説明

肺疾患の治療および/または予防剤

一般式(I)


で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する好酸球性炎症を呈する肺疾患(例えば、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息などの気管支喘息、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎など)の治療および/または予防剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤に関する。
【背景技術】
近年の気管支喘息の治療においては、発作時の治療だけでなく、発作のないとき(緩解時)の治療も重要であるとされている。発作時の治療薬(リリーバー)としては、気管支拡張薬などが使用され、緩解時の治療薬(コントローラー)としては抗炎症薬などが使用されている。一方、ホスホジエステラーゼーIV(PDE−IV)阻害剤が喘息などの疾患の治療薬として有望視されている[エキスパート・オピニオン・オン・インベスティゲーショナル・ドラックズ(Exp.Opin.Invest.Drugs)、1999年、8巻、p.1301]。
従来、4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩をPDE−IV阻害剤として用いることが知られている(WO96/36624、WO99/16768)。
【発明の開示】
本発明の目的は、4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する好酸球性炎症を呈する肺疾患(例えば、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息などの気管支喘息、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎など)の治療および/または予防剤を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(18)に関する。
(1) 一般式(I)

で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤。
(2) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息または好酸球性肺炎である(1)記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
(3) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息、慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎からなる群より選ばれる肺疾患である(1)記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
(4) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息である(1)記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
(5) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息および有害物質誘発喘息からなる群より選ばれる肺疾患である(1)記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
(6) 吸入剤である(1)〜(5)のいずれかに記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
(7) 一般式(I)

で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防方法。
(8) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息または好酸球性肺炎である(7)記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
(9) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息、慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎からなる群より選ばれる肺疾患である(7)記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
(10) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息である(7)記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
(11) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息および有害物質誘発喘息からなる群より選ばれる肺疾患である(7)記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
(12) 投与が吸入投与である(7)〜(11)のいずれかに記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
(13) 好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤の製造のための一般式(I)

で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩の使用。
(14) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息または好酸球性肺炎である(13)記載の使用。
(15) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息、慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎からなる群より選ばれる肺疾患である(13)記載の使用。
(16) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息である(13)記載の使用。
(17) 好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息および有害物質誘発喘息からなる群より選ばれる肺疾患である(13)記載の使用。
(18) 好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または子防剤が吸入剤である(13)〜(17)のいずれかに記載の使用。
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
次に、化合物(I)の製造方法について説明する。
化合物(I)は、WO96/36624またはWO99/16768に記載の方法により製造することができる。
化合物(I)には、互変異性体などの立体異性体が存在し得るが、本発明の好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤には、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤に使用することができる。
次に、化合物(I)の薬理作用を試験例により説明する。
試験例:ラット抗原誘発気道好酸球浸潤に対する抑制作用
以下の試験は、公知の方法[パルマナリー・ファルマコロジー(Pulmonary Pharmacology)、1995年、8巻、p.83]に準じて行った。
実験には6週齢の雄性BNラット(日本チャールズリバー社)を使用した。なお、ラットは室温19〜25℃、湿度30〜70%、1日12時間照明(午前7時〜午後7時)の飼育室にて、プラスチックケージに5〜6匹ずつ収容し、市販の固形飼料と水を自由に摂取させて飼育した。
ラットに卵白アルブミン1mg(OVA、シグマ社製)および水酸化アルミニウム100mg(和光純薬社製)を生理食塩液1mL(大塚製薬工場社製)に懸濁したものを1mL皮下投与した後、百日咳死菌懸濁液0.5mL(2×1010個/1mL生理食塩液、和光純薬社製)を腹腔内投与することにより能動感作した。能動感作の14日後にプラスチックチャンバー(30×50×30cm)内にラットを入れ、1重量/容量%OVAの生理食塩液を30分間吸入させて抗原曝露を行った。吸入には超音波ネブライザー(オムロン社製)を使用した。常法により、化合物(I)の濃度が5mg/mLとなるように、0.125重量/容量%チロキサポール(アレベール:登録商標、アズウェル社製)に化合物(I)を懸濁し、化合物(I)の投与用懸濁液を調製した。抗原曝露の60分前に、投与溶媒(0.125重量/容量%チロキサポール)または化合物(I)の投与用懸濁液をラットの左右の気管支にそれぞれ100μLずつ、計200μL気管支内投与した。
感作ラットに化合物(I)の投与用懸濁液を気管支内投与し、1重量/容量%OVAの生理食塩液を吸入させた群を化合物(I)添加群、感作ラットに投与溶媒を気管支内投与し、1重量/容量%OVAの生理食塩液を吸入させた群を溶媒投与群、感作ラットに投与溶媒を気管支内投与し、生理食塩液のみを吸入させた群を生理食塩液群とした。
抗原暴露24時間後に気管支肺胞洗浄(BAL)を実施した。すなわち、ラットを麻酔し、気管カニューレを介して生理食塩液で肺胞腔内を洗浄し、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得た。
BALF中の総白血球数は自動血球カウンター(日本光電社製)を用いて測定した。また、細胞の塗抹標本を作成し、ギムザ染色をした後、光学顕微鏡にて観察し、好酸球の細胞数を数えて比率を算出した。好酸球数は総白血球数に好酸球の細胞数比率を掛け合わせて算出した。BALF中の好酸球数の増加に対する抑制率(%)は下記にしたがって計算した。

その結果を第1表に示す。なお好酸球数の各値は平均値±標準誤差で示してある。

上記試験の結果は、化合物(I)を投与することにより肺への好酸球の浸潤が抑制されることを示している。
一方、気管支喘息は好酸球性の気道炎症を特徴とした疾患であり[クリニカル・エクスペリメンタル・アラージー(Clin.Exp.All.)、2002年、32巻、p.162]、該疾患においては肺組織およびBALFへの著明な好酸球浸潤が認められることが知られている。また、アスピリンなどの非ステロイド抗炎症剤、ディーゼル排気などの有害物質、抗原、運動、冷気などが、喘息における炎症などの症状を誘発または増悪させる因子であると考えられている[グローバル・イニシアチブ・フォー・アズマ(Global Initiative for Asthma (GINA))著、GINAガイドライン(Global Strategy for Asthma Management and Prevention)、2002年、p.39]。
さらに、好酸球性肺炎の特徴として、血液、肺などで好酸球数が増加することが知られている[モレキュラー・メディシン・トウデイ(Mol.Med.Today)、2000年、6巻、p.20]。
以上のことから、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、例えば抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息などの気管支喘息、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎などの好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤として有効であると考えられる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内、気管内、経皮などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤、吸入剤、外用剤などがあげられる。徐放的な適応もまた利用できる。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な、例えば注射剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製することができる。
吸入剤は、活性成分を粉末または液状にして、吸入噴霧剤または担体中に配合し、例えば、定量噴霧式吸入器、ドライパウダー吸入器などの適当な吸入容器に充填することにより製造される。上記活性成分が粉末の場合は、通常の機械的粉末吸入器を、液状の場合はネブライザーなどの吸入器をそれぞれ使用することもできる。吸入噴射剤としては、従来公知のものを広く使用することができ、例えばフロン−11、フロン−12、フロン−21、フロン−22、フロン−113、フロン−114、フロン−123、フロン−142c、フロン−134a、フロン−227、フロン−C318、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのフロン系ガス、HFA−227、HFA−134aなどの代替フロンガス、プロパン、イソブタン、n−ブタンなどの炭化水素系ガス、ジエチルエーテル、窒素ガス、炭酸ガスなどがあげられる。担体としては、従来公知のものを広く使用でき、例えば糖類、糖アルコール類、アミノ酸類などがあげられ、乳糖、D−マンニトールなどが好ましい。
外用剤に適当な剤型としては、特に限定されるものではなく、基剤に活性成分を溶解または混合分散しクリーム状、ペースト状、ゼリー状、ゲル状、乳液状、液状などの形状になされたもの(軟膏剤、リニメント剤、ローション剤など)、基剤に活性成分および経皮吸収促進剤を溶解または混合分散させたものを、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの支持体上に展延したもの(パップ剤、テープ剤など)などがあげられる。上記基剤としては、薬理学的に許容しうるものであればいずれでもよく、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤などの基剤として従来公知のものを用いることができ、例えばアルギン酸ナトリウム;ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドンなどのポリマー;ミツロウ、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、ラッカセイ油、牛油、豚油、ラノリンなどの油脂類;白色ワセリン、黄色ワセリンなどのワセリン類;パラフィン;ハイドロカーボンゲル軟膏(例えば、商品名プラスチベース、大正製薬社製);ステアリン酸などの高級脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール;ポリエチレングリコール;水などがあげられる。上記経皮吸収促進剤としては、薬理学的に許容しうるものであればいずれでもよく、例えばメタノール、エタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルスルホキシド、ドデシルピロリドンなどの極性溶剤;尿素;ラウリル酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチルなどのエステル類;エイゾン;オリーブ油などがあげられる。さらに必要に応じて、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機充填剤;粘度調節剤;老化防止剤;pH調節剤;グリセリン、プロピレングリコールなどの保湿剤などを添加してもよい。
また、これら非経口剤においても、希釈剤、フレーバー類、および経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤、防腐剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日1回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜50mgを一日1回ないし数回投与する。気管内投与(吸入剤)の場合、成人一人当たり、0.001mg〜1g、好ましくは0.01〜100mg、より好ましくは0.5mg〜20mgを一日1回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
以下に、本発明の態様を実施例で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物(I) 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物(I) 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例2:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物(I) 1gおよびD−マンニトール5gを注射用蒸留水に添加して混合し、さらに塩酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6に調整した後、注射用蒸留水で全量を1000mLとする。得られた混合液をガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物(I) 2 mg
D−マンニトール 10 mg
塩酸水溶液 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
2.00 mL
実施例3:ドライパウダー吸入剤
ジェットミル(A−0JET;セイシン企業)を用いて、化合物(I) 10gを空気圧5kg/cmで1.5g/分間の送り速度で粉砕する。得られる化合物(I)の粉砕物と乳糖(Pharmatose325M;DMV社製)とを重量比1:5で混合し、ドライパウダー製剤を得る。
処方 化合物(I) 16.7 mg
乳糖 83.3 mg
100 mg
【産業上の利用可能性】
本発明により、4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する好酸球性炎症を呈する肺疾患(例えば、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息などの気管支喘息、慢性好酸球性肺炎、急性好酸球性肺炎など)の治療および/または予防剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)

で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤。
【請求項2】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息または好酸球性肺炎である請求の範囲第1項記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
【請求項3】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息、慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎からなる群より選ばれる肺疾患である請求の範囲第1項記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
【請求項4】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息である請求の範囲第1項記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
【請求項5】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息および有害物質誘発喘息からなる群より選ばれる肺疾患である請求の範囲第1項記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
【請求項6】
吸入剤である請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載の肺疾患の治療および/または予防剤。
【請求項7】
一般式(I)

で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防方法。
【請求項8】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息または好酸球性肺炎である請求の範囲第7項記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
【請求項9】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息、慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎からなる群より選ばれる肺疾患である請求の範囲第7項記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
【請求項10】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息である請求の範囲第7項記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
【請求項11】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息および有害物質誘発喘息からなる群より選ばれる肺疾患である請求の範囲第7項記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
【請求項12】
投与が吸入投与である請求の範囲第7〜11項のいずれかに記載の肺疾患の治療および/または予防方法。
【請求項13】
好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤の製造のための一般式(I)

で表わされる4−[(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)カルバモイル]−7−メトキシ−2−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ベンゾフランまたはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息または好酸球性肺炎である請求の範囲第13項記載の使用。
【請求項15】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息、有害物質誘発喘息、慢性好酸球性肺炎および急性好酸球性肺炎からなる群より選ばれる肺疾患である請求の範囲第13項記載の使用。
【請求項16】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が気管支喘息である請求の範囲第13項記載の使用。
【請求項17】
好酸球性炎症を呈する肺疾患が、抗原誘発喘息、運動誘発喘息、冷気誘発喘息、アスピリン喘息および有害物質誘発喘息からなる群より選ばれる肺疾患である請求の範囲第13項記載の使用。
【請求項18】
好酸球性炎症を呈する肺疾患の治療および/または予防剤が吸入剤である請求の範囲第13〜17項のいずれかに記載の使用。

【国際公開番号】WO2004/112791
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507317(P2005−507317)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009209
【国際出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】