説明

肺線維症を処置するためのTAFI阻害剤およびそれらの使用

本発明は、TAFI阻害剤および肺線維症を処置するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年10月5日に出願された米国仮出願番号60./616,284の優先権を主張し、その全体を出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
発明の分野
本発明は、TAFI阻害剤および肺線維症を処置するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
肺の線維症は、肺実質の損傷、間葉系細胞の増殖の増加、および肺の細胞外マトリックスの過剰な蓄積に起因する不均一な群の呼吸器疾患の最終段階である (Canonico, A.E., and Brigham, K.L., "Biology of acute lung injury", In R.G. Crystal, P.J. Barnes, J.B. West, and E.R. Weibel, eds, THE LUNG, 2nd edition, Lippincott-Raven, Philadelphia, pp. 2475-2498 (1997))。肺線維症のいくつかの原因がある。間質性肺疾患(ILD)は、膠原病性脈管疾患(膠原病性脈管疾患関連ILD)、放射線肺炎、塵肺症またはサルコイドーシスと関連し得る。しかし、肺の線維症の殆どの症例は原因不明であり、それらは特発性肺線維症(IPF)と分類される。また、急性呼吸促迫症候群(ARDS)で起こるものなどの急性肺損傷も、肺の線維症をもたらし得る。
【0004】
肺胞の線維素溶解の機能が不十分であることに起因する細胞外マトリックスの分解の低下は、肺の線維性応答の駆動において根本的な役割を果たし得る(Chambers R.C., "Role of coagulation cascade proteases in lung repair and fibrosis", Eur. Respir. J. Suppl; 44:33s-35s (2003); Swaisgood, C.M. et al. "The development of bleomycin-induced pulmonary fibrosis in mice deficient for components of the fibrinolytic system", Am. J. Pathol. 157:177-87(2000))。線維素溶解系のエフェクター酵素はプラスミンであり、ウロキナーゼ(uPA)または組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)によるプラスミノーゲンの活性化により生じる。プラスミンは、数々の細胞外マトリックスの高分子を直接分解することにより、または、いくつかのプロ−メタロプロテイナーゼおよびプロ−ストロメライシンを活性化することにより、細胞外マトリックス分解を促進する(Saksela, O., Rifkin, D.B., "Cell-associated plasminogen activation: regulation and physiological functions", Ann. Rev. Cell Biol. 4: 93-126 (1988))。プラスミンは、また、タンパク質の肺胞腔への漏出および凝固カスケードの活性化の後に形成されるフィブリンを迅速に分解できる(Saksela et al., 同書)。生理条件下で、肺の肺胞腔は、強力な線維素溶解活性を有する。しかしながら、急性呼吸促迫症候群および間質性肺疾患などの肺損傷を有する患者では、肺胞の線維素溶解機能は低い(Bertozzi, P., et al., "Depressed bronchoalveolar urokinase activity in patients with adult respiratory distress syndrome", N. Engl. J. Med. 322:890-897 (1990))。ブレオマイシンまたはリポ多糖類により誘導されるものなどの肺損傷の動物モデルも、肺胞内のプラスミノーゲン−プラスミン系の不十分な活性化を示す(Idell, S., et al., "Local abnormalities in coagulation and fibrinolytic pathways predispose to alveolar fibrin deposition in the adult respiratory distress syndrome", J. Clin. Invest. 84:695-705 (1989))。肺の線維症におけるプラスミンの保護的役割は、プラスミン生成の主要な阻害因子であるプラスミノーゲン活性化因子阻害因子(PAI)−1をヌルまたは高濃度で発現するように遺伝子改変された動物を使用する実験において、最近立証された(Hattori, N., et al., "Bleomycin-induced pulmonary fibrosis in fibrinogen-null mice", J Clin Invest. 106:1341-50 (2000))。これらの研究の結果は、ブレオマイシンに誘導される肺の線維症は、PAI−1を過剰発現する遺伝子組換えマウスにおいて、PAI−1−欠損マウスより重篤であることを示し、ブレオマイシン処理PAI−1欠損マウスは、PAI−1を過剰発現するマウスより、軽い肺の線維症および良好な結果を示した(Hattori et al., 同書)。ブレオマイシン処理後のPAI−1−欠損マウスにおけるプラスミンの阻害は、肺におけるフィブリンの増加およびコラーゲンの沈着も引き起こした(Loskutoff, D.J., Quigley, J.P., "PAI-1, fibrosis, and the elusive provisional fibrin matrix", J. Clin. Invest. 106: 1441-1443 (2000))。
【0005】
肺損傷における低い線維素溶解機能の原因は明らかではないが、PAI−1は原因であり得る。PAI−1は、セリンプロテアーゼ阻害剤遺伝子ファミリーの一員であり、uPAおよびtPAの両方を迅速かつ強力に阻害する(Saksela et al., 前出)。PAI−1を欠損しているマウスは、線維素溶解活性の増強を示す。急性呼吸促迫症候群および特発性肺線維症の患者からの気管支肺胞洗浄液(BALF)は、劇的に高いPAI−1濃度を有し、これは、その洗浄液の線維素溶解活性を低減させると示された(Idell et al. 前出)。同様の知見は、ブレオマイシンまたはリポ多糖類により誘導される肺損傷の動物モデルで報告された(Yasui, H., et al., "Intratracheal administration of activated protein C inhibits bleomycin-induced lung fibrosis in the mouse" Am. J. Respir. Crit. Care Med. 163:1660-1668 (2001); Shimizu, S., et al., "Activated protein C inhibits the expression of platelet-derived growth factor in the lung", Am. J. Respir. Crit. Care Med. 167:1416-26 (2003))。
【0006】
肺損傷におけるプラスミン生成の低下を説明し得る他の候補は、トロンビン活性化線維素溶解阻害因子(thrombin-activatable fibrinolysis inhibitor; TAFI)である。TAFIは、分子量55kDaの糖タンパク質である。TAFIは、酵素前駆体として分泌され、トロンビン、トロンビン−トロンボモジュリン複合体、プラスミンまたはトリプシンにより触媒されるタンパク質分解により、線維素溶解を阻害するカルボキシペプチダーゼである活性型TAFI(TAFIa)に活性化される(Bajzar, L., "Thrombin activatable fibrinolysis inhibitor and an antifibrinolytic pathway", Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 20:2511-2518 (2000))。活性型TAFIは、部分的に分解されたフィブリンからカルボキシ末端のリシン残基を除去し、それにより、tPAに媒介されるプラスミノーゲンからプラスミンへの触媒作用におけるフィブリン補因子機能を排除するので、プラスミンの生成を低減させる。活性型TAFIはまた、プラスミンを直接不活性化し得、さらに線維素溶解を損ねる(Bajzar, 同書)。線維素溶解の調節におけるTAFIの機能に関するデータの殆どはインビトロの研究に由来するが、最近の研究は、TAFIのこの機能はインビボでも根本的に重要であることを示した。例えば、TAFIの阻害は、頸静脈血栓溶解のウサギモデルで血栓溶解を促進し、線維素溶解の増加およびチオグリコレートに誘導される白血球のリクルートの増強が、TAFI欠損マウスで立証された(Minnema, M.C., et al., "Enhancement of rabbit jugular vein thrombolysis by neutralization of factor XI. In vivo evidence for a role of factor XI as an anti-fibrinolytic factor", J. Clin. Invest. 101:10-4 (1998); Swaisgood, C.M., et al., "In vivo regulation of plasminogen function by plasma carboxypeptidase B", J Clin Invest. 110:1275-82 (2000))。
【0007】
臨床研究は、TAFIが、肺損傷における線維素溶解機能の悪化においても役割を果たすことを示唆した。特発性肺線維症を有する患者を含む、肺損傷を有する患者では、肺胞内のTAFIレベルが上昇しており、この異常は肺のウロキナーゼ活性の低下と関連した(Fujimoto, H., et al., "Thrombin-activatable fibrinolysis inhibitor and protein C inhibitor in interstitial lung disease", Am. J. Respir. Crit. Care Med. 167:1687-94 (2003))。この観察は、TAFIを肺損傷の線維素溶解の機能不全に関連付ける。加えて、肺損傷患者においてTAFIの濃度が高いことは、凝固系の活性化と、そして、肺の炎症およびコラーゲン沈着のマーカーと有意に関連することが見出され、このことは、肺線維症の病原におけるTAFIの役割をさらに示唆している(Fujimoto et al., 同書)。
【0008】
TAFI阻害剤は当分野で知られており、WO03/080631、WO03/13526、WO00/066550、WO00/066557、WO03/027128、WO01/19836およびWO02/14285に開示されているものなどの化合物が含まれる。TAFI阻害剤を開示しているこれらの刊行物の各々の全体を、出典明示により本明細書の一部とする。既知のTAFI阻害剤には、さらにAZD−9684(Astra Zeneca)およびEF−6265(Meiji Seika Kaisha)が含まれる。
【発明の開示】
【0009】
発明の要旨
線維素溶解機能の低下は、肺線維症の進行に有利に働く。トロンビン活性化線維素溶解阻害因子(TAFI)は、線維素溶解の強力な抑制因子であるが、肺の線維症におけるその役割は未知である。これを明らかにするために、我々は、TAFI(−/−)、TAFI(+/−)およびTAFI(+/+)マウスにおけるブレオマイシンに誘導される肺の線維症を比較した。我々の研究の結果は、TAFIの抗線維素溶解活性が肺の線維症の進行に寄与することを示唆する。従って、TAFI阻害剤は、可能な肺線維症の処置を構築すると期待される。好ましいTAFI阻害剤には、WO03/080631に開示されているものなどの化合物が含まれ、その全体を出典明示により本明細書の一部とする。
【0010】
従って、ある態様では、本発明は、TAFI阻害剤をそれを必要としている患者に投与することによる、肺線維症の処置方法を対象とする。
【0011】
他の態様では、本発明は、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、または立体異性体のラセミ混合物としての、以下の式(I)のTAFI阻害剤;またはその医薬的に許容し得る塩を使用する、肺線維症の処置方法を対象とする:
【化1】

式中:
は、水素、アルキル、アルケニル、アラルキルまたはアラルケニルであり;
は、−SH、−S−C(O)−R、−P(O)(OR、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(R、−P(O)(OR)−R−C(O)−R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
は、テトラゾール、−C(O)OR、−C(O)O−R−OC(O)R、−S(O)OR、−S(O)OR、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−B(ORであり;
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RはN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
【0012】
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rは、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
は、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(ここで、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(ここで、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)であり;
但し、Rが−C(O)OHであるとき、またはRが置換アリールまたは置換N−複素環であるとき、Rは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)ORまたは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであることはできない。
【0013】
他の態様では、本発明は、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、または立体異性体のラセミ混合物としての、以下の式(II)のTAFI阻害剤;またはその医薬的に許容し得る塩を使用する、肺線維症の処置方法を対象とする:
【化2】

式中:
は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルケニルであり;
は、−P(O)(OR、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(R、−P(O)(OR)−R−C(O)−R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
は、テトラゾール、−C(O)OR、−C(O)O−R−OC(O)R、−S(O)OR、−S(O)OR、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−B(ORであり;
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RはN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもある;
【0014】
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rは、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
は、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(ここで、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(ここで、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、またはN−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)であり;
但し、Rが−C(O)OHであるとき、または、Rが置換アリールまたは置換N−複素環であるとき、Rは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)ORまたは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであることはできない。
【0015】
他の態様では、本発明は、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、または立体異性体のラセミ混合物としての、以下の式(III)のTAFI阻害剤;またはその医薬的に許容し得る塩を使用する、肺線維症の処置方法を対象とする:
【化3】

式中:
Xは、−CH−または−O−であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルケニルであり;
は、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであり、
は−C(O)OHであり;
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RはN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rは、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;そして、
各Rは、独立してアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである。
【0016】
発明の詳細な説明
A.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、これに反する断りの無い限り、以下の用語は以下に示す意味を有する:
「アルキル」は、炭素および水素原子のみからなり、不飽和を含有せず、1個ないし8個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖のラジカル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソ−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)などを表す。明細書中で特に断りの無い限り、アルキルラジカルは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(ここで、各Rは、発明の要旨で定義した通りである)により置換されていることもある。明細書中で特に断りの無い限り、下記で定義する通り、置換アルキル基を含有するラジカルについて、置換は、アルキル基のいずれの炭素にあってもよいことが理解される。
【0017】
「アルコキシ」は、式−OR(式中、Rは、上記で定義した通りのアルキルラジカルである)のラジカル、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、1−メチルエトキシ(イソ−プロポキシ)、n−ブトキシ、n−ペントキシ、1,1−ジメチルエトキシ(t−ブトキシ)などを表す。明細書中で特に断りの無い限り、下記で定義する通り、置換アルコキシ基を含有するラジカルについて、置換は、アルコキシ基のいずれの炭素にあってもよいことが理解される。アルコキシラジカル中のアルキルラジカルは、上記の通り、置換されていることもある。
【0018】
「アルキルチオ」は、式−SR(式中、Rは、上記で定義した通りのアルキルラジカルである)のラジカル、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、1−メチルエチルチオ(イソ−プロピルチオ)、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、1,1−ジメチルエチルチオ(t−ブチルチオ)などを表す。明細書中で特に断りの無い限り、下記で定義する通り、置換アルキルチオ基を含有するラジカルについて、置換は、アルキルチオ基のいずれの炭素にあってもよいことが理解される。アルキルチオラジカル中のアルキルラジカルは、上記の通り、置換されていることもある。
【0019】
「アルケニル」は、炭素および水素原子のみからなり、少なくとも1個の二重結合を含有し、2個ないし8個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合または二重結合により結合している直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖のラジカル、例えば、エテニル、プロプ−1−エニル、ブト−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニルなどを表す。明細書中で特に断りの無い限り、アルケニルラジカルは、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(ここで、各Rは、発明の要旨で定義した通りである)により置換されていることもある。明細書中で特に断りの無い限り、下記で定義する通り、置換アルケニル基を含有するラジカルについて、置換は、アルケニル基のいずれの炭素にあってもよいことが理解される。
【0020】
「アルキニル」は、炭素および水素原子のみからなり、少なくとも1個の三重結合を含有し、2個ないし8個の炭素原子を有し、分子の残りの部分に単結合により結合している直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素鎖ラジカル、例えば、エチニル、プロプ−1−イニル、ブト−1−イニル、ペント−1−イニル、ペント−3−イニルなどを表す。明細書中で特に断りの無い限り、アルキニルラジカルは、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(ここで、各Rは、発明の要旨で定義した通りである)により置換されていることもある。明細書中で特に断りの無い限り、下記で定義する通り、置換アルキニル基を含有するラジカルについて、置換は、アルキニル基のいずれの炭素にあってもよいことが理解される。
【0021】
「アリール」は、フェニルまたはナフチルラジカルを表す。明細書中で特に断りの無い限り、用語「アリール」または接頭語「アル(ar)」(「アラルキル」中のものなど)は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、−OR(ヒドロキシおよびアルコキシを含む)、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)OR、−R−C(O)OR、−C(O)−N(R、−R−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)(ここで、各R、RおよびRは、上記の発明の要旨で定義した通りである)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールラジカルを含む意味である。
【0022】
「アラルキル」は、式−R(式中、Rは、上記で定義した通りのアルキルラジカルであり、Rは、1個またはそれ以上の上記で定義した通りのアリールラジカルである)のラジカル、例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなどを表す。アリールラジカルは、上記の通りに置換されていることもある。
【0023】
「アラルコキシ(aralkoxy)」は、式−OR(式中、Rは、上記で定義した通りのアラルキルラジカルである)のラジカル、例えば、ベンジルオキシを表す。アリールラジカルは、上記の通りに置換されていることもある。
【0024】
「アラルケニル(aralkenyl)」は、式−R(式中、Rは、上記で定義した通りのアルケニルラジカルであり、Rは、1個またはそれ以上の上記で定義した通りのアリールラジカルである)のラジカル、例えば、3−フェニルプロプ−1−エニルなどを表す。アリールラジカルおよびアルケニルラジカルは、上記の通りに置換されていることもある。
【0025】
「アルキレン鎖」は、炭素および水素のみからなり、不飽和を含有せず、1個ないし8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素鎖、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなどを表す。アルキレン鎖は、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(式中、各Rは、上記の発明の要旨に記載した通りである)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある。アルキレン鎖は、鎖内のいずれの2個の炭素を介して分子の残りの部分に結合していてもよい。
【0026】
「アルケニレン鎖」は、炭素および水素のみからなり、少なくとも1個の二重結合を含有し、2個ないし8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素鎖、例えば、エテニレン、プロプ−1−エニレン、ブト−1−エニレン、ペント−1−エニレン、ヘキサ−1,4−ジエニレンなどを表す。アルケニレン鎖は、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(式中、各Rは、上記の発明の要旨に記載した通りである)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある。アルケニレン鎖は、鎖内のいずれの2個の炭素を介して分子の残りの部分に結合していてもよい。
【0027】
「シクロアルキル」は、炭素および水素原子のみからなり、3個ないし10個の炭素原子を有し、飽和しており、分子の残りの部分に単結合により結合している安定な一価の単環式または二環式炭化水素ラジカル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカリニルなどを表す。明細書中で特に断りの無い限り、用語「シクロアルキル」は、アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(式中、各Rは、発明の要旨で定義した通りである)からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるシクロアルキルラジカルを含む意味である。
【0028】
「シクロアルキレン」は、炭素および水素原子のみからなり、3個ないし10個の炭素原子を有し、飽和しており、分子の残りの部分に2個の単結合により結合している安定な二価の単環式または二環式炭化水素、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、デカリニレンなどを表す。明細書中で特に断りの無い限り、用語「シクロアルキレン」は、アルキル、アリール、アラルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオ、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)−C(O)−R(式中、各Rは、発明の要旨で定義した通りである)からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるシクロアルキレン部分を含む意味である。
【0029】
「N−複素環」は、炭素原子および窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1個ないし5個のヘテロ原子からなり、少なくとも1個のヘテロ原子が窒素である、安定な3員ないし15員の環のラジカルを表す。本発明のために、N−複素環ラジカルは、単環式、二環式または三環式の環系であってよく、それは、縮合または架橋環系を含み得る;そして、N−複素環ラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、酸化されていてもよく;窒素原子は、四級化されていることもあり;そして、N−複素環ラジカルは、部分もしくは完全飽和、または芳香族性であり得る。N−複素環ラジカルは、安定な化合物の創成をもたらすいずれのヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合していてもよい。そのようなN−複素環ラジカルの例には、アゼピニル、アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、デカヒドロイソキノリル、キヌクリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イソオキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、ベンゾチアジアゾリル、オキサジアゾリル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ペルヒドロアゼピニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロイソキノリル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシドおよびチオモルホリニルスルホンが含まれるが、これらに限定されない。N−複素環ラジカルの炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)OR、−R−C(O)OR、−C(O)−N(R、−R−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)(式中、各R、R、RおよびRは、上記の発明の要旨で定義した通りである)により置換されていることもある。N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(R(式中、各R、RおよびRは、上記の発明の要旨で定義した通りである)により置換されていることもある。好ましいN−複素環ラジカルは、ピペリジニル、テトラヒドロイソキノリニルまたはベンゾチアジアゾリルである。
【0030】
「ハロ」は、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを表す。
「ハロアルキル」は、1個またはそれ以上の上記で定義した通りのハロラジカルにより置換されている上記で定義した通りのアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1−ブロモメチル−2−ブロモエチルなどを表す。
【0031】
「ハロアルコキシ」は、式−OR(式中、Rは、上記で定義した通りのハロアルキルラジカルである)のラジカル、例えば、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1−フルオロメチル−2−フルオロエトキシ、3−ブロモ−2−フルオロプロポキシ、1−ブロモメチル−2−ブロモエトキシなどを表す。
【0032】
「哺乳動物」には、ヒトおよび飼い慣らされた動物、例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギなどが含まれる。
【0033】
「場合により」または「こともある」は、その後に記載された事象または状況が、起こっても起こらなくてもよく、その記載が、該事象または状況が起こる場合と、起こらない場合を含むことを意味する。例えば「置換されていることもあるアリール」は、そのアリールラジカルが置換されていても置換されていなくてもよく、その記載が置換アリールラジカルおよび置換を有さないアリールラジカルの両方を含むことを意味する。
【0034】
「医薬的に許容し得る塩」には、酸および塩基の付加塩の両方が含まれる。
「医薬的に許容し得る酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的またはその他の理由で有害でなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸で形成される塩を表す。
【0035】
「医薬的に許容し得る塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的またはその他の理由で有害でない塩を表す。これらの塩は、遊離酸に無機塩基または有機塩基を付加することから製造される。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが含まれるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級および第三級アミン、天然産生の置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0036】
「肺線維症」は、線維症が役割を果たす肺の全ての疾患を表す。肺線維症には、肺の線維症および間質性肺疾患が含まれる。
【0037】
「TAFI」はトロンビン活性化線維素溶解阻害因子を表し、これは、血漿プロカルボキシペプチダーゼBとしても知られ、活性化されると、活性型TAFIまたはTAFIaと呼ばれる活性のある塩基性カルボキシペプチダーゼを生じる。TAFIaは、カルボキシペプチダーゼUまたはカルボキシペプチダーゼRとしても知らていれる。
【0038】
「治療的有効量」は、それを必要としているヒトに投与されると、下記で定義する通り、血栓活性を特徴とする病状の処置を果たすのに十分である、本発明の化合物の量を表す。「治療的有効量」を構成する本発明の化合物の量は、化合物、症状およびその重篤度、および処置しようとするヒトの年齢によって変動するが、当業者により、その人自身の知識および本開示に照らして、日常的に決定できる。
【0039】
「処置する」または「処置」は、本明細書で使用されるとき、哺乳動物、好ましくはヒトの病状の処置を包含し、その病状は血栓活性を特徴とし、そして、
(i)ヒトにおいて、特に、かかるヒトがその症状の素因を有するが、まだそれを有すると診断されていないときに、その症状が発生するのを予防すること;
(ii)その症状を阻害すること、即ち、その進行を止めること;または、
(iii)その症状を軽減すること、即ち、その症状の緩解を引き起こすこと、
を含む。
【0040】
本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩は、1個またはそれ以上の不斉中心を含有し得、従って、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体を生じ得、それは、絶対立体化学の用語で(R)−または(S)−と、または、アミノ酸について(D)−または(L)−と定義され得る。本発明は、全てのそのような可能な異性体、並びにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことを意図する。光学活性のある(+)および(−)、(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルの出発原料またはキラルの試薬を使用して製造し得るか、または逆相HPLCなどの常套の技法を使用して分離し得る。本明細書に記載の化合物がオレフィンの二重結合または他の幾何学不斉中心を含有するとき、断りのない限り、その化合物はEおよびZの幾何異性体の両方を含むことを企図する。同様に、全ての互変異性体も含まれると企図する。
【0041】
本明細書で使用する命名法は、I.U.P.A.C.命名法の改変形であり、本発明の化合物を本明細書では酸部分の誘導体として命名する。例えば、以下のRが水素であり、Rが−P(O)(OH)−R−N(H)−C(O)OR(式中、Rはヘキシルであり、Rはベンジルである)であり、Rが−C(O)OHであり、Rが3−グアニジノフェニルである式(III)の化合物、即ち、以下の式:
【化4】

の化合物を、本明細書では2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノヘキシル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)オキシエタン酸と命名する。断りのない限り、化合物名は、いかなる単一の立体異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体または立体異性体の混合物も含むと企図する。
【0042】
本明細書における式中での括弧の使用は、空間を節約するための使用である。従って、式中での括弧の使用は、括弧内に含まれる基が、括弧の前の原子に直接結合していることを示す。例えば、用語−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORは、以下の通りに描写できる:
【化5】

【0043】
B.本発明の化合物の効用
本発明の化合物は、TAFIの阻害剤であり、従って、肺線維症、間質性肺疾患(ILD)および急性呼吸促迫症候群(ARDS)の処置に有用である。
【0044】
本発明の化合物は、副腎皮質ステロイド、インターフェロン−ガンマ、パーフェニドン(pirfenidone)、免疫抑制剤、抗血栓剤(抗血小板薬、抗凝固剤および線維素溶解促進剤(profbrinolytic)を含む)、降圧剤、異脂肪血症を処置する物質(例えば、LIPITOR(登録商標)などのスタチン類)、抗凝固活性タンパク質C(anticoagulant activated protein C)、第X因子阻害剤および抗不整脈剤(例えば、アミオダロンおよびジゴキシン)などの他の治療物質と組み合わせる、かつ/または、共に投与してもよい。適する抗血栓剤には、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ワーファリン、未分画ヘパリン、ヒルジン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ジピリダモール、REOPRO(登録商標)、AGGRASTAT(登録商標)および INTEGRILIN(登録商標)が含まれる。
【0045】
C.本発明の化合物の投与
純粋な形態または適する医薬組成物での本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩の投与は、類似の効用を供する物質の許容される任意の投与様式で実施できる。本発明の医薬組成物は、組成物が患者に投与されるのを可能にするいかなる形態でもよい。典型的な投与経路には、非限定的に、経口、局所、経皮、吸入、非経腸、舌下、直腸、経膣および鼻腔内が含まれる。本明細書で使用するとき、非経腸の用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内の注射または点滴技法が含まれる。本発明の医薬組成物は、組成物を患者に投与した際に、その中に含有される有効成分が生物により利用可能であるように製剤化する。患者に投与される組成物は、1個またはそれ以上の投薬単位形をとり得、例えば、錠剤は単一の投薬単位であり得、エアゾル剤形態の本発明の化合物の容器は、複数の投薬単位を保持し得る。かかる投薬形を製造する実際の方法は、当業者に知られているか、または明白であろう;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., (Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, 1990)を参照せよ。投与しようとする組成物は、いずれにしても、本発明の教示に従い、血栓活性を、即ち、血栓の形成または凝固性亢進を特徴とする病状の処置のために、治療的有効量の本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩を含有する。
【0046】
本発明の医薬組成物は、固体または液体の形態であり得る。ある態様では、組成物が、例えば錠剤または粉末剤の形態であるように、担体は粒子状である。組成物が、例えば、経口シロップ剤、注射可能液剤、または例えば吸入投与で有用なエアゾル剤であるならば、担体は液体であり得る。
【0047】
経口投与を企図するとき、医薬組成物は、好ましくは固体または液体の形態であり、ここで、半固体(semi-solid)、半液体(semi-liquid)、懸濁液およびゲル形態は、本明細書で固体または液体と見なされる形態に含まれる。
【0048】
経口投与用の固体組成物として、医薬組成物を、粉末剤、顆粒剤、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、オブラートなどの形態に製剤化し得る。かかる固体の組成物は、典型的には、1種またはそれ以上の不活性な希釈剤または食べられる担体を含有する。加えて、以下の1種またはそれ以上が存在し得る:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトースまたはデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたは Sterotex などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動剤(glidant);スクロースまたはサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料などの香味剤;および着色剤。
【0049】
医薬組成物がカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセル剤の形態であるとき、それは、上記のタイプの物質に加えて、ポリエチレングリコールまたは脂肪油などの液体状担体を含有し得る。
【0050】
医薬組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤または懸濁剤であり得る。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であり得る。経口投与用に企図するとき、好ましい組成物は、本化合物に加えて、1種またはそれ以上の甘味料、防腐剤、染料/色素および香味向上剤を含有する。注射により投与されることを企図する組成物には、1種またはそれ以上の界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤および等張化剤が含まれ得る。
【0051】
本発明の液体状の医薬組成物は、それらが液剤、懸濁剤または他の同様の形態のいずれであっても、1種またはそれ以上の以下の補助剤を含み得る:注射用の水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンガー液、等張塩化ナトリウム、溶媒または懸濁媒体として作用し得る合成モノまたはジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒などの無菌の希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度の調整剤。非経腸用製剤は、アンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投与用のガラスまたはプラスチック製バイアルに封入されていてよい。生理食塩水は、好ましい補助剤である。注射可能な医薬組成物は、好ましくは無菌である。
【0052】
非経腸または経口投与を企図する本発明の液体状の医薬組成物は、適する投与量が達成されるように本発明の化合物の量を含有すべきである。典型的には、この量は、組成物中に少なくとも0.01%の本発明の化合物である。経口投与を企図するとき、この量は、組成物の重量の0.1ないし約70%で変動し得る。好ましい経口用医薬組成物は、約4%ないし約50%の本発明の化合物を含有する。本発明による好ましい医薬組成物および製剤は、非経腸投薬単位が0.01ないし1重量%の本発明の化合物を含有するように製造する。
【0053】
本発明の医薬組成物は、局所投与用に企図してもよく、その場合、担体は、液剤、乳剤、軟膏剤またはゲル剤の基材を適当に含み得る。その基材は、例えば、以下の1種またはそれ以上を含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、ミネラルオイル、水およびアルコールなどの希釈剤、並びに乳化剤および安定化剤。増粘剤は、局所投与用の医薬組成物中に存在し得る。経皮投与を企図するならば、組成物は、経皮パッチまたはイオン注入装置を含み得る。局所用製剤は、約0.1ないし約10%w/v(重量/単位体積)の濃度の本発明の化合物を含有し得る。
【0054】
本発明の医薬組成物は、例えば直腸で融解して薬物を放出する坐剤の形態で、直腸投与用に企図し得る。直腸投与用の組成物は、油性の基材を適する非刺激性賦形剤として含有し得る。かかる基材には、非限定的に、ラノリン、カカオバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0055】
本発明の医薬組成物は、固体状または液体状の投薬単位の物理的形態を改変する様々な物質を含み得る。例えば、組成物は、有効成分の周りに被覆殻を形成する物質を含み得る。被覆殻を形成する物質は、典型的には不活性であり、例えば、糖、セラックおよび他の腸溶性被覆剤から選択され得る。あるいは、有効成分は、ゼラチンカプセル内に入っていてもよい。
【0056】
固体または液体形態の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合し、それによりその化合物の送達を補助する物質を含み得る。この能力で作用し得る適当な物質には、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、タンパク質またはリポソームが含まれる。
【0057】
本発明の医薬組成物は、エアゾル剤として投与できる投薬単位から成ってもよい。用語「エアゾル剤」は、コロイドの性質を有するものから、加圧パッケージ(pressurized package)からなる系までの範囲にわたる、様々な系を示すのに使用される。送達は、液化または圧縮ガスによっても、有効成分を分配する適当なポンプシステムによってもよい。本発明の化合物のエアゾル剤は、有効成分を送達するために、単相、二相または三相の系で送達され得る。エアゾル剤の送達には、必要な容器、アクチベーター、バルブ、副容器(subcontainer)などが含まれ、それらは共にキットを形成してもよい。当業者は、過度な実験をせずに、好ましいエアゾル剤を決定し得る。
【0058】
固体状、液体状または気体状の形態のいずれであっても、本発明の医薬組成物は、血栓活性を特徴とする病状の処置に使用される1種またはそれ以上の既知の薬理的物質を含有し得る。
【0059】
本発明の医薬組成物は、医薬分野で周知の方法により製造し得る。例えば、注射による投与を企図する医薬組成物は、液剤を形成するように本発明の化合物の化合物を水と合わせることにより製造できる。均一な液剤または懸濁剤の形成を助長するために、界面活性剤を添加し得る。界面活性剤は、水性送達系において化合物の溶解または均一な懸濁を助長するように、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0060】
本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩は、治療的有効量で投与され、それは、用いる特定の化合物の活性;化合物の代謝安定性および作用期間;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別、食事;投与の様式および時間;排出速度;薬物の組合せ;特定の病状の重篤度;治療を受ける患者を含む、様々な要因に応じて変動し得る。一般的に、治療的に有効な1日の用量は、1日につき約0.14mgないし約14.3mg/体重kgの本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩;好ましくは、1日につき約0.7mgないし約10mg/体重kg;最も好ましくは、1日につき約1.4mgないし約7.2mg体重/kgである。例えば、70kgの人に投与するには、投薬量の範囲は、1日につき約10mgないし約1.0gの本発明の化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩、好ましくは1日につき約50mgないし約700mg、最も好ましくは1日につき約100mgないし約500mgである。
【0061】
D.好ましい実施態様
上記の発明の要旨に記載の本発明の化合物の中で、いくつかの化合物群が特に好ましい。
上記の発明の要旨に記載の式(I)の化合物の中で、好ましい群は、式中:
が水素であり;
が−SHまたは−S−C(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;

または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の群である。
【0062】
この好ましい化合物群の中で、好ましい下位群は、式中:
が水素であり;
が−SHまたは−S−C(O)−Rであり;
が−C(O)ORであり;
が、ハロ、ニトロ、−N(R、−R−N(Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
が、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の下位群である。
【0063】
この好ましい式(I)の化合物の下位群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(4−グアニジノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸;および
2−(2−クロロ−5−グアニジノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸。
【0064】
上記の式(I)の好ましい化合物群の中で、他の好ましい下位群は、式中:
が水素であり;
が、−SHまたは−S−C(O)−Rであり;
が−C(O)ORであり;
が、3(4)−ピペリジニルであり、ここで、ピペリジニルラジカルの窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
が、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の下位群である。
【0065】
この好ましい式(I)の化合物の下位群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(ピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(1−アミジノピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(1−(1−イミノエチル)ピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(1−(アミノメチルカルボニル)ピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(ピペリジン−3−イル)−3−メルカプトプロパン酸;および、
2−(1−アミジノピペリジン−3−イル)−3−メルカプトプロパン酸。
【0066】
上記の発明の要旨に記載の式(I)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−P(O)(OR)−R−C(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の群である。
【0067】
この好ましい化合物群の中で、好ましい下位群は、式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−P(O)(OR)−R−C(O)−Rであり;
が−C(O)ORであり;
が、ハロ、ニトロ、−N(R、−R−N(Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、アリール、−N(Rまたは−C(O)ORにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の下位群である。
【0068】
この好ましい式(I)の化合物の下位群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−グアニジノフェニル)−3−ホスホノプロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((フェニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((4−フェニルブチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((ペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((フェニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((4−フェニルブチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((ペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((4−メチルペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((3−フェニルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((3−フェニルプロプ−2−エニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((フェニルメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((ペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸メチルエステル;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((エチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((2フェニルエチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((2−(メチルカルボニル)エチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸。
【0069】
上記の発明の要旨に記載の式(I)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;
が−C(O)OR(式中、Rは、アルキル、アリールまたはアラルキルである)であり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルである)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルである;
各Rが、アリール、−N(Rまたは−C(O)ORにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の群である。
【0070】
この式(I)の化合物群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル;および
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(エトキシ)ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル。
【0071】
上記の発明の要旨に記載の式(I)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)OR、または−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の群である。
【0072】
この式(I)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル;および
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−アミノ−2−メチルプロピル)(エトキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル。
【0073】
上記の発明の要旨に記載の式(I)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)OR、または−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
【0074】
各Rが、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中のアリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中のアリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(I)の化合物の群である。
【0075】
この化合物群の中で、好ましい下位群は、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)ORおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)OR、または−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(I)の化合物の下位群である。
【0076】
この好ましい化合物の下位群の中で、好ましいクラスは、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)ORおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(I)の化合物のクラスである。
【0077】
この好ましいクラスの式(I)の化合物の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、メチルエステル;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、メチルエステル;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1R)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1R)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R/S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1S)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R/S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1R)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1S)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1S)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(エトキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、t−ブチルエステル;
【0078】
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−フェニルエチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−(ナフト−1−イル)エチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−(4−メトキシフェニル)プロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−(4−メトキシフェニル)エチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(メチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−ベンジルオキシエチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−ヒドロキシエチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−フェニルブチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−フェニルエテニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸。
【0079】
上記の好ましい化合物の下位群の中で、他の好ましいクラスは、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)ORおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(I)の化合物のクラスである。
【0080】
このクラスの式(I)の化合物の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ナフト−1−イルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)アミノ−2−メチル−プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−ペンチルフェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−アセトアミドフェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−フェニルフェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(フェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸。
【0081】
上記の好ましい化合物の下位群の中で、他の好ましいクラスは、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が−R−N(R)−C(O)ORである、
式(I)の化合物のクラスである。
【0082】
この式(I)の化合物のクラスの中で、好ましい化合物は、2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニル−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノプロピル−スルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸である。
【0083】
上記の好ましい化合物の下位群の中で、他の好ましいクラスは、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(I)の化合物のクラスである。
【0084】
この式(I)の化合物のクラスの中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(チエン−2−イルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンゾチアジアゾリルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸。
【0085】
上記の発明の要旨に記載の式(I)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;
が−C(O)ORであり;
が、非置換フェニルまたは非置換N−複素環であり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、アリール、−N(Rまたは−C(O)ORにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(I)の化合物の群である。
【0086】
この式(I)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−フェニル−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)−プロパン酸;
2−テトラヒドロイソキノリニル−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸。
【0087】
上記の発明の要旨に記載の式(II)の化合物の中で、好ましい群は、式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
式(II)の化合物の群である。
【0088】
この式(II)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエチル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−アミノフェニル)−2−((フェニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;および
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルアミノチオカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸。
【0089】
上記の発明の要旨に記載の式(II)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(II)の化合物の群である。
【0090】
この式(II)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;および、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエテニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸。
【0091】
上記の発明の要旨に記載の式(II)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(R、−P(O)(OR)−R−C(O)−R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
がテトラゾールであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
【0092】
各Rが、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
式(II)の化合物の群である。
【0093】
この式(II)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、2−メチル−1−[1−(3−グアニジノフェニル)−1−テトラゾリルメトキシ](ヒドロキシ)ホスフィノイル−プロピルカルバミン酸、ベンジルエステルである。
【0094】
上記の発明の要旨に記載の式(III)の化合物の中で、好ましい群は、式中:
Xが−O−であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
式(III)の化合物の群である。
【0095】
この式(III)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノエチル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−(((ベンジルオキシカルボニル)アミノメチル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノヘキシル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−アミノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メチルブチル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(2−クロロ−3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−1−フェニルメチル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(2−フルオロ−3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−1−シクロヘキシルメチル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
【0096】
2−(2−メチル−3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(グアニジノメチル)フェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(1−イミノエチルアミノフェニル))−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(エトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(イソプロポキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(2,2−ジメチルプロピルカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)−アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;および
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエテニルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸。
【0097】
上記の発明の要旨に記載の式(III)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
Xが−O−であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
式(III)の化合物の群である。
【0098】
この式(III)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(2−フルオロ−3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニル−エチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−フェニルカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−エトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−フェニルプロピル−カルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−フェニルプロピル−カルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸。
【0099】
上記の発明の要旨に記載の式(III)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
Xが−CH−であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
式(III)の化合物の群である。
【0100】
この式(III)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(メチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(ヒドラジノカルボニル)フェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メチルブチル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−(((ベンジルオキシカルボニル)アミノメチル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノエチル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(2−クロロ−5−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;および
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸。
【0101】
上記の発明の要旨に記載の式(III)の化合物の中で、他の好ましい群は、式中:
Xが−CH−であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
式(III)の化合物の群である。
【0102】
この式(III)の化合物の群の中で、好ましい化合物は、以下のものからなる群から選択される:
2−(3−グアニジノフェニル)−3−(((1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル)−カルボニルアミノメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および、
2−(3−グアニジノフェニル)−3−(((1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル)−カルボニルアミノメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸。
【0103】
プラスミノーゲン−プラスミン活性化系の肺の線維症に対する保護的役割は、十分に立証された(Swaisgood et al., 前出)。線維素溶解系のエフェクター酵素はプラスミンであり、それは、組織型(t−PA)またはウロキナーゼ型(uPA)プラスミノーゲン活性化因子によるプラスミノーゲンの活性化により生じる(Saksela et al., 前出)。プラスミンは、肺胞内のフィブリン沈着を溶解し、マトリックス成分を分解し、いくつかのメタロプロテイナーゼの前駆体を活性化するので、肺線維症の進行を防止するために鍵となる酵素である。過去の研究は、低い肺胞内のプラスミン活性が、肺線維症の発症と関連することを明確に立証した(Hattori et al., 前出; Loskutoff et al., 前出; Chapman, HA, "Disorders of lung matrix remodeling", J. Clin Invest. 113:148-57 (2004); Idell S., et al., "Abnormalities of pathways of fibrin turnover in lung lavage of rats with oleic acid and bleomycin-induced lung injury support alveolar fibrin deposition", Am. J. Pathol. 135:387-99 (1989))。線維素溶解活性の阻害は、特異的プラスミノーゲン活性化因子阻害剤PAI−1およびPAI−2によるプラスミノーゲン活性化因子の抑制、特異的阻害剤アルファ2−アンチプラスミンによるプラスミンの直接阻害により、または、プラスミノーゲンおよびt−PAのフィブリン表面への結合により形成される三成分複合体の生成の低下のために、生じ得る。この後者のメカニズムは、TAFI活性に依存する(Bajzar, 前出)。トロンビン、トロンビン/トロンボモジュリン複合体またはプラスミンにより活性化されると、TAFIは、カルボキシル末端のアルギニンおよびリシン残基を部分的に分解されたフィブリンから除去することにより、プラスミノーゲンのフィブリン表面への結合を低下させ、それにより、t−PA、プラスミノーゲンおよびフィブリンの三成分複合体の形成およびその後のプラスミンの産生を低減させる(Bajzar, 前出)。プラスミノーゲン活性化因子阻害剤およびアルファ2−アンチプラスミンにより誘導される肺の線維症に関連する低い線維素溶解の役割は十分に立証されたが、TAFIにより媒介されるものは不明なままである。我々の研究では、その結果を実施例と見出しのある章で下記に記載するが、我々は、TAFIに誘導される低いプラスミン生成も、肺の線維症のメカニズムに関与するという仮説を設けた。この仮説を立証するために、我々は、ブレオマイシンの慢性的皮下投与により、TAFI(+/+)、TAFI(+/−)およびTAFI(−/−)のマウスで肺の線維症を誘導した。低い線維素溶解活性は、マウスでブレオマイシンにより誘導される肺の線維症の病因にも関係があるとされるので、このモデルが選択された。
【0104】
炎症は、肺損傷に対する最初の応答である。炎症反応は、肺胞および肺の間質性区画内での、マクロファージ、好中球、リンパ球および好酸球のリクルートを特徴とする(Riches DWH, et al., "Inflammation in the pathogenesis of interstitial lung disease", In: Interstitial Lung Disease, Schwarz MI and King TE (editors), BC Decker Inc, Hamilton, pp: 187-220 (2003))。傷つけられた肺組織から放出されるMCP−1などのCCケモカインは、白血球細胞の肺へのリクルートを引き起こすのに、根本的な役割を果たす(Strieter RM, et al., "CXC chemokines in vascular remodeling related to pulmonary finrosis", Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 29:S67-9 (2003))。炎症促進性サイトカインTNF−α、凝血促進因子トロンビンおよびTh2サイトカインIL−13を含む他の炎症媒介物質も、傷つけられた肺に常在する細胞からの化学誘引タンパク質の分泌を刺激することにより、炎症細胞の肺への遊走に有利に働く(Strieter et al., 同書)。加えて、活性化された白血球からのエラスターゼおよびミエロペルオキシダーゼ(MPO)などの酵素の放出の激化は、さらに肺の炎症応答を増悪させ得る(Riches et al., 前出)。肺損傷は、肺胞の上皮および血管の内皮の透過性の増加を引き起こし、血漿タンパク質の血管外遊出、凝固系の活性化および肺胞腔におけるフィブリン血餅の沈着をもたらす。本研究では、LDHの循環レベル、総タンパク質、MCP−1、TNF−1αおよび好中球に由来する酵素(エラスターゼ、MPO)のBALFレベルは、TAFI(+/+)およびTAFI(+/−)マウスと比較して、TAFI(−/−)マウスで有意に低かった。これらの観察は、TAFI欠損が肺を炎症から保護することを示唆する。本研究では、組織化学的研究は、TAFI(+/+)およびTAFI(+/−)マウスと比較して、TAFI(−/−)マウスにおいて、フィブリン沈着が少ないことを明らかにした。この知見は、TAFI(−/−)マウスのBALFにおける、それらの野生型対応物のものと比較して低下したTATレベルおよび上昇したウロキナーゼ/TAT比の値により立証される通り、TAFI欠損を有するマウスの肺における低いトロンビン生成および高い線維素溶解活性に依存し得る。従って、低い形成または早いクリアランスに起因する低いフィブリン沈着は、TAFI欠損マウスの肺における低い炎症反応について、最も可能性の高い説明である。
【0105】
ヘルパーT細胞から放出されるサイトカインは、肺損傷および線維症の病因に決定的な役割を果たす(Agostini C, et al., "Immune effector cells in idiopathic pulmonary fibrosis", Curr. Opin. Pulm. Med. 3:348-55 (1997))。ヘルパーT細胞の2つの機能的に別個のサブセットは、それらのサイトカイン発現プロフィールに応じて区別される:(1)主にIFN−γおよびインターロイキン(IL)−2を分泌するTh1、および(2)IL−4、IL−5、IL−13、IL−6およびIL−10を産生するTh2(Keane MP, et al., "Cytokine biology and the pathogenesis of interstitial lung disease ". In: Interstitial Lung Disease, Schwarz MI and King TE (editors), BC Decker Inc, Hamilton, p: 245-275 (2003))。肺の線維症ではTh1/Th2細胞間の不均衡が生じ、その均衡は、正常時には支配的であるTh1細胞から、Th2細胞に有利に傾く。患者による局在化したTh2の応答は、過剰な線維症を導き、一方、支配的なTh1の応答は、過増殖性の線維性反応から患者を保護する(Keane et al., 同書)。
【0106】
ブレオマイシンに誘導される肺の線維症の顕著な特徴は、肺の間質および肺胞腔におけるコラーゲンの広範な沈着である(Chapman, 前出)。本研究では、塩水処理マウスと比較して、全群のブレオマイシン処理マウスが肺の線維症を発症したが、増強された線維性病変の進行が、ブレオマイシン処理したTAFI(+/+)およびTAFI(+/−)マウスにおいて、TAFI(−/−)マウスに比して観察された。加えて、総肺コラーゲン含有量および可溶性コラーゲンのBALFレベルは、ブレオマイシン処理TAFI(−/−)マウスと比較して、ブレオマイシン処理TAFI(+/+)およびTAFI(+/−)マウスで有意に高かった。TAFI(−/−)における肺組織の総コラーゲン含有量は、野生型およびヘテロ接合型マウスで観察されたものの約2分の1であった。肺の線維症からのTAFI(−/−)マウスの相対的な保護について、いくつかの可能な説明がある。いかなる特定の作用メカニズムに束縛されることも望まないが、TAFI欠損マウスの肺の線維症からの相対的保護についてのひとつの説明は、炎症反応が和らげられ、続いて肺における線維化促進性因子の発現が低減されることであり得る。これに合致して、本研究では、PDGFおよびTGF−β1のBALF濃度は、TAFI(−/−)マウスにおいて、それらのヘテロ接合型および野生型の対応物で観察されたものと比較して有意に低かった。肺の線維症からのTAFI欠損の保護についての他の説明は、TAFI(−/−)マウスの高い線維素溶解活性であり得る;TAFI(+/+)およびTAFI(+/−)マウスの両者におけるBALFの線維素溶解活性は、TAFI(−/−)マウスで観察されたものの2分の1であった。肺胞内のフィブリンは、肺の線維症に必要とされないことが最近立証されたが、仮のマトリックスを提供し、そこに線維芽細胞が遊走し、コラーゲンを産生することにより、それを促進することができる(Ploplis VA, et al., "A total fibrinogen deficiency is compatible with the development of pulmonary fibrosis in mice", Am. J. Pathol. 157:703-8 (2000))。加えて、プロメタロプロテイナーゼ(pro-metalloproteinase)の活性化の刺激および肝細胞増殖因子の分泌などのプラスミンのフィブリン非依存性の効果も、TAFI欠損マウスの肺の線維症を和らげ得る(Murphy G, et al., "Mechanisms for pro matrix metalloproteinase activation", APMIS.107:38-44 (1999); Hattori N, et al., "The plasminogen activation system reduces fibrosis in the lung by a hepatocyte growth factor-dependent mechanism", Am. J. Pathol. 164:1091-8 (2004))。従って、高い線維素溶解活性は、我々の研究で観察されたTAFI欠損マウスにおける肺の線維症の進行の低下のための重要なメカニズムであり得る。
【0107】
結論として、本研究で報告された結果は、TAFI欠損が、肺における炎症反応の減弱およびコラーゲン沈着の低下と関連することを示した。このことは、TAFIの抗線維素溶解活性が、肺の線維症の病因に関与することを示唆する。
【実施例】
【0108】
実施例
材料と方法
動物
C57BL/6および129/Svの系統が混合されたバックグラウンドのTAFI(+/+)、TAFI(+/−)およびTAFI(−/−)マウスを、以前に記載された通りに開発し、特徴解析した(Nagashima, M, et al., "Thrombin-activatable fibrinolysis inhibitor (TAFI) deficiency is compatible with murine life", J. Clin. Invest. 109:101-10 (2002))。マウスを、12時間の明所/12時間の暗所の一定のサイクルで、温度と湿度が制御された部屋で維持し、食物および水に自由に接近できるようにした。全実験において、野生型の同腹仔を対照として使用した。体重18−22g、8ないし12週齢の雌のマウスを、実験で使用した。三重大学の動物調査委員会は、この動物のプロトコールを承認した。
【0109】
肺の線維症の動物モデル
以前に記載された通りに (Yasui et al., 前出)、ブレオマイシン(BLM)(Nihon Kayaku, Tokyo, Japan)を、100mg/kgの用量で、浸透圧ミニポンプ(model 2001; Alza Corp., Palo Alto, CA)からの一定の皮下注入により投与することにより、肺の損傷を誘起した。BLMを滅菌塩水に溶解し、7日間用ミニポンプに入れた。ミニポンプが滅菌塩水を含むこと以外は同様に、対照動物を処理した。ポンプの移植の前に、用量62.5mg/体重kgの腹腔内のペントバルビトールナトリウムでマウスを麻酔した。マウスの背中の小さい切開を通してミニポンプを移植し、創傷クリップで傷を閉じた。実験の終わりに、ポンプを調べ、それらが各マウスにそれらの内容物の全量を送達したか否かを判定した。
【0110】
実験の設計
4群の動物を実験に含めた(各群にn=12):塩水(WT/SAL)またはBLM(WT/BLM)で処理したTAFI(+/+)マウス、BLMで処理したTAFI(+/−)(HETE/BLM)、BLMで処理したTAFI(−/−)(KO/BLM)。
【0111】
気管支肺胞洗浄液および血液のサンプル採取
生化学および組織化学実験用のサンプルを採取するために、BLMまたは塩水の皮下注入後21日目に、ペントバルビトールの腹腔内注射により全動物を殺した。心臓穿刺により血液サンプルを集め、1/10量の3.8%クエン酸ナトリウムを含むチューブに入れた。次いで、ツベルクリンシリンジの20ゲージの針に繋げたポリエチレンチューブで気管にカニューレ挿入し、等張塩水0.75mlを2回経気管注入することにより、BALFを得た。BALFの回収量は、1.4ないし1.5mLの範囲にあり、対照マウスと処理マウスとの間で、回収された体積に有意差はなかった。回収された流体を、ガーゼを重ねたシリンジを通して濾過し、粘液を除去した。次いで、BALFを、1000xg、10分間、4℃で遠心分離し、細胞を含まない上清を分注し、直ちに80℃で使用するまで保存した。
【0112】
総可溶性コラーゲンの測定
BALFサンプル中の総可溶性コラーゲンを、Sircol アッセイ (Biocolor, Belfast, N. Ireland)により測定した。1mlの Sirius Red 試薬を、BALFサンプル75μLと30分間室温で混合した。コラーゲン−染料複合体を、16,000xgで5分間遠心分離することにより沈殿させ、0.5M NaOH1mLに溶解し、次いで、540nmで吸光度を測定した。製造業者により提供された標準曲線との比較により、可溶性コラーゲンの量を決定した。このアッセイをデュプリケートで実施し、各個別のサンプルについて、平均値を算出した。
【0113】
生化学的分析
染料結合アッセイ(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を製造業者の指示に従い使用して、BALFの総タンパク質濃度を測定した。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の血漿レベルを、市販のキット(LDH ICII kit, Wako Pure Chemical industry, Osaka, Japan)を製造業者の指示に従い使用して測定した。BALFおよび血漿のトロンビン−アンチトロンビン複合体(TAT)の濃度を、Cedarlane Laboratories (Ontario, Canada)の酵素免疫アッセイ(EIA)キットを使用して測定した。市販の BD Biosciences Pharmigen (San Diego, CA)のEIAキットを使用して、BALFにおける単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、腫瘍壊死因子(TNF)−αおよびトランスフォーミング増殖因子(TGF)−β1の濃度を測定した。市販の免疫アッセイキットを使用して、Th1サイトカインIFN−γ(Biosource International, Amarillo, CA)およびTh2サイトカインIL−13(Genzyme, Minneapolis, MN)を測定した。全てのサイトカインキットのアッセイ間およびアッセイ内の変動係数は、10%より低かった。ポリクローナル抗PDGF(Genzyme, Boston, MA)およびビオチン標識PDGF抗体を使用して、総血小板由来増殖因子(PDGF)のBALFレベルを測定した。標準濃度のPDGF抗原を使用して創成した曲線から、PDGFの値を外挿した。アッセイ間および内の変動係数は、5%より低かった。特異的基質(S−2444)を使用して、BALFにおけるウロキナーゼ活性を分光測定で判定した。標準濃度のウロキナーゼ抗原を使用して創成した曲線から、ウロキナーゼ活性の値を外挿した。アッセイ間および内の変動係数は、10%より低かった。
【0114】
BALFにおける好中球エラスターゼ活性
BALFにおける好中球エラスターゼの活性を、合成基質メトキシスクシニル−ala−ala−pro−val−パラニトロアニリド(MeOSAAPVpNa)(Sigma Chemical (St Louis, MO)を使用して、分光測定で測定した。20μlの標準またはサンプルを、96ウェルのマイクロタイタープレートに加え、続いてリン酸バッファー(0.2M、pH8.0)中のMeOSAAPVpNa(0.3mM)を加えた。混合物を1時間37℃でインキュベートし、次いで、1N酢酸200μLの添加により反応を停止した。吸光度を405nMで読み、エラスターゼの活性を標準曲線から補間法により算出した。アッセイ間の変動係数は2%より低く、検出下限は1nMであった。
【0115】
ミエロペルオキシダーゼアッセイ
BALFにおけるミエロペルオキシダーゼ活性を分光学的に測定した。簡潔に述べると、50μLのBALFサンプルおよび標準を、96ウェルプレートに載せ、次いで、ペルオキシダーゼ基質2,2'−アジノ−ビス(エチルベンジルチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩1mL、クエン酸リン酸バッファー50μLおよび30%過酸化水素5μL (BDH/Merck)を混合することにより調製したアッセイ溶液100μLを載せた。反応を室温で進行させ、その後マイクロプレートリーダーを用いて光学密度を405nmで測定した。各サンプルは、デュプリケートのウェルでアッセイした。
【0116】
組織学的研究
組織学的調査用の肺のサンプルをBLMまたは塩水の皮下注入の開始後21日目に取った。開胸後、肺循環を塩水で洗い流し、肺を取り出した。マウスの左肺を10%の中性に緩衝したホルマリンで灌流し、ホルマリン中で24時間固定した。組織切片をパラフィンに包埋し、次いで、ヘマトキシリン/エオジンおよびマロリー−アザン染色用に調製した。
【0117】
免疫組織化学
シラン被覆したスライドに重ねた5ミクロン厚のパラフィン切片を、ウサギ抗−マウスコラーゲンI(Bethyl Laboratories, Montgomery, TX)および抗−マウスフィブリン(フィブリノーゲン) (DAKO, Denmark)一次抗体を使用するI型コラーゲンおよびフィブリンの免疫組織化学染色用に使用した。RTU Vectastain Kit (Burlingame, CA)を使用する免疫染色の前に、PBS(pH7.4)中の1%Hを使用するインキュベーションにより、組織中の内在性ペルオキシダーゼをブロックした。リン酸緩衝塩水(PBS)中の10%ヤギ血清で、非特異的結合をブロックした。次いで、組織学用切片を、1時間37℃で各一次抗体1μg/mLを用いてインキュベートした。次いで、サンプルを、Dako の Catalyzed Signal Amplification System を使用して、ビオチン標識ウサギ抗マウスIgG、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンおよびペルオキシダーゼ基質で順次処理した。切片をヘマトキシリンで対比染色した。全実験に含まれた匹敵する濃度の非免疫正常ウサギ血清による免疫特異性のための対照は、全て陰性であった(データは示さない)。
【0118】
統計学的解析
断りの無い限り、全データを平均±標準誤差(S.E.)として表す。3つまたはそれ以上の変数間の差異は、分散分析により算出した。統計学的解析は、Macintosh 用の StatView 4.1 パッケージソフトウエア(Abacus Concepts, Berkeley, CA)を使用して実行した。
【0119】
結果
炎症反応および肺損傷
肺の炎症のマーカーとして、BALF中の総タンパク質濃度および血漿中のLDH濃度を各動物群で測定した。総タンパク質のBALF濃度およびLDHの循環レベルは、WT/SAL群と比較して、WT/BLM、HETE/BLMおよびKO/BLMで顕著に高かった。しかしながら、総タンパク質およびLDHの濃度は、両方とも、KO/BLMで、WT/BLMおよびHETE/BLM群より有意に低かった。傷つけられた肺組織における炎症反応は、炎症細胞、特に好中球の蓄積を特徴とし、それは、エラスターゼおよびMPOを含むいくつかのプロテアーゼを分泌する。本研究では、エラスターゼおよびMPOのBALF濃度は、両方とも、WT/SAL群と比較してWT/BLM、HETE/BLMマウスで有意に高かったが、両マーカーのレベルは、KO/BLMマウスで、WT/BLMまたはHETE/BLMマウスよりも有意に低かった。エラスターゼのBALF濃度は、WT/SAL群と比較してKO/BLMで有意に高かったが、MPOのそれはそうではなかった。総合的に、これらの知見は、TAFI欠損マウスは、それらの野生型およびヘテロ接合型の対応物と比較して、肺損傷から部分的に保護されることを示唆する。
【0120】
サイトカインの発現
免疫/炎症反応のサイトカインの特性は、回復または最終段階の線維症への進行の原因となる、疾患の表現型を決定し得る。IFN−γなどのTh1サイトカインは、細胞外マトリックスの産生に対して抑制効果を発揮するが、IL−13などのTh2サイトカインは、線維芽細胞からのI型およびIII型コラーゲンの分泌を刺激する(Richesetal., 前出)。本研究では、WT/SALマウスと比較して、WT/BLM、HETE/BLMおよびKO/BLMマウスのBALFにおいて、IL−13のレベルおよびIL−13/IFN−γ比は高かったが、IFN−γのレベルは低かった。IL−13のBALFレベルも、IFN−γのそれも、KO/BLMおよびWT/BLMおよびHETE/BLMマウスの間で有意に異ならなかった。ケモカインMCP−1および炎症促進性サイトカインTNF−αも、単球およびマクロファージの浸潤の促進および間葉系細胞の増殖の刺激のために、肺の線維症の病因に関連があるとされてきた(Riches et al., 前出)。本研究では、MCP−1およびTNF−αのBALF濃度は、WT/SALマウスと比較して、WT/BLMおよびHETE/BLMの動物群で有意に高かったが、KO/BLM群ではそうではなかった。しかしながら、MCP−1およびTNF−αのレベルは、両方とも、KO/BLMにおいて、WT/BLMおよびHETE/BLMマウスよりも顕著に低かった。加えて、MCP−1およびTNF−αのBALFレベルは、KO/BLMとWT/SALの群の間で有意に異ならなかった。これらの観察は、TAFI欠損は、Th2/Th1比の調節を介してではなく、MCP−1またはTNF−αなどの他の炎症促進性介在因子の抑制を介して肺の炎症に影響を与えることを示唆する。
【0121】
凝固および線維素溶解系の活性化
肺胞腔内での凝固系の活性化および低い線維素溶解は、肺の線維症の進行に根本的な役割を果たす(Swaisgood et al., 前出)。我々は、TATのレベルを凝固系活性化のマーカーとして、そして、ウロキナーゼ活性のTATに対する比を線維素溶解活性のマーカーとして、測定した。TATのBALFレベルは、WT/BLM、HETE/BLMおよびKO/BLMマウスで、WT/SALマウスと比較して有意に高かったが、KO/BLMおよびHETE/BLMマウスで、WT/BLMマウスよりも有意に低かった。他方では、ウロキナーゼのTATに対する比により測定された線維素溶解活性は、WT/BLMおよびHETE/BLMの両群で、WT/SAL群と比較して有意に低かった。ウロキナーゼ/TAT比は、KO/BLMマウスでWT/SALマウスよりも有意に低かったが、WT/BLMおよびHETE/BLMの群よりも顕著に高かった。これらの観察は、TAFI欠損が肺における線維素溶解活性の上昇に関連することを示唆する。
【0122】
増殖因子の発現
TGF−β1は、コラーゲンおよび組織型メタロプロテイナーゼ阻害因子の合成および分泌を増強することにより、細胞外マトリックスの沈着を促進する(Riches et al., 前出)。PDGFは、間葉系細胞の強力な分裂促進因子および化学誘引物質であり、また、コラーゲン、フィブロネクチンおよびグリコサミノグリカンなどの細胞マトリックス関連分子の遺伝子発現を誘導できる(Riches et al., 前出)。本研究では、TGF−β1およびPDGFのBALF濃度は、両方とも、WT/SALマウスと比較して、WT/BLMおよびHETE/BLM群で有意に高かったが、KO/BLM群ではそうではなかった。加えて、両増殖因子は、KO/BLMマウスにおいて、WT/BLMおよびHETE/BLMマウスと比較して顕著に少なかった。KO/BLMとWT/SALの群の間に差異は見られなかった。これらの結果は、TAFI欠損が肺における増殖因子の低い分泌と関連することを示唆する。
【0123】
肺の総コラーゲン含有量
各動物群の肺組織中およびBALF中のコラーゲン含有量を測定することにより、肺のコラーゲン沈着を評価した。WT/SAL群と比較して、肺組織のコラーゲン含有量および可溶性コラーゲンのBALFレベルは、WT/BLM、HETE/BLMおよびKO/BLM群で有意に高かった。しかしながら、コラーゲンの肺組織含有量およびBALFレベルは、KO/BLMマウスにおいて、WT/BLMおよびHETE/BLMの両群よりも有意に低かった。これらの知見は、肺の線維症におけるTAFI欠損の保護的役割を示唆する。
【0124】
ブレオマイシン処理マウスのBALFにおける変数の相関
我々の動物モデルにおける肺の線維症の過程に関与する要因を明らかにするために、ブレオマイシンで処理した動物のBALFにおいて、変数間の関係を評価した。コラーゲン沈着および合成のマーカーである可溶性コラーゲンの濃度は、IL−13の濃度(r=0.4、p<0.01)、IL−13/IFN−γ比(r=0.4、p<0.05)およびTAT(r=0.5、p<0.01)と比例して、そして、ウロキナーゼのTATに対する比(r=0.4、P0.01)と逆に、有意に相関した。このことは、肺の線維症の過程におけるTh2サイトカイン、凝固の活性化および線維素溶解活性の関与を示唆する。ウロキナーゼ/TAT比は、MPOおよびTNF−αとも有意に相関した。このことは、我々の動物モデルにおける、線維素溶解活性に対するこれらの因子の有害な効果の可能性を示唆する。
【0125】
組織学的知見
21日目に、KO/BLM群と比較して、WT/BLMおよびHETE/BLM群の動物は、肺の重篤な線維性の変化を示し、それは、肺実質の中心領域に広がり、血管周囲および細気管支周囲の領域を含み、肺の胸膜下領域におけるより均一な硬化領域を伴う。
【0126】
免疫組織化学的知見
コラーゲンの沈着は、WT/BLMおよびHETE/BLM群のマウスにおいて、KO/BLM群のものと比較して、有意により顕著であった。WT/BLMおよびHETE/BLM群のマウスの肺組織の免疫染色は、KO/BLM群と比較して、肥厚した肺胞における細胞外I型コラーゲンの有意に多い沈着を示した。同様に、フィブリンの免疫染色は、WT/BLMおよびHETE/BLMで、KO/BLMマウスより多い間質および肺胞腔におけるフィブリン形成を明らかにした。これらの観察は、低いフィブリン形成は、TAFI欠損マウスにおけるより少ないコラーゲン沈着と関連することを示唆する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量の、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、または立体異性体のラセミ混合物としての式(I):
【化1】

[式中:
は、水素、アルキル、アルケニル、アラルキルまたはアラルケニルであり;
は、−SH、−S−C(O)−R、−P(O)(OR、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(R、−P(O)(OR)−R−C(O)−R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
は、テトラゾール、−C(O)OR、−C(O)O−R−OC(O)R、−S(O)OR、−S(O)OR、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−B(ORであり;
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RはN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rは、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
は、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)であり;
但し、Rが−C(O)OHであるとき、またはRが置換アリールまたは置換N−複素環であるとき、Rは、−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)ORまたは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであることができない]
の化合物;または、その医薬的に許容し得る塩を、それを必要としている患者に投与することを含む、肺線維症の処置方法。
【請求項2】
式中:
が水素であり;
が、−SHまたは−S−C(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式中:
が水素であり;
が、−SHまたは−S−C(O)−Rであり;
が、−C(O)ORであり;
が、ハロ、ニトロ、−N(R、−R−N(Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
が、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の化合物が、
2−(4−グアニジノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸;および
2−(2−クロロ−5−グアニジノフェニル)−3−メルカプトプロパン酸
からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式中:
が水素であり;
が、−SHまたは−S−C(O)−Rであり;
が−C(O)ORであり;
が、3(4)−ピペリジニルであり、ピペリジニルラジカル中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
が、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
2−(ピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(1−アミジノピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(1−(1−イミノエチル)ピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(1−(アミノメチルカルボニル)ピペリジン−4−イル)−3−メルカプトプロパン酸;
2−(ピペリジン−3−イル)−3−メルカプトプロパン酸;および、
2−(1−アミジノピペリジン−3−イル)−3−メルカプトプロパン酸
からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−P(O)(OR)−R−C(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−P(O)(OR)−R−C(O)−Rであり;
が−C(O)ORであり;
が、ハロ、ニトロ、−N(R、−R−N(Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、アリール、−N(Rまたは−C(O)ORにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物が、
2−(3−グアニジノフェニル)−3−ホスホノプロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((フェニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((4−フェニルブチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((ペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((フェニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((4−フェニルブチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((ペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((4−メチルペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((3−フェニルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((3−フェニルプロプ−2−エニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((フェニルメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((ペンチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸メチルエステル;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((エチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((2−フェニルエチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および、
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((2−(メチルカルボニル)エチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;
が−C(O)OR(式中、Rは、アルキル、アリールまたはアラルキルである)であり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、アリールまたはアラルキルである)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、アリール、−N(Rまたは−C(O)ORにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
式(I)の化合物が、
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル;および、
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(エトキシ)ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル
からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物が、
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル;および、
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−アミノ−2−メチルプロピル)(エトキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸t−ブチルエステル
からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)ORおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)ORおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(I)の化合物が、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、メチルエステル;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、メチルエステル;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1R)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1R)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R/S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1S)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R/S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1R)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2R)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1S)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
(2S)−2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−(((1S)−1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(エトキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、t−ブチルエステル;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−フェニルエチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−(ナフト−1−イル)エチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−(4−メトキシフェニル)プロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−(4−メトキシフェニル)エチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(メチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−ベンジルオキシエチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−ヒドロキシエチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−アミノフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(3−フェニルプロピルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−フェニルブチルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸、および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−フェニルエテニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)ORおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
式(I)の化合物が、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ナフト−1−イルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)アミノ−2−メチル−プロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−ペンチルフェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−アセトアミドフェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(4−フェニルフェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(フェニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が−R−N(R)−C(O)ORである、
請求項15に記載の方法。
【請求項21】
式(I)の化合物が、2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(3−フェニル−2−(ベンジルオキシカルボニル)アミノプロピルスルホニル)−アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR;−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−Rおよび−N(R)−C(NR)−N(Rからなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
請求項15に記載の方法。
【請求項23】
式(I)の化合物が、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(チエン−2−イルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンゾチアジアゾリルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;
が−C(O)ORであり;
が、非置換フェニルまたは非置換N−複素環であり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、アリール、−N(Rまたは−C(O)ORにより置換されていることもある直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖であり;そして、
が、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項25】
式(I)の化合物が、
2−フェニル−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)−プロパン酸;および
2−テトラヒドロイソキノリニル−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療的有効量の、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、または立体異性体のラセミ混合物としての式(II):
【化2】

[式中:
は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルケニルであり;
は、−P(O)(OR、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(R、−P(O)(OR)−R−C(O)−R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
は、テトラゾール、−C(O)OR、−C(O)O−R−OC(O)R、−S(O)OR、−S(O)OR、−P(O)(OR、−P(O)(OR)Rまたは−B(ORであり;
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RはN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rは、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
は、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、またはN−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)であり;
但し、Rが−C(O)OHであるとき、または、Rが置換アリールまたは置換N−複素環であるとき、Rは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)ORまたは−P(O)(OR)−R−N(H)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであることができない]
の化合物;または、その医薬的に許容し得る塩を、それを必要としている患者に投与することを含む、肺線維症の処置方法。
【請求項27】
式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;そして、
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
式(II)の化合物が、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエチル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−アミノフェニル)−2−((フェニル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;および、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルアミノチオカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸
からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
式中:
が水素であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rであり;
が、テトラゾール、−C(O)ORまたは−C(O)O−R−OC(O)Rであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
請求項26に記載の方法。
【請求項30】
式(II)の化合物が、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;および、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエテニルスルホニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸
からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
式中:
が水素であり;
が、−P(O)(OR、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)−R−N(R、−P(O)(OR)−R−C(O)−R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)OR、−P(O)(OR)−R−N(R)−S(O)−Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(S)−N(Rであり;
がテトラゾールであり;
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RがN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rが、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rが、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rが、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;
各Rが、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;そして、
が、−RN(R)C(O)OR、ハロアルキル、アルキル(ヒドロキシ、アルコキシ、アラルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アルケニル(ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アリール(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルキル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、アラルケニル(この中で、アリール基は、アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)、または、N−複素環(アルキル、アリール、アラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、ハロアルコキシ、−N(R、−C(O)OR、−C(O)N(Rまたは−N(R)C(O)Rにより置換されていることもある)である、
請求項26に記載の方法。
【請求項32】
式(II)の化合物が、2−メチル−1−[1−(3−グアニジノフェニル)−1−テトラゾリルメトキシ](ヒドロキシ)ホスフィノイル−プロピルカルバミン酸、ベンジルエステルである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
治療的有効量の、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、または立体異性体のラセミ混合物としての式(III):
【化3】

[式中:
Xは、−CH−または−O−であり;
は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはアラルケニルであり;
は、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)R、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであり;
は−C(O)OHであり;
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、フェニル、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、−OR、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールであるか;
または、RはN−複素環であり、ここで、N−複素環中の炭素原子は、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rまたは−N(R)−C(O)−R−N(R)により置換されていることもあるか、または、N−複素環中の窒素原子は、−C(NR)−N(R、−C(NR)−R、−C(O)−N(Rまたは−C(O)−R−N(Rにより置換されていることもあり;
各Rは、独立して、水素、アルキルまたはアラルキルであり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルであり;
各Rは、独立して、シクロアルキレン(アルキルにより置換されていることもある)、直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)、または、直鎖または分枝鎖のアルケニレン鎖(ヒドロキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、−N(R、−C(O)ORまたは−C(O)N(Rにより置換されていることもある)であり;そして、
各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキルまたはアラルケニルである]
の化合物;または、その医薬的に許容し得る塩を、それを必要としている患者に投与することを含む、肺線維症の処置方法。
【請求項34】
式中:
Xが−O−であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
式(III)の化合物が、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノエチル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−(((ベンジルオキシカルボニル)アミノメチル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノヘキシル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−アミノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メチルブチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(2−クロロ−3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−1−フェニルメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(2−フルオロ−3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−1−シクロヘキシルメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(2−メチル−3−グアニジノフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(グアニジノメチル)フェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(1−イミノエチルアミノフェニル))−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(エトキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(イソプロポキシカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−(2,2−ジメチルプロピルカルボニルアミノ)メチルフェニル)−2−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸;および、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−((1−(2−フェニルエテニルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ)エタン酸
からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
式中:
Xが−O−であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
請求項33に記載の方法。
【請求項37】
式(III)の化合物が、
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(2−フルオロ−3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−フェニルカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−エトキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−フェニルプロピルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸;および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−2−[(1−(1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−フェニルプロピルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイルオキシ]エタン酸
からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
式中:
Xが−CH−であり;
が、−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)Rまたは−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
請求項33に記載の方法。
【請求項39】
式(III)の化合物が、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(メチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(ヒドラジノカルボニル)フェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノエチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)−プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3−メチルブチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−(((ベンジルオキシカルボニル)アミノメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)−プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(2−クロロ−5−グアニジノフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)(ヒドロキシ)−ホスフィノイル)プロパン酸;および、
2−(3−(アミノ)メチルフェニル)−3−((1−(2−フェニルエチルカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル)−(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
式中:
Xが−CH−であり;
が−P(O)(OR)−R−N(R)−C(O)−R−N(R)−C(O)ORであり;そして、
が、アルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、−N(R、−R−N(R、−N(R)−C(O)OR、−R−N(R)−C(O)OR、−N(R)−C(O)−R、−R−N(R)−C(O)−R、−C(O)−N(R、−C(O)−N(R)−N(R、−C(O)−R−N(R、−N(R)−C(NR)−N(R、−N(R)−C(O)−N(Rおよび−N(R)−C(O)−R−N(R)からなる群から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもあるアリールである、
請求項33に記載の方法。
【請求項41】
式(III)の化合物が、
2−(3−グアニジノフェニル)−3−(((1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル)カルボニルアミノメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸;
2−(3−グアニジノフェニル)−3−(((1−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル)カルボニルアミノメチル)(ヒドロキシ)ホスフィノイル)プロパン酸
からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
治療的有効量のTAFI阻害剤を、それを必要としている患者に投与することを含む、肺線維症の処置方法。

【公表番号】特表2008−515893(P2008−515893A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535742(P2007−535742)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/035594
【国際公開番号】WO2006/041808
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】