胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)媒介状態を治療するための組成物および方法
約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、界面動電的に改変された水性流体の投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、好ましくは、細胞膜電位および/または伝導性の調節を提供するのに十分な量において、流体中に安定的に構成される。TSLP発現および/または活性の調節または下方制御を含む、ある態様は、本明細書に開示されるようなTSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための有用性を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)およびTSLP媒介状態に関し、より具体的には、TSLPおよびTSLP受容体媒介状態(例えば、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、および食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、IgE媒介疾患、ならびに鼻炎結膜炎)に関する。特に好ましい態様は、本明細書に開示される少なくとも1つの界面動電的に生成された流体(ガス富化(例えば、酸素富化)界面動電的に生成された流体を含む)を含む、治療組成物を投与することによる、TSLPおよびTSLP受容体媒介状態の調節(例えば、治療)に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、共に2008年10月22日に出願の米国特許仮出願第61/107,480号および同第61/107,453号、ならびに2008年10月24日に出願の米国一般特許出願第12/258,210号の優先権の利益を主張するものであり、これらはともに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)。胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)は、樹状細胞媒介Th2型炎症反応を引き起こし、アレルギー性炎症のマスタースイッチと考えられる、IL−7様サイトカインである。TSLPは、BおよびT細胞の両方の発生および成熟への統合成長因子である。特に、マウスTSLPは、Bリンパ球産生を支持し、B細胞増殖に必要とされる。マウスTSLPは、T細胞受容体γ(TCRγ)遺伝子座の再配置の制御において重要な役割を果たし、胸腺細胞および成熟T細胞に対する実質的な刺激作用を有する。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照のこと。
【0003】
TSLPは、IL−7と同様のサイトカイン活性を有する。例えば、TSLPは、B細胞増殖反応の刺激においてIL−7に取って代わることができる(非特許文献1、上記を参照)。TSLPおよびIL−7は、標的細胞に対して同様の効果を媒介するが、それらは、異なる伝達経路を有するように思われ、それらの生物学的反応は異なる可能性がある。例えば、TSLPは、STAT5の活性を調節するが、いかなるJanusファミリーチロシンキナーゼメンバーも活性化しない(非特許文献4)。
【0004】
樹状細胞およびTNF産生に対するTSLPの効果。ヒトTSLPおよびヒトTSLP受容体が2001年にクローン化された後、ヒトTSLPは、未熟CD11c+骨髄樹状細胞を強く活性化したことがわかった(例えば、非特許文献5、および非特許文献6を参照のこと)。Th2細胞は、概して、IL−4、IL−5、IL−13、およびIL−10を産生するCD4+T細胞として、免疫学の教科書および文献に定義される。また、CD4+T細胞等のTh1細胞は、IFN−γ、および時に、TNFを産生する。TSLP−DCがインビトロでナイーブ同種CD4+T細胞を刺激するために使用される時、特有の型のTh2細胞が産生され、それは、古典的なTh2サイトカインIL−4、IL−5、およびIL−13、ならびに大量のTNFを産生するが、IL−10またはインターフェロン−γはほとんどまたは全く産生しない(非特許文献5、上記を参照)(また、例えば、非特許文献6を参照のこと)。TNFは、典型的には、Th2サイトカインと見なされない。しかしながら、TNFは、喘息気道において顕著であり、TNF分泌の増加と相関する遺伝子型は、喘息のリスクに関連する。非特許文献7、および非特許文献8を参照されたい。
【0005】
TSLPは、mRNAおよびタンパク質レベルの両方において、TNFスーパーファミリータンパク質OX40Lを発現するように、ヒトmDCを誘発する(非特許文献9)。TSLP−DCによるOX40Lの発現は、炎症Th2細胞の同化に重要である。したがって、TSLP活性化DCは、Th1極性化サイトカインの産生を誘発することなく、OX40Lを上方制御することにより、Th2許容微小環境を作成する。同上。
【0006】
TSLP発現、アレルゲン特異的反応、および喘息。初期の研究は、TSLP mRNAがヒト一次皮膚ケラチン生成細胞、気管支上皮細胞、平滑筋細胞、および肺線維芽細胞sによって高度に発現されたことを示した(非特許文献6)。TSLPは、表皮の頂端層のケラチン生成細胞中で主に発現されるため、これは、TSLP産生が完全に分化したケラチン生成細胞の特徴であることを示唆する。アトピー性皮膚炎の患者におけるTSLP発現は、原位置でのランゲルハンス細胞の移動および活性化に関連しており、これは、TSLPが、その後に流入領域リンパ節に移動し得るこれらの細胞の活性化、および主要アレルゲン特異的反応に直接寄与し得ることを示唆する。同上。より近年の研究では、原位置ハイブリダイゼーションにより、TSLP発現が喘息気道において増加し、Th2誘引性ケモカインの発現および疾病重症度の両方と相関しており、TSLPと喘息との間の関連性を提供したことが示された(非特許文献10)。
【0007】
TSLP受容体(TSLPR)およびアレルギー性喘息。TSLP受容体(TSLPR)は、約50kDaのタンパク質であり、共通γ鎖との有意な類似点を有する。TSLPRは、新規の1型サイトカイン受容体であり、IL−7Ra(CD127)と組み合わせると、例えば、非特許文献11に記載されるように、TSLP受容体複合体を構成する。TSLPRは、そのカルボキシル末端の近くにチロシン残基を有し、これは、TSLPと関わり合ったときに、リン酸化されたSTAT5と結びつき、複数の生物学的機能を媒介できる(非特許文献12)。
【0008】
ヒトTSLPRは、単球およびCD11c+樹状細胞により発現され、TSLP結合が、TH2細胞誘引性ケモカインCCL17およびCCL22の発現を誘発する。さらに、上述のように、樹状細胞のTSLPR誘発活性化は、CD4+T細胞ホメオスタシスの調節に必要であり得る、TH2サイトカインIL−4、−5、および−13の分泌の増加を間接的にもたらす。マウスにおいて、TSLPRの欠乏は、リンパ球数に影響しない。しかしながら、TSLPRおよび共通γ鎖の欠乏は、共通γ鎖のみが不足したマウスと比較して、より少ないリンパ球数をもたらす。非特許文献5、および非特許文献6を参照のこと。
【0009】
研究は、TSLPおよびTSLPRが、マウスのアレルギー性疾患の開始において重要な役割を果たすことを発見した。一研究において、皮膚でTSLPを過剰発現するように操作されたマウスは、炎症性浸潤を含む湿疹様皮膚病変、循環するTh2細胞の劇的増加、および血清IgEの上昇を特徴とするアトピー性皮膚炎を発症することが実証された(非特許文献13)。研究は、TSLPがマウスにおいてDCを直接的に活性化し得ることを示唆した。Liらによって実施された別の研究において、グループは、皮膚でTSLPを過剰発現しているトランスジェニックマウスが、TSLPとアトピー性皮膚炎の発症との間の関連性を強固なものにする、アトピー性皮膚炎を発症することを確認した。
【0010】
別の一連の研究は、TSLPが、インビボでマウスのアレルギー性気道炎症の開始に必要であることを実証した。一研究において、Zhouらは、TSLP導入遺伝子の肺特異的発現が、白血球(Th2細胞を含む)の大量浸潤、杯細胞過形成、および上皮下線維症、ならびに血清IgEレベルの増加を特徴とするアレルギー性気道炎症(喘息)を誘発することを実証した(非特許文献14)。しかしながら、対照的に、TSLPRを欠いているマウスは、吸入させた抗原に反応する喘息を発症しなかった(非特許文献14、上記を参照、および非特許文献15)。したがって、これらの研究は合わせて、TSLPがマウスのアレルギー性気道炎症の開始に必要であることを実証する。
【0011】
さらに、Yong−Junらにより実施された研究において、上皮細胞由来のTSLPがヒトのDC媒介炎症Th2反応を誘発することが実証されたが、これは、TSLPが上皮細胞とDCとの界面におけるアレルギー性炎症のマスタースイッチに相当することを示唆している(非特許文献16)。
【0012】
近年の研究において、TSLPRを阻害することによるDC機能の調節が、マウスの重症度を低めることが示された(非特許文献17)。別の一連の研究において、TSLPRがDCにおいて発現されるだけでなく、マクロファージ、マスト細胞、およびCD4+T細胞上でも発現されることが実証された(非特許文献18、および非特許文献19)。アレルギー性炎症におけるCD4+T細胞または他のエフェクター細胞に対するTSLPR中和の直接的効果を除外するために、Liyun Shiらは、ナイーブマウスの気道に養子移入する前に、OVA負荷DCをインビトロで抗TSLPRを用いて処理する実験を実施した。すでに、OVA−DCが強い好酸球性気道炎症を誘発し、IL−4およびIL−5などのTh2サイトカインの大量産生を伴うことがわかっている(非特許文献20、および非特許文献21)。しかしながら、抗TSLPRでのOVA−DCの事前処理は、好酸球およびリンパ球浸潤、ならびにIL−4およびIL−5レベルの有意な低下をもたらし、TSLPRがDCによって感作されたアレルギー性疾患に果たす役割をさらに明らかにした。この結果もまた、DC上のTSLPRの遮断が気道炎症を制御するのに役立つことを裏付ける(非特許文献17、上記を参照)。
【0013】
様々な生理学的および病理学的過程にTSLP/TSLPRの役割が関係していると見なす実験が増加してきている。TSLPの生理学的役割は、特にBおよびT細胞の増殖、発生、および成熟を刺激することにおける、免疫系の調節を含む。TSLPは、アレルギー性喘息、およびアレルギー性疾患を軽減するためのTSLP受容体機能の局所的抗体媒介性遮断の病理生物学において重要な役割を果たす。したがって、TSLPとTSLP受容体との間の相互作用は、アレルギー性炎症、アトピー性皮膚炎またはアトピー性湿疹の患者の皮膚病変、アレルギー性喘息、および喘息等の多くの生理学的疾病過程において重要であると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Friend et al.,Exp.Hematol,22:321−328,1994
【非特許文献2】Ray et al.,Eur.J.Immunol.,26:10−16,1996
【非特許文献3】Candeias et al.,Immunology Letters,57:9−14,1997
【非特許文献4】Levin et.al.,J.Immunol.,162:677−683,1999
【非特許文献5】Reche et al.,J.Immunol.,167:336−343,2001
【非特許文献6】Soumelis et al.,Nat.Immunol.,3:673−680,2002
【非特許文献7】Shah et al.,Clin.Exp.Allergy.,25:1038−1044,1995
【非特許文献8】Moffatt,M.F. and Cookson,W.O.,Hum.MoI.Genet.,6:551−554,1997
【非特許文献9】Ito et al.,J.Exp.Med.,202:1213−1223
【非特許文献10】Ying et al.,J.Immunol.,174:8183−8190,2005
【非特許文献11】Pandey et al.,Nat.Immunol.,1:59−64,2000
【非特許文献12】Isaksen et al.,J.Immunol.,168:3288−3294,2002
【非特許文献13】Yoo et al.,J.Exp.Med.,202:541−549,2005
【非特許文献14】Zhou et al.,Nat.Immunol.,6:1047−1053,2005
【非特許文献15】AAl−Shami et al.,J.Exp.Med.,202:829−839,2005
【非特許文献16】Yong−Jun et al.,J.Exp.Med.,203:269−273,2006
【非特許文献17】Liyun Shi et al.,Clin.Immunol.,129:202−210,2008
【非特許文献18】Rochman et al.,J.Immunol.,178:6720−6724,2007
【非特許文献19】Omori M. and Ziegler S.,J.Immunol.,178:1396−1404,2007
【非特許文献20】Sung et al.,J.Immunol.,166:1261−1271
【非特許文献21】Lambrecht et al.,J.Clin.Invest.,106:551−559,2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
特定の態様は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、治療有効量の界面動電的に改変された水性流体の、それを必要とする哺乳動物への投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される。
【0016】
特定の方法の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体中で主要な帯電安定化したガス含有ナノ構造種である。特定の実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造として、流体中に存在する溶解した酸素分子の割合は、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。特定の態様では、全ての溶解酸素は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造に実質的に存在する。特定の実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、および5nm未満からなる群から選択される大きさより小さい平均直径を実質的に有する。
【0017】
特定の方法の態様では、イオン水溶液は、食塩溶液を含む。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、超酸素化である。
【0018】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子の形態を含む。
【0019】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の改変は、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露を含む。特定の実施形態では、局在界面動電効果への曝露は、電圧パルスおよび電流パルスのうちの少なくとも1つへの曝露を含む。特定の態様では、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露は、流体を生成するために使用されるデバイスの界面動電効果を誘起する構造特性への流体の曝露を含む。
【0020】
特定の態様では、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、アレルギー性炎症を含むがこれに限定されない、免疫系の疾病または疾患を含む。特定の態様では、アレルギー性炎症は、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、および食物アレルギーのうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、例えば、関節リウマチおよび乾癬のうちの少なくとも1つを含む、炎症性関節炎を含む。
【0021】
ある態様では、方法は、併用療法をさらに含み、少なくとも1つの追加の治療剤が患者に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、短時間作用型β2アゴニスト、長時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、全身性コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエン修飾薬、メチルキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、アルブテロール、レバルブテロール、ピルブテロール、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルメテロール、ならびにイプラトロピウムおよびチオトロピウム等の抗コリン作用薬を含む、β2アゴニスト;ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、メチプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、コルチコステロイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジロートンを含む、ロイコトリエン修飾薬;クロモリンおよびネドクロミルを含む、マスト細胞安定剤;テオフィリン、イプラトロピウムおよびアルブテロール、フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびホルモテロールを含む複合薬を含む、メチルキサンチン;ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、およびヒドロコルチゾンを含む、抗ヒスタミン剤;タクロリムスおよびピメクロリムスを含む、免疫系修飾剤;シクロスポリン;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;ならびにそれらの組み合わせからなる気管支拡張薬からなる群から選択される。特定の態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤であり、特定の実施形態では、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤は、2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化するTSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチドを含む、TSLPおよびTSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびにTSLP受容体融合タンパク質からなる群から選択される。
【0022】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、膜結合タンパク質もしくは構成成分の立体配座、リガンド結合活性、または触媒活性のうちの少なくとも1つを改変することを含む、細胞膜構造または機能のうちの少なくとも1つを改変することを含む。ある態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、インテグリン等からなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある実施形態では、膜貫通受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を含む。特定の態様では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、例えば、Gタンパク質aサブユニットと相互作用し、Gタンパク質aサブユニットは、Gas、Gai、Gaq、およびGa12からなる群から選択される少なくとも1つを含み、特定の実施形態では、少なくとも1つのGタンパク質aサブユニットは、Gaqである。
【0023】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、例えば、全細胞伝導性を調節することを含み、全細胞伝導性を調節することは、全細胞伝導性の線形または非線形の電圧依存性寄与のうちの少なくとも1つを調節することを含む。
【0024】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節を含む。特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、ホスホリパーゼC活性の調節を含む。特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節を含む。特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、免疫系の疾病または疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、および乾癬からなる群から選択される、少なくとも1つの状態または症状に関連する、細胞内シグナル変換の調節を含む。
【0025】
特定の方法の態様は、細胞ネットワークまたは層への界面動電流体の投与を含み、その中の細胞間結合の調節を更に含む。特定の実施形態では、細胞間結合は、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソームからなる群から選択される少なくとも1つを含む。特定の態様では、細胞ネットワークまたは層は、肺上皮、気管支上皮、および腸上皮からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0026】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素の量で存在する。
【0027】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、例えば、溶媒和電子、および界面動電的に修飾された、または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、溶媒和電子、または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種の形態は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、分子酸素により、安定化された溶媒和電子の形態を含む。
【0028】
特定の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節する、界面動電的に改変された流体の能力は、密閉された気密性容器内において、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、またはそれ以上の期間持続する。
【0029】
特定の態様では、界面動電的に改変された流体の帯電安定化した酸素含有のナノ構造中に存在する酸素の量は、大気圧で少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素である。
【0030】
特定の態様では、治療は、局所、吸入、鼻腔内、および静脈内のうちの少なくとも1つによる投与を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、Revera 60およびSolas)が、それぞれ、約90%および50%で、気管支上皮細胞(BEC)におけるDEP誘発されたTSLP受容体の発現を低下させた一方で、生理食塩水(NS)は、限界効果のみあったことを示す。さらに、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発されたTSLP受容体発現の約50%の低下をもたらした。
【図2】本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、Revera 60およびSolas)が、それぞれ、約80%および70%で、気管支上皮細胞のDEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルを阻害する一方で、生理食塩水(NS)は、限界効果のみあったことを示す。さらに、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルの約30%の低下をもたらした。
【図3A】2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、かつ異なる電圧プロトコルで、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図3B】2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、かつ異なる電圧プロトコルで、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図3C】2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、かつ異なる電圧プロトコルで、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図4A】図3A〜Cに関連する実験に関して、3つの電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、かつ2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。
【図4B】図3A〜Cに関連する実験に関して、3つの電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、かつ2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。
【図4C】図3A〜Cに関連する実験に関して、3つの電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、かつ2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。
【図5A】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図5B】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図5C】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図5D】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図6A】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図6B】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図6C】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図6D】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図7A】上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の希釈の効果を評価した、パッチクランプ実験の結果を示す。
【図7B】上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の希釈の効果を評価した、パッチクランプ実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、界面動電的に改変された水性流体の投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、好ましくは、細胞膜電位および/または伝導性の調節を提供するのに十分な量において、流体中に安定的に構成される。TSLP発現および/または活性の調節または下方制御を含むある態様は、本明細書に開示されるような、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態(例えば、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、および食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、IgE媒介疾患、ならびに鼻炎結膜炎)を治療するための有用性を有する。
【0033】
界面動電的に生成された流体:
本明細書で使用する「界面動電的に生成された流体」とは、本明細書に詳細される、例示的な混合デバイスにより、本明細書の実施例のために生成された出願者の本発明の界面動電的に生成された流体を指す(第US200802190088号および国際公開第2008/052143号も参照のこと、双方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書に開示され、示されるデータにより示されるように、界面動電流体は、先行技術に関連する含酸素非界面動電流体(例えば、加圧ポットの含酸素流体等)を含む、先行技術に関連する非界面動電流体である、新規の根本的に異なる流体を示す。本明細書の様々な態様に開示されるように、界面動電的に生成された流体は、以下のものを含むが、これらに限定されない、独特かつ新規の物理的および生物学的特性を有する。
【0034】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む。
【0035】
特定の態様では、界面動電的に生成された流体とは、本明細書に記載される、デバイス機能局在効果等の流体力学的に誘起された、局在(例えば、全流体容量に対して不均一)界面動電効果(例えば、電圧/電流パルス)の存在下で生成される流体を指す。特定の態様では、前記流体力学的に誘起された、局在界面動電効果は、本明細書に開示され、論じられるように、表面に関連した二重層および/または荷電電流効果と組み合わせる。
【0036】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、その中に溶解されるレポーター溶質(例えば、トレハロース)の13C−NMR線幅を調節するのに適している。NMR線幅効果は、特定の実施例において、本明細書に記載される、例えば、試験流体において溶質の「回転」を測定するための間接法である。
【0037】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、−0.14V、−0.47V、−1.02V、および−1.36Vのうちのいずれか1つでの独特の矩形波ボルタンメトリーのピーク差異;−0.9ボルトでのポーラログラフピーク;ならびに−0.19および−0.3ボルトでの、ポーラログラフピークの不在のうちの少なくとも1つを特徴とし、これらは、特定の実施例において、本明細書に開示されるように、界面動電的に生成された流体に対して特有である。
【0038】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞膜伝導性(例えば、本明細書に開示されるパッチクランプ試験において測定されるように、全細胞伝導性の電位依存性寄与)を改変するのに適している。
【0039】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの溶解酸素の量で存在する。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、大気圧で、またはほぼ大気中の酸素レベルで、溶解酸素の15ppm未満、10ppm未満を有する。
【0040】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、約8ppm〜約15ppmの量で存在し、この場合、場合により、本明細書で、「Solas」と称される。
【0041】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子(例えば、分子酸素により安定化された)、ならびに界面動電的に修飾された、および/または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、ある実施形態では、溶媒和電子、および/または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。
【0042】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞内シグナル変換の調節を提供するのに十分な細胞膜構造または機能を改変する(例えば、膜結合タンパク質の立体配座、リガンド結合活性、または触媒活性を改変する)のに適しており、特定の態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体(例えば、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、TSLP受容体、β2アドレナリン受容体、ブラジキニン受容体等)、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、およびインテグリンからなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある態様では、影響を受けたGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、Gタンパク質aサブユニット(例えば、Gas、Gai、Gaq、およびGa12)と相互作用する。
【0043】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞内シグナル変換を調節するのに適しており、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節(例えば、ホスホリパーゼC活性の調節、またはアデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節)を含む。
【0044】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書で記載される、様々な生物学的活性(例えば、サイトカイン、受容体、酵素および他のタンパク質、ならびに細胞内シグナル経路の調節)を特徴とする。
【0045】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書に示されるように、アルブテロールおよびブデソニドとの相乗効果を示す。
【0046】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書の実施例に示されるように、気管支上皮細胞(BEC)におけるDEP誘発されたTSLP受容体の発現を低下させる。
【0047】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書の実施例に示されるように、気管支上皮細胞(BEC)のDEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルを阻害する。
【0048】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の生物学的効果は、本明細書に示されるように、β遮断薬、GPCR遮断薬、およびカルシウムチャネル遮断薬は、(例えば、制御性T細胞機能における)界面動電的に改変された水性流体の活性に影響を及ぼすことを示す、ジフテリア毒素により阻害される。
【0049】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の物理的および生物学的効果(例えば、細胞内シグナル変換の調整を提供するのに十分な細胞膜構造または機能を改変する能力)は、密閉された容器内(例えば、密閉された気密性容器内)において、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、またはそれ以上の期間持続する。
【0050】
したがって、更なる態様は、前記界面動電的に生成された溶液および界面動電的に改変された含酸素流体または溶液を生産する方法を提供し、方法には、相対運動において、2つの離間した表面間で流体物質の流れを提供し、それらの間に混合容量を画定することであって、混合容量内およびそれを通して流動流体物質の単一パスの滞留時間は、0.06秒を超える、または0.1秒を超える、ことと、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、もしくは少なくとも60ppmの酸素を物質に溶解し、流体または溶液を界面動電的に改変するのに適する条件下で、混合容量内で流動流体物質に酸素(O2)を導入することと、を含む。ある態様では、酸素は、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満において、物質に注入される。特定の実施形態では、表面積の容量に対する比は、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0051】
なお更なる態様は、界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を生産する方法を提供し、方法には、2つの離間した表面間で流体物質の流れを提供し、それらの間に混合容量を画定することと、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満において、物質に、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、もしくは少なくとも60ppmの酸素を注入するのに適する条件下で、混合容量内で流動流体に酸素を導入することと、を含む。ある態様では、混合容量内で流動流体物質の滞留時間は、0.06秒以上、または0.1秒以上である。特定の実施形態では、表面積の容量に対する比は、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0052】
特定の態様では、投与された本発明の界面動電的に改変された流体は、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む。ある実施形態では、界面動電的に改変された流体は、超酸素化(例えば、それぞれ、20ppm、40ppm、および60ppmの溶解酸素を含む、RNS−20、RNS−40、およびRNS−60)である。特定の実施形態では、界面動電的に改変された流体は、非超酸素化(例えば、10ppm(例えば、標準的食塩水中の環境レベルの溶解酸素)を含む、RNS−10またはSolas)である。ある態様では、本発明の界面動電的に改変された流体の塩分、中性、pH等は、流体の界面動電産生時に確定され、滅菌流体は、適切な経路により投与される。代替として、流体の塩分、中性、pH等のうちの少なくとも1つは、流体の投与前に、投与経路に生理学的に適合するように、適切に調整される(例えば、滅菌食塩水または適切な希釈剤を用いて)。好ましくは、流体の塩分、中性、pH等のうちの少なくとも1つを調整するために使用される希釈剤および/または食塩溶液および/または緩衝組成物はまた、界面動電流体である、またはそうでなければ、相溶性である。
【0053】
特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、食塩(例えば、任意の好適なアニオン/対イオン構成成分とともに、1つ以上の溶解塩、例えば、アルカリ金属塩(Li、Na、K、Rb、Cs等)、アルカリ土類塩(例えば、Mg、Ca)等、遷移金属塩(例えば、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等))を含む。特定の態様は、混合塩界面動電流体(例えば、様々な組み合わせおよび濃度でのNa、K、Ca、Mg等)を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、標準食塩水(例えば、約0.9% NaClまたは約0.15M NaCl)を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、少なくとも0.0002M、少なくとも0.0003M、少なくとも0.001M、少なくとも0.005M、少なくとも0.01M、少なくとも0.015M、少なくとも0.1M、少なくとも0.15M、または少なくとも0.2Mの濃度で、食塩を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体の伝導性は、少なくとも10μS/cm、少なくとも40μS/cm、少なくとも80μS/cm、少なくとも100μS/cm、少なくとも150μS/cm、少なくとも200μS/cm、少なくとも300μS/cm、または少なくとも500μS/cm、少なくとも1mS/cm、少なくとも5mS/cm、10mS/cm、少なくとも40mS/cm、少なくとも80mS/cm、少なくとも100mS/cm、少なくとも150mS/cm、少なくとも200mS/cm、少なくとも300mS/cm、または少なくとも500mS/cmである。特定の態様では、本明細書に開示される、生物活性塩安定化ナノ構造(例えば、塩安定化された酸素含有のナノ構造)の形成を可能にするという条件で、本発明の界面動電的に改変された流体を調製するために、任意の塩が使用されてもよい。
【0054】
特定の態様に従って、帯電安定化したガス含有ナノ構造を含む本発明の流体組成物の生物学的効果は、例えば、上記のように、流体のイオン構成成分を改変することによって、および/または流体のガス構成成分を改変することによって、調整(例えば、増加、減少、同調等)することができる。好ましい態様では、本発明の界面動電流体を調製するために、酸素が使用される。さらなる態様では、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム、クリプトン、水素、およびキセノンから選択される少なくとも1つの他のガスとともに、酸素の混合物が使用される。
【0055】
例示的な好ましい実施形態:
特定の態様は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、治療有効量の界面動電的に改変された水性流体の、それを必要とする哺乳動物への投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される。
【0056】
ある方法の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体中で主要な帯電安定化したガス含有のナノ構造種である。特定の実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造として、流体中に存在する溶解した酸素分子の分子の割合は、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。特定の態様では、全ての溶解酸素は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造に実質的に存在する。ある実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、および5nm未満からなる群から選択される大きさより小さい平均直径を実質的に有する。
【0057】
特定の方法の態様では、イオン水溶液は、食塩溶液を含む。ある態様では、界面動電的に改変された水性流体は、超酸素化である。
【0058】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子の形態を含む。
【0059】
ある態様では、界面動電的に改変された水性流体の改変は、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露を含む。ある実施形態では、局在界面動電効果への曝露は、電圧パルスおよび電流パルスのうちの少なくとも1つへの曝露を含む。特定の態様では、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露は、流体を生成するために使用されるデバイスの界面動電効果を誘起する構造特性への流体の曝露を含む。
【0060】
特定の態様では、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、アレルギー性炎症を含むがこれに限定されない、免疫系の疾病または疾患を含む。特定の態様では、アレルギー性炎症は、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、および食物アレルギーのうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、例えば、関節リウマチおよび乾癬のうちの少なくとも1つを含む、炎症性関節炎を含む。
【0061】
ある態様では、方法は、併用療法をさらに含み、少なくとも1つの追加の治療剤が患者に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、短時間作用型β2アゴニスト、長時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、全身性コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエン修飾薬、メチルキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、アルブテロール、レバルブテロール、ピルブテロール、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルメテロール、ならびにイプラトロピウムおよびチオトロピウム等の抗コリン作用薬を含む、β2アゴニスト;ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、メチプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、コルチコステロイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジロートンを含む、ロイコトリエン修飾薬;クロモリンおよびネドクロミルを含む、マスト細胞安定剤;テオフィリン、イプラトロピウムおよびアルブテロール、フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびホルモテロールを含む複合薬を含む、メチルキサンチン;ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、およびヒドロコルチゾンを含む、抗ヒスタミン剤;タクロリムスおよびピメクロリムスを含む、免疫系修飾剤;シクロスポリン;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;ならびにそれらの組み合わせからなる気管支拡張薬からなる群から選択される。特定の態様では、少なくとも1つ追加の治療剤は、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤であり、特定の実施形態では、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤は、2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化するTSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチドを含む、TSLPおよびTSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびにTSLP受容体融合タンパク質からなる群から選択される。
【0062】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、膜結合タンパク質もしくは構成成分の立体配座、リガンド結合活性、および触媒活性のうちの少なくとも1つを改変することを含む、細胞膜構造または機能のうちの少なくとも1つを改変することを含む。ある態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、インテグリン等からなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある実施形態では、膜貫通受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を含む。特定の態様では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、例えば、Gタンパク質aサブユニットと相互作用し、Gタンパク質aサブユニットは、Gas、Gai、Gaq、およびGa12からなる群から選択される少なくとも1つを含み、ある実施形態では、少なくとも1つのGタンパク質aサブユニットは、Gaqである。
【0063】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、例えば、全細胞伝導性を調節することを含み、全細胞伝導性を調節することは、全細胞伝導性の線形または非線形の電圧依存性寄与のうちの少なくとも1つを調節することを含む。
【0064】
ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節を含む。ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、ホスホリパーゼC活性の調節を含む。ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節を含む。ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、免疫系の疾病または疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、および乾癬からなる群から選択される、少なくとも1つの状態または症状に関連する、細胞内シグナル変換の調節を含む。
【0065】
特定の方法の態様は、細胞ネットワークまたは層への界面動電流体の投与を含み、その中の細胞間結合の調節を更に含む。ある実施形態では、細胞間結合は、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソームからなる群から選択される少なくとも1つを含む。特定の態様では、細胞ネットワークまたは層は、肺上皮、気管支上皮、および腸上皮からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0066】
ある方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素の量で存在する。
【0067】
ある方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、例えば、溶媒和電子、および界面動電的に修飾された、または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、溶媒和電子、または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種の形態は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。ある態様では、界面動電的に改変された水性流体は、分子酸素により、安定化された溶媒和電子の形態を含む。
【0068】
ある態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節する、界面動電的に改変された流体の能力は、密閉された気密性容器内において、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、またはそれ以上の期間持続する。
【0069】
ある態様では、界面動電的に改変された流体の帯電安定化した酸素含有のナノ構造中に存在する酸素の量は、大気圧で少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素である。
【0070】
特定の態様では、治療は、局所、吸入、鼻腔内、および静脈内のうちの少なくとも1つによる投与を含む。
【0071】
例示的な関連した分子間相互作用:
通常、量子的特性は、10−10メートル未満の素粒子に属すると考えられ、一方、日常生活の巨視的世界は、ニュートンの運動の法則に従い、素粒子が運動するという点において、古典的であると称される。
【0072】
最近、分子は、希釈と共に大きさが増加するクラスターを形成するように記載されている。これらのクラスターは、直径において、数マイクロメートルを測定し、希釈と共に非線形に大きさが増加することが報告されている。直径で100ナノメートルを測定する量子のコヒーレントドメインが、純水中に発生すると仮定され、コヒーレントドメインにおける水分子の集団振動が、最終的に、電磁場変動に固定される相になり得、水中で安定振動を提供し、水の集合構造を変化させる水中の溶解物質に特異的な長続きするコヒーレント振動の励起の形態において、「記憶」の一形態を提供し、これは、同様に、発達する特異的なコヒーレント振動を決定し得る。これらの振動は、連結する磁場相により安定化される場合、希釈する際の水は、更に、「種(seed)」コヒーレント振動を運び得る。分子のクラスターの大きさが増加すると、その電磁的な特徴が、対応して増幅され、水により運ばれるコヒーレント振動を増強する。
【0073】
溶解分子のクラスターサイズの変化、および水の詳細な微視的構造にもかかわらず、コヒーレント振動の特異性は、なお、存在し得る。水の特性の変化を考慮するための1つのモデルは、結晶化に関与する考慮に基づいている。
【0074】
ナノスケールケージを形成する、簡易プロトン化水クラスターは、出願者の以前の特許出願である国際公開第2009/055729号に示される。プロトン化水クラスターは、一般に、H+(H20)nの形態をとる。幾つかのプロトン化水クラスターは、電離層等に自然発生する。任意の特定の理論に拘束されるわけではないが、特定の態様に従って、水クラスターまたは構造の他の型(クラスター、ナノケージ等)が可能であり、これには、本発明の出力物質に与えられる、酸素および安定化した電子を含む構造が含まれる。酸素原子は、得られる構造に取り込まれ得る。セミ結合ナノケージの化学反応は、酸素および/または安定化した電子を、長期間、溶解したままにすることが可能である。医薬化合物等の他の原子または分子は、徐放目的のためにケージされ得る。溶液物質および溶解化合物の特異的化学反応は、これらの物質の相互作用により異なる。
【0075】
混合デバイスにより処理された流体は、クラスター構造において流体の分析と一致する異なる構造特性を示すと、実験を介してすでに示されている。例えば、国際公開第2009/055729号を参照のこと。
【0076】
帯電安定化したナノ構造(例えば、帯電安定化した酸素含有のナノ構造):
本出願者の国際公開第2009/055729号の「二重層効果」、「滞留時間」、「注入速度」、「気泡サイズ測定」においてすでに記載されるように、界面動電混合デバイスは、複合体と第1の物質および第2の物質の独特の、非線形流体動的相互作用、本明細書に記載される、新規の界面動電効果を提供する効果的に膨大な表面積(デバイスの面積および100nm未満の例外的に小さい気泡の面積を含む)と接触して混合する複合体を提供する、動的乱流をおよそミリ秒で作成する。また、絶縁回転子および固定子を含む、特別に設計された混合デバイスを用いて、機能局在界面動電効果(電圧/電流)を示した。
【0077】
当該技術分野においてよく認識されるように、電荷再分配および/または溶媒和電子は、水溶液中で、極めて不安定であることが知られている。特定の態様によれば、出願の界面動電効果(例えば、特定の態様では、溶媒和電子を含む、電荷再分配)は、出力物質(例えば、食塩溶液、イオン溶液)内で、驚くほど安定化される。実際には、本明細書に記載される、本発明の界面動電流体(例えば、RNS−60またはSolas)の特性および生物活性の安定性は、気密性容器内において、数ヶ月間、維持され得、本発明の溶液の特性および活性を生成する、および/または維持する、および/または媒介するように役立てることに、溶解ガス(例えば、酸素)の関与を示す。有意に、電荷再分配および/または溶媒和電子は、流体により生細胞(例えば、哺乳類細胞)と接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、本発明の界面動電イオン水性流体中に安定的に構成される(例えば、国際公開第2009/055729号からの細胞パッチクランプの実施例23を参照のこと、および本明細書に開示されるように)。
【0078】
本発明の界面動電流体(例えば、界面動電食塩溶液)の安定性および生物学的適合性を説明するために、「分子間相互作用」の項において本明細書で記載されるように、出願者は、水分子と水中に溶解された物質(例えば、酸素)の分子との間の相互作用が、水の集合構造を変化させ、ナノスケールケージクラスターを提供することが提案され、これには、本発明の出力物質に与えられる、酸素および/または安定化した電子を含むナノ構造が含まれる。機構に拘束されるわけではないが、特定の態様では、ナノ構造の構造は、それらが、溶解ガス(例えば、酸素)を(少なくとも、形成および/または安定性および/または生物活性のために)含む;細胞膜もしくはその関連した構成要素と接触した際に、界面動電流体(例えば、RNS−60またはSolas食塩流体)が、電荷および/または電荷効果を調節する(例えば、与えるまたは受容する)のを可能にする;ならびに、特定の態様では、生物学的に関連した形態において、溶媒和電子の安定化を提供する(例えば、運ぶ、持つ、捕獲する)。
【0079】
特定の態様によれば、本開示により支持されるように、イオンまたは食塩(例えば、標準食塩水、NaCl)溶液において、本発明のナノ構造は、帯電安定化した水和殻内で、少なくとも1つの溶解ガス分子(例えば、酸素)を含み得る、帯電安定化したナノ構造(例えば、平均直径100nm未満)を含む。追加の態様によれば、帯電安定化した水和殻は、少なくとも1つの溶解ガス分子(例えば、酸素)を持つケージまたは空隙を含み得る。更なる態様によれば、好適な帯電安定化した水和殻の供給によって、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、溶媒和電子(例えば、安定化した溶媒和電子)を更に含み得る。
【0080】
機構または特定の理論に拘束されるわけではないが、この優先日後、周囲(大気)気体と平衡状態にある水性液体中のイオンにより安定化された帯電安定化超微粒気泡が、提案されている(Bunkin et al.,Journal of Experimental and Theoretical Physics,104:486−498,2007;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本発明の特定の態様によれば、出願者の新規の界面動電流体は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の新規の生物学的活性形態を含み、このような構造の新規の配列、クラスター、または会合を更に含み得る。
【0081】
帯電安定化した超微粒気泡モデルによれば、水構造の短距離分子秩序は、ガス分子の存在により破壊され(例えば、非吸着イオンと初期に複合した溶解ガス分子は、短距離秩序の欠陥をもたらす)、これは、イオン性液滴の濃縮を提供し、欠陥は、水分子の第1および第2の配位圏により取り囲まれ、配位圏において、それぞれ、6および12の空孔を占める、吸着イオン(例えば、電気二重層を形成するためのNa+イオンの「スクリーニングシェル(screening shell)」の捕捉)および非吸着イオン(例えば、第2の配位圏を占めるCl−イオン)により代替的に充填される。不飽和イオン溶液(例えば、不飽和食塩溶液)において、この水和した「細胞核」は、第1および第2の配位圏が、それぞれ、6つの吸着イオンおよび5つの非吸着イオンにより充填されるまで、安定した状態を保ち、次いで、ガス分子を含有する内部空隙を生成するクーロン爆発を受け、吸着イオン(例えば、Na+イオン)は、得られる空隙の表面に吸着され、一方、非吸着イオン(またはそれらの幾つかの部分)は、溶液に拡散する(Bunkinら、上記を参照)。このモデルにおいて、ナノ構造における空隙は、その表面に吸着されたイオン(例えば、Na+イオン)間でのクーロン爆発により崩壊されない。空隙含有のナノ構造の安定性は、空隙/気泡表面への同電荷との溶解イオンの選択的吸着、および溶解ガスと気泡内部のガスとの間の拡散平衡によるものであると仮定され、負の静電圧(得られる電気二重層により与えられる外部からの静電圧)は、界面張力に対して安定補償を提供し、気泡内部のガス圧力は、周囲圧力により均衡を保つ。モデルによれば、このような超微粒気泡の形成は、イオン構成成分を必要とし、ある態様では、粒子間の衝突媒介した会合は、より大きな秩序クラスター(配列)の形成を提供し得る(同上)。
【0082】
帯電安定化した超微粒気泡モデルは、粒子が、ガス超微粒であり得ることを示唆するが、周囲大気と平衡状態にあるイオン溶液中のこのような構造の自然形成のみ企図し、酸素が、このような構造を形成することができるかどうかに関して、特性化されておらず、かつ未特定のままであり、同様に、溶媒和電子が、このような構造により会合および/または安定化され得るかどうかに関しても、未特定のままである。
【0083】
特定の態様によれば、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む本発明の界面動電流体は、新規であり、超微粒気泡モデルに従って、仮定非界面動電、大気の帯電安定化超微粒気泡構造とは基本的には異なる。注目すべきは、対照食塩溶液は、本明細書に開示される生物学的特性を持たないが、その一方で、出願者の帯電安定化したナノ構造は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の新規の生物学的活性形態を提供するという事実に、少なくとも一部分において由来する、本結論は、避けられない状態である。
【0084】
本発明の特定の態様によれば、出願者の新規の界面動電デバイスおよび方法は、大気と平衡状態にあるイオン流体、またはいずれの非界面動電的に生成された流体中で自発的に発生し得る、または発生し得ない、任意の量を超えて、かなりの量の帯電安定化したナノ構造を含む、新規の界面動電的に改変された流体を提供する。特定の態様では、帯電安定化したナノ構造は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む。追加の態様では、帯電安定化したナノ構造は、全て、もしくは実質的に全ての帯電安定化した酸素含有のナノ構造である、または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、界面動電流体中で主要な帯電安定化したガス含有のナノ構造種である。
【0085】
なお更なる態様によれば、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、溶媒和電子を含む、または持ち得、それによって、新規の安定化した溶媒和電子担体を提供する。特定の態様では、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、電極の新型(または逆電極)を提供し、単一の有機配位カチオンを有する従来の溶質電極と対照的に、むしろ、空隙または酸素原子を含有する空隙周辺に安定的に配列された複数のカチオンを有し、配列されたナトリウムイオンは、有機分子によってよりはむしろ、水の水和殻によって配位される。特定の態様によれば、溶媒和電子は、水分子の水和殻により収容され得る、または好ましくは、全てのカチオンにわたって分布するナノ構造の空隙内で収容され得る。ある態様では、本発明のナノ構造は、複数の配列したナトリウムカチオンにわたって溶媒和電子(一連のナトリウム原子および少なくとも1つの酸素原子にわたって分布する溶媒和電子)の分布/安定化を提供するだけでなく、空隙中の閉じ込め(caged)酸素分子と溶媒和電子の会合または部分会合を提供することにより、溶液中の新規の「スーパー電極」を提供する。したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電流体と関連して現在開示される、「溶媒和電子」は、水分子による直接水和を含む従来のモデルにおいて溶媒和され得ない。代替として、乾燥電極塩を用いた限定された例では、本発明の界面動電流体中の溶媒和電子は、水溶液中の高度な秩序配列を安定化させるために、「格子接着(lattice glue)」を提供するように複数の帯電安定化したナノ構造にわたって分布され得る。
【0086】
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用することが可能である。特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または溶媒和電子を持つ帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用することが可能である。
【0087】
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、帯電および/または帯電効果提供者(送達)として、ならびに/または帯電および/または帯電効果受容者として、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用する。特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または溶媒和電子を持つ帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、帯電および/または帯電効果提供者として、ならびに/または帯電および/または帯電効果受容者として、細胞膜と相互作用する。
【0088】
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、本発明の界面動電流体の観察された安定性および生物学的特性と一致し、かつ説明し、イオン水溶液(例えば、食塩溶液、NaCl等)中の安定化した溶媒和電子を提供する、新規の電極(または逆電極)を更に提供する。
【0089】
特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、帯電安定化した酸素含有ナノバブルを実質的に含み、その形態をとる、またはそれを発生させることができる。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有クラスターは、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の相対的に大きい配列、および/または帯電安定化した酸素含有ナノバブルもしくはそれらの配列の形成を提供する。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、疎水性表面と接触した際に、疎水性ナノバブルの形成を提供することができる。
【0090】
特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、実質的に、少なくとも1つの酸素分子を含む。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、実質的に、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個、またはそれ以上の酸素分子を含む。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、約20nm×1.5nmのナノバブル(例えば、疎水性ナノバブル)を含む、または発生し、約12個の酸素分子(例えば、酸素分子の大きさ(約0.3nm×0.4nm)、理想気体の仮定、およびn=PV/RTの適用に基づき、ここで、P=1atm、R=0.082□057□l.atm/mol.K;T=295K;V=pr2h=4.7×10−22L、ここで、r=10×10−9m、h=1.5×10−9m、およびn=1.95×10−22モル)を含む。
【0091】
ある態様では、イオン水性流体中の帯電安定化構造を有する、このようなナノ構造、またはそれらの配列にある流体中に存在する、酸素分子の割合は、0.1%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。好ましくは、この割合は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、または約20%以上である。追加の態様では、イオン水性流体中の帯電安定化構造を有する、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の実質的な大きさ、またはそれらの配列は、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、5nm、4nm、3nm、2nm、および1nm未満からなる群から選択される大きさである。好ましくは、この大きさは、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、または約10nm未満である。
【0092】
ある態様では、本発明の界面動電流体は、溶媒和電子を含む。更なる態様では、本発明の界面動電流体は、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列を含み、これらは、溶媒和電子、および特異な電荷分布(極性、対称、非対称の電荷分布)のうちの少なくとも1つを含む。ある態様では、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列は、常磁性を有する。
【0093】
対照的に、本発明の界面動電流体に関連して、対照加圧ポット含酸素流体(非界面動電流体)等は、このような界面動電的に生成された帯電安定化した生物学的活性ナノ構造および/または生物学的活性帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列を含まず、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調整が可能である。
【0094】
ガス富化流体を生成するシステム
現在開示されるシステムおよび方法は、最小の受動的損失を伴う高濃度で、ガス(例えば、酸素)を安定的に富化させることが可能である。このシステムおよび方法は、多種多様の流体に、高い割合で、多種多様のガスを富化するために効果的に使用され得る。例示のみとして、室温で、一般に、溶解酸素の約2〜3ppm(100万分の1)のレベルを有する、脱イオン水は、開示されたシステムおよび/または方法を用いて、少なくとも約5ppm、少なくとも約10ppm、少なくとも約15ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約25ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約35ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約45ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約55ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約65ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約75ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約85ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約95ppm、少なくとも約100ppm、またはいずれかの値以上もしくはそれらの間の範囲の溶解酸素のレベルを達成することができる。特定の例示的な実施形態に従って、酸素富化水は、溶解酸素の約30〜60ppmのレベルで生成され得る。
【0095】
表1は、酸素富化食塩溶液(表1)で処置された治癒創傷、および本発明のガス富化酸素富化食塩溶液のサンプルにおいて得られた、様々な分圧測定を示す。
【0096】
【表1】
TSLPおよびTSLP媒介状態
TSLPおよびTSLPRアゴニスト/拮抗剤:自然発生的な物質により通常刺激される細胞受容体に対する親和性を有し、かつ細胞受容体における生理学的活性を刺激し、それによって、生化学的反応を誘発する薬剤。TSLP受容体アゴニストは、TSLP受容体に対する親和性を有し、TSLPのその受容体との結合により誘発される活性を刺激する。例えば、TSLP/TSLP受容体アゴニストは、TSLP受容体に結合し、かつ細胞内シグナル伝達を誘発する分子である。対照的に、「拮抗剤」は、自然発生的な物質により通常刺激される細胞受容体の活性を阻害する薬剤である。したがって、TSLP/TSLP受容体拮抗剤は、TSLPまたはTSLP受容体に結合し、TSLPのTSLP受容体への結合を阻害する、および/またはTSLPのその受容体との結合により通常誘発される活性を阻害する。例えば、TSLP/TSLP受容体拮抗剤は、TSLPまたはTSLP受容体に結合し、例えば、TSLPのTSLP受容体への結合を遮断することにより、結合を軽減または防止することができる。あるいは、TSLP/TSLP受容体拮抗剤は、TSLP受容体に結合し、TSLPのその受容体との結合により通常誘発され得る、下流シグナル伝達を軽減または防止することができる。アゴニストおよび拮抗剤は、リガンド様ポリペプチド、抗体、およびその断片または部分配列等のポリペプチドを含む、種々のクラスの分子を含むことができる。アゴニストおよび拮抗剤はまた、融合ポリペプチド、抗体、ペプチド、(約20アミノ酸未満の長さのペプチド等)、および小分子を含むこともできる。例示的な拮抗剤としては、TSLPおよびTSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびに2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化し、それによって、生理学的な受容体二量体または高次オリゴマーを模倣する、TSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチド等の、TSLP受容体融合タンパク質が挙げられる。受容体が2つ以上のポリペプチド鎖を含む場合、一本鎖融合を利用することができる。
【0097】
抗体:エピトープ(例えば、TSLPもしくはその断片、またはその断片のTSLP受容体等の抗原)を特異的に認識および結合する、少なくとも1つの軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、ポリペプチドリガンド。これは、Fab’断片、F(ab)’.sub.2断片、一本鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)等の、当該技術分野においてよく知られている、完全免疫グロブリンおよびそれらの変異体および部分を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域および免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合される一方で、dsFvにおいて、鎖は、鎖の会合を安定化するために、ジスルフィド結合を導入するように突然変異している、融合タンパク質である。用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロ共役抗体(例えば、二重特異性抗体)等の遺伝子操作された形態も含む。Pierce Catalog and Handbook,1994−1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,I11.)、Kuby,J.,Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman & Co.,New York,1997も参照のこと。典型的には、免疫グロブリンは、重鎖および軽鎖を有する。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(領域はまた、「ドメイン」としても知られている)。組み合わせて、重鎖および軽鎖可変領域は、抗原と特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる、3つの超可変領域により遮断される「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は定義されている(参照により本明細書に組み込まれる、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照のこと)。Kabatデータベースは、現在オンラインで管理されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種の中で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成要素である軽鎖および重鎖の複合フレームワーク領域は、三次元空間においてCDRを配置および整列させる働きをする。抗体としては、モノクローナル抗体、ヒト化抗体等が挙げられる。
【0098】
TSLP拮抗剤としては、とりわけ、小分子拮抗剤、TSLPに対する抗体、TSLP受容体に対する抗体、および2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化し、それによって、生理学的な受容体二量体または高次オリゴマーを模倣する、TSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチド等の、TSLP受容体融合タンパク質が挙げられる。TSLPは、I型サイトカイン受容体スーパーファミリーメンバー(赤血球生成促進因子受容体スーパーファミリーメンバーとしても知られている)、TSLPRに直接結合することが示されている。TSLPRは、クローン化されている。TSLPに対する機能的高親和性受容体は、2つのポリペプチド、TSLPRおよびIL−7受容体α鎖を含むことが実証されている。したがって、TSLPおよびIL−7の両方は、それらの受容体の一構成成分としてIL−7Rαを共有する。しかしながら、これらの受容体は、TSLP受容体がTSLPRをさらに含有する一方で、IL−7受容体は、様々なサイトカイン受容体のシグナル伝達構成成分である、共通サイトカイン受容体γ鎖をさらに含有するという点で独特である。TSLPR(およびこの受容体鎖のFc融合)は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、公開された米国特許出願第2002/0160949号に記載されている。
【0099】
TSLPポリペプチドに対する抗体は、当該技術分野で知られている。さらに、抗TSLPR抗体は、市販されている(R & D Systems,Minneapolis,Minn.,cat.no.MAB981、DNAX Research,Inc.,Palo Alto,Calif.)。抗体はまた、Vector NTLRTM.SuiteのWellingプロット(Informax,Inc,Bethesda,Md.)により判定される増加した抗原性の領域等、特異的エピトープの付与によって、TSLP受容体またはTSLPに対して調製される。TSLP受容体の配列、およびヒトTSLP受容体における増加した抗原性の領域は、米国特許公開第2003/0186875号に開示される。医薬組成物(上記を参照のこと)は、概して、治療有効量のTSLP拮抗剤を含み、また、追加の薬剤も含むことができる。医薬組成物の調製は、上記に開示される。
【0100】
兆候
TSLPおよびTSLPRは、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、アレルギー性喘息、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、IgE媒介疾患、および鼻炎結膜炎が挙げられるがこれに限定されない、多くの種類のアレルギー性状態に関与すると考えられる。DC媒介炎症Th2反応へのTSLPの関与は、Ziegler and Liuによる近年の再調査を含む、いくつかの文献に示されている(Ziegler and Liu,Nat.Immunol.,7:709−714,2005、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0101】
アレルギー性気道炎症。近年の研究は、TSLPがインビボでマウスのアレルギー性気道炎症の開始に必要であることを実証した(Zhou et al.,Nat.Immunol.,6:1047−1053,2005)。一研究において、Zhouらは、TSLP導入遺伝子の肺特異的発現が、白血球(Th2細胞を含む)の大量浸潤、杯細胞過形成、および上皮下線維症、ならびに血清IgEレベルの増加を特徴とするアレルギー性気道炎症(喘息)を誘発することを実証した。さらに、近年の研究は、アレルゲン刺激が喘息マウスの気道におけるTSLPの急速な蓄積を引き起こすことを示した(Liyun Shi et al.,Clin.Immunol.,129:202−210,2008)。これらの結果は、TSLPがアレルギー性気道炎症の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー性気道炎症および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0102】
アレルギー性炎症。近年の再調査は、アレルギー性炎症、例えば、アレルギー性皮膚炎におけるTSLPの役割を調査する研究からの結果を要約および記載する(Ziegler and Liu,2008)。具体的に、研究は、アトピー性皮膚炎を有する患者における正常皮膚および非病変皮膚が検出可能なTSLPタンパク質を有しない一方で、急性および慢性アトピー性皮膚炎病変から採取される皮膚が、TSLPの高い発現を有することを示している。別の研究において、TSLPRを欠いているマウスを構築し、アレルギー性皮膚炎に対する効果に対して検査した(He et al.,PNAS,105:11875−11880,2008、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。Heらは、TSLPRを欠いているマウスにおけるアレルゲンに起因する皮膚炎が、野生型と比較して有意に低下したことを発見した。さらに別の研究において、皮膚でTSLPを過剰発現するように操作されたマウスは、炎症性浸潤を含む湿疹様皮膚病変、循環するTh2細胞の劇的増加、および血清IgEの上昇を特徴とするアトピー性皮膚炎を発症することが実証された(Yoo et al.,J.Exp.Med.,202:541−549,2005)。研究は、TSLPがマウスにおいてDCを直接的に活性化し得ることを示唆した。Liらによって実施された別の研究において、グループは、皮膚でTSLPを過剰発現しているトランスジェニックマウスが、TSLPとアトピー性皮膚炎の発症との間の関連性を強固なものにする、アトピー性皮膚炎を発症することを確認した。これらの結果は、TSLPがアレルギー性炎症、例えば、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎および湿疹)の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー性炎症、例えば、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎および湿疹)、ならびに同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0103】
乾癬。近年の研究は、TSLPが急性乾癬の患者から採取される皮膚生検において、実質的により高い発現を有したことを示した(Guttman−Yassky,et al.,J.Allergy and Clinical Immunology 119:1210−1217,2007)。この結果は、TSLPが乾癬の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、乾癬および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0104】
アレルギー性喘息。近年、研究は、アレルゲン刺激が喘息マウスの気道におけるTSLPの急速な蓄積を引き起こすことを示した(Liyun Shi et al.,Clin.Immunol.,129:202−210,2008)。同研究において、TSLPRを阻害することによるDC機能の調節がマウスの重症度を低めることが示された。これらの結果は、TSLPがアレルギー性喘息の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー性喘息および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0105】
閉塞性気道疾患。近年の研究は、COPDがTSLPの気管支粘膜発現の増加に関連することを実証した(Ying et al.,J Immunol.,181:2790−2798,2008)。COPDは、閉塞性気道疾患の一種である。この結果は、TSLPが閉塞性気道疾患、例えば、COPDの病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、閉塞性気道疾患、例えば、COPDを治療するための実質的な有用性を有する。
【0106】
食物アレルギー。腸の樹状細胞は、ナイーブT細胞を刺激し、それらをOX40L依存的に、TH2反応に偏らせることがわかった(Blazquez AB,Berin MC.Gastrointestinal dendritic cells promote Th2 skewing via OX40L.J Immunol.,180:4441−4450,2008、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、近年の再調査は、腸におけるTSLPの存在および免疫ホメオスタシスの調節におけるその役割を考察している(Iliev ID,Matteoli G,Rescigno M.The yin and yang of intestinal epithelial cells in controlling dendritic cell function.J Exp Med;204:2253−2257,2007、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。これらの結果は、TSLPが食物アレルギーにおいて重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、食物アレルギーおよび同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0107】
炎症性関節炎。近年の研究は、他の形態の関節炎の患者から得られる滑液と比較して、関節リウマチ(RA)の患者から得られる滑液検体において、TSLPのレベルの増加を発見した(Koyama et al.Biochem and Biophyis Res Comm.,357:99−104,2007、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。同研究は、抗TSLP中和抗体の使用が、マウスにおいて抗II型コラーゲン抗体により誘発される、TNF−a依存性実験的関節炎を改善したことを発見した。これらの結果は、TSLPがRA等の炎症性関節炎において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、炎症性関節炎および同様の状態、例えば、RAを治療するための実質的な有用性を有する。
【0108】
アレルギー性鼻炎。近年の研究において、Mouらは、アレルギー性鼻炎(AR)を患っていた全試験患者の鼻粘膜において、mRNAおよびタンパク質レベルの両方において、TSLPが存在したことを発見した(Mou et al.,Acta Oto−laryngologica,129:297−301,2009、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、TSLPレベルは、ARの重症度と密接に相関していた。これらの結果は、TSLPがARおよび/または鼻炎結膜炎の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、関連モデル系において、TSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、AR、アレルギー性鼻炎結膜炎、および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0109】
治療方法
「治療(treating)」という用語は、疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの1つ以上の症状を正常化、緩和、その進行を阻害する、または予防することを指し、かつこれらの意味を含意し、「治療(treatment)」および「治療的に(therapeutically)」とは、本明細書に定義されるように、治療の行為を指す。
【0110】
「治療有効量」は、疾患、障害、もしくは状態、またはこれらの1つ以上の症状を正常化、緩和、その進行を阻害する、または予防するために十分である、本明細書に提供される本発明を実践する経過において利用されるいずれかの化合物の任意の量である。
【0111】
本明細書のある実施形態は、ある状態または疾患と関連する炎症の少なくとも1つの症状を予防するまたは緩和することによる対象に対する治療組成物および治療方法に関する。炎症性疾患と関連する多くの状態または疾患は、ステロイド、メトトレキサート、シクロホスファミド、シクロスポリン、アザチオプリン、およびレフルノミド等を含む免疫抑制剤、アスピリン、アセトアミノフェンおよびCOX−2阻害剤等の非ステロイド系抗炎症剤、金剤、ならびに抗マラリア治療剤を用いて治療されている。
【0112】
投与経路および形態
本明細書で使用されるとき、「対象」は、いずれかの生物体、好ましくは、動物、更に好ましくは、哺乳類、およびなお更に好ましくは、ヒトを指し得る。
【0113】
特定の例示的な実施形態では、本発明のガス富化流体は、治療組成物が、炎症の少なくとも1つの症状を予防する、または緩和するように、単独で、または別の治療剤と組み合わせて、治療組成物として機能し得る。本発明の治療組成物は、それを必要とする対象に投与することができる、組成物を含む。ある実施形態では、治療組成物製剤はまた、担体、アジュバント、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、香料、および結合剤からなる群から選択される、少なくとも1つの添加剤も含み得る。
【0114】
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容可能な担体」および「担体」は、概して、非毒性の、不活性固体、半固体、もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入物質、またはあらゆる型の製剤補助物質を指す。医薬的に許容可能な担体としての機能を果たし得る物質の幾つかの限定されない例としては、ラクトース、グルコース、およびスクロース等の糖類;コーンスターチおよびポテトスターチ等のデンプン;セルロース、およびその誘導体である、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース等;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬用ワックス等の賦形剤;ピーナッツオイル、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油等の油類;プロピレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性の相溶性潤滑剤、があり、考案者の判断に従って、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および香料であり、保存料および抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。特定の態様では、このような担体および賦形剤は、本発明のガス富化流体または溶液であり得る。
【0115】
本明細書に記載の医薬的に許容可能な担体としては、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、または希釈剤が、当業者には既知である。一般に、医薬的に許容可能な担体は、治療剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で、有害な副作用または毒性がない。医薬的に許容可能な担体は、ポリマーおよびポリマーマトリクス、ナノ粒子、超微粒気泡等を含み得る。
【0116】
本発明の治療ガス富化流体に加えて、治療組成物は、追加の非ガス富化水または他の溶媒等の不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル等の可溶化剤および乳化剤、ならびにこれらの組み合わせを更に含み得る。当業者により明らかであるように、特定の治療組成物の新規の改善された製剤、新規のガス富化治療流体、および新規のガス富化治療流体を送達する新規の方法は、同一の、同様の、または異なる組成物のガス富化流体と1つ以上の不活性希釈剤を差し替えることにより得られ得る。例えば、従来の水は、ガス富化流体を提供するために、水もしくは脱イオン水に酸素を混合することにより生成されたガス富化流体により差し替える、または補完され得る。
【0117】
ある実施形態では、本発明のガス富化流体は、1つ以上の治療剤と組み合わせ得る、および/または単独で使用され得る。特定の実施形態では、ガス富化流体を抱合することは、脱イオン水、食塩溶液等の当該技術分野において既知の1つ以上の溶液を、1つ以上のガス富化流体と差し替えることを含み、それによって、対象に送達するための改善された治療組成物を提供し得る。
【0118】
ある実施形態は、本発明のガス富化流体、医薬組成物、もしくは他の治療剤、またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒、ならびに少なくとも1つの医薬担体もしくは希釈剤を含む、治療組成物を提供する。これらの医薬組成物は、前述の疾患または状態の予防および治療、ならびに上記のように、療法において、使用され得る。好ましくは、担体は、医薬的に許容可能でなければならず、適合する、即ち、組成物中の他の成分において有害効果がないものでなければならない。担体は、固体または液体であり得、好ましくは、単位用量の製剤、例えば、活性成分の0.05〜95重量%を含有し得る錠剤として、製剤化される。
【0119】
可能な投与経路としては、経口、舌下、口腔、非経口(例えば、皮下、筋肉内、動脈内、腹腔内、大槽内、膀胱内、髄腔内、または静脈内)、直腸、局所(経皮、膣内、眼球内、耳内、鼻腔内、吸入、および移植可能なデバイスまたは物質の注射または挿入を含む)が含まれる。
【0120】
投与経路
特定の対象に対する投与の最適な手段は、治療される疾患もしくは状態の性質および重症度、または使用される治療法の性質、ならびに治療組成物もしくは追加の治療剤の性質により異なる。ある実施形態では、経口または局所投与が好ましい。
【0121】
経口投与に好適な製剤は、それぞれ既定量の活性化合物を含有する、錠剤、カプセル、カシェ剤、シロップ、エリキシル剤、チューインガム、「ロリポップ(lollipop)」剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、トローチ剤、もしくはゲルコーティングされたアンプルのような個別単位として、粉末もしくは顆粒として、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として、提供し得る。
【0122】
舌下または口腔投与等による経粘膜的方法に好適な製剤は、活性化合物および一般に香味ベース、例えば、砂糖およびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤、パッチ剤、錠剤等、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースアカシアのような不活性ベース中に活性化合物を含むパステル剤を含む。
【0123】
非経口投与に好適な製剤は、一般に、既定濃度の活性ガス富化流体および可能な別の治療剤を含有する滅菌水溶液を含み、溶液は、好ましくは、対象とするレシピエントの血液を含んだ等張液である。非経口投与に好適な更なる製剤は、界面活性剤およびシクロデキストリン等の生理学的に好適な共溶媒および/または錯化剤を含有する製剤を含む。水中油型乳剤はまた、ガス富化流体の非経口投与用の製剤に好適であり得る。このような溶液は、好ましくは、静脈内投与されるが、皮下または筋肉内注射により投与されてもよい。
【0124】
尿道、直腸、または膣内投与に好適な製剤は、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、吸収性固形物質、潅水等を含む。製剤は、座薬ベースを形成する1つ以上の固体担体、例えば、ココアバター中に、活性成分を含む、単位用量座薬として提供するのが好ましい。代替として、本発明のガス富化流体を用いた結腸洗浄は、結腸または直腸投与用に製剤化され得る。
【0125】
局所、眼球内、耳内、または鼻内投与に好適な製剤は、軟膏、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、ゲル剤(ヒドロゲル等)、スプレー剤、分散性粉末および顆粒、エマルジョン、流動噴射剤を用いたスプレー剤またはエアロゾル(例えば、リポソームスプレー剤、点鼻剤、鼻腔用スプレー剤等)、ならびに油を含む。このような製剤に好適な担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの組み合わせを含む。経鼻または鼻腔内投与は、定量のこれらの製剤またはその他のいずれかを含み得る。同様に、耳内または眼球内は、点滴剤、軟膏、刺激流体(irritation fluid)等を含み得る。
【0126】
本発明の製剤は、あらゆる好適な方法、一般に、液体もしくは微粉化した固体担体、またはその双方を有する活性化合物を、ガス富化流体と、必要とされる比率で均一かつ緊密に任意に混合し、次いで、必要であれば、得られた混合物を所望の形状に付形することにより調製され得る。
【0127】
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒、および1つ以上の任意成分、例えば、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤を含む均質混合物を圧縮するか、または粉末活性成分および本発明のガス富化流体の均質混合物を成形することにより調製し得る。
【0128】
吸入による投与に好適な製剤は、種々の型の定量加圧エアロゾル、ネブライザー、または吸入器を用いて発生し得る微粒子粉末またはミスト剤を含む。特に、治療剤の粉末または他の化合物は、本発明のガス富化流体中に溶解または懸濁され得る。
【0129】
口からの肺投与に関しては、気管支樹への送達を確実にするために、粉末または液滴の粒度は、一般に、0.5〜10μM、好ましくは1〜5μMである。鼻投与に関しては、鼻腔における保留を確実にするために、10〜500μMの粒度が好ましい。
【0130】
定量吸入器は、液化噴射剤中の治療剤の懸濁液または溶液製剤を一般に含有する加圧エアロゾルディスペンサーである。ある実施形態では、本明細書に開示されるように、本発明のガス富化流体は、標準液化噴射剤に加えて、またはその代わりに、使用され得る。使用の際に、これらのデバイスは、計量した量、一般に10〜150μLを送達するように適合させた弁を経て製剤を放出して、治療剤およびガス富化流体を含有する微粒子噴霧を生じる。好適な噴射剤は、特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびこれらの混合物を含む。
【0131】
製剤は、1つ以上の共溶媒、例えば、エタノール界面活性剤、例えば、オレイン酸または三オレイン酸ソルビタン、酸化防止剤、および好適な風味剤を更に含有し得る。ネブライザーは、商業的に入手可能なデバイスであり、それは、狭いベンチュリ穴を通る圧縮ガス(一般に空気または酸素)の加速によるか、あるいは超音波撹拌のいずれかにより、活性成分の溶液または懸濁液を治療エアロゾルミストに変換するデバイスである。ネブライザーで用いるのに好適な製剤は、ガス富化流体中の別の治療剤からなり、製剤の40%w/wまで、好ましくは20%w/w未満を含む。加えて、他の担体は、蒸留水、滅菌水、または希釈水性アルコール溶液等を利用し、好ましくは、例えば、塩化ナトリウム等の塩の添加により、体液と等張にされるものであり得る。任意の添加剤は、特に、製剤が滅菌調製されていない場合は、防腐剤を含み、メチルヒドロキシ−ベンゾエート、酸化防止剤、香味剤、揮発油、緩衝剤、および界面活性剤を含み得る。
【0132】
吸入による投与に好適な製剤は、吸入器により送達されるか、または鼻からの吸入により鼻腔に取り入れられ得る微粉砕散剤を含む。吸入器において、散剤を、一般にゼラチンまたはプラスチック製のカプセルまたはカートリッジに入れ、それらを原位置で突き刺すかまたは開けて、散剤が、吸入時にデバイスから引き出される空気によるか、または手動ポンプにより送達される。吸入器において採用される散剤は、活性成分だけからなるか、または活性成分、好適な粉末希釈剤、例えばラクトース、および任意の界面活性剤を含む粉末ブレンドからなる。
【0133】
活性成分は、一般に、製剤の0.1〜100w/wを含む。上に具体的に言及された成分に加えて、本発明の製剤は、課題となる製剤の型を考慮して、当業者には既知の他の薬剤を含み得る。例えば、経口投与に好適な製剤は、香味料を含み得、経鼻投与に好適な製剤は、香料を含み得る。
【0134】
本発明の治療組成物は、個々の治療剤として、あるいは、治療剤と組み合わせて、調合薬と共に使用可能なあらゆる従来の方法により投与され得る。
【0135】
当然のことながら、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特性、ならびにその投与の様式および経路;レシピエントの年齢、健康状態、および体重;症状の性質および範囲;同時治療の種類;治療頻度;ならびに所望の効果のような既知の要因により異なり得る。活性成分の1日投与量は、体重の1キログラム(kg)あたり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であり、好ましくは、0.1〜約30mg/kgの用量であることが期待され得る。
【0136】
用量形態(投与に好適な組成物)は、単位あたり活性成分の約1mg〜約500mgを包含する。これらの医薬組成物では、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて、約0.5〜95重量%の量で存在し得る。
【0137】
軟膏、ペースト剤、フォーム剤、咬合剤(occlusion)、クリーム剤、およびゲル剤はまた、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、シリコン、ベントナイト、シリカ酸、およびタルク、またはこれらの混合物のような賦形剤も含有し得る。散剤およびスプレー剤はまた、ラクトース、タルク、シリカ酸、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤も含有し得る。ナノ結晶抗菌性金属の溶液は、エアロゾル医薬品を製造するために日常的に使用される既知の手段のいずれかによりエアロゾルまたはスプレー剤に変換され得る。概して、このような方法は、通常、不活性担体ガスを用いて、溶液の容器を加圧すること、または加圧するための手段を提供すること、および小さい穴から加圧したガスを通過させることを含む。スプレー剤は、窒素、二酸化炭素、および他の不活性ガス等の常用の噴射剤を更に含有し得る。加えて、ミクロスフェアまたはナノ粒子は、対象に治療化合物を投与するために必要とされるいずれかの経路において、本発明のガス富化治療組成物または流体と共に採用され得る。
【0138】
注射用製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位用量または多用量を密閉した容器中に存在し得、使用直前に、滅菌液体賦形剤、またはガス富化流体の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管され得る。即時注射液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。注射可能な組成物のために効果的な医薬担体の必要条件は、当業者には公知である。例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照のこと。
【0139】
局所投与に好適な製剤としては、本発明のガス富化流体および任意に追加の治療および香味、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性ベース中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むパステル剤;好適な液体キャリア中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むうがい薬または含嗽液;ならびにクリーム剤、エマルジョン、ゲル剤等が挙げられる。
【0140】
追加として、直腸投与に好適な製剤としては、乳化ベースまたは水溶性ベースのような様々なベースと混合することにより座薬として示され得る。膣内投与に好適な製剤としては、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、または活性成分に加えて、当該技術分野で適切であることが知られているキャリア等を含有するスプレー剤として示され得る。
【0141】
好適な医薬キャリアは、本分野における標準的な参照テキスト「Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)」に記載されている。
【0142】
本発明の文脈において、対象、特に、動物、具体的には、ヒトに投与される用量は、適当なタイムフレーム上で動物の治療反応をもたらすのに十分であるべきである。当業者は、投与量が、動物の状態、動物の体重、ならびに治療されるべき状態を含む、様々な要因により異なり得ることを理解されよう。好適な用量は、所望の反応に影響を及ぼすことが知られている、対象における、治療組成物の濃度をもたらし得るものである。
【0143】
用量の大きさはまた、投与の経路、タイミングおよび頻度、ならびに治療組成物の投与および所望の生理的効果を伴い得る、いかなる副作用の存在、性質、および範囲によっても決定され得る。
【0144】
組み合わせの化合物は、(1)共製剤における化合物の組み合わせにより同時に、または(2)別々の医薬製剤において、交代で、即ち、連続的に、順次に、並行で、または同時に、送達することにより、投与され得ることが認識されよう。交互の治療において、第2、および任意に第3の活性成分の投与の遅延が、活性成分の組み合わせの相乗的な治療効果の利益を損失するべきではない。(1)あるいは(2)のいずれかの投与方法によるある実施形態によれば、理想的には、組み合わせは、最も有効な結果を達成するように投与されるべきである。(1)あるいは(2)のいずれかの投与方法によるある実施形態では、理想的には、組み合わせは、活性成分のそれぞれのピーク血漿濃度を達成するために投与されるべきである。組み合わせ共製剤の投与による1日に1回1錠レジメン(one pill once−per−day regimen)は、炎症性神経変性疾患に罹患している何人かの患者に実行可能であり得る。ある実施形態によれば、組み合わせの活性成分の効果的なピーク血漿濃度は、約0.001〜100μMの範囲であり得る。最適なピーク血漿濃度は、特定の患者について処方される製剤および投与レジメンにより達成され得る。本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体は、同時に与えられるか、または順次与えられるかいずれにせよ、個々に、複数で、または任意のこれらの組み合わせで、投与され得ることもまた理解されよう。概して、交互の治療(2)の間、有効投与量の各化合物は連続的に投与され、共製剤治療(1)においては、有効投与量の2つ以上の化合物が、一緒に投与される。
【0145】
本発明の組み合わせは、単位投薬形態において、医薬製剤として適宜に表され得る。都合の良い単位投与製剤は、それぞれ、1mg〜1gの任意の量(例えば、10mg〜300mgであるが、これに限定されない)で活性成分を含む。例えば、グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)と組み合わせた、本発明の流体の相乗効果は、広い比にわたって、例えば、1:50〜50:1(本発明の流体:グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド))で実現され得る。1つの実施形態では、比は、1:10〜10:1の範囲であり得る。別の実施形態では、丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤のような共製剤の組み合わせ投与形態における、グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)に対する本発明の流体の重量/重量比は、約1、即ち、ほぼ等量の本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)であり得る。他の例示的な共製剤では、より多いか、または少ない本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)が存在し得る。1つの実施形態では、各化合物は、単独で使用される場合に抗炎症活性を示す量で組み合わせて利用され得る。前記組み合わせの化合物の他の比および量は、本発明の範囲内で企図される。
【0146】
単位投与形態は、本発明の流体および、例えば、グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)、またはこれらのうちのいずれかの生理学的に機能的な誘導体、ならびに医薬的に許容可能な担体を更に含み得る。
【0147】
治療で使用するのに必要とされる本発明の組み合わせ中の活性成分の量は、治療されている状態の性質、ならびに患者の年齢および状態を含む、様々な要因に従って変化し、最終的には、主治医または健康管理者の自由裁量であることが、当業者には、認識されよう。考慮されるべき要因としては、投与経路および製剤の性質、動物の体重、年齢および全身状態、ならびに治療されるべき疾患の性質および重症度が挙げられる。
【0148】
同時投与または順次投与のための単位投与形態にある任意の2つの活性成分と、第3の活性成分とを組み合わせることも可能である。3つの部分の組み合わせは、同時にまたは順次に投与され得る。順次投与される場合、組み合わせは、2つまたは3つの投与物で投与され得る。ある実施形態によれば、本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)の3つの部分の組み合わせは、任意の順序で投与され得る。
【0149】
特定の態様に従って、本発明の界面動電的に改変された流体は、本明細書に開示される表示の例示的な属を含むがこれに限定されない、TSLPおよび/またはTSLPR媒介状態を治療するための実質的な有用性を有する。さらなる態様によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、例示的な属の様々な亜属を治療するための有用性を有し、属の少なくとも1つの表示は、亜属のそれぞれから除外される。
【実施例】
【0150】
実施例1
(本発明の界面動電的に改変された流体およびアルブテロールの相乗効果を示した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、ヒト気管支収縮(ヒト喘息モデル)の当該技術分野において認識されている動物モデルにおいて、生体内でアルブテロールを用いて、相乗延長効果(例えば、気管支収縮の抑制)を提供し、したがって、患者のアルブテロール使用量の減少を提供する。本実施例において開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0151】
第1の実験。第1の実験において、メタコリン誘発された気管収縮と共に気道機能における気管支拡張剤の効果について、16匹のモルモットを評価した。最適用量の決定後、各動物は、1動物あたり250μLにおいて、標的用量の12.5μgの硫酸アルブテロールを送達するように、50μg/mLで投薬された。試験は、体重およびベースラインPenH値に対して無作為化ブロック設計であった。2つの群(AおよびB)には、1つまたは2つの希釈剤中の50μg/mL硫酸アルブテロールの250μLの気道内注入を与えた:A群は、酸素を添加せずに、本発明のデバイスを通過させた脱イオン水であり、一方、B群は、本発明のガス富化水であった。各群は、Penn Century Micro sprayerを用いて、溶液と共に気管内に投薬された。加えて、動物は、各治療群がプレチスモグラフおよび記録ユニットを供給するネブライザー内で均一に示されるように、BUXCOプレチスモグラフユニットにわたって階層化された。アルブテロールを投与してから2時間後、それらのベースラインPenH値の少なくとも75%を示した動物は、データ分析には含まれなかった。この除外基準は、気管支拡張剤を用いた気管支保護を観察するための欠陥が、投与エラーと関連し得る過去の試験に基づく。結果として、対照群から1匹の動物が、データ分析から除外された。動物は、50%超の気管支収縮があると、動物は、保護されていないと見なされた。B群の動物のうちの50%は、10時間まで(試験が終了する時点)、気管支収縮から保護された。
【0152】
第2の実験。オスのモルモットにおける、硫酸アルブテロールの単独投与、または希釈剤として投与する際、メタコリン誘発された気管支収縮に対する本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC1676−00、RDC1676−01、RDC1676−02、およびRDC1676−03)の保護効果を評価するために、大量の動物を用いて、追加の一連の実験を行った。
【0153】
材料および方法。モルモット(Cavia porcellus)は、Charles River Canada Inc.(St.Constant,Quebec,Canada)からのハートレー系アルビノ、Crl:(HA)BRであった。体重:処置の開始時で、約325±50g。群数は、1群あたり7匹のオス動物を有する、32匹であった(加えて、24匹の予備が、動物の同一バッチを形成する)。食事;全ての動物は、指定された処置時を除いては、標準の認定されたペレット式の市販の実験食(PMI Certified Guinea Pig 5026;PMI Nutrition International Inc.)を自由に摂食させた。投与経路は、Penn Century Microsprayerを介した気道内注入および全身吸入を介したメタコリン刺激であった。気管内経路は、試験物質/対照溶液への肺暴露を最大限にするように選択された。全身吸入刺激は、上気道過敏性反応(即ち、気管支収縮)を引き起こすために、メタコリン刺激に対して選択されている。処置の継続は、1日であった。
【0154】
実験設計。全ての動物は、TA/対照投与してから2時間後、メタコリン(500μg/mL)の吸入暴露を行った。全ての動物は、250μLの用量容量を受容した。したがって、硫酸アルブテロールは、(対照物質および4つの試験物質において)0、25、50、および100μg/mLの濃度まで希釈された。投薬する30分前、4つの異なる濃度(0、25、50、および100μg/mL)の硫酸アルブテロール溶液は、これらの4つの試験物質溶液(RDC1676−00、RDC1676−01、RDC1676−02、およびRDC1676−03)のそれぞれにおいて、l Oxストック(500μg/mL)中で作製された。これらの濃度の硫酸アルブテロールはまた、非界面動電的に生成された対照流体(対照1)中でも作製された。投与溶液は、適切な希釈の各ストック溶液を作製することにより調製された。全てのストックおよび投与溶液は、調製されるとすぐに、氷上で維持した。試験/対照物質を作製してから1時間以内に、投与を完了した。メタコリン(500μg/mL)の溶液は、投与日に調製した。
【0155】
各動物に、Penn Century microsprayerを用いて、試験または対照物質の気道内注入を行った。動物は、一晩絶食させ、イソフルレンを用いて麻酔をかけ、喉頭を、喉頭鏡(または好適な代替物)下で可視化し、マイクロ噴霧器(microsprayer)の先端を気管に挿入した。試験物質または対照物質の用量容量の250μL/動物を投与した。メタコリンエアロゾルは、Buxcoバイアス流動ポンプからの空気が供給されたエアロネブ超音波ネブライザーを用いて、混合チャンバの空気吸入口に生成された。同様に、この混合チャンバは、4つの個々の全身無拘束プレチスモグラフを供給し、わずかに負圧下で動作されたそれぞれは、排気ラインに位置する仕切り弁によって維持した。真空ポンプを使用して、必要とされる流速で、吸入チャンバを排出した。
【0156】
試験の主相を開始する前に、12匹の予備動物を、3つの群(n=4/群)に割り付けて、動物が、重症であるが、非致命的急性気管支収縮を誘発するようにメタコリンに暴露され得る、最大暴露期間を決定した。4匹の動物は、30秒間、メタコリン(500μg/mL)に暴露され、エアロゾルを開始してから10分後まで、呼吸パラメータを測定した。メタコリンネブライザー濃度および/またはエアロゾル化の暴露時間は、Penhの一過性増加を特徴とするように、重症であるが、非致命的急性/可逆性気管支収縮を誘発するように適切に調整された。
【0157】
試験物質投与前(1日目)、また、投薬してから2、6、10、14、18、22、および26時間後の時点で、動物をチャンバ内に入れ、メタコリンへのエアロゾル刺激の開始後、換気パラメータ(1回換気量、呼吸速度、誘導分時排出量)およびenhanced pause Penhを、Buxco Electronics BioSystem XAシステムを用いて、10分間測定した。動物がチャンバ内にいる時点で、ベースラインの値は、1分間記録され、次いで、メタコリンネブライザー濃度の500μg/mLを、30秒間、エアロゾル化し、動物は、換気パラメータを連続的に評価した際、更に10分間、エアロゾルに暴露された。Penhは、気管支収縮の指標として使用され、Penhは、ピーク吸気流、ピーク呼気流、および呼気時間から得られた誘導値である。Penh=(ピーク呼気流/ピーク吸気流)*(呼気時間/呼気容量の65%を呼気するため時間−1)。
【0158】
メタコリン刺激の事前投与時、重症の急性気管支収縮を示さなかった動物は、差し替えられた。投与してから2時間後、それらのベースラインPenhPenes値の少なくとも75%を示す、どの動物も、データ分析には含まれなかった。呼吸パラメータは、20秒法として記録された。非生理的であると見なされたデータは、更に分析から除外された。Penhの変化は、15分間にわたりプロットされ、Penh値は、濃度曲線下面積として表された。数値データは、群平均値および標準偏差(規定通りに)の算出がなされた。
【0159】
結果。本実験からの結果は、アルブテロールの不在下で、本発明の界面動電的に生成された流体の投与は、26時間まで測定した際、ベースライン%平均のPenH値における明らかな効果がなかったことを示した。しかしながら、驚いたことには、本発明の界面動電的に生成された流体中で製剤化されたアルブテロールの投与(25μgのアルブテロール/動物群に対して代表的なデータを示す)(試験した全ての酸素レベルで;周囲、20ppm、40ppm、および60ppm)は、対照流体と比較して、アルブテロールの抗気管支収縮作用の顕著な延長を生じた。つまり、メタコリンの結果は、少なくとも26時間で、アルブテロールの気管支拡張の延長を示した。出願者はまた、RDC1676と生理食塩水対照との間の全ての酸素レベルで一貫した差異があったことを示した。全て4つのRDC1676流体を合成すると、全処置と生理食塩水との差異であるp値は、0.03であった。
【0160】
したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された溶液は、アルブテロールとの相乗的延長作用を提供し、故に、患者のアルブテロール使用量の軽減を提供し、更に効率的な費用効率が高い薬物使用、より少ない副作用を可能にし、かつ患者が治療され、アルブテロールによる治療に反応し得る期間を増大させる。
【0161】
実施例2
(サイトカイン発現に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を示した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、対照流体と比較して、炎症性サイトカイン(IL−1β、TNF−a、IL−6、およびGM−CSF)、ケモカイン(IL−8、MIP−1a、RANTES、およびエオタキシン)、炎症性酵素(iNOS、COX−2、およびMMP−9)、アレルゲン応答(MHC クラスII、CD23、B7−1、およびB7−2)、ならびにTh2サイトカイン(IL−4、IL−13、およびIL−5)の産生を低下させ、対照流体と比較して、抗炎症サイトカイン(例えば、IL1R−α、TIMP)を増加させた。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0162】
特定の態様では、ヒト混合リンパ球は、Revalesio酸素富化流体または対照流体中のT3抗原またはPHAで刺激し、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12(p40)、IL−12(p70)、IL−13、IL−17、エオタキシン、IFN−γ、GM−CSF、MIP−1β、MCP−1、G−CSF、FGFb、VEGF、TNF−a、RANTES、レプチン、TNF−β、TFG−β、およびNGFの変化を評価した。示されるように、試験した、炎症性サイトカイン(IL−1β、TNF−a、IL−6、およびGM−CSF)、ケモカイン(IL−8、MIP−1a、RANTES、およびエオタキシン)、炎症性酵素(iNOS、COX−2、およびMMP−9)、アレルゲン応答(MHC クラスII、CD23、B7−1、およびB7−2)、ならびにTh2サイトカイン(IL−4、IL−13、およびIL−5)は、試験流体対対照流体において、減少した。対照的に、試験した抗炎症サイトカイン(例えば、IL1R−a、TIMP)は、試験流体対対照流体において、増加した。
【0163】
さらに、出願者は、アレルギー性超過敏反応を評価するために、オボアルブミン感作を含む、当該技術分野において認識されているモデル系を使用した。研究されたエンドポイントは、反応の特定の細胞学的成分および細胞成分、ならびにタンパク質およびLDHの血清学測定であった。エオタキシン、IL−1A、IL−1B、KC、MCP−1、MCP−3、MIP−1A、RANTES、TNF−A、およびVCAMの分析を含む、サイトカイン分析を行った。
【0164】
簡潔に述べると、オスのBrown Norwayラットに、1日目、2日目、および3日目のそれぞれで1回、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)(200mg/mL)を含有する溶液(2.0mg/mL)中で0.5mLのオボアルブミン(OVA)グレードV(A5503−1G、Sigma)を腹腔内注射した。研究は、2×2要因配置無作為化(4群)の処置であった。免疫反応を生じさせるまでの2週間の待機期間後、ラットは、暴露されるか、あるいは、RDC1676−00(Revalesio社独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水)、あるいはRDC1676−01(更に添加された酸素を用いて、Revalesio社独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水)のいずれかを用いて、1週間、処置された。1日1回の1週間の処置の終了時に、2つの群は、半分に分けられ、各群において、ラットの50%は、吸入により食塩水あるいはOVA刺激のいずれかを受容した。
【0165】
具体的には、初期シリアル化してから14日後、12匹のラットを、連続7日間、毎日30分間、吸入によりRDC1676−00に暴露した。システムを通る気流速度を、10リットル/分で設定した。計12匹のラットを、噴霧物質をエアロネブの12のサブチャンバに入れ、均一に分布させる単一ポートを有する、パイチャンバ中に整列させた。
【0166】
初期シリアル化してから15日後、12匹のラットを、連続7日間、毎日30分間、超音波噴霧によりRDC1676−01に暴した。気流はまた、10リットル/分で設定され、同一のネブライザーおよびチャンバを使用した。第1に、RDC1676−00を噴霧し、RDC1676−01を噴霧する前に、エアロネブチャンバを完全に乾燥させた。
【0167】
最終の噴霧処置をしてから約2時間後、RDC1676−00群からの6匹のラットを、Penn Century Microsprayer(モデル1A−1B)を用いて、気管内注入により送達されるOVA(食塩水中1%)で、再刺激した。RDC1676−00群からの他の6匹のラットを、気管内注入により送達される対照群として食塩水で刺激した。翌日、手順をRDC1676−01群で繰り返した。
【0168】
再刺激してから24時間後、各群において全てのラットは、ペントバルビタールナトリウムを過剰摂取させることにより安楽死させた。全血サンプルは、下大静脈から採血し、2つの別個の採血管のQiagen PAXgene(登録商標)Blood RNA TubeおよびQiagen PAXgene(登録商標)Blood DNA Tubeに入れた。このモデルにおいて、肺の炎症と関連することで既知のサイトカイン発現のマーカーの変化を評価するために、肺の臓器を処置して、RT−PCRのための気管支肺胞洗浄(BAL)流体および肺組織を得た。肺の右側上の4つの肺葉の整合性を保つために、片側洗浄技術を採用した。左「大」葉を洗浄し、一方、4つの右葉は、縛られ、TRI−zol(登録商標)を直ちに入れられ、均質化され、更なる処置のために実験室に送られた。
【0169】
BAL分析。肺洗浄物を、収集し、細胞を沈殿させるために、4℃で、600〜800gで、10分間遠心分離を行った。浮遊物を、新しい管に移し、−80℃で冷凍させた。気管支洗浄液(「BAL」)を、2つのアリコートに分取した。第1のアリコートを沈降させ、浮遊物を破砕したドライアイス上で急冷凍し、−80℃中に入れ、更なる処置のために実験室に出荷した。存在するタンパク質およびLDHの量は、それぞれ、血清タンパク質のレベル(タンパク質は、本実験等の場合、刺激される際、膜を漏出する血清成分である)および細胞死を示す。独自の試験側は、対照物よりもわずかに少ないタンパク質を示した。
【0170】
気管支洗浄液の第2のアリコートは、総タンパク質およびLDH含有量について評価し、細胞学的検査に供された。処置群は、総細胞が、食塩水対照群よりも多いことを示した。更に、対照群に対して処置群において、好酸球の増加があった。対照群に対して処置群において、わずかに異なる多形核球細胞もあった。
【0171】
血液分析。1つの管に1.2〜2.0mLの血液を移すことにより、全血を分析し、少なくとも30分間、血液を凝固させた。残りの血液サンプル(約3.5〜5.0mL)は、TRI−zol(登録商標)またはPAXgene(登録商標)を用いて、RNA抽出のために保存した。次に、凝固させた血液サンプルを、室温で、1200gで、10分間、遠心分離を行った。血清(浮遊物)を除去し、2つの新しい管に入れ、血清を−80℃で保存した。
【0172】
Tri−Reagent(TB−126、Molecular Research Center,Inc.)を利用するRNA抽出に関しては、0.2mLの全血または血漿あたり20μLの5N酢酸が補完される、0.75mLのTRI Reagent BDに、0.2mLの全血または血漿を添加した。管を振盪し、−80℃で保存した。PAXgene(登録商標)を利用して、管を、約2時間、室温でインキュベートした。次いで、管をそれらの側に置き、−20℃の冷凍庫で24時間保存し、次いで、長期保存のため、−80℃へ移動させた。
【0173】
Luminex分析。Luminexプラットフォームにより、マイクロビーズ分析は、抗体関連の結合反応に対する基質として利用され、これは、光度ユニットにおいて、読み出され、定量化標準と比較することができる。各血液サンプルは、2つのサンプルとして同時に検査した。測定ユニットは、光度ユニットであり、群は、OVA刺激された対照群、OVA刺激された処置群、および食塩水刺激された独自の流体による処置群に分けられた。
【0174】
アジレント遺伝子アレイデータ生成のために、肺組織を単離し、TRI試薬(TR118、Molecular Research Center,Inc.)中に浸水した。簡潔に述べると、約1mLのTRI試薬を、各管中の50〜100mgの組織に添加した。サンプルは、ガラス製Teflon(登録商標)またはPolytron(登録商標)ホモジナイザーを用いて、TRI試薬中で均質化された。サンプルは、−80℃で保存した。
【0175】
血液サンプルからの結果。各血液サンプルは、2つのサンプルに分けられ、サンプルは、同時に検査した。測定のユニットは、光度のユニットおよび群であり、左から右に向かって、OVA刺激された対照、OVA刺激されたRevalesio処置、次いで、食塩水刺激された処置、および食塩水刺激されたRevalesio処置である。概説を容易にするために、RDC1676−01群は共に、グレー影付き背景で強調表示され、一方、食塩水対照処置群は、影なし背景である。
【0176】
概して、2つの左の群と比較すると、RDC1676−01群データの広がりは、若干大きく、一方、全体として、RDC1676−01群の特定のサイトカインレベルは、対照処置群のサンプルよりも小さく、一般に、2群間での約30%の数値の差異がある。概して、最右の2つの群を比較すると、RDC1676−01群は、RDC1676−00群と比較して、わずかに高い数値を有する。
【0177】
出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるRANTES(IL−8スーパーファミリー)のレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったと判定した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、食塩水のみで暴露された群により産生されたものと比較して、MCP−1をより低いレベルで産生させたことを示した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるTNFαのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったと判定した。
【0178】
さらに、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるMIP−1αのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったことを示した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、食塩水のみで暴露された群により産生されたものと比較して、IL−1αをより低いレベルで産生させたことを示した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるVcamのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったことを観察した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるIL−1βのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったことを観察した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、食塩水のみで暴露された群により産生されたものと比較して、エオタキシンおよびMCP−3をより低いレベルで産生させたことを示した。
【0179】
要約すると、既知の感作に対する炎症反応のこの標準アッセイは、少なくとも血液サンプルにおいて、著しい臨床的かつ血清学的作用を生じた。加えて、著しい数の対照動物が、プロセスにおいて、生理学的にストレスを感じ、危うく死亡するところであったが、RDC1676−01処置群のいずれも、このような臨床的なストレス効果を示さなかった。次いで、これは、RDC1676−01処置群と、OVA刺激群におけるRDC1676−01処置群との間で約30%の差異を有する、サイトカインの血中濃度において、反映された。対照的に、RDC1676−01処置群と、OVA無刺激群におけるRDC1676−01処置群との間でのサイトカイン、細胞、および血清学的プロファイルの小量、かつごくわずかな変化があり、これは、流体自体の最小限のベースラインの変化を単に示すと考えられる。
【0180】
実施例3
(T細胞増殖を調節するための本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、比較的に低下した増殖により示されるように、制御性T細胞機能を改善した。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0181】
T細胞を制御するための本明細書に開示される特定の実施形態の能力を、抗原提示細胞を照射し、抗原およびT細胞を導入することにより研究した。一般に、これらの刺激を受けたT細胞は増殖する。しかしながら、制御性T細胞の導入において、通常のT細胞増殖は、抑制される。
【0182】
方法。簡潔に述べると、選別に使用されるFITC共役型抗CD25(ACT−1)抗体は、DakoCytomation(Chicago,IL)から購入した。使用した他の抗体は、以下の通りであった。CD3(可溶条件に対してHIT3a)、GITR(PE共役型)、CD4(Cy−5およびFITC共役型)、CD25(APC共役型)、CD28(CD28.2クローン)、CD127−APC、Granzyme A(PE共役型)、FoxP3(BioLegend)、マウスIgG1(イソタイプ制御)、およびXCL1抗体。全ての抗体は、製造業者の取扱説明書に従って使用した。
【0183】
CD4+T細胞は、CD4+Rosetteキット(Stemcell Technologies)を用いて、末梢全血から単離された。CD4+T細胞は、抗CD127−APC、抗CD25−PE、および抗CD4−FITC抗体でインキュベートした。細胞は、CD4+CD25hiCD127lo/nTregおよびCD4+CD25反応性T細胞にFACSAriaを用いて、フローサイトメトリーにより選別された。
【0184】
丸底96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、抑制アッセイを行った。指示されたように、3.75×103 CD4+CD25陰性反応性T細胞、3.75×103 自己T制御性、3.75×104 同種照射CD3減損PBMCを添加した。全てのウェルは、抗CD3(5.0ug/mLで、クローンHIT3a)で補完した。T細胞は、10%ウシ胎仔血清で補完したRPMI 1640培地中で、37℃で、7日間、培養された。インキュベーションが終了する16時間前、1.0mCiの3H−チミジンを、各ウェルに添加した。プレートは、Tomtec細胞ハーベスターを用いて収穫し、3H−チミジン組み込みは、Perkin Elmerシンチレーションカウンターを用いて決定した。抗原提示細胞(APC)は、StemSepヒトCD3+T細胞枯渇(StemCell Technologies)、次いで、40Gyの照射を用いて、T細胞から枯渇した末梢血単核細胞(PBMC)からなった。
【0185】
制御性T細胞は、抗CD3および抗CD28条件で刺激を受け、次いで、Live/Dead Red生存能の染色(Invitrogen)、ならびに表面マーカーCD4、CD25、およびCD127で染色した。細胞は、Lyze/Fix PhosFlow(登録商標)緩衝液中で固定し、変性Permbuffer III(登録商標)中で透過した。次いで、細胞をそれぞれの特定の選択された分子に対して抗体で染色した。
【0186】
GraphPad Prismソフトウェアを用いて、統計的分析を行った。両側不対スチューデントt検定を使用することにより2群間の比較を行った。1方向ANOVAを使用することにより3群間の比較を行った。0.05未満のP値が、有意であると見なされた(両側)。2群間の相関は、r値が、0.7を上回るか、または−0.7未満である場合、スピアマン係数を介して統計的に有意であることを決定した(両側)。
【0187】
結果。制御性T細胞の増殖は、ディーゼル排出微粒子状物質(EPAからのPM)で細胞を刺激することにより研究された。出願者は、PM(Revなし、Solisなし)で刺激された細胞が分泌されたIL−10の低下を生じた一方で、本開示の流体の存在下で、PMに曝露される細胞(「PM+Rev」)は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された産生またはわずかに低下した産生を生じたと判定した。更に、ジフテリア毒素(DT390、先端ジフテリア毒素分子;標準市販濃度の1:50の希釈)を、本発明の流体サンプルに滴定し、IL−10の増加のRev媒介された効果を遮断した。Revのみによる処置が、食塩水および培地対照と比較して、より高いIL−10レベルを生じたことに留意されたい。同様の結果を、それぞれ、GITR、Granzyme A、XCL1、pStat5、およびFoxp3で得た。
【0188】
出願者はまた、トリプターゼを評価する末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)から得られる、AA PBMCデータを得た。AA PBMCデータは、粒子状物質(PM)で刺激された細胞が、高レベルのトリプターゼを示した際、上記のT制御性細胞データと一致したが、一方、本開示の流体の存在下で、PMによる処置した細胞(「PM+Rev」)は、食塩水および培地対照のものと同様に有意に低いトリプターゼレベルを生じた。T制御性細胞からのデータと一致して、DT390への暴露は、トリプターゼレベルにおけるRev媒介効果を遮断し、PMのみ(−Rev、Revなし、Solasなし)に見られたように、細胞中に上昇したレベルのトリプターゼを生じた。Revのみによる処置は、食塩水および培地対照と比較してより低いトリプターゼレベルを生じた。
【0189】
要約すると、出願者は、対照流体中のPM(Revなし、Solasなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、増殖の低下を観察し、アッセイにおいて、比較的に低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevが、制御性T細胞機能を改善したことを示す。更に、証拠は、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断がTreg機能におけるReveraの活性に影響を及ぼすことを示す。
【0190】
実施例4
(本発明の界面動電的に改変された流体とブデソニドとの間の相乗効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー喘息に対する当該技術分野において認識されている動物モデルにおいて、インビボでブデソニドを用いて、相乗抗炎症効果を提供した。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0191】
出願者は、最初に、Brown Norwayラットオボアルブミン感作モデルにおいて、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC−1676−03)の気道抗炎症特性を評価するために実験を行った。Brown Norwayラットは、気道機能における試験材料の効果を決定するための当該技術分野において認識されているモデルであり、この系統は、例えば、アレルギー喘息のモデルとして幅広く使用されている。このモデルにおいてオボアルブミン感作により誘発された気道病変および生化学的変化は、ヒトに観察されたものと類似している(Elwood et al.,J Allergy Clin Immuno 88:951−60,1991、Sirois & Bissonnette,Clin Exp Immunol 126:9−15,2001)。吸入経路は、試験材料または対照溶液への肺暴露を最大限にするように選択された。オボアルブミン感作動物は、オボアルブミン刺激する前の7日間、ブデソニド単独で、または試験材料RDC 1676−03と組み合わせて、処置された。刺激してから6時間および24時間後、全血数ならびに幾つかの炎症性および抗炎症サイトカインのレベル、ならびに様々な呼吸パラメータを測定して、様々な炎症性パラメータにおける試験材料を投与する任意の有益な効果を推定した。
【0192】
材料および方法:
実験の開始時で、約275±50gの体重がある、Brown Norwayラットの系統Bn/Crlを、Charles River Kingstonから取得した。全ての動物研究は、PCS−MTL Institutional Animal Care and Use Committeeによる承認を得て行われた。研究時、動物の使用およびケアは、USA National Research CouncilならびにCanadian Council of Animal Careのガイドラインに従って行われた。
【0193】
感作。実験の1日目に、動物(各処置群において14匹の動物)は、1mLの0.9% 塩化ナトリウムあたり2mg オボアルブミン/100mg 水酸化アルミニウムの新しく調製された溶液の1mLの腹腔内注射の投与により感作され、次いで、3日目に注射を繰り返した。
【0194】
処置。処置初期感作から15日後、動物に、対照(生理食塩水)または試験溶液(界面動電的に生成された流体RDC1676−00、RDC1676−02、およびRDC−1676−03)への噴霧暴露を施し、連続7日間、1日1回15分間、単独で、またはブデソニドと組み合わせて投与した。動物は、約20Lの全身チャンバ中で投薬され、試験環境は、Buxcoバイアス流動ポンプからの空気が供給されたエアロネブ超音波ネブライザーを用いて、チャンバの空気入口に生成された。気流速度は、10リットル/分で設定された。
【0195】
オボアルブミン刺激。21日目に、試験溶液で処置してから2時間後、全ての動物は、1% オボアルブミン噴霧溶液で、15分間、刺激された(気流2L/分で全身チャンバ中)。
【0196】
サンプル収集。オボアルブミン刺激してから6および24時間の時点で、血液サンプルは、全および差動血液細胞数、ならびに様々な炎症性および抗炎症サイトカインのレベルを測定するために、採血された。加えて、オボアルブミン刺激してから6および24時間直後、enhanced pause Penhおよび1回換気量を、Buxco Electronics BioSystem XAシステムを用いて、10分間測定した。
【0197】
結果:
好酸球数:予想されるように、ブデソニドによる処置(「NS+ブデソニド750μg/Kg」;細かい斜線の棒グラフ)は、生理食塩水「NS」単独での対照による処置と比較して、刺激された動物における全好酸球数を低下させた。追加として、本発明の流体「RDC1676−03」単独による処置は、好酸球数を有意に低下させなかったが、それでもなお、好酸球数を低下させる際、ブデソニドとの実質的な相乗効果(「RDC1676−03+ブデソニド750μg/Kg」)を示した。同様に、好酸球率はまた、同様の傾向を示した。RDC1676−03またはブデソニド750ug/kg単独では、刺激された動物において、好酸球率において有意な効果を有さなかったが、組み合わせた2つは、好酸球率を有意に低下させた。
【0198】
したがって、出願者は、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC1676−03)は、ヒトアレルギー喘息に対する当該分野において認識されているラットモデルにおいて、好酸球数(「好酸球率」および全数)を有意に低下させるように、ブデソニドと組み合わせて、実質的な相乗的有用性を有すると判定した。
【0199】
呼吸パラメータ:
出願者はまた、オボアルブミン刺激から6および24時間後、直後に測定されるように、Penhおよび1回換気量における試験流体の観察された効果を示した。Penhは、ピーク吸気流、ピーク呼気流、および呼気時間から得られた誘導値であり、penh値の低下は、肺機能の有益な結果を反映する。
【0200】
Penh=(ピーク呼気流/ピーク吸気流)*(呼気時間/呼気容量の65%を呼気するため時間−1)。
【0201】
ブデソニド(500および750ug/kgの双方で)単独での、または試験流体のいずれかとの組み合わせによる処置は、刺激直後のPenh値に有意に影響を及ぼさなかった。しかしながら、刺激から6時間後、RDC1676−03単独での、またはブデソニド500もしくは750ug/kgと組み合わせによる処置を行った動物は、Penh値の大幅な低下を示した。この低下の範囲は、刺激してから24時間後には消失したが、ブデソニドおよびRDC流体の相乗効果の傾向は、この時点で更に観察された。
【0202】
1回換気量は、呼気終末位から吸気中の肺に吸い込まれる空気容量であり、これは、安静呼吸の間の呼気中、受動的に肺を排気される。ブデソニド単独により処置される動物は、刺激直後、1回換気量の変化がないことを示した。しかしながら、RDC1676−03単独では、この初期時点でさえ、1回換気量における有意な促進効果があった。さらに、ブデソニド(500および750ug/kgの双方)と組み合わせたRDC1676−03は、この時点で、1回換気量の測定における更になお顕著な効果があった。刺激から6時間後、RDC1676−03単独では、1回換気量の有意な増加を生じるのに十分であり、単独で、または組み合わせた、治療レジメンへのブデソニドの添加は、1回換気量における更なる効果がなかった。しかしながら、これらの早期時点で観察された任意の効果は、24時間の時点までに消失した。
【0203】
総合すれば、刺激してから6時間後、1回換気量の増加およびPenh値の低下により証明されるように、これらのデータは、RDC1676−03単独で、またはブデソニドと組み合わせて、気道炎症の著しい緩和を提供したことを示す。
【0204】
サイトカイン分析:
上記で論じられた生理学的パラメータに見られる効果の機構を分析するために、多数の炎症性ならびに抗炎症サイトカインは、刺激してから6および24時間後、次いで、生理学的測定の直後、採血された血液サンプルにおいて測定された。
【0205】
出願者は、Rev 60(またはRDC1676−03)単独では、刺激してから6および24時間後の双方で、有意にエオタキシンの血液レベルを低下させたことを観察した。ブデソニド750ug/kgはまた、これらの時点の双方で、血液エオタキシンレベルを軽減したが、一方、ブデソニド250ug/kg単独は、後の時点で、顕著な効果があった。しかしながら、試験溶液Rev 60単独では、双方の時点で、ブデソニドの双方の濃度よりも更に著しく強力な(血液エオタキシンレベルを低下させる際)効果を示した。エオタキシンは、喘息の肺およびアレルギー反応における他の組織(例えば、クローン病の腸)に好酸球を蓄積し、かつ好酸球を誘引することで知られている、小量のC−Cケモカインである。エオタキシンは、Gタンパク質共役型受容体CCR3に結合する。CCR3は、Th2リンパ球、好塩基球およびマスト細胞等の多くの細胞型により発現されるが、Th2リンパ球によるこの受容体の発現は、これらの細胞が、好酸球動員を調節する際、特定の対象となる。幾つかの研究は、喘息肺における、エオタキシンおよびCCR3の産生増加、ならびにこれらの分子と気道過敏性との間の関連を構築することを示している(Eotaxin and the attraction of eosinophils to the asthmatic lung,Dolores M Conroy and Timothy J Williams Respiratory Research 2001,2:150−156において総説)。
【0206】
総合すれば、これらの結果は、RDC1676−03単独での、またはブデソニドと組み合わせた処置が、オボアルブミン刺激から24時間後、総好酸球数および血中濃度を著しく低下させることができることを強く示唆する。これは、刺激してから早ければ6時間後に観察された、血液中のエオタキシンレベルの大幅な低下と相関する。
【0207】
2つの主要な抗炎症サイトカインである、IL10およびインターフェロンγの血液レベルはまた、Rev 60単独での、またはブデソニドと組み合わせた処置の結果として、刺激してから6時間後に、著しく増強される。出願者は、インターフェロンγおよびIL10における効果を、それぞれ観察した。Rev60単独で、またはブデソニド250ug/kgと組み合わせたRev60は、刺激してから最長6時間、刺激された動物において、IL10の血液レベルを著しく増加させた。同様に、Rev 60単独で、またはブデソニド250ug/kgもしくは750ug/kgと組み合わせたRev 60は、刺激してから6時間後、IFNγの血液レベルを著しく増加させた。これらの抗炎症サイトカインの増加は、刺激してから6時間後に見られる、生理学的呼吸パラメータに見られる有益な効果を、少なくともある程度、十分に説明し得る。これらのサイトカインにおける効果は、刺激してから24時間後、もはや観察されなかった(データは示さず)。
【0208】
RantesまたはCCL5は、循環型T細胞により発現したサイトカインであり、T細胞、好酸球および好塩基球に対して走化性であり、炎症性部位に白血球を動員するのに積極的な役割を果たす。Rantesはまた、例えば、好酸球カチオン性タンパク質を放出する好酸球を活性化する。好酸球の密度を変化させ、好酸球を低濃度にし、これは、一般的な細胞活性化の状態を示すと考えられる。Rantesはまた、好酸球に対して特異的な酸化的代謝の強力な活性剤でもある。
【0209】
出願者は、Rantesの全身レベルは、Rev 60単独で、またはブデソニド250ug/kgもしくは750ug/kgと組み合わせて処置された動物において、刺激してから6時間後、著しく低下したが、24時間後は、低下しなかったことを観察した。前と同様に、ブデソニド750ug/kgおよびRev 60の明らかな相乗効果があった。同様の下方傾向は、KCまたはIL8、MCP3、IL1b、GCSF、TGFb、ならびにNGF等の多くの他の炎症性サイトカインにおいて観察され、Rev60単独で、またはブデソニドと組み合わせて処置された動物において、刺激してから6時間後、あるいは24時間後のいずれかで観察された。
【0210】
実施例5
(細胞間密着結合に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、細胞間密着結合を調節することが示された。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0211】
特定の態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、細胞間密着結合を調節するための実質的な有用性を有し、これには、肺および全身送達と関連するもの、ならびに例示的なポリペプチドサケカルシトニン(sCT)を含む、ポリペプチドのバイオアベイラビリティが挙げられる。
【0212】
実施例の要約。サケカルシトニン(sCT)は、3,432ダルトンの分子量を有する、32個のアミノ酸ペプチドである。カルシトニンの肺送達は、モデル系(例えば、げっ歯類モデル系、ラットモデル系等)において、肺薬物送達(例えば、気管内薬物送達)を強化するための方法を調査するために、広範囲にわたって研究されている。特定の例示的な態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、細胞間密着結合、例えば、ラットモデル系において、肺および全身送達と関連するもの、ならびにsCTのバイオアベイラビリティを調節する(例えば、強化する)ために実質的な有用性を有する。
【0213】
方法:
気管内薬物送達。特定の実施形態によれば、sCTは、本発明の治療流体中で製剤化され、気管内薬物送達デバイスを用いて、ラットに投与される。ある態様では、げっ歯類気管内薬物送達のために設計されたPenn Century Micro−Sprayerデバイスを使用して、良好な肺送達を可能にさせるが、当該技術分野において理解されるように、ペプチドの不良な全身バイオアベイラビリティをもたらす比較的低い肺胞沈着がある。特定の態様によれば、この当該分野において認識されているモデル系を使用して、本発明の拡散処理した治療流体が、細胞間密着結合(肺および全身送達と関連するもの、ならびにポリペプチドのバイオアベイラビリティを含む)を調節する(例えば、強化する)ために実質的な有用性を有することを確認した。
【0214】
動物群および用量。ある態様では、ラットは、以下の3つの群のうちの1つに割り付けられる(1群あたりn=6):a)滅菌食塩水、b)O2富化しない基礎液(「基礎液」)、またはc)本発明の拡散処理された治療流体(「本発明の富化ベースの溶液」)。本発明の富化ベースの溶液は、例えば、0.9% 食塩水中で酸素を注入することにより形成される。好ましくは、基礎液は、上皮細胞の低浸透圧崩壊の可能性を最小化するように、約0.9% 食塩水を含む。ある実施形態では、sCTは、基礎液および本発明の富化ベースの溶液において、別々に再構成され、60分以内で、それぞれの動物群に気道内注入により送達される(1動物あたり200μL中の10μg sCT)。
【0215】
アッセイ。特定の態様では、血液サンプル(例えば、200μL)を採取し、投薬する前、ならびに投薬してから5、10、20、30、60、120、および240分後、EDTAコーティングされた管に挿入する。血漿を、収穫し、ELISAを用いて、sCTのアッセイを行うまで、−70℃以下で保存した。
【0216】
アジレント遺伝子アレイデータ生成のために、肺組織を単離し、TRI試薬(TR118、Molecular Research Center,Inc.)中に浸水した。簡潔に述べると、約1mLのTRI試薬を、各管中の50〜100mgの組織に添加した。サンプルは、ガラス製Teflon(登録商標)またはPolytron(登録商標)ホモジナイザーを用いて、TRI試薬中で均質化された。サンプルは、−80℃で保存した。
【0217】
結果:
密着結合の強化。出願者は、RDC1676−01(更に添加された酸素を用いて、本開示の独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水、本開示のガス富化界面動電的に生成された流体(Rev))が、全身送達およびsCTのバイオアベイラビリティを低下させたことを観察した。特定の態様によれば、全身送達の低下は、sCTの吸着の低下に由来し、肺密着結合の強化に由来する可能性が最も高い。RDC1676−00は、本開示の方法に従って処理したが、酸素化されていない、滅菌食塩水を示す。
【0218】
追加として、特定の態様によれば、密着結合関連タンパク質は、肺組織中で上方調節された。出願者は、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4、および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)のそれぞれの上方調節を示した。
【0219】
実施例6
(全細胞伝導性に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、気管支上皮細胞(BEC)において行われたパッチクランプ分析により示されるように、全細胞伝導性を減少させた。本発明の界面動電的に生成された流体(RNS−60)で灌流された気管支上皮細胞(BEC)において行われたパッチクランプ分析は、RNS−60への暴露が、全細胞伝導性の低下をもたらしたことを明らかにした。さらに、全細胞伝導性を劇的に増加させたcAMP刺激「カクテル」での刺激はまた、全細胞伝導性の薬物感受性部分も増加させ、これは、基本条件下で観察されたものよりも10倍高かった。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0220】
パッチクランプ研究を行い、膜構造、膜電位、または膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、ならびにカルシウム依存性細胞伝達システムのうちの少なくとも1つの調節により細胞内シグナル変換を調節するための本発明の界面動電的に生成された流体の有用性を更に確認した。
【0221】
要約。出願者は、B2受容体へのブラジキニン結合は、濃度依存性であり、結合親和性は、生理食塩水と比較して、本開示の界面動電的に生成された流体(例えば、Rev、ガス富化した界面動電的に生成された流体)で増加したことを示した。追加として、出願者は、微粒子状物質(PM)で刺激されたT制御性細胞の文脈において、対照流体中のPM(Revなし、Solasなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、T制御性細胞の増殖の低下があり、例えば、アッセイにおいて、比較的低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevは、制御性T細胞機能を改善したことを示した。更に、本発明の流体への暴露は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された、または若干低下した産生を生じた。同様に、粒子状物質(PM)で刺激された末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイルの文脈において、データは、本開示の流体(「PM+Rev」)への暴露は、食塩水および培地対照のレベルと同様の有意に低いトリプターゼレベルをもたらすことを示した。追加として、ジフテリア毒素(DT390)効果は、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断が、TregおよびPBMC機能における界面動電的に生成された流体の活性に影響を及ぼすことを示す。更に、追加の態様によれば、出願者は、本発明の流体に暴露されると、密着結合関連タンパク質が、肺組織中で上方調節されたことを示した。出願者は、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4、および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)のそれぞれの上方調節を示した。パッチクランプ研究を行い、前記有用性を更に調査および確認した。
【0222】
材料および方法:
気管支上皮細胞株Calu−3は、パッチクランプ研究に使用した。Calu−3気管支上皮細胞(ATCC #HTB−55)は、実験する時まで、ガラス製のカバースリップ上に10% FBSで補完した、1:1のHam F12とDMEM培地の混合物において、増殖させた。簡潔に述べると、全細胞電圧クランプデバイスを使用して、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水、場合によっては、「薬物」と称される)に暴露された、Calu−3細胞における効果を測定した。
【0223】
パッチクランプ法を利用して、上皮細胞膜の極性およびイオンチャネル活性における試験材料(RNS−60)の効果を評価した。具体的には、全細胞電圧クランプは、135mM NaCl、5mM KCl、1.2mM CaCl2、0.8mM MgCl2、および10mM HEPES(N−メチルD−グルカミンでpHを7.4まで調整)からなる浸液中で、気管支上皮細胞株Calu−3上で行った。基礎電流は、RNS−60が細胞に灌流された後、測定された。
【0224】
更に具体的には、パッチピペットは、2段階のNarishige PB−7 vertical pullerを用いて、ホウケイ酸ガラス(Garner Glass Co,Claremont,CA)から引き上げ、次いで、Narishige MF−9マイクロフォージ(Narishige International USA,East Meadow,NY)を用いて、6〜12メガオームの抵抗までファイヤーポリッシュされた。ピペットは、135 KCl、10 NaCl、5 EGTA、10 Hepesを含有する細胞内液(mM中)で充填され、NMDG(N−メチル−D−グルカミン)を用いてpHを7.4まで調整した。
【0225】
培養されたCalu−3細胞は、以下の細胞外溶液(mM):135 NaCl、5 KCl、1.2 CaCl2、0.5 MgCl2、および10 Hepes(遊離酸)を含有する、チャンバ中に入れ、NMDGを用いてpHを7.4まで調整した。
【0226】
細胞は、Olympus IX71顕微鏡(Olympus Inc.,Tokyo,Japan)の40X DIC対物レンズを用いて見た。細胞接着型ギガシールを構築した後、軽度の吸引を適用して、全細胞構成に侵入し、全細胞構成を得た。侵入直後、細胞は、−120、−60、−40、および0mVで電圧クランプされ、±100mV間の電圧ステップ(500ms/ステップ)で刺激された。対照条件下で、全細胞電流を収集した後、同一の細胞を、上記の対照流体と同一の細胞外溶質およびpHを含む、試験流体を用いて、浴槽を通して灌流し、異なる保持電位で全細胞電流を、同一のプロトコルを用いて記録した。
【0227】
電気生理学的データは、Axon Patch 200B増幅器を用いて取得し、10kHzで低域フィルタリングして、1400A Digidata(Axon Instruments,Union City,CA)を用いてデジタル化した。pCLAMP 10.0ソフトウェア(Axon Instruments)を使用して、データを取得し、分析した。電流(I)−電圧(V)関係(全細胞伝導性)は、ステップに、約400ミリ秒で実際の電流値、対保持電位(V)をプロットすることにより得た。I/V関係の傾きは、全細胞伝導性である。
【0228】
薬物および薬品。示される時にはいつでも、細胞は、8−Br−cAMP(500mM)、IBMX(イソブチル−1−メチルキサンチン、200mM)、およびホルスコリン(10mM)を含有する、cAMP刺激カクテルで刺激された。H2O溶液中の25mM ストックからcAMP類似体8−Br−cAMP(Sigma Chem.Co.)を使用した。10mM ホルスコリンおよび200mM IBMXストック溶液の双方を含有するDMSO溶液からホルスコリン(Sigma)およびIBMX(Sigma)を使用した。
【0229】
パッチクランプの結果:
出願者は、基礎(cAMPなし)条件下で、0mVの保持電位から+/−100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により得た複合「差分」透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、少量ではあるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映する。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体)により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。過分極条件下で、全細胞伝導性の低下があった。
【0230】
さらに、出願者は、基礎条件下で、−40mVの保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により、複合差分透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、少量ではあるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映した。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体)により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。値は、0mV プロトコルを用いて得たものと比較的同様であった。
【0231】
出願者は、基礎条件下で、−60mVの保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により、複合差分透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、微量であるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映した。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。値は、0mV プロトコルを用いて得たものと比較的同様であった。
【0232】
出願者はまた、基礎条件下で、−120mVの保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により、複合差分透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、微量であるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映した。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。値は、0mV プロトコルを用いて得たものと比較的同様であった。
【0233】
さらに、出願者は、cAMP刺激された条件下で、様々な保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて得られる、全細胞電流を判定した。代表的な透写図は、n=5細胞の平均である。代表的な透写図(対照であり、次いで、cAMP刺激し、次いで、薬物含有溶液で灌流した後の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下(cAMPのみ)での値からの薬物+cAMPの試験平均値の減算により、複合「差分」透写図(0mVおよび−40mVにおける電圧プロトコルに対応する)を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、全ての条件下で、高線形であり、試験条件による、伝導性の変化を反映した。
【0234】
出願は、cAMP刺激された条件下で、様々な保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示した。代表的な透写図(対照であり、次いで、cAMP刺激し、次いで、薬物含有溶液で灌流した後の全細胞透写図)は、n=5細胞の平均で作製した。対照条件下(cAMPのみ)での値からの薬物+cAMPの試験平均値の減算により、複合「差分」透写図(−60mVおよび−120mVにおける電圧プロトコルに対応する)を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、全ての条件下で、高線形であり、試験条件による、伝導性の変化を反映した。
【0235】
出願者はまた、cAMP活性化電流における保持電位の効果を示した。全細胞伝導性における薬物(本発明の界面動電的に生成された流体、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)の効果は、異なる電圧プロトコル(0、−40、−60、−120mVの保持電位)下で観察された。基礎条件下で、薬物感受性全細胞電流は、全ての保持電位(電圧感度の低い寄与)で同一であった。しかしながら、cAMP活性化条件において、薬物感受性電流は、更に高く、印加した電圧プロトコルに対して感受性があった。電流−電圧関係は、高度に非線形である。これは、減算された電流において更に観察され、0mVでの全細胞伝導性の寄与は、各プロトコルに対して更に減算された(n=5)。
【0236】
実施例の概要。したがって、特定の態様によれば、データは、基礎条件下で、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)の少量ではあるが、一貫した効果があることを示す。全細胞伝導性における薬物の効果を増強するために、実験はまた、cAMP刺激「カクテル」での刺激後、薬物を灌流することにより行われ、これは、全細胞伝導性を劇的に増加させた。興味深いことに、このプロトコルはまた、全細胞伝導性の薬物感受性部分も増加させ、これは、基礎条件下で観測されたものよりも10倍高かった。追加として、cAMP刺激の存在下で、薬物は、様々な電圧プロトコルに対して異なる効果を示し、界面動電的に生成された流体が、全細胞伝導性の電位依存性の寄与に影響を及ぼすことを示す。伝導性の線形成分の減少もあり、これは、別の経路(例えば、イオンチャネル、電位依存陽イオンチャネル等)の阻害への薬物の少なくとも1つの寄与を更に示唆している。
【0237】
特定の態様では、機構に拘束されるわけではないが、出願者のデータは、原形質膜から遮断されるか、または回収される、チャネルの変化を生成する、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)と一致する。
【0238】
出願者の他のデータを総合すれば、本発明の特定の態様は、膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、およびカルシウム依存性の細胞内シグナリングシステムのうちの少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これは、GPCRおよび/またはgタンパク質、ならびにTSLPが挙げられるが、これらに限定されない、膜構造(例えば、膜および/または膜タンパク質、受容体、または他の成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、例えば、個々の伝達成分の半減期等に依存して、持続し得る。
【0239】
実施例7
(全細胞伝導性に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に生成された流体(RNS−60およびSolas)で灌流されたCalu−3細胞において行われたパッチクランプ分析は、(i)RNS−60およびSolasへの暴露が、全細胞伝導性の増加をもたらした、(ii)RNS−60への細胞の暴露が、15分間のインキュベーション時間で明らかな、非線形伝導性の増加を生じた、および(iii)RNS−60への細胞の暴露が、カルシウム透過性チャネルにおけるRNS−60食塩水の効果を生じたことを示した。出願者は、パッチクランプ研究を行い、本明細書に記載される、全細胞電流を調節するための有用性を含む、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。2セットの実験を行った。
【0240】
第1のセットの実験のデータの概要は、Solas食塩水を用いて得た全細胞伝導性(電流−電圧関係)は、双方のインキュベーション時間(15分間、2時間)、および全ての電圧プロトコルに対して、高度な線形であることを示す。しかしながら、Solasを用いた、更に長時間のインキュベーション(2時間)が、全細胞伝導性を増加させたことは明らかである。RNS−60への細胞の暴露は、デルタ電流(Rev−Sol減算)に示されるように、非線形伝導性の増加を生じ、これは、15分間のインキュベーション時間でのみ明らかである。この非線形電流におけるRNS−60の効果は、消失し、その代わりに、2時間のインキュベーション時間での高度な線形がある。全ての電圧プロトコルで存在するが、非線形全細胞伝導性の寄与は、上で観察されるように、電圧感受性があった。
【0241】
第2のセットの実験のデータの概要は、非線形電流において、RNS−60食塩水の効果があることを示し、これは、外液中の高カルシウムにおいて明らかにされた。非線形全細胞伝導性の寄与は、電圧感受性ではあるが、双方の電圧プロトコルに存在し、カルシウム透過性チャネルにおけるRNS−60食塩水の効果を示す。
【0242】
第1のセットの実験(伝導性の増加、および非線形電圧調節された伝導性の活性化)
第1のセットの実験のための方法。一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照のこと。以下の第1のセットの実験において、パッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を用いて、0mV保持電位、−120mV、あるいは−60mVのいずれかからステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するための、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。
【0243】
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、15分間、あるいは2時間のいずれかでインキュベートされた細胞から得た、電流−電圧関係から得た。本研究において、群は、SolasあるいはRNS−60食塩水溶液に対して、既定の時間で得た。得られたデータは、5〜9個の細胞に対して、平均値±SEM全細胞電流として表す。
【0244】
結果。図3A〜Cは、2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、および異なる電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。結果は、RNS−60(黒丸)は、Solas(白丸)よりも全細胞伝導性におけるより大きな効果があることを示す。実験において、同様の結果が、3つの電圧プロトコルにおいて、および15分および2時間のインキュベーション時点で見られた。
【0245】
図4A〜Cは、3つの電圧プロトコル(「デルタ電流」))(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、および2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。これらのデータは、RNS−60を用いた15分間の時点で、2時間の時点で、不在する非線形電位依存性成分があることを示した。
【0246】
前の実験等の場合、「生理」食塩水を用いたデータは、参照として使用された、非常に一貫した、時間依存性伝導性を得た。本結果は、SolasあるいはRNS−60食塩水のいずれかと群を一致させることにより得られ、基礎条件(cAMPなし、または任意の他の刺激なし)下で、RNS−60食塩水へのCalu−3細胞の暴露は、時間依存性効果を生成し、より短期のインキュベーション時間(15分間)で、電圧調節された伝導性の活性化と一致することを示す。この現象は、2時間のインキュベーション時点では明らかではなかった。本明細書の他の箇所で記載されるように、線形成分は、伝導性が、cAMP「カクテル」での刺激により増加する際、更に明らかである。それでもなお、2時間のインキュベーション時間は、RNS−60およびSolas食塩水の双方に対してより高い線形伝導性を示し、この場合、RNS−60食塩水は、Solas単独と比較して、全細胞伝導性が倍になった。この証拠は、全細胞伝導性への少なくとも2つの寄与、即ち、非線形電圧調整された伝導性および線形伝導性の活性化が、RNS−60食塩水により影響を受け、これは、更に長時間のインキュベーション時間で、更に明らかである。
【0247】
第2のセットの実験(カルシウム透過性チャネルにおける効果)
第2のセットの実験のための方法。一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照のこと。以下の第2のセットの実験において、なお更なるパッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を用いて、0mVあるいは−120mVのいずれかの保持電位からステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するための、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。
【0248】
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、いずれかの食塩水を用いて、15分間、インキュベートされた細胞から得た電流−電圧関係から得た。全細胞伝導性へのカルシウム透過性チャネルの寄与があるかどうか、および全細胞伝導性のこの部分が、RNS−60食塩水を用いたインキュベーションにより影響を受けるかどうかを決定するために、細胞は、インキュベーション期間後、生理食塩水中にパッチされた(高NaClの外部溶液を伴うが、内部溶液は、高KClを含有する)。次いで、外部食塩水は、NaClをCsClにより置換した溶液と置換し、主要な外部陽イオンを置換することにより、伝導性の変化があるかどうかを判定した。これらの条件下で、同一の細胞は、次いで、カルシウム入力ステップが、更に明らかにされるように、増加濃度のカルシウムに暴露された。
【0249】
結果:図5A〜Dは、異なる外部食塩水を用いて、異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。これらの実験において、15分間の一時点を使用した。Solas(パネルAおよびB)に関して、結果は、1)外部溶液として、NaClの代わりにCsCl(四角印)を用いて、対照(ひし形印)と比較した際、線形挙動と共に全細胞伝導性が増加したこと、ならびに2)20mM CaCl2(丸印)および40mM CaCl2(三角印)の双方で、CaCl2は、非線形法において、全細胞伝導性を増加させたことを示す。RNS−60(パネルCおよびD)に関して、結果は、1)外部溶液として、NaClの代わりにCsCl(四角印)を用いて、対照(ひし形印)と比較した際、全細胞伝導性における効果がほとんどなかったこと、ならびに2)40mMでのCaCl2(三角印)は、非線形法において、全細胞伝導性を増加させたことを示す。
【0250】
図6A〜Dは、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera60(パネルCおよびD)に対する2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形印)および40mM CaCl2(四角印)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。結果は、SolasおよびRNS−60溶液は共に、カルシウム誘発された非線形全細胞伝導性を活性化したことを示す。RNS−60(投与量反応性を示す)を用いた場合の効果が、より大きく、RNS−60を用いた場合のみ、より高いカルシウム濃度で増加した。更に、より高いカルシウム濃度で、非線形カルシウム依存性伝導性はまた、電圧プロトコルにより増加した。
【0251】
この第2のセットの実験のデータは、Calu−3細胞中で得られた全細胞伝導性データに対して、RNS−60食塩水およびSolas食塩水の効果を更に示す。データは、いずれかの食塩水を用いた15分間のインキュベーションは、全細胞伝導性における明らかな効果を生じることを示し、これは、RNS−60を用いた場合、最も明らかであり、外部カルシウムが増加する際、RNS−60食塩水は、全細胞伝導性のカルシウム依存性非線形成分を増加させることをさらに示す。
【0252】
蓄積された証拠は、イオンチャネルのRevalesio食塩水による活性化を示唆し、これは、基底細胞伝導性への異なる寄与をなす。
【0253】
出願者の他のデータ(例えば、出願者の他の実施例のデータ)を総合すれば、本発明の特定の態様は、膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、脂質成分、または細胞により置換可能な細胞内成分(例えば、カルシウム依存性の細胞シグナリングシステム等のシグナル経路)のうちの少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これには、GPCRおよび/またはgタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない、膜構造(例えば、膜および/または膜タンパク質、受容体、または他の膜成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、例えば、個々の伝達成分の半減期等に依存して、持続し得る。
【0254】
実施例8
(全細胞伝導性に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を調査し、用量反応曲線を生成した)
要約。本実施例において、出願者は、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の希釈の効果を評価した。
【0255】
方法。一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照のこと。以下の実験において、パッチクランプ試験を行い、全細胞電流を調節するための、本発明の界面動電的に生成された食塩流体(RNS−60)の有用性を更に確認した。具体的に、実験は、本発明の界面動電的に生成された食塩流体の希釈の効果を評価した。溶液は、100%(Rev)、75%(3:4)、50%(1:1)、25%(4:3)、および0%(Sal)の濃度で、生理食塩水中で本発明の界面動電的に生成された食塩流体を希釈することによって作製した。
【0256】
結果。図7AおよびBは、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における、希釈された界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。パネルAは、グラフに示されるように、各希釈されたサンプルに対する全細胞伝導性の電圧対電流を示す(Rev、3:4、1:1、4:3、およびSal)。パネルBは、生理食塩水への希釈を比較する、希釈量対電流の変化を示す。結果は、RNS−60溶液の作用機構が、線形線量反応の形で生じることを示す。
【0257】
実施例9
(本発明の界面動電的に生成された流体、ならびに非界面動電的対照加圧ポット流体による一次気管支上皮細胞(BEC)の処置は、気道炎症性経路のMMP9およびTSLPの2つの主要なタンパク質の発現および/または活性の軽減を生じた)
要約。出願者は、ここで、(Bio−Layer Interferometryバイオセンサー、Octet Rapid Extended Detection(RED)(forteBio(登録商標)を用いて)、生理食塩水と比較して、本開示の界面動電的に生成された流体(例えば、Rev;ガス富化界面動電的に生成された流体)の存在下で、B2受容体へのブラジキニン結合が濃度依存性であり、結合親和性が増加したことを示している。追加として、ディーゼル排出微粒子状物質(PM、標準の市販源)で刺激されたT制御性細胞の文脈において、出願者のデータは、対照流体中のPM(Revなし、Solisなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、T制御性細胞の増殖の低下を示し、例えば、アッセイにおいて、比較的低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevは、制御性T細胞機能を改善したことを示した。更に、本発明の流体への暴露は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された産生または若干低下した産生を生じた。同様に、粒子状物質(PM)で刺激された末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイルの文脈において、データは、本開示の流体(「PM+Rev」)への暴露は、食塩水および培地対照のレベルと同様の有意に低いトリプターゼレベルをもたらすことを示した。追加として、ジフテリア毒素(DT390、先端ジフテリア毒素分子;標準市販濃度の1:50の希釈)は、TregおよびPBMC機能への界面動電的に生成された流体の活性が機能する効果のβ遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断をもたらした。更に、出願者は、本発明の流体に暴露されると、密着結合関連タンパク質(例えば、JAM2および3、GJA1、3、4、および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1))が、肺組織中で上方調節されたことを示した。更に、パッチクランプ試験に示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)は、気管支上皮細胞(BEC;例えば、Calu−3)において、全細胞伝導性の調節(例えば、過分極条件下で)に影響を及ぼし、追加の態様によれば、全細胞伝導性の調節は、イオンチャネルの調節を反映する。
【0258】
本実施例において、出願者は、気道炎症性経路の2つの主要なタンパク質の産生の効果を測定するために、追加の実験を行うことによりこれらの発見を拡大している。具体的には、MMP9およびTSLPは、一次気管支上皮細胞(BEC)においてアッセイされた。
【0259】
材料および方法:
市販の一次ヒト気管支上皮細胞(BEC)(Promocell,GermanyからのHBEpC−c)を、これらの研究のために使用した。約50,000細胞を、約80%の密集度に到達するまで、12ウェルプレートの各ウェル中に平板培養した。次いで、FACS分析のために引き上げられる前に、ディーゼル排出微粒子状物質(DEPまたはPM)と共に、1:10の希釈(1mLの気道上皮成長培地中の100μL)で、生理食塩水、対照流体Solas、非界面動電的対照加圧ポット流体、または試験流体Revera 60を用いて、細胞を、6時間処置した。MMP9およびTSLP受容体抗体は共に、BD Biosciencesから取得し、製造業者の仕様書のように使用した。
【0260】
結果:
図1および2において、DEPは、ディーゼル排出微粒子状物質(PM、標準の市販源)単独に曝露された細胞を示し、「NS」は、生理食塩水単独に曝露された細胞を示し、「DEP+NS」は、生理食塩水の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を示し、「Revera 60」とは、試験材料にのみに曝露された細胞を指し、「DEP+Revera 60」とは、試験材料Revera 60の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を指す。加えて、「Solas」および「DEP+Solas」は、それぞれ、対照流体Solas単独、または微粒子状物質と組み合わせた対照流体に曝露された細胞を示す。「PP60」は、非界面動電的対照加圧ポット流体に曝露された細胞を示し、「DEP+PP60」は、非界面動電的対照加圧ポット流体の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を指す(すなわち、60ppmの溶解酸素を有する)。
【0261】
図1は、試験材料Revera 60が、気管支上皮細胞(BEC)において、DEP誘発されたTSLP受容体の発現を約90%低下させることを示す。Solasは、DEP誘発されたTSLP受容体の発現の55%の低下をもたらしたが、一方、生理食塩水は、DEP誘発されたTSLP受容体の発現の同様のレベルの低下を生じなかった(約20%の低下)。更に、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発されたTSLP受容体の発現の50%の低下をもたらした。
【0262】
TSLP受容体の発現を低下させる本発明のRevera 60、Solas、およびPP60溶液の効果は、TSLPが、アレルギー喘息の病理生物学において極めて重要な役割を果たし、TSLP受容体機能の局所抗体媒介遮断がアレルギー性疾患を緩和したことを示す、近年の研究結果を考慮すると、重大な発見である(Liu,YJ,Thymic stromal lymphopoietin:Master switch for allergic inflammation,J Exp Med 203:269−273,2006、Al− Shami et al.,A role for TSLP in the development of inflammation in an asthma model,J Exp Med 202:829−839,2005、およびShi et al.,Local blockade of TSLP receptor alleviated allergic disease by regulating airway dendritic cells,Clin Immunol.2008,Aug 29.(Epub ahead of print))。
【0263】
同様に、図2は、DEP媒介されたMMP9の増加における、Revera 60、Solas、非界面動電的対照加圧ポット流体(PP60)、および生理食塩水の効果を示す。具体的には、Revera 60は、気管支上皮細胞において、DEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルの約80%を阻害し、Solasは、約70%の阻害効果があり、一方、生理食塩水(NS)は、限界効果の約20%の低下があった。更に、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発された細胞表面付着MMP9レベルの発現の約30%の低下をもたらした。MMP−9は、喘息において、気道炎症および気管支リモデリングに関与する主要なプロテイナーゼのうちの1つである。近年では、MMP−9のレベルは、健常な対照対象と比較して、安定した喘息に罹患する患者において、有意に増加し、急性喘息患者においてさらに高いことを示している。MMP−9は、気道炎症細胞の侵入および気道過敏性の誘発に重要な役割を果たし、MMP−9が、喘息を誘発し、保持するのに重要な役割を果たし得ることを示す(Vignola et al.,Sputum metalloproteinase−9/tissue inhibitor of metalloproteinase−1 ratio correlates with airflow obstruction in asthma and chronic bronchitis,Am J Respir Crit Care Med 158:1945−1950,1998、Hoshino et al.,Inhaled corticosteroids decrease subepithelial collagen deposition by modulation of the balance between matrix metalloproteinase−9 and tissue inhibitor of metalloproteinase−1 expression in asthma,J Allergy Clin Immunol 104:356−363,1999、Simpson et al.,Differential proteolytic enzyme activity in eosinophilic and neutrophilic asthma,Am J Respir Crit Care Med 172:559−565,2005、Lee et al.,A murine model of toluene diisocyanate−induced asthma can be treated with matrix metalloproteinase inhibitor,J Allergy Clin Immunol 108:1021−1026,2001、およびLee et al.,Matrix metalloproteinase inhibitor regulates inflammatory cell migration by reducing ICAM−1 and VCAM−1 expression in a murine model of toluene diisocyanate−induced asthma,J Allergy Clin Immunol 2003;111:1278−1284)。
【0264】
したがって、追加の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された流体は、TSLP受容体の発現を調節するため(例えば、低下させる)、ならびに/またはMMP−9の発現および/または活性を阻害するために、実質的な治療的有用性を有し、これには、例えば、炎症および喘息の治療のためを含む。
【0265】
さらなる態様によれば、非界面動電的対照加圧ポット流体(すなわち、60ppmの溶解酸素)は、TSLP受容体の発現を調節するため(例えば、低下させる)、ならびに/またはMMP−9の発現および/または活性を阻害するために、実質的な治療的有用性を有し、これには、例えば、炎症および喘息の治療のためが含まれる。機構に拘束されるわけではないが、出願者の収集データは、本システムにおける非界面動電的対照加圧ポット流体は、出願者の界面動電的に生成された流体の機構とは異なる機構によって媒介される。これは、効果が比較的小さいためだけではなく、非界面動電的対照加圧ポット流体が、出願者の界面動電的に生成された流体による活性を示す他のアッセイにおいて、活性を示さなかったためでもある。それでもなお、本システムにおける非界面動電的対照加圧ポット流体の本明細書に開示された活性の出願者の発見は、本明細書に開示されるように、喘息および関連する状態との関連におけるそのような加圧ポット流体のための新規の使用を表す。
【0266】
したがって、特定の態様に従って、出願者の界面動電的に生成された流体の投与を含む本発明の方法は、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、および食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、ならびに乾癬からなるTSLP媒介群から選択される、少なくとも1つの疾病または状態の治療に適用可能である調節(TSLP発現および/または活性の下方制御)を提供する。
【0267】
本明細書に開示される結果は、上皮細胞−DCの干渉におけるアレルギー性炎症のマスタースイッチとしのTSLPの当該技術分野において認識されている役割と完全に一致しており(Yong−Jun et al.,J.Exp.Med.,203:269−273,2006)、TSLPRに欠けているマウスの表現型とさらに一致しており(例えば、吸入抗原に反応して、喘息を発症しない;Zhou et al.、上記を参照、およびAl−Shami et al.,J.Exp.Med.,202:829−839,2005)、結果は、抗TSLPRでOVA−DCを前処理することから得られた(例えば、好酸球およびリンパ球浸潤、ならびにIL−4およびIL−5レベルの有意な低下をもたらす)。
【0268】
現在開示される対象物はさらに、TSLPRがDCに感作されたアレルギー性疾患において果たす役割を明らかにし、出願者の界面動電的に生成された流体の投与を含む新規の組成物および方法を提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)およびTSLP媒介状態に関し、より具体的には、TSLPおよびTSLP受容体媒介状態(例えば、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、および食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、IgE媒介疾患、ならびに鼻炎結膜炎)に関する。特に好ましい態様は、本明細書に開示される少なくとも1つの界面動電的に生成された流体(ガス富化(例えば、酸素富化)界面動電的に生成された流体を含む)を含む、治療組成物を投与することによる、TSLPおよびTSLP受容体媒介状態の調節(例えば、治療)に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、共に2008年10月22日に出願の米国特許仮出願第61/107,480号および同第61/107,453号、ならびに2008年10月24日に出願の米国一般特許出願第12/258,210号の優先権の利益を主張するものであり、これらはともに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)。胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)は、樹状細胞媒介Th2型炎症反応を引き起こし、アレルギー性炎症のマスタースイッチと考えられる、IL−7様サイトカインである。TSLPは、BおよびT細胞の両方の発生および成熟への統合成長因子である。特に、マウスTSLPは、Bリンパ球産生を支持し、B細胞増殖に必要とされる。マウスTSLPは、T細胞受容体γ(TCRγ)遺伝子座の再配置の制御において重要な役割を果たし、胸腺細胞および成熟T細胞に対する実質的な刺激作用を有する。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照のこと。
【0003】
TSLPは、IL−7と同様のサイトカイン活性を有する。例えば、TSLPは、B細胞増殖反応の刺激においてIL−7に取って代わることができる(非特許文献1、上記を参照)。TSLPおよびIL−7は、標的細胞に対して同様の効果を媒介するが、それらは、異なる伝達経路を有するように思われ、それらの生物学的反応は異なる可能性がある。例えば、TSLPは、STAT5の活性を調節するが、いかなるJanusファミリーチロシンキナーゼメンバーも活性化しない(非特許文献4)。
【0004】
樹状細胞およびTNF産生に対するTSLPの効果。ヒトTSLPおよびヒトTSLP受容体が2001年にクローン化された後、ヒトTSLPは、未熟CD11c+骨髄樹状細胞を強く活性化したことがわかった(例えば、非特許文献5、および非特許文献6を参照のこと)。Th2細胞は、概して、IL−4、IL−5、IL−13、およびIL−10を産生するCD4+T細胞として、免疫学の教科書および文献に定義される。また、CD4+T細胞等のTh1細胞は、IFN−γ、および時に、TNFを産生する。TSLP−DCがインビトロでナイーブ同種CD4+T細胞を刺激するために使用される時、特有の型のTh2細胞が産生され、それは、古典的なTh2サイトカインIL−4、IL−5、およびIL−13、ならびに大量のTNFを産生するが、IL−10またはインターフェロン−γはほとんどまたは全く産生しない(非特許文献5、上記を参照)(また、例えば、非特許文献6を参照のこと)。TNFは、典型的には、Th2サイトカインと見なされない。しかしながら、TNFは、喘息気道において顕著であり、TNF分泌の増加と相関する遺伝子型は、喘息のリスクに関連する。非特許文献7、および非特許文献8を参照されたい。
【0005】
TSLPは、mRNAおよびタンパク質レベルの両方において、TNFスーパーファミリータンパク質OX40Lを発現するように、ヒトmDCを誘発する(非特許文献9)。TSLP−DCによるOX40Lの発現は、炎症Th2細胞の同化に重要である。したがって、TSLP活性化DCは、Th1極性化サイトカインの産生を誘発することなく、OX40Lを上方制御することにより、Th2許容微小環境を作成する。同上。
【0006】
TSLP発現、アレルゲン特異的反応、および喘息。初期の研究は、TSLP mRNAがヒト一次皮膚ケラチン生成細胞、気管支上皮細胞、平滑筋細胞、および肺線維芽細胞sによって高度に発現されたことを示した(非特許文献6)。TSLPは、表皮の頂端層のケラチン生成細胞中で主に発現されるため、これは、TSLP産生が完全に分化したケラチン生成細胞の特徴であることを示唆する。アトピー性皮膚炎の患者におけるTSLP発現は、原位置でのランゲルハンス細胞の移動および活性化に関連しており、これは、TSLPが、その後に流入領域リンパ節に移動し得るこれらの細胞の活性化、および主要アレルゲン特異的反応に直接寄与し得ることを示唆する。同上。より近年の研究では、原位置ハイブリダイゼーションにより、TSLP発現が喘息気道において増加し、Th2誘引性ケモカインの発現および疾病重症度の両方と相関しており、TSLPと喘息との間の関連性を提供したことが示された(非特許文献10)。
【0007】
TSLP受容体(TSLPR)およびアレルギー性喘息。TSLP受容体(TSLPR)は、約50kDaのタンパク質であり、共通γ鎖との有意な類似点を有する。TSLPRは、新規の1型サイトカイン受容体であり、IL−7Ra(CD127)と組み合わせると、例えば、非特許文献11に記載されるように、TSLP受容体複合体を構成する。TSLPRは、そのカルボキシル末端の近くにチロシン残基を有し、これは、TSLPと関わり合ったときに、リン酸化されたSTAT5と結びつき、複数の生物学的機能を媒介できる(非特許文献12)。
【0008】
ヒトTSLPRは、単球およびCD11c+樹状細胞により発現され、TSLP結合が、TH2細胞誘引性ケモカインCCL17およびCCL22の発現を誘発する。さらに、上述のように、樹状細胞のTSLPR誘発活性化は、CD4+T細胞ホメオスタシスの調節に必要であり得る、TH2サイトカインIL−4、−5、および−13の分泌の増加を間接的にもたらす。マウスにおいて、TSLPRの欠乏は、リンパ球数に影響しない。しかしながら、TSLPRおよび共通γ鎖の欠乏は、共通γ鎖のみが不足したマウスと比較して、より少ないリンパ球数をもたらす。非特許文献5、および非特許文献6を参照のこと。
【0009】
研究は、TSLPおよびTSLPRが、マウスのアレルギー性疾患の開始において重要な役割を果たすことを発見した。一研究において、皮膚でTSLPを過剰発現するように操作されたマウスは、炎症性浸潤を含む湿疹様皮膚病変、循環するTh2細胞の劇的増加、および血清IgEの上昇を特徴とするアトピー性皮膚炎を発症することが実証された(非特許文献13)。研究は、TSLPがマウスにおいてDCを直接的に活性化し得ることを示唆した。Liらによって実施された別の研究において、グループは、皮膚でTSLPを過剰発現しているトランスジェニックマウスが、TSLPとアトピー性皮膚炎の発症との間の関連性を強固なものにする、アトピー性皮膚炎を発症することを確認した。
【0010】
別の一連の研究は、TSLPが、インビボでマウスのアレルギー性気道炎症の開始に必要であることを実証した。一研究において、Zhouらは、TSLP導入遺伝子の肺特異的発現が、白血球(Th2細胞を含む)の大量浸潤、杯細胞過形成、および上皮下線維症、ならびに血清IgEレベルの増加を特徴とするアレルギー性気道炎症(喘息)を誘発することを実証した(非特許文献14)。しかしながら、対照的に、TSLPRを欠いているマウスは、吸入させた抗原に反応する喘息を発症しなかった(非特許文献14、上記を参照、および非特許文献15)。したがって、これらの研究は合わせて、TSLPがマウスのアレルギー性気道炎症の開始に必要であることを実証する。
【0011】
さらに、Yong−Junらにより実施された研究において、上皮細胞由来のTSLPがヒトのDC媒介炎症Th2反応を誘発することが実証されたが、これは、TSLPが上皮細胞とDCとの界面におけるアレルギー性炎症のマスタースイッチに相当することを示唆している(非特許文献16)。
【0012】
近年の研究において、TSLPRを阻害することによるDC機能の調節が、マウスの重症度を低めることが示された(非特許文献17)。別の一連の研究において、TSLPRがDCにおいて発現されるだけでなく、マクロファージ、マスト細胞、およびCD4+T細胞上でも発現されることが実証された(非特許文献18、および非特許文献19)。アレルギー性炎症におけるCD4+T細胞または他のエフェクター細胞に対するTSLPR中和の直接的効果を除外するために、Liyun Shiらは、ナイーブマウスの気道に養子移入する前に、OVA負荷DCをインビトロで抗TSLPRを用いて処理する実験を実施した。すでに、OVA−DCが強い好酸球性気道炎症を誘発し、IL−4およびIL−5などのTh2サイトカインの大量産生を伴うことがわかっている(非特許文献20、および非特許文献21)。しかしながら、抗TSLPRでのOVA−DCの事前処理は、好酸球およびリンパ球浸潤、ならびにIL−4およびIL−5レベルの有意な低下をもたらし、TSLPRがDCによって感作されたアレルギー性疾患に果たす役割をさらに明らかにした。この結果もまた、DC上のTSLPRの遮断が気道炎症を制御するのに役立つことを裏付ける(非特許文献17、上記を参照)。
【0013】
様々な生理学的および病理学的過程にTSLP/TSLPRの役割が関係していると見なす実験が増加してきている。TSLPの生理学的役割は、特にBおよびT細胞の増殖、発生、および成熟を刺激することにおける、免疫系の調節を含む。TSLPは、アレルギー性喘息、およびアレルギー性疾患を軽減するためのTSLP受容体機能の局所的抗体媒介性遮断の病理生物学において重要な役割を果たす。したがって、TSLPとTSLP受容体との間の相互作用は、アレルギー性炎症、アトピー性皮膚炎またはアトピー性湿疹の患者の皮膚病変、アレルギー性喘息、および喘息等の多くの生理学的疾病過程において重要であると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Friend et al.,Exp.Hematol,22:321−328,1994
【非特許文献2】Ray et al.,Eur.J.Immunol.,26:10−16,1996
【非特許文献3】Candeias et al.,Immunology Letters,57:9−14,1997
【非特許文献4】Levin et.al.,J.Immunol.,162:677−683,1999
【非特許文献5】Reche et al.,J.Immunol.,167:336−343,2001
【非特許文献6】Soumelis et al.,Nat.Immunol.,3:673−680,2002
【非特許文献7】Shah et al.,Clin.Exp.Allergy.,25:1038−1044,1995
【非特許文献8】Moffatt,M.F. and Cookson,W.O.,Hum.MoI.Genet.,6:551−554,1997
【非特許文献9】Ito et al.,J.Exp.Med.,202:1213−1223
【非特許文献10】Ying et al.,J.Immunol.,174:8183−8190,2005
【非特許文献11】Pandey et al.,Nat.Immunol.,1:59−64,2000
【非特許文献12】Isaksen et al.,J.Immunol.,168:3288−3294,2002
【非特許文献13】Yoo et al.,J.Exp.Med.,202:541−549,2005
【非特許文献14】Zhou et al.,Nat.Immunol.,6:1047−1053,2005
【非特許文献15】AAl−Shami et al.,J.Exp.Med.,202:829−839,2005
【非特許文献16】Yong−Jun et al.,J.Exp.Med.,203:269−273,2006
【非特許文献17】Liyun Shi et al.,Clin.Immunol.,129:202−210,2008
【非特許文献18】Rochman et al.,J.Immunol.,178:6720−6724,2007
【非特許文献19】Omori M. and Ziegler S.,J.Immunol.,178:1396−1404,2007
【非特許文献20】Sung et al.,J.Immunol.,166:1261−1271
【非特許文献21】Lambrecht et al.,J.Clin.Invest.,106:551−559,2000
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
特定の態様は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、治療有効量の界面動電的に改変された水性流体の、それを必要とする哺乳動物への投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される。
【0016】
特定の方法の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体中で主要な帯電安定化したガス含有ナノ構造種である。特定の実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造として、流体中に存在する溶解した酸素分子の割合は、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。特定の態様では、全ての溶解酸素は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造に実質的に存在する。特定の実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、および5nm未満からなる群から選択される大きさより小さい平均直径を実質的に有する。
【0017】
特定の方法の態様では、イオン水溶液は、食塩溶液を含む。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、超酸素化である。
【0018】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子の形態を含む。
【0019】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の改変は、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露を含む。特定の実施形態では、局在界面動電効果への曝露は、電圧パルスおよび電流パルスのうちの少なくとも1つへの曝露を含む。特定の態様では、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露は、流体を生成するために使用されるデバイスの界面動電効果を誘起する構造特性への流体の曝露を含む。
【0020】
特定の態様では、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、アレルギー性炎症を含むがこれに限定されない、免疫系の疾病または疾患を含む。特定の態様では、アレルギー性炎症は、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、および食物アレルギーのうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、例えば、関節リウマチおよび乾癬のうちの少なくとも1つを含む、炎症性関節炎を含む。
【0021】
ある態様では、方法は、併用療法をさらに含み、少なくとも1つの追加の治療剤が患者に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、短時間作用型β2アゴニスト、長時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、全身性コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエン修飾薬、メチルキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、アルブテロール、レバルブテロール、ピルブテロール、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルメテロール、ならびにイプラトロピウムおよびチオトロピウム等の抗コリン作用薬を含む、β2アゴニスト;ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、メチプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、コルチコステロイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジロートンを含む、ロイコトリエン修飾薬;クロモリンおよびネドクロミルを含む、マスト細胞安定剤;テオフィリン、イプラトロピウムおよびアルブテロール、フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびホルモテロールを含む複合薬を含む、メチルキサンチン;ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、およびヒドロコルチゾンを含む、抗ヒスタミン剤;タクロリムスおよびピメクロリムスを含む、免疫系修飾剤;シクロスポリン;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;ならびにそれらの組み合わせからなる気管支拡張薬からなる群から選択される。特定の態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤であり、特定の実施形態では、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤は、2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化するTSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチドを含む、TSLPおよびTSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびにTSLP受容体融合タンパク質からなる群から選択される。
【0022】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、膜結合タンパク質もしくは構成成分の立体配座、リガンド結合活性、または触媒活性のうちの少なくとも1つを改変することを含む、細胞膜構造または機能のうちの少なくとも1つを改変することを含む。ある態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、インテグリン等からなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある実施形態では、膜貫通受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を含む。特定の態様では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、例えば、Gタンパク質aサブユニットと相互作用し、Gタンパク質aサブユニットは、Gas、Gai、Gaq、およびGa12からなる群から選択される少なくとも1つを含み、特定の実施形態では、少なくとも1つのGタンパク質aサブユニットは、Gaqである。
【0023】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、例えば、全細胞伝導性を調節することを含み、全細胞伝導性を調節することは、全細胞伝導性の線形または非線形の電圧依存性寄与のうちの少なくとも1つを調節することを含む。
【0024】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節を含む。特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、ホスホリパーゼC活性の調節を含む。特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節を含む。特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、免疫系の疾病または疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、および乾癬からなる群から選択される、少なくとも1つの状態または症状に関連する、細胞内シグナル変換の調節を含む。
【0025】
特定の方法の態様は、細胞ネットワークまたは層への界面動電流体の投与を含み、その中の細胞間結合の調節を更に含む。特定の実施形態では、細胞間結合は、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソームからなる群から選択される少なくとも1つを含む。特定の態様では、細胞ネットワークまたは層は、肺上皮、気管支上皮、および腸上皮からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0026】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素の量で存在する。
【0027】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、例えば、溶媒和電子、および界面動電的に修飾された、または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、溶媒和電子、または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種の形態は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、分子酸素により、安定化された溶媒和電子の形態を含む。
【0028】
特定の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節する、界面動電的に改変された流体の能力は、密閉された気密性容器内において、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、またはそれ以上の期間持続する。
【0029】
特定の態様では、界面動電的に改変された流体の帯電安定化した酸素含有のナノ構造中に存在する酸素の量は、大気圧で少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素である。
【0030】
特定の態様では、治療は、局所、吸入、鼻腔内、および静脈内のうちの少なくとも1つによる投与を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、Revera 60およびSolas)が、それぞれ、約90%および50%で、気管支上皮細胞(BEC)におけるDEP誘発されたTSLP受容体の発現を低下させた一方で、生理食塩水(NS)は、限界効果のみあったことを示す。さらに、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発されたTSLP受容体発現の約50%の低下をもたらした。
【図2】本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、Revera 60およびSolas)が、それぞれ、約80%および70%で、気管支上皮細胞のDEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルを阻害する一方で、生理食塩水(NS)は、限界効果のみあったことを示す。さらに、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルの約30%の低下をもたらした。
【図3A】2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、かつ異なる電圧プロトコルで、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図3B】2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、かつ異なる電圧プロトコルで、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図3C】2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、かつ異なる電圧プロトコルで、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図4A】図3A〜Cに関連する実験に関して、3つの電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、かつ2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。
【図4B】図3A〜Cに関連する実験に関して、3つの電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、かつ2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。
【図4C】図3A〜Cに関連する実験に関して、3つの電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、かつ2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。
【図5A】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図5B】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図5C】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図5D】異なる外部食塩水を用いて、かつ異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、一連のパッチクランプ実験の結果を示す。
【図6A】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図6B】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図6C】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図6D】図5A〜Dに関連する実験に関して、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera 60(パネルCおよびD)に対して、2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形)および40mM CaCl2(黒四角)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。
【図7A】上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の希釈の効果を評価した、パッチクランプ実験の結果を示す。
【図7B】上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する、界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の希釈の効果を評価した、パッチクランプ実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、界面動電的に改変された水性流体の投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、好ましくは、細胞膜電位および/または伝導性の調節を提供するのに十分な量において、流体中に安定的に構成される。TSLP発現および/または活性の調節または下方制御を含むある態様は、本明細書に開示されるような、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態(例えば、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、および食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、IgE媒介疾患、ならびに鼻炎結膜炎)を治療するための有用性を有する。
【0033】
界面動電的に生成された流体:
本明細書で使用する「界面動電的に生成された流体」とは、本明細書に詳細される、例示的な混合デバイスにより、本明細書の実施例のために生成された出願者の本発明の界面動電的に生成された流体を指す(第US200802190088号および国際公開第2008/052143号も参照のこと、双方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本明細書に開示され、示されるデータにより示されるように、界面動電流体は、先行技術に関連する含酸素非界面動電流体(例えば、加圧ポットの含酸素流体等)を含む、先行技術に関連する非界面動電流体である、新規の根本的に異なる流体を示す。本明細書の様々な態様に開示されるように、界面動電的に生成された流体は、以下のものを含むが、これらに限定されない、独特かつ新規の物理的および生物学的特性を有する。
【0034】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む。
【0035】
特定の態様では、界面動電的に生成された流体とは、本明細書に記載される、デバイス機能局在効果等の流体力学的に誘起された、局在(例えば、全流体容量に対して不均一)界面動電効果(例えば、電圧/電流パルス)の存在下で生成される流体を指す。特定の態様では、前記流体力学的に誘起された、局在界面動電効果は、本明細書に開示され、論じられるように、表面に関連した二重層および/または荷電電流効果と組み合わせる。
【0036】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、その中に溶解されるレポーター溶質(例えば、トレハロース)の13C−NMR線幅を調節するのに適している。NMR線幅効果は、特定の実施例において、本明細書に記載される、例えば、試験流体において溶質の「回転」を測定するための間接法である。
【0037】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、−0.14V、−0.47V、−1.02V、および−1.36Vのうちのいずれか1つでの独特の矩形波ボルタンメトリーのピーク差異;−0.9ボルトでのポーラログラフピーク;ならびに−0.19および−0.3ボルトでの、ポーラログラフピークの不在のうちの少なくとも1つを特徴とし、これらは、特定の実施例において、本明細書に開示されるように、界面動電的に生成された流体に対して特有である。
【0038】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞膜伝導性(例えば、本明細書に開示されるパッチクランプ試験において測定されるように、全細胞伝導性の電位依存性寄与)を改変するのに適している。
【0039】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの溶解酸素の量で存在する。特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、大気圧で、またはほぼ大気中の酸素レベルで、溶解酸素の15ppm未満、10ppm未満を有する。
【0040】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、約8ppm〜約15ppmの量で存在し、この場合、場合により、本明細書で、「Solas」と称される。
【0041】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子(例えば、分子酸素により安定化された)、ならびに界面動電的に修飾された、および/または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、ある実施形態では、溶媒和電子、および/または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。
【0042】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞内シグナル変換の調節を提供するのに十分な細胞膜構造または機能を改変する(例えば、膜結合タンパク質の立体配座、リガンド結合活性、または触媒活性を改変する)のに適しており、特定の態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体(例えば、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、TSLP受容体、β2アドレナリン受容体、ブラジキニン受容体等)、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、およびインテグリンからなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある態様では、影響を受けたGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、Gタンパク質aサブユニット(例えば、Gas、Gai、Gaq、およびGa12)と相互作用する。
【0043】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、細胞内シグナル変換を調節するのに適しており、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節(例えば、ホスホリパーゼC活性の調節、またはアデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節)を含む。
【0044】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書で記載される、様々な生物学的活性(例えば、サイトカイン、受容体、酵素および他のタンパク質、ならびに細胞内シグナル経路の調節)を特徴とする。
【0045】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書に示されるように、アルブテロールおよびブデソニドとの相乗効果を示す。
【0046】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書の実施例に示されるように、気管支上皮細胞(BEC)におけるDEP誘発されたTSLP受容体の発現を低下させる。
【0047】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、本明細書の実施例に示されるように、気管支上皮細胞(BEC)のDEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルを阻害する。
【0048】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の生物学的効果は、本明細書に示されるように、β遮断薬、GPCR遮断薬、およびカルシウムチャネル遮断薬は、(例えば、制御性T細胞機能における)界面動電的に改変された水性流体の活性に影響を及ぼすことを示す、ジフテリア毒素により阻害される。
【0049】
特定の態様では、界面動電的に改変された水性流体の物理的および生物学的効果(例えば、細胞内シグナル変換の調整を提供するのに十分な細胞膜構造または機能を改変する能力)は、密閉された容器内(例えば、密閉された気密性容器内)において、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、またはそれ以上の期間持続する。
【0050】
したがって、更なる態様は、前記界面動電的に生成された溶液および界面動電的に改変された含酸素流体または溶液を生産する方法を提供し、方法には、相対運動において、2つの離間した表面間で流体物質の流れを提供し、それらの間に混合容量を画定することであって、混合容量内およびそれを通して流動流体物質の単一パスの滞留時間は、0.06秒を超える、または0.1秒を超える、ことと、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、もしくは少なくとも60ppmの酸素を物質に溶解し、流体または溶液を界面動電的に改変するのに適する条件下で、混合容量内で流動流体物質に酸素(O2)を導入することと、を含む。ある態様では、酸素は、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満において、物質に注入される。特定の実施形態では、表面積の容量に対する比は、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0051】
なお更なる態様は、界面動電的に改変された含酸素水性流体または溶液を生産する方法を提供し、方法には、2つの離間した表面間で流体物質の流れを提供し、それらの間に混合容量を画定することと、100ミリ秒未満、200ミリ秒未満、300ミリ秒未満、または400ミリ秒未満において、物質に、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、もしくは少なくとも60ppmの酸素を注入するのに適する条件下で、混合容量内で流動流体に酸素を導入することと、を含む。ある態様では、混合容量内で流動流体物質の滞留時間は、0.06秒以上、または0.1秒以上である。特定の実施形態では、表面積の容量に対する比は、少なくとも12、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも50である。
【0052】
特定の態様では、投与された本発明の界面動電的に改変された流体は、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む。ある実施形態では、界面動電的に改変された流体は、超酸素化(例えば、それぞれ、20ppm、40ppm、および60ppmの溶解酸素を含む、RNS−20、RNS−40、およびRNS−60)である。特定の実施形態では、界面動電的に改変された流体は、非超酸素化(例えば、10ppm(例えば、標準的食塩水中の環境レベルの溶解酸素)を含む、RNS−10またはSolas)である。ある態様では、本発明の界面動電的に改変された流体の塩分、中性、pH等は、流体の界面動電産生時に確定され、滅菌流体は、適切な経路により投与される。代替として、流体の塩分、中性、pH等のうちの少なくとも1つは、流体の投与前に、投与経路に生理学的に適合するように、適切に調整される(例えば、滅菌食塩水または適切な希釈剤を用いて)。好ましくは、流体の塩分、中性、pH等のうちの少なくとも1つを調整するために使用される希釈剤および/または食塩溶液および/または緩衝組成物はまた、界面動電流体である、またはそうでなければ、相溶性である。
【0053】
特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、食塩(例えば、任意の好適なアニオン/対イオン構成成分とともに、1つ以上の溶解塩、例えば、アルカリ金属塩(Li、Na、K、Rb、Cs等)、アルカリ土類塩(例えば、Mg、Ca)等、遷移金属塩(例えば、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等))を含む。特定の態様は、混合塩界面動電流体(例えば、様々な組み合わせおよび濃度でのNa、K、Ca、Mg等)を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、標準食塩水(例えば、約0.9% NaClまたは約0.15M NaCl)を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体は、少なくとも0.0002M、少なくとも0.0003M、少なくとも0.001M、少なくとも0.005M、少なくとも0.01M、少なくとも0.015M、少なくとも0.1M、少なくとも0.15M、または少なくとも0.2Mの濃度で、食塩を含む。特定の態様では、本発明の界面動電的に改変された流体の伝導性は、少なくとも10μS/cm、少なくとも40μS/cm、少なくとも80μS/cm、少なくとも100μS/cm、少なくとも150μS/cm、少なくとも200μS/cm、少なくとも300μS/cm、または少なくとも500μS/cm、少なくとも1mS/cm、少なくとも5mS/cm、10mS/cm、少なくとも40mS/cm、少なくとも80mS/cm、少なくとも100mS/cm、少なくとも150mS/cm、少なくとも200mS/cm、少なくとも300mS/cm、または少なくとも500mS/cmである。特定の態様では、本明細書に開示される、生物活性塩安定化ナノ構造(例えば、塩安定化された酸素含有のナノ構造)の形成を可能にするという条件で、本発明の界面動電的に改変された流体を調製するために、任意の塩が使用されてもよい。
【0054】
特定の態様に従って、帯電安定化したガス含有ナノ構造を含む本発明の流体組成物の生物学的効果は、例えば、上記のように、流体のイオン構成成分を改変することによって、および/または流体のガス構成成分を改変することによって、調整(例えば、増加、減少、同調等)することができる。好ましい態様では、本発明の界面動電流体を調製するために、酸素が使用される。さらなる態様では、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム、クリプトン、水素、およびキセノンから選択される少なくとも1つの他のガスとともに、酸素の混合物が使用される。
【0055】
例示的な好ましい実施形態:
特定の態様は、約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、治療有効量の界面動電的に改変された水性流体の、それを必要とする哺乳動物への投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法を提供する。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される。
【0056】
ある方法の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、流体中で主要な帯電安定化したガス含有のナノ構造種である。特定の実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造として、流体中に存在する溶解した酸素分子の分子の割合は、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。特定の態様では、全ての溶解酸素は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造に実質的に存在する。ある実施形態では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、および5nm未満からなる群から選択される大きさより小さい平均直径を実質的に有する。
【0057】
特定の方法の態様では、イオン水溶液は、食塩溶液を含む。ある態様では、界面動電的に改変された水性流体は、超酸素化である。
【0058】
特定の方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子の形態を含む。
【0059】
ある態様では、界面動電的に改変された水性流体の改変は、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露を含む。ある実施形態では、局在界面動電効果への曝露は、電圧パルスおよび電流パルスのうちの少なくとも1つへの曝露を含む。特定の態様では、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への流体の曝露は、流体を生成するために使用されるデバイスの界面動電効果を誘起する構造特性への流体の曝露を含む。
【0060】
特定の態様では、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、アレルギー性炎症を含むがこれに限定されない、免疫系の疾病または疾患を含む。特定の態様では、アレルギー性炎症は、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、および食物アレルギーのうちの少なくとも1つを含む。ある実施形態では、媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、例えば、関節リウマチおよび乾癬のうちの少なくとも1つを含む、炎症性関節炎を含む。
【0061】
ある態様では、方法は、併用療法をさらに含み、少なくとも1つの追加の治療剤が患者に投与される。特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、短時間作用型β2アゴニスト、長時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、全身性コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエン修飾薬、メチルキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある態様では、少なくとも1つの追加の治療剤は、アルブテロール、レバルブテロール、ピルブテロール、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルメテロール、ならびにイプラトロピウムおよびチオトロピウム等の抗コリン作用薬を含む、β2アゴニスト;ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、メチプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、コルチコステロイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジロートンを含む、ロイコトリエン修飾薬;クロモリンおよびネドクロミルを含む、マスト細胞安定剤;テオフィリン、イプラトロピウムおよびアルブテロール、フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびホルモテロールを含む複合薬を含む、メチルキサンチン;ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、およびヒドロコルチゾンを含む、抗ヒスタミン剤;タクロリムスおよびピメクロリムスを含む、免疫系修飾剤;シクロスポリン;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;ならびにそれらの組み合わせからなる気管支拡張薬からなる群から選択される。特定の態様では、少なくとも1つ追加の治療剤は、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤であり、特定の実施形態では、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤は、2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化するTSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチドを含む、TSLPおよびTSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびにTSLP受容体融合タンパク質からなる群から選択される。
【0062】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、膜結合タンパク質もしくは構成成分の立体配座、リガンド結合活性、および触媒活性のうちの少なくとも1つを改変することを含む、細胞膜構造または機能のうちの少なくとも1つを改変することを含む。ある態様では、膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、インテグリン等からなる群から選択される少なくとも1つを含む。ある実施形態では、膜貫通受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を含む。特定の態様では、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、例えば、Gタンパク質aサブユニットと相互作用し、Gタンパク質aサブユニットは、Gas、Gai、Gaq、およびGa12からなる群から選択される少なくとも1つを含み、ある実施形態では、少なくとも1つのGタンパク質aサブユニットは、Gaqである。
【0063】
特定の方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、例えば、全細胞伝導性を調節することを含み、全細胞伝導性を調節することは、全細胞伝導性の線形または非線形の電圧依存性寄与のうちの少なくとも1つを調節することを含む。
【0064】
ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節を含む。ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、ホスホリパーゼC活性の調節を含む。ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節を含む。ある方法の態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、免疫系の疾病または疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、および乾癬からなる群から選択される、少なくとも1つの状態または症状に関連する、細胞内シグナル変換の調節を含む。
【0065】
特定の方法の態様は、細胞ネットワークまたは層への界面動電流体の投与を含み、その中の細胞間結合の調節を更に含む。ある実施形態では、細胞間結合は、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソームからなる群から選択される少なくとも1つを含む。特定の態様では、細胞ネットワークまたは層は、肺上皮、気管支上皮、および腸上皮からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0066】
ある方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、流体中の酸素は、大気圧で、少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素の量で存在する。
【0067】
ある方法の態様では、界面動電的に改変された水性流体は、例えば、溶媒和電子、および界面動電的に修飾された、または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含み、溶媒和電子、または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種の形態は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する。ある態様では、界面動電的に改変された水性流体は、分子酸素により、安定化された溶媒和電子の形態を含む。
【0068】
ある態様では、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節する、界面動電的に改変された流体の能力は、密閉された気密性容器内において、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、またはそれ以上の期間持続する。
【0069】
ある態様では、界面動電的に改変された流体の帯電安定化した酸素含有のナノ構造中に存在する酸素の量は、大気圧で少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素である。
【0070】
特定の態様では、治療は、局所、吸入、鼻腔内、および静脈内のうちの少なくとも1つによる投与を含む。
【0071】
例示的な関連した分子間相互作用:
通常、量子的特性は、10−10メートル未満の素粒子に属すると考えられ、一方、日常生活の巨視的世界は、ニュートンの運動の法則に従い、素粒子が運動するという点において、古典的であると称される。
【0072】
最近、分子は、希釈と共に大きさが増加するクラスターを形成するように記載されている。これらのクラスターは、直径において、数マイクロメートルを測定し、希釈と共に非線形に大きさが増加することが報告されている。直径で100ナノメートルを測定する量子のコヒーレントドメインが、純水中に発生すると仮定され、コヒーレントドメインにおける水分子の集団振動が、最終的に、電磁場変動に固定される相になり得、水中で安定振動を提供し、水の集合構造を変化させる水中の溶解物質に特異的な長続きするコヒーレント振動の励起の形態において、「記憶」の一形態を提供し、これは、同様に、発達する特異的なコヒーレント振動を決定し得る。これらの振動は、連結する磁場相により安定化される場合、希釈する際の水は、更に、「種(seed)」コヒーレント振動を運び得る。分子のクラスターの大きさが増加すると、その電磁的な特徴が、対応して増幅され、水により運ばれるコヒーレント振動を増強する。
【0073】
溶解分子のクラスターサイズの変化、および水の詳細な微視的構造にもかかわらず、コヒーレント振動の特異性は、なお、存在し得る。水の特性の変化を考慮するための1つのモデルは、結晶化に関与する考慮に基づいている。
【0074】
ナノスケールケージを形成する、簡易プロトン化水クラスターは、出願者の以前の特許出願である国際公開第2009/055729号に示される。プロトン化水クラスターは、一般に、H+(H20)nの形態をとる。幾つかのプロトン化水クラスターは、電離層等に自然発生する。任意の特定の理論に拘束されるわけではないが、特定の態様に従って、水クラスターまたは構造の他の型(クラスター、ナノケージ等)が可能であり、これには、本発明の出力物質に与えられる、酸素および安定化した電子を含む構造が含まれる。酸素原子は、得られる構造に取り込まれ得る。セミ結合ナノケージの化学反応は、酸素および/または安定化した電子を、長期間、溶解したままにすることが可能である。医薬化合物等の他の原子または分子は、徐放目的のためにケージされ得る。溶液物質および溶解化合物の特異的化学反応は、これらの物質の相互作用により異なる。
【0075】
混合デバイスにより処理された流体は、クラスター構造において流体の分析と一致する異なる構造特性を示すと、実験を介してすでに示されている。例えば、国際公開第2009/055729号を参照のこと。
【0076】
帯電安定化したナノ構造(例えば、帯電安定化した酸素含有のナノ構造):
本出願者の国際公開第2009/055729号の「二重層効果」、「滞留時間」、「注入速度」、「気泡サイズ測定」においてすでに記載されるように、界面動電混合デバイスは、複合体と第1の物質および第2の物質の独特の、非線形流体動的相互作用、本明細書に記載される、新規の界面動電効果を提供する効果的に膨大な表面積(デバイスの面積および100nm未満の例外的に小さい気泡の面積を含む)と接触して混合する複合体を提供する、動的乱流をおよそミリ秒で作成する。また、絶縁回転子および固定子を含む、特別に設計された混合デバイスを用いて、機能局在界面動電効果(電圧/電流)を示した。
【0077】
当該技術分野においてよく認識されるように、電荷再分配および/または溶媒和電子は、水溶液中で、極めて不安定であることが知られている。特定の態様によれば、出願の界面動電効果(例えば、特定の態様では、溶媒和電子を含む、電荷再分配)は、出力物質(例えば、食塩溶液、イオン溶液)内で、驚くほど安定化される。実際には、本明細書に記載される、本発明の界面動電流体(例えば、RNS−60またはSolas)の特性および生物活性の安定性は、気密性容器内において、数ヶ月間、維持され得、本発明の溶液の特性および活性を生成する、および/または維持する、および/または媒介するように役立てることに、溶解ガス(例えば、酸素)の関与を示す。有意に、電荷再分配および/または溶媒和電子は、流体により生細胞(例えば、哺乳類細胞)と接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、本発明の界面動電イオン水性流体中に安定的に構成される(例えば、国際公開第2009/055729号からの細胞パッチクランプの実施例23を参照のこと、および本明細書に開示されるように)。
【0078】
本発明の界面動電流体(例えば、界面動電食塩溶液)の安定性および生物学的適合性を説明するために、「分子間相互作用」の項において本明細書で記載されるように、出願者は、水分子と水中に溶解された物質(例えば、酸素)の分子との間の相互作用が、水の集合構造を変化させ、ナノスケールケージクラスターを提供することが提案され、これには、本発明の出力物質に与えられる、酸素および/または安定化した電子を含むナノ構造が含まれる。機構に拘束されるわけではないが、特定の態様では、ナノ構造の構造は、それらが、溶解ガス(例えば、酸素)を(少なくとも、形成および/または安定性および/または生物活性のために)含む;細胞膜もしくはその関連した構成要素と接触した際に、界面動電流体(例えば、RNS−60またはSolas食塩流体)が、電荷および/または電荷効果を調節する(例えば、与えるまたは受容する)のを可能にする;ならびに、特定の態様では、生物学的に関連した形態において、溶媒和電子の安定化を提供する(例えば、運ぶ、持つ、捕獲する)。
【0079】
特定の態様によれば、本開示により支持されるように、イオンまたは食塩(例えば、標準食塩水、NaCl)溶液において、本発明のナノ構造は、帯電安定化した水和殻内で、少なくとも1つの溶解ガス分子(例えば、酸素)を含み得る、帯電安定化したナノ構造(例えば、平均直径100nm未満)を含む。追加の態様によれば、帯電安定化した水和殻は、少なくとも1つの溶解ガス分子(例えば、酸素)を持つケージまたは空隙を含み得る。更なる態様によれば、好適な帯電安定化した水和殻の供給によって、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、溶媒和電子(例えば、安定化した溶媒和電子)を更に含み得る。
【0080】
機構または特定の理論に拘束されるわけではないが、この優先日後、周囲(大気)気体と平衡状態にある水性液体中のイオンにより安定化された帯電安定化超微粒気泡が、提案されている(Bunkin et al.,Journal of Experimental and Theoretical Physics,104:486−498,2007;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。本発明の特定の態様によれば、出願者の新規の界面動電流体は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の新規の生物学的活性形態を含み、このような構造の新規の配列、クラスター、または会合を更に含み得る。
【0081】
帯電安定化した超微粒気泡モデルによれば、水構造の短距離分子秩序は、ガス分子の存在により破壊され(例えば、非吸着イオンと初期に複合した溶解ガス分子は、短距離秩序の欠陥をもたらす)、これは、イオン性液滴の濃縮を提供し、欠陥は、水分子の第1および第2の配位圏により取り囲まれ、配位圏において、それぞれ、6および12の空孔を占める、吸着イオン(例えば、電気二重層を形成するためのNa+イオンの「スクリーニングシェル(screening shell)」の捕捉)および非吸着イオン(例えば、第2の配位圏を占めるCl−イオン)により代替的に充填される。不飽和イオン溶液(例えば、不飽和食塩溶液)において、この水和した「細胞核」は、第1および第2の配位圏が、それぞれ、6つの吸着イオンおよび5つの非吸着イオンにより充填されるまで、安定した状態を保ち、次いで、ガス分子を含有する内部空隙を生成するクーロン爆発を受け、吸着イオン(例えば、Na+イオン)は、得られる空隙の表面に吸着され、一方、非吸着イオン(またはそれらの幾つかの部分)は、溶液に拡散する(Bunkinら、上記を参照)。このモデルにおいて、ナノ構造における空隙は、その表面に吸着されたイオン(例えば、Na+イオン)間でのクーロン爆発により崩壊されない。空隙含有のナノ構造の安定性は、空隙/気泡表面への同電荷との溶解イオンの選択的吸着、および溶解ガスと気泡内部のガスとの間の拡散平衡によるものであると仮定され、負の静電圧(得られる電気二重層により与えられる外部からの静電圧)は、界面張力に対して安定補償を提供し、気泡内部のガス圧力は、周囲圧力により均衡を保つ。モデルによれば、このような超微粒気泡の形成は、イオン構成成分を必要とし、ある態様では、粒子間の衝突媒介した会合は、より大きな秩序クラスター(配列)の形成を提供し得る(同上)。
【0082】
帯電安定化した超微粒気泡モデルは、粒子が、ガス超微粒であり得ることを示唆するが、周囲大気と平衡状態にあるイオン溶液中のこのような構造の自然形成のみ企図し、酸素が、このような構造を形成することができるかどうかに関して、特性化されておらず、かつ未特定のままであり、同様に、溶媒和電子が、このような構造により会合および/または安定化され得るかどうかに関しても、未特定のままである。
【0083】
特定の態様によれば、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む本発明の界面動電流体は、新規であり、超微粒気泡モデルに従って、仮定非界面動電、大気の帯電安定化超微粒気泡構造とは基本的には異なる。注目すべきは、対照食塩溶液は、本明細書に開示される生物学的特性を持たないが、その一方で、出願者の帯電安定化したナノ構造は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の新規の生物学的活性形態を提供するという事実に、少なくとも一部分において由来する、本結論は、避けられない状態である。
【0084】
本発明の特定の態様によれば、出願者の新規の界面動電デバイスおよび方法は、大気と平衡状態にあるイオン流体、またはいずれの非界面動電的に生成された流体中で自発的に発生し得る、または発生し得ない、任意の量を超えて、かなりの量の帯電安定化したナノ構造を含む、新規の界面動電的に改変された流体を提供する。特定の態様では、帯電安定化したナノ構造は、帯電安定化した酸素含有のナノ構造を含む。追加の態様では、帯電安定化したナノ構造は、全て、もしくは実質的に全ての帯電安定化した酸素含有のナノ構造である、または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、界面動電流体中で主要な帯電安定化したガス含有のナノ構造種である。
【0085】
なお更なる態様によれば、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、溶媒和電子を含む、または持ち得、それによって、新規の安定化した溶媒和電子担体を提供する。特定の態様では、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、電極の新型(または逆電極)を提供し、単一の有機配位カチオンを有する従来の溶質電極と対照的に、むしろ、空隙または酸素原子を含有する空隙周辺に安定的に配列された複数のカチオンを有し、配列されたナトリウムイオンは、有機分子によってよりはむしろ、水の水和殻によって配位される。特定の態様によれば、溶媒和電子は、水分子の水和殻により収容され得る、または好ましくは、全てのカチオンにわたって分布するナノ構造の空隙内で収容され得る。ある態様では、本発明のナノ構造は、複数の配列したナトリウムカチオンにわたって溶媒和電子(一連のナトリウム原子および少なくとも1つの酸素原子にわたって分布する溶媒和電子)の分布/安定化を提供するだけでなく、空隙中の閉じ込め(caged)酸素分子と溶媒和電子の会合または部分会合を提供することにより、溶液中の新規の「スーパー電極」を提供する。したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電流体と関連して現在開示される、「溶媒和電子」は、水分子による直接水和を含む従来のモデルにおいて溶媒和され得ない。代替として、乾燥電極塩を用いた限定された例では、本発明の界面動電流体中の溶媒和電子は、水溶液中の高度な秩序配列を安定化させるために、「格子接着(lattice glue)」を提供するように複数の帯電安定化したナノ構造にわたって分布され得る。
【0086】
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用することが可能である。特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または溶媒和電子を持つ帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用することが可能である。
【0087】
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、帯電および/または帯電効果提供者(送達)として、ならびに/または帯電および/または帯電効果受容者として、細胞膜もしくはその構成要素、またはタンパク質等と相互作用する。特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または溶媒和電子を持つ帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、生物学的活性を媒介するために、帯電および/または帯電効果提供者として、ならびに/または帯電および/または帯電効果受容者として、細胞膜と相互作用する。
【0088】
特定の態様では、本発明の帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、本発明の界面動電流体の観察された安定性および生物学的特性と一致し、かつ説明し、イオン水溶液(例えば、食塩溶液、NaCl等)中の安定化した溶媒和電子を提供する、新規の電極(または逆電極)を更に提供する。
【0089】
特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、帯電安定化した酸素含有ナノバブルを実質的に含み、その形態をとる、またはそれを発生させることができる。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有クラスターは、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の相対的に大きい配列、および/または帯電安定化した酸素含有ナノバブルもしくはそれらの配列の形成を提供する。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、疎水性表面と接触した際に、疎水性ナノバブルの形成を提供することができる。
【0090】
特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、実質的に、少なくとも1つの酸素分子を含む。ある態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、実質的に、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個、またはそれ以上の酸素分子を含む。特定の態様では、帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、約20nm×1.5nmのナノバブル(例えば、疎水性ナノバブル)を含む、または発生し、約12個の酸素分子(例えば、酸素分子の大きさ(約0.3nm×0.4nm)、理想気体の仮定、およびn=PV/RTの適用に基づき、ここで、P=1atm、R=0.082□057□l.atm/mol.K;T=295K;V=pr2h=4.7×10−22L、ここで、r=10×10−9m、h=1.5×10−9m、およびn=1.95×10−22モル)を含む。
【0091】
ある態様では、イオン水性流体中の帯電安定化構造を有する、このようなナノ構造、またはそれらの配列にある流体中に存在する、酸素分子の割合は、0.1%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である。好ましくは、この割合は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、または約20%以上である。追加の態様では、イオン水性流体中の帯電安定化構造を有する、帯電安定化した酸素含有のナノ構造の実質的な大きさ、またはそれらの配列は、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、5nm、4nm、3nm、2nm、および1nm未満からなる群から選択される大きさである。好ましくは、この大きさは、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、または約10nm未満である。
【0092】
ある態様では、本発明の界面動電流体は、溶媒和電子を含む。更なる態様では、本発明の界面動電流体は、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列を含み、これらは、溶媒和電子、および特異な電荷分布(極性、対称、非対称の電荷分布)のうちの少なくとも1つを含む。ある態様では、帯電安定化したナノ構造および/または帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列は、常磁性を有する。
【0093】
対照的に、本発明の界面動電流体に関連して、対照加圧ポット含酸素流体(非界面動電流体)等は、このような界面動電的に生成された帯電安定化した生物学的活性ナノ構造および/または生物学的活性帯電安定化した酸素含有のナノ構造、および/またはそれらの配列を含まず、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調整が可能である。
【0094】
ガス富化流体を生成するシステム
現在開示されるシステムおよび方法は、最小の受動的損失を伴う高濃度で、ガス(例えば、酸素)を安定的に富化させることが可能である。このシステムおよび方法は、多種多様の流体に、高い割合で、多種多様のガスを富化するために効果的に使用され得る。例示のみとして、室温で、一般に、溶解酸素の約2〜3ppm(100万分の1)のレベルを有する、脱イオン水は、開示されたシステムおよび/または方法を用いて、少なくとも約5ppm、少なくとも約10ppm、少なくとも約15ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約25ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約35ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約45ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約55ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約65ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約75ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約85ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約95ppm、少なくとも約100ppm、またはいずれかの値以上もしくはそれらの間の範囲の溶解酸素のレベルを達成することができる。特定の例示的な実施形態に従って、酸素富化水は、溶解酸素の約30〜60ppmのレベルで生成され得る。
【0095】
表1は、酸素富化食塩溶液(表1)で処置された治癒創傷、および本発明のガス富化酸素富化食塩溶液のサンプルにおいて得られた、様々な分圧測定を示す。
【0096】
【表1】
TSLPおよびTSLP媒介状態
TSLPおよびTSLPRアゴニスト/拮抗剤:自然発生的な物質により通常刺激される細胞受容体に対する親和性を有し、かつ細胞受容体における生理学的活性を刺激し、それによって、生化学的反応を誘発する薬剤。TSLP受容体アゴニストは、TSLP受容体に対する親和性を有し、TSLPのその受容体との結合により誘発される活性を刺激する。例えば、TSLP/TSLP受容体アゴニストは、TSLP受容体に結合し、かつ細胞内シグナル伝達を誘発する分子である。対照的に、「拮抗剤」は、自然発生的な物質により通常刺激される細胞受容体の活性を阻害する薬剤である。したがって、TSLP/TSLP受容体拮抗剤は、TSLPまたはTSLP受容体に結合し、TSLPのTSLP受容体への結合を阻害する、および/またはTSLPのその受容体との結合により通常誘発される活性を阻害する。例えば、TSLP/TSLP受容体拮抗剤は、TSLPまたはTSLP受容体に結合し、例えば、TSLPのTSLP受容体への結合を遮断することにより、結合を軽減または防止することができる。あるいは、TSLP/TSLP受容体拮抗剤は、TSLP受容体に結合し、TSLPのその受容体との結合により通常誘発され得る、下流シグナル伝達を軽減または防止することができる。アゴニストおよび拮抗剤は、リガンド様ポリペプチド、抗体、およびその断片または部分配列等のポリペプチドを含む、種々のクラスの分子を含むことができる。アゴニストおよび拮抗剤はまた、融合ポリペプチド、抗体、ペプチド、(約20アミノ酸未満の長さのペプチド等)、および小分子を含むこともできる。例示的な拮抗剤としては、TSLPおよびTSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびに2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化し、それによって、生理学的な受容体二量体または高次オリゴマーを模倣する、TSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチド等の、TSLP受容体融合タンパク質が挙げられる。受容体が2つ以上のポリペプチド鎖を含む場合、一本鎖融合を利用することができる。
【0097】
抗体:エピトープ(例えば、TSLPもしくはその断片、またはその断片のTSLP受容体等の抗原)を特異的に認識および結合する、少なくとも1つの軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、ポリペプチドリガンド。これは、Fab’断片、F(ab)’.sub.2断片、一本鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)等の、当該技術分野においてよく知られている、完全免疫グロブリンおよびそれらの変異体および部分を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域および免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合される一方で、dsFvにおいて、鎖は、鎖の会合を安定化するために、ジスルフィド結合を導入するように突然変異している、融合タンパク質である。用語はまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロ共役抗体(例えば、二重特異性抗体)等の遺伝子操作された形態も含む。Pierce Catalog and Handbook,1994−1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,I11.)、Kuby,J.,Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman & Co.,New York,1997も参照のこと。典型的には、免疫グロブリンは、重鎖および軽鎖を有する。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(領域はまた、「ドメイン」としても知られている)。組み合わせて、重鎖および軽鎖可変領域は、抗原と特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる、3つの超可変領域により遮断される「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は定義されている(参照により本明細書に組み込まれる、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照のこと)。Kabatデータベースは、現在オンラインで管理されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種の中で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成要素である軽鎖および重鎖の複合フレームワーク領域は、三次元空間においてCDRを配置および整列させる働きをする。抗体としては、モノクローナル抗体、ヒト化抗体等が挙げられる。
【0098】
TSLP拮抗剤としては、とりわけ、小分子拮抗剤、TSLPに対する抗体、TSLP受容体に対する抗体、および2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化し、それによって、生理学的な受容体二量体または高次オリゴマーを模倣する、TSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチド等の、TSLP受容体融合タンパク質が挙げられる。TSLPは、I型サイトカイン受容体スーパーファミリーメンバー(赤血球生成促進因子受容体スーパーファミリーメンバーとしても知られている)、TSLPRに直接結合することが示されている。TSLPRは、クローン化されている。TSLPに対する機能的高親和性受容体は、2つのポリペプチド、TSLPRおよびIL−7受容体α鎖を含むことが実証されている。したがって、TSLPおよびIL−7の両方は、それらの受容体の一構成成分としてIL−7Rαを共有する。しかしながら、これらの受容体は、TSLP受容体がTSLPRをさらに含有する一方で、IL−7受容体は、様々なサイトカイン受容体のシグナル伝達構成成分である、共通サイトカイン受容体γ鎖をさらに含有するという点で独特である。TSLPR(およびこの受容体鎖のFc融合)は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、公開された米国特許出願第2002/0160949号に記載されている。
【0099】
TSLPポリペプチドに対する抗体は、当該技術分野で知られている。さらに、抗TSLPR抗体は、市販されている(R & D Systems,Minneapolis,Minn.,cat.no.MAB981、DNAX Research,Inc.,Palo Alto,Calif.)。抗体はまた、Vector NTLRTM.SuiteのWellingプロット(Informax,Inc,Bethesda,Md.)により判定される増加した抗原性の領域等、特異的エピトープの付与によって、TSLP受容体またはTSLPに対して調製される。TSLP受容体の配列、およびヒトTSLP受容体における増加した抗原性の領域は、米国特許公開第2003/0186875号に開示される。医薬組成物(上記を参照のこと)は、概して、治療有効量のTSLP拮抗剤を含み、また、追加の薬剤も含むことができる。医薬組成物の調製は、上記に開示される。
【0100】
兆候
TSLPおよびTSLPRは、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、アレルギー性喘息、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、乾癬、IgE媒介疾患、および鼻炎結膜炎が挙げられるがこれに限定されない、多くの種類のアレルギー性状態に関与すると考えられる。DC媒介炎症Th2反応へのTSLPの関与は、Ziegler and Liuによる近年の再調査を含む、いくつかの文献に示されている(Ziegler and Liu,Nat.Immunol.,7:709−714,2005、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0101】
アレルギー性気道炎症。近年の研究は、TSLPがインビボでマウスのアレルギー性気道炎症の開始に必要であることを実証した(Zhou et al.,Nat.Immunol.,6:1047−1053,2005)。一研究において、Zhouらは、TSLP導入遺伝子の肺特異的発現が、白血球(Th2細胞を含む)の大量浸潤、杯細胞過形成、および上皮下線維症、ならびに血清IgEレベルの増加を特徴とするアレルギー性気道炎症(喘息)を誘発することを実証した。さらに、近年の研究は、アレルゲン刺激が喘息マウスの気道におけるTSLPの急速な蓄積を引き起こすことを示した(Liyun Shi et al.,Clin.Immunol.,129:202−210,2008)。これらの結果は、TSLPがアレルギー性気道炎症の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー性気道炎症および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0102】
アレルギー性炎症。近年の再調査は、アレルギー性炎症、例えば、アレルギー性皮膚炎におけるTSLPの役割を調査する研究からの結果を要約および記載する(Ziegler and Liu,2008)。具体的に、研究は、アトピー性皮膚炎を有する患者における正常皮膚および非病変皮膚が検出可能なTSLPタンパク質を有しない一方で、急性および慢性アトピー性皮膚炎病変から採取される皮膚が、TSLPの高い発現を有することを示している。別の研究において、TSLPRを欠いているマウスを構築し、アレルギー性皮膚炎に対する効果に対して検査した(He et al.,PNAS,105:11875−11880,2008、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。Heらは、TSLPRを欠いているマウスにおけるアレルゲンに起因する皮膚炎が、野生型と比較して有意に低下したことを発見した。さらに別の研究において、皮膚でTSLPを過剰発現するように操作されたマウスは、炎症性浸潤を含む湿疹様皮膚病変、循環するTh2細胞の劇的増加、および血清IgEの上昇を特徴とするアトピー性皮膚炎を発症することが実証された(Yoo et al.,J.Exp.Med.,202:541−549,2005)。研究は、TSLPがマウスにおいてDCを直接的に活性化し得ることを示唆した。Liらによって実施された別の研究において、グループは、皮膚でTSLPを過剰発現しているトランスジェニックマウスが、TSLPとアトピー性皮膚炎の発症との間の関連性を強固なものにする、アトピー性皮膚炎を発症することを確認した。これらの結果は、TSLPがアレルギー性炎症、例えば、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎および湿疹)の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー性炎症、例えば、アレルギー性皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎および湿疹)、ならびに同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0103】
乾癬。近年の研究は、TSLPが急性乾癬の患者から採取される皮膚生検において、実質的により高い発現を有したことを示した(Guttman−Yassky,et al.,J.Allergy and Clinical Immunology 119:1210−1217,2007)。この結果は、TSLPが乾癬の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、乾癬および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0104】
アレルギー性喘息。近年、研究は、アレルゲン刺激が喘息マウスの気道におけるTSLPの急速な蓄積を引き起こすことを示した(Liyun Shi et al.,Clin.Immunol.,129:202−210,2008)。同研究において、TSLPRを阻害することによるDC機能の調節がマウスの重症度を低めることが示された。これらの結果は、TSLPがアレルギー性喘息の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー性喘息および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0105】
閉塞性気道疾患。近年の研究は、COPDがTSLPの気管支粘膜発現の増加に関連することを実証した(Ying et al.,J Immunol.,181:2790−2798,2008)。COPDは、閉塞性気道疾患の一種である。この結果は、TSLPが閉塞性気道疾患、例えば、COPDの病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、閉塞性気道疾患、例えば、COPDを治療するための実質的な有用性を有する。
【0106】
食物アレルギー。腸の樹状細胞は、ナイーブT細胞を刺激し、それらをOX40L依存的に、TH2反応に偏らせることがわかった(Blazquez AB,Berin MC.Gastrointestinal dendritic cells promote Th2 skewing via OX40L.J Immunol.,180:4441−4450,2008、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、近年の再調査は、腸におけるTSLPの存在および免疫ホメオスタシスの調節におけるその役割を考察している(Iliev ID,Matteoli G,Rescigno M.The yin and yang of intestinal epithelial cells in controlling dendritic cell function.J Exp Med;204:2253−2257,2007、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。これらの結果は、TSLPが食物アレルギーにおいて重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、食物アレルギーおよび同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0107】
炎症性関節炎。近年の研究は、他の形態の関節炎の患者から得られる滑液と比較して、関節リウマチ(RA)の患者から得られる滑液検体において、TSLPのレベルの増加を発見した(Koyama et al.Biochem and Biophyis Res Comm.,357:99−104,2007、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。同研究は、抗TSLP中和抗体の使用が、マウスにおいて抗II型コラーゲン抗体により誘発される、TNF−a依存性実験的関節炎を改善したことを発見した。これらの結果は、TSLPがRA等の炎症性関節炎において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体がTSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、炎症性関節炎および同様の状態、例えば、RAを治療するための実質的な有用性を有する。
【0108】
アレルギー性鼻炎。近年の研究において、Mouらは、アレルギー性鼻炎(AR)を患っていた全試験患者の鼻粘膜において、mRNAおよびタンパク質レベルの両方において、TSLPが存在したことを発見した(Mou et al.,Acta Oto−laryngologica,129:297−301,2009、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、TSLPレベルは、ARの重症度と密接に相関していた。これらの結果は、TSLPがARおよび/または鼻炎結膜炎の病因において重要な役割を果たすことを示す。ここで、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、関連モデル系において、TSLPを有意に下方制御したことを示す。したがって、ある実施形態によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、AR、アレルギー性鼻炎結膜炎、および同様の状態を治療するための実質的な有用性を有する。
【0109】
治療方法
「治療(treating)」という用語は、疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの1つ以上の症状を正常化、緩和、その進行を阻害する、または予防することを指し、かつこれらの意味を含意し、「治療(treatment)」および「治療的に(therapeutically)」とは、本明細書に定義されるように、治療の行為を指す。
【0110】
「治療有効量」は、疾患、障害、もしくは状態、またはこれらの1つ以上の症状を正常化、緩和、その進行を阻害する、または予防するために十分である、本明細書に提供される本発明を実践する経過において利用されるいずれかの化合物の任意の量である。
【0111】
本明細書のある実施形態は、ある状態または疾患と関連する炎症の少なくとも1つの症状を予防するまたは緩和することによる対象に対する治療組成物および治療方法に関する。炎症性疾患と関連する多くの状態または疾患は、ステロイド、メトトレキサート、シクロホスファミド、シクロスポリン、アザチオプリン、およびレフルノミド等を含む免疫抑制剤、アスピリン、アセトアミノフェンおよびCOX−2阻害剤等の非ステロイド系抗炎症剤、金剤、ならびに抗マラリア治療剤を用いて治療されている。
【0112】
投与経路および形態
本明細書で使用されるとき、「対象」は、いずれかの生物体、好ましくは、動物、更に好ましくは、哺乳類、およびなお更に好ましくは、ヒトを指し得る。
【0113】
特定の例示的な実施形態では、本発明のガス富化流体は、治療組成物が、炎症の少なくとも1つの症状を予防する、または緩和するように、単独で、または別の治療剤と組み合わせて、治療組成物として機能し得る。本発明の治療組成物は、それを必要とする対象に投与することができる、組成物を含む。ある実施形態では、治療組成物製剤はまた、担体、アジュバント、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、香料、および結合剤からなる群から選択される、少なくとも1つの添加剤も含み得る。
【0114】
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容可能な担体」および「担体」は、概して、非毒性の、不活性固体、半固体、もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入物質、またはあらゆる型の製剤補助物質を指す。医薬的に許容可能な担体としての機能を果たし得る物質の幾つかの限定されない例としては、ラクトース、グルコース、およびスクロース等の糖類;コーンスターチおよびポテトスターチ等のデンプン;セルロース、およびその誘導体である、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース等;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬用ワックス等の賦形剤;ピーナッツオイル、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油等の油類;プロピレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性の相溶性潤滑剤、があり、考案者の判断に従って、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および香料であり、保存料および抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。特定の態様では、このような担体および賦形剤は、本発明のガス富化流体または溶液であり得る。
【0115】
本明細書に記載の医薬的に許容可能な担体としては、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、または希釈剤が、当業者には既知である。一般に、医薬的に許容可能な担体は、治療剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で、有害な副作用または毒性がない。医薬的に許容可能な担体は、ポリマーおよびポリマーマトリクス、ナノ粒子、超微粒気泡等を含み得る。
【0116】
本発明の治療ガス富化流体に加えて、治療組成物は、追加の非ガス富化水または他の溶媒等の不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル等の可溶化剤および乳化剤、ならびにこれらの組み合わせを更に含み得る。当業者により明らかであるように、特定の治療組成物の新規の改善された製剤、新規のガス富化治療流体、および新規のガス富化治療流体を送達する新規の方法は、同一の、同様の、または異なる組成物のガス富化流体と1つ以上の不活性希釈剤を差し替えることにより得られ得る。例えば、従来の水は、ガス富化流体を提供するために、水もしくは脱イオン水に酸素を混合することにより生成されたガス富化流体により差し替える、または補完され得る。
【0117】
ある実施形態では、本発明のガス富化流体は、1つ以上の治療剤と組み合わせ得る、および/または単独で使用され得る。特定の実施形態では、ガス富化流体を抱合することは、脱イオン水、食塩溶液等の当該技術分野において既知の1つ以上の溶液を、1つ以上のガス富化流体と差し替えることを含み、それによって、対象に送達するための改善された治療組成物を提供し得る。
【0118】
ある実施形態は、本発明のガス富化流体、医薬組成物、もしくは他の治療剤、またはその医薬的に許容可能な塩もしくは溶媒、ならびに少なくとも1つの医薬担体もしくは希釈剤を含む、治療組成物を提供する。これらの医薬組成物は、前述の疾患または状態の予防および治療、ならびに上記のように、療法において、使用され得る。好ましくは、担体は、医薬的に許容可能でなければならず、適合する、即ち、組成物中の他の成分において有害効果がないものでなければならない。担体は、固体または液体であり得、好ましくは、単位用量の製剤、例えば、活性成分の0.05〜95重量%を含有し得る錠剤として、製剤化される。
【0119】
可能な投与経路としては、経口、舌下、口腔、非経口(例えば、皮下、筋肉内、動脈内、腹腔内、大槽内、膀胱内、髄腔内、または静脈内)、直腸、局所(経皮、膣内、眼球内、耳内、鼻腔内、吸入、および移植可能なデバイスまたは物質の注射または挿入を含む)が含まれる。
【0120】
投与経路
特定の対象に対する投与の最適な手段は、治療される疾患もしくは状態の性質および重症度、または使用される治療法の性質、ならびに治療組成物もしくは追加の治療剤の性質により異なる。ある実施形態では、経口または局所投与が好ましい。
【0121】
経口投与に好適な製剤は、それぞれ既定量の活性化合物を含有する、錠剤、カプセル、カシェ剤、シロップ、エリキシル剤、チューインガム、「ロリポップ(lollipop)」剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、トローチ剤、もしくはゲルコーティングされたアンプルのような個別単位として、粉末もしくは顆粒として、水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として、提供し得る。
【0122】
舌下または口腔投与等による経粘膜的方法に好適な製剤は、活性化合物および一般に香味ベース、例えば、砂糖およびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤、パッチ剤、錠剤等、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースアカシアのような不活性ベース中に活性化合物を含むパステル剤を含む。
【0123】
非経口投与に好適な製剤は、一般に、既定濃度の活性ガス富化流体および可能な別の治療剤を含有する滅菌水溶液を含み、溶液は、好ましくは、対象とするレシピエントの血液を含んだ等張液である。非経口投与に好適な更なる製剤は、界面活性剤およびシクロデキストリン等の生理学的に好適な共溶媒および/または錯化剤を含有する製剤を含む。水中油型乳剤はまた、ガス富化流体の非経口投与用の製剤に好適であり得る。このような溶液は、好ましくは、静脈内投与されるが、皮下または筋肉内注射により投与されてもよい。
【0124】
尿道、直腸、または膣内投与に好適な製剤は、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、吸収性固形物質、潅水等を含む。製剤は、座薬ベースを形成する1つ以上の固体担体、例えば、ココアバター中に、活性成分を含む、単位用量座薬として提供するのが好ましい。代替として、本発明のガス富化流体を用いた結腸洗浄は、結腸または直腸投与用に製剤化され得る。
【0125】
局所、眼球内、耳内、または鼻内投与に好適な製剤は、軟膏、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、ゲル剤(ヒドロゲル等)、スプレー剤、分散性粉末および顆粒、エマルジョン、流動噴射剤を用いたスプレー剤またはエアロゾル(例えば、リポソームスプレー剤、点鼻剤、鼻腔用スプレー剤等)、ならびに油を含む。このような製剤に好適な担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの組み合わせを含む。経鼻または鼻腔内投与は、定量のこれらの製剤またはその他のいずれかを含み得る。同様に、耳内または眼球内は、点滴剤、軟膏、刺激流体(irritation fluid)等を含み得る。
【0126】
本発明の製剤は、あらゆる好適な方法、一般に、液体もしくは微粉化した固体担体、またはその双方を有する活性化合物を、ガス富化流体と、必要とされる比率で均一かつ緊密に任意に混合し、次いで、必要であれば、得られた混合物を所望の形状に付形することにより調製され得る。
【0127】
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒、および1つ以上の任意成分、例えば、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤を含む均質混合物を圧縮するか、または粉末活性成分および本発明のガス富化流体の均質混合物を成形することにより調製し得る。
【0128】
吸入による投与に好適な製剤は、種々の型の定量加圧エアロゾル、ネブライザー、または吸入器を用いて発生し得る微粒子粉末またはミスト剤を含む。特に、治療剤の粉末または他の化合物は、本発明のガス富化流体中に溶解または懸濁され得る。
【0129】
口からの肺投与に関しては、気管支樹への送達を確実にするために、粉末または液滴の粒度は、一般に、0.5〜10μM、好ましくは1〜5μMである。鼻投与に関しては、鼻腔における保留を確実にするために、10〜500μMの粒度が好ましい。
【0130】
定量吸入器は、液化噴射剤中の治療剤の懸濁液または溶液製剤を一般に含有する加圧エアロゾルディスペンサーである。ある実施形態では、本明細書に開示されるように、本発明のガス富化流体は、標準液化噴射剤に加えて、またはその代わりに、使用され得る。使用の際に、これらのデバイスは、計量した量、一般に10〜150μLを送達するように適合させた弁を経て製剤を放出して、治療剤およびガス富化流体を含有する微粒子噴霧を生じる。好適な噴射剤は、特定のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびこれらの混合物を含む。
【0131】
製剤は、1つ以上の共溶媒、例えば、エタノール界面活性剤、例えば、オレイン酸または三オレイン酸ソルビタン、酸化防止剤、および好適な風味剤を更に含有し得る。ネブライザーは、商業的に入手可能なデバイスであり、それは、狭いベンチュリ穴を通る圧縮ガス(一般に空気または酸素)の加速によるか、あるいは超音波撹拌のいずれかにより、活性成分の溶液または懸濁液を治療エアロゾルミストに変換するデバイスである。ネブライザーで用いるのに好適な製剤は、ガス富化流体中の別の治療剤からなり、製剤の40%w/wまで、好ましくは20%w/w未満を含む。加えて、他の担体は、蒸留水、滅菌水、または希釈水性アルコール溶液等を利用し、好ましくは、例えば、塩化ナトリウム等の塩の添加により、体液と等張にされるものであり得る。任意の添加剤は、特に、製剤が滅菌調製されていない場合は、防腐剤を含み、メチルヒドロキシ−ベンゾエート、酸化防止剤、香味剤、揮発油、緩衝剤、および界面活性剤を含み得る。
【0132】
吸入による投与に好適な製剤は、吸入器により送達されるか、または鼻からの吸入により鼻腔に取り入れられ得る微粉砕散剤を含む。吸入器において、散剤を、一般にゼラチンまたはプラスチック製のカプセルまたはカートリッジに入れ、それらを原位置で突き刺すかまたは開けて、散剤が、吸入時にデバイスから引き出される空気によるか、または手動ポンプにより送達される。吸入器において採用される散剤は、活性成分だけからなるか、または活性成分、好適な粉末希釈剤、例えばラクトース、および任意の界面活性剤を含む粉末ブレンドからなる。
【0133】
活性成分は、一般に、製剤の0.1〜100w/wを含む。上に具体的に言及された成分に加えて、本発明の製剤は、課題となる製剤の型を考慮して、当業者には既知の他の薬剤を含み得る。例えば、経口投与に好適な製剤は、香味料を含み得、経鼻投与に好適な製剤は、香料を含み得る。
【0134】
本発明の治療組成物は、個々の治療剤として、あるいは、治療剤と組み合わせて、調合薬と共に使用可能なあらゆる従来の方法により投与され得る。
【0135】
当然のことながら、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特性、ならびにその投与の様式および経路;レシピエントの年齢、健康状態、および体重;症状の性質および範囲;同時治療の種類;治療頻度;ならびに所望の効果のような既知の要因により異なり得る。活性成分の1日投与量は、体重の1キログラム(kg)あたり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であり、好ましくは、0.1〜約30mg/kgの用量であることが期待され得る。
【0136】
用量形態(投与に好適な組成物)は、単位あたり活性成分の約1mg〜約500mgを包含する。これらの医薬組成物では、活性成分は、通常、組成物の総重量に基づいて、約0.5〜95重量%の量で存在し得る。
【0137】
軟膏、ペースト剤、フォーム剤、咬合剤(occlusion)、クリーム剤、およびゲル剤はまた、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、シリコン、ベントナイト、シリカ酸、およびタルク、またはこれらの混合物のような賦形剤も含有し得る。散剤およびスプレー剤はまた、ラクトース、タルク、シリカ酸、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤も含有し得る。ナノ結晶抗菌性金属の溶液は、エアロゾル医薬品を製造するために日常的に使用される既知の手段のいずれかによりエアロゾルまたはスプレー剤に変換され得る。概して、このような方法は、通常、不活性担体ガスを用いて、溶液の容器を加圧すること、または加圧するための手段を提供すること、および小さい穴から加圧したガスを通過させることを含む。スプレー剤は、窒素、二酸化炭素、および他の不活性ガス等の常用の噴射剤を更に含有し得る。加えて、ミクロスフェアまたはナノ粒子は、対象に治療化合物を投与するために必要とされるいずれかの経路において、本発明のガス富化治療組成物または流体と共に採用され得る。
【0138】
注射用製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位用量または多用量を密閉した容器中に存在し得、使用直前に、滅菌液体賦形剤、またはガス富化流体の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管され得る。即時注射液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。注射可能な組成物のために効果的な医薬担体の必要条件は、当業者には公知である。例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照のこと。
【0139】
局所投与に好適な製剤としては、本発明のガス富化流体および任意に追加の治療および香味、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアのような不活性ベース中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むパステル剤;好適な液体キャリア中のガス富化流体および任意に追加の治療剤を含むうがい薬または含嗽液;ならびにクリーム剤、エマルジョン、ゲル剤等が挙げられる。
【0140】
追加として、直腸投与に好適な製剤としては、乳化ベースまたは水溶性ベースのような様々なベースと混合することにより座薬として示され得る。膣内投与に好適な製剤としては、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、または活性成分に加えて、当該技術分野で適切であることが知られているキャリア等を含有するスプレー剤として示され得る。
【0141】
好適な医薬キャリアは、本分野における標準的な参照テキスト「Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)」に記載されている。
【0142】
本発明の文脈において、対象、特に、動物、具体的には、ヒトに投与される用量は、適当なタイムフレーム上で動物の治療反応をもたらすのに十分であるべきである。当業者は、投与量が、動物の状態、動物の体重、ならびに治療されるべき状態を含む、様々な要因により異なり得ることを理解されよう。好適な用量は、所望の反応に影響を及ぼすことが知られている、対象における、治療組成物の濃度をもたらし得るものである。
【0143】
用量の大きさはまた、投与の経路、タイミングおよび頻度、ならびに治療組成物の投与および所望の生理的効果を伴い得る、いかなる副作用の存在、性質、および範囲によっても決定され得る。
【0144】
組み合わせの化合物は、(1)共製剤における化合物の組み合わせにより同時に、または(2)別々の医薬製剤において、交代で、即ち、連続的に、順次に、並行で、または同時に、送達することにより、投与され得ることが認識されよう。交互の治療において、第2、および任意に第3の活性成分の投与の遅延が、活性成分の組み合わせの相乗的な治療効果の利益を損失するべきではない。(1)あるいは(2)のいずれかの投与方法によるある実施形態によれば、理想的には、組み合わせは、最も有効な結果を達成するように投与されるべきである。(1)あるいは(2)のいずれかの投与方法によるある実施形態では、理想的には、組み合わせは、活性成分のそれぞれのピーク血漿濃度を達成するために投与されるべきである。組み合わせ共製剤の投与による1日に1回1錠レジメン(one pill once−per−day regimen)は、炎症性神経変性疾患に罹患している何人かの患者に実行可能であり得る。ある実施形態によれば、組み合わせの活性成分の効果的なピーク血漿濃度は、約0.001〜100μMの範囲であり得る。最適なピーク血漿濃度は、特定の患者について処方される製剤および投与レジメンにより達成され得る。本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)またはこれらのいずれかの生理学的に機能的な誘導体は、同時に与えられるか、または順次与えられるかいずれにせよ、個々に、複数で、または任意のこれらの組み合わせで、投与され得ることもまた理解されよう。概して、交互の治療(2)の間、有効投与量の各化合物は連続的に投与され、共製剤治療(1)においては、有効投与量の2つ以上の化合物が、一緒に投与される。
【0145】
本発明の組み合わせは、単位投薬形態において、医薬製剤として適宜に表され得る。都合の良い単位投与製剤は、それぞれ、1mg〜1gの任意の量(例えば、10mg〜300mgであるが、これに限定されない)で活性成分を含む。例えば、グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)と組み合わせた、本発明の流体の相乗効果は、広い比にわたって、例えば、1:50〜50:1(本発明の流体:グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド))で実現され得る。1つの実施形態では、比は、1:10〜10:1の範囲であり得る。別の実施形態では、丸剤、錠剤、キャプレット、またはカプセル剤のような共製剤の組み合わせ投与形態における、グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)に対する本発明の流体の重量/重量比は、約1、即ち、ほぼ等量の本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)であり得る。他の例示的な共製剤では、より多いか、または少ない本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)が存在し得る。1つの実施形態では、各化合物は、単独で使用される場合に抗炎症活性を示す量で組み合わせて利用され得る。前記組み合わせの化合物の他の比および量は、本発明の範囲内で企図される。
【0146】
単位投与形態は、本発明の流体および、例えば、グルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)、またはこれらのうちのいずれかの生理学的に機能的な誘導体、ならびに医薬的に許容可能な担体を更に含み得る。
【0147】
治療で使用するのに必要とされる本発明の組み合わせ中の活性成分の量は、治療されている状態の性質、ならびに患者の年齢および状態を含む、様々な要因に従って変化し、最終的には、主治医または健康管理者の自由裁量であることが、当業者には、認識されよう。考慮されるべき要因としては、投与経路および製剤の性質、動物の体重、年齢および全身状態、ならびに治療されるべき疾患の性質および重症度が挙げられる。
【0148】
同時投与または順次投与のための単位投与形態にある任意の2つの活性成分と、第3の活性成分とを組み合わせることも可能である。3つの部分の組み合わせは、同時にまたは順次に投与され得る。順次投与される場合、組み合わせは、2つまたは3つの投与物で投与され得る。ある実施形態によれば、本発明の流体およびグルココルチコイドステロイド(例えば、ブデソニド)の3つの部分の組み合わせは、任意の順序で投与され得る。
【0149】
特定の態様に従って、本発明の界面動電的に改変された流体は、本明細書に開示される表示の例示的な属を含むがこれに限定されない、TSLPおよび/またはTSLPR媒介状態を治療するための実質的な有用性を有する。さらなる態様によると、本発明の界面動電的に改変された流体は、例示的な属の様々な亜属を治療するための有用性を有し、属の少なくとも1つの表示は、亜属のそれぞれから除外される。
【実施例】
【0150】
実施例1
(本発明の界面動電的に改変された流体およびアルブテロールの相乗効果を示した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、ヒト気管支収縮(ヒト喘息モデル)の当該技術分野において認識されている動物モデルにおいて、生体内でアルブテロールを用いて、相乗延長効果(例えば、気管支収縮の抑制)を提供し、したがって、患者のアルブテロール使用量の減少を提供する。本実施例において開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0151】
第1の実験。第1の実験において、メタコリン誘発された気管収縮と共に気道機能における気管支拡張剤の効果について、16匹のモルモットを評価した。最適用量の決定後、各動物は、1動物あたり250μLにおいて、標的用量の12.5μgの硫酸アルブテロールを送達するように、50μg/mLで投薬された。試験は、体重およびベースラインPenH値に対して無作為化ブロック設計であった。2つの群(AおよびB)には、1つまたは2つの希釈剤中の50μg/mL硫酸アルブテロールの250μLの気道内注入を与えた:A群は、酸素を添加せずに、本発明のデバイスを通過させた脱イオン水であり、一方、B群は、本発明のガス富化水であった。各群は、Penn Century Micro sprayerを用いて、溶液と共に気管内に投薬された。加えて、動物は、各治療群がプレチスモグラフおよび記録ユニットを供給するネブライザー内で均一に示されるように、BUXCOプレチスモグラフユニットにわたって階層化された。アルブテロールを投与してから2時間後、それらのベースラインPenH値の少なくとも75%を示した動物は、データ分析には含まれなかった。この除外基準は、気管支拡張剤を用いた気管支保護を観察するための欠陥が、投与エラーと関連し得る過去の試験に基づく。結果として、対照群から1匹の動物が、データ分析から除外された。動物は、50%超の気管支収縮があると、動物は、保護されていないと見なされた。B群の動物のうちの50%は、10時間まで(試験が終了する時点)、気管支収縮から保護された。
【0152】
第2の実験。オスのモルモットにおける、硫酸アルブテロールの単独投与、または希釈剤として投与する際、メタコリン誘発された気管支収縮に対する本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC1676−00、RDC1676−01、RDC1676−02、およびRDC1676−03)の保護効果を評価するために、大量の動物を用いて、追加の一連の実験を行った。
【0153】
材料および方法。モルモット(Cavia porcellus)は、Charles River Canada Inc.(St.Constant,Quebec,Canada)からのハートレー系アルビノ、Crl:(HA)BRであった。体重:処置の開始時で、約325±50g。群数は、1群あたり7匹のオス動物を有する、32匹であった(加えて、24匹の予備が、動物の同一バッチを形成する)。食事;全ての動物は、指定された処置時を除いては、標準の認定されたペレット式の市販の実験食(PMI Certified Guinea Pig 5026;PMI Nutrition International Inc.)を自由に摂食させた。投与経路は、Penn Century Microsprayerを介した気道内注入および全身吸入を介したメタコリン刺激であった。気管内経路は、試験物質/対照溶液への肺暴露を最大限にするように選択された。全身吸入刺激は、上気道過敏性反応(即ち、気管支収縮)を引き起こすために、メタコリン刺激に対して選択されている。処置の継続は、1日であった。
【0154】
実験設計。全ての動物は、TA/対照投与してから2時間後、メタコリン(500μg/mL)の吸入暴露を行った。全ての動物は、250μLの用量容量を受容した。したがって、硫酸アルブテロールは、(対照物質および4つの試験物質において)0、25、50、および100μg/mLの濃度まで希釈された。投薬する30分前、4つの異なる濃度(0、25、50、および100μg/mL)の硫酸アルブテロール溶液は、これらの4つの試験物質溶液(RDC1676−00、RDC1676−01、RDC1676−02、およびRDC1676−03)のそれぞれにおいて、l Oxストック(500μg/mL)中で作製された。これらの濃度の硫酸アルブテロールはまた、非界面動電的に生成された対照流体(対照1)中でも作製された。投与溶液は、適切な希釈の各ストック溶液を作製することにより調製された。全てのストックおよび投与溶液は、調製されるとすぐに、氷上で維持した。試験/対照物質を作製してから1時間以内に、投与を完了した。メタコリン(500μg/mL)の溶液は、投与日に調製した。
【0155】
各動物に、Penn Century microsprayerを用いて、試験または対照物質の気道内注入を行った。動物は、一晩絶食させ、イソフルレンを用いて麻酔をかけ、喉頭を、喉頭鏡(または好適な代替物)下で可視化し、マイクロ噴霧器(microsprayer)の先端を気管に挿入した。試験物質または対照物質の用量容量の250μL/動物を投与した。メタコリンエアロゾルは、Buxcoバイアス流動ポンプからの空気が供給されたエアロネブ超音波ネブライザーを用いて、混合チャンバの空気吸入口に生成された。同様に、この混合チャンバは、4つの個々の全身無拘束プレチスモグラフを供給し、わずかに負圧下で動作されたそれぞれは、排気ラインに位置する仕切り弁によって維持した。真空ポンプを使用して、必要とされる流速で、吸入チャンバを排出した。
【0156】
試験の主相を開始する前に、12匹の予備動物を、3つの群(n=4/群)に割り付けて、動物が、重症であるが、非致命的急性気管支収縮を誘発するようにメタコリンに暴露され得る、最大暴露期間を決定した。4匹の動物は、30秒間、メタコリン(500μg/mL)に暴露され、エアロゾルを開始してから10分後まで、呼吸パラメータを測定した。メタコリンネブライザー濃度および/またはエアロゾル化の暴露時間は、Penhの一過性増加を特徴とするように、重症であるが、非致命的急性/可逆性気管支収縮を誘発するように適切に調整された。
【0157】
試験物質投与前(1日目)、また、投薬してから2、6、10、14、18、22、および26時間後の時点で、動物をチャンバ内に入れ、メタコリンへのエアロゾル刺激の開始後、換気パラメータ(1回換気量、呼吸速度、誘導分時排出量)およびenhanced pause Penhを、Buxco Electronics BioSystem XAシステムを用いて、10分間測定した。動物がチャンバ内にいる時点で、ベースラインの値は、1分間記録され、次いで、メタコリンネブライザー濃度の500μg/mLを、30秒間、エアロゾル化し、動物は、換気パラメータを連続的に評価した際、更に10分間、エアロゾルに暴露された。Penhは、気管支収縮の指標として使用され、Penhは、ピーク吸気流、ピーク呼気流、および呼気時間から得られた誘導値である。Penh=(ピーク呼気流/ピーク吸気流)*(呼気時間/呼気容量の65%を呼気するため時間−1)。
【0158】
メタコリン刺激の事前投与時、重症の急性気管支収縮を示さなかった動物は、差し替えられた。投与してから2時間後、それらのベースラインPenhPenes値の少なくとも75%を示す、どの動物も、データ分析には含まれなかった。呼吸パラメータは、20秒法として記録された。非生理的であると見なされたデータは、更に分析から除外された。Penhの変化は、15分間にわたりプロットされ、Penh値は、濃度曲線下面積として表された。数値データは、群平均値および標準偏差(規定通りに)の算出がなされた。
【0159】
結果。本実験からの結果は、アルブテロールの不在下で、本発明の界面動電的に生成された流体の投与は、26時間まで測定した際、ベースライン%平均のPenH値における明らかな効果がなかったことを示した。しかしながら、驚いたことには、本発明の界面動電的に生成された流体中で製剤化されたアルブテロールの投与(25μgのアルブテロール/動物群に対して代表的なデータを示す)(試験した全ての酸素レベルで;周囲、20ppm、40ppm、および60ppm)は、対照流体と比較して、アルブテロールの抗気管支収縮作用の顕著な延長を生じた。つまり、メタコリンの結果は、少なくとも26時間で、アルブテロールの気管支拡張の延長を示した。出願者はまた、RDC1676と生理食塩水対照との間の全ての酸素レベルで一貫した差異があったことを示した。全て4つのRDC1676流体を合成すると、全処置と生理食塩水との差異であるp値は、0.03であった。
【0160】
したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された溶液は、アルブテロールとの相乗的延長作用を提供し、故に、患者のアルブテロール使用量の軽減を提供し、更に効率的な費用効率が高い薬物使用、より少ない副作用を可能にし、かつ患者が治療され、アルブテロールによる治療に反応し得る期間を増大させる。
【0161】
実施例2
(サイトカイン発現に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を示した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、対照流体と比較して、炎症性サイトカイン(IL−1β、TNF−a、IL−6、およびGM−CSF)、ケモカイン(IL−8、MIP−1a、RANTES、およびエオタキシン)、炎症性酵素(iNOS、COX−2、およびMMP−9)、アレルゲン応答(MHC クラスII、CD23、B7−1、およびB7−2)、ならびにTh2サイトカイン(IL−4、IL−13、およびIL−5)の産生を低下させ、対照流体と比較して、抗炎症サイトカイン(例えば、IL1R−α、TIMP)を増加させた。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0162】
特定の態様では、ヒト混合リンパ球は、Revalesio酸素富化流体または対照流体中のT3抗原またはPHAで刺激し、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−12(p40)、IL−12(p70)、IL−13、IL−17、エオタキシン、IFN−γ、GM−CSF、MIP−1β、MCP−1、G−CSF、FGFb、VEGF、TNF−a、RANTES、レプチン、TNF−β、TFG−β、およびNGFの変化を評価した。示されるように、試験した、炎症性サイトカイン(IL−1β、TNF−a、IL−6、およびGM−CSF)、ケモカイン(IL−8、MIP−1a、RANTES、およびエオタキシン)、炎症性酵素(iNOS、COX−2、およびMMP−9)、アレルゲン応答(MHC クラスII、CD23、B7−1、およびB7−2)、ならびにTh2サイトカイン(IL−4、IL−13、およびIL−5)は、試験流体対対照流体において、減少した。対照的に、試験した抗炎症サイトカイン(例えば、IL1R−a、TIMP)は、試験流体対対照流体において、増加した。
【0163】
さらに、出願者は、アレルギー性超過敏反応を評価するために、オボアルブミン感作を含む、当該技術分野において認識されているモデル系を使用した。研究されたエンドポイントは、反応の特定の細胞学的成分および細胞成分、ならびにタンパク質およびLDHの血清学測定であった。エオタキシン、IL−1A、IL−1B、KC、MCP−1、MCP−3、MIP−1A、RANTES、TNF−A、およびVCAMの分析を含む、サイトカイン分析を行った。
【0164】
簡潔に述べると、オスのBrown Norwayラットに、1日目、2日目、および3日目のそれぞれで1回、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)(200mg/mL)を含有する溶液(2.0mg/mL)中で0.5mLのオボアルブミン(OVA)グレードV(A5503−1G、Sigma)を腹腔内注射した。研究は、2×2要因配置無作為化(4群)の処置であった。免疫反応を生じさせるまでの2週間の待機期間後、ラットは、暴露されるか、あるいは、RDC1676−00(Revalesio社独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水)、あるいはRDC1676−01(更に添加された酸素を用いて、Revalesio社独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水)のいずれかを用いて、1週間、処置された。1日1回の1週間の処置の終了時に、2つの群は、半分に分けられ、各群において、ラットの50%は、吸入により食塩水あるいはOVA刺激のいずれかを受容した。
【0165】
具体的には、初期シリアル化してから14日後、12匹のラットを、連続7日間、毎日30分間、吸入によりRDC1676−00に暴露した。システムを通る気流速度を、10リットル/分で設定した。計12匹のラットを、噴霧物質をエアロネブの12のサブチャンバに入れ、均一に分布させる単一ポートを有する、パイチャンバ中に整列させた。
【0166】
初期シリアル化してから15日後、12匹のラットを、連続7日間、毎日30分間、超音波噴霧によりRDC1676−01に暴した。気流はまた、10リットル/分で設定され、同一のネブライザーおよびチャンバを使用した。第1に、RDC1676−00を噴霧し、RDC1676−01を噴霧する前に、エアロネブチャンバを完全に乾燥させた。
【0167】
最終の噴霧処置をしてから約2時間後、RDC1676−00群からの6匹のラットを、Penn Century Microsprayer(モデル1A−1B)を用いて、気管内注入により送達されるOVA(食塩水中1%)で、再刺激した。RDC1676−00群からの他の6匹のラットを、気管内注入により送達される対照群として食塩水で刺激した。翌日、手順をRDC1676−01群で繰り返した。
【0168】
再刺激してから24時間後、各群において全てのラットは、ペントバルビタールナトリウムを過剰摂取させることにより安楽死させた。全血サンプルは、下大静脈から採血し、2つの別個の採血管のQiagen PAXgene(登録商標)Blood RNA TubeおよびQiagen PAXgene(登録商標)Blood DNA Tubeに入れた。このモデルにおいて、肺の炎症と関連することで既知のサイトカイン発現のマーカーの変化を評価するために、肺の臓器を処置して、RT−PCRのための気管支肺胞洗浄(BAL)流体および肺組織を得た。肺の右側上の4つの肺葉の整合性を保つために、片側洗浄技術を採用した。左「大」葉を洗浄し、一方、4つの右葉は、縛られ、TRI−zol(登録商標)を直ちに入れられ、均質化され、更なる処置のために実験室に送られた。
【0169】
BAL分析。肺洗浄物を、収集し、細胞を沈殿させるために、4℃で、600〜800gで、10分間遠心分離を行った。浮遊物を、新しい管に移し、−80℃で冷凍させた。気管支洗浄液(「BAL」)を、2つのアリコートに分取した。第1のアリコートを沈降させ、浮遊物を破砕したドライアイス上で急冷凍し、−80℃中に入れ、更なる処置のために実験室に出荷した。存在するタンパク質およびLDHの量は、それぞれ、血清タンパク質のレベル(タンパク質は、本実験等の場合、刺激される際、膜を漏出する血清成分である)および細胞死を示す。独自の試験側は、対照物よりもわずかに少ないタンパク質を示した。
【0170】
気管支洗浄液の第2のアリコートは、総タンパク質およびLDH含有量について評価し、細胞学的検査に供された。処置群は、総細胞が、食塩水対照群よりも多いことを示した。更に、対照群に対して処置群において、好酸球の増加があった。対照群に対して処置群において、わずかに異なる多形核球細胞もあった。
【0171】
血液分析。1つの管に1.2〜2.0mLの血液を移すことにより、全血を分析し、少なくとも30分間、血液を凝固させた。残りの血液サンプル(約3.5〜5.0mL)は、TRI−zol(登録商標)またはPAXgene(登録商標)を用いて、RNA抽出のために保存した。次に、凝固させた血液サンプルを、室温で、1200gで、10分間、遠心分離を行った。血清(浮遊物)を除去し、2つの新しい管に入れ、血清を−80℃で保存した。
【0172】
Tri−Reagent(TB−126、Molecular Research Center,Inc.)を利用するRNA抽出に関しては、0.2mLの全血または血漿あたり20μLの5N酢酸が補完される、0.75mLのTRI Reagent BDに、0.2mLの全血または血漿を添加した。管を振盪し、−80℃で保存した。PAXgene(登録商標)を利用して、管を、約2時間、室温でインキュベートした。次いで、管をそれらの側に置き、−20℃の冷凍庫で24時間保存し、次いで、長期保存のため、−80℃へ移動させた。
【0173】
Luminex分析。Luminexプラットフォームにより、マイクロビーズ分析は、抗体関連の結合反応に対する基質として利用され、これは、光度ユニットにおいて、読み出され、定量化標準と比較することができる。各血液サンプルは、2つのサンプルとして同時に検査した。測定ユニットは、光度ユニットであり、群は、OVA刺激された対照群、OVA刺激された処置群、および食塩水刺激された独自の流体による処置群に分けられた。
【0174】
アジレント遺伝子アレイデータ生成のために、肺組織を単離し、TRI試薬(TR118、Molecular Research Center,Inc.)中に浸水した。簡潔に述べると、約1mLのTRI試薬を、各管中の50〜100mgの組織に添加した。サンプルは、ガラス製Teflon(登録商標)またはPolytron(登録商標)ホモジナイザーを用いて、TRI試薬中で均質化された。サンプルは、−80℃で保存した。
【0175】
血液サンプルからの結果。各血液サンプルは、2つのサンプルに分けられ、サンプルは、同時に検査した。測定のユニットは、光度のユニットおよび群であり、左から右に向かって、OVA刺激された対照、OVA刺激されたRevalesio処置、次いで、食塩水刺激された処置、および食塩水刺激されたRevalesio処置である。概説を容易にするために、RDC1676−01群は共に、グレー影付き背景で強調表示され、一方、食塩水対照処置群は、影なし背景である。
【0176】
概して、2つの左の群と比較すると、RDC1676−01群データの広がりは、若干大きく、一方、全体として、RDC1676−01群の特定のサイトカインレベルは、対照処置群のサンプルよりも小さく、一般に、2群間での約30%の数値の差異がある。概して、最右の2つの群を比較すると、RDC1676−01群は、RDC1676−00群と比較して、わずかに高い数値を有する。
【0177】
出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるRANTES(IL−8スーパーファミリー)のレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったと判定した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、食塩水のみで暴露された群により産生されたものと比較して、MCP−1をより低いレベルで産生させたことを示した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるTNFαのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったと判定した。
【0178】
さらに、出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるMIP−1αのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったことを示した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、食塩水のみで暴露された群により産生されたものと比較して、IL−1αをより低いレベルで産生させたことを示した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるVcamのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったことを観察した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体での処理後に産生されるIL−1βのレベルが、食塩水のみで暴露された群により産生されるものよりも低かったことを観察した。出願者は、本発明の界面動電的に改変された流体が、食塩水のみで暴露された群により産生されたものと比較して、エオタキシンおよびMCP−3をより低いレベルで産生させたことを示した。
【0179】
要約すると、既知の感作に対する炎症反応のこの標準アッセイは、少なくとも血液サンプルにおいて、著しい臨床的かつ血清学的作用を生じた。加えて、著しい数の対照動物が、プロセスにおいて、生理学的にストレスを感じ、危うく死亡するところであったが、RDC1676−01処置群のいずれも、このような臨床的なストレス効果を示さなかった。次いで、これは、RDC1676−01処置群と、OVA刺激群におけるRDC1676−01処置群との間で約30%の差異を有する、サイトカインの血中濃度において、反映された。対照的に、RDC1676−01処置群と、OVA無刺激群におけるRDC1676−01処置群との間でのサイトカイン、細胞、および血清学的プロファイルの小量、かつごくわずかな変化があり、これは、流体自体の最小限のベースラインの変化を単に示すと考えられる。
【0180】
実施例3
(T細胞増殖を調節するための本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、比較的に低下した増殖により示されるように、制御性T細胞機能を改善した。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0181】
T細胞を制御するための本明細書に開示される特定の実施形態の能力を、抗原提示細胞を照射し、抗原およびT細胞を導入することにより研究した。一般に、これらの刺激を受けたT細胞は増殖する。しかしながら、制御性T細胞の導入において、通常のT細胞増殖は、抑制される。
【0182】
方法。簡潔に述べると、選別に使用されるFITC共役型抗CD25(ACT−1)抗体は、DakoCytomation(Chicago,IL)から購入した。使用した他の抗体は、以下の通りであった。CD3(可溶条件に対してHIT3a)、GITR(PE共役型)、CD4(Cy−5およびFITC共役型)、CD25(APC共役型)、CD28(CD28.2クローン)、CD127−APC、Granzyme A(PE共役型)、FoxP3(BioLegend)、マウスIgG1(イソタイプ制御)、およびXCL1抗体。全ての抗体は、製造業者の取扱説明書に従って使用した。
【0183】
CD4+T細胞は、CD4+Rosetteキット(Stemcell Technologies)を用いて、末梢全血から単離された。CD4+T細胞は、抗CD127−APC、抗CD25−PE、および抗CD4−FITC抗体でインキュベートした。細胞は、CD4+CD25hiCD127lo/nTregおよびCD4+CD25反応性T細胞にFACSAriaを用いて、フローサイトメトリーにより選別された。
【0184】
丸底96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、抑制アッセイを行った。指示されたように、3.75×103 CD4+CD25陰性反応性T細胞、3.75×103 自己T制御性、3.75×104 同種照射CD3減損PBMCを添加した。全てのウェルは、抗CD3(5.0ug/mLで、クローンHIT3a)で補完した。T細胞は、10%ウシ胎仔血清で補完したRPMI 1640培地中で、37℃で、7日間、培養された。インキュベーションが終了する16時間前、1.0mCiの3H−チミジンを、各ウェルに添加した。プレートは、Tomtec細胞ハーベスターを用いて収穫し、3H−チミジン組み込みは、Perkin Elmerシンチレーションカウンターを用いて決定した。抗原提示細胞(APC)は、StemSepヒトCD3+T細胞枯渇(StemCell Technologies)、次いで、40Gyの照射を用いて、T細胞から枯渇した末梢血単核細胞(PBMC)からなった。
【0185】
制御性T細胞は、抗CD3および抗CD28条件で刺激を受け、次いで、Live/Dead Red生存能の染色(Invitrogen)、ならびに表面マーカーCD4、CD25、およびCD127で染色した。細胞は、Lyze/Fix PhosFlow(登録商標)緩衝液中で固定し、変性Permbuffer III(登録商標)中で透過した。次いで、細胞をそれぞれの特定の選択された分子に対して抗体で染色した。
【0186】
GraphPad Prismソフトウェアを用いて、統計的分析を行った。両側不対スチューデントt検定を使用することにより2群間の比較を行った。1方向ANOVAを使用することにより3群間の比較を行った。0.05未満のP値が、有意であると見なされた(両側)。2群間の相関は、r値が、0.7を上回るか、または−0.7未満である場合、スピアマン係数を介して統計的に有意であることを決定した(両側)。
【0187】
結果。制御性T細胞の増殖は、ディーゼル排出微粒子状物質(EPAからのPM)で細胞を刺激することにより研究された。出願者は、PM(Revなし、Solisなし)で刺激された細胞が分泌されたIL−10の低下を生じた一方で、本開示の流体の存在下で、PMに曝露される細胞(「PM+Rev」)は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された産生またはわずかに低下した産生を生じたと判定した。更に、ジフテリア毒素(DT390、先端ジフテリア毒素分子;標準市販濃度の1:50の希釈)を、本発明の流体サンプルに滴定し、IL−10の増加のRev媒介された効果を遮断した。Revのみによる処置が、食塩水および培地対照と比較して、より高いIL−10レベルを生じたことに留意されたい。同様の結果を、それぞれ、GITR、Granzyme A、XCL1、pStat5、およびFoxp3で得た。
【0188】
出願者はまた、トリプターゼを評価する末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)から得られる、AA PBMCデータを得た。AA PBMCデータは、粒子状物質(PM)で刺激された細胞が、高レベルのトリプターゼを示した際、上記のT制御性細胞データと一致したが、一方、本開示の流体の存在下で、PMによる処置した細胞(「PM+Rev」)は、食塩水および培地対照のものと同様に有意に低いトリプターゼレベルを生じた。T制御性細胞からのデータと一致して、DT390への暴露は、トリプターゼレベルにおけるRev媒介効果を遮断し、PMのみ(−Rev、Revなし、Solasなし)に見られたように、細胞中に上昇したレベルのトリプターゼを生じた。Revのみによる処置は、食塩水および培地対照と比較してより低いトリプターゼレベルを生じた。
【0189】
要約すると、出願者は、対照流体中のPM(Revなし、Solasなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、増殖の低下を観察し、アッセイにおいて、比較的に低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevが、制御性T細胞機能を改善したことを示す。更に、証拠は、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断がTreg機能におけるReveraの活性に影響を及ぼすことを示す。
【0190】
実施例4
(本発明の界面動電的に改変された流体とブデソニドとの間の相乗効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、アレルギー喘息に対する当該技術分野において認識されている動物モデルにおいて、インビボでブデソニドを用いて、相乗抗炎症効果を提供した。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0191】
出願者は、最初に、Brown Norwayラットオボアルブミン感作モデルにおいて、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC−1676−03)の気道抗炎症特性を評価するために実験を行った。Brown Norwayラットは、気道機能における試験材料の効果を決定するための当該技術分野において認識されているモデルであり、この系統は、例えば、アレルギー喘息のモデルとして幅広く使用されている。このモデルにおいてオボアルブミン感作により誘発された気道病変および生化学的変化は、ヒトに観察されたものと類似している(Elwood et al.,J Allergy Clin Immuno 88:951−60,1991、Sirois & Bissonnette,Clin Exp Immunol 126:9−15,2001)。吸入経路は、試験材料または対照溶液への肺暴露を最大限にするように選択された。オボアルブミン感作動物は、オボアルブミン刺激する前の7日間、ブデソニド単独で、または試験材料RDC 1676−03と組み合わせて、処置された。刺激してから6時間および24時間後、全血数ならびに幾つかの炎症性および抗炎症サイトカインのレベル、ならびに様々な呼吸パラメータを測定して、様々な炎症性パラメータにおける試験材料を投与する任意の有益な効果を推定した。
【0192】
材料および方法:
実験の開始時で、約275±50gの体重がある、Brown Norwayラットの系統Bn/Crlを、Charles River Kingstonから取得した。全ての動物研究は、PCS−MTL Institutional Animal Care and Use Committeeによる承認を得て行われた。研究時、動物の使用およびケアは、USA National Research CouncilならびにCanadian Council of Animal Careのガイドラインに従って行われた。
【0193】
感作。実験の1日目に、動物(各処置群において14匹の動物)は、1mLの0.9% 塩化ナトリウムあたり2mg オボアルブミン/100mg 水酸化アルミニウムの新しく調製された溶液の1mLの腹腔内注射の投与により感作され、次いで、3日目に注射を繰り返した。
【0194】
処置。処置初期感作から15日後、動物に、対照(生理食塩水)または試験溶液(界面動電的に生成された流体RDC1676−00、RDC1676−02、およびRDC−1676−03)への噴霧暴露を施し、連続7日間、1日1回15分間、単独で、またはブデソニドと組み合わせて投与した。動物は、約20Lの全身チャンバ中で投薬され、試験環境は、Buxcoバイアス流動ポンプからの空気が供給されたエアロネブ超音波ネブライザーを用いて、チャンバの空気入口に生成された。気流速度は、10リットル/分で設定された。
【0195】
オボアルブミン刺激。21日目に、試験溶液で処置してから2時間後、全ての動物は、1% オボアルブミン噴霧溶液で、15分間、刺激された(気流2L/分で全身チャンバ中)。
【0196】
サンプル収集。オボアルブミン刺激してから6および24時間の時点で、血液サンプルは、全および差動血液細胞数、ならびに様々な炎症性および抗炎症サイトカインのレベルを測定するために、採血された。加えて、オボアルブミン刺激してから6および24時間直後、enhanced pause Penhおよび1回換気量を、Buxco Electronics BioSystem XAシステムを用いて、10分間測定した。
【0197】
結果:
好酸球数:予想されるように、ブデソニドによる処置(「NS+ブデソニド750μg/Kg」;細かい斜線の棒グラフ)は、生理食塩水「NS」単独での対照による処置と比較して、刺激された動物における全好酸球数を低下させた。追加として、本発明の流体「RDC1676−03」単独による処置は、好酸球数を有意に低下させなかったが、それでもなお、好酸球数を低下させる際、ブデソニドとの実質的な相乗効果(「RDC1676−03+ブデソニド750μg/Kg」)を示した。同様に、好酸球率はまた、同様の傾向を示した。RDC1676−03またはブデソニド750ug/kg単独では、刺激された動物において、好酸球率において有意な効果を有さなかったが、組み合わせた2つは、好酸球率を有意に低下させた。
【0198】
したがって、出願者は、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RDC1676−03)は、ヒトアレルギー喘息に対する当該分野において認識されているラットモデルにおいて、好酸球数(「好酸球率」および全数)を有意に低下させるように、ブデソニドと組み合わせて、実質的な相乗的有用性を有すると判定した。
【0199】
呼吸パラメータ:
出願者はまた、オボアルブミン刺激から6および24時間後、直後に測定されるように、Penhおよび1回換気量における試験流体の観察された効果を示した。Penhは、ピーク吸気流、ピーク呼気流、および呼気時間から得られた誘導値であり、penh値の低下は、肺機能の有益な結果を反映する。
【0200】
Penh=(ピーク呼気流/ピーク吸気流)*(呼気時間/呼気容量の65%を呼気するため時間−1)。
【0201】
ブデソニド(500および750ug/kgの双方で)単独での、または試験流体のいずれかとの組み合わせによる処置は、刺激直後のPenh値に有意に影響を及ぼさなかった。しかしながら、刺激から6時間後、RDC1676−03単独での、またはブデソニド500もしくは750ug/kgと組み合わせによる処置を行った動物は、Penh値の大幅な低下を示した。この低下の範囲は、刺激してから24時間後には消失したが、ブデソニドおよびRDC流体の相乗効果の傾向は、この時点で更に観察された。
【0202】
1回換気量は、呼気終末位から吸気中の肺に吸い込まれる空気容量であり、これは、安静呼吸の間の呼気中、受動的に肺を排気される。ブデソニド単独により処置される動物は、刺激直後、1回換気量の変化がないことを示した。しかしながら、RDC1676−03単独では、この初期時点でさえ、1回換気量における有意な促進効果があった。さらに、ブデソニド(500および750ug/kgの双方)と組み合わせたRDC1676−03は、この時点で、1回換気量の測定における更になお顕著な効果があった。刺激から6時間後、RDC1676−03単独では、1回換気量の有意な増加を生じるのに十分であり、単独で、または組み合わせた、治療レジメンへのブデソニドの添加は、1回換気量における更なる効果がなかった。しかしながら、これらの早期時点で観察された任意の効果は、24時間の時点までに消失した。
【0203】
総合すれば、刺激してから6時間後、1回換気量の増加およびPenh値の低下により証明されるように、これらのデータは、RDC1676−03単独で、またはブデソニドと組み合わせて、気道炎症の著しい緩和を提供したことを示す。
【0204】
サイトカイン分析:
上記で論じられた生理学的パラメータに見られる効果の機構を分析するために、多数の炎症性ならびに抗炎症サイトカインは、刺激してから6および24時間後、次いで、生理学的測定の直後、採血された血液サンプルにおいて測定された。
【0205】
出願者は、Rev 60(またはRDC1676−03)単独では、刺激してから6および24時間後の双方で、有意にエオタキシンの血液レベルを低下させたことを観察した。ブデソニド750ug/kgはまた、これらの時点の双方で、血液エオタキシンレベルを軽減したが、一方、ブデソニド250ug/kg単独は、後の時点で、顕著な効果があった。しかしながら、試験溶液Rev 60単独では、双方の時点で、ブデソニドの双方の濃度よりも更に著しく強力な(血液エオタキシンレベルを低下させる際)効果を示した。エオタキシンは、喘息の肺およびアレルギー反応における他の組織(例えば、クローン病の腸)に好酸球を蓄積し、かつ好酸球を誘引することで知られている、小量のC−Cケモカインである。エオタキシンは、Gタンパク質共役型受容体CCR3に結合する。CCR3は、Th2リンパ球、好塩基球およびマスト細胞等の多くの細胞型により発現されるが、Th2リンパ球によるこの受容体の発現は、これらの細胞が、好酸球動員を調節する際、特定の対象となる。幾つかの研究は、喘息肺における、エオタキシンおよびCCR3の産生増加、ならびにこれらの分子と気道過敏性との間の関連を構築することを示している(Eotaxin and the attraction of eosinophils to the asthmatic lung,Dolores M Conroy and Timothy J Williams Respiratory Research 2001,2:150−156において総説)。
【0206】
総合すれば、これらの結果は、RDC1676−03単独での、またはブデソニドと組み合わせた処置が、オボアルブミン刺激から24時間後、総好酸球数および血中濃度を著しく低下させることができることを強く示唆する。これは、刺激してから早ければ6時間後に観察された、血液中のエオタキシンレベルの大幅な低下と相関する。
【0207】
2つの主要な抗炎症サイトカインである、IL10およびインターフェロンγの血液レベルはまた、Rev 60単独での、またはブデソニドと組み合わせた処置の結果として、刺激してから6時間後に、著しく増強される。出願者は、インターフェロンγおよびIL10における効果を、それぞれ観察した。Rev60単独で、またはブデソニド250ug/kgと組み合わせたRev60は、刺激してから最長6時間、刺激された動物において、IL10の血液レベルを著しく増加させた。同様に、Rev 60単独で、またはブデソニド250ug/kgもしくは750ug/kgと組み合わせたRev 60は、刺激してから6時間後、IFNγの血液レベルを著しく増加させた。これらの抗炎症サイトカインの増加は、刺激してから6時間後に見られる、生理学的呼吸パラメータに見られる有益な効果を、少なくともある程度、十分に説明し得る。これらのサイトカインにおける効果は、刺激してから24時間後、もはや観察されなかった(データは示さず)。
【0208】
RantesまたはCCL5は、循環型T細胞により発現したサイトカインであり、T細胞、好酸球および好塩基球に対して走化性であり、炎症性部位に白血球を動員するのに積極的な役割を果たす。Rantesはまた、例えば、好酸球カチオン性タンパク質を放出する好酸球を活性化する。好酸球の密度を変化させ、好酸球を低濃度にし、これは、一般的な細胞活性化の状態を示すと考えられる。Rantesはまた、好酸球に対して特異的な酸化的代謝の強力な活性剤でもある。
【0209】
出願者は、Rantesの全身レベルは、Rev 60単独で、またはブデソニド250ug/kgもしくは750ug/kgと組み合わせて処置された動物において、刺激してから6時間後、著しく低下したが、24時間後は、低下しなかったことを観察した。前と同様に、ブデソニド750ug/kgおよびRev 60の明らかな相乗効果があった。同様の下方傾向は、KCまたはIL8、MCP3、IL1b、GCSF、TGFb、ならびにNGF等の多くの他の炎症性サイトカインにおいて観察され、Rev60単独で、またはブデソニドと組み合わせて処置された動物において、刺激してから6時間後、あるいは24時間後のいずれかで観察された。
【0210】
実施例5
(細胞間密着結合に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、細胞間密着結合を調節することが示された。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0211】
特定の態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、細胞間密着結合を調節するための実質的な有用性を有し、これには、肺および全身送達と関連するもの、ならびに例示的なポリペプチドサケカルシトニン(sCT)を含む、ポリペプチドのバイオアベイラビリティが挙げられる。
【0212】
実施例の要約。サケカルシトニン(sCT)は、3,432ダルトンの分子量を有する、32個のアミノ酸ペプチドである。カルシトニンの肺送達は、モデル系(例えば、げっ歯類モデル系、ラットモデル系等)において、肺薬物送達(例えば、気管内薬物送達)を強化するための方法を調査するために、広範囲にわたって研究されている。特定の例示的な態様によれば、本発明の拡散処理された治療流体は、細胞間密着結合、例えば、ラットモデル系において、肺および全身送達と関連するもの、ならびにsCTのバイオアベイラビリティを調節する(例えば、強化する)ために実質的な有用性を有する。
【0213】
方法:
気管内薬物送達。特定の実施形態によれば、sCTは、本発明の治療流体中で製剤化され、気管内薬物送達デバイスを用いて、ラットに投与される。ある態様では、げっ歯類気管内薬物送達のために設計されたPenn Century Micro−Sprayerデバイスを使用して、良好な肺送達を可能にさせるが、当該技術分野において理解されるように、ペプチドの不良な全身バイオアベイラビリティをもたらす比較的低い肺胞沈着がある。特定の態様によれば、この当該分野において認識されているモデル系を使用して、本発明の拡散処理した治療流体が、細胞間密着結合(肺および全身送達と関連するもの、ならびにポリペプチドのバイオアベイラビリティを含む)を調節する(例えば、強化する)ために実質的な有用性を有することを確認した。
【0214】
動物群および用量。ある態様では、ラットは、以下の3つの群のうちの1つに割り付けられる(1群あたりn=6):a)滅菌食塩水、b)O2富化しない基礎液(「基礎液」)、またはc)本発明の拡散処理された治療流体(「本発明の富化ベースの溶液」)。本発明の富化ベースの溶液は、例えば、0.9% 食塩水中で酸素を注入することにより形成される。好ましくは、基礎液は、上皮細胞の低浸透圧崩壊の可能性を最小化するように、約0.9% 食塩水を含む。ある実施形態では、sCTは、基礎液および本発明の富化ベースの溶液において、別々に再構成され、60分以内で、それぞれの動物群に気道内注入により送達される(1動物あたり200μL中の10μg sCT)。
【0215】
アッセイ。特定の態様では、血液サンプル(例えば、200μL)を採取し、投薬する前、ならびに投薬してから5、10、20、30、60、120、および240分後、EDTAコーティングされた管に挿入する。血漿を、収穫し、ELISAを用いて、sCTのアッセイを行うまで、−70℃以下で保存した。
【0216】
アジレント遺伝子アレイデータ生成のために、肺組織を単離し、TRI試薬(TR118、Molecular Research Center,Inc.)中に浸水した。簡潔に述べると、約1mLのTRI試薬を、各管中の50〜100mgの組織に添加した。サンプルは、ガラス製Teflon(登録商標)またはPolytron(登録商標)ホモジナイザーを用いて、TRI試薬中で均質化された。サンプルは、−80℃で保存した。
【0217】
結果:
密着結合の強化。出願者は、RDC1676−01(更に添加された酸素を用いて、本開示の独自のデバイスを通して処理した滅菌食塩水、本開示のガス富化界面動電的に生成された流体(Rev))が、全身送達およびsCTのバイオアベイラビリティを低下させたことを観察した。特定の態様によれば、全身送達の低下は、sCTの吸着の低下に由来し、肺密着結合の強化に由来する可能性が最も高い。RDC1676−00は、本開示の方法に従って処理したが、酸素化されていない、滅菌食塩水を示す。
【0218】
追加として、特定の態様によれば、密着結合関連タンパク質は、肺組織中で上方調節された。出願者は、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4、および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)のそれぞれの上方調節を示した。
【0219】
実施例6
(全細胞伝導性に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に改変された流体は、気管支上皮細胞(BEC)において行われたパッチクランプ分析により示されるように、全細胞伝導性を減少させた。本発明の界面動電的に生成された流体(RNS−60)で灌流された気管支上皮細胞(BEC)において行われたパッチクランプ分析は、RNS−60への暴露が、全細胞伝導性の低下をもたらしたことを明らかにした。さらに、全細胞伝導性を劇的に増加させたcAMP刺激「カクテル」での刺激はまた、全細胞伝導性の薬物感受性部分も増加させ、これは、基本条件下で観察されたものよりも10倍高かった。本実施例に開示される結果は、出願者の国際公開第2009/055729号にも開示されている。
【0220】
パッチクランプ研究を行い、膜構造、膜電位、または膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、ならびにカルシウム依存性細胞伝達システムのうちの少なくとも1つの調節により細胞内シグナル変換を調節するための本発明の界面動電的に生成された流体の有用性を更に確認した。
【0221】
要約。出願者は、B2受容体へのブラジキニン結合は、濃度依存性であり、結合親和性は、生理食塩水と比較して、本開示の界面動電的に生成された流体(例えば、Rev、ガス富化した界面動電的に生成された流体)で増加したことを示した。追加として、出願者は、微粒子状物質(PM)で刺激されたT制御性細胞の文脈において、対照流体中のPM(Revなし、Solasなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、T制御性細胞の増殖の低下があり、例えば、アッセイにおいて、比較的低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevは、制御性T細胞機能を改善したことを示した。更に、本発明の流体への暴露は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された、または若干低下した産生を生じた。同様に、粒子状物質(PM)で刺激された末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイルの文脈において、データは、本開示の流体(「PM+Rev」)への暴露は、食塩水および培地対照のレベルと同様の有意に低いトリプターゼレベルをもたらすことを示した。追加として、ジフテリア毒素(DT390)効果は、β遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断が、TregおよびPBMC機能における界面動電的に生成された流体の活性に影響を及ぼすことを示す。更に、追加の態様によれば、出願者は、本発明の流体に暴露されると、密着結合関連タンパク質が、肺組織中で上方調節されたことを示した。出願者は、結合接着分子JAM2および3、GJA1、3、4、および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1)のそれぞれの上方調節を示した。パッチクランプ研究を行い、前記有用性を更に調査および確認した。
【0222】
材料および方法:
気管支上皮細胞株Calu−3は、パッチクランプ研究に使用した。Calu−3気管支上皮細胞(ATCC #HTB−55)は、実験する時まで、ガラス製のカバースリップ上に10% FBSで補完した、1:1のHam F12とDMEM培地の混合物において、増殖させた。簡潔に述べると、全細胞電圧クランプデバイスを使用して、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水、場合によっては、「薬物」と称される)に暴露された、Calu−3細胞における効果を測定した。
【0223】
パッチクランプ法を利用して、上皮細胞膜の極性およびイオンチャネル活性における試験材料(RNS−60)の効果を評価した。具体的には、全細胞電圧クランプは、135mM NaCl、5mM KCl、1.2mM CaCl2、0.8mM MgCl2、および10mM HEPES(N−メチルD−グルカミンでpHを7.4まで調整)からなる浸液中で、気管支上皮細胞株Calu−3上で行った。基礎電流は、RNS−60が細胞に灌流された後、測定された。
【0224】
更に具体的には、パッチピペットは、2段階のNarishige PB−7 vertical pullerを用いて、ホウケイ酸ガラス(Garner Glass Co,Claremont,CA)から引き上げ、次いで、Narishige MF−9マイクロフォージ(Narishige International USA,East Meadow,NY)を用いて、6〜12メガオームの抵抗までファイヤーポリッシュされた。ピペットは、135 KCl、10 NaCl、5 EGTA、10 Hepesを含有する細胞内液(mM中)で充填され、NMDG(N−メチル−D−グルカミン)を用いてpHを7.4まで調整した。
【0225】
培養されたCalu−3細胞は、以下の細胞外溶液(mM):135 NaCl、5 KCl、1.2 CaCl2、0.5 MgCl2、および10 Hepes(遊離酸)を含有する、チャンバ中に入れ、NMDGを用いてpHを7.4まで調整した。
【0226】
細胞は、Olympus IX71顕微鏡(Olympus Inc.,Tokyo,Japan)の40X DIC対物レンズを用いて見た。細胞接着型ギガシールを構築した後、軽度の吸引を適用して、全細胞構成に侵入し、全細胞構成を得た。侵入直後、細胞は、−120、−60、−40、および0mVで電圧クランプされ、±100mV間の電圧ステップ(500ms/ステップ)で刺激された。対照条件下で、全細胞電流を収集した後、同一の細胞を、上記の対照流体と同一の細胞外溶質およびpHを含む、試験流体を用いて、浴槽を通して灌流し、異なる保持電位で全細胞電流を、同一のプロトコルを用いて記録した。
【0227】
電気生理学的データは、Axon Patch 200B増幅器を用いて取得し、10kHzで低域フィルタリングして、1400A Digidata(Axon Instruments,Union City,CA)を用いてデジタル化した。pCLAMP 10.0ソフトウェア(Axon Instruments)を使用して、データを取得し、分析した。電流(I)−電圧(V)関係(全細胞伝導性)は、ステップに、約400ミリ秒で実際の電流値、対保持電位(V)をプロットすることにより得た。I/V関係の傾きは、全細胞伝導性である。
【0228】
薬物および薬品。示される時にはいつでも、細胞は、8−Br−cAMP(500mM)、IBMX(イソブチル−1−メチルキサンチン、200mM)、およびホルスコリン(10mM)を含有する、cAMP刺激カクテルで刺激された。H2O溶液中の25mM ストックからcAMP類似体8−Br−cAMP(Sigma Chem.Co.)を使用した。10mM ホルスコリンおよび200mM IBMXストック溶液の双方を含有するDMSO溶液からホルスコリン(Sigma)およびIBMX(Sigma)を使用した。
【0229】
パッチクランプの結果:
出願者は、基礎(cAMPなし)条件下で、0mVの保持電位から+/−100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により得た複合「差分」透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、少量ではあるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映する。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体)により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。過分極条件下で、全細胞伝導性の低下があった。
【0230】
さらに、出願者は、基礎条件下で、−40mVの保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により、複合差分透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、少量ではあるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映した。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体)により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。値は、0mV プロトコルを用いて得たものと比較的同様であった。
【0231】
出願者は、基礎条件下で、−60mVの保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により、複合差分透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、微量であるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映した。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。値は、0mV プロトコルを用いて得たものと比較的同様であった。
【0232】
出願者はまた、基礎条件下で、−120mVの保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を判定した。代表的な透写図(対照であり、次いで、試験溶液を灌流する間の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下での値からの試験平均値の減算により、複合差分透写図を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、双方の条件下で、高線形であり、微量であるが、試験条件による、伝導性の著しい変化を反映した。全細胞伝導性への寄与、即ち、薬物により阻害された成分はまた、線形であり、逆転電位は、ほぼ0mVであった。値は、0mV プロトコルを用いて得たものと比較的同様であった。
【0233】
さらに、出願者は、cAMP刺激された条件下で、様々な保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて得られる、全細胞電流を判定した。代表的な透写図は、n=5細胞の平均である。代表的な透写図(対照であり、次いで、cAMP刺激し、次いで、薬物含有溶液で灌流した後の全細胞透写図)は、n=12細胞の平均で作製した。対照条件下(cAMPのみ)での値からの薬物+cAMPの試験平均値の減算により、複合「差分」透写図(0mVおよび−40mVにおける電圧プロトコルに対応する)を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、全ての条件下で、高線形であり、試験条件による、伝導性の変化を反映した。
【0234】
出願は、cAMP刺激された条件下で、様々な保持電位から±100mVにステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を示した。代表的な透写図(対照であり、次いで、cAMP刺激し、次いで、薬物含有溶液で灌流した後の全細胞透写図)は、n=5細胞の平均で作製した。対照条件下(cAMPのみ)での値からの薬物+cAMPの試験平均値の減算により、複合「差分」透写図(−60mVおよび−120mVにおける電圧プロトコルに対応する)を得た。電流−電圧関係から得た全細胞伝導性は、全ての条件下で、高線形であり、試験条件による、伝導性の変化を反映した。
【0235】
出願者はまた、cAMP活性化電流における保持電位の効果を示した。全細胞伝導性における薬物(本発明の界面動電的に生成された流体、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)の効果は、異なる電圧プロトコル(0、−40、−60、−120mVの保持電位)下で観察された。基礎条件下で、薬物感受性全細胞電流は、全ての保持電位(電圧感度の低い寄与)で同一であった。しかしながら、cAMP活性化条件において、薬物感受性電流は、更に高く、印加した電圧プロトコルに対して感受性があった。電流−電圧関係は、高度に非線形である。これは、減算された電流において更に観察され、0mVでの全細胞伝導性の寄与は、各プロトコルに対して更に減算された(n=5)。
【0236】
実施例の概要。したがって、特定の態様によれば、データは、基礎条件下で、薬物(本発明の界面動電的に生成された流体、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)の少量ではあるが、一貫した効果があることを示す。全細胞伝導性における薬物の効果を増強するために、実験はまた、cAMP刺激「カクテル」での刺激後、薬物を灌流することにより行われ、これは、全細胞伝導性を劇的に増加させた。興味深いことに、このプロトコルはまた、全細胞伝導性の薬物感受性部分も増加させ、これは、基礎条件下で観測されたものよりも10倍高かった。追加として、cAMP刺激の存在下で、薬物は、様々な電圧プロトコルに対して異なる効果を示し、界面動電的に生成された流体が、全細胞伝導性の電位依存性の寄与に影響を及ぼすことを示す。伝導性の線形成分の減少もあり、これは、別の経路(例えば、イオンチャネル、電位依存陽イオンチャネル等)の阻害への薬物の少なくとも1つの寄与を更に示唆している。
【0237】
特定の態様では、機構に拘束されるわけではないが、出願者のデータは、原形質膜から遮断されるか、または回収される、チャネルの変化を生成する、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水)と一致する。
【0238】
出願者の他のデータを総合すれば、本発明の特定の態様は、膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、およびカルシウム依存性の細胞内シグナリングシステムのうちの少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これは、GPCRおよび/またはgタンパク質、ならびにTSLPが挙げられるが、これらに限定されない、膜構造(例えば、膜および/または膜タンパク質、受容体、または他の成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、例えば、個々の伝達成分の半減期等に依存して、持続し得る。
【0239】
実施例7
(全細胞伝導性に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を判定した)
要約。本発明の界面動電的に生成された流体(RNS−60およびSolas)で灌流されたCalu−3細胞において行われたパッチクランプ分析は、(i)RNS−60およびSolasへの暴露が、全細胞伝導性の増加をもたらした、(ii)RNS−60への細胞の暴露が、15分間のインキュベーション時間で明らかな、非線形伝導性の増加を生じた、および(iii)RNS−60への細胞の暴露が、カルシウム透過性チャネルにおけるRNS−60食塩水の効果を生じたことを示した。出願者は、パッチクランプ研究を行い、本明細書に記載される、全細胞電流を調節するための有用性を含む、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。2セットの実験を行った。
【0240】
第1のセットの実験のデータの概要は、Solas食塩水を用いて得た全細胞伝導性(電流−電圧関係)は、双方のインキュベーション時間(15分間、2時間)、および全ての電圧プロトコルに対して、高度な線形であることを示す。しかしながら、Solasを用いた、更に長時間のインキュベーション(2時間)が、全細胞伝導性を増加させたことは明らかである。RNS−60への細胞の暴露は、デルタ電流(Rev−Sol減算)に示されるように、非線形伝導性の増加を生じ、これは、15分間のインキュベーション時間でのみ明らかである。この非線形電流におけるRNS−60の効果は、消失し、その代わりに、2時間のインキュベーション時間での高度な線形がある。全ての電圧プロトコルで存在するが、非線形全細胞伝導性の寄与は、上で観察されるように、電圧感受性があった。
【0241】
第2のセットの実験のデータの概要は、非線形電流において、RNS−60食塩水の効果があることを示し、これは、外液中の高カルシウムにおいて明らかにされた。非線形全細胞伝導性の寄与は、電圧感受性ではあるが、双方の電圧プロトコルに存在し、カルシウム透過性チャネルにおけるRNS−60食塩水の効果を示す。
【0242】
第1のセットの実験(伝導性の増加、および非線形電圧調節された伝導性の活性化)
第1のセットの実験のための方法。一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照のこと。以下の第1のセットの実験において、パッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を用いて、0mV保持電位、−120mV、あるいは−60mVのいずれかからステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するための、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。
【0243】
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、15分間、あるいは2時間のいずれかでインキュベートされた細胞から得た、電流−電圧関係から得た。本研究において、群は、SolasあるいはRNS−60食塩水溶液に対して、既定の時間で得た。得られたデータは、5〜9個の細胞に対して、平均値±SEM全細胞電流として表す。
【0244】
結果。図3A〜Cは、2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))で、および異なる電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60およびSolas)の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。結果は、RNS−60(黒丸)は、Solas(白丸)よりも全細胞伝導性におけるより大きな効果があることを示す。実験において、同様の結果が、3つの電圧プロトコルにおいて、および15分および2時間のインキュベーション時点で見られた。
【0245】
図4A〜Cは、3つの電圧プロトコル(「デルタ電流」))(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、および2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS−60電流データからのSolas電流データの減算から生じるグラフを示す。これらのデータは、RNS−60を用いた15分間の時点で、2時間の時点で、不在する非線形電位依存性成分があることを示した。
【0246】
前の実験等の場合、「生理」食塩水を用いたデータは、参照として使用された、非常に一貫した、時間依存性伝導性を得た。本結果は、SolasあるいはRNS−60食塩水のいずれかと群を一致させることにより得られ、基礎条件(cAMPなし、または任意の他の刺激なし)下で、RNS−60食塩水へのCalu−3細胞の暴露は、時間依存性効果を生成し、より短期のインキュベーション時間(15分間)で、電圧調節された伝導性の活性化と一致することを示す。この現象は、2時間のインキュベーション時点では明らかではなかった。本明細書の他の箇所で記載されるように、線形成分は、伝導性が、cAMP「カクテル」での刺激により増加する際、更に明らかである。それでもなお、2時間のインキュベーション時間は、RNS−60およびSolas食塩水の双方に対してより高い線形伝導性を示し、この場合、RNS−60食塩水は、Solas単独と比較して、全細胞伝導性が倍になった。この証拠は、全細胞伝導性への少なくとも2つの寄与、即ち、非線形電圧調整された伝導性および線形伝導性の活性化が、RNS−60食塩水により影響を受け、これは、更に長時間のインキュベーション時間で、更に明らかである。
【0247】
第2のセットの実験(カルシウム透過性チャネルにおける効果)
第2のセットの実験のための方法。一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照のこと。以下の第2のセットの実験において、なお更なるパッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を用いて、0mVあるいは−120mVのいずれかの保持電位からステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するための、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS−60およびSolas)の有用性を更に確認した。
【0248】
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、いずれかの食塩水を用いて、15分間、インキュベートされた細胞から得た電流−電圧関係から得た。全細胞伝導性へのカルシウム透過性チャネルの寄与があるかどうか、および全細胞伝導性のこの部分が、RNS−60食塩水を用いたインキュベーションにより影響を受けるかどうかを決定するために、細胞は、インキュベーション期間後、生理食塩水中にパッチされた(高NaClの外部溶液を伴うが、内部溶液は、高KClを含有する)。次いで、外部食塩水は、NaClをCsClにより置換した溶液と置換し、主要な外部陽イオンを置換することにより、伝導性の変化があるかどうかを判定した。これらの条件下で、同一の細胞は、次いで、カルシウム入力ステップが、更に明らかにされるように、増加濃度のカルシウムに暴露された。
【0249】
結果:図5A〜Dは、異なる外部食塩水を用いて、異なる電圧プロトコルで(パネルAおよびCは、0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは、−120mVからのステッピングを示す)、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS−60(パネルCおよびD))の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。これらの実験において、15分間の一時点を使用した。Solas(パネルAおよびB)に関して、結果は、1)外部溶液として、NaClの代わりにCsCl(四角印)を用いて、対照(ひし形印)と比較した際、線形挙動と共に全細胞伝導性が増加したこと、ならびに2)20mM CaCl2(丸印)および40mM CaCl2(三角印)の双方で、CaCl2は、非線形法において、全細胞伝導性を増加させたことを示す。RNS−60(パネルCおよびD)に関して、結果は、1)外部溶液として、NaClの代わりにCsCl(四角印)を用いて、対照(ひし形印)と比較した際、全細胞伝導性における効果がほとんどなかったこと、ならびに2)40mMでのCaCl2(三角印)は、非線形法において、全細胞伝導性を増加させたことを示す。
【0250】
図6A〜Dは、Solas(パネルAおよびB)ならびにRevera60(パネルCおよびD)に対する2つの電圧プロトコルで(パネルAおよびC.0mVからのステッピング、BおよびD.−120mVからのステッピング)、20mM CaCl2(ひし形印)および40mM CaCl2(四角印)電流データからのCsCl電流データ(図5に示す)の減算から生じるグラフを示す。結果は、SolasおよびRNS−60溶液は共に、カルシウム誘発された非線形全細胞伝導性を活性化したことを示す。RNS−60(投与量反応性を示す)を用いた場合の効果が、より大きく、RNS−60を用いた場合のみ、より高いカルシウム濃度で増加した。更に、より高いカルシウム濃度で、非線形カルシウム依存性伝導性はまた、電圧プロトコルにより増加した。
【0251】
この第2のセットの実験のデータは、Calu−3細胞中で得られた全細胞伝導性データに対して、RNS−60食塩水およびSolas食塩水の効果を更に示す。データは、いずれかの食塩水を用いた15分間のインキュベーションは、全細胞伝導性における明らかな効果を生じることを示し、これは、RNS−60を用いた場合、最も明らかであり、外部カルシウムが増加する際、RNS−60食塩水は、全細胞伝導性のカルシウム依存性非線形成分を増加させることをさらに示す。
【0252】
蓄積された証拠は、イオンチャネルのRevalesio食塩水による活性化を示唆し、これは、基底細胞伝導性への異なる寄与をなす。
【0253】
出願者の他のデータ(例えば、出願者の他の実施例のデータ)を総合すれば、本発明の特定の態様は、膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、脂質成分、または細胞により置換可能な細胞内成分(例えば、カルシウム依存性の細胞シグナリングシステム等のシグナル経路)のうちの少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これには、GPCRおよび/またはgタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない、膜構造(例えば、膜および/または膜タンパク質、受容体、または他の膜成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、例えば、個々の伝達成分の半減期等に依存して、持続し得る。
【0254】
実施例8
(全細胞伝導性に対する本発明の界面動電的に改変された流体の効果を調査し、用量反応曲線を生成した)
要約。本実施例において、出願者は、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の希釈の効果を評価した。
【0255】
方法。一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照のこと。以下の実験において、パッチクランプ試験を行い、全細胞電流を調節するための、本発明の界面動電的に生成された食塩流体(RNS−60)の有用性を更に確認した。具体的に、実験は、本発明の界面動電的に生成された食塩流体の希釈の効果を評価した。溶液は、100%(Rev)、75%(3:4)、50%(1:1)、25%(4:3)、および0%(Sal)の濃度で、生理食塩水中で本発明の界面動電的に生成された食塩流体を希釈することによって作製した。
【0256】
結果。図7AおよびBは、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における、希釈された界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。パネルAは、グラフに示されるように、各希釈されたサンプルに対する全細胞伝導性の電圧対電流を示す(Rev、3:4、1:1、4:3、およびSal)。パネルBは、生理食塩水への希釈を比較する、希釈量対電流の変化を示す。結果は、RNS−60溶液の作用機構が、線形線量反応の形で生じることを示す。
【0257】
実施例9
(本発明の界面動電的に生成された流体、ならびに非界面動電的対照加圧ポット流体による一次気管支上皮細胞(BEC)の処置は、気道炎症性経路のMMP9およびTSLPの2つの主要なタンパク質の発現および/または活性の軽減を生じた)
要約。出願者は、ここで、(Bio−Layer Interferometryバイオセンサー、Octet Rapid Extended Detection(RED)(forteBio(登録商標)を用いて)、生理食塩水と比較して、本開示の界面動電的に生成された流体(例えば、Rev;ガス富化界面動電的に生成された流体)の存在下で、B2受容体へのブラジキニン結合が濃度依存性であり、結合親和性が増加したことを示している。追加として、ディーゼル排出微粒子状物質(PM、標準の市販源)で刺激されたT制御性細胞の文脈において、出願者のデータは、対照流体中のPM(Revなし、Solisなし)と比較して、PMおよびRevの存在下で、T制御性細胞の増殖の低下を示し、例えば、アッセイにおいて、比較的低下した増殖により示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体のRevは、制御性T細胞機能を改善したことを示した。更に、本発明の流体への暴露は、食塩水および培地対照(PMなし)と比較して、IL−10の維持された産生または若干低下した産生を生じた。同様に、粒子状物質(PM)で刺激された末梢血液単核細胞(PBMC)のアレルギー喘息(AA)プロファイルの文脈において、データは、本開示の流体(「PM+Rev」)への暴露は、食塩水および培地対照のレベルと同様の有意に低いトリプターゼレベルをもたらすことを示した。追加として、ジフテリア毒素(DT390、先端ジフテリア毒素分子;標準市販濃度の1:50の希釈)は、TregおよびPBMC機能への界面動電的に生成された流体の活性が機能する効果のβ遮断、GPCR遮断、およびCaチャネル遮断をもたらした。更に、出願者は、本発明の流体に暴露されると、密着結合関連タンパク質(例えば、JAM2および3、GJA1、3、4、および5(結合接着)、OCLN(オクリーディン)、クローディン(例えば、CLDN3、5、7、8、9、10)、TJP1(密着結合タンパク質1))が、肺組織中で上方調節されたことを示した。更に、パッチクランプ試験に示されるように、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS−60)は、気管支上皮細胞(BEC;例えば、Calu−3)において、全細胞伝導性の調節(例えば、過分極条件下で)に影響を及ぼし、追加の態様によれば、全細胞伝導性の調節は、イオンチャネルの調節を反映する。
【0258】
本実施例において、出願者は、気道炎症性経路の2つの主要なタンパク質の産生の効果を測定するために、追加の実験を行うことによりこれらの発見を拡大している。具体的には、MMP9およびTSLPは、一次気管支上皮細胞(BEC)においてアッセイされた。
【0259】
材料および方法:
市販の一次ヒト気管支上皮細胞(BEC)(Promocell,GermanyからのHBEpC−c)を、これらの研究のために使用した。約50,000細胞を、約80%の密集度に到達するまで、12ウェルプレートの各ウェル中に平板培養した。次いで、FACS分析のために引き上げられる前に、ディーゼル排出微粒子状物質(DEPまたはPM)と共に、1:10の希釈(1mLの気道上皮成長培地中の100μL)で、生理食塩水、対照流体Solas、非界面動電的対照加圧ポット流体、または試験流体Revera 60を用いて、細胞を、6時間処置した。MMP9およびTSLP受容体抗体は共に、BD Biosciencesから取得し、製造業者の仕様書のように使用した。
【0260】
結果:
図1および2において、DEPは、ディーゼル排出微粒子状物質(PM、標準の市販源)単独に曝露された細胞を示し、「NS」は、生理食塩水単独に曝露された細胞を示し、「DEP+NS」は、生理食塩水の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を示し、「Revera 60」とは、試験材料にのみに曝露された細胞を指し、「DEP+Revera 60」とは、試験材料Revera 60の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を指す。加えて、「Solas」および「DEP+Solas」は、それぞれ、対照流体Solas単独、または微粒子状物質と組み合わせた対照流体に曝露された細胞を示す。「PP60」は、非界面動電的対照加圧ポット流体に曝露された細胞を示し、「DEP+PP60」は、非界面動電的対照加圧ポット流体の存在下で、微粒子状物質で処置された細胞を指す(すなわち、60ppmの溶解酸素を有する)。
【0261】
図1は、試験材料Revera 60が、気管支上皮細胞(BEC)において、DEP誘発されたTSLP受容体の発現を約90%低下させることを示す。Solasは、DEP誘発されたTSLP受容体の発現の55%の低下をもたらしたが、一方、生理食塩水は、DEP誘発されたTSLP受容体の発現の同様のレベルの低下を生じなかった(約20%の低下)。更に、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発されたTSLP受容体の発現の50%の低下をもたらした。
【0262】
TSLP受容体の発現を低下させる本発明のRevera 60、Solas、およびPP60溶液の効果は、TSLPが、アレルギー喘息の病理生物学において極めて重要な役割を果たし、TSLP受容体機能の局所抗体媒介遮断がアレルギー性疾患を緩和したことを示す、近年の研究結果を考慮すると、重大な発見である(Liu,YJ,Thymic stromal lymphopoietin:Master switch for allergic inflammation,J Exp Med 203:269−273,2006、Al− Shami et al.,A role for TSLP in the development of inflammation in an asthma model,J Exp Med 202:829−839,2005、およびShi et al.,Local blockade of TSLP receptor alleviated allergic disease by regulating airway dendritic cells,Clin Immunol.2008,Aug 29.(Epub ahead of print))。
【0263】
同様に、図2は、DEP媒介されたMMP9の増加における、Revera 60、Solas、非界面動電的対照加圧ポット流体(PP60)、および生理食塩水の効果を示す。具体的には、Revera 60は、気管支上皮細胞において、DEP誘発された細胞表面結合MMP9レベルの約80%を阻害し、Solasは、約70%の阻害効果があり、一方、生理食塩水(NS)は、限界効果の約20%の低下があった。更に、非界面動電的対照加圧ポット流体PP60は、DEP誘発された細胞表面付着MMP9レベルの発現の約30%の低下をもたらした。MMP−9は、喘息において、気道炎症および気管支リモデリングに関与する主要なプロテイナーゼのうちの1つである。近年では、MMP−9のレベルは、健常な対照対象と比較して、安定した喘息に罹患する患者において、有意に増加し、急性喘息患者においてさらに高いことを示している。MMP−9は、気道炎症細胞の侵入および気道過敏性の誘発に重要な役割を果たし、MMP−9が、喘息を誘発し、保持するのに重要な役割を果たし得ることを示す(Vignola et al.,Sputum metalloproteinase−9/tissue inhibitor of metalloproteinase−1 ratio correlates with airflow obstruction in asthma and chronic bronchitis,Am J Respir Crit Care Med 158:1945−1950,1998、Hoshino et al.,Inhaled corticosteroids decrease subepithelial collagen deposition by modulation of the balance between matrix metalloproteinase−9 and tissue inhibitor of metalloproteinase−1 expression in asthma,J Allergy Clin Immunol 104:356−363,1999、Simpson et al.,Differential proteolytic enzyme activity in eosinophilic and neutrophilic asthma,Am J Respir Crit Care Med 172:559−565,2005、Lee et al.,A murine model of toluene diisocyanate−induced asthma can be treated with matrix metalloproteinase inhibitor,J Allergy Clin Immunol 108:1021−1026,2001、およびLee et al.,Matrix metalloproteinase inhibitor regulates inflammatory cell migration by reducing ICAM−1 and VCAM−1 expression in a murine model of toluene diisocyanate−induced asthma,J Allergy Clin Immunol 2003;111:1278−1284)。
【0264】
したがって、追加の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された流体は、TSLP受容体の発現を調節するため(例えば、低下させる)、ならびに/またはMMP−9の発現および/または活性を阻害するために、実質的な治療的有用性を有し、これには、例えば、炎症および喘息の治療のためを含む。
【0265】
さらなる態様によれば、非界面動電的対照加圧ポット流体(すなわち、60ppmの溶解酸素)は、TSLP受容体の発現を調節するため(例えば、低下させる)、ならびに/またはMMP−9の発現および/または活性を阻害するために、実質的な治療的有用性を有し、これには、例えば、炎症および喘息の治療のためが含まれる。機構に拘束されるわけではないが、出願者の収集データは、本システムにおける非界面動電的対照加圧ポット流体は、出願者の界面動電的に生成された流体の機構とは異なる機構によって媒介される。これは、効果が比較的小さいためだけではなく、非界面動電的対照加圧ポット流体が、出願者の界面動電的に生成された流体による活性を示す他のアッセイにおいて、活性を示さなかったためでもある。それでもなお、本システムにおける非界面動電的対照加圧ポット流体の本明細書に開示された活性の出願者の発見は、本明細書に開示されるように、喘息および関連する状態との関連におけるそのような加圧ポット流体のための新規の使用を表す。
【0266】
したがって、特定の態様に従って、出願者の界面動電的に生成された流体の投与を含む本発明の方法は、免疫系の疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、および食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、ならびに乾癬からなるTSLP媒介群から選択される、少なくとも1つの疾病または状態の治療に適用可能である調節(TSLP発現および/または活性の下方制御)を提供する。
【0267】
本明細書に開示される結果は、上皮細胞−DCの干渉におけるアレルギー性炎症のマスタースイッチとしのTSLPの当該技術分野において認識されている役割と完全に一致しており(Yong−Jun et al.,J.Exp.Med.,203:269−273,2006)、TSLPRに欠けているマウスの表現型とさらに一致しており(例えば、吸入抗原に反応して、喘息を発症しない;Zhou et al.、上記を参照、およびAl−Shami et al.,J.Exp.Med.,202:829−839,2005)、結果は、抗TSLPRでOVA−DCを前処理することから得られた(例えば、好酸球およびリンパ球浸潤、ならびにIL−4およびIL−5レベルの有意な低下をもたらす)。
【0268】
現在開示される対象物はさらに、TSLPRがDCに感作されたアレルギー性疾患において果たす役割を明らかにし、出願者の界面動電的に生成された流体の投与を含む新規の組成物および方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、界面動電的に改変された水性流体の投与を含む、治療有効量の界面動電的に改変された水性流体の、それを必要とする哺乳動物への投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法。
【請求項2】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、前記流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、前記イオン水性流体中に安定的に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、前記流体中で主要な帯電安定化したガス含有ナノ構造種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造として、前記流体中に存在する溶解した酸素分子の割合は、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
全ての溶解酸素は、前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造に実質的に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、および5nm未満からなる群から選択される大きさより小さい平均直径を実質的に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン水溶液は、食塩溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流体は、超酸素化である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記流体は、溶媒和電子の形態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記界面動電的に改変された水性流体の改変は、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への前記流体の曝露を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記局在界面動電効果への曝露は、電圧パルスおよび電流パルスのうちの少なくとも1つへの曝露を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への前記流体の曝露は、前記流体を生成するために使用されるデバイスの界面動電効果を誘起する構造特性への前記流体の曝露を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、免疫系の疾病または疾患を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫系の疾病または疾患は、アレルギー性炎症を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アレルギー性炎症は、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、および食物アレルギーのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、炎症性関節炎を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記炎症性関節炎は、関節リウマチおよび乾癬のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
併用療法を含み、少なくとも1つの追加の治療剤が、前記患者に投与される、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つ追加の治療剤は、短時間作用型β2アゴニスト、長時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、全身性コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエン修飾薬、メチルキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つ追加の治療剤は、アルブテロール、レバルブテロール、ピルブテロール、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルメテロール、ならびにイプラトロピウムおよびチオトロピウム等の抗コリン作用薬を含む、β2アゴニスト;ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、メチプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、コルチコステロイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジロートンを含む、ロイコトリエン修飾薬;クロモリンおよびネドクロミルを含む、マスト細胞安定剤;テオフィリン、イプラトロピウムおよびアルブテロール、フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびホルモテロールを含む複合薬を含む、メチルキサンチン;ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、およびヒドロコルチゾンを含む、抗ヒスタミン剤;タクロリムスおよびピメクロリムスを含む、免疫系修飾剤;シクロスポリン;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;ならびにそれらの組み合わせからなる気管支拡張薬からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つ追加の治療剤は、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤は、2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化するTSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチドを含む、TSLPおよび前記TSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびにTSLP受容体融合タンパク質からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、膜結合タンパク質もしくは構成成分の立体配座、リガンド結合活性、および触媒活性のうちの少なくとも1つを改変することを含む、細胞膜構造または機能のうちの少なくとも1つを改変することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、インテグリン等からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記膜貫通受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、Gタンパク質aサブユニットと相互作用する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記Gタンパク質aサブユニットは、Gas、Gai、Gaq、およびGa12からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのGタンパク質aサブユニットは、Gaqである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、全細胞伝導性を調節することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
全細胞伝導性を調節することは、前記全細胞伝導性の線形および非線形の電圧依存性寄与のうちの少なくとも1つを調節することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、ホスホリパーゼC活性の調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、免疫系の疾病または疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、および乾癬からなる群から選択される少なくとも1つの状態または症状に関連する、細胞内シグナル変換の調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
細胞ネットワークまたは層への前記界面動電流体の投与を含み、その中の細胞間結合の調節を更に含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞間結合は、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソームからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞ネットワークまたは層は、肺上皮、気管支上皮、および腸上皮からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、前記流体中の前記酸素は、大気圧で、少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素の量で存在する、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子、および界面動電的に修飾された、または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒和電子、または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種の形態は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記界面動電的に改変された水性流体は、分子酸素により、安定化された溶媒和電子の形態を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節する前記能力は、密閉された気密性容器内において、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、またはそれ以上の期間持続する、請求項2に記載の方法。
【請求項43】
前記界面動電的に改変された流体の帯電安定化した酸素含有のナノ構造中に存在する酸素の量は、大気圧で少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素である、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
治療は、局所、吸入、鼻腔内、および静脈内のうちの少なくとも1つによる投与を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
約100ナノメートル未満の平均直径を実質的に有し、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するのに十分な量において、イオン水性流体中に安定的に構成される、帯電安定化した酸素含有のナノ構造のイオン水溶液を含む、界面動電的に改変された水性流体の投与を含む、治療有効量の界面動電的に改変された水性流体の、それを必要とする哺乳動物への投与を含む、TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態を治療するための方法。
【請求項2】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、前記流体により生細胞に接触した際に、細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節を提供するのに十分な量において、前記イオン水性流体中に安定的に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、前記流体中で主要な帯電安定化したガス含有ナノ構造種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造として、前記流体中に存在する溶解した酸素分子の割合は、0.01%、0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、および95%超からなる群から選択される割合である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
全ての溶解酸素は、前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造に実質的に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記帯電安定化した酸素含有のナノ構造は、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、および5nm未満からなる群から選択される大きさより小さい平均直径を実質的に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン水溶液は、食塩溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記流体は、超酸素化である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記流体は、溶媒和電子の形態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記界面動電的に改変された水性流体の改変は、流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への前記流体の曝露を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記局在界面動電効果への曝露は、電圧パルスおよび電流パルスのうちの少なくとも1つへの曝露を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流体力学的に誘起された、局在界面動電効果への前記流体の曝露は、前記流体を生成するために使用されるデバイスの界面動電効果を誘起する構造特性への前記流体の曝露を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、免疫系の疾病または疾患を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫系の疾病または疾患は、アレルギー性炎症を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アレルギー性炎症は、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、および食物アレルギーのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記TSLP媒介またはTSLPR媒介疾病または状態は、炎症性関節炎を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記炎症性関節炎は、関節リウマチおよび乾癬のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
併用療法を含み、少なくとも1つの追加の治療剤が、前記患者に投与される、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つ追加の治療剤は、短時間作用型β2アゴニスト、長時間作用型β2アゴニスト、抗コリン作用薬、コルチコステロイド、全身性コルチコステロイド、マスト細胞安定剤、ロイコトリエン修飾薬、メチルキサンチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つ追加の治療剤は、アルブテロール、レバルブテロール、ピルブテロール、アルホルモテロール、ホルモテロール、サルメテロール、ならびにイプラトロピウムおよびチオトロピウム等の抗コリン作用薬を含む、β2アゴニスト;ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、メチプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンを含む、コルチコステロイド;モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジロートンを含む、ロイコトリエン修飾薬;クロモリンおよびネドクロミルを含む、マスト細胞安定剤;テオフィリン、イプラトロピウムおよびアルブテロール、フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニドおよびホルモテロールを含む複合薬を含む、メチルキサンチン;ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、およびヒドロコルチゾンを含む、抗ヒスタミン剤;タクロリムスおよびピメクロリムスを含む、免疫系修飾剤;シクロスポリン;アザチオプリン;ミコフェノール酸モフェチル;ならびにそれらの組み合わせからなる気管支拡張薬からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つ追加の治療剤は、TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記TSLPおよび/またはTSLPR拮抗剤は、2つ以上の受容体鎖の構成成分をコード化するTSLPR免疫グロブリンFc分子またはポリペプチドを含む、TSLPおよび前記TSLP受容体に特異的な中和抗体、可溶性TSLP受容体分子、ならびにTSLP受容体融合タンパク質からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、膜結合タンパク質もしくは構成成分の立体配座、リガンド結合活性、および触媒活性のうちの少なくとも1つを改変することを含む、細胞膜構造または機能のうちの少なくとも1つを改変することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記膜結合タンパク質は、受容体、膜貫通受容体、イオンチャネルタンパク質、細胞内付着タンパク質、細胞接着タンパク質、インテグリン等からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記膜貫通受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、Gタンパク質aサブユニットと相互作用する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記Gタンパク質aサブユニットは、Gas、Gai、Gaq、およびGa12からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのGタンパク質aサブユニットは、Gaqである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、全細胞伝導性を調節することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
全細胞伝導性を調節することは、前記全細胞伝導性の線形および非線形の電圧依存性寄与のうちの少なくとも1つを調節することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、カルシウム依存性の細胞伝達経路またはシステムの調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、ホスホリパーゼC活性の調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、アデニル酸シクラーゼ(AC)活性の調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つの調節は、免疫系の疾病または疾患、アレルギー性炎症、アレルギー性気道炎症、DC媒介炎症Th2反応、アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、喘息、閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、IgE媒介疾患、鼻炎結膜炎、食物アレルギー、炎症性関節炎、関節リウマチ、および乾癬からなる群から選択される少なくとも1つの状態または症状に関連する、細胞内シグナル変換の調節を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
細胞ネットワークまたは層への前記界面動電流体の投与を含み、その中の細胞間結合の調節を更に含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞間結合は、密着結合、ギャップ結合、接着帯、およびデスモソームからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞ネットワークまたは層は、肺上皮、気管支上皮、および腸上皮からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記界面動電的に改変された水性流体は、含酸素であり、前記流体中の前記酸素は、大気圧で、少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素の量で存在する、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記界面動電的に改変された水性流体は、溶媒和電子、および界面動電的に修飾された、または荷電された酸素種のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒和電子、または界面動電的に修飾された、もしくは荷電された酸素種の形態は、少なくとも0.01ppm、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.5ppm、少なくとも1ppm、少なくとも3ppm、少なくとも5ppm、少なくとも7ppm、少なくとも10ppm、少なくとも15ppm、または少なくとも20ppmの量で存在する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記界面動電的に改変された水性流体は、分子酸素により、安定化された溶媒和電子の形態を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
細胞膜電位および細胞膜伝導性のうちの少なくとも1つを調節する前記能力は、密閉された気密性容器内において、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、またはそれ以上の期間持続する、請求項2に記載の方法。
【請求項43】
前記界面動電的に改変された流体の帯電安定化した酸素含有のナノ構造中に存在する酸素の量は、大気圧で少なくとも8ppm、少なくとも15ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも40ppm、少なくとも50ppm、または少なくとも60ppmの酸素である、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
治療は、局所、吸入、鼻腔内、および静脈内のうちの少なくとも1つによる投与を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2012−506451(P2012−506451A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533341(P2011−533341)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/061710
【国際公開番号】WO2010/048425
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(510115775)レバレジオ コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/061710
【国際公開番号】WO2010/048425
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(510115775)レバレジオ コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
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