説明

胎児肝臓細胞を含む組成物およびHCV感染で有用な方法

本発明は、HCV感染後にHCVを効果的に生産できる細胞を含む組成物、該細胞を培養するための組成物、該組成物の製造方法、および該組成物中の細胞をHCVで感染させる方法を提供する。また、本発明はHCV生産をアッセイするための方法、およびHCVの生産に影響する化合物を評価する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、2003年12月1日に出願された米国仮出願第60/526,411号の優先権の利益を主張する。前記出願の全明細書をここに引用して援用する。
【0002】
本発明は、一般には、効果的にHCVを再生することができる細胞を含む組成物、およびそれを製造する、および使用するための方法および組成物に向けられる。
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)は感染したヒトにおいて頑強に複製されるが、培養された細胞中で該ウイルスを増殖させる頑強な方法は未だ完成されていない。感染した血清を用いてイン・ビボで培養されたヒト肝臓細胞を感染させる場合、少量のHCVが複製されるに過ぎず、これは、逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)によって検出可能に過ぎない。
【0004】
HCVで培養された細胞を感染する試みは末梢血液単核細胞、ヒトBおよびT細胞系、ヒト肝臓細胞系、および初代ヒト胎児および成人細胞で報告されている。しかしながら、今日報告されている結果は失望するものであった。しばしば、ウイルス複製は余りにも低くて、細胞の感染した集団から生じたHCVは、全くではないにせよ、RT−PCRで検出できるに過ぎず、従って、少数のHCV RNAのコピーが観察できるに過ぎない。さらに、ウイルス生産は散在性であって、同一ウイルスおよび細胞では、同一または異なる日にウエル間で再現性がない。なおさらに、感染のピークを観察するのには、ウイルスを投与した後数日、一ヶ月さえ要する。例えば、Iacovacci et al., Hepatology 26(5):1328-1337 (1997)。これらの問題は、HCVに罹った患者を治療するのに、および/またはHCV感染に関連する研究で有用であり得る化合物の同定および迅速なスクリーニングを妨げる。
【0005】
WO 02/077206は培養した細胞においてHCVを増殖させる方法を記載する。しかしながら、該方法は不利を有する。WO 02/077206に開示された方法においては、細胞は単離後間もなく用いなければならない。従って、単一ドナーからの細胞では単一実験のみができるにすぎない。一人のドナーからは、細胞の一組を得ることができ、従って、1つの実験を行うことができる。さらに、該方法で用いる培地は比較的複雑である。
【0006】
従って、細胞培養においてHCVを感染させ、複製する方法に対する継続した要望が存在する。また、培養においてHCV生産を阻害する化合物を測定するための迅速かつ効果的な方法に対する要望も存在する。この適用は、HCVを効果的に再生することができる細胞を含む組成物、細胞の組成物、細胞を培養するための培地の作成方法、細胞をHCVで感染させる方法、HCV感染をアッセイする方法、および本発明の組成物および方法を用いてHCVの生産に影響する化合物の能力を評価する方法を提供することによってこれらの問題を解決する。
【0007】
本発明は、高HCV生産培養細胞を含む組成物の製法を提供する。1つの具体例において、本発明は、低温保存され、効果的であり得て、かつHCVで効果的に感染させることができる、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓からの細胞を含む細胞混合物を含む組成物を提供する。本発明は、試料中の、効果的であり得て、かつHCVで効果的に感染させることができる、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓からの細胞を含む細胞混合物を含む組成物を提供する。また、本発明は、本発明の方法によって調製された細胞を含む組成物も提供する。本発明のもう1つの具体例において、細胞混合物中の細胞はサイズが約40ミクロンないし約70ミクロンのフィルターを通過することができる。本発明のもう1つの具体例において、該組成物は、フィーダー細胞と組み合わせて、または組み合わせることなく用いられる。本発明のなおもう1つの具体例において、フィーダー細胞はSTO(Reid−99)細胞である。STO(Reid−99)細胞は単に例示的なフィーダー細胞であって、他のそのようなフィーダー細胞はAmerican Type Culture Collectionから容易に入手することができる。
【0008】
本発明は細胞を培養するための組成物を提供する。本発明の1つの具体例において、細胞を培養するための組成物は、BSA、ニコチンアミド、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含む培地を含む。
【0009】
本発明は、HCVを本発明の組成物に投与することによって細胞混合物を感染させる方法を提供する。本発明の1つの具体例によると、HCVはRNA898である。本発明のもう1つの具体例において、HCVウイルスを、組成物中で細胞を洗浄し、または接種物を細胞培養基で置き換えるに先立って、cm当たり約0.52mlの容量にて、約37℃にて約4ないし約24時間まず組成物(接種物)と共にインキュベートする。
【0010】
本発明は、本発明の組成物をフィーダー細胞と共にインキュベートし、組成物中の該細胞をHCVと接触させ;次いで、該細胞および/または該細胞が培養された培地に関連するHCVを測定することによって、HCV感染をアッセイする方法を提供する。
さらに、本発明は、本発明の組成物をフィーダー細胞と共にインキュベートし、組成物中の細胞をHCVウイルスと接触させ、次いで、HCVとの接触の前または後に化合物を投与する工程を含む、HCVの生産に影響する、すなわち、より多くのHCVを生産する細胞の組成物の能力に影響する化合物の能力を評価する方法を提供する。
【0011】
1つの具体例において、該方法を用いてHCV生産を阻害する細胞についてスクリーニングする。さらなる具体例において、該方法を用いて、HCV生産を阻害するそれらの能力について複数の化合物を同時にスクリーニングする。
【0012】
もう1つの具体例において、逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)によってHCV RNAの量を測定することによって、HCVの存在を判断する。1つの具体例において、試料中のHCV RNAを内部対照として用いられる第2のウイルスからのRNAの量と比較する。さらなる具体例において、第2のウイルスがウシウイルス下痢ウイルス(「BVDV」)である。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な記載および特定の具体例は本発明の好ましい具体例を示すが、説明のためだけに掲げるものであり、なぜなら、本発明の精神および範囲内の種々の変形および修飾がこの詳細な説明から当業者に明らかになるだろうからである。
【0014】
好ましい具体例の記載
HCVのイン・ビトロ増殖に適する細胞に対する要望が存在する。もしHCVによって感染され得るが、イン・ビトロ細胞において長期に生産することができ、単離に際して直ちに使用する必要が無い肝臓細胞集団を生産することができれば、それは最も便利であろう。本発明は、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から単離された肝臓細胞および造血細胞を含む細胞混合物を提供することによって、これらの要望に取り組む。混合された細胞集団調製物は、増殖培地中でフィーダー細胞系の存在と増殖されたそのような細胞混合物の4×10細胞が、RNA898のようなHCVウイルスの細胞への投与、または該ウイルスへの感染から72時間後に培地中で約5000コピーを超えるC型肝炎ウイルス(HCV)RNAを生産するようなものである。
【0015】
本発明の組成物は、低温保存された妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から放出された細胞を含む細胞混合物を含む。
【0016】
また、試料のホルモン的に規定された培地中でHCVで効率的かつ効果的に感染させることができる妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から放出された細胞を含む細胞混合物を含む組成物も本発明によって提供される。
【0017】
低温保存されたものであって、試料のホルモン的に規定された培地中でHCVで効率的かつ効果的に感染させることができる、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から放出された細胞を含む細胞混合物を含む組成物も本発明によって提供される。
【0018】
1つの具体例によると、ヒトは妊娠後3月ないし誕生後1年までの間でそれを含む年齢である。本発明の1つの具体例において、ヒトは妊娠後3月ないし6月齢である。もう1つの具体例において、ヒトは妊娠後18週ないし22週齢の間である。本発明の1つの具体例において、細胞は胎児肝臓および造血細胞を含む。本発明の1つの具体例において、肝臓および造血細胞はアルファフェトプロテイン、アルブミンおよび/またはグリコホリンを発現することができる。1つの好ましい具体例によると、もしヒトが成人であれば、ヒトの肝臓は健康なものである。
【0019】
本発明は、HCVウイルス、RNA898(以下、「RNA898」)の感染および複製のためのかなり良好な宿主細胞である細胞を含む組成物を含む。RNA898は、ブダペスト条約の条件の下に2001年3月27日にAmerican Type Culture Collection (「ATCC」)、University Boulevard, Manassas, VA 201102209) (ATCC受託番号:PTA-3237)に寄託された。1つの具体例によると、本発明の組成物は、もし組成物中に4×10の細胞があれば、ウイルスの投与から72時間後に培地中に、約5000コピーを超える;約10000コピーを超える;または約50000コピーを超えるC型肝炎ウイルスRNAを生産することができる。例えば、本発明の方法に従って調製され、かつ、本明細書中における方法に従ってアッセイされた組成物は、ウイルスの投与から72時間後に培地中に約5000を超える、約10000コピーを超える、または約50000コピーを超えるC型肝炎ウイルスRNAを生産することができるであろう。
【0020】
当業者であれば、もし組成物中の細胞の数が4×10細胞よりも大きければ、生産されるウイルスRNAのコピーの合計数は組成物中の細胞の増大した数に相応する量だけ増加することを容易に理解するであろう。
【0021】
同様に、当業者であれば、もし組成物中の細胞の数が4×10細胞よりも小さければ、生産されるウイルスRNAのコピーの合計数は組成物中の細胞の減少した数に相応する量だけ減少することを容易に理解するであろう。従って、同一数のコピーのHCV RNAを比例して生産する4×10未満のまたはそれを超える細胞を含む組成物が考えられる。本発明による組成物は、ウイルスの組成物への投与から72時間後に5000ないし55000コピーのHCV RNA;10000ないし55000コピーのHCV RNAおよび25000ないし55000コピーのHCV RNAを生産することができる。
【0022】
ある例示的な具体例において、本発明は、本発明による組成物の細胞混合物が、EGTAを含む緩衝液中の妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓を入手し、細胞を肝臓から分離される組成物中の切り裂かれた肝臓をインキュベートすることを含む工程に従って調製することができることを記載する。分離された細胞は、約40ミクロン以上の物体が分離された細胞から除去されるように処理される。加えて、赤血球細胞も分離された細胞から除去される。次いで、分離された細胞を、0.1mMないし0.6mMカルシウム、ウシ血清アルブミン、ニコチンアミド、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含む無血清培地に再懸濁させ、無血清培地中で培養する。この最終再懸濁および培養工程は、10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清を含む組成物にそれを再懸濁させることによって、分離された細胞を低温に保存することを含む工程に先行しても、先行しなくてもよい。このように本発明の細胞の好ましい集団は組成物に調製され、そこでは、該組成物は妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から単離された肝臓細胞および造血細胞を含み、ここに、培養基中のフィーダー細胞系の存在下で該細胞混合物の4×10細胞を含む調製物は、HCVウイルスRNA898の該調製物への投与から72時間後に、培地中で、約5000コピーを超えるC型肝炎ウイルス(HCV)RNAを生産する。該調製物は低温保存してもしなくてもよい。そのような組成物を製造し、使用する方法および組成物は後にさらに詳細に記載する。
【0023】
本発明の細胞集団および組成物の調製における最初の工程は適当な肝臓細胞集団を得ることを含む。好ましくは、肝臓細胞集団は霊長類である細胞、最も好ましくはヒト細胞を含む。ヒト細胞は、好ましくは、妊娠後3月齢以降のヒトから単離される。1つの具体例によると、ヒトは妊娠後3月ないし誕生後1年までの間でそれを含む年齢である。本発明のもう1つの具体例において、ヒトは妊娠後3ないし6月齢である。もう1つの具体例において、ヒトは妊娠後18ないし22週齢の間である。本発明の1つの具体例において、細胞は胎児肝臓および造血細胞を含む。本発明の1つの具体例によると、肝臓および造血細胞はアルファフェトプロテイン、アルブミンおよび8またはグリコホリンを発現することができる。1つの好ましい具体例によると、もしヒトが成人であれば、ヒト肝臓は健康なものである。
【0024】
本発明のための種々の源からの肝臓の切り裂きは、典型的には、エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EGTA)緩衝液中で行う。1つの具体例において、EGTA緩衝液は0.1mMないし1.0mMのEGTAを含む。本発明のもう1つの具体例において、EGTAの濃度は0.5mMである。器官物質はこの緩衝液の冷(4℃)アリコット中で切り裂く。該緩衝液は、好ましくは、器官組織の解離を容易とする剤を含有する。解離は、プロテアーゼの存在によって促進され得る。プロテアーゼ溶液は温かくてもまたは冷たくてもよい。典型的には、用いるプロテアーゼはトリプシンである。トリプシン処理の不利の一つは、もし組織を上昇した温度(例えば、室温またはそれより高温)で長時間トリプシンに暴露すれば、それが損傷を引き起こしかねないことである。従って、細胞は、典型的には、温かいトリプシン中で30分以内のインキュベーションにより収穫される。しかしながら、組織に十分な解離は、典型的には、3ないし4時間を必要とし、よって、より低い(例えば4℃)の温度でトリプシン処理を行うのがしばしば望ましい。これは、組織をプロテアーゼに適切に浸漬しつつ、組織に対する損傷を最小化する。このように、組織は、0.25%トリプシンを含有するEGTA緩衝液に4℃にて10分間ないし18時間までの間浸漬することができる。次いで、組織をプロテアーゼ−含有緩衝液から取り出し、37℃の浴に2ないし30分間入れる。次いで、例えば、1mlの好ましくは温かい媒体を存在する元の組織100mg毎に加えることによって、細胞を組織から分離する。混合物をピペットで上下に穏和に処理すると、組織の解離が促進されて、細胞は媒体に分散するようになる。
【0025】
トリプシンの代わりに、あるいはトリプシンに加えて、他のプロテアーゼを用いて、組織の解離を容易とすることもできる。好ましい具体例において、解離はコラゲナーゼを用いて達成される。粗製コラゲナーゼ(例えば、2000ユニット/ml)を用いる。コラゲナーゼはトリプシンに対して好ましい。なぜならば、多くの組織はトリプシンに対するよりもコラーゲンに対して感受性が低く、従って、組織細胞の一体性に対する損傷はコラゲナーゼではより少ないからである。好ましい態様において、解離の方法は、EGTA中での第一のインキュベーション、続いての、コラゲナーゼを含有するカルシウム−含有緩衝液中での第二のインキュベーションを用いる2工程肝臓灌流を含む(Seglen, P.O. Methods Cell Biol 13:29, 1976)。組織はEGTA緩衝液中で切り刻まれる。次いで、EGTA緩衝液を除去し、コラゲナーゼおよびカルシウムを含有するが、キレート化剤(例えば、EGTAまたはその同等体)を含有せず、例えば、200ユニットのコラゲナーゼ/mlを含有する別の緩衝液または培地と置き換える。次いで、組織を、撹拌しつつ、例えば、37℃にて、例えば、10分ないし48時間までこの溶液中でインキュベートする。もし組織はそれがインキュベートされる容器の底に塗り付けられるならば、効果的な解離が認識できる。組織が解離された後、混合物を50ないし100gにおいて3分間遠心する。上澄みを捨て、細胞を適当な培地に再懸濁し、培養して、細胞を拡大培養する。特定の好ましい具体例において、解離は、0.1ないし5.0mg/mlのコラゲナーゼを含むコラゲナーゼ緩衝液を用いて行う。本発明のもう1つの具体例において、コラゲナーゼの濃度は2mg/mlである。(供給業者:GIBCO INVITROGEN、例えば、GIBCOカタログ番号17701より肝臓灌流培地が得られる)。好ましい解離方法において、組織をEGTA中で10分間インキュベートする。組織を沈降させ、EGTAを含有する上澄みを取り出す。次いで、沈積した組織をコラゲナーゼを含有する緩衝液(例えば、GIBCO肝臓灌流培地カタログ番号17701)中で30分間インキュベートする。
【0026】
用いることができるさらなるプロテアーゼは、例えば、プロナーゼ(Schaffer et al., Am. J. Physiol., 273(3,1)G686-G695, 1997; Glavin et al., J. Pharmacol. Exp. Therapeut. 276:1174-1179, 1996)およびジスパーゼ(Compton et al., J. Cell. Physiol., 177:274-281, 1998; Inamatsu et al., J. Invest. Dermatol., 111:767-775, 1998)のような細菌プロテアーゼを含む。加えて、ヒアルロニダーゼおよびノイラミニダーゼのような他の酵素を用いることもできる。
【0027】
一旦解離工程が完了すれば、細胞懸濁液をさらに処理して、目的物および物質を除去する。特定の好ましい具体例において、本発明の細胞集団はサイズが約40ミクロンのフィルターを通過することができる。従って、本発明の細胞集団の調製の工程は、40ミクロンよりも大きな解離した組織から目的物を取り出すことを含む。本発明によるこのサイズ排除工程は、サイズが約40ミクロンのフィルターを通過することができない細胞の組織、デブリスおよび凝集物のような物体を除去することを意味する。かくして、例えば、サイズがほぼ40ミクロンからサイズは100ミクロンまで(例えば、50、60、70、80または90ミクロン)のフィルターの使用、およびサイズが40ミクロンよりも大きなデブリスを除去するための他の方法が考えられる。1つの具体例において、濾過工程は、サイズが約40ミクロンよりも大きなフィルターを通過することができない物体を除去する。複数の濾過工程を使用することができ、例えば、より大きなポアのフィルターを用いる最初の濾過工程に続いて、より小さなポアサイズを用いる引き続いての濾過を行うことができる。本発明によるフィルターの例はナイロンフィルターを含む(例えば、Falconからの「細胞ストレイナー」(カタログ番号2034、2350または2360))。
【0028】
細胞集団から40ミクロンよりも大きな物体を除去することに加えて、本発明の分離工程は、細胞混合物から赤血球細胞を除去する工程も含む。赤血球細胞は、該細胞が肝臓から分離された後に、調製プロセスの間にいずれかの段階で除去することができると理解すべきである。赤血球細胞を除去する方法は当該分野で知られている。本発明の1つの具体例によると、赤血球細胞は遠心管中での順次の低速回転によって除去される。例えば、フィルターを通過した分離細胞を50×g(450rpm)において4分間回転させることができる、細胞ペレットを再懸濁し、同一プロセスを数回反復することができる。
【0029】
このようにして、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓細胞の懸濁液である細胞集団が得られ、ここに、肝臓細胞の懸濁液は40ミクロンよりも小さな細胞よりなる。好ましくは、懸濁液は、赤血球細胞を実質的に含まないものである。
【0030】
本発明の細胞集団は、アルファフェトプロテイン、アルブミンおよび/またはグリコホリンを発現する細胞が豊富化されたものである。好ましくは、該細胞はCD34を発現しないものである(それをCD34−という)。当業者であれば、該集団の細胞は1以上のこれらのマーカーを含むか否かを評価する技術を認識しているであろう。そのような技術は免疫染色を含むことができる。例えば、DAKO Corporation,Carpinteria,CAからの抗−アルファフェトプロテイン抗体、PharMingen,San Diego,CAからの抗−グリコホリン抗体(32591)、PharMingen,San Diego,CAからの抗−ヒトCD34抗体(34371A)、およびAccurate Chemical Corp.,Westbury,NYからの抗−アルブミン抗体(YM5024)を用いることができる。
【0031】
前記した抗体を用いて単離された細胞集団の表面でのこれらのマーカーの存在を測定するに加えて、当業者であれば単離技術におけるそのような抗体を用いて所望の細胞集団を単離することができるのを理解するであろう。従って、例示的な具体例において、単独、あるいはフィーダー細胞系の存在下で、妊娠後のヒト3月齢以降の肝臓を切り裂くことによって単離された一次細胞が培養において拡大培養され、拡大培養された培養は、本発明で言うような細胞の存在につき、豊富化される。そのような豊富化技術は、有利には免疫学的手法に基づく技術を使用することができる。これらは、限定されるものではないが、免疫接着、蛍光−活性化フローサイトメトリー免疫学的に基づくカラムクロマトグラフィー、抗体−コンジュゲーテッドセファロースビーズ(または他の不活性のビーズ)、または他の免疫学的ベースの適用、例えば、免疫−磁気分類)よりなる。しかし、これらの手法は肝臓細胞の集団を否定するものではなく、むしろ、その単離に導く。
【0032】
他の物理的分離手法は抗原精製に先立ち、またはその後に適用することができる。それらは、限定されるものではないが、平衡密度遠心、速度沈積、または対向流遠心溶出法よりなる。同様に、他の抗原マーカーを陽性または陰性態様で用いることができ、さらに、これらの細胞を否定する。これらは、限定されるものではないが、動物主要組織適合性遺伝子が、(特に、HLA DRA)の抗原、造血性抗原(例えば、CD33,CD8、CD10、CD14、CD9、CD20)、または他の肝臓蛋白質よりなる。
【0033】
本発明の肝臓細胞は、細胞の平衡−密度遠心によって豊富化することができる。細胞の平衡−密度遠心は、適当な細胞が幾分豊富化された低密度細胞を供する。FicollまたはPercoll密度勾配を用いることができる。1つの具体例において、平衡−密度遠心は、免疫アフイニティー工程の前に行うことができる。この具体例おいて、抗体精製技術の工程は、所望の密度を持つ肝臓細胞で行う。さらなる具体例において、平衡−密度遠心が、細胞の抗体精製後に行うことができる。あるいは、平衡−密度遠心精製工程は、抗体精製前に1回、抗体精製工程の後に1回の2回行うことができる。
【0034】
もう1つの態様において、肝臓細胞の集団は、プラスチックへの接着を用いることによって豊富化することができる。本発明の好ましい集団はプラスチック−接着性肝臓細胞である。肝臓細胞の集団は、細胞の単離された集団に存在する非接着性細胞を除去することによって豊富化することができる。これらの非接着性細胞の除去は、肝臓細胞集団を接着性、表面、典型的には、組織培養プラスチックまたはガラスに暴露することによって達成することができる。接着性肝臓細胞は、組織培養プラスチックまたはガラスに接着し、他方、非接着性細胞は懸濁液中に留まる。懸濁液中の細胞は、上澄みを除去し、接着性細胞を洗浄することによって容易に除去することができる。非接着性細胞は免疫精製工程の前または後に除去することができる。好ましくは間質細胞は、免疫精製工程に組織培養プラスチックまたはガラスのような固体表面の使用は当該分野でよく知られている。組織培養プラスチックおよびガラスを処理して(例えば、シリコーン、ニトロセルロース、ニッケル、リシンなど)、細胞の接着を促進し、または阻害することができる。処理されたおよび処理されていない表面は商業的に入手可能である。
【0035】
もう1つの態様において、細胞の豊富化された集団は細部に従ってさらに分画される。好ましい具体例において、細部分画は、例えば、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって達成することができる。本発明の細胞は直径が40ミクロン未満、より好ましくは約10ないし約30ミクロンの平均直径を有する。
【0036】
FACSは、それらがレーザービームを通過する場合の光散乱特性に基づいて細胞のサブ−集団の分離を可能とする。前方光散乱(FALS)は細胞のサイズに関連し、側方散乱特徴(SSC)としても知られた右側角光散乱は細胞密度、細胞含有量および核−細胞質の比率、すなわち、細胞の複雑性に関連する。細胞は蛍光コンジュゲートと抗体で標識することができるので、それは抗体(蛍光)強度によってさらに特徴付けることができる。例示的な具体例において、FACS医薬CSマシーンはCS34(低蛍光)およびCS34(高蛍光)を分離するように設定することができる。
【0037】
抗体、例えば、CD34モノクローナル抗体で肝臓細胞を標識するためには、細胞を肝臓から引き裂き、それらを実施例1に記載したようにプロテアーゼで処理することによって調製することができる。細胞調製物は遠心管においてml当たり、たとえば、約1×10ないし1×10細胞を含むアリコットに分割される。次いで、この懸濁液をベンチトップまたは他の遠心管にて遠心する。次いで、そのように生成された細胞ペレットを、選択されたモノクローナル抗体を含有する適当な緩衝液に再懸濁させ、適当な時間の間インキュベートする。標識された細胞を洗浄し、標識された細胞のアリコットをフルオレセイン−標識抗−マウス免疫グロブリンと共にインキュベートする。この懸濁液を洗浄し、細胞ソーティングのための適当な緩衝液に再懸濁させる。
【0038】
FACSによって細胞をソーティングするにおいて、低SSCおよび中間細胞(FALS)についてのウインドウ(すなわち、電子的に規定された領域)を設定する。このウインドウにおける細胞を、抗体−蛍光活性によってさらに分けることができる。FACSの設定をキャリブレートして、特定の抗原に対して陽性および陰性の細胞を収集する。
【0039】
本発明の特別な具体例において、肝臓細胞はFACSによって特徴付けることができる。CD34細胞を同定し、単離するための前記技術を、先に例示したもののような特異的抗体を用いて他の抗原決定基につき反復する。このようにして当業者であれば、本発明の細胞の高度に豊富化された集団を生じさせることができる。
【0040】
FACSに対する代替法として、免疫単離を用いて細胞を単離することができる。注目する特定の抗原に対する抗体の利用性は、注目する肝臓細胞の特異的分離を可能とする。そのような具体例において、CD34細胞をCD34細胞から分離し、次いで、(例えば、抗−アルファフェトプロテイン抗体;抗−グリコホリン抗体;抗−アルブミン抗体等を用いて)細胞上の他の抗原決定基の存在に従ってさらに分離する。精製技術は当業者によく知られている。これらの技術は、限定されるものではないが、イムノマグネティックス、免疫吸着などのような標準的な免疫学的手法を用い、混合物の他の成分から所望の細胞を含有する肝臓細胞画分を分離するための、肝臓から細胞環境の切り裂きおよび分画を用いる傾向がある。前記したようにして所望の肝臓細胞画分を分離すれば、種々の分離手段を用いてさらに精製して、さらなる精製を達成することができる。分析方法は、特に、純粋な細胞表面抗原の調製に特に適した分析方法はクロマトグラフィーを用いる。
【0041】
アフィニティークロマトグラフィーは、単離するべき物質、およびそれが特異的に結合することができる分子の間の特異的親和性に依拠するクロマトグラフィー手法である。これは受容体−リガンドタイプの相互作用である。カラム物質は、結合パートナー(この場合は抗体)の1つを不溶性マトリックスに共有結合カップリングさせることによって合成される。従って、カラム物質は溶液から当該物質を特異的に吸着することができる。結合が起こらないものに条件を変化(pH、イオン強度、温度等を変化させる)させることによって、溶出が起こる。
【0042】
アフィニティークロマトグラフィーの最も通常の形態の1つは、免疫アフィニティークロマトグラフィーである。本発明に従って用いるのに適した抗体の創成は後に議論する。抗体または抗原を不溶性の不活性なマトリックスに付着させる。分離すべき細胞集団を、特異的な抗体−抗原相互作用があるようにマトリックスに適用する。結合した抗原/抗体を、低いpH緩衝液、高塩濃度等のような、中程度の変性溶媒への暴露によって吸着剤から溶出させる。
【0043】
特定の具体例において、本発明の細胞は、イムノマグネティックスクロマトグラフィーを用いて単離される。例えば、抗−CD34または他の抗体を磁性ビーズに付着させる。これらの抗体−標識磁性ビーズは、アフィニティー精製についての基礎として用いられる。細胞の抗体−標識全肝臓細胞調製物は、ここに、例えば、抗−CD34抗体含有磁性アフィニティーカラムに適用される。非−接着性細胞を収集し、磁場の除去によって、磁性カラムから接着性細胞を捨てる。もう1つの具体例において、細胞をまず抗体(例えば、抗−CD34抗体)で標識し、次いで、二次抗体を運ぶ磁性ビーズまたはスフィアで標識する。
【0044】
炭水化物含有化合物の精製で有用なもう1つのタイプのアフィニティークロマトグラフィーはレクチンアフィニティークロマトグラフィーである、このタイプのクロマトグラフィーはCD34細胞を除去するのに有用である。レクチンは、種々の多糖および糖蛋白質に結合するクラスの物質である。レクチンは、通常、臭化シアンによってアガロースにカップリングされる。SepharoseにカップリングしたコンカナバリンAは、用いられるこの種の最初の物質であり、多糖の単離で広く用いられており、レクチン以外の糖蛋白質はヒラマメレクチン、N−アセチルグルコサミニル残基の精製で用いられてきた小麦胚芽アグルチニン、およびHelix pomatiaレクチンを含む。レクチンそれ自体は、炭水化物リガンドでのアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製される。ラクトースは、ヒマおよび落花生からレクチンを精製するのに用いられており;マルトースはヒラマメおよびタチナタマメからレクチンを抽出するのに有用であり;N−アセチル−Dガラクトサミンは大豆からレクチンを精製するのに用いられており;N−アセチルグルコサミニルは小麦胚芽からのレクチンに結合し;D−ガラクトサミンは二枚貝からレクチンを得るのに用いられており;L−7コースはハスからのレクチンに結合する。
【0045】
磁性ビーズを用いる免疫選択は、所望のモノクローナル抗体で予め被覆されたビーズを使用する。細胞をモノクローナル抗体で予め被覆し、ビーズに付着した二次抗−マウス免疫グロブリンを通じて磁性ビーズに付着させることができる。次いで、ビーズに結合した細胞を磁石で除去する。これは、所望の細胞の高い回収率を可能とする迅速な方法である。
【0046】
免疫接着において、プラスチック被覆表面を用いて、細胞を混合物から単離する。ペトリ皿のような表面を、所望の表現型を保有する細胞を選択する抗体で被覆する。細胞を被覆された皿の上に置き、細胞および皿のコーティングの間の相互作用を行う適当な時間の間インキュベートする。インキュベーション時間の後、非接着性細胞を適当な緩衝液で穏和に洗浄することのよって除去する。次いで、皿に付着したままの抗体−接着性細胞を培養し、および/またはトリプシン処理、または当業者によく知られた他の細胞収穫技術を用いて回収する。
【0047】
本発明の望ましい肝臓細胞集団は、アルファフェトプロテイン、アルブミン、およびグリコホリンに向けられた抗体と免疫反応性(すなわち、該集団の細胞は、これらのマーカーの各々に対して陽性であり、それを含む)であるが、抗CD34抗体と免疫反応性ではない(CD34を含まないものである)。かくして、抗体を用いて、肝臓細胞の集団を豊富化する。肝臓細胞はさらに特徴付けられるので、肝臓細胞と免疫反応する他の抗体は他の当業者によって作成できるであろう。肝臓細胞抗原決定基と免疫反応性であるこれらの他の抗体の使用も同様に考えられる。
【0048】
もう1つの具体例において、肝臓細胞上の決定基と免疫反応性である抗体と免疫反応性である第2の抗体を用いて、肝臓細胞の集団を豊富化することができる。二次抗体の使用は一般に当該分野で知られている。典型的には、二次抗体は、第一の抗体の定常基と免疫反応性である抗体である。好ましい二次抗体は抗−ウサギ、抗−マウス、抗−ラット、抗−ヤギおよび抗−ウマ免疫グロブリンであって、商業的に入手可能である。好ましい具体例において、二次抗体は、組織培養皿、アガロース、ポリアクリルアミド、および磁性粒子を含めた固体基材にコンジュゲートさせる。この具体例において、肝臓細胞の細胞表面の決定基に対して特異的な抗体を、まず、単離すべき肝臓細胞の集団に免疫反応させる。次いで、抗体が付着した細胞を含有する肝臓細胞集団を、固体基材にコンジュゲートする二次抗体に暴露する。細胞の豊富化が達成される。なぜならば、抗体で標識された細胞のみが二次抗体と免疫反応するからである。磁性粒子にコンジュゲートした二次抗体を供する市販のキットが利用できる。このシステムにおいては、抗体を表す適切に標識された肝臓細胞は、磁場への暴露によって精製される。
【0049】
特別な具体例において、本発明の細胞は低温保存される。肝臓細胞の低温保存の方法は、当業者に知られている。肝臓細胞の低温保存のためのある種の低温保護媒体を記載する米国特許5,723,282号;米国特許第6,521,402号、特に、米国特許第6,136,525号(ここに引用してその全体を援用する)を参照されたし。
【0050】
本出願においては、低温保存すべき細胞は、10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清の最終濃度を含む培地に再懸濁させる。次いで、細胞をフリーザーの安全容器に分注し、特定の条件、窒素、液体または蒸気、該容器のソーティング、および用いる場合の該細胞の解凍下で、容器を特定の時間凍結させる。一般的に言って、低温保護剤は、細胞内氷の凍結の間おける形成のような低温保存の有害な効果を最小化するのに用いる化合物である。説明のために、限定されるものではないが、DMSO、ポリエチレングリコール、アミノ酸、プロパンジオールを挙げることができる。
【0051】
好ましい肝臓細胞培養基は、細胞を、最小細胞劣化にて、液体窒素貯蔵で遭遇する極端な温度変化に耐えるものとするものである。ある具体例においては、培地は、BSA、ニコチンアミド、EGF、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾン(HDM2)を含有し、さらに、チミジン、アルブミン、インスリン、デキサメタゾン、グルタミンおよび哺乳動物血清のような1以上の補足物を含有することができるDMEM培地と定義される。以下の表は用いることができ、その変形であり得る培地の例示的濃度を提供する。
【0052】
【表1】

【0053】
哺乳動物血清が胎児ウシ血清、胎児子ウシ血清、および10%ないし90%の濃度範囲のブタ血清を含むことができる。特に好ましい具体例において、培地は、加えて、約10ないし約15%の範囲のDMSO、約3.5ないし約15%の範囲のアルブミン、および約10ないし約20%の範囲のグリセロールを補足する。特別な具体例において、低温保存用の培地は胎児ウシ血清(以下、FBS)と、ジメチルスルホキシド(以下、DMSO)とを含む。より具体的には、低温保護培地は約5ないし約20%のFBSおよび約5ないし約15%のDMSOを含む。最も好ましいのは、10%FBSおよび10%DMSOを含む低温保護培地である。
【0054】
前記定義の単離された肝臓細胞集団は、特定の密度にてフリーザー抵抗性容器に分注することによって低温保存用に調製される。そのような容器は、限定されるものではないが、バイアル、バッグ、カン等を含む。好ましいのはプラスチックバックであって、最も好ましいのは、約250mlないし約500mlの範囲の容量を有するBaxterプラスチックバックのCryocyte商標である。
【0055】
細胞を容器に分注し、例えば、機械的アルミニウムシール、熱的インパルスヒートシーラー、ルーエルロックプラグ等を用いて容器をシールする。熱シーリングが最も好ましい。そのようにシールされた容器は好ましくは、低温保存すべき全ての容器が満たされ、シールされ、従って、それらが同時に低温保存できるまで0ないし4℃に保たれる。
【0056】
低温保存すべき細胞の細胞密度は変化し得る。例えば、細胞は約5×10細胞/mlないし約10×10細胞/mlの密度で低温保存することができる。約10ないし約50mlの範囲の容量を250mlのフリージング容器中で維持することができ、他方、約50ないし約150mlを500mlのフリージング容器中で低温保存することができる。加えて、細胞を接種して、制御された結晶化、またはフリージング前に既に冷却されている溶液中での氷の形成を生じさせることができる。接種の方法は当業者に知られており、冷金属ロッドをフリージング溶液に挿入し、液体窒素のブラストをフリージング容器に導入することを含む。
【0057】
細胞の均一なフリージングが好ましく、凍結すべき容器がフリージングプレートの間に置かれるフリージングプレートを用いて達成することができる。
【0058】
肝臓細胞が一旦フリージング容器に分注されたならば、それはフリーザーに入れる準備ができている。約4℃ないし約−90℃で凍結することができるいずれのフリーザーも考えられるが、制御速度フリーザーが好ましい。非−制御速度フリーザーを用いる場合、低温保存すべきであって、細胞を含有する容器を、好ましくは発泡スチロールの箱に貯蔵し、フリーザー中に約2ないし約24時間入れられるフリーザー安全容器に入れる。その後、容器をフリーザーから取り出し、直ちに液体窒素中で長時間保存用に冷却する。用いる準備ができたならば、細胞を37ないし42℃の水浴中で解凍し、残存する低温保存剤を順次の洗浄によって除去する。
【0059】
制御速度フリーザーを用いる場合、フリージングプロフィールを該フリーザーにプログラムして、均一なフリージングを確保する。全てのそのようなフリージングプロフィールは、一旦試料の温度が−4℃に到達したならば開始すべきである。そのような制御速度温度についての冷却速度は当業者に知られており、米国特許第6,136,525号はそのような冷却速度の例を提供している。好ましくは、制御速度フリーザープロフィールは、潜熱の放出に対して補償するようにプログラムされた窒素のブラストを含む。潜熱の放出の補償は、細胞の低温保存の間における細胞損傷の尤度を減少させる。このプログラムされた冷ブラストは、フリージングサイクルにおける全てのフリージング容器上の外部の氷のシーディングを同調させるのを助ける。これは特に有利である。というのは、低温保存細胞の臨界点は氷形成の段階の間に起こるからである。氷形成が、液体相における分子のランダムに起こるクラスターであり得る核形成部位で開始する。核形成氷結晶は、氷の全面に形成されて、これは固化が完了するまで液体全体にわたって拡大する。
【0060】
細胞を低温保存するための好ましい方法は、10%DMSOおよび10%FCSを含有する培地中に細胞を2×10細胞/mlの密度で懸濁させ、次いで、バイアル当たり該懸濁液の1mlを2mlのクリオバイアルに分注することである。次いで、それをNalgene低温1℃フリージング容器(カタログ番号100−0001)に挿入することによって制御された速度にてバイアルを凍結させ、次いで、これを−70℃のフリーザーに一晩入れる。次いで、バイアルを、長期貯蔵用の液体窒素貯蔵タンクの蒸気相に移す。
【0061】
一旦細胞を前記したフリーザー技術を介して凍結したならば、それを、窒素貯蔵フリーザー中にて、長期間貯蔵用の低温発生貯蔵ボックス中に置くことができる。長期間貯蔵では、細胞を再懸濁に先立って数週間、数ヶ月または数年さえの間貯蔵することができると考えられる。フリージング容器を蒸気または液体窒素中で貯蔵することができる。
【0062】
使用に先立って、細胞は解凍しなければならず、DMSOは除去しなければならない。解凍は37ないし42℃の浴を介して達成される。スラッシュが出現すると、細胞を容器から取り出す。次いで、細胞を、冷培養基を含有する遠心管に注ぐ。初期細胞容量を新鮮な冷培養基に5ないし10回加えることによって、初期の細胞容量を遠心管中で希釈する。次いで、懸濁液を5ないし15gにおいて2ないし5分間回転して沈める。上澄みを吸引して、残存するDMSOを含有する培地を除去する。その後、約2ないし4回、新鮮な培地を細胞ペレットに加える。
【0063】
本発明の細胞は、低温保存の前、後、または前および後に、増殖させ、細胞培養において拡大培養する。しかしながら、本発明の細胞集団を調製する方法は低温保存および解凍工程を省略することができるのに注意すべきである。
【0064】
好ましい具体例において、細胞が本明細書中においてはホルモン的に規定される培地中で増殖させる。本発明の1つの具体例において、本発明の組成物を共培養し、フィーダー細胞と共に用いるか、さらにフィーダー細胞を含む。フィーダー細胞は細胞内マトリックス、および肝臓細胞の増殖および拡大培養のための成長因子のような拡散可能な因子を提供する。1つの具体例において、フィーダー細胞はHCVに感染する能力をほとんどまたは全く有しない。もう1つの具体例において、フィーダー細胞は線維芽細胞である。もう1つの具体例において、フィーダー細胞は胚性腸間膜線維芽細胞である。
【0065】
本発明によるフィーダー細胞の例はSPOのような胚線維芽細胞(MEF)およびラット胚線維芽細胞である。例えば、Hogan et al., Manipulating The Mouse Embryo : A Laboratory Manual, 第2版 Plainview, N.Y.: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1994; Robertson, E.J.編(1987) Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, ed. Robertson, E.J. (IRS, Oxford), pp. 71-112。STO(Reid 99)細胞は有用なフィーダー細胞の1つのタイプである。STO(Reid−99)細胞は、ブダペスト条約の条件の下で、2001年3月27日に、American Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110 2209に寄託した(ATCC受託番号:PTA−3236)。フィーダー細胞を培養し、維持する方法は、当該分野で知られている。例えば、Methods for culturing and maintaining feeder cells are known in the art. See, for example, in Methods for Tissue Engineering, Ed. Robert Lanza, Academic Press, NY (2002), pp. 151-202参照。
【0066】
フィーダー細胞は、当該分野で知られた方法に従って、増殖阻止することができる。例えば、SPO細胞を細胞培養プレートに2ないし48時間で接着させることができる。次に、STO細胞をインキュベートする培地を除去し、2ug/mlマイトマイシンCを含有する培地で置き換える。次いで、STO細胞を約37℃にて約2時間インキュベートする。インキュベーション後に、マイトマイシンCを含有する培地を除去する。細胞を2回洗浄し、次いで、STO細胞培養を、本発明の細胞混合物を加える前に0ないし48時間維持する。
【0067】
1つの具体例において、本発明の細胞の再懸濁液で用いられる培地は、遊離脂肪酸(FFA)、高密度リポ蛋白質(HGL)および微量元素を含む培地である。
【0068】
動物またはヒトの一次細胞、細胞系および組織を本発明の培地で培養することができる。1つの具体例において、培養基は無血清培地、カルシウム、FFA、HDL、ニコチンアミド、微量元素、EGF、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含む。もう1つの具体例によると、培養基は、更に以下の成分:グルカゴン、肝臓増殖因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子のいずれか1つ、組合せ、または全てを含むことができる。さらなる具体例において、培養基は、低密度リポ蛋白質(LDL)を含まない。
【0069】
前記プロセスに従って、細胞混合物を調製した後、該細胞および、必要であれば、フィーダー細胞を維持するのに適当な培地中で培養すべきである。本発明の1つの具体例において、培地は、HCV感染で用いる細胞混合物について最適化される。この目的で言うような1つの培地は、カルシウム、ウシ血清アルブミン(BsA)、遊離脂肪酸(FAA)、高密度リポ蛋白質(HDL)、ニコチンアミド、微量元素、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリン、ヒドロコルチゾンを含み、所望により以下の成分:グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子のいずれか1つ、組合せ、または全てを含む無血清培地(例えば、(ダルベッコウの修飾句培地DMEM))を含む。本発明の1つの具体例によると、培養基は低密度リポ蛋白質(LDD)を含まない。
【0070】
この目的で有用なもう1つの培地は、ウシ血清アルブミン(BSA)、ニコチンアミド、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含む無血清培地を含む。
【0071】
1つの具体例において、培地は低密度リポ蛋白質(LDL)を含まない。もう1つの具体例において、培地は遊離脂肪酸(FAA)、高密度リポ蛋白質(HDL)、または微量元素を含まない。
【0072】
もう1つの具体例において、培地は、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含有しない。
【0073】
もう1つの具体例において、培地は、低密度リポ蛋白質(LDL)、遊離脂肪酸(FAA)、高密度リポ蛋白質(HDL)、または微量元素、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子を含まない。もう1つの具体例において、培地は無血清である。
【0074】
1つの具体例において、培養基におけるカルシウムの濃度は0.1mMないし0.6mMの間である。もう1つの具体例において、カルシウムの濃度はほぼ0.5mMである。1つの具体例において、BSA濃度は500ug/mlである。もう1つの具体例において、ニコチンアミドの濃度は5mMである。1つの具体例において、インスリンの濃度は10ug/mlである。1つの具体例において、遊離脂肪酸の濃度は7.6eEq/Lである。1つの具体例において、EGFの濃度は100mg/mlである。1つの具体例において、肝臓成長因子の濃度は20ug/mlである。1つの具体例において、エタノールアミンの濃度は10−6Mである。1つの具体例において、チロトロピン放出因の濃度は、107−6Mである。1つの具体例において、HDLの濃度は5ug/mlである。1つの具体例において、ヒドロコルチゾンの濃度は10−6Mである。1つの具体例において、培地はIM−HDM培地である。
【0075】
DMEM(高グルコース)、500ug/ml BSA, 7.6uEq/L遊離脂肪酸(FAA), 5ug/ml HDL, 5mM ニコチンアミド、1x 微量元素 [1x10-7M銅, 5x10-11M亜鉛, 3x10 10Mセレン], 100ng/ml EGF, 10 ng/mlインスリン, 5ug/mlトランスフェリン, 10-6Mヒドロコルチゾン, 2ug/ml グルカゴン、20ug/ml肝臓増殖因子、10-6Mエタノールアミン10-6Mチロトロピン放出因子を含む。1つの具体例において、7.6uEq/Lの全FFAら、2.36μMパルミチン酸(16:0), 0.21uM パルミトレイン酸(cis-16:1 n-7), 0.88μMステアリン酸(18:0), 1.02μMオレイン酸(cis-18:1 n-9), 2.71μMリノール酸(cis-18:2 n-6),および0.43μMリノレン酸(cis 18:3 n-3)の混合物を含む。培地は、細菌の増殖を妨げるための抗生物質、例えば、1×ペニシリン/ストレプトマイシンを含むこともできる。
【0076】
もう1つの具体例において、培地はウシ血清アルブミン(BSA)、ニコチンアミド、表皮細胞成長因子(IGF)、インスリン、トランスフェリン、およびヒドロコルチゾンを含む無血清培地を含む。
【0077】
本発明の組成物の細胞混合物は、細胞外マトリックスで被覆したプラスチック基材上で平板培養することができる。細胞外マトリックス成分の例は、限定されるものではないが、例えば、コラーゲンI型、コラーゲン型IV型または接着蛋白質、フィブロネクチンおよびラミンまたはマトリゲル(Matrigel)(ICN Biochemicals Inc.)を含む。
【0078】
コラーゲンは、用いる場合、単独で、あるいはラミンまたはフィブロネクチンと組み合わせて、あるいはプロテオグリカンと組み合わせて、あるいは細胞外マトリックス材料が豊富化された組織抽出物と一緒に用いることができる。細胞外マトリックスは前記したフィーダー細胞によって供することもできる。そのような細胞混合物および細胞外マトリックスの組合せは、本発明によってHCVアッセイ方法で用いることができる。
【0079】
本発明の細胞組成物は、HCV感染させることができるイン・ビトロ細胞を供するのに有用であり、従って、HCVに罹った患者を治療するのに有用であり得る化合物の同定および迅速なスクリーニングのためのおよび/またはHCV感染に関連する研究のために有用なイン・ビトロ培養系を提供する。従って、好ましい具体例において、本発明の細胞組成物は、RNA898、またはRNA898のHCV感染同等体と接触させることができる。RNA898感染同等体は、本発明の方法に従って調製された組成物の4×10細胞をHCVウイルスと接触させてから72時間後に約5000コピーを超える、約10000コピーを超える、または約50000コピーを超えるHCV RNAを生じさせることができるRNA898以外のHCV株である。1つの具体例によると、細胞は、cm当たり約0.52mlの容量において、約37℃で、本発明の組成物をRNA898または感染同等体と約24時間接触させることによって感染させる。本発明の1つの具体例によると、HCVで感染させるべき細胞を細胞外マトリックスと共に培養する。本発明のもう1つの具体例において、細胞外マトリックスはフィーダー細胞(例えば、STO−(Reid99)細胞)によって供される。
【0080】
本発明の組成物における細胞から生じたHCVの量は、例えば、HCV蛋白質または核酸の生産を測定することによって決定することができる。
【0081】
例えば、(その中またはそれに付着された)細胞および/または細胞が培養される培地に関連して見出されるHCV RNAのコピーの数を定量することができる。HCV蛋白質または核酸分子が生産されたか否かを観察するために用いることができる当該分野で知られた技術がある。例えば、HCV蛋白質に対して向けられた抗体でプローブされた蛋白質のウエスタンブロットまたはHCV核酸配列に対して相補的である標識核酸分子でプローブされたゲルのブロット0細胞および細胞培養基から蛋白質および核酸分子を抽出するための方法は、当該分野でよく知られており、この目的のためのキットは商業的に入手可能である。
【0082】
本発明に従って生産されたHCV粒子のコピーの数をかなり正確に定量するためには、逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)が有用である。本発明の1つの具体例によると、RT−PCR方法は、第2のウイルスまたは第2の核酸分子のいずれかの形態でアッセイされるべき細胞、細胞抽出物および/または培地の試料に加えられる既知の量の第2の核酸分子に対してその値と比較することによって、HCV RNAのコピー数が決定されるように修飾される。第2のウイルスはHCVに密接に関連するか、あるいは第2の核酸分子はHCV RNAに密接に関連する(すなわち、長さ、核酸の組成およびウイルスキャプシド構造が類似)のが望ましい。1つの具体例において、第2の核酸分子はフラビウイルスキャプシドにおけるものである。1つの具体例において、第2のRNA分子はウシウイルス下痢ウイルス(「BVDV」)、例えば、BVDV NADL株(ATCC受託番号:VR−534)からのRNAである。
【0083】
第2のウイルスまたは核酸分子の存在は、それが、第1の核酸分子の定量用の内部対照として働く点で有利である。この内部対照はランダム変動およびアッセイ変動のモニタリングおよび修正を可能とする。
【0084】
例えば、本発明は:
1.該HCVを、既知の量のウシウイルス下痢ウイルス(「BVDV」)と合わせ、ここに、該BVDVは本発明の組成物と共に第2の核酸分子を含有し;
2.組成物の細胞、または細胞が培養される培地から、HCVに由来する第1の核酸分子およびBVDVに由来する第2の核酸分子を抽出して、組み合せた核酸抽出物を形成し;
3.該第1の核酸分子に対して特異的な第1の検出可能なプローブ、および該第2の核酸分子に対して特異的な第2の検出可能なプローブを、該組み合わせられた核酸抽出物に加え;
4.該組み合わせられた核酸抽出物をPCR手段によって増幅し;
5.該第1の検出可能なプローブおよび該第2の検出可能なプローブから独立して放出された検出可能なシグナルを、該増幅の間において種々のサイクルで定量し;
6.工程(e)の結果を外挿し、該HCVにおける該第1の核酸分子の量、およびBVDVにおける該第2の核酸分子の量を計算し;次いで
7.工程(f)における該第2の核酸の該計算された量を、工程(a)で用いた該第2の核酸の該既知の量と比較することによって、工程(f)において決定された該第1の核酸分子の該計算された量の精度を評価する;
工程を含む方法を提供する。
【0085】
もう1つの具体例によると、前記方法は、工程(f)における該第2の核酸の該計算された量を工程(a)で用いた該第2の核酸の該既知の量と比較することによって決定されたファクターによって、工程(f)において決定された該第1の核酸の該計算された量を調整するさらなる工程を含む。
【0086】
もう1つの具体例によると、本発明は、HCVを投与する前または後に化合物を本発明の組成物に加え、引き続いて、組成物中の細胞および/または感染した細胞が培養される培地に関連するHCVの存在を決定する工程を含む、HCVの生産に対する化合物の効果を決定する方法を提供する。もし該化合物がHCVが組成物と接触された後に投与されるのを望むならば、HCVから10日後以内に投与すべき化合物を組成物と接触させるのが好ましい。本発明に従ってテストすべき化合物はHCVの生産を阻害し、または活性化することができる。従って、化合物はHCVのライフサイクルのいずれかの段階を阻害して、その効果を達成することができる。そのような化合物の例は、限定されるものではないが、合成または精製された化学化合物、蛋白質および核酸分子を含む。化合物が加えられた試料は、同一条件下で処理されたものであるが、該化合物に暴露されていないか、またはHCV生産に対してほとんどまたは全く効果を有しないことが知られているもう1つの化合物に暴露された他の試料と比較することができる。
【0087】
本発明の細胞集団をイン・ビトロスクリーニングアッセイで使用することが考えられ、そこでは、肝臓細胞のHCV感染に影響する剤がモニターされる。そのような方法はマルチウエル(例えば、96−ウエル)プレートで行うことができる。該アッセイは、所望により、適当な培養基および適当な容器中にてフィーダー層と一緒に、本発明の細胞集団をインキュベートすることを含む。次いで、前記したように、細胞を適当なHCVと接触させる。テスト化合物の存在下および不存在下におけるHCVによる細胞の感染を評価する。種々の濃度の、テストすべきテスト化合物をウイルスの存在下および不存在下で細胞の共培養に加えることができると考えられる。さらに、細胞をウイルスの増殖細胞におけるいずれかの与えられた相においてテスト化合物に暴露することができる。例えば、いくつかの具体例において、細胞のウイルス感染が開始されたのと同時に(すなわち、ウイルスが加えられたのと同時に)ウイルス粒子を化合物に接触させるのが望ましいであろう。別法として、ウイルスライフサイクルにおける後の段階において(すなわち、細胞がウイルスで感染した状態となった後に)化合物を加えるのが好ましいであろう。さらに他の具体例において、ウイルスの添加に先立って細胞をテスト化合物と接触させて、テスト化合物がウイルスによる感染に対して予防効果を有するか否かを判断することができる。ウイルスのライフサイクルの特定の段階を決定するのは、当業者によく知られた方法を介して達成される。
【0088】
種々の濃度の与えられたテスト化合物を、毒性効果が観察されないいくつかの濃度、および毒性効果が観察される少なくとも2以上のより高い濃度を含むことを目標として選択される。例えば、0マイクロモラーないし約300マイクロモラーの範囲内のテスト化合物のいくつかの濃度をアッセイするのは、これらの目標を達成するのに通常は有用である。例えば、350マイクロモラー、400マイクロモラー、450マイクロモラー、500マイクロモラー、600マイクロモラー、700マイクロモラー、800マイクロモラー、900マイクロモラーのような300マイクロモラーよりも高い濃度にて、あるいはマルチモラー濃度においてさえこれらのアッセイのあるものを行うのが可能であるか、あるいは望ましくさえある。化合物の見積もられた治療的に有効な濃度は、テストする濃度の上方範囲に関して最初のガイダンスを提供する。
【0089】
アッセイの例示的な組においては、アッセイが行われるテスト化合物の濃度範囲は、アッセイ培地中の化合物の0.05マイクロモラー、0.1マイクロモラー、1.0マイクロモラー、5.0マイクロモラー、10.0マイクロモラー、20.0マイクロモラー、50.0マイクロモラー、100マイクロモラー、および300マイクロモラーの最終テスト化合物アッセイ濃度を生じる溶液の投与を含む。前記したように、これらは例示的な範囲であって、少なくとも4つの異なる濃度でいずれかの与えられたアッセイを行うことが考えられ、より好ましくは、濃度用量は、例えば、テストすべき化合物の4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15以上の濃度を含むであろう。そのような濃度が、例えば、テスト組成物中の0.05マイクロモラー、0.1マイクロモラー、0.5マイクロモラー、1.0マイクロモラー、2.0マイクロモラー、3.0マイクロモラー、4.0マイクロモラー、5.0マイクロモラー、10.0マイクロモラー、15.0マイクロモラー、20.0マイクロモラー、25.0マイクロモラー、30.0マイクロモラー、35.0マイクロモラー、40.0マイクロモラー、45.0マイクロモラー、50.0マイクロモラー、55.0マイクロモラー、60.0マイクロモラー、65.0マイクロモラー、70.0マイクロモラー、75.0マイクロモラー、80.0マイクロモラー、85.0マイクロモラー、90.0マイクロモラー、95.0マイクロモラー、100マイクロモラー、110.0マイクロモラー、120.0マイクロモラー、130.0マイクロモラー、140.0マイクロモラー、150.0マイクロモラー、160.0マイクロモラー、170.0マイクロモラー、180.0マイクロモラー、190.0マイクロモラー、200.0マイクロモラー、210.0マイクロモラー、220.0マイクロモラー、230.0マイクロモラー、240.0マイクロモラー、250.0マイクロモラー、260.0マイクロモラー、270.0マイクロモラー、280.0マイクロモラー、290.0マイクロモラー、および300マイクロモラーの培地濃度を生じさせることができる。
【0090】
テストすべき化合物は、天然に生じる化合物の断片または部分を含むことができるが、合理的な薬物設計スキームにより既に知られた化合物から誘導することができる。動物、細菌、真菌、葉および幹を含めた植物源および海洋試料のような天然の源から単離された化合物を、潜在的に言うような医薬組成物の存在についての候補としてアッセイすることができる。別法として、毒性につきスクリーニングすべき医薬抽出物合成することもできる(すなわち、人造化合物)。
【0091】
モニターすべき化合物のタイプはとりわけ、抗ウイルス化合物、抗生物質、抗炎症化合物、抗うつ剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、利尿剤、抗高血圧化合物、抗不整脈薬物、抗癌、癌の治療用の化学療法化合物、抗微生物化合物であってよい。
【0092】
細胞傷害性についてテストすべき化合物の源またはタイプにかかわらず、化合物の生物学的活性をモニターして、特定の化合物、または化合物の群の治療効果の適応症を供するのが必要であろう。もちろん、そのようなアッセイはテストすべき特定の治療適応症に依存するであろう。例示的な適応症は、HCVまたは他のウイルス感染を含む。
【0093】
好ましい具体例において、本発明のアッセイは、薬物発見プログラムの一部として用いて、HCV感染に対する増大した効果を持つ推定治療化合物を同定することができる。薬物の発見は、標的化治療領域において、有望性を示すある範囲の候補物質の同定で始まる。例示的な具体例において、VX−950のような例示的なコアまたは鋳型構造をさらなる薬物開発の努力のために用いることができる。他の構造は、同様に、合理的薬物設計を介して、抗−HCV剤として設計された有用な特別な構造を提供する。一旦、鋳型が選択されれば、さらなる化学および構造活性分析を行って、化合物の効力を増加させる。このプロセスはリードプロセスを生じさせる。該プロセスのこの段階において本発明の方法を用いるスクリーニングを行って、これらの潜在的リード化合物に対する効力データを提供することができる。最高のリード化合物は、前臨床動物試験にエンターするように選択される。発見プロセスの初期に本発明の選択方法を取り込むと、この後期段階の間に失敗する化合物を大いに低下させる。
【0094】
本発明の細胞集団に用いるイン・ビトロスクリーニングは薬物発見プログラムにおいていずれかの段階に使用することができるが、発見プロセスの初期に価値あることが判明するであろう。そのような分析から得られた情報は、化学者に、新しい鋳型における効力および効果を最大限とする適切な情報を与える。これらの方法を用い、推定治療化合物を、その相対的結合効果に基づいてランク付けし、または優先順位をつけることができ、同一治療またはクラスにおける既知の薬物と比較することができる。
【0095】
VS−950は新しい抗−HCV剤のための参照化合物として用いることができよう。
VS−950の構造
【化1】

【0096】
本発明の細胞集団を用いて、効率につき多数の化合物をスクリーニングするための高スループットアッセイは特に考えられる。
【0097】
ある具体例においては、高スループットスクリーニングを自動化することができる。高スループットスクリーニングアッセイにおいては、化合物の群を、HCVに感染させた本発明の細胞を含む細胞培養、およびHCVに暴露されていない同様な培養に暴露させる。化合物のこれらの群は、以前個々に調製された化合物のコレクションから組み立てることができ、化合物バンクに貯蔵されているので、該組み立てはランダムなものであって、あるいは、同様な構造が形成された同様性プログラムを用いることによってガイドされる。
【0098】
加えて、化合物のライブラリーおよび/またはアレイの慎重な調製および使用において迅速な成長もあった。各ライブラリーは、酵素または受容体のような生物学的標的に対してスクリーニングされる多数の化合物を含有する。生物学的ヒットが見出されると、該ヒットの原因となる化合物を同定する。そのような化合物またはリードは、一般に、スクリーニングにおいて比較的弱い活性を呈するが、より伝統的な医薬化学プログラムの実行のための基礎を形成して、活性を増強させる。ライブラリーはコンビナトーリアル化学の迅速に発展する技術を用いて、または平行した合成によって調製することができる(DeWitt et al, Proc Natl Acad Sci, 90, 6909, 1993; Jung et al, Angew Chem Int Ed Engl, 31:367-83, 1992; Pavia et al., Bioorg Med Chem Lett, 3:387-96, 1993)。
【0099】
別法として、スクリーニングすべき化合物は、例えば、前記したVX−950構造のような通常の鋳型またはコア構造にもとづいてライブラリーを形成することができる。そのような技術は、例えば、WO 95/32184(オキサゾロンおよびアミニジン鋳型)、WO 95/30642(ジヒドロベンゾピラン鋳型)およびWO 95/35278(ピロリジン鋳型)に記載されている。該鋳型は、その各々を、段階的な様式で、多数の異なる試薬、例えば5つの試薬と反応させて、置換基の5×5×5の異なる組合せを導入し、125の成分を含有するライブラリーを与えることができる多数の機能的部位、例えば3つの機能的部位を有するであろう。該ライブラリーは、通常、置換基の全ての、または実質的に全ての可能な組合せを含むであろう。該鋳型は、例えば、ベンゾジアゼピン環のような既知のファルマコフォアを取り込む「偏った」鋳型、あるいは「偏っていない」鋳型であってよく、その選択は生物学的考慮よりも化学によってより影響される。
【0100】
かくして、本発明の細胞集団および方法を用いて、薬物発見のためのリード化合物を同定することができる。前記したライブラリースクリーニングに加えて、そのようなリード化合物は、実験室において個々に作成された単一合成化合物のランダム交差スクリーニングによって、または微生物代謝産物、海洋海綿および植物のような天然産物源から得られた抽出物をスクリーニングすることによって作り出すことができる。
【0101】
もう1つの代替法において、化合物は、既知の生物学的に活性な化合物の構造および/または生物学的作用のその部位に基づいて合理的薬物設計を通じて作り出すことができる。これは、今回、コンピュータ−援助薬物設計の強力な技術によって実行された。合理的薬物設計の目標は、注目する生物学的に活性な分子の構造的アナログを作り出すことである。そのような技術は、本発明を用いて抗−HCV活性につきスクリーニングすることができる特定の適用症につき潜在的に数千の化合物を生じるであろう。
【0102】
1つの具体例によると、前記方法を用いて、HCV集団に対する複数の化合物の影響を同時にスクリーニングする。例えば、96−ウエルプレートの各ウエルは、本発明の方法に従ってスクリーニングされるべき異なる化合物を含有し得る。さらなる具体例において、本発明の方法を用いて、HCVの生産を阻害する化合物を同定する。
【0103】
1つの具体例において、本発明の方法で用いるプライマーおよびプローブは、HCV株の最も保存された領域に基づいて設計される。また、以下のさらなる基準に基づいてプローブを構築することもできる;a)プローブの融解温度はプライマーのそれよりも8℃ないし10℃高い;b)5’末端にGは存在しない;c)4を超えるGのストレッチはない;および/またはd)プローブは高い融解温度をもつ内部構造を形成しないか、あるいはそれ自体とで、あるいはプライマーのいずれかとでデュプレックスを形成する。1つの具体例において、全PCR領域は長さが約150塩基対であった。
【0104】
BVDVの5’UTRについての有用なプライマーおよびプローブは同一の基準の組に基づいて設計することができる。加えて、HCVのプライマーまたはプローブはBVDVのそれに対して最小量の相同性を有することを確認するよう注意した。プライマーおよびプローブは、修飾された核酸分子を合成し、調製する商業的源から得ることができる(例えば、OligoおよびPE Applied Biosystems)。BVDVはMDBK細胞の感染によって維持することができる。
【0105】
本発明の1つの具体例において、2つの異なるデュアル標識発蛍光性プローブを用い、各々は、HCV核酸分子および第2の核酸分子の他方を除いて一方に対して特異的である。さらなる具体例において、各発蛍光性プローブは、典型的には、5’末端におけるレポーター色素および3’末端におけるクエンチャー色素を有する。2つの異なる発蛍光性プローブは、2つのピークの間で交差干渉なくして検出することができる区別される蛍光ピークをそれらが与えるように選択される。例えば、先に議論したように、第1の検出可能なプローブの5’末端は6カルボキシフルオレセイン(「6FAN」)のようなレポーター色素で標識することができ、第2の検出可能なプローブの5’末端はVICのようなレポーター色素で標識することができる。双方の検出可能なプローブの3’末端は6カルボキシメチルローダミン(「6PAMRA」)のようなクエンチャー色素で標識することができる。従って、第1の核酸および第2の核酸に結合すると、プローブの3’末端におけるクエンチャー色素に対する5’末端におけるレポーター色素の近接性の結果、蛍光の抑制がもたらされる。増幅の間、T番目のポリメラーゼが核酸配列にそって移動すると、クエンチャーは5’3’エキソの作用によってプローブから除去され、それにより、発蛍光性プローブを分解する。その結果、蛍光が発せられ、これは増幅サイクルの関数として記録される。従って、蛍光発光をモニターすると、リアルタイム増幅キネティックスを測定するための基礎が提供される。
【0106】
HCV遺伝子型1についての有用なプライマーおよびプローブの例は(配列番号:1)5’CCATGAATCACTCCCCTGTG 3’(順方向プライマー)、(配列番号:2)5’CCGGTCGTCCTGGCAATTC 3’(逆方向プライマー),およびHCVプローブ、(配列番号:5)5’6 FAM−CCTGGAGGCTGCACGACACTCA−TAMRA 3’である。BVDVについてのプライマーおよびプローブは順方向プライマー、(配列番号:3)5’−CAGGGTAGTCGTCAGTGGTTCG−3’、逆方向プライマー、(配列番号:4)5’−GGCCTCTGCAGCACCCTATC−3’、およびプローブ、5’ VIC (配列番号:6)−CCCTCGTCCACGTGGCATCTCGA−TAMRA 3’よりなるものである。
【0107】
RTおよびPCR反応は、キャップ付きの96ウエルプレート光学トロイの同一ウエルで行うことができる(PE Applied Biosystems, Foster City, CA)。本発明の1つの具体例において、多重RT−PCR反応を用いる(すなわち、同一チューブ中で2つの異なるRNA種、例えば、HCV RNAおよびBVDV RNAを同時に増幅し測定するRT−PCR反応)。該多重反応は、もしHCV陰性の結果が、培養が真に陰性であるか、あるいは抽出またはRT−PCR工程において何らかの技術的失敗があったという事実によるものか実行者が決定することができる利点を有する。10または20μlのウイルスRNAまたはRNA標準を、1XTaqman緩衝液(PE Applied Biosystems)、3mM 酢酸マグネシウム、各々300 mMのdATP,dCTP、dGTP,およびdUTP、5ユニットのT番目ポリメラーゼ(Epicentre)、4.0%増強剤(Epicenter)、ある濃度のプローブおよびプライマーを含む50ulのRT−PCT反応で増幅することができる。Taqman RT−PCRアッセイは、60℃にて25分間(RT)、95℃にて5分間、続いて、45サイクルの2−工程PCR反応(1分間の60℃、および15秒間の95℃)を行うことができる。HCVおよびもう1つの核酸を用いるアッセイ(多重)Taqmanアッセイでは、種々の濃度のプライマーの双方の組のマトリックス混合物を用い、HCVおよびBVDVプライマーの量を最適化することができる。最終アッセイ溶液は、20mMの6−FAN−標識HCVプローブおよびVIC−標識BVDVプローブ双方、400nMの双方のHCVプライマー、および45nMの双方のBVDVプライマーを含む。
【0108】
明細書および特許請求の範囲を通じて、用語「含む」、または「を含む」または「含んでいる」のような変形は、述べられた整数または整数の群を含むことを意味するが、いずれかのため整数または整数の群を排除するものではないと理解されるであろう。
【0109】
2001年3月272に出願された米国仮出願第60/279,174号および米国特許出願第20020142449およびそこで引用された論文をここに引用して援用する。
【0110】
本発明の多数の具体例を示してきたが、基本的な工程を変化させて、本発明の組成物および方法を利用する他の具体例を提供できることが明らかであろう。従って、本発明の範囲は、ここに例示された特別な具体例よりはむしろ特許請求の範囲または明細書によって定義されるべきだと認識されるであろう。
【0111】
本発明の実施に関連する一般的方法は、WO02/077206に見出すことができる。肝臓細胞の単離および低温保存についての一般的方法に関しては、Mitry, R. R., Hughes, R. D., and Dhawan, A. (2002)。Progress in human hepatocytes: isolation, culture & cryopreservation. Cell & Developmental Biology 13, 463-467。(ラットからの)胎児肝臓細胞単離についての詳細な方法に関してはArahyetes, R. M., Sierra, E., Codesal, J., Barrutia, M. S. G., Arza, E., Cubero, J., Ortiz, A., and Magnanto, P. (2001)。Optimization of the technique to isolate fetal hepatocytes, and assessment of their functionality by transplantation. Life Sciences 68, 763-772参照。
【0112】
一旦スクリーニングアッセイが適切な抗HCV剤を同定したならば、該剤を医薬組成物として処方することができ、さらに、HCV感染について、イン・ビトロモデルでテストすることができる。
【0113】
本発明のある態様においては、選択およびスクリーニングアッセイを行うための全ての必要成分は、キットにパッケージングすることができる。具体的には、本発明は、アッセイを含むための試薬のパッケージされた組、ならびにテストまたは参照化合物、該試薬を用いて本発明のアッセイの1以上の変形を行うための試薬がパッケージされた指示書を含むそのようなアッセイで用いられるキットを提供する。
【0114】
指示は、印刷された紙、またはコンピューターリーダブル磁性または光学媒体のようないずれかの有形媒体、またはインターネットを介してアクセスできるワールドワイドウエブページのような遠隔コンピュータデータ源を参照する指示書に固定することができる。
本発明で引用した書類の全ては、ここに引用して援用する。
【実施例】
【0115】
実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい具体例を示すために含める。本発明の実施でよく機能することが発明者らによって発見された技術を以下に表す実施例に開示された技術は、従って、その実施のための好ましい形態を構成すると考えることができるのは当業者に認識されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、開示され、なお同様な結果を得る特別な具体例において多くの変形をなすことができるのを認識するであろう。
【0116】
実施例1
低温保存
ヒト胎児肝臓細胞はコラゲナーゼ消化、70umフィルターを通す濾過、および3回の低速遠心によって単離した。細胞を10%FCSおよび10%DMSOを含有するDMEMに2×106/mlまで懸濁させ、制御速度フリージングによって凍結した。37℃の水浴中へ、10%FCSを含有するDMEM中の懸濁液を浸漬することによって細胞のバイアルを解凍し、低速遠心によってペレット化し、10mlのDMEM 10%FCSに再度懸濁させ、コラーゲン被覆プラスチックに一晩付着させた。非−接着性細胞を単層を穏和にすすぐことによって除去し、次いで、ホルモン的に規定された培地によって培地を置き換えた。10×対物レンズおよびHoffman Modulation Contrastオプティックスを用いて顕微鏡写真を撮った。図1参照。
【0117】
実施例2
タイムコース分析
低温保存したヒト胎児肝臓細胞を解凍し、コラーゲン被覆96−ウエルプレートのウエルに一晩接着させた。非−接着性細胞を除去し、DMEM、BSA、ニコチンアミド、EGF、インスリン、トランスフェリン、およびヒドロコルチゾンを含有するホルモン的に規定された培地(HDM2)で培地を置き換えた。細胞をHCVウイルスで接種し、37℃にて8時間インキュベートした。非−吸着ウイルスを除去し、培養をHDM2で2回洗浄し、次いで、新鮮なHDM2を加えた。示された接種の後(接種開始後)、4ウエルをPBSで2回すすぎ、次いで、細胞をカオトロピック緩衝液で溶解させ、Qiagen96−ウエルRNeasy手法を用いてRNAを単離した。多重RT−PCRを用いてHCV RNAを定量し、四連試料(ウエル当たりのHCVコピー数)の平均および標準偏差を求める。ダネット検定での結果の分析は、接種後46および56時間に収穫された試料は、22時間の時点より早い時点より有意に多いHCV RNAを含有することを示した。図2参照。
【0118】
実施例3
HCV感染の阻害
低温保存したヒト胎児肝臓細胞を解凍し、コラーゲン被覆96−ウエルプレートのウエルに37℃にて6時間接着させた。非−接着性細胞を除去し、DMEM、BSA、ニコチンアミド、EGF、インスリン、トランスフェリン、およびコルチゾンを含有するホルモン的に規定された培地(HDM2)で培地を置き換えた。異なる濃度のVX−950の存在下でウエルをHCVで接種し、37℃にて15時間インキュベートした。非−吸着ウイルスを除去し、培養をDMEMで2回洗浄し、次いで、同一濃度のVX−950を含有する新鮮なHDM2を加えた。さらに47時間のインキュベーションの後、ウエルをPBSで2回すすぎ、次いで、カオトロピック緩衝液で細胞を溶解させ、Qiagen96−ウエルRNeasy手法を用いてRNAを単離した。多重RT−PCR方法を用いて、HCV RNAを定量し、各濃度の阻害剤における三連試料の平均および標準偏差を表す(ウエル当たりのHCVコピー数)。0.2uM以上のVX−950の濃度は、ほとんど完全なHCV複製の阻害を示した。図3参照。
【0119】
本明細書中に開示し、特許請求する組成物および/または方法の全ては、本開示に照らして過度な実験を行うことなく為し、実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい具体例にて記載してきたが、本発明の概念、精神および範囲を逸脱することなく、種々の変形を、組成物および/または方法、および工程、または方法の工程の系列に適用できるのは当業者に明であろう。より具体的には、化学的におよび生理学的に関連するある種の剤は本明細書中に記載した剤に代えて置き換えることができ、他方、同一または類似の結果を達成するであろうことは明らかであろう。当業者に明らかな全てのそのような同様な代替法および修飾は、添付の請求の範囲によって定義される発明の精神、範囲および概念内にあると見なされる。
【0120】
本明細書を通じて引用された文献は、本明細書中に記載されたものを補足する例示的手法または他の詳細を供する程度に、全て、ここに引用して援用される。
【0121】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の態様をさらに説明することを意図する。本発明は、ここに示した特別な具体例の詳細な記載と組み合わされて、図面を参照することによって良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、解凍、およびコラーゲン−被覆組織培養ウエルへの付着後における低温保存したヒト胎児肝臓細胞を示す。低温保存した胎児肝臓細胞を解凍し、付着から5時間(図1A)または24時間(図1B)後に、ホルモン的に規定された培地中で、コラーゲンI被覆組織培養皿で培養した。代表的な顕微鏡視野を示す。40×対物レンズ、Hoffman Differentialオプティックス。
【図2】図2は、低温保存したヒト胎児肝臓細胞の感染後における細胞関連HCV RNAの増加のタイムコースを示す。
【図3】図3は、HCV NS3・4aプロテアーゼ阻害剤VX−950による低温保存ヒト胎児肝臓細胞のHCV感染の阻害を示す(WO02/18369参照)。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から単離された肝細胞および造血細胞を含む低温保存細胞混合物を含む組成物であって、ここに、培養基中でのフィーダー細胞系の存在下における該低温保存細胞混合物の4×10解凍細胞を含む調製物が、C型肝炎ウイルス(HCV)ウイルスRNA898の該調製物への投与から72時間後に該培地中において約5000を超えるコピーのHCV RNAを生じることを特徴とする該組成物。
【請求項2】
該組成物が、4×10細胞を含む調製物へのRNA898の投与から72時間後に約10,000コピーを超えるHCV RNAを生じる請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、4×10細胞を含む調製物へのRNA898の投与から72時間後に約50,000コピーを超えるHCV RNAを生じる請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
該フィーダー細胞がAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard Manassas, VA 201110 2209 に2001年3月27日に寄託されたSPO(Reid 99)細胞(「SPO(Reid 99)」);ATCC受託番号:PTA−3236である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
以下の:
(a)肝臓細胞をプロテアーゼで処置することによって、EGTAを含む緩衝液中の妊娠後ヒト3月齢以降からの肝臓細胞の懸濁液を得、ここに、肝臓細胞の該懸濁液は、40ミクロン以上の物体を除去するように処理されており、かつ、肝臓細胞の該懸濁液は赤血球細胞を含有せず;
(b)肝臓細胞の該懸濁液を10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清に再懸濁させ;
(c)工程(b)の組成物を低温保存し;
(d)工程(c)の組成物を解凍し;
(e)工程(f)の細胞を、カルシウム、遊離脂肪酸(FFA)、高密度リポ蛋白質(HDL)、ニコチンアミド、微量元素、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含みおよび、所望により、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミン、およびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含んでもよい無血清培地に再懸濁させ;次いで、
(f)工程(e)の無血清培地中で該細胞を培養する;
工程によって調製された細胞混合物を含む組成物。
【請求項6】
以下の:
(a)肝臓細胞をプロテアーゼで処理することによって、EGTAを含む緩衝液中の妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓細胞の懸濁液を得、ここに、肝臓細胞の該懸濁液は40ミクロン以上の物体を除去するように処理されており、かつ、肝臓細胞の該懸濁液は赤血球細胞を含有せず、
(b)工程(a)の細胞を、BSA、ニコチンアミド、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含み、および、所望により、グルカゴン、肝臓成長因子。エタノールアミン、およびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含んでもよい無血清培地に再懸濁させ;次いで、
(c)工程(b)の無血清培地中で該細胞を培養する;
工程によって調製された細胞混合物を含む組成物。
【請求項7】
さらに、
(d)工程(a)の細胞を、工程(b)に先立って、10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清を含む懸濁液中で低温保存し;次いで、
(e)工程(d)における再懸濁に先立って工程(d)の組成物を解凍することを含む請求項6記載の方法。
【請求項8】
肝臓細胞の該懸濁液が、EGTAを含む緩衝液中で妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓を切り裂くことによって得られる請求項5または6記載の組成物。
【請求項9】
EGTAを含む該懸濁液が、コラゲナーゼ、トリプシン、プロナーゼおよびジパーゼよりなる群から選択されるプロテアーゼを含む緩衝液で補足された、または置き換えられた請求項8記載の組成物。
【請求項10】
EGTAを含む該懸濁液が、コラゲナーゼ、トリプシン、プロナーゼおよびジパーゼよりなる群から選択される2以上のプロテアーゼのカクテルを含む緩衝液で補足された、または置き換えられた請求項8記載の組成物。
【請求項11】
EGTAを含む該懸濁液が、さらに、組織の炭水化物成分を破壊するための酵素を含み、該酵素はヒアルロニダーゼおよびノイラミニターゼよりなる群から選択される請求項9または10記載の組成物。
【請求項12】
以下の:
(a)妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓を、EGTAを含む緩衝液中で切り裂き;
(b)コラゲナーゼを含む緩衝液中で切り裂かれた肝臓をインキュベートして、該肝臓から細胞を分離し;
(c)分離された細胞から40ミクロン以上の物体を除去し、分離された細胞から赤血球細胞を除去し、
(e)10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清に該細胞を再懸濁させ;
(f)工程5の組成物を低温保存し;
(g)工程6の組成物を解凍し;
(h)工程(f)の細胞を、カルシウム、遊離脂肪酸(FFA)、高密度リポ蛋白質(HDL)、ニコチンアミド、微量元素、表皮細胞、成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含み、および、所望により、グルカゴン、肝臓成長因子。エタノールアミン、およびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含んでもよい無血清培地に再懸濁させ;次いで、
(i)工程(e)の無血清培地中で該細胞を培養する;
工程によって調製された細胞混合物を含む組成物。
【請求項13】
以下の;
(a)妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓を、EGTAを含む緩衝液中で切り裂き;
(b)該切り裂かれた肝臓をコラゲナーゼを含む緩衝液中でインキュベートして、肝臓から細胞を分離し;
(c)分離された細胞から40ミクロン以上の物体を除去し、
(d)分離された細胞から赤血球細胞を除去し;
(e)工程(d)の細胞を、BSAニコチンアミド、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含み、および、所望により、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含んでもよい無血清培地に再懸濁させ;次いで、
(f)工程(e)の無血清培地中で該細胞を培養する;
工程によって調製された細胞混合物を含む組成物。
【請求項14】
さらに、工程(d)および(e)の間に工程;
(g)工程(d)の細胞を10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清に再懸濁し;
(h)工程(e)の組成物を低温保存し、次いで;
(i)工程hの組成物を解凍する;
ことを含む請求項13記載の組成物。
【請求項15】
該組成物がさらに、STO(Reid99)細胞を含む請求項5ないし請求項14いずれか1記載の組成物。
【請求項16】
細胞混合物中の細胞が40ミクロンフィルターを通過することができる請求項1ないし15いずれか1記載の組成物。
【請求項17】
該細胞混合物がアルファフェトプロテインを発現する細胞、アルブミンを発現する細胞およびグリコホリンを発現する細胞を含むが、CD34蛋白質を発現する細胞を実質的に含まない請求項1ないし16いずれか1記載の組成物。
【請求項18】
妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から放出された肝臓細胞および造血細胞の拡大培養された混合細胞集団を含む組成物であって、該混合細胞集団はCD34+を発現する細胞を排除するように選択されるが、アルファフェトプロテイン、アルブミンおよびグリコホリンを発現する細胞を含むことを特徴とする該組成物。
【請求項19】
該混合細胞集団が、蛍光活性化スキャニング(FACS)を用いて、妊娠後ヒト3月齢以降の細胞に由来する細胞組成物から細胞集団を単離して調製され、ここに、該FACSはCD34細胞を選択する請求項18記載の組成物。
【請求項20】
該混合細胞集団が、蛍光活性化スキャニング(FACS)を用いて、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から由来する細胞組成物から細胞集団を単離して調製され、ここに、該FACSがアルブミン細胞を選択する請求項19記載の組成物。
【請求項21】
該混合細胞集団が、蛍光活性化スキャニング(FACS)を用いて、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から由来する細胞組成物から細胞集団を単離して調製され、ここに、該FACSがアルファフェトプロテイン細胞を選択する請求項19または20記載の組成物。
【請求項22】
該混合細胞集団が、蛍光活性化スキャニング(FACS)を用いて、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓から由来する細胞組成物から細胞集団を単離して調製され、ここに、該FACSが糖蛋白質細胞を選択する請求項19ないし21いずれか1記載の組成物。
【請求項23】
さらに、以下の成分:BSA、ニコチンアミド、EGF、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含む培養基を含む請求項1ないし22いずれか1記載の組成物。
【請求項24】
該培養基が低密度リポ蛋白質(LDL)を含まず;および/または該培養基がカルシウム、FFA、HDL、微量元素、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミン、またはチロトロピン放出因子を含有せず;および/または該培養基が無血清である請求項21記載の組成物。
【請求項25】
細胞外マトリックスをさらに含む請求項1ないし24いずれか1記載の組成物。
【請求項26】
CD34蛋白質の存在が、免疫蛍光または免疫ペルオキシダーゼ染色から選択される手法によって検出される請求項1ないし25いずれか1記載の組成物。
【請求項27】
さらに、HCVを含む請求項1ないし26いずれか1記載の組成物。
【請求項28】
該HCVがRNA898である請求項27記載の組成物。
【請求項29】
培地、BSA、ニコチンアミド、EGF、インスリン、トランスフェリン、およびヒドロクロチゾンを含み、および、所望により、低密度リポ蛋白質(LDL)を含まず、および所望により、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含まないことを特徴とする組成物。
【請求項30】
(a)肝臓細胞をプロテアーゼで処理することによって、EGTAを含む緩衝液中の、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓細胞の懸濁液を得、ここに、肝臓細胞の該懸濁液は40ミクロン以上の物体を除去するように処理されており、かつ肝臓細胞に該懸濁液は赤血球細胞を含有せず;
(b)10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清を含む組成物中の工程(a)の懸濁液の細胞を低温保存し;
(c)工程(b)の組成物を解凍し;
(d)工程(c)の細胞を、カルシウム、FFA、HDL、ニコチンアミド、微量元素、EGF、インスリン、トランスフェリン、ヒドロクロチゾンを含み、所望により、さらに、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つをさらに含む無血清培地に再懸濁させ;次いで、
(e)工程(d)の無血清培地中で該細胞を培養する;
工程を含むことを特徴とする、細胞混合物を単離し、培養する方法。
【請求項31】
(a)肝臓細胞をプロテアーゼで処理することによって、EGTAを含む緩衝液中の、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓細胞の懸濁液を得、ここに、肝臓細胞の該懸濁液は40ミクロン以上の物体を除去するように処理されており、かつ肝臓細胞の該懸濁液は赤血球細胞を含有せず;
(b)工程(a)の細胞を、BSA、ニコチンアミド、EGF、インスリン、トランスフェリン、ヒドロコルチゾンを含む培地に再懸濁させ;次いで
(c)工程(b)の無血清培地中で該細胞を培養する;
工程を含むことを特徴とする、細胞混合物を単離し、培養する方法。
【請求項32】
さらに、工程(a)および(b)の間に工程:
(d)10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清を含む組成物中で、工程(a)の懸濁液の細胞を低温保存し;次いで、
(e)工程(b)に先立って工程(d)の低温保存された細胞を解凍する;
ことを含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
肝臓細胞の該懸濁液が、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓をEGTAを含む緩衝液中で切り裂くことによって工程(a)で得られる請求項30または31記載の方法。
【請求項34】
EGTAを含む該緩衝液がプロテアーゼ含有緩衝液で補足されまたは置き換えられ、ここに、該プロテアーゼはコラゲナーゼ、トリプシン、プロナーゼおよびジパーゼよりなる群から選択される請求項33記載の方法。
【請求項35】
EGTAを含む該緩衝液がプロテアーゼ含有緩衝液で補足されまたは置き換えられ、ここに、該プロテアーゼはコラゲナーゼ、トリプシン、プロナーゼおよびジパーゼよりなる群から選択される2以上のプロテアーゼを含む請求項33記載の方法。
【請求項36】
EGTAを含む該緩衝液は、さらに、組織の炭水化物成分を破壊するための酵素を含み、該酵素がヒアルロニダーゼ、およびノイラミニダーゼよりなる群から選択される請求項34または35記載の方法。
【請求項37】
該赤血球細胞が、懸濁化された細胞を低速(50×g)で遠心して、より大きな細胞をほぼ3ないし4分間でペレット化し、ペレット化する細胞を洗浄し、次いで、遠心および洗浄工程を反復することによって除去される請求項30ないし36いずれか1記載の方法。
【請求項38】
該培地が低密度リポ蛋白質(NDL)を含有せず;および/または培地がカルシウム、FFA、HDL、または微量元素を含有せず;および/または培地がグルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンまたはチロトロピン放出因子を含有せず;および/または培地は無血清培地ではない請求項30ないし37いずれか1記載の方法。
【請求項39】
請求項1ないし29いずれか1記載の組成物、または請求項30ないし38いずれか1に従って調製された細胞混合物を、HCVウイルスRNA898またはその感染性同等物と接触させる工程を含む、細胞をHCVで感染させる方法。
【請求項40】
HCVウイルスを組成物に加え、組成物中の細胞を洗浄するに先立って、cm当たり約0.52mlの容量にて、約37℃で24時間インキュベートする請求項39記載の方法。
【請求項41】
(a)請求項1ないし29いずれか1記載の組成物、または請求項30ないし36いずれか1記載の細胞混合物を、フィーダー細胞と共にインキュベートし;
(b)該組成物をRNA898またはその感染性同等物と接触させ;次いで、
(c)組成物の細胞、細胞が培養された培地、または細胞および培地双方と関連するHCV RNAの存在を測定する;
工程を含む、HCV感染をアッセイする方法。
【請求項42】
該フィーダー細胞がSTO(Reid 99)細胞である請求項41記載の方法。
【請求項43】
HCV RNAの量が、(a)該細胞、または細胞が(b)と共に培養された培地と関連する存在するHCV RNAの量を、(b)内部対照として用いられる第2のウイルスからのRNAの量と比較することによって測定される請求項41または請求項42記載の方法。
【請求項44】
該第2のウイルスRNAがウシウイルス下痢ウイルス(BVDV)である請求項43記載の方法。
【請求項45】
(a)請求項1ないし29いずれか1記載の組成物、または請求項30ないし36いずれか1記載の細胞混合物を、フィーダー細胞と共にインキュベートし;
(b)組成物中の細胞をRNA898と接触させ;
(c)細胞をRNA898またはその感染性同等物と接触させる前または後に、化合物を組成物に投与し;次いで、
(d)該細胞、該細胞が培養された培地、または該細胞および該培地双方と関連するHCVを測定する;
工程を含む、HCVの生産に影響する化合物の能力を評価する方法。
【請求項46】
該化合物がHCV生産を阻害する請求項45記載の方法。
【請求項47】
複数の化合物が、HCV生産を阻害するその能力について同時にスクリーニングされる請求項45または46記載の方法。
【請求項48】
工程(d)の測定を、対照細胞、対照細胞が培養された培地、または対照細胞および培地の双方に関連するHCVの量と比較するさらなる工程を含み、ここに、化合物が投下されていないか、または既知の不活性化合物が投与されていることを除いて、該対照細胞が工程(a)ないし(d)に付されている請求項45ないし47いずれか1記載の方法。
【請求項49】
該フィーダー細胞がSTO(Reid 99)細胞である請求項45ないし48いずれか1記載の方法。
【請求項50】
HCVの存在が、細胞、または該細胞が培養された培地に関連するHCV RNAの量を決定することによって測定される請求項45ないし49いずれか1記載の方法。
【請求項51】
HCV RNAの量が逆転写酵素ポリメラーゼ鎖反応(RT PCR)によって決定される請求項45ないし50いずれか1記載の方法。
【請求項52】
HCV RNAの量が、(a)細胞、または細胞が培養された培地に関連するHCV RNAの量を、(b)内部対照として用いられた第2のウイルスからのRNAの量と比較することによって測定される請求項45ないし51いずれか1記載の方法。
【請求項53】
第2のウイルスがウシウイルス下痢ウイルス(BVDV)である請求項45ないし52いずれか1記載の方法。
【請求項54】
(a)肝臓細胞をプロテアーゼで処理することによって、EGTAを含む緩衝液中の、妊娠後ヒト3月齢以降の肝臓細胞の懸濁液を得、ここに、肝臓細胞の該懸濁液は40ミクロン以上の物体を除去するように処理されており、かつ肝臓細胞の該懸濁液が赤血球細胞を含有せず;
(b)肝臓細胞の該懸濁液からCD34−/アルファフェトプロテイン+/糖蛋白質+/アルブミン+細胞を単離し;
(c)工程(b)の細胞を、BSA、ニコチンアミド、表皮細胞成長因子(EGF)、インスリン、トランスフェリンおよびヒドロコルチゾンを含み、所望により、グルカゴン、肝臓成長因子、エタノールアミンおよびチロトロピン放出因子よりなる群から選択される成分のいずれか1つを含有する培地に再懸濁させ;次いで、
(d)工程(c)からの該細胞を、フィーダー細胞を含む培地中で共培養して、肝臓細胞の該集団を拡大培養する;
ことを特徴とする、肝臓細胞の混合集団を調製する方法。
【請求項55】
工程(a)の懸濁液の細胞、または工程(b)後に単離された細胞を、10%DMSOおよび10%胎児ウシ血清を含む組成物中で低温保存し;次いで、工程(c)に先立って該低温保存した細胞を解凍する請求項54記載の方法。
【請求項56】
肝臓細胞の該懸濁液からのCD34−/アルファフェトプロテイン+/糖蛋白質+/アルブミン+細胞の該単離が、FACSを用いて該肝臓細胞をソーティングすることを含む請求項54記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−516706(P2007−516706A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542663(P2006−542663)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/039964
【国際公開番号】WO2005/054450
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】