説明

胃充填材としてのポリマ材料及びそれらの調製

本発明は、カルボキシル基を含む合成ポリマ又はコポリマと、生体内用途に適した生体ポリマとを含む膨潤可能なポリマ材料に関する。その膨潤能により、本ポリマ材料は、体重過剰又は肥満の処置のために胃充填材としての使用や、あるいは、満腹感を誘導するために、適している。水性の反応系を含む膨潤可能なポリマ材料を調製する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、引用をもってその全文をここに援用することとする2006年3月20日出願の米国仮特許出願60/787,191に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、合成のカルボン酸ポリマ及びバイオポリマの二元混合物から得られる合成カルボン酸コポリマ及びポリマ複合材料に関する。
【0003】
発明の背景
肥満は世界中の数百万の人々が苦しむ主要な医学的問題である。この状態又は疾患に伴う心理社会学的汚点に加え、数多くの医学的問題が生じ得る。高血圧、心疾患、糖尿病、高脂血症、変性性関節炎及び特定の種類の癌は、肥満した個体での方がより発生頻度が高い。45キログラムを越える肥満があるような人々では、突然の若年死のリスクは普通の人の12倍である。体重を落とすと、これらの随伴する問題のリスクが著しく低下する場合が多い。
【0004】
原因と結果の関係を解明することに狙いを絞った医学研究では、以下の観点に目が向けられる。
a)結果は、胃腸管系(口、胃、膵臓、小腸等)内の何らかの器質的異常により引き起こされる。食事消費量が通常又は少なくとも、体重は増加する。
b)結果は、心理−社会−経済的原因を有する(運動の欠如、意志の欠如、神経、ストレス及び他の因子の状態)が、器質的機能性は通常である。これらの場合、体重増加はより多量の食事消費が原因である。
c)結果は、栄養係数の高い食事に基づく適当でない食事の結果である。この場合、神経−心理学的依存が生じ、この依存は、異常な食事、大食傾向、そして最終的には異常な機能性となって顕れるであろう。
d)結果には複数の原因がある場合がある(上述した因子の組合せ)。
【0005】
肥満を原因とする主な公共保健上の問題は、(ファストフ−ド産業を原因とする不適当な食事を含む)心理的、社会的、及び経済的因子の集中である。原則的に、これは胃腸管の器官は概ね健康であることを意味し、このような状況の改善のための基本的戦略は食事摂取量を減らすことに違いない。
【0006】
食事摂取量を減らすためのいくつかの方法が当業で公知である。それらには、外科的方法、非外科的方法、低カロリ−摂取処方、薬理学的処置、及び「満腹」原理がある。
【0007】
小腸の吸収表面をバイパスしたり、あるいは区分もしくはバイパスにより胃のサイズを減らしたりするいくつかの外科的技術が試されてきた。これらの手法は病的に肥満した患者で行なうには危険でもあり、かつ、生命に危険を及ぼす多数の術後合併症にも満ちている。更に、このような手術による方法は元に戻すことがしばしば難しい。
【0008】
食事、心理療法、投薬、及び行動改善技術を含む非外科的方法は、多数の治験で非常によくない結果を出してきた。しかしながら、これらはより快適であり、より安価であり、そして外科的方法に比較して患者から好まれるため、可能な改善を目指して引き続き、研究されてきた。最も人気のある非外科的技術には食事制限がある。食事制限法は当業で公知であり、食欲を抑えることにより食事摂取量を減らすことを狙いとしている。
【0009】
低カロリ−処方法は、最も人気のある体重減少法であり、「ダイエット食」にそれらの基本を置くものである。ダイエット食とは、天然製品のみ、合成食品、あるいは、天然製品及び合成食品の混合物から作られた食用の組成物を表す。多種のこのようなレシピが米国特許第5,063,073号;米国特許第5,654,028号;米国特許第6,426,077号;米国特許第5,405,616号;米国特許第6,103,269号;米国特許第6,071,544号;米国特許第6,468,988号;米国特許第4,784,861号;米国特許第6,020,324号;米国特許第6,322,826号及び米国特許第6,472,002号に例示されている。関係するコンセプトは、難消化性植物繊維;コラ−ゲンを含有する食品;及び、ダイエット用油脂含有量を増加させること等である。これらの方法の主な短所は、前記成分のいくつかが異常に存在しても代謝で支援できる患者という少数の患者にしか、これらが使用できないこと、胃での滞留時間が通常よりも長いために、患者に胃腸管での不快感が起きることである。
【0010】
薬理学的処置には、食欲を抑える(内分泌及び神経分泌レベルで)生化学的プロセスで活性な天然又は合成の物質がある。処置には、a)幽門括約筋の緊張を増す方法(米国特許第5,760,082号;米国特許第6,071,544号;米国特許第6,426,077号;及び米国特許第 6,468,988号を参照されたい);b)コレシストキニン (CCK) レベルを制御する方法(米国特許第3,859,942号;米国特許第5,795,895号;米国特許第6,403,657号;米国特許第6,468,962
号及び米国特許第6,475,530号を参照されたい)及び c)遺伝子治療(米国特許第
6,057,109号及び米国特許第6,309,853号を参照されたい)がある。体重減少のための処置を投薬を通じて受けた患者は、「栄養不足」を原因とする薬効停止などの合併症に頻繁にみまわれる。「栄養不足」を原因とする許容できない結果にどの患者がみまわれそうかを予測することは難しい場合が多い。
【0011】
「満腹」原理は満腹感を与えることで食欲を抑えるものである。この技術は、胃中の滞留時間延長を誘導する何らかの種類の「食物」を摂取することから成る。公知の戦略には、a)膨張可能なバック及びチュ−ブの組合せで胃を充填すること(米国特許第3,046,988号;米国特許第4,133,315号;米国特許第4,246,893号;米国特許第4,416,267号;米国特許第4,899,747号;米国特許第4,485,805 号及び米国特許第4,739,758号を参照されたい)及びb)ヒドロゲルで胃を充填すること(米国特許第 5,336,486号;米国特許第 6,018,033号;米国特許第5,750,58号;及び米国特許第6,271,278号を参照されたい)がある。
【0012】
ヒドロゲルを基にした満腹原理は様々なバリエ−ションで当業で公知である。Wounderlich J.C. らは米国特許第5,405,616
号及び米国特許第6,103,269号で、ゼラチン又はコラ−ゲンの加水分解物のポリマ混合物、薬物、及び加工用の補助剤(即ち可塑剤、臭気物質等)のフリ−ズドライ混成物を用いることを解説している。この乾燥物質は、胃から出た水性媒質と接触すると数分で膨潤し、その後溶解し、支障なく胃腸管から空になることができる溶液となる。
【0013】
Acharya R.N. は米国特許第5,336,486号で、一般名「カルシウムポリカルボフィル」
として市販のポリマをベ−スとした組成物をロゼンジとして開示しており、このロゼンジは、制御された量を摂取した場合に、望ましくない副作用を起こすことなく、食欲を抑え、かつ満腹感を感じさせるものである。1990年版の米国薬局方である
メリ−ランド州ロックビルのUnited States Pharmacopeial
Convention, Inc は、218ペ−ジで、カルシウムポリカルボフィルは、架橋ポリアクリル酸のカルシウム塩であると示している。この組成物を用いる人たちは、このロゼンジを摂取してから数時間、食欲が著しく減退し、飢餓感もなかったと言明した。どんな機序を通じてこの結果が達成されるのかは解明されていない。
【0014】
Chen Jun らは”Gastric retention properties of superporous
hydrogel composite” J. Controlled Release, 64, 39−51, 2000及び 米国特許第. 6,018,033号で、そして Park K. らは 米国特許第5,750,585号及び米国特許第6,271,278号で、アクリル酸、アクリルアミド、3−スルホプロピルアクリレ−トのカリウム塩及び N,N'−メチレンビスアクリルアミドの混合物を AcDi−Sol(R)(小型の架橋多糖)の存在下でグラフト及び架橋することで得られるヒドロゲルは、経口投与後に胃内で膨潤し、食事制御における補助剤として用いることができることを開示している。これらのポリマ複合材は以下の欠点を有する:a)その調製法では、モノマをポリマに一体転化させることができないため、未反応のモノマ、開始物質の残渣等を含む「エクストラクティブル(原語:extractibles)と呼ばれる毒性物質が混入する。従来の超吸収性ポリマにおける患者の不快感及び健康に対するエクストラクティブルの有害な影響が文献化されている(米国特許第5,075,344号を参照されたい);そしてb」ゲル相の減少により胃を空にすることは、ヒドロゲルの基本的な化学構造が小腸内ではそのままであることを意味する。可能性のある二回目の膨潤により、小腸、更には大腸までもも閉塞し、複数の、好ましくない関係が引き起こされかねない。
【0015】
Burnett D.R. らは W02004/056343 Al で、胃内に特定の時間留まり、その後腸管に進入するや急速に分解することのできるポリマ調合物を含む、胃容積の一過性の非侵襲的減少のための摂取可能な調合物を開示している。このポリマ調合物の剤形は錠剤、カプセル、溶液、乳液又は懸濁液の形状であってよい。このポリマ調合物は、脱水された架橋生体適合性ポリマ(例えばアルギン酸塩)及び可溶化剤/安定化剤(例えばキサンタンガム、プロピレングリコ−ルアルギネ−ト)等の組み合わせが酸感受性のコ−ティング(例えばゼラチン)で覆われたものを含む。またこの調合物は、体重過剰又は肥満の処置に用いられる活性な生物学的化合物や、保存剤、甘味料、着色剤、着香料等の他の添加剤を含むことができる。その架橋は加水分解を受ける乳酸、グリコ−ル酸トリメチルカ−ボネ−ト又はいずれか他の加水分解可能なエステルのポリマ又はコポリマである。その経口用剤形及びポリマ調合物は、典型的には、約6−18時間で平衡時膨潤の90%に達して約200%−1000%のサイズ増加を起こし、典型的には約3−10日間で腸管から消失する。これらのポリマ調合物には、満腹感を得るには大量を継続的に摂取する必要のある「偽の食物」として働くという短所がある。更に、その膨潤の程度は小さく、体内で長時間、滞留するために、胃腸管以外の器官で分解生成物が蓄積してしまい、好ましくない生物学的影響を生じる可能性がある。「満腹」原理に基づいた優れたポリマ材料を調製するには、胃腸管レベルで活性な両方の生物学的プロセスを理解する必要がある。
【0016】
胃腸管
胃腸管の正常な生理は胃及び小腸をカバ−する
(Freita Jr , R.A. , in "Nanomedicine" , Volume 1 Landes Bioscience Georgetown
, TX , 1999;. Johnson L.R. in Physiology of the Gastrointestinal Tract, Raven
Press, New York, 1981)。
【0017】
胃は食物の混合、混練、及び、固体食物のチャ−ニングや、その内容物が十二指腸に向けて空になる際の調節のための容器の役目をする。この容器機能は、摂取物質及び分泌物質の維持的な保管を含む。一定の閾値容量を超えると胃は「満タン」(容積が大きいか、又は小さいかに関係なく)であり;即ち、胃内圧は、それ以上の食物又は流体が追加されても余り上昇しないが、それはなぜなら胃壁が弛緩して負荷を受けとめるからである。胃はまた、摂取された物質を胃液と混合して食物を溶解及び希釈し、固体物質を混練して2mm直径未満の粒子サイズにし、最終的にはその内容物を十二指腸及び小腸に向けてゆっくりかつ小量ずつ、空にする。胃は不規則な梨形状の袋であり(男性が直立したときにその胃が食物で満たされている場合、その胃は筒状になってほぼ垂直な姿勢となる)、約1000 cm3 (大半の人で最高 1500 cm3 と、新生児では僅かに約60 cm3 )という正常容積を有する。しかし、300−500 cm3で通常の人は満腹感を得る。
【0018】
空の時の胃の内壁は、ひだと呼ばれる膨張用の縦ジワを有する。胃が食物で満たされると、このひだは均されて消失し、満腹時にはほぼ600 cm2 の滑らかな粘膜表面となって残る。胃の内張りの最も外側の上皮層は粘膜であり、数ミリメ−トルの厚さがある。この表面の内張りとなっている上皮細胞のほとんどすべては、粘液を分泌する簡単な円筒状の粘膜細胞である。胃粘液は特に粘性が高く、ほぼ 50−100 ミクロンの厚さがあり、胃が分泌する消化液及び酸の両方に対して大変耐性が強い。この粘膜は、小さなチュ−ブ単位が並んで胃腺を形成する、胃の分泌細胞を含む。胃腺は毎日 1000−3000 cm3
の胃液を分泌する。50 cm3
の残りは、長期間の絶食の後でも胃内に常に存在する。若年成人の分泌速度は平均で、絶食時は77 cm3/時間 (男性) 及び70 cm3/時間 (女性) であり、睡眠時は 54 cm3/時間 (男性) 及び 38 cm3/時間 (女性) であり、そして食事後は 114
cm3/時間 (男性) 及び 99 cm3/時間 (女性) である。胃液は平均で1% の水溶液であり、pH ~2.0のときの比重はほぼ1.006
(1.004−1.010)である。水分のほかに、胃液はペプシン及びレンニン(キモシン)などのタンパク質分解酵素、リパ−ゼなどの脂質分解酵素、塩酸、塩、粘液(糖タンパク質)、並びにガストリン及びソマトスタチンなどの調節ペプチドも含有する。mEq HClで表される胃液の酸性度は、栄養成分の可溶化とタンパク質分解の制御の両方の点で酵素反応(ペプシン効果)の触媒として、食物分解で必須の役割を果たす。基底酸分泌量とは、1時間当りの塩酸のミリ等量で表される、非刺激時基底状態の胃が1時間当りに分泌する塩酸の量を言う。その正常な範囲は1時間当り1−5 mEq の塩酸である。最大酸分泌量とは、刺激後(即ち食物摂取後)の1時間に間の総酸分泌量を言い、1時間当り25−55 mEq の塩酸という正常範囲を有する。
【0019】
胃の(機械的機能としての)胃運動性は局所性神経ホルモン筋により中枢制御される。この筋層には、外側の縦方向の中央部円形の繊維と、内側の斜めの繊維とが含まれる。神経制御には、内因性の筋層間神経叢と、腹腔リンパ管叢の外因性の交感神経節後線維と、迷走神経の副交感神経節前線維とが関与する。求心性迷走神経は弛緩系及び興奮系の両方である。食物摂取から、胃が空になるまでの時間は(胃内保持時間−GRTとも呼ばれる)、胃の内容物は5−15 kPaという胃内圧(最大胃収縮圧)に晒される。このGRT の範囲は1時間(液体粘度、10−3 Pas)から12時間(重いペ−スト状の粘度、105 Pas)までであり、その平均は103 Pasという平均粘度のときの平均2−6時間である。
【0020】
胃が空になることには、摂取した食事の物質、体積、重量オスモル濃度、及び組成が影響を与える。液体は固体よりも速く、空になる。胃が空になる速度は容積の平方根に関係するため、一定の比率の胃内容物が単位時間当りに空にされる。十二指腸の浸透圧受容体がトリグリセリド、脂肪酸又は塩酸で刺激されると胃が空になるのが鈍化する。
【0021】
胃が空になる作用は、を通じた液体の流れ現象に基づく。液体の流動力学的特徴と関連する、この容器の幅よりも遥かに小さい開口部の幅は、空になる速度に影響する重要な因子である(Nielsen, L. E. in "Mechanical
Properties of Polymers Composites "; Marcel Dekker: New
York, 1974; Schramm G.A. in " A Practical Approach to Rheology
and Rheometry " Karlsruhe,
Germany:
Gebrueder HAAKE GmbH, pp 17−18, 1994を参照されたい)。流れの制限は、栓として働く幽門括約筋により制御される。開口部の開口(最大値は約2mmという直径に相当する)、胃の運動性(即ち混合物のpH)と胃腸管の神経刺激物質活性の両方によって制御される。
【0022】
現在ではキ−ムスと呼ばれるよくチャ−ンされた混合物は幽門から小腸の十二指腸へと吐き出される。神経系と、主に十二指腸から、しかし部分的には胃からも生ずるホルモンのシグナル(例えばエンテロガストロン)は幽門の収縮度を制御することで、キ−ムスが胃から小腸の十二指腸に向けて空になる速度を制御する。
【0023】
小腸は、十二指腸、空腸、及び回腸という、三つのよく定義された部分を持つ連続した管である。全長はほぼ7メ−トルと通常報告されるが、この測定値はすべての筋緊張を失った死骸から採取された組織のものである。生体では、小腸は僅かに3−5メ−トルの長さしかない。小腸は胃の幽門からはるか大腸まで延び、腹腔の大部分を示す。飲み込まれた唾液、摂取された水、及び胃が分泌した酸性流体や、小腸自体の上部で分泌された流体からそこに流れ込む、一日当り8−10リットルのうち最高で一日当り最高6リットル乃至の水を含む、消化吸収の約90%が小腸で行なわれる。食物は、集合的に蠕動運動として知られる波状の筋肉収縮に沿って通過するが、この波は、10−100cmという様々な距離にわたって数学的に前進し、ときには小腸の全長にわたって前進する。食物はまた、不規則な蠕動運動中のリズミカルな分節収縮によっても破砕されるが、この分節収縮は、環状筋肉の環状の収縮であり、1分間当り10−30回の頻度で起き、この腸の上流端では最も速度が高い。
【0024】
胃を出た食物は、膵臓の頭部に馬蹄鉄状に並んだ十二指腸として知られる象徴部分に入る。ブルンナ−腺は十二指腸のみに見られ、粘液を含有するそれらの分泌物は5.8−7.6のpH、1.01という比重、そして3.61 (0−31.5) x 104
g/cm3という可変性の高いコレステロ−ル濃度を有する。キ−ムスが十二指腸を通過すると、消化の準備としてそれは中和化され(pHはpH= 2−2.8 から pH =8.5−9に変えられる)、生分解酵素に遭う。具体的には、膵液は、(タンパク質を消化する)トリプシン、(脂肪を分解する)リパ−ゼ、及び(糖を分解する)アミラ−ゼという三つの消化酵素の混合物であるパンクレアチンを含有する。この流体の比重は 1.008、平均粘性は 1.6 mPas (慢性膵炎患者では最高 5.8 mPas)、そしてpHは7−8である。膵液は、ホルモンセクレチンからのシグナル伝達を受けて流れるが、このセクレチンは、十二指腸の粘膜で作られ、部分的に消化された食物が胃から入るやいなや、そのメッセ−ジを送るものである。胆汁は苦い、黄色の流体であり、脂肪を乳化及び消化する助けをすることで、それらの腸管からの吸収を速め、膵臓酵素リパ−ゼを活性化し、腸管運動を刺激し、腸の内容物の発酵を防ぐ。胆汁の比重は0.998−1.062である。絶対粘度は0.843−2.342 mPasの範囲であり、pHの平均は肝臓胆汁の場合は7.5 (6.2−8.5)であり、胆嚢胆汁の場合は6.0 (5.6−8.0)である。肝臓胆汁は 1.7−5.2 x 10−4 g/cm3 の糖類及び 1.2 (0.8−1.7) x 10−3 gm/cm3 のコレステロ−ルを含有するが、他方、胆嚢胆汁は 8 x 10−4 g/cm3 の糖類及び6.3 (3.5−9.3) x 10−3 gm/cm3
のコレステロ−ルと、0.33%の脂質を含有する。
【0025】
空腸においては、脂肪、でんぷん、及びタンパク質はそれらの最小成分にまで分解され、腸の内張りを形成する細胞によって吸収される。特に興味深いことに、糖類の吸収は主に小腸の上流部分、特に十二指腸及び空腸上側で起きる。従ってキ−ムス中の糖の濃度は空腸でピ−クを迎えた後、急激に減少する。なぜなら、二糖は簡単には吸収されないが、全ての分子サイズのでんぷんが酵素により減少して最も簡単な糖になってから吸収に向かうからである。コレステロ−ルもまた、主に空腸で吸収される。
【0026】
回腸中では水が(〜0.07−0.40 cm 3/秒)、カルシウム、他のミネラル、及びビタミン(特にビタミンB12)と共に吸収される。胆汁は捕獲され、肝門脈及びリンパ系胸管系を介して肝臓に戻される。脂肪もまた、十二指腸又は空腸でよりも、回腸中でより急速に吸収される。
【0027】
ポリマ製ヒドロゲル
水や、人体が分泌する流体を含む水性媒質のための吸収材料が公知である。これらはポリマ製粉末、顆粒、マイクロ粒子又は繊維である。水系に接触するとそれらはその液相を、それを分解することなくそれらの構造内に吸収することにより、膨潤する。「ヒドロゲル」はそれが水を吸収した後のポリマ製材料である。水の吸収率が、乾燥ポリマ1g当り100 g の水を越えると、当該材料は「超吸収性」ポリマ(SAP)と呼ばれる。
【0028】
ヒドロゲルは経口投与された医薬のための薬物担体として用いられる。薬物のヒドロゲル内への「充填」は、製品の調製時に行われ、そして「吸い戻し」は、それの水性媒質との相互作用中及び/又は相互作用後に起きる。薬物の効験を増すには、吸い戻しは胃腸管の特定の位置で、そして特定の現象学的な送達の法則に従って起きねばならない。薬物の経口投与は一般に二つのクラスのヒドロゲルを用いる。一つはa)胃内で機能的なものであり、そしてもう一つはb)小腸で機能し、優先的な位置(口腔、十二指腸等)がある。
【0029】
胃は、水、塩酸、ペプシン及び粘液(多糖バイオゲル)を含む胃分泌物を産生する。この媒質は1−3のpHを有し、ペプシンタンパク質分解酵素によるタンパク質分解活性を呈する。小腸は胃分泌物よりも複雑な化学的組成を持つ水性媒質を提供する。それは5−9のpHを特徴とし、タンパク質及び多糖に対する生分解酵素活性を有する。
【0030】
胃内で活性なヒドロゲルの場合には、担体がポリマ製であること、酸性の水性媒質中で膨潤すること、空になるのに通常の生理的時間とは異なる特定の時間、胃内に留まること、そして、それが投与された機能を満たした後は簡単に除去されること、という必要性がある。加えて、当該のヒドロゲルは、管を閉塞したり、毒性の二次生成物を生じたり、相でなくてもいずれかの態様で有害であったりしてはならない。
【0031】
胃分泌物中で上記の特性をポリマ製担体が有するには、より多くの可変性が解決される必要性がある。酸性媒質(1−3のpH)中での膨潤は、非イオン性の巨大分子構造、陽イオン性のポリマ・マトリックス、及び、部分的に中和させた陰イオン性ポリマ材料では達成されてきた。Morita R., Honda R., Takahashi Y., “Development of oral controlled
preparation, a PVA swelling controlled release system, SCRS.I. Design of SCRS
and its release controlling factor”, J.Controlled
Release, 63,297−304, 2000;
Shalaby W.S.W., Blevins W.E., Park K., “In vitro and in vivo studies of enzyme−digestible hydrogels for oral drug delivery”
, J. Controlled Release, 19, 289−296, 1992; Podual K., Doyle F.J., Pappas
N.A., “Dynamic behavior of glucose oxidaze−containing microparticles of poly(ethylene glycol)−grafted cationic hydrogels in an environment
of changing pH”, Biomaterials 21,1439−1450, 2000; 米国特許第 5,352,448号;及び米国特許第
5,674,495号。
【0032】
胃内でのヒドロゲルの保持は、より公知の方法によって制御されてきた:フロ−ティング系(Deshpande A. A., Shah N. H., Rhodes C. T., Malick W., “Development
of a novel controlled−release system
for gastric retention”, Pharm, Res.
14,815−819,1997を参照されたい)、膨潤及び拡張系(米国特許第 4,434,153号;米国特許第 4,207,890号を参照されたい)、生体粘着系(Hang Y., Leobandung W., Foss
A., Peppas N. A. “Molecular aspects of muco−and bioadhesion: Treated structures and site−specific surfaces”, J. Controlled Release , 65,63−71,2000を参照されたい)、改良形状系(米国特許第 4,735,804 号及び米国特許第4
,767,627号)、高密度系(米国特許第 3,507,952号)等。
【0033】
生物学的に活性な化合物用の担体として用いられる伝統的なヒドロゲルは、「満腹」の原理を用いたダイエット材料として用いられるのに充分な大きさの膨潤能を持たない。加えて、合成ポリマを医療に用いることに関する最も重要な問題の一つは生体適合性である。
【0034】
生体適合性とは、ある物質が持つ生化学的特徴の蓄積であり、この生体適合性により、生物はその物質をその一体的部分として、炎症、感染性等といった何らかの反発又は毒性現象を自発的にあるいは時間と共に顕すことなく、許容することができるものである(Black J., “Biological Performance of Materials: Fundamentals of
Biocompatibility”, 2d ed. M. Dekker, N. Y., 1992)。
【0035】
生体適合性の指針となってきた基準は、Biological
Evaluation of Medical Devicesとして知られ、国際間で開発中のままであるTripartite Guidance; the International Organization for
Standardization (ISO) 10993 基準と、FDA Blue
Book Memorandaである。
【0036】
非生体適合性となるソ−スは二つある:1)ポリマ、及び2)ポリマ合成に用いられた残留原材料(例えばモノマ、開始物質、溶媒及び重合反応の補助剤、あるいは、例えば表面処理用の架橋剤、溶媒等、三次元ネットワ−クを形成するための処理用補助剤)である。
【0037】
ごく少数のカルボキシル化合成ポリマしか、生体適合性である。一例はアクリル酸コポリマ;エチルアクリル酸;及びメタクリル酸を含む、市販の「EUDRAGIT」系ポリマである。Breitkreutz
, J. in "Leakage of enteric (Eudragit L)−coated dosage forms in simulated gastric juice in the presence of
poly(ethylene glycol)", Journal of Controlled Release 67: 79−88 , 2000。
【0038】
マレイン酸ベ−スのいくつかのコポリマは生体適合性であり、医学分野で用いられてきた。Sethi, N. et al. “Safety evaluation of a male injectable
antifertility agent, スチレン maleic
anhydride copolymer, in rats”, Contraception
39:217−226 19895; Lohiya N. K
et al. “Repeated vas occlusion and non−invasive reversal with スチレン maleic anhydride for male contraception in langur monkeys”, Int. J. Androl; 23 : 36−42, 2000; Ottenbrite, R. M. “Antitumor
activity of polycarboxylic acid polymers”, J.
Macromol. Sci. Chem., A22(5−7), 819−832, 1985; 及び Spiridon D. “Synthesis and Biocompatibility
of Maleic Anhydryde Copolymers: 1. Maleic Anhydride−ビニル Acetate, Maleic Anhydride−Methyl メタクリレ−ト and Maleic Anhydride−スチレン”, Polymer International,
43, 175−181, 1997。
【0039】
ポリマは、ある生物の生体ポリマ中に豊富にあるほど生体適合性が高い。このように、最も生体適合性のある(完全なほどまでに)ポリマは、天然コラ−ゲン、可溶性コラ−ゲン、ゼラチン、及びコラ−ゲン加水分解産物といった、コラ−ゲン製の生体ポリマを含有するものである: Hoffman A. S., Daly C. H., “Biology of Collagen”, Viidik Vunst J.
Eds., Academic Press New York, 1980; Ward A.
G., Courts A., “The Science and Technology of Gelatin”, Academic Press N. Y.,
1977 及び米国特許第5,376,375号;米国特許第5,292,802号;米国特許第 5,945,101号;米国特許第6,071,447等。
【0040】
これらのポリマの特定の特性は、原材料の選択と、当業で公知の調製プロセスを由来とする。それらは単一材料及び/又は、イオン性もしくは非イオン性ポリマをベ−スとする複合材である。例には、a)モノ及び多官能性モノマの重合により得られるポリ(アクリル酸)及びアクリル酸コポリマ、並びにその複合材(米国特許第3,926,891; 米国特許第4,090,013; 米国特許第Al17,184; 米国特許第 4,190,562号;米国特許第4,654,039号;米国特許第4,666,983号;米国特許第4,808,637号;米国特許第4,833,222号;米国特許第5,118,719号;米国特許第5,567,478号;及び米国特許第5,629,377号を参照されたい); b)アクリロニトリルのグラフト重合による架橋でんぷん、二元官能性重合モノマ、並びにこれらの、他の天然及び/又は合成ポリマとの複合材(米国特許第3,935,099号;米国特許第3,997,484号;米国特許第4,076,663号;米国特許第5,453,323号;及び米国特許第6,107,432号);c)ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマ、及び架橋共重合法を用いたそれらの複合材(米国特許第4.525,527号;米国特許第4,654,039号;米国特許第5,408,019号;及び米国特許第5,712,316号を参照されたい);d)無水マレイン酸コポリマ及びそのポリマ複合材(米国特許第3,959,569号;米国特許第3,980,663号;米国特許第3,983,095号;米国特許第4,389,513号;米国特許第4,610,678号;及び米国特許第4,855,179号を参照されたい)、e)変性セルロ−ス(米国特許第4,959,341号;米国特許第5,736,595号;米国特許第5,847,031号;米国特許第6,833,488号 及び W02005/084724);f)ポリ(ビニルアルコ−ル)及びそのコポリマ(米国特許第 4,124,748号、及びBo J. “Study on PVA Hydrogel Crosslinked
by Epiclorohydrin”, J. Appl. Polym. Sci., 46, 783−786,1992を参照されたい)及びg)ポリアスパルテ−ト及びそのコポリマ(米国特許第5,284,936号;米国特許第
5,847,013号を参照されたい)がある。
【0041】
ポリアクリレ−ト、ポリアクリルアミド又はでんぷんをベ−スとする市販のSAP製品は衛生用又は農業では用いられてきたが、ダイエット分野で用いられたことはない。
【0042】
医薬及び/又は医療分野での潜在的用途を持つ、水性媒質用の高純度吸収材料を得るには、三次元ポリマ構造を、a)化学法:イオン性及び/又はコ−ディナティブ・インタ−コンプレキシング(原語:coodinative intercomplexing)(米国特許第4,570,629号及び米国特許第5,153,174号を参照されたい)、二重結合又は環との反応基を持つオリゴマ又は反応性ポリマとの架橋(米国特許第5,489,261号及び米国特許第5,863,984号);放射線による架橋(米国特許第 RE33,997号;米国特許第4,264,155号;及び米国特許第5,948,429号を参照されたい);及びb)物理法:マイクロ波による架橋(米国特許第5,859,077号;及び米国特許第6,168,762号を参照されたい);凍結乾燥(米国特許第5,676,967号;及び 第5,869,080号);並びにデハイドロサ−モ(原語:dehydrothermo )架橋法(米国特許第4,837,285号;米国特許第4,950,485号;及び米国特許第4,971,954を参照されたい)により得ることができる。
【0043】
三次元構造を得るためのデハイドロサ−モ架橋法では、二次的な反応生成物により生ずる毒性リスクや、新しい種類の共有結合、イオン結合又は配位結合が形成されるような反応生成物の修飾が起きることがなくなる。更に、凍結乾燥、あるいは、マイクロ波照射による架橋法に比較して、デハイドロサ−モ架橋法では、三次元ネットワ−クを調節できる可能性が更に高くなる(Scotchford C. A. et al. “Osteoblast responses of collagen−PVA bioartificial polymers in vitro :the
effects of cross−linking method
and collagen content” Biomaterials 19,
1−11, 1998; and Giunchedi
P. et al., Biomaterials 19, 157−161, 1998を参照されたい)。しかしながら、コラ−ゲン製生体ポリマをベ−スとし、デハイドロサ−モ架橋法で得られるヒドロゲルは本発明の吸収能に欠ける。
【0044】
ここでは、従来のSAP材料の欠点のない、優れた性能を示す新しいクラスのSAP材料が提供される。この新しいクラスのSAP材料はダイエット補助分野で有用である。
【0045】
発明の概要
本発明の目的の一つは、偽の満腹感、食欲消失、何らかの神経シグナルの阻害、同化に関与する何らかの生化学的プロセスの修飾等の方法に基づいて、肥満又は過剰体重を処置するための実質的に優れた経口投与用ポリマ材料を提供することである。同様に、本ポリマ材料は何らかの標的共同効果を提供するであろう。
【0046】
本発明のもう一つの目的は、二種のポリマを含むポリマ複合材を提供することである。一方は合成ポリマであり、他方は生体ポリマである。この二種のポリマの組合せ比は、生体ポリマが存在することで消化可能な特徴をもたらすと共に、合成ポリマの使用を通じてエネルギ−的な意味(カロリ含有量)をもたらさないように選択される。
【0047】
本発明のもう一つの目的は、本ポリマ材料が、他の化学的構成成分の参与なしで本複合材中に存在するポリマ同士(食品等級及び医薬品等級のポリマ)の間の相互作用のみによって形成される三次元ネットワ−クを含むために、毒性効果を誘導しないようなポリマ材料を提供することである。この新しい製品の生体適合性は、生分解後の本合成ポリマが、特異的吸収による血液系へのその進入を許さないような平均分子量を有するという事実でも確認される。血液系への吸収がないことで、本合成ポリマに不活性な特徴がもたらされ、それは身体から消失することとなる。
【0048】
本発明の更なる目的は、胃内で一種又は二種のガラス(原語:glass)の水と一緒に膨潤することで満腹感を誘導するヒドロゲルを生ずる、経口投与用の新しいポリマ材料を提供することである。
【0049】
本発明のもう一つの目的は、通常消費される食品のそれと同じ態様で胃内でふるまうポリマ材料を提供することである。このように、投与から数分後でヒドロゲルは食物塊と似た粘稠度に達する。その後時間を経て、胃内分泌物のために、ヒドロゲルはキ−ムスと同様に、最終的には胃から簡単に空になることができるような粘稠度を持つペ−ストとなる。
【0050】
本発明のもう一つの目的は、患者の解剖生理学的な特殊性や、体重過剰又は肥満の処置に適合する医療戦略に合わせて調節可能な胃内滞留時間を持つポリマ材料を提供することである。更に本材料を改変して活性な生物学的化合物(例えば食欲を抑える又は神経シグナルを阻害する医薬製品など)を送達するようにしてもよい。
【0051】
本発明のもう一つの目的は、本ポリマ材料の三次元ネットワ−ク中にポリペプチド鎖を含有させることにより、小腸の酵素系に対して正の応答をするポリマ材料を提供することである。このようなタンパク質性物質の含有量により、生分解速度が制御される。小腸に達するとその生分解プロセスは終わり、巨大分子部分は水性媒質中で可溶性であるために身体から簡単に消失する。
【0052】
本発明の更に別の目的は、水溶液を含むポリマ材料を調製する方法であって、前記水溶液から固相が分離され、熱処理により乾燥されることでポリマ複合材の三次元構造が安定化するような方法を提供することである。この新しいポリマ材料を調製する方法は環境に優しい(汚染性の原材料もなく、二次生成物の発生もなく、そして汚染性廃棄物もない)。
【0053】
ある局面では、本発明は、合成ポリマ及び生体ポリマから成り、前記合成ポリマがカルボキシル基含有コポリマである複合材を含む膨潤可能なポリマ材料を特徴とする。
【0054】
別の実施態様では、本ポリマ材料は、0.2mm以上2mm以下の外接相当直径 Oeq を持つ顆粒状固体である。別の実施態様では、前記 Oeq は0.4 mm 乃至 1.5 mmの間である。
【0055】
別の実施態様では、当該の膨潤可能なポリマ材料は式:

【0056】
【数1】

【0057】
で表され、但し式中、
A はカルボキシル基含有コポリマを表し;
Bは生体ポリマを表し;
Cは対イオンを表し;そして
W はポリマに結合した水を表す。
【0058】
別の実施態様では、 A は 20:80 乃至 80:20の比のコモノマM1及びM2を含む。別の実施態様では、Aは 40:60 乃至 60:40の比のコモノマM1及びM2を含む。
【0059】
別の実施態様では、M1はコモノマ無水マレイン酸及びマレイン酸を含む。別の実施態様では、M1 はコモノマ無水イタコン酸及びイタコン酸を含む。別の実施態様では、M1 はコモノマ無水シトラコン酸及びシトラコン酸を含む。別の実施態様では、M1 はコモノマ無水2−オクテニルコハク酸及び2−オクテニルコハク酸を含む。
【0060】
別の実施態様では、M2はオレフィンを含む。別の実施態様では、M2はモノオレフィンを含む。別の実施態様では、M2 はエチレン、プロペン、イソブチレン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、アルキル化スチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニル−トルエン、飽和C1−C4 カルボン酸のビニルエステル、ビニルホルメ−ト、ビニルアセテ−ト、ビニルプロピオネ−ト、アルキルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、ブチルビニルエ−テル、アクリレ−ト、メタクリルレ−トエステル、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、イソブチルアクリレ−ト、t−ブチルアクリレ−ト、ヘキシル、アクリレ−ト、n−ブチルメタクリレ−ト、ラウリルメタクリレ−ト、イソデシルメタクリレ−ト、共役ジオレフィン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、アレン、アレン、メチルアレン、クロロアレン、オレフィンハリド、塩化ビニル、フッ化ビニル、ポリフルオロ−オレフィン、モノエチレン不飽和C3−C6−カルボン酸のエステル、一水素性の C1−C8−アルコ−ル及びアクリル酸のエステル、一水素性のC1−C8−アルコ−ル及びメタクリル酸のエステル、一水素性のC1−C8−アルコ−ル及びマレイン酸のエステル、マレイン酸のモノエステル、マレイン酸モノメチル、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、ヒドロキシブチルアクリレ−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ヒドロキシプロピルメタクリレ−ト、ヒドロキシブチルメタクリレ−ト、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アルコキシル化した一水素性の飽和アルコ−ルのアクリル酸及びメタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、ジアルキルジアリルアンモニウムハリド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロリド、アリルピペリジニウムブロミド、N−ビニルイミダゾ−ル、N−ビニルイミダゾ−ル、1−ビニル−2−メチルイミダゾ−ル、N−ビニルイミダゾリン、N−ビニルイミダゾリン、1−ビニル−2−メチルイミダゾリン、1−ビニル−2エチルイミダゾリン、1−ビニル−2−プロピルイミダゾリン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド又はアクリロニトリルを含む。別の実施態様では、M2 はスチレンを含む。
【0061】
別の実施態様では、M1:M2 の比は20: 80 以上80:20以下である。別の実施態様では、M1:M2 の比は40:60 以上60:40以下である。
【0062】
別の実施態様では、M1は無水マレイン酸及びマレイン酸のコモノマを含み、そしてM2 はスチレンを含む。
【0063】
別の実施態様では、B は糖質、タンパク質、大豆タンパク質、コラ−ゲン、コラ−ゲン性生体ポリマ、ゼラチン、コラ−ゲン性加水分解産物、又はアルブミンカゼインを含む。別の実施態様では、B はゼラチン又は糖質である。別の実施態様では、前記ゼラチンは陸生又は水性動物を由来とする。別の実施態様では、前記糖質は植物源を由来とする。別の実施態様では、B は20 以上 500 ブル−ム以下のブル−ム指数を有する。別の実施態様では、B は 100乃至300 ブル−ムの間のブル−ム指数を有する。別の実施態様では、B は3.5以上9.5以下の等電点(IP)を有する。別の実施態様では、 B は 4.5 以上 8.5以下のIPを有する。
【0064】
別の実施態様では、 A:Bの比は重量で 95:5 乃至 55:45 である。別の実施態様では、A:B の比は重量で 90:10乃至 70:30 である。別の実施態様では、A:B の比は重量で90:10、85:15、 80:20、又は75:25である。
【0065】
別の実施態様では、 Cは無機の陽イオンである。別の実施態様では、 C は Li (+)、Na (+)、K (+)、又は NH4 (+)である。別の実施態様では、 C は Na (+) 又は NH4 (+)である。
【0066】
別の実施態様では、(A+B)のmol/gramで表されるC (+)のモル含有量は 0.002 mol/g 以上 0.004 mol/g以下である。別の実施態様では、(A+B)のmol/gramで表されるC (+)のモル含有量は 0.0025 mol/g 以上 0.0035 mol/g以下である。
【0067】
別の実施態様では、M1はコモノマ無水マレイン酸及びマレイン酸を含み、M2 はスチレンを含み、 B はゼラチンであり、C はNa (+) 又は NH4 (+)である。
【0068】
別の実施態様では、A:Bの比は 重量で95:5 乃至 55:45である。別の実施態様では、A:B の比は重量で90:10 乃至 70:30 である。別の実施態様では、 A:Bの比は重量で
90:10、85:15、80:20、又は 75:25 である。
【0069】
別の実施態様では、本ポリマ材料は重量で1% 以上15% 以下の湿度含有量を有する。別の実施態様では、本ポリマ材料は重量で5 % 乃至 10% の湿度含有量を有する。
【0070】
別の実施態様では、粘度学的平均分子量 Myは、25℃でのテトラヒドロフラン中の固有粘度[η]から評価される 100,000以上 2,500,000 以下である。別の実施態様では、My は、25℃でのテトラヒドロフラン中の固有粘度[η]から評価される 1,000,000 以上2,000,000 以下である。
【0071】
別の実施態様では、水と24時間接触させた後の、37℃での蒸留水の自由吸収度FADWは 200 g /g以上である。別の実施態様では、水と24時間接触させた後の、37℃でのFADWは250 g/gよりも高い。
【0072】
別の実施態様では、mEq HCl/g のポリマ材料中の酸結合能 ABCは 0.002 mEq HCl/g以上である。別の実施態様では、mEq HCl/g のポリマ材料中のABCは0.0025 mEq HCl/gよりも高い。
【0073】
別の実施態様では、当該の膨潤現象は対象への経口投与から30分以内に起きる。別の実施態様では、当該の膨潤現象は対象への経口投与から30秒以降10分以内に起きる。別の実施態様では、当該の膨潤現象は対象への経口投与から1分以降5分以内に起きる。
【0074】
別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の経口投与から、対象で満腹感が感じられるまでの時間は30分以下である。別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の経口投与から、対象で満腹感が感じられるまでの時間は15分以下である。
【0075】
別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の対象への経口投与から、胃が空になり始めるまでの時間は50分以上である。別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の対象への経口投与から、胃が空になり始めるまでの時間は300分以下である。別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の対象への経口投与から、胃が空になり始めるまでの時間は80分乃至200分までである。別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の経口投与後に胃が空になり始める時点で印加される圧力は5 Pa以下である。別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の経口投与後に胃が空になり始める時点で印加される圧力は1 Pa未満である。別の実施態様では、膨潤可能な本ポリマ材料は粉砕された食物と同じ流動学的特性を有する。
【0076】
別の局面では、本発明は、本発明の膨潤可能なポリマ材料を含む組成物に関する。別の実施態様では、本組成物は更に医薬用担体を含む。別の実施態様では、本組成物は錠剤、カプセル、キャプレット(原語:caplet)、丸剤、又はエリキシルの形状である。別の実施態様では、本発明物は膨潤可能な本ポリマ材料又は本発明の組成物のいずれかを含む医薬に関する。
【0077】
別の局面では、本発明は、本発明の膨潤可能なポリマ材料を有効量、これを必要とする対象に投与するステップを含む、体重過剰又は肥満を処置する方法に関する。別の実施態様では、本方法は、別の形の処置を施すステップを更に含む。別の実施態様では、前記処置は遺伝子治療、外科的介入、又は食欲抑制剤の投与である。
【0078】
別の局面では、本発明は、本発明の膨潤可能なポリマ材料を有効量、これを必要とする対象に投与するステップを含む、対象において満腹感を誘導する方法に関する。別の実施態様では、膨潤可能な本ポリマ材料は食品の替わりをする。別の実施態様では、膨潤可能な本ポリマ材料の量は2グラム以上20グラム以下である。別の実施態様では、膨潤可能なポリマ材料の量は5グラム以上15グラム以下である。別の実施態様では、膨潤可能な本ポリマ材料は水と一緒に投与される。別の実施態様では、水の量は100ml以上600ml以下である。別の実施態様では、水の量は200 ml以上400 ml以下である。
【0079】
別の局面では、本発明は、摂取時に満腹感を誘導することのできる膨潤可能なポリマ材料を調製する方法に関し、本方法は、a)カルボキシル基を含む合成コポリマの水性混合物を調製するステップと;b)無機塩の水溶液を調製するステップと;c)生体ポリマの水性混合物を調製するステップと;d)ステップa)の合成ポリマ混合物をステップb)の無機塩溶液と混合して、合成ポリマ−無機塩の混合物を形成するステップと;e)ステップc)の生体ポリマ混合物をステップd)の合成ポリマ−無機塩混合物に加えて、ポリマ材料の水性混合物を形成するステップと;f)ステップe)のポリマ材料を乾燥させるステップと;g)ステップf)のポリマ材料を熱架橋させて膨潤可能なポリマ材料を形成するステップとを含む。
【0080】
別の実施態様では、前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液は20℃
以上90℃以下の温度で混合される。別の実施態様では、前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液は40℃以上70℃以下で混合される。別の実施態様では、前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液は1時間以上4時間以下の間、混合される。別の実施態様では、前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液は2時間以上3時間以下の間、混合される。
【0081】
別の実施態様では、前記生体ポリマの水性混合物は約50℃まで予熱される。別の実施態様では、前記合成ポリマ−無機塩の混合物及び生体ポリマ混合物は約50℃で混合される。別の実施態様では、前記合成ポリマ−無機塩混合物及び生体ポリマ混合物は1時間以上4時間以下の間、混合される。別の実施態様では、前記合成ポリマ−無機塩混合物及び生体ポリマ混合物は2時間以上3時間以下の間、混合される。
【0082】
別の実施態様では、前記ポリマ材料を40℃
以上100℃以下の熱気流で乾燥させる。別の実施態様では、前記ポリマ材料を50℃ 以上90℃以下の熱気流で乾燥させる。別の実施態様では、乾燥後の前記ポリマ材料は重量で5−10% の湿度含有量を有する。
【0083】
別の実施態様では、前記ポリマ材料を100℃ 以上130℃以下の温度で熱架橋する。別の実施態様では、前記ポリマ材料を105℃ 以上125℃以下の温度で熱架橋する。別の実施態様では、前記ポリマ材料を30分以上4時間以下の間、熱架橋する。別の実施態様では、前記ポリマ材料を1時間以上3時間以下の間、熱架橋する。別の実施態様では、熱架橋させた前記ポリマ材料を室温で24時間の間、放置する。
【0084】
別の実施態様では、すべての混合を混練器で行う。
【0085】
本発明のこれらの実施態様、他の実施態様、並びにそれらの特長及び特徴は、以下の説明、図面及び請求項から明白となるであろう。
【0086】
発明の詳細な説明
胃充填材 (PMSF)としての本ポリマ材料は、「満腹の原理」と関連からダイエット補助食として有用な複合ポリマ材料である。本発明のPMSFを体重コントロ−ル及び/又は肥満の処置に用いられよう。それらは共有結合により安定になった三次元ネットワ−クの巨大分子構造を持つ。より精確には、本発明は、胃の水性媒質中で膨潤することで胃を充填し、偽の満腹感を与える経口用胃充填材料に関する。具体的には、本発明は、胃を出た後に小腸内の生化学的プロセスで分解し、三次元ネットワ−クから、胃腸管から消失し易い直線状の鎖になるSAP複合材に関する。ある実施態様では、本発明のPMSFは、0.2 mm 以上2 mm以下の、「Deq」と省略される外接相当直径を有する顆粒状の固体である。別の実施態様では、前記Deq は0.4 mm 乃至1.5 mmである。
【0087】
ある実施態様では、本発明のPMSFは式:

【0088】
【数2】

【0089】
で表される化学構造を有し、但し式中、
[(AB)(−) || C(+)]
は陰イオン性塩形成性ポリマを含むポリマ物質であり;そして
W はポリマ物質に結合すると共に一般湿度と平衡状態にある水である。
【0090】
用語「ポリマ物質」とは、それらの化学構造に基づくポリマ材料を言う。
【0091】
用語「陰イオンポリマ複合材」は以下により定義される。用語「ポリマ複合材」は、a)「ポリマA」及び「ポリマB」と呼ばれる異なる巨大分子化学構造を持つ2つのポリマから形成され、b)その結果できる複合材(AB)は、用途中、自発的にはその成分に分離しない固有の実体である、といったポリマ物質を言う。この定義はポリマ複合材のための認められた定義に沿ったものである。Gaylord, N. G. "Copolymers , Polyblends and Composites "
Adv chem. 142, 76, 1975; Paul D. R. et al. "Polymer Blends", Academic
Press, New York 1978; and Manson J. A. et al. "Polymer Blends and
Composites", Plenum Press, N.Y., 1976。用語「複合材」には、例えば薬物、刺激剤、阻害剤、臭気物質、緩和薬、可塑剤などの他の物質を、特定の用途を請け負うものとして含まれる場合があると理解されたい。食事領域で用いられる場合のこれらの種類の複合材は、総称して「特殊併合材」と呼ばれる。
【0092】
用語「陰イオン性の」とは、その構造内に、解離して陰イオンになることのできる何らかの遊離した酸性官能基が存在する結果、負の電気化学的可能性を水性媒質中で生じるポリマ複合材(AB)を言う。
【0093】
用語「塩形成性の」とは、「C(+)」と符号化される一価の無機陽イオンと、陰イオン性ポリマ複合材の遊離陰イオン基との間の塩類結合を言う。
【0094】
符号「||」は陰イオン基と陽イオン基との間の塩類化学結合(塩型)を表す。
【0095】
ある実施態様では、本発明のPMSFは1% 以上15%以下の湿度含有量を有する。別の実施態様では、前記湿度含有量は重量で5 % 乃至10% である。
【0096】
乾燥状態(湿度の平衡のない)でのPMSFの化学的組成は以下を特徴とする:
重量パ−セントで表される
A : B = 55 : 45 乃至 A : B = 95 : 5の範囲のA:B比
別の実施態様では、前記比は A : B =
70 : 30 乃至 A : B = 90 : 10 重量パ−セントである。
0.002 mol/g 以上0.004 mol/g以下の範囲の、(A+B)のmol/gramで表される(C)のモル含有量。別の実施態様では、前記モル含有量は0.0025 mol/g 乃至 0.0035 mol/g
(A+B)の範囲である。
【0097】
ある実施態様では、ポリマAは合成コポリマである。合成コポリマは、例えばフリ−ラジカル重合法などの一段階で調製されても、あるいは、重合後に化学修飾を行なうなど(「ポリマ・アナロガス変換」として知られる)に段階で調製されてもよい。ある実施態様では、ポリマAはモノマM1 及び M2 を20 : 80 以上80 : 20以下のM1:M2比で含む二重コポリマである。別の実施態様では、前記比は40 : 60 乃至 60 : 40である。別の実施態様では、M1は、水と接触すると酸性特徴をもたらすような官能基を含むコモノマである。別の実施態様では、M1は、無水かつ重合可能な酸、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水2−オクテニルコハク酸、と、それぞれ無水基の加水分解で生ずる対応する酸(マレイン酸、イタコン酸等)。ある実施態様では、M1 は無水マレイン酸 (「MAH」) 及びマレイン酸 (「MAC」)を含む。
【0098】
コモノマM2は、熱力学的観点から見てコモノマM1との共重合反応を生じる条件を担ういずれかの種類の物質である。ある実施態様では、M2は、遊離の化学基を持たないラジカル重合化モノマである。ある実施態様では、M2モノマはモノオレフィン類、例えばエチレン、プロペン、イソブチレン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、及びアルキル化スチレン類、例えばエチルスチレン又はt−ブチルスチレン、ビニル−トルエン、飽和C1−C4−カルボン酸のビニルエステル、例えばビニルホルメ−ト、ビニルアセテ−ト又はビニルプロピオネ−ト、少なくとも2個の炭素原子をアルキル基に持つアルキルビニルエ−テル、例えばエチルビニルエ−テル又はブチルビニルエ−テル、アクリレ−ト又はメタクリレ−トエステル、例えば2−エチルヘキシルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、イソブチル アクリレ−ト、t−ブチルアクリレ−ト、ヘキシルアクリレ−ト、n−ブチルメタクリレ−ト、ラウリルメタクリレ−ト及びイソデシルメタクリレ−ト;共役ジオレフィン類、例えばブタジエン、イソプレン、及びピペリレン;アレン類、例えばアレン、メチルアレン及びクロロアレン;オレフィンハリド類、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、及びポリフルオロオレフィン類、モノエチレンが不飽和のC3−C6−カルボン酸のエステル、即ち、一水素性の C1−C8−アルコ−ルのエステル、及びアクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸、マレイン酸のモノエステル、即ちモノメチルマレエ−ト、及び前記のモノエチレンが不飽和のカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、即ち2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、ヒドロキシブチルアクリレ−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ヒドロキシプロピルメタクリレ−ト及びヒドロキシブチルメタクリレ−ト、N−ビニルラクタム類、例えばN−ビニルピロリドン又は N−ビニルカプロラクタム、アルコキシル化した一水素性の飽和アルコ−ル類のアクリル又はメタクリルエステル、ビニルピリジン及びビニルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、ジアルキルジアリルアンモニウムハリド、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロリド、アルキルピペリジニウムブロミド、N−ビニルイミダゾ−ル、例えばNビニルイミダゾ−ル、1−ビニル−2−メチルイミダゾ−ル及びN−ビニルイミダゾ−ル類、例えばN−ビニルイミダゾリン、1−ビニル−2−メチルイミダゾリン、1−ビニル−2エチルイミダゾリン又は1−ビニル−2−プロピルイミダゾリン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド又はアクリロニトリルである。ある実施態様では、M2 はスチレン (「S」)である。
【0099】
ある実施態様では、本発明のPMSFは、「SMAC」と呼ばれる、酸性型の(陽イオンのない)ポリ(スチレン−コマレイン酸)である。SMACは、当業で公知のいずれかのプロセスにより調製される「SMAH」と呼ばれるポリ(スチレン−無水コマレイン酸)から高い化学的純度で得られよう。ある実施態様では、SMAHは塊重合により調製される。
【0100】
ある実施態様では、SMAC は以下の構造上の特徴を持つコポリマを含む:
−1:1乃至3:1の範囲のS:MACで表される、さらにはS:MAC=1:1で表される、モルコモノマ組成と、0.5モルパ−セント未満の遊離エステル基含有量。
−100,000 以上2,500,000以下の粘度平均分子量My、更には My が1,000,000 乃至 2,000,000である;そして0.3 dl/g 以上2 dl/g 以下の、25℃のテトラヒドロフラン中の固有粘度 [i1]、更にはilは0.5 dl/g 乃至 2.1 dl/gである。
【0101】
ポリマBは生体ポリマを表す。本発明で用いてもよい生体ポリマの非限定的な一例は、胃腸管で容易に消化可能である、動物由来のタンパク質又は植物由来の糖質である。別の実施態様では、当該の生体ポリマは、製薬業で通常用いられるタンパク質であってよく:例えばコラ−ゲン及びコラ−ゲン製生体ポリマ、例えばゼラチン及びコラ−ゲン加水分解産物、アルブミンカゼイン、及び大豆タンパク質である。更なる実施態様では、生体ポリマは、異なる動物を由来とする皮膚、骨、腱、又は他の種類の結合組織から得られる食品等級又は医薬等級のゼラチンである。これらのゼラチンのブル−ム指数は20以上500 以下である。ある実施態様では、前記ブル−ム指数は100乃至 300 部ル−ムであり、そしてその等電点 (IP)は 3.5以上9.5以下である。ある実施態様では、前記IP = 4.5−8.5である。
【0102】
物質Cは陽イオンを表す。より精確には、CはLiOH;NaOH;KOH 及び NH4OHから得られるLi (+);Na (+) ;K(+) 又は NH4(+).などの一価の無機陽イオンを表す。ある実施態様では、 C は Na (+)
又は NH4 (+)である。対応する無機化合物(例えばNaOH、NH4OH等)は「アルカリ物質」と呼ばれる。
【0103】
本発明のPMSF は、ポリマ複合材の調製中に共有結合による架橋結合を誘導するポリマ対ポリマ間の相互作用により発生及び安定化させられた三次元ネットワ−クを有する。その化学反応を図1に示す。
【0104】
本発明のPMSFは以下のパラメ−タにより特徴付けられるSAPを含む:
−PMSFと水との間の接触を24時間、37℃でさせたときの、蒸留水の自由吸収度FADWが水200 g / PMSF1g以上であること。更なる実施態様では、吸収度は250 g /gを越える;
37℃で24時間後に蒸留水で膨潤させたヒドロゲルのゲル剛性Eが1 kPa以上あること。更なる実施態様では、ゲル剛性は「テスト法」で解説したとおりの振動数除去デ−タ技術で評価したときに2 kPa以上ある。
mEq HCl/ PMSF1g当りの酸結合能ABCが、0.002 mEq HCl/g以上あること。更なる実施態様では、ABC は0.0025 mEq HCl
/g以上である。
【0105】
ある実施態様では、本発明のPMSFは口内及び食堂内で水性媒質から活性生成物を保護することが公知の物質中に入れて経口投与される。経口用剤形は医薬用ゼラチン・カプセル、クッキ−、スティック、ケ−キ等の形状であってよい。
【0106】
本発明のPMSFを、「満腹」の原理に基づく処置用に主に用いる場合であっても、これらはこのダイエット上のコンセプトに限られない。これらを、化学的食欲抑制剤、遺伝子治療等に基づく処置でも用いてよい。
【0107】
ある実施態様では、本発明のPMSF を用いて、以下のパラメ−タを持つ胃腸管を生理学的に有する患者を処置する:
−300 cm3乃至 1500 cm3 、平均容積として900 cm3の胃容積:
−250 cm3 乃至750 cm3 、平均値で 300−500 cm3 、で満腹感;
−PMSF摂取前に2 mEq HCl 乃至 8 mEq HCl、平均値で 5 mEq HCl の、胃内遊離酸性度;
−30 ml/時乃至 120 ml/時、平均値で75 ml/時の、胃液分布;
−−70 mEq/リットル乃至 100 mEq/リットル、平均値で85 mEq/リットル、の塩酸含有量;
−−1 g/リットル乃至5 g/リットル、平均値で3 g/リットル、のペプシン含有量;
−で表される胃液の組成;
−5 kPa 乃至 15 kPa 、平均値で10 kPa の胃内圧;
−1時間乃至6時間、平均値で3時間の胃内滞留時間;
−30 ml/時間乃至 70 ml/時 、平均値で 50 ml/時の膵液分泌;
−2 g/リットル乃至 18 g/リットル、平均値で10 g/ リットルのパンクレアチン濃度;
−1時間乃至5時間、平均値で4時間の小腸(十二指腸+空腸+回腸)滞留時間。
【0108】
本発明のPMSFは、一般に、1回又は2回又は三回の食事に相当する通常食に替えるために用いられる。PMSF「食」はPMSF及び水から成るが、体重過剰及び/又は肥満の処置用に採用された医療プロトコルに従って異なる薬物を含む「軽食」など、他の成分を含有していてもよい。用語「通常食」はここでは、固体及び液体材料から形成される混合物を言う。
【0109】
一回分の通常食に替えるために投与されるPMSF量は、患者の胃腸管の生理的パラメ−タや、採用された処置プロトコルの医学的特徴に依存する。一般的に前記量は2グラム以上20 グラム以下である。ある実施態様では、PMSF の量は5 グラム乃至15 グラムである。
【0110】
胃の満腹の原理を活性化するためにPMSFと一緒に投与される水の量は、投与前の胃の水含有量に相関するが、一般的には100 ml以上 600 ml 以下の水である。ある実施態様では、水の量は200 ml の水乃至400 ml の水である。
【0111】
用語「水」とは、3 g/リットル以下の塩濃度を持つ水性、非アルコ−ル性の飲料を言う。ある実施態様では、前記塩濃度は1.5
g/リットル未満であり、 pHは3以上9以下である。ある実施態様では、前記pH は5 乃至7である。一般に、これらのパラメ−タは都市の水道水、二酸化炭素なしのミネラル・ウォ−タ−等を言うものである。またこの用語に蒸留水又は炭酸水を含めることもできる。
【0112】
本発明のPMSFは図2に示した満腹の原理と相関して作用する。その特徴及びパラメ−タの変形例を図3に挙げる。
【0113】
図2に示すように、本発明のPMSFは特定の量の水と一緒に経口投与される。胃から出た胃液に接触すると、固体−液体懸濁液が形成され、この懸濁液は、固相が膨潤するにつれて次第にゲルに変化する。膨潤は、30秒以上10分以下の時間の間、起きる。ある実施態様では、PMSFのパッキングからの材料の分離に必要な時間を考慮に入れて、投与後1分から5分の間に起きる。PMSFの膨潤は、ポリマの固体が「人工ボ−ラス」と呼ばれるヒドロゲルに変化するまで、胃液分泌の活性化に合わせるように続く。
【0114】
胃から出た胃液の吸収によるPMSFの「人工ボ−ラス」への変化は以下の点により特徴付けられる。
−懸濁液のゲルへの変化に必要な時間であって、秒で表されるtgelである吸収速度は60秒以上300秒以下である。ある実施態様では、tgelは90秒以上180以下である。
−PMSF投与から胃の満腹感が認められるまでの経過時間を表し、分で表される満腹時間tfullは30分以下である。ある実施態様では、tfull
は15分未満である。
【0115】
人工ボ−ラスは「乾燥ゲル」と呼ばれる物質を表す。なぜならゲル粒子同士の間の遊離液相が存在しないからである。それは 1−10 kPaのオ−ダ−の最小又は中間圧力で(例えば300−600 mbarのバキュ−ムで吸引するなど)引っ張ることにより、機械的に除去することができる。
【0116】
乾燥ゲルは以下の点を特徴とする:
(ある系の流れ能力に相関する)胃内で物質の流動学的「ゲル−ゾル」遷移に対応する、時点tfullで[ kPa ]下での「満腹臨界ストレス」 [tc ]full。それは振動ストレス除去技術を用いて評価され、10 Pa以上の数値を有する。ある実施態様では、この数値は25 Paよりも大きい。
【0117】
「満腹臨界ストレス」の数値 [tc ]full は、体重過剰及び/又は肥満の処置に用いられ、「通常食」NF、と呼ばれる食事組成に対して、患者が満腹感を感じると共に[[tc ]full NFと符号化される臨界ストレスを有する医療用プロトコルで採用されている。
【0118】
人工ボ−ラス中の乾燥ゲルは、30分以上の時間、
tdryの間、維持される。ある実施態様では、tdry は胃液分泌条件下で60分を超え、100分未満である。
【0119】
tdry後の乾燥ゲルは、懸濁ゲル粒子及び液体を表す「人工キ−ムス」に変化する。この液体体積は、胃液の補助的分泌物の体積と、解膨潤中にゲル粒子から遊離する水溶液体積とに相当する体積から形成される。解膨潤はゲル粒子の寸法の減少に伴う。
【0120】
人工キ−ムスは、PMSFの投与から測定される、胃が空になり始める時間「tse」と呼ばれる時間の間、満腹感をもたらし続ける。ある実施態様では、tse
は50 分以上である。別の実施態様では、tse は80分を超え、200分未満である。当該の材料は、5Paを超えない、胃を空にならせ始める臨界ストレス [tc ]seを提供する。別の実施態様では、 [tc ]se
は1
Pa未満である。
【0121】
過剰体重及び/又は肥満の処置において医療用プロトコルで採用される[tc]se は(患者で実現した臨床検査から)胃を空にならせ始める「通常食」NFと呼ばれる食事組成に比較され、臨界ストレス値 [[tc ]se]NFを有する。人工キ−ムスはゲル粒子を含有するが、このゲル粒子は、解膨潤現象と胃の運動性の両方を由来とする2 mm未満の平均直径を有する特定の質量分率を提供する。臨界ストレスが [tc ]se に達したが、当該材料が2 mm未満の直径を持つゲル粒子を持たないと、ゲルの移動が機械的に阻害されるために、液体のみが胃から脱出するであろう。
【0122】
PMSF は関係:
GRT
= temp−tfull
で定義される胃内滞留時間GRTを有し、但し式中、tempは空になる時間であり、90分以上である。別の実施態様では、temp はPMSFの投与から120分から360分であり、当該人工キ−ムス中の全てのゲル粒子の寸法が2 mm未満であるという状況に相当する。
【0123】
人工キ−ムスが十二指腸に入る、胃が空になり始めたときから、膵液及び胆汁による集中的な分解プロセスが起き、このプロセスはゲル粒子がポリマ溶液に変化することで終わる。
【0124】
人工キ−ムスの酵素アタックに対する感受性は、本材料をゲル状態から溶液状態に変化させるのに必要な分解時間「tbio」に反映される。該ポリマ溶液は胃腸管の残りの部分を通過して進み、血液回路に進入することなく、生物から除去される。
【0125】
PMSFの調製
上掲したA、B及びCで表される、乾燥状態におけるPMSFの化学的組成を用いると、必要な原材料の量が計算される。MA、MB、及びMc は質量単位 [g 又は kg] で表されており、最終生成物 MPMSF の量を g or kgで調製するために用いられる。
【0126】
ある実施態様では、本発明のPMSFは以下の概略的手法に従って調製される:
【0127】
水性混合物の調製 [ABC−sol ]
原材料 MA、MB 及び Mc をMw [g 又は kg ]の量の水で処理して、重量で5%以上4.5%の以下の固体含有量「 cs 」を持つ、 [ABC−Sol]core と呼ばれる水性混合物を形成する。別の実施態様では、 cs = 15−35%である。
【0128】
必要な水量 Mwの半分を用いて、対応するアルカリ物質を利用可能な水に直接溶解させることにより、「SOL−C」と呼ばれるCの溶液を調製する。Mw の残りは「SOL−B」と呼ばれる生体ポリマ溶液を調製するために用いられる。加熱−冷却用マントルを備えた混練器に、ある量の合成ポリマMA 及びSOL−C を20°C 以上90°C以下の温度で混合する。別の実施態様では、前記温度は1時間以上4時間以下の間、40°C 乃至70°Cである。別の実施態様では、前記時間は2時間乃至3時間である。50℃の温度で予熱されたSOL−Bを該混合物に加える。この混合を同じ温度で1時間以上4時間以下の時間、続ける。別の実施態様では、前記時間は2乃至3時間である。
[ABC−sol] が、ポリマ溶解物質と同様な粘稠度を持つ粘性の流体の形状の混合物として得られる。
【0129】
[ABC−sol]をプロファイル及び乾燥することにより[ABC−dry]を得る
上記で得た[ABC−sol]を15 °C 以上55°C以下の温度で冷却する。別の実施態様では、前記温度は25°C 乃至45°Cである。この粘性の流体を、2 mm以上10 mm以下の直径を有する穴を持つステンレス鋼製穴あきプレ−トから押し出すことで混練器から取り出す。別の実施態様では、前記穴は4 mm 乃至 8 mmである。その筒状の材料は概ね5 mm 以上25 mm以下である。別の実施態様では、長さが10 mm 乃至15 mmである。前記の筒状の材料を、約250ミクロンの穴を有するステンレス鋼製ワイヤ・ネットで覆った金属フレ−ム上に押し出す。当該材料を載せたこのフレ−ムを熱気流を循環させたオ−ブンに入れて、蒸発により過剰な水分をなくす。該熱気流は40°C 以上100°C以下である。.
別の実施態様では、前記温度は50°C 乃至90°Cである。プロセス終了時に固体材料が5−10%の湿度含有率を有するように乾燥時間を調節する。
【0130】
得られた乾燥材料をコ−ン・ミルで粉砕する。その後、粉砕された材料を(振動ふるいで)ふるいにかけて分離して2つの固形画分にする:一方は [ABC−dry]に相当し、[ABC−rec]と呼ばれる他方は、他の用途に適した幾何学的特徴を有する。所望の用途 [ABC−rec]core
に相当しない等級画分は再加工に向けて採集される。
【0131】
[ABC−dry]の熱架橋によりPMSF総体を得る
[ABC−dry ] を熱架橋する。顆粒状の [ABC−dry ] をステンレス鋼製トレ−表面に均一に分散させて、この組合せを100℃以上130℃以下の温度Tの熱気流で予熱した研究室用オ−ブンに入れる。別の実施態様では、前記温度は105°C 乃至125°Cである。[ABC−dry] をこれらの温度に30分以上4時間以下の時間である時間tl の間、維持する。別の実施態様では、前記時間量は1時間乃至3時間である。PMSF総体と呼ばれる顆粒状の塊をオ−ブンから取り出し、40−45 °Cまで冷却し、採集し、気密したポリエチレン製溶液内に24時間、室温 (20°C−30°C)で保存する。
【0132】
PMSF総体の表面の熱硬化
この操作は、最終製品の使用に選択的に相関する。例えば、特定の用途には特定の数値の吸収率、満腹時間、満腹臨界ストレス、乾燥ゲル時間、胃が空になり始めるときの臨界ストレス、胃内滞留時間、及び小腸での生分解時間が必要になるかも知れない。
【0133】
熟成後、PMSF総体を、上記の同じ研究室用オ−ブン、しかし120℃以上160℃以下の温度の熱気流で予熱したもの、に再投入する。別の実施態様では、前記温度は125°C乃至 155°Cである。前記PMSF総体をこれらの温度に5分以上30分以下の時間、維持する。別の実施態様では、前記時間は10乃至25分である。今や最終製品PMSFとなった顆粒状の塊をオ−ブンから取り出し40−45 °Cまで冷却し、採集し、気密したポリエチレン製容器内で室温 (20°C−30°C)で保存する。
【0134】
ポリマ複合材[ABC−rec]を再循環させる
乾燥後のポリマ複合材 [ABC−rec]を混練器に再投入し、鉱質除去した一定量の水(MW)を、同じ固体含有量「S」を達成するように加え、20℃以上90℃以下の温度で室温で混合する。別の実施態様では、前記温度は40°C 乃至 70°Cである。混合をこれらの温度で2時間、行なう。この時点で [ABC−rec] が [ABC−sol] として再形成され、これを上述の手法で更に加工する。
【0135】
上記のプロセスで得られた最終製品PMSFはダイエット分野で用いるのに適している。当業で公知の投薬及び梱包技術を用いて、用途が示唆するようにそれを例えばゼラチン・カプセル内に梱包しても、あるいは栄養製品としてもよい。
【0136】
FADW(蒸留水中での自由吸収度)
100 mlの蒸留水を150ml入りの三つのビ−カに加える。
次にビ−カを37℃に調節した恒温水槽内に入れ、この温度に30分間、維持する。各ビ−カ内に、Boeco SMO 01 (ドイツ)社の水分分析装置で判定した既知の湿度を持つ0.2±0.01 g の PMSF (MPMSF)を、顆粒が液体表面の中央に、その後の攪拌なしで、注がれるようにして加える。各ビ−カをパラフィン箔で覆い、再度、恒温水槽内に24時間、入れる。次に各ビ−カの内容物を、2の多孔性(孔の寸法は40乃至100μm)を持つ焼結ガラスから作製され、工業用てんびん上でタ−ルを塗られた、ろ過媒質を持つ100 ml 入りフィルタじょうごに定量的に加える。ゲルを入れたじょうごフィルタを500 mbarで真空下でろ過する。2分間の真空作業後に当該系を周囲圧力まで戻し、じょうごフィルタの重さを工業用てんびんで計る。その結果得られたゲルの質量 mgel を用いて膨潤能(吸収度)を下の式に従って計算する:

【0137】
【数3】



【0138】
ゲル剛性の判定
ゲル剛性Eは、プレ−ト−プレ−トセンサを付けたThermoHaake社のRheoStress 1 検流計を用いた振動数除去技術を用いて流動学的実験から評価されている。蒸留水中での自由吸収度検査で得られたゲル状の約5グラムのPMSF を図4に示す装置内に配置する。
【0139】
ポリエチレン製箔1 はPMSFゲルの塊をシリンダ3の上部で覆い、水の蒸発によりヒドロゲルが乾燥するのを防ぐゴムリング2で固定されている。ピストン4をヒドロゲルの層がポリエチレン製箔1に接触するまで移動させる。ゴムリング2及びポリエチレン製ホイル1を取り除いた後、ピストンを垂直平面内で180°、回転させる。5 mm厚のヒドロゲルのシリンダが本装置から突出するまで、ピストン4を押圧する。ナイフでシリンダの数部分を5 mm厚の円盤状に切断する。この円盤を、プレ−ト−プレ−ト検流計のセンサ部品の固定プレ−トの中央に配置する。二枚のプレ−ト間の距離が7 mmになるまで、該センサの可動プレ−トを試料上方に移動させる。振動数除去流動学的検査をプレ−ト−プレ−ト・センサ・システムモデルPP35で行なわれた。実験はすべて、周波数領域−0.1±100 Hzで37℃で行なわれた。実験デ−タは ThermoHaake社のソフトウェアRheoWinProを用いて解析された。G' 曲線に相当する実験点を流動学的モデルとの関連で適合させた (Rodol A. B., Cooper−White I., Dunstan D. E., Boger D. V.−in "Gel point studies for chemically modified biopolymer
networks using small amplitude oscillatory rheometry” Polymer, 42, 2001, 185198)。

【0140】
【数4】



【0141】
但し式中、
E = ゲル剛性、[kPa]
G'(w)=弾性モジュラス、[kPa]
f = 振動数、[Hz]
K, q = 材料定数
前記点を曲線に適合させると、ゲル剛性の数値Eが計算される。
【0142】
図5は、流動学的実験デ−タをゲル剛性値に変換するためのグラフ処理を示す。
【0143】
酸結合能
酸結合能AcBCをJENWAY−Conductivity & pH meter model 4330、及びAutomatic Titrator、モデル718 stat TITRINO(スイス、Metrom社製)を用いた電導度滴定法により評価した。
【0144】
湿度含有量u = 5−10%の0.5 グラムの乾燥PMSFと50 ml の 2 % NaCl 溶液を150 ml 入りのビ−カ内に入れる。このビ−カをパラフィルム箔で覆い、内容物を室温で磁気攪拌棒で2時間、攪拌する。パラフィルム箔を取り除いた後、電導度及びpHの測定のためのJENWAY社電極と、自動滴定装置
TITRINOからの投薬を導入する。TITRINO滴定装置はその食事容器内に 200 mEq/リットルの HCl (滴定THCIを加えた溶液) 溶液を有する。60 ml のHCl 溶液を60分かけて加える。60秒毎に電導度、pH値、及び投薬されたHCl 溶液の体積を採集する。前記体積及び電導度の数値をグラフにする。対応する適合ラインの交点で判定される、対応する電導度、対、HCl体積の偏差方向の勾配の変化点から、NHCIと呼ばれる、PMSFにより消費されるHCl体積の量が出る。こうしてAcBC が関係式

【0145】
【数5】

【0146】
により計算されるが、但し式中、
NHC1−滴定時に消費された塩酸の体積、[ml]
THCI −滴定に用いられる塩酸の溶液濃度、[mEq/ml]
【0147】
電導度実験デ−タに基づいてAcBCを判定するためのグラフ処理を図6に例示する。
【0148】
吸収率
時間tgelで表したときのPMSFの吸収率は、米国特許第 4,587,308号で解説された方法により計算される。100 ml 入りのビ−カに、3.1 g の塩酸、2 g の塩化ナトリウム、3.2 g のペプシン(Merck社のブタ胃粘膜 0.7 FIP−U/mg から)及び1000 ml の蒸留水 (Chellat F., Tabrizian M., Dumitriu S.,
Chornet E., Rivard C.H., Yahia L'Hocine in "Study of Biodegradation
Behavior of Chitosan−Xanthan
Microspheres in Simulated Physiological Media" J Biomed Mater Res (Appl
Biomater) 53: 592−599, 2000 ) を含む、模倣胃液SGFと水道水とを混合することにより調製された50mlの胃液を、予め決定された比で入れ、更に攪拌棒も入れた。600 r.p.m. で磁気棒で攪拌しながら 2.0
g のPMSF 試料を加えると、水の吸収及び膨潤のためにゲル化が生じた。その結果、流動性が低下し、攪拌中心の周りの渦が消失する。固体試料の添加から渦の消失までの時間を測定し、液体吸収率の指数として示した。
【0149】
臨界ストレス
本発明の関連での臨界ストレス「tc」は、材料の流動性の裏付けとなる「粘性−弾性遷移」又は「ゲル点ストレス」として知られる条件
G' = G"
Tan d =G"/G'=1
を得るために、懸濁材料、ゲル、又は溶液に印加されねばならないストレスを表し (Schramm G. A. in “A Practical Approach
to Rheology and Rheometry” Karlsruhe,
Germany:
Gebrueder HAAKE GmbH, pp 1718. 1994)、
但し式中、
G'−弾性モジュラス、[kPa]は、ある材料の弾性を表す;
G"−損失弾性モジュラス、[kPa]は、ある材料の粘性を表す;そして
Tan d−位相変化の接線。
【0150】
概して臨界ストレスは、ある材料が流れ始める点を規定する「降伏点」に相当する強度よりも高い。均質でない材料の場合、降伏点の実験による判定が難しいために、臨界ストレスが好ましい測定値である。
【0151】
臨界ストレスtcは、DIN 53019/ISO 3219に従って筒状のセンサ・システムZ20 DINを付けたThermoHaake 社製RheoStress 1 検流計を用いた振動ストレス除去流動学的実験から評価された。臨界ストレス値は、37℃で1 Hzの振動数で0.5 Pa 乃至 500 Paの範囲である。PMSF、水、及びSGF間での接触で得られるゲルを約8g、前記の筒状センサ・システムのカップ内に配置する。このカップを検流計の恒温器具内に固定した後、ロ−タをゲル内に配置する。このシステムを37℃で15分間、安定化させた後、流動力学検査を開始する。
【0152】
前記の実験デ−タをThermoHaake社製ソフトウェアRheoWinPro−Data Manager で、サブプログラムCrossoverを用いて処理し、G' = G"となる強度を見つけた。臨界ストレスの値 tcを三つの複式検査の平均として表した。振動ストレス除去実験デ−タから臨界ストレスを判定するためのグラフ処理を図7に示す。
【0153】
胃膨潤模倣検査
本発明のPMSFを「胃膨潤模倣検査」により評価した。
【0154】
胃膨潤模倣検査は、PMSFの挙動を、それが胃に達した瞬間(開始時点t1= tm
= 0 (分))から幽門から吐出され始める(停止時点t5 = temp
(分))まで観察する実験である。この検査の目的は、PMSFが、進入から空になるまで、胃内での通常食の挙動をどのように模倣するかを:
−[tc ][[full
]NF]、満腹感が認められる時点での通常食の臨界ストレス;及び
−[tc ][[empl]NF]、胃が空になり始めるときの通常キ−ムスの臨界ストレス、
をコントロ−ルとして理解することである。
【0155】
規定食から形成される栄養ボ−ラスとキ−ムスとの間の流動学的特性の相関付けを可能にする実験デ−タが見つからないため、[tc][full]NF] 及び[tc ][emp]
NF] の数値を、「通常食の模倣上の胃内挙動」と呼ばれる実験により確立する。通常食の模倣上の胃内挙動」は以下から成る:
【0156】
規定食のメニュ−
−3枚のパン、2枚のバ−ガ−、サラダ菜、キュウリのピクルス、及びマヨネ−ズから成る、総量200gのマクドナルドの「ビッグ・マック」;
−総量150gのチップス、
−ミネラルウォ−タ−「ミ・エデン」(二酸化炭素なし)300 ml。
【0157】
「栄養ボ−ラス」の調製をビッグ・マック及びチップスの破片を手で切断して行い、これらをミネラル・ウォ−タ−と一緒にして台所用ブレンダ−で10分間、最低の速度で混合することにより、生地に似たダマのないペ−ストにする。
【0158】
栄養ボ−ラスの酸付加、空の胃内での胃液との接触の模倣を、50 ml の SGFをペ−スト上にブレンダ−から加えた後、1分間に渡って均質化することで実現する。
【0159】
その結果得られる混合物が、臨界ストレスについて流動学的に検査された(上述の方法に従って)。数値[tc ][full]NF = 108.3 Pa が得られた。
【0160】
栄養ボ−ラスの消化及びそのキ−ムスへの変換を、ブレンダ−から取り出した酸付加後のペ−ストを研究室用遊星型ミキサ−に移して行い、そこへ300 ml のSGF溶液 を4時間にわたって37℃で継続的に投入した。加えたSGF の量は胃液分泌の平均値である75に基づく。10人の被験者がビッグ・マックを食べた後に満腹感を感じる時間に基づき、消化は4時間に主観的に制限した。その結果得られたペ−ストは、その最初の状態に対して粘稠度が低下していた。臨界ストレスを [tc ][se]NF
= 5.2 Pa と臨界ストレス検査を用いて測定した。流動学的数値[tc ][full]NF
and [tc ][se]NF
は体重過剰及び/又は肥満の処置に採用される医療用プロトコルに照らして改変することができる。
【0161】
研究室用遊星型ミキサ(米国KitchenAid社製、ARTISAN モデル MKSM 150 )内で、所定量のPMSF、“mexp” (グラム)と、一容の水「Vlw」及び一容の模倣胃液「VSGF」から成る所定量の水溶液「VLiq」 (ml) を37℃で優しく混合(レベル1、ほぼ 60 rpm)する。混合を始めるのと同時に、投薬時間「t」に対応して「V3t」で表される補助的なSGF溶液を75 ml/時の速度で加える。ゲル試料をこの混合物から15分毎に6時間にわたって抽出する。ゲル試料を以下の分析にかける。
−時点tにおける臨界ストレス「[tc ]t」、8グラムの混合物を用い、上述の流動学的評価法を用いる;
−パ−セント(%)で表される、時点tにおける液体吸収度「DLA t」、20グラムの混合物試料に500 mbar の圧力をかけ(上述の方法に従って)、失われた液体体積「V4t」を以下の式を用いて求めるステップを含む。

【0162】
【数6】



【0163】
上述の吸引にかけたゲル相試料と、写真撮影及びマイクロソフト社製Paint Shop Pro 8 及び Excelを用いたコンピュ−タ画像処理による最低50個の粒子から評価したときの相当平均直径「(Feq)t」で表されるゲル粒子の寸法。
【0164】
代替的には、前記シリ−ズの実験デ−タ (tc )t、DLAt 及び (Feq )t は、時間関数としてグラフから判定された。グラフから以下の数値が判定された:
−満腹時間、tfull、分で;
−満腹臨界ストレス、[tc ]full、Pで;
−感動ゲル時間、tdry、分で;
−胃が空になり始める時間、temp、分で;及び
−胃が空になり始める臨界ストレス、[tc ]se、Paで;
これらを通常食での流動学的数値と最終的に比較した。
【0165】
分解検査
この検査の目的は、「人工キ−ムス」が膵液と相互作用した後のその分解能を判定することである。検流計 (ThermoHaake 社製のCylinder
Sensor System、Z20 DIN RheoStress 1)カップ内に、流動学的に吐出条件に相当すると共に(上述の方法に従って)予め吸引がしてある5グラムの人工キ−ムスと3 mlの模倣腸管液、SIF、を配置する。SIFは、6.8 g の一塩基性リン酸カリウムを250 mLの水に溶解させることにより調製された。この溶液を混合し、190 mL の 0.2 N 水酸化ナトリウム及び400 mL の水及び10 gのパンクレアチン (ACROS) を加えた。次にpH を0.2 N 水酸化ナトリウムで 7.5 ± 0.1 に調節し、体積を 1 L に水で調節した(Chellat F., Tabrizian M., Dumitriu S.,
Chornet E., Rivard C. H., Yahia L'Hocine in "Study of Biodegradation
Behavior of Chitosan−Xanthan Microspheres
in Simulated Physiological Media " J Biomed Mater Res (Appl Biomater) 53:
592−599, 2000)。
【0166】
シリンダ・センサのカップを37℃の恒温槽に固定し、ロ−タで攪拌する。15分後に振動時間除去検査を開始する。1 Hzの一定の周波数、t =1 Paの一定のストレスにして、そして37℃で2時間(7200 秒)、sec)、数値 G' 及び G"を記録する。次にこの実験デ−タをThermoHaake
社製RheoWinPro−Data Manager ソフトウェア、サブプログラムCrossoverを用いて処理して、G' =
G"になる時点を判定する。この時点を「生分解時点」tbio、と、分で呼ぶ。時点tbio は、人工キ−ムスとしての PMSFがゲルからポリマ溶液への酵素生分解のプロセスに遭うことを示す。また tbio はPMSFの酵素生分解への感受性を反映する。
【0167】
流動学的検査デ−タをtbioに変換するためのグラフ処理を図8に例示する。
【0168】
実施例
更に本発明を実施例を参照しながらより詳細に下に説明する。しかしこれらの実施例は単に描写を意図しており、限定は意図していない。
【0169】
SMACは、マレイン酸含有量及び粘度学的平均分子量の観点から特徴付けられており、表1に上げる結果が得られている。
【0170】
【表1】

【0171】
SMACの分子量Mvは、テトラヒドロフランを溶媒とした粘度学的方法を用いて判定されている(Raju K. V. S. N., Yaseen M. "A new Equation for Estimating [q]
from Single−Viscosity Measurement
in Dilute Solution" J. Appl. Polym. Sci., 45 , 677−681, 1992; Chee K. K. "A Critical
Evaluation of the Single−Point
Determination of Intrinsic Viscosity", J. Appl. Polym. Sci., 34, 891−899, 1987 and Spiridon D., Panaitescu L.,
Ursu D., Uglea C.V., Popa I., Ottenbrite R. M. “Synthesis and Biocompatibility
of Maleic Anhydride Copolymers : 1.Maleic Anhydride−Vinyl Acetate, Maleic Anhydride−Methyl methacrylate and Maleic Anhydride−Stylene”, Polymer International , 43 , 175−181, 1997)。
【0172】
SMACポリマのモノマ組成は電位滴定法により判定された (Vilcu R., Ionescu
Bujor, I., Olteanu M., Demetrescu
I. “Thermal stability of copolymer acrylamide−maleic anhydride” J. Appl. Polym. Sci., 33:
2431−2437, 1987)。
【0173】
実施例1−5
これらの実験では、完成PMSF製品PMSF−1、PMSF−2、PMSF−3、 PMSF−4、及び PMSF−を、同じ作業形態を用い、しかし表2に挙げる異なるパラメ−タにして調製する方法を紹介する。完成製品を得るための作業形態は以下を含む。
【0174】
調製に必要な原材料の量は:mA
グラムの合成ポリマ:mB グラムのゼラチン(ブタ皮膚由来、SIGMA 社カタログ番号9000−70−8); mC グラムのアルカリ物質(NaOH 又はNH4OH、ACROS社製)及びmw グラムの蒸留水(10μSの電導度)を、25%の固体含有量cs を持つ溶液状態[ABC−sol]の ポリマ複合材の調製に用いる。
【0175】
SOL−C は、mC グラムのアルカリ物質を100g の蒸留水に150 ml 入りビ−カ内で溶解させることにより、調製された。SOL−B は mB グラムのゼラチンを150 mL入りビ−カ内に mw−100/2 g の蒸留水と一緒に配置することにより、調製された。そのゲルを24時間かけて室温で膨潤させた。できたゲルを50℃で溶融させ、攪拌しながら水の残りを加えることで固体物質含有量Cs が25%のSOL−B を得た。
【0176】
500mlの作業容積を有すると共に加熱−冷却マントルを備えた研究室用混練器(Laboratory
Technology 社製、MKD 0.6−H60 IKA カタログ)に mA グラムの合成ポリマ及び SOL−C を加え、60℃で2時間、混合した。50℃に予熱してあるSOL−B を加え、混合を同じ条件で3時間、続けた。[ABC−sol] を、ポリマ溶融物と同様な粘稠度
を持つ混合物として得た。
【0177】
[ABC−sol] の粘性の塊を30℃まで冷却し、混練器から真空排気し、ステンレス鋼製の5mmの穴を穿孔されたプレ−トを備えた肉用チョッパ−(米国KitchenAid社製 ARTISAN モデル MKSM 150 のフ−ド・グラインダ−)
で押し出した。12 mm の筒状の材料片を、250ミクロンの穴を持つステンレス鋼製ワイヤ・ネットで覆った金属製フレ−ムワ−ク上に吐出させた。材料片を載せたこのフレ−ムを、熱気流を循環させたオ−ブン
(ドイツ、KENDRO Laboratory Products 社製、Laboratory Air Circulation Oven HERAEUS モデル UT 12) 内に入れて、蒸発により余分な水を除去した。材料の乾燥は65℃の熱気流中で6時間、行なわれ、湿度含有量wdry が a %の msolid グラムの固体材料が生じた。乾燥後の材料をコ−ンミル(イタリア、MAZZER Luigi
slr社製、コ−ンミル)で粉砕した。粉砕後の材料を振動ふるい(ドイツ、FRITSCH社製Vibratory
Sieve Shaker、モデル Analysette 3)でふるいにかけて二つの固形画分に分類した:[ABC−dry]を表す、deq = 0.2−0.8 mm 又は deq
= 0.5−1.0 である m1solid グラムと、 [ABC−rec]を表す、粒度分析特徴deq
が 0.2 mm 未満のものがm2solid グラム。等級画分 [ABC−rec] を再加工に向けて採集した。
【0178】
顆粒状の塊 [ABC−dry] をステンレス鋼製のトレ−上に均一に分散させ、T1 °Cに予熱しておいた研究室用オ−ブン(乾燥に用いたのと同じもの)内に入れ、 tl 時間、維持する。最後にこの顆粒状の塊を取り出し、室温まで冷却してPMSFを完成製品として生じさせ、この完成製品を、それぞれ100gのポリエチレン製の箱内に採集し、24時間、気密する。
【0179】
【表2】

【0180】
完成製品PMSF−1、PMSF−2、PMSF−3、PMSF−4、及びPMSF−5 を「検査法」で挙げた方法に従って分析した。検査条件及び結果を表3に挙げる。
【0181】
【表3】

【0182】
PMSF−1及びPMSF−5に関する胃内膨潤模倣に関する特性の評価や、これらが時間と共にどのように異なるかを、図9及び10に挙げた (DLA)t、[tc ]t、及び(F)(eq)t について示す。
【0183】
実施例6−10
これらの実施例では、完成PMSF 製品PMSF−6、PMSF−7、PMSF−8、PMSF−9、及びPMSF−10を、同じ作業形態を用いて、しかし表4に特定した異なるパラメ−タにして調製する方法を紹介する。完成製品を得るための作業形態は以下を含む。
【0184】
調製に必要な原材料の量は:mA1
グラムの合成ポリマ:mB1
グラムのゼラチン(ブタ皮膚由来、SIGMA 社カタログ番号9000−70−8); mC グラムのアルカリ物質(NaOH 、ACROS社製)及びmw1
グラムの蒸留水(10μSの電導度)を、25%の固体含有量cs
を持つ溶液状態[ABC−sol]の ポリマ複合材の調製に用いる。
【0185】
SOL−C を調製するために、mC1 グラムのアルカリ物質を100g の蒸留水に150 ml 入りビ−カ内で簡単に溶解させた。SOL−Bを調製するために、 mB1 グラムのゼラチンを150 mL入りビ−カ内に
入れた。(mw−100)/2 g の蒸留水を加え、ゼラチンを24時間かけて室温で膨潤させた。できたゲルを50℃で溶融させ、攪拌しながら水の残りを出来た溶液に加えることで固体物質含有量Cs のSOL−B が形成される。
【0186】
500mlの作業容積を有すると共に加熱−冷却マントルを備えた研究室用混練器(Laboratory
Technology 社製、MKD 0.6−H60 IKA カタログ)で mA グラムの合成ポリマ及び SOL−C を、60℃で2時間、混合した。50℃に予熱してあるSOL−B を前記混合物加える。混合を実現した温度で3時間、続けた。[ABC−sol] を、ポリマ溶融物と同様な粘稠度
を持つ混合物として得る。
【0187】
[ABC−sol] の粘性の塊を30℃まで冷却し、ステンレス鋼製の5mmの穴を穿孔されたプレ−トを備えた肉用チョッパ−(米国KitchenAid社製 ARTISAN モデル MKSM 150 のフ−ド・グラインダ−) で押し出して取り出した。12 mm の筒状の材料片を、250ミクロンの穴を持つステンレス鋼製ワイヤ・ネットで覆った金属製フレ−ム上に吐出させる。前記フレ−ムを、熱気流を循環させたオ−ブン
(ドイツ、KENDRO Laboratory Products 社製、Laboratory Air Circulation Oven HERAEUS モデル UT 12) 内に入れて、蒸発により余分な水を除去する。乾燥は65℃で6時間、行なわれ、湿度含有量wdry %の msolid グラムの固体材料が生じた。乾燥後の材料をコ−ンミル(イタリア、MAZZER Luigi
slr社製、コ−ンミル)で粉砕した。粉砕後の材料を振動ふるい(ドイツ、FRITSCH社製Vibratory
Sieve Shaker、モデル Analysette 3)でふるいにかけて二つの固形画分に分類した:[ABC−dry]を表す、deq = 0.2−1.5 mm である m1solid
グラムと、 [ABC−rec]を表す、粒度分析特徴deq が 0.2 mm 未満のものがm2solid グラム。等級画分 [ABC−rec] を再加工に向けて採集した。
【0188】
[ABC−dry] をステンレス鋼製のトレ−上に均一に分散させ、T1 °Cに予熱しておいた研究室用オ−ブンに入れ、 tl 時間、維持した。この顆粒状の塊をオ−ブンから取り出し、40−45℃まで冷却した。できたPMSF総体グラムを、気密した50gのポリエチレン製の箱内に採集し、24℃の平均温度で24時間、保管した。
【0189】
前記PMSF総体を、T2°Cに予熱しておいた上述のものと同じ研究室用オ−ブン内に入れ、 t2分、維持する。最後にこの顆粒状の塊をオ−ブンから取り出し、40−45℃まで冷却して
湿度含有量W%のPMSF完成製品として生じさせる。このPMSF完成製品を、気密したポリエチレン製の箱内に採集し、周囲温度で24時間、製品の熟成に向けて保管した。
【0190】
【表4】

【0191】
完成製品PMSF−6、PMSF−7、PMSF−8、PMSF−9、及び PMSF−10 は、「検査手法」に挙げた方法に従って分析された。その検査条件及び得られた結果を表5に挙げる。
【0192】
【表5】

【0193】
ここに提供する実施例は限定的なものでなく、PMSF完成製品は「満腹感の原理」及び他の処置戦略との関連の観点から、体重過剰及び/又は肥満の両方の処置に向け、各種類の医療用プロトコルに適合させることができる。
【0194】
参考文献
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【0195】
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【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】図1は、合成ポリマSMAC及びゼラチン生体ポリマの間のポリマ対ポリマの共有結合による相互カップリングを示す。
【図2】図2は、胃及び小腸内のPMSFの動作概念を示す。
【図3】図3は、胃内でのPMSFの主な特性の進展を、「満腹の原理」に関連した特徴的な測定値と一緒に示す。
【図4】図4は、膨潤プロファイリングのためのピストン型の装置を示し、図において1は100メッシュのナイロン製布又はPE箔;2はゴム製リング;3はポリエチレン製シリンダ;4はピストンをパッキングするゴムを示す。
【図5】図5は、振動数によってモジュ−ル(G')を強く変え、ゲル剛性(E)の数値を見つけるために実験デ−タを適合させた振動数除去の流動学的検査を示す。
【図6】図6は、0.2N HCl溶液によるPMSF試料の電導度滴定法のグラフ図を、酸結合能(AcBC)指数を評価するためのグラフ法と一緒に示す。
【図7】図7は、様々な記憶モジュ−ル(G')及び損失モジュ−ル(G")の振動ストレス除去流動学的検査を、本発明のPMSF材料について臨界ストレス(ic)を判定するための処理形態実験デ−タと一緒に示す。
【図8】図8は、様々な記憶モジュ−ル(G')及び損失モジュ−ル(G")の振動ストレス除去流動学的検査を、本発明のPMSF材料について「tbio」を判定するための実験デ−タの処理形態一緒に示す。
【図9】図9は、実施例1及び実施例5に対応する、完成品PMSF1及びPMSF5について時間による(DLA) t ; [τc]t 及び (Φeq ) t の指数偏差の図を示す。
【図10】図10は、本発明のPMSFであるPmSF−1と、粉砕された食物(「ビッグ・マック−1」及び「ビッグ・マック−2」)の間の同じ流動学的特性を示すグラフを示す。 ビッグ・マック−1 = ビッグ・マック(200 g) + Chips(150 g) +ミネラルウォ−タ−(200 mL) + 模倣した胃液 (50 mL) ;ビッグ・マック−2 = ビッグ・マック(200 g) +Chips(150 g) +ミネラルウォ−タ−(400 mL) + 模倣した胃液 (50 mL)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ポリマ及び生体ポリマの複合材を含む膨潤可能なポリマ材料であって、前記合成ポリマがカルボキシル基含有コポリマである、ポリマ材料。
【請求項2】
前記ポリマ材料が0.2 mm 以上2 mm以下の外接相当直径Oeqを持つ顆粒状の固体である、請求項1に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項3】
前記Oeq が0.4 mm 乃至1.5 mmである、請求項2に記載のポリマ材料。
【請求項4】
式:
[(AB)(−) C(+)] W
で表され、但し式中、
A はカルボキシル基含有コポリマを表し;
Bは生体ポリマを表し;
Cは対イオンを表し;そして
W はポリマに結合した水を表す、
請求項1に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項5】
Aが 20:80 乃至 80:20の比のコモノマM1及びM2を含む、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項6】
Aが 40:60 乃至 60:40の比のコモノマM1及びM2を含む、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項7】
M1がコモノマ無水マレイン酸及びマレイン酸を含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項8】
M1 がコモノマ無水イタコン酸及びイタコン酸を含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項9】
M1 がコモノマ無水シトラコン酸及びシトラコン酸を含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項10】
M1 がコモノマ無水2−オクテニルコハク酸及び2−オクテニルコハク酸を含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項11】
M2がオレフィンを含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項12】
M2がモノオレフィンを含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項13】
M2 がエチレン、プロペン、イソブチレン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、アルキル化スチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニル−トルエン、飽和C1−C4 カルボン酸のビニルエステル、ビニルホルメ−ト、ビニルアセテ−ト、ビニルプロピオネ−ト、アルキルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、ブチルビニルエ−テル、アクリレ−ト、
メタクリルレ−トエステル、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、イソブチルアクリレ−ト、t−ブチルアクリレ−ト、ヘキシル、アクリレ−ト、n−ブチルメタクリレ−ト、ラウリルメタクリレ−ト、イソデシルメタクリレ−ト、共役ジオレフィン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、アレン、アレン、メチルアレン、クロロアレン、オレフィンハリド、塩化ビニル、フッ化ビニル、ポリフルオロ−オレフィン、モノエチレン不飽和C3−C6−カルボン酸のエステル、一水素性の C1−C8−アルコ−ル及びアクリル酸のエステル、一水素性のC1−C8−アルコ−ル及びメタクリル酸のエステル、一水素性のC1−C8−アルコ−ル及びマレイン酸のエステル、マレイン酸のモノエステル、マレイン酸モノメチル、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、ヒドロキシプロピルアクリレ−ト、ヒドロキシブチルアクリレ−ト、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、ヒドロキシプロピルメタクリレ−ト、ヒドロキシブチルメタクリレ−ト、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アルコキシル化した一水素性の飽和アルコ−ルのアクリル酸及びメタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルモルホリン、N−ビニルホルムアミド、ジアルキルジアリルアンモニウムハリド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロリド、アリルピペリジニウムブロミド、N−ビニルイミダゾ−ル、N−ビニルイミダゾ−ル、1−ビニル−2−メチルイミダゾ−ル、N−ビニルイミダゾリン、N−ビニルイミダゾリン、1−ビニル−2−メチルイミダゾリン、1−ビニル−2エチルイミダゾリン、1−ビニル−2−プロピルイミダゾリン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド又はアクリロニトリルを含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項14】
M2 がスチレンを含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項15】
M1:M2 の比が20: 80 以上80:20以下である、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項16】
M1:M2 の比が40:60 以上60:40以下である、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項17】
M1がコモノマ無水マレイン酸及びマレイン酸を含み、そしてM2 がスチレンを含む、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項18】
B がタンパク質、大豆タンパク質、コラ−ゲン、コラ−ゲン性生体ポリマ、ゼラチン、コラ−ゲン性加水分解産物、又はアルブミンカゼインを含む、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項19】
B がゼラチン又は糖質である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項20】
前記ゼラチンが陸生又は水性動物を由来とする、請求項19に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項21】
前記糖質が植物源を由来とする、請求項19に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項22】
B が20 以上 500 ブル−ム以下のブル−ム指数を有する、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項23】
B が 100乃至300 ブル−ムの間のブル−ム指数を有する、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項24】
B が3.5以上9.5以下の等電点(IP)を有する、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項25】
B が 4.5 以上 8.5以下のIPを有する、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項26】
A:Bの比が重量で 95:5 乃至 55:45 である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項27】
A:B の比が重量で 90:10乃至 70:30 である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項28】
A:B の比が重量で90:10、85:15、 80:20、又は75:25である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項29】
Cが無機の陽イオンである、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項30】
C が Li (+)、Na (+)、K (+)、又は NH4 (+)である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項31】
C が Na (+) 又は NH4 (+)である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項32】
(A+B)のmol/gramで表されるC (+)のモル含有量が 0.002 mol/g 以上 0.004 mol/g以下である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項33】
(A+B)のmol/gramで表されるC (+)のモル含有量が 0.0025 mol/g 以上 0.0035 mol/g以下である、請求項4に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項34】
M1がコモノマ無水マレイン酸及びマレイン酸を含み、M2 がスチレンを含み、 Bがゼラチンであり、CがNa (+) 又は NH4 (+)である、請求項5に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項35】
A:Bの比が 重量で95:5 乃至 55:45である、請求項34に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項36】
A:B の比が重量で90:10 乃至 70:30 である、請求項34に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項37】
A:Bの比が重量で
90:10、85:15、80:20、又は 75:25 である、請求項34に記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項38】
前記ポリマ材料が重量で1% 以上15% 以下の湿度含有量を有する、請求項1乃至37のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項39】
前記ポリマ材料が重量で5 % 乃至 10% の湿度含有量を有する、請求項1乃至37のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項40】
粘度学的平均分子量 Myが、25℃でのテトラヒドロフラン中の固有粘度[η]から評価される 100,000以上 1,000,000 以下である、請求項1乃至39のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項41】
My が、25℃でのテトラヒドロフラン中の固有粘度[η]から評価される 300,000 以上700,000 以下である、請求項1乃至39のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項42】
水と24時間接触させた後の、37℃での蒸留水の自由吸収度FADWが 200 g /g以上である、請求項1乃至41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項43】
水と24時間接触させた後の、37℃でのFADWが250 g/gよりも高い、請求項1乃至41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項44】
mEq HCl/g のポリマ材料中の酸結合能 ABCが 0.002 mEq HCl/g以上である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項45】
mEq HCl/g のポリマ材料中のABCが0.0025 mEq HCl/gよりも高い、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項46】
前記の膨潤現象が対象への経口投与から30分以内に起きる、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項47】
前記膨潤現象が対象への経口投与から30秒以降10分以内に起きる、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項48】
前記膨潤現象が対象への経口投与から1分以降5分以内に起きる、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項49】
膨潤可能なポリマ材料の経口投与から、対象で満腹感が感じられるまでの時間が30分以下である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項50】
膨潤可能なポリマ材料の経口投与から、対象で満腹感が感じられるまでの時間が15分以下である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項51】
膨潤可能なポリマ材料の対象への経口投与から、胃が空になり始めるまでの時間が50分以上である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項52】
膨潤可能なポリマ材料の対象への経口投与から、胃が空になり始めるまでの時間が300分以下である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項53】
膨潤可能なポリマ材料の対象への経口投与から、胃が空になり始めるまでの時間が80分乃至200分までである、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項54】
膨潤可能なポリマ材料の経口投与後に胃が空になり始める時点で印加される圧力が 5Pa以下である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項55】
膨潤可能なポリマ材料の経口投与後に胃が空になり始める時点で印加される圧力が1 Pa未満である、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項56】
膨潤可能な本ポリマ材料が、粉砕された食物と同じ流動学的特性を有する、請求項1−41のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料。
【請求項57】
請求項1乃至56のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料を含む組成物。
【請求項58】
前記組成物が更に医薬用担体を含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物が錠剤、カプセル、丸剤、又はエリキシルの形状である、請求項57に記載の組成物。
【請求項60】
前記請求項1乃至56のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料を有効量、これを必要とする対象に投与するステップを含む、体重過剰又は肥満を処置する方法。
【請求項61】
別の形の処置を施すステップを更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記処置が遺伝子治療、外科的介入、又は食欲抑制剤の投与である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項1乃至56のいずれかに記載の膨潤可能なポリマ材料を有効量、これを必要とする対象に投与するステップを含む、対象において満腹感を誘導する方法。
【請求項64】
前記膨潤可能なポリマ材料が食品の替わりをする、請求項60又は63に記載の方法。
【請求項65】
膨潤可能な前記ポリマ材料の量が2グラム以上20グラム以下である、請求項60又は63に記載の方法。
【請求項66】
膨潤可能な前記ポリマ材料の量が5グラム以上15グラム以下である、請求項60又は63に記載の方法。
【請求項67】
膨潤可能な前記ポリマ材料が水と一緒に投与される、請求項60又は63に記載の方法。
【請求項68】
前記水の量が100ml以上600ml以下である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記水の量が200 ml以上400 ml以下である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
摂取時に満腹感を誘導することのできる膨潤可能なポリマ材料を調製する方法であって、
a)カルボキシル基を含む合成コポリマの水性混合物を調製するステップと;
b)無機塩の水溶液を調製するステップと;
c)生体ポリマの水性混合物を調製するステップと;
d)ステップa)の合成ポリマ混合物をステップb)の無機塩溶液と混合して、合成ポリマ−無機塩の混合物を形成するステップと;
e)ステップc)の生体ポリマ混合物をステップd)の合成ポリマ−無機塩混合物に加えて、ポリマ材料の水性混合物を形成するステップと;
f)ステップe)のポリマ材料を乾燥させるステップと;
g)ステップf)のポリマ材料を熱架橋させて膨潤可能なポリマ材料を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項71】
前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液が20℃ 以上90℃以下の温度で混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液が40℃以上70℃以下で混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液が1時間以上4時間以下の間、混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記合成コポリマの水性混合物と前記無機塩の水溶液が2時間以上3時間以下の間、混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記生体ポリマの水性混合物が約50℃まで予熱される、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記合成ポリマ−無機塩の混合物及び生体ポリマ混合物が約50℃で混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
前記合成ポリマ−無機塩混合物及び生体ポリマ混合物が1時間以上4時間以下の間、混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項78】
前記合成ポリマ−無機塩混合物及び生体ポリマ混合物が2時間以上3時間以下の間、混合される、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
前記ポリマ材料を40℃
以上100℃以下の熱気流で乾燥させる、請求項70に記載の方法。
【請求項80】
前記ポリマ材料を50℃ 以上90℃以下の熱気流で乾燥させる、請求項70に記載の方法。
【請求項81】
乾燥後の前記ポリマ材料が重量で5−10% の湿度含有量を有する、請求項70に記載の方法。
【請求項82】
前記ポリマ材料を100℃ 以上130℃以下の温度で熱架橋する、請求項70に記載の方法。
【請求項83】
前記ポリマ材料を105℃ 以上125℃以下の温度で熱架橋する、請求項70に記載の方法。
【請求項84】
前記ポリマ材料を30分以上4時間以下の間、熱架橋する、請求項70に記載の方法。
【請求項85】
前記ポリマ材料を1時間以上3時間以下の間、熱架橋する、請求項70に記載の方法。
【請求項86】
熱架橋させた前記ポリマ材料を室温で24時間の間、放置する、請求項82乃至85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
すべての混合を混練器で行う、請求項70に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−532383(P2009−532383A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503310(P2009−503310)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/065638
【国際公開番号】WO2007/115169
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508286821)ジェレシス, インク. (3)
【出願人】(508286832)エグゾテック バイオ ソリューションズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】