説明

胃腸のバイオフィルムの抑制および治療

酵素を含む、生理的に許容できる、経口投与可能な抗バイオフィルム組成物であって、必要に応じて、更に、ヒトの胃腸のバイオフィルムの抑制および治療に有用な、抗菌物質、抗生物質、抗真菌物質、薬草、キレート化剤、ラクトフェリンおよびそれらに関連する化合物、ミネラル、界面活性剤、結合剤および充填剤のような成分を添加する。かかる酵素を含有する生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、バイオフィルムと関係する、胃腸管内の微生物が引き起した胃腸のバイオフィルム感染およびそれと関係する全身の症状の抑制、低減および/または治療に有用である。そのような生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物を同定し、製造し、使用する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胃腸のバイオフィルムの抑制及び治療に関する。本出願は、ともに出願中である、出願日2008年2月8日の米国仮特許出願第61/065,186号に基づいて優先権を主張するものであり、その仮出願の内容は、援用することでその全体をここに組み入れるものである。
【背景技術】
【0002】
「バイオフィルム」は、周知の事象であり、何かの表面に成長する原核細胞の集団であって、それら細胞相互および何かの表面への付着の媒体となる細胞外の高分子材料の、自己生産した基質で包まれた原核細胞の集団として定義される。バイオフィルムは、何かの表面に付着した細胞の、単なる受動的な集合体ではなく、構造的および動的に複雑な生物学的な組織である。自然界の浮遊細胞と比べて、バイオフィルム中で成長するバクテリアは、成長速度や遺伝子転写について異なる表現型を呈する。http://en.wikipedia.org/wiki/Biofilmを参照。
【0003】
好ましくないバイオフィルムは、例えば、冷水塔、配水管、薄膜装置および食品加工プラントの汚染の元になっている。バイオフィルムは、取り除いたり根絶することが極めて難しい。産業用バイオフィルム内の微生物は、抗菌薬剤、環境バクテリオファージおよび食細胞アメーバから保護される(ドンランRM、コスタートンJWによる、バイオフィルム:survival mechanism of clinically relevant microorganisms、クリニカルマイクロバイオロジーレビュー(Clin Microbiol Rev)、2002、15167〜293頁)。
【0004】
産業上の重要性に加えて、バイオフィルムは、ヒトの病原菌感染にも高い割合で関係している(ポテラCによる、Forging a link between biofilms and disease、サイエンス、1999、283号、1837〜8頁)。パーセックとシンは、バイオフィルムでの感染の病因を定義する4つの基準を提案した。すなわち、病原性バクテリアは、表面と結び付くかて底質に付着し;直接検査を行えば、バクテリアまたは宿主の構成要素のマトリックス(基質)に包まれた群生するバクテリアが明らかになり;感染体が特定の部位に集中していて;構成要素となる浮遊微生物は抗生物質に感受性があるにも関わらず、感染体は、抗生物質療法に対して耐性がある(パーセックMR、シンPKによる、バクテリアのバイオフィルム:an emerging link to desease pathogenesis、アニュアルレビューマイクロバイオロジー(Annu Rev Microbiol)、2003、57巻、677〜701頁)。
【0005】
バイオフィルム感染は、虫歯、歯周病、嚢胞性繊維症(CF)、気道感染、自己弁心内膜炎、慢性バクテリア前立腺炎、中耳炎および膣内感染の病因に関係し得る。バイオフィルム微生物もまた、インプラントに関係する感染と関係し得るが、そこでは、カテーテル、人工心臓弁、人工関節その他の装置の表面に付着する病原菌が集団を形成している(ドンランRM、Biofilms and device-associated infections、イマージングインフェクシャスディジージズ(Emerg Infect Dis)、2001、7号、277〜81頁)。
【0006】
腸管は、腸内細菌種、緑膿菌およびアシネトバクター種を含む、多くの抗生物質耐性のバイオフィルムのバクテリアを貯蔵している(ドンスキーCJによる、The role of the intestinal tract as a reservoir and source for transmission of nosocomial pathogens、クリニカルインフェクシャスディズィーズィーズ(Clin Infect Dis)、2004、39巻、219〜26頁)。ヒト日和見病原体である緑膿菌は、重い病気を患う患者の間では、感染と関係する主要な死亡原因であり、全てのグラム陰性の感染のうちで最も高い患者致死率の一つを担っている。これまでは、重い病気を患う患者の間では、肺が、緑膿菌感染の主要な部位であると考えられてきたが、これらの感染は、相当数が、胃腸細菌叢によって、または腸から肺実質への血行性播種によって、気道が直接汚染される結果、起こるのである。緑膿菌を抑制、低減および/または治療する効果的な方法があれば、この状況は、大きく左右されるであろう。
【0007】
消化管におけるバイオフィルムについて、バクテリアは、例えば、結腸上皮上でそれを覆う粘液層内に、および内腔中の食物の微片上に、バイオフィルムとして存在できるということが、現在知られている(マクファーレンS、マクファーレンGTによる、Composition and metabolic activities of bacterial biofilms colonizing food residues in the gastrointestinal tract、アプライドアンドエンバイアラメンタルマイクロバイオロジー(Appl Environ Microbiol)、2006、72巻、6204〜11頁、プロバートHM、ギブソンGRによる、Bacterial biofilms in the human gastrointestinal tract、カレントイシューズインテスティナルマイクロバイオロジー(Curr Issues Intest Microbiol)、2002、3巻、23〜7頁)。胃腸のバイオフィルムと関係するバクテリアには、バクテロイデス亜種、クロストリジウム亜種、フソバクテリウム亜種、クレブシエラ亜種、スピロヘーテス亜種、緑膿菌、大腸菌、ヘリコバクターピロリ、ビフィズス菌亜種およびグラム陽性の球菌が含まれる。
【0008】
従って、ほ乳動物の消化管内でバイオフィルムを低減することに関しては、方法や組成物等を改良する必要性がまだ検討されていない。本発明の方法等においては、これらのおよび/またはその他の利点を提供する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の組成物、医薬、治療、システム、方法等は、動物の消化管における胃腸のバイオフィルムを低減することに向けられている。本発明の方法には、抗バイオフィルム酵素およびヒトのようなほ乳動物によって経口で摂取するのに適切なその他の構成成分を含み、例えば、栄養剤、治療剤または調合薬からなる組成物を包含する、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物をスクリーニングすること、およびそのような組成物を製造し、使用し、または投与する方法が含まれる。
【0010】
1つの態様において、本発明の組成物、方法等は、バイオフィルムモデルにおいて消化酵素をスクリーニングし、ここに記載する生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、治療方法等について有用な酵素および組物を特定することに向けられている。かかる酵素は、単一の物質、混合物質、または抗菌剤、キレート化剤、ラクトフェリン、薬草剤またはその他の望ましい成分との組み合わせで選別される。
【0011】
他の態様においては、本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等はまた、ヒトの胃腸管における病原性のバイオフィルムを抑制または低減する消化酵素の使用にも向けられている。
【0012】
例えば、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等はまた、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リゾチーム、ペクチナーゼ、アミラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼI(DnaseI)、セラチアペプチダーゼおよびその他の、バイオフィルムのエキソポリサッカライドやエキソプロテイン基質を消化することのできる加水分解酵素の使用に向けられている。
【0013】
本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等はまた、ヒトにおける病原性の胃腸のバイオフィルムを抑制および治療する、経口で生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物にもまた向けられている。
【0014】
一例において、本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等は、食物を媒介とするか、水を媒介とするか、または院内に存在する病原体にも向けられている。若干の例においては、さらに、抗生物質耐性があり、および/または再発する、バイオフィルム感染にも向けられている。生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物等は、抗生物質または抗菌物質と共に用いられる。更に、これらの生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、バイオフィルム感染が抗生物質または抗菌物質に反応しなかった患者においても用いられる。
【0015】
本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等はまた、生物テロの病原体によって引き起されるバイオフィルム感染の阻止・抑制および治療にも向けられている。
【0016】
これらのおよびその他の態様、特徴および例を、以下に詳細に説明する。特に断りが無い限り、全ての例、態様、特徴等は、望ましいやり方で、混ぜ合わせて調和させたり、組み合わせたり、並べ替えたりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ほ乳類の胃腸バイオフィルムは、予想される様々な病気と関連し、かかる病気を引き起こしたりそれらを悪化させたりするという関係がある。本発明の組成物、組織、方法等は、動物の消化管における胃腸のバイオフィルムを低減することに向けられている。当該方法には、消化器系(system)におけるバイオフィルムを抑制し、治療し、または低減することが含まれる。
【0018】
アンチバイオフィルム酵素のスクリーニング
カルガリーバイオフィルム装置のようなバイオフィルム装置(セリらによる、1999年米国特許7,041,470号)を例えば改造し、本発明の方法と共に用いて、生理的に許容できるアンチバイオフィルム組成物等を同定し、(a)経口で利用でき、(b)広く安全であると認識され(GRAS)、(c)胃を通過する間にも活性を維持することが知られているか又はそのことを実現でき、および(d)モデル組織(system)において破壊的なバイオフィルムにおいても活性である、酵素をスクリーニングすることができる。ヒトを悩ますバイオフィルムの研究のために適切な他の装置も用いられる。セリによって説明されているように、カルガリーバイオフィルム装置(CBD)によって、ウェルが96ある(またはその他の所望の適切な数の)標準的なプレートに96の等価のバイオフィルムを用い、そして当該バイオフィルムを検査しながら抗生物質にさらすことで、バイオフィルムの抗生物質に対する感受性の迅速かつ再現性よいアッセイを行うことができる。本発明において、ここに記述する通り、かかるスクリーニングバイオフィルムを、酵素が凝縮しているところに晒す。バイオフィルム形成は、例えば、量的微生物学および走査電子顕微鏡が追随する。
【0019】
バイオフィルムを治療したり抑制したり等する代表的な酵素
胃腸の表面でバクテリアが成長するには、バイオフィルム群落を形成するための構造的な支持となる、ポリサッカライドリッチな細胞外基質(matrix)を自己生成することがしばしば必要である。胃腸管内のこれらの微生物のバイオフィルム基質を崩壊させる酵素が、本発明での方法等の対象である。
【0020】
取り除かれる特定のバイオフィルムの特性が知られている場合に、該特性に応じて特定の酵素を選択して用いるか、または、異なる酵素活性を有する複数の酵素を組み合わせて用いることができる。
細胞外基質の組成は複雑で可変性であり、異なるバクテリアの種類によって、あるいは同じ種類でも異なる環境条件のもとでは異なる。不均一な組成にも拘わらず、エキソポリサッカライドがバイオフィルム基質の典型的なコンパウンドであり、微生物細胞が挿入されるフレームワークを提供する。ここに記載する多くの異なるエキソポリサッカライドのうち、セルロースおよびβ−1,6−結合のN−アセチルグルコサミンが、多くの異なるバクテリアのバイオフィルム基質の、最も一般的な成分(コンポーネント)である。
【0021】
一つの態様において、適切で生理的に許容できるアンチバイオフィルム組成物(コンポジション)等は、ある量のアンチポリマー β−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤を含んでおり、実質的にポリ−β−1,6−GlcNAcを分散させ、これにより著しくバイオフィルムを分解することができる。例えば、イトウY、ワンX、ヒンブッシュBJ、プレストンJF、ロメオTによる、Depolymerization of β−1,6−N−acetyl−D−glucosamine disrupts the integrity of diverse bacterial biofilms、Jバクテリオール(J Bacteriol)、2005年、187巻、382〜7頁。いくつかの例において、当該剤又は別の剤について、単独でもまた組み合わせても、かかる著しい低減が意味することは、インビトロ内で測定すれば、ログ(log)が1、典型的には1.5または3.0〜3.8あるいはそれ以上低減するということである。インビボでは、かかる著しい低減は、バイオフィルム感染と関係する1つ以上の症状を実質的に低減することであるか、バイオフィルム感染と関係する1つ以上の症状を実質的に廃絶することを可能にする。代表的な抗GlcNAc剤には、従来確認されたアクチノバチルスアクチノミセタムコミタンス(A. actinomycetemcomitaus)、DspBまたはディスパーシンBというバイオフィルムを分散する酵素及びβ−ヘキソサミニダーゼが含まれており、特に、ポリ−β−1,6−GlcNAcの配糖体結合が加水分解されて、バクテリアのバイオフィルムを崩壊する(カプランJB、ラグナスC、ラマスブN、ファインDHによる、Detachment of Actinobacillus actinomycetemcomitans biofilm cells by an endogenous β-hexosaminidase activity、Jバクテリオール( J Bacteriol)、2003年、185巻、4693〜8頁)。β(1,4)−結合のN−アセチルグルコサミン残留物を開裂する、他の系の20のヘキソサミニダーゼに類似する触媒機構を用いて、ディスパーシンBは、β(1,6)−結合のN−アセチルグルコサミンポリマーを開裂する。ディスパーシンB及びこれに類似する、バイオフィルムで活性を有するヘキソサミニダーゼは、本発明の方法及び、生理的に許容できるアンチ−バイオフィルムコンポジション等において適切に使用できる。以下に説明するように、抗−ポリ−β−1,6−GlcNAc剤は、セルラーゼと一緒に、またはその代わりに用いることができ、典型的には、それらを一緒に用いる。
【0022】
また一つの態様において、適切な、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、著しくバイオフィルムを分解できる量のセルラーゼを含有する。かかるセルラーゼは、例えば、サルモネラバイオフィルムその他におけるセルロースに対して活性を有する。セルラーゼは、セルロースの加水分解の触媒となる原生動物、菌類およびバクテリアが主に生成する酵素の綱に関連する。しかしながら、植物や動物といった他の種類の微生物により生成されるセルラーゼもある。消化酵素として用いられているセルラーゼは、酸に安定していることで知られている。これらには、アスペルギルス種のセルラーゼが含まれているが、それらに限定されるものではない。いくつかの異なる種類のセルラーゼが知られており、それらは、構造的および機構的に異なっている。このグループの酵素についてのEC番号は、EC 3.2.1.4である。触媒反応は、セルロースにおける1,4−β−D−配糖体の結合の内部加水分解である。他のセルラーゼは、エンドグルカナーゼ、エンド−1,4−β−グルカナーゼ、カルボキシメチルセルロース、エンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、β−1,4−グルカナーゼ、β−1,4−エンドグルカンヒドロラーゼ、セルデキストリナーゼ、アビセラーゼである。セルラーゼは、酸性のpH条件のもとで医療移植でのバイオフィルムの分裂においてインビトロで用いられている(ルイセールM、アンダーソンKWによる、The use of cellulose in inhibiting biofilm formation from organisms commonly found on medical implants、バイオファーリング(Biofouling)、2003年、19巻、77〜85頁)。典型的な例において、ここでのセルラーゼは、pHが1.0から5.0および10から14の範囲にあれば、変性/不活性化に耐性があり、1から14までのpHの範囲では加水分解作用を有し、pHが1.0から3.0という空腹時の胃環境内、および食物その他の消化できる材料があるとき有効な加水分解作用を有し、および/または小腸および結腸内の生理的なpHを含むpH6.5〜7.5では、有効な加水分解作用を有する。
【0023】
市場で入手できる、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびその他の使用できる酵素としては、以下のものが含まれる。ディアランドエンザイムズ(Deerland Enzymes)、ケネソー(Kennesaw)、GA(www.deerlandenzymes.com)、ナショナルエンザイム社(www.nationalenzyme.com)、スペシャルティーエンザイムズ(www.specialtyenzymes.com)等である。酵素は、植物源、バクテリア源、菌類源または動物源のようなあらゆる適切な源から得られる。
【0024】
一例において、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼおよびセラチアペプチダーゼを含み、少なくとも1つの薬学的に許容できる担体、希釈剤、添加剤、緩衝剤または補助的薬剤を含有する。薬学的に許容できる担体または希釈剤、添加剤、緩衝剤、補助的薬剤等は、使用される投与量および濃度において受容者には無毒である。
【0025】
また他の例において、経口投与毎のセルラーゼの量は、約100〜300CU、典型的には約200CUであり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量は、約60〜100HSU、典型的には約80HSUであり、βグルコナーゼの量は、約6〜10BGU、典型的には約8BGUであり、酸性プロテアーゼの量は、約15〜25SAP、典型的には約20SAPであり、アルカリ性プロテアーゼの量は、約15〜25HUT、典型的には約20HUTである。
【0026】
他の例において、経口投与毎のセルラーゼの量は、1乃至10,000CUの範囲にあり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量は、1乃至8,000HSUの範囲にあり、βグルコナーゼの量は、1乃至1,000BGUの範囲にあり、酸性プロテアーゼの量は、1乃至10,000SAPの範囲にあり、アルカリ性プロテアーゼの量は、1乃至40,000HUPの範囲にある。
【0027】
また他の例において、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、セラチアペプチダーゼおよび、以下の1つ以上を、著しいバイオフィルムの分解を可能とする量で含有する。ジサッカライド、アミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リソジーム、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)活性を有するプロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体、ペプチダーゼまたはプロテアーゼのような任意の酵素、チトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、フィシン、キウイプロテアーゼ、任意の植物由来のプロテアーゼまたはプロテイナーゼ、またはフィターゼである。
【0028】
さらに他の例において、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、β−グルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、セラチアペプチダーゼおよび、バイオフィルムの分解を可能とする量の以下の特定の酵素からなる。1,2−1,3−α−Dマンナンマンノヒドロラーゼ、1,3−β−Dキシランキシラノヒドロラーゼ、1,3−β−Dグルカン グラカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−α−Dグルカン 3−グルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−β−Dグルカン 3(4)−グルカノヒドロラーゼ、1,3−1,4−α−Dグルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−Dグルカングルカノヒドロラーゼ、1,4−α−Dグルカン グルコヒドロラーゼ、1,4(1,3:1,4)−β−Dグルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−β−Dグルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−β−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−β−D−マンナン マンナノヒドロラーゼ、1,5−α−Lアラビナノヒドロラーゼ、1,4−α−Dグルカンマルトヒドロラーゼ、1,6−α−D−グルカン 6−グルカノヒドロラーゼ、2,6−β−フラクタン フラクタノヒドロラーゼ、α−デキシトリン 6−グルカノヒドロラーゼ、α−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、α−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、アシルニューラミニル ヒドロラーゼ、エアロバクター−カプシュラー−ポリサッカライドガラクトヒドロラーゼ、β−D−フラクトフラノシド フラクトヒドロラーゼ、β−D−フコシド フコヒドロラーゼ、α−D−フラクタン フラクトヒドロラーゼ、β−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、β−D−グルクロノシド グルクロノソヒドロラーゼ、β−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、β−N−アセチル−D−ヘキソサミニド、N−アセチルヘキソサミノ ヒドロラーゼ、セルロース−サルフェイト サルフォヒドロラーゼ、コラゲナーゼ、デキシトリン 6−α−D−グルカノヒドロラーゼ、グリコプロテイン−フォスファチジルイノシトール フォスファチドヒドロラーゼ、ヒアルロナート 4−グリカノヒドロラーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、ペクチン ペクチルヒドロラーゼ、ペプチドグリカン N−アセチルムラモイルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 2−アシルハイドロラーゼ、フォスファチジルコリン 1−アシルヒドロラーゼ、ポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)、ポリ(1,4−(N−アセチル−β−D−グルコサミニド))グリカノヒドロラーゼ、プロテアーゼ、サックロース α−グルコシダーゼ、トリアシルグリセロール アシルヒドロラーゼ、トリアシルグリセロール プロテイン−アシルヒドロラーゼ。
【0029】
本発明の方法等に使用できる酵素の別のグループは、広くはサブチリシンと称されるセリンプロテアーゼのサブグループである。サブチリシンは、グラム陽性のバクテリアまたは菌類が生成するセリンプロテアーゼである。複数のサブチリシンのアミノ酸配列が測定されており、それには、バチル菌株からの少なくとも6つのサブチリシン、すなわち、サブチリシン168、サブチリシンBPN、サブチリシン カールズバーグ、サブチリシンDY、サブチリシン アミロサッカリティカスおよびメセンテリコペプチダーゼと、アクチノミセタレス(放線菌)からの1つのサブチリシン、ターモアクチノミセスヴァガリス(Thermoactinomyces vulgaris)からのターミターゼおよびトリティラチウムアルバム(Tritirachium album)からの1つの菌性サブチリシン、プロテイナーゼKが含まれている。
【0030】
上述の代表的なリパーゼは、微生物リパーゼであり得る。従って、リパーゼは、酵母リパーゼ、例えばガンジダ(Gandida)、およびバクテリアのリパーゼ、例えば、シュードモナスまたはバシルス、リパーゼまたは菌性のもの、例えばフミコラ(Humicola)またはリゾムコール(Rhizomucor)から選択されることができる。
【0031】
本発明の方法等において有用なアミラーゼの例には、バシルスアミラーゼ、例えば、バシルスステアロターモフィラスアミラーゼ、バシルスアミロリケファシエンスアミラーゼ、バシルスサブチリスアミラーゼまたはバシルスリチェニフォルミスアミラーゼまたは、アスペルギルスアミラーゼ、例えば、アスペルギルスニガーまたはアスペルギルスオリザエアミラーゼが含まれる。
【0032】
本発明の方法等に有用な酵素の別のグループには、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、ペクチンステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)および、エンド−1,3−β−キシロシダーゼ(EC 3.2.1.32)、キシラン 1,4−β−キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37)およびα−L−アラビノフラノシダーゼ(EC 3.2.1.55)のようなヘミセルラーゼ等の酵素グループに属するペクチナーゼが含まれる。ペクチナーゼに関する適切な微生物源は、アスペルギルスニガーまたはアスペルギルスアキュリアタスである。
【0033】
ムラミターゼまたはN−アセチルムルカミドグリカンヒドロラーゼとしても知られているリゾチームは、ペプチドグリカンにおけるN−アセチルムラミック酸およびN−アセチル−D−グルコサミン残留物の間および、チトデキストリンにおけるN−アセチル−D−グルコサミン残留物の間の1,4−β−結合の加水分解の触媒となることでバクテリアの細胞壁にダメージを与える、14.4キロダルトンの酵素(EC 3.2.1.17)である。リゾチームは、唾液、涙および多形核白細胞(polymorphonucleocytes)中に見出され、抗バクテリア作用で知られている。この酵素は、ペプチドグリカン(バクテリアとりわけグラム陽性のバクテリアの細胞壁において見出される)を攻撃することによって機能し、N−アセチルムラミック酸をN−アセチルグルコサミンの第4炭素原子と結び付けるグリコシド結合を加水分解する。リゾチームは、中耳炎および副鼻腔炎の治療に用いられている(US7,060,674)。経口リゾチーム組成物は、関節炎を含む様々なヒトの症状の治療に用いられている(US7,229,809)。
【0034】
本発明の方法等に使用される別の酵素は、デオキシリボヌクレアーゼI(DNase I)、ポリデオキシリボ核酸を加水分解できるホスホジエステラーゼである。DNase Iは、様々な種から様々な度合いに精製される。DNase Iを吸入すると、最初の発現段階で肺にバイオフィルムを形成する緑膿菌の能力に影響を及ぼす。DNase Iは、嚢胞性線維症患者の唾液・痰/粘液に存在するDNAを加水分解して肺の粘性を低減し、分泌物をより綺麗に取り除けるようにする。酸に対して安定性を有する酵素は、本発明の方法において、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物等と一緒に用いることができる。DNase Iの活性は、DNase Iの組織分布が異なることに基づいて3つのグループに分類される。耳下腺型のDNase Iは、耳下腺から分泌し、胃における強い酸性の条件を通過しなければならない。
【0035】
本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等は、典型的には食事の少なくとも一時間前または一時間後あるいは食物の消費の後、口から摂取される。本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、方法等は、典型的には一日に2乃至4回摂取され(特定の状況では他のインターバルが適切である)、投薬は、典型的には、例えば、少なくとも約1、2ヶ月間、追従される。
【0036】
酵素の調製は、オレガノ、ベルベリンまたはウンデシレン酸のオイルのような天然の抗菌物質、または処方抗生物質または抗菌物質と組み合わせても良い。酵素の調製は、1つ以上のプロバイオティスクな微生物を経口で摂取することと組み合わせても良い。世界保険機関は、プロバイオティスクな微生物を、適切な量で摂取される場合に宿主に健康上の利益をもたらす生きた微生物と定義している。該酵素の調製は、1つ以上のプレバイオティスクを組み合わせても良い。プレバイオティスクは、「胃腸のマイクロフローラにおける組成および/または活性の双方に特定の変化をもたらし、宿主の健康等に利益をもたらす、選択的に発酵した成分」と定義されている(ロバーフロイドMによる、プレバイオティスク、the concept revisited、ジャーナルオブニュートリション(J.Nutr)、2007年、137巻(3 Suppl 2)830S−7S)。
【0037】
本発明の組成物に関する方法には、医薬の製造方法も含めて、スクリーニング、作製および使用の方法が含まれる。
【0038】
例えば、本発明の方法等には、消化器官における効果を保持しつつほ乳類に経口投与するのに適切な生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物をスクリーニングする方法が含まれており、その方法は、少なくとも1つの基板上のターゲットとする生存しているバイオフィルムのサンプルを相当数準備し、酸に対して安定なセルラーゼおよび抗バイオフィルム抗ポリマーβ−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GLcNAc)剤からなる群より選ばれる候補の抗バイオフィルム剤のある範囲の投与量の1つを複数のサンプルの各々に、当該候補抗バイオフィルム剤により著しい抗バイオフィルム効果が無ければ対象バイオフィルムのサンプルが成長できるという条件下で適用し、そして候補抗バイオフィルム剤の投与量の各々がそれぞれのサンプルの成長を抑制したかどうか判定するというステップを備える。
【0039】
本発明の方法はさらに、抗バイオフィルムの酸に対して安定なセルロースと抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤の双方をスクリーニングするステップを備えることができる。抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤は、ディスパーシンBのようなヘキソサミニダーゼであってもよい。本発明の方法はさらに、酸に対して安定なヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼおよびセラチアペプチダーゼの少なくとも1つをスクリーニングするステップを備え得ることができる。セルラーゼの量は、約100〜300CUという投与量に等価であり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量は、約60〜100HSUであることができ、βグルコナーゼの量は、約6〜10BGUであることができ、酸性プロテアーゼの量は、約15〜25SAPであることができ、アルカリ性プロテアーゼの量は、約15〜25HUTであることができる。
【0040】
当該方法はまた、以下から選択される、少なくとも1つの酸に対して安定な物質を選別(スクリーニング)するステップを備えることができる。ジサッカライド、アミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)活性を備える酵素、チトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、フィチン、キウイプロテアーゼ、植物由来のプロテアーゼまたはプロテイナーゼ、またはフィターゼ。リパーゼは、例えば、カンジダ、シュードモナス、バシルス、フミコラまたはリゾムコールの少なくとも1つから由来するような微生物リパーゼであり得る。アミラーゼは、バシルスアミラーゼかアスペルギルスアミラーゼかの少なくとも一方であり得る。選別(スクリーン)には、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、ペクチネステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)またはヘミセルラーゼの少なくとも1つであり得る、少なくとも1つのペクチナーゼを含むことができる。
【0041】
本発明の方法はさらに、以下の少なくとも1つを選別するステップを備える。1,2−1,3−α−D−マンナン マンノヒドロラーゼ、1,3−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ、1,3−β−D−グルカングルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−α−D−グルカン 3−グルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−β−D−グルカン 3(4)−グルカノヒドロラーゼ、1,3−1,4−α−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−(1,3:1,4)−β−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−β−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−β−D−マンナン マンノヒドロラーゼ、1,5−α−L−アラビナノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカンマルトヒドロラーゼ、1,6−α−D−グルカン 6−グルカノヒドロラーゼ、2,6−β−フラクタン フラクタノヒドロラーゼ、α−デキシトリン、6−グルカノヒドロラーゼ、α−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、α−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、アシルニューラミニル ヒドロラーゼ、エアロバクター−カプシュラ−ポリサッカライド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−フラクトフラノシド フラクトヒドロラーゼ、β−D−フコシド フコヒドロラーゼ、α−D−フラクタン フラクトヒドロラーゼ、β−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、β−D−グルクロノシド グルクロノソヒドロラーゼ、β−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、β−N−アセチル−D−ヘキソサミニド N−アセチルヘキソサミノ ヒドロラーゼ、セルロース−サルフェート サルフォヒドロラーゼ、コラージェナーゼ、デキストリン、6−α−D−グルカノヒドロラーゼ、グリコプロテイン−フォスファチジルイノシトール フォスファチドヒドロラーゼ、ヒアルロネート 4−グリカノヒドロラーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、ペクチン ペクチルヒドロラーゼ、ペプチドグリカン N−アセチルムラモイルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 2−アシルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 1−アシルヒドロラーゼ、ポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)、ポリ(1,4−(N−アセチル−β−D−グルコサミニド))−グリカノヒドロラーゼ、プロテアーゼ、サクロース α−グルコシダーゼ、トリアシルグリセロール アシルヒドロラーゼ、トリアシルグリセロール プロテイン−アシルヒドロラーゼ。
【0042】
本発明の方法はさらに、酸に対して安定なサブチリシン、酸に対して安定なDNAse I、オレガノ、ベルベリン、ウンデシレン酸のオイル、処方抗生剤、処方抗菌剤、プロバイオチクス微生物またはプレバイオチクスを選別(スクリーニング)するステップを備え得ることができる。
【0043】
いくつかの態様において、本発明の方法は、ほ乳動物における胃腸のバイオフィルム感染を抑制することを備えており、該方法は、胃腸のバイオフィルム感染体の存在を同定し、少なくとも1つの薬学的に許容できる担体中に、酸に対して安定なセルロースまたは抗ポリマーβ−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤を治療上有効量で含む、少なくとも1つの抗バイオフィルム剤を、ある期間、著しいバイオフィルムの分解をほ乳動物の胃腸組織内で起こすための充分な量で、ほ乳動物に経口で投与することを備える。他の例においては、本発明の方法は、上記した他の1つ以上の態様で、上記組成物等を投与することも含む。
【0044】
該組成物は、活性治療物質として用いることができ、ほ乳動物における胃腸のバイオフィルムを抑制または治療する医薬の製造において用いられ、あるいはヒトの患者において胃腸のバイオフィルムと関係する症状を低減できる医薬を製造するために用いることもでき、例えば、著しくバイオフィルムの分解を可能とする量で、薬学的に有効な量の、抗バイオフィルムの酸に対して安定なセルロースまたは抗バイオフィルムの抗ポリマーβ−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤の少なくとも1つを、薬学的に許容できる担体、補助的薬剤、添加剤、緩衝剤および希釈剤の少なくとも1つと組み合わせることを含む。
【0045】
代表的なバイオフィルムの対象
生来のおよびバイオフィルムによる感染性の微生物の双方を含めて、対象となる代表的なバイオフィルムの微生物を以下に説明する。
【0046】
腸球菌(Enterococci)
腸球菌は、人体の胃腸管の通常の細菌叢の一部であるが、20年以上にわたって院内感染の重要な原因として認識されており、一般には、尿路感染症、菌血症、腹腔内のおよび外科手術による傷からの感染症、カテーテル関係の感染症および心内膜炎に関係している。
【0047】
ブドウ球菌(Staphylococcus)
病原性のブドウ球菌は、バイオフィルムを形成し、これらの浮遊性(planktonic)のものより、抗生物質や免疫防御システムに対して示す耐性がより高いものとなっている。黄色ブドウ球菌は、院内感染と関係する一般的な病原菌である。それは臨床の現場に存続し続けて、バイオフィルムの形成を通して抗菌剤に対する耐性を高めることができる。黄色ブドウ球菌は、血流感染を引き起す主要な病原菌の1つであり、宿主の組織上および体内に留置した医療装置上にバイオフィルムを形成することができ、そこに存在し続けて病気を引き起こす。黄色ブドウ球菌が引き起した感染症は、抗生物質への耐性が高まっているために、治療するのがより困難になっている(例えば、バンコマイシンまたはメチシリン耐性のある黄色ブドウ球菌)。とりわけバイオフィルム環境においては、病原菌は抗菌剤に対してより高い耐性を示す。
【0048】
シュードモナス菌(Pseudomonas)
人体への日和見病原体である緑膿菌は、重篤な病気の患者の間では感染に関係する主要な死因であり、あらゆるグラム陰性の感染症の中で最も高い患者死亡率の1つを維持する。伝統的には、重篤な病気の患者の間では、肺が緑膿菌感染症の主な部位であると考えられてきたが、これらの感染症の相当数は、胃腸管フローラによる、または腸から肺実質への血行性転位による気道の直接的な汚染の結果として発生している。緑膿菌は、免疫学的に危険にさらされた患者に重大な感染症を引き起こし、嚢胞性線維症患者においては、主要な病原体である。重要な病原性のメカニズムは、ムコイドバイオフィルムの形成である。分泌されるアルギン酸塩がムコイドバイオフィルムマトリックスの重要な構成要素である。しかしながら、緑膿菌のアルギン酸塩陰性突然変異種もまたムコイドバイオフィルムを形成することができ、アルギン酸塩過生成ムコイド緑膿菌により形成されるバイオフィルムとは異なる構造を示している(ニベンズDE、オーマンDE、ウィリアムズJ、フランクリンMJによる、Role of alginate and its O acetylation in formation of Pseudomonas aeruginosa microcolonies and biofilms ジャーナルオブバクテリオロジー(J Bacteriol) 2001年183巻1047〜57頁、ウォズニアックDJ、ウィコフTJ、スターキーM、ケイサーR、アザディP、オトゥールGA、パーセックMRによる、Alginate is not a significant component of the extracellular polysaccharide matrix of PA14 and PAO1AlPseudomonas aeruginosa biofilms、米国科学国立学会会報(Proc Natl Acad Sci USA)2003年、100巻、7907〜12頁)。
【0049】
ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)
ヘリコバクターピロリは、世界の人工の50%に感染しているような一般的な人体の病原体の1つである。それは十二指潰瘍、胃潰瘍、胃炎および胃癌と関係している。ヘリコバクターピロリの治療は、多剤を処方したり長期の治療期間を伴うため困難である。再発率は10〜20%である。最近の研究によって、ヘリコバクターピロリ病の病原菌におけるバイオフィルムの重要性が記録されている(コティッチアJMらによる、Presence and density of Helicobacter pylori biofilms in human gastric mucasa in patients with peptic ulcer disease、ジャーナルオブガストロインテスティナルサージェリー(J Gastrointest Surg) 2006年、10巻、883〜9頁)。経口の多酵素製剤には、ヘリコバクターピコリのバイオフィルムを容易に除去し、ヘリコバクターピコリ病原体を根絶し、それによって胃炎、消化性潰瘍および胃癌の危険が低減できるという大きな期待がある。
【0050】
リステリア菌(Listeria)
食物を媒介とする病原菌リステリア菌は、25%を超える深刻な死亡率を有することがはっきりしている深刻な病気であるリステリア症の原因となる病原体である。リステリア菌(リステリア・モノサイトゲネス)は、冷凍温度、低pHおよび高濃度の塩分等のような広範囲の環境条件でも生存し、成長することができる。これによって、その病原体は、食物の保存や安全の限界を超えて人体の健康にとって潜在的な危険をもたらす。リステリア菌は、とりわけ、低温殺菌されていない牛乳、生野菜、生および調理された家禽の肉などの生の食物に見出される。リステリア菌は、低温で成長する能力があって、冷凍された食物においても成長することが可能である。リステリア菌は、動物における感染ともっぱら関係していると考えられていたが、最近、割合は小さいが、この病原種が腸管内に休止状態で単離存在しているヒトもいる(ルーケッテC、バーチェPによる、The pathogenesis of infection by Listeria monocytogenes、マイクロバイオロジア(Microbiologia)、1996年、12巻、245〜58頁)。
【0051】
カンピロバクター(Campylobacter)
カンピロバクタージェジュニ(Campylobactor jejuni)は、動物の糞の中に広く観察される、湾曲した桿菌様のグラム陰性の微好気性バクテリアの一種である。該菌は、世界中において、人体の胃腸炎の最も一般的な原因の1つである。カンピロバクター種が引き起す食中毒は、ひどく衰弱させるものであるが、生命を脅かすことはほとんどない。それは、その後発達するギラン−バレー症候群(GBS)と結び付いており、通常最初の病状から2、3週間で発達する。汚染された食物が、単独の感染症の主要な原因であり、正しく調理されなかった肉や、家禽が、通常はバクテリア源となる。カンピロバクタージェジュニでの感染の結果、通常腸炎となり、その特徴は、腹痛、下痢、発熱および不快感である。主要な胃腸病原体カンピロバクタージェジュニは、培養液中の単種のバイオフィルムを3種類形成して存在することが示されている(ジョシュアGW、ガスリーアイアンC、カーリィシェフAV、レンBWによる、Biofilm formation in Campylobacter jejuni.、マイクロバイオロジー(Microbiology) 2006年、152巻(2部)387〜96頁)。
【0052】
炭疽菌
炭疽菌は、グラム陽性の、内生胞子形成細菌であり、肺、胃腸および皮膚の炭疽病の病因である病原体である。人間と家畜が触れ合う地方においては、皮膚の炭疽病の慢性的な症例が広く報告されている。現在、炭疽菌についてのバイオフィルムの生態の重要性が確認できるデータはほとんど知られていないが、他の病原性または非病原性のバシラス種、例えばそれぞれセレウス菌および枯草菌、においてバイオフィルムが特徴付けられている。炭疽菌は、容易にバイオフィルムを形成するが、それは、広く処方されている抗生物質に本来的に耐性がある(リーK、コスタートンJW、レイベルJ、オアーバックRK、ワグナーDM、カイムP、レイドJGによる、Phenotypic and functional characterization of Bacillus anthracis biofilms、マイクロバイオロジー(Microbiology) 2007年、153巻(6部)1693〜701頁)。
【0053】
エルシニア(Yersinia)
エルシニア症は、エルシニア属のバクテリアによって引き起される感染症である。米国では、ほとんどの人間の病気は、1つの種類のエルシニア・エンテロコリチカ菌によって引き起されている。エルシニア・エンテロコリチカ菌の感染は幼い子供に最も良く起こる。子供においての一般的な症状は、発熱、腹痛および下痢である。胃腸の症状は、エルシニア症が急性であっても慢性であっても一般的である。感染は、汚染された食物、とりわけ生か十分に調理されていない豚製品を食べることで最も良く起こる。汚染された、低温殺菌されていない牛乳または処置されていない水もまた感染を引き起す。
【0054】
ペスト菌は、腺ペストの原因となる病原体であり、前胃(proventriculi)が密度の高いバイオフィルムバクテリアの塊でブロックされている蚤に噛まれることで、げっ歯類および人間に伝染する(タンL、ダービーCによる、Amovable surface: formation of Yersinia sp. biofilms on motile Caenorhabditis elegans.、ジャーナルオブバクテリオロジ(J Bacteriol) 2004年、186巻、5087〜92頁)。前記ブロックにより、蚤は飢え、血液という食事を求めて繰り返し噛むように促され、そうしてバクテリアを新しい宿主へと広めていく。シノラブディス・エレガンスを用いるバイオフィルムモデルは、エルシニアバイオフィルムを殺す酵素を特定するのに用いることができる。(スタイヤKL、ホプキンスGW、バートラSS、プラノGV、フロシンガムR、アバレイAによる、Yersinia pestis kills Caenorhabditis elegans by a biofilm-independent process that involves novel virulence factors、EMBOレポート、2005年10巻992〜7頁)。
【0055】
ブルセラ種(Brucella)
人間は一般に以下3つのうち1つの経路で感染する。ブルセラで汚染された何かを飲むか食べるかするか、病原体を吸い込む(吸入)か、皮膚の傷口を通してバクテリアを体内に入れてしまう経路である。最も一般的な感染経路は、汚染されたミルク製品を飲むか食べるかすることによる。
【0056】
サルモネラ(Salmonella)
サルモネラ菌(Salmonella enterica)は、サルモネラ症を引き起す食物を媒介とする病原体であり、腸の上皮に侵入してそこで増殖するバクテリアを摂取することによって引き起される。サルモネラ菌は、バイオフィルムを形成することで知られており、真核細胞に付着し、その上で成長し、エキソポリサッカライドによって、成長が促進される(レデボアおよびジョーンズ、2005年)。サルモネラに感染するとたいていの人は、感染後12乃至72時間で下痢、発熱および腹部痙攣性腹痛を起こす。病状は通常4乃至7日続き、たいていの人は治療しなくとも回復する。しかしながら、人によっては下痢が非常に深刻となって、入院する必要がある。これらの患者では、サルモネラの感染は、腸から血流、そして他の体の部位まで広がり、その患者が適切に治療を受けなければ死に至り得る。
【0057】
シゲラ(Shigella)
シゲラバクテリアには、いくつかの異なる種がある。ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)は、「グループD」シゲラとしても知られており、米国の細菌性赤痢は3分の2以上、これが原因である。細菌性赤痢は、シゲラと称されるバクテリアのグループによって引き起される感染症である。シゲラに感染するとたいていの人がそのバクテリアに晒されてから1日か2日後に下痢、発熱、腹部痙攣性腹痛が発現する。シゲラバクテリアの中には、抗生物質に対する耐性を有するものもある。第二の種類、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexner)または「グループB」シゲラ(赤痢菌)は、残りのほとんど全ての病気の原因である。残りの種類のシゲラ(赤痢菌)は、開発途上国において病気の重要な原因であり続けている。開発途上国で観察される1つの種類は、1型志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae type 1)であり、現地では、命に関わる伝染病を引き起している。
【0058】
チフス(腸チフス)(Typhi: typhoid fever)
腸チフス菌は、潜在的には、致死的な病気である腸チフスを引き起こす。症状の無い保菌者が、胆嚢にバクテリアを保持している。チフス菌は、ヒトのみに住み付く。腸チフスにかかっている人は、血流中および腸管内にバクテリアを保持している。加えて、保菌者(キャリア)と称される少数の人は、腸チフスから回復しても、バクテリアを保持し続けるのである。該病人と保菌者の双方が、チフス菌を排泄物(大便)とともに放出する。チフス菌は、汚染された食物、水および飲料で伝染する。最近、ガラスカバースリップ上でサルモネラバイオフィルムの形成を分析するシステムが開発された(プラウティAM、シュエジンガーWH、ガンJSによる、Biofilm formation and interaction with the surfaces of gallstones by Salmonella spp.、インフェクションアンドイミュニティ(Infect Immun)2002年、70巻、2640〜9頁)。
【0059】
大腸菌(Escherichia coli)
腸管毒素原性大腸菌は、小腸を対象としているが、この部位は、より高い酸性度と蠕動運動のために原発部位の微生物叢の障壁効果(barrier effect)が低い。当該細菌は、粘液に付着してコロニーを形成し、病原性の効果(活性)を引き出す(ナットンS、ロイドDR、キャンディDC、マクネイシュASによる、In vitro adhesion of enterotoxigenic Escherichia coli to human intestinal epithelial cells from mucosal biopsies.、インフェクションアンドイミュニティ(Infect Immun)、1984年、44巻、514〜8頁)。これが意味するところは、病原体および/またはその毒性(病原性)は、露呈されている腸吸収細胞に直ちに付着し、宿主に侵入することができることである。
【0060】
コレラ菌(コレラ)(Vibrio Cholerae)
コレラ菌は、グラム陰性の、条件的(facultive)病原菌であり、コレラの原因となる病原体であり、コレラは、毎年開発途上国で何百万もの人々を苦しめている破滅的な下痢を引き起こす病気である。該菌は、貯水池におそらくはバイオフィルムの形で生存している。
【0061】
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)
赤痢アメーバによって引き起される侵襲的な腸アメーバ症は、栄養体が結腸の粘膜層に付着し、粘膜や粘液の崩壊および/または枯渇および宿主の上皮の炎症を起こしている細胞への付着および細胞崩壊で開始する。腸アメーバ症の現在の実用モデルでは、宿主の腸の微環境、とりわけ腸のムチンやバクテリアのバイオフィルムが病原体のアメーバの挙動に影響を及ぼすことが示唆されている。バクテリアのバイオフィルムを崩壊させる酵素がアメーバ症の抑制および治療に有用である。
【実施例】
【0062】
実施例1
多酵素製剤抗バイオフィルム活性
セルラーゼ−2000CU、グルコアミラーゼ50−AGU、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ−300HSU、ベータ−グルカナーゼ−100BGU、w/DPP−IV活性を有するプロテアーゼ/ペプチダーゼ複合体−100,000HUT、チトサナーゼ−100ユニット、リゾチーム−200,000SHUおよびセラチアペプチダーゼ−1000ユニットからなる多酵素製剤で最初の実験を行った。これらの活性のある酵母を20mgのLロイシンを含む500mgの混合物に含有させた。その多酵素製剤を、50mg/mLから0.34mg/mLの一連の希釈度でテストした。希釈液は、殺菌した陽イオン調整済みミュラーヒントンブロス(Cation Adjusted Mueller Hinton Broth CAMHB)または酵母用のサブローデキストローズブロス(Sabouraud Dextrose Broth SDB)で製造した。
【0063】
多酵素製剤は、大腸菌O157:H7、ケルブシエラニューモニエATCC4352、カンジダパラトロピカリスATCC99916およびカンジダアルビカンスSJ2083133に対してインビトロで試験した。カンジダアルビカンスは、インビボでかなりのバイオフィルムを形成するが、それはインビトロでのバイオフィルムの形成を予想するものではないが、臨床上の重要性の故に実験に組み込まれた。
【0064】
抗菌感受性試験を高処理で行う実験プロセスに、カルガリーバイオフィルム(Calgary Biofilm)装置アッセイを用いた(P&G、イノバテックのMBEC(登録商標))。この標準プロトコルは、一連のステップに分けられるが、それを以下に説明する。
【0065】
微生物を成長させ、バイオフィルムを形成する。
a.低温貯蔵を用い(−70℃)、上記したバクテリア微生物の最初の継代培養をトリプチケースソイ寒天培地(TSA)上にストリークする。
b.37℃で24時間インキュベートし、パラフィルムでプレートを包んで4℃で貯蔵する。
c.最初の継代培養から2番目の継代培養をTSA上にストリークする。37℃で24時間インキュベートする。2番目の継代培養は、インキュベーションから最初に取り出されたときから24時間以内に使用されなければならない。
d.2番目の継代培養を用いて、ガラスの試験管内の0.5マクファーランドスタンダード(Mc Farland Standard)(mL当たりの細胞数:1.5×10)に合致する3mLの殺菌水において、殺菌した綿棒を用いて接種物を作る。
e.この溶液をCAMHBで1:30に希釈する(または酵母用のSDBで1:10に希釈する)。
f.微生物を均一に混合するために希釈した微生物を3乃至5回反転させる。
g.TSAまたはSA上の接種物の三重のサンプルを連続して希釈し、スポットで培養することで細胞の密度を確認する。
h.希釈された微生物の残部(22mL)を96peg MBEC HTP装置の容器に入れる。
i.微生物を含む一番下のプレートに96peg MBEC装置の蓋をする。
j.該装置を、湿らせた培養器内の揺動器に、1分あたりの揺れを3乃至4回に設定して37℃で24時間置く。
k.ポリ−L−リジンのプレートを用いてカンジダパラトロピカリス(C. paratropicalis)およびカンジダアルビカンス(C. albicans)を培養する。これらは、0.1%(w/v)ポリL−リジン溶液(シグマP8920)を脱イオン水で10倍に希釈し、濾過して殺菌されることにより調製された。
【0066】
殺菌した96−ウェルのマイクロタイタープレートを、層流フードのもとで用意した。各プレートには、無菌対照、成長対照および抗生物質接種ウェル(Challenge well)が含まれる。バクテリアにはゲンタマイシンを用い、カンジダにはアンフォテリシンBを、1024mcg/mLから1mcg/mLの濃度範囲で用いた。微生物は、24時間という露出時点毎にテストされた。時間点毎に微生物あたりで1つのプレートが査定された。三つのサンプルを用いてバイオフィルムの形成に対する多酵素製剤の影響を査定した。
【0067】
35±2℃で24時間接種プレートをインキュベートした後、浮遊する最小発育阻止濃度(MIC)および最小の殺菌濃度MBCが測定された。MICの測定は、目視検査によって行われた。MICは、該微生物の成長を阻止する最小の濃度として定義される。MBCの結果は、24時間のインキュベーションに続いて+/−成長で測定された。
【0068】
バイオフィルムを根絶する最小濃度(MBEC)の結果を、24時間の培養に続いて、Log10低減データと一緒にプレート読み取り器を用いてMBECパネルから測定した。回復プレートのウェルにおいて濁りは視覚で査定した。あるいは、マイクロタイタープレート読み取り器を用いて、630nmで光学的な密度の測定を行った(OD630)。透明なウェル(OD630<0.1)は、バイオフィルムが根絶した証拠である。MBECは、バイオフィルムの成長を阻止する抗生物質の最小濃度として定義される。
【0069】
実験1の結果は、以下の通りである。
a.大腸菌(Escherichia coli)O157:H7−テストされた多酵素では、MIC、MBCおよびMBECの限界点は、観察されなかった。多酵素製剤は、テストされた最も低い濃度2つを除く全てで抗バイオフィルム活性を有した。以下にデータを表で表す。
【0070】
【表1】

【0071】
b.クレブシエラニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)ATCC4352−MICおよびMBCについては、テストされた濃度では限界点が観察されなかった。多酵素製剤についてMBEC値は、6.25mg/mLであった。多酵素製剤は、50〜6.25mg/mLの濃度ではLog低減が3.0〜3.8の抗バイオフィルム活性を有し、それより低い濃度では〜1.5であった。以下にデータを表で表す。
【0072】
【表2】

【0073】
c.カンジダパラトロピカリス(Candida paratropicalis)ATCC99916−テストされた濃度では、MIC、MBCおよびMBECの限界値は、観察されなかった。多酵素製剤は、25mg/mLと1.56mg/mLとの間の濃度でLog低減のある抗バイオフィルム活性を有していた。以下にデータを表で表す。
【0074】
【表3】

【0075】
d.カンジダアルビカンス(Candida albicans)SJ2083133は、確実なバイオフィルムを作らなかったので、多酵素は査定できなかった。
【0076】
実施例2
実験2では、C#18の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC29213および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSA Uに対する抗バイオフィルム活性について、前記多酵素製剤を125mgのエチレンジアミン四酢酸ナトリウムを含まないものと含むものとについて査定した。成長媒体および条件は、TSB/TSA、好気的、および35±2℃であった。実験の設計および条件は、上記実験1について前述されている通りとした。
【0077】
実験2の結果は以下の通りであった。
【0078】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC29213−多酵素製剤についてのMIC、MBCおよびMBECは、テストされた濃度では、限界点を有さないことが分かった。多酵素製剤は、テストされた最も低い濃度を除く全てで抗バイオフィルム活性を有していた。Log低減対成長対照(GC)は、P≦0.05のレベルで有意であった。以下にデータを表で示す。
【0079】
【表4】

【0080】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC29213−EDTAを備える多酵素製剤についてのMBECはテストされた濃度では限界点を有さないことが分かった。多酵素/EDTAについてのMBCは、3.13mg/mLに限界点を有することが観察され、また多酵素/EDTAについてのMICは、1.56mg/mLに限界点を有することが観察された。多酵素/EDTAについてのLog低減が、多酵素製剤についてのLog低減よりもずっと大きく、更に、極めて濃度が低い多酵素/EDTA で多酵素/EDTAはバクテリアのバイオフィルムを根絶するのに極めて大きな効果を有することが示されている。以下にデータを表で示す。
【0081】
【表5】

【0082】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSA399−多酵素製剤についてMIC、MBCおよびMBECは、テストされた濃度では、限界点を有さないことが分かった。多酵素製剤は、一定ではないにせよ、濃度範囲全体について抗バイオフィルム活性を示した。三つのサンプルの間で違いは認められない。以下にデータを表で示す。
【0083】
【表6】

【0084】
実施例3
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)MRSA399−EDTAを備える多酵素製剤についてのMBECはテストされた濃度では限界点を有さないことが分かった。EDTAを備える多酵素製剤について、MICおよびMBCは、1.56mg/mLで限界点を有することが観察された。EDTAを備える多酵素製剤は、多酵素のみに比べてバクテリアのバイオフィルムを根絶するのにより効力があってより有効である。これはEDTAを備える多酵素製剤の最大のLog低減は、多酵素のみの最大のLog低減よりも低い濃度であるからである。観察によると、MICおよびMBC活性のための酵素/EDTAは、著しい抗菌性ならびに抗バイオフィルム性が示される。以下にデータを表で示す。
【0085】
【表7】

【0086】
ここで用いられる全ての用語は、特に定義等の記載がない限りそれらの通常の意味に従うものである。また、明記されていない限り、「または」を使う場合には「および」が含まれ、またその逆も成り立つ。更に明記されていない限り、非限定的な用語は限定的に解釈されるものではない(例えば、「含む」、「有する」および「備える」は、典型的には「制限されることなく含む」ことを示す。)更に明記されていない限り、単数や複数のどちらも含む。
【0087】
本発明の生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物、システムおよび方法等の範囲には、ミーンズプラスファンクションおよびステッププラスファンクションの双方の概念が含まれる。
【0088】
ここでは説明のために特定の実施例が記述されているが、これらは例示であり、本発明の範囲において様々な変更が行えるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化器官での有効性を維持しつつ、ほ乳類への経口投与に適する生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物であって、該組成物は、抗バイオフィルムの、酸に対して安定なセルラーゼ、または抗バイオフィルムの、抗ポリマーβ−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤の少なくとも一方を、薬学的に許容できる少なくとも1つの担体中に、著しいバイオフィルム分解能を呈することのできる量で含む、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物。
【請求項2】
該組成物は、さらに、抗バイオフィルムの酸に対して安定なセルラーゼおよび抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤を双方を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤がヘキソサミニダーゼである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤がディスパーシンBである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
該組成物は、さらに、酸に対して安定なヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはセラチアペプチダーゼの少なくとも1つを有効量で含む、請求項1乃至4のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項6】
該組成物は、さらに、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはセラチアペプチダーゼの少なくとも3つを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該組成物はさらに、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはセラチアペプチダーゼの全てを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が100〜300CU、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が60〜100HSU、β−グルコナーゼの量が6〜10BGU、酸性プロテアーゼの量が15〜25SAP、およびアルカリ性プロテアーゼの量が15〜25HUTである、請求項1乃至7のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項9】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が200CU、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が80HSU、β−グルコナーゼの量が8BGU、酸性プロテアーゼの量が20SAPおよびアルカリ性プロテアーゼの量が20HUTである、請求項1乃至8のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項10】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が1から10,000CUの範囲にあり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が1から8,000HSUの範囲にあり、β−グルコナーゼの量が1から1000BGUの範囲にあり、酸性プロテアーゼの量が1から10,000SAPの範囲にあり、アルカリ性プロテアーゼの量が1から40,000HUTの範囲にある、請求項1乃至6のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項11】
生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、さらに、少なくとも1つの、酸に対して安定な薬剤を有効量で含み、該少なくとも1つの薬剤は、ジサッカライド、アミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP−IV)活性を備える酵素、チトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、フィチン、キウイプロテアーゼ、植物由来のプロテアーゼまたはプロテイナーゼ、またはフィターゼからなる群より選ばれる、請求項1乃至10のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項12】
該リパーゼは微生物リパーゼである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
該リパーゼは、カンジダ、シュードモナス、バシルス、フミコラまたはリゾムコールの少なくとも1つに由来するリパーゼである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
該アミラーゼは、バシルスアミラーゼ又はアスペルギルスアミラーゼの少なくとも1つである、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
該組成物は、さらに、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、ペクチネステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)またはヘミセルラーゼの少なくとも1つである、少なくとも1つのペクチナーゼを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
ペクチナーゼは、アスペルギルスニガーペクチナーゼ又はアスペルギルスアキュリアタスペクチナーゼの少なくとも1つである、請求項11に記載の組成物。
【請求項17】
生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物は、さらに、少なくとも1つの、酸に対して安定な酵素を、バイオフィルムを分解できる量で含み、該少なくとも1つの酵素は、1,2−1,3−α−D−マンナン マンノヒドロラーゼ、1,3−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ、1,3−β−D−グルカン グラカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−α−D−グルカン 3−グルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−β−D−グルカン 3(4)−グルカノヒドロラーゼ、1,3−1,4−α−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4(1,3:1,4)−β−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−β−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−β−D−マンナン マンナノヒドロラーゼ、1,5−α−L−アラビナノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン マルトヒドロラーゼ、1,6−α−D−グルカン 6−グルカノヒドロラーゼ、2,6−β−フラクタン フラクタノヒドロラーゼ、α−デキシトリン 6−グルカノヒドロラーゼ、α−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、α−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、アシルニューラミニル ヒドロラーゼ、エアロバクター−カプシュラー−ポリサッカライド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−フルクトフラノシド フルクトヒドロラーゼ、β−D−フコシド フコヒドロラーゼ、α−D−フルクタン フルクトヒドロラーゼ、β−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、β−D−グルクロノシド グルクロノソヒドロラーゼ、β−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、β−N−アセチル−D−ヘキソサミニド、N−アセチルヘキソサミノ ヒドロラーゼ、セルロース−サルフェイト サルフォヒドロラーゼ、コラゲナーゼ、デキシトリン 6−α−D−グルカノヒドロラーゼ、グリコプロテイン−フォスファチジルイノシトール フォスファチドヒドロラーゼ、ヒアルロナート 4−グリカノヒドロラーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、ペクチン ペクチルヒドロラーゼ、ペプチドグリカン N−アセチルムラモイルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 2−アシルハイドロラーゼ、フォスファチジルコリン 1−アシルヒドロラーゼ、ポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)、ポリ(1,4−(N−アセチル−β−D−グルコサミニド))−グリカノヒドロラーゼ、プロテアーゼ、サックロース α−グルコシダーゼ、トリアシルグリセロール アシルヒドロラーゼ、トリアシルグリセロール プロテイン−アシルヒドロラーゼからなる群より選ばれる、請求項1乃至16のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項18】
該組成物は、さらに、酸に対して安定なサブチリシンを、バイオフィルムを分解できる量で含む、請求項1乃至17のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項19】
さらに、酸に対して安定なDNAse Iを、バイオフィルムを分解できる量で含む、請求項1乃至18のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項20】
該組成物は、さらに、オレガノ、ベルベリンまたはウンデシレン酸のオイル、処方抗生物質、処方抗菌物質、プロバイオチクスな微生物またはプレバイオチクスの少なくとも1つを含む、請求項1乃至19のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項21】
消化器官での有効性を維持しつつ、ほ乳動物への経口投与に適する生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物をスクリーニングする方法であって、
少なくとも1つの基板上に、生存する対象バイオフィルムのサンプルを相当数提供し、
酸に対して安定なセルラーゼ及び、抗バイオフィルムの抗ポリマーβ−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤から成る群より選ばれる候補抗バイオフィルム剤のある範囲の投与量の1つを、対象バイオフィルムのサンプルが、該候補抗バイオフィルム剤による著しい抗バイオフィルム効果が無ければ成長するという条件のもと、複数のサンプルの各々に適用し、
該候補抗バイオフィルム剤の前記範囲の投与量の各々が、それぞれのサンプルの成長を阻止したかどうかを測定する
ことを備える、生理的に許容できる抗バイオフィルム組成物のスクリーニング方法。
【請求項22】
該方法は、さらに、抗バイオフィルムの酸に対して安定なセルラーゼと、抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤との双方を選別することを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤は、ヘキソサミニダーゼである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
該抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤は、ディスパーシンBである、請求項21または22に記載の方法。
【請求項25】
該方法は、さらに、酸に対して安定なヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはセラチアペプチダーゼの少なくとも1つをスクリーニングすることを備える、請求項21乃至24のいずれかの項に記載の方法。
【請求項26】
セルラーゼの量が100〜300CUの投与量に等しく、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が60〜100HSUであり、βグルコナーゼの量が6〜10BGUであり、酸性プロテアーゼの量が15〜25SAPであり、アルカリ性プロテアーゼの量が15〜25HUTである、請求項21乃至25のいずれかの項に記載の方法。
【請求項27】
該方法は、さらに、ジサッカライド、アミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP−IV)活性を備える酵素、チトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、フィチン、キウイプロテアーゼ、植物由来のプロテアーゼまたはプロテイナーゼ、またはフィターゼから選択される、酸に対して安定な薬剤を少なくとも1つスクリーニングすることを備える、請求項21乃至26のいずれかの項に記載の方法。
【請求項28】
該リパーゼは、微生物リパーゼである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
該リパーゼは、カンジダ、シュードモナス、バシルス、フミコラまたはリゾムコールの少なくとも1つに由来するリパーゼである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
該アミラーゼは、バシルスアミラーゼ又はアスペルギウムアミラーゼの少なくとも1つである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
さらに、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、ペクチネステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)またはヘミセルラーゼの少なくとも1つである少なくとも1つのペクチナーゼを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
該ペクチナーゼは、アスペルギルスニガーペクチナーゼ又はアスペルギルスアキュリアタスペクチナーゼの少なくとも1つである、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
該方法は、さらに、1,2−1,3−α−D−マンナン マンノヒドロラーゼ、1,3−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ、1,3−β−D−グルカン グラカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−α−D−グルカン 3−グルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−β−D−グルカン 3(4)−グルカノヒドロラーゼ、1,3−1,4−α−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4(1,3:1,4)−β−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−β−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−β−D−マンナン マンナノヒドロラーゼ、1,5−α−L−アラビナノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン マルトヒドロラーゼ、1,6−α−D−グルカン 6−グルカノヒドロラーゼ、2,6−β−フラクタン フラクタノヒドロラーゼ、α−デキシトリン 6−グルカノヒドロラーゼ、α−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、α−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、アシルニューラミニル ヒドロラーゼ、エアロバクター−カプシュラー−ポリサッカライド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−フルクトフラノシド フルクトヒドロラーゼ、β−D−フコシド フコヒドロラーゼ、α−D−フルクタン フルクトヒドロラーゼ、β−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、β−D−グルクロノシド グルクロノソヒドロラーゼ、β−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、β−N−アセチル−D−ヘキソサミニド、N−アセチルヘキソサミノ ヒドロラーゼ、セルロース−サルフェイト サルフォヒドロラーゼ、コラゲナーゼ、デキシトリン 6−α−D−グルカノヒドロラーゼ、グリコプロテイン−フォスファチジルイノシトール フォスファチドヒドロラーゼ、ヒアルロナート 4−グリカノヒドロラーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、ペクチン ペクチルヒドロラーゼ、ペプチドグリカン N−アセチルムラモイルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 2−アシルハイドロラーゼ、フォスファチジルコリン 1−アシルヒドロラーゼ、ポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)、ポリ(1,4−(N−アセチル−β−D−グルコサミニド))−グリカノヒドロラーゼ、プロテアーゼ、サックロース α−グルコシダーゼ、トリアシルグリセロール アシルヒドロラーゼ、トリアシルグリセロール プロテイン−アシルヒドロラーゼのうち少なくとも1つをスクリーニングすることを備える、請求項21乃至32のいずれかの項に記載の方法。
【請求項34】
該方法は、さらに、酸に対して安定なサブチリシンをスクリーニングすることを備える、請求項21乃至33のいずれかの項に記載の方法。
【請求項35】
該方法は、さらに、酸に対して安定なDNAse Iをスクリーニングすることを備える、請求項21乃至34のいずれかの項に記載の方法。
【請求項36】
該方法は、さらに、オレガノ、ベルベリンまたはウンデシレン酸のオイル、処方抗生物質、処方抗菌物質、プロバイオチクスな微生物またはプレビオチクスの少なくとも1つをスクリーニングすることを備える、請求項21乃至35のいずれかの項に記載の方法。
【請求項37】
ほ乳動物において、胃腸のバイオフィルム感染を抑制する方法であって、
胃腸のバイオフィルム感染の存在を識別し、
少なくとも1つの薬学的に許容できる担体中に、酸に対して安定なセルラーゼ、または抗ポリマーβ−1,6−N−アセチル−D−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤を治療上有効量で含む、少なくとも1つの抗バイオフィルム剤を、ある期間ほ乳動物の胃腸組織内で著しいバイオフィルムの分解を引き起すのに十分な量でほ乳動物に経口投与する、
胃腸のバイオフィルム感染の抑制方法。
【請求項38】
該方法は、さらに、抗バイオフィルムの、酸に対して安定なセルラーゼ、および抗バイオフィルムの、抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤の双方を投与することを備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該抗バイオフィルムの、抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤はヘキソサミニダーゼである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
該抗バイオフィルムの、抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤はディスパーシンBである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項41】
該方法は、さらに、酸に対して安定なヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはセラチアペプチダーゼの少なくとも1つを治療上有効量で投与することを備える、請求項37乃至40のいずれかの項に記載の方法。
【請求項42】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が、100〜300CUであり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が、60〜100HSUであり、βグルコナーゼの量が、6〜10BGUであり、酸性プロテアーゼの量が、15〜25SAPであり、アルカリ性プロテアーゼの量が、15〜25HUTである、請求項37乃至41のいずれかの項に記載の方法。
【請求項43】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が1から10,000CUの範囲にあり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が1から8,000HSUの範囲にあり、βグルコナーゼの量が1から1000BGUの範囲にあり、酸性プロテアーゼの量が1から10,000SAPの範囲にあり、アルカリ性プロテアーゼの量が1から40,000HUTの範囲にある、請求項37乃至41のいずれかの項に記載の方法。
【請求項44】
該方法は、さらに、ジサッカライド、アミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP−IV)活性を備える酵素、チトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、フィチン、キウイプロテアーゼ、植物由来のプロテアーゼまたはプロテイナーゼ、またはフィターゼから選択される少なくとも1つの、酸に対して安定な薬剤を、治療上有効量で投与することを備える、請求項37乃至43のいずれかの項に記載の方法。
【請求項45】
該リパーゼは、微生物リパーゼである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該リパーゼは、カンジダ、シュードモナス、バシルス、フミコラまたはリゾムコールの少なくとも1つに由来するリパーゼである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
該アミラーゼは、バシルスアミラーゼ又はアスペルギルスアミラーゼの少なくとも1つである、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
該方法は、さらに、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、ペクチネステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)またはヘミセルラーゼの少なくとも1つである、少なくとも1つのペクチナーゼを、治療上有効な量で投与することを備える、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
ペクチナーゼは、アスペルギルスニガーペクチナーゼかアスペルギルスアキュリアタスペクチナーゼの少なくとも1つである、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
該方法は、さらに、1,2−1,3−α−D−マンナン マンノヒドロラーゼ、1,3−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ、1,3−β−D−グルカン グラカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−α−D−グルカン 3−グルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−β−D−グルカン 3(4)−グルカノヒドロラーゼ、1,3−1,4−α−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4(1,3:1,4)−β−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−β−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−β−D−マンナン マンナノヒドロラーゼ、1,5−α−L−アラビナノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン マルトヒドロラーゼ、1,6−α−D−グルカン 6−グルカノヒドロラーゼ、2,6−β−フラクタン フラクタノヒドロラーゼ、α−デキシトリン 6−グルカノヒドロラーゼ、α−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、α−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、アシルニューラミニル ヒドロラーゼ、エアロバクター−カプシュラー−ポリサッカライド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−フルクトフラノシド フルクトヒドロラーゼ、β−D−フコシド フコヒドロラーゼ、α−D−フルクタン フルクトヒドロラーゼ、β−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、β−D−グルクロノシド グルクロノソヒドロラーゼ、β−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、β−N−アセチル−D−ヘキソサミニド、N−アセチルヘキソサミノ ヒドロラーゼ、セルロース−サルフェイト サルフォヒドロラーゼ、コラゲナーゼ、デキシトリン 6−α−D−グルカノヒドロラーゼ、グリコプロテイン−フォスファチジルイノシトール フォスファチドヒドロラーゼ、ヒアルロナート 4−グリカノヒドロラーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、ペクチン ペクチルヒドロラーゼ、ペプチドグリカン N−アセチルムラモイルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 2−アシルハイドロラーゼ、フォスファチジルコリン 1−アシルヒドロラーゼ、ポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)、ポリ(1,4−(N−アセチル−β−D−グルコサミニド))−グリカノヒドロラーゼ、プロテアーゼ、サックロース α−グルコシダーゼ、トリアシルグリセロール アシルヒドロラーゼ、トリアシルグリセロール プロテイン−アシルヒドロラーゼから選択される、少なくとも1つの、酸に対して安定な酵素を、治療上有効な量で投与することを備える、請求項37乃至49のいずれかの項に記載の方法。
【請求項51】
該方法は、さらに、酸に対して安定なサブチリシンを治療上有効な量で投与することを備える、請求項37乃至50のいずれかの項に記載の方法。
【請求項52】
該方法は、さらに、酸に対して安定なDNAse Iを治療上有効な量で投与することを備える、請求項37乃至51のいずれかの項に記載の方法。
【請求項53】
該方法は、さらに、オレガノ、ベルベリンまたはウンデシレン酸のオイル、処方抗生物質、処方抗菌物質、プロバイオチクスな微生物またはプレバイオチクスの少なくとも1つを、治療上有効な量で投与することを備える、請求項37乃至52のいずれかの項に記載の方法。
【請求項54】
治療上活性な物質として使用される請求項1乃至20のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項55】
ほ乳動物において胃腸のバイオフィルムを抑制又は治療する医薬の製造に使用される、請求項1乃至20のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項56】
ヒト患者において胃腸のバイオフィルムと関連する症状を低減することのできる医薬を製造する方法であって、著しくバイオフィルムを分解することのできる量で、薬学的に有効な量の、抗バイオフィルムの酸に対して安定なセルラーゼ、または抗バイオフィルムの抗ポリマーβ−1,6−N−アセチルD−グルコサミン(ポリ−β−1,6−GlcNAc)剤の少なくとも1つと、薬学上許容できる担体、補助的薬剤、添加剤、緩衝剤および希釈剤の少なくとも1つとを組み合わせることを備える、医薬の製造方法。
【請求項57】
該医薬は、さらに、抗バイオフィルムの酸に対して安定なセルラーゼおよび抗バイオフィルムの抗ポリβ−1,6−GlcNAc剤の双方を含有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
該抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤は、ヘキソサミニダーゼである、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
抗バイオフィルムの抗ポリ−β−1,6−GlcNAc剤は、ディスパーシンBである、請求項56または57に記載の方法。
【請求項60】
該医薬は、さらに、酸に対して安定なヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはセラチアペプチダーゼの少なくとも1つを有効量で含む、請求項56乃至59のいずれかの項に記載の方法。
【請求項61】
該医薬は、さらに、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼおよびセラチアペプチダーゼの少なくとも3つを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
該医薬は、さらに、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼの複合体、βグルコナーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼおよびセラチアペプチダーゼの全てを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が100〜300CU、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が60〜100HSU、βグルコナーゼの量が6〜10BGU、酸性プロテアーゼの量が15〜25SAPおよびアルカリ性プロテアーゼの量が15〜25HUTである、請求項56乃至62のいずれかの項に記載の方法。
【請求項64】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が約200CU、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が80HSU、βグルコナーゼの量が8BGU、酸性プロテアーゼの量が20SAPおよびアルカリ性プロテアーゼの量が20HUTである、請求項56乃至63のいずれかの項に記載の方法。
【請求項65】
一回の投与あたりのセルラーゼの量が1から10,000CUの範囲にあり、ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼ複合体の量が1から8,000HSUの範囲にあり、βグルコナーゼの量が1から1000BGUの範囲にあり、酸性プロテアーゼの量が1から10,000SAPの範囲にあり、アルカリ性プロテアーゼの量が1から40,000HUTの範囲にある、請求項56乃至62のいずれかの項に記載の方法。
【請求項66】
該生理的に許容できる抗バイオフィルム医薬は、さらに、少なくとも1つの、酸に対して安定な薬剤を有効量で含み、該少なくとも1つの薬剤は、ジサッカライド、アミラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、リゾチーム、ジペプチジルペプチダーゼIV(DDP−IV)活性を備える酵素、チトサナーゼ、ブロメライン、パパイン、フィチン、キウイプロテアーゼ、植物由来のプロテアーゼまたはプロテイナーゼ、またはフィターゼから選択される、請求項56乃至65のいずれかの項に記載の方法。
【請求項67】
該リパーゼは、微生物リパーゼである請求項66に記載の方法。
【請求項68】
該リパーゼは、カンジダ、シュードモナス、バシルス、フミコラまたはリゾムコールの少なくとも1つに由来するリパーゼである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
該アミラーゼは、バシルスアミラーゼ又はアスペルギルスアミラーゼの少なくとも1つである、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
該医薬は、さらに、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、ペクチネステラーゼ(EC 3.2.1.11)、ペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)またはヘミセルラーゼの少なくとも1つである、少なくとも1つのペクチナーゼを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
ペクチナーゼは、アスペルギルスニガーペクチナーゼ又はアスペルギルスアキュリアタスペクチナーゼの少なくとも1つである、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
生理的に許容できる抗バイオフィルム医薬は、さらに、少なくとも1つの、酸に対して安定な酵素を、バイオフィルムを分解できる量で含有し、該少なくとも1つの酵素は、1,2−1,3−α−D−マンナン マンノヒドロラーゼ、1,3−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ、1,3−β−D−グルカン グラカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−α−D−グルカン 3−グルカノヒドロラーゼ、1,3(1,3;1,4)−β−D−グルカン 3(4)−グルカノヒドロラーゼ、1,3−1,4−α−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルカノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4(1,3:1,4)−β−D−グルカン 4−グルカノヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカン グルコヒドロラーゼ、1,4−β−D−キシラン キシラノヒドロラーゼ、1,4−β−D−マンナン マンナノヒドロラーゼ、1,5−α−L−アラビナノヒドロラーゼ、1,4−α−D−グルカン マルトヒドロラーゼ、1,6−α−D−グルカン 6−グルカノヒドロラーゼ、2,6−β−フラクタン フラクタノヒドロラーゼ、α−デキシトリン 6−グルカノヒドロラーゼ、α−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、α−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、α−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、アシルニューラミニル ヒドロラーゼ、エアロバクター−カプシュラー−ポリサッカライド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−フルクトフラノシド フルクトヒドロラーゼ、β−D−フコシド フコヒドロラーゼ、α−D−フルクタン フルクトヒドロラーゼ、β−D−ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ、β−D−グルコシド グルコヒドロラーゼ、β−D−グルクロノシド グルクロノソヒドロラーゼ、β−D−マンノシド マンノヒドロラーゼ、β−N−アセチル−D−ヘキソサミニド、N−アセチルヘキソサミノ ヒドロラーゼ、セルロース−サルフェイト サルフォヒドロラーゼ、コラゲナーゼ、デキシトリン 6−α−D−グルカノヒドロラーゼ、グリコプロテイン−フォスファチジルイノシトール フォスファチドヒドロラーゼ、ヒアルロナート 4−グリカノヒドロラーゼ、ヒアルロノグルクロニダーゼ、ペクチン ペクチルヒドロラーゼ、ペプチドグリカン N−アセチルムラモイルヒドロラーゼ、フォスファチジルコリン 2−アシルハイドロラーゼ、フォスファチジルコリン 1−アシルヒドロラーゼ、ポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)、ポリ(1,4−(N−アセチル−β−D−グルコサミニド))−グリカノヒドロラーゼ、プロテアーゼ、サックロース α−グルコシダーゼ、トリアシルグリセロール アシルヒドロラーゼ、トリアシルグリセロール プロテイン−アシルヒドロラーゼから選択される、請求項56乃至71のいずれかの項に記載の方法。
【請求項73】
該医薬は、さらに、酸に対して安定なサブチリシンを、バイオフィルムを分解できる量で含有する、請求項56乃至72のいずれかの項に記載の方法。
【請求項74】
さらに、酸に対して安定なDNAse Iを、バイオフィルムを分解できる量で含有する、請求項56乃至73のいずれかの項に記載の方法。
【請求項75】
該医薬は、さらに、オレガノ、ベルベリンまたはウンデシレン酸のオイル、処方抗生物質、処方抗菌物質、プロバイオチクスな微生物またはプレバイオチクスの少なくとも1つを含む、請求項56乃至74のいずれかの項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−511809(P2011−511809A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546097(P2010−546097)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/033599
【国際公開番号】WO2009/100456
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510216979)プロセラ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】