説明

胃腸管運動障害を処置するために有用な組成物

本発明は、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を有する化合物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストおよびその薬学的に許容され得る塩、水和物または溶媒和物、またはアシッドポンプアンタゴニストもしくはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)を、被検体に同時投与することを含む、処置の必要な被検体における胃腸管運動障害を処置する方法に関し、ここで第1または第2の量は共に治療有効量を含む。特に、該方法はGERDを処置するためであり、夜間GERDを含む。本発明は更に、5−HT受容体アゴニスト活性、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を有する化合物の治療有効量を被験体に投与することを含む、処置の必要な被験体における夜間GERDを処置する方法に関する。本発明は更に、それの必要な被験体における増加する食道の運動の方法に関する。増加する食道の運動の方法は、5−HT受容体アゴニスト活性、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を有する化合物を投与することにより得られ得る。同時投与はまた、食道の運動を増加させるために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年8月3日に提出された米国仮特許出願第60/598,235号、および2003年8月29日に提出された米国仮特許出願第60/499,200号の利益を請求する。上記の出願の教示全体が、参照として本明細書中に援用されている。
【0002】
発明の背景
胃腸管(GI)運動は、腸によって、摂取された物質の運動を規則正しく整え、栄養素、電解質、および流体の充分な吸収を保証する。食道、胃、小腸、および結腸を通った適切な輸送は、前進運動を調整し、GI内容物の逆流を防ぐ管内の圧力の局所の制御およびいくつかの括約筋に依存する。通常のGI運動性パターンは、疾患および手術を含む、様々な環境によって損なわれ得る。
【0003】
胃腸管運動の障害は、例えば、胃不全麻痺、および胃食道逆流性疾患(GERD)を含み得る。胃不全麻痺は、胃内容物の排出遅延である。胃不全麻痺の症状は、胃不調、胸焼け、悪心、および嘔吐を含む。急性胃不全麻痺は、例えば、薬物、ウイルス性腸炎および高血糖症により引き起こされ、一般的には、運動性障害よりもむしろ根底にある疾患を処置することにより対処される。胃不全麻痺を生じる最も共通の根底にある疾患は、糖尿病である。
【0004】
胃食道の逆流は、胃内容物(例えば、胃酸)が逆流するすなわち胃から食道へ逆戻りして流れる身体の状態である。頻繁な逆流エピソード(例えば、一週間につき2回以上)は、GERDとして知られる、より深刻な問題を生じ得る。GERDの最も共通な症状は、胸骨(breastbone)または前胸部骨(sternum)の後ろでの焼ける感覚または不快感であり、消化不良または胸焼けという。消化不良はまた、心筋梗塞または深刻な狭心症の症状に類似し得る。GERDの他の症状は、嚥下困難、嚥下痛、出血、胸焼け、および呼吸器系での症状発現(喘息、再発性肺炎、慢性咳、酸誤嚥(aspiration)および/もしくは迷走神経の刺激による間欠性の喘鳴、耳痛、さ声、喉頭炎、もしくは咽頭炎など)を含む。
【0005】
GERDを生じる逆流エピソードは、日中(すなわち、被験体が起きている状態の場合)および夜間(すなわち、被験体が起きていない状態の場合)の両方で起こり得る。夜間に起こるGERDは、一般的に夜間GERDという。夜間GERDは、逆流エピソードのタイミングだけではなく、逆流の結果として起こる損傷の深刻さによって、昼間または日中GERDとは異なる。より具体的には、夜間GERDは、咽頭および喉頭に特に損傷を与え得、夜間GERDおよび喘息の間には強い関連が存在する。夜間GERDに関連する、増加する損傷は、患者が睡眠している時に起こる逆流に対して、通常、保護することを助ける自然の機構(例えば、唾液生成およびえん下)における減少による。この減少は、食道を、損傷を受けやすくしておき、微小誤嚥を増加させ得る。更に、睡眠中、身体は横になっており、重力の影響を取り除き、食道から胃の内容物を除去し得る。睡眠障害はまた、夜間GERDに関連し、日中の眠気および生活の全般の質の著しい減少をもたらす。
【0006】
慢性では、GERDは、食道を潰瘍形成または食道炎に供し、食道の糜爛、食道の閉塞、著しい血液の喪失、および食道の穿孔などの、より深刻な合併症を生じ得る。深刻な食道の潰瘍形成は、65才を超える患者の20〜30%で起こる。食道の糜爛および潰瘍に加えて、胃酸に対する食道の粘膜の長時間の曝露は、バレット食道として知られる状態に導き得る。バレット食道は、異常な円柱上皮による通常の扁平上皮の置換により特徴付けられる、食道の障害である。組織構造におけるこの変化は、深刻な逆流の指標としてだけではなく、癌の指標として、臨床的に重要である。
【0007】
多くの要素は、GERDの始まりに貢献すると信じられている。いくつかの要素は、下部食道括約筋(LES)の機構が適当に働かないことを含む。これらの要素は、例えば、増加した一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)および減少した下部食道括約筋(LES)休止緊張を含む。LESは、食道の下部3センチメートルを含む、生理学的、非解剖学的部位であり、身体における他の平滑筋性括約筋(例えば、肛門および泌尿器)のように、該LESは逆流を防止するために、持続的に収縮する。健康な個体において、該筋肉は、嚥下の間のみ弛緩し、食物が通過することを可能にし、またTLESRとして知られる現象においては時間あたり平均3〜4回である。GERD患者において、TLSERの頻度は、ずっと高く(例えば、1時間につき8回以上ほど高く)なり得、LESの弱さは、逆流を起こす。GERDに貢献し得る他の要素は、遅延した胃の空虚化および効果の無い食道のクリアランスを含む。
【0008】
従って、GERDの程度および重症度は、胃食道の逆流の存在だけではなく、逆流に用いられ得る胃液の容量、逆流した物質の潜在能、逆流された物質が食道に残る間隔、および食道の組織が損傷に耐え、損傷の後にそれ自身を修復する能力を含む要素による。
【0009】
GERDを処置する現在の方法は、減量、GERDの症状を悪化させる一定の食物の回避、および過度の屈曲の回避などの生活様式の変化を含む。ベッドの頭部を高めることは、夜間逆流の減少を助ける。これらの回避戦略は有用であり得るが、GERDの処置については、生活様式変更の効果だけでは、支持されない。
【0010】
GERDの処置のための薬剤は、例えば、ただ少しの期間の軽減を提供するTUMS(登録商標)およびROLAIDS(登録商標)などの通常の制酸薬を含む。H受容体アンタゴニスト、例えば、ニザチジン(AXID(登録商標))、ラニチジン(ZANTAC(登録商標))、ファモチジン(PEPCID(登録商標)およびPEPCID COMPLETE(登録商標))、ロキサチジン(roxatidine)(ROTANE(登録商標)またはZORPEX(登録商標))およびシメチジン(TAGAMET(登録商標))は、GERD症状を制御するのにより効果的であるが、根本的な疾患を処置しない。しかしながら、H受容体アンタゴニストを受ける患者は、該薬物への耐性を発現し、該薬物をその酸分泌を抑制する能力において無効にする。(Facklerら, Gastroenterology,122(3):625-632(2002))。
【0011】
プロトンポンプ阻害薬などのより強力な分泌阻害薬(例えば、エソメプラゾール(NEXIUM(登録商標))、オメプラゾール(PRILOSEC(登録商標)およびRAPINEX(登録商標))、ランソプラゾール(PREVACID(登録商標))、ラベプラゾール(PARIET(登録商標)、ACIPHEX(登録商標))およびパントプラゾール(PROTONIX(登録商標))は、H受容体アンタゴニストよりもより効果的であるが、とても高価であり、その効能は食事により刺激されるような活性プロトンポンプの阻害に依存し、それにより、夜間GERDの発現においてほとんどまたは全く効果を有さない。
【0012】
運動促進剤は、胃腸管運動障害の処置において使用される薬物の他の型である。運動促進剤は、胃腸管運動を刺激するために機能する。刺激は、平滑筋での直接作用によって、または筋層間神経叢での作用により起こり得る。胃腸管の運動性機能は、ドーパミンにより、主に調節される抑制の機構およびアセチルコリンの放出により主に調節される刺激イベントの間の平滑筋細胞の水準でのバランスの発現である。従って、胃腸管運動は、メトクロプラミドおよびドンペリドンなどのドーパミンアンタゴニストによって、またはメトクロプラミドもしくは5−HT受容体アゴニスト、シサプリド(PROPULSID(登録商標))などのアセチルコリンを放出する物質によって、または、直接的にベタネコールなどの平滑筋細胞のムスカリン受容体上で結合するコリン作用薬によって、刺激され得る。促進剤は、運動を刺激すること、および胃腸管の異なる区域の間での活動を調和させることが両方出来る。しかしながら、現在、効果的であるおよび安全であることの両方である利用可能な運動促進剤は、存在しない。例えば、心室頻拍、心室細動、トルサード・ド・ポワント、およびQT延長を含む深刻な不整脈は、選択した運動促進剤シサプリドを摂取する患者中において報告された。その結果、厳格な制限が、この薬物の処方に課せられた。さらに、ドーパミンアンタゴニスト、メトクロプラミドおよびドンペリドンの使用は、QT延長などの、運動障害(diskinesia)および望ましくない心臓血管の影響などの患者の耐容性の欠乏、望ましくないCNSの影響に関連する。
【0013】
上記に鑑みれば、現在の薬剤のいずれもGERDなどの胃腸管運動障害の多因性病因に対処しないことが明らかである。かくして、障害の多因性の病因に、効果的に対処し得る、GERDなどの胃腸管運動障害の処置の新しい方法の必要性が存在する。
【0014】
発明の概要
本発明は、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤を、被験体に同時投与することを含む、処置の必要な被験体における胃腸管運動障害を処置する方法に関し、ここで第1および第2の量は一緒になって治療有効量を構成する。1つの態様では、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストおよびその薬学的に許容され得る塩、水和物または溶媒和物からなる群より選択される。他の態様では、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0015】
1つの態様では、胃腸管運動障害はGERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。
【0016】
他の態様では、胃腸管運動障害は、胃不全麻痺である。
【0017】
本発明は、更に、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、または溶媒和物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤を、被験体に同時投与することを含む、食道運動増大の必要な被験体における食道運動を増大する方法に関し、ここで第1または第2の量は共に治療有効量を含む。1つの態様では、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストおよびその薬学的に許容され得る塩、水和物または溶媒和物からなる群より選択される。他の態様では、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0018】
1つの態様では、食道運動を増大する方法における使用のための医薬組成物は、胃腸管運動障害を処置するために使用される。特定の態様では、胃腸管運動障害はGERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。
【0019】
一定の態様では、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を有する化合物、および第2の量のH受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、または溶媒和物などの少なくとも1つの胃酸抑制剤の同時投与は、増大されたまたは相乗作用の治療的効果を生じ得る。例えば、第1および第2の量の複合効果は、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、または第2の量のH受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物などの胃酸抑制剤の分離投与から生じる相加効果よりも大きくあり得る。
【0020】
本発明は更に、例えば、処置を必要とする被験体における胃腸管運動障害の処置において治療または予防における使用のための、または処置を必要とする被験体における食道運動を増大するための医薬組成物に関する。医薬組成物は、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤を含む。1つの態様では、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、およびその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物からなる群より選択される。他の態様では、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体を任意に含有し得る。第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、あるいはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は、一緒になって治療有効量を構成し得る。
【0021】
1つの態様では、医薬組成物で処置される胃腸管運動障害は、GERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。
【0022】
他の態様では、胃腸管運動障害は、胃不全麻痺である。
【0023】
1つの態様では、増加する食道運動を増大する方法における使用のための医薬組成物は、胃腸管運動障害を処置するために使用される。特定の態様では、胃腸管運動障害はGERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。
【0024】
本発明は、更に、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、および第2の量の治療または予防(例えば、処置が必要な被験体における胃腸管運動障害の処置のため、または食道運動の増大が必要な被験体における食道運動を増大するための)における使用のための医薬の製造のための少なくとも1つの胃酸抑制剤を含む医薬組成物の使用に関する。1つの態様では、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストおよびその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物からなる群より選択される。他の態様では、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。医薬の製造のために使用される医薬組成物は、任意に薬学的に許容され得る担体を含み得る。第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)は、一緒になって治療有効量を構成し得る。
【0025】
本発明は更に、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第2の量の治療または予防(例えば、処置が必要な被験体における胃腸管運動障害の処置のため、または食道運動の増大が必要な被験体における食道運動を増大するための)における使用のための医薬の製造のための少なくとも1つの胃酸抑制剤の使用に関する。1つの態様では、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、およびその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物からなる群より選択される。他の態様では、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1つの胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は一緒になって治療有効量を構成し得る。
【0026】
本発明はまた、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の治療有効量を被験体に投与することを含む、処置の必要な被験体における夜間GERDを処置する方法に関する。
【0027】
本発明は更に、夜間GERDの処置における使用のための、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
【0028】
本発明は更に、夜間GERDを処置するための医薬の製造のための、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の使用に関する。
【0029】
本発明はまた、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の治療有効量を被験体に投与することを含む、食道運動の増加の必要な被験体中の食道運動を増加させる方法に関する。
【0030】
1つの態様では、食道運動を増加させる方法は、胃腸管運動障害を処置するために使用される。特定の態様では、胃腸管運動障害はGERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。
【0031】
本発明は更に、食道運動の増加の必要な被験体中の食道運動を増加させることにおける使用のための、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
【0032】
本発明は更に、食道運動の増加の必要な被験体中の食道運動を増加させるための医薬の製造のための、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の使用に関する。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、処置の必要な被験体における胃腸管運動障害を処置する方法に関する。1つの態様では、胃腸管運動障害はGERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。他の態様では、胃腸管運動障害は胃不全麻痺である。
【0034】
本発明はまた、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の治療有効量を前記被験体に投与することを含む、食道運動増加の必要な被験体における食道運動を増加させる方法に関する。
【0035】
1つの態様では、食道運動を増加させる方法は、胃腸管運動障害を処置するために使用される。特定の態様では、胃腸管運動障害はGERDである。特別な態様では、GERDは夜間GERDである。
【0036】
セロトニン(SETOTONIN)および5−HT受容体アゴニスト
神経伝達物質セロトニンは、1948年に初めて発見され、その後、実質的な科学的研究の対象になった。セロトニンはまた、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)と呼ばれ、分離した5−HT受容体に、中心および周囲の両方で作用する。一般に、セロトニン受容体の14個の特殊型は、5−HTから5−HTの7つの系統に識別され、区別される。これらの特殊型は、配列相同性を共有し、特別なリガンドについてのそれらの特異性においていくつかの類似性を示す。これらの受容体が全てセロトニンを結合するが、これらは、異なる情報伝達経路を起こし、異なる機能を果す。例えば、セロトニンは、5−HT1pおよび5−HT受容体を経て、粘膜下内在神経を活性化し、例えば、ぜん動および分泌の反射の開始を生じることが知られている。しかしながら、セロトニンはまた、5−HT受容体によって外因性神経を活性化し、例えば、腸感覚、悪心、鼓脹、および痛みの開始を生じることは公知である。5−HT受容体の学名および類別の概観は、Neuropharm.,33:261-273(1994)およびPharm.Rev.,46:157-203(1994)中で見られ得る。
【0037】
5−HT受容体は、他の末梢および中心位置と同様にヒト胃腸管中の腸ニューロンで広範囲に分布したリガンド依存性イオンチャネルである。これらのチャネルの活性化およびその結果として生じるニューロン脱分極は、内臓の痛みおよび結腸の輸送の調節に影響を与えることが見出されてきた。5−HT受容体の拮抗作用は、腸の中の感覚的および運動性の機能に影響を与えるポテンシャルを有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、5−HT受容体は、自然発生する5−HT受容体(例えば、哺乳類5−HT受容体(例えば、ヒト(ホモサピエンス)5−HT受容体、ネズミ(例えば、ラット、マウス)5−HT受容体))および自然発生する5−HT受容体(例えば、組換えタンパク質)に対応するものと同様であるアミノ酸配列を有するタンパク質をいう。該用語は、多型形態または対立遺伝子変異体およびスプライスバリアントなどの自然発生する変異体を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、5−HT受容体の少なくとも1つの機能特性を促進する(誘導するまたは高める)物質(例えば、分子、化合物)をいう。1つの態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、5−HT受容体(すなわち、5−HT受容体アゴニストである)と結合する。一定の態様では、アゴニストは部分的アゴニストである。本明細書で使用される場合、部分的アゴニストは、どれだけ高水準の濃度が使用されても、5−HT受容体の最大活性化を生じることはできないアゴニストのことをいう。5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物(例えば、5−HT受容体アゴニスト)は同定され得、任意の適した方法で評価される活性であり得る。例えば、5−HT受容体アゴニストの5−HT受容体への結合親和性は、ラット皮質膜から[H]グラニセトロンを置換する該化合物の能力により測定され得る(Cappelliら,J.Med.Chem.,42(9):1556-1575(1999))。更に、化合物のアゴニスト活性は、例えば、Cappelliらにおける記載のように、NG108-15細胞中での5−HT受容体依存性[14C]グアニジニウムの取り込みにおいてインビトロで評価され得る。
【0040】
特別な態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、米国特許第5,352,685号(参照によりその全体が本明細書に援用される)中に記載のものなどのチエノ[3,2-b]ピリジン誘導体である。
【0041】
特定の態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が式I:
【0042】
【化1】

【0043】
(式中、
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、―O―、または
【0044】
【化2】

【0045】
(ここで、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表す);
を表す;および
Aは、
【0046】
【化3】

【0047】
(ここで、
nは、1から約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表す)で表される。)
で表わされるか、またはその、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはN−オキシド誘導体である。
【0048】
式IのRが水素である場合、式IAで表わされる互変異性体を有する化合物は、式Iの定義中に含まれることが理解される。
【0049】
【化4】

【0050】
同様に、Rが水素である場合、式IAは、式Iで表わされる互変異性体を含むことが理解される。
【0051】
1つの態様では、式Iで表わされる化合物は、N−オキシド誘導体であり得る。
【0052】
式Iの別の態様では、Yが、―O―、または
【0053】
【化5】

【0054】
を表す;
が、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
が、水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す;および
Aが、
【0055】
【化6】

【0056】
(ここで、
nは、2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される。
【0057】
特別な態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式Iで表わされ、ここで、Rは水素、またはC〜Cアルキル基を表わし、Rは水素、C〜Cアルキル基、もしくはハロゲンを表わし、Rが水素を表し、RがC〜Cアルキル基を表し、かつnが2もしくは3の整数である。
【0058】
特別に好ましい態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、構造式V:
【0059】
【化7】

【0060】
で表わされるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。
【0061】
特別な態様では、式Iで表わされる化合物は、N−オキシド誘導体である。
【0062】
特に好ましい態様では、式Vの化合物は、アスタリスクで示されたキラル炭素原子で、(R)型立体配座を有する。示されたキラル炭素で、(R)型立体配座を有する式V中に記載の該化合物の化学名は、(R)-N-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル−4,7-ジヒドロ-7-オキソチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルボキサミドである。化合物が、一塩酸塩の形態である場合、それは、MKC733(CAS番号:194093-42-0)として知られる。式Vの化合物が、アスタリスクで示されたキラル炭素原子で(S)型立体配座を有する場合、化学名は、(S)-N-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル−4,7-ジヒドロ-7-オキソチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルボキサミドである。
【0063】
構造式Vは、式VA:
【0064】
【化8】

【0065】
により描かれた互変異性体を含むと解される。
【0066】
同様に、式VAは、式Vによって表される互変異性体を含むと解される。
【0067】
例えば、式Vが明示されたキラル炭素で(R)型立体配座を有する場合、該化合物は、(R)-N-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル-4,7-ジヒドロ-7-オキソチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルボキサミドと称され、これは互変異性体:(R)-N-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-7-ヒドロキシチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルボキサミドを含むと解される。
【0068】
同様に、式VAが明示されたキラル炭素で(R)型立体配座を有する場合、該化合物は、(R)-N-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-7-ヒドロキシチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルボキサミドと称され、これは互変異性体:(R)-N-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル-4,7-ジヒドロ-7-オキソチエノ[3,2-b]ピリジン-6-カルボキサミドを含むと解される。
【0069】
別の態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、米国特許第5,565,479号に記載されたものなどの縮合チアゾール誘導体であり、その全内容は、本明細書中に参照によって援用される。
【0070】
特定の態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式VI:
【0071】
【化9】

【0072】
(式中、
Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、カルボキシ、C〜Cアルコキシカルボニル基、ニトロ、アミノ、シアノ、または保護されたヒドロキシルを表す;
【0073】
【化10】

【0074】
は、フェニル環、またはナフタレン環である;
Lは直接の結合、またはC〜Cアルキレン基である;
およびLは、一方は直接の結合であり、他方は:
a)その中に介在する酸素もしくはイオウ原子を任意に含有するC〜Cアルキレン基;
b)酸素原子もしくはイオウ原子;または
c)C〜Cアルケニレン基
と定義される;
Imは、式:
【0075】
【化11】

【0076】
(式中、
〜Rは、同一であるかまたは異なっており、各々が水素またはC〜Cアルキル基を表す)
を有する基を表す)で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。
【0077】
さらなる態様では、式VIによる化合物において、
【0078】
【化12】

【0079】
はフェニル環であり、Lは直接の結合であり、Lはアルキレン基またはアルケニレン基である。
【0080】
特に好ましい態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式VII:
【0081】
【化13】

【0082】
で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。かかる化合物は、一般に当該分野でYM31636と呼ばれている。式VIIに示された化合物の化学名は:2-(1H-イミダゾール-4-イルメチル)-8H-インデノ[1,2-d]チアゾールである。
【0083】
胃酸抑制剤
胃酸抑制剤は、胃腸管における胃酸分泌を抑制する薬剤である。壁細胞の表面に存在する、ヒスタミン、ガストリン、またはムスカリン性受容体の任意の一つの阻害薬(例えばアンタゴニスト)として作用する薬剤は、胃酸分泌を抑制し得る。胃酸分泌を抑制する他の薬剤は、一般にプロトンポンプと称される、壁細胞に見いだされる酵素H+-K+ ATPアーゼを阻害することにより作用する。
【0084】
ヒスタミン受容体のアンタゴニストは、一般にH受容体アンタゴニストと称され、シメチジンおよびラニチジンなどの薬剤が挙げられる。ムスカリン性受容体のアンタゴニストとしては、ピレンゼピンおよびプロパンテリンなどの薬剤が挙げられる。ガストリン受容体のアンタゴニストとしては、プログルミドなどの薬剤が挙げられる。H+-K+ ATPアーゼ酵素系の阻害薬としては、エソメプラゾール(NEXIUM(登録商標))、およびソラプラザン(soraprazan)、すなわちAZD0865などの、それぞれ可逆性および不可逆性阻害薬である両方が挙げられる。
【0085】
H+-K+ ATPアーゼ(プロトンポンプ)の阻害薬
H+-K+ ATPアーゼの阻害薬は、胃の酵素H+-K+ATPアーゼを阻害し、これにより胃液の酸性度を調節することによって、胃腸疾患を治療するために用いられ得る化合物である。より具体的には、かかる阻害薬は、胃壁細胞に存在するH+-K+ATPアーゼを特異的に阻害することにより、胃酸分泌、酸産生の最終工程を抑制する。H+-K+ ATPアーゼ(プロトンポンプ)の阻害薬は、不可逆的および/または可逆的に結合し得る。プロトンポンプ阻害薬(PPI)と称される薬剤は、典型的には不可逆性阻害薬を含む。アシッドポンプアンタゴニスト(APA)と称される薬剤は、典型的には可逆性阻害薬を含む。
【0086】
プロトンポンプ阻害薬(PPI)としては、ベンゾイミダゾール化合物、例えばエソメプラゾール(NEXIUM(登録商標))、オメプラゾール(PRILOSEC(登録商標)およびRAPINEX(登録商標)(制酸剤と組み合わされたオメプラゾールの経口懸濁液))、ランソプラゾール、(PREVACID(登録商標))、ラベプラゾール(PARIET(登録商標)、ACIPHEX(登録商標))ならびにパントプラゾール(PROTONIX(登録商標))が挙げられる。かかるプロトンポンプ阻害薬は、置換ベンゾイミダゾールとピリジン環との間に位置するスルフィニル基を含有する。中性のpHにおいては、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールは化学的に安定、脂溶性で、阻害活性のない弱塩基である。かかる非荷電弱塩基は、血液から壁細胞に到達して分泌細管中に拡散し、そこで該薬物はプロトン化され、これにより捕捉される。プロトン化された化学種は、転位してスルフェン酸およびスルフェンアミドを形成し、後者の化学種はH+-K+ATPアーゼのスルフヒドリル基と相互作用し得る。完全な阻害は一分子の酵素につき、二分子の阻害薬で起こる。プロトンポンプ阻害薬の効果の特異性は、a)H+-K+ATPアーゼの選択的分布;b)反応性阻害薬の発生を触媒するために酸性条件を要すること;ならびにc)酸性細管(canuliculi)内で、かつ標的酵素に隣接して、プロトン化された薬物およびスルフェンアミド陽イオンが捕捉されること、に由来すると考えられている。GoodmanおよびGilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 第9版, 901〜915ページ(1996)。
【0087】
しかし、壁細胞の酸空間内に集積することを要するため、酸の分泌がPPI型薬物の有効性には必要である。PPI型薬物の血漿半減期は60分と90分の間であることが見出されている。任意の一時点であらゆるアシッドポンプが活性であるわけではなく、該薬物が経口投与後の血液中に存在する間、平均で約75%だけが活性である。かかる事実により、現行の1日に1回の経口投与療法を用いた場合、刺激された酸産出の最大阻害は約66%であったことが報告されてきた。これは、薬物の短い血漿半減期、薬物が現れている間に活性のあるアシッドポンプの数が限られていること、およびアシッドポンプのターンオーバーの組合せに起因する。したがって、薬剤が活性のあるプロトンポンプを阻害し得るだけであるため、現在の治療では、いかなるPPI養生法を用いても夜間酸分泌を制御することは可能ではなく、結果として夜間酸漏出および夜間GERDの患者数を生じる。本発明の医薬組成物および同時投与方法は、かかる要求に対処し得る。
【0088】
アシッドポンプアンタゴニスト(APA)は、PPIとは、これらがH+-K+ATPアーゼを阻害する方法において異なる。例えば、酸に誘発される変形は必要ではなく、酵素反応速度論は典型的には、APAの場合、該酵素への可逆的結合を示す。さらに、APAは、投与後にPPIより速く作用し得る。適当なAPAとしては、限定されないが、Sachsらの米国特許第6,132,768号および米国公開出願番号US2004/0058896 A1に記載されたものが挙げられ、その各々の内容は、本明細書中に参照によって援用される。適当なAPAの例としては、限定されないが、YH1885(株式会社柳韓(Yuhan Co.)); CS-526(三共); AZD0865(AstraZeneca); ソラプラザン(Altana AG):((7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メトキシエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h]-[1,7]ナフチリジン)); (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-7,8-ジヒドロキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 7,8-ジヒドロキシ-2,3-ジメチル-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 7-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 9-(2-クロロフェニル)-7-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 9-(2,6-ジクロロフェニル)-7-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 9-(2-トリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 8-ヒドロキシ-2,3-ジメチル-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン-7-オン; (8R,9R)-3-ホルミル-8-ヒドロキシ-2-メチル-7-オキソ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8R,9R)-3-ヒドロキシメチル-7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]-ナフチリジン; (7S,8R,9R)-7,8-イソプロピリデンジオキシ-2,3-ジメチル-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロ-イミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; 8,9-trans-8-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8,9-cis-8-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8,9-trans-3-ヒドロキシメチル-2-メトキシ-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ-[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8,9-cis-3-ヒドロキシメチルメトキシ-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8,9-trans-8-エトキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8-ヒドロキシ-7-オキソ-9-フェニル-2,3-ジメチル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; 7,8-ジヒドロキシ-9-フェニル-2,3-ジメチル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; 7-ヒドロキシ-9-フェニル-2,3-ジメチル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8S,9S)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラ-ヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8S,9S)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-7-エトキシ-8-ヒドロキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h]-[1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-7-エトキシ-8-ヒドロキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8S,9S)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メトキシエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メトキシエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8S,9S)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メトキシエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h]-[1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-9-フェニル-7-(2-プロポキシ)-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-7,8-ジメトキシ-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メチルチオエチルオキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メチルチオエチルオキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メチルスルフィニルエトキシ)-9-フェニル(phen-yl)-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ-[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2-メチルスルフィニルエトキシ)9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ-[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(エチルチオ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]-ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(エチルチオ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ[1,2-h][1,7]-ナフチリジン; (7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ-[1,2-h][1,7]ナフチリジン; (7S,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロイミダゾ-[1,2-h][1,7]ナフチリジン; AU-461:2-[1-(2-メチル-4-メトキシフェニル)-6-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ-[3,2-c]キノリン4-イルアミノ]-1-エタノール; DBM-819: 3-[1-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-6-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ-[3,2-c]キノリン-4-イルアミノ]1-プロパノール; KR-60436: 2-[1-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-6-(トリフルオロメトキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-c]キノリン-4-イルアミノ]エタノール; R-105266; YJA-20379-8:(+)-1-[8-エトキシ-4-[(1(R)-フェニルエチル)アミノ]-1,7-ナフチリジン-3-イル]-1-ブタノン;8-(2-メトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 3-ヒドロキシメチル-8-(2-メトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルアミノ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 3-ヒドロキシメチル-8-(2-メトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルオキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8-(2-メトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルオキシ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルオキシ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-エトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-イソブトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-イソプロポキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ(butoxyarbonylamino)-6-メチルベンジルアミノ)-3-ヒドロキシメチル-2--メチルイミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-6-メチルベンジルオキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8-(2-[(2-メトキシエトキシ)カルボニルアミノ]-6-メチルベンジルオキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-メタノール; 8(2-[(2-メトキシエトキシ)カルボニルアミノ]-6-メチルベンジルアミノ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]-ピリジン-3-メタノール; 8-(2-[(2-メトキシエトキシ)カルボニルアミノ]-6-メチルベンジルアミノ]-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]-ピリジン; 8-(2-[(2-メトキシエトキシ)カルボニルアミノ]-6-メチルベンジルオキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-メタノール; 8-(2-[(2-メトキシエトキシ)カルボニルアミノ]-6-メチルベンジルベンジルオキシ-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-8-ベンジルオキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 3-ヒドロキシメチル-2-トリフルオロメチル-8-ベンジルオキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 1,2-ジメチル-3-シアノメチル-8-ベンジルオキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 2-メチル-3-シアノメチル-8-ベンジルオキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン; 3-ブチリル-8-メトキシ-4-(2-メチルフェニルアミノ)キノリン; 3-ブチリル-8-ヒドロキシエトキシ-4-(2-メチルフェニルアミノ)キノリン; 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-(4-フルオロフェニル)-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; (+)-3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; (-)-3-ヒドロキシメチル-2-メチル-9-フェニル-7H-8,9-ジヒドロピラノ[2,3-c]イミダゾ[1,2-a]ピリジン; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; N-(2-ヒドロキシエチル)-8-(2,6-ジメチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-N,2,3-トリメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2,6-ジメチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-4-フルオロ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(4-フルオロ-2,6-ジメチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2,6-ジエチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ(dimethylimidazol)[1,2-a]ピリジン-4-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-N-(2-メトキシエチル)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; N-(2-ヒドロキシエチル)-8-(2,6-ジメチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-N,2,3-トリメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2,6-ジメチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-4-フルオロ-6-メチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(4-フルオロ-2,6-ジメチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2,6-ジエチルベンジルアミノ)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド; 8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド、および8-(2-エチル-6-メチルベンジルアミノ)-N-(2-メトキシエチル)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミドが挙げられる。
【0089】
受容体アンタゴニスト
受容体アンタゴニストは、ヒスタミン、他のH受容体アゴニスト、ガストリン、および程度は低いがムスカリン性アゴニストにより誘発された胃酸分泌を阻害する。H受容体アンタゴニストはまた、基礎および夜間酸分泌を阻害する。
【0090】
受容体アンタゴニストは、ヒスタミンとH受容体との相互作用を競合的に阻害する。これらは非常に選択的であり、H受容体にはほとんどまたは全く作用を有しない。H受容体は、血管および気管支平滑筋を含む多数の組織に存在するが、これらは胃酸分泌以外の生理的機能の調節においては、最小限の役割を有するようである。H受容体アンタゴニストは、分泌された胃液の容積およびその水素イオン濃度の両方を減少させる。しかし、これらの優れた分泌抑制性にもかかわらず、H受容体アンタゴニストは、異議なく胃保護剤として認識されてはいない。H受容体アンタゴニストとしては、ニザチジン(AXID(登録商標))、ラニチジン(ZANTAC(登録商標))、ファモチジン(PEPCID COMPLETE(登録商標)、PEPCID(登録商標))、ロキサチジン(ROTANE(登録商標)またはZORPEX(登録商標))、およびシメチジン(TAGAMET(登録商標))が挙げられる。GoodmanおよびGilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 第9版, 901〜915ページ(1996)。しかし、H受容体アンタゴニストを受けた患者は、該薬物への耐性を発現し、酸分泌を阻害する薬物の能力を無効にする(Facklerら, Gastroenterology, 122(3):625-632(2002))。
【0091】
胃腸管運動障害は、本明細書中に用いられる場合、胃腸管を通る摂取された物質の正常な規則的な動きが損なわれた胃腸管の障害のことを言う。胃腸管運動障害としては、例えば、胃不全麻痺、および胃食道逆流性疾患(GERD)(gastroesophageal reflux disease)が挙げられる。
【0092】
胃不全麻痺は、胃の中身が遅れて空になることである。胃不全麻痺の症状としては、胃の不調、胸焼け、悪心、および嘔吐が挙げられる。急性胃不全麻痺は、例えば、薬物、ウイルス性腸炎、および高血糖症によって引き起こされ得、典型的には、運動障害よりも根底にある疾患を治療することにより対処される。胃不全麻痺を引き起こす最も一般的な根底にある疾患は、糖尿病である。
【0093】
胃食道逆流は、胃の内容物(例えば胃酸)が逆流する、すなわち胃から食道へ逆戻りして流れる身体の状態である。高頻度の逆流エピソード(例えば1週間に2回以上)の結果、GERDとして公知の、より深刻な問題が生じ得る。最も一般的なGERDの症状は、胸の骨すなわち胸骨の奥の焼けるような感覚または不快感であり、消化不良または胸焼けと言われる。消化不良はまた、心筋梗塞またはひどい狭心症の症状に類似し得る。他のGERDの症状としては、嚥下障害、嚥下痛、出血、胸焼け、およびぜん息、再発性肺炎、慢性咳嗽、酸誤嚥および/または迷走神経の刺激による間欠性喘鳴などの呼吸器系での症状発現、耳痛、嗄声、喉頭炎、ならびに咽頭炎が挙げられる。
【0094】
結果的にGERDを生じる逆流エピソードは、日中(すなわち被験体が目を覚ましている状態にあるとき)および/または夜間(すなわち被験体が目を覚ましていない状態にあるとき)に起こり得る。夜間に起こるGERDは普通、夜間GERDと呼ばれる。夜間GERDは、日中すなわち昼間のGERDとは、逆流エピソードの時期だけでなく、逆流の結果として生じる障害の重症度においても異なる。多数の患者が夜間および日中の両方のGERDの症状を経験している。本明細書で用いる場合、夜間GERDの治療は、夜に発生する逆流エピソードを有する患者の治療を含み、これは日中の症状を伴い得るか、または伴い得ない。より具体的には、夜間GERDは、特に咽頭および喉頭に有害であり得、夜間GERDとぜん息の間には強い関連が存在する。夜間GERDに関連する損傷が増大することは、普通は逆流に対する保護に役立つ自然の機構(例えば唾液の産出および飲み込み)の減退によるものであり、これは患者が睡眠しているときに起こる。かかる減退は、食道をより損傷を受け易くし、微小誤嚥を増大させ得る。さらに、睡眠中、身体は横になっており、重力の影響を除去し、食道から胃内容物を取り除き得る。睡眠障害はまた、慢性咳嗽、慢性咳払い、および全般的な生活の質における重大な低下がそうであるように、夜間GERDと関連しており、結果的に日中の眠気を催す。
【0095】
慢性では、GERDが食道に潰瘍の形成または食道炎を受けさせ、結果として、食道の糜爛、食道閉塞、重大な血液損失、および食道の穿孔などのより重症の合併症を生じ得る。重症の食道潰瘍形成は20〜30%の65歳を超える患者において起こる。食道の糜爛および食道潰瘍形成に加え、食道粘膜を胃酸に長期的に曝すことはバレット食道として公知の状態に至らせ得る。バレット食道は、通常の扁平上皮が異常である円柱上皮で置き換えられることが特徴である食道障害である。かかる組織構造の変化は、臨床上、激しい逆流の徴候としてだけでなく、癌の徴候としても重要である。
【0096】
GERDはGORD(胃食道逆流性疾患)(gastro-oesophageal reflux disease)と同義であると解されている。
【0097】
被験体は、本明細書中に用いられる場合、限定されないが、霊長類の動物(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス、または他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、齧歯動物、もしくはマウスの種を含む哺乳動物などの動物のことを言う。
【0098】
本明細書中に用いられる場合、治療することまたは処置は、胃腸管運動障害と関連する少なくとも一つの症状が減少することを言う。例えば、胃腸管運動障害はGERDであり得、胸焼けの減少が実現し得る。別の態様では、胃腸管運動障害はGERDであり得、被験体は、嚥下障害、嚥下痛、出血、胸焼け、食道の糜爛、食道閉塞、およびぜん息、再発性肺炎、咳嗽、間欠性喘鳴などの呼吸器系での症状発現、耳痛、嗄声、喉頭炎、ならびに咽頭炎の任意の一つ以上の症状において減少を経験し得る。
【0099】
本明細書中に用いられる場合、食道運動を増大することは、蠕動波および/またはLES圧を増大することを言う。
【0100】
本発明は、第一の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第二の量の少なくとも一つの胃酸抑制剤を被験体に同時投与することを含む、治療を必要とする被験体における胃腸管運動障害の治療方法に関し、ここで第一および第二の量が一緒になって治療有効量を構成する。一態様において、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、およびその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物からなる群より選択される。別の態様では、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である。
【0101】
本明細書中に用いられる場合、治療有効量は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量のことを言う。本発明において、所望の生物学的応答は、治療される胃腸管運動障害、例えばGERDと関連する少なくとも一つの症状の減少(完全なまたは不完全な)である。任意の治療、特に多症状障害、例えばGERDの治療と同様に、被験体が経験するのと同数の、障害に関する症状を治療することが有利である。
【0102】
治療有効量はまた、食道運動を増大させるのに十分な量のことを言う。
【0103】
治療有効量は、本発明の方法または組成物において、第一の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第二の量の少なくとも一つの胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)を同時投与することにより得られ得る。食道運動を増大させる治療有効量は、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物を投与することにより得られ得る。
【0104】
一態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は、各々治療有効量で(すなわち、各々、単独で投与される場合、治療上有効であろう量で)投与される。別の態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は各々、単独では治療上効果を与えない量(治療量以下の用量)で投与される。さらに別の態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、治療有効量で投与され得、一方、胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は、治療量以下の用量で投与される。さらに別の態様では、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、治療量以下の用量で投与され得、一方、胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;あるいはアシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は、治療有効量で投与される。
【0105】
ある態様では、第一の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、およびH受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物などの、第二の量の少なくとも一つの胃酸抑制剤の同時投与の結果、増大または相乗治療効果を生じ得、ここで複合効果は、第一の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、あるいはH受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物などの第二の量の胃酸抑制剤の別々の投与の結果生じる相加効果より大きい。
【0106】
併用療法の相乗効果の利点は、各々が単独で投与される場合より少量の各薬剤を使用できることである。したがって、薬剤と関連する望ましくない副作用が(一部または完全に)低減される。副作用の低減の結果、現行の治療よりも、患者コンプライアンスが増大し得る。
【0107】
相乗効果の存在は、薬物相互作用の評価の適当な方法を用いて測定され得る。適当な方法としては、例えば、シグモイド−エマックス(Sigmoid-Emax)の式(Holford, N.H.G.およびScheiner, L.B., Clin. Pharmacokinet. 6:429-453(1981))、Loewe加法(Loewe additivity)の式(Loewe, S.およびMuischnek, H., Arch. Exp. Pathol Pharmacol. 114:313-326(1926))、およびメジアン有効(median-effect)の式(Chou, T.C.およびTalalay, P., Adv. Enzyme Regul. 22:27-55(1984))が挙げられる。上記の引用された各式は、複合薬の効果の評価において補助するために、対応するグラフをつくるための実験データに関して適用され得る。上記の引用された式に関連する、対応するグラフは、それぞれ濃度効果曲線、アイソボログラム曲線、および併用指数曲線である。
【0108】
特定の態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、米国特許第5,352,685号に記載されている誘導体等のチエノ[3,2−b]ピリジン誘導体であり、その全体の内容が参照として本明細書中に援用されている。
【0109】
特有の態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式I:
【0110】
【化14】

【0111】
(式中:
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、−O−または
【0112】
【化15】

【0113】
を表す;
式中、Rは、水素またはC〜Cアルキル基を表す;および
Aは、
【0114】
【化16】

【0115】
式中:
nは1〜約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
で表される)
で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはN−オキシド誘導体である。
【0116】
1つの態様において、式Iで表される化合物は、N−オキシド誘導体であり得る。
【0117】
式Iの別の態様において、Yは、−O−または
【0118】
【化17】

【0119】
を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す;および
Aは、
【0120】
【化18】

【0121】
(式中:
nは2または3である;
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される。
【0122】
特定の態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式Iで表され、ここで、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表す、Rは水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す、Rは水素を表す、RはC〜Cアルキル基を表す、およびnは2または3の整数である。
【0123】
特定の好ましい態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式V:
【0124】
【化19】

【0125】
で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。
【0126】
特定の態様において、式Iで表される化合物は、N−オキシド誘導体である。
【0127】
特定の好ましい態様において、式Vの化合物は、アスタリスク(*)で示されるキラル炭素原子で(R)型立体配座を有する。キラル炭素で(R)型立体配座を有する、式Vで示される化合物の化学名は:(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドである。化合物が一塩酸塩の形態である場合、それは、MKC733として公知である(CAS番号:194093−42−0)。
【0128】
特定の態様において、プロトンポンプ阻害薬は、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される。
【0129】
さらなる態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドであり、プロトンポンプ阻害薬は、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される。別の態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドの一塩酸塩であり、プロトンポンプ阻害薬は、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される。
【0130】
特定の態様において、アシッドポンプアンタゴニストは、ソラプラザン、AZD0865、YH1885、およびCS−526からなる群より選択される。
【0131】
さらなる態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドであり、アシッドポンプアンタゴニストは、ソラプラザン、AZD0865、YH1885、およびCS−526からなる群より選択される。別の態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドの一塩酸塩であり、アシッドポンプアンタゴニストは、ソラプラザン、AZD0865、YH1885、およびCS−526からなる群より選択される。
【0132】
別の態様において、H受容体アンタゴニストは、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される。
【0133】
さらなる態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドであり、H受容体アンタゴニストは、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される。さらに別の態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドの一塩酸塩であり、H受容体アンタゴニストは、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される。
【0134】
1つの態様において、胃腸管運動障害はGERDである。特定の態様において、GERDは夜間GERDである。
【0135】
別の態様において、胃腸管運動障害は、胃不全麻痺である。
【0136】
別の態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、米国特許第5,565,479号に記載されている誘導体等の縮合チアゾール誘導体であり、その全体の内容が参照として本明細書中に援用されている。
【0137】
特定の態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式VIで表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である:
【0138】
【化20】

【0139】
(式中:
Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、カルボキシ、C〜Cアルコキシカルボニル基、ニトロ、アミノ、シアノまたは保護ヒドロキシルを表す;
【0140】
【化21】

【0141】
は、フェニル環またはナフタレン環である;
Lは、直接結合またはC〜Cアルキレン基である;
およびLは、一方が直接結合であり、他方が
a)任意に酸素またはイオウ原子を内部に含有し、これによって分断されているC〜Cアルキレン基;
b)酸素原子またはイオウ原子;または、
c)C〜Cアルキレン基;
となるように規定される;
Imは、式:
【0142】
【化22】

【0143】
式中、R〜Rは、同一または異なり、それぞれ水素またはC〜Cアルキル基を表す
を有する基を表す)。
【0144】
さらなる態様において、式VIによる化合物で、
【0145】
【化23】

【0146】
はフェニル環である、Lは直接結合である、Lは、アルキレン基またはアルケニレン基である。
【0147】
特定の好ましい態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、式VII:
【0148】
【化24】

【0149】
で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である。この化合物は一般に、当該分野ではYM31636と呼ばれている。式VIIで示される該化合物の化学名は:2−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−8H−インデノ[1,2−d]チアゾールである。
【0150】
特定の態様において、プロトンポンプ阻害薬は、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される。
【0151】
さらなる態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、2−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−8H−インデノ[1,2−d]チアゾールであり、プロトンポンプ阻害薬は、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される。
【0152】
特定の態様において、アシッドポンプアンタゴニストは、ソラプラザン、AZD0865、YH1885、およびCS−526からなる群より選択される。
【0153】
さらなる態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、2−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−8H−インデノ[1,2−d]チアゾールであり、アシッドポンプアンタゴニストは、ソラプラザン、AZD0865、YH1885、およびCS−526からなる群より選択される。
【0154】
他の態様において、H受容体アンタゴニストは、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される。さらなる態様において、5−HTアゴニスト活性を有する化合物は、2−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−8H−インデノ[1,2−d]チアゾールであり、H受容体アンタゴニストは、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される。
【0155】
1つの態様において、胃腸管運動障害はGERDである。特定の態様において、GERDは夜間GERDである。
【0156】
別の態様において、胃腸管運動障害は胃不全麻痺である。
【0157】
本発明はさらに、例えば、処置を必要とする被験体における、胃腸管運動障害の処置のための治療または予防に使用される医薬組成物と関連がある。医薬組成物は、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤を含む。1つの態様において、胃酸抑制剤は、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、およびその薬学的に許容され得る塩、水和物、または溶媒和物からなる群より選択される。別の態様において、胃酸抑制剤は、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である。本発明の医薬組成物は、任意に薬学的に許容され得る担体を含有し得る。第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)が、ともに治療有効量を含み得る。
【0158】
1つの態様において、該医薬組成物で処置される胃腸管運動障害は、GERDである。特定の態様において、GERDは、夜間GERDである。
【0159】
別の態様において、該医薬組成物で処置される胃腸管運動障害は、胃不全麻痺である。
【0160】
薬学的に許容され得る担体は、意図された投薬形態に関して適切に選択された医薬希釈剤、賦形剤または担体を含み、従来の医薬実践と一致している。例えば、固体担体/希釈剤は、ガム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン)、砂糖(例えば、乳糖、マンニトール、蔗糖、デキストロース)、セルロースでできた物質(例えば、微結晶性セルロース)、アクリル酸塩(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0161】
薬学的に許容され得る担体は、含水または非含水溶媒であり得る。非含水溶媒の例として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびエチルオレアート等の注射し得る有機エステルがある。含水担体としては、食塩水および緩衝媒質を含む、水、アルコール/含水溶液、乳状液、または懸濁液が挙げられる。
【0162】
投与方法
本発明の方法または組成物に使用するための化合物は、経口投与、経皮投与、舌下投与、口腔投与、非経口投与、直腸投与、鼻腔内投与、気管支内投与、および肺内投与として製剤化され得る。経口投与のために、化合物は、錠剤またはカプセルの形態になり得、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロース、もしくはリン酸カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、もしくはシリカ);崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等の薬学的に許容され得る賦形剤とともに、従来の手段によって調製される。所望により、適切な方法を使用して、錠剤はコーティングされ得る。経口投与のための液体調製物は、溶液、シロップ、または懸濁液の形態になり得る。液体調製物は、懸濁化剤(ソルビトールシロップ、メチルセルロース、または食用硬化脂肪(hydrogenated edible fat));乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非含水ビヒクル(例えば、扁桃油、油性エステル、またはエチルアルコール);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾアート、またはソルビン酸)等の薬学的に許容され得る添加剤とともに、従来の手段によって調製され得る。
【0163】
口腔投与のために、本発明の方法または組成物に使用するための化合物は、従来手法で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態になり得る。
【0164】
非経口投与のために、本発明の方法または組成物に使用するための化合物は、注射用もしくは注入用(例えば、静脈、筋肉内、もしくは皮下への注射もしくは注入)として、または比較的大量の投薬量および/もしくは注入(例えば、持続注入)における投与用として製剤化され得る。任意に懸濁化剤、安定剤および/もしくは分散剤等の、他の製剤化用剤(formulatory agent)を含んでいる、油性もしくは含水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、もしくは乳状液が使用され得る。
【0165】
直腸投与のために、本発明の方法または組成物に使用するための化合物は、坐薬形態になり得る。
【0166】
舌下投与のために、錠剤は従来手法により製剤化され得る。
【0167】
鼻腔内、気管支内、または肺内投与のために、従来の製剤が使用され得る。
【0168】
さらに、本発明の方法または組成物に使用するための化合物は、持続性の放出調製物で製剤化され得る。例えば、該化合物は、適切なポリマーまたは疎水性物質とともに製剤化され得、それは持続性および/または一定の時間に放出される特性を活性剤化合物に提供する。このような理由から、本発明の方法で使用するための化合物は、微粒子の形態(例えば、注射による)、またはカシェ剤、もしくは移植によるディスク(disc)の形態で投与され得る。
【0169】
本発明の方法または組成物に使用するのに適切な、さらなる形態投与は、米国特許第6,340,475号、同第6,488,962号、同第6,451,808号、同第6,340,475号、同第5,972,389号、同第5,582,837号、および同第5,007,790号に記載される投薬形態を含む。さらなる投薬形態は、米国出願第20030147952号、同第20030104062号、同第20030104053号、同第20030044466号、同第20030039688号、および同第20020051820号に記載される投薬形態を含む。本発明のさらなる投薬形態はまた、PCT出願第 WO 03/35041号、同第 WO 03/35040号、同第 WO 03/35029号、同第 WO 03/35177号、同第 WO 03/35039号、同第 WO 02/96404号、同第 WO 02/32416号、同第 WO 01/97783号、同第 WO 01/56544号、同第 WO 01/32217号、同第 WO 98/55107号、同第 WO 98/11879号、同第 WO 97/47285号、同第 WO 93/18755号、および同第 WO 90/11757号に記載されるような投薬形態を含む。
【0170】
1つの態様において、本発明の投薬形態は、米国出願第20030104053号に記載されるような経口投与のための医薬錠剤を含む。本発明の投薬形態は、即時放出部分および長期放出部分の両方において、同一の薬物が使用される投薬形態、ならびに1つの薬物が即時放出用に製剤化され、第1の薬物とは異なる別の薬物が長期放出用に製剤化される投薬形態を含む。本発明は、特に投薬形態に向けられる。即時放出薬物は、水に対して溶解性が乏しい、すなわち、水に対して溶解性が小さい、または不溶性のどちらかだが、長期放出薬物は、溶解性に関して任意の水準であり得る。
【0171】
より詳しく述べると、投薬形態の長期放出部分は、薬物を消化系へ断続的に少なくとも1時間、好ましくは数時間を超えて送達する投薬形態であり得、該薬物は米国出願第20030104053号に記載されるように製剤化される。該態様において、投薬形態の即時放出部分は、長期放出コア1単位の表面全体に適用、もしくは沈着されるコーティングか、または二層以上で構成される錠剤の単一層のいずれかである。錠剤における他層の1つは、長期放出部分であり、米国出願第20030104053号に記載されるように製剤化される。
【0172】
本発明の別の態様において、一定時間に放出される錠剤、または錠剤の一定時間に放出される部分の支持マトリクスは、胃液と接触することで、胃の中での保持を増大させるのに十分な大きさへ膨張する物質である。その間、被験体は消化状態であり、それはまた、食後のまたは「食事している」状態をいう。これは胃の活動の2つの状態のうちの1つであり、胃十二指腸の運動活動の特有のパターンによって異なる。「食事している」状態は食物摂取により誘導され、上部消化(GI)管の運動パターンにおいて迅速かつ深い変化が始まる。その変化は、胃が受ける萎縮の幅の縮小、および部分的に閉じた状態に対して開口する幽門の縮小からなる。結果としてはふるいの過程であり、液体および小粒子は、部分的に開口する幽門の通り抜けが可能となり、一方、幽門に比べて大きい、消化し得ない粒子は、胃の中に押し戻され(retropelled)かつ保持される。この過程は、約1cmより大きい粒子を、胃の中に約4〜6時間の間保持する原因となる。本発明のこれらの態様において、一定時間に放出されるマトリクスは、したがって、薬物の長期放出が腸内よりも胃の中で起こるように、胃の中に押し戻され、それにより胃の中で保持されるのに十分な大きさへ膨張する1つとして選択される。胃の中での滞留時間が長期になるような大きさへ膨張する経口投薬形態の開示は、米国特許第6,448,962号、同第6,340,475号、同第5,007,790号、同第5,582,837号、同第5,972,389号、PCT出願第 WO 98/55107号、米国出願第20010018707号、同第20020051820号、同第20030029688号、同第20030044466号、同第20030104062号、同第20030147952号、同第20030104053号、およびPCT出願第 WO 96/26718号に見出せる。特に、特定の薬物のための、胃で保持される投薬製剤もまた記載されており、例えば、ガバペンチンによる胃で保持される投薬製剤がPCT出願第 WO 03/035040号で開示されている。
【0173】
同時投与
本発明の方法が同時投与を有する場合、同時投与とは、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物、および第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)の投与をいう。ここで、第1および第2の量はともに、胃腸管運動障害の処置、または処置を必要とする被験体における食道運動の増加のための治療有効量を含む。同時投与とは、単一の医薬組成物において、例えば、第1および第2の量の固定比率を有するカプセルもしくは錠剤、または、それぞれが別々である複数のカプセルもしくは複数の錠剤といった、本質的に同時の手法によって同時投与する化合物の第1および第2の量の投与を包含する。さらに、かかる同時投与はまた、一連の手法で、どちらも順序よくそれぞれの化合物を使用することを包含する。同時投与が、第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性のその薬学的に許容され得る塩、水和物、または溶媒和物を有する化合物、および第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)を別々に投与されることをともなう場合、該化合物は、所望される治療有効を有するのに十分近い時間で投与される。例えば、各投与の間隔は、所望の治療有効を生じ得るが、分から時間の範囲であり得、効力、溶解度、生物学的利用能、血漿半減期、および運動プロフィール等の各化合物の特性を考慮に入れながら決定され得る。例えば、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)は、それぞれの約24時間以内に、それぞれの約16時間以内に、それぞれの約8時間以内に、それぞれの約4時間以内に、それぞれの約1時間以内に、またはそれぞれの約30分以内に、任意の順序で投与され得る。
【0174】
特定の態様において、同時投与が、単一組成物における第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤の経口投与を含む場合、胃酸抑制剤が最初に放出され、次に5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が続くことが好ましい。薬剤の放出は、胃、十二指腸、または両方にて生じ得る。例えば、単一の経口組成物は、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および胃酸抑制剤が胃、十二指腸、または両方にて放出されるように製剤化され得る。さらに、組成物は、胃酸抑制剤が最初に放出され、次に5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が続くように製剤化され得る。薬剤の時差的な放出が、単一組成物において、上記に記載される技術等の、任意の適切な製剤化技術を使用して達成され得る。例えば、様々なコーティング層および/または異なるコーティング剤は、単一組成物から薬剤の時差的な放出を提供し得、上部消化管中の所望の場所にて放出される。特定の態様において、2つの部分を有する単一組成物が調製され得る。部分1は胃酸抑制剤であり得、部分2は5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物であり得る。投与に続く第1工程として、単一組成物は、一単位部分に分けられる。部分1は即時に放出し始め得、部分2は後で放出されるよう製剤化され得る。例えば、約3時間以上も後である。
【0175】
同時投与が、別々の組成物として5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および胃酸抑制剤の投与を含む場合、同時または連続的のいずれかで、別々の組成物が、所望の放出プロフィールを達成するために製剤化され得る。例えば、別々の組成物は、酸性環境下の胃においてよりも、十二指腸において最初に放出されるよう製剤化され得る。さらに、別々の組成物は、胃酸抑制剤が最初に放出され、次に5−HT受容体アゴニストが続くように、別々の組成物の投与間の時間量を考慮に入れて、製剤化され得る。胃貯留技術、コーティング技術、ならびに適切な賦形剤および/または担体の使用等の様々な製剤化技術が、所望の放出を達成するために利用され得る。
【0176】
さらなる治療剤が、胃腸管運動障害の処置方法、食道運動の増加方法、および本明細書に記載される本発明の組成物に使用され得る。胃腸管運動障害の処置方法、食道運動の増加方法、および本発明の組成物に使用されるための適切な、さらなる治療剤は、制酸薬、例えば、TUMS(登録商標)およびROLAIDS(登録商標)であり得るが、それらに限定されない。一般に、さらなる治療剤とは、目的の障害を処置するのに有用なものである。好ましくは、さらなる治療剤は、治療の効果を減らさず、および/または、最初の投与の効果を増強する。
【0177】
投薬量
第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、および第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)の治療有効量は、組み合わさって、年齢、性別、および患者の体重、患者の現在の医療状態、ならびに処置される胃腸管運動障害の性質に依存する。当業者は、これらおよび他の要因を考慮して適切な投薬量を決定し得る。
【0178】
本明細書に記載されるように、持続投薬とは選択された活性剤を長期に渡って投与することをいう。
【0179】
本明細書に記載されるように、必要の際の投薬(「臨機応変な」投薬としてまた公知である)、および「要求があり次第の」投薬または投与とは、活動の開始に先立って、ある時間に化合物の治療有効投薬量を投与することを意味し、ここでは、胃腸管運動障害の抑制が望ましい。製剤に依存しながら、かかる活動の約0分、約10分、約20分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、または約10時間前を含む、かかる活動の前に即時に投与され得る。例えば、組み合わせによる治療は、夜間GERDの処置のため、就寝の約1時間前に投与され得る。
【0180】
特定の好ましい態様において、夜間GERDの処置は、その日の最後の食事(例えば夕食)の約30分前に胃酸抑制剤の投与を含み、次に就寝時間あたりに、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物の投与が続く。上記に記載されるように、該処置方法は、時差的な投与で達成されるものと同様の放出プロフィールを提供するよう製剤化された単一組成物を投与すること、または別々の薬剤を同時に、もしくは近い時間に投与することで達成され得る。しかしそれぞれは、時差的な放出が達成されるように製剤化される。
【0181】
特定の態様において、薬物投与または投薬は、必要の際に行うものであり、長期にわたる薬物投与を伴わない。必要の際の投与は、即時放出の投薬形態でもって活動の開始前に即時に薬物投与をおこなう。ここで、胃腸管運動障害の症状の抑制は望ましくあるが、一般的にかかる活動の約0分から約10時間前の範囲である。好ましくは、かかる活動の約0分から約5時間前の範囲である。最も好ましいのは、かかる活動の約0分から約3時間前の範囲である。
【0182】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、または胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)のそれぞれを投与するための、1日あたりの適切な用量は、約1ng〜約10,000mg、約5ng〜約9,500mg、約10ng〜約9,000mg、約20ng〜約8,500mg、約30ng〜約7,500mg、約40ng〜約7,000mg、約50ng〜約6,500mg、約100ng〜約6,000mg、約200ng〜約5,500mg、約300ng〜約5,000mg、約400ng〜約4,500mg、約500ng〜約4,000mg、約1μg〜約3,500mg、約5μg〜約3,000mg、約10μg〜約2,600mg、約20μg〜約2,575mg、約30μg〜約2,550mg、約40μg〜約2,500mg、約50μg〜約2,475mg、約100μg〜約2,450mg、約200μg〜約2,425mg、約300μg〜約2,000mg、約400μg〜約1,175mg、約500μg〜約1,150mg、約.5mg〜約1,125mg、約1mg〜約1,100mg、約1.25mg〜約1,075mg、約1.5mg〜約1,050mg、約2.0mg〜約1,025mg、約2.5mg〜約1,000mg、約3.0mg〜約975mg、約3.5mg〜約950mg、約4.0mg〜約925mg、約4.5mg〜約900mg、約5mg〜約875mg、約10mg〜約850mg、約20mg〜約825mg、約30mg〜約800mg、約40mg〜約775mg、約50mg〜約750mg、約100mg〜約725mg、約200mg〜約700mg、約300mg〜約675mg、約400mg〜約650mg、約500mg、または約525mg〜約625mgの範囲であり得る。
【0183】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、または胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物;または、アシッドポンプアンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物)のそれぞれを投与するための、1日あたりの他の適切な用量は、約1ngもしくはそれより大きい、約5ng、約10ng、約20ng、約30ng、約40ng、約50ng、約100ng、約200ng、約300ng、約400ng、約500ng、約1μg、約5μg、約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約100μg、約200μg、約300μg、約400μg、約500μg(0.5mg)、約1mg、約1.25mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、約900mg、約925mg、約950mg、約975mg、約1000mg、約1025mg、約1050mg、約1075mg、約1100mg、約1125mg、約1150mg、約1175mg、約1200mg、約1225mg、約1250mg、約1275mg、約1300mg、約1325mg、約1350mg、約1375mg、約1400mg、約1425mg、約1450mg、約1475mg、約1500mg、約1525mg、約1550mg、約1575mg、約1600mg、約1625mg、約1650mg、約1675mg、約1700mg、約1725mg、約1750mg、約1775mg、約1800mg、約1825mg、約1850mg、約1875mg、約1900mg、約1925mg、約1950mg、約1975mg、約2000mg、約2025mg、約2050mg、約2075mg、約2100mg、約2125mg、約2150mg、約2175mg、約2200mg、約2225mg、約2250mg、約2275mg、約2300mg、約2325mg、約2350mg、約2375mg、約2400mg、約2425mg、約2450mg、約2475mg、約2500mg、約2525mg、約2550mg、約2575mg、約2600mg、約3,000mg、約3,500mg、約4,000mg、約4,500mg、約5,000mg、約5,500mg、約6,000mg、約6,500mg、約7,000mg、約7,500mg、約8,000mg、約8,500mg、約9,000mg、または約9,500mgの用量を含む。
【0184】
特定の態様において、5−HT受容体アゴニストの適当な用量は、約0.1mg〜約100mg/日(約0.5mg〜約50mgなど)、例えば、約1mg〜約25mg/日の範囲であり得る。該用量は、単回投薬または反復投薬で、例えば、1日あたり1〜4回またはそれ以上で投与され得る。反復投薬を使用する場合、各投薬の量は、同じでも異なってもよい。
【0185】
特定の態様において、プロトンポンプ阻害薬の適当な用量は、約0.20mg〜約2000mg/日(約1mg〜約1000mgなど)、例えば、約5mg〜約500mg(約10mg〜約250mg/日など)の範囲であり得る。該用量は、単回投薬または反復投薬で、例えば、1日あたり1〜4回またはそれ以上で投与され得る。反復投薬を使用する場合、各投薬の量は、同じでも異なってもよい。
【0186】
特定の態様において、H受容体アンタゴニストの適当な用量は、約0.20mg〜約4000mg/日(約1mg〜約4000mgなど)、例えば、約5mg〜約3000mg(約10mg〜約2400mg/日)の範囲であり得る。該用量は、単回投薬または反復投薬で、例えば、1日あたり1〜4回またはそれ以上で投与され得る。反復投薬を使用する場合、各投薬の量は、同じでも異なってもよい。
【0187】
特定の態様において、アシッドポンプアンタゴニストの適当な用量は、約0.02mg〜約20g/日(約0.10mg〜約10g/日など)、例えば、約0.2mg〜約5g/日(約0.40mg〜約2.5g/日など)、例えば、約0.80mg〜約1.25g/日の範囲であり得る。
【0188】
本発明の方法における使用のための化合物は、単位投薬形態で製剤化され得る。用語「単位投薬形態」は、処置を受けている被験体に対する一単位の(unitary)用量として適当な物理的に独立した単位をいい、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を、任意に適当な医薬用担体とともに含む。単位投薬形態の調製物における使用のための適当な量は、5−HT受容体アゴニストおよび胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;またはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)の両方について先に記載している。単位投薬形態は、単回日用量であっても反復日用量(例えば、1日あたり約1〜4回またはそれ以上)のうちの1回であってもよい。反復日用量を使用する場合、単位投薬形態は、各用量について同じであっても異なってもよい。
【0189】
本発明は、さらに、胃腸管運動障害を処置するため、または食道運動を増加させるためのキットを含む。該キットは、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、および本発明の方法にしたがって少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;またはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)とともに使用するための使用説明書、ならびに任意に、本発明の化合物を投与するためのデバイスを含む。特定の態様において、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は、キット内に治療量以下の用量で存在する。別の態様において、使用説明書は、胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;またはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)の治療量以下の用量での投与を指示する。
【0190】
本発明は、さらに、胃腸管運動障害を処置するため、または食道運動を増加させるためのキットを含む。該キットは、少なくとも1種類の胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;またはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)、および本発明の方法にしたがって5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物とともに使用するための使用説明書、ならびに任意に、本発明の化合物を投与するためのデバイスを含む。特定の態様において、胃酸抑制剤(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;またはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)は、キット内に治療量以下の用量で存在する。別の態様において、使用説明書は、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物の治療量以下の用量での投与を指示する。
【0191】
本発明は、さらに、胃腸管運動障害を処置するため、または食道運動を増加させるためのキットを含む。該キットは、5−HT受容体アゴニスト活性を有する第1の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物、胃酸抑制剤である第2の化合物(例えば、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;またはアシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物)、および第1の化合物と第2の化合物とを本発明の方法にしたがって投与するための使用説明書、ならびに任意に、本発明の化合物を投与するためのデバイスを含む。特定の態様において、少なくとも1種類の第1または第2の化合物が、キット内に治療量以下の用量で存在する。
【0192】
化合物は、独立した投薬形態であってもよく、単一の投薬形態に組み合わせてもよい。キットの他の態様では、使用説明書挿入物は、さらに、本明細書に記載のさらなる治療剤との投与のための使用説明書を含む。
【0193】
本発明の方法の実施または本発明のキットの使用において、投与は、異なる個体(例えば、被験体、医師または他の医療専門家)が同じまたは異なる化合物を投与する投与を包含することを理解されたい。
【0194】
本明細書において使用する場合、薬学的に許容され得る塩という用語は、薬学的に許容され得る無毒性の酸(無機酸、有機酸、その溶媒和物、水和物またはクラスレート化合物を含む)から調製される投与対象の化合物の塩をいう。かかる無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、例えば、脂肪酸、芳香族の酸、カルボン酸およびスルホン酸の部類の有機酸(その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、カンフルスルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、粘液酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸塩(besylate))、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸など)から選択され得る。
【0195】
開示した活性化合物は、その水和物(半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)および溶媒和物の形態に調製し得る。
【0196】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する適当な化合物、プロトンポンプ阻害薬およびH受容体アンタゴニストは、例えば、適当な方法を用いて分子ライブラリーまたは分子集団をスクリーニングすることにより同定し得ることを理解されたい。目的の化合物の別の供給源は、多くの構造的に異なる分子種を含有し得るコンビナトリアルライブラリーである。コンビナトリアルライブラリーは、リード化合物を同定するため、または既に同定されたリードを最適化するために使用され得る。かかるライブラリーは、コンビナトリアルケミストリーの周知の方法により製造され得、適当な方法によりスクリーニングされ得る。
【0197】
「脂肪族基」は非芳香族であり、炭素および水素のみからなり、任意に、1つ以上の不飽和単位、例えば、二重および/または三重結合および/または1つ以上の適当な置換基を含み得る。脂肪族基は、直鎖、分枝鎖または環式であり得る。直鎖または分枝鎖の場合、脂肪族基は、典型的には約1〜約12個の炭素原子、より典型的には約1〜約6個の炭素原子を含む。環式の場合、脂肪族基は、典型的には約3〜約10個の炭素原子、より典型的には約3〜約8個の炭素原子を含み、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などである。脂肪族基は、アルキル基(すなわち、完全に飽和した脂肪族基、例えばC〜Cアルキル基(例えば、メチル基、プロピル基、ヘキシル基など))、アルケニル基(すなわち、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する脂肪族基、例えばC〜Cアルケニル基(ビニル基、ブテニル基、ヘキセニル基など))またはアルキニル基(すなわち、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する脂肪族基、例えばC〜Cアルキニル基(エチニル基、ブチニル基、ヘキセニル基など))であり得る。脂肪族基は、任意に、本明細書に記載のもののような指定数の置換基で置換されていてもよい。
【0198】
アルキレン基は、本明細書で使用する場合、1個の炭素原子と2個の結合水素(−CH−または=CH)基を有する3価の基(C〜Cアルキレン(例えば、メチレン、エチレン、メチルメチレン、トリメチレン、1−メチルエチレン)など)をいう。
【0199】
アルケニレン基は、本明細書で使用する場合、1個の炭素原子と1個の結合水素を有する2価の基をいう。適当なアルケニレン基としては、C〜Cアルケニレン基(ビニレン、プロペニレン、1−メチルビニレンなど)が挙げられる。
【0200】
「芳香族基」(「アリール基」ともいう)としては、本明細書で使用する場合、本明細書中において規定する炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基(「ヘテロアリール」ともいう)および縮合多環式芳香族環系(任意に、適当な置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。
【0201】
「炭素環式芳香族基」は、炭素数が5〜14の芳香族環であり、インダンなどの、5または6員環シクロアルキル基と縮合した炭素環式芳香族基が挙げられる。炭素環式芳香族基の例としては、限定されないが、フェニル、ナルチル、例えば、1-ナルチルおよび2-ナルチル;アントラセニル、例えば1-アントラセニル、2-アントラセニル;フェナントレニル;フルオレノニル、例えば、9-フルオレノニル、インダニルなどが挙げられる。炭素環式芳香族基は、任意に、指定数の置換基(以下に記載したもの)で置換されている。
【0202】
「複素環式芳香族基」(または「ヘテロアリール」)は、炭素とO、NまたはSから選択される1〜4個のヘテロ原子との5〜14個の環原子の単環式、二環式または三環式の芳香族環である。ヘテロアリールの例としては、限定されないが、ピリジル、例えば、2-ピリジル(α-ピリジルともいう)、3-ピリジル(β-ピリジルともいう)および4-ピリジル(γ-ピリジルともいう);チエニル、例えば2-チエニルおよび3-チエニル;フラニル、例えば、2-フラニルおよび3-フラニル;ピリミジル、例えば2-ピリミジルおよび4-ピリミジル;イミダゾリル、例えば、2-イミダゾリル;ピラニル、例えば、2-ピラニルおよび3-ピラニル;ピラゾリル、例えば、4-ピラゾリルおよび5-ピラゾリル;チアゾリル、例えば2-チアゾリル、4-チアゾリルおよび5-チアゾリル;チアジアゾリル;イソチアゾリル;オキサゾリル、例えば2-オキサゾイル(oxazoyl)、4-オキサゾイルおよび5-オキサゾイル;イソキサゾイル;ピロリル;ピリダジニル;ピラジニルなどが挙げられる。上記規定の複素環式芳香族(またはヘテロアリール)は、任意に、指定数の置換基(芳香族基について以下に記載したもの)で置換されていてもよい。
【0203】
「縮合多環式芳香族」環系は、1つ以上の他のヘテロアリールまたは非芳香族複素環式環と縮合した炭素環式芳香族基またはヘテロアリールである。例としては、キノリニルおよびイソキノリニル、例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル、5-キノリニル、6-キノリニル、7-キノリニルおよび8-キノリニル、1-イソキノリニル、3-キノリニル、4-イソキノリニル、5-イソキノリニル、6-イソキノリニル、7-イソキノリニルおよび8-イソキノリニル;ベンゾフラニル、例えば、2-ベンゾフラニルおよび3-ベンゾフラニル;ジベンゾフラニル、例えば、2,3-ジヒドロベンゾフラニル;ジベンゾチオフェニル;ベンゾチエニル、例えば、2-ベンゾチエニルおよび3-ベンゾチエニル;インドリル、例えば、2-インドリルおよび3-インドリル;ベンゾチアゾリル、例えば、2-ベンゾチアゾリル;ベンゾオキサゾリル、例えば2-ベンゾオキサゾリル;ベンゾイミダゾリル、例えば、2-ベンゾイミダゾリル;イソインドリル、例えば1-イソインドリルおよび3-イソインドリル;ベンゾトリアゾリル;プリニル;チアナフテニルなどが挙げられる。縮合多環式芳香族環系は、任意に、指定数の置換基(本明細書に記載のもの)で置換されていてもよい。
【0204】
「アラルキル基」(アリールアルキル)は、芳香族基、好ましくはフェニル基で置換されたアルキル基である。好ましいアラルキル基はベンジル基である。好適な芳香族基は本明細書に記載しており、好適なアルキル基は本明細書に記載している。アラルキル基は、任意に置換されていてもよく、アラルキル基の好適な置換基(アリール、アルキルまたは両方の部分が置換されている)は、本明細書に記載している。
【0205】
本明細書において使用するように、多くの部分または基は、「置換または非置換」のいずれかであるという。ある部分が置換されているという場合、それは、当業者が置換に利用可能であるとわかる部分の任意の部分が置換され得ることを表す。例えば、置換可能な基は、水素以外の基(すなわち、置換基)で置き換えられる水素原子であり得る。多数の置換基が存在してもよい。多数の置換基が存在する場合、置換基は同じであっても異なってもよく、置換は、該基または部分上の任意の置換可能な部位に存在し得る。かかる置換のための手段は、当該技術分野で周知である。例示の目的として(本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない)、置換基である基の一例は、アルキル基(例えばC〜Cアルキル基)(これも置換されていてもよく、例えばCFなど)、アルコキシ基(例えばC〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ基、プロポキシ基、ヘキシルオキシ基など)(置換されていてもよく、例えばOCFなど)、ハロゲンまたはハロ基(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、ニトロ、チオ(メルカプトともいう)、アルキル(akyl)チオ(例えばC〜Cアルキルチオ)、オキソ、−CN、−COH、−COOH、アミノ、N−アルキルアミノ(例えばC〜Cアルキルアミノ)またはN、N−ジアルキルアミノ(該アルキル基もまた置換されていてもよい)、エステル(−C(O)−OR(式中、Rはアルキル、アリールなどの基であり得、置換されていてもよい)、アリール(最も好ましくはフェニル、置換されていてもよい)ならびにアリールアルキル(置換されていてもよい)である。
【0206】
N−オキシドは、酸素原子が第三級アミンの窒素に結合した官能基をいう。
【0207】
保護されたヒドロキシルは、ヒドロキシ基の水素原子が適当なヒドロキシ保護基で置き換えられたヒドロキシル基をいう。適当なヒドロキシ保護基としては、限定されないが、例えば、ベンジル、tert-ブチル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルおよびベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0208】
立体化学
多くの有機化合物は、平面偏光の面を回転させる能力を有する光学的に活性形態で存在する。光学的に活性な化合物の記載において、接頭辞DおよびLまたはRおよびSは、分子のそのキラル中心(1つまたは複数)まわりの絶対立体配座を表すために使用される。接頭辞dおよびlまたは(+)および(-)は、化合物による平面偏光の回転の記号(sign)を示すために用いられ、(-)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。接頭辞(+)またはdで示される化合物は右旋性である。所与の化学構造について、立体異性体と呼ばれるこれらの化合物は、これらが、互いの鏡像を重ね合わせることができないこと以外は、同一である。また、特定の立体異性体は、鏡像異性体と呼ばれることがあり、かかる異性体の混合物は、しばしば、鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物と呼ばれる。
【0209】
本明細書に記載の化合物の多くは、1つ以上のキラル中心を有し得、したがって、異なる鏡像異性体形態で存在し得る。所望により、キラル炭素はアスタリスク(*)で示され得る。本発明の式において、キラル炭素に対する結合が直線で示される場合、キラル炭素の(R)と(S)との両方の立体配座、したがって、その両鏡像異性体および混合物が、該式に含まれることを理解されたい。当該技術分野で使用されているように、キラル炭素まわりの絶対立体配座を特定することが望まれる場合、キラル炭素への結合の一方は、楔形(該平面より上側の原子への結合)で示されることがあり、他方は、楔形の一連の(or)短い平行線群(該平面より下側の原子への結合)で示されることがある。Cahn-Inglod-Prelog方式を用いてキラル炭素に対する(R)または(S)立体配座を指定することができる。
【0210】
本発明の化合物が1つのキラル中心を含む場合、該化合物は、2つの鏡像異性体形態で存在し、本発明は、いずれかまたは両方の鏡像異性体および鏡像異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物とよばれる特定の50:50混合物)を含む。鏡像異性体は、当業者に公知の方法によって、例えば、ジアステレオマー塩(これは、例えば、結晶化によって分離され得る(CRC Handbook of Optical Resolutions via Diastereomeric Salt Formation by David Kozma(CRC Press, 2001)を参照のこと)の形成;ジアステレオマー誘導体または複合体(これは、例えば、結晶化、ガス/液体または液体クロマトグラフィーによって分離され得る)の形成;一方の鏡像異性体と鏡像異性体特異的試薬との選択的反応(例えば、酵素的エステル化);またはキラル環境内、例えば、キラル担体上(例えば、キラルリガンドが結合したシリカ上)もしくはキラル溶媒の存在下でのガス/液体もしくは液体クロマトグラフィーによって分離され得る。所望の鏡像異性体が、前記分離手順の1つによって別の化学物質体に変換される場合、所望の鏡像異性体形態を遊離するためのさらなる工程が必要とされることは認識されよう。あるいはまた、特定の鏡像異性体を、光学的に活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いる不斉合成により、または不斉変換(asymmetric transformation)によって一方の鏡像異性体を他方に変換することにより合成してもよい。
【0211】
本発明の化合物のキラル炭素における特定の絶対立体配座の指定は、指定された鏡像異性体形態の化合物が鏡像異性体過剰(ee)である、換言すると、実質的に他方の鏡像異性体を含まないことを意味することを理解されたい。例えば、「R」型の化合物は、実質的に「S」型の化合物を含まず、したがって、「S」型の鏡像異性体過剰である。逆に、「S」型の化合物は、実質的に「R」型の化合物を含まず、したがって、「R」型の鏡像異性体過剰である。鏡像異性体過剰は、本明細書で使用する場合、50%より多い特定の鏡像異性体の存在である。例えば、鏡像異性体過剰は、約60%以上(約70%以上など)、例えば、約80%以上(約90%以上など)であり得る。特定の態様において、ある特定の絶対立体配座が指定された場合、示された化合物の鏡像異性体過剰は少なくとも約90%である。より特定の態様において、該化合物の鏡像異性体過剰は、少なくとも約95%(少なくとも約97.5%など)、例えば、少なくとも約99%鏡像異性体過剰である。
【0212】
本発明の化合物が2つ以上のキラル炭素を有する場合、2つより多い光学異性体を有し得、ジアステレオマー形態で存在し得る。例えば、2つのキラル炭素がある場合、その化合物は、4個までの光学異性体および2対の鏡像異性体((S,S)/(R,R)および(R,S)/(S,R)) を有し得る。鏡像異性体のペア(例えば、(S,S)/(R,R))は、互いに鏡像立体異性体である。鏡像でない立体異性体(例えば、(S,S)と(R,S))は、ジアステレオマーである。ジアステレオマーのペアは、当業者に公知の方法により、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離され得、各ペアの個々の鏡像異性体は、上記のようにして分離され得る。本発明は、かかる化合物の各ジアステレオマーおよびその混合物を含む。
【0213】
薬理学的方法
併用療法の有効性は、患者の症状のモニタリングにより評価され得る。例えば、嗄声、咳、胸焼け、喘息などの症状および生活の全般的な質の改善を、過度な(invasive)試験の必要なく、評価し得る。
【0214】
また、併用療法を受けている患者は、胃食道試験、例えば、食道マノメトリーに供された後、携帯(ambulatory)胃食道pHモニタリングに供され得る。この種の胃食道試験は、Facklerら、Gastroenterology 122(3): 625-632(2002)に見られるものなどの確立されたプロトコルにしたがって行なわれ得る。
【0215】
食道マノメトリー
簡単には、食道マノメトリーは、静止プルスルー技術(station pull-through technique)を用いて全試験参加者のLESの位置を調べるために使用される。LESの圧力および位置は、Synectics Gastrosoft Polygram (Milwaukee, WI)などのコンピューター化運動系(motility system)により記録される。
【0216】
携帯胃食道pHモニタリング
次いで、24時間pHレベルモニタリングを全試験参加者において行なう。モニタリングは、15 cm離れた2つのアンチモン電極を備える2.1 mm モノクリスタルpHカテーテル(Medtronic Functional Diagnostics Zinetics, Inc., Salt lake City, UT)を用いて行なう。参照電極を内面化(internalize)する。pH電極を、各試験前に、pH7およびpH1のバッファー溶液(Fisher Scientific, Fairlawn, NJ)中、37℃で較正する。較正後、pHプローブ装置を鼻から通し、遠位電極が下部食道括約筋の近位縁の10 cm下の胃底にくるように配置する。プローブ装置を鼻および頬に固定し、外れないようにする。pH電極を、ウエスト周りに装着させた携帯型デジタルデータレコーダー(Digitrapper Mark III Gold;Synectics)に連結し、pHデータサンプルを4秒毎に24時間まで蓄積する。次いで、患者を使用説明書を持って家に戻し、食事時間、就寝時間および起床時間を毎日記録させる。患者には、普通の日常生活を行なうこと、制限することなくいつもの食事を行なうこと、および睡眠不足を回避することを推奨する。プローブを外し、毎日の記録を検討してから最低18時間後の翌日に患者を戻す。
【0217】
併用療法開始後のさらなるpHモニタリングを所定の時点で行ない、併用療法間での有効性および併用療法の成分による単独療法と比較した併用療法の有効性を調べるために、データを比較および解析した。
【0218】
ヒスタミン刺激後の胃酸抑制の評価
併用療法が胃酸を抑制できる能力を、fundic pouchイヌモデルを用いて評価し得る。より詳しくは、一晩絶食させた後、イヌを、ペントバルビタールナトリウム(約30mg/kg、i.v.)を用いた麻酔下で滅菌開腹に供し、フィステルを胃本体(corpus ventriculi)の一部に結合する。2週間の回復期間後、イヌをパブロフスタンドに固定し、ヒスタミン刺激(約0.2mg/kg/hr)下で胃液を15 分毎に約4時間回収する。回収された各胃液の容量を記録し、胃液を0.01 N NaOHでpH自動測定装置を用いて滴定する。分泌された胃液の量をmEq/4時間として計算する(in)。次いで、併用療法剤を、ヒスタミン投与の約1時間前に経口投与し、対照群について記載したようにして胃液を回収し、解析する。対照群および処置群で分泌された胃酸の量の比較を行ない、併用療法が胃酸分泌を抑制する能力を評価する。
【0219】
テトラガストリン刺激後の胃酸抑制の評価
ヒスタミンを刺激剤として用いる上記の方法を、テトラガストリンを刺激剤(2μg/kg/hr) として用いて行ない、併用療法が胃酸分泌を抑制する能力を評価する。
【0220】
酸クリアランスおよびpHモニタリング
また、pHモニタリングを動物において行なう。実験的研究の適当な例は、Gawad, K. A.ら、Ambulatory long-term pH monitoring in pigs, Surg. Endosc,(2003);Johnson, S. E.ら、Esophageal Acid Clearance Test in Healthy Dogs, Can. J. Vet. Res. 53(2): 244-7(1989);および Cicente, Y.ら、Esophageal Acid Clearance : More Volume-dependent Than Motility Dependent in Healthy Piglets, J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr. 35(2): 173-9(2002) に見られ得る。
【0221】
実験方法
下部食道括約筋圧(LESP)、下部食道pH、食道運動および一過性下部食道弛緩(TLESR)に対する処置の効果
MKC-733、オメプラゾールまたはのLESP におけるMKC-733とオメプラゾールとの組合せ、下部食道pH、食道運動およびTLESRに対する効果を調べるための実験を、GERDのネコモデルにおいて行なった。
【0222】
動物の準備:
本実験で使用したネコを一晩絶食させ、ケタミン(15〜20mg/kg 筋肉内注射)で鎮静させた。ヘパリン添加滅菌生理食塩水を充填したバタフライカテーテルを上腕静脈内に配置し、ケタミン麻酔補充および薬物投与に使用した。
【0223】
LESP、下部食道pH、食道運動およびTLESRの測定方法:
各動物に、圧力変換器を介して最低準拠(minimally compliant)水圧式(hydrolytic)ポンプに取り付けた水灌流スリーブカテーテル(Andorfer Inc, Greendale, WI)を装着した。スリーブをLES内に、先端が胃の内部に配置されるように設置した。記録部位0(胃内の先端)と記録部位2 との間の全長は4 cmとした。この4 cmの領域を部位1とよび、この領域にそった圧力を同時に記録した。残りの記録部位(3、4および5)は、スリーブ上部から約6 cmに配置した部位5と2 cm離した。LESは、スリーブを先端(部位0)が圧力の約0 mmHgへの急速な低下を示し、近位部位1が高張圧力(約54±3 mmHg)に維持されるまで移動させることにより配置した。この実験全体を通して、圧力変換器からの出力は、マノメーターにより、PowerLab Chart 5データ収集プログラム(ADInstruments, Colorado Springs, CO)を用い、Windows XPオペレーティングシステムを使用したコンピューターで記録した。
【0224】
マノメトリーカテーテルと平行にした(running along with)Orion II pH probe(Medical Measurements Systems)を、一方のpH測定部位を胃内に、第2のpH測定部位を食道遠位にして設置した。pHをモニターし、コンピュータデータ収集システム(Medical Measurements Systems)を用いてマノメトリー記録と同時に記録した。
【0225】
LESP測定
カテーテルの部位1でのマノメトリー圧力記録により、各動物のベースライン(安静時)LESPを得た。ベースラインLESPを、以下の実験1および2に示す各測定計画について記録した後、比較した。
【0226】
食道運動およびTLESR測定
スリーブカテーテルの部位1〜5におけるマノメトリー圧力記録を、3回の自然乾性嚥下(spontaneous dry swallow)(SDS)により誘導される初期蠕動中、および3回のバルーン拡張(BD;食道の中央部分に配置した直径2 cmバルーンカテーテルの5秒間の拡張)により誘導される二次蠕動中において記録した。
【0227】
食道運動を、3回のSDSおよび3回のBDに応答してカテーテルの部位2〜5で記録された収縮の大きさに基づいて特徴付けた。食道運動は、実験1および2に記載の各測定計画で特徴付けを行なった。
【0228】
SDSおよびBDにより誘導された蠕動の波がLESに達したとき、TLESRと称するLESの弛緩がある。TLESRは、スリーブカテーテルの部位1で記録されたSDSおよびBDにより誘導されたLES の圧力変化に基づいて特徴付けされ得、部位0(胃内)の圧力に相対的に示され得る。実験1および2に記載の各測定計画でネコにおいてTLESRを特徴付けする試みは、失敗だった。しかしながら、他の動物、例えば、イヌまたはフェレットにおける同様の実験計画では、TLESR測定値を得ることができた。
【0229】
遠位食道蠕動およびLESPの記録のための方法論は、Blankら, Am. J. Physiol. 257 : G517-G523, 1989;Greenwoodら, Am J. Physiol. 262 : G567-G571, 1992;および Greenwoodら、Gastroenterology 106 : 624-628, 1994から採用する。
【0230】
下部食道のpH
下部食道におけるpHを、マノメトリー圧力と同時にモニターした。pHは、実験1および2に記載の各測定計画で記録した。
【0231】
実験計画:
すべての動物を、試験前1週間、施設に馴化させた。薬物の投与ならびにLESP、食道pH、食道蠕動およびTLESRの測定は、鎮静させた動物(15〜20mg/kg ケタミン筋肉内注射)において行なった。ケタミン投与によって、鎮静作用は維持されるが、ネコが嚥下する能力は変えないように制御した。実験全体を通して、動物は、体温が維持されるように加熱ブランケット(37°C)上に置いた。
【0232】
全部で5匹の雄ネコを、以下の蓄積用量応答実験に使用した。各実験では、同じ5匹のネコを使用した。したがって、各動物は、自身が実験内および実験間で対照としての役割をもつ。
【0233】
実験1
計測器装着(instrumentation)後、LESP、食道pH、食道蠕動およびTLESRのベースライン値を上記のようにして測定した。これらの生理学的測定直後、ビヒクル単独を、静脈内に与えた(リン酸緩衝生理食塩水中30%ポリエチレングリコール)。生理学的測定は、注射後の0〜5分間繰り返され、ビヒクル効果(あれば)を調べた。15分後、1.0 mg/kg MKC-733を含むビヒクル(上記と同じ)を静脈内に与え、生理学的測定値を再度得た。15分後、10 mg/kg MKC-733を含むビヒクル(上記と同じ)を静脈内に与え、生理学的測定値を再度得た。次いで、動物を計測器から外し(uninstrument)、麻酔から回復させ、ケージに戻した。
【0234】
実験2
回復の3日後、動物に対して、20mg/kg(プロピレングリコールビヒクル)の用量で1日1回の腹腔内(i.p.)投与するPPI、オメプラゾールでの4日間の前処置を開始した。前処置により、胃壁細胞のH+-K+ ATPアーゼの阻害が確保された。最後のオメプラゾール注射の1時間後、再び、ネコを鎮静させ、上記のようにして計測器装着させ、実験1で完全に記載したようにしてMKC-733での用量応答を繰返した。
【0235】
データ解析:
データは、平均±SEMで示す。LESPおよび蠕動収縮の大きさのデータを、ビヒクル対照値に対して標準化した。実験内および実験間でのLESP処置効果の有意差を、二元配置反復測定ANOVAを用いて評価した。底(nadir)胃食道逆流(GER)pH値に加え(図4)、pHデータもまた、2.5 分の期間内(自然嚥下または食道バルーン拡張により引き起こされる一過性GERによるpH低下の開始時から始める)で調べ、この期間内にpHが4.0未満に低下する時間の割合に対して標準化した(図3)。pHに関する処置効果の有意差を、ノンパラメトリック一元配置反復測定ANOVA(フリードマン検定)を用いて評価した。対比および非対t検定を用いてさらなる比較を行なった。P<0.05を有意とした。
【0236】
オメプラゾールによる長期間の前処置によって、下部食道と胃との間のpH勾配を崩壊したため、この前処置後の動物からのpHデータは解析しなかった。5匹の動物のうち2匹において、10mg/kg用量は投与しなかった。残りの3匹の動物の1匹において、10mg/kg投薬後のpHも記録しなかった。
【0237】
結果:
驚いたことに、各動物についてLESPデータをその未処置ビヒクル対照に対して標準化すると、MKC-733による処置ありまたはなしの場合で、オメプラゾール前処置によるLESPの増強が明白である(図1)。さらにまた、データを実験内でビヒクル対照に対して標準化すると(未処置ビヒクルに対して標準化した未処置処置、オメプラゾールビヒクルに対して標準化したオメプラゾール処置)、MKC-733の静脈内投与は、オメプラゾール前処置とは無関係に、LESPにおいて統計学的に有意な用量依存性の増加(二元配置ANOVAによるMKC-733用量応答についてP<0.0114)をもたらした(図2)。
【0238】
驚いたことに、MKC-733の静脈内投与はまた、下部食道pHが4.0より大きい場合、胃食道(GER)エピソード中の時間の割合において用量依存性と思われる陽性傾向をもたらしたが(図3)、MKC-733は、いずれの投薬時のGERにおいても底pH値に影響しなかった(図4)。
【0239】
すべてがMKC-733の下部食道括約筋緊張(tone)に対する直接的な効果を示す上記の結果に加え、MKC-733はまた、口側−反口側蠕動収縮の大きさの用量依存性の有意な増強を示すことが観察された(図5)。この効果において、未処置ネコとオメプラゾールで処置したネコとの間に有意差は見られなかった(データ示さず)。
【0240】
上記の結果は、MKC-733と酸抑制剤との組合せが、胃腸管運動障害(GERD、特に夜間GERD)を有する被験体にための適当な処置であり得ることを示す。例えば、LESPおよび胃食道逆流中にpHが4.0を超える時間において観察された増加は、下部食道の胃内容物の障害性効果への曝露時間が低減され得ることを示す。
【0241】
また、結果は、食道運動は、オメプラゾール前処置がない場合であってもMKC-733を受けた動物において増加することを示す。この食道運動の増加は、胃腸管運動障害(GERD、特に夜間GERD)の処置のための好適な治療法をもたらし得る。
【0242】
本発明を、その好ましい態様を参照して詳しく示し、記載したが、形態および詳細における種々の変形が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることは、当業者によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】図1は、長期のオメプラゾール投与の前(未投薬)および後のネコにおける表示された用量でのMKC-733の静脈投与の下部食道括約筋圧力(LESP)における効果を示す棒グラフである(ビヒクル、1.0mg/kg MKC-733および10mg/kg MKC-733処置に対して、それぞれ、n=5,5,3)。それぞれの動物からのデータを、未投薬治療期間からのそのMKC-733ビヒクル反応に対して標準化した。
【図2】図2は、ネコにおける長期のオメプラゾール投与の前(未投薬)および後の表示された用量でのMKC-733の静脈投与の下部食道括約筋圧力(LESP)における効果を示す棒グラフである(ビヒクル、1.0mg/kg MKC-733および10mg/kg MKC-733処置に対して、それぞれ、n=5,5,3)。そのそれぞれの未投薬群のそれぞれの動物からのデータを、未投薬治療期間からのMKC-733ビヒクル反応に対して標準化した。オメプラゾール前処置群中のそれぞれの動物からのデータを、その治療期間に対するそれらのそれぞれのMKC-733ビヒクル反応に対して標準化した。
【図3】図3は、下部食道pHが4.0より大きい、胃食道逆流事象の間のネコにおける指示された用量でのMKC-733の静脈投与の時間のパーセンテージにおける効果を示す棒グラフである(ビヒクル、1.0mg/kg MKC-733および10mg/kg MKC-733処置に対して、それぞれ、n=5,5,2)。
【図4】図4は、胃食道逆流事象の間に起こるネコにおける表示された用量でのMKC-733の静脈投与の下部食道pHの最低値における効果を示す棒グラフである(ビヒクル、1.0mg/kg MKC-733および10mg/kg MKC-733処置に対して、それぞれ、n=5,5,2)。
【図5】図5は、ネコにおける表示された用量でのMKC-733の静脈投与の食道のぜん動ピーク収縮圧力における効果を示す棒グラフである(ビヒクル、1.0mg/kg MKC-733および10mg/kg MKC-733処置に対して、それぞれ、n=5,5,3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体に、
a) 第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;および
b) 第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物
(ここで、第1および第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体における胃腸管運動障害の処置方法。
【請求項2】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
胃酸抑制剤が、アシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
胃腸管運動障害がGERDである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
GERDが夜間GERDである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
胃腸管運動障害が胃不全麻痺である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
被験体がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物がチエノ[3,2−b]ピリジン誘導体である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式I:
【化1】

(式中、
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプトまたはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、−O−または
【化2】

(式中、Rは、水素またはC〜Cアルキル基を表す)
を表す;ならびに
Aは、
【化3】

(式中、
nは、は、1〜約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基またはC〜C18アラルキル基を表す)
で表される)
で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはN−オキシド誘導体である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
式Iの化合物がN−オキシド誘導体である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
式Iの化合物について、
Yは、−O−または
【化4】

を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基またはハロゲンを表す;および
Aは、
【化5】

(式中、
nは2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
式Iの化合物について、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表し、Rは水素、C〜Cアルキル基またはハロゲンを表し、Rは水素を表し、RはC〜Cアルキル基を表し、nは2または3の整数である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式V:
【化6】

で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
式Vの化合物について、アスタリスクを付した炭素原子が(R)型立体配座である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
式Vの化合物が一塩酸塩の形態である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
被験体に、
a) 第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;および
b) 第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤(該胃酸抑制剤はプロトンポンプ阻害薬またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である)
(ここで、第1および第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体における胃腸管運動障害の処置方法。
【請求項17】
プロトンポンプ阻害薬が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
5−HTアゴニスト活性を有する化合物が(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
5−HTアゴニスト活性を有する化合物が、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドの一塩酸塩である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
被験体に、
a) 第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;および
b) 第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤(該胃酸抑制剤はH受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である)
(ここで、第1および第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体における胃腸管運動障害の処置方法。
【請求項21】
受容体アンタゴニストが、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
5−HTアゴニスト活性を有する化合物が(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
5−HTアゴニスト活性を有する化合物が、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドの一塩酸塩である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
被験体に、
a) 第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;および
b) 第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制(該胃酸抑制剤は、ソラプラザン、AZD0865、YH1885およびCS−526からなる群より選択されるアシッドポンプアンタゴニストである)
(ここで、第1および第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体における胃腸管運動障害の処置方法。
【請求項25】
5−HTアゴニスト活性を有する化合物が(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
5−HTアゴニスト活性を有する化合物が、(R)−N−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル−4,7−ジヒドロ−7−オキソチエノ[3,2−b]ピリジン−6−カルボキサミドの一塩酸塩である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
被験体に、
a) 第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物(該5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物は式VIで表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物(hydate)である:
【化7】

(式中、
Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、カルボキシ、C〜Cアルコキシカルボニル基、ニトロ、アミノ、シアノまたは保護ヒドロキシルを表す;
【化8】

はフェニル環またはナフタレン環である;
Lは直接結合またはC〜Cアルキレン基である;
およびLは、一方が直接結合であり、他方が、
a) 任意に酸素またはイオウ原子を内部に含有し、これによって分断されているC〜Cアルキレン基;
b) 酸素原子またはイオウ原子;または
c) C〜Cアルケニレン基;
となるように規定される;
Imは、式:
【化9】

(式中、R〜Rは、同じか、または異なり、各々、水素またはC〜Cアルキル基を表す)
を有する基を表す);および
b) 第2の量の少なくとも1種類の胃酸抑制剤
(ここで、第1および第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体における胃腸管運動障害の処置方法。
【請求項28】
式Vの化合物VIについて、
【化10】

はフェニル環であり、Lは直接結合であり、Lはアルキレン基またはアルケニレン基である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式VII:
【化11】

で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項27記載の方法。
【請求項31】
胃酸抑制剤がプロトンポンプ阻害薬である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
プロトンポンプ阻害薬が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
胃酸抑制剤がH受容体アンタゴニストである、請求項30記載の方法。
【請求項34】
受容体アンタゴニストが、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
胃酸抑制剤がアシッドポンプアンタゴニストである、請求項27記載の方法。
【請求項36】
アシッドポンプアンタゴニストが、ソラプラザン、AZD0865、YH1885およびCS−526からなる群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
胃腸管運動障害が胃不全麻痺である、請求項26記載の方法。
【請求項38】
被験体がヒトである、請求項27記載の方法。
【請求項39】
前記、被験体に対して:
a) 第一の量の、式I:
【化12】

(式中:
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表わす;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表わす;
Yは、−O−または
【化13】

(式中、Rは、水素またはC〜Cアルキル基を表わす)
を表わす;および
Aは、
【化14】

(式中:
nは、1〜約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表わす)で表わされる)
で表わされる化合物または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはN−オキシド;
および
b) 少なくとも1つの胃酸抑制剤またはその、薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物の第二の量、
(ここで、第一および第二の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、治療を必要とする被験体におけるGERDを処置する方法。
【請求項40】
GERDが、夜間GERDである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項39記載の方法。
【請求項42】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
プロトンポンプ阻害薬が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
胃酸抑制剤が、H受容体アンタゴニストである、請求項41記載の方法。
【請求項45】
受容体アンタゴニストが、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
胃酸抑制剤が、アシッドポンプアンタゴニストである、請求項39記載の方法。
【請求項47】
アシッドポンプアンタゴニストが、ソラプラザン、AZD0865、YH1885およびCS−526からなる群より選択される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
式Iの化合物が、N−オキシド誘導体である、請求項39記載の方法。
【請求項49】
式Iの化合物において、
Yが−O−または
【化15】

を表わす;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表わす;
は、水素、C〜Cアルキル基またはハロゲンを表わす;および
Aは、
【化16】

(式中:
nは2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表わす)
で表わされる、請求項39記載の方法。
【請求項50】
式Iの化合物において、Rが水素またはC〜Cアルキル基を表わす、Rが、水素、C〜Cアルキル基もしくはハロゲンを表わす、Rが水素を表わす、RがC〜Cアルキル基を表わす、およびnは2または3の整数である、請求項39記載の方法。
【請求項51】
処置を必要とする被験体において、該被験体に:
a) 式V:
【化17】

で表わされる化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物の第1の量、および
b) 少なくとも1つの胃酸抑制剤、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の第2の量
(ここで、第1のおよび第2の量は、ともに治療有効量を含む)
を同時投与することを含む、GERDを処置する方法。
【請求項52】
GERDが、夜間GERDである、請求項51記載の方法。
【請求項53】
式Vの化合物において、アスタリスクのついた炭素原子は、(R)型立体配座にある、請求項51記載の方法。
【請求項54】
式Vの化合物が、一塩酸塩の形態である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項51記載の方法。
【請求項56】
胃酸抑制剤が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択されるプロトンポンプ阻害薬である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
胃酸抑制剤が、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択されるH受容体アンタゴニストである、請求項55記載の方法。
【請求項58】
胃酸抑制剤が、アシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項51記載の方法。
【請求項59】
アシッドポンプアンタゴニストが、ソラプラザン、AZD0865、YH1885およびCS−526からなる群より選択される、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記、被験体に対して:
a) 式VI:
【化18】

(式中:
Rは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、カルボキシ、C〜Cアルコキシカルボニル基、ニトロ、アミノ、シアノまたは保護されたヒドロキシルを表わす;
【化19】

はフェニル環またはナフタレン環である;
Lは直接結合またはC〜Cアルキレン基である;
およびLは、1つが直接結合であり、もう1つが
a)その中に介入する酸素もしくはイオウ原子を任意に含むC〜Cアルキレン基
b)酸素原子もしくはイオウ原子;または
c)C〜Cアルケニレン基;
と定義される;
Imは、該式:
【化20】

(式中、R〜Rは、同一もしくは異なり、それぞれは水素またはC〜Cアルキル基を表わす)を有する基を表わす)
で表わされる化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物または水和物の第1の量;および
b) 少なくとも1つの胃酸抑制剤の第2の量
(ここで、第1のおよび第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体におけるGERDを処置する方法。
【請求項61】
GERDが、夜間GERDである、請求項60記載の方法。
【請求項62】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項60記載の方法。
【請求項63】
胃酸抑制剤が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択されるプロトンポンプ阻害薬である、請求項62記載の方法。
【請求項64】
胃酸抑制剤が、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択されるH受容体アンタゴニストである、請求項62記載の方法。
【請求項65】
胃酸抑制剤が、アシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項60記載の方法。
【請求項66】
アシッドポンプアンタゴニストが、ソラプラザン、AZD0865、YH1885およびCS−526からなる群より選択される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
式VIの化合物において、
【化21】

はフェニル環である、Lが直接結合である、およびLがアルキレン基またはアルケニレン基である、請求項60記載の方法。
【請求項68】
式VIの化合物が、式VII:
【化22】

で表わされるかまたは、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である、請求項60記載の方法。
【請求項69】
胃酸抑制剤が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択されるプロトンポンプ阻害薬である、請求項68記載の方法。
【請求項70】
胃酸抑制剤が、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択されるH受容体アンタゴニストである、請求項68記載の方法。
【請求項71】
a) 5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の第1の量;および
b) 少なくとも1つの胃酸抑制剤の第2の量、
(ここで、第1のおよび第2の量は、ともに治療有効量を含む)
を含む、医薬組成物。
【請求項72】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項71記載の医薬組成物。
【請求項73】
胃酸抑制剤が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールおよびパントプラゾールからなる群より選択されるプロトンポンプ阻害薬である、請求項72記載の医薬組成物。
【請求項74】
胃酸抑制剤が、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジンおよびシメチジンからなる群より選択されるH受容体アンタゴニストである、請求項72記載の医薬組成物。
【請求項75】
胃酸抑制剤が、アシッドポンプアンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物である、請求項71記載の医薬組成物。
【請求項76】
アシッドポンプアンタゴニストが、ソラプラザン、AZD0865、YH1885およびCS−526からなる群より選択される、請求項75記載の医薬組成物。
【請求項77】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が式I:
【化23】

(式中、
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、―O―、または
【化24】

(ここで、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表す);
を表す;および
Aは、
【化25】

(ここで、
nは、1から約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表す)
で表される)
で表されるか、またはその、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはN−オキシド誘導体である、請求項71記載の医薬組成物。
【請求項78】
式Iの化合物がN−オキシド誘導体である、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項79】
式Iの化合物について、
Yが―O―、または
【化26】

で表される;
が、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
が、水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す;および
Aが、
【化27】

(ここで、
nは、2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項80】
式Iの化合物について、Rが水素またはC〜Cアルキル基を表し、Rが水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表し、Rが水素を表し、RがC〜Cアルキル基を表し、かつnが2もしくは3の整数である、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項81】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が式V:
【化28】

で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である、請求項71記載の医薬組成物。
【請求項82】
式Vの化合物について、アスタリスクの付いた炭素原子が(R)型立体配座にある、請求項81記載の医薬組成物。
【請求項83】
式Vの化合物が一塩酸塩の形態である、請求項82記載の医薬組成物。
【請求項84】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、少なくとも一つの胃酸抑制剤とともに使用する指示書、および任意で、化合物を投与するためのデバイスを含むキット。
【請求項85】
胃酸抑制剤がプロトンポンプ阻害剤、H受容体アンタゴニスト、またはその、薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項84記載のキット。
【請求項86】
胃酸抑制剤がプロトンポンプ阻害剤である、請求項85記載のキット。
【請求項87】
プロトンポンプ阻害剤がエソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される、請求項86記載のキット。
【請求項88】
胃酸抑制剤がH受容体アンタゴニストである、請求項85記載のキット。
【請求項89】
受容体アンタゴニストがニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される、請求項88記載のキット。
【請求項90】
5−HT受容体アゴニストが治療量以下の用量でキットに存在する、請求項84記載のキット。
【請求項91】
該指示書が、胃酸抑制剤を治療量以下の用量で使用することを規定する、請求項84記載のキット。
【請求項92】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式I:
【化29】

(式中、
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、―O―、または
【化30】

(ここで、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表す)
を表す;および
Aは、
【化31】

(ここで、
nは、1から約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表す)
で表される)
で表されるか、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはN−オキシド誘導体である、請求項84記載のキット。
【請求項93】
式Iの化合物がN−オキシド誘導体である、請求項92記載のキット。
【請求項94】
式Iの化合物について、
Yが、―O―、または
【化32】

を表す;
が、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
が、水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す;および
Aが、
【化33】

(ここで、
nは、2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される、請求項92記載のキット。
【請求項95】
式Iの化合物について、Rが水素またはC〜Cアルキル基を表し、Rが水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表し、Rが水素を表し、RがC〜Cアルキル基を表し、かつnが2もしくは3の整数である、請求項92記載のキット。
【請求項96】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が式V:
【化34】

で表されるか、またはその、薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である、請求項92記載のキット。
【請求項97】
式Vの化合物について、アスタリスクの付いた炭素原子が(R)型立体配座にある、請求項96記載のキット。
【請求項98】
式Vの化合物が一塩酸塩の形態である、請求項97記載のキット。
【請求項99】
胃酸抑制剤である少なくとも一つの化合物、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物とともに使用する指示書、および任意で、化合物を投与するためのデバイスを含むキット。
【請求項100】
胃酸抑制剤がプロトンポンプ阻害剤、H受容体アンタゴニスト、またはその、薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項99記載のキット。
【請求項101】
胃酸抑制剤がプロトンポンプ阻害剤である、請求項100記載のキット。
【請求項102】
プロトンポンプ阻害剤がエソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される、請求項101記載のキット。
【請求項103】
胃酸抑制剤がH受容体アンタゴニストである、請求項100記載のキット。
【請求項104】
受容体アンタゴニストがニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される、請求項103記載のキット。
【請求項105】
該指示書が、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物を治療量以下の用量で使用することを規定する、請求項100記載のキット。
【請求項106】
胃酸抑制剤が、キット中に治療量以下の投薬量で存在する、請求項100記載のキット。
【請求項107】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式I:
【化35】

(式中:
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、−O−または
【化36】

(式中、Rは、水素またはC〜Cアルキル基を表す)
を表す;および
Aは、
【化37】

(式中:
nは1〜約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表す)
で表される)
で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはN−オキシド誘導体である、請求項99記載のキット。
【請求項108】
式Iの化合物は、N−オキシド誘導体である、請求項107記載のキット。
【請求項109】
式Iの化合物について、
Yは、−O−または
【化38】

を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す;および
Aは、
【化39】

(式中:
nは2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される、請求項107記載のキット。
【請求項110】
式Iの化合物において、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表し、Rは水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表し、Rは水素を表し、RはC〜Cアルキル基を表し、nは2または3の整数である、請求項107記載のキット。
【請求項111】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式V:
【化40】

で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物である、請求項107記載のキット。
【請求項112】
式Vの化合物について、アスタリスクを付した炭素原子は(R)型立体配座である、請求項111記載のキット。
【請求項113】
式Vの化合物が、一塩酸塩の形態である、請求項112記載のキット。
【請求項114】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、少なくとも1種類の胃酸抑制剤、5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物および胃酸抑制剤の同時投与の使用説明書、ならびに任意の該化合物を投与するための装置を含むキット。
【請求項115】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬、H受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物である、請求項114記載のキット。
【請求項116】
胃酸抑制剤が、プロトンポンプ阻害薬である、請求項115記載のキット。
【請求項117】
プロトンポンプ阻害薬が、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾールからなる群より選択される、請求項116記載のキット。
【請求項118】
胃酸抑制剤が、H受容体アンタゴニストである、請求項115記載のキット。
【請求項119】
受容体アンタゴニストが、ニザチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、およびシメチジンからなる群より選択される、請求項118記載のキット。
【請求項120】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、キット中に治療量以下の投薬量で存在する、請求項114記載のキット。
【請求項121】
胃酸抑制剤が、キット中に治療量以下の投薬量で存在する、請求項114記載のキット。
【請求項122】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式I:
【化41】

(式中:
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cシクロアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ基、アミノ、C〜Cアルキルアミノ基、ニトロ、メルカプト、またはC〜Cアルキルチオ基を表す;
Yは、−O−または
【化42】

(式中、Rは、水素またはC〜Cアルキル基を表す)
を表す;および
Aは、
【化43】

(式中:
nは1〜約4の整数である;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜Cシクロアルキル基、またはC〜C18アラルキル基を表す)
で表される)
で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくはN−オキシド誘導体である、請求項114記載のキット。
【請求項123】
式Iの化合物が、N−オキシド誘導体である、請求項122記載のキット。
【請求項124】
式Iの化合物について、
Yは、−O−または
【化44】

を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、C〜C12アリール基、またはC〜C18アラルキル基を表す;
は、水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表す;および
Aは、
【化45】

(式中:
nは2または3である;および
は、C〜Cアルキル基を表す)
で表される、請求項122記載のキット。
【請求項125】
式Iの化合物において、Rは水素またはC〜Cアルキル基を表し、Rは水素、C〜Cアルキル基、またはハロゲンを表し、Rは水素を表し、RはC〜Cアルキル基を表し、nは2または3の整数である、請求項122記載の方法。
【請求項126】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式V:
【化46】

で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは水和物である、請求項122記載のキット。
【請求項127】
式Vの化合物において、アスタリスクを付した炭素原子は(R)型立体配座である、請求項125記載のキット。
【請求項128】
式Vの化合物が、一塩酸塩の形態である、請求項127記載のキット。
【請求項129】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の治療有効量を投与することを含む、処置を必要とする被験体における夜間GERDの処置方法。
【請求項130】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式V:
【化47】

で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物である、請求項129記載の方法。
【請求項131】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物の治療有効量を投与することを含む、食道運動の増大を必要とする被験体における食道運動の増大方法。
【請求項132】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式V:
【化48】

で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物である、請求項131記載の方法。
【請求項133】
被験体に、
a)第1の量の5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;および
b)第2の量の少なくとも1種類以上の胃酸抑制剤、またはその薬学的に許容され得る塩、水和物、もしくは溶媒和物
(ここで、第1および第2の量が一緒になって治療有効量を構成する)
を同時投与することを含む、処置を必要とする被験体における食道運動の増大方法。
【請求項134】
5−HT受容体アゴニスト活性を有する化合物が、式V:
【化49】

で表されるか、または、その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは水和物である、請求項133記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−507425(P2007−507425A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524933(P2006−524933)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/028115
【国際公開番号】WO2005/021040
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(505261379)ダイノゲン ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】