説明

肺高血圧症の処置のためのニトロキシル供与体

本発明は、ヒドロキシル供与体またはその薬学的に許容し得る塩を使用して、肺高血圧症の発病または発症を処置し、防止し、または遅延させる方法に関する。本発明はさらに、ヒドロキシル供与体またはその薬学的に許容し得る塩を使用して、平均肺動脈圧を低下させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年11月23日出願の米国仮出願第61/263,698号および2009年11月24日出願の米国仮出願第61/264,129号の利益を請求し、当該出願の内容全体は、参照によって本出願中に組込まれる。
【背景技術】
【0002】
肺高血圧症(PH)は、肺の動脈(肺動脈)における高められた血圧によって特徴づけられる状態の群についての総称である。PHを有する患者において、特徴的な変化は、肺循環内で起こる。これらの変化は、裏層の肥厚および肺小血管の閉塞を含む。これらの変化の結果、肺循環における圧力は上昇し、血管を通って流れる血液中の抵抗は増大する。この増大した抵抗は、それが血液を肺に送り込むためにより激しく作動しなければならないため、心臓の右側に対して負担をかける。この負担は、心臓を拡大させ得る。最終的には、心不全が発症し得る。
【0003】
PHの世界保健機関(WHO)の分類は、Dana Point, Californiaにおける2008 4th World Conferenceにおいて更新されたように、5つの群を含む。
【数1】

【0004】
WHO1群は、肺動脈高血圧症(PAH)を表す。PAHは、前毛細血管肺動脈の狭小化により特徴づけられるPHの特に進行性の形態である。これらの前毛細血管肺動脈の閉塞によって、増大した肺血管抵抗および潜在的には右心不全および時期尚早の死がもたらされる。PAHの臨床的特徴は、持続的に高められた平均肺動脈圧(MPAP)、これと組み合わせて正常な肺毛細血管楔入圧(PCWP)および高められた肺血管抵抗(PVR)を含む。PAHの診断は、これらの血行力学的測定を逸脱する臨床的パラメーターを含み得、それは、前毛細血管PH、肺高血圧症性動脈症(通常叢状障害を伴う)、遅い臨床的発病(数か月、数年)および進行性劣化によって特徴づけられる慢性の時間経過(数年)を含む。
【0005】
WHO2群は、左心疾患によるPHを表す。左心疾患のタイプは、収縮不全、拡張機能障害および弁膜疾患を含む。
他のWHO群は、肺疾患および/または低酸素症によるPH(3群)、慢性血栓塞栓性PH(4群)および不明瞭な多因子性機構を伴うPH(5群)を含む。
【0006】
現在のWHOの分類にもかかわらず、いくつかの文献は、尚「原発性の」および「続発性の」PHのより古い分類体系に言及している。原発性のPHは、特発性のPHを指し、一方続発性のPHは、他の医学的状態から発症するPHを指す。例えば、より古い分類体系の下では、左心疾患によるPHは、左心疾患に対して続発性のPHとして分類された。
【0007】
PHのための現在の療法は、酸素補給、利尿薬、経口血管拡張薬、例えばカルシウムチャネル遮断薬、抗凝固薬、変力薬、プロスタノイド、エンドセリン受容体拮抗薬およびホスホジエステラーゼ5型阻害剤を含む。そのような療法がある成功に遭遇している一方、多くのPH患者は、これらの療法に応答しない。したがって、PHのための追加の安全かつ有効な処置についての必要性が残る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ラットにおける平均肺動脈圧および収縮の(ピーク)肺動脈圧(PAP)に対するニトロキシル(HNO)供与体の静脈内での効果を示す。
【図2】図2は、ラットにおける平均動脈圧(MPAP)および心拍数に対するニトロキシル(HNO)供与体の静脈内での効果を示す。
【図3】図3は、イヌにおける、低酸素症期間の間の正常酸素圧期間に対する収縮の肺動脈圧(SPAP)の平均の変化に対する、クエン酸シルデナフィルと比較してのニトロキシル(HNO)供与体の静脈内での効果を示す。
【発明の概要】
【0009】
定義
他に明確に示さない限り、本明細書中で使用する以下の用語は、以下に示す意味を有する。
「a」、「an」などは、1つまたは2つ以上を指す。
「アラルキル」は、アリール部分が基本構造にアルキル残基を介して付着している残基を指す。例は、ベンジル(−CH−Ph)、フェネチル(−CHCHPh)、フェニルビニル(−CH=CH−Ph)、フェニルアリルなどを含む。
【0010】
「アシル」は、基−C(O)H、−C(O)アルキル、−C(O)置換アルキル、−C(O)アルケニル、−C(O)置換アルケニル、−C(O)アルキニル、−C(O)置換アルキニル、−C(O)シクロアルキル、−C(O)置換シクロアルキル、−C(O)アリール、−C(O)置換アリール、−C(O)ヘテロアリール、−C(O)置換ヘテロアリール、−C(O)複素環および−C(O)置換複素環を指し、またこれを含み、ここでアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環は、本明細書中で定義した通りであるか、またはさもなければ当該分野において知られている。
【0011】
「アシルアミノ」は、基−C(O)NRを指し、ここで各々のRおよびR基は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環から選択され、またはRおよびR基は、窒素原子とともに結合して、複素環または置換複素環を形成することができる。アシルアミノ部分の1つの例は、−C(O)モルホリノである。
【0012】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」は、炭素の1個〜4個がヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄によって置き換えられているシクロアルキル残基を指す。ラジカルがヘテロシクリル基である複素環の例は、テトラヒドロピラン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、チアゾリジン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、ジオキサン、テトラヒドロフランなどを含む。ヘテロシクリル残基の特定の例は、テトラヒドロピラン−2−イルである。
【0013】
「置換ヘテロシクリル」または「置換ヘテロシクロアルキル」は、1つ〜5つの置換基を有するヘテロシクリル基を指す。例えば、1つ〜5つの基、例えばハロ、ニトロ、シアノ、オキソ、アリール、アルコキシ、アルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシアルキル、チオール、チオアルキル、ヘテロシクリル、−OS(O)−アルキルなどで置換されたヘテロシクリル基は、置換アルキルである。置換ヘテロシクロアルキルの特定の例は、N−メチルピペラジノである。
【0014】
「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、1〜12個の炭素原子または1〜8個の炭素原子を有する直鎖状炭化水素構造を意図する。より少数の炭素原子のアルキル基、例えば1〜4個の炭素原子を有するいわゆる「低級アルキル」基が、包含される。「アルキル」はまた、3〜20個の炭素原子、3〜12個の炭素原子および3〜8個の炭素原子を有する分枝状または環状炭化水素構造を意図する。用語「アルキル」の任意の使用のために、他に明確に示さない限り、それは、炭素原子の数によって区画されるように、本明細書中に開示したアルキル基のすべての変形を包含することを意図し、各々の、およびすべてのアルキル基を用語の各々の使用について明示的に、かつ個別に列挙した場合と同一である。例えば、基、例えばRが「アルキル」であり得る場合には、意図するのは、C〜C20アルキルもしくはC〜C12アルキルもしくはC〜Cアルキルもしくはより低級のアルキル、またはC〜C20アルキルもしくはC〜C12アルキルもしくはC〜Cアルキルである。同一のことが、本明細書中に列挙した他の基について当てはまり、それは、他の定義の下での基を含んでいてもよく、ここで特定の数の原子を、定義において列挙する。
【0015】
アルキル基が環状の場合において、それをまた、シクロアルキル基と称し、例えば1〜20個の環の炭素原子、1〜12個の環の炭素原子および1〜8個の環の炭素原子を有してもよい。特定の数の炭素を有するアルキル残基を称する場合には、当該数の炭素を有するすべての幾何異性体を包含することを意図する;したがって、例えば、「ブチル」は、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含むことを意味し;「プロピル」は、n−プロピルおよびイソプロピルを含む。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、ノルボルニルなどを含む。1種または2種以上の不飽和度が、アルキル基において存在し得る。したがって、アルキル基はまた、アルケニルおよびアルキニル残基を包含する。
【0016】
「アルケニル」は、少なくとも1つ、いくつかの場合において1つ〜2つのアルケニル不飽和の部位を有する、2個または3個以上の炭素原子、例えば2〜10個の炭素原子および2〜6個の炭素原子の基を指す。アルケニル基の例は、−C=CH、−CHCH=CHCHおよび−CHCH=CH−CH=CHを含む。「アルキニル」は、少なくとも1つ、いくつかの場合において1つ〜2つのアルキニル不飽和の部位、例えば部分−C≡CHを有する、2個または3個以上の炭素原子、例えば2〜10個の炭素原子および3〜6個の炭素原子の基を指す。アルキルをまた、本明細書中でより大きい官能基の一部としてのアルキル残基を示すために使用し、そのように使用する場合には、他の原子と一緒になって他の官能基を形成する。例えば、「−C(O)Oアルキル」は、エステル官能基を指し、ここで当該部分のアルキル部は、任意のアルキル基であり得る;非限定的例は、−C(O)OCH、−C(O)(O)CH=CHなどを含む。より大きい構造の一部としてのアルキル基の他の例は、残基−NHC(O)アルキルC(O)OHを含み、それは、例えば、アルキルが−CHCH−である場合にはNHC(O)CHCHC(O)OHであり得る。
【0017】
「置換アルキル」は、1つ〜5つの置換基を有するアルキル基を指す。例えばハロ、ニトロ、シアノ、オキソ、アリール、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルキル、ヘテロシクリル、−OS(O)−アルキルなどのような基で置換されたアルキル基は、置換アルキルである。同様に、「置換アルケニル」および「置換アルキニル」は、1つ〜5つの置換基を有するアルケニルまたはアルキニル基を指す。
【0018】
「置換された」は、化合物または基(例えばアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリル)上の水素ラジカルが、化合物の安定性に実質的に悪影響を及ぼさない基(「置換基」)で置き換えられていることを意味する。いくつかの態様において、置換基は、化合物の活性に悪影響を及ぼさないものである。
【0019】
「置換された」の用語は、各々水素原子を置き換える1つまたは2つ以上の置換基(それは同一であっても異なっていてもよい)を指す。置換基の例は、ハロ(F、Cl、BrまたはI)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、オキソ、カルボニル、チオ、イミノ、ホルミル、カルバミド、カルバミル、カルボキシル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、アルキル、アルケニル、アルコキシ、メルカプトアルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリル、ヘテロシクリルを含むが、それらには限定されず、ここでアルキル、アルケニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリルおよびヘテロシクリルは、随意にアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)またはイミノ(=Nアルキル)で置換されている。
【0020】
いくつかの態様において、任意の基(例えばアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリル)上の置換基は、当該基の任意の原子において(例えば置換されたアルキル基の主要な炭素鎖の炭素原子上、または置換されたアルキル基上に既に存在する置換基上)であり、ここで置換され得るあらゆる基(例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクリル、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクリル)を、各々水素原子を置き換える1つまたは2つ以上の置換基(それは同一であっても異なっていてもよい)で随意に置換することができる。
【0021】
置換基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、オキソ、カルボニル、カルボキシル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシカルボニル、チオ、メルカプト、メルカプトアルキル、アリールスルホニル、アミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルまたはアルコキシカルボニルアミノ;アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルカルボニルまたはアリールアミノ置換アリール;アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノカルボニル、アミド、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、イミノ、カルバミド、カルバミル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリールまたはメルカプトアルコキシを含むが、それらには限定されない。
【0022】
置換基の追加の例は、限定されずにハロ、CN、NO、OR11、SR11、S(O)OR11、NR1112、C〜Cパーフルオロアルキル、C〜Cパーフルオロアルコキシ、1,2−メチレンジオキシ、(=O)、(=S)、(=NR11)、C(O)OR11、C(O)R1112、OC(O)NR1112、NR11C(O)NR1112、C(NR12)NR1112、NR11C(NR12)NR1112、S(O)NR111213、C(O)H、C(O)R13、NR11C(O)R13、Si(R11、OSi(R11、Si(OH)11、B(OH)、P(O)(OR11、S(O)R13およびS(O)13を含む。
【0023】
各々のR11は、独立して水素、随意にシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールで置換されたC〜Cアルキルである。各々のR12は、独立して水素、C〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールで置換されたC〜Cアルキルである。各々のR13は、独立してC〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールで置換されたC〜Cアルキルである。各々のR11、R12およびR13における各々のC〜Cシクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびC〜Cアルキルは、随意にハロ、CN、C〜Cアルキル、OH、C〜Cアルコキシ、COOH、C(O)OC〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノで置換され得る。置換基はまた、「電子求引基」であり得る。
【0024】
「電子求引基」は、それが付着した部分の電子密度を(置換基を有しない部分の密度に対して)低下させる基を指す。例は、限定されずにF、Cl、Br、I、−CN、−CF、−NO、−SH、−C(O)H、−C(O)アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)OH、−C(O)Cl、−S(O)OH、−S(O)NHOH、−NHなどを含む。
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0025】
「アルキルスルホニル」は、−SOアルキルおよび−SO置換アルキルから選択された基を指し、それは、残基−SOシクロアルキル、−SO置換シクロアルキル、−SOアルケニル、−SO置換アルケニル、−SOアルキニルおよび−SO置換アルキニルを含み、ここでアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルは、本明細書中で定義した通りである。
【0026】
「N−ヒドロキシルスルホンアミジル」は、−S(O)NROHを指し、ここでRはHまたはアルキルである。
「パーハロアルキル」は、炭化水素の各々のHがFで置き換えられているアルキル基を指す。パーハロ基の例は、−CFおよび−CFCFを含む。
【0027】
「アリール」は、単環式、二環式または三環式の芳香環ラジカルを指す。いくつかの態様において、アリール基は、O、NおよびSから選択された0〜3個の環のヘテロ原子を含む5員環もしくは6員環の芳香環もしくは芳香族複素環;O、NおよびSから選択された0〜3個の環のヘテロ原子を含む二環式の9員環もしくは10員環の芳香環もしくは芳香族複素環系(環系が9個もしくは10個の環の原子を有することを意味する);またはO、NもしくはSから選択された0〜3個の環のヘテロ原子を含む三環式の13員環もしくは14員環の芳香環もしくは芳香族複素環系(環系が13個もしくは14個の環の原子を有することを意味する)である。アリールラジカルの例は、例えばフェニル、ナフタレニル、インダニル、テトラリニル、イミダゾリル、ピリジニル、インドリル、チオフェニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、フラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリルおよびピラゾリルを含む。
【0028】
「置換アリール」は、1つ〜3つの置換基を有する基を指す。例えば、1つ〜3つの基、例えばハロ、ニトロ、シアノ、オキソ、アリール、アルコキシ、アルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルキル、ヘテロシクリル、−OS(O)−アルキルなどで置換されたアリール基は、置換アリールである。
【0029】
「アルコキシ」は、基本構造に酸素原子によって結合しているアルキル基(−O−アルキル)を指す。シクロアルキル基が基本構造に酸素原子によって結合している場合には、当該基をまた、シクロアルコキシ基と称してもよい。例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどを含む。「パーハロアルコキシ」は、基本構造に酸素によって結合しているパーハロアルキル基、例えば残基−O−CFを意図する。
【0030】
「アリールオキシ」は、基本構造に酸素原子によって結合しているアリール基(−O−アリール)を指し、それは、例によって残基フェノキシ、ナフトキシなどを含む。「置換アリールオキシ」は、基本構造に酸素原子によって結合している置換アリール基(−O−置換アリール)を指す。
【0031】
「アルキルスルファニル」は、基本構造に硫黄原子によって結合しているアルキル基(−S−アルキル)を指し、また基−S−アルキルおよび−S−置換アルキルを指し、それは、残基−S−シクロアルキル、−S−置換シクロアルキル、−S−アルケニル、−S−置換アルケニル、−S−アルキニルおよび−S−置換アルキニルを含み、ここでアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルは、本明細書中で定義した通りである。シクロアルキル基が基本構造に硫黄原子によって結合している場合には、当該基をまた、シクロアルキルスルファニル基と称してもよい。例によって、アルキルスルファニルは、−S−CH(CH)、−S−CHCHなどを含む。
【0032】
「アルキルスルフィニル」は、基本構造にS(O)部分によって結合しているアルキル基を指し、また基−S(O)アルキルおよび−S(O)置換アルキルを指し、それは、残基−S(O)シクロアルキル、−S(O)置換シクロアルキル、−S(O)アルケニル、−S(O)置換アルケニル、−S(O)アルキニル、−S(O)置換アルキニルを含み、ここでアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキルおよび置換シクロアルキルは、本明細書中で定義した通りである。例によって、アルキルスルフィニルは、残基−S(O)CH(CH)、−S(O)CH、−S(O)シクロペンタンなどを含む。
【0033】
「アリールスルフィニル」は、基本構造にS(O)部分によって結合しているアリール基を指し、それは、例によって残基−S(O)Phを含む。
「ジアルキルアミノ」は、−NRを指し、ここで各々のRは、アルキル基である。ジアルキルアミノ基の例は、−N(CH、−N(CHCHCHCHおよびN(CH)(CHCHCHCH)を含む。
【0034】
「カルボキシル」は、−C(O)OHを指す。
「カルボキシルエステル」は、−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アルキニル、−C(O)O−置換アルキニル、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)O−複素環および−C(O)O−置換複素環から選択された基を指す。
【0035】
「スルホニルアミノ」は、−SONH、−SONR−アルキル、−SONR−置換アルキル、−SONR−アルケニル、−SONR−置換アルケニル、−SONR−アルキニル、−SONR−置換アルキニル、−SONR−アリール、−SONR−置換アリール、−SONR−ヘテロアリール、−SONR−置換ヘテロアリール、−SONR−複素環および−SONR−置換複素環(ここでRは水素もしくはアルキルである)、または−SONR(ここで2つのR基は一緒になり、それらが付着した窒素原子と共に、複素環または置換複素環を形成する)から選択された基を指す。
【0036】
「カルボニルアミノ」は、−CONH、−CONR−アルキル、−CONR−置換アルキル、−CONR−アルケニル、−CONR−置換アルケニル、−CONR−アルキニル、−CONR−置換アルキニル、−CONR−アリール、−CONR−置換アリール、−CONR−ヘテロアリール、−CONR−置換ヘテロアリール、−CONR−複素環および−CONR−置換複素環(ここでRは水素もしくはアルキルである)、または−CONR(ここで2つのR基は一緒になり、それらが付着した窒素原子と共に、複素環または置換複素環を形成する)から選択された基を指す。
【0037】
「随意の」または「随意に」は、後に記載した事象または状況が生じる場合があるかまたは生じない場合があり、記載が、当該事象または状況が生じる例およびそれが生じない例を含むことを意味する。例えば、「随意に置換された」アルキルは、非置換であるアルキルおよび置換されたアルキルを共に包含する。
【0038】
「薬学的に許容し得る塩」は、本明細書中に記載した化合物の薬学的に許容し得る塩、例えば式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)で表される化合物または他のニトロキシル供与体、当該塩は、当該分野において周知の様々な有機および無機対イオンから誘導され得、例によってナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含む;分子が塩基性の官能性を含む場合には、有機酸または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など、を指す。
【0039】
例示的な塩は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ベシル酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩を含むが、それらには限定されない。
【0040】
したがって、塩を、酸性官能基、例えばカルボン酸官能基を有する本明細書中に開示した式のいずれか1つで表される化合物、および薬学的に許容し得る無機または有機塩基から製造してもよい。
【0041】
好適な塩基は、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウムおよびリチウムの水酸化物;アルカリ土類金属、例えばカルシウムおよびマグネシウムの水酸化物;他の金属、例えばアルミニウムおよび亜鉛の水酸化物;アンモニア、および有機アミン、例えば非置換の、またはヒドロキシ置換されたモノ、ジまたはトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル、N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビスまたはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン)、例えばモノ、ビスまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、またはトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N,−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン、例えばN,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン;N−メチル−D−グルカミン;ならびにアミノ酸、例えばアルギニン、リジンなどを含むが、それらには限定されない。
【0042】
塩をまた、塩基性官能基、例えばアミノ官能基を有する本明細書中に開示した式のいずれか1つで表される化合物、および薬学的に許容し得る無機または有機酸から製造してもよい。好適な酸は、硫酸水素塩、クエン酸、酢酸、塩酸(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、硝酸、リン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸塩、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸を含む。
【0043】
「薬学的に許容し得る」とは、薬理学的および/もしくは毒物学的観点から患者に、ならびに/または組成物、処方物、安定性、患者の許容、生物学的利用能および他の成分との適合性に関する物理的および/もしくは化学的観点から製造製薬化学者に許容し得る当該特性および/または物質を指す。
【0044】
「薬学的に許容し得る賦形剤」は、それ自体治療薬ではなく、担体、希釈剤、アジュバント、結合剤および/もしくはビヒクルとして、治療薬の患者への送達のために使用するか、または医薬組成物に加えて、その取り扱いもしくは保存特性を改善するか、または化合物もしくは組成物の、投与のための単位剤形への生成を可能にするかもしくは促進する、任意の物質を指す。薬学的に許容し得る賦形剤は、薬学的分野において周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa(例えば第20版、2000)ならびにHandbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association, Washington, D.C.,(例えば第1版、第2版および第3版、それぞれ1986, 1994および2000)に記載されている。
【0045】
当業者に知られているように、薬学的に許容し得る賦形剤は、様々な機能を提供し得、湿潤剤、緩衝剤、懸濁剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、風味剤および甘味剤として記載され得る。
【0046】
薬学的に許容し得る賦形剤の例は、限定されずに:(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース;(4)粉末状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤ろう;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物;ならびに(22)医薬処方物において使用する他の無毒性の適合性物質を含む。
【0047】
「単位剤形」は、ヒトまたは他の動物患者のための単一の投薬として好適な物理的に別個の単位を指す。各々の単位剤形は、所望の効果を生じるように計算された活性物質(例えばHNO供与体)の所定量を含んでいてもよい。
【0048】
他に明確に示さない限り、「個体」または「患者」は、動物、例えば哺乳動物を指し、それはヒトを含むがそれらには限定されない。したがって、本明細書中に記載した方法は、ヒト療法および獣医学的適用において有用であり得る。いくつかの態様において、個体または患者は哺乳動物である。いくつかの態様において、個体または患者はヒトである。
【0049】
「有効な量」は、有効性および毒性のそのパラメーターと組み合わせて、ならびに開業の専門家の知識に基づいて、所与の治療的形態において有効であるべき量の化合物またはその薬学的に許容し得る塩を指す。当該分野において理解されるように、有効な量は、1または2以上の用量においてであり得る。
【0050】
「処置」または「処置する」とは、臨床的結果を含む有益な、または所望される結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益であるかまたは所望される結果は、疾患もしくは状態の発病および/もしくは発症を阻害および/もしくは抑制するか、またはそのような疾患もしくは状態の重篤度を低下させること、例えば疾患または状態と関連する症状の数および/または重篤度を低減すること、疾患または状態を有する患者の生活の質を向上させること、疾患または状態を処置するために必要である他の薬物療法の用量を低減すること、個体が疾患または状態のために採用している他の薬物療法の効果を増強すること、ならびに疾患または状態を有する個体の延長された生存を含むが、それらには限定されない。
【0051】
「防止」は、障害または状態を有しないが発症する危険にある個体における障害または状態を発症する可能性を低減することを指す。「危険にある」個体は、検出可能な疾患または状態を有する場合があるかまたは有しない場合があり、検出可能な疾患または状態を本明細書中に記載した処置方法の前に示す場合があるかまたは示さない場合がある。「危険にある」は、個体が1つまたは2つ以上のいわゆる危険因子を有することを示し、それは、疾患または状態の発生と相関し、当該分野において知られている測定可能なパラメーターである。これらの危険因子の1つまたは2つ以上を有する個体は、これらの危険因子(単数または複数)を有しない個体よりも、疾患または状態を発症するより高い可能性を有する。
「ニトロキシル」は、種HNOを指す。
【0052】
「ニトロキシル供与体」または「HNO供与体」は、生理学的条件下でニトロキシルを供与する化合物を指す。本明細書中で使用するニトロキシル供与体は、代替的に「化合物」または「当該化合物」と称され得る。いくつかの態様において、ニトロキシル供与体は、in vivoで有効な量のニトロキシルを供与することができ、治療的効果を達成するのに必要な量において個体によって化合物が耐容されることを示す安全性プロフィールを有する。通常の当業者は、対象が生存するための特定の化合物および投与量を投与する安全性を決定することができる。当業者はまた、それが生理学的条件下でHNOを放出するか否かを評価することにより、化合物がニトロキシル供与体であるか否かを決定することができる。
【0053】
化合物は、ニトロキシル供与について常習的な実験を使用して容易に試験される。ニトロキシルが供与されるか否かを直接測定することは非実用的であるが、いくつかの試験が、化合物がニトロキシルを供与するか否かを決定するために受け入れられる。例えば、関連する化合物を、溶液中に、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に、またはリン酸緩衝溶液中に、約7.4のpHで、密閉した容器中に配置することができる。解離のための十分な時間、例えば数分〜数時間が経過した後、ヘッドスペースガスを引き出し、分析して、その組成を例えばガスクロマトグラフィーおよび/または質量分析によって決定する。
【0054】
ガスNOが生成する場合には(それはHNO二量化によって起こる)、試験はニトロキシル供与について陽性であり、化合物はニトロキシル供与体である。ニトロキシル供与能力のレベルを、化合物の理論的最大値の百分率として表現してもよい。「有意水準のニトロキシル」を供与する化合物は、ニトロキシルのその理論的最大量の40%もしくはそれ以上または50%もしくはそれ以上を供与する化合物を意図する。
【0055】
いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の60%またはそれ以上を供与する。いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の70%またはそれ以上を供与する。いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の80%またはそれ以上を供与する。いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の90%またはそれ以上を供与する。いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の約70%〜約90%を供与する。いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の約85%〜約95%を供与する。いくつかの態様において、本明細書中での使用のための化合物は、ニトロキシルの理論的最大量の約90%〜約95%を供与する。
【0056】
ニトロキシルのそれらの理論的量の40%未満または50%未満を供与する化合物は、尚ニトロキシル供与体であり、本明細書中に開示した発明において使用してもよい。ニトロキシルの理論的量の50%未満を供与する化合物を、記載した方法において使用してもよく、有意水準のニトロキシルを供与する化合物と比較して高い投薬レベルを必要とし得る。ニトロキシル供与をまた、試験化合物をメトミオグロビン(Mb3+)に曝露することにより検出することができる。ニトロキシルは、Mb3+と反応して、Mb2+−NO複合体を生成し、それを、紫外線/可視スペクトルの変化によって、または電磁常磁性共鳴(EPR)によって検出することができる。Mb2+−NO複合体は、約2のg値の周囲に集中するEPR信号を有する。一酸化窒素は他方で、Mb3+と反応して、EPRサイレントであるMb3+−NO複合体を生成する。
【0057】
したがって、候補化合物がMb3+と反応して、一般的な方法、例えば紫外線/可視またはEPRによって検出可能な複合体を生成する場合には、当該試験は、ニトロキシル供与について陽性である。ニトロキシル供与についての試験を、生理学的に関連のあるpHで行ってもよい。ニトロキシル供与体の例は、限定されずにナトリウムジオキソトリニトレート(sodium dioxotrinitrate)(「Angeliの塩」または「AS」)、N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド(「Piloty’sの酸」または「PA」)、ならびに米国特許第6,936,639号、米国特許公開第2004/0038947号、2007/0299107号および2009/0163487号、ならびにPCT公開番号WO/2007/002444、WO/2005/074598およびWO/2009/137717に開示されている化合物を含み、当該特許明細書および刊行物の開示全体は、参照によって本出願中に組込まれる。
【0058】
「肺高血圧症」または「PH」は、肺動脈圧が上昇する状態を指す。PHの現在の血行力学的定義は、25mmHgより高いかまたはこれに等しい安静時平均肺動脈圧(MPAP)である。PHの例は、PHの更新された分類中に列挙された状態を含むが、それらには限定されない(表1)
【数2】

【0059】
【表1−1】

【0060】
【表1−2】

【0061】
肺高血圧症を処置する方法
本発明のいくつかの態様は、肺高血圧症の発病または発症を処置し、防止し、または遅延させる方法であって、それを必要としている個体にHNO供与体、その薬学的に許容し得る塩、またはHNO供与体もしくはその薬学的に許容し得る塩を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0062】
個体が肺高血圧症を有するか、有することが疑われるか、または有するか、もしくは発症する危険にある場合には、個体は「それを必要としている」。そのような処置を必要としている個体を識別することを、医師、臨床的スタッフ、救急救命士または他の健康管理専門家の判断においてとすることができ、主観的(例えば所見)または客観的(例えば試験もしくは診断方法によって測定可能である)であり得る。いくつかの態様において、個体は哺乳動物である。いくつかの態様において、個体はヒトである。
【0063】
いくつかの態様において、肺高血圧症は、表1において上記で列挙した疾患および症状から選択される。いくつかの態様において、肺高血圧症は肺動脈高血圧症(PAH)である。いくつかの態様において、肺高血圧症は左心疾患による肺高血圧症である。いくつかの態様において、左心疾患は左心不全である。いくつかの態様において、左心不全は収縮心不全である。いくつかの態様において、左心不全は心拡張心不全である。いくつかの態様において、左心不全は慢性的に、または急性的に非代償である。いくつかの態様において、肺高血圧症は慢性血栓塞栓性肺高血圧症である。
【0064】
平均肺動脈圧を低下させる方法
本発明のいくつかの態様は、平均肺動脈圧(MPAP)を低下させる方法であって、それを必要としている個体にHNO供与体、その薬学的に許容し得る塩、またはHNO供与体もしくはその薬学的に許容し得る塩を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法を提供する。いくつかの態様において、MPAPは約50%まで低減される。いくつかの態様において、MPAPは約25%まで低減される。いくつかの態様において、MPAPは20%まで低減される。いくつかの態様において、MPAPは15%まで低減される。いくつかの態様において、MPAPは10%まで低減される。いくつかの態様において、MPAPは5%まで低減される。いくつかの態様において、MPAPは約12〜16mmHgに低下する。いくつかの態様において、MPAPは約15mmHgに低下する。
【0065】
ニトロキシル(HNO)供与体
いくつかの態様において、HNO供与体は、Angeliの塩、Pilotyの酸および米国特許第6,936,639号、米国特許公開第2004/0038947号、2007/0299107号および2009/0163487号、ならびにPCT公開番号WO/2007/002444、WO/2005/074598およびWO/2009/137717に開示されている化合物から選択される。
【0066】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)
【化1】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
mおよびnは、独立して0〜2の整数であり;
xおよびbは、独立して0〜4の整数であり;
yは、0〜3の整数であり;
Tは、アルキルまたは置換アルキルであり;
Zは、電子求引基であり;また
【0067】
、R、R、RおよびRは、独立してH、ハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニルおよびアリールスルフィニルから選択される。
【0068】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり:
(1)R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、H以外であり;
(2)R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、ハロ以外であり;
(3)R、R、RおよびRがHである場合には、Rは、ハロ、ニトロ、シアノ、アルキルまたはアルコキシ以外であり;
(4)RまたはRの一方がハロであり、ハロではないRまたはRがHであり、RまたはRの一方がハロであり、ハロではないRまたはRがHである場合には、Rはハロ以外であり;
【0069】
(5)R、RおよびRがHであり、RおよびRの一方がHである場合には、HではないRまたはRは、N−ヒドロキシスルホンアミジル、パーハロアルキルまたはニトロ以外であり;(6)R、RおよびRがHであり、RおよびRの一方がHである場合には、HではないRまたはRは、ニトロまたはアルキル以外であり;
(7)RおよびRがHである場合には、Rはニトロであり、RおよびRの一方はHであり、HではないRまたはRは、ハロ以外であり;
(8)RおよびRがニトロであり、RおよびRがHである場合には、Rはジアルキルアミノ以外であり;
(9)RおよびRがHであり、RおよびRがアルキルである場合には、Rはアルキル以外であり;また
(10)RおよびRがHであり、RおよびRがニトロである場合には、Rはジアルキルアミノ以外である。
【0070】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり:
は、Hであり;
は、Hであり;
、R、R、RおよびRは、独立してH、ハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニルおよびアリールスルフィニルから選択される。
【0071】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり:
は、Hであり;
は、Hであり;
、R、R、RおよびRは、独立してH、ハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニルおよびアリールスルフィニルから選択され、ただし:
【0072】
(1)RおよびRの一方は、H以外であり;
(2)R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、ハロ以外であり;
(3)RまたはRの一方がハロであり、ハロではないRまたはRがHであり、RまたはRの一方がハロであり、ハロではないRまたはRがHである場合には、Rはハロまたは水素以外であり;
(4)R、RおよびRがHであり、RおよびRの一方がHである場合には、HではないRまたはRはニトロまたはアルキル以外であり;
(5)RおよびRがHであり、RおよびRがアルキルである場合には、Rはアルキル以外である。
【0073】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり、Rは、ハロ、アルキルスルホニル、パーハロアルキル、低級アルキル、ニトロまたはシアノである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり;Rは、ハロ、アルキルスルホニル、パーハロアルキル、低級アルキル、ニトロまたはシアノであり;またR、R、RおよびRの少なくとも3つはHである。
【0074】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり;Rは、ハロ、アルキルスルホニル、パーハロアルキル、低級アルキル、ニトロまたはシアノであり;またR、R、RおよびRはHである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり、Rは、ハロ、メチルスルホニル、パーフルオロメチル、パーフルオロメトキシ、イソプロピル、ニトロまたはシアノである。
【0075】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり;Rは、ハロ、メチルスルホニル、パーフルオロメチル、パーフルオロメトキシ、イソプロピル、ニトロまたはシアノであり、また
、R、RおよびRの少なくとも3つはHである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(I)で表される化合物であり;Rは、ハロ、メチルスルホニル、パーフルオロメチル、パーフルオロメトキシ、イソプロピル、ニトロまたはシアノであり、またR、R、RおよびRはHである。
【0076】
式(I)で表される代表的な化合物は、表2に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表2−1】

【0077】
【表2−2】

【0078】
【表2−3】

【0079】
【表2−4】

【0080】
いくつかの態様において、HNO供与体は、以下から選択される:
2,6−ジクロロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ブロモ−4−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,5−ジ−トリフルオロメチル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,3−ジクロロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−4−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
【0081】
2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ヨード−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
N−ヒドロキシ−2−メタンスルホニルベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジ−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−4−トリフルオロメチル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,4,6−トリ−イソプロピル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
【0082】
2,4−ジ−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−(トリフルオロメチル)−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
N−ヒドロキシ−2−フェニルベンゼンスルホンアミド;および
その薬学的に許容し得る塩。
【0083】
いくつかの態様において、HNO供与体は、2−ヨード−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、N−ヒドロキシ−2−メタンスルホニルベンゼンスルホンアミドである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、2−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである。
【0084】
いくつかの態様において、HNO供与体は、2−クロロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、2−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである。
いくつかの態様において、HNO供与体は、2−(トリフルオロメチル)−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである。
【0085】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(II)
【化2】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
mおよびnは、独立して0〜1の整数であり;
xは、0〜4の整数であり;yは、0〜3の整数であり;
【0086】
Aは、環部分Q、Q、QおよびQを含むシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環または芳香族複素環であり、それは、位置aおよびa’における炭素と一緒になって環Aを形成し;Bは、環部分Q、Q、QおよびQを含むシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環または芳香族複素環であり、それは、位置aおよびa’における炭素と一緒になって環Bを形成し;Q、Q、Q、Q、Q、Q、QおよびQは、独立してC、CH、CH、N、NR10、OおよびSから選択される。
【0087】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(II)で表される化合物であり;RおよびRは、独立してCl、F、I、Br、SOCH、SONHOH、CF、CH、NO、フェニル、CN、OCH、OCF、t−Bu、O−iPr、4−ニトロフェニルオキシ(OPh4−NO)、プロパン−2−チイル(SCH(CH)、プロパン−2−スルフィニル(S(O)CH(CH)、モルホリノ、N−メチル−ピペラジノ、ジメチルアミノ、ピペリジノ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルスルファニル、フェニルスルファニルおよびフェニルスルフィニルから選択され、R10は、H、アルキル、アシルまたはスルホニルであり、ただし環AおよびBがナフタレンを形成する場合には、xは1〜3の整数であるかまたはyは2〜4の整数である。
【0088】
上記に記載した式(II)の態様のいずれかに含まれるのは、以下の追加の態様である。いくつかの態様において、RはHであり;またRはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルである。いくつかの態様において、AおよびBは、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、N−アルキルベンゾイミダゾール(例えばN−メチルベンゾイミダゾール)、N−アシルベンゾイミダゾール(例えばN−C(O)CHベンゾイミダゾール)、ベンゾチアゾールまたはベンゾオキサゾールを形成する。いくつかの態様において、AおよびBはベンゾフランを形成する。いくつかの態様において、AおよびBはベンゾフランを形成し;またxおよびyは0である。
【0089】
いくつかの態様において、AおよびBはベンゾチオフェンを形成する。いくつかの態様において、AおよびBはベンゾチオフェンを形成し;yは0であり;またxは1である。いくつかの態様において、AおよびBはナフチルを形成し;xは0であり;yは1であり;またRはハロである。いくつかの態様において、例えば環AおよびBがキノリンを形成し、また環Bが窒素含有環である場合には、環Aはフェニルであり;また環Bはヘテロアリール基である。いくつかの態様において、yは0であり;xは1であり;またRはハロ、アルキルまたはパーハロアルキルである。いくつかの態様において、yは0であり;またxは2である。
【0090】
式(II)で表される代表的な化合物は、表3に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表3】

【0091】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(III)
【化3】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
nは、0〜1の整数であり;
bは、0〜4の整数であり;
Cは、独立してC、CH、CH、N、NR10、OおよびSから選択された環部分Q、Q10、Q11、Q12、Q13およびQ14を含む芳香族複素環であり、ただしQ、Q10、Q11、Q12、Q13およびQ14の少なくとも1つは、N、NR10、OまたはSであり;
【0092】
各々のRは、独立してハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、NH、OH、C(O)OH、C(O)Oアルキル、NHC(O)アルキルC(O)OH、C(O)NH、NHC(O)アルキルC(O)アルキル、NHC(O)アルケニルC(O)OH、NHC(O)NH、OアルキルC(O)Oアルキル、NHC(O)アルキル、C(=N−OH)NH、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニルおよびアリールスルフィニルから選択され;また
10は、H、アルキル、アシルまたはスルホニルである。
【0093】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(III)で表される化合物であり;また、各々のRはHである。
【0094】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(III)で表される化合物であり;また各々のRは、独立してCl、F、I、Br、SOCH、SONHOH、CF、CH、NO、フェニル、CN、OCH、OCF、t−Bu、O−iPr、4−ニトロフェニルオキシ(OPh4−NO)、プロパン−2−チイル(SCH(CH)、プロパン−2−スルフィニル(S(O)CH(CH)、モルホリノ、N−メチル−ピペラジノ、ジメチルアミノ、ピペリジノ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルスルファニル、フェニルスルファニルおよびフェニルスルフィニルから選択される。
【0095】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(III)で表される化合物であり;また各々のRは、独立してF、Br、Cl、CF、フェニル、メチル、−SONHOH、モルホリノ、ピペリジノおよび4−メチル−ピペラジノから選択される。
【0096】
上記に記載した式(III)の態様のいずれかに含まれるのは、以下の追加の態様である。いくつかの態様において、HNO供与体は、式(III)で表される化合物であり;RはHであり;また、RはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルである。いくつかの態様において、nは0であり;また、Cはチオフェン、イソキサゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、フラン、チアゾール、トリアゾール、N−メチルイミダゾールまたはチアジアゾールである。
【0097】
いくつかの態様において、nは0であり;またCはチオフェン、イソキサゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、フラン、チアゾール、トリアゾール、N−メチルイミダゾールまたはチアジアゾールであり;また、(1)bは1であり、Rは、ハロ(例えばClもしくはBr)、ニトロ、アルキル(例えばメチル)、シアノのいずれかであるかまたは(2)bは2であり、各々のRは独立してハロである。いくつかの態様において、nは1であり;またCはピリミジン、ピラジンまたはピリジンである。
【0098】
いくつかの態様において、nは1であり;Cはピリミジン、ピラジンまたはピリジンであり;bは0または1のいずれかであり;またbが1である場合には、Rはハロまたはヘテロシクリルである。いくつかの態様において、nは1であり;またCはピリミジン、ピラジンまたはピリジンであり;bは1であり;またRはクロロ、モルホリノ、ピペリジノまたはN−メチルピペリジノである。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり;またbは1である。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり;bは1であり;またRはハロである。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、bは0である。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり;bは1であり;RはF、Br、Cl、CF、フェニル、メチル、−SOCH、−SONHOH、モルホリノ、ピペリジノおよび4−メチル−ピペラジノである。
【0099】
式(III)で表される代表的な化合物は、表4に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表4−1】

【0100】
【表4−2】

【0101】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(IV)
【化4】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
Tは、アルキルまたは置換アルキルであり(それはシクロアルキルまたは置換シクロアルキルを含む);また
Zは電子求引基である。
【0102】
いくつかの態様において、Tは、C〜C分枝状アルキル、例えばイソプロピル、t−ブチルまたはsec−ブチルである。いくつかの態様において、Tは、C〜C分枝状アルキル、例えばイソプロピル、t−ブチルまたはsec−ブチルであり;またZは、F、Cl、Br、I、−CN、−CF、−NO、−SH、−C(O)H、−C(O)アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)OH、−C(O)Cl、−S(O)OH、−S(O)NHOHまたは−NHである。
【0103】
上記に記載した式(IV)の態様のいずれかに含まれるのは、以下の態様である。いくつかの態様において、RはHであり;またRはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルである。
【0104】
式(IV)で表される代表的な化合物は、表5に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表5】

【0105】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia):
【化5】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
、R、R、RおよびRは、独立してH、ハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノまたはスルホニルアミノである。
【0106】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
、RおよびRは、独立してH、ハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノまたはスルホニルアミノであり;
およびRの少なくとも一方は、電子求引基またはスルホニル部分を立体的に妨げる基であり;
ただし、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノまたはスルホニルアミノである。
【0107】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中RおよびRの少なくとも一方は電子求引基である。
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中RおよびRは共に電子求引基である。
【0108】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中RおよびRの少なくとも一方は、化合物(Ia)のスルホニル部分を立体的に妨げる基である。
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中RおよびRの少なくとも一方は、分枝状アルキル基、例えばi−プロピルまたはt−ブチルである。
【0109】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中RおよびRは共にアルキル基であり、ただしアルキル基の少なくとも1つは分枝状アルキル基であり、例えば両方の基がイソプロピルである場合、または一方の基がエチルであり、他方がsec−ブチルである場合である。
【0110】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中:
およびRの一方は電子求引基であり;また
電子求引基ではないRまたはRはアルキル基であり、それは、分枝状アルキル基、例えばイソプロピルであり得る。
【0111】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(Ia)で表される化合物であり、式中:
はHであり;RはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルであり;
、R、R、RおよびRは、独立してH、Cl、F、I、Br、SOCH、SONHOH、CF、NO、フェニル、CN、OCH、OCF、t−Bu、O−iPr、4−ニトロフェニルオキシ(OPh4−NO)、プロパン−2−チイル(SCH(CH)、プロパン−2−スルフィニル(S(O)CH(CH)、モルホリノ、N−メチル−ピペラジノ、ジメチルアミノ、ピペリジノ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルスルファニル、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、カルボキシル、カルボキシルエステル、アシルアミノまたはスルホニルアミノである。
【0112】
上記に記載した式(Ia)の態様のいずれかに含まれるのは、以下の追加の態様である。
【0113】
いくつかの態様において、RはHであり、RはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルである。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも2つはハロであり、例えば式(I)で表され、式中Rがハロ(例えばFもしくはBr)であり、RおよびRの一方がハロ(例えばBrもしくはCl)であるか、または式中RおよびRの両方もしくはRおよびRの両方がハロであり(例えば両方がClであるか、もしくは両方がFであるか、もしくは一方がClであり、一方がFである場合)、残余の置換基が上記の態様に記載した通りである化合物である。
【0114】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−S(O)アルキルであり、例えばRまたはRが−S(O)CHである場合である。いくつかの態様において、R、RおよびRの少なくとも1つはパーハロアルキルであり、例えばRがCFである場合またはRおよびRがCFである場合である。いくつかの態様において、RはCFであり、RおよびRの少なくとも1つはH以外であり、例えばRがCFであり、RがNOまたはClである場合である。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つはアリールであり、例えばRおよびRの少なくとも1つがアリール、例えばフェニルである場合である。
【0115】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つはヘテロシクリルであり、例えばR、RおよびRの少なくとも1つがヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリル、例えばモルホリノ、N−メチルピペリジノおよびピペリジノである場合である。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つはシクロアルコキシまたはシクロアルキルスルファニルであり、例えばR、RおよびRの少なくとも1つがシクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルスルファニルまたはシクロペンチルスルファニルである場合である。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つはアリールスルファニルまたはアリールスルフィニルであり、例えばR、RおよびRの少なくとも1つがフェニルスルファニルまたはフェニルスルフィニルである場合である。
【0116】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つはカルボキシルである。いくつかの態様において、Rはカルボキシルであり、R、RおよびRはHであり、RはHまたはハロである。いくつかの態様において、Rはカルボキシルであり、R、RおよびRはHであり、RはHまたはハロであり、RおよびRはHである。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−COO−アルキルである。いくつかの態様において、Rは−COO−アルキルであり、R、R、RおよびRはHである。
【0117】
いくつかの態様において、Rは−COO−アルキルであり、R、R、RおよびRはHであり、RおよびRはHである。いくつかの態様において、Rは−COO−アルキルであり、RおよびRの一方は−SR11、アリール、−OR11、ニトロ、シアノ、アシル、−S(O)NHOH、スルホニルアミノ、C〜Cパーフルオロアルキル、低級アルキルまたはアミノであり、SR11、アリール、−OR11、ニトロ、シアノ、アシル、−S(O)NHOH、スルホニルアミノ、C〜Cパーフルオロアルキル、低級アルキルまたはアミノではないRまたはRは水素である。
【0118】
いくつかの態様において、Rは−COO−アルキルであり、RおよびRの一方は−SR11、アリール、−OR11、ニトロ、シアノ、アシル、−S(O)NHOH、スルホニルアミノ、C〜Cパーフルオロアルキル、低級アルキルまたはアミノであり、−SR11、アリール、−OR11、ニトロ、シアノ、アシル、−S(O)NHOH、スルホンアミノ、C〜Cパーフルオロアルキル、低級アルキルまたはアミノではないRまたはRは水素であり、R、R、RおよびRは水素である。
【0119】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−COO−置換アルキルである。いくつかの態様において、Rは−COO−置換アルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロである。いくつかの態様において、Rは−COO−置換アルキルであり、Rはハロであり、R、RおよびRはHであり、RおよびRはHである。
【0120】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−C(O)NHである。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−C(O)NRであり、ここでRは水素であり、Rはアルキルである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRは水素であり、Rは低級アルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRは水素であり、Rは低級アルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロであり、RおよびRはHである。いくつかの態様において、RはC〜Cアルキル、例えばエチル、プロピルまたはブチルである。いくつかの態様において、Rは分枝状低級アルキル、例えばイソプロピルまたはイソブチルである。
【0121】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−C(O)NRであり、ここでRはアルキル、置換アルキルまたは水素であり、Rは置換アルキルである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRはアルキル、置換アルキルまたは水素であり、Rは置換アルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRはアルキル、置換アルキルまたは水素であり、Rは置換アルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロであり、RおよびRはHである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRは低級アルキル、置換低級アルキルまたは水素であり、Rは置換低級アルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロである。いくつかの態様において、Rが置換低級アルキル基である場合には、それは、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノまたはアルコキシで置換された低級アルキルである。
【0122】
例えば、本発明は、Rが−C(O)NRであり、ここでRが水素、メチル、エチルまたはヒドロキシルもしくはアルコキシで置換された低級アルキルであり、Rがヒドロキシル、カルボキシル、アミノまたはアルコキシで置換された低級アルキルであり、R、RおよびRがHであり、Rがハロであり;他の態様においてRおよびRがHである化合物を包含する。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは独立してアルキルである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは独立してアルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロである。
【0123】
いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは独立してアルキルであり、RおよびRは水素であり、RおよびRの一方は−SR11、アリール、−OR11、ニトロ、シアノ、アシル、−S(O)NHOH、スルホンアミノ、C〜Cパーフルオロアルキル、低級アルキルまたはアミノであり、−SR11、アリール、−OR11、ニトロ、シアノ、アシル、−S(O)NHOH、スルホンアミノ、C〜Cパーフルオロアルキル、低級アルキルまたはアミノではないRまたはRは、水素である。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは独立してアルキルであり、R、RおよびRはHであり、Rはハロであり、RおよびRはHである。
【0124】
およびRは、同一であっても異なっていてもよく、例えばRおよびRは共にメチルもしくはエチルであってもよく、または一方はメチルであり、他方はエチルである。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成する。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成する。
【0125】
いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し、R、RおよびRはHであり、Rはハロである。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、ここでRおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し、R、RおよびRはHであり、Rはハロであり、RおよびRはHである。
【0126】
いくつかの態様において、RおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって複素環、例えばモルホリノを形成する。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、RおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって、ピペラジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニルおよびモルホリニルから選択された複素環を形成する。いくつかの態様において、Rは−C(O)NRであり、RおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって、低級アルキル、カルボキシルエステル、アシル、ハロ、アミノ、ヒドロキシル、置換低級アルキル、オキソおよびアルコキシから選択された1つまたは2つの部分で置換された複素環を形成する。
【0127】
例えば、Rが−C(O)NRである態様において、RおよびRは、それらが付着した窒素と一緒になって、2,6−ジメチルピペラザ−4−イル、1−イソプロピルピペラザ−4−イル、1−(ピペラジン−4−イル)エタノン、tert−ブチルピペラザ−4−イル−1−カルボキシレート、4−フルオロピペリジル、4,4−ジフルオロピペリジル、4−アミノピペリジル、4−ヒドロキシピペリジル、4−オキソピペリジニル、4−メトキシピペリジル、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジル、2−(ピペリド−4−イル)−エトキシエタノール、3−ヒドロキシ−アゼチジニル、2−オキソ−ピペラジン−4−イルおよび1−メチル−2−オキソ−ピペラジン−4−イルから選択された置換複素環を形成する。
【0128】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、−SONHである。
【0129】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−SONR−アルキルであり、ここでRは水素である。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−SONR−アルキルであり、ここでRはアルキルである。いくつかの態様において、Rは−SONR−アルキルであり、ここでRはアルキルであり、R、R、RおよびRは水素である。例えば、いくつかの態様において、Rは−SON(低級アルキル)であり、R、R、RおよびRは水素であり、ここで低級アルキル置換基は同一であっても異なっていてもよく、例えばRは−SON(Et)または−SON(Et)(Me)であってもよい。
【0130】
いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−SONRであり、ここで2つのR基は、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成する。いくつかの態様において、Rは−SONRであり、ここで2つのR基は、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成する。いくつかの態様において、Rは−SONRであり、ここで2つのR基は、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し、R、R、RおよびRはHである。
【0131】
いくつかの態様において、Rは−SONRであり、ここで2つのR基は、それらが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成し、R、R、RおよびRはHであり、RおよびRはHである。いくつかの態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは−SONRであり、ここで2つのR基は、それらが付着した窒素と一緒になって複素環、例えばモルホリノ環を形成する。
【0132】
式(Ia)で表される代表的な化合物は、表6に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表6−1】

【0133】
【表6−2】

【0134】
【表6−3】

【0135】
【表6−4】

【0136】
【表6−5】

【0137】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(IIa):
【化6】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
mおよびnは、独立して0〜1の整数であり;
xは、0〜4の整数であり、yは、0〜3の整数であり、ただしxおよびyの少なくとも一方は、0より大きく;
Aは、環部分Q、Q、QおよびQを含むシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環または芳香族複素環であり、それは、位置aおよびa’における炭素と一緒になって環Aを形成し;
【0138】
Bは、環部分Q、Q、QおよびQを含むシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環または芳香族複素環であり、それは、位置aおよびa’における炭素と一緒になって環Bを形成し;Q、Q、Q、Q、Q、Q、QおよびQは、独立してC、CH、CH、N、NR10、OおよびSから選択され;
【0139】
各々のRおよびRは、独立してハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、NH、OH、C(O)OH、C(O)Oアルキル、NHC(O)アルキルC(O)OH、C(O)NH、NHC(O)アルキルC(O)アルキル、NHC(O)アルケニルC(O)OH、NHC(O)NH、OアルキルC(O)Oアルキル、NHC(O)アルキル、C(=N−OH)NH、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、カルボニルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただし少なくとも1つのRは、カルボニルアミノまたはスルホニルアミノであり;また
10は、H、アルキル、アシルまたはスルホニルである。
【0140】
いくつかの態様において、HNO供与体は、(IIa)で表される化合物であり、式中:
各々のRおよびRは、独立してCl、F、I、Br、SOCH、SONHOH、CF、CH、NO、フェニル、CN、OCH、OCF、t−Bu、O−iPr、4−ニトロフェニルオキシ(OPh4−NO)、プロパン−2−チイル(SCH(CH)、プロパン−2−スルフィニル(S(O)CH(CH)、モルホリノ、N−メチル−ピペラジノ、ジメチルアミノ、ピペリジノ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルスルファニル、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、カルボニルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただし少なくとも1つのRは、カルボニルアミノまたはスルホニルアミノであり;また
10は、H、アルキル、アシルまたはスルホニルであり、ただし環AおよびBがナフタレンを形成する場合には、xは1〜3の整数であるか、またはyは2〜4の整数である。
【0141】
上記に記載した式(IIa)の態様のいずれかに含まれるのは、以下に記載する追加の態様である。
【0142】
いくつかの態様において、RはHであり、RはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルである。いくつかの態様において、AおよびBは、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、N−アルキルベンゾイミダゾール(例えばN−メチルベンゾイミダゾール)、N−アシルベンゾイミダゾール(例えばN−C(O)CHベンゾイミダゾール)、ベンゾチアゾールまたはベンゾオキサゾールを形成する。いくつかの態様において、AおよびBは、ナフチルまたはキノリン以外である。いくつかの態様において、AおよびBは、ナフチルまたはキノリンである。いくつかの態様において、AおよびBは、ベンゾフランを形成する。いくつかの態様において、AおよびBは、ベンゾフランを形成する。いくつかの態様において、AおよびBは、ベンゾチオフェンを形成する。
【0143】
いくつかの態様において、AおよびBは、ベンゾチオフェンを形成し、yは0であり、xは1である。いくつかの態様において、AおよびBは、ナフチルを形成し、xは0であり、yは1である。いくつかの態様において、環Aはフェニルであり、環Bはヘテロアリールであり、例えば環AおよびBがキノリンを形成し、環Bが窒素含有環である場合である。本発明はまた、yが0であり、xが1であり、Rがハロ、アルキルまたはパーハロアルキルである、式(IIa)の態様のいずれかによる化合物を包含する。本発明はまた、xが2であり、yが0である、式(IIa)の態様のいずれかによる化合物を包含する。
【0144】
いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−CONH−アルキルである。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−CONR−アルキルであり、ここでRはアルキルである。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−CONRであり、ここで各々のRは独立してアルキルである。いくつかの態様において、yは0であり、xは1であり、Rは−CONRであり、ここで各々のRは独立してアルキルである。いくつかの態様において、yは0であり、xは1であり、Rは−CONRであり、ここで各々のRは独立して低級アルキルであり、ここで各々の低級アルキルは同一であるか(例えば−CON(Me))または異なり得る。
【0145】
いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−CONRであり、ここで各々のRは、それが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成する。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−CONRであり、ここで各々のRは独立してアルキルである。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−NRSONR−アルキルであり、ここでRおよびRは独立して水素またはアルキルである。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−SONHである。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−SONHである。
【0146】
いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−SONR−アルキルであり、ここでRは水素またはアルキルである。いくつかの態様において、RおよびRの少なくとも1つは−SONRであり、ここで2つのR基は、一緒になって、およびそれらが付着した窒素原子と共に複素環または置換複素環を形成する。いくつかの態様において、yは0であり、xは1であり、Rは−SONRであり、ここで2つのR基は、一緒になって、およびそれらが付着した窒素原子と共に複素環を形成する。いくつかの態様において、yは0であり、xは1であり、Rは−SONRであり、ここで2つのR基は、一緒になって、およびそれらが付着した窒素原子と共にモルホリノ基を形成する。
【0147】
式(IIa)で表される代表的な化合物は、表7に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表7】

【0148】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(IIIa)
【化7】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、H、アラルキルまたはヘテロシクリルであり;
nは、0〜1の整数であり;
bは、1〜4の整数であり;
Cは、独立してC、CH、CH、N、NR10、OおよびSから選択された環部分Q、Q10、Q11、Q12、Q13およびQ14を含む芳香族複素環であり、ただしQ、Q10、Q11、Q12、Q13およびQ14の少なくとも1つは、N、NR10、OまたはSであり;
【0149】
各々のRは、独立してハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、NH、OH、C(O)OH、C(O)Oアルキル、NHC(O)アルキルC(O)OH、C(O)NH、NHC(O)アルキルC(O)アルキル、NHC(O)アルケニルC(O)OH、NHC(O)NH、OアルキルC(O)Oアルキル、NHC(O)アルキル、C(=N−OH)NH、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、カルボニルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただし少なくとも1つのRは、カルボニルアミノまたはスルホニルアミノであり;また
10は、H、アルキル、アシルまたはスルホニルである。
【0150】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(IIIa)で表される化合物であり、各々のRは、独立してCl、F、I、Br、SOCH、SONHOH、CF、CH、NO、フェニル、CN、OCH、OCF、t−Bu、O−iPr、4−ニトロフェニルオキシ(OPh4−NO)、プロパン−2−チイル(SCH(CH)、プロパン−2−スルフィニル(S(O)CH(CH)、モルホリノ、N−メチル−ピペラジノ、ジメチルアミノ、ピペリジノ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルスルファニル、フェニルスルファニル、フェニルスルフィニル、カルボニルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただし少なくとも1つのRは、カルボニルアミノまたはスルホニルアミノである。
【0151】
いくつかの態様において、HNO供与体は、式(IIIa)で表される化合物であり、各々のRは、独立してF、Br、Cl、CF、フェニル、メチル、SONHOH、モルホリノ、ピペリジノ、4−メチル−ピペラジノ、カルボニルアミノおよびスルホニルアミノから選択され、ただし少なくとも1つのRは、カルボニルアミノまたはスルホニルアミノである。
【0152】
上記に記載した式(IIIa)の態様のいずれかに含まれるのは、以下の追加の態様である。
【0153】
いくつかの態様において、RはHであり、RはH、ベンジルまたはテトラヒドロピラン−2−イルである。いくつかの態様において、nは0であり、Cはチオフェン、イソキサゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、フラン、チアゾール、トリアゾール、N−メチルイミダゾールまたはチアジアゾールである。いくつかの態様において、Cはチエニル以外である。いくつかの態様において、nは0であり、Cはチオフェン、イソキサゾール、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、フラン、チアゾール、トリアゾール、N−メチルイミダゾールまたはチアジアゾールである。
【0154】
いくつかの態様において、nは1であり、Cはピリミジン、ピラジンまたはピリジンである。いくつかの態様において、nは1であり、Cはピリミジン、ピラジンまたはピリジンであり、bは1である。いくつかの態様において、nは1であり、Cはピリミジン、ピラジンまたはピリジンであり、bは1であり、少なくとも1つのRはクロロ、モルホリノ、ピペリジノまたはN−メチルピペリジノである。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、bは1である。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、bは1であり、少なくとも1つのRはハロである。いくつかの態様において、Cはチオフェンである。
【0155】
いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONHである。いくつかの態様において、Cは、−CONHで置換され、随意に追加のR、例えばアミノで置換されたチオフェンである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONH−アルキルである。いくつかの態様において、Rは−CONH−低級アルキル(例えばイソプロピル)である。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONH−置換アルキルである。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、RおよびRは共にHであり、少なくとも1つのRは−CONH−置換アルキルである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONR−アルキルであり、ここでRはアルキルである。
【0156】
いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは独立してアルキル、例えば−CON(Me)である。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、bは2であり、Rの1つは−CONRであり、ここで各々のRは独立してアルキル(例えば−CON(Me))であり、他方のRは−S(O)アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは−S−アルキルである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは独立して置換アルキル、例えば−CHCHOCHである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは、それが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環を形成する。
【0157】
いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、RおよびRは共にHであり、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは、それが付着した窒素と一緒になって複素環または置換複素環、例えばモルホリノを形成する。いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、RおよびRは共にHであり、bは1または2であり、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは、それが付着した窒素と一緒になってピペリジニルおよびモルホリニルから選択された複素環を形成し、またbが2である場合には、−CONR以外であるRは、ハロ、ニトロおよび−OR11、例えば−Oアルキル(例えばメトキシ)から選択される。
【0158】
いくつかの態様において、Cはチオフェンであり、RおよびRは共にHであり、bは1または2であり、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは、それが付着した窒素と一緒になって、低級アルキル、カルボキシルエステル、アシル、ハロ、アミノ、ヒドロキシル、置換低級アルキル、オキソおよびアルコキシから選択された1つまたは2つの部分で置換された複素環を形成する。いくつかの態様において、Rは−CONRであり、ここで各々のRは、それが付着した窒素と一緒になって、1−メチル−ピペラザ−4−イル、4−フルオロピペリジルおよび4−ヒドロキシピペリジルから選択された置換複素環を形成する。いくつかの態様において、CがRで置換されたチオフェンであり、Rが−CONRである場合には、Cはまた、ハロ、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロおよびシアノから選択された部分で置換されていてもよい。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−CONRであり、ここで各々のRは独立してアルキルである。
【0159】
いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−NRSONR−アルキルであり、ここでRおよびRは、独立して水素またはアルキルである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−SONHである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−SONHである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−SONR−アルキルであり、ここでRは水素またはアルキルである。いくつかの態様において、少なくとも1つのRは−SONRであり、ここで2つのR基は、一緒になって、およびそれらが付着した窒素原子と共に複素環または置換複素環を形成する。
【0160】
式(IIIa)で表される代表的な化合物は、表8に列挙した化合物を含むが、それらには限定されない。
【表8−1】

【0161】
【表8−2】

【0162】
本明細書中に記載した方法において有用である医薬組成物は、有効な量の1種または2種以上のニトロキシル供与体またはその薬学的に許容し得る塩を、薬学的に許容し得る賦形剤と共に含んでもよい。
【0163】
医薬組成物を、固体または液体形態における投与のために処方してもよく、それは、以下のために適合させたものを含む:(1)経口投与、例えば水薬(例えば水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤(例えば頬側、舌下および全身的吸収を標的としたもの)、カプレット、巨丸剤、散剤、顆粒、舌への適用のためのペースト、硬質ゼラチンカプセル、柔軟なゼラチンカプセル、口腔スプレー、トローチ、薬用キャンディー、小丸薬、シロップ、懸濁液、エリキシル剤、液体、エマルジョンおよびマイクロエマルジョン;(2)例えば皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外注射による非経口投与、例えば無菌溶液または懸濁液;(3)局所的適用、例えば皮膚に適用するクリーム、軟膏、パッチ、パッドまたはスプレー;(4)膣内または直腸内、例えばペッサリー、クリームまたは泡状物質;(5)舌下;(6)点眼的(ocularly);(7)経皮的;または(8)経鼻的。
【0164】
医薬組成物を、即放性、徐放またはコントロールドリリースのために処方してもよい。いくつかの態様において、医薬組成物を、即放性のために処方する。いくつかの態様において、医薬組成物を、徐放のために処方する。いくつかの態様において、医薬組成物を、コントロールドリリースのために処方する、いくつかの態様において、医薬組成物を、経口投与のために処方する。いくつかの態様において、医薬組成物を、静脈内投与のために処方する。いくつかの態様において、医薬組成物を、吸入による投与のために処方する。
【0165】
HNO供与体化合物、その薬学的に許容し得る塩、またはHNO供与体化合物もしくはその薬学的に許容し得る塩を含む医薬組成物の投与は、当業者に既知の任意の許容された様式を介して、例えば経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸内に、経鼻的に、頬側に、膣内に、眼内に、肺内に、または移植したリザーバーを介してであってもよい。「非経口的に」の用語は、限定せずに皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、胸骨内(intrasternally)、頭蓋内、骨内注射によるものおよび注入手法によるものを含む。いくつかの態様において、化合物または医薬組成物を、静脈内に投与する。いくつかの態様において、化合物または医薬組成物を、経口的に投与する。
【0166】
薬物送達のタイミングおよび順序を調節するための当業者に周知のあらゆる投与計画を、本明細書中に開示した方法における処置を行うのに必要な際に使用し、繰り返すことができる。例えば、HNO供与体化合物または組成物を、単一用量、複数の別個の用量または連続的注入によって、毎日1、2、3または4回投与してもよい。
【0167】
投与計画は、少なくとも1種の追加の治療薬での前処理および/または同時投与を含んでいてもよい。そのような場合において、化合物または組成物および少なくとも1種の追加の治療薬を、同時に、別個に、または連続的に投与してもよい。
【0168】
投与計画の例は、限定せずに以下のものを含む:
各化合物、組成物および治療薬の連続的な方式での投与;ならびに
各化合物、組成物および治療薬の、実質的に同時の方式における(例えば単一の単位剤形におけるように)、または各化合物、組成物および/もしくは治療薬についての複数の別個の単位剤形における同時投与。
【0169】
「有効な量」または「用量レベル」が様々な要因、例えば特定の投与様式、投与計画、化合物および選択された組成物、ならびに処置されている特定の疾患および患者に依存することは、当業者によって理解される。例えば、適切な用量レベルは、使用する特定の化合物または組成物の活性、排出の速度および可能な毒性;処置されている患者の年齢、体重、総体的な健康、性別および食事;投与の頻度;同時投与されている他の治療薬(単数または複数);ならびに疾患のタイプおよび重篤度に依存して変化し得る。
【0170】
本明細書中に開示した化合物および医薬組成物を、約0.001〜約10,000mg/kg/dの程度の用量レベルを含む任意の適切な用量レベルにて投与してもよい。いくつかの態様において、用量レベルは約0.01〜約1,000mg/kg/dである。いくつかの態様において、用量レベルは約0.01〜約100mg/kg/dである。いくつかの態様において、用量レベルは約0.01〜約10mg/kg/dである。いくつかの態様において、用量レベルは約0.1〜約1mg/kg/dである。いくつかの態様において、用量レベルは約1g/kg/dより低い。
【0171】
作業例において以外に、または他に示した場合には、明細書および特許請求の範囲において使用する成分の量、反応条件などを表すすべての数を、「約」の用語によって修飾されるものと理解するべきである。したがって、反対に示さない限り、そのような数は、本発明によって得ることを求めている所望の特性に依存して変化し得る近似である。最低限でも、および特許請求の範囲に対する等価なものの信条の適用を限定する試行としてではなく、各々の数的パラメーターを、有効数字および通常の丸め手法の数の観点において解釈するべきである。
【0172】
本発明の広い範囲を述べる数的範囲およびパラメーターが近似である一方、作業例において述べた数値を、可能な限り正確に報告する。しかし、あらゆる数値は、それらのそれぞれの試験測定において見出された標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0173】

以下の例を、例示的目的のために提示し、本発明の範囲を限定する役割を果たすべきでない。
【0174】
例1:in vivo動物研究(急性治療、静脈内注入)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける肺動脈圧を低下させるHNO供与体の有効性を例証する。
【0175】
ラット(200〜250g)を、ケタミン/キシラジン(80/10mg/kg)の筋肉内(i.m.)注射によって麻酔する。半用量(40mg/kgのケタミン/5mg/kgのキシラジン)を、随時補足的麻酔として施与する。動物を、加温パッドセット上に配置して、体温を約37℃に維持する。体温を、実験の全体を通じてモニタリングする。意識を喪失した後に、圧力トランスデューサーを大腿動脈中に挿入して、動脈血圧を測定する。流体で満たしたカテーテルを、右頸静脈を通して肺動脈中に挿入して、肺動脈圧を圧力トランスデューサーによって測定する。カニューレを、投薬のために左頸静脈中に配置する。
【0176】
モノクロタリンを、最終的な手順の約3週間前に単一の皮下注射(60mg/kg)を介して投与する。>30mmHgの基準値肺動脈圧が、本明細書中に記載した化合物の研究を開始するのに必要である。HNO供与体を、用量漸増方式で20分間隔において10〜300μg/kg/分の用量から静脈内に投与する。MAP(平均動脈圧)、SAP(収縮動脈圧)、DAP(拡張動脈圧)、HP(心拍数)、MPAP(平均肺動脈圧)、SPAP(収縮肺動脈圧)、DPAP(拡張肺動脈圧)を含む血行力学的指数を、測定する。結果を、図1、図2および図3に例示する。
【0177】
最終的な手順のために、外科的な器具使用および約10分間の投薬前平衡期間の後、HNO供与体溶液を、頸静脈カテーテルを介して注入する。実験の終了時に、ラットを、ペントバルビタール過剰投与によって麻酔下で安楽死させる。
【0178】
例2:in vivo動物研究(急性治療、静脈内注入または吸入投与)
この例は、低酸素症誘発PHを有するイヌにおける肺動脈圧を低下させるHNO供与体の有効性を例証する。
【0179】
健康なイヌ(10〜15kg)を、ペントバルビタール(20〜40mg/kg 静脈内)で麻酔し、麻酔を、5〜10mg/kg/hの速度におけるペントバルビタールの連続的注入によって維持する。イヌを、気管切開術によって挿管し、人為的に呼吸させる(一方吸入された酸素および吐き出されたCOをモニタリングする)。左大腿静脈および動脈に、用量投与および動脈血圧記録のためにカニューレを挿入する。右頸静脈に肺動脈圧力カテーテル(Swan Ganzカテーテル)をカニューレ挿入して、肺動脈圧(PAP)および肺動脈楔入圧(PWP)の両方を測定する。このカテーテルをまた、低温の5mL生理食塩水の迅速な注射に続く温度希釈手法によって心拍出量の測定のために使用する。心電図を、実験の全体を通じてモニタリングする。
【0180】
基準値および対照測定の間に、吸入された酸素を40%に維持する。低酸素症を、窒素を呼吸ガスに、呼吸される酸素を10%に低減させる(FiO2=10%)のに十分な割合で加えることにより誘発させる。各々の低酸素条件を、15〜30分間維持し、次に正常酸素圧の(FiO2=40%)対照条件に戻す。HNO供与体の各々の用量を、30分の低酸素条件の間に静脈内投与する;次の用量を施与するまでは、その後の正常酸素圧の間に、薬物を注入しない。HNO供与体を、1〜100μg/kg/分の範囲内で静脈内に施与し、様々な血行力学的指数を記録する。あるいはまた、この実験において、HNO供与体を、各々の低酸素症期間の間に5〜10の時間周期において0.1〜1g/kgの用量レベルにて吸入噴霧器を使用して投与する。
【0181】
例3:in vivo動物研究(慢性治療、連続的静脈内注入)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける疾患の進行を遅延させるHNO供与体の有効性を例証する。
【0182】
ラット(200〜250g)に、圧力トランスデューサーを装備したテレメトリ送信機を外科的に埋め込む。送信機アセンブリを、内部に固定する;流体で満たしたカテーテルを頸静脈中に配置し、圧力トランスデューサーの先端を、右室圧(RVP)データの採集のために右室中に配置する。さらに、偽の群を例外としてすべての動物に、投薬の目的のために大腿静脈カニューレを埋め込む。
【0183】
モノクロタリン(MCT)を、ビヒクル対照動物に皮下注射によって投与する。MCT注射の1週間後に、ビヒクル対照動物に、生理食塩水または低い、もしくは高い用量のHNO供与体を、連続的静脈内注入によって2週間投与する。試験およびビヒクル対照項目を、外部ポンプによって投与する。毎週の臨床的観察を、動物に関して行う。
【0184】
心血管の評価について、RVPデータを、ホームかご中での自由な移動を可能にされた動物について採集する。動物を、MCT投与の前に少なくとも24時間モニタリングする。RVPをまた、2週間の注入の終了の後24時間にてモニタリングし、少なくとも24時間存在する。すべての動物を、研究の終了時に剖検する。肺および肺動脈、心臓および各々の個々の房の重量を、評価する。心臓、LV、RVの重量および体重に対する比率を、報告する。各々の動物からの肺小動脈を、平均の厚さ、新生内膜および平滑筋肥大について評価する。
【0185】
例4:in vivo動物研究(慢性治療、経口投与)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける疾患の進行を遅延させるHNO供与体の有効性を例証する。
この実験のための一般的方法は、上記の例3の方法に類似している。1つの差異は、投与の経路が経口であり、0.1〜1g/kgの用量レベルにおける毎日1回〜4回の投薬計画を伴うことである。
【0186】
例5:in vivo動物研究(慢性治療、連続的静脈注入)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける疾患の進行を逆戻りさせるHNO供与体の有効性を例証する。
【0187】
この研究において、ラット(200〜250g)に、圧力トランスデューサーを装備したテレメトリ送信機を外科的に埋め込む。送信機アセンブリを、内部に固定する;流体で満たしたカテーテルを頸静脈中に配置し、圧力トランスデューサーの先端を、右室圧(RVP)データの採集のために右室中に配置する。さらに、偽の群を例外としてすべての動物に、投薬の目的のために大腿静脈カニューレを埋め込む。
【0188】
ビヒクルおよび対照項目、すなわちモノクロタリン(MCT)を、皮下注射によって投与する。MCT注射の3週間後に、動物に、生理食塩水または低い、もしくは高い用量のHNO供与体を、連続的静脈内注入によって3週間投与する。HNO供与体およびビヒクル対照項目を、外部ポンプによって投与する。毎週の臨床的観察を、動物に関して行う。
【0189】
心血管の評価について、RVPデータを、ホームかご中での自由な移動を可能にされた動物について採集する。動物を、MCT投与の前に少なくとも24時間モニタリングする。RVPをまた、2週間の注入の終了の後少なくとも24時間モニタリングする。すべての動物を、研究の終了時に剖検する。肺および肺動脈、心臓および各々の個々の房の重量を、評価する。心臓、LV、RVの重量および体重に対する比率を、報告する。各々の動物からの肺小動脈を、平均の厚さ、新生内膜および平滑筋肥大について評価する。
【0190】
例6:in vivo動物研究(慢性治療、経口投与)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける疾患の進行を逆戻りさせるHNO供与体の有効性を例証する。
一般的な方法論は、例5の方法論に類似しており、例外は、投与の経路が経口であり、投薬計画が0.1〜1g/kgの用量レベルにて毎日1〜4回であることである。
【0191】
例7:in vivo動物研究(慢性治療、吸入投与)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける疾患の進行を遅延させるHNO供与体の有効性を例証する。
一般的な方法論は、上記の例3の方法論に類似しており、例外は、投与の経路が吸入を介してであり、投薬計画が0.1〜1g/kgの用量レベルにて毎日1〜4回であることである。
【0192】
例8:in vivo動物研究(慢性治療、吸入投与)
この例は、モノクロタリン誘発PHを有するラットにおける疾患の進行を逆戻りさせるHNO供与体の有効性を例証する。
一般的な方法論は、例3の方法論に類似しており、例外は、投与の経路が吸入を介してであり、投薬計画が0.1〜1g/kgの用量レベルにて毎日1〜4回であることである。
【0193】
例9:in vivo動物研究(急性治療、静脈内注入および吸入投与)
この例は、トロンボキサン誘発PHを有するイヌにおける肺動脈圧を低下させるHNO供与体の有効性を例証する。
【0194】
実験的PHを、トロンボキサンA2受容体アゴニスト類似体(例えばU46619、Tocris Bioscience)の連続的注入によって誘発させる。トロンボキサンA2受容体アゴニスト類似体注入速度(0.1〜1mg/kg/分)を調整して、収縮肺動脈圧(PAP)を、麻酔し、機械的に人工呼吸させたイヌにおいて40mmHgにて維持する。左大腿静脈および動脈に、用量投与および動脈血圧記録のためにカニューレを挿入する。右頸静脈に、肺動脈圧カテーテル(Swan Ganzカテーテル)でカニューレ挿入して、肺動脈圧(PAP)および肺動脈楔入圧(PWP)の両方を測定する。このカテーテルをまた、低温の5mL生理食塩水の迅速な注射に続く温度希釈手法によって心拍出量の測定のために使用する。心電図を、実験の全体を通じてモニタリングする。
【0195】
血行力学における安定な定常状態が達成された後、様々な用量のHNO供与体を、1〜100μg/kg/分の範囲内の用量速度にて静脈内に施与し、様々な血行力学的指数を記録する。あるいはまた、この実験において、HNO供与体を、5〜10分の時間周期において0.1〜1g/kgの用量レベルにて吸入噴霧器を使用して投与する。
【0196】
例10:in vivoヒト研究(急性治療、静脈内注入および吸入投与)
この例は、肺高血圧症の様々な原因を有するヒト対象における肺動脈圧を低下させるHNO供与体の有効性を例証する。
【0197】
肺高血圧症の様々な原因を有する患者(いずれかの性別)を、この研究のために選択する。患者の基準値の血行力学的特性を、右心カテーテル挿入を利用した、採集した様々な血行力学的指数(例えば右動脈圧、平均肺動脈圧、心指数)および血液ガスプロファイリングによって評価する。心調律を、連続的心電図検査を使用してモニタリングし、動脈圧を、圧力カフを使用してモニタリングする。患者を、吸入による一酸化窒素(NO)を使用して肺高血圧症の可逆性について、試験する。血行力学的指数を、次に再評価する。
【0198】
すべての指数がNO送達の停止の際に基準値に戻り、基準値が確立された後に、様々な用量のHNO供与体を、1〜100μg/kg/分の範囲内の用量速度で静脈内に施与し(連続的用量または用量漸増方式のいずれか)、様々な血行力学的指数を記録する。あるいはまた、この実験において、HNO供与体を、5〜10分の時間周期において0.1〜1g/kgの用量レベルにて吸入噴霧器を使用して投与する。血行力学的指数を、注入期間の間に様々な時点にて評価する。数人の患者に、偽薬をHNO供与体の代わりに二重盲検ランダム化方式で施与する。試行の様々な期間の間に採集されたデータから、肺および全身血管抵抗を計算する。
【0199】
本発明の特定の態様が、上記で、および下記で示した態様の1つ、いくつかまたはすべてにあらゆる組み合わせにおいて向けられ得ることは、当業者に明らかである。
【0200】
本発明を、理解の明瞭さの目的のために例示および例によってある程度詳細に記載したが、本発明の真実の精神および範囲から逸脱せずに様々な変更がなされ得、等価なものが置換され得ることは、当業者によって理解されるべきである。したがって、記載および例を、本発明の範囲を限定するものとして解釈するべきではない。
【0201】
本明細書中に開示したすべての参考文献、刊行物、特許明細書および特許出願明細書は、それらの全体において参照によって本出願中に組込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺高血圧症を処置する方法であって、それを必要としている哺乳動物に有効な量のニトロキシル供与体を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
ニトロキシル供与体が、式I
【化1】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩であり、式中:
は、Hであり;
は、Hであり;
、R、R、RおよびRは、独立してH、ハロ、アルキルスルホニル、N−ヒドロキシルスルホンアミジル、パーハロアルキル、ニトロ、アリール、シアノ、アルコキシ、パーハロアルコキシ、アルキル、置換アリールオキシ、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、シクロアルコキシ、シクロアルキルスルファニル、アリールスルファニルおよびアリールスルフィニルから選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有効な量が約1g/kg/d未満である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物を静脈内に投与する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
化合物を経口的に投与する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
化合物を吸入によって投与する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項7】
哺乳動物がヒトである、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
肺高血圧症が肺動脈高血圧症である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
肺高血圧症が左心疾患による肺高血圧症である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
左心疾患が左心不全である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
左心不全が収縮心不全である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
左心不全が拡張心不全である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
左心不全が慢性的に、または急性的に非代償である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
肺高血圧症が慢性血栓塞栓性肺高血圧症である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
およびRの一方は、H以外であり;
、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、ハロ以外であり;
またはRの一方がハロであり、ハロではないRまたはRがHであり、RまたはRの一方がハロであり、ハロではないRまたはRがHである場合には、Rはハロまたは水素以外であり;
、RおよびRがHであり、RおよびRの一方がHである場合には、HではないRまたはRはニトロまたはアルキル以外であり;また
およびRがHであり、RおよびRがアルキルである場合には、Rはアルキル以外である、
請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
がハロ、アルキルスルホニル、パーハロアルキル、低級アルキル、ニトロまたはシアノである、
請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
がハロ、アルキルスルホニル、パーハロアルキル、低級アルキル、ニトロまたはシアノであり;また
、R、RおよびRの少なくとも3つがHである、
請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
がハロ、アルキルスルホニル、パーハロアルキル、低級アルキル、ニトロまたはシアノであり;また
、R、RおよびRがHである、
請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
がハロ、メチルスルホニル、パーフルオロメチル、パーフルオロメトキシ、イソプロピル、ニトロまたはシアノである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
がハロ、メチルスルホニル、パーフルオロメチル、パーフルオロメトキシ、イソプロピル、ニトロまたはシアノであり;また
、R、RおよびRの少なくとも3つがHである、
請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
がハロ、メチルスルホニル、パーフルオロメチル、パーフルオロメトキシ、イソプロピル、ニトロまたはシアノであり;また
、R、RおよびRがHである、
請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
化合物が、以下のもの:
2,6−ジクロロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ブロモ−4−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,5−ジ−トリフルオロメチル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,3−ジクロロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−4−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ヨード−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
N−ヒドロキシ−2−メタンスルホニルベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジ−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−クロロ−4−トリフルオロメチル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,4,6−トリ−イソプロピル−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジ−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
2−(トリフルオロメチル)−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド;
N−ヒドロキシ−2−フェニルベンゼンスルホンアミド;および
その薬学的に許容し得る塩
から選択される、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
化合物が2−ヨード−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
化合物がN−ヒドロキシ−2−メタンスルホニルベンゼンスルホンアミドである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
化合物が2−フルオロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
化合物が2−クロロ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
化合物が2−ブロモ−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
化合物が2−(トリフルオロメチル)−N−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−511556(P2013−511556A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540154(P2012−540154)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057844
【国際公開番号】WO2011/063400
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(510082400)カルディオキル ファーマシューティカルズ,インク. (5)
【Fターム(参考)】