説明

肺表面活性物質およびステロイドを有する治療的組み合わせ

本発明は、気管支肺異形成(BPD)を予防するために、コルチコステロイドと併用する改変された天然の界面活性物質の使用に関連し、前記使用は肺の酸化ストレスマーカーを低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、早産児を治療するための組成物に関する。特に、本発明は、早産児における肺の酸化性損傷、及び気管支肺異形成(bronchopulmonary dysplasia)を発症するリスクを低減するために、ステロイドと併用される肺界面活性物質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒトの肺は、肺胞と呼ばれる多数の小さな空気嚢から構成され、肺胞中では、血液と肺の気腔との間で気体が交換される。健常者では、この交換は、呼気終末における肺の虚脱を防止するタンパク質含有界面活性物質複合体の存在により媒介される。
【0003】
肺界面活性物質複合体は主に脂質から構成され、微量の様々なタンパク質を含有する。適切なレベルでこの複合体が存在しないと、肺の機能障害が引き起こされる。この症候群は呼吸窮迫症候群(Respiratory Distress Syndrome)(RDS)と呼ばれ、これは一般的に早産児で発症する。
【0004】
RDS治療の中心は、改変された天然の界面活性物質として知られている、動物の肺から抽出される外因性の肺界面活性剤を用いた置換療法である。例えば、臨床実践現場で用いられる改変された天然の界面活性物質は、ブタの肺に由来し、商標名Curosurf(登録商標)として販売されているポラクタントα、ウシの肺に由来するベラクタント(Surfacten(登録商標)又はSurvanta(登録商標))とボバクタント(Alveofact(登録商標))、及び仔ウシの肺に由来する(derived form)カルファクタント(Infasurf(登録商標))である。
【0005】
外因性の肺界面活性物質は、現在のところ、生理的食塩水溶液中の懸濁物として気管内点滴注入により、酸素による人工呼吸下に置かれ挿管された早産児に対して投与される。
【0006】
前記療法は出生後生存率を大幅に高めたが、RDSを克服した小児では、肺の発達を妨げ、最終的に呼吸障害を引き起こす合併症である気管支肺異形成(BPD)を発症するリスクが高い。エビデンスは、肺の炎症及び肺組織の酸化傷害が、BPDの病因において重要な役割を果たしていることを示唆している。更に、炎症及び酸化ストレスは、血漿タンパク質及び細胞の肺胞滲出(alveolar transudation)、並びにフリーラジカルの直接的な作用に起因する界面活性物質の不活性化の原因となる。
【0007】
RDSに罹患した幼児におけるBPD発症リスクは、出生後数週間以内にコルチコステロイドを投与することにより低減可能である。しかし、出生後コルチコステロイド投与の有効性は、全身性の副作用のおそれ、例えば、高血圧症、高血糖症、胃腸の合併症、及び神経発達障害により相殺される。
【0008】
全身投与に対する代替案として、吸入又は気管内点滴注入によるコルチコステロイドの送達が提案されてきた。
【0009】
例えば、Yehら(Pediatrics、2008年、121巻(5号)、e1310〜e1318頁)は、担体として界面活性物質Survanta(登録商標)を用いた、ブデソニドの気管内点滴注入を提案した。
【0010】
しかし、米国特許第2007/0225233号で報告されたように、関連する送達法は、4回の分量で薬剤を投与し、各回の分量は、幼児の異なる、かなり複雑な位置に投与されることを前提としているので、順守に関していくつかの欠点を有する。
【0011】
上記検討内容を考慮すると、肺の炎症、及び酸化ストレスマーカーを効果的に低減させることができ、従ってRDSに罹患している幼児におけるBPDのリスクを低減する、より順守しやすい薬剤を開発する必要性がなおも存在する。
【0012】
特に、人工呼吸は、BPD発症の原因となると認識されている侵襲的手技であるので、前記呼吸器支援装置を回避する方法によっても有効に投与され得る薬剤の提供は、特に有利となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第2007/0225233号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の概要
本発明は、気管支肺異形成(BPD)を予防するために使用される、0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用される、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαに関する。
【0015】
また、本発明は、気管支肺異形成(BPD)を予防するための薬剤の製造において、0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用される、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαの使用にも関する。
【0016】
好ましくは、前記使用は、肺の酸化ストレスマーカーを低下させる。
【0017】
好ましくは、ジプロピオン酸ベクロメタゾンは0.8mg/kgの用量で用いられる。
【0018】
本発明は、気管支肺異形成(BPD)を予防するために、同時に、逐次的に、又は別々に投与するための、好ましくは同時に投与するための、
100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαと、
0.4mg/kg以上、好ましくは0.8mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンとの組み合わせにも関する。
【0019】
本発明は、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαと、0.4mg/kg以上、好ましくは0.8mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンとの固定された組み合わせを含む薬剤にも関する。
【0020】
特定の実施形態では、前記薬剤は、前記固定された組み合わせを含む吸入又は気管内投与用の医薬組成物の形態である。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、a)第1の単位投与剤形内の、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントα、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤と、b)第2の単位投与剤形内の、0.4mg/kg以上、好ましくは0.8mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾン、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤と、c)前記第1及び第2の投与剤形を入れるための容器手段とを含むキットに関係する。
【0022】
更なる実施形態では、本発明は、0.4mg/kg以上、好ましくは0.8mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用される、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントの、かかる治療を必要とする患者への投与を含む気管支肺異形成を予防する方法に関連する。
定義
本明細書で用いる場合、用語「気管支肺異形成(BPD)」とは、肺の損傷が消散しない又は異常に修復された結果である、慢性肺疾患(CLD)としても知られている慢性の肺の疾患を意味する。
【0023】
BPDは、出生後の初期の段階において、人工呼吸に起因した酸素毒性及び気圧性外傷の結果として肺の損傷が持続する、超低出生体重(VLBW)の新生児に一般的に生じる。
【0024】
本明細書で用いる場合、用語「改変された天然の界面活性物質」とは、細切れにされた哺乳動物の肺の脂質抽出物を意味する。製造プロセスに用いられる脂質抽出プロセスのために、親水的タンパク質のSP−A及びSP−Dは失われる。これらの調製物は、様々な量の2種類の疎水性、界面活性物質関連タンパク質のSP−B及びSP−Cを有し、及び抽出方法に応じて非界面活性の脂質、タンパク質又はその他の成分を含有し得る。
【0025】
本明細書で用いる場合、用語「ポラクタントα」とは、ブタの肺から抽出される改変された天然の界面活性物質を意味し、実質的に極性脂質、主にリン脂質、並びにタンパク質のSP−B及びSP−Cから構成される。ポラクタントαは商標名CUROSURF(登録商標)として入手可能である。
【0026】
本明細書で用いる場合、用語「固定された組み合わせ」とは、複数の活性物質が固定された量比で存在する組み合わせを意味する。
【0027】
「薬学的に許容される(Pharmaceutical acceptable)」とは、幼児に投与した時にアレルギー性又は同様の有害反応を引き起こさない媒体を意味する本明細書で用いられる用語である。
【0028】
界面活性剤の「界面活性」とは、表面張力を低下させる能力として定義される。
【0029】
In vitroでの外因性界面活性剤の有効性は、適当な装置、例えばヴィルヘルミー秤、脈動気泡表面張力計(Pulsating Bubble Surfactometer)、捕捉気泡表面張力計(Captive Bubble Surfactometer)、及び毛細管表面張力計(Capillary Surfactometer)を用いて、表面張力を低下させる能力を測定することにより、一般的に試験される。
【0030】
In vivoでの外因性界面活性剤の有効性は、当技術分野の熟練者に知られている方法に基づき、早産動物モデルにおける肺のメカニクスを測定することにより試験される。
【0031】
本明細書で用いる場合、用語「重症のRDS」とは、在胎期間及び/又は出生時体重と逆に相関する幼児の呼吸窮迫症候群の一形態を指し、当技術分野の熟練者に知られている方法に基づき、臨床的に及び/又はX線撮影により診断可能である。
【0032】
コルチコステロイドを緊急投与しても、肺のメカニクスに対する効果は無視し得るということは常識なので、本出願の文脈において、用語「相乗的な」とは、肺のメカニクスの任意の1つのパラメータにおいて、界面活性にジプロピオン酸ベクロメタゾンの活性を加えたものは、界面活性物質単独により期待されるものよりも大きいことを意味する。
発明の詳細な説明
本発明は、界面活性物質の表面活性に変化を引き起こすことなく気管支肺異形成(BPD)のリスクを有効に軽減するように、0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンを、改変された天然の界面活性物質、例えばポラクタントαと併用可能である、という予期せぬ知見に一部基づく。
【0033】
従って、本発明は、気管支肺異形成(BPD)を予防するための薬剤として、0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用された、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαに関連する。
【0034】
ジプロピオン酸ベクロメタゾンの用量は、0.4mg/kg(400μg/kg)を超える、好ましくは0.6〜0.8μg/kgの範囲であるのが有利である。
【0035】
1つの実施形態では、ジプロピオン酸ベクロメタゾンの用量は、0.6mg/kgである。
【0036】
ジプロピオン酸ベクロメタゾンの好ましい用量は0.8mg/kg(800μg/kg)である。
【0037】
好ましくは、ポラクタントαの用量は200mg/kgである。
【0038】
主張する用量のポラクタントαとジプロピオン酸ベクロメタゾンとの組み合わせは、逐次的に、個別に、又は一緒に投与され得る。2つ活性物質が一緒に投与される際には、それらは固定された組み合わせとして投与されるのが有利である。
【0039】
従って、本発明は、固定された組み合わせとして、主張する用量で2種類の活性物質を含む薬剤にも関係する。当該薬剤は、医薬組成物の形態であり得る。
【0040】
前記製剤は、溶液、分散物、懸濁物、又は乾燥粉末の形態で投与され得る。好ましくは、前記組成物は、適当な生理学的に許容される溶媒中に懸濁された主張する組み合わせを含む。
【0041】
より好ましくは、製剤は、好ましくは滅菌状態の水性の溶液を含み、同溶液は、pH緩衝剤、及びその他の薬学的に許容される添加剤、例えばポリソルベート20、ポリソルベート80、又は湿潤剤としてモノラウリン酸ソルビタン、及び等張性剤(isotonicity agent)として塩化ナトリウムも含み得る。
【0042】
製剤は、単位用量又は複数回用量の容器、例えば、密閉されたアンプル及びバイアルの状態で分配可能であり、又は凍結された、若しくは使用直前に滅菌液状担体を添加することのみが必要であるフリーズドライされた(凍結乾燥された)状態で貯蔵可能である。
【0043】
好ましくは、製剤は、単回使用バイアルに入れられた緩衝化された生理的食塩(0.9%w/v塩化ナトリウム)水溶液中の滅菌懸濁物として供給される。
【0044】
主張する製剤の投与は、例えば気管内点滴注入法による、スプレー投与法、又はジェット超音波による噴霧化法、又は一般的に市販されているメッシュバイブレーティング噴霧機(mesh−vibrating nebulisers)による既知の方法に基づき実施可能である。
【0045】
製剤が、気管内点滴注入により投与される場合には、呼吸窮迫症候群の重症度に応じて異なる方法が適切であり得る。例えば、主張する製剤は、連続的又は間欠的な陽圧換気下に置かれた早産児に対して気管内点滴注入法により投与され得る。
【0046】
あるいは、製剤は、気管内に配置された細いカテーテルを用いて投与可能であり、また患者の呼吸は、国際公開第2008/148469号に記載する手技に基づく、経鼻的持続陽圧呼吸法(nasal Continuous Positive Airway Pressure(nCPAP))として知られている方法による特別に設計された経鼻デバイス、例えばマスク、プロング、又はチューブを通して支援を受けることができる。
【0047】
カテーテルアプローチは、高粘度では、細いカテーテルを経由する界面活性物質の通過がより困難になるので、ポラクタントα等の低粘度の外因性界面活性物質を用いる場合に限り可能である。
【0048】
2種類の併用された活性物質が懸濁されている水溶液の容積は、所望の濃度に依存する。
【0049】
製剤の容積は、5.0mlを超えないようにすべきであり、好ましくは4.5〜2.0ml、より好ましくは3.5〜2.5mlを含むのが有利である。
【0050】
例えば、2.5mlの容積が用いられるとき、ポラクタントαの量が200mg、及びジプロピオン酸ベクロメタゾンの量が0.8mgであれば、ポラクタントα及びジプロピオン酸ベクロメタゾンの最終濃度は、それぞれ80mg/ml及び0.32mg/mlとなる。
【0051】
同じ用量について4.5mlの容積が用いられる場合には、最終濃度は、それぞれ約44mg/ml及び約0.18mg/mlとなる。
【0052】
2.5mlの容積について、100mgの用量のポラクタントαが用いられる場合には、最終濃度は、それぞれ40mg/ml、及び0.32mg/mlとなる。
【0053】
その他の実施形態では、ポラクタントα及びジプロピオン酸ベクロメタゾンが個別に投与される際には、個々の活性物質は個別に処方可能である。この場合には、2種類の個々の活性物質は、絶対に同時に投与されなければならないということはない。
【0054】
このように個別に投与される場合には、2種類の個々の活性物質の製剤は、適する容器手段に同時に包装され得る。適する容器内にある成分のかかる個別の包装は、キットとしても記載される。
【0055】
従って、本発明は、a)第1の単位投与剤形内の、100〜200mgの間に含まれる量のポラクタントα、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤と、b)第2の単位投与剤形内の、0.4mg以上の量のジプロピオン酸ベクロメタゾン、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤と、c)前記第1及び第2の投与剤形を入れるための容器手段を含むキットにも関係する。
【0056】
好ましくは、第1の単位投与剤形は、緩衝化された生理的食塩(0.9%w/v塩化ナトリウム)水溶液中に懸濁された80mg/mlのポラクタントαの滅菌製剤2.5mlが充填された単回使用バイアルであり、一方、第2の単位投与剤形は、ポリソルベート(ツイーン)20、モノラウリン酸ソルビタン、及び塩化ナトリウムを含む水溶液中に懸濁された、0.8mg/mlの微粒子化されたジプロピオン酸ベクロメタゾンの滅菌製剤2mlが充填された単回使用バイアルである。
【0057】
当技術分野の熟練者により確立されるものとする条件に基づき、出生後の幼児に投与され得る本発明の組み合わせは、気管支肺異形成の発症を防止する、遅延させる、緩和する、阻止する、又は阻害するのに適する。
【0058】
好ましくは、本発明の組み合わせは、呼吸窮迫症候群(RDS)の重症形態に罹患した早産児における気管支肺異形成の発症を防止するのに適する。
【0059】
しかし、これは、内因性界面活性物質の欠如又は機能障害、例えば成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、急性肺傷害(ALI)、及び胎便吸引症候群(meconium aspiration syndrome)(MAS)に関連するその他の疾患の予防、及び/又は治療に用いられ得る。
【0060】
ポラクタントαを、治療の実践現場において現在適用されている用量を超える、ある用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用したときのその長所は下記の知見より明らかである。
【0061】
RDSに罹患した早産の仔ヒツジを対象に行われたランダム化試験では、0.4mg/kgを超える用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用したポラクタントαは、いくつかの肺組織酸化ストレスマーカーについて相加的に、及び肺のメカニクスパラメータについて相乗的に作用することが確かに認められた。
【0062】
試験は、ジプロピオン酸ベクロメタゾンを加えたポラクタントαの気管内投与により、異なる用量で、界面活性物質単独と比較して実施された。
【0063】
肺組織酸化は、気管支の吸引液サンプルについて総ヒドロペルオキシド(TH)、高度酸化タンパク質産物(advanced oxidation protein products)(AOPP)、及び非タンパク質結合鉄(NPBI)を測定することにより試験された。THは、界面活性物質の群よりも、界面活性物質に加え400又は800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた群において低かったが、一方、AOPPは、もう一方の群よりも、界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた群において低かった。NPBIはすべての群で同様であった。肺コンプライアンスも評価された。
【0064】
界面活性物質治療を行った後、1回換気量(tidal volume)(TV)及び気道抵抗(Raw)の持続的な改善が続いたが、この改善には、予想通り、ジプロピオン酸ベクロメタゾンが最高の用量で存在しても、これによる変化はなかった。しかし、驚くべきことに、800μg/kgの用量でジプロピオン酸ベクロメタゾンを添加すると、同じ値のTVを得るのに必要とされる平均気道内圧(MAP)の相乗的な減少を実現した。これとは対照的に、界面活性物質に400mg/kgの用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンを加えて治療を受けた群では、MAP対する効果は、界面活性物質単独で治療を受けた群の効果と統計的に相違しなかった。
【0065】
これは、本発明の組み合わせの投与を受ける患者には、より優しい人工呼吸を適用することができ、気圧性外傷のリスクはより少ないことを意味する。
【0066】
従って、上記の知見すなわち、酸化性の肺のストレスが軽減し、及び肺のメカニクスパラメータのうち1つが相乗的に改善することを考慮すれば、本発明は気管支肺異形成の予防に特に有効な組み合わせを提供する。
【0067】
更に、ジプロピオン酸ベクロメタゾンはきわめて親油性の高いコルチコステロイドであり、これは粘膜吸収、及びリン脂質細胞膜を通過する取り込みを促進し、全身性の吸収は無視し得るほどに抑えられると考えられ、幼児を対象とした治療の用途でも当該組み合わせを安全なものにしている。
【0068】
下記の例は、本発明を更に詳細に説明する。

例1−毛細管表面張力計によるジプロピオン酸ベクロメタゾン存在下でのポラクタントαのIN VITRO表面活性評価
ポラクタントαの表面活性(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、2ml、0.8mgの存在下で)が、Calmia Medical,Inc.、米国より市販されている毛細管表面張力計によりポラクタントα単独と比較して評価される。
【0069】
2つのサンプルが調製される:1つは、リン脂質が1mg/mlの濃度になるまでポラクタントα(1.5ml、80mg/ml)のバイアルを生理的食塩水で希釈することにより、同バイアルから得られ、及びもう一方は、ポラクタントα(1.5ml、80mg/ml)のバイアルをジプロピオン酸ベクロメタゾン(2ml、0.8mg)のバイアルと混合し、生理的食塩水で同濃度(1mg/mlリン脂質)まで希釈することにより得られる。次に、両溶液のうち0.5mlのサンプルが、毛細管表面張力計で評価される。
【0070】
毛細管表面張力計の原理はヒト末梢気道をシミュレートすることである。サンプルは、ヒト末梢気道と同様に、内径が0.25mmである、ガラス製毛細管の狭くなったセクションに導入される。毛細管の一端では、ベローズ及び圧力変換器と連結する。ベローズがゆっくりと圧縮されると、圧力が上昇し、記録される。圧力が上昇すると、毛細管の狭くなったセクションからサンプルが押し出される。空気が流通すると圧力は急激に低下する。サンプルが十分に機能する肺界面活性物質を含む場合には、サンプル液は狭くなったセクションには戻らない。ベローズを連続的に圧縮することにより得られる安定した気流は、抵抗を受けることがなく、記録される圧力はゼロとなる。一方、サンプルが十分に機能する肺界面活性物質を含まない場合には、サンプル液は反復的に戻る。
【0071】
ジプロピオン酸ベクロメタゾンを加えたポラクタントαの挙動が、ポラクタントα単独の挙動と統計的に識別不能であることが判明し、前記用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンは界面活性物質の表面活性に影響を及ぼさないことが示唆される。
例2−ジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用したポラクタントαのin vivo評価
材料及び方法
動物及び機器
全ての動物は、マッサ(Massa)の雌ヒツジ(予定日は在胎期間145日)から在胎期間124+1.7日間で帝王切開により分娩される。胎児の頭部及び頸部が露出した後、連続的に血圧を監視し、血液を採取するために頸動脈カテーテルが挿入される。このカテーテルは中胸部レベルにゼロ基準が設定された(zero−referenced to mid−chest level)圧力変換器と連結される。
【0072】
液状物(デキストロース10%、100ml/kg/日)の連続的な輸液及び投薬を行うために、静脈カテーテルが右内頸静脈内に挿入され、気管内チューブが気管内に固定される。シリンジにより容易に吸引可能な胎児の肺液が回収され、仔ヒツジが分娩され、秤量される(2425±410グラム)。標準肢誘導(standard limb lead)心電図(ECG)が用いられる。直腸の温度は、電気加温パッドを用いて正常範囲内に保たれる。
【0073】
第1呼吸の前に、仔ヒツジは200mg/kgのポラクタントα(Curosurf(登録商標)、Chiesi SpA、Parma、イタリア)の投与を無作為に受け、その後に10mlの空気がシリンジにより気道内に送気され、又は400若しくは800mg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾン(Clenil A(登録商標)、Chiesi SpA、Parma、イタリア)と併用した200mg/kgの同界面活性物質の投与を受ける。ランダム化は、分娩前に封筒法(closed envelope methods)を用いて実施される。
【0074】
全ての動物は、時間サイクル式(time cycled)及び従圧式(pressure−limited)の幼児用人工呼吸器(Newport Breeze Ventilator、 Soma Technology Inc.、Bloomfield、CT、米国)により、同様の換気方法を用いて、6時間換気を受けた。呼吸速度60回/分、吸気時間0.5秒、及び終末呼気陽圧(positive end−expiratory pressure)(PEEP)4cmHOに変化はない。最大吸気圧(Peak inspiratory pressure)(PIP)は、pCOが35〜65torrで維持されるように変化させる。圧力は、気胸を避けるためにPIP35cmHOまでに制限された。吸気酸素分圧は、目標pOである100〜150mmHgを保つように調節された。人工呼吸器の設定に変動が生じて、それが試験結果に影響を及ぼす可能性を排除するために、人工呼吸器の調節にかかわる人員には治療の割り当ては伏せられる。
【0075】
血液ガス、pH、及び塩基余剰(BE)が、血液ガス、電解質、及び代謝産物測定システム(Radiometer Copenhagen USA、West Lake、OH)により、少なくとも30分毎に、又は胸部運動及び1回換気量に変化が生じることにより示唆される肺換気状態に変化が生じたときに分析される。
【0076】
全実験を通じて、平均SAPが30mmHgを超えて維持されるように、血漿増量剤のポリゲリン(Emagel(登録商標)、Novaselect、Potenza、イタリア)、及び/又はドーパミン10〜20μg/kg/分が、必要に応じて投与される。代謝性アシドーシス(pH<7.25及びBE<8mmol/L)は、重炭酸ナトリウム又はTHAM輸液(高二酸化炭素血症の場合:PaCO>45mmHg)により修正される。各動物のpH、pO、及びpCOは、少なくとも分娩後できる限り速やかに、及び界面活性物質を投与してから1(T)、2(T)、4(T)、及び6(T)時間後に記録される。
【0077】
肺のメカニクスの監視:平均気道内圧(Mean airway pressure)(MAP)、動肺コンプライアンス(dynamic lung compliance)(Cdyn)、呼気の1回換気量(exhaled tidal volume)(TV)、及び呼気抵抗(Raw)が、新生児用呼吸器系監視装置(Florian Neonatal Respiration Monitor(商標)、Acutronic、Hirzel、スイス国)により測定され、ベースライン、T、T、T、及びTにおけるこれらの数値が記録される。
【0078】
肺酸化ストレス分析。各群内の動物に由来する気管支の吸引液サンプルは下記の技法により得られた:1ml/kgの滅菌された0.9%生理的食塩水が、10mlシリンジを用いて、カテーテルの先端がチューブの遠位側末端部の先2cmまで伸長するように気管内チューブ内に配置された8Fゲージのフィーディングカテーテル経由で滴下注入された。生理的食塩水は滴下注入され、速やかにシリンジ内に吸い戻された。
【0079】
回収される生理的食塩水の平均容積は1.5mlである。全てのサンプルは遠心分離(1000rpm×5分)により清澄化され、上清部は−70℃で速やかに凍結され、その後の分析用として保管された。気管支の吸引液サンプルは界面活性物質を投与する前、胎児の頭部が露出した後、並びに界面活性物質の投与後1(T)、2(T)、4(T)、及び6(T)時間において各動物から採取された。
【0080】
各気管支の吸引液サンプルについて、総ヒドロペルオキシド(TH)濃度、高度酸化タンパク質産物(AOPP)、及び非タンパク質結合鉄(NPBI)が測定された。TH生成物は、分光光度法を用いて、d−ROMsキット(Diacron srl、イタリア)により測定された。
【0081】
結果は従来の単位で表される(Carrユニット:1Carrユニットの値は、0.08mg/dlの過酸化水素濃度に等しい)。AOPPは、Witko-Sarsatらが報告した方法(Kidney Int.、1996年、49巻(5号):1304〜13頁)により、分光光度法を用いてマイクロプレートリーダー上で測定される。AOPP濃度は、μmol/lクロラミン−T相当量として表される。NPBIレベルは、Kimeら(Clin Sci (Lond)、1996年、91巻(5号):633〜8頁)が記載する方法を部分的に改変して用いながら、HPLCにより求められる。結果はnmol/mlとして表される。
【0082】
組織の取り出し及び病理学検査。実験の終わりに、動物はペントバルビタールを過量投与して絶命させた。胸部は、気胸の兆候をチェックし、組織を採集するために慎重に開胸された。気管及び肺が取り出され、緩衝化された10%ホルマリン浴に入れられた。両肺の上葉及び下葉から2つのランダムな肺の試料が得られた。常法がパラフィン包埋用の組織を調製するために用いられた。5マイクロメーターの厚さの切片が、ヘマトキシリン−エオシンを用いて染色され、病理学者2名が盲検化された顕微鏡検査を実施した。末梢気道膨張(Terminal airways distension)は、対照の肺の膨張と同様と認められた場合には0と、膨らんでいる(対照の気道径(airway caliber)の1〜1.5倍の間にある)場合には1と、非常に膨らんでいる(対照の気道径の1.5倍を超える)場合には2とランク付けされた。更に、下記の組織学的な特徴が分析された:無気肺の領域、間質性浮腫及び/又は肺胞浮腫、炎症性の浸潤、小葉間中隔隔壁の破裂(interlobular septa ruptures)、及び細気管支上皮剥離(desquamation of bronchiolar epithelium)。各病理学的特徴は、存在する場合は1、また存在しない場合には0として評価された。肺損傷スコアは、陰性=0、若干=0〜1、中程度=2〜3、及び重度≧4とみなされ、これらのスコアを加算することにより得られる。
【0083】
統計解析。時間−依存性の変化が、反復測定について一元分散分析により解析された。異なる群間のタイムコースの進展は、反復測定及び1つのグループ化した因子(すなわち、「時間」及び「治療」)について二元分散分析を用いて比較された。異なる群における異なる治療条件間の群内比較は対応のあるスチューデントt検定により検定される。結果は平均±標準偏差として表され、0.05より低いp値は有意とみなされた。
結果
動物18匹が、200mg/kgの天然の界面活性物質(n=6)、200mg/kgの界面活性物質と400μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンとの併用(n=6)、及び200mg/kgの界面活性物質と800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾン(n=6)との併用にランダムに割り当てられて投与を受けた。
【0084】
ガス交換。表1は、各試験群にけるpH及び血液ガス分析値の変化を報告する。全ての群で、ベースラインの数値と比較して、T、T、T、及びTにおいてpHに有意な上昇が認められる。pCOは、界面活性物質群では変化しなかったが、一方、界面活性物質とジプロピオン酸ベクロメタゾンとの併用群では、T、T、T、及びTにおいて顕著に減少する。pOはそれぞれの時点において各群で同様である。BEはいずれの群でも低下傾向を示すが、統計的変化は一過性であり、関連性に乏しい。
【0085】
MAP及び肺のメカニクス。表2は、MAP、TV、Cdyn、及びRawの変化を示す。MAPは、界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた群では、T及びTにおいて顕著に低下し、またその他の群よりも低い。TV及びRawは、全ての群でベースラインよりも低下するが、一方、Cdynは変化しない。
【0086】
酸化ストレスの分析。表3は、TH、AOPP、及びNPBIの変化を詳記する。THは、Tにおいて、界面活性物質群よりも、界面活性物質に加え400μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた群で低く、またT及びTにおいて、その他の群よりも、界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた群で低い。AOPPは、全ての群で、Tにおいて増加し、次にT、T、及びTにおいて低下するが、但しTにおけるその値は、界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた群では、その他の群よりも低い。NPBIは、全ての群において認められるが、その濃度は変化せず、また各群間で相違しない。
【0087】
肉眼的−顕微鏡的特徴。肉眼検査では、界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して治療を受けた動物の肺は、その他の群よりも良好なエアレーションの傾向を示す。顕微鏡検査では、遠位側の気道は、界面活性物質に加え400又は800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用する群よりも界面活性物質群において、より虚脱した状態に見える。更に、無気肺の領域、マクロファージを含むいくつかの肺胞、及び若干の小葉間中隔隔壁の漏出が認められる。全体的な肺の損傷スコアは、界面活性物質群(2.4±0.6)よりも、界面活性物質に加え400μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用する群(1.8±0.7)、及び界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用する群(1.8±0.3)において低いが、但し、その差異は統計的に有意ではない。
考察
上記結果から、ポラクタントαをジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用した治療は、呼吸器系障害を有する早産の仔ヒツジにおいて肺の酸化ストレスを低減するのに有効であることが実証される。実際、界面活性物質に加え800μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用した気管内点滴注入を行うと、その後、その他の群と比較して気管支吸引液サンプル中のT及びTにおけるTH、並びにTにおけるAOPPのレベルが低下すること;界面活性物質に加え400μg/kgのジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用した気管内点滴注入を行うと、その後、その他の群と比較してTにおけるTHが低下し、一方、界面活性物質単独の点滴注入は、酸化ストレスマーカーの濃度に対して効果を全く有さないことが認められた。THは、脂質、ペプチド、及びアミノ酸の中間酸化生成物であることから、これは全体的な酸化ストレスの指標となる一方、AOPPの同時測定は、フリーラジカル反応におけるタンパク質関与の別の側面、すなわちオキシダント特性を失った酸化型タンパク質に関する情報を提供するので、これらの結果は重要である。
【0088】
上記と異なり、NPBIの濃度は試験群で相違しない。しかし、すでに報告したように、おそらくはNPBIはその他の原因物質からも形成されるので、NPBIの値は酸化ストレスのその他のマーカーの濃度変化とは無関係である可能性がある。
【0089】
更に、肺コンプライアンスに関する限り、界面活性物質治療を行うと、その後Cdynは変化しないまま、TV及びRawの持続的な改善が認められる。しかし、驚くべきことに、800μg/kgの用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンでは、界面活性物質に加えジプロピオン酸ベクロメタゾンを400mg/kgの用量で併用して、及び界面活性物質単独で治療を受けた群と比較して、TVについて同じ値を得るのに必要とされる平均気道内圧(MAP)が相乗的に低下する。
【0090】
従って、800μg/kgの用量で気管内投与したときのジプロピオン酸ベクロメタゾンの効果は、肺酸化ストレスの低減に限定されることなく、肺のメカニクスの改善、従って動物の呼吸器系機能の改善とも整合する。
【0091】
その他の知見と一致して、組織学的検査により、界面活性物質に加えジプロピオン酸ベクロメタゾンを併用して投与を受けた群において、形態学的な肺の損傷の軽減傾向が明らかになる。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管支肺異形成(BPD)を予防するために使用される、0.4mg/kgを超える用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用される、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントα。
【請求項2】
気管支肺異形成(BPD)を予防するための薬剤の製造において、0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと併用される、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαの使用。
【請求項3】
肺の酸化ストレスマーカーを低下させる、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
ポラクタントαの用量が200mg/kgである、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記用量が0.8mg/kgである、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
気管支肺異形成(BPD)を予防するために、同時に、逐次的に、又は別々に使用される、
100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαと、
0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンと
の組み合わせ。
【請求項7】
100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントαと、
0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾンとを、
固定された組み合わせとして含む薬剤。
【請求項8】
ポラクタントαの用量が200mg/kgである、請求項7に記載の薬剤。
【請求項9】
ジプロピオン酸ベクロメタゾンの用量が0.8mg/kgである、請求項7又は8に記載の薬剤。
【請求項10】
吸入又は気管内投与用の医薬組成物の形態の、請求項7から9のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項11】
緩衝化された生理的食塩(0.9%w/v塩化ナトリウム)水溶液中の滅菌懸濁物の形態の、請求項10に記載の薬剤。
【請求項12】
a)第1の単位投与剤形内の、100〜200mg/kgの間に含まれる用量のポラクタントα、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤と、b)第2の単位投与剤形内の、0.4mg/kg以上の用量のジプロピオン酸ベクロメタゾン、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤と、c)前記第1及び第2の投与剤形を入れるための容器手段とを含むキット。
【請求項13】
ポラクタントαの用量が200mg/kgである、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
第1の単位投与剤形が、緩衝化された生理的食塩(0.9%w/v塩化ナトリウム)水溶液中に懸濁された80mg/mlのポラクタントαの滅菌製剤2.5mlが充填された単回使用バイアルであり、一方、第2の単位投与剤形が、ポリソルベート(ツイーン)20、モノラウリン酸ソルビタン、及び塩化ナトリウムを含む水溶液中に懸濁された0.8mg/mlの微粒子化されたジプロピオン酸ベクロメタゾンの滅菌製剤2mlが充填された単回使用バイアルである、請求項12又は13に記載のキット。

【公表番号】特表2012−527490(P2012−527490A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512241(P2012−512241)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003112
【国際公開番号】WO2010/136153
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(304037234)シエシー ファルマセウティチィ ソシエタ ペル アチオニ (24)
【Fターム(参考)】