説明

肺癌治療用デキストラン

本発明はデキストランに関し、特に、肺癌治療に用いられるデキストランに関する。本発明のデキストランの主鎖は、下記の重複構造ユニットにより構成され、分子量は150万〜250万ドルトンである。本発明のデキストランは主に抗肺癌薬物として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデキストラン重合物に関し、特に肺癌治療に用いられるデキストランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
肺癌という悪性腫瘍は、現在ヒトを死に至らしめる第一位の疾患となっており、環境汚染の激化による肺癌の発病率が高くなり、最近10年間11.90%の速度で上昇している。2000年になって、全世界の悪性腫瘍発病件数は既に1000万件を超え、死亡者数が620万人となった。1000万件の悪性腫瘍発病件数のうち、肺癌の発病件数が123.9万件で、全悪性腫瘍発病件数の12.32%を占めており、肺癌死亡者数が110.3万人で、総死亡者数の17.77%を占めることで、発病者数も死亡者数も第一位となった。現在、全世界で毎年150万〜180万人が肺癌で死亡し、中国の肺癌危害は更に深刻になっており、10万人ごとに83.43人が発病するという発病率である。中国の年次肺癌発病者数は100万人を上回り、一年に肺癌で死亡する人は既に60万人に達した。すなわち、肺癌という悪性腫瘍は、既にヒトの健康を脅かす第一の致死疾患になった。その為、肺癌の予防、治療が可能な新しい特効薬の開発は、国内外医薬界の当面の急務となり、重要な注目ポイントとなった。
【0003】
現在、肺癌の治療方法及び関連薬品には、一定の限界性が存在し、例えば、抗癌治療としては、外科的切除、放射線療法と化学療法(薬物療法)がある。しかし、患者が肺癌と診断された時点で、80%の症例は外科的切除の適応外にまで進行しているのが現状である。一方、放射線療法には、放射線による正常組織への損傷問題が存在し、化学(薬物)治療には、普遍的な細胞毒性作用を有し、及びその薬剤用量に制限があるため、特に肝臓、腎臓、骨髄と消化器系に対する細胞毒性の副効果がひどくて、肺癌の治療効果を大幅に制限する。新しい治療方法は原発病巣に対して一定の作用があるが、絶えず散発する転移病巣については対処しにくい。分子標的療法(遺伝子療法)は、肺癌患者に希望を与えたが、そのベクター構築、ベクターと入射体との連結、及び機体分布、代謝過程中の変化など多くの解決すべき課題は、現在も検討中である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者はこれまでの研究から、ナメクジから抽出されるPE-40糖蛋白質には、小肺癌細胞と非小肺癌細胞とに対する直接抑制作用があり、また、例えばDDP、5-FUのような化学療法薬物及びTNF-αといったサイトカインに対する相乗効果があり、さらに、明らかな毒性効果がなく、全体的な効果が他の漢方薬より優れていたことを発見した。ただし、蛋白質成分を含むため、感作されやすく、化学的に安定した状態をとるのが難しい為、限られた条件下でなければ効果を発揮できない。本発明の主旨は、肺癌抑制効果がよいナメクジ糖蛋白質に対して、蛋白質を除去し、多糖を抽出した状態で、減弱がない薬効を維持することである。ナメクジの多糖は、腫瘍細胞を栄養する血管の成長を防ぐことにより、腫瘍細胞のDNAとRNAの正常代謝を妨害し、腫瘍細胞の死を促進し、病巣の成長を抑制することで治療効果を発揮する。
【0005】
更に、現在は、ハイスループット細胞活性スクリーニング技術を応用して、上記ナメクジPE-40糖蛋白質分子中の天然多糖成分の中に活性が一番高いナメクジ多糖成分(KY-1)を同定した。また、KY-1中の成分の一つであるデキストランKY-1-1の分子構造をも明らかにした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデキストランは、主鎖が下記の重複構造ユニットにより構成され、分子量が150万〜250万ドルトンのデキストランである。
【0007】
【化1】

【0008】
本発明のデキストランは、ナメクジの中から抽出した物である。
今までの研究は、ナメクジの体内よりPE-40糖蛋白質を抽出したが、このような糖蛋白質は小細胞肺癌と非小細胞肺癌細胞に対してすべて直接の抑制作用を持ち、例えばDDPと5-FUのような多種化学療法薬物、及び細胞因子TNF-αに対して相乗・減毒の効果を持ち、全体の効果はその他の漢方薬より優れている。ただし、分子内に蛋白質成分を含むため、感作性の制御し難い問題が存在し、適応範囲をある程度制限している。この問題を解決するために、その他に、ナメクジの糖蛋白質より、蛋白質を除去し、多糖類を抽出し、且つ減弱がない薬効を維持することができる。この時、ナメクジの多糖は、多種の多糖を含む混合多糖(天然多糖)であり、当該天然多糖は腫瘍細胞を栄養する血管の成長を防ぐことにより、腫瘍細胞のDNAとRNAの正常代謝を妨害し、腫瘍細胞の死を促進することで病巣の成長を抑制することで治療効果を発揮する。本発明では、上記混合多糖類の作用構造と作用効果を更に研究するため、混合多糖(天然多糖)の中から各種成分、例えばKY-1、KY-2とKY-3等を分離し、更にKY-1からKY-1-1とKY-1-2を分離した。実験の検証によれば、本発明による多糖成分(KY-1-1)は、現在までの研究で、最高の活性と薬用効果のあるKY-1分子中の1つの均一の成分であることが明らかとなり、KY-1-1分子構造がデキストランの1種であることが同定された。
【0009】
本発明のデキストランは、主に抗肺癌薬物の調製に用いられる。本発明のデキストランの中に、薬理学的に受容可能な補助薬剤を更に添加することにより、各種形式の抗肺癌薬物を製造することができる。例えば、冷凍乾粉針、注射剤、錠剤、カプセル剤などの常用剤型が挙げられる。
【0010】
本発明のデキストラン(KY-1-1)の調製方法は、天然多糖の抽出及び天然多糖の分離純化の二つ主要なプロセスを含む。天然多糖はアルコール沈殿とトリクロル酢酸の除蛋白質及び透析などのプロセスにより調製されたものである。その具体的な確認過程を、下記の実施例の中で詳しく説明する。
【0011】
本発明のデキストランは、現在までの研究で発見されたナメクジ天然多糖において最も高い活性を持つ部位の1種の均一多糖であり、現在の抗肺癌効果が最も効果的な成分の1つである。本発明により同定されたデキストランの分子構造は、今後の薬物合成及び薬理薬効の深い研究のために基礎を固めたと言える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】デキストラン分子量と保持時間との関係を示す標準曲線のグラフである。
【図2】水相成分がゲルクロマトグラフィーシステム(S-1000)を通して分離されて得た二種の成分を示すHPLC図である。
【図3】成分KY-1が更にS-400のゲルカラムを通して分離されて得た二種の成分を示すHPLC図である。
【図4】成分KY-1-1のHPLC検出結果図である。
【図5】成分KY-1-2のHPLC検出結果図である。
【図6】成分KY-2のHPLC検出結果図である。
【図7】成分KY-1-1の紫外線全走査図である。
【図8】標準サンプル単糖のガスクロマトグラフィー図である。
【図9】成分KY-1-1のガスクロマトグラフィー図である。
【図10】成分KY-1-1のメチル化後の総イオン電流図である。
【図11】保持時間が3.44分である場合のマススペクトルである。
【図12】27℃の時のKY-1-1の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図13】27℃の時のKY-1-1の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図14】27℃の時のKY-1-1の13C DEPT-135の核磁気共鳴スペクトルである。
【図15】KY-1-1の1H-1H COSY 核磁気共鳴スペクトルである。
【図16】KY-1-1のTOCSYの核磁気共鳴スペクトルである。
【図17】KY-1-1のHMQC部分の核磁気共鳴スペクトルである。
【図18】KY-1-1のHMBCの核磁気共鳴スペクトルである。
【図19】KY-1-1のNOESY部分の核磁気共鳴スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のデキストラン調製方法、分子構造の同定と薬効学研究に関して説明する。
【0014】
本発明のデキストランは、ナメクジの体内から抽出した物であり、実験によりとても良い抗肺癌作用を持つことが証明された。以下、本発明のデキストラン抽出方法、構造確認と治療効果に関して詳細に説明する。
【0015】
一、本発明のデキストランの調製方法
1、天然多糖の抽出
素材:アシヒダナメクジ(Vaginulus alte Ferussac, 1821)、軟体動物門、腹足綱、有肺亜綱、柄眼目、アシヒダナメクジ科、アシヒダナメクジ属である。
【0016】
新鮮なナメクジ(1604g)に水1000mlを加え、均一に攪拌し、6000r/minで15min遠心分離して、上澄み液、残留物を取る。上記の操作を繰り返して、最後に上澄み液合併・濃縮して、上澄み液1000mlを得る。その後、最終濃度が60%になるまでに、合併した上澄み液の中にアルコールを入れて調製し、それを一晩静置した後、遠心して沈殿物を取得し、冷凍乾燥して、新鮮のナメクジ天然抽出物(40g、取得率2.5%、多糖含有量16.9%)を取得する。
【0017】
上記の新鮮ナメクジ天然抽出物を水に溶かし、体積比1:10で30%のトリクロル酢酸(TCA)を入れて15分間均一に混合し、その後、30分間静置し遠心分離し、沈殿物を除いて、上澄み液を得る。水道水、蒸留水で流動透析(分子量1万ドルトンの膜)して、濃縮し、冷凍乾燥することでナメクジ天然多糖(24g、取得率1.5%、多糖含有量19.8%)を得る。薬理活性スクリーニングにより、このナメクジ多糖成分は最も有効な成分である。
【0018】
2.天然多糖の分離純化
冷凍された天然多糖を室温で徐々に溶解させ、遠心(12000r/min、10min)分離により沈殿物を除去する。上清液を透析し、トリクロル酢酸を(1000D透析袋)排出し、残りの溶液をイオン交換カラム[DEAE SepHarose fastflow(室温、自然pH値)]に加え、蒸留水で洗った後に水相成分を取得し、濃縮後にゲルカラム(S-1000)により分離して2種類の成分を取得し、それぞれを「KY-1」、「KY-2」と命名する。それから、KY-1をゲルカラム(S-400)により継続的に分離することにより、更に2種類の成分を取得することができ、それぞれを「KY-1-1」、「KY-1-2」と命名する。ここで、「KY-1-1」が本発明のデキストランである。
【0019】
二、本発明抽出物の中のデキストラン構造解析
1、純度検定及び多糖分子量の測定
(1)デキストラン標準曲線
デキストランT-2000、デキストランT-500、デキストランT-70、デキストランT-40とデキストランT-10を各0.01gずつ秤とって、それぞれを5mlのイオン除去水の中に溶解し、HPLC(SHODEX SB-804ゲルカラム、200nm検定)で、それぞれの保持時間を測定する。保持時間を横座標とし、分子量の対数値を縦座標として、デキストラン標準曲線図(図1を参照)を作成し、作成された図から、曲線の回帰方程曲線の回帰方程式をフィッティングする。
y=-0.6647x+7.6644
R2=0.9961
HPLCの作動パラメータは以下の通りである。
一次注入量:20μl
流動相:二倍蒸留水
流速:0.8ml/min
カラム温度:40℃
検出器:紫外線検出器(206nm、280nm)
【0020】
(2)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析
成分KY-1、KY-1-1、KY-1-2、KY-2のHPLC(条件は上記と同じ)分析を行うことで、図2-6を得る(ここで、図2における4〜6分画がKY-1であり、13〜16分画がKY-2である(赤は190nm、青は280nm))。図示のように、成分KY-1は、純度が比較的に高く、且つ280nmの吸収が比較的に弱いもので、分子量が200万ドルトン以上である。成分KY-2は、その中に少なくとも3つの成分が含まれ、第一の成分が280nmで一定の吸収がある。分析によれば、KY-1-1は均一成分であり、その他はすべて混合成分であることが分かった。
【0021】
2、多糖含有量測定
(1)標準曲線の作成
サンプル(105℃乾燥恒重)分析が純粋であった無水デキストラン0.5000gを取って、100mlに稀釈しその後、溶液1mlを取って50mlの容量瓶に溶け、そして、蒸留水を入れて50mlまでに定容する。それぞれ0.2ml、0.4ml、0.6ml、0.8ml、1.0ml、1.2mlを取って、各々に対して試験管三つを使って、蒸留水を2mlまでに入れ、その後、1mlのフェノール(5%)を入れ、また5mlの濃硫酸を入れて振動し、沸騰水浴で15分間を加熱し、それから取り出して冷水中で速やかに冷却させ、そして、紫外線検出器を用いて、490nmの箇所でその光吸収値を測定した。
【0022】
(2)サンプルの測定
それぞれKY-1、KY-2の二種類サンプルを取って、それぞれを1mg/mlの溶液に調製し、その後、20、40、60、80μg/mlまでに順に稀釈して、1mlのサンプル液を取り、1mlのフェノール溶液と共に15mlの試験管の中に入れて、磁力振動により均一に振動し、そして、その中に5mlの濃硫酸を入れて振動し、沸騰水浴で15分間加熱し、それから取り出して冷水中で迅速に冷却させ、そして、紫外線検出器を用いて、490nmの箇所でその光吸収値を測定した。
多糖(%)=(検査したサンプルμg数/サンプル計量)×100%
【0023】
含有量測定結果を表1に示し、同表に示すように、KY-1の多糖含有量は90%以上である。
【0024】
各成分の多糖含有量の測定
【表1】

【0025】
3、KY-1-1の紫外線分析
サンプル3mgを秤とって、蒸留水で1mg/mlの溶液に調製し、190〜600nmで紫外線全走査した。その結果、280nm及び260nmの箇所で両方とも吸収ピークがなかった(図7の通り)ので、この均一多糖に蛋白質と核酸とが含まないことを説明した。
【0026】
4、KY-1-1の糖構成分析
(1)標準単糖サンプルのアセチル化
精密に等モル(2mmol/L)のガラクトース、フコース、キシローズ、ラムノース、グルコース、マンノースとアラビノースを秤とって、それぞれを3mlの蒸留水中に溶かし、20〜30mgの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を入れて、室温で間歇的に振動し、3時間かけて還元させる。それから、溶液に気泡が発生しない程度までに、氷酢酸を用いて過量のNaBH4を中和し、pHが4〜5の間で、3mlのメタノールを入れ、減圧濃縮して乾燥するまで蒸発する。これを4〜5回繰り返して、反応副産物である硼酸及び水分を除去し、そして、真空乾燥器の中に入れて一晩を経過させる。翌日、110℃乾燥釜の中で15min加熱して、残留されている水分を十分除去した後、4mlの無水酢酸を入れて、100℃で1時間反応させ、冷却してから3mlのトルエンを入れて、減圧濃縮して乾燥するまで蒸発する。これを4〜5回繰り返して、余分な無水酢酸を除去する。アセチル化した産物を3mlのクロロフォルムで溶解した後、分液漏斗に移転し、少量蒸留水を入れて十分振動し、その後、上層水溶液を除去する。このように4〜5回を繰り返して、クロロフォルム層を適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥して、10mlまで定容してGC検出を行う。その結果、図8に示すように、6種の標準単糖がすべてとても良い極限分離を得た。
【0027】
(2)サンプルのアセチル化処理
KY-1-1サンプル2mgを薄壁の長い試験管の中に入れて、その中に2mol/Lのトリフルオロ酢酸(TFA)4mlを入れ、110℃の温度下で、2時間かけて加水分解する。水分解液を40℃以下の温度下で減圧して乾燥するまで蒸発し、その後、3mlのメタノールを入れて乾燥するまで蒸発する。そして、上述した操作を4〜5回重複して、完全にTFAを除去した。
【0028】
その後、同じ方法で還元、アセチル化を行い、クロロフォルムで5mlまで定容して、GC検出を行う。結果は図9に示されたように、この多糖成分には主にグルコース単糖成分が含まれ、このほかに非糖類不純物が含まれる。この原因は、実験の操作中に反応した一部の副産物が完全に除去されなかったことである。
【0029】
3)機器測定条件
ガスクロマトグラフィー(GC)にDB-23石英毛細管カラム(30m×0.25mm×0.25μm)、水素炎イオン化検出器(FID)、担体ガスとしての高純窒素を配備する。
温度上昇プログラム:カラムの初期温度120℃、15℃/minをかけて240℃まで上昇させて、6.4min間保持した。
サンプル進入口温度は250℃であり、分流比は1:50である。
検出器の温度は250℃であり、窒素35ml/分、空気350ml/min、メークアップフロー30ml/min。
カラム流速:1ml/minである。
【0030】
5、KY-1-1のメチル化分析
(1)NaOH-DMSO(0.025 g/ml)試薬の調製
NaOH0.5gを取って1mlの二重蒸留水の中に溶かし、0.2mlのNaOH(50%)を取って0.2mlのメタノールと均一に混合し、その後6mlのDMSOで稀釈して、NaOH-DMSO懸濁液をボルテックス・ミキサーで激しく振動して、超音波を3〜5分照射して、遠心によりNaOH沈殿物を収集した。そして、3回繰返して、最後、NaOH沈殿を4ml中に入れて予備用とする。
【0031】
(2)メチル化ステップ
KY-1-1サンプル2mgを取り、カバー付きの試験管の中で乾燥させ、それから0.5mlのDMSOを試験管の中に入れて、超音波を2分間照射し、それから室温状態で30分放置して、上記の試験管の中に0.6mlのNaOH-DMSO懸濁液と0.6mlのヨードメタンとを入れて、蓋を締め付けた。超音波照射およびボルテックス・ミキサーによる混合を繰返し、7min後4mlの水を上記混合物に入れて、メチル化反応を終止した。メチル化の多糖をそれと等量のクロロフォルムで抽出し、例えば層別がよくない場合は、短い時間遠心することで層別化を助けることができ、上層の水相を捨てて、下層の有機相を等量の水で5回抽出した。
【0032】
有機相を40℃温度下で減圧濃縮した。そして、上記の操作を1回繰返した。DMSO 0.2ml、NaOH-DMSO 0.2ml、ヨードメタン0.3ml、水3mlの条件でIR検出した。
既に完全にメチル化したサンプルを3mlの88%ギ酸溶液の中で溶かして、蓋を密閉して、100℃で3時間分解した。反応容器中に3mlのメタノールを入れて、40℃温度下で減圧濃縮して、乾燥するまで蒸発して、3回繰返した。
【0033】
分離された多糖のサンプルに2mol/Lのトリクロル酢酸(TFA)4mlを入れて、100℃温度下で試験管を封して6時間を加水分解し、そして、40℃温度下で減圧濃縮して乾燥するまで蒸発して、5回繰返した。
【0034】
完全な酸水分解によるサンプルを3ml程度の蒸留水中に溶けて、20mgのNaSH4を入れ、蓋を密封してから、室温条件で3時間還元した。その後、ph値が4〜5になるように氷酢酸で中和し、3mlのメタノールを入れて処理し、減圧濃縮して乾燥するまで蒸発して、4〜5回を繰返した。それから、P205を真空乾燥機の中に入れて、室温条件で真空を抽出して一晩を過ごせて、そして、100℃温度の焙焼炉の中に入れて15min加熱した。
【0035】
上記のような処理を経たサンプルに3mlの無水酢酸を入れて密閉させ、100℃温度下で1時間反応させてから3mlのトルエンを入れて、減圧濃縮して乾燥するまで蒸発して、4〜5回を繰返した。アセチル化して得た産物を、等体積のクロロフォルムおよび蒸留水で交替して溶解し、そして、分液漏斗の中に移転して、十分振動した後に静置させた。層別した後、上層の水溶液を除去し、それから等体積の蒸留水で4回を洗浄して、水層を除去した。クロロフォルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、振動して10分間放置し、それから硫酸ナトリウム固体をろ過除去し、減圧濃縮して乾燥するまで蒸発して、さらに0.5mlのクロロフォルムに溶かして、GC-MSに載せた。分析結果は、図10および図11の通りである。図面に示すように、保留時間が3.44minであったとき、イオンピーク43、58、71、101、 117、127、159、186、201等は、1,4リガンドにより連結されたデキストランである。
【0036】
(3)クロマトグラム条件
クロマトグラム条件:ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)に、DB-5MSの石英毛細管カラム(30m×0.25mm×0.25μm)を配備する。プログラム温度上昇:カラム初期温度を80℃にし、1分間維持し、5℃/minで200℃まで上げ、更に2℃/minで215℃まで上げ、最後に20℃/minで270℃まで上げた。また、ヘリウムガスを担体ガスとし、サンプルの進入口温度を250℃にし、分流比を1:50にして、カラム流速を1ml/minにした。さらに、EI(70Ev)、増倍器電圧350v、フィラメント電流250μA、インタフェース温度200℃、イオン源温度250℃、質量数走査範囲42〜462amu、走査速度率2.5scan/sにした。
【0037】
6、KY-1-1核磁気共鳴分析
20mgのKY-1-1サンプルを0.5mlのD2Oの中に溶かして、3回繰返して凍結乾燥し、その後、0.5mlのD2Oの中に溶かした。500MHzの核磁気共鳴測定器で測定して、1HNMR(25℃と60℃)の25℃でHDO δ4.78を内部標準とし、13C NMRの化学シフトはトリメチルシリルプロパンスルホン酸塩の重水溶液(D2O +DSS)ピークのδ=0.00ppmを外部標準とした。60℃温度下で1H-1H相関分光法スペクトル(1H-1H COSY、1H-1H correlated spectroscopy)、全相関分光法 (TOCSY、total correlation spectroscopy)、異核間多量子分光法(HMQC;heteronuclear multiple quantum coherrnce)、異核間多結合相関分光法(HMBC;heteronuclear multiple-bond correlation spectroscopy)とNOESY分光法 (Overhauser effect spectroscopy)によって測定する。
【0038】
1H NMRの27℃温度下でのスペクトルは図12の通りであり、アノマー水素エリアの共振ピークエリアδ5.443には、主に一つのアノマー水素の共振ピークがあり、δ5.02に一部の小さい共振ピークがあり、これらの小さい共振ピークはアノマー水素エリアの共振ピークであるが、この残基物はこの多糖中の含有量が微量であり、これは、サンプル中に含まれた微量の不純物による可能性が高い。δ3.50〜4.41箇所に共振ピークが厳重に重なって、正確な情報を提供することができない。
【0039】
13C NMRスペクトルは図13の通りであり、図に示すように、アノマー炭素エリアδ102.47の箇所はアノマー炭素信号であり、δ63.21箇所はグルコースの6位が置換されてない共振ピークであり、δ69.0箇所付近では逆ピークが発生しなかった(図14を参照)。これは、この成分に6位が置換された残基が含まないことを説明する。デキストランの酸素炭素連結信号(signal of O-C)はδ63.21〜79.56箇所にある。
【0040】
1H-1H COSYスペクトル(図15を参照)、TOCSYスペクトル(図16を参照)によって、水素の化学シフトが推算でき、HMQC(図17を参照)および既知の水素の化学変動によって炭素の化学シフトが推算できる(表2)。
【0041】
KY-1-1の化学シフト
【表2】

【0042】
残基→4)-α-D-Glcpの化学シフトはすべて5.00ppmを超え、H-1は、1H NMRスペクトルではシングルピークがあり、JH-1H-2は3Hz以下であり、NOESY中のH-1/H-2に交叉ピークがあるが、これらにより、アノマーエリアがα-配置であることが表明された。残留物→4)-α-D-GlcpのC-4化学シフト比は、置換されなかった単糖残基同位点上にある化学シフトは低電界へ約7ppm移動するが、これは、この同位点が置換のあった同位点であり、この結果がGC-MSの分析結果と一致したことを説明する。
【0043】
K-Y-1-1重複単元では、HMBCスペクトル(図18を参照)において残基のH1およびC4に相関共振ピークがあり、NOESYスペクトル(図19参照)において残基のH1およびH4にも相関共振ピークがあって、この重複単元がα-1,4接続するデキストランであったことを説明する。
【0044】
以上のように、KY-1-1は、グルコースにより構成され、α-配置の1,4接続のピラン系デキストランであり、その具体な重複単元が下記の通りである。
→4)-α-D-Glcp-(1→4)-α-D-Glcp-(1→
その立体化学構造式は下記の通りである。
【0045】
【化2】

【0046】
三、KY-1-1の薬力学試験1.材料および方法
(1)材料
中国の中南大学湘雅医学院細胞センターからヒト肺癌細胞(A549)を購入し、中国の中科院上海細胞生物研究所からヒト小細胞肺癌細胞(NC1-H446)およびチャイニーズハムスター肺上皮細胞(CHL)を購入して、10%を含む子牛血清RPMI 1640培養液で、37℃、5%のCO2培養箱で培養し、常規に継代して、その対数成長期細胞を取って試験した。
【0047】
電子分析天秤で3.8gのKY-1-1を取って、10mlの清潔なバイアル瓶の中に入れ、適当にDMSOで溶解した後に、生理塩水を入れてそれぞれ300.0μg/ml、100.0μg/ml、30.0μg/ml、10.0μg/mlと3.0μg/ml、1.0μg/mlになるまで7稀釈して、2mlのEP管の中に分けて入れて、冷蔵庫の中に入れ、4℃温度条件で保存した。
【0048】
注射用シスプラチン(DDP)(斎魯製薬有限公司製、規格:10mg/瓶、ロット番号:6030052DB)を、NSで溶解して、それぞれ100.0μg/ml、10.0μg/mlと1.0μg/mlになるまで稀釈した。
タキソール(TAX)(北京四環医薬科技株式有限公司製、規格:30mg/5ml/瓶、ロット番号:060830)を、NSで溶解して、それぞれ100.0μg/ml、10.0μg/mlと1.0μg/mlになるまで稀釈した。
【0049】
(2)方法
1)KY-1-1 ヒト肺癌細胞増殖活性に対する選択的抑制
ヒト肺癌細胞(A549)、ヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)およびチャイニーズハムスター肺上皮細胞(CHL)の懸濁液を調製して、濃度0.5×104個/mlになるように調節し、96ウェルのプラスチック培養板に接種して、毎ウェルの液量を180μlにし、細胞が接着した後(約12時間)、KY-1-1の最終濃度がそれぞれ0.1μg/ml、0.3μg/ml、1.0μg/ml、3.0μg/ml、10.0μg/mlと30.0μg/mlになり、シスプラチンおよびパクリタキセルの最終濃度が0.1μg/mlになるように、20μl/ウェルの量でそれぞれ試験物および対照医薬品試験液を入れて、48時間培養した。20μl/ウェルの量でMTT(5mg/ml, MTT:PBS)を入れて、継続的に6時間培養して、各ウェルの培養液を吸収除去し、100ul/ウェルの量でDMSOを添加し、振動して青紫色沈殿を十分溶解して、EXL-800型酵素標識測定計によって570nm波長で吸光度(A)を測定した。式「IR(%)=(1-薬物処置組A平均値/コントロール組A平均値)×100%」により抑制率を算出し、CalcusZnプログラムによって半数阻害濃度IC50を計算した。また、式「SI=IC50(CHL細胞)/IC50(A549細胞又はNCI-H446細胞)」により試験物の細胞毒性選択指数を算出した。そして、上記実験を2回繰返した。
【0050】
2)KY-1-1のヒト肺癌細胞足場依存性成長能力に対する影響
ヒト肺癌細胞(A549)とヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)の単細胞懸濁液を調製して、濃度を0.3×103個/mlに調節した。各ウェルの培養キット:単細胞懸濁液18ml、試験物又は対照薬品試験液0.2mlとした。KY-1-1の最終濃度は、それぞれ0.1μg/ml、0.3μg/ml、1.0μg/ml、3.0μg/ml、10.0μg/mlおよび30.0μg/mlである。DDP(0.1μg/ml)とTAX(0.1μg/ml)、ブランクコントロール組を等量培地の中に添加した。各組を3ウェルずつ、24ウェルプレートに入れて接種し、CO2培養箱に入れて7日間を培養した。ウェルごとに95%のメタノールを0.5mlに添加して、15分間固定し、ギムザ染色を10〜30分間行った。細胞数が50個以上、又は、直径が75μm以上のものを一つのコロニーとし、作業員3人が倒立顕微鏡で各々ウェルのコロニー数をカウントし、平均数を取って記録した。下記式「コロニー形成抑制率(%)=[1-(処理組コロニー平均数/ブランクコントロール組コロニー平均数)]×100%」によりコロニー抑制率を計算し、また、下記式「平板効率=コロニー平均数/接種細胞数×100%」によりパレット効率を計算した。また、CalcusZnプログラムにより半数阻害濃度IC50を算出した。そして、上記の実験を2回繰返した。
【0051】
3)KY-1-1のヒト肺癌細胞足場非依存性成長能力に対する影響
24ウェル培養プレートを用意して、下層に寒天を敷き、各ウェルに0.5mlの0.6%寒天培地を入れた。ヒト肺癌細胞(A549)とヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)の単細胞懸濁液を調製して、濃度を1.6×103個/mlに調節した。各組の上層寒天培養キット:単細胞懸濁液1.6ml、試験物又は対照薬品0.2mlとした。KY-1-1の最終濃度はそれぞれ0.1μg/ml、0.3μg/ml、1.0μg/ml、3.0μg/ml、10.0μg/ml、30.0μg/mlであり、DDP(0.1μg/ml)とTAX(0.1μg/ml)をそれぞれ0.2ml、ブランクコントロール組を等量培地の中に入れた。ホールピペットを用いて、水浴加熱した3%寒天溶液0.2mlと急速且つ均一に混合した。その後すぐに0.5ml/ウェルの量で既に寒天を敷いた24ウェルプレートに接種して、各組に3つのサブウェルを設置した。CO2の培養箱に入れて、7日間培養した。細胞数が50個以上、又は、直径が75μm以上のものを一つのコロニーとし、作業員3人が倒立顕微鏡で各々のウェルのコロニー数をカウントし、平均数を取って記録した。下記式「コロニー形成抑制率(%)=[1-(処理組コロニー平均数/ブランクコントロール組コロニー平均数)]×100%」によりコロニー抑制率を算出し、下記式「平板効率=コロニー平均数/接種細胞数×100%」により平板効率を算出した。また、半数阻害濃度IC50を、CalcusZnプログラムにより算出した。そして、上記の実験を2回繰返した。
【0052】
4)統計方法
実験データをで示し、各組の平均数同士の比較において、SPSS 15.0 Evaluation for windowsソフトを使ってOne Way ANOVA分析を行い、分散分析をLSD法およびSNK法によって行い、平均数同士の比較をStudent'検定法を用いて行い、P<0.05を統計学の有意水準とした。
【0053】
2、実験ステップと結果
(1)KY-1-1のチャイニーズハムスター上皮細胞(CHL)増殖に対する影響
表3に示すように、KY-1-1は、チャイニーズハムスター上皮細胞(CHL)増殖に対して有意な抑制効果がなく、そのIC50値は411.98μg/mlである。
【0054】
KY-1-1のチャイニーズハムスター上皮細胞(CHL)増殖に対する影響(n=9,

)
【表3】


* P<0.05 VS コントロール、** P<0.01 VS コントロール。
【0055】
(2)KY-1-1のヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)増殖に対する影響
表4に示すように、KY-1-1は、ヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)増殖に対して有意な抑制効果があり、用量依存性を示し、そのIC50値は7.22μg/mlである。KY-1-1はヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)に対して選択的抑制効果があり、正常細胞に対する毒性が低く、小細胞肺癌細胞(NCI-H446)の細胞毒性に対する選択指数は57.06(411.98/7.22)である。
【0056】
KY-1-1の小細胞肺癌細胞(NCI-H446)増殖に対する影響(n=9,

)
【表4】


** P<0.01 VS コントロール。
【0057】
(3)KY-1-1のヒト肺癌細胞(A549)増殖に対する影響
表5に示すように、KY-1-1は、ヒト肺癌細胞(A549)増殖に対して有意な抑制効果があり、用量依存性を示し、そのIC50値は9.44μg/mlである。KY-1-1はヒト肺癌細胞(A549)に対して選択的抑制効果があり、正常細胞に対する毒性が低く、ヒト肺癌細胞(A549)の細胞毒性に対する選択指数は43.64(411.98/9.44)である。
【0058】
KY-1-1のヒト肺癌細胞(A549)増殖に対する影響(n=9,

)
【表5】


** P<0.01 VSコントロール。
【0059】
(4)KY-1-1のヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)足場依存性成長能力に対する抑制効果
表6に示すように、KY-1-1は、ヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)の足場依存性成長能力に対して有意な抑制効果があり、用量依存性を示し、そのIC50値は7.01μg/mlである。
【0060】
プレートクローン形成法によって測定した、KY-1-1のNCI-H446細胞足場依存性成長能力に対する影響(n=9,

)
【表6】


** P<0.01 VS コントロール。
【0061】
(5)KY-1-1のヒト小肺癌細胞(A549)足場依存性成長能力に対する抑制効果
表7に示すように、KY-1-1は、ヒト小肺癌細胞(A549)足場依存性成長能力に対して有意な抑制効果があり、用量依存性を示し、そのIC50値は8.94μg/mlである。
【0062】
プレートクローン形成法によって測定した、KY-1-1のA549細胞足場依存性成長能力に対する影響(n=9,

)
【表7】


** P<0.01 VS コントロール。
【0063】
(6)KY-1-1のヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)非足場依存性成長能力に対する抑制効果
表8に示すように、KY-1-1は、ヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)コロニー形成能力に対して有意な抑制効果があり、用量依存性を示し、そのIC50値は7.60μg/mlである。
【0064】
KY-1-1のヒト小細胞肺癌細胞(NCI-H446)コロニー形成能力に対する影響(n=9,

)
【表8】


** P<0.01 VSコントロール。
【0065】
(7)KY-1-1のヒト小肺癌細胞(A549)非足場依存性成長能力に対する抑制効果
表9に示すように、KY-1-1は、ヒト小肺癌細胞(A549)の細胞コロニー形成能力に対して有意な抑制効果があり、用量依存性を示し、そのIC50値は9.11μg/mlである。
【0066】
KY-1-1のヒト肺癌細胞コロニー形成能力に対する影響(n=9,

)
【表9】


* P<0.05 VS コントロール、** P<0.01 VS コントロール。
【0067】
四、抗肺癌薬物の組成物
(1)以下の成分と方法で調製する:KY-1-1 10g、マンニトール1000g(賦形剤)を取って、1000mlになるまで注射用水を入れて均一に混合し、pH値を5.0〜5.5まで調整した後、0.05%の活性炭を入れ、40〜45℃で15分を脱色する。そして、まず0.45μmの微細孔ろ過膜で粗ろ過し、それから0.22μmの微細孔ろ過膜で清澄するまでろ過し、再度含有量およびph値を測定して、5ml/瓶の量で注射用ガラス瓶に分けて入れる。そして、冷凍真空乾燥機で冷凍乾燥し、蓋を封止して通常梱包し、ラベルを貼って滅菌すればよい。規格は100mg/瓶である。
用法および用量:100mgのデキストランを5%グルコース溶液の中に入れて、静脈点滴し、30分をかけて点滴を完了させる。毎日2回で21日を1コースとする。場合によって、複数治療コースを連続的に使用することもできる。
【0068】
(2)ナメクジ・デキストラン注射剤の調製方法
以下の成分および方法で調製する:KY-1-1 10g、マンニトール1000g(賦形剤)を取って、1000mlになるまで注射用水を入れて均一に混合し、pH値を5.0〜5.5まで調整した後、0.05%の活性炭を入れ、40〜45℃で15分を脱色する。そして、まず0.45μmの微細孔ろ過膜で粗ろ過し、それから0.22μmの微細孔ろ過膜で清澄するまでろ過し、再度に含有量およびph値を測定して、無菌状態で注射用5mlのアンプル瓶の中に分けて入れる。そして、瓶の口を封止して、通常方法で梱包し、ラベルを貼って、滅菌してから入庫する。規格は100mg/瓶(5mlアンプル瓶)である。
【0069】
用法および用量:100mgのナメクジ・デキストラン(100mg/アンプル瓶)を5%グルコース溶液の中に入れて、静脈注射し、30分をかけて点滴を完了させる。毎日2回で21日を1コースとする。場合によって、複数治療コースを連続的に使用することもできる。
【0070】
本発明のその他の実施例において、薬学的に適合する補助材料を添加して、錠剤、カプセル剤などの剤型を調製することもできる。
【0071】
上述した実施形態は、本発明に係るデキストランを解釈するための説明であり、本発明の範囲は上記説明に限定されない。請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖が下記の重複構造ユニットにより構成され、分子量が150万〜250万ドルトンであることを特徴とするデキストラン。
【化1】

【請求項2】
ナメクジの中から抽出したものであることを特徴とする請求項1に記載のデキストラン。
【請求項3】
抗肺癌薬物の製造への請求項1に記載のデキストランの応用。
【請求項4】
有効用量の請求項1に記載のデキストランを含む肺癌治療用薬物組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−525550(P2011−525550A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515058(P2011−515058)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/CN2008/071414
【国際公開番号】WO2009/155742
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510337632)広州康采恩医薬有限公司 (1)
【Fターム(参考)】