説明

胃腸疾患治療用のイミダゾール誘導体

本発明は、正のアロステリックGABAB受容体(GBR)モジュレーター作用を有する新規なイミダゾール誘導体、該化合物の製造方法、並びに場合によりGABABアゴニストと組み合わせた、一過性下部食道括約筋弛緩を抑制するための、胃食道逆流症を治療するための、及び機能性胃腸障害及び過敏性腸症候群(IBS)の治療のためのその使用に関する。本化合物は、一般式(I)で示され、式中のR1、R2、R3及びYは明細書に定義された通りである。例えば、R1はフェニルであってよく、R2はジメチルアミノであってよく、R3はアルコキシであってよく、そしてYは、アリール基を含む、チオイルアミノ又はメチレンアミノが結合した置換基であってよい。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正のアロステリックGABAB受容体(GBR)モジュレーター作用を有する新規化合物、該化合物の製造方法、並びに一過性下部食道括約筋弛緩の抑制、胃食道逆流症の治療、及び機能性胃腸障害及び過敏性腸症候群(IBS)の治療のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
下部食道括約筋(LES)は、間欠的に弛緩する傾向がある。結果として、そのような時に機械的障壁が一時的に失われるため、胃から流動物が食道内に入る場合がある。以下、この事象を「逆流」と呼ぶ。
【0003】
胃食道逆流症(GERD)は、最も一般的な上部消化管疾患である。現在の薬物療法は、胃酸分泌の低下又は食道における酸中和に向けられている。逆流の背景にある主要なメカニズムは低緊張性下部食道括約筋に依存すると考えられている。しかし、最近の研究(例えば、Holloway & Dent (1990) Gastroenterol. Clin. N. Amer. 19, pp. 517-535)は、たいていの逆流エピソードは一過性の下部食道括約筋弛緩(TLESR)、言い換えれば、嚥下によって誘起されるものでない弛緩の最中に起こることを示している。また通常の胃酸分泌は、GERD患者においては正常であることも示されている。
【0004】
従って、TLESRの発生率を減少させ、それによって逆流を防止する治療法が必要とされている。
【0005】
GABAB受容体アゴニストは、TLESRを抑制することが示されており、そのことは国際特許出願公開第98/11885−A1号に記載されている。
【0006】
GABAB受容体アゴニスト
GABA(4−アミノブタン酸)は、中枢及び末梢神経系における内因性の神経伝達物質である。GABAの受容体は、伝統的にGABAA及びGABAB受容体のサブタイプに分けられている。GABAB受容体は、G−タンパク質共役型受容体(GPCR)のスーパーファミリーに属する。
【0007】
最も良く研究されたGABAB受容体アゴニストのバクロフェン(4−アミノ−3−(p−クロロフェニル)ブタン酸;CH449046に記載)は、抗痙攣剤として有用である。欧州特許第356128−A2号には、GABAB受容体アゴニスト(3−アミノプロピル)メチルホスフィン酸の、治療のための使用、特に中枢神経系疾患の治療のための使用が記載されている。
【0008】
欧州特許出願公開第463969−A1号及びフランス特許第2722192−A1号には、ブチル鎖の3−炭素に種々の複素環置換基を有する4−アミノブタン酸誘導体が記載されている。欧州特許出願公開第181833−A1号には、GABAB受容体部位に対して高い親和性を有する置換3−アミノプロピルホスフィン酸が記載されている。欧州特許出願公開第399949−A1号には、(3−アミノプロピル)メチルホスフィン酸誘導体が記載され、強力なGABAB受容体アゴニストとして記載されている。さらに他の(3−アミノプロピル)メチルホスフィン酸及び(3−アミノプロピル)ホスフィン酸は、それぞれ国際特許出願公開第01/41743−A1号及び国際特許出願公開第01/42252−A1号に記載されている。GABAB受容体への親和性に関するいくつかのホスフィン酸類似物の構造活性相関は、J. Med. Chem. (1995), 38, 3297-3312で論じられている。スルフィン酸類似物及びそのGABAB受容体活性は、Bioorg. & Med. Chem. Lett. (1998), 8, 3059-3064に記載されている。GABABリガンドに関するさらに一般的な総説は、Curr. Med. Chem.-Central Nervous System Agents (2001), 1, 27-42を参照されたい。
【0009】
GABAB受容体の正のアロステリック調節
2,6−ジ−tert−ブチル−4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)フェノール(CGP7930)及び3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジメチルプロパナル(米国特許第5,304,685号に記載)は、天然及び遺伝子組み換えGABAB受容体活性を正にアロステリック調節すると記載されている(Society for Neuroscience, 30th Annual Meeting, New Orleans, La., Nov. 4-9, 2000: Positive Allosteric Modulation of Native and Recombinant GABAB Receptor Activity, S. Urwyler et al.; Molecular Pharmacol. (2001), 60, 963-971)。
【0010】
N,N−ジシクロペンチル−2−メチルスルファニル−5−ニトロ−ピリミジン−4,6−ジアミンは、GABAB受容体を正にアロステリック調節すると記載されている(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 307 (2003), 322-330)。
【0011】
GABAB受容体のアロステリック調節に関する最近の総説については、Expert Opin. Ther. Patents (2001), 11, 1889-1904を参照されたい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一般式(I):
【化1】

[式中、
1は、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、SO37、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
1は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され、ここで、R1の定義に用いられるアリール又はヘテロアリール基のいずれも、更に1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く、ここで、上記C1−C10アルキルは、更に1つ又は2つのアリール又はヘテロアリールで置換されても良く;
2は、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ又はNR56を表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1
−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
【0013】
3は、C1−C10アルコキシを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
1−C10アルキル;C2−C10アルケニル;C2−C10アルキニル;又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
3は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
3は、アミノを表わし、それは、場合により、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルにより一又は二置換され;
【0014】
Yは、
【化2】

を表わし;
4は、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C1−C10アルコキシ又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ケト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、COR10、ニトリル、SO2NR89、SO211、NR8SO29、NR8C=ONR9、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
4は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、SO37、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され、ここで、R4の定義に用いられる該アリール又はヘテロアリール基は、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く、ここで、上記C1−C10アルキルは、更に、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換されても良く;
【0015】
5は、水素、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニト
リル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
5は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
6は、水素、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
6は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は、
5及びR6は、一緒になってC、N及びOから選択される3〜7個の原子から成る環を形成し、ここで、該環は、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ケト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
【0016】
7は、それぞれ独立に、C1−C10アルキルを表わし;
8は、それぞれ独立に、水素、C1−C10アルキル、アリール又はヘテロアリールを表わし、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
9は、それぞれ独立に、水素、C1−C10アルキル、アリール又はヘテロアリールを表わし、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
10は、それぞれ独立に、C1−C10アルキルを表わし、それは、場合によりアリール又はヘテロアリールで置換され、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
11は、C1−C10アルキル、アリール又はヘテロアリールを表わし、ここで、該アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
1及びR3〜R11の定義に使われるアルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルのそれぞれは、独立に、O、N又はSで置換された1つ又はそれ以上の炭素原子を有しても良く、ここで、O、N又はSのいずれも別のO、N又はSに隣接せず;
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ及びシクロアルキルのそれぞれは、独立に、フッ素で置換された1つ又はそれ以上の炭素原子を有しても良く;
但し、YがNHSO2又はNHCS表わす場合は、R2はアルコキシのみを表わす]
の化合物、並びに薬学的及び薬理学的に許容されるそれらの塩、並びに式(I)の化合物のエナンチオマー及びそれらの塩に関する。
【0017】
本発明の1つの実施態様に従えば、R1はC1−C4アルキルを表わし、それは、場合により、1つのアリール又は2つのヘテロアリール基で置換される。
【0018】
本発明の別の実施態様に従えば、R1はアリールを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、SO37、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換される。
【0019】
本発明の別の実施態様において、R1は無置換のフェニルを表わす。
【0020】
本発明のまた別の実施態様において、R2はC1−C4アルキルを表わす。
【0021】
本発明の更なる実施態様において、R3はC1−C4アルコキシを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換される。
【0022】
本発明の別の実施態様において、R3はC1−C10アルキルを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換される。
【0023】
本発明の更なる実施態様において、R4はC1−C7アルキル、C2−C7アルケニル、C2−C7アルキニル又はC3−C7シクロアルキルを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、SO2NR89、NR8SO29、NR8C=ONR9、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され、ここで、R4の定義に用いられるアリール又はヘテロアリール基のいずれも、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く、ここで、上記C1−C10アルキルは、更に、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換されても良く;
【0024】
本発明の更なる実施態様に従えば、R4はC1−C4アルキルを表わし、それは、場合により、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換される。
【0025】
本発明の別の実施態様に従えば、R4はC1−C4アルキルを表わし、それは、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換される。
【0026】
本発明の更なる実施態様において、R4はアリール又はヘテロアリールを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換される。
【0027】
本発明のまた別の実施態様において、R5はC1−C4アルキルを表わす。
本発明の1つの実施態様において、R5はメチルを表わす。
本発明のまた別の実施態様において、R6はC1−C4アルキルを表わす。
本発明の更なる実施態様において、R6はメチルを表わす。
【0028】
本発明の別の実施態様において、R5及びR6は、C、O及びNから選択される5又は6個の原子から成る環を形成する。
【0029】
本発明の1つの実施態様において、Yは、
【化3】

を表わす。
【0030】
本発明の別の実施態様において、Yは、
【化4】

を表わす。
【0031】
本発明の別の実施態様に従えば、
1は、アリールを表わし;
2は、NR56を表わし;
3は、C1−C10アルコキシを表わし;
Yは、
【化5】

を表わし;
4は、C1−C10アルキルを表わし、それは、場合より、1つのアリールで置換され;又は
4は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つのハロゲンで置換され;
5は、水素又はC1−C10アルキルを表わし;
6は、水素又はC1−C10アルキルを表し; 又は、
5及びR6は、一緒になって、C又はNから選択される3〜7個の原子から成る環を形成し;
ここで、R4の定義に用いられるアルキルは、Oで置換された1つの炭素原子を有しても良い。
【0032】
本発明のまた別の実施態様に従えば、
1は、アリールを表わし;
2は、NR56を表わし;
3は、C1−C4アルコキシを表わし;
Yは、
【化6】

を表わし;
4は、C1−C10アルキルを表わし、それは、場合により、1つのアリールを表わし;又は、
4は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つのハロゲンで置換され;
5は、C1−C4アルキルを表わし;
6は、水素、C1−C4アルキルを表わし;又は、
5及びR6は、一緒になって、C又はNから選択される5〜6個の原子から成る環を形成し、
ここで、R4の定義に用いられるアルキルは、Oで置換された1つの炭素原子を有しても良い。
【0033】
本発明は、また、以下の化合物:
4−{[(4−クロロフェニル)カルボノチオイル]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;
4−{[(1Z)−(4−クロロフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチレン]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;
4−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルカルボノチオイル)アミノ]−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;及び
4−{[2−(ベンジルオキシ)エタンチオイル]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;
から選択される化合物に関する。
【0034】
上記の式(I)の化合物は、正のアロステリックGABAB受容体モジュレーター並びにアゴニストとして有用である。
【0035】
上記式(I)の化合物の分子量は、一般的には、300g/molから700g/molの範囲内である。
【0036】
本発明は、当然ながら、また式(I)の化合物のいずれかの、及び全ての互変異性体に関する。
【0037】
式(I)の定義において用いられる一般的な用語は、以下の意味を有する:
【0038】
1−C10アルキルは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、 n−ブチル、イソブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル又はヘプチルがある。アルキル基は、1つ又はそれ以上のO、N及びSから選択されるヘテロ原子を含んでも良く、換言すれば、1つ又はそれ以上の炭素原子がその様なヘテロ原子で置換されても良い。その様な基の例としては、メチルエチルエーテル、メチルエチルアミン及びメチルチオメチルがある。アルキル基は環の部分を形成することもできる。アルキル基の内の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子で置換されても良い。
【0039】
1−C4アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第二級ブチル又は第三級ブチルがある。アルキル基はO、N及びSから選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでも良く、換言すれば、1つ又はそれ以上の炭素原子がその様なヘテロ原子で置換されても良い。その様な基の例としては、メチルエチルエーテル、メチルエチルアミン及びメチルチオメチルがある。アルキル基の内の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子で置換されても良い。
【0040】
2−C10アルケニルは、2〜10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルケニル基であり、例えば、ビニル、イソプロペニル及び1−ブテニルがある。アルケニル基はO、N及びSから選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでも良く、換言すれば、1つ又はそれ以上の炭素原子がその様なヘテロ原子で置換されても良い。アルケニル基の内の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子で置換されても良い。
【0041】
2−C10アルキニルは、2〜10個の炭素原子を有する直鎖、又は分枝されたアルキニル基であり、例えば、エチニル、2−プロピニル及びブタ−2−イニルがある。アルキニル基は、O、N及びSから選択される1つ若しくはそれ以上のヘテロ原子含んでも良く、換言すれば、1つ若しくはそれ以上の炭素原子がその様なヘテロ原子で置換されても良い。アルキニル基の内の1つ若しくはそれ以上の水素原子が、フッ素原子で置換されても良い。
【0042】
3−C10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルの様な3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキルである。シクロアルキルは、また不飽和であっても良い。シクロアルキル基は、O、N及びSから選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでも良く、換言すれば、1つ又はそれ以上の炭素原子がその様なヘテロ原子で置換されても良い。シクロアルキル基の内の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子で置換されても良い。
【0043】
1−C10アルコキシは、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、第二級ブトキシ、第三級ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ又はヘプトキシ基がある。アルコキシは、プロペノキシ又はシクロペントキシの様な環状、部分不飽和又は不飽和であっても良い。アルコキシは、ベンジルオキシ又はフェノキシの様な芳香族であっても良い。
【0044】
1−C4アルコキシは、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、第二級ブトキシ又は第三級ブトキシがある。アルコキシは、プロペノキシ又はシクロペントキシの様な環状、部分不飽和又は不飽和であっても良い。
【0045】
1−C10チオアルコキシは、1〜10個の炭素原子を有するチオアルコキシ基であり、例えば、チオメトキシ、チオエトキシ、n−チオプロポキシ、n−チオブトキシ、チオイソプロポキシ、チオイソブトキシ、第二級チオブトキシ、第三級チオブトキシ、チオペントキシ、チオヘキソキシ又はチオヘプトキシ基がある。
【0046】
チオアルコキシは、チオプロペノキシの様な不飽和、又はチオベンジルオキシ若しくはチオフェノキシの様な芳香族であっても良い。
【0047】
用語「アリール」は、本明細書において、6〜14個の炭素原子を有する芳香族環として定義され、フェニル、ベンジル又はナフチルの様な単環及び多環の両者の化合物を含む。多環式の環は、飽和、部分不飽和、又は飽和である。
【0048】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書において、3〜14個の炭素原子を有する芳香族環として定義され、その1つ又は数個の環原子が酸素、窒素又は硫黄である単環及び多環の両者の化合物を含み、例えば、フラニル、チオフェニル又はイミダゾピリジンがある。多環式の環は、飽和、部分不飽和、又は飽和である。
【0049】
本明細書で用いられるハロゲン類は、塩素、フッ素、臭素又はヨウ素から選択される。
【0050】
用語「ケト」は、本明細書においては、炭素原子に二重結合で結合する二価の酸素原子として定義される。二価の酸素が結合する炭素原子に隣接して、炭素原子が存在する。
【0051】
式(I)の化合物が少なくとも1つの不斉炭素原子を有する場合、それらは、様々な立体化学的形態で存在することができる。本発明は、個々の立体異性体のみならず、その異性体の混合物も包含する。本発明は、更に、幾何異性体、回転異性体、エナンチオマー、ラセミ体及びジアステレオマーを包含する。
【0052】
適切な場合、式(I)の化合物は、中性の形態、例えば、カルボン酸としては、すなわち塩の形態で、好ましくは、対象化合物のナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又はマグネシウム塩の様な薬学的に許容される塩の形態で使用しても良い。
【0053】
式(I)の化合物は、正のアロステリックGBR(GABAB受容体)モジュレーターとして有用である。GABAB受容体の正のアロステリックモジュレーターは、内因性リガンドによって使われる部位とは異なる部位においてGABAB受容体タンパク質に結合することによって、GABAB受容体をGABA及びGABAB受容体アゴニストに対してより感受性にする化合物と定義される。正のアロステリックGBRモジュレーターは、アゴニストと相乗的に作用し、GABAB受容体アゴニストの効力及び/又はイントリンシックエフィカシー(intrinsic efficacy)を高める。GABAB受容体に作用する正のアロステリックモジュレーターは、アゴニスト的な効果を生み出し得ることが示されている。従って、式(I)の化合物は、完全アゴニスト又は部分アゴニストとして効果的であり得る。
【0054】
本発明の更なる側面は、治療に使用するための式(I)の化合物である。
【0055】
正のアロステリックモジュレーターの投与によってGABAB受容体のGABAB受容体アゴニストに対する感受性がより高まる結果として、GABABアゴニストの一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)抑制の増大が観察される。従って、本発明は、式(I)に記載の正のアロステリックGABAB受容体モジュレーターの、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)を抑制するための薬剤を製造するための使用を対象とする。
【0056】
本発明の更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、逆流を防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0057】
本発明のより更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、胃食道逆流症(GERD)を治療するための薬剤を製造するための使用である。
【0058】
乳児の反すうに対する有効な処置は、反すうした胃内容物の吸い込みによる肺疾患の防止及び治療、並びに発育障害、とりわけ摂取した栄養素の過剰喪失による発育障害の管理のための重要な方法となるであろう。従って、本発明の更なる態様は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、肺疾患を治療するための薬剤を製造するための使用である。
【0059】
本発明の別の側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、発育障害を管理するための薬剤を製造するための使用である。
【0060】
本発明の別の側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、逆流関連喘息のような喘息を治療又は防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0061】
本発明の更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、喉頭炎又は慢性喉頭炎を治療又は防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0062】
本発明の更なる側面は、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)を抑制する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その抑制を必要とする対象(subject)に投与する方法である。
【0063】
本発明の他の側面は、逆流を防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その防止を必要とする対象に投与する方法である。
【0064】
本発明の更なる側面は、胃食道逆流症(GERD)を治療する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0065】
本発明の別の側面は、反すうを治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0066】
本発明のさらに別の側面は、乳児の反すうを治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0067】
本発明のなお更なる側面は、肺疾患を治療、防止又は阻害する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。治療すべき肺疾患は、とりわけ反すうした胃内容物の吸い込みに起因するものである。
【0068】
本発明のなお更なる側面は、発育障害を管理する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0069】
本発明のさらなる側面は、逆流関連喘息のような喘息を治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0070】
本発明の更なる側面は、喉頭炎又は慢性喉頭炎を治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0071】
更なる実施態様は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、機能性胃腸障害(FGD)を治療するための薬剤を製造するための使用である。本発明の別の側面は、機能性胃腸障害を治療する方法であって、式(I)の化合物の有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、上記状態を患う対象に投与する方法である。
【0072】
更なる実施態様は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、機能性消化不良を治療するための薬剤を製造するための使用である。本発明の別の側面は、機能性消化不良を治療する方法であって、式(I)の化合物の有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、上記状態を患う対象に投与する方法である。
【0073】
機能性消化不良は、上腹部に集中した疼痛又は不快感のことを言う。不快感は、上腹部膨満、早期満腹、鼓腸又は吐き気によって特徴付けられる、又はこれらを併発している。病因学的には、機能性消化不良の患者は2つのグループに分けることができる:
1.臨床的な関連性が明確でない、特定可能な病態生理学的又は微生物学的な異常(例えば、ヘリコバクター・ピロリ性胃炎、組織学的十二指腸炎、胆石、内臓過敏、胃十二指腸の運動障害)がある人;
2.症状に対して特定可能な説明ができない患者。
【0074】
機能性消化不良は、以下に従って診断することができる:
過去12ヶ月以内の、必ずしも連続する必要がない少なくとも12週間の
1.持続性又は再発性の消化不良(上腹部に集中する疼痛又は不快感);及び
2.症状の説明になる様な器質性疾患(上部内視鏡を含む)の徴候が無い;及び
3.消化不良が、排便によってのみ軽快される又は排便頻度若しくは便形態の変化の開始に関連するという徴候が無い。
【0075】
機能性消化不良は、潰瘍型消化不良、運動不全型消化不良及び特定されない(非特定の)消化不良のような、特徴的な症状パターンに基づいて小集団に分けることができる。
【0076】
現在の機能性消化不良の治療法は、大部分が経験に基づくもので、顕著な症状の軽減を指向している。最も一般に使われる療法には、今なお抗うつ剤が含まれる。
【0077】
本発明の更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、便秘優勢過敏性腸症候群(IBS)、下痢優勢IBS又は交替排便優勢IBSなどのIBSを治療又は防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0078】
本発明の更なる側面は、過敏性腸症候群(IBS)を治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0079】
本明細書において、IBSは、腸機能変化に付随して起こり、しばしば鼓腸及び腹部膨満を伴う持続性又は再発性の腹痛及び不快感を含めた特定の症状を伴なう、慢性機能性疾患と定義される。それは、一般に、顕著な排便パターンに従って3つのサブグループに分けられる:
1.下痢優勢;
2.便秘優勢;及び
3.交替排便優勢。
【0080】
腹痛及び腹部不快感は、IBSの顕著な特徴でありこの3つのサブグループに存在する。IBS症状は、ローマ基準、その後改定されたローマII基準に従って分類されている。IBSの症状を説明する上でこの基準への適合は、IBSの臨床試験を計画し評価する上での意見の統一を図るのに役立っている。
【0081】
ローマII診断基準は:
1.過去1年間に、(連続する必要はないが)少なくとも12週を占め、腹痛又は腹部不快感がある;
2.以下の症状の2つ又はそれ以上がある:
a)排便で軽快する;
b)排便回数の変化で始まる;
c)便性状の変化で始まる。
【0082】
本発明の更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、不安などのCNS障害を治療又は防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0083】
本発明の更なる側面は、不安などのCNS障害を治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0084】
本発明の更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、うつ病を治療又は防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0085】
本発明の更なる側面は、うつ病を治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【0086】
本発明の更なる側面は、式(I)の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、アルコール又はニコチン依存症のような依存症を治療又は防止するための薬剤を製造するための使用である。
【0087】
本発明の更なる側面は、アルコール依存症のような依存症を治療又は防止する方法であって、式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0088】
本発明において、用語「アゴニスト」は、当然ながら、完全アゴニスト及び部分アゴニストを包含し、従って、「部分アゴニスト」は、完全ではないが、部分的にGABAB受容体を活性化する能力を有する化合物である。
【0089】
本明細書において、表現「TLESR」、一過性下部食道括約筋弛緩は、Mittal, R.K., Holloway, R.H., Penagini, R., Blackshaw, L.A., Dent, J., 1995; Transient lower esophageal sphincter relaxation(一過性下部食道括約筋弛緩). Gastroenterology 109, pp. 601-610に従って定義される。
【0090】
表現「逆流」は、機械的障壁がそのとき一時的に失われるため、胃からの流体が食道に流れ込みできることとして定義される。
【0091】
表現「GERD」、胃食道逆流症は、van Heerwarden, M.A., Smout A.J.P.M., 2000; Diagnosis of reflux disease(逆流症の診断). Bailliere's Clin. Gastroenterol. 14, pp. 759-774に従って定義される。
【0092】
機能性消化不良のような機能性胃腸障害は、Thompson WG, Longstreth GF, Drossman DA, Heaton KW, Irvine EJ, Mueller-Lissner SA. C. Functional Bowel Disorders and Functional Abdominal Pain(機能性腸疾患及び機能性腹痛). In: Drossman DA, Talley NJ, Thompson WG, Whitehead WE, Coraziarri E, eds. Rome II: Functional Gastrointestinal Disorders: Diagnosis, Pathophysiology and Treatment(機能性胃腸障害:診断、病態生理学及び治療). 2 ed. McLean, VA: Degnon Associates, Inc.; 2000:351-432 and Drossman DA, Corazziari E, Talley NJ, Thompson WG and Whitehead WE. Rome II: A multinational consensus document on Functional Gastrointestinal Disorders(機能性胃腸障害に関する多国間合意文書). Gut 45(Suppl.2), II1-II81.9-1-1999に従って定義することができる。
【0093】
過敏性腸症候群(IBS)は、Thompson WG, Longstreth GF, Drossman DA, Heaton KW, Irvine EJ, Mueller-Lissner SA. C. Functional Bowel Disorders and Functional Abdominal Pain(機能性腸障害及び機能性腹痛). In: Drossman DA, Talley NJ, Thompson WG, Whitehead WE, Coraziarri E, eds. Rome II: Functional Gastrointestinal Disorders: Diagnosis, Pathophysiology and Treatment(機能性胃腸障害:診断、病態生理学及び治療). 2 ed. McLean, VA: Degnon Associates, Inc.; 2000:351-432 and Drossman DA, Corazziari E, Talley NJ, Thompson WG and Whitehead WE. Rome II: A multinational consensus document on Functional Gastrointestinal Disorders(機能性胃腸障害に関する多国間合意文書). Gut 45(Suppl.2), II1-II81.9-1-1999に従って定義することができる。
【0094】
本発明に従う「組み合わせ」は、「固定組み合わせ(fix combination)」として存在してもよく、又は「部品組み合わせ(parts combination)のキット」として存在してもよい。
【0095】
「固定組み合わせ」は、(i)式(I)の化合物;及び(ii)GABAB受容体アゴニストが1つの単位中に存在する組み合わせとして定義される。「固定組み合わせ」の1つの例は、(i)式(I)の化合物及び(ii)GABAB受容体アゴニストが混和物中に存在する医薬組成物である。「固定組み合わせ」の別の例は、(i)式(I)の化合物及び(ii)GABAB受容体アゴニストが、混和物としてではなく、1つの単位中に存在する医薬組成物である。
【0096】
「部品組み合わせのキット」は、(i)式(I)の化合物及び(ii)GABAB受容体アゴニストが2つ以上の単位に存在する組み合わせとして定義される。「部品組み合わせのキット」の1つの例は、(i)式(I)の化合物及び(ii)GABAB受容体アゴニストが別々に存在する組み合わせである。「部品組み合わせのキット」の成分は、同時に、連続的に、又は間をおいて、換言すれば、別々に又は一緒に投与してもよい。
【0097】
用語「正のアロステリックモジュレーター」は、内因性リガンドによって使われる部位とは異なる部位で受容体タンパク質に結合することによって、受容体を受容体アゴニストに対してより感受性にする化合物と定義される。
【0098】
用語「治療法」及び用語「治療」は、別に断らない限り、「予防」及び/又は防止を包含する。用語「治療的」及び「治療的に」もこれに従って解釈される。
【0099】
医薬製剤
式(I)の化合物は、単独で又はGABAB受容体アゴニストと組み合わせて調剤することができる。
【0100】
臨床使用のためには、式(I)の化合物は、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、本発明に従い経口投与用の医薬製剤に適切に調剤される。同様に、直腸、非経口又は他の如何なる投与経路についても、製剤技術の当業者は想定できる。従って、式(I)の化合物は、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、薬学的及び薬理学的に許容される担体又は補助剤を用いて製剤化される。担体は、固体、半固体又は液体の賦形剤でも良い。
【0101】
本発明による経口医薬製剤の製造において、製剤化される式(I)の化合物は、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチン又は他の適切な成分などの固体の粉末成分、並びに崩壊剤及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム及びポリエチレングリコール ワックスなどの滑沢剤と混合される。次いで混合物は、顆粒に加工されるか、錠剤に圧縮される。
【0102】
ゼラチン軟カプセルは、式(I)の化合物と、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、植物油、油脂又は他のゼラチン軟カプセルに適切なビヒクルとの混合物を含むカプセルとして調製することができる。ゼラチン硬カプセルは、式(I)の化合物を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせ、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、バレイショ澱粉、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体又はゼラチンなどの固体の粉末成分と組み合わせて含むことができる。
【0103】
直腸投与のための投与単位は、(i)中性の脂肪基剤と混合した活性物質を含む坐剤の形態;(ii)式(I)の化合物と、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、植物油、パラフィンオイル又は他のゼラチン直腸カプセルに適切なビヒクルとの混合物を含むゼラチン直腸カプセルの形態;(iii)既製のミクロ浣腸の形態;又は(iv)投与直前に適切な溶媒に再構成予定のドライミクロ浣腸製剤の形態で調製することができる。
【0104】
経口投与用の液体製剤は、シロップ剤又は懸濁剤、例えば、式(I)の化合物と、場合によりGABAB受容体アゴニストを組み合わせ、糖又は糖アルコール並びにエタノール、水、グリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールから成る製剤の残りを含む液剤又は懸濁剤、の形態で調製することができる。その様な液体製剤は、必要に応じて着色剤、着香剤、サッカリン及びカルボキシメチルセルロース又は他の増粘剤を含んでも良い。経口投与用の液体製剤は、また使用前に適切な溶媒で再構成予定の乾燥粉末の形態に調製することができる。
【0105】
非経口投与用の液剤は、式(I)の化合物を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、薬学的に許容される溶媒に溶かした溶液として調製することができる。これらの液剤は、また安定化成分及び/又は緩衝成分を含んでもよく、アンプル剤又はバイアル剤の形態の単位投与剤に分配される。非経口投与用の液剤は、また、使用前にその場で好適な溶媒で再構成予定の乾燥製剤として調製することができる。
【0106】
本発明の1つの側面において、式(I)の化合物は、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、患者の状態の重症度に依存して1日1回又は2回投与してもよい。式(I)の化合物の一般的な1日投与量は、治療しようとする対象のkg体重当たり、0.1から100mgであるが、これは、投与経路、患者の年齢及び体重、並びに患者の状態の重症度のような様々な要因に依存する。
【0107】
製造方法
本発明の式(I)化合物であって、ここで、Y=−NH−Z−R4であり、そして、R1、R2、R3及びR4は、上記で定義した通りであり、Zは、−SO2−又は−C(S)−である化合物は、以下の一般的方法により製造することができる(スキーム1;関連文献:Tetrahedron (1982), 38:1435-1441)。
【化7】

ここで、アミノイミダゾール(II)は、アシルクロリド、スルホニルクロリド、イソシアネート又は他の求電子試薬(典型的には、1.5〜2.5当量)を用い、THFなどの有機溶媒中で(Ia)に効率的に転換される。反応は、高分子支持のジイソプロピルエチルアミン(PS−DIPEA;1.5〜3当量)の存在下、常温から50℃の温度で4〜18時間撹拌することにより行われる。反応混合物を求核性アニオン交換樹脂Isolute-NH2を通して濾過し、THFで溶離し、減圧下で蒸発させ、所望の生成物を油状又は非晶質固体として得る。
【0108】
Yが、
【化8】

の場合、本発明の式(I)の化合物は、実施例1〜2に記載の合成法、換言すれば、以下のスキーム8及び9に類似の方法で製造することができる。
【0109】
アミノイミダゾール(II)は、中間体(III)又は(IV)から、塩基性条件下でその反応試薬をα−ハロカルボニル化合物と加熱することにより製造される(スキーム2;文献:Tetrahedron Lett. (1966), 1885-1889 and Monatshefte fuer Chemie (1976), 107:1413-1421)。
【化9】

【0110】
中間体(III)は、スキーム3に従って、中間体(IV)のチオメトキシ基をR2基で置換することにより製造される。
【化10】

【0111】
中間体(IV)は、シアノジチオイミド炭酸ジメチルをエタノール中、第一級アミン(1〜2当量)で処理し、そして3〜5時間還流することにより製造される(スキーム4を参照)。反応混合物を放置して冷却し、減圧下で蒸発させ、次いで所望の化合物を直接濾過するか、又は引き続いて水を加えて生成物を沈殿させた後濾過して集めた。
【化11】

【0112】
中間体(II)への代りのルートは、中間体(IV)をα−ハロカルボニル化合物と、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で処理し、中間体(V)を得ることである。次いで、中間体(V)を求核試薬、例えば、アルコキシ又はチオアルコキシ誘導体(例えば、NaOMe、NaOEt)で処理して、チオメチル基の置換、閉環を経て、中間体(II)を得る。
【化12】

【実施例】
【0113】
〔実施例1〕
4−{[(4−クロロフェニル)カルボノチオイル]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチルの合成
【化13】

1H−イミダゾール−5−カルボキシラート(29mg、0.1mmol)を、1mlバイアル中でTHF(700μl)に溶解した。高分子支持のジイソプロピルエチルアミン(50mg、3.5mmol/g)、次いで4−クロロベンゾイルクロリド(31mg、0.15mmol)を加えた。反応混合物を終夜室温で撹拌し、その後、Isolute-NH2カラム(200mg)を通して濾過し、THF(1mL)で洗浄した。THFを減圧下で蒸発させ、生成物(20mg、46%)を得た。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:10.39(s,1H),7.92(d,2H),7.43−7.38(m,5H),7.28−7.20(m,2H),2.72(s,6H),1.18(s,9H);MS:m/z=441.02(M+H)+
次いで、フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボキシラート(0.043mmol)及びLawesson試薬(0.042mmol)を、トルエン(1.5mL)に溶解した。溶液をN2雰囲気下で12時間還流し、次いでトルエンを蒸発させた。得られた残留物をK2CO3水溶液(1M、5mL)に溶解し、そして数回ジエチルエーテルで抽出した。有機層を集め、MgSO4で乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。未精製の残留物を、Kromasil C8:10μm:21.2×250mm、及びMeCH5→95%/NH4OAcを溶離液として用いた分取型クロマトグラフィーで精製して、95%の黄色固体生成物を得た。収率:53%。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:11.35(s,1H),7.82(s(broad),2H),7.45−7.21(m,7),2.66(s,5H),1.17(s,9H);MS:m/z=441.01(M+H)+
【0114】
〔実施例2〕
4−{[(1Z)−(4−クロロフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチレン]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチルの合成
【化14】

ヨードメタン(0.26mmol)を、1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボキシラート(0.26mmol)及び炭酸カリウム(71mg、0.52mmol)のDCM(5mL)及びアセトン(1mL)溶液に、撹拌しつつ滴下して加えた。得られた混合物を室温で4時間撹拌して反応を完結させた。未精製の混合物を、後処理することなく次の反応工程で用いた。ピロリジン(5ml)を未精製の混合物に加え、混合物を6時間還流下で加熱した。反応物を室温に冷却し、水で洗浄し、有機物をMgSO4で乾燥し、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(DCM及びメタノール)で精製して固体を得た。収率:29.4%。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.27−7.18(m,7H),6.99(d,2H),3.82−3.64(m,2H),3.19−3.02(m,2H),2.51(s,6H)1.98−1.75(m,4H),1.17(s,9H);MS:m/z=494.11(M+H)+
【0115】
〔実施例3〕
4−アミノ−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチルの合成(中間体として使用される)
【化15】

2CO3(7.01g、50.75mmol)を、N”−シアノ−N,N−ジメチル−N’−フェニルグアニジン(7.96g、42.29mmol)のDMF(50mL)溶液に撹拌しつつ加えた。ブロモ酢酸tert−ブチル(9.90g、50.75mmol)を滴下しながら加え、混合物を60℃で4時間加熱した。混合物を室温に冷却し、その後、NaOH(4.23g、105.72mmol)を水(100mL)に溶解した溶液を加えた。室温で1時間撹拌した後、得られたゴム状物質を反応溶液からデカントし、ジクロロメタン(100mL)に溶解した。有機層を水(100mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして蒸発させて固体を得た。それを酢酸エチルで再結晶化し、白色固体を得た。収量:6.70g、52.4%。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.40−7.23(m,5H),5.02(s,2H),2.61(s,6H),1.22(s,9H);MS:m/z=303.20(M+H)+
【0116】
〔実施例4〕
N−シアノ−N’−フェニルイミドチオカルバミン酸メチルの合成(中間体として用いられる)
【化16】

アニリン(0.093mol)を、エタノール(99.9%、250mL)に溶解したシアノジチオイミド炭酸ジメチル(0.146mol)の溶液に加えた。懸濁液を3時間加熱した。反応物を室温に到達するまで放置し、得られた沈澱物を濾過して取り出した。固体を冷エタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し、生成物を得た。収率:78%。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.91(s,1H),7.46−7.24(m,5H),2.47(s,3H);MS:m/z=192.05(M+H)。
【0117】
〔実施例5〕
N”−シアノ−N’−フェニル−N,N−ジメチルグアニジンの合成(中間体として使用される)
【化17】

N−シアノ−N’−フェニルイミドチオカルバミン酸メチル(0.156mol)を、新たに製造したジメチルアミン(0.313mol)のEtOH(600mL)溶液に加えた。得られた懸濁液を19時間還流し、その後、蒸発乾固した。得られた油状物質を酢酸エチル中で加熱し、冷却して沈澱させた。固体を冷酢酸エチルで洗浄し、減圧下で乾燥し、目的の生成物を得た。収率:55.0%
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.31(t,2H),7.12(t,1H),6.96(d,2H),2.89(s,6H);MS:m/z=189.09(M+H)+
【0118】
以下の化合物は、上記の実施例に類似した方法で合成した、
〔実施例6〕
4−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルカルボノチオイル)アミノ]−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル
【化18】

収率:45.1%。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:11.95(s,1H),7.45−7.36(m),7.31−7.20(m),7.12−7.02(m),6.95−6.79(m),5.03(q,1H),4.92(q,1H),4.20−4.13(m),2.69(s,5H),1.17(s,9H);MS:m/z=481.26(M+H)+
【0119】
〔実施例7〕
4−{[2−(ベンジルオキシ)エタンチオイル]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル
【化19】

収率:24.1%。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:11.71(s,1H),7.47−7.20(m,10H),4.66(s,2H),4.46(s,2H),2.70(s,6H),1.19(s,9H);MS:m/z=467.08(M+H)+
【0120】
分析
LC−MS分析は、Micromass 8 probe MUX-LTC ESP+ systemを用いて行い、純度は、単波長(254nm)UV検出で測定した。XterraTM MS C8 3.5μm、4.6×30mmの8インチ平行カラムによるクロマトグラフィーで精製を行った。流速(15ml/min)を、8カラムに分け、流速(1.9ml/min)を得た。
10分間クロマトグラフィーの勾配は以下の通りである:
移動相A:95%ACN +5%0.010M NH4OAc
移動相B:5%ACN +95%0.010M NH4OAc
10分 0.0分 0%A;
8.0分 100%A;
9.0分 100%A;
9.1分 0%A。
NMR分析は、400MHzで行った。
【0121】
生物学的評価
機能的インビトロアッセイにおける正のアロステリックGABAB受容体モジュレーターの効果
GABAB(1A,2)受容体ヘテロ二量体を発現するCHO細胞における細胞内カルシウム放出に及ぼすGABA及びバクロフェンの効果を、正のアロステリックモジュレーターの存在又は非存在下で検討した。本発明による正のアロステリックモジュレーターは、GABAの効力及び有効性(efficacy)の両者を高めた。
化合物の効力、即ちGABAのEC50を減少させる化合物の能力は、GABAのEC50を50%減少させるのに必要な濃度で示した。これらの効力は、CGP7930(Tocris, Northpoint, Fourth Way, Avonmouth, Bristol, BS11 8TA, UKから購入できる)についてUrwylerらによって報告された効力に類似していた。CGP7930は、GABAの効力をEC50約170〜180nMからEC50約35〜50nMに増加させる。
【0122】
実験方法
材料
Nut mix F-12(Ham)細胞培養用培地、OPTI-MEM I減血清培地、牛胎児血清(FBS)、ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(PEST)、ジェネティシン、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(バッファー)、1M溶液)、ハンクス液(HBSS)及びゼオシンは、Life technologies(Paisley, Scotland)から;ポリエチレンイミン、プロベニシド、バクロフェン及びγ−アミノ酪酸(GABA)はSigma(St Louis, USA)から;Fluo-3 AMは、Molecular Probes(Oregon, USA)から;4−アミノ−n−[2,3−3H]酪酸([3H]GABA)は、Amersham Pharmacia Biotech(Uppsala, Sweden)からそれぞれ入手した。
【0123】
GABAB受容体発現細胞株の創出
GABABR1a及びGABABR2は、ヒト脳cDNAからクローニングし、それぞれpCI−Neo(Promega)及びpALTER−1(Promega)にサブクローニングした。GABABR1a−Gαqi5融合タンパク質発現ベクターは、pCI−Neo−GABABR1acDNAプラスミド及びpLEC1−Gαqi5(Molecular Devices, CA)を用いて構築した。Gαqi5を百日咳毒素非感受性にするために、5’−GGATCCATGGCATGCTGCCTGAGCGA−3’(フォーワード)及び5’−GCGGCCGCTCAGAAGAGGCCGCCGTCCTT−3’(リバース)のプライマーによる標準的PCR法を用いて、356番目のCysをGlyに変異させた。Gαqi5mutcDNAは、pcDNA3.0(Invitrogen)のBamHI及びNotIの制限サイトに連結させた。GABABR1aをコードする配列は、pCI−Neo−GABABR1aから5’−GGATCCCCGGGGAGCCGGGCCC−3’(フォワード)及び 5’−GGATCCCTTATAAAGCAAATGCACTCGA−3’(リバース)のプライマーを用いたPCRで増幅させ、pcDNA3.0−Gαqi5mutのBamHIサイトにサブクローニングした。
【0124】
GABABR2のKozakコンセンサス配列を最適化するため、Altered Sites Mutagenesisキット(Promega)を用い、製造元の指示に従ってプライマー5’−GAATTCGCACCATGGCTTCCC−3’によるその場(in situ)突然変異生成を行った。次いで、最適化したGABABR2をXhoI+KpnIでpALTER−1から制限切断し、最終産物のpcDNA3.1(−)/Zeo−GABABR2を産生させるため、哺乳類の発現ベクターpcDNA3.1(−)/Zeo(Invitrogen)にサブクローニングした。
【0125】
安定な細胞株を創出するため、CHO−K1細胞は、37℃の加湿CO2−インキュベータ内で、FBS(10%)、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を追補したNut mix F-12(Ham)培地中で生育させた。細胞は、EDTA(1mM)のPBS溶液で剥離し、100万細胞を100mmペトリ皿に播種した。24時間後に培養培地をOptiMEMに交換し、CO2−インキュベータ内で1時間インキュベートした。
【0126】
GABABR1a/GABABR2へテロ二量体を発現する細胞株を創出するため、GABABR1aプラスミドDNA(4μg)、GABABR2プラスミドDNA(4μg)及びリポフェクタミン(24μg)を5mLのOptiMEM中で混合し、室温で45分間インキュベートした。細胞はトランスフェクション培地に5時間接触させ、次いでそれを培養培地で置き換えた。細胞は、選択薬剤(ハイグロマイシン(300μg/mL)及びジェネティシン(400μg/mL))を添加する前に、さらに10日間培養した。トランスフェクション後24日に、FACS Vantage SE(Becton Dickinson, Palo Alto, CA)を用いてフローサイトメトリーによる96ウェルプレートへの単一細胞ソーティングを行った。増殖後、GABAB受容体の機能的反応性は、下記のFLIPRアッセイを用いて試験した。最も高い機能的反応性を有するクローンを集め、増殖させ、次いで単一細胞ソーティングによりサブクローンにした。FLIPRで最も高いピーク反応性を有するクローン細胞株を本研究に使用した。
【0127】
GABABR1a−Gαqi5融合タンパク質及びGABABR2を発現する安定した細胞株を創出するため、GABABR1a−Gαqi5mutプラスミドDNA(8μg)、GABABR2プラスミドDNA(8μg)及びリポフェクタミン(24μg)を5mLのOptiMEM中で混合し、室温で45分間インキュベートした。細胞はトランスフェクション培地に5時間接触させ、次いでそれを培養培地で置き換えた。48時間後、細胞を剥離して6ウェルプレートに播種(2,000細胞/ウェル)し、ジェネティシン(400μg/mL)及びゼオシン(250μg/mL)を追補した培養培地中で生育させた。4日後、単一クローン由来の細胞を集め、24ウェルプレートに移した。10日後、細胞クローンをT−25フラスコに播種し、GABAB受容体が仲介する機能的反応を試験する前に、さらに16日間生育させた。最も高いピーク反応性を示すクローンを集め、6ウェルプレート(1,000細胞/ウェル)に播種して上記の工程を繰り返すことによりサブクローニングした。FLIPRで最も高いピーク反応性を示すクローン細胞株を本研究に使用した。
【0128】
FLIPRによるGABAB受容体依存性細胞内カルシウム放出の測定
蛍光イメージング・プレート・リーダー(FLIPR)によるGABAB受容体依存性細胞内カルシウム放出の測定は、CowardらによるAnal. Biochem. (1999) 270, 242-248の記載を若干変更して行った。トランスフェクションされたCHO細胞は、Glutamax-Iを含むNut mix F-12(Ham)にFBS(10%)、ペニシリン(100U/mL)及びストレプトマイシン(100μg/mL)、ゼオシン(250μg/mL)及びジェネティシン(400μg/mL)を追補した培地中で培養した。実験の24時間前に、細胞(35,000細胞/ウェル)を黒色壁のポリ−D−リジンで被膜した96ウェルプレート(Becton Dickinson, Bedford, UK)内の選択薬剤を含まない培養培地に播種した。細胞培養培地を吸引除去し、100μLのFluo-3負荷液(Fluo-3(4μM)、プロベニシド(2.5mM)及びHepes(20mM)を含むNut mix F-12(Ham))を添加した。37℃の5%CO2−インキュベータで1時間インキュベートした後、色素溶液を吸引除去し、細胞を150μLの洗浄液(プロベニシド(2.5mM)及びHepes(20mM)を含むHBSS)で2回洗浄し、次に150μLの洗浄液を加えた。次いで、細胞を蛍光イメージング・プレート・リーダー(Molecular Devices Corp., CA, USA)でアッセイした。試験化合物は、Hepes(20mM)及びDMSO(5%)を含むHBSSで50μMに希釈し、50μLの液量を添加した。蛍光は、GABA(7.6nM〜150nM、50μL)を添加する前、1秒毎に60秒間(試験化合物添加前10秒間及び添加後50秒間)サンプリングし、さらに6秒毎に120秒間サンプリングを継続した。
【0129】
GTPγS
35S]−GTPγS結合アッセイは、牛胎児血清(脂肪酸不含、0.01%)を含む膜タンパク質(上記の細胞株から調製)(0.025μg/μL)、GDP(10μM)、DTT(100μM)及び[35S]−GTPγS(0.53nM)(Amersham-Pharmacia Biotech)を含む膜バッファーの最終液量200μL中で、30℃、45分間で行った。非特異的結合は、GTPγS(20μM)の存在中で測定した。反応は、必要な濃度のPAMの存在又は非存在で、1mMと0.1nMの間の濃度のGABAを添加して開始させた。反応は、氷冷した洗浄バッファー(Tris−HCl(50mM)、MgCl2(5mM)、NaCl(50mM)、pH7.4)を添加して停止させ、続いてMicro 96 Harvester(Skatron Instruments)を用い、Printed Filtermat Aグラスファイバーフィルター(Wallace)(PEI(0.05%)で処理)で、減圧下で急速濾過した。フィルターは、50℃で30分間乾燥し、次いでパラフィンのシンチラントパッドをフィルター上に融解し、結合した放射活性は1450 Microbeta Trilux (Wallac)シンチレーションカウンターを用いて測定した。
【0130】
計算
試験化合物の存在及び非存在におけるGABAの用量反応曲線は、4パラメータのロジスティック方程式、
y=ymax+((ymin−ymax)/1+(x/C)D)、
ここで、C=EC50であり、D=傾斜因子である;
を用いて作成した。
【0131】
GTPγSアッセイにおけるPAMの効力は、測定が行われたときに存在した正のアロステリックモジュレーターの濃度の対数に対して、GABAのEC50の対数をプロットすることにより測定した。
【0132】
一般に、式(I)の化合物の効力は、EC50が30μMから0.001μMの範囲であった。個別のEC50値の例は下表の通りであった。
【表1】

【0133】
IBS(結腸直腸膨張)モデルにおける化合物の効果
結腸直腸膨張(CRD)
CRDのために、連結カテーテルの付いた3cmのポチエチレンバルーン(自家製)を、軽いイソフルラン(Forene(登録商標)、Abbott Scandinavia AB, Sweden)麻酔下で、バルーンの根元から肛門まで2cm遠位結腸に挿入した。カテーテルは尾の付け根にテープで固定した。同時に、化合物投与のための静脈内カテーテル(Neoflon(登録商標)、Becton Dickinson AB, Sweden)を尾静脈内に挿入した。その後、ラットをボールマンケージに入れ、実験を開始する前の少なくとも15分間、鎮静から回復させた。
【0134】
CDR処置の間、バルーンは圧力変換器(P-602, CFM-k33, 100 mmHg; Bronkhorst Hi-Tec, Veenendal, The Netherlands)に接続した。空気圧上昇及びバルーン内圧力をコントロールするために、特製の圧調節器(AstraZeneca, Molndal, Sweden)を使用した。圧調節器をコントロールし、データの収集及び保存を行うために、標準的なPC上で稼動する特製のコンピュータソフトウェア(PharmLab on-line 4.0.1)を使用した。圧調節器が発生する膨張のパラダイムは、アナログ出力チャンネルにパルスパターンを作り出すことによって得た。CRDのパラダイムは、5分間隔で30秒間のパルス幅を有する80mmHgで12回の反復する位相性膨張から成るものであった。
【0135】
CRDに対する反応は、膨張パルス期間中のバルーン内圧力の相変化を記録し定量することにより評価した。結腸内バルーンの定圧膨張中の圧力振動は、膨張処置に伴う腹筋収縮を反映するものであり、従って、内臓起源の疼痛の存在に関連した内臓運動反応(VMR)の有効な評価であると考えられた。
【0136】
データの収集及び解析
バルーン圧力シグナルは、50Hzで抽出し、後にデジタルフィルタリングにかけた。圧調節器から発生するゆっくり変化する圧力と収縮誘導性の圧力変化を分離するため、1Hzの高域通過フィルターを使用した。圧力発生器と圧力変換機の間の通気抵抗は、動物の腹部収縮によって起こる圧力変化をさらに強めた。また、回線周波数干渉を排除するために、49〜51Hzの帯域消去フィルターを使用した。バルーン圧力シグナルの位相変化を定量するため、特製のコンピュータソフトウェア(PharmLab off-line 4.0.1)を使用した。バルーン圧力シグナルの平均整流値(ARV)は、パルス前の30秒間(ベースライン活性)及びパルス中(膨張に対するVMRの尺度として)について計算した。パルス解析を行う場合、各パルスの最初と最後の秒は、バルーンの膨張及び収縮中に圧調節器から発生した人為的なシグナルを反映し動物起源ではないため、排除した。
【0137】
結果
正のアロステリックモジュレーターの効果は、ラットの定圧CRDに対するVMRで試験した。80mmHgで12回膨張から成るパターンを使用した。化合物は、1〜50μmol/kgの用量で投与し、CRDに対するVMRを対照のビヒクルと比較した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

の化合物、並びに薬学的及び薬理学的に許容されるその塩、並びに式(I)の化合物のエナンチオマー及びその塩。
上記式中、
1は、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、SO37、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
1は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され、ここで、R1の定義に用いられるアリール又はヘテロアリール基のいずれも、更に1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く、ここで、C1−C10アルキルは、更に1つ又は2つのアリール又はヘテロアリールで置換されても良く;
2は、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ又はNR56を表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
3は、C1−C10アルコキシを表わし、それは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
1−C10アルキル;C2−C10アルケニル;C2−C10アルキニル;又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
3は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
3は、アミノを表わし、それは、場合により、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルにより一又は二置換され;
Yは、
【化2】

を表わし;
4は、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C1−C10アルコキシ又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ケト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、COR10、ニトリル、SO2NR89、SO211、NR8SO29、NR8C=ONR9、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は
4は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、SO37、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され、ここで、R4の定義に用いられるアリール又はヘテロアリール基は、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く、ここで、C1−C10アルキルは、更に、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換されても良く;
5は、水素、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
5は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
6は、水素、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル又はC3−C10シクロアルキルを表わし、それぞれは、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
6は、アリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれは、場合により、C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;又は、
5及びR6は、一緒になってC、N及びOから選択される3〜7個の原子から成る環を形成し、ここで、該環は、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ケト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され;
7は、それぞれ独立に、C1−C10アルキルを表わし;
8は、それぞれ独立に、水素、C1−C10アルキル、アリール又はヘテロアリールを表わし、ここで、アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
9は、それぞれ独立に、水素、C1−C10アルキル、アリール又はヘテロアリールを表わし、ここで、アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
10は、それぞれ独立に、C1−C10アルキルを表わし、それは、場合によりアリール又はヘテロアリールで置換され、ここで、アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
11は、C1−C10アルキル、アリール又はヘテロアリールを表わし、ここで、アリール又はヘテロアリールは、場合により、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く;
1及びR3〜R11の定義に使われるアルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルのそれぞれは、独立に、O、N又はSで置換された1つ又はそれ以上の炭素原子を有しても良く、ここで、O、N又はSのいずれも別のO、N又はSに隣接せず;
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ及びシクロアルキルのそれぞれは、独立に、フッ素で置換された1つ又はそれ以上の炭素原子を有しても良く;
但し、YがNHSO2又はNHCS表わす場合は、R2はアルコキシのみを表わす。
【請求項2】
1がC1−C4アルキルを表わし、それが、場合により、1つのアリール又は2つのヘテロアリールで置換された、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1がアリールを表わし、それが、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、SO37、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換された、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1が無置換のフェニルを表わす、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
2がC1−C4アルキルを表わす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
3がC1−C4アルコキシを表わし、それが、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
3がC1−C10アルキル表わし、それが、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10チオアルコキシ、C3−C10シクロアルキル、ケト、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
4がC1−C7アルキル、C2−C7アルケニル、C2−C7アルキニル又はC3−C7シク
ロアルキルを表わし、それらが、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルコキシ、C3−C10シクロアルキル、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、SO2NR89、NR8SO29、NR8C=ONR9、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換され、ここで、R4の定義に用いられるアリール又はヘテロアリール基のいずれも、更に、1つ又はそれ以上のハロゲン類、C1−C10アルキル、C1−C10アルコキシ又はC1−C10チオアルコキシで置換されても良く、ここで、C1−C10アルキルは、更に、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換されても良い、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
4がC1−C4アルキルを表わし、それが、場合により、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換された、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
4がC1−C4アルキルを表わし、それが、1つ又は2つのアリール又はヘテロアリール基で置換された、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
4がアリール又はヘテロアリールを表わし、それが、場合により、1つ若しくはそれ以上のC1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、C3−C10シクロアルキル、C1−C10アルコキシ、C1−C10チオアルコキシ、ハロゲン類、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボン酸、CONR89、NR8COR9、CO210、ニトリル、又は1つ若しくは2つのアリール若しくはヘテロアリール基で置換された、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
5がC1−C4アルキルを表わす、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
5がメチルを表わす、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
6がC1−C4アルキルを表わす、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
6がメチルを表わす、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
5及びR6がC、O及びNから選択される5〜6個の原子から成る環を形成する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
Yが、
【化3】

を表わす、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
Yが、
【化4】

を表わす、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
1がアリールを表わし;
2がNR56を表わし;
3がC1−C10アルコキシを表わし;
Yが、
【化5】

を表わし;
4がC1−C10アルキルを表わし、それが、場合により、1つのアリールで置換され;又は
4がアリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれが、場合により、1つのハロゲンで置換され;
5が水素、C1−C10アルキルを表わし;
6が水素、C1−C10アルキルを表わし;又は、
5及びR6が一緒になってC又はNから選択される3〜7個の原子から成る環を形成し;
ここで、R4の定義に用いられるアルキルは、Oで置換された1つの炭素原子を有しても良い、
請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
1がアリールを表わし;
2がNR56を表わし;
3がC1−C4アルコキシを表わし;
Yが、
【化6】

を表わし;
4がC1−C10アルキルを表わし、それが、場合により、1つのアリールで置換され;又は
4がアリール又はヘテロアリールを表わし、それぞれが、場合により、1つのハロゲンで置換され;
5がC1−C4アルキルを表わし;
6が水素、C1−C4アルキルを表わし;又は、
5及びR6が一緒になってC又はNから選択される5〜6個の原子から成る環を形成し;
ここで、R4の定義に用いられるアルキルは、Oで置換された1つの炭素原子を有しても良い、
請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
以下の化合物:
4−{[(4−クロロフェニル)カルボノチオイル]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;
4−{[(1Z)−(4−クロロフェニル)(ピロリジン−1−イル)メチレン]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;
4−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルカルボノチオイル)アミノ]−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;及び
4−{[2−(ベンジルオキシ)エタンチオイル]アミノ}−2−(ジメチルアミノ)−1−フェニル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸tert−ブチル;
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項23】
治療に使用される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、胃食道逆流症(GERD)を治療するための薬剤を製造するための使用。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、逆流を防止するための薬剤を製造するための使用。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)を抑制するための薬剤を製造するための使用。
【請求項27】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、機能性胃腸障害を治療するための薬剤を製造するための使用。
【請求項28】
機能性胃腸障害が機能性消化不良である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物の、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせた、過敏性腸症候群(IBS)を治療するための薬剤を製造するための使用。
【請求項30】
IBSが便秘優勢IBSである、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
IBSが下痢優勢IBSである、請求項29に記載の使用。
【請求項32】
IBSが交替排便優勢IBSである、請求項29に記載の使用。
【請求項33】
胃食道逆流症(GERD)の治療方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法。
【請求項34】
機能性胃腸障害の治療方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法。
【請求項35】
過敏性腸症候群(IBS)の治療方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の薬学的及び薬理学的有効量を、場合によりGABAB受容体アゴニストと組み合わせて、その治療を必要とする対象に投与する方法。

【公表番号】特表2009−521428(P2009−521428A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547165(P2008−547165)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001462
【国際公開番号】WO2007/073298
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】