説明

肺癌の治療および診断の標的遺伝子としてのCSTF2

本発明は、がんの発がんにおいてCSTF2遺伝子が果たす役割に関し、CSTF2遺伝子に対する二本鎖分子、またはそのような二本鎖分子を含む組成物、ベクター、もしくは細胞を投与することにより、がんを治療または予防するための方法を特徴とする。本発明はまた、CSTF2遺伝子の過剰発現を用いて、がんを診断するため、または肺癌を有する対象の予後を評価/判定するための方法を特徴とする。そのために、CSTF2はがん、特に肺癌の新規予後バイオマーカーとして役立ち得る。また、CSTF2の発現または生物学的活性に対するその効果を指標として用いて、がんを治療および予防するための候補物質をスクリーニングする方法も開示される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるがんまたはがんを発症する素因を診断するための方法であって、
(a)(i)CSTF2遺伝子のmRNAを検出すること、
(ii)CSTF2遺伝子によってコードされるタンパク質を検出すること、および
(iii)CSTF2遺伝子によってコードされるタンパク質の生物学的活性を検出すること
からなる群より選択される方法のいずれか1つにより、対象由来の生物学的試料中のCSTF2遺伝子の発現レベルを測定する段階;ならびに
(b)CSTF2遺伝子の正常対照レベルと比較した、段階(a)で測定された発現レベルの上昇を、該対象におけるがんの存在と関連付ける段階
を含む、方法。
【請求項2】
段階(a)で測定された発現レベルが前記正常対照レベルよりも少なくとも10%高い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記対象由来の生物学的試料が生検試料、痰、血液、胸水、または尿を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
がんを有する対象の予後を評価または判定するための方法であって、
(a)対象由来の生物学的試料中のCSTF2遺伝子の発現レベルを検出する段階;
(b)検出された発現レベルを対照レベルと比較する段階;および
(c)(b)の比較に基づいて、該対象の予後を判定する段階
を含む、方法。
【請求項5】
前記対照レベルが予後良好対照レベルであり、該対照レベルと比較して発現レベルが上昇していることにより予後不良が示される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記上昇が前記対照レベルよりも少なくとも10%高い、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記発現レベルが、
(a)CSTF2遺伝子のmRNAを検出すること;
(b)CSTF2遺伝子によってコードされるタンパク質を検出すること;および
(c)CSTF2遺伝子によってコードされるタンパク質の生物学的活性を検出すること
からなる群より選択される方法のいずれか1つによって測定される、請求項4記載の方法。
【請求項8】
前記対象由来の生物学的試料が生検試料、痰、または血液、胸水、または尿を含む、請求項4記載の方法。
【請求項9】
(a)CSTF2遺伝子のmRNAを検出するための試薬;
(b)CSTF2遺伝子によってコードされるタンパク質を検出するための試薬;および
(c)CSTF2遺伝子によってコードされるタンパク質の生物学的活性を検出するための試薬
からなる群より選択される試薬を含む、がんを診断するため、またはがんを有する対象の予後を評価もしくは判定するためのキット。
【請求項10】
前記試薬が、CSTF2遺伝子の遺伝子転写物に対するプローブもしくはプライマー、またはCSTF2遺伝子の翻訳産物に対する抗体を含む、請求項9記載のキット。
【請求項11】
細胞に導入された場合に、CSTF2遺伝子のインビボ発現および細胞増殖を阻害する、単離された二本鎖分子であって、該分子が、互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成するセンス鎖およびそれに相補的なアンチセンス鎖を含む、単離された二本鎖分子。
【請求項12】
前記センス鎖が、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される標的配列に相当する配列を含む、請求項11記載の二本鎖分子。
【請求項13】
前記センス鎖が標的配列においてアンチセンス鎖とハイブリダイズして、19〜25ヌクレオチド対の長さを有する二本鎖分子を形成する、請求項11または12記載の二本鎖分子。
【請求項14】
介在一本鎖によって連結されたセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含む単一ポリヌクレオチドからなる、請求項11〜13のいずれか一項記載の二本鎖分子。
【請求項15】
一般式
5'−[A]−[B]−[A']−3'
を有する二本鎖分子であって、[A]は、SEQ ID NO:9および10からなる群より選択される標的配列に相当する配列を含むセンス鎖であり、[B]は3〜23ヌクレオチドからなる介在一本鎖であり、かつ[A']は、[A]において選択される標的配列に対する相補配列を含むアンチセンス鎖である、請求項14記載の二本鎖分子。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか一項記載の二本鎖分子をコードするベクター。
【請求項17】
CSTF2遺伝子に対する二本鎖分子または該二本鎖分子をコードするベクターの薬学的有効量を対象に投与する段階を含む、対象におけるがんを治療または予防する方法であって、該二本鎖分子が、CSTF2遺伝子を発現する細胞に導入された場合にCSTF2遺伝子の発現を阻害する、方法。
【請求項18】
前記二本鎖分子が請求項11〜15のいずれか一項記載のものである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ベクターが請求項16記載のものである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
CSTF2遺伝子に対する少なくとも1つの単離された二本鎖分子、または該二本鎖分子をコードするベクター、および薬学的に許容される担体を含む、CSTF2遺伝子を発現するがんを治療するための組成物であって、該二本鎖分子が、CSTF2遺伝子を発現する細胞に導入された場合にCSTF2遺伝子の発現を阻害する、組成物。
【請求項21】
前記二本鎖分子が請求項11〜15のいずれか一項記載のものである、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
前記ベクターが請求項16記載のものである、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
がんを治療もしくは予防するためまたはがん細胞の増殖を阻害するための候補物質をスクリーニングする方法であって、
(a)試験物質をCSTF2ポリペプチドまたはその断片と接触させる段階;
(b)該ポリペプチドまたは断片と該試験物質との間の結合活性を検出する段階;および
(c)該ポリペプチドまたは断片に結合する試験物質を、がんを治療または予防するための候補物質として選択する段階
を含む、方法。
【請求項24】
がんを治療もしくは予防するためまたはがん細胞の増殖を阻害するための候補物質をスクリーニングする方法であって、
(a)試験物質をCSTF2ポリペプチドまたはその断片と接触させる段階;
(b)該ポリペプチドまたは断片の生物学的活性を検出する段階;
(c)該ポリペプチドまたは断片の生物学的活性を、該試験物質の非存在下で検出された生物学的活性と比較する段階;および
(d)該ポリペプチドの生物学的活性を抑制する試験物質を、がんを治療または予防するための候補物質として選択する段階
を含む、方法。
【請求項25】
前記生物学的活性が細胞増殖活性、RNA結合活性、mRNA切断活性、またはmRNAポリアデニル化活性である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
がんを治療もしくは予防するためまたはがん細胞の増殖を阻害するための候補物質をスクリーニングする方法であって、
(a)試験物質を、CSTF2遺伝子を発現する細胞と接触させる段階;および
(b)試験物質の非存在下で検出された発現レベルと比較して、CSTF2遺伝子の発現レベルを低下させる該試験物質を選択する段階
を含む、方法。
【請求項27】
がんを治療もしくは予防するためまたはがん細胞の増殖を阻害するための候補物質をスクリーニングする方法であって、
(a)試験物質を、CSTF2遺伝子の転写調節領域および該転写調節領域の制御下で発現するレポーター遺伝子を含むベクターを導入した細胞と接触させる段階;
(b)該レポーター遺伝子の発現または活性を測定する段階;ならびに
(c)試験物質の非存在下で検出された発現または活性レベルと比較して、該レポーター遺伝子の発現または活性レベルを低下させる該試験物質を選択する段階
を含む、方法。
【請求項28】
抗CSTF2抗体またはその免疫学的活性断片を対象に投与する段階を含む、該対象におけるがんを治療または予防するための方法。
【請求項29】
がんが肺癌である、請求項1〜8、17〜19、および23〜28のいずれか一項記載の方法、請求項9もしくは10記載のキット、または請求項20〜22のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
CSTF2遺伝子を発現する細胞に導入された場合に細胞増殖を阻害する、センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせのそれぞれを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO:9または10に相当するヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列からなり、該センス鎖と該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成する、ベクター。

【図1ab】
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【図1c】
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【図2ab】
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【図2cd】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2013−502201(P2013−502201A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508837(P2012−508837)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/JP2010/005095
【国際公開番号】WO2011/021386
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】