説明

胃腸管の微生物の定着の増進

【課題】有益微生物を大腸に送達するだけではなく、大腸に到達した際に微生物の成長を促進するように機能する培地(medium)をも含む組成物を提供する。
【解決手段】一つまたは二つ以上の共生微生物を動物の大腸へ輸送または胃腸管の他の領域へ輸送するように機能する担体であって、修飾もしくは未修飾耐性澱粉またはそれらの混合物を含み、大腸中または胃腸管の他の領域中の微生物の成長培地または維持培地として作用する担体、およびオリゴ糖を含む組成物。この組成物を動物に供給することを含む、動物の胃腸管中の共生もしくは常住性微生物の数の増加方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は栄養組成物の影響の増進、特に胃腸管とりわけヒトを包含する動物の大腸への共生微生物の送達および胃腸管中での共生微生物の維持のための組成物の影響の増進方法に関する。この明細書に用いる共生物(probiotics)または共生微生物(probiotic microorganisms)とは、腸の微生物バランスを改善して宿主動物に有益な影響を与える、生きた微生物食餌補助(live microbial feed supplement)物である。これは Journal of Applied Bacteriology, 1989, 66, 365-378 頁”Probiotics in Man and Animals - A Review(ヒトおよび動物中の共生−展望)”において R. Fuller (AFRC Institute of Food Research, Reading Laboratory, UK)により設定された定義である。
【背景技術】
【0002】
人々の健康および安寧は胃腸管特に大腸に生息する微生物によりポジテイブにもネガテイブにも影響されることは多くの科学者の主張である。これらの微生物は毒素、代謝副産物、短鎖脂肪酸等の生産を通じて宿主の生理的状態および健康に影響を及ぼす。
【0003】
消化微生物叢の構成および量は疾病、ライフスタイル、旅行、および他の因子により誘発される条件またはストレスにより影響され得る。個人の健康と安寧にポジテイブに影響する微生物が大腸に定住するように助長され得るならば、かかる個人の生理的安寧が改善されるはずである。
【0004】
有益微生物または共生物の導入は通常、その生物が生存できる条件で大腸に到達するように、飲み物、ヨーグルト、カプセル、および他の形態での微生物の摂取により遂行される。大腸中の耐性澱粉の細菌醗酵により高レベルの短鎖脂肪酸特にプロピオネートおよびブチレート等の有益なタイプの脂肪酸が生ずることは Englyst H.N. (1987)らにより証明された(”Polysaccharides breakdown by mixed populations of human faecal bacteria ( ヒト糞便バクテリアの混合集団によるポリサッカライド分解)”、FEMS Microbiology Ecol 95: 163-71。)
本発明者らは、共生微生物を大腸に送達するだけではなく、また大腸に到達した際に微生物の成長を促進するように機能する培地(medium)を提供することもまた望ましいことを認識した。意外なことに、修飾または未修飾の耐性澱粉(resistant starches)が大腸への共生微生物の輸送手段として、および大腸の標的領域へと送達された微生物のための成長培地の両方として機能し得ることを見出した。国際公表番号WO 96/08261 号では、かかる共生組成物を開示しており、この内容を便利な相互参照用の目的で本明細書中に加入する。
【0005】
これら組成物の有益な効果を増進させるように、動物またはヒトに提供された共生微生物の胃腸管内の数および/または生存をさらに増強することは有利であろう。ここに本発明者らは、改良された共生組成物、およびヒトを包含する動物の胃腸管へと共生微生物を送達する改良方法を開発した。
【0006】
発明の開示
最初の局面で本発明は、一つまたは二つ以上の共生微生物、一つまたは二つ以上の共生微生物を大腸または、胃腸管の他の領域へと輸送する機能を有する担体、およびオリゴ糖を含む共生組成物からなり、ここでの担体は修飾もしくは未修飾耐性澱粉またはそれらの混合物を含んでおり、この担体は大腸中または胃腸管の他の領域中で微生物に対する成長培地もしは維持培地として作用するものである。 第二の局面で本発明は、動物の胃腸管中の共生微生物または常在性(resident)微生物の数の増加方法にあり、この方法は一つまたは二つ以上の共生微生物、一つまたは二つ以上の共生微生物を大腸または、胃腸管の他の領域へと輸送する機能を有する担体、およびオリゴ糖を含む共生組成物を動物に提供することを含み、ここでの担体は修飾もしくは未修飾耐性澱粉またはそれらの混合物を含んでおり、この担体は大腸中または胃腸管の他の領域中で微生物に対する成長培地もしくは維持培地として作用するものである。
【0007】
本発明は、共生的治療または投与により恩恵を受けることがてきるいずれの動物にも適用されることは理解されるはずである。特に本発明はヒト用に好適である。
【0008】
広範囲な一つの局面では、上記耐性澱粉は共生微生物を大腸へ輸送する担体として機能する。これらの微生物を大腸中に導入すると、既に説明したように有益である。その上、耐性澱粉は大腸中に存在すると既に大腸中に存在する微生物に対する栄養源として機能する。共生組成物にオリゴ糖を添加すると胃腸管中の共生微生物の数の増加と永続性とを生起させる予想外の効果がある。
【0009】
栄養源としての耐性澱粉を微生物が利用し得るように、いくつかの共生微生物を選択できる。このように、耐性澱粉はこれら共生微生物に対する担体および栄養源の両方として機能する。
【0010】
本発明に使用するのに適する種々の共生微生物が存在し、これらにはSaccharomyces 等の酵母、およびBifidobacterium、Bacteroides、Clostridium、Fusobacterium、Propionibacterium、Streptococcus、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、PeptostreptococcusおよびLactobacillus属等のバクテリアが包含される。しかし本発明は、これら特定の微生物のみに限定されるものではなく、当業者は本発明組成物中に包含できるこれら微生物を理解し、かつ認識するはずである。
【0011】
好ましい実施態様では、この共生微生物はBifidobacteriumである。
【0012】
投与される共生微生物の典型的濃度範囲は1日当たり10から1013細胞である。共生投与の場合、通常1日当たり約10細胞が用いられる。
【0013】
共生組成物を投与する場合、典型的な消費割合は体重kg当たり約0.1から10gである。体重kg当たり約1gの消費が適当であることが判明している。
【0014】
本発明に適するオリゴ糖の中には消費用に入手できる、任意のオリゴ糖が包含される。市場で現在入手できるオリゴ糖には、フルクト- 、ガラクト- 、マルト- 、イソマルト- 、ゲンチオ- 、キシロ- 、パラチノース- 、ダイズ- (ラフイノースおよびスタキオースを包含)、キト- 、アガロ- 、ネオアガロ- 、α−グルコ- 、β−グルコ- 、シクロ- イヌロ- 、グリコシルスクロース、ラクツロース、ラクトスクロースおよびキシルスクロースが包含される。しかし他のオリゴ糖もまた本発明組成物中に含ませるのに適するであろうことは業界における熟練者には十分理解されるところである。
【0015】
本発明に対して好適なオリゴ糖の一つはフルクト−オリゴ糖(Raftilose)である。しかしこの特定オリゴ糖は本発明者らにより実施された実験で好適であると判明したが、他のオリゴ糖もまた共生組成物において同様に有益な効果を有することが予想されるであろうことは十分理解し得るはずである。
【0016】
オリゴ糖は約0.01から10%(w/w)濃度で組成物中に使用できる。好ましいオリゴ糖濃度は約0.05から5%である。0.1%から1%(w/w)が本発明の組成物において望ましい有益な効果を生ずる。
【0017】
本発明の重要な効果の一つは、共生微生物および耐性澱粉をオリゴ糖と組み合わせると、オリゴ糖不在の共生組成物に比べて、送達された微生物の有益な効果の相乗的増進が起こることである。この結果は驚くべきであり、かつ予想外であり、したがって本発明は従来の共生組成物および胃腸管へ共生微生物を送達する方法を越えた重要な改良を提供するものである。
【0018】
この明細書で使用するように、”耐性澱粉”には、Brown, McNaught およびMoloney (1995) らによる Food Australia 47:272-275中で定義されたRS1 、RS2 、RS3 およびRS4 として定義された形態が包含される。本発明では修飾もしくは未修飾耐性澱粉のいずれも、またはこれらの混合物も使用される。共生組成物中の耐性澱粉の有利性は、このものが大腸に到達するまでは大部分が分解されないことである。したがって大腸に到達するやいなや、共生微生物による醗酵のために容易に利用できる基質をこれが提供する。両方の場合で、耐性澱粉の好ましい形態は高アミロース澱粉特にWO 94/03049 号およびWO 94/14342 号で開示および教示の高アミロース澱粉であり、この文献内容は便利な相互参照用の目的で本明細書中に包含する。
【0019】
WO 94/03049 号およびWO 94/14342 号には、高アミロース澱粉が開示され、これらは耐性澱粉であり、かつこの中には50% W/W またはそれ以上、特に80% w/w またはそれ以上のアミロース含有量のトウモロコシ澱粉、27% w/w またはそれ以上のアミロース含有量の米および小麦澱粉および;50%またはそれ以上のアミロース含有量で耐性澱粉含有量を増加させた特有の粒状サイズ範囲の澱粉であってトウモロコシ、大麦、小麦およびマメ類が包含される澱粉等があげられる。しかし、本発明はこれらの形態の耐性澱粉に限定されるものではない。例えば、バナナまたは他の種の果物、ジャガイモ等の塊茎、およびこれらの混合物または組み合わせ等の供給源に由来する他の形態の耐性澱粉も本発明の場合に適する。
【0020】
本発明で使用する組成物は、共生微生物、担体およびオリゴ糖が組み合わせで提供されるように調製することができる。別法として、共生微生物および担体は二つの別個の部分で提供されていてもよい。この形態では、共生微生物含有部分または担体およびオリゴ糖含有部分のいずれかが先ず消費され、その直後に他の部分が消費される。同様に、共生的微生物および担体が一つの部分で提供され、かつオリゴ糖が他の部分で提供されてもよい。この形態では、共生微生物および担体を含む部分が先ず消費され、その直後に他の部分が消費される。上記順序とは逆の順序でこれらの部分が投与され得ることは十分理解されうるところであろう。 未修飾形態では、耐性澱粉は上記組成物が大腸に到達した際に共生微生物による醗酵に対する基質として役立つ。
【0021】
微生物および耐性澱粉の間の付着的相容性を増進するために,例えば顆粒および/または顆粒表面の荷電密度または疎水性を変更する目的の澱粉の化学的修飾もまた都合がよい。エーテル化、エステル化、酸性化等の化学的修飾は、この業界では適切な化学的処理として周知である。同様に物理的、酵素的または他の手段によって誘導される他の修飾も当業者に周知である。
【0022】
この澱粉の立体配座または構造を変えて耐性澱粉の酵素感受性の程度を修飾するのも有用である。この例のなかには、酸もしくは酵素菲薄化(thinning)および2官能試薬(difunctional reagents)を用いる交差結合(cross bonding)が包含される。
【0023】
澱粉の修飾は結晶化によっても実施できる。かかる方法は当業界では既知であり、本発明の場合にも適当である。
【0024】
ここに用いるHi−MaizeTM(登録商標)は、Starch Australasia Limited から入手した高アミロース澱粉を指す。
【0025】
本発明を一層明瞭に理解するために、図面および実施例を参照しながら好ましい形態を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
方法
表1.ブタダイエット処方
g/Kg
ダイエット処方 ダイエット1&2 ダイエット3&4
カゼイン 160 160
トウモロコシ澱粉 498 −
Hi−maizeTM澱粉 − 493
スクロース 100 100
べにばな油 40 40
小麦ふすま (Laucka) 200 200
ビタミン/ミネラル 2 2
【0027】
実験のためにブタ16匹を4匹×4群に分けた。全てがそれら自身の制御下にあり、かつ各ダイエットに時間をとる。ブタに1週間、実験的ダイエットを与え、次ぎの1週間は Oliquindox 含有ペレットを与えて掃除(cleaning out)した。実験的給餌は毎第2土曜に開始し、ブタには1日2回食餌を与えた。全てのブタの全ての食事と共に Probiotic (Bifidobacterium longum 1941 )共生物を与えた。ダイエット2および4のブタにはフルクト- オリゴ糖(Raftilose)を与えた。最終給餌の週後は、Probiotic を与えずに、さらに7日間全ての動物に実験的ダイエットを与えたままにした。
ブタに与えた量の処方: 70g×(体重)
与えたProbiotics: 0.5g/kg体重
フルクト- オリゴ糖: 1g/kg体重
【0028】
サンプリング:
全糞便出量 月曜から土曜朝9amに全糞便出量を毎日秤量し、採取
時間と共に正確に記録する。
VFA 各朝給餌後、水曜、木曜および金曜に新鮮な糞便試料を
採取する。10mlプラスチック製遠心管中に1.5から
2.0gを正確に秤量し、内部標準を用いて3倍希釈し
(3.52mM Oananthic 酸pH 7.0)、遠心分離
してデカンテーションする。
pH VFA内部標準で希釈後、糞便pHを測定。水曜、木曜
および金曜。
糞便湿気 木曜に各動物からの糞便の秤量済み試料を凍結乾燥する。
胆汁酸および中性ステロール 水曜から土曜朝の全ての糞便を採取し、かつプールし、
週末を通じて空気乾燥する。次の月曜に試料を均質化し、
かつ凍結乾燥する。
バクテリア 各木曜の朝給餌直後、自然に存在または残留している
Bifidobacterium のレベルを確定するための、実験開始
時および各掃除段階で採取する新鮮糞便試料。木曜およ
び金曜朝給餌直後の各実験段階で採取する新鮮糞便試料。
実験終了時、動物を犠牲にし、バクテリアおよびVFA
分析用に近位、中央および末端結腸(colon)内容物を
サンプリングした。全てのブタは、火曜および金曜の
給餌前に体重を測定した。
【0029】
結果
表2に示したように、Hi−maizeTM プラス オリゴ糖 プラスbifidobacteria(1.38×10CFU/g)を投与した動物中の bifidobacteria 数は、Hi−maizeTM+ bifidobacteria (7.24×10CFU/g)を 投与した動物中の bifidobacteria 数の2倍多く、オリゴ糖+ bifidobacteria(1.9×10CFU/g)を投与した場合よりも約10倍多いことが判る。トウモロコシを与えた対照動物は5.5×10 CFU/g bifidobacteria を有していた。

表2 凍結乾燥 Bif. Iongum 1941 と共に4種の実験的ダイエットのいずれかを7日の期間を通じて与えたブタ16匹からの糞便試料からの生存bifidobacteria カウント数(CFU/g)
トウモロコシ Maize/ Hi-maizeTM Hi-maizeTM/
(Maize) フルクト
(Fructo) フルクト
Bifidobacterium
カウント 5.5 × 107 1.9 × 108 7.24 × 108 1.38 × 109
【0030】
ヒト糞便ホモジネートの in vitro での研究の実験を実施した。この実験的デザイン中には、オリゴ糖(0.5%または1%)および Bifidobacterium 株 X8 AT1(1%接種材料)の不在または存在下にHi−maizeTM(0.5%または1%)を用いて Wilkin Chalgren's ブロス(broth) (1:1000 wt/vol)中に希釈したヒト糞便ホモジネートの保温工程が包含される。37℃での嫌気性保温6時間後、種々の培養物のpHを測定し、そのpHを6.5に調整した。次いで培養物を6時間さらに保温した。このpH値を表3に示し、かつ Bifidobacterium 数を図2に示す。表4は図2に示した結果の統計分析である。
【0031】
Bifidobacterium のpH値およびカウント数の両方は、Hi−maizeTM(0.5%)およびフルクト- オリゴ糖(0.5%)がこの混合物中に一緒に含まれる場合に相乗効果があることを示している。この組合わせの場合の値は1%Hi−maizeTMまたは1%フルクト- オリゴ糖を単独で使用した場合よりも大きい。その上、比成長速度は、Hi−maizeTM単独またはフルクト- オリゴ糖単独における場合よりも、Hi−MaizeTM(0.5%)およびフルクト- オリゴ糖(0.5%)混合物中における成長の場合の方が大きい。

表3 共生組成物中のオリゴ糖の相乗効果を示す培養物のpH値
炭素源 + 接種材料 6時間 12時間
0.5% Raftilose + 糞便スラリー + X8AT1 5.59 6.03
0.5% Hi-maizeTM + 糞便スラリー + X8AT1 6.04 6.36
0.5% Hi-maizeTM + 0.5% Raftilose + 糞便
スラリー + X8AT1 4.95 5.47
1% Hi-maizeTM + 糞便スラリー + X8AT1 5.5 5.74
1% Raftilose + 糞便スラリー + X8AT1 4.62 5.68



表4 図2に示す糞便培養物中の bifidobacteria 数の結果の統計的分析
グループ 培養物 Bifidobacterium 有意性*
(CFU/ml)
1 0.5% Raftilose + 糞便スラリー
+ X8AT1 5.96±0.02 99%
2 0.5%Hi−maizeTM +
糞便スラリー + X8AT1 5.11±0.10 99%
3 0.5% Raftilose + 0.5%
Hi−maizeTM +
糞便スラリー + X8AT1 6.51±0.08 −
4 1%Hi−maizeTM +
糞便スラリー + X8AT1 5.14±0.38 99%
5 1% Raftilose +糞便スラリー
+ X8AT1 6.22±0.13 95%
* Scheffe F-Test ( グループ3と比較)
【0032】
用途
図1および図2の結果は、オリゴ糖+Hi−maizeTM+ bifidobacteria を投与ししたブタでは、オリゴ糖+ bifidobacteria またはHi−maizeTM+ bifidobacteria を与えたブタで観察された場合よりも著しく長期間、bifidobacteriaの高レベルが持続したことを示す。
【0033】
本発明者らは実施例で、オリゴ糖、耐性澱粉および bifidobacteria の組み合わせが:
(a)腸 bifidobacteria 数の増加の効果を、添加効果を超えて一層増強し;かつ
(b)三つの成分を経口で投与すると長期間に亙ってその数が持続する
ことを示した。
【0034】
共生物の通常の用途以外にも、耐性澱粉+オリゴ糖+ bifidobacteria の組み合わせは、投与を中止後でも著しく多数の bifidobacteria の永続性が引き伸ばされる結果になった。この追加的用途は、例えば旅行等で日々の投与ができない状況下では価値がある。Hi−maizeTM プラス bifidobacteria をこれらの動物に用いた場合、同様に永続性が観察された。
【0035】
特定実施態様で示したこの発明に対して、広く記載した本発明の精神と範囲から逸脱することなく多くの変形および/または修飾がなし得ることは当業界の専門家には十分理解し得るはずである。したがって、ここに記載の実施態様は、あらゆる観点において説明目的のものであり、制限を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、実験動物における共生的 bifidobacteria 投与の中止後およびHi−maizeTM+ フルクト(fructo)- オリゴ糖ダイエット(diet)継続後の bifidobacteria の持続性を示す。
【図2】図2は、bifidobacteria Z8 AT1 、Hi−maizeTM+ フルクト- オリゴ糖を投与した、ヒト糞便スラリー培養物中の bifidobacteria 数を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは二つ以上の共生微生物;一つまたは二つ以上の共生微生物を動物の大腸または胃腸管の他の領域へ輸送するように機能する担体であって、修飾もしくは未修飾耐性澱粉またはそれらの混合物を含み大腸中または胃腸管の他の領域中の微生物の成長培地または維持培地として作用する担体;およびオリゴ糖を含んでなる共生組成物。
【請求項2】
共生微生物が、酵母、バクテリア、およびこれらの混合物から選択される、請求項1記載の共生組成物。
【請求項3】
酵母が、Saccharomycesである、請求項2記載の共生組成物。
【請求項4】
バクテリアが、Bifidobacterium、Bacteroides、Clostridium、Fusobacterium、Propionibacterium、Streptococcus、Enterococcus、Lactococcus、Staphylococcus、PeptostreptococcusおよびLactobacillus属からなる群から選択される、請求項2記載の共生組成物。
【請求項5】
バクテリアがBifidobacteriumである、請求項4記載の共生組成物。
【請求項6】
オリゴ糖が0.01から10%(w/w)の濃度で用いられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の共生組成物。
【請求項7】
オリゴ糖濃度が0.05から5%(w/w)である、請求項6記載の共生組成物。
【請求項8】
オリゴ糖が、フルクト- 、ガラクト- 、マルト- 、イソマルト- 、ゲンチオ- 、キシロ- 、パラチノース- 、ダイズ- (ラフイノースおよびスタキオースを包含)、キト- 、アガロ- 、ネオアガロ- 、α−グルコ- 、β−グルコ−、シクロ- イヌロ- 、グリコシルスクロース、ラクツロース、ラクトスクロースおよびキシルスクロースからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の共生組成物。
【請求項9】
オリゴ糖がフルクト-オリゴ糖である、請求項8記載の共生組成物。
【請求項10】
耐性澱粉が、トウモロコシ、大麦、小麦、米もしくは他の穀物、マメ、バナナもしくは他の種の果物、ジャガイモ、またはこれらの混合物に由来する、請求項1から9のいずれか一項に記載の共生組成物。
【請求項11】
耐性澱粉が、アミロース含有量50% w/w もしくはそれ以上の高アミロース澱粉、または、アミロース含有量27% w/w もしくはそれ以上の米および小麦澱粉である、請求項10記載の共生組成物。
【請求項12】
耐性澱粉が、アミロース含有量80% w/w もしくはそれ以上の高アミロース澱粉である、請求項11記載の共生組成物。
【請求項13】
耐性澱粉が物理的、化学的、酵素的に修飾され、2官能試薬を用いて交差結合され、または結晶化により修飾される、請求項1から12のいずれか一項に記載の共生組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の共生組成物を動物に供給することを含む、動物の胃腸管中の共生もしくは常住性微生物の数の増加方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−137962(P2009−137962A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309759(P2008−309759)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【分割の表示】特願平9−532982の分割
【原出願日】平成9年3月20日(1997.3.20)
【出願人】(502134096)ザ、ユニバーシティ、オブ、ニュー、サウス、ウェイルズ (1)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NEW SOUTH WALES
【出願人】(508316128)バーンズ、フィルプ、エンド、カンパニー、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BURNS PHILP & COMPANY LIMITED
【出願人】(508316139)バーンズ、フィルプ、リサーチ、エンド、ディベロップメント、プロプライエタリ、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BURNS PHILP RESEARCH & DEVELOPMENT PTY LIMITED
【出願人】(508316106)コモンウェルス、サイエンティフィク、エンド、インダストリアル、リサーチ、オーガナイゼーション (2)
【氏名又は名称原語表記】COMMONWEALTH SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION
【出願人】(508316140)アーノッツ、ビスキッツ、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ARNOTT’S BISCUITS LIMITED
【出願人】(508316151)ギスト‐ブロウケイズ、オーストラリア、プロプライエタリ、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】GIST−BROCADES AUSTRALIA PTY LIMITED
【出願人】(508316117)グッドマン、フィールダー、イングレディエンツ、リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】GOODMAN FIELDER INGREDIENTS LIMITED
【Fターム(参考)】