説明

胸部癌の検出のための方法

本発明は、胸部の新形成、前癌性状態または癌のための単純スクリーニング検査に関する。方法は、胸部マーカーが胸部の流体において検出されるかによって説明される。特定の実施形態において、この方法は、胸部の流体のサンプルを一切の前洗浄無しでアルデヒド検出試薬で処理する工程を包含する。胸部流体におけるマーカーの出現は、アルデヒド検出試薬(例えば、シッフ試薬)によって検出され、流体が得られた胸部癌被験体の疾患状態と非常に相関する。スクリーニング検査キットもまた、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は胸部癌についての単純スクリーニング検査に関する。方法は、胸部癌マーカーが胸部流体において検出されることによって説明される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
胸部癌は、2001年に合衆国単独でおよそ192,000の新しい診断症例を有する北アメリカの女性において最も一般的な非皮膚癌である。胸部癌はまた、男性においても出現するが、稀である:女性における発生率の約1%。長期の癌統計が利用可能であるコネティカット州において、1940年代〜1980年に胸部癌は1年につき約1%増加した。マンモグラフィーによるスクリーニングの使用拡大に関連して、1982年と1987年の間に、胸部癌は1年につき4%増加した(1−4)。
【0003】
この高い発生率に起因して、胸部癌は北アメリカの女性において癌関連死の、第二の最も一般的な原因であり、2001年に40,000人以上の癌による死亡数が推定され、すなわち、胸部癌症例の約25%が死に至る(1)。従って、胸部癌の発生および胸部癌による死亡を予防することは、北アメリカおよび胸部癌の割合が急速に増えている他の地域の住民において非常に重要な課題である。なぜなら、いったん癌が広がってしまった場合の治癒率を有意に改善する現実的な見通しは無いので、多くの専門家は、結腸大腸癌について実証されてきたように、胸部癌が予防的な処置によってのみ効果的に制御され得ると信じているからである(5)。
【0004】
胸部癌の一次的予防(すなわち、生物学的な危険要素を変更することによって腫瘍の発生を防ぐこと)は、この疾患の病因がほとんど理解されていないため、まだ実行できない。代替的に、二次的予防処置(すなわち、無症候性の、処置可能な状態での検出)は、可能であり得、効果的なスクリーニング検査が利用されるべきである。むしろ、胸部癌は、スクリーニング検査の開発のための適切な候補の特徴を有する:(1)胸部癌は、癌関連死の一般的な原因であり、そしてその罹患率はスクリーニングプログラムの費用を正当化するのに十分な高さである;(2)いったん侵襲性の癌の段階に達し、症状が誘発されると、死亡率は25%を超える;そして(3)最も早い、無症候性の段階で胸部癌を取り除くことは、一切の重大な危険を伴うことなく、限定された外科的介入によって行われ得る。さらに、胸部癌は転移し得、そして短期間において致命的に増大するので、これらの新形成を、それらが処置可能な段階で検出する機会は限られている。従って、この疾患の早期診断を可能にするスクリーニング検査は、最も重要である。
【0005】
(スクリーニングの原理)
医学的スクリーニングプログラムの目標は、疾患を治癒的処理が可能である十分に早い段階で検出することによって、死亡率を減少することである。通常、スクリーニングプログラムは、疾患を診断するようには設計されず、無症候性で、見た目には疾患の無い個体が、診断上の調査を経験すべきか否かを決定するように設計される。さらなる評価を正当な理由とする人と、正当な理由にしない人を区別するスクリーニング検査の効果は、以下の疫学的用語において表現される:感度、特異性、正の予測価、および負の予測価。感度は、陽性の検査結果を有し疾患を有する個体(真の陽性/疾患を有する全ての人)の割合として定義される;特異性は、陰性の検査結果を有し疾患を有さない被験体(真の陰性/疾患を有さない全ての人)の割合である;正の予測価は、疾患に起因する陽性の検査結果の割合(真の陽性/全ての陽性)である;負の予測価は、疾患を有さないことに起因する陰性の検査結果の割合(真の陰性/全ての陰性)である。ほとんどの場合に、感度および特異性は、互いに交換可能でなければならない。直観的に、疾患を有する人をできるだけ多く検出するために、感度を最適化するように致死の疾患についてのスクリーニング検査を設計することは賢明であるようだ。しかし、感度を最適化することは、結果として、受容できない高いコスト、乏しいコンプライアンス、および診断施設の「氾濫」を生じるといった範囲の特異性を減少させる危険を伴うことが強調されてきた。さらに、スクリーニング検査の値の特に有用な表現である陽性予測値は、特異性およびスクリーニング検査を受けた集団において疾患の出現がどれくらい一般的であるかに決定的に依存している。
【0006】
(シッフ試薬を使用するスクリーニング)
結腸大腸癌の患者から得られた結腸大腸粘膜は、Krepinskyらに対する米国特許第5,416,025号において開示されるように、シッフ試薬処理で紫色を呈する。より具体的には、Krepinskyらに対する米国特許第6,187,591号において、以下の水に不溶性であるアルデヒドからなる群より選択されるアルデヒド:一般的にパルミチン酸アルデヒドとして公知であるヘキサデカナ−ルCH(CH14CH=O;一般的にステアリン酸アルデヒドとして公知であるオクタデカナールCH(CH16CH=O;および一般的にオレイン酸アルデヒドとして公知であるオクタデカ−9−エナル(enal)、CH(CHCH=CH(CHCH=Oが、結腸大腸癌の患者において、指による直腸検査によって得られた大腸粘膜において、癌のマーカーを提供することが実証されている(Krepinskyらに対する米国特許第5,416,025号、Krepinskyらに対する米国特許第6,187,591号および7)。
【0007】
(胸部癌診断および胸部癌スクリーニングの現行の様式)
(胸部自己検査(BSE))
毎月のBSEはしばしば擁護されるが、多くの大規模な研究は、BSEの有効性についての証拠は無いと結論付けた(8)。
【0008】
(臨床的な胸部検査(CBE))
臨床的な胸部検査(健康管理従事者による)は、患者によって、または他のスクリーニング方法によって検出されない胸部癌を発見し得る(4)が、単独のスクリーニング様式として実施されたCBEの無作為化された試みは無い。CBEと他の様式とを組み合わせた研究に基づき、CBEは70%〜80%の感度および90%に近い特異性で効果的であり得る(9)。
【0009】
(マンモグラフィー)
マンモグラフィーは、胸部組織密度における違いを同定するためにX線を利用する。マンモグラフィー検査は、胸部をプラスティックのプレートと、特殊なX線フィルムを備えるX線カセットをカバーするプレートとの間にしっかりと押しつけられることにより実施される。癌組織の密度は、より高い。この違いは従来のマンモグラフィーにおいてフィルム上に直接観察され得るか、または胸部組織画像を作成するためにコンピューターにより補助される評価を使用して、デジタルマンモグラフィーにおいて観察され得る。マンモグラフィーは、物理的な検査で触診されないくらい小さい胸部癌も同定し得、そしてマンモグラフィーはまた、非侵襲性の状態であるインサイチュの腺管癌腫(DCIS)も発見する(10)。全ての癌は、一連の変異の結果として発生するので、これらの非侵襲性の病変を診断することは理論上有益である。しかしながら、マンモグラフィーでのマススクリーニングが最終的に生命を救うかどうかは、今だ論争中のテーマである。最も最近にCochrane Libraryにより出版された総説は、マンモグラフィーが長い期間において生命を救う証拠は無いと結論づけた(11−13)。
【0010】
(超音波検査)
超音波の主要な役割は、触診可能であるか、またはマンモグラフィーにより同定される塊の評価である。European Group for Breast Cancer Screeningによる文献の総覧および専門家の意見は、「任意の年齢での集団胸部癌検査において、超音波の使用を支持する証拠はほとんど無い」と結論づけた(14)。
【0011】
(磁気共鳴映像法(MRI))
MRIは触診可能な胸部塊を評価するために、ならびに癌と傷跡とを識別するために使用されてきたが、MRIの胸部癌スクリーニングにおける役割は、確立されていない(15)。
【0012】
(DNA分析)
DNA分析による胸部癌スクリーニングは、疾患の発生についての危険の増加した女性における、変更された遺伝子(例えば、BRCA1およびBRCA2)の存在に基づいている(16)。しかしながら、胸部癌の症例の大部分(約90%)は散発性であり(17)、すなわち遺伝的な関連は同定され得ず、従ってDNA分析は胸部癌を同定し得ない。
【0013】
(胸部分泌流体)
一つの胸部の腺管において疾患の開始の際に新形成的な変化が生じ、そして疾患が進行するにつれて他の腺管に影響を与え得ることと考えられている(20)。癌細胞は脱落し、腺管の流体中に入り得るので、流体の細胞学的な検査および異形型の細胞の同定は、新形成および癌の存在を検出する手段としてみなされてきた(18、21−24)。特に、乳頭液状流体を利用する多くの調査が実施され、そして胸部分泌流体の異常細胞学(19)と胸部新形成および癌との相関が報告されてきた(25−33)。しかしながら、細胞学的な分析は面倒であり、十分な数の剥離した細胞を得るためには比較的多くの量を必要とし、このアプローチはスクリーニング目的のためには実行不能である。
【0014】
結論として、胸部癌のための単純スクリーニング検査に対する必要性があり、これは単独で、または他の方法(例えば、臨床的な胸部検査またはマンモグラフィー)と組み合わせて使われ得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
出願人は、胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための新しい方法を開発した。この方法は、被験体からのサンプルにおいて、特に胸部流体のサンプルにおいて、胸部癌マーカーを検出する。特定の実施形態において、この方法は、胸部流体のサンプルを一切の前洗浄無しでアルデヒド検出試薬で処理する工程を包含する。
【0016】
この方法は、胸部の癌もしくは新形成、または胸部癌に対する素因を検出することにおいて有用であると考えられた。本発明の方法を使用すると、胸部の新形成、前癌性状態または胸部の癌を有する被験体の胸部に由来するサンプルは、アルデヒド検出試薬の添加後に検出可能な変化を示した。上記の状態をいずれも有さない被験体の胸部に由来するサンプルに対しては、検出可能な変化は検出されなかった。アルデヒド検出試薬(例えば、シッフ試薬)によって検出されるマーカーの胸部流体における出現は、流体が得られた胸部癌被験体の疾患状態と非常に良く相関すると考えられた。
【0017】
本発明の方法は、多くの利点を有する。この方法は、迅速で、単純で、安価であり、そして偽陰性または偽陽性を高い割合で生じない、胸部癌についてのスクリーニング検査を提供する。この方法は、疾患の早期検出を容易にし、そして大きな集団のスクリーニングのために使用され得る。新形成に対する高い感度に起因して、本発明の方法は、マンモグラフィーに置き換わり得、またはマンモグラフィーを受ける患者の数を減少させ得る。新しい医薬(例えば、フェマラ)と組み合わせた、本明細書に開示されるスクリーニング工程によって可能となる疾患の早期診断は、疾患の根本の予防(37)はまだ可能ではないが、胸部癌による死者の数を有意に低くし得る。
【0018】
概して言えば、本発明は、胸部癌について無症候性の個体をスクリーニングするための手段、および最終的に胸部癌となる胸部における早期の変化を検出するスクリーニング検査を提供する。
【0019】
本発明の一つの局面において、被験体における胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための方法が提供され、この方法は、被験体からの胸部流体のサンプルをアルデヒド検出試薬で処理する工程を包含し、ここで、コントロール(例えば、正常な被験体)と比較して、アルデヒド検出試薬によって生成された変化の検出が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である。変化が無いことは、この被験体が胸部の新形成、前癌性状態または癌を有さないことを示し得る。
【0020】
本発明の一つの局面において、以下の工程
(a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
(b)サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
(c)サンプルを一切の前洗浄無しでアルデヒド検出試薬で処理する工程;および
(d)サンプルにおいて生成された比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、コントロールと比較して比色定量的な変化の検出が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である、工程、
を包含する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の局面において、以下の工程:
(a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
(b)サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
(c)サンプルを一切の前洗浄無しでアルデヒド検出試薬で処理する工程であって、ここで、この試薬はサンプル中のアルデヒドと反応し、個体支持体に接着する付加物を形成する、工程;および
(d)サンプルにおいて生成された比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、コントロールと比較して比色定量的な変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である、工程、
を包含する方法が提供される。
【0022】
一つの実施形態において、このアルデヒド検出試薬はシッフ試薬であり、そしてシッフ試薬によって生成された変化は、比色定量的な変化(すなわち、紫色の呈色)である。従って、本発明は、被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
c)支持体上のサンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;および
d)サンプルとシッフ試薬との反応により生じる比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、比色定量的な変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である、工程、
を包含する。
【0023】
一つの実施形態において、本発明は、被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
c)支持体上のサンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;
d)サンプルを保有する支持体を洗浄する工程;および
e)サンプルとシッフ試薬の反応により生じる比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、比色定量的な変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である、工程、
を包含する。
【0024】
一つの実施形態において、本発明は、被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
c)支持体上のサンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;
d)サンプルにおいて生成された発色を観察する工程;
e)支持体を洗浄する工程;および
f)サンプルとシッフ試薬との反応により生じる比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、比色定量的な変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である、工程、
を包含する。
【0025】
本発明の一つの実施形態において、胸部の前癌性状態、新形成または癌の存在を検出するための方法が提供され、この方法は、被験体の胸部から胸部流体のサンプルを得る工程、サンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程、および、処理によってサンプルにおいて生成される呈色に基づき、胸部の前癌性状態、新形成または癌を検出する工程から本質的になる。
【0026】
特定の実施形態において、胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための方法が提供され、この方法は、被験体の胸部から胸部分泌物のサンプルを得る工程、このサンプルをシッフ試薬で処理する工程、および、前記処理によって前記サンプルにおいて生成される紫色の呈色に基づき、胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出する工程から本質的になる。
【0027】
本発明は、胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための方法を企図し、この方法は、以下の工程:
(a)胸部分泌物、単一の腺管分泌物を含む腺管分泌物または乳頭液状流体を含む、胸部分泌流体のサンプルを、被験体の片方または両方の非泌乳胸部の乳頭から得る工程;
(b)回収したサンプルを水に不溶性な固体支持体上に沈積する工程;
(c)支持体上のサンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;
(d)サンプルを洗浄する工程;および
(e)サンプルにおいて生成される持続性の紫色の呈色によって、胸部の新形成または癌をスクリーニングする工程、
を包含する。
【0028】
胸部流体は種々の物質、一つ以上のアルデヒドおよびアルデヒド前駆体物質(例えば、プラスマロゲン)を含み得、それらのうちの一つ以上は、それ自体が水溶性であることにより、アルデヒド検出試薬(例えば、シッフ試薬)処理前の前洗浄において取り除かれる影響を受け易いマーカーである。アルデヒド検出試薬(例えば、シッフ試薬)と反応するアルデヒドのいくつかは、支持体に強固に接着する付加体を形成し得、洗浄によって取り除かれ得ない。このアルデヒドは、水溶性の低分子量アルデヒドであり得る。このアルデヒドは、胸部の癌、新形成または前癌性状態を検出するために標的とされ得る。処理されていない胸部流体においてシッフ試薬と反応することが見出されたアルデヒドマーカーは、本明細書中で「胸部癌関連アルデヒドマーカー」または「アルデヒドマーカー」といわれる。このマーカーは、水溶性の低分子量アルデヒドとして、さらに特徴付けられ得る。本発明の特定の局面において、この用語はアルデヒドの前駆体物質を含む。アルデヒドは、胸部の癌または新形成の診断評価において、および胸部癌に対する素因を有する被験体の同定において使用され得る。
【0029】
従って、本発明は、被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための方法を提供し、この方法は、胸部癌に関連するアルデヒドマーカーを含んでいる疑いあるサンプルを被験体から得る工程、およびサンプル中のアルデヒドマーカーの存在を検出する工程を包含する。
【0030】
一つの局面において、本発明は、被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための方法を提供し、この方法は以下:
(a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
(b)サンプル中の一つ以上の胸部癌関連アルデヒドマーカーを検出する工程;および
(c)コントロールまたはスタンダードと比較する工程、
を包含する。
【0031】
コントロールまたはスタンダードは、健康なコントロール被験体からのサンプル、良性疾患を有する被験体からのサンプル、後病期疾患を有する被験体からのサンプル、またはその被験体の他のサンプルから得られた結果に対応し得る。好ましい実施形態において、コントロールまたはスタンダードは、健康なコントロール被験体または疾患を有さない被験体である。
【0032】
スタンダードに比べてアルデヒドマーカーの増加したレベルは、胸部癌の指標であり得る。本発明の方法によると、患者からのサンプル中の胸部癌に関連するアルデヒドマーカーのレベルは、コントロールから得られた同じタイプのサンプル(例えば、疾患に罹患していない個体からのサンプル)におけるマーカーの正常なレベルと比較される。コントロールにおける正常レベルと比較して、マーカーのサンプルにおいて有意に変更されたレベルは、疾患の指標である。コントロールまたはスタンダード(例えば、正常レベルまたは患者からの他のサンプルにおけるレベル)と比較して、患者サンプルにおけるマーカーの有意に変更されたのレベルまたは有意に異なるレベルは、検出アッセイの標準誤差よりも高いか、またはより低いレベルを表し得る。
【0033】
一つの実施形態において、本発明は、被験体からの胸部流体のサンプル中の胸部癌に関連する一つ以上のアルデヒドマーカーを定量化することによって、被験体における胸部の新形成、前癌性状態、または癌を検出する方法に関し、この方法は以下:
(a)サンプルをアルデヒド検出試薬で処理する工程;および
(b)アルデヒドマーカーの存在下で、アルデヒド検出試薬によって生成される検出可能な変化を測定する工程であって、ここで、コントロールと比較して該検出可能な変化の量またはレベルにおける変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である、工程、
を包含する。
【0034】
本発明はまた、胸部癌に対する複数のマーカーを使用する本明細書に記載の方法を企図する。従って、本発明は、胸部癌に関連する一つ以上のアルデヒドマーカーの存在について、および胸部癌の指標である他のマーカーの存在について、サンプルを分析するための方法を企図する。他のマーカーとしては、レセプターチロシンキナーゼのHERファミリーのメンバー、エストロゲンレセプター、インターロイキン、カドヘリン(例えば、E−カドヘリン)、BRCA1およびBRCA2が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法は、さらなるマーカーを検出するための試薬を含めることによって改変され得る。
【0035】
本発明は、被験体における胸部癌に対する治療の有効性を評価する方法にさらに関し、この方法は以下:
(a)被験体からの胸部流体の第一のサンプルを、一切の前洗浄工程無しでシッフ試薬で処理することによって生成された比色定量的な変化であって、ここで、このサンプルは治療の少なくとも一部を提供するのに先立って得られる変化;および
(b)被験体からの胸部流体の第二のサンプルを、一切の前洗浄工程無しでシッフ試薬で処理することによって生成された比色定量的な変化であって、ここで、このサンプルは治療後に得られる変化、
を比較する工程を包含する。
【0036】
第一のサンプルと相対して第二のサンプルにおける比色定量的な変化(例えば、無色)の間の有意な差は、その治療が胸部癌を阻害することに対して有効であることの指標である。
【0037】
「治療」とは、胸部癌を処置するための任意の治療であり得、治療剤、放射線、免疫療報、遺伝子治療および組織の外科的な除去が挙げられるが、これらに限定されない。従って、この方法は、治療前、治療中および治療後の被験体の評価のために使用され得る。
【0038】
一つの局面において、本発明は被験体において胸部癌の進行をモニタリングするための方法を提供し、この方法は以下:
(a)被験体から第一の時点で得られた胸部流体のサンプルを前洗浄無しでシッフ試薬で処理することによって生成される比色定量的な変化を検出する工程;
(b)工程(a)を、引き続く時点で繰返す工程;および
(c)工程(a)および工程(b)において検出される比色定量的な変化を比較し、その比較から胸部癌の進行をモニタリングする工程、
を包含する。
【0039】
本発明はまた、被験体からの胸部腫瘍を画像化するための方法に関し、この方法は以下:
(a)腫瘍を、アルデヒド検出試薬が胸部癌と関連するアルデヒドマーカーとの反応を可能にするのに十分な期間、アルデヒド検出試薬と共にインキュベートする工程であって、ここで、試薬が腫瘍を分析するための標識を保有する工程;および
(b)腫瘍に局在する標識の存在を検出する工程、
を包含する。
【0040】
本発明の一つの局面によって、被験体に試薬を投与する工程を包含するインビボ方法が提供され、この試薬は胸部癌に関連する一つ以上のアルデヒドマーカーを標的とするように構築されている。
【0041】
従って本発明は、哺乳動物に、画像化のための標識を保有し、かつ胸部癌と関連するアルデヒドマーカーに反応する一つ以上の試薬を投与する工程、およびその哺乳類動物画像化する工程を包含するインビボ方法を企図する。
【0042】
本発明の好ましい局面によって、胸部癌を画像化するためのインビボ方法が提供され、この方法は以下:
(a)被験体に、胸部癌に関連するアルデヒドマーカーに反応する試薬を注入する工程であって、この試薬が胸部癌を画像化するための標識を保有する、工程;
(b)試薬をインビボでインキュベートし、胸部癌に関連するアルデヒドマーカーと反応させる工程;および
(c)胸部癌に局在する標識の存在を検出する工程、
を包含する。
【0043】
本発明の別の実施形態において、この試薬はアルデヒドマーカーを認識する化学的実体である。
【0044】
この試薬は、アルデヒドマーカーを画像化する標識を保有する。画像化のための有用な標識の例は、放射標識、蛍光標識(例えば、フルオレセインおよびローダミン)、核磁気共鳴活性標識、ポジトロン放出断層撮影(「PET」)スキャナによって検出され得るポジトロン放出アイソトープ、化学発光体(例えば、ルシフェリン)、および酵素学的なマーカー(例えば、ペルオキシダーゼまたはリン酸塩)である。射程距離の短い放射発光体(例えば、射程の短い検出プローブによって検出可能であるアイソトープ)もまた、利用され得る。
【0045】
本発明はまた、胸部癌について複数のマーカーを使用する、本明細書に記載される局在化方法または画像化方法を企図する。例えば、胸部癌を画像化するための方法は、患者に、レセプターチロシンキナーゼのHERのメンバー、エストロゲンレセプター、インターロイキン、カドヘリン(例えば、E−カドヘリン)、BRCA1、およびBRCA2と結合する一つ以上の薬剤を注入する工程をさらに包含し得る。
【0046】
本発明はまた、本発明の方法を実施するためのキットを提供する。
【0047】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照することにより明らかとなるであろう。

(発明の詳細な説明)
本発明によると、当業者の範囲内の慣習的な生物化学技術および有機化学技術が利用され得る。このような技術は、文献において十分に説明される。他に指示の無い限り、本明細書中に使用される全ての専門用語は、本発明が属する当該分野の当業者により、一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0048】
上に言及されているように、本発明は、被験体における胸部癌を、スクリーニングするための方法、モニタリングするための方法、診断するための方法、または予後のための方法を提供する。この方法は、被験体からのサンプルをアルデヒド検出試薬で処置する工程、およびコントロールと比較してこの試薬によって生成された変化を検出する工程による。被験体からのサンプル中の、胸部癌に関連するアルデヒドマーカーを検出するための方法もまた企図される。
【0049】
用語「被験体」とは、胸部癌を罹患しているか、もしくは、胸部癌を罹患している疑いある温血の動物(例えば、哺乳動物)をいう。好ましくは、「被験体」は、人をいう。
【0050】
用語「検出すること」または「検出する」とは、胸部の癌または新形成、あるいは胸部癌に関連するアルデヒドマーカーまたはそれらの前駆体などの存在または非存在を、検定すること、定量化すること、画像化すること、または他の確証する方法、あるいは、胸部癌、転移、病期、または類似状態の一つ以上の事実上の特徴を検定すること、画像化すること、確かめること、確証することまたは他の決定するための方法が挙げられる。この用語は、診断、予後およびモニタリングの適用を包含する。この方法は、癌転移の存在を検出するために使用され得る。これらの方法は、癌の化学療法および癌の再発をモニターするために、さらに使用され得る。
【0051】
本発明の方法は、アルデヒド検出試薬に反応するマーカーを含んでいることが既知であるか、あるいは疑いあるサンプルを使用して実施される。好ましくは、このサンプルは胸部癌に関連するアルデヒドマーカーを含む。好ましくは、サンプルは被験体の胸部流体から得られる。
【0052】
「胸部流体」とは、片方または両方の非泌乳ヒト胸部内の腺管によって生成される流体をいう。腺管内の流体は、連続的に分泌され、そして種々の分泌物質および剥離した上皮細胞を集積するのに十分な長さで保持される(27−33)。この流体として、胸部乳頭分泌物、胸部乳頭液状物、圧力によって得られる流体および内視鏡的方法により回収される流体が挙げられるが、これらに限定されない。「胸部分泌物」とは、胸部内の腺管によって生成される流体で、乳頭の表面に自発的に現われる流体を意味し、これは血液を含み得る(18)。胸部分泌物は、単一の腺管の分泌物であり得る。「胸部液状物」とは、胸部内の腺管によって生成される流体で、種々の単純吸引デバイスを使用する穏やかな吸引によって、乳頭の表面に運ばれる流体を意味する。「圧力によって得られる流体」とは、胸部内の腺管によって生成される流体で、胸部に圧力(特に、ヒトの手)を適用することによって乳頭の表面に運ばれる流体を意味する。「内視鏡的方法により回収される流体」とは、胸部内の腺管によって生成される流体で、腺管内に内視鏡的デバイスを挿入することによって回収される流体を意味する(19)。
【0053】
胸部流体は、当業者に公知な慣習的方法により得られる。個体胸部からの流体の内視鏡的回収は、標準的な方法により実施される(Loveらに対する米国特許第6,221,622号;Barskyらに対する米国特許第6,168,779号;Quayらに対する米国特許第6,287,521号および同第5,798,266号を参照のこと)。乳頭表面上の腺管開口部での胸部流体の回収は、このような流体を得る非常に単純な方法である。女性によっては、女性が両手で彼女らの胸部を絞った場合に胸部流体が得られ得る−流体の液滴が乳頭上の腺管開口部に現われる。より一般的には、この流体は単純な非浸襲性のポンプを使用し、乳頭において腺管を開くことを通して、非泌乳女性の胸部から分泌され得る(Sartoriusらに対する米国特許第3,786,801号を参照のこと)。乳頭上の腺管開口部または開いている腺管に現われる液滴は、毛細管に回収されるか、あるいは、直接に個体支持体(例えば、織物支持体)上に沈積される。
【0054】
スクリーニングされた被験体からの胸部流体は、好ましくはアルデヒド検出試薬との反応前または反応後に、適切な、水に不溶性の基板または支持体(例えば、パッド状またはディスク状)上に沈積される。支持体材料は、例えば、ガラス微小繊維、ポリエステル繊維のような、いくつかのポリマー繊維(例えば、ポリマクロン[Dupont])、およびセルロースまたは改変セルロース繊維から調製され得る。適切な支持体材料は、例えば、ガラス微小繊維Whatman GF/C、BiotraceRPのようなポリマー繊維、Metricel DM 450、Metricel VM−1、Sepraphore III、Versapore 450、またはWhatman 3MMのようなセルロース繊維である。この支持体は、BHT(ブチレートヒドロキシトルエン)またはBHA(ブチレートヒドロキシアニソール)のような抗酸化剤で前処理されていてもいなくてもよい。支持体は、例えば、管状、試験板状、ウェル状、ディスク状、スフィア状などの形状であり得る。
【0055】
本発明の方法においてスクリーニングされるサンプル(例えば、胸部流体サンプル)は、サンプル中の胸部癌に関連するアルデヒドマーカーが、除去または損傷するような、前処理または改変はされるべきではない。特に、本発明の方法においてスクリーニングされるサンプルは、アルデヒド検出試薬処理に先立って、水や緩衝液のような水溶性の溶液で、処理または洗浄されるべきではない。サンプル中のアルデヒドマーカーは水溶性であり得、そしてサンプルが試薬処理に先立って洗浄される場合、取り除かれ得る。
【0056】
本発明の方法は、アルデヒド検出試薬を利用する。「アルデヒド検出試薬」とは、アルデヒドを検出可能な試薬をいい、特に混合物において胸部癌と関連するアルデヒドマーカーをいう。代表的には、この試薬は、アルデヒド基またはアルデヒド基形成化合物に特異的に反応し、呈色(すなわち、比色定量的な変化、例えば、特異的スペクトル特質、蛍光、化学発光および他の呈色により検出可能な生物学的反応)、質量スペクトル特性およびクロマトグラフ的な特質のような、適切な特質によって検出可能である。多くのアルデヒド検出試薬が、本発明の実践において使用され得る。適切なアルデヒド検出試薬は、酸性条件下でアルデヒドと共に付加成分を形成するアミノ基を含む化合物を包含し、呈色または蛍光のような検出可能な特質を有する。本発明の好ましい実施形態において、アルデヒド検出試薬はシッフ試薬である。本発明の方法において利用されるシッフ試薬は、高い感度でアルデヒドと反応し、紫色または赤紫色の着色成分を形成する(34、35)。
【0057】
シッフ試薬は、標準的な方法に従って調製され得るか、または市販の供給源から得られ得る。特に感度が良い方法、あるいは特異的な方法は、本明細書中に例示されるように調製されるシッフ試薬の使用から生じる(例えば、実施例1を参照のこと)。状況によっては、この試薬を使用前に、3℃〜5℃で4日間と6週間の間で熟成させることが望ましい。特定の実施形態において、この試薬は、室温で約4日間熟成させられる。
【0058】
サンプルは、試薬がアルデヒド(特に、胸部癌に関連するアルデヒドマーカー)の存在下で検出可能な変化を生成するのに適切な条件下で、一般的にアルデヒド検出試薬で処理される。典型的には、このサンプルはアルデヒド試薬に、約15℃〜30℃、特に20℃〜25℃で反応される。アルデヒド検出試薬は、固体支持体状に沈積しているサンプル状に噴霧され得、このサンプルが沈積している固体支持体は、アルデヒド検出試薬中に挿入され得るか、またはこのサンプルがアルデヒド検出試薬を含む固体支持体に適用され得る。検出可能な変化は、約2分と60分との間で、特に10分と20分の間で、より詳細には約20分で形成され得る。サンプルは、水溶液、好ましくは水で、余剰のアルデヒド検出試薬を取り除くのに十分な時間洗浄される。陽性反応は、持続性の検出可能な変化が検出される場合にスコア付けされる。アルデヒド検出試薬がシッフ試薬である場合、陽性反応は紫色または赤紫色の呈色が形成される場合にスコア付けされる。しかしながら、被験体の臨床的な状態(例えば、末期病期疾患)に関連し得る、異なる色の濃さが観察され得る。呈色の変化はまた、一例を挙げれば、反射プローブを使用して吸光光度法によっても検出され得る。マーカーが存在しない場合、支持体は無色のままであるが、いくらかのバックグラウンドの呈色は存在し得る。
【0059】
本発明の実施で用いる一般的な手順は、以下の通りである。
【0060】
医師、訓練を受けた看護士または被験体によって胸部から得られた乳頭液状流体サンプルは、例えば、パッド状またはディスク状の、水に不溶性である適切な基板または支持体上に沈積される。この乳頭液状流体サンプルが沈積された支持体は、噴霧器からシッフ試薬が噴霧され、そして試料は濃い赤色となる。シッフ試薬曝露20分後に、このプレートを、穏やかに揺らしながら、約10分間にわたって、約3分ごとに水を交換しながら、洗浄水に色がつかなくなるまで精製水で繰返し洗浄される。通常、水での3回の洗浄で、十分である。あるいは、支持体上に沈積される試料は、簡単にシッフ試薬中に、好ましくはわずかに約1分間挿入される;試料は濃い赤色となり、そして約20分後に、穏やかに揺らしながら、上に記載されるように、洗浄水に色がつかなくなるまで水で繰返し洗浄される。持続的な紫色の呈色が支持体上に残存する場合、陽性反応がスコア付けされる。
【0061】
標本がいかなるコロニー形成も生じない場合、それは、乳頭吸引流体に由来するそのマーカーもそれらの前駆物質も存在しないため、またはその流体の不十分な量がその支持体に沈着されたためであり得る。そのマーカーを欠く吸引流体が関与すると、赤い呈色がシッフ試薬での処理の直ぐ後に流体が沈着した場所で現れるが、その色は、呈色した標本が洗浄に繰り返し供されると、完全に除去される。その吸引流体の不十分な量が沈着される場合、弱い最初の赤い呈色がシッフ試薬での処理後に現れるが、その色は、洗浄によって除去される(上記の通り)。
【0062】
本発明に従って特定のプロセスの実施の間に、形成されたその最初の色は、シッフ試薬(そこから色素が遊離する)の分解を反映する赤色色素p−ローザニリンに起因する。この色は、水に可溶性であり、水での洗浄によって除去される。本明細書中で上記に記載されるように、そのマーカーの紫色は、水での染色によって除去することができない。
【0063】
シッフ試薬の特性は、p−ローザニリンの市販の調製物に存在する種々のアイソマーの組み合わせに従って、およびシッフ試薬自体の調製法に従って、変動し得る。適切なシッフ試薬の調製のための好ましい手順は、本明細書中に記載される。最大の感受性および安定性を有する再現可能な結果を得るために、その試薬を、使用前に室温で約4日間成熟させることが推奨される。
【0064】
その支持体(基材)は、一般に、2つの密封された矩形の硬いプラスチックプレートの間の円形開口部(1.0〜1.3cm直径)を通して曝され得る。その密封され、組み立てられたプレートの寸法は、顕微鏡用スライドの同時に起こる処理のためのその装置標準を利用することを可能にする顕微鏡用スライドの寸法であり得る。
【0065】
本発明の特定の実施形態において、その支持体は、フレームアセンブリを備える。そのフレームアセンブリは、耐酸性の硬いプラスチックから矩形の形状にされたプレートの対を備え(25mm×75mm×1mm)、クレジットカードを製造するために使用されるプラスチックに似ている。円形開口部(1.0〜1.3cm直径)は、そのプレートの3つの側面から約12.5mmにおいて中心にあるように現れる。ガラスの由来する繊維またはポリエステル繊維を含み、シッフ試薬との呈色反応を付与しないその支持織物(support fabric)は、熱によりまたは接着剤もしくは接着テープを使用してともに密着された、2つの重ね合わせられたプレートの間に配置される。その支持体は、被験体から得られる乳頭液を沈着させるために両方の側面で利用可能である;その流体は、一方の側面のみに沈着される。
【0066】
手術時に、医師または看護士は、そのプレートの開口部における支持体の表面上にその乳頭液の標本を配置する。そのプレートは、個々にまたはバッチで処理されるように実験室に移され、そのサイズは、試験の実施において利用される装置によって決定される。そのプレートは、その結果が読み取られた後に廃棄される。色は、確かであることが困難である場合、そのプレートは、後の時点で、特に1〜7日後に、読み取られ得る。
【0067】
プロセスは、本明細書中以下で、乳房の新生物、前癌、または癌の早期検出についてのスクリーニング試験として記載される。本明細書中で上記に記載されるように、そのプレートに固定され、取り扱いに便利である支持体上に、乳頭液の標本が沈着される。その沈着された標本を有するプレートは、一時的に−20℃で保存され、ドライアイスによって冷却された容器に入れて処理実験室に移される。到着した際に、そのプレートを、ドライアイス容器(この中でそのプレートが輸送され、そのような場合、保存され、長期間(例えば、6ヶ月)にわたって−70℃において冷凍庫中で、必要とされる)から取り出す。
【0068】
発色させるために、それらのプレートが保存される冷凍庫からプレートを取り出し、室温(21℃)まで加温し、それらが、シッフ試薬での処理を開始する前に、その支持体に十分に接着し得るように、その温度で少なくとも4〜5時間維持される。
【0069】
より具体的には、処理に関して、以下の方法は、適切であることが見いだされた。乳頭液を沈着させて、室温まで加温させた個々のプレートに、本明細書中上記で記載されるシッフ試薬を噴霧し、20分以内に赤色に発色させる。次いで、そのプレートを、ガラス容器で蒸留水に約3分間浸漬することによってそのプレートを洗浄し、その洗浄は、約10分の合計洗浄時間にわたって、3回繰り返される。その最後の洗浄水は、通常、無色になる。シッフ試薬に曝して約30分後、洗浄時間を含め、そのプレートは、残りの紫色を読み取ることによってスコア付けされる。
【0070】
弱陽性の試験結果は、少量の流体のみがその支持体上に存在する場合に予測されるべきことであることに注意すべきであり、従って、豊富な流体サンプルの強陽性の結果と同じ妥当性を有する。
【0071】
本明細書中に記載される方法は、胸部癌と関連するさらなるマーカーを検出する試薬を含めることによって、改変され得る。他のマーカーとしては、レセプターチロシンキナーゼのHERファミリーのメンバー、エストロゲンレセプター、インターロイキン、カドヘリン(例えば、E−カドヘリン)、BRCA1、およびBRCA2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本発明は、胸部癌と関連するアルデヒドマーカーと関連した腫瘍を画像化するための方法を提供する。本発明はまた、胸部癌についての複数のマーカーを使用して、本明細書中に記載される画像化方法を企図する。例えば、胸部癌を画像化するための方法は、胸部癌と関連する1以上のアルデヒドマーカーと反応する試薬、ならびにレセプターチロシンキナーゼのHERファミリーのメンバー、エストロゲンレセプター、インターロイキン、カドヘリン、(例えば、E−カドヘリン)、BRCA1、およびBRCA2に結合する1以上の試薬を利用し得る。特定の実施形態において、各試薬は、画像化の間に区別され得るように、標識される。
【0073】
一実施形態において、その方法は、インビボ方法であり、被験体または患者は、画像化標識を有し、かつ胸部癌と関連するアルデヒドマーカーで標的化または処理し得る1以上の試薬を投与される。その試薬は、インビボでインキュベートすることを可能にし、胸部癌と関連するアルデヒドマーカーと反応され得る。その標識の存在は、胸部癌に局在化し、その局在化した標識は、当業者に公知の画像化デバイスを使用して検出される。
【0074】
その試薬は、アルデヒドマーカーと反応する抗体または化学的実体であり得る。その試薬は、アルデヒドを画像化する標識を有する。その試薬は、放射性核種画像化における使用のために標識され得る。特に、その試薬は、放射性同位体で直接的または間接的に標識され得る。本発明において使用され得る放射性同位体の例は、以下である:277Ac、211At、128Ba、131Ba、Be、204Bi、205Bi、206Bi、76Br、77Br、82Br、109Cd、47Ca、11C、14C、36Cl、48Cr、51Cr、62Cu、64Cu、67Cu、165Dy、155Eu、18F、153Gd、66Ga、67Ga、68Ga、72Ga、198Au、H、166Ho、111In、113mIn、115mIn、123I、125I、131I、189Ir、191mIr、192Ir、194Ir、52Fe、55Fe、59Fe、177Lu、15O、191m〜191Os、109Pd、2P、33P、42K、226Ra、186Re、188Re、82mRb、153Sm、46Sc、47Sc、72Se、75Se、105Ag、22Na、24Na、89Sr、35S、38S、177Ta、96Tc、99mTc、201Tl、202Tl、113Sn、117mSn、121Sn、166Yb、169Yb、175Yb、88Y、90Y、62Znおよび65Zn。好ましくは、その放射性同位体は、131I、125I、123I、111I、99mTc、90Y、186Re、188Re、32P、153Sm、67Ga、201TI、77Br、または18Fであり、光走査デバイスで画像化される。
【0075】
放射性同位体で生物学的因子を標識する手順は、当該分野において広く知られている。Zechに対する米国特許番号4,302,438は、トリチウム標識化手順を記載する。生物学的因子(例えば、抗体、それらの結合部分、プローブまたはリガンド)をヨウ素化処理する手順は、科学技術文献(38、39)、ならびにLingに対する米国特許番号3,867,517およびDavidらに対する米国特許番号4,376,110に記載される。薬剤のためのヨウ素化処理手順は、同様に、科学技術文献(40〜42)に記載される。99mTc標識手順は、Rhodes,B.ら(43)によって記載されている。生物学的因子を111In標識するのに適した手順は、Hnatowich,D.J.ら(44,45)およびBuckley,R.G.ら(46)によって記載されている。
【0076】
試薬画像化法はまた、本発明のインビボの方法の目的のための常磁性同位体で標識される。磁気共鳴において有用である元素の例としては、ガドリニウム、テルビウム、スズ、鉄、またはそれらの同位体が挙げられる(例えば、インビボ核磁気共鳴画像化法についての論文として、参考文献47〜51を参照のこと)。
【0077】
放射性同位体標識試薬の場合、その試薬は、被験体に対して投与され得、その試薬が結合する胸部癌と関連するアルデヒドマーカーを有する腫瘍に局所化され、そして、例えば、γ線カメラを使用する核磁気走査法または放射断層法(例えば、52)のような公知の技術を用いてインビボで検出または「画像化」され得る。陽電子放出体軸方向スキャナ(例えば、ブルックヘブン国立研究所に設置されているPet VIと呼ばれるスキャナ)がまた、使用され、ここで、その放射標識は、陽電子(例えば、11C、18F、15Oおよび13N)を放出する。
【0078】
放射性同位体標識された試薬を使用する全身体画像化技術は、原発性腫瘍および転移した腫瘍の両方を位置付けるために使用され得る。アルデヒドマーカーまたそれと同じエピトープ特異性を有するそれらのフラグメントに特異的な抗体が、適切な放射性同位体またはそれらの組み合わせに結合し、そして非経口投与され得る。その標識の生物学的分布は、シンチグラフィーによってモニタされ得、そして、その標識の蓄積は、胸部癌細胞の存在に関連してる。全身体画像化法は、Haberに対する米国特許番号4,036,945およびBurchielらに対する米国特許番号4,311,688に記載されている。診断用途および治療用途に有用な試薬の他の例としては、メタロチオネインおよびフラグメント(Tolmanに対する米国特許番号4,732,864)が挙げられる。これらの試薬は、診断ステージングおよび癌の視覚化において有用であり、その結果、外科的処置および/または放射線治療プロコトルが、より効率的に使用され得る。
【0079】
本発明の方法は、キットを使用して実施され得る。キットは、支持体および本発明の方法を実施するのに必要な試薬を含む、例えば、パッケージ、カートン、チューブ、ボックス、ロール、テープまたはその他のカプセル様物体のような容器を備え得る。キットは、アルデヒド検出試薬およびサンプル中の胸部癌に関連するアルデヒドとの反応を検出する手段を備え得る。支持体を、アルデヒド検出試薬(例えば、シッフ試薬)の溶液で前処理して、それらの活性部分を保持するか、またはその容器は、別個にパッケージされた、支持体および試薬の各々を有し得るか、またはその試薬の各々は、その支持体上に配置された塩基性フクシン(fuchsin)から、使用前に生成され得る。そのキットが、インビボでの使用のために意図される場合、単位容量は、試薬の所望量および濃度を有する、滅菌コンテナ中に提供され得る。
【0080】
本発明の実施形態において、本明細書において上で定義したようなスクリーニングキットであるが、シッフ試薬の代わりに塩基性フクシンがパッケージされるものが提供される。その塩基性フクシンは、酸性条件下での塩基性フクシンとの二酸化硫黄または硫酸塩のその後の反応によるシッフ試薬の供給源として提供される。上述のものの代わりに、インサイチュで二酸化硫黄を生成する試薬も使用され得る。
【0081】
スクリーニング試験キットは、病院、医学研究室または診療所で、または病院もしくは診療所の外で、乳房の新生物形成、前癌性状態、または癌を検出するために本発明を実施する手段を提供する。
【0082】
本発明は、ここで、以下の非限定的な実施例によって例示される:
【実施例】
【0083】
(実施例1)
シッフ試薬の調製:p−ローザリン(0.2g)を、熱水(100mL)中に溶解した;室温まで冷却した後に、重亜硫酸ナトリウム(1.17g)および1N塩酸(17mL)を、連続的に添加して、そして、その溶液を、室温で4日間に亘って暗所で静置した。次いで、木炭(0.15g)を加え、十分に混合して、そして、濾過した。得られた無色の溶液は、+2℃〜+5℃で、冷蔵庫中にて長時間にわたって安定である。
【0084】
(実施例2)
サンプル乳頭液(nipple fluid)を、プレート基本構造部分上に置き、そして、冷凍庫中で−70℃にて貯蔵した。処理前に、乳頭液が配置された個々のプレートを、室温まで暖めて、5時間に亘ってその温度で維持した。次いで、それらのプレートの基本構造部分に、実施例1に記載のシッフ試薬を噴霧すると、20分間に亘り赤/紫色を呈した。次いで、これらのプレートを、ガラス容器(例えば、「Wheaton染色ディッシュ」)中に配置し、蒸留水で満たしてそして穏やかに3分間に亘って攪拌した。攪拌のために、オービタルシェイカーを65〜100RPMで使用した。その呈色洗浄溶液を、新たな蒸留水で置き換えて、その検体を保持するプレートを伴う染色ディッシュを、再度、3分間に亘って穏やかに攪拌して、その呈色した水を廃棄した。その洗浄は、約3分間毎に水を交換して、総洗浄時間10分間で3回繰り返した。通常、その最後に残った水は、洗浄の間、ずっと無色であった。次いで、シッフ試薬に対して曝露した30分後(洗浄時間を含む)に、それらのプレートは、残りの紫色を呈することによって評価される。
【0085】
(実施例3)
カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校のブレストケアクリニックに外来する30歳から52歳の間の年齢(中央値41歳)である28被験体(12人が癌であると診断されている)に由来する乳頭液(34検体)が、当業者に周知のアスピレータ(25、26)を使用して回収され、そして、トロント大学で、健常である提供者の4つの乳頭液検体を、圧力法を使用して回収した。これらの試験の結果は、胸部癌(悪性または浸潤性である、上皮内管癌腫、および上皮内小葉癌腫)に罹患していると診断された全ての被験体において陽性であった。この試験は、罹患していない被験体の殆どにおいて陰性であった。例外は、以下の通りである:高い危険性の群(例えば、胸部癌と診断された母親、姉妹;娘のような1親等の親族)からの検体は両方とも陽性である。ブレストケアクリニックに外来する2人の個人は、特定されていない理由により、試験で陽性であったが、彼女らは、いずれも、胸部癌であると診断されず、胸部癌に罹患した1親等の親族も有さなかった。
【0086】
(参考文献の列挙)
本明細書は、以下の刊行物および特許を参照し、これらの各々は、参照として本明細書中に明らかに援用される。
【0087】
【表1】




本発明は、本明細書中に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されない。なぜならこのような実施形態は、本発明の一つの局面の一つの例示として意図され、そして任意の機能的に等しい実施形態は、本発明の範囲内であるからである。実際、これらの本明細書に示されまたは記載された実施形態に加えて、本発明の種々の改変が、先の記述および添付の図面から当該者に明らかとなるであろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0088】
本明細書中に参照されるすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が特別にそして個々に、その全体において参照として援用されることを示すかのように同程度にその全体において参考として援用される。本明細書中に言及されるすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明と関連して使用され得たとここで報告される細胞株、ベクター、方法論などを記載および開示する目的のために参考として本明細書中に援用される。本明細書には、先行の発明による、このような開示の日付を早めるために本発明が権利を与えられないという承認として解釈されるものは何も無い。
【0089】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形態の「a」、「an」、および「the」は、他に特に明確に示されない限りは、複数形の対象物を含むことに、注意されるべきである。従って、例えば、「アルデヒドマーカー」との言及は、複数のこのようなアルデヒドマーカーなどを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための方法であって、該方法は、該被験体からの胸部流体のサンプルをアルデヒド検出試薬で処理する工程を包含し、ここで、コントロールと比較して、該アルデヒド検出試薬によって生成された変化の検出が、新形成、前癌性状態または癌の指標である、方法。
【請求項2】
以下の工程:
a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)該サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
c)該サンプルを一切の前洗浄無しでアルデヒド検出試薬で処理する工程;
d)該サンプルにおいて生成された比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、コントロールと比較して比色定量的な変化の検出が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である工程、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための請求項1に記載の方法であって、該方法は以下の工程:
a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)該サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
c)該支持体上の該サンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;および
d)該サンプルとシッフ試薬の反応により生じる比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、比色定量的な変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である工程、
を包含する、方法。
【請求項4】
以下の工程:
a)被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)該サンプルを固体支持体上に沈積する工程;
c)該支持体上の該サンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;
d)該サンプルを保有する該支持体を洗浄する工程;および
e)該サンプルとシッフ試薬の反応により生じる比色定量的な変化を検出する工程であって、ここで、比色定量的な変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である工程、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための請求項1に記載の方法であって、該方法は以下の工程:
a)胸部流体のサンプルを被験体の片方または両方の非泌乳胸部の乳頭から得る工程;
b)回収した該サンプルを水に不溶性な固体支持体上に沈積する工程;
c)該支持体上の該サンプルを一切の前洗浄無しでシッフ試薬で処理する工程;
d)該サンプルを洗浄する工程;および、
e)該サンプルにおいて生成される持続性の紫色の呈色によって、胸部の新形成、前癌性状態または癌をスクリーニングする工程、
を包含する、方法。
【請求項6】
前記胸部流体が、胸部分泌物、腺管分泌物または乳頭液状流体である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための方法であって、該方法は以下の工程:
該被験体から、胸部癌に関連するアルデヒドマーカーを含んでいると疑いあるサンプルを得る工程;および、
該サンプル中の該アルデヒドマーカーの存在を検出する工程、
を包含する方法。
【請求項8】
前記アルデヒドマーカーが、シッフ試薬と反応することが可能であり、比色定量的な変化を生成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルデヒドマーカーが、水溶性である低分子量アルデヒドを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための請求項7,8または9に記載の方法であって、該方法は以下の工程:
a)該被験体から胸部流体のサンプルを得る工程;
b)該サンプル中の胸部癌に関連する一つ以上のアルデヒドマーカーを検出する工程;および、
c)コントロールと比較する工程、
を包含する、方法。
【請求項11】
前記被験体からの胸部流体のサンプル中の胸部癌に関連する一つ以上のアルデヒドマーカーを定量することによって、該被験体において胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出するための請求項7,8または9に記載の方法であって、該方法は以下の工程:
a)該サンプルをアルデヒド検出試薬で処理する工程;および
b)アルデヒドマーカーの存在下で、アルデヒド検出試薬によって生成される検出可能な変化を測定する工程であって、ここで、コントロールと比較して該検出可能な変化の量またはレベルにおける変化が、胸部の新形成、前癌性状態または癌の指標である工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
胸部の新形成、前癌性状態または癌の存在を検出するための方法であって、該方法は、以下の工程:
被験体の胸部から胸部流体のサンプルを得る工程;
該サンプルをシッフ試薬で処理する工程;および
該処理によって該サンプルにおいて生成される呈色に基づき、該胸部の新形成、前癌性状態または癌を検出する工程、
から本質的になる、方法。
【請求項13】
前記呈色が、他の呈色と区別される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記胸部流体が、乳頭液状物または乳頭液状流体である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記胸部流体が、乳頭分泌物である、請求項12、13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記胸部流体が、腺管分泌物である、請求項12、13または14に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルが、水に不溶性な基板に吸着される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記水に不溶性な基板が、ポリエステル繊維、ポリマクロン(polymacron)またはガラス繊維織物から作製される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルが、胸部癌の指標である他のマーカーの存在についてさらにスクリーニングされる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
被験体からの胸部腫瘍を画像化するための方法であって、該方法は以下の工程;
a)アルデヒド検出試薬を、該腫瘍において胸部癌と関連するアルデヒドマーカーに反応させるのに十分な期間にわたって、該腫瘍を該アルデヒド検出試薬と共にインキュベートする工程であって、ここで、該試薬は該腫瘍を画像化するための標識を保有する工程;および
b)該腫瘍に局在する該標識の存在を検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項21】
被験体に試薬を投与する工程を包含するインビボ方法であって、該試薬が胸部癌と関連する一つ以上のアルデヒドマーカーを標的にするように構築されている、インビボ方法。
【請求項22】
胸部癌と関連する前記アルデヒドマーカーが、水溶性である低分子量アルデヒドを含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。

【公表番号】特表2006−502390(P2006−502390A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542129(P2004−542129)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001553
【国際公開番号】WO2004/034059
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505132105)センティナ バイオテクノロジー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】