説明

肺癌診断用マーカー遺伝子

本発明は、肺癌に特異的な診断マーカーに関する。また、前記マーカーの存在を測定する製剤を含む組成物、キット及びこれを用いて肺癌を診断する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肺癌に特異的な診断マーカーに関する。また、前記マーカーの存在を測定する製剤を含む組成物、キット及びこれを用いて肺癌を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺癌は、全世界的に癌による死亡のうち、最も大きな部分を占める疾病である。全体の癌死亡者の約1/6は、肺癌で死亡する。肺癌は、小細胞肺癌と非小細胞肺癌に分けられる。そのうち、非小細胞肺癌は、肺癌の約80%に該当する最も代表的な癌であり、腺癌、扁平上皮細胞癌、大細胞癌に分けられる。肺癌の種類により、組織学的特性が異なるだけでなく、予後と治療方法も異なるため、正確な診断が重要である。非小細胞肺癌の場合、最近の癌治療法の発達にもかかわらず、10年生存率が10%以下と極めて低い。これは、大部分の非小細胞肺癌が、比較的に進んだ状態でも診断が難しいからである。現在としては、早期診断が患者の生存可能性を高める最善の方法である。
【0003】
そこで、マーカーを用いて肺癌を診断するための多様な試みが行われている。限定された数の標的遺伝子と蛋白質の発現を調査することにより、肺癌診断マーカーを見出した研究は、既に報告されている(Hibi et al., Am. J. Pathol. 1999, 155:711-715;Brechot et al. Eur. J. Cancer 1997, 33:385-391;Pastor et al., Eur. Respir. J. 1997, 10:603-609;Morita et al., Int. J. Cancer 1998, 78:286-292)。マイクロアレイ技術を用いて、肺癌マーカー遺伝子を見出した研究も報告されている(Oncogene19_1519;Oncogene23_7734;Oncogene21_7749)。しかしながら、現在まで明らかになった肺癌診断マーカーを用いて肺癌を早期に診断することができるという報告はなかった。
【0004】
このような背景の下、本発明者は、肺癌を簡単かつ正確に診断する生物学的マーカーを開発するために、DNAチップを用いて、肺癌でのみ過多発現を示す遺伝子を一次スクリーニングし、RT-PCRを実施し、有意性の高いマーカーを確認した。その結果、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4遺伝子を見出し、実際の肺癌試料を通じて適用したとき、肺癌を正確に診断することができることを確認し、本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、PKP1(plakophilin 1)、ABCC5(ATP-binding cassette、subfamily C(CFTR/MRP)、member 5)、KRT15(keratin 15)、KRT14(keratin 14)、TRIM29(tripartite motif-containing 29)、SERPINB5(serine(or cysteine) proteinase inhibitor、clade B(ovalbumin)、member 5)、TK1(thymidine kinase 1,soluble)、GPX2(glutathione peroxidase 2)、MMP1(matrix metalloproteinase 1)及びITGB4(integrin, beta 4)のうちから選ばれる1個以上の肺癌診断マーカーを提供することにある。
本発明の他の目的は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4 のうちから選ばれる1個以上の遺伝子のmRNAまたはその蛋白質のレベルを測定する製剤を含む肺癌診断マーカー検出用キットを提供することにある。
【0006】
本発明のまた他の目的は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4 のうちから選ばれる1個以上の遺伝子に特異的なプライマー対を含む肺癌診断マーカー検出用組成物を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4 のうちから選ばれる1個以上の蛋白質に特異的な抗体を含む肺癌診断マーカー検出用組成物を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4 のうちから選ばれる1個以上の遺伝子に特異的なプライマーを用いて肺癌を診断する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4 のうちから選ばれる1個以上の蛋白質に特異的な抗体を用いて肺癌を診断する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様として、本発明は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる肺癌診断マーカーに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の肺癌マーカーのmRNAまたは蛋白質の発現レベルを検出して、肺癌を正確かつ簡便に診断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一つの態様として、本発明は、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる肺癌診断マーカーに関する。
本発明における用語「診断」は、病理状態の存在または特徴を確認することを意味する。本発明の目的上、診断は、肺癌発病の有無を確認することである。
本発明における用語「肺癌」は、肺に発生する悪性腫瘍を意味し、小細胞肺癌と、腺癌、扁平上皮細胞癌、大細胞癌等の非小細胞肺癌とを全て含む。
本発明における用語「診断用マーカー、診断するためのマーカーまたは診断マーカー」とは、肺癌細胞を正常細胞と区分して診断することができる物質であり、正常細胞に比べて肺癌を有する細胞において増加または減少を示すポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA等)、脂質、糖脂質、糖蛋白質、糖(単糖類、二糖類、オリゴ糖等)等の有機生体分子等を含む。本発明の目的上、肺癌診断マーカーは、PKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4であり、肺癌細胞で発現が増加する遺伝子である。
【0010】
有意な診断マーカーの選択と適用は、診断結果の信頼度を決定する。有意な診断マーカーとは、診断して得られた結果が正確であり、妥当性(validity)が高く、繰返し測定の際も、一貫した結果を示すように、信頼度の高いマーカーを意味する。本発明の肺癌診断マーカーは、肺癌の発病と共に、直接的または間接的な要因で発現が常時増加する遺伝子で、繰返し実験にも同一の結果を示し、発現量の差が対照群と比較するとき、極めて大きくて、誤った結果を出した確率が殆どない信頼度が高いマーカーである。したがって、本発明の有意な診断マーカーの発現量を測定して得た結果に基づいて診断された結果は、妥当に信頼することができる。
【0011】
本発明のPKP1、ABCC5、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4遺伝子は、正常肺組織の細胞に比べて、肺癌細胞において特異的に高水準の発現を示すので、肺癌診断マーカーとして使用され得る。
上記したいずれの遺伝子も、肺癌マーカーとして有用であるが、迅速、簡便、正確なマーカーを提供しようとする本発明の目的上、医学的判断を下すのに充分な程度の少しだけのマーカーを検出することが好ましい。これは、時間及び資源の浪費を防ぐという点でも経済的である。PKP1およびABCC5は、肺癌細胞でのみ特異的に発現されるので、単独でも、肺癌を診断することができる信頼度が極めて高いマーカーである。したがって、PKP1またはABCC5を単独でマーカーとして用い、または、PKP1及びABCC5のいずれも、マーカーとして用いて、肺癌を診断することが好ましい。
また、さらに、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子をマーカーとして用いて、肺癌を診断することができる。
この際、正常肺組織の細胞と肺癌細胞において、ほぼ同量で発現される遺伝子、例えば、DCK(deoxycytidine kinase)、SEP15(selenoprotein, 15-KD)等を定量対照群として用いることができる。
【0012】
また他の態様として、本発明は、PKP1及びABCC5のうちから選ばれる1または2個の遺伝子のmRNAまたはその蛋白質のレベルを測定する製剤を含む肺癌診断マーカー検出用キットに関する。
前記キットは、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子のmRNAまたはその蛋白質のレベルを測定する製剤をさらに含むことができる。
生物学的試料中の遺伝子の発現量は、mRNAまたはその蛋白質の量を確認することによりわかる。
【0013】
本発明における「mRNA発現レベルの測定」とは、肺癌を診断するために生物学的試料において、肺癌マーカー遺伝子のmRNAの存在と発現程度を確認する過程であり、mRNAの量を測定する。このための分析方法としては、RT-PCR、競争的RT-PCR、実時間RT-PCR、Rnase保護分析法(RPA;RNase protection assay)、ノーザンブロット(Northern Blotting)、DNAチップ等があるが、これらに制限されるものではない。
本発明における「蛋白質発現レベルの測定」とは、肺癌を診断するために生物学的試料における肺癌マーカー遺伝子で発現された蛋白質の存在と発現程度を確認する過程であり、前記遺伝子の蛋白質に対して特異的に結合する抗体を用いて蛋白質の量を確認する。このための分析方法としては、ウエスタンブロット、酵素免疫測定吸着法(ELISA)、放射性免疫分析(RIA)、放射免疫拡散法、オークテルロニー(ouchterlony) 免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、免疫沈降分析法(immunoprecipitation assay)、補体結合分析法(complement fixation assay)、FACS、蛋白質チップがあるが、これらに制限されるものではない。
【0014】
本発明の検出用キットは、分析方法に適合した1書類またはその以上の他の構成成分組成物、溶液または装置で構成される。
好ましくは、RT-PCRを行うために必要な必須要素を含むことを特徴とする診断マーカー検出用キットに関する。RT-PCRキットは、マーカー遺伝子に対する特異的なそれぞれのプライマー対を含む。プライマーは、各マーカー遺伝子の核酸配列に特異的な配列を有するヌクレオチドであり、約7bp乃至50bpの長さ、より好ましくは、約10bp乃至30bpの長さである。また、対照群遺伝子の核酸配列に特異的なプライマーを含んでもよい。その他、RT-PCRキットは、試験管または他の適切なコンテナー、反応緩衝液(pH及びマグネシウム濃度は多様である)、デオキシヌクレオチド(dNTPs)、Taq-ポリメラーゼおよび逆転写酵素のような酵素、DNAse, RNAse抑制剤、DEPC水、滅菌水等を含んでもよい。
【0015】
また好ましくは、DNAチップの実行のために必要な必須要素を含むことを特徴とする診断実験キットに関する。DNAチップキットは、遺伝子またはその断片に該当するcDNAまたはオリゴヌクレオチドが付着している基板、および蛍光プローブを作成するための試薬、製剤、酵素等を含んでもよい。また、基板は、対照群遺伝子またはその断片に該当するcDNAまたはオリゴヌクレオチドを含んでもよい。
また好ましくは、ELISAの実行のために必要な必須要素を含むことを特徴とする診断試験キットに関する。ELISAキットは、マーカー蛋白質に対する特異的な抗体を含む。抗体は、各マーカー蛋白質に対する特異性および親和性が高く、他の蛋白質に対する交差反応性が殆どない抗体であり、単クローン抗体、多クローン抗体または組換え抗体である。また、ELISAキットは、対照群蛋白質に特異的な抗体を含んでもよい。その他、ELISAキットは、結合された抗体を検出することができる試薬、例えば、標識二次抗体、発色団(chromophores)、酵素(例えば:抗体に抱合される)およびその基質または抗体と結合可能な他の物質等を含んでもよい。
【0016】
肺癌マーカー検出用RT-PCRキットは、PKP1、ABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の遺伝子に対して特異的なそれぞれのプライマー対を含む。また、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4遺伝子のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子に対して特異的なプライマー対を含んでもよい。
肺癌マーカー検出用DNAチップキットは、PKP1、ABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の遺伝子またはその断片に該当するcDNAが付着している基板を含む。また、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4遺伝子のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子またはその断片に該当するcDNAを基板に付着および固定することができる。
肺癌マーカー検出用ELISAキットは、PKP1、ABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の蛋白質に対する特異的な抗体を含む。また、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に対して特異的な抗体を含んでもよい。
【0017】
また他の態様として、本発明は、PKP1、ABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の蛋白質に特異的なプライマーを含む肺癌診断マーカー組成物に関する。
前記組成物は、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に特異的なプライマーをさらに含んでもよい。
本発明の「プライマー」とは、短い遊離3’末端ヒドロキシル基(free 3’hydroxyl group)を有する核酸配列で、相補的なテンプレートと塩基対を形成してもよく、テンプレート鎖の複製のための開始地点として機能する短い核酸配列を意味する。プライマーは、適切な緩衝溶液および温度で、重合反応(即ち、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素)のための試薬および異なる4個のヌクレオシド・トリホスフェートの存在下、DNA合成が開始されてもよい。本発明のプライマーは、各マーカー遺伝子に特異的なプライマーであり、7個乃至50個のヌクレオチド配列を有するセンスおよびアンチセンス核酸である。プライマーは、DNA合成の開始点として作用するプライマーの基本性質を変化させない追加の特徴を混入することができる。
【0018】
本発明のプライマーは、ホスホルアミダイト固体支持体方法、またはその他広く公知された方法を用いて化学的に合成することができる。このような核酸配列はまた、当該分野に公知の多くの手段を用いて変形させてもよい。このような変形の非制限的な例としては、メチル化、キャップ化、1個以上の天然ヌクレオチドの同族体への置換、およびヌクレオチド間の変形、例えば、荷電されていない連結体(例えば、メチルホスホン酸塩、リン酸トリエステル、ホスホロアミデート、カルバメート等)または荷電された連結体(ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)への変形がある。核酸は、1個以上の付加的な共有結合された残基、例えば、蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナル・ペプチド、ポリエルリジン等)、挿入剤(例えば、アクリジン、プソラレン等)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化性金属等)、およびアルキル化剤を含有してもよい。本発明の核酸配列はまた、検出可能なシグナルを直接的または間接的に提供可能な標識を用いて変形させてもよい。標識の例としては、放射性同位元素、蛍光性分子、ビオチン等がある。
【0019】
肺癌診断マーカー検出用組成物は、PKP1、ABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の遺伝子に対して特異的なそれぞれのプライマー対を含む。PKP1(配列番号1)を増幅するためのプライマーは、好ましくは、配列番号2および3と記載され、ABCC5(配列番号4)を増幅するためのプライマーは、好ましくは、配列番号5および6と記載された。また、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4遺伝子のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子に対して特異的なプライマー対を含んでもよい。KRT15(配列番号7)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号8および9と記載され、KRT14(配列番号10)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号11および12と記載され、 TRIM29(配列番号13)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号14および15と記載され、SERPINB5(配列番号16)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号17および18と記載され、TK1(配列番号19)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号20および21と記載され、GPX2(配列番号22)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号23および24と記載され、MMP1(配列番号25)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号26および27と記載され、ITGB4(配列番号28)を増幅するためのプライマーは、好ましくは配列番号29および30と記載されるプライマーである。
【0020】
また他の態様として、本発明は、PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の蛋白質に特異的な抗体を含む肺癌診断マーカー組成物に関する。
前記組成物は、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に特異的な抗体をさらに含んでもよい。
本発明における「抗体」とは、抗原性領域に対して指示される特異的な蛋白質分子を意味する。本発明の目的上、抗体は、マーカー蛋白質に対して特異的に結合する抗体を意味し、多クローン抗体、単クローン抗体、および組換え抗体を全て含む。
上記のように肺癌マーカー蛋白質が糾明されているので、これを用いて抗体を生成することは、当業界に広く公知された技術を用いて容易に製造可能である。
多クローン抗体は、上記した肺癌マーカー蛋白質抗原を動物に注射し、動物から採血して、抗体を含む血清を得る当業界に広く公知された方法により産生することができる。このような多クローン抗体は、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、サル、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ等の任意の動物宿主から製造可能である。
【0021】
単クローン抗体は、当業界に広く公知されたハイブリドーマ法(Kohler and Milstein (1976) European Journal of Immunology 6:511-519参照)またはファージ抗体ライブラリー法(Clackson et al., Nature, 352:624-628, 1991;Marks et al, J. Mol. Biol., 222:58, 1-597, 1991)を用いて製造され得る。
ハイブリドーマ法は、肺癌診断マーカ蛋白質抗原を注射したマウスのような免疫学的に適合した宿主動物からの細胞を用い、残りの一つのクラスターとしては、癌または骨髄腫細胞株を用いる。このような両クラスターの細胞を、ポリエチレングリコールのような当業界に広く公知された方法により融合させてから、抗体−産生細胞を標準的な組織培養方法により増殖させる。限界希釈法(limited dilution technique)によるサブ・クローニングにより、均一の細胞集団を得た後、肺癌診断汚染マーカー蛋白質に対して特異的な抗体を産生可能なハイブリドーマを、標準技術により、試験管内または生体内で大量で培養する。上記したハイブリドーマが産生する単クローン抗体は、精製せずに使用してもよいが、最善の結果のためには、当業界に広く公知された方法により、高純度で精製して使用することが好ましい。
【0022】
ファージ抗体ライブラリー法は、細胞内に存在する、多様な肺癌マーカーに対する抗体遺伝子(一本鎖抗体、scFv型)を得て、これをファージの表面に融合蛋白質の形態で発現することにより、抗体ライブラリーを試験管内で作製し、このライブラリーから肺癌蛋白質と結合する単クローン抗体を分離、作製する方法である。
前記方法で製造された抗体は、ゲル電気泳動、透析、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー等の方法を用いて分離する。
また、本発明の抗体は、2個の全長の軽鎖および2個の全長の重鎖を有する完全な形態のみならず、抗体分子の機能的な断片を含む。抗体分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab¢)、F(ab¢)2、およびFv等がある。
肺癌マーカー検出用組成物は、PKP1、ABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の蛋白質に対する特異的な抗体を含む。また、前記組成物は、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に特異的な抗体を含んでもよい。
【0023】
また他の態様として、本発明は、PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の遺伝子に特異的なプライマーを用いて、肺癌が疑われる患者の生物学的試料からmRNAを測定するステップと、前記mRNAレベルの増加を、正常対照区試料のmRNAレベルと比較するステップとを含む肺癌を診断する方法に関する。
前記方法は、さらに、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子に特異的なプライマーを用いて肺癌を診断することができる。
生物学的試料からのmRNAの分離工程は、公知の工程を用いて行うことができ、mRNAレベルは、多様な方法で測定することができる。
本発明における用語「生物学的試料」とは、肺癌の発生により、肺癌マーカーの遺伝子発現レベルに差がある組織、細胞、全血、血清、血漿、唾液、痰、脳脊髄液または尿のような試料等を含むが、これらに制限されない。
【0024】
mRNAレベルを測定するための分析法としては、RT-PCR、競争的RT-PCR、実時間RT-PCR、Rnase保護分析法、ノーザンブロット、DNAチップ等があるが、これらに制限されるものではない。
前記検出法を通じて、正常対照区でのmRNA発現量と、肺癌が疑われる患者でのmRNA発現量とを比較することができ、肺癌マーカー遺伝子において、mRNAへの有意な発現量の増加の有無を判断し、肺癌が疑われる患者が、実際の肺癌患者であるか否かを診断することができる。
mRNA発現量の測定は、好ましくは、肺癌マーカーとして用いられる遺伝子に特異的なプライマーを用いるRT-PCR法を用いるものである。
RT-PCRは、P. Seeburg(Cold Spring Harb Symp Quant Biol 1986, Pt 1:669-677)により、RNAを分析するのに導入された方法であり、mRNAを逆転写して得られたcDNAを、PCRで増幅して分析することになる。この際、増幅段階で、肺癌診断マーカーに特異的に製造されたプライマー対を用いるようにする。RT-PCR後、電気泳動し、バンドのパターンと厚さを確認することにより、肺癌診断マーカとして用いられる遺伝子のmRNA発現の有無と程度を確認可能であり、これを対照群と比較することにより、肺癌発生の有無を簡便に診断することができる。
【0025】
他には、前記肺癌マーカー遺伝子またはその断片に該当する核酸が、ガラスのような基板に高密度で付着しているDNAチップを用いることである。DNAチップは、試料からmRNAを分離し、その末端または内部が蛍光物質で標識されたcDNAプローブーを調製し、DNAチップにハイブリッド化させた後に読み出し、遺伝子の存在または発現程度を確認し、肺癌発病の有無を診断することができる。
また他の態様として、本発明は、PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1乃至2個の蛋白質に特異的な抗体を、肺癌が疑われる患者の生物学的試料と接触させ、抗原−抗体複合体の形成により、蛋白質レベルを確認するステップと、前記蛋白質形成量の増加を、正常対照区試料の蛋白質レベルと比較するステップとを含む肺癌を診断する方法に関する。
前記方法は、さらに、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に特異的な抗体を用いて肺癌を診断することができる。
【0026】
生物学的試料からの蛋白質の分離工程は、公知の工程を用いて行うことができ、蛋白質レベルは、多様な方法で測定することができる。
蛋白質レベルを測定するための分析方法としては、ウエスタンブロット、ELISA、放射性免疫分析、放射免疫拡散法、 オークテルロニー(ouchterlony) 免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、免疫組織染色、免疫沈降分析法、補体固定 分析法、FACS、蛋白質チップがあるが、これらに制限されるものではない。
前記分析法を通じて、正常対照区での抗原−抗体複合体の形成量と、肺癌が疑われる患者での抗原−抗体複合体の形成量とを比較することができ、肺癌マーカー遺伝子において、蛋白質への有意な発現量の増加の有無を判断し、肺癌が疑われる患者が、実際の肺癌患者であるか否かを診断することができる。
本発明における用語「抗原−抗体複合体」とは、肺癌マーカー蛋白質と、これに特異的な抗体との結合物を意味し、抗原−抗体複合体の形成量は、検出ラベルのシグナルの大きさから定量的に測定可能である。
【0027】
このような検出ラベルは、酵素、蛍光物質、リガンド、発光物質、微小粒子(microparticle)、レドックス分子、および放射性同位元素からなる群から選ばれるが、これらに制限されるものではない。検出ラベルとして酵素が用いられる場合、利用可能な酵素には、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、またはアルカリ性ホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブドウ糖酸化酵素、ヘキソキナーゼとGDPase、Rnase、ブドウ糖酸化酵素とルシフェラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ホスフェノールピルベートデカルボキシラーゼ(phosphenolpyruvate decarboxylase)、β−ラタマーゼ等があるが、これらに制限されるものではない。蛍光物質には、フルオレシン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、フルオレスカミン等があるが、これらに制限されない。リガンドには、ビオチン誘導体等があるが、これらに制限されない。発光物質には、アクリジニウムエステル、ルシフェリン、ルシフェラーゼ等があるが、これらに制限されない。微小粒子には、コロイド金、着色したラテックス等があるが、これらに制限されない。レドックス分子には、フェロセン、ルテニウム錯体、ビオロゲン、キノン、Tiイオン、Csイオン、ジイミド、1,4-ベンゾキノン、ハイドロキノン、K4W(CN)8、[Os(bpy)3]2+、[RU(bpy)3]2+および[MO(CN)8]4-等が含まれるが、これらに制限されない。放射性同位元素には、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131Iおよび186Re等が含まれるが、これらに制限されない。
【0028】
蛋白質発現レベルの測定は、好ましくは、ELISA法を用いることである。ELISAは、固体支持体に付着した抗原を認知する標識された抗体を用いる直接的ELISA、固体支持体に付着した抗原を認知する抗体の複合体において、捕獲抗体を認知する標識された抗体を用いる間接的ELISA、固体支持体に付着した抗体と抗原の複合体において、抗原を認知する標識されたまた他の抗体を用いる直接的サンドイッチELISA、固体支持体に付着した抗体と抗原の複合体において、抗原を認知するまた他の抗体と反応させた後、この抗体を認知する標識された二次抗体を用いる間接的サンドイッチELISA等、多様なELISA法を含む。より好ましくは、固体支持体に抗体を付着させ、試料を反応させた後、抗原−抗体複合体の抗原を認知する標識された抗体を付着させ、酵素的に発色させ、または、抗原−抗体複合体の抗原を認知する抗体に対して標識された二次抗体を付着させ、酵素的に発色させるサンドイッチELISA法により検出する。肺癌マーカー蛋白質と抗体の複合体形成程度を確認し、肺癌発病の有無を確認することができる。
また、好ましくは、前記肺癌マーカーに対する1個以上の抗体が基板上の決まった位置に配列され、高密度で固定化されている蛋白質チップを用いることである。蛋白質チップを用いて試料を分析する方法は、試料から蛋白質を分離し、分離した蛋白質を蛋白質チップとハイブリッド化させて、抗原−抗体複合体を形成させ、これを読み出して、蛋白質の存在または発現程度を確認し、肺癌発病の有無を確認することができる。
【0029】
また、好ましくは、前記肺癌マーカーに対する1個以上の抗体を利用したウエスタンブロットを用いることである。試料から全体の蛋白質を分離し、これを電気泳動し、蛋白質を大きさに応じて分離した後、ニトロセルロース膜に移動させ、抗体と反応させる。生成した抗原−抗体複合体の量を標識された抗体を用いて確認する方法で、遺伝子の発現により生成した蛋白質の量を確認し、肺癌発病の有無を確認することができる。
前記検出方法は、対照群でのマーカー遺伝子の発現量と、肺癌が発病した細胞でのマーカー遺伝子の発現量とを調査する方法で行われる。mRNAまたは蛋白質レベルは、上記したマーカー蛋白質の絶対的(例えば、μg/ml)または相対的(例えば、シグナルの相対強度)差で表わされ得る。
以下、本発明を、実施例を通じてより詳しく説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1−扁平上皮細胞肺癌細胞と正常肺組織の遺伝子発現分析
<1-1>患者検体でのRNA分離
患者の検体は、原子力病院から提供された。扁平上皮細胞肺癌患者検体からのRNAは、TriZol試薬(Invitrogen社製)を用いて、製造社から提示された方法により抽出された。1cm3の大きさに切断された患者検体当たり、10mlのTriZol試薬を用いた。抽出されたRNAは、分光光度計を用いて量を決定した。
<1-2>マイクロアレイ分析
デジタルゲノミクス(株)(韓国)で販売する8K human cDNA microarray(GenePlorerTM TwinChipTMhuman-8K set1)を用いて、検体の遺伝子発現パターンを観察した。このマイクロアレイは、8,170個の探針が2回繰り返して存在し、情報は、http://annotation.digital-genomics.co.kr/excel/human8_2kset1.xlsから得られる。97個のサンプルの遺伝子発現パターンを比較するために、各検体の遺伝子発現を共通参照サンプル(common reference sample)と比較した。共通参照サンプルは、肺に由来の8個の細胞株から抽出された同量のRNAを混ぜて製造された。用いられた細胞株は、NCI-H23、NCI-H1299、NCI-H596、A-549、NCI-H358、NCI-H128、SK-LU-1、およびMalme-3Mである。
【0031】
ハイブリッド化のためのサンプルは、20μgのRNAをアミノアリル(aminoallyl)修飾dUTPの存在下で逆転写した後、化学的方法で蛍光染料を結合させて製造した。肺癌患者から抽出されたサンプルを、Cy5蛍光染料で標識し、共通参照サンプルRNAをCy3蛍光染料で標識した。2つの蛍光染料で標識されたサンプルを混合し、マイクロアレイにハイブリッド化した。ハイブリッド化した後、非特異的ハイブリッド化を除去するために、SSCを含む洗浄溶液を用いてDNAチップを洗浄した。洗浄されたDNAチップは、共焦点レーザスキャナ(パーキンエルマー社、Scanarray Lite)を用いてスキャニングし、各スポットに存在する蛍光のデータを得て、TIFF形態のイメージファイルで保存した。TIFFイメージファイルをGenePix 3.0(Axon Instruments社)で定量し、各スポットの蛍光値を定量した。GenePix 3.0で得られた定量結果は、Yang等(Nucleic Acids Res 2002, 30:e15)が提案した方法により、S-plus統計パッケージ(InSightful)で提供するlowess機能を用いて補正した。
【0032】
<1-3>マイクロアレイ結果データの総括的評価
約8,000個の探針が載せられたcDNA(相補的DNA)マイクロアレイの分析を通じて、扁平上皮細胞肺癌と正常肺組織の遺伝子発現パターンを分析した。扁平上皮細胞肺癌の全体的な遺伝子発現パターンを調査するために、クラスター分析(cluster analysis)と多次元尺度構成法(multidimensional scaling)を用いた。クラスター分析の結果、扁平上皮細胞肺癌組織と正常肺組織は、2つの大きなクラスターに分けられることがわかる(図1)。扁平上皮細胞肺癌組織と正常肺組織との間に示される遺伝子発現パターンの差は、多次元尺度構成法によっても明らかに認められた(図2)。このような結果は、マイクロアレイ分析を通じて得た遺伝子発現結果が、扁平上皮細胞肺癌を診断することができるマーカー遺伝子選別のために有用なデータであることを示唆する。
実施例2−非小細胞肺癌と正常肺組織において発現パターンの差を表わす遺伝子の選別
【0033】
<2-1>t−検定を通じた遺伝子選別
扁平上皮細胞肺癌と正常肺組織との間において発現の有意な差を示す遺伝子を選別するために、p=10-6の有意水準でt−検定を行った。このような有意水準で遺伝子を選別すると、100万回の検定を行って、1回の偽陽性遺伝子が生成するものと期待されるので、選別された遺伝子は、全て発現量が相違した遺伝子である。t−検定による遺伝子選別の結果、832個の発現量に有意な差がある遺伝子を選別し、このうち、319個の遺伝子は、扁平上皮細胞肺癌組織で多量発現の遺伝子であり、513個の遺伝子は、正常肺組織で多量発現の遺伝子である。肺癌の診断のために必要な遺伝子は、肺癌で高度に発現する遺伝子であるので、肺癌で高度に発現した319個の遺伝子中から診断マーカーを選択しようとした。
<2-2>RT-PCRを用いた診断マーカの検証
肺癌早期診断マーカとして有用性の高い遺伝子を検証するために、RT-PCR法で遺伝子の発現レベルを確認した。RT-PCRのためには、8人の扁平上皮細胞肺癌から得た肺癌組織と正常組織を用いた。RT-PCR反応は、次のような方法で行った。5μgのRNA試料を取って、20μlの反応体積で逆転写させ、蒸留水を添加して100μlに希釈した。2μlの希釈された逆転写産物を取り、鋳型として用いて、各遺伝子に特異的なプライマー対の存在下で、25μlの反応体積において25増幅サイクルPCR反応を行った。PCR反応産物の中で8μlを取り、0.5μg/mlの臭化エチジウム(EtBr)の存在下、2%アガロース・ゲルで電気泳動してバンドを観察した。
扁平上皮細胞肺癌で高度に発現した319個の遺伝子のうち、発現量の差が2倍以上である39個の遺伝子を選別し(表1)、発現量をRT-PCRで検証した。
【0034】
【表1】


【0035】
このうち10個の遺伝子は、正常肺組織では発現が観察されず、肺癌組織でのみ発現が観察された(図3)。29個の遺伝子は、肺癌組織において正常組織よりも多量発現され、10個の遺伝子は、肺癌組織と正常組織において発現量の差が認められなかった。RT-PCRで検証した結果、49個の遺伝子のうち、39個の遺伝子が肺癌組織において正常組織よりも多量発現を示し、マイクロアレイ結果の78%がRT-PCR結果と一致することがわかる。特に、肺癌組織でのみ特異的に発現する10個のマーカー遺伝子は、肺癌診断のためのマーカーとして用いられ得る。
【0036】
産業上利用可能性
本発明の肺癌マーカーのmRNAまたは蛋白質の発現レベルを検出して、肺癌を正確かつ簡便に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、遺伝子発現データを用いて、57個の肺癌組織と40個以上の正常組織をクラスタリング(clustering)したものである。肺癌組織は、Tumor(黒色四角形)で表し、正常肺組織は、Normal(白色四角形)で表した。左方の白色棒で表したものは、大部分の正常肺組織が集まっているクラスターであり、右方の黒色棒で表したものは、肺癌組織が集まっているクラスターを表示したものである。
【図2】図2は、多次元尺度構成法で検体の遺伝子発現パターンを3次元で視覚化したものである。黒丸は、肺癌組織を示し、灰色丸は正常肺組織を示す。3次元において、距離が近い点は、遺伝子発現パターンが類似していることを示す。肺癌組織が1個のクラスターをなし、正常肺組織が1個のクラスターをなしており、肺癌組織と正常肺組織のそれぞれが、特異的な遺伝子発現パターンを有していることを示す。
【図3】図3は、肺癌組織と正常組織との間に発現量の差をRT-PCRで再検証したものである。これらの遺伝子は、肺癌組織でのみ発現が認められ、正常肺組織では発現が認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1または2個の遺伝子のmRNAまたはその蛋白質のレベルを測定する製剤を含む肺癌診断マーカー検出用キット。
【請求項2】
KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子のmRNAまたはその蛋白質のレベルを測定する製剤をさらに含む請求項1に記載のキット。
【請求項3】
RT-PCR検出、DNAチップまたはELISA検出用である請求項1に記載のキット。
【請求項4】
PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1または2個の遺伝子に特異的なプライマー対を含む肺癌診断マーカー検出用組成物。
【請求項5】
KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子に特異的なプライマー対をさらに含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
PKP1およびABCC5のうちから選ばれる 1または2個の蛋白質に特異的な抗体を含む肺癌診断マーカー検出用組成物。
【請求項7】
KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に特異的な抗体をさらに含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1または2個の遺伝子に特異的なプライマーを用いて、肺癌が疑われる患者の生物学的試料からmRNAを測定するステップと、前記mRNAレベルの増加を、正常対照区試料のmRNAレベルと比較するステップとを含む肺癌を診断する方法。
【請求項9】
さらに、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の遺伝子に特異的なプライマーを用いる請求項8に記載の肺癌を診断する方法。
【請求項10】
PKP1およびABCC5のうちから選ばれる1または2個の蛋白質に特異的な抗体を、肺癌が疑われる患者の生物学的試料と接触させ、抗原−抗体複合体の形成により、蛋白質レベルを確認するステップと、前記蛋白質形成量の増加を、正常対照区試料の蛋白質レベルと比較するステップとを含む肺癌を診断する方法。
【請求項11】
さらに、KRT15、KRT14、TRIM29、SERPINB5、TK1、GPX2、MMP1及びITGB4のうちから選ばれる1乃至8個の蛋白質に特異的な抗体を用いる請求項10に記載の肺癌を診断する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−528024(P2008−528024A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553017(P2007−553017)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000279
【国際公開番号】WO2006/080597
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507256418)ディジタルジェノミクスインコーポレーション (3)
【Fターム(参考)】