説明

肺癌を治療するための組成物および方法

【課題】肺癌を治療するための組成物及び細胞増殖を阻害する方法を提供する。
【解決手段】センス鎖が標的配列に対応するリボヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖が該センス鎖と相補的であるリボヌクレオチド配列を含み、該センス鎖と該アンチセンス鎖とが互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、かつPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に、該二本鎖分子が該遺伝子の発現を阻害する、センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖分子。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)を含む組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者における肺癌を治療または予防する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、生物科学の分野、より詳しくは癌研究の分野に関する。特に、本発明は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害することができる核酸を含む組成物に関する。いくつかの態様において、核酸はこれらの遺伝子由来の部分配列に対応する低分子干渉RNA(siRNA)である。
【0002】
本出願は、その内容の全体が参照として本明細書に組み入れられる、2004年3月24日に提出された米国特許仮出願第60/555,757号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
肺癌は世界で最も一般的な癌の1つである。非小細胞肺癌(NSCLC)は、最も一般的な型であり、肺腫瘍のほぼ80%を占める(American Cancer Society. Cancer Facts and Figures 2001 (Am. Chem. Soc. Atlanta). 2001(非特許文献1))。NSCLCの多くは進行期になって初めて診断されることから、マルチモダリティー(multi-modality)治療における最近の進歩にもかかわらず、累積10年生存率はなお10%と低いままである(Fry, W. A., Phillips, J. L., and Menck, H. R. Ten-year survey of lung cancer treatment and survival in hospitals in the United States: a national cancer data base report, Cancer. 86: 1867-76, 1999(非特許文献2))。プラチナを用いた化学療法治療は、NSCLCの治療に関して参照される標準治療であると考えられているが、それらの薬剤は、進行NSCLC患者の生存をわずか6週間延長できるに過ぎない(Chemotherapy in non-small cell lung cancer: a meta-analysis using updated data on individual patients from 52 randomised clinical trials. Non-small Cell Lung Cancer Collaborative Group, Bmj. 311: 899-909, 1995(非特許文献3))。チロシンキナーゼ阻害剤を含む多数のターゲット療法がこの疾患に関して治験中であるが、これまでのところ、有望な結果はごく限られた数の患者において達成されているに過ぎず、レシピエントによっては重篤な副作用を示す(Kris M, N. R., Herbst RS A phase II trial of ZD1839 ('Iressa') in advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) patients who had failed platinum- and docetaxel-based regimens (IDEAL 2), Proc Am Soc Clin Oncol. 21: 292a(A1166), 2002(非特許文献4))。したがって、非常に効果的な化学療法薬剤および予防方法の確立が急務である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】American Cancer Society. Cancer Facts and Figures 2001 (Am. Chem. Soc. Atlanta). 2001
【非特許文献2】Fry, W. A., Phillips, J. L., and Menck, H. R. Ten-year survey of lung cancer treatment and survival in hospitals in the United States: a national cancer data base report, Cancer. 86: 1867-76, 1999
【非特許文献3】Chemotherapy in non-small cell lung cancer: a meta-analysis using updated data on individual patients from 52 randomised clinical trials. Non-small Cell Lung Cancer Collaborative Group, Bmj. 311: 899-909, 1995
【非特許文献4】Kris M, N. R., Herbst RS A phase II trial of ZD1839 ('Iressa') in advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) patients who had failed platinum- and docetaxel-based regimens (IDEAL 2), Proc Am Soc Clin Oncol. 21: 292a(A1166), 2002
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
本発明は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現の阻害が、NSCLCに関与する細胞を含む種々の癌細胞の細胞増殖を阻害するために有効であるという画期的な発見に基づいている。本明細書に記載の本発明は、この発見に一部基づいている。
【0006】
本発明は、細胞増殖を阻害する方法を提供する。提供される方法は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)を含む組成物を細胞に接触させる段階を含む。本発明はまた、被験者における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法も提供する。そのような方法には、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1由来の配列と特異的にハイブリダイズする低分子干渉RNA(siRNA)を含む組成物を被験者に投与する段階が含まれる。本発明の別の局面は、生体試料の細胞において、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。遺伝子の発現は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子の発現を阻害するために十分な量の二本鎖リボ核酸(RNA)分子を細胞に導入することによって阻害し得る。本発明の別の局面は、例えば、核酸配列およびその産物を提供するのに有用なベクター、それらを含む組成物に関する。提供される産物は、遺伝子を発現する細胞に導入された場合に、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子の発現を阻害する特性を有するsiRNA分子である。そのような分子は、センス鎖がPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1標的配列に対応するリボヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖が該センス鎖と相補的であるリボヌクレオチド配列を含む、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む分子である。この分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成する。
【0007】
本明細書において用いられるように、「生物」という用語は、少なくとも1つの細胞を含む任意の生物体を指す。生きている生物は、例えば、真核単細胞のように単純でも、またはヒトを含む哺乳動物のように複雑でもあり得る。
【0008】
本明細書において用いられるように、「生体試料」という用語は、生物全体、またはその組織、細胞、もしくは成分のサブセット(例えば、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、羊膜臍帯血、膣液および精液を含むが、それらに限定されない体液)を指す。「生体試料」はさらに、生物全体またはその細胞、組織、もしくは成分のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物、抽出物、細胞培養物もしくは組織培養物、またはその分画もしくは部分を指す。最後に、「生体試料」は、タンパク質または核酸分子のような細胞成分を含む、生物が増殖している栄養ブロスまたはゲルのような培地を指す。
【0009】
本発明は、細胞増殖を阻害する方法を特徴とする。細胞増殖は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の低分子干渉RNA(siRNA)の組成物に細胞を接触させることによって阻害される。さらに、細胞をトランスフェクション増強剤と接触させることができる。細胞はインビトロ、インビボ、またはエクスビボで提供される。被験者は、哺乳動物、例えばヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシである。細胞は肺細胞である。または、細胞は、非小細胞癌細胞のような腫瘍細胞(すなわち、癌細胞)である。例えば、細胞は非小細胞肺癌細胞である。「細胞増殖を阻害する」という用語は、処置された細胞が、処置されていない細胞と比較して、より低い速度で増殖するか、または生存率が減少することを意味する。細胞増殖は当技術分野で公知の増殖アッセイによって測定される。
【0010】
「siRNA」という用語は、標的mRNAの翻訳を阻害する二本鎖RNA分子を意味する。DNAがRNA転写の鋳型となることを含む、siRNAを細胞に導入する標準的な技術が用いられる。siRNAには、センスPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1核酸配列、アンチセンスPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1核酸配列、またはその双方が含まれる。siRNAは、2つの相補的分子を含んでもよく、または、単一の転写産物が標的遺伝子由来のセンス配列および相補的アンチセンス配列の双方を有するように、すなわちいくつかの態様においてマイクロRNA(miRNA)の産生に至るヘアピンになるように構築してもよい。
【0011】
方法は、例えば細胞の悪性形質転換の結果としてPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現がアップレギュレートされている細胞において、遺伝子発現を変化させるために用いられる。標的細胞におけるPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1転写産物に対するsiRNAの結合によって、細胞のPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の産生が減少する。オリゴヌクレオチドの長さは少なくとも約10ヌクレオチドであり、天然に存在するPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1転写産物と同じ長さであってもよい。好ましくは、オリゴヌクレオチドは長さが約19〜約25ヌクレオチドである。最も好ましくは、オリゴヌクレオチドは長さが約100、約75、約50、または約25ヌクレオチド未満である。哺乳動物細胞においてPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1発現を阻害するPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAオリゴヌクレオチドの例には、標的配列、例えばSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0012】
標的細胞において遺伝子発現の阻害能を有する二本鎖RNAを設計する方法は公知である(例えば、その全体が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第6,506,559号を参照されたい)。例えば、siRNAを設計するためのコンピュータープログラムはAmbion社のウェブサイト(http://www.ambion.com/techlib/misc/siRNA_finder.html)から入手可能である。コンピュータープログラムは、以下のプロトコールに基づいてsiRNA合成のためのヌクレオチド配列を選択する。
【0013】
siRNA標的部位の選択
1.転写産物の開始コドンAUGから、下流に向かってAAジヌクレオチド配列をスキャンする。siRNA標的部位候補として、各AAおよび3'側に隣接した19ヌクレオチドを記録する。Tuschl et al. Targeted mRNA degradation by double-stranded RNA in vitro. Genes Dev 13(24): 3191-7 (1999)は、調節タンパク質結合部位に富む可能性があることから、5'および3'非翻訳領域(UTR)ならびに開始コドンの近傍領域(75塩基以内)に対するsiRNAの設計を推奨していない。UTR結合タンパク質および/または翻訳開始複合体は、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害する可能性がある。
2.可能性がある標的部位を適切なゲノムデータベース(ヒト、マウス、ラット等)と比較し、他のコード配列と有意な相同性を有するいかなる標的配列をも検討から除外する。NCBIサーバー:www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/上のBLASTを用いることが提案される。
3.合成のために適格な標的配列を選択する。評価のためには、遺伝子の全長に沿っていくつかの標的配列を選択することが典型的である。
【0014】
同様に、標的配列の核酸配列、例えばSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72のヌクレオチド、または、SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、もしくは72のヌクレオチドの核酸配列と相補的な核酸分子を含む単離核酸分子が本発明に含まれる。本明細書において用いられるように、「単離核酸」とは、その当初の環境(例えば、天然に存在する場合はその天然の環境)から除去され、したがって、その天然の状態から合成的に改変されている核酸である。本発明において、単離核酸には、DNA、RNA、およびその誘導体が含まれる。単離核酸がRNAまたはその誘導体である場合、塩基「t」は、ヌクレオチド配列において「u」に置換されなければならない。本明細書において、「相補的」という用語は、核酸分子のヌクレオチド単位の間のワトソン-クリックまたはフーグスティーン塩基対形成を指し、「結合」という用語は、2つの核酸もしくは化合物、または関連する核酸もしくは化合物、またはそれらの組み合わせの間の物理的または化学的相互作用を意味する。相補的核酸配列は、ほとんどまたは全くミスマッチを含まない安定な二本鎖を形成するように、適切な条件でハイブリダイズする。本発明の目的に関して、5個またはそれより少ないミスマッチを有する2つの配列は相補的であると考えられる。さらに、本発明の単離ヌクレオチドのセンス鎖およびアンチセンス鎖は、ハイブリダイゼーションによって二本鎖ヌクレオチドまたはヘアピンループ構造を形成することができる。好ましい態様において、そのような二本鎖はマッチ10個毎に1個を超えないミスマッチを含むに過ぎない。特に好ましい態様において、二本鎖が完全に相補的である場合、そのような二本鎖はミスマッチを含まない。核酸分子は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1に関して長さがそれぞれ、2831、2003、2307、1419、2539、または5071ヌクレオチド未満である。例えば、核酸分子は、長さが約500、約200、または約75ヌクレオチド未満である。同様に、本明細書に記載の核酸のうち1つまたは複数を含むベクター、およびベクターを含む細胞も、本発明に含まれる。本発明の単離核酸は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、もしくはNPTX1に対するsiRNA、またはsiRNAをコードするDNAのために有用である。核酸をsiRNAまたはそのコードDNAのために用いる場合、センス鎖は好ましくは約19ヌクレオチドより長く、より好ましくは約21ヌクレオチドより長い。
【0015】
本発明は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1をコードする遺伝子が、非癌腫肺組織と比較して非小細胞肺癌(NSCLC)において過剰発現されているという発見に一部基づいている。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のcDNAは、長さがそれぞれ、2831、2003、2307、1419、2539、または5071ヌクレオチドである。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の核酸配列をSEQ ID NO:1、3、5、7、9、および11に示す。これらのヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、および12のアミノ酸配列をそれぞれコードする、75〜2468位(NM_007183)、299〜1693位(NM_145697)、114〜956位(NM_018101)、195〜1064位(BC006226)、134〜1819位(NM_173514)、および139〜1431位(NM_002522)においてコード領域を含む。配列データはまた、以下のアクセッション番号によって入手可能である。
PKP3:NM_007183
CDCA1:AI015982、NM_145697
CDCA8(FLJ10468):NM_018101
DLX5:AI278397、BC006226
URLC11(FLJ90709):AB105188、NM_173514
NPTX1:NM_002522
【0016】
SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72を含むsiRNAのトランスフェクションによって、NSCLC細胞株の増殖阻害が起こる。
【0017】
細胞増殖を阻害する方法
本発明は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害することによって、細胞増殖、すなわち癌細胞の増殖を阻害することに関する。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現は、例えばPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子を特異的に標的とする低分子干渉RNA(siRNA)によって阻害される。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1標的には、例えば、SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチドが含まれる。
【0018】
非哺乳動物細胞において、二本鎖RNA(dsRNA)は、遺伝子発現に対して強力かつ特異的なサイレンシング効果を発揮することが示されており、これはRNA干渉(RNAi)と呼ばれている(Sharp P A. RNAi and double-strand RNA. Genes Dev. 1999 Jan 15; 13(2): 139-41)。dsRNAは、RNアーゼIIIモチーフを含む酵素によって、低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれる20〜23ヌクレオチドのdsRNAに処理される。siRNAは、多成分ヌクレアーゼ複合体によって相補的mRNAを特異的に標的とする(Hammond SM et al. An RNA-directed nuclease mediates post-transcriptional gene silencing Drosophila cells.Nature. 2000 Mar 16; 404(6775): 293-6., Hannon GJ. RNA interference. Nature. 2002 Jul 11; 418(6894): 244-51)。哺乳動物細胞において、相補的ヌクレオチド19個を有する20または21量体dsRNAおよびチミジンまたはウリジンの3'末端非相補的二量体からなるsiRNAは、遺伝子発現の全体的な変化を誘導することなく、遺伝子特異的ノックダウン効果を有することが示されている(Elbashir SM et al. Duplexes of 21-nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells. Nature. 2001 May 24; 411(6836): 494-8)。さらに、低分子核RNA(snRNA)U6またはポリメラーゼIII H1-RNAプロモーターを含むプラスミドは、III型RNAポリメラーゼIIIを動員するような低分子RNAを効率よく産生し、したがって、その標的mRNAを構成的に抑制することができる(Miyagishi M et al. U6 promoter-driven siRNAs with four uridine 3' overhangs efficiently suppress targeted gene expression in mammalian cells. Nat Biotechnol. 2002 May; 20(5): 497-500., Brummelkamp TR et al. A System for Stable Expression of Short Interfering RNAs in Mammalian Cells. Science. Science. 296(5567); 550-553, April 19, 2002)。
【0019】
細胞の増殖は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAを含む組成物に細胞を接触させることによって阻害される。細胞にさらに、トランスフェクション剤を接触させる。適したトランスフェクション剤は、当技術分野で公知である。「細胞増殖の阻害」という用語は、組成物に曝されていない細胞と比較して、細胞がより低い速度で増殖するか、または生存率が低下していることを意味する。細胞増殖は、MTT細胞増殖アッセイのような当技術分野で公知の方法によって測定される。
【0020】
PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAは、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子配列の単一の標的に向けられる。または、siRNAは、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子配列上の複数の標的に向けられる。例えば、組成物は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1標的配列のうち、2つ、3つ、4つ、または5つもしくはそれより多くに向けられる、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAを含む。「PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1標的配列」という用語は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子の一部と同一であるヌクレオチド配列を意味する。標的配列には、ヒトPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子の5'非翻訳(UT)領域、オープンリーディングフレーム(ORF)、または3'非翻訳領域が含まれうる。または、siRNAは、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子発現の上流または下流の調節因子と相補的な核酸配列である。上流および下流の調節因子の例には、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子プロモーターに結合する転写因子、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1ポリペプチドと相互作用するキナーゼまたはホスファターゼ、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1プロモーターまたはエンハンサーが含まれる。
【0021】
標的mRNAとハイブリダイズするPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAは、通常は一本鎖のmRNA転写産物と結合し、それにより翻訳を阻害し、したがってタンパク質の発現を阻害することにより、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子によってコードされるPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1ポリペプチド産物の産生を減少させ、または阻害する。したがって、本発明のsiRNA分子は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子由来のmRNAまたはcDNAに対する特異的ハイブリダイズ能によって定義することができる。本発明の目的に関して、「ハイブリダイズする」または「特異的にハイブリダイズする」という用語は、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」で2つの核酸分子がハイブリダイズできることを指すために用いられる。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という句は、典型的には、核酸の複雑な混合物において、核酸分子がその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列とのハイブリダイズは検出不可能な条件を指す。ストリンジェント条件は、配列依存的であり、異なる環境においては異なるであろう。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの詳細な手引きは、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays” (1993)において見出される。一般的に、ストリンジェント条件は、既定のイオン強度pHでの特異的配列に対する熱融解点(Tm)より約5〜10℃低いように選択される。Tmは標的に対して相補的なプローブの50%が平衡時に標的配列とハイブリダイズする(既定のイオン強度、pH、および核酸濃度下での)温度である(標的配列が過剰量存在する場合、Tmではプローブの50%が平衡時に占有される)。ストリンジェント条件はまた、ホルムアミドのような脱安定化剤を加えることによって達成され得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、陽性シグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドのハイブリダイゼーションの10倍である。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下となり得る:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でのインキュベーション、または、5×SSC、1%SDS、65℃でのインキュベーション、その後0.2×SSCおよび0.1%SDSにおける50℃での洗浄。
【0022】
本発明のsiRNAは、長さが約500、約200、約100、約50、または約25ヌクレオチド未満である。好ましくは、siRNAは長さが約19〜約25ヌクレオチドである。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1 siRNAを産生するための例示的な核酸配列には、標的配列として、SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチドの配列が含まれる。さらに、siRNAの阻害活性を増強するために、ヌクレオチド「u」を標的配列のアンチセンス鎖の3'末端に加えることができる。加える「u」の数は少なくとも約2個、一般的に約2〜約10個、好ましくは約2〜約5個である。添加された「u」は、siRNAのアンチセンス鎖の3'末端で一本鎖を形成する。
【0023】
細胞は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1を発現するまたは過剰発現する任意の細胞である。細胞は肺細胞である。または、細胞は癌腫、腺癌、芽腫、白血病、骨髄腫、または肉腫のような腫瘍の細胞である。細胞は非小細胞肺癌細胞である。
【0024】
PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAは、mRNA転写産物に結合することができる形で細胞に直接導入される。または、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAをコードするDNAがベクターに存在する。
【0025】
ベクターは、例えば、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1標的配列を、双方の鎖を発現(DNA分子の転写によって)することができるように、調節配列が機能的に結合するよう、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1配列に隣接する発現ベクターにクローニングすることによって作製される(Lee, N.S., Dohjima, T., Bauer, G., Li, H., Li, M.-J., Ehsani, A.,Salvaterra, P., and Rossi, J. (2002) Expression of small interfering RNAs targeted against HIV-1 rev transcripts in human cells. Nature Biotechnology 20 : 500-505)。PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1 mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子は、第一のプロモーター(例えば、クローニングしたDNAの3'のプロモーター配列)によって転写され、かつ、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1 mRNAのセンス鎖であるRNA分子は第二のプロモーター(例えば、クローニングしたDNAの5'のプロモーター配列)によって転写される。センス鎖およびアンチセンス鎖は、インビボでハイブリダイズし、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子のサイレンシングのためのsiRNA構築物を生成する。または、siRNA構築物のセンス鎖およびアンチセンス鎖を作製するために、2つの構築物が利用される。クローニングされたPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1は、二次構造、例えば単一の転写産物が標的遺伝子由来のセンス配列および相補的アンチセンス配列の双方を伴うヘアピンを有する構築物をコードし得る。ヘアピンループ構造を形成するために、任意のヌクレオチド配列からなるループ配列がセンス配列とアンチセンス配列との間に位置し得る。このように、本発明はまた、一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有するsiRNAであって、[A]がPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子由来のmRNAまたはcDNAと特異的にハイブリダイズする配列に対応するリボヌクレオチド配列である、siRNAを提供する。好ましい態様において、[A]は、SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチドからなる群より選択される配列に対応するリボヌクレオチド配列である。[B]は3〜23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり、かつ、[A']は[A]の相補的配列からなるリボヌクレオチド配列である。領域[A]は[A']にハイブリダイズして、次に領域[B]からなるループが形成される。ループ配列は好ましくは長さが約3〜約23ヌクレオチドであり得る。例えばループ配列は、以下の配列(http://www.ambion.com/techlib/tb/tb_506.html)からなる群より選択することができる。さらに、23ヌクレオチドからなるループ配列も同様に、活性なsiRNAを提供する(Jacque, J.-M., Triques, K., and Stevenson, M. (2002) Modulation of HIV-1 replication by RNA interference. Nature 418 : 435-438)。
【0026】
CCC、CCACC、またはCCACACC:Jacque, J. M, Triques, K., and Stevenson, M (2002) Modulation of HIV-1 replication by RNA interference. Nature, Vol. 418: 435-438。
【0027】
UUCG:Lee, N.S., Dohjima, T., Bauer, G., Li, H., Li, M.-J., Ehsani, A., Salvaterra, P., and Rossi, J. (2002) Expression of small interfering RNAs targeted against HIV-1 rev transcripts in human cells. Nature Biotechnology 20 : 500-505. Fruscoloni, P., Zamboni, M., and Tocchini-Valentini, G. P. (2003) Exonucleolytic degradation of double-stranded RNA by an activity in Xenopus laevis germinal vesicles. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100(4): 1639-1644。
【0028】
UUCAAGAGA:Dykxhoorn, D. M., Novina, C. D., and Sharp, P. A. (2002) Killing the messenger: Short RNAs that silence gene expression. Nature Reviews Molecular Cell Biology 4: 457-467。
【0029】
例えば、本発明のヘアピンループ構造を有する好ましいsiRNAを下記に示す。以下の構造において、ループ配列はCCC、UUCG、CCACC、CCACACC、およびUUCAAGAGAからなる群より選択することができる。好ましいループ配列はUUCAAGAGA(DNAにおいて「ttcaagaga」)である。
ccuguggcaguacaacaag-[b]-cuuguuguacugccacagg(SEQ ID NO:58の標的配列に対する)
ugccagacaagaaguggug-[b]-caccacuucuugucuggca(SEQ ID NO:59の標的配列に対する)
gaugcugcugaaagggaga-[b]-ucucccuuucagcagcauc(SEQ ID NO:60の標的配列に対する)
cagcagaagcuauucagac-[b]-gucugaauagcuucugcug(SEQ ID NO:61の標的配列に対する)
gguguccuccauccaagaa-[b]-uucuuggauggaggacacc(SEQ ID NO:62の標的配列に対する)
gccgugcuaacacuguuac-[b]-guaacaguguuagcacggc(SEQ ID NO:63の標的配列に対する)
gaagcucuccaaccgucuc-[b]-gagacgguuggagagcuuc(SEQ ID NO:64の標的配列に対する)
gacucaguaccucgccuug-[b]-caaggcgagguacugaguc(SEQ ID NO:65の標的配列に対する)
gguuucagaagacucagua-[b]-uacugagucuucugaaacc(SEQ ID NO:66の標的配列に対する)
gugcagccagcucaaucaa-[b]-uugauugagcuggcugcac(SEQ ID NO:67の標的配列に対する)
gagaauucauuacuacagc-[b]-gcuguaguaaugaauucuc(SEQ ID NO:68の標的配列に対する)
ggauauuccugcuguucca-[b]-uggaacagcaggaauaucc(SEQ ID NO:69の標的配列に対する)
gauauucaggagcagcaug-[b]-caugcugcuccugaauauc(SEQ ID NO:70の標的配列に対する)
ggagaccauccugagccag-[b]-cuggcucaggauggucucc(SEQ ID NO:71の標的配列に対する)
guggaccuucgaggccugu-[b]-acaggccucgaagguccac(SEQ ID NO:72の標的配列に対する)
【0030】
PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1配列の発現は、同一または異なる隣接する調節配列によって、独立に、または時間的もしくは空間的様式で調節され得る。siRNAは、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子鋳型を、例えば低分子核RNA(snRNA)U6由来のRNAポリメラーゼIII転写単位またはヒトH1 RNAプロモーターを含むベクターにクローニングすることによって、細胞内で転写される。ベクターを細胞に導入するために、トランスフェクション増強剤を用いることができる。FuGENE(Roche Diagnostices)、Lipofectamine 2000(Invitrogen)、Oligofectamine(Invitrogen)およびNucleofector(Wako pure Chemical)は、トランスフェクション増強剤として有用である。
【0031】
オリゴヌクレオチドおよびPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1 mRNAの種々の部分に対して相補的なオリゴヌクレオチドを、腫瘍細胞において(例えば、A549、LC319、またはLC176のようなNSCLC細胞株を用いて)、それらがPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1産生を減少させる能力に関して、標準的な方法に従ってインビトロで試験した。候補組成物の非存在下で培養した細胞と比較した、候補siRNA組成物に接触させた細胞におけるPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子産物の減少は、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、もしくはNPTX1の特異的抗体または他の検出方法を用いて検出される。次に、インビトロの細胞アッセイまたは無細胞アッセイにおいてPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の産生を減少させる配列を、細胞増殖に及ぼすその阻害効果に関して試験する。インビトロ細胞アッセイにおいて細胞増殖を阻害する配列を、インビボでラットまたはマウスにおいて試験し、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1産生の減少および悪性新生物を有する動物における腫瘍細胞の増殖の減少を確認する。
【0032】
悪性腫瘍の治療法
PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1を過剰発現しているという特徴を伴う腫瘍を有する患者を、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAを投与することによって治療する。siRNA療法は、例えば非小細胞肺癌細胞を患うか、または発症のリスクを有する患者におけるPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害するために用いられる。そのような患者は、標準的な腫瘍タイプ方法によって同定される。非小細胞肺癌細胞は、例えば、コンピューター断層撮影法、胸腔鏡検査、胸部X線、喀痰の細胞検査、TBB(経気管支生検)、MRI(磁気共鳴画像法)、またはFDG-PET(18F-フルオロデオキシグルコース陽電子断層撮影法)によって診断される。
【0033】
治療によってPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、もしくはNPTX1の発現の減少、または、被験者における腫瘍の大きさ、発生率もしくは転移能の減少のような臨床上の利益がもたらされれば、治療は有効である。治療が予防的に適用される場合、「有効である」とは、治療が腫瘍の形成を遅らせるか、もしくは防止する、または腫瘍の臨床症状を予防もしくは軽減することを意味する。有効性は、特定の腫瘍タイプを診断または治療するための任意の公知の方法により決定される。
【0034】
siRNA療法は、本発明のsiRNAをコードする標準的なベクターにより、および/または合成siRNA分子の送達によるような遺伝子送達システムにより、siRNAを患者に投与することによって行われる。典型的には、合成siRNA分子はインビボでのヌクレアーゼ分解を防止するように化学的に安定化される。化学的に安定なRNA分子を調製する方法は当技術分野で周知である。典型的に、そのような分子は、リボヌクレアーゼの作用を防止するために修飾された骨格およびヌクレオチドを含む。他の修飾も同様に可能であり、例えばコレステロール結合siRNAは薬理学的特性の改善を示している(Song et al. Nature Med. 9:347-351 (2003))。適切な遺伝子送達システムには、リポソーム、受容体媒介送達システム、または、中でもヘルペスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスのようなウイルスベクターが含まれ得る。治療的核酸組成物は薬学的に許容される担体において調剤される。治療組成物にはまた、上記のような遺伝子送達システムが含まれてもよい。薬学的に許容される担体は、動物に投与するために適切な生物学的に適合性の媒体、例えば生理食塩水である。化合物の治療的有効量は、治療された動物における、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子産物の産生の減少、細胞増殖、例えば分裂の減少、または腫瘍増殖の減少のような、医学的に望ましい結果を生じることができる量である。
【0035】
静脈内、皮下、筋肉内、および腹腔内送達経路のような非経口投与を用いて、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNA組成物を送達してもよい。肺腫瘍の治療の場合、気道内投与、CT誘導下での注入、または胸腔鏡による注入が有用である。
【0036】
任意の患者の用量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定の核酸、性別、投与時間および投与経路、全身の健康状態、ならびに同時投与される他の薬剤を含む、多くの要因に依存する。核酸の静脈内投与のための用量は、核酸分子約106〜1022コピーである。
【0037】
ポリヌクレオチドは、筋肉または皮膚のような組織の間隙への注入、体循環もしくは体腔への導入、または吸入もしくは吹送といった、標準的な方法によって投与される。ポリヌクレオチドは、薬学的に許容される液体担体、例えば、水溶性または部分的に水溶性である液体担体と共に、動物に注射され、または、さもなくば送達される。ポリヌクレオチドは、リポソーム(例えば、陽イオンリポソームまたは陰イオンリポソーム)に結合させる。ポリヌクレオチドには、プロモーターのような、標的細胞による発現のために必要な遺伝子情報が含まれる。
【0038】
特に明記されなければ、本明細書において用いた全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似した、または同等の方法および材料を、本発明の実践または試験において用いることができるが、適切な方法および材料は以下に記載される。本明細書において言及した全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含めて本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は説明目的に限られ、制限するものであるとは解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1−1】PKP3の特徴を示す。図1aは、正常組織試料におけるPKP3の発現を示すノーザンブロットの写真を示す。図1bおよび1cは、PKP3に対するsiRNAによるPKP3 mRNAの阻害を示す写真を示す。図1dおよび1eは、PKP3に対するsiRNAによる細胞増殖の阻害を示す棒グラフである(MTTアッセイ)。対照siRNAにおいて、(EGFP)は、EGFPに対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;(LUC)は、ルシフェラーゼ-GL2に対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;かつ(SCR)は、ScrambleのsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示す。
【図1−2】PKP3の特徴を示す。図1fは、COS-7細胞にc-myc-Hisタグ付加PKP3発現プラスミドをトランスフェクトした場合の、免疫細胞化学分析によるPKP3の細胞内局在を示す写真である。(左のパネル):抗c-myc-ローダミン抗体によって検出したPKP3、(中央):FITCに結合した抗PKP3抗体によって検出したPKP3、(右):DAPI染色を含むMERGE画像。PKP3/c-myc-Hisタンパク質は、核周囲および細胞質膜において主に検出された。図1gは、ヒトPKP3発現プラスミドをトランスフェクトした場合のMatrigelマトリクスにおけるCOS-7細胞の浸潤特性の促進を示す、Matrigel浸潤アッセイを示す(ギムザ染色)。
【図2】CDCA1の特徴を示す。図2aは、正常組織試料におけるCDCA1の発現を示すノーザンブロットの写真を示す。図2bは、CDCA1に対するsiRNAによるCDCA1 mRNAの阻害を示す写真を示す。図2cは、CDCA1に対するsiRNAによる細胞増殖の阻害を示す棒グラフである(MTTアッセイ)。対照siRNAにおいて、(EGFP)は、EGFPに対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;(LUC)は、ルシフェラーゼ-GL2に対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;かつ(SCR)は、ScrambleのsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示す。
【図3】CDCA8の特徴を示す。図3aは、正常組織試料におけるCDCA8の発現を示すノーザンブロットの写真を示す。図3bは、CDCA8に対するsiRNAによるCDCA8 mRNAの阻害を示す写真を示す。対照siRNAにおいて、(EGFP)は、EGFPに対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;(LUC)は、ルシフェラーゼ-GL2に対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;かつ(SCR)は、ScrambleのsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示す。
【図4】DLX5の特徴を示す。図4aは、正常組織試料におけるDLX5の発現を示すノーザンブロットの写真を示す。図4bは、DLX5に対するsiRNAによるDLX5 mRNAの阻害を示す写真を示す。図4cは、DLX5に対するsiRNAによる細胞増殖の阻害を示す棒グラフである(MTTアッセイ)。対照siRNAにおいて、(EGFP)は、EGFPに対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;(LUC)は、ルシフェラーゼ-GL2に対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;かつ(SCR)は、ScrambleのsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示す。
【図5】URLC11の特徴を示す。図5aは、URLC11に対するsiRNAによるURLC11 mRNAの阻害を示す写真を示す。図5bは、URLC11に対するsiRNAによる細胞増殖の阻害を示す棒グラフである(MTTアッセイ)。対照siRNAにおいて、(EGFP)は、EGFPに対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;(LUC)は、ルシフェラーゼ-GL2に対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;かつ(SCR)は、ScrambleのsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示す。
【図6】NPTX1の特徴を示す。図6aおよび6bは、NPTX1に対するsiRNAによるNPTX1 mRNAの阻害を示す写真を示す。図6cおよび6dは、NPTX1に対するsiRNAによる細胞増殖の阻害を示す棒グラフである(MTTアッセイ)。対照siRNAにおいて、(EGFP)は、EGFPに対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;(LUC)は、ルシフェラーゼ-GL2に対するsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示し;かつ(SCR)は、ScrambleのsiRNAをトランスフェクトしたNSCLC細胞を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載され、これらは特許請求の範囲において記載される本発明の範囲を制限しない。
【実施例】
【0041】
[実施例1]一般的方法
細胞株および組織標本
ヒトNSCLC細胞株21系統を、5または10%ウシ胎児血清を添加した適当な培地において単層で増殖させた(表1を参照されたい)。
【0042】
【表1】

【0043】
cDNAマイクロアレイを用いたNSCLC細胞における過剰発現遺伝子の単離
cDNAマイクロアレイスライドの製作法についてはこれまでに報告されている(Ono K, Tanaka T, Tsunoda T, Kitahara O, Kihara C, Okamoto A, Ochiai K, Takagi T, and Nakamura Y. Cancer Res., 60: 5007-5011, 2000)。それぞれの発現プロフィールの分析に関して、実験ごとの変動を減少させるためにDNAスポット約23,040種を含むcDNAマイクロアレイスライドの2連組を調製した。端的には、NSCLC細胞から全RNAを精製した。マイクロアレイ実験のために十分なRNAを得るために、T7に基づくRNA増幅を行った。対照プローブとして、正常ヒト肺ポリ[A]RNA(CLONTECH)を同一の方法により増幅した。NSCLC細胞および正常肺細胞由来の増幅されたRNAのアリコートを、それぞれ、Cy5-dCTPおよびCy3-dCTP(Amersham Biosciences)による逆転写によって標識した。ハイブリダイゼーション、洗浄、および検出は以前に記載された通りに行った(Ono K, Tanaka T, Tsunoda T, Kitahara O, Kihara C, Okamoto A, Ochiai K, Takagi T, and Nakamura Y. Cancer Res., 60: 5007-5011, 2000)。次に、アップレギュレートされた遺伝子の中で、6種の遺伝子、すなわちPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、およびNPTX1に注目した。
【0044】
RNA調製およびRT-PCR
Trizol試薬(Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD, USA)を用いて、製造業者のプロトコールに従って培養細胞および臨床組織から全RNAを抽出した。抽出したRNAをDNアーゼI(Roche Diagnostics, Basel, Switzerland)によって処理し、Superscript II逆転写酵素(Life Technologies, Inc.)と共にオリゴ(dT)12-18プライマーを用いて一本鎖cDNAに逆転写した。β-アクチン(ACTB)またはβ-2-ミクログロブリン遺伝子(B2M)を定量対照としてモニターすることによって、その後のPCR増幅のための各一本鎖cDNAの適切な希釈系列を調製した。全ての反応について、GeneAmp PCR system 9700(Applied Biosystems)において、94℃ 2分間の初回変性、続いて、94℃ 30秒間、58〜62℃ 30秒間および72℃ 45秒間を18サイクル(ACTBまたはB2Mに対して)または25〜30サイクル(本発明の各遺伝子に対して)行った。プライマー配列を以下に記載する。
PKP3に対して
正方向; 5'-ATGCAGGACGGTAACTTCCTGC-3' (SEQ ID NO:73)
逆方向; 5'-TGGGCCCAGGAAGTCCTCCTT-3' (SEQ ID NO:74)
CDCA1に対して
正方向; 5'-GAGAAACTGAAGTCCCAGGAAAT-3' (SEQ ID NO:75)
逆方向; 5'-CTGATACTTCCATTCGCTTCAAC-3' (SEQ ID NO:76)
CDCA8に対して
正方向; 5'-CATCTGGCATTTCTGCTCTCTAT-3' (SEQ ID NO:77)
逆方向; 5'-CTCAGGGAAAGGAGAATAAAAGAAC-3' (SEQ ID NO:78)
DLX5に対して
正方向; 5'-GGGACTACTGTGTTTTGCTGTTC-3' (SEQ ID NO:79)
逆方向; 5'-TGAGGTCATAGATTTCAAGGCAC-3' (SEQ ID NO:80)
URLC11に対して
正方向; 5'-CTAGGAAGAAATCATGCTGGGTT-3' (SEQ ID NO:81)
逆方向; 5'-GTATTTGGCTTACTGTCCCAAAC-3' (SEQ ID NO:82)
NPTX1に対して
正方向; 5'-TAACCTTGATAGAAGAACCTTGG-3' (SEQ ID NO:83)
逆方向; 5'-GCAAATGAGACAAAATTGGGAC-3' (SEQ ID NO:84)
【0045】
ノーザンブロット分析
32P-標識PCR産物をヒト多組織ブロット(BD Biosciences Clontech)とハイブリダイズさせた。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、および洗浄は、供給業者の推奨に従って行った。ブロットについて、増感スクリーン上、-80℃で96〜168時間オートラジオグラフィーを行った。
【0046】
各遺伝子の組織分布およびサイズを決定するために、ヒト多組織ノーザンブロット分析を、ヒトcDNAをプローブとして用いて行った。
【0047】
psiH1 BX3.0プラスミドの構築
低分子干渉RNA(siRNA)を発現するプラスミドベクターを調製するために、プロモーター領域を含むH1RNA遺伝子のゲノム断片を、一組のプライマー
5'-TGGTAGCCAAGTGCAGGTTATA-3' (SEQ ID NO:85)および
5'-CCAAAGGGTTTCTGCAGTTTCA-3' (SEQ ID NO:86)
ならびに鋳型としてヒト胎盤DNAを用いるPCRによって増幅した。産物を精製し、TAクローニングキットを用いて供給業者のプロトコール(Invitrogen)に従ってpCR2.0プラスミドベクターにクローニングした。H1RNAを含むBamHI〜XhoI断片をpcDNA3.1(+)のヌクレオチド1257〜56位にクローニングし、断片を、
5'-TGCGGATCCAGAGCAGATTGTACTGAGAGT-3' (SEQ ID NO:87)および
5'-CTCTATCTCGAGTGAGGCGGAAAGAACCA-3' (SEQ ID NO:88)
を用いてPCRによって増幅した。
【0048】
ライゲーションしたDNAは、プライマー
5'-TTTAAGCTTGAAGACCATTTTTGGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAC-3' (SEQ ID NO:89) および
5'-TTTAAGCTTGAAGACATGGGAAAGAGTGGTCTCA-3' (SEQ ID NO:90)
によるPCR増幅のための鋳型となった。
【0049】
産物をHindIIIによって消化し、その後自己ライゲーションさせ、SEQ ID NO:91に示されるヌクレオチド配列を有するpsiH1BX3.0ベクタープラスミドを産生した。
【0050】
siRNAをコードするDNA断片を、以下のプラスミド配列(SEQ ID NO:91)において(-)と表記したように、ヌクレオチド489〜492位でGAPに挿入した。



siRNA発現ベクターは、psiH1BXベクターのBbsI部位に二本鎖オリゴヌクレオチドをクローニングすることによって調製した。
【0051】
siRNA発現構築物
Ambion社のウェブサイト(http://www.ambion.com/techlib/misc/siRNA_finder.html)から入手可能なsiRNA設計用コンピュータープログラムを用いてsiRNAのヌクレオチド配列を設計した。端的には、以下のプロトコールを用いてsiRNA合成のためのヌクレオチド配列を選択する。
【0052】
siRNA標的部位の選択:
1.各遺伝子転写産物の開始コドンAUGから、下流に向かってAAジヌクレオチド配列をスキャンする。siRNA標的部位候補として、各AAおよび3'側に隣接した19ヌクレオチドを記録する。Tuschlらは、調節タンパク質結合部位に富む可能性があることから、5'および3'非翻訳領域(UTR)、ならびに開始コドンの近傍領域(75塩基以内)に対するsiRNAの設計を推奨していない。UTR結合タンパク質および/または翻訳開始複合体は、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害する可能性がある。
2.可能性がある標的部位を適切なゲノムデータベース(ヒト、マウス、ラット等)と比較し、他のコード配列と有意な相同性を有するいかなる標的配列をも除外する。
3.合成のために適格な標的配列を選択する。遺伝子の全長に沿っていくつかの標的配列を評価のために選択する。
PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1のsiRNAのために用いられるオリゴヌクレオチドを以下に示す。各ヌクレオチドは、標的配列のセンスヌクレオチド配列およびアンチセンスヌクレオチド配列の組み合わせである。ヘアピンループ構造のヌクレオチド配列およびsiRNAの標的配列をそれぞれ、SEQ ID NO:43〜SEQ ID NO:57およびSEQ ID NO:58〜SEQ ID NO:72に示す(エンドヌクレアーゼ認識部位を各ヘアピンループ構造配列から除去する)。同様に、対照siRNA(psiH1BX-EGFP、psiH1BX-LUC、またはpsiH1BX-SCR(Scramble))のヘアピンループ構造および標的配列のヌクレオチド配列をそれぞれ、SEQ ID NO:98〜SEQ ID NO:100およびSEQ ID NO:101〜103に示す。
【0053】
PKP3に対するsiRNA発現ベクターの挿入配列;
siRNA2:
5'-TCCCCCTGTGGCAGTACAACAAGTTCAAGAGACTTGTTGTACTGCCACAGG-3'(SEQ ID NO:13)および
5'-AAAACCTGTGGCAGTACAACAAGTCTCTTGAACTTGTTGTACTGCCACAGG-3'(SEQ ID NO:14)
CDCA1に対するsiRNA発現ベクターの挿入配列;
siRNA1:
5'-TCCCTGCCAGACAAGAAGTGGTGTTCAAGAGACACCACTTCTTGTCTGGCA-3'(SEQ ID NO:15)および
5'-AAAATGCCAGACAAGAAGTGGTGTCTCTTGAACACCACTTCTTGTCTGGCA-3'(SEQ ID NO:16)
siRNA2:
5'-TCCCGATGCTGCTGAAAGGGAGATTCAAGAGATCTCCCTTTCAGCAGCATC-3'(SEQ ID NO:17)および
5'-AAAAGATGCTGCTGAAAGGGAGATCTCTTGAATCTCCCTTTCAGCAGCATC-3'(SEQ ID NO:18)
CDCA8に対するsiRNA発現ベクターの挿入配列;
siRNA1:
5'-TCCCCAGCAGAAGCTATTCAGACTTCAAGAGAGTCTGAATAGCTTCTGCTG-3'(SEQ ID NO:19)および
5'-AAAACAGCAGAAGCTATTCAGACTCTCTTGAAGTCTGAATAGCTTCTGCTG-3'(SEQ ID NO:20)
siRNA2:
5'-TCCCGGTGTCCTCCATCCAAGAATTCAAGAGATTCTTGGATGGAGGACACC-3'(SEQ ID NO:21)および
5'-AAAAGGTGTCCTCCATCCAAGAATCTCTTGAATTCTTGGATGGAGGACACC-3'(SEQ ID NO:22)
siRNA3:
5'-TCCCGCCGTGCTAACACTGTTACTTCAAGAGAGTAACAGTGTTAGCACGGC-3'(SEQ ID NO:23)および
5'-AAAAGCCGTGCTAACACTGTTACTCTCTTGAAGTAACAGTGTTAGCACGGC-3'(SEQ ID NO:24)
siRNA4:
5'-TCCCGAAGCTCTCCAACCGTCTCTTCAAGAGAGAGACGGTTGGAGAGCTTC-3'(SEQ ID NO:25)および
5'-AAAAGAAGCTCTCCAACCGTCTCTCTCTTGAAGAGACGGTTGGAGAGCTTC-3'(SEQ ID NO:26)
DLX5に対するsiRNA発現ベクターの挿入配列;
siRNA2:
5'-TCCCGACTCAGTACCTCGCCTTGTTCAAGAGACAAGGCGAGGTACTGAGTC-3'(SEQ ID NO:27)および
5'-AAAAGACTCAGTACCTCGCCTTGTCTCTTGAACAAGGCGAGGTACTGAGTC-3'(SEQ ID NO:28)
siRNA6:
5'-TCCCGGTTTCAGAAGACTCAGTATTCAAGAGATACTGAGTCTTCTGAAACC-3'(SEQ ID NO:29)および
5'-AAAAGGTTTCAGAAGACTCAGTATCTCTTGAATACTGAGTCTTCTGAAACC-3'(SEQ ID NO:30)
siRNA7:
5'-TCCCGTGCAGCCAGCTCAATCAATTCAAGAGATTGATTGAGCTGGCTGCAC-3'(SEQ ID NO:31)および
5'-AAAAGTGCAGCCAGCTCAATCAATCTCTTGAATTGATTGAGCTGGCTGCAC-3'(SEQ ID NO:32)
発現ベクターURLC11に対するsiRNAの挿入配列;
siRNA1:
5'-TCCCGAGAATTCATTACTACAGCTTCAAGAGAGCTGTAGTAATGAATTCTC-3'(SEQ ID NO:33)および
5'-AAAAGAGAATTCATTACTACAGCTCTCTTGAAGCTGTAGTAATGAATTCTC-3'(SEQ ID NO:34)
siRNA3:
5'-TCCCGGATATTCCTGCTGTTCCATTCAAGAGATGGAACAGCAGGAATATCC-3'(SEQ ID NO:35)および
5'-AAAAGGATATTCCTGCTGTTCCATCTCTTGAATGGAACAGCAGGAATATCC-3'(SEQ ID NO:36)
siRNA4:
5'-TCCCGATATTCAGGAGCAGCATGTTCAAGAGACATGCTGCTCCTGAATATC-3'(SEQ ID NO:37)および
5'-AAAAGATATTCAGGAGCAGCATGTCTCTTGAACATGCTGCTCCTGAATATC-3'(SEQ ID NO:38)
発現ベクターNPTX1に対するsiRNAの挿入配列;
siRNA1:
5'-TCCCGGAGACCATCCTGAGCCAGTTCAAGAGACTGGCTCAGGATGGTCTCC-3'(SEQ ID NO:39)および
5'-AAAAGGAGACCATCCTGAGCCAGTCTCTTGAACTGGCTCAGGATGGTCTCC-3'(SEQ ID NO:40)
siRNA2:
5'-TCCCGTGGACCTTCGAGGCCTGTTTCAAGAGAACAGGCCTCGAAGGTCCAC-3'(SEQ ID NO:41)および
5'-AAAAGTGGACCTTCGAGGCCTGTTCTCTTGAAACAGGCCTCGAAGGTCCAC-3'(SEQ ID NO:42)
対照のsiRNA発現ベクターの挿入配列
psiH1BX-EGFP(EGFPsi)
5'-CACCGAAGCAGCACGACTTCTTCTTCAAGAGAGAAGAAGTCGTGCTGCTTC-3' (SEQ ID NO:92)および
5'-AAAAGAAGCAGCACGACTTCTTCTCTCTTGAAGAAGAAGTCGTGCTGCTTC-3' (SEQ ID NO:93)
psiH1BX-LUC(LUCsi)
TCCCCGTACGCGGAATACTTCGATTCAAGAGATCGAAGTATTCCGCGTACG (SEQ ID NO:94)および
AAAACGTACGCGGAATACTTCGATCTCTTGAATCGAAGTATTCCGCGTACG (SEQ ID NO:95)
psiH1BX-SCR(SCRsi)
TCCCGCGCGCTTTGTAGGATTCGTTCAAGAGACGAATCCTACAAAGCGCGC (SEQ ID NO:96)および
AAAAGCGCGCTTTGTAGGATTCGTCTCTTGAACGAATCCTACAAAGCGCGC (SEQ ID NO:97)
【0054】
各配列の配列番号を表2に記載する。
【表2】

【0055】
RNA干渉アッセイ
哺乳動物細胞において低分子干渉RNA(siRNA)の合成を導く、ベクターに基づくRNAiシステムpsiH1BX3.0を、NSCLC細胞における内因性の遺伝子それぞれの発現を抑制するために用いた。Lipofectamine 2000試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を用いてベクターをNSCLC細胞株にトランスフェクトし、これにより60〜90%を超えるトランスフェクション効率のトランスフェクションがもたらされた。細胞を適切な濃度のジェネティシン(G418)の存在下で5〜9日間培養した。細胞数または細胞生存率は、ギムザ染色および/またはMTTアッセイに基づいて3連実験により決定した。
【0056】
免疫細胞化学分析
c-myc-Hisタグタンパク質を調製するために、各タンパク質のC末端においてc-myc-Hisエピトープ配列(LDEESILKQE-HHHHHH)をコードする遺伝子を含むプラスミド、pcDNA3.1(+)/c-myc-Hisを構築し、COS-7細胞にトランスフェクトした。チャンバースライドに再播種した、一過性にトランスフェクトしたCOS-7細胞を4%パラホルムアルデヒドを含むPBSによって固定した後、0.1% Triton X-100を含むPBSによって4℃で3分間透過化した。ブロッキング溶液(2%BSAのPBS溶液)により細胞を室温にて30分間カバーし、非特異的抗体結合部位をブロックした。次に、細胞をマウス抗c-myc抗体(ブロッキング溶液中で1:800希釈)と共にインキュベートした。抗体を、FITCに結合させたヤギ抗マウス二次抗体によって染色し、ECLIPSE E800顕微鏡(Nikon)下で観察した。特にPKP3の場合、細胞をマウス抗c-myc-ローダミン抗体(ブロッキング溶液中で1:800希釈)またはFITCに結合した抗PKP3抗体によって染色し、ECLIPSE E800顕微鏡(Nikon)下で観察した。
【0057】
3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)アッセイ
細胞にpsiH1BX3.0-siRNAまたは対照プラスミドをトランスフェクトし、最適な濃度のジェネティシンを添加した培養培地において維持した。トランスフェクションの6〜12日後、培地を500μg/mlのMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)(Sigma)を含む新鮮な培地に交換し、プレートを37℃で4時間インキュベートした。その後、1 mlの0.01 N HCl/10%SDSを加えることによって細胞を溶解し、溶解物の吸光度を試験波長570 nm(参照、630 nm)でELISAプレートリーダーによって測定した。細胞の生存率は、対照細胞の吸光度と比較した吸光度として表記した。
【0058】
Matrigel浸潤アッセイ
PKP3を発現するプラスミドまたはモック(mock)プラスミドを一過性にトランスフェクトしたCOS-7細胞を、10%ウシ胎児血清を含むDMEMにおいてほぼコンフルエンスまで増殖させた。細胞をトリプシン処理によって回収した後、血清またはプロテイナーゼ阻害剤を添加しないDMEMにおいて洗浄した。細胞をDMEMにおいて1×105個/mlで浮遊させた。細胞浮遊液を調製する前に、Matrigelマトリクス(Becton Dickinson Labware, Bedford, MA, USA)の乾燥した層をDMEMによって室温で2時間再水和させた。10%ウシ胎児血清を含むDMEM(0.75 ml)を、24ウェルMatrigel浸潤チャンバーの下チャンバーそれぞれに加え、細胞浮遊液0.5 ml(5×104細胞)を上チャンバーの各インサート(insert)に加えた。インサートのプレートを37℃で22時間インキュベートした。インキュベーション後、チャンバーを処理し、Matrigelによりコーティングされたインサートを通じて浸潤した細胞を、供給業者(Becton Dickinson)によって指示されるように固定し、ギムザ染色した。
【0059】
[実施例2]結果
遺伝子23,040種を含むcDNAマイクロアレイによるアップレギュレートされた遺伝子のスクリーニング(Kikuchi, T., Daigo, Y., Katagiri, T., Tsunoda, T., Okada, K., Kakiuchi, S., Zembutsu, H., Furukawa, Y., Kawamura, M., Kobayashi, K., Imai, K., and Nakamura, Y. Expression profiles of non-small cell lung cancers on cDNA microarrays: identification of genes for prediction of lymph-node metastasis and sensitivity to anti-cancer drugs, Oncogene. 22: 2192-205, 2003)が以前に行われた。そのような方法によって、臨床的NSCLCおよび細胞株の大多数において6種の遺伝子が大量に発現されることを同定した。本発明において、6種の遺伝子:plakophilin 3(PKP3)、cell division cycle associated 1(CDCA1)、cell division cycle associated 8(CDCA8)、distal-less homeo box 5(DLX5)、URLC11およびneuronal pentraxin 1(NPTX1)は、肺癌の治療に関して有望な標的分子であることが判明した。
【0060】
(1)PKP3:(GenBankアクセッション番号NM_007183)
ノーザンブロット
ヒトPKP3 cDNAをプローブとして用いたノーザンブロット分析により、心臓、胎盤、膵臓、前立腺、小腸、胃、甲状腺および気管において3 kbの転写産物が検出された(図1a)。
【0061】
RNAi
PKP3が肺癌細胞の増殖または生存にとって必須であるか否かを評価することを目的として、本発明者らは、PKP3に対するsiRNA(si2)を発現するプラスミド、および3つの異なる対照プラスミド(EGFP、ルシフェラーゼ(LUC)、またはScramble(SCR)に対するsiRNA)を設計および構築し、内因性のPKP3の発現を抑制するためにA549およびLC319細胞にそれらをトランスフェクトした。si2をトランスフェクトした細胞におけるPKP3転写産物の量は、3つの対照siRNAのいずれかをトランスフェクトした細胞と比較して有意に減少した(図1b、1c);si2のトランスフェクションはまた、MTT(図1d、1e)およびコロニー形成アッセイ(データは示していない)によって測定した細胞生存率およびコロニー数の有意な減少を引き起こした。
【0062】
免疫細胞化学分析
この遺伝子によってコードされるタンパク質の細胞内局在を決定するために、COS-7細胞にc-myc-Hisタグ付加PKP3発現プラスミドをトランスフェクトした。本発明者らは、免疫細胞化学分析によって、主に核周囲および細胞質膜においてPKP3/c-myc-Hisタンパク質を検出した(図1f)。
【0063】
Matrigel浸潤アッセイ
Matrigel浸潤アッセイはCOS-7-PKP3細胞を用いて行った。Matrigelを通じてのCOS-7-PKP3細胞の浸潤は、モックプラスミドをトランスフェクトした対照細胞と比較して有意に促進された(図1g)。
【0064】
(2)CDCA1:(GenBankアクセッション番号NM_145697)
ノーザンブロット
ヒトCDCA1 cDNAをプローブとして用いたノーザンブロット分析により、精巣において2.4 kbの転写産物が検出された(図2a)。
【0065】
RNAi
CDCA1が肺癌細胞の増殖または生存にとって必須であるか否かを評価することを目的として、本発明者らは、CDCA1に対するsiRNA(si1、si2)を発現するプラスミド、および3つの異なる対照プラスミド(EGFP、LUC、またはSCRに対するsiRNA)を設計および構築し、内因性のCDCA1の発現を抑制するために、これらをLC319細胞にトランスフェクトした。si1およびsi2をトランスフェクトした細胞におけるCDCA1転写産物の量は、3つの対照siRNAのいずれかをトランスフェクトした細胞と比較して有意に減少した(図2b);si1およびsi2のトランスフェクションはまた、MTT(図2c)およびコロニー形成アッセイ(データは示していない)によって測定した細胞生存率およびコロニー数の有意な減少を引き起こした。
【0066】
免疫細胞化学分析
この遺伝子によってコードされるタンパク質の細胞内局在を決定するために、COS-7細胞にc-myc-Hisタグ付加CDCA1発現プラスミドをトランスフェクトした。本発明者らは、免疫細胞化学分析によって、主に核および細胞質においてCDCA1/c-myc-Hisタンパク質を検出した(データは示していない)。
【0067】
(3)CDCA8(GenBankアクセッション番号NM_018101)
ノーザンブロット
ヒトCDCA8 cDNAをプローブとして用いたノーザンブロット分析により、精巣において2.4 kbの転写産物が検出された(図3a)。
【0068】
RNAi
CDCA8が肺癌細胞の増殖または生存にとって必須であるか否かを評価することを目的として、本発明者らは、CDCA8に対するsiRNA(si1、si2、si3、si4)を発現するプラスミド、および3つの異なる対照プラスミド(EGFP、LUC、またはSCRに対するsiRNA)を設計および構築し、内因性のCDCA8の発現を抑制するために、それらをLC319細胞(データは示していない)およびA549細胞にトランスフェクトした。si1、si2、si3、およびsi4をトランスフェクトした細胞におけるCDCA8転写産物の量は、3つの対照siRNAのいずれかをトランスフェクトした細胞と比較して有意に減少した(図3b);si1、si2、si3、およびsi4のトランスフェクションはまた、コロニー形成アッセイ(データは示していない)によって測定したコロニー数の有意な減少を引き起こした。
【0069】
免疫細胞化学分析
この遺伝子によってコードされるタンパク質の細胞内局在を決定するために、COS-7細胞にc-myc-Hisタグ付加CDCA8発現プラスミドをトランスフェクトした。本発明者らは、免疫細胞化学分析によって、主に核および細胞質においてCDCA8/c-myc-Hisタンパク質を検出した(データは示していない)。
【0070】
(4)DLX5(GenBankアクセッション番号BC006226)
ノーザンブロット
ヒトDLX5 cDNAをプローブとして用いたノーザンブロット分析により、胎盤において1.5 kbの転写産物が検出された(図4a)。
【0071】
RNAi
DLX5が肺癌細胞の増殖または生存にとって必須であるか否かを評価することを目的として、本発明者らは、DLX5に対するsiRNA(si2、si6、si7)を発現するプラスミド、および3つの異なる対照プラスミド(EGFP、LUC、またはSCRに対するsiRNA)を設計および構築し、内因性のDLX5の発現を抑制するために、それらをLC319細胞にトランスフェクトした。si2、si6、およびsi7をトランスフェクトした細胞におけるDLX5転写産物の量は、対照siRNAをトランスフェクトした細胞と比較して有意に減少した(図4b);si2、si6、およびsi7のトランスフェクションはまた、MTT(図4c)およびコロニー形成アッセイ(データは示していない)によって測定した細胞生存率およびコロニー数の有意な減少を引き起こした。
【0072】
(5)URLC11(GenBankアクセッション番号AB105188)
RNAi
URLC11が肺癌細胞の増殖または生存にとって必須であるか否かを評価することを目的として、本発明者らは、URLC11に対するsiRNA(si1、si3、si4)を発現するプラスミド、および3つの異なる対照プラスミド(EGFP、LUC、またはSCRに対するsiRNA)を設計および構築し、内因性のURLC11の発現を抑制するために、それらをA549細胞にトランスフェクトした。si1、si3、およびsi4をトランスフェクトした細胞におけるURLC11転写産物の量は、3つの対照siRNAのいずれかをトランスフェクトした細胞と比較して有意に減少した(図5a);si1、si3、およびsi4のトランスフェクションはまた、MTT(図5b)およびコロニー形成アッセイ(データは示していない)によって測定した細胞生存率およびコロニー数の有意な減少を引き起こした。
【0073】
(6)NPTX1(GenBankアクセッション番号NM_002522)
RNAi
NPTX1が肺癌細胞の増殖または生存にとって必須であるか否かを評価することを目的として、本発明者らは、NPTX1に対するsiRNA(si1、si2)を発現するプラスミド、および3つの異なる対照プラスミド(EGFP、LUC、またはSCRに対するsiRNA)を設計および構築し、内因性のNPTX1の発現を抑制するために、それらをA549およびLC176細胞にトランスフェクトした。si1およびsi2をトランスフェクトした細胞におけるNPTX1転写産物の量は、3つの対照siRNAのいずれかをトランスフェクトした細胞と比較して有意に減少した(図6a、6b);si1、およびsi2のトランスフェクションはまた、MTT(図6c、6d)およびコロニー形成アッセイ(データは示していない)によって測定した細胞生存率およびコロニー数の有意な減少を引き起こした。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明者らは、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子の発現を阻害することによって、細胞増殖が抑制されることを示した。特に、これらの遺伝子を特異的に標的とする低分子干渉RNA(siRNA)は、細胞増殖の抑制において有効であった。したがって、この新規siRNAは、抗癌剤の開発のために有用な標的である。例えば、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を防止するか、またはその活性を阻止する物質は、抗癌剤として、特にNSCLCのような肺癌の治療のための抗癌剤として治療的有用性を示す可能性がある。
【0075】
本発明は、その特定の態様を参照して詳細に記載されているが、ここにおいて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更および改変がなされる可能性があることは、当業者にとって明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)を含む組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者における肺癌を治療または予防する方法。
【請求項2】
siRNAが、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1由来の配列と特異的にハイブリダイズするセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
siRNAが、標的配列としてSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72からなる群より選択される配列に対応するリボヌクレオチド配列を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
siRNAが一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有し、
[A]がSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチドからなる群より選択される配列に対応するリボヌクレオチド配列であり、
[B]が約3〜約23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり、かつ
[A']が[A]の相補的配列からなるリボヌクレオチド配列である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
組成物がトランスフェクション増強剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
センス鎖がSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72からなる群より選択される標的配列に対応するリボヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖が該センス鎖と相補的であるリボヌクレオチド配列を含み、該センス鎖と該アンチセンス鎖とが互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、かつPKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1遺伝子を発現する細胞に導入された場合に、該二本鎖分子が該遺伝子の発現を阻害する、センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖分子。
【請求項8】
標的配列が、SEQ ID NO:1、3、5、7、9、または11の群から選択されるヌクレオチド配列由来の少なくとも約10個の連続したヌクレオチドを含む、請求項7記載の二本鎖分子。
【請求項9】
標的配列が、SEQ ID NO:1、3、5、7、9、または11の群から選択されるヌクレオチド配列由来の約19〜約25個の連続したヌクレオチドを含む、請求項8記載の二本鎖分子。
【請求項10】
二本鎖分子が、一本鎖リボヌクレオチド配列を介して結合したセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む単一のリボヌクレオチド転写産物である、請求項9記載の二本鎖分子。
【請求項11】
二本鎖分子が、長さが約100ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドである、請求項8記載の二本鎖分子。
【請求項12】
二本鎖分子が、長さが約75ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドである、請求項11記載の二本鎖分子。
【請求項13】
二本鎖分子が、長さが約50ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドである、請求項12記載の二本鎖分子。
【請求項14】
二本鎖分子が、長さが約25ヌクレオチド未満のオリゴヌクレオチドである、請求項13記載の二本鎖分子。
【請求項15】
二本鎖分子が、長さが約19ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドの間のオリゴヌクレオチドである、請求項14記載の二本鎖ポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項7記載の二本鎖分子をコードするベクター。
【請求項17】
二次構造を有する転写産物をコードし、かつセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む、請求項16記載のベクター。
【請求項18】
転写産物が、センス鎖とアンチセンス鎖とが結合した一本鎖リボヌクレオチド配列をさらに含む、請求項17記載のベクター。
【請求項19】
センス鎖核酸が、SEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖核酸がセンス鎖と相補的な配列からなる、センス鎖核酸とアンチセンス鎖核酸との組み合わせを含むポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項20】
ポリヌクレオチドが一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有し、[A]がSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチド配列であり、[B]が約3〜約23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、かつ[A']が[A]と相補的なヌクレオチド配列である、請求項19記載のベクター。
【請求項21】
活性成分として、PKP3、CDCA1、CDCA8、DLX5、URLC11、またはNPTX1の発現を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)の薬学的有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、肺癌を治療または予防するための薬学的組成物。
【請求項22】
siRNAが、標的配列としてSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項21記載の薬学的組成物。
【請求項23】
siRNAが一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有し、[A]がSEQ ID NO:58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72のヌクレオチド配列に対応するリボヌクレオチド配列であり、[B]が約3〜約23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり、かつ[A']が[A]と相補的なリボヌクレオチド配列である、請求項22記載の組成物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−78418(P2011−78418A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248037(P2010−248037)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2006−526449(P2006−526449)の分割
【原出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】