き出すための改良された方法である。
【0157】
本発明のさらなる態様は、宿主に免疫保護用量の本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットを投与することを含む、肺炎連鎖球菌および必要に応じてインフルエンザ菌により引き起こされる疾患に対するヒト宿主を免役する方法である。
【0158】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じてインフルエンザ菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための本発明の免疫原性組成物である。
【0159】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じてインフルエンザ菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットの使用である。
【0160】
本明細書で用いられる用語「含む(comprising, comprise, comprises)」とは、全ての例において、それぞれ用語「からなる(consisting of, consist of, consists of)」と必要に応じて置換可能であると本発明者らにより意図される。
【0161】
本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書に記載の実施形態は、逆も同様に、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態にも適用可能である。
【0162】
本明細書内に引用される全ての参考文献または特許出願は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0163】
本発明をより良く理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみの目的のためのものであり、いかなる様式においても本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0164】
実施例1:Dタンパク質の発現
インフルエンザ菌のDタンパク質
Dタンパク質発現のための遺伝子構築
出発材料
Dタンパク質をコードするDNA
Dタンパク質は全ての血清型のインフルエンザ菌および非分類性株間で高度に保存されている。Dタンパク質遺伝子全体をコードするDNA配列を含むベクターpHIC348を、Dr. A. Forsgren, Department of Medical Microbiology, University of Lund, Malmo General Hospital, Malmo, Swedenから入手した。Dタンパク質のDNA配列は、Jansonら(1991) Infect. Immun. 59: 119-125により公開されている。
【0165】
発現ベクターpMG1
発現ベクターpMG1は、外来挿入された遺伝子の転写および翻訳のためのバクテリオファージλ由来制御エレメントを導入したpBR322(Grossら、1985)の誘導体である(Shatzmanら、1983)。さらに、アンピシリン耐性遺伝子を、カナマイシン耐性遺伝子と交換した。
【0166】
大腸菌株AR58
大腸菌株AR58を、SA500誘導体(galE::TN10、lambdaKil-cl857 ΔH1)上で予め増殖させたP1ファージストックを用いるN99の形質導入により作製した。N99とSA500は、国立衛生研究所(NIH)のMartin Rosenberg博士の研究室に由来する大腸菌K12株である。
【0167】
発現ベクターpMG1
Dタンパク質の産生のために、該タンパク質をコードするDNAを、発現ベクターpMG1中にクローニングした。このプラスミドは、λファージDNAに由来するシグナルを使用して、挿入された外来遺伝子の転写および翻訳を駆動する。このベクターは、プロモーターPL、オペレーターOLおよびNタンパク質を提供する場合転写極性効果を軽減するための2個の利用部位(NutLおよびNutR)を含む(Grossら、1985)。PLプロモーターを含むベクターを、大腸菌溶原性宿主中に導入して、プラスミドDNAを安定化させる。溶原性宿主株は、ゲノム中に組み込まれた複製欠損λファージDNAを含む(Shatzmanら、1983)。染色体λファージDNAは、前記ベクターのOLリプレッサーに結合し、PLプロモーターへのRNAポリメラーゼの結合を阻害し、それによって挿入された遺伝子の転写を阻害するclリプレッサータンパク質の合成を指令する。発現株AR58のcl遺伝子は、PLに指令される転写を、温度シフトにより制御する、すなわち、培養温度の増加が該リプレッサーを不活化し、外来タンパク質の合成を開始することができるような、温度感受性突然変異体を含む。この発現系により、外来タンパク質、特に、細胞にとって毒性的であってよいタンパク質の制御された合成が可能になる(Shimataka & Rosenberg, 1981)。
【0168】
大腸菌株AR58
Dタンパク質担体の産生に用いられるAR58溶原性大腸菌株は、標準的なNIHの大腸菌K12株N99(F-su-galK2, lacZ-thr-)の誘導体である。それは欠損性溶原性λファージ(galE::TN10, lambdaKil-cl857 ΔH1)を含む。Kil-表現型は、宿主の大分子合成の遮断を阻害する。cl857突然変異は、clリプレッサーに温度感受性損傷を与える。ΔH1欠失は、λファージ右オペロンならびに宿主のbio、uvr3、およびchlA遺伝子座を除去する。AR58株を、SA500誘導体(galE::TN10、lambdaKil-cl857 ΔH1)上で予め増殖させたP1ファージストックを用いるN99の形質導入により作製した。N99中への欠損性溶原菌の導入を、隣接するgalE遺伝子中にテトラサイクリン耐性をコードするTN10トランスポゾンが存在するという理由で、テトラサイクリンを用いて選択した。
【0169】
ベクターpMGMDPPrDの構築
インフルエンザウイルスの非構造S1タンパク質をコードする遺伝子を含むpMG1ベクター(pMGNSI)を用いて、pMGMDPPrDを構築した。Dタンパク質遺伝子を、それぞれ5'および3'末端にNcoIおよびXbaI制限部位を含むPCRプライマーを用いる、pHIC348ベクター(Jansonら、1991 Infect. Immun. 59:119-125)からのPCRにより増幅させた。次いで、NcoI/XbaI断片を、NcoIとXbaIの間のpMGNS1中に導入し、かくしてNS1タンパク質のN末端の81アミノ酸、次いでPDタンパク質を含む融合タンパク質を作製した。このベクターは、標識されたpMGNS1PrDであった。
【0170】
上記構築物に基づいて、Dタンパク質発現のための最終的な構築物を作製した。BamHI/BamHI断片を、pMGNS1PrDから除去した。このDNA加水分解により、最初の3個のN末端残基を除いて、NS1コード領域が除去される。ベクターの再連結に際して、以下のN末端アミノ酸配列を有する融合タンパク質をコードする遺伝子を作製した:
-----MDP SSHSSNMANT-----
NS1 Dタンパク質
【0171】
Dタンパク質は、リーダーペプチドまたは脂質鎖が通常結合するN末端システインを含まない。従って、このタンパク質は、ペリプラズム中に分泌されず、脂質化もされず、可溶性形態で細胞質中に残存する。
【0172】
最終構築物pMG-MDPPrDを、37℃での熱ショックにより、AR58宿主株に導入した。プラスミドを含有する細菌を、カナマイシンの存在下で選択した。DNA挿入物をコードするDタンパク質の存在を、選択されたエンドヌクレアーゼを用いる単離されたプラスミドDNAの消化により証明した。組換え大腸菌株を、ECD4と呼ぶ。
【0173】
Dタンパク質の発現は、λPLプロモーター/OLオペレーターの制御下にある。宿主株AR58は、OLに結合することにより、低温でλPLからの発現を遮断するゲノム中の温度感受性cl遺伝子を含む。一度温度が上昇したら、clはOLから解放され、Dタンパク質が発現される。
【0174】
小規模調製
発酵の最後に、細胞を濃縮し、凍結する。
【0175】
収穫された細胞からの抽出およびDタンパク質の精製を以下のように実施した。凍結した細胞培養ペレットを解凍し、細胞破壊溶液(クエン酸バッファーpH 6.0)中、最終OD650=60に再懸濁する。この懸濁液を、P=1000バールの高圧ホモジェナイザーに2回通過させる。細胞培養物ホモジェネートを遠心分離により清澄化し、細胞破片を濾過により除去する。1回目の精製工程において、濾過された溶解物を陽イオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Fast Flow)にかける。PDはイオン相互作用によりゲルマトリックスに結合し、これを溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出させる。
【0176】
2回目の精製工程においては、不純物を陰イオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)上に保持させる。PDはゲル上に結合せず、フロースルー中で回収することができる。
【0177】
両カラムクロマトグラフィー工程においては、画分の回収をODによりモニターする。精製されたDタンパク質を含む陰イオン交換カラムクロマトグラフィーのフロースルーを、限外濾過により濃縮する。
【0178】
Dタンパク質を含む限外濾過保持物を、最終的に0.2μm膜に通過させる。
【0179】
大規模調製
収穫された細胞からの抽出およびDタンパク質の精製を、以下のように実施した。収穫された培地を冷却し、約800バールの圧力の高圧ホモジェナイザーに2回直接通過させる。
【0180】
1回目の精製工程においては、細胞培養物ホモジェネートを希釈し、陽イオン交換クロマトグラフィーカラム(SP Sepharose Bigビーズ)にかける。PDはイオン相互作用によりゲルマトリックスに結合し、これを溶出バッファーのイオン強度の段階的増加により溶出させ、濾過する。
【0181】
2回目の精製工程においては、不純物を陰イオン交換マトリックス(Q Sepharose Fast Flow)上に保持させる。PDはゲル上に結合せず、フロースルー中で回収することができる。
【0182】
両カラムクロマトグラフィー工程においては、画分の回収をODによりモニターする。精製されたDタンパク質を含む陰イオン交換カラムクロマトグラフィーのフロースルーを、超遠心により濃縮し、限外濾過により透析濾過する。
【0183】
Dタンパク質を含む限外濾過保持物を、最終的に0.2μm膜に通過させる。
【0184】
実施例1b:PhtDの発現
PhtDタンパク質は、ヒスチジントライアド(HXXHXHモチーフ)の存在を特徴とする肺炎球菌ヒスチジントライアド(Pht)タンパク質ファミリーのメンバーである。PhtDは838アミノ酸の分子であり、5個のヒスチジントライアドを担持する(MedImmune WO 00/37105、アミノ酸配列については配列番号4およびDNA配列については配列番号5を参照)。PhtDはまた、中央(アミノ酸位置348-380)にプロリンに富む領域を含む。PhtDは、LXXCモチーフを有する20アミノ酸のN末端シグナル配列を有する。
【0185】
遺伝子構築物
成熟MedImmune PhtDタンパク質(アミノ酸21〜アミノ酸838)の遺伝子配列を、pλプロモーターを担持する組織内pTCMP14ベクターを用いて、大腸菌に組換え的に導入した。大腸菌宿主株は、cI857温度感受性リプレッサーを担持し、前記プロモーターの熱誘導を可能にするAR58である。
【0186】
ポリメラーゼ連鎖反応を実施して、MedImmuneプラスミド(肺炎連鎖球菌株Norway 4(血清型4)に由来するphtD遺伝子を担持する-WO 00/37105に記載の配列番号5)に由来するphtD遺伝子を増幅させた。phtD遺伝子のみに特異的なプライマーを用いて、2個の断片中でphtD遺伝子を増幅させた。プライマーは、NdeIおよびKpnIまたはKpnIおよびXbaI制限部位を担持する。これらのプライマーは前記ベクターに由来する任意のヌクレオチドにハイブリダイズしないが、phtD特異的遺伝子配列のみにハイブリダイズする。人工ATG開始コドンを、NdeI制限部位を担持する第1プライマーを用いて挿入した。次いで、作製されたPCR産物を、pGEM-Tクローニングベクター(Promega)中に挿入し、DNA配列を確認した。次いで、TCMP14発現ベクター中の断片のサブクローニングを、標準的な技術を用いて実施し、ベクターをAR58大腸菌中に形質転換した。
【0187】
PhtD精製
PhtD精製を以下のように達成する:
・カナマイシンの存在下での大腸菌細胞の増殖:30℃で30時間増殖させた後、39.5℃で18時間誘導する、
・5 mM EDTAおよびプロテアーゼ阻害剤としての2 mM PMSFの存在下、OD±115での全培養物からの大腸菌細胞の破壊:Rannie、2回のパッセージ、1000バール、
・室温(20℃)で拡張ベッドモードのStreamline Q XLクロマトグラフィー上での抗原捕捉および細胞破片の除去;カラムを、150 mM NaCl + 0.25% Empigen pH 6.5で洗浄し、25 mMリン酸カリウムバッファーpH 7.4中の400 mM NaCl + 0.25% Empigenを用いて溶出させる、
・Sartobran 150カートリッジ(0.45 + 0.2μm)上での濾過、
・4℃の5 mMイミダゾールの存在下での、pH 7.4のZn2+キレート化Sepharose FF IMACクロマトグラフィー上での抗原結合;カラムを、両方とも25 mMリン酸カリウムバッファーpH 8.0中の、5 mMイミダゾールおよび1% Empigenで洗浄し、50 mMイミダゾールを用いて溶出させる、
・4℃でpH 8.0(25 mMリン酸カリウム)のFractogel EMD DEAE上、陽性モードでの弱い陰イオン交換クロマトグラフィー;カラムを、140 mM NaClで洗浄し、夾雑物(タンパク質およびDNA)を交換体上に吸着させたまま、200 mM NaClで溶出させる、
・50 kDa膜上、2 mM Na/Kリン酸pH 7.15を用いる濃縮および限外濾過、
・Millipak-20 0.2μmフィルターカートリッジ上での精製バルクの滅菌濾過。
【0188】
実施例1c:ニューモリシンの発現
肺炎球菌ニューモリシンを調製し、WO2004/081515およびWO2006/032499に記載のように解毒した。
【0189】
実施例2:
コンジュゲートの調製
精製された肺炎球菌多糖類を作製する方法は当業界でよく知られている。これらの実施例の目的のために、多糖類を、本質的にはEP072513に記載のように、または密接に関連する方法により作製した。コンジュゲーションの前に、多糖類を以下に記載のように微小流体化によりサイズ縮小することができる。
【0190】
活性化およびカップリング条件は、各多糖類に特異的である。これらを表1に与える。サイズ縮小された多糖類(PS5、6Bおよび23F以外)を、2 M NaCl、0.2 M NaClまたは注入用の水(WFI)に溶解した。最適な多糖類の濃度を、全ての血清型について評価した。血清型18C以外の全ての血清型を、以下に詳述するように担体タンパク質に直接コンジュゲートさせた。2種の代替血清型22Fコンジュゲートを作製した:1種は直接コンジュゲートし、1種はADHリンカーを通してコンジュゲートさせた。
【0191】
アセトニトリルまたはアセトニトリル/水50%/50%溶液中の100 mg/ml保存溶液から、CDAP (CDAP/PS比0.5-1.5 mg/mg PS)を多糖類溶液に添加した。1.5分後、0.2 M〜0.3 M NaOHを添加して、特異的活性化pHを得た。多糖類の活性化を、25℃で3分間、このpHで実施した。精製されたタンパク質(Dタンパク質、PhtD、ニューモリシンまたはDT)(その量は最初のPS/担体タンパク質比に依存する)を、活性化多糖類に添加し、pH調節下で最大2時間(血清型に応じて)、特定のpHでカップリング反応を実施した。未反応のシアン酸エステル基をクエンチするために、2 Mグリシン溶液を混合物に添加した。pHをクエンチ用pH (pH 9.0)に調整した。溶液を25℃で30分間攪拌した後、連続してゆっくり攪拌しながら、2〜8℃で一晩攪拌した。
【0192】
18Cの調製:
18Cを、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して担体タンパク質に連結した。多糖類血清型18Cを、コンジュゲーションの前に微小流体化した。
【0193】
EDACを用いる破傷風トキソイドの誘導体化
破傷風トキソイドの誘導体化のために、精製されたTTを0.2 M NaCl中、25 mg/mlに希釈し、ADHスペーサーを添加して、0.2 Mの最終濃度を達成した。スペーサーの溶解が完了した時、pHを6.2に調整した。次いで、EDAC(1-エチル-3-(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド)を添加して、0.02 Mの最終濃度を達成し、混合物をpH調節下で1時間攪拌した。縮合の反応を、25℃で少なくとも30分間、pHを9.0に増加させることにより停止させた。次いで、誘導体化されたTTを透析濾過(10 kDa CO膜)して、残渣ADHおよびEDAC試薬を除去した。
【0194】
最終的に、TTAHバルクを、カップリング工程まで滅菌濾過し、-70℃で保存した。
【0195】
PS 18CへのTTAHの化学的カップリング
コンジュゲーションパラメーターの詳細を、表1に見出すことができる。
【0196】
2グラムの微小流体化されたPSを、水中で規定の濃度に希釈し、NaCl粉末を添加することにより2 M NaClに調整した。
【0197】
CDAP溶液(50/50 v/vアセトニトリル/WFI中で新鮮に調製された100 mg/ml)を添加して、好適なCDAP/PS比を達成した。
【0198】
0.3 M NaOHの添加により、pHを活性化pH 9.0まで上昇させ、TTAHの添加までこのpHで安定化させた。
【0199】
3分後、誘導体化されたTTAH(0.2 M NaCl中の20 mg/ml)を添加して、TTAH/PS比2を達成した;pHをカップリングpH 9.0に調節した。溶液をpH調節下で1時間静置した。
【0200】
クエンチングのために、2 Mグリシン溶液を、混合物PS/TTAH/CDAPに添加した。
【0201】
pHをクエンチ用pH(pH 9.0)に調整した。
【0202】
溶液を25℃で30分間攪拌した後、連続してゆっくり攪拌しながら、2〜8℃で一晩静置した。
【0203】
PS22FAH-PhtDコンジュゲート
この糖類のための第2のコンジュゲーション方法(第1の方法は表1に示される直接PS22-PhtDコンジュゲーション方法である)においては、22Fを、リンカー(アジピン酸ジヒドラジド(ADH))を介して担体タンパク質に連結した。多糖類血清型22Fを、コンジュゲーション前に微小流体化した。
【0204】
PS 22F誘導体化
活性化およびカップリングを、温度制御された水浴中での連続的攪拌下、25℃で実施する。
【0205】
微小流体化されたPS22Fを希釈して、0.2 M NaCl中、6 mg/mlの最終PS濃度を得て、溶液を0.1 N HClを用いてpH 6.05±0.2に調整した。
【0206】
CDAP溶液(アセトニトリル/WFI、50/50中で新鮮に調製された100 mg/ml)を添加して、好適なCDAP/PS比(1.5/1 w/w)を達成した。
【0207】
0.5 M NaOHの添加により、pHを活性化pH 9.00±0.05まで上昇させ、ADHの添加までこのpHで安定化させた。
【0208】
3分後、ADHを添加して、好適なADH/PS比(8.9/1 w/w)を達成した;pHをカップリングpH 9.0に調節した。溶液を、pH調節下で1時間静置した。
【0209】
PSAH誘導体を濃縮し、透析濾過した。
【0210】
カップリング
0.2 M NaCl中、10 mg/mlのPhtDをPS22FAH誘導体に添加して、4/1(w/w)のPhtD/PS22FAH比を達成した。HClを用いて、pHを5.0±0.05に調整した。EDAC溶液(0.1 M Tris-HCl pH 7.5中の20 mg/ml)を10分のうちに(250μl/分)手動で添加して、1 mg EDAC/mg PS22FAHを達成した。得られた溶液を攪拌およびpH調節下、25℃で150分間(しかし、60分も用いた)、インキュベートした。溶液を、1 M Tris-HCl pH 7.5(最終容量の1/10)の添加により中和し、25℃で30分間静置した。
【0211】
Sephacryl S400HR上で溶出の前に、コンジュゲートを5μm Minisartフィルターを用いて清澄化させた。
【0212】
得られたコンジュゲートは、4.1(w/w)の最終PhtD/PS比、1%未満の遊離PS含量ならびに36.3%の抗原性(α-PS/α-PS)および7.4%の抗PhtD抗原性を有する。
【0213】
コンジュゲートの精製:
コンジュゲートを、0.15 M NaClで平衡化させたSephacryl S400HRゲル濾過カラム(18CについてはS500HR)を用いるゲル濾過により精製して、小分子(DMAPなど)ならびに非コンジュゲート化PSおよびタンパク質を除去した。様々な分子サイズの反応成分に基づいて、PS-PD、PS-TT、PS-PhtD、PS-ニューモリシンまたはPS-DTコンジュゲートを最初に溶出させ、次いでPSを溶出させた後、遊離PDまたは遊離DTならびに最後にDMAPおよび他の塩(NaCl、グリシン)を溶出させた。
【0214】
コンジュゲートを含む画分を、UV280nmにより検出する。画分を、そのKdに従ってプールし、滅菌濾過(0.22μm)し、+2〜8℃で保存する。コンジュゲート調製物中のPS/タンパク質比を決定した。
【0215】
PS肺炎連鎖球菌-Dタンパク質/TT/DT/PhtD/Plyコンジュゲートの特異的活性化/カップリング/クエンチング条件
「微小流体(μfluid)」が列の見出し部にある場合、それは糖類を、コンジュゲーションの前に微小流体化することによりサイズ縮小したことを示す。微小流体化後の糖類のサイズを、表2に与える。
【表1】

【0216】
特性評価:
それぞれのコンジュゲートを特性評価し、表2に記載の仕様を満足させた。多糖類含量(μg/ml)を、Resorcinol検定により測定し、Lowry検定によりタンパク質含量(μg/ml)を測定した。最終PS/PD比(w/w)を、濃度の比により決定する。
【0217】
遊離多糖類含量(%):
4℃で保持するか、または37℃で7日間保存したコンジュゲートの遊離多糖類含量を、α-担体タンパク質抗体および飽和硫酸アンモニウムと共にインキュベートした後に得られた上清上で決定した後、遠心分離した。
【0218】
α-PS/α-PS ELISAを、上清中の遊離多糖類の定量に用いた。また、コンジュゲートの不在を、α-担体タンパク質/α-PS ELISAにより制御した。
【0219】
抗原性:
同じコンジュゲート上の抗原性を、捕捉と抗体の検出が、それぞれα-PSおよびα-タンパク質であるサンドイッチ型ELISAにおいて分析した。
【0220】
遊離タンパク質含量(%):
非コンジュゲート化担体タンパク質を、精製工程の間にコンジュゲートから分離することができる。遊離残渣タンパク質の含量を、サイズ排除クロマトグラフィー(TSK 5000-PWXL)、次いでUV検出(214 nm)を用いて決定した。溶出条件により、遊離担体タンパク質とコンジュゲートの分離が可能になった。次いで、コンジュゲートバルク中の遊離タンパク質含量を、補正曲線(0〜50μg/mlの担体タンパク質)に対して決定した。遊離担体タンパク質(%)を以下のように取得した:遊離担体(%)=(遊離担体(μg/ml)/(Lowryにより測定された対応する担体タンパク質の総濃度(μg/ml)*100%)。
【0221】
安定性:
4℃で保持し、37℃で7日間保存したコンジュゲートについて、分子量分布(Kav)および安定性を、HPLC-SECゲル濾過(TSK 5000-PWXL)上で測定した。
【0222】
10/11/13/14価特性評価を、表2に与える(その下のコメントを参照)。
【0223】
タンパク質コンジュゲートをリン酸アルミニウム上に吸着させ、プールして最終的なワクチンを形成させることができる。
【0224】
結論:
有望なワクチンの成分であると示されたため、免疫原性コンジュゲートを製造した。
【表2】

【0225】
10価ワクチンを、血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fコンジュゲートを混合することにより(例えば、それぞれ、ヒト用量あたり、1、3、1、1、1、1、1、3、3、1μgの糖類の用量で)作製した。11価ワクチンを、表5に由来する血清型3コンジュゲートをさらに添加することにより(例えば、ヒト用量あたり1μgの糖類で)作製した。13価ワクチンを、上記の血清型19Aおよび22Fコンジュゲート(22FについてはPhtDに直接連結するか、またはADHリンカーを介して連結する)をさらに添加することにより[例えば、ヒト用量あたりそれぞれ3μgの糖類の用量で]作製した。14価ワクチンを、上記の血清型6Aコンジュゲートをさらに添加することにより[例えば、ヒト用量あたり1μgの糖類の用量で]作製することができる。
【0226】
実施例3:本発明の免疫原性組成物中へのインフルエンザ菌Dタンパク質の含有が急性中耳炎(AOM)に対する改善された防御を提供することができるという証拠
試験設計
この試験は、インフルエンザ菌に由来するDタンパク質にそれぞれコンジュゲートされた血清型1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19Fおよび23Fを含む11Pn-PDワクチンを用いた(実施例4中の表5を参照)。被験者を2つの群に無作為化して、約3、4、5および12〜15ヶ月齢で、11Pn-PDワクチンまたはHavrixの4種の用量を受容させた。全被験者は、3、4および5ヶ月齢で、GSK Biological' Infanrix-hexa(DTPa-HBV-IPV/Hib)ワクチンを同時に受容した。Infanrix-hexaは、投与前に混合したPediarixおよびHibの組合せである。「プロトコルに従う」分析に関する効率追跡は、3回目のワクチン用量の投与の2週間後に開始し、24〜27ヶ月齢まで継続した。肺炎連鎖球菌およびインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬を、選択されたサブセットの被験者において評価した。
【0227】
両親に、彼らの子供が病気であり、耳の疼痛、鼓膜の自然発生的な穿孔または自然発生的耳漏を有する場合、調査者に相談するように忠告した。調査者がAOMの症状発現を疑った場合、診断の確認のために、子供を耳、鼻および喉(ENT)の専門家にすぐに委ねた。
【0228】
AOMの臨床診断は、鼓膜の視覚的外見(すなわち、発赤、腫れ、光反射の喪失)または中耳液流出の存在(単純な、もしくは空気式耳鏡検査または顕微鏡検査により証明される)に基づいていた。さらに、少なくとも2種の以下の兆候または症候が存在する必要があった:耳の疼痛、耳漏、聴力の喪失、発熱、倦怠感、興奮性、食欲不振、嘔吐、または下痢。ENT専門家が臨床診断を確認した場合、中耳液の標本を細菌学的試験のために鼓室穿刺術により回収した。
【0229】
繰り返して病気を訴えて訪問する被験者については、以前の症状発現の開始以来30日を超える日数が経過していた場合、新しいAOMの臨床診断の症状発現が開始したと考えられた。さらに、AOMの症状発現は、2つの連続した症状発現の間隔がどんなものでも、単離された細菌/血清型が、以前の単離物と異なっていた場合、新しい細菌の症状発現であると考えられた。
【0230】
試験の結果
合計4968人の幼児のうち、2489人は11Pn-PD群に、2479人は対照群に登録した。2つの群の間に、人口学的特性または危険因子における主要な差異はなかった。
【0231】
臨床症状発現およびAOM事例定義
プロトコルあたりの追跡期間の間に、臨床AOMの合計333の症状発現が、11Pn-PD群において記録され、499が対照群において記録された。表3は、AOMの任意の症状発現および異なる肺炎球菌血清型、インフルエンザ菌、NTHiおよびモラクセラ・カタラリスにより引き起こされるAOMに対する、11Pn-PDワクチンおよびフィンランドで以前に試験された両7価ワクチン(Eskolaら、N Engl J Med 2001; 344: 403-409およびKilpiら、Clin Infect Dis 2003 37:1155-64)の防御効率を提供する。11Pn-PDを用いる場合、病因に関係なく、全体のAOM病苦の33.6%の統計学的に有意かつ臨床的に明らかな減少が達成された(表3)。11Pn-PDワクチンに含まれる11種の肺炎球菌血清型のいずれかに起因するAOM症状発現に対する全体の効率は57.6%であった(表3)。
【0232】
現在の試験における別の重要な知見は、インフルエンザ菌により引き起こされるAOMに対して11Pn-PDワクチンにより提供される35.6%の防御(および特に、NTHiにより提供される35.3%の防御)である。この知見は、肺炎球菌コンジュゲートワクチン時代におけるAOMの主要な原因としてインフルエンザ菌の重要性の増加を与えた、主に臨床的に有意なものである。AOMに対して提供された防御と一致して、11Pn-PDワクチンも、人生の2回目の年における追加用量後のインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬を低下させた。これらの知見は、両7価肺炎球菌コンジュゲートワクチンについて、インフルエンザ菌に起因するAOM症状発現の増加が、病因置換の証拠として観察されたフィンランドにおける以前の観察(Eskolaら、およびKilpiら)とは対照的である。
【0233】
Hi AOM症状発現のないままであった、11Pn-PDワクチン非接種者における初回免疫後の抗PD IgG抗体濃度は、効率追跡期間中に少なくとも1種のHi AOM症状発現を生じた11Pn-PDワクチン非接種者において測定された初回免疫後の抗PD IgG抗体レベルと本質的に同じであったため、Hiに起因するAOM症状発現に対する防御と、担体Dタンパク質に対する抗体レベルとの間の明確な相関を確立することができなかった。しかしながら、前記ワクチンの生物学的影響と、初回免疫後のIgG抗PD免疫原性との間に相関を確立することができなかったが、インフルエンザ菌株間で高度に保存されているPD担体タンパク質が、Hiに対する防御の誘導にかなりの程度まで寄与したと仮定することが合理的である。
【0234】
AOM疾患に対する効果は、ワクチン血清型肺炎球菌およびインフルエンザ菌と同様の規模である鼻咽頭運搬に対する効果と同時に起こった(図1)。PD-コンジュゲートワクチン非接種者におけるインフルエンザ菌の鼻咽頭運搬のこの減少は、防御効率をELISAにより測定される抗PD IgG免疫応答と相関させることができなかった場合でも、インフルエンザ菌に対するPD-コンジュゲートワクチンの直接防御効果の仮説を支持する。
【0235】
以下の実験においては、この実施例の11価製剤または実施例2の10価ワクチンで免疫した幼児から得た血清プールと共に、チンチラ中耳炎モデルを用いた(表1および表2ならびにその下のコメントを参照)。両プールは、免疫前の血清プールに対して、中耳炎を有する動物の割合の有意な低下を誘導する。10価と11価免疫プールの間には有意差はない。これは、両ワクチンが、このモデルにおいて非分類型インフルエンザ菌により引き起こされた中耳炎に対する防御を誘導する同様の能力を有することを示している。
【表3】

【0236】
実施例4:
血清型19Fに関する担体タンパク質の選択
用いたELISAアッセイ
22F阻害ELISA方法は、本質的にはConcepcionおよびFraschにより2001年に提唱され、Henckaertsら、2006, Clinical and Vaccine Immunology 13:356-360により報告されたアッセイに基づいていた。簡単に述べると、精製された肺炎球菌多糖類を、メチル化ヒト血清アルブミンと混合し、Nunc Maxisorp(商標)(Roskilde, DK)高結合マイクロタイタープレート上に4℃で一晩吸着させた。プレートを、攪拌しながら室温で1時間、PBS中の10%ウシ胎仔血清(FBS)でブロックした。血清サンプルを、10%FBS、10μg/mL細胞壁多糖類(SSI)および2μg/mLの血清型22Fの肺炎球菌多糖類(ATCC)を含むPBS中に希釈し、同じバッファーを用いてマイクロタイタープレート上でさらに希釈した。89-SF中の血清型特異的IgG濃度を用いて、標準的な血清89-SFに対して補正された内部対照を、同じ方法で処理し、全てのプレートに含有させた。洗浄した後、結合した抗体を、10%FBS(PBS中)中に希釈したペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgGモノクローナル抗体(Stratech Scientific Ltd., Soham, UK)を用いて検出し、攪拌しながら室温で1時間インキュベートした。室温で暗室中、即時使用可能な単一成分テトラメチルベンジンペルオキシダーゼ酵素免疫アッセイ基質キット(BioRad, Hercules, CA, US)を用いて、発色させた。0.18 M H2SO4を用いて反応を停止させ、450 nmで光密度を読み取った。サンプル中の血清型特異的IgG濃度(μg/mL)を、規定の限界内の光密度点を、SoftMax Pro(商標)(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)ソフトウェアを用いて算出された4パラメーターの論理的ログ方程式によりモデル化された内部参照血清曲線に照会することにより算出した。ELISAに関するカットオフは、検出の限界および定量の限界を考慮に入れて、全血清型について0.05μg/mLであった。
【0237】
オプソニン食作用アッセイ
2003年6月のWHO会議で、Romero-Steinerら、Clin Diagn Lab Immunol 2003 10 (6): pp1019-1024に記載のOPAアッセイを使用することが推奨された。このプロトコルを用いて、以下の試験において血清型のOPA活性を試験した。
【0238】
コンジュゲートの調製
試験11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007においては、Dタンパク質にコンジュゲートさせた1μgの多糖類(19F-PD)の代わりに、3μgの19F多糖類をジフテリアトキソイド(19F-DT)にコンジュゲートさせた3種の11価ワクチン製剤(表4)を含有させた。試験11Pn-PD、11Pn-PD&Di-001および11Pn-PD&Di-007のためのコンジュゲーションパラメーターを、それぞれ表5、6および7に開示する。
【0239】
これらの19F-DT製剤を用いる初回ワクチン接種の1ヶ月後の血清型19Fに対する抗肺炎球菌抗体応答およびOPA活性を、それぞれ表8および9に示す。表10は、22F-ELISA抗体濃度および23価プレーン多糖類追加ワクチン接種の前後に0.2μg/mL閾値に達する被験者の割合を示す。初回ワクチン接種の1ヶ月後の、より高い血清陽性率(オプソニン食作用力価≧1:8)およびOPA GMTにより証明されるように、これらの19F-DT製剤を用いる場合に誘導される抗体について、オプソニン食作用活性が明らかに改善されることが示された(表9)。23価プレーン多糖類追加ワクチン接種の1ヶ月後に、19F抗体のオプソニン食作用活性は、19F-DT製剤を初回接種された子供について、有意に良好なままであった(表11)。
【0240】
表12は、Prevnar(登録商標)の4回目の連続用量と比較した、19F-DTまたは19F-PDコンジュゲートを以前に初回接種された幼児における11Pn-PD追加用量後の免疫原性データを提供する。米国におけるPrevnar(登録商標)の導入後に報告された成功事例を考えれば、DT担体タンパク質にコンジュゲートされた場合、血清型19Fに対する改善されたオプソニン食作用活性は、候補ワクチンにとって利点であってよい。
【0241】
表13は、交叉反応血清型19Aに関する19F-DTコンジュゲートについてのELISAおよびOPAデータを提供する。19F-DTは、19Aに対する低いが有意なOPA活性を誘導することがわかった。
【表4】

【0242】
【表5】

【0243】
【表6】

【0244】
【表7】

【0245】
【表8】

【0246】
【表9】

【0247】
【表10】

【0248】
【表11】

【0249】
【表12】

【0250】
【表13】

【0251】
実施例5:前臨床モデルにおけるアジュバント実験:高齢アカゲザルにおける肺炎球菌11価多糖類コンジュゲートの免疫原性に対する影響
高齢集団においてコンジュゲート肺炎球菌ワクチンに対して引き出された応答を最適化するために、GSKは新規アジュバント(アジュバントC)を用いて11価多糖類(PS)コンジュゲートワクチンを製剤化した(以下を参照)。
【0252】
5匹の高齢アカゲザルの群(14〜28歳)を、315μgのAlPO4上に吸着させた11価PSコンジュゲートまたはアジュバントCと混合した11価PSコンジュゲート500μlを用いて、0日目および28日目に筋肉内(IM)的に免疫した。
【0253】
両ワクチン製剤においては、11価PSコンジュゲートはそれぞれ、以下のコンジュゲートPS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-PD、PS19F-PD、PS23F-DTおよびPS6B-DTから構成されていた。用いたワクチンは、19Fを以下のCDAPプロセス条件:9 mg/mlのサイズ縮小された糖類、5 mg/mlのPD、1.2/1の最初のPD/PS比、0.75 mg/mg PSのCDAP濃度、pHa=pHc=pHq 9.0/9.0/9.0および60分間のカップリング時間に従って作製した以外は、表6の条件(実施例4)に従ってコンジュゲートされた1/5用量のヒト用量のワクチン(6Bについて以外はヒト用量あたり5μgの各糖類[10μg])であった。
【0254】
抗PS ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収した血清中で測定した。抗PS3記憶B細胞頻度を、42日目に回収された末梢血細胞に由来するElispotにより測定した。
【0255】
以下に示される結果に従えば、アジュバントCは高齢のサルにおいてAlPO4を含むコンジュゲートに対して11価PSコンジュゲートの免疫原性を有意に改善した。この新規アジュバントは、PSに対するIgG応答(図1)およびオプソニン食作用抗体力価(表14)を増強した。また、PS3特異的記憶B細胞の頻度が、アジュバントCの使用により増加するという支持的な証拠もあった(図2)。
【表14】

【0256】
B細胞Elispot
このアッセイの原理は、CpGと共に5日間培養した後、記憶B細胞がin vitroで形質細胞に成熟するという事実に依存する。in vitroで生成された抗原特異的形質細胞を容易に検出し、従って、B細胞elispotアッセイを用いて数えることができる。特異的形質細胞の数は、培養の開始時の記憶B細胞の頻度を反映する。
【0257】
簡単に述べると、in vitroで生成された形質細胞を、抗原で被覆された培養プレート中でインキュベートする。抗原特異的形質細胞は、抗体/抗原スポットを形成し、これを従来の免疫酵素手順により検出し、記憶B細胞として数える。本発明の試験においては、多糖類を用いて培養プレートを被覆して、それぞれの記憶B細胞を数えた。結果を、100万個の記憶B細胞内のPS特異的記憶B細胞の頻度として表す。
【0258】
この試験は、アジュバントCがPS3追加可能性の既知の問題を軽減することができることを示している(5th International Symposium on Pneumococci and Pneumococcal Diseases, April 2-6 2006, Alice Springs, Central Australia, Specificities of immune responses against a serotype 3 pneumococcal conjugate. Schuerman L, Prymula R, Poolman J. Abstract book p 245, PO10.06を参照)。
【0259】
実施例6:若いBalb/cマウスにおけるPS 19Fの免疫原性を増強するためのタンパク質担体としての解毒されたニューモリシン(dPly)の有効性
40匹のメスのBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、4価プレーンPSまたは4価dPlyコンジュゲート化PSの50μlを用いて、0、14および28日目にIMで免疫した。
【0260】
両ワクチン製剤は、0.1μg(糖類の量)のそれぞれの以下のPS:PS8、PS12F、PS19FおよびPS22Fから構成されていた。
【0261】
抗PS ELISA IgGレベルを、42日目に回収した血清中で測定した。
【0262】
図3において例として示される抗PS19F応答は、プレーンPSで免疫したマウスと比較して、4価dPlyコンジュゲートを与えたマウスにおいて強力に増強された。同じ改善が、抗PS8、12Fおよび22F IgG応答についても観察された(データは示さない)。
【0263】
実施例7:若いBalb/cマウスにおけるPS 22Fの免疫原性を増強するためのタンパク質担体としての肺炎球菌ヒスチジントライアドDタンパク質(PhtD)の有効性
40匹のメスのBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、4価プレーンPSまたは4価PhtDコンジュゲート化PSの50μlを用いて、0、14および28日目にIMで免疫した。
【0264】
両ワクチン製剤は、0.1μg(糖類の量)のそれぞれの以下のPS:PS8、PS12F、PS19FおよびPS22Fから構成されていた。
【0265】
抗PS ELISA IgGレベルを、42日目に回収した血清中で測定した。
【0266】
図4において例として示される抗PS22F応答は、プレーンPSで免疫したマウスと比較して、4価PhtDコンジュゲートを与えたマウスにおいて強力に増強された。同じ改善が、抗PS8、12Fおよび19F IgG応答についても観察された(データは示さない)。
【0267】
実施例8:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの高齢C57Blマウスにおける免疫原性
30匹の高齢C57Blマウス(69週齢を超える)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートの50μlを用いて、0、14および28日目にIMで免疫した(以下を参照)。
【0268】
11価ワクチン製剤は、0.1μgのそれぞれの以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDから構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに対するコメントを参照)。13価ワクチン製剤はさらに、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに対するコメントを参照[直接コンジュゲートされた22F])。群2および4においては、ニューモリシン担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fをコンジュゲートさせ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに、22FをDタンパク質にコンジュゲートさせた。抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、42日目に回収された個々の血清において測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールした血清中で測定した。13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、高齢C57Blマウスにおいて免疫原性であることが示された(表15)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫したものと比較して、13価製剤を与えたマウスにおいて負の影響を受けなかった。
【表15】

【0269】
実施例9:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートの若いBalb/cマウスにおける免疫原性
30匹のBalb/cマウス(4週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートの50μlで0、14および28日目にIMで免疫した(以下を参照)。
【0270】
11価ワクチン製剤は、0.1μg糖類のそれぞれの以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDから構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに対するコメントを参照)。13価ワクチン製剤はさらに、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに対するコメントを参照[直接コンジュゲートされた22F])。群2および4においては、ニューモリシン担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fをコンジュゲートさせ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに、22FをDタンパク質にコンジュゲートさせた。抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、42日目に回収された個々の血清において測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールした血清中で測定した。13価コンジュゲートワクチン製剤内で投与された19A-dPlyおよび22F-PhtDは、若いBalb/cマウスにおいて免疫原性であることが示された(表16)。他のPSに対して誘導された免疫応答は、11価製剤で免疫したものと比較して、13価製剤を与えたマウスにおいて負の影響を受けなかった。
【表16】

【0271】
実施例10:19A-dPlyおよび22F-PhtDを含む13価PSコンジュゲートのモルモットにおける免疫原性
20匹の若いモルモット(Hartley株;5週齢)の群を、両方ともアジュバントCと混合した、11価PSコンジュゲートまたは13価PSコンジュゲートの125μlで0、14および28日目にIMで免疫した(以下を参照)。
【0272】
11価ワクチン製剤は、0.25μg糖類のそれぞれの以下のコンジュゲート:PS1-PD、PS3-PD、PS4-PD、PS5-PD、PS6B-PD、PS7F-PD、PS9V-PD、PS14-PD、PS18C-TT、PS19F-DTおよびPS23F-PDから構成されていた(表1および表2の下で考察された11価ワクチンに対するコメントを参照)。13価ワクチン製剤はさらに、0.1μgのPS19A-dPlyおよびPS22F-PhtDコンジュゲートを含んでいた(表1および表2の下で考察された13価ワクチンに対するコメントを参照[直接コンジュゲートされた22F])。群2および4においては、ニューモリシン担体をGMBS処理を用いて解毒し、群3および5においては、それをホルムアルデヒドを用いて行った。群2および3においては、PhtDを用いてPS 22Fをコンジュゲートさせ、群4および5においては、PhtD_E融合物(WO 03/054007に由来する構築物VP147)を用いた。群6においては、19Aをジフテリアトキソイドに、22FをDタンパク質にコンジュゲートさせた。抗PS19Aおよび22F ELISA IgGレベルを、42日目に回収された個々の血清において測定した。他のPSに対して生成されたELISA IgG応答を、プールした血清中で測定した。
【表17】

【0273】
実施例11:作製および試験する製剤
a)以下の製剤を作製する(表1に由来する13価ワクチンおよび表5に由来する血清型3を用いる-表2の下で考察された14価ワクチンに対するコメントを参照[直接またはADHリンカーを介してコンジュゲートされた22Fを用いる])。糖類を、以下に示すようなリン酸アルミニウムおよび3D-MPLと共に製剤化する。
【0274】

【0275】
b)同じ糖類製剤を、以下のアジュバントのそれぞれを用いてアジュバント化する:
以下の表においては、500μl用量あたりの乳濁液成分の濃度を示す。
【0276】

【0277】
c)また、糖類を2種のリポソームに基づくアジュバントと共に製剤化する:
アジュバントB1の組成
定性定量(0.5 mL用量あたり)
リポソーム:
DOPC 1 mg
コレステロール0.25 mg
3DMPL 50μg
QS21 50μg
KH2PO4 13.124 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.290 mgバッファー
NaCl 2.922 mg
(100 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH6.1
1.総PO4濃度=50 mM
アジュバントB2の組成
定性定量(0.5 mL用量あたり)
リポソーム:
DOPC 0.5 mg
コレステロール0.125 mg
3DMPL 25μg
QS21 25μg
KH2PO4 13.124 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.290 mgバッファー
NaCl 2.922 mg
(100 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH6.1
【0278】
d)また、糖類をアジュバントCと共に製剤化する(このアジュバントを用いた他の組成物については上記を参照)
定性定量(0.5 mL用量あたり)
水中油型乳濁液:50μl
スクアレン2.136 mg
α-トコフェロール2.372 mg
Tween 80 0.97 mg
コレステロール0.1 mg
3DMPL 50μg
QS21 50μg
KH2PO4 10.470 mgバッファー
Na2HPO4 1 0.219 mgバッファー
NaCl 4.003 mg
(137 mM)
KCl 0.101 mg
(2.7 mM)
WFI q.s. ad 0.5 ml溶媒
pH6.8
【0279】
実施例12:Balb/cマウスにおける22F-PhtDコンジュゲート免疫原性に対するコンジュゲーション化学の影響
30匹のメスのBalb/cマウスの群を、PS 1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23F(用量:PS 4、18C、19A、19Fおよび22Fについては0.3μg糖類/コンジュゲートならびに他のPSについては0.1μg糖類/コンジュゲート)を含む13価PS製剤を用いて0、14および28日目に筋肉内(IM)経路により免疫した。
【0280】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、19Aをホルモル解毒されたPlyに、22FをPhtDに、および他のPSをPDにコンジュゲートさせた。
【0281】
直接的CDAP化学または22F-AH-PhtD (ADH-誘導体化されたPS)により調製された22F-PhtDから構成された2つの製剤を比較した。直接またはADHスペーサーを介してコンジュゲートされた22Fを用いて作製された13価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下のコメントを参照されたい。このワクチン製剤に、アジュバントCを補給した。
【0282】
抗PS22F ELISA IgGレベルおよびオプソニン食作用力価を、42日目に回収した血清中で測定した。
【0283】
22F-AH-PhtDは、IgGレベル(図5)およびオプソニン食作用力価(図6)の両方の点で22F-PhtDよりも免疫原性が高いことが示された。
【0284】
実施例13:肺炎連鎖球菌莢膜多糖類コンジュゲートの免疫原性に対する新規アジュバントの影響
40匹のメスのBalb/cマウスの群を、PS 1、3、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22Fおよび23F(用量:PS 4、18C、19A、19Fおよび22Fについては0.3μg/コンジュゲートならびに他のPSについては0.1μg/コンジュゲート)を含む13価PS製剤を用いて、0、14および28日目にIM経路により免疫した。
【0285】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、19Aをホルモル解毒されたPlyに、22FをPhtDに、および他のPSをPDにコンジュゲートさせた。直接コンジュゲートされた22Fを用いて作製された13価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下のコメントを参照されたい。
【0286】
AlPO4、アジュバントA1、アジュバントA4またはアジュバントA5を補給した4種の製剤を比較した。
【0287】
抗PS、Ply、PhtDおよびPD ELISA IgGレベルを、42日目に回収された血清中で測定し、1群あたりプールした。各抗原につき、以下の比率を算出した:試験した新規アジュバントを用いて誘導されたIgGレベル/AlPO4を用いて誘導されたIgGレベル。
【0288】
試験した全ての新規アジュバントは、古典的なAlPO4製剤と比較して、13価コンジュゲートに対する免疫応答を少なくとも2倍改善した(図7)。
【0289】
実施例14:肺炎球菌サル肺炎モデルにおけるPhtD/解毒Plyコンボの防御効率
最も低い予め存在する抗19F抗体レベルを有するものとして選択された、6匹のアカゲザル(3〜8年齢)の群を、11価PSコンジュゲート(すなわち、1μgのPS 1、3、5、6B、7F、9V、14および23F、ならびに3μgのPS 4、18Cおよび19F[糖類の])またはPhtD(10μg)+ホルモル解毒されたPly(10μg)もしくはアジュバントのみを用いて、0および28日目に筋肉内的に免疫した。
【0290】
PS 18Cを破傷風トキソイドに、19Fをジフテリアトキソイドに、および他のPSをPDにコンジュゲートさせた。11価ワクチンの特徴については、実施例2、表1および表2の下のコメントを参照されたい。全ての製剤にアジュバントCを補給した。
【0291】
19F型肺炎球菌(5.108 cfu)を、42日目に右肺に接種した。チャレンジ後1、3および7日目に回収された気管支肺胞洗浄中でコロニーを計数した。結果を、死亡した、肺コロニー形成した、またはチャレンジ後7日目に消失した1群あたりの動物の数として表した。
【0292】
図8に示されるように、アジュバントのみの群と比較して、11価コンジュゲートおよびPhtD+dPlyコンボ(p<0.12、Fisher Exact検定)を用いる場合に、統計学的有意差に近い良好な防御(用いた動物の数が少ないにも関わらず)が得られた。
【0293】
実施例15:22F-PhtDコンジュゲートにより誘導された4型チャレンジに対する抗PhtD抗体応答および防御効率に対するコンジュゲーション化学の影響
20匹のメスのOF1マウスの群を、3μgの22F-PhtD(直接的CDAP化学により調製する)もしくは22F-AH-PhtD (ADH誘導体化されたPS)、またはアジュバントのみを用いて、0および14日目に筋肉内経路により免疫した。両方の一価22Fコンジュゲートを、実施例2のプロセスにより作製した(表1および表2も参照)。各製剤にアジュバントCを補給した。
【0294】
抗PhtD ELISA IgGレベルを、27日目に回収された血清中で測定した。
【0295】
マウスを、28日目に5.106 cfuの4型肺炎球菌(すなわち、試験したワクチン製剤中に存在するPSにより潜在的にカバーされない肺炎球菌血清型)を用いて鼻内的にチャレンジした。チャレンジ後8日目まで誘導される死亡率をモニターした。
【0296】
22F-AH-PhtDは、22F-PhtDよりも、4型チャレンジに対する有意に高い抗PhtD IgG応答およびより良好な防御を誘導した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
19Aを第1の細菌トキソイドにコンジュゲートさせ、19Fを第2の細菌トキソイドにコンジュゲートさせる、血清型19Aおよび19Fに由来する肺炎連鎖球菌莢膜糖類コンジュゲートを含む免疫原性組成物。
【請求項2】
第1の細菌トキソイドが、第2の細菌毒素と異なるタンパク質である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
第1の細菌トキソイドを、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、百日咳トキソイド、細菌細胞溶解素およびニューモリシンからなる群より選択する、請求項1または2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
第2の細菌トキソイドを、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、百日咳トキソイド、細菌細胞溶解素およびニューモリシンからなる群より選択する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
第1の細菌トキソイドがニューモリシンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
第2の細菌トキソイドがジフテリアトキソイドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
肺炎連鎖球菌莢膜糖類4、6B、9V、14、18Cおよび23Fのコンジュゲートをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
肺炎連鎖球菌莢膜糖類1、5および7Fのコンジュゲートをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
肺炎連鎖球菌莢膜糖類22Fのコンジュゲートをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
肺炎連鎖球菌莢膜糖類3コンジュゲートをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
肺炎連鎖球菌莢膜糖類6Aコンジュゲートをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
2種の異なる担体タンパク質を、少なくとも2種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートさせる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
3種の異なる担体タンパク質を、少なくとも3種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートさせる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
4種の異なる担体タンパク質を、少なくとも4種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートさせる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
5種の異なる担体タンパク質を、少なくとも5種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートさせる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
以下の一覧:破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ニューモリシン、Dタンパク質およびPhtDまたはその融合タンパク質から選択される2種以上の担体タンパク質を含む、請求項15に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類1を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
Dタンパク質、ニューモリシンもしくはPhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類3を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類4を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類5を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類6Bを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類7Fを含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類9Vを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類14を含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
Dタンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類23Fを含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
破傷風トキソイドにコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類18Cを含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
ニューモリシンにコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類19Aを含む、請求項1〜26のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
PhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類22Fを含む、請求項1〜27のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
ニューモリシンもしくはインフルエンザ菌タンパク質、必要に応じて、Dタンパク質もしくはPhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートさせた肺炎連鎖球菌莢膜糖類6Aを含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
19A莢膜糖類を、担体タンパク質に直接コンジュゲートさせる、請求項1〜29のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
19A莢膜糖類を、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる、請求項1〜29のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
リンカーがADHである、請求項31に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
リンカーを、必要に応じてEDACを用いて、カルボジイミド化合物により担体タンパク質に結合させる、請求項31または32に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
19A糖類を、CDAP化合物を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項30〜33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
担体タンパク質と19A糖類の比率が、5:1〜1:5、4:1〜1:1または3.5:1〜2.5:1(w/w)である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
19F莢膜糖類を、担体タンパク質に直接コンジュゲートさせる、請求項1〜35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
19F莢膜糖類を、リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる、請求項1〜35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
リンカーがADHである、請求項37に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
リンカーを、必要に応じてEDACを用いて、カルボジイミド化合物により担体タンパク質に結合させる、請求項37または38に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
19F糖類を、CDAP化合物を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項36〜39のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項41】
担体タンパク質と19F糖類の比率が、5:1〜1:5、4:1〜1:1または2:1〜1:1(w/w)である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
担体タンパク質に直接コンジュゲートされた22F莢膜糖類を含む、請求項1〜41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた22F莢膜糖類を含む、請求項1〜41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項44】
リンカーがADHである、請求項43に記載の免疫原性組成物。
【請求項45】
リンカーを、必要に応じてEDACを用いて、カルボジイミド化合物により担体タンパク質に結合させる、請求項43または44に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
22F糖類を、CDAP化合物を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートさせる、請求項42〜45のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項47】
担体タンパク質と22F糖類の比率が、5:1〜1:5、4:1〜1:1または2:1〜1:1(w/w)である、請求項1〜46のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項48】
19A糖類の平均サイズが100 kDaを超える、請求項1〜47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項49】
19A糖類の平均サイズが、110〜700 kDa、110〜300、120〜200、130〜180、または140〜160 kDaである、請求項48に記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
19A糖類が天然多糖類であるか、または5倍以下にサイズ縮小される、請求項48または49に記載の免疫原性組成物。
【請求項51】
19A糖類が微小流体化によりサイズ縮小された、請求項48、49または50に記載の免疫原性組成物。
【請求項52】
19A糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類である、請求項1〜51のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項53】
19A糖類コンジュゲートの用量が3μgの糖類である、請求項52に記載の免疫原性組成物。
【請求項54】
22F糖類の平均サイズが100 kDaを超える、22F糖類コンジュゲートを含む、請求項1〜53のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項55】
22F糖類の平均サイズが110〜700 kDa、110〜300、120〜200、130〜180、または150〜170 kDaである、請求項54に記載の免疫原性組成物。
【請求項56】
22F糖類が天然多糖類であるか、または5倍以下にサイズ縮小される、請求項54または55に記載の免疫原性組成物。
【請求項57】
22F糖類が微小流体化によりサイズ縮小された、請求項54、55または56に記載の免疫原性組成物。
【請求項58】
22F糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類である、22F糖類コンジュゲートを含む、請求項1〜57のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項59】
22F糖類コンジュゲートの用量が3μgの糖類である、請求項58に記載の免疫原性組成物。
【請求項60】
糖類の平均サイズが50 kDaを超える、請求項1〜59のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項61】
300〜400 kDaの平均糖類サイズを有する血清型1を含む、請求項60に記載の免疫原性組成物。
【請求項62】
75〜125 kDaの平均糖類サイズを有する血清型4を含む、請求項60または61に記載の免疫原性組成物。
【請求項63】
350〜450 kDaの平均糖類サイズを有する血清型5を含む、請求項60、61または62に記載の免疫原性組成物。
【請求項64】
1000〜1400 kDaの平均糖類サイズを有する血清型6Bを含む、請求項60〜63のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項65】
200〜300 kDaの平均糖類サイズを有する血清型7Fを含む、請求項60〜64のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項66】
250〜300 kDaの平均糖類サイズを有する血清型9Vを含む、請求項60〜65のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項67】
200〜250 kDaの平均糖類サイズを有する血清型14を含む、請求項60〜66のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項68】
900〜1000 kDaの平均糖類サイズを有する血清型23Fを含む、請求項60〜67のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項69】
天然糖類として血清型5、6Bおよび23F(ならびに必要に応じて6A)を含む、請求項1〜68のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項70】
莢膜糖類コンジュゲートの用量が、コンジュゲートあたり1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類である、請求項1〜69のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項71】
コンジュゲートあたり3μgの糖類の用量で血清型4、18C、19Fおよび22F(ならびに必要に応じて19A)のコンジュゲートを含む、請求項1〜70のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項72】
コンジュゲートあたり1μgの糖類の用量で血清型1、5、6B、7F、9V、14および23F(ならびに必要に応じて6Aおよび/または3)のコンジュゲートを含む、請求項1〜71のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項73】
コンジュゲート化および非コンジュゲート化糖類血清型の数が23以下であるように、コンジュゲートされたものとは異なる血清型の非コンジュゲート化肺炎連鎖球菌糖類をさらに含む、請求項1〜72のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項74】
1種以上の非コンジュゲート化またはコンジュゲート化肺炎連鎖球菌タンパク質をさらに含む、請求項1〜73のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項75】
1種以上の非コンジュゲート化肺炎連鎖球菌タンパク質を含む、請求項74に記載の免疫原性組成物。
【請求項76】
1種以上の肺炎連鎖球菌タンパク質を、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート-LytXトランケートキメラタンパク質、解毒されたニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133から選択する、請求項74または75に記載の免疫原性組成物。
【請求項77】
ニューモリシンを含む、請求項74、75または76に記載の免疫原性組成物。
【請求項78】
PhtXタンパク質を含む、請求項74〜77のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項79】
遊離または担体タンパク質としてニューモリシンを含む、請求項1〜78のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項80】
遊離または担体タンパク質としてPhtXタンパク質を含む、請求項1〜79のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項81】
PhtXタンパク質がPhtDまたはPhtBDまたはPhtDE融合タンパク質である、請求項80に記載の免疫原性組成物。
【請求項82】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜81のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項83】
アジュバントがリポソーム担体を含む、請求項82に記載の免疫原性組成物。
【請求項84】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.1〜10 mg、0.2〜7、0.3〜5、0.4〜2、または0.5〜1 mg(例えば、0.4〜0.6、0.9〜1.1、0.5または1 mg)のリン脂質(例えば、DOPC)を含む、請求項83に記載の免疫原性組成物。
【請求項85】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)を含む、請求項83または84に記載の免疫原性組成物。
【請求項86】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項83〜85のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項87】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む、請求項83〜86のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項88】
アジュバントが水中油型乳濁液を含む、請求項82に記載の免疫原性組成物。
【請求項89】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.5〜15、1〜13、2〜11、4〜8、または5〜6 mg(例えば、2〜3、5〜6、または10〜11 mg)の代謝可能な油(スクアレンなど)を含む、請求項88に記載の免疫原性組成物。
【請求項90】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.1〜10、0.3〜8、0.6〜6、0.9〜5、1〜4、または2〜3 mg(例えば、0.9〜1.1、2〜3または4〜5 mg)の乳化剤(Tween 80など)を含む、請求項88または89に記載の免疫原性組成物。
【請求項91】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.5〜20、1〜15、2〜12、4〜10、5〜7 mg(例えば、11〜13、5〜6、または2〜3 mg)のトコール(α-トコフェロールなど)を含む、請求項88〜90のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項92】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項88〜91のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項93】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)0.025〜2.5、0.05〜1.5、0.075〜0.75、0.1〜0.3、または0.125〜0.25 mg(例えば、0.2〜0.3、0.1〜0.15、0.25または0.125 mg)のステロール(例えば、コレステロール)を含む、請求項88〜92のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項94】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のサポニン(例えば、QS21)を含む、請求項88〜93のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項95】
アジュバントが金属塩およびリピドA誘導体を含む、請求項82に記載の免疫原性組成物。
【請求項96】
アジュバントが、リン酸アルミニウムとして(0.5 mL用量あたり)100〜750、200〜500、または300〜400μgのAlを含む、請求項95に記載の免疫原性組成物。
【請求項97】
アジュバントが(0.5 mL用量あたり)5〜60、10〜50、または20〜30μg(例えば、5〜15、40〜50、10、20、30、40または50μg)のリピドA誘導体(例えば、3D-MPL)を含む、請求項95または96に記載の免疫原性組成物。
【請求項98】
PhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも、または正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または13種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項99】
ニューモリシンにコンジュゲートされた少なくとも、または正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または13種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む、請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項100】
請求項1〜97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含み、同時または連続的投与のための、請求項83〜99のいずれか1項に定義されたアジュバントをさらに含む、ワクチンキット。
【請求項101】
請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と製薬上許容し得る賦形剤を含むワクチン。
【請求項102】
請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物と、製薬上許容し得る賦形剤とを混合する工程を含む、請求項101に記載のワクチンの製造方法。
【請求項103】
免疫保護用量の請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項101に記載のワクチンをヒト宿主に投与することを含む、肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患に対して該宿主を免疫する方法。
【請求項104】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が肺炎もしくは侵襲的肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
ヒト宿主が高齢者であり、疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の再燃である、請求項103または104に記載の方法。
【請求項106】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が中耳炎である、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が髄膜炎および/または菌血症である、請求項103または106に記載の方法。
【請求項108】
ヒト宿主が幼児であり、疾患が肺炎および/または結膜炎である、請求項103、106または107に記載の方法。
【請求項109】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための、請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項101に記載のワクチン。
【請求項110】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における、請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物もしくはワクチンまたは請求項101に記載のワクチンの使用。
【請求項111】
疾患がヒト高齢者の肺炎もしくは侵襲的肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項110に記載の使用。
【請求項112】
疾患がヒト高齢者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の再燃である、請求項110または111に記載の使用。
【請求項113】
疾患がヒト幼児の中耳炎である、請求項110に記載の使用。
【請求項114】
疾患がヒト幼児の髄膜炎および/または菌血症である、請求項110または113に記載の使用。
【請求項115】
疾患がヒト幼児の肺炎および/または結膜炎である、請求項110、113または114に記載の使用。
【請求項116】
別々の成分、もしくは混合成分として、(i)請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物もしくはワクチンおよび(ii)Dタンパク質が遊離のものおよび/もしくはコンジュゲートされたものであってよいインフルエンザ菌に由来するDタンパク質を連続的もしくは同時に投与することを含む、中耳炎に対する防御免疫応答を幼児において引き出す方法。
【請求項117】
請求項1〜116のいずれか1項に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することにより、肺炎連鎖球菌に対する防御免疫応答を幼児において引き出す方法。
【請求項118】
組み合わせて、連続的に、または同時に、(i)請求項1〜117のいずれか1項に記載の免疫原性組成物もしくはワクチン、(ii)PhtXファミリーおよびニューモリシンからなる群より選択される1種以上の肺炎連鎖球菌表面タンパク質を投与することにより、肺炎連鎖球菌に対する防御免疫応答を高齢者において引き出す方法。
【請求項119】
少なくとも以下の血清型の全部:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fから誘導された糖類コンジュゲートを含み、1種以上のワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項1〜99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物または請求項101に記載のワクチン。
【請求項120】
血清型4に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119に記載の免疫原性組成物。
【請求項121】
血清型6Bに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119または120に記載の免疫原性組成物。
【請求項122】
血清型9Vに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119〜121のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項123】
血清型14に対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119〜122のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項124】
血清型18Cに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119〜123のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項125】
血清型19Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119〜124のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項126】
血清型23Fに対して誘導されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar (登録商標)ワクチンにより誘導されたものよりも有意に低くない、請求項119〜125のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項127】
血清型3糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜126のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項128】
血清型6A糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜127のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項129】
血清型19A糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜128のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項130】
血清型22F糖類コンジュゲートを含む、請求項119〜129のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項131】
結晶性バルキング剤、必要に応じて、マンニトールを含む、請求項119〜130のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項132】
糖類、必要に応じて、スクロースを含む、請求項131に記載の免疫原性組成物。
【請求項133】
少なくとも1種の糖類をPhtDまたはその融合タンパク質にコンジュゲートさせ、免疫原性組成物がPhtDに対する有効な免疫応答を引き出すことができる、異なる肺炎連鎖球菌血清型に由来する糖類を含む少なくとも4種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類コンジュゲートを含む免疫原性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−232985(P2012−232985A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139558(P2012−139558)
【出願日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【分割の表示】特願2008−546441(P2008−546441)の分割
【原出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】