説明

胎児の細胞および核酸の同定および単離

本発明は、母体より得られた生物学的試料中の胎児細胞および/または胎児核酸の存在を検出するのに有用な方法、抗体、およびキットを提供する。本発明はまた、母親頸管粘液試料から胎児核酸を単離するため、および単離された胎児核酸を胎児の遺伝的異常について検査もしくはスクリーニングするための、方法およびキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月21日に出願された米国特許仮出願第60/974,392号に対する優先権を主張するが、これはその全文が参照により本明細書に組み入れられている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
出生前の検査やスクリーニングは通常、妊娠中に胎児の性別を判定するため、または胎児における遺伝的障害および/もしくは染色体異常を検出するために実施されている。今日現在、1つまたは複数の欠陥遺伝子に起因した4000を上回る遺伝的障害が認められている。一部の例として、嚢胞性線維症、ハンチントン病、β地中海貧血症、筋緊張性ジストロフィー、鎌状赤血球貧血、ポルフィリン症、および脆弱X症候群が挙げられる。染色体異常は、染色体数の異常、染色体物質の重複または欠如、および染色体構造の欠陥に起因する。染色体異常の例として、以下が挙げられる:最初の三半期における流産の主な原因である16トリソミー、21トリソミー(ダウン症候群)、13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、クラインフェルター症候群(47, XXY)、(47, XYY)、および(47, XXX)などのトリソミー;ターナー症候群(45, X0)などの染色体の欠如(モノソミー);ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、ディジョージ症候群、およびウォルフ・ヒルシュホーン症候群などの、染色体の転座、欠失、および/または微小欠失。
【0003】
現在利用可能な出生前遺伝子検査は通常、侵襲的手法を伴う。例えば、妊娠10〜12週前後の妊婦に対して実施される絨毛採取(CVS)および14〜16週前後で実施される羊水穿刺はすべて、胎児における染色体異常を検査するための試料を得るための侵襲的手法を含む。通常、これらの採取手法を介して得られた胎児細胞は、細胞遺伝学的解析法または蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)解析法を用いて染色体異常に関して検査される。
【0004】
これらの手法は染色体異常を検出するのに有用であり得るが、流産のリスクを伴うことが示されている。したがって、羊水穿刺またはCVSは、高齢出産の女性(>35歳)、母親(maternal)血清スクリーニング異常の女性、または胎児染色体異常の既往を有する女性を含む、リスクが高いと認められた女性にしか提案されない。これらの検査の結果として、ダウン症候群などの染色体異常をもつ乳児を出産する35歳超の女性の割合は劇的に減少している。しかし、適切なまたは比較的安全な出生前検査やスクリーニングが大多数の妊婦に対して行われていないことにより、ダウン症候群の乳児の約80%が35歳未満の女性から生まれるという結果になっている。
【0005】
したがって、非侵襲性のスクリーニング検査、特に、胎児染色体異常に加えてその他の遺伝的変異または欠陥の同定に向けた検査を一般妊婦母集団に対して行う必要がある。これには、出生前遺伝子スクリーニングに使用可能な胎児細胞および胎児核酸の検出および単離のための、非侵襲性の技術が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、胎児細胞または胎児核酸用のマーカーとしてヌクレオソームエピトープを使用することができるとの発見に一部基づくものである。したがって本発明は、これらのヌクレオソームエピトープに対する抗体、そのような抗体を含むキット、ならびにそのような抗体を使用して胎児細胞および/または胎児核酸を検出または単離するための方法を提供する。
【0007】
本発明の一態様において、胎児ヌクレオソームエピトープに特異的に結合する抗体が提供される。本発明の別の態様において、本発明の抗体を含むキットが提供される。
【0008】
本発明のさらに別の態様において、胎児の遺伝的組成を検査するのに適したキットが提供される。本キットには、本発明の抗体の使用によって単離された、胎児の単離核酸試料が含まれる。
【0009】
本発明のさらに別の態様において、胎児の母体(maternal host)から得た生物学的試料中の胎児核酸および/または胎児細胞の存在を検出するための方法が提供される。本方法には、生物学的試料を本発明の抗体と接触させる工程、および生物学的試料中のヌクレオソームに対する抗体の結合を検出する工程が含まれる。ヌクレオソームに対する抗体の特異的結合は、胎児核酸および/または胎児細胞の存在の指標となる。
【0010】
本発明のさらに別の態様において、胎児の核酸を単離するための方法が提供される。本方法には、胎児の母体から得た頸管粘液試料を本発明の抗体と接触させることによって、頸管粘液試料から核酸を単離する工程が含まれる。
【0011】
本発明のさらに別の態様において、胎児の核酸を濃縮するための方法が提供される。本方法には、胎児の母体から得た頸管粘液試料を本発明の抗体と接触させることによって、頸管粘液試料から核酸を単離する工程が含まれる。
【0012】
本発明のさらに別の態様において、胎児の遺伝的組成を同定する方法が提供される。本方法には、本発明の方法に従って胎児核酸を単離する工程、および単離された胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成を同定する工程が含まれる。
【0013】
本発明のさらに別の態様において、SEQ ID NO: 1の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むペプチドおよびアジュバントを包含する組成物が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープに特異的に結合する抗体を作製する方法が提供される。本方法は、SEQ ID NO: 1の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むペプチドおよびアジュバントを包含する組成物によって動物を免役化する工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、胎児細胞または胎児核酸用のマーカーとしてヌクレオソームエピトープを使用することができるとの発見に一部基づくものである。したがって本発明は、これらのヌクレオソームエピトープに対する抗体、これらの抗体を包含するキット、ならびにこれらの抗体を使用して胎児細胞および/または胎児核酸を検出または単離するための方法を提供する。
【0016】
本発明の一局面によると、胎児ヌクレオソームエピトープに特異的に結合する抗体が提供される。本明細書において使用する「抗体」という用語には、抗体結合領域、CDR、一本鎖抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体が含まれる。本発明の抗体は、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。本抗体は、任意のイソ型、例えばIgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEでありうる。
【0017】
一態様において、胎児ヌクレオソームエピトープとは、胎児に特有であるかまたは対応する母親のエピトープとは異なる胎児クロマチンまたはヌクレオソームが付随した任意のエピトープである。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、対応する母親のエピトープのものとは異なる分子構造(例えば、一次、二次、または三次構造)を有する。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、母親のヌクレオソーム中よりも胎児ヌクレオソーム中の抗体に対してより露出するかまたはより接触可能となる。
【0018】
真核生物において、ヒストンは主に5つに分類され、これらはクロマチンの主要なタンパク質成分である。H1(リンカーヒストンと呼ばれることもある)、H2A、H2B、H3、およびH4が存在する。一般に、H2A、H2B、H3、およびH4ヒストンのそれぞれ2つが集合し、タンパク質の糸巻きの周りに146塩基対のDNAを巻き付けることによって八量体のヌクレオソームコア粒子を形成する。リンカーヒストンH1およびリンカーDNAが、糸に通したビーズのように個々のヌクレオソームを接続する。H3クラスのヒストンは、以下の4種類の異なるタンパク質型からなる:主要な型であるH3.1およびH3.2;置換型であるH3.3;ならびに精巣特異的な変種であるH3t。H3.1とH3.2は近縁関係にありSer96でしか違わないが、H3.1とH3.3は少なくとも5アミノ酸部位で異なる。さらに、H3.1は、肝臓、腎臓、および心臓を含む成人臓器中での存在と比較して、胎児肝において高度に濃縮されている。ヒト成人臓器中ではH3.1変種よりもH3.3変種のほうがより豊富であるが、一方で胎児肝については逆のことがいえる。本発明の抗体によってこれらの違いを利用し、胎児および母親両方の細胞ならびに/または胎児核酸を含む母親の生物学的試料中で、胎児細胞および/または胎児核酸を検出することができる。
【0019】
したがって、胎児ヌクレオソームエピトープは、ヒストンが付随したエピトープでありうる。一態様において、胎児ヌクレオソームエピトープはヒストンH3が付随したエピトープである。別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープはヒストンH3.1が付随したエピトープである。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープはヒストンH3.1は付随しているがヒストンH3.3は付随していないエピトープである。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、アミノ酸配列Ser-Ala-Val-Met-Ala-Leu-Gln-Glu-Ala-Cys(SEQ ID NO: 1)を有するペプチド内のエピトープを含むまたはからなる。さらなる態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列の2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸残基を有するエピトープを含むまたはからなる。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するペプチド内のエピトープを含むまたはからなる。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープはヒストンH3.1が付随したエピトープであり、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を有するペプチド内のエピトープを含むまたはからなる。本発明の抗体には、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を有するペプチド内のエピトープに特異的に結合する抗体と競合する抗体が含まれる。
【0020】
また本発明の抗体を、ヒストン、特にヒストンH3.1の特異的な立体構造的特徴または構造的特徴に対して標的化することもできる。例えば、胎児ヌクレオソームエピトープは、母親のヌクレオソーム中の対応するH3.1と比較して胎児ヌクレオソーム中でより露出しているヒストンH3.1の領域が付随したエピトープであることができる。胎児と母親のH3ヒストン中で起こる翻訳後修飾、例えばメチル化またはアセチル化などの違いもまた、胎児DNAを検出、濃縮、および/または単離するために胎児H3.1ヒストンを標的とするのに利用可能である。一方は特異的なヒストン立体構造または配列に結合するよう設計され他方は翻訳後修飾に結合するよう設計された2種類の抗体を用いて、胎児核酸を単離することもできる。
【0021】
一態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、翻訳後修飾を含むヒストン(例えばヒストンH3またはH3.1)が付随したエピトープを含まない。別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、翻訳後リン酸化、メチル化、またはアセチル化されたアミノ酸を含むヒストン(例えばヒストンH3またはH3.1)が付随したエピトープを含まない。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、翻訳後リン酸化されたセリン(「S」)残基、または翻訳後にメチル化もしくはアセチル化されたリシン(「K」)残基もしくはアルギニン(「R」)残基を含むヒストン(例えばヒストンH3またはH3.1)が付随したエピトープを含まない。さらに別の態様において、胎児ヌクレオソームエピトープは、N末端から4位にあるメチル化されているリシン残基(K4)、9位にあるメチル化もしくはアセチル化されているリシン残基(K9)、または10位にあるリン酸化されているセリン残基(S10)、を含むヒストン(例えばヒストンH3またはH3.1)が付随したエピトープを含まない。
【0022】
一般に、本発明の抗体は検出可能な要素(例えば標識)を含む。当技術分野には多くの様々な検出可能な標識が存在し、標識法は当業者に周知である。本発明において使用できる大まかな種類の標識は以下を含むが、これらに限定されるわけではない:放射性同位体、蛍光分子、化学発光分子、および生物発光分子、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えばビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン、またはハプテン)など。検出可能な標識には蛍光を発するものが含まれ、これには、検出可能な範囲の蛍光を示すことができる物質またはその一部が含まれる。
【0023】
本発明において使用できる標識の個別の例には以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:125I、131I、35S、32P、14C、および3Hを含むがこれらに限定されない放射標識;ルミノール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルを含むがこれらに限定されない化学発光化合物;ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンを含むがこれらに限定されない生物発光化合物;フルオレセイン、FITC、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド(phthaldehyde)、テキサスレッド、ダンシルクロリド、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、緑色蛍光タンパク質、およびフルオレスカミンを含むがこれらに限定されない蛍光物質;β-グルコシダーゼ、β-D-グルコシダーゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、およびGDPase、RNase、ルシフェラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ホスホエノールピルビン酸デカルボキシラーゼ、α-グリセロリン酸、アスパラギナーゼ(aspariginase)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、ならびにβ-ラクタマーゼを含むがこれらに限定されない酵素。
【0024】
一態様において、本発明の抗体は蛍光標識されている。別の態様において、本発明の抗体は蛍光標識されており、かつ胎児細胞または胎児核酸に対する抗体の特異的結合は、フローサイトメトリー法により、例えば蛍光標識細胞ソーティング(FACS)により検出される。
【0025】
さらに別の態様において、本発明の抗体は固体支持体上に固定化される。直接的または間接的に、例えばリンカーを介して、抗体を固体支持体上に固定化することができる。抗体を固体支持体に付着させる方法は当業者に周知であり、現在知られているあるいは後に発見される任意の方法を用いることができる。一態様において、固体支持体とは、磁性粒子の集団、例えば樹脂カラムなどのカラム内に収容された粒子、マイクロチャネルの表面、マイクロウェル、プレート、アレイ、フィルター、膜、またはスライドガラスである。
【0026】
別の態様において、例えばマイクロフロー装置(micro flow apparatus)などの装置の表面上に本発明の抗体を固定化またはコーティングすることができる。例示的なマイクロフロー装置には、注入手段、排出手段、および、注入手段と排出手段の間にわたるマイクロチャネル機構が含まれる。マイクロチャネル機構とは、生物学的試料にランダム化された流路を提供することができる任意のマイクロチャネルでありうる。例えば、マイクロチャネル機構には、マイクロチャネルの底面と一体化しかつそこから突出した横方向のセパレータポスト(separator post)を複数含めることができる。ポストは、ランダム化された流路を提供できるパターンで大体配置されている。マイクロフロー装置の例は米国特許出願第11/458,668号および第11/331,988号に記載されており、どちらもその全文が本明細書に組み入れられている。マイクロフロー装置のマイクロチャネル機構の表面を、本発明の抗体で部分的または全体的にコーティングすることができる。
【0027】
本発明の別の局面によると、本発明の抗体を含むキットが提供される。一態様において、本キットは、キットを使用して母体の生物学的試料から胎児細胞を検出するためまたは胎児核酸を単離するための説明書をさらに含む。特定の態様において、本キットは、本発明の抗体でコーティングされたマイクロフロー装置またはその他の固体支持体を含む。
【0028】
本発明のさらに別の局面によると、胎児の遺伝的組成を検査するのに適したキットが提供される。本キットには、本発明の抗体の使用によって単離または濃縮された、胎児の単離または濃縮された核酸試料が含まれる。
【0029】
本発明のさらに別の局面によると、胎児の母体から得た生物学的試料中の胎児核酸の存在を検出するための方法が提供される。本方法には、生物学的試料を本発明の抗体と接触させる工程、および該生物学的試料中のヌクレオソームに対する該抗体の結合を検出する工程が含まれる。ヌクレオソームに対する抗体の特異的結合は、胎児細胞の存在の指標となる。
【0030】
生物学的試料とは、胎児細胞または胎児核酸を含む可能性のある、例えば体液またはその画分などの母親の生物学的試料のいずれであってもよい。一態様において、生物学的試料とは、血液、血漿、血清、尿、頸管粘液、羊水、絨毛膜絨毛試料、またはその画分である。別の態様において、生物学的試料とは血液、血漿、血清、尿、またはその画分である。さらに別の態様において、生物学的試料とは頸管粘液試料である。生物学的試料は、当技術分野において知られているまたは後に発見される任意の手段によって、胎児の母体より得ることができる。
【0031】
さらに別の態様において、検出工程には、細胞またはその断片(例えばアポトーシス小体)に対する本発明の抗体の特異的結合を検出する工程が含まれる。細胞に対する抗体の特異的結合は、胎児細胞の存在の指標となる。概して、生物学的試料中のヌクレオソームまたは細胞に対する本発明の抗体の特異的結合の検出は、フローサイトメトリー法を用いて実施することができる。例えば抗体を蛍光標識した場合に使用可能である例示的なフローサイトメトリー法には蛍光標識細胞ソーティング(FACS)が含まれるが、これに限定されるわけではない。
【0032】
本発明のさらに別の局面によると、胎児の核酸を単離または濃縮するための方法が提供される。本方法には、胎児の母体から得た生物学的試料を本発明の抗体と接触させることによって、生物学的試料から核酸を単離する工程が含まれる。
【0033】
生物学的試料は任意の時点で、例えば最初の、2番目の、または3番目の三半期の間に、胎児の母体から得ることができる。一態様において、妊娠の最初の三半期に生物学的試料を得る。別の態様において、2番目の三半期に生物学的試料を得る。別の態様において、妊娠4〜12週、8〜12週、または10〜12週の間に生物学的試料を得る。さらに別の態様において、妊娠13〜28週、13〜24週、13〜20週、13〜16週、17〜20週、または21〜24週の間に生物学的試料を得る。
【0034】
生物学的試料は、上述の母親の生物学的試料のいずれであってもよい。一態様において、生物学的試料とは、血液、血漿、血清、尿、頸管粘液、羊水、絨毛膜絨毛試料、またはそれらの画分である。別の態様において、生物学的試料とは、尿、頸管粘液、羊水、絨毛膜絨毛試料、またはそれらの画分である。さらに別の態様において、生物学的試料とは頸管粘液試料またはその画分である。頸管粘液試料、例えば子宮頸管内の粘液試料(endocervical mucus sample)または経子宮頸部の粘液試料(transcervical mucus sample)は、当技術分野で現在知られているまたは後に開発される任意の技術によって得ることができる。そのような技術には経子宮頸部スワブ(transcervical swab)、子宮頸管内洗浄、掻爬(scrape)、細胞採取用ブラシ(cytobrush)、吸引、子宮内洗浄、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
頸管粘液試料は、例えば実質的に保存されていない新鮮試料であってもよく、新鮮試料から保存された、例えば適切な水性保存培地中で保存された試料であってもよく、あるいは代替的に、1つまたは複数の頸管粘液試料から浸出した核酸を含む培地の試料であってもよい。本発明の頸管粘液試料は、例えば低カルシウム基本培地中で、約4℃〜約20℃の間で維持または保存することができる。
【0036】
一態様において、頸管粘液試料とは、例えば、粘液の溶解を容易にしてこれにより試料からの核酸成分の単離を支援するための適切な試薬で処理した新鮮試料または保存試料などの、処理試料である。例えば本発明の頸管粘液試料は、粘液溶解剤またはムチナーゼで、例えばN-アセチル-L-システイン、L-システイン、ジチオスレイトール(DTT)、塩酸ブロムヘキシン、ならびに、ヒアルロン酸リアーゼ、ヒアルロノグルコサミニダーゼ、およびヒアルロノグルクロニダーゼを含むヒアルロニダーゼのいずれかで処理した試料であってもよい。別の例において、本発明の頸管粘液試料は、酵素で、例えば以下のような糖加水分解酵素で処理した試料である:β-ガラクトシダーゼもしくはインベルターゼ;プロテイナーゼ;ペプシン;またはこれらの組み合わせ。
【0037】
別の態様において、胎児の母体から得た生物学的試料を、抗体と接触させる前に、アポトーシス誘発処理に供するか、または無傷の胎児細胞からの胎児核酸の放出を促進するよう処理する。例えば生物学的試料は、試薬で処理されたか、または高pH、剪断、もしくは熱ショックに供された試料であってもよい。VP16を含むがこれに限定されないエトポシドなどの試薬およびその他の類似する酵素を用いて、胎児核酸の放出を促進させることができる。
【0038】
さらに別の態様において、生物学的試料を処理して、胎児核酸を濃縮しかつ/または母親の核酸量を減少させる。例えば、任意の核酸、例えば母親DNA特有のDNAを減少させるか分解するために、生物学的試料を処置することができる。そのような核酸の一例は、高メチル化母親DNAである。高メチル化母親DNAを減少させるか、分解するか、または選択的に除去するための、以下を非限定的に含む任意の手段を用いることができる:McrBC(BioLabs)などのメチル化特異的制限酵素;抗5'-メチル-シトシン抗体および/もしくは抗メチルCpG結合タンパク質-2(MeCP2)抗体などの高メチル化母親DNAに特異的な抗体;または、母親DNA内のメチル化CpGアイランドに特異的に結合するMeCP2などのリガンドもしくはタンパク質。
【0039】
代替的に、胎児核酸に特異的なマーカーを用いて胎児核酸を濃縮してもよい。例えば、胎児DNA用のマーカーとして低メチル化マスピンDNAを用いることができる。一態様において、亜硫酸水素ナトリウムを用いて生物学的試料由来の総DNAを処理することができ、これは低メチル化胎児DNAの化学変化を誘発し得、それによって、胎児DNAの非メチル化シトシンがウリジン(U)に変換される。そのような変化を用いて、胎児DNAを優先的に単離または濃縮することができ、例えば、シトシンから変換されたウリジンを含む胎児DNAを優先的に増幅することができる。
【0040】
本発明のさらに別の局面によると、胎児の遺伝的組成を同定する方法が提供される。本方法には、本発明の方法に従って胎児核酸を単離する工程、および単離された胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成を同定する工程が含まれる。
【0041】
胎児の遺伝的組成は、胎児の性別の指標または胎児の状態や障害の指標となりうる。一態様において、遺伝的組成には、モノソミー、部分モノソミー、トリソミー、部分トリソミー、染色体転座、染色体重複、染色体欠失または微小欠失、および染色体逆位が非限定的に含まれる。
【0042】
一般に、「モノソミー」という用語は、一対の染色体のうち一方しか存在しないことを指す。モノソミーとは異数体の一種である。部分モノソミーは、染色体の長腕または短腕が失われている場合に起こる。モノソミーに起因する一般的なヒトの遺伝的障害には以下が含まれる:正常な女性で通常見られる2本(XX)の代わりにX染色体が1本しか無い、XO(ターナー症候群としても知られている);第5染色体の短腕p(フランス語で「小さな」という意味のpetitから)の末端の欠失に起因する部分モノソミーである、ネコ鳴き症候群;および第1染色体の短腕pの末端の欠失に起因する部分モノソミーである、1p36欠失症候群。
【0043】
これに対して、「トリソミー」という用語は、生物中の個別に番号付けされた型の染色体が正常な2本の代わりに3本存在することを指す。したがって、第21染色体が余分に存在することは21トリソミーと呼ぶ。その他の染色体数異常の大多数と同様、大多数のトリソミーは特有の先天的欠陥をもたらす。多くのトリソミーは、流産または若年齢での死亡につながる。余分な染色体の一部が残りの染色体の一方に付着している場合、または染色体の一方がその染色体の一部を2コピー有する場合に、部分トリソミーが起こる。モザイクトリソミーとは、余分な染色体物質が生物の細胞の一部のみに存在する状態である。トリソミーはいずれの染色体においても起こりうるが、大部分のトリソミーでは誕生まで生き延びる乳児はほとんどいない。ヒトにおいて自然流産が起こらず生き延びる最も一般的な種類とは、21トリソミー(ダウン症候群);18トリソミー(エドワーズ症候群);13トリソミー(パトー症候群);9トリソミー;8トリソミー(ワルカニー(Warkany)症候群2);および16トリソミー(これはヒトにおける最も一般的なトリソミーであり妊婦の1%超で起こるが、通常は最初の三半期に自然流産を起こす)である。性染色体に関わるトリソミーには、XXX(トリプルX症候群);XXY(クラインフェルター症候群);およびXYY(XYY症候群)が含まれる。
【0044】
別の態様において、遺伝的組成には、対立遺伝子または遺伝子の異常、例えば、1つまたは複数の遺伝子における点変異、挿入、欠失などの1つまたは複数の変異が含まれる。
【0045】
さらに別の態様において、遺伝的組成には、1つまたは複数の多型パターンまたは遺伝子マーカー、例えばショートタンデムリピート配列(STR)、一塩基多型(SNP)などが非限定的に含まれる。
【0046】
さらに別の態様において、遺伝的組成は疾患または障害の指標となる。疾患または障害の例には以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、フェニルケトン尿症、テイ・サックス病、副腎皮質過形成症、ファンコニー貧血、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病、β地中海貧血症、筋緊張性ジストロフィー、脆弱X症候群、ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトー症候群、クラインフェルター症候群、トリプルX症候群、XYY症候群、8トリソミー、16トリソミー、ターナー症候群、ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、ディジョージ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、RhD症候群、結節性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、およびプラダー・ウィリー症候群。
【0047】
さらなる態様において、遺伝的組成には、Y染色体と一義的に関連するものではない任意の遺伝的な状態または異常が含まれる。
【0048】
さらに別の態様において、遺伝的組成には、胎児の父親(paternity)に対応するか関連する任意の遺伝的な状態が含まれる。
【0049】
本発明の遺伝子検査は、直接、または「増幅ベースの」遺伝的組成検査分析法のための鋳型として、本発明の単離核酸試料を使用することができる。これらの分析法は当技術分野で周知であり、以下を非限定的に含む:ポリメラーゼ連鎖反応法(「PCR」)、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法(「RT-PCR」)、リガーゼ連鎖反応法(「LCR」)、核酸配列ベースの増幅法(「NASBA」)としても知られる自家持続配列複製法(self-sustained sequence replication;「3SR」)、Q-B-レプリカーゼ増幅法、ローリングサークル増幅法(「RCA」)、転写媒介増幅法(「TMA」)、リンカー補助によるDNA増幅法(linker-aided DNA amplification;「LADA」)、多置換増幅法(multiple displacement amplification;「MDA」)、ならびにインベーダーおよび鎖置換増幅法(「SDA」)。
【0050】
本発明のさらに別の局面によると、SEQ ID NO: 1の配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むペプチドおよびアジュバントを包含する組成物が提供される。一態様において、該ペプチドは、SEQ ID NO: 1の配列に対して100%同一であるアミノ酸配列を含む。適切なアジュバントには、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバントの代替物、アラム、エチレン酢酸ビニルコポリマー、L-チロシン、オレイン酸マンニド(manide-oleate)、サポニン/コレステロールミセル、またはニトロセルロース(すなわちペプチド抗原が取り込まれたニトロセルロース)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0051】
本発明のさらに別の局面によると、胎児ヌクレオソームエピトープに特異的に結合する抗体を作製する方法が提供される。本方法は、SEQ ID NO: 1の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むペプチドおよびアジュバントを包含する組成物によって動物を免役化する工程を含む。動物とは、例えば哺乳動物(例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマなど)であってよい。特定の態様において、本方法は、免疫化された動物から細胞(例えば脾臓細胞)を得る工程、モノクローナル抗体を作製する工程、および胎児ヌクレオソーム特異的結合に関してそのようなモノクローナル抗体をスクリーニングする工程を含む。別の態様において、本方法は、免疫化された動物からポリクローナル抗血清を得る工程、および任意で、ポリクローナル抗血清から胎児ヌクレオソーム特異的抗体を精製する工程を含む。
【0052】
実施例
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しており、明示的にも暗黙的にも、何らかの様式、形状、または形態に限定することを意図するものではない。これらは使用される典型であるが、当業者に知られているその他の手順、方法論、または技術を代替的に用いてもよい。
【0053】
実施例1
頸管粘液試料は、妊娠の2番目の三半期の早期(または最初の三半期の後期)に妊婦からスワブまたは洗浄によって得る。採集装置上の頸管粘液試料を、水性緩衝液を含む試験管内に入れ、約4℃で保存し、試料温度を約4℃に維持しながら処理室に運ぶ。4℃環境の維持は、適当な氷嚢などを使用して達成してもよい。
【0054】
処理室に到着したらすぐ、試料を登録して、処理のために検査技師に送る。その後の処理のために試料を室温まで温める。次に試料を37℃のインキュベーター中の振とう器(rocker)上に約15〜30分間置き、粘液中に閉じこめられたDNAを放出させる。
【0055】
DNAを放出させるためにムチナーゼを用いて粘液をさらに溶解させてもよく、かつまた、アポトーシスを誘発して胎児ヌクレオソームを放出させるための化学的処理などの当技術分野で周知の条件に試料を供してもよい。採集装置を取り外し、例えば0.22 gmフィルターにより水性緩衝液を濾過して、母親細胞および精液細胞を含む混入物を除去する。あるいは、高分子量の粘液および細胞から遊離DNAを分離するために、試料由来の液体を遠心分離してペレットにしてもよい。保護されていない高分子量DNAを除去するために、水性緩衝液中の試料にDNase Iを添加してもよい。
【0056】
次に、洗浄および濃縮された試料を、ランダムに配置された多数のポストを有する回収領域を備えた米国特許出願第11/038,920号に開示された型のマイクロフロー装置に流すが、これはそのポスト含有回収領域内にヒストン特異的抗体を付着させることによって調製される。抗体を、アミノ酸残基配列Ser-Ala-Val-Met-Ala-Leu-Gln-Glu-Ala-Cysを有するデカペプチドと連結するように設計してもよい。
【0057】
上述のように調製した処理済みの粘液試料を、真空ポンプで吸引したマイクロフロー装置にゆっくりと流す。抗体は、露出した固有の配列に連結することによって、胎児ヒストン3.1を含む試料中のクロマチンに連結しかつこれを捕捉する。次にマイクロフロー装置を緩衝液で洗浄し、洗浄工程を2〜3回繰り返して、頸管粘液中に存在している可能性のある非特異的結合した生物学的物質を全て除去する。
【0058】
胎児核酸におけるグリコシル化、リン酸化、および/またはメチル化などの翻訳後修飾に連結するよう設計された抗体も、使用可能である。あるいは、特異的ヒストン高次構造と、上述のような翻訳後修飾とに連結するよう設計された、2種類の抗体を用いる。
【0059】
抗体によって捕捉された生物学的物質をマイクロフロー装置から放出させ、存在しうる塩を除去するための精製に供する。次に、Roche製のものなどの市販のDNA抽出キットを用いてDNAを試料から抽出する。
【0060】
その後、DNAを適切な容量、すなわち20〜50μlまで濃縮し、リアルタイムPCRまたは蛍光ベースのPCRを用いてY染色体特異的配列を検出するための解析を実施する。解析の結果、DNA中で雄性Y配列が明確に検出されたことが示され、このことは、抗体によって捕捉された生物学的物質中に胎児DNAが存在していることの証拠となる。捕捉されたDNA物質中に有意な量の母親のDNAが存在しないことは、2つの遺伝子座の定量的リアルタイムPCRを用いて示される。例えば、Yの量が、第二の偏在する配列(例えばβ-グロビン)量の少なくとも半分に等しいと示すことによって、DNAの大部分またはほぼ全てが胎児由来であることの証拠となる。あるいは、DNA中のH3.1対H3.3の相対割合の測定を用いて、存在する相対割合が胎児由来のヌクレオソーム中に存在しうるものであることを示すことが可能であり、これはDNAが胎児由来であることを立証しうる。
【0061】
そのような証明を受け、異数体または、妊娠合併症を示唆しうるその他の遺伝的障害や状態に関するDNAの解析を、自信を持って実施することができる。単離された胎児DNAを、分子DNAシーケンシングまたは多型DNA配列解析に供してもよい。そのような解析は、異数体をスクリーニングするための特異的DNA配列に関連するDNA量を定量するためにリアルタイムPCRを利用してもよく、または、DNAを増幅して次にそれを変異マイクロアレイもしくは遺伝子特異的マイクロアレイとともにインキュベーションするためにPCRを使用してもよい。
【0062】
本明細書において言及した全ての特許文献および刊行物は、その全文が参照によって明確に組み入れられる。
【0063】
本発明は、現時点で好ましい態様を参照して説明されているが、本発明の精神から逸脱することなく多種多様な修正を加えることができることを理解されたい。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胎児ヌクレオソームエピトープに特異的に結合する抗体。
【請求項2】
胎児ヌクレオソームエピトープが、ヒストンH3が付随したエピトープである、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
胎児ヌクレオソームエピトープが、ヒストンH3.1が付随したエピトープである、請求項1記載の抗体。
【請求項4】
胎児ヌクレオソームエピトープが、母親ヌクレオソームにおいてよりも胎児ヌクレオソームにおいてより露出しているヒストンH3.1の領域が付随したエピトープである、請求項1記載の抗体。
【請求項5】
胎児ヌクレオソームエピトープが、ヒストンH3.1は付随しているがヒストンH3.3は付随していないエピトープである、請求項1記載の抗体。
【請求項6】
胎児ヌクレオソームエピトープが、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を有するペプチド内のエピトープである、請求項1記載の抗体。
【請求項7】
胎児ヌクレオソームエピトープに特異的に結合する抗体であって、該エピトープを含むペプチドへの結合において請求項6記載の抗体と競合する抗体。
【請求項8】
胎児ヌクレオソームエピトープが、SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するペプチド内のエピトープである、請求項1記載の抗体。
【請求項9】
検出可能な実体を包含する、請求項1記載の抗体。
【請求項10】
蛍光標識された、請求項1記載の抗体。
【請求項11】
固体支持体上に固定化された、請求項1記載の抗体。
【請求項12】
請求項1記載の抗体を含む、キット。
【請求項13】
キットを使用して母体(maternal host)の生物学的試料から胎児細胞を検出するためまたは胎児核酸を単離するための説明書をさらに含む、請求項12記載のキット。
【請求項14】
胎児の単離核酸試料を含む胎児の遺伝的組成を検査するのに適したキットであって、該試料が請求項1記載の抗体の使用によって単離された、キット。
【請求項15】
生物学的試料と請求項1記載の抗体とを接触させる工程;および
生物学的試料中のヌクレオソームに対する抗体の結合を検出する工程
を含む、生物学的試料中の胎児核酸の存在を検出するための方法であって、ヌクレオソームに対する抗体の特異的結合が胎児核酸の存在の指標となる、方法。
【請求項16】
生物学的試料が、血液、血漿、血清、尿、頸管粘液、羊水、または絨毛膜絨毛試料である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
生物学的試料が頸管粘液試料である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
検出が、細胞に対する抗体の特異的結合を検出する工程を含み、かつ細胞に対する抗体の特異的結合が胎児細胞の存在の指標となる、請求項15記載の方法。
【請求項19】
検出が、フローサイトメトリー法を用いて実施される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
検出が、蛍光標識細胞ソーティング(FACS)を用いて実施され、かつ抗体が蛍光標識されている、請求項15記載の方法。
【請求項21】
請求項1記載の抗体を使用して胎児の母体より得た生物学的試料から核酸を単離する工程を含む、胎児の核酸を単離するための方法。
【請求項22】
生物学的試料が、尿、頸管粘液、羊水、または絨毛膜絨毛試料である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
抗体が固体支持体上に固定化された、請求項21記載の方法。
【請求項24】
抗体に接触させる前に生物学的試料をアポトーシス誘発処理に供する、請求項21記載の方法。
【請求項25】
抗体に接触させる前に生物学的試料をアポトーシス誘発処理に供する方法であって、アポトーシス誘発処理が化学的処理、高pH、剪断、または熱ショックを含む、請求項21記載の方法。
【請求項26】
生物学的試料を最初の三半期の間に得る、請求項21記載の方法。
【請求項27】
生物学的試料が頸管粘液試料であり、該頸管粘液試料を、経子宮頸部スワブ(transcervical swab)、子宮頸管内洗浄、細胞採取用ブラシ(cytobrush)、吸引、子宮内洗浄、またはこれらの組み合わせから得る、請求項21記載の方法。
【請求項28】
生物学的試料が頸管粘液試料であり、抗体に接触させる前に頸管粘液試料を粘液溶解剤で処理する、請求項21記載の方法。
【請求項29】
請求項21記載の方法によって胎児核酸を単離する工程;および
単離された胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成を同定する工程
を含む、胎児の遺伝的組成を同定する方法。
【請求項30】
遺伝的組成が、モノソミー、部分モノソミー、トリソミー、部分トリソミー、染色体転座、染色体重複、染色体欠失または微小欠失、および染色体逆位からなる群より選択される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
遺伝的組成が、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、フェニルケトン尿症、テイ・サックス病、副腎皮質過形成症、ファンコニー貧血、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病、β地中海貧血症、筋緊張性ジストロフィー、脆弱X症候群、ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトー症候群、クラインフェルター症候群、トリプルX症候群、XYY症候群、8トリソミー、16トリソミー、ターナー症候群、ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、ディジョージ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、RhD症候群、結節性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、およびプラダー・ウィリー症候群からなる群より選択される疾患または障害の指標となる、請求項29記載の方法。
【請求項32】
SEQ ID NO: 1の配列に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むペプチドおよびアジュバントを包含する、組成物。
【請求項33】
アミノ酸配列がSEQ ID NO: 1の配列に対して100%同一である、請求項32記載の組成物。

【公表番号】特表2010−539906(P2010−539906A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526048(P2010−526048)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/077251
【国際公開番号】WO2009/039507
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510029737)バイオセプト インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】