説明

能動型制振器

【課題】部品点数の少ない簡単な構造で容易且つ安価に製造することが可能な、新規な構造の能動型制振器を提供すること。
【解決手段】コイル部材24に外挿固定されたアウタ筒部材34の軸方向一方の開口部が蓋部材50によって閉塞されている。可動子14には加振方向に延びるインナ軸部材60が設けられて、インナ軸部材60にインナ取付部材62が設けられている。インナ取付部材62が支持ゴム弾性体16の中央部分に固着されていると共に、支持ゴム弾性体16の外周部分には厚肉環状の挟持部94が一体形成されて、挟持部94がアウタ筒部材34と蓋部材50の間に非接着で挟持されている。インナ軸部材60の蓋部材50に対する対向面にはストッパゴム104が固着されていると共に、アウタ筒部材34と蓋部材50の連結部分にはシールゴム106が狭圧されており、ストッパゴム104とシールゴム106が何れも支持ゴム弾性体16と一体形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子を構成するコイルへの通電によって可動子が固定子に対して相対的に加振変位されて、マス−バネ共振による能動的な制振作用が発揮される能動型制振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の振動低減等に用いられる能動型制振器が知られている。この能動型制振器は、コイルにヨークを組み付けたコイル部材を備える固定子と、固定子に対する相対変位を許容された可動子とを、支持ゴム弾性体で弾性連結した構造を有しており、コイルへの通電による可動子の加振変位によって、マス−バネ共振に基づいた能動的な制振作用が発揮されるようになっている。例えば、特開2008−64138号公報(特許文献1)に示されているのが、それである。
【0003】
ところで、特許文献1の能動型制振器では、略円環板形状の支持ゴム弾性体が設けられており、支持ゴム弾性体の外周面に、固定子に設けられたアウタ部材が固着されていると共に、支持ゴム弾性体の内周面に、可動子に設けられたインナ部材が固着されている。
【0004】
ところが、アウタ部材とインナ部材に支持ゴム弾性体を固着するためには、それらアウタ部材とインナ部材の表面処理が必要となる等、製造工程数やコストを削減することが難しかった。
【0005】
また、特許文献1に示されているように、能動型制振器では、可動子の固定子に対する相対変位量を緩衝的に制限するために、可動子とアウタ部材の間にストッパゴムが設けられたり、アウタ部材とそれに連結される蓋部材との連結部分をシールするためにシールゴムが設けられる場合がある。
【0006】
しかしながら、このようなストッパゴムやシールゴムをそれぞれ独立して設けると、部品点数の増加とそれに基づいた構造の複雑化等が問題になる。なお、特許文献1では、ストッパゴムとシールゴムが一体とされて、部品点数の増加が抑えられているが、未だ特別な部品を必要とするものであって、更なる部品点数の削減と構造の簡略化が求められる場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−64138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、部品点数の少ない簡単な構造で容易且つ安価に製造することが可能な、新規な構造の能動型制振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の第1の態様は、コイルにヨークを組み付けたコイル部材を備える筒状の固定子と、該固定子に挿入配置されて相対的な軸方向の加振変位を許容された可動子が、支持ゴム弾性体によって弾性連結されている能動型制振器において、前記固定子には前記コイル部材に外挿固定されたアウタ筒部材が設けられており、該アウタ筒部材の軸方向一方の開口部が蓋部材によって閉塞されていると共に、前記可動子には加振方向に延びるインナ軸部材が設けられて、該インナ軸部材の軸方向一方の端部にインナ取付部材が設けられており、該インナ取付部材が前記支持ゴム弾性体の中央部分に固着されていると共に、該支持ゴム弾性体の外周部分には厚肉とされた環状の挟持部が一体形成されて、該挟持部が該アウタ筒部材と該蓋部材との間で軸方向に挟まれて非接着で支持されている一方、該インナ軸部材の該蓋部材に対する対向面にはストッパゴムが固着されていると共に、該アウタ筒部材と該蓋部材の連結部分にはそれらアウタ筒部材と蓋部材の間で狭圧されるシールゴムが設けられており、それらストッパゴムとシールゴムが何れも該支持ゴム弾性体と一体形成されていることを、特徴とする。
【0010】
このような第1の態様に従う構造とされた能動型制振器によれば、支持ゴム弾性体の挟持部が、アウタ筒部材と蓋部材の間で挟まれて非接着で支持されていることから、支持ゴム弾性体のアウタ筒部材および蓋部材への接着作業や接着のための下処理(研磨等)が不要になる。それ故、工程数の削減や接着剤の省略等が実現されて、製造容易性やコストの低減等が図られる。
【0011】
また、支持ゴム弾性体とストッパゴムとシールゴムが、一体形成されて1つの部品とされている。これにより、可動子の固定子に対する相対変位量をストッパゴムで制限することによる耐久性の向上や、シールゴムを設けることによるアウタ筒部材と蓋部材の連結部分におけるシール性の確保が、部品点数の少ない簡単な構造で実現される。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載された能動型制振器において、前記蓋部材の外周部分には軸方向で前記アウタ筒部材側に開口する第1挟持溝が設けられていると共に、筒状の内周壁を備えた環状の支持部材が該アウタ筒部材に挿入されて軸方向で該蓋部材側に開口する第2挟持溝が設けられており、それら第1挟持溝と第2挟持溝の対向部間で前記支持ゴム弾性体の前記挟持部が挟まれて非接着で支持されていると共に、該アウタ部材が外挿固定された前記コイル部材に対して該支持部材が軸方向に重ね合わされて該アウタ部材に対して軸方向で位置決めされているものである。
【0013】
第2の態様によれば、蓋部材に設けられた第1挟持溝と、支持部材によってアウタ筒部材側に設けられた第2挟持溝の間で、支持ゴム弾性体の挟持部が挟まれることによって、挟持部が非接着でより強固に支持される。特に、可動子の加振によって支持ゴム弾性体が弾性変形した場合にも、挟持部が安定して支持されて、目的とする制振効果が効率的に発揮される。
【0014】
また、支持部材がコイル部材を利用してアウタ部材に対して軸方向で位置決めされていることから、支持部材が小型の部品とされている場合等にも、支持部材をアウタ筒部材に対して充分に位置決めすることができて、支持部材を用いた支持ゴム弾性体を安定して支持することができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載された能動型制振器において、前記アウタ筒部材には段差部が設けられており、前記コイル部材が前記支持部材と反対の軸方向側において該段差部への当接により該アウタ筒部材に対して軸方向で位置決めされているものである。
【0016】
第3の態様によれば、コイル部材のアウタ筒部材に対する軸方向での位置決めが、アウタ筒部材に設けられた段差部への軸方向での当接によって、簡単な構造で効果的に実現される。それ故、コイル部材を利用してアウタ筒部材に対して軸方向で位置決めされる支持部材も、アウタ筒部材に対する位置ずれが防止されて、より安定して位置決めされる。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか1つの態様に記載された能動型制振器において、前記可動子が軸方向に着磁された永久磁石を磁極形成部材で軸方向に挟んで構成された可動子本体を備えており、該可動子本体が前記固定子の前記コイル部材に挿入されている一方、該コイル部材と該可動子本体の間には軸方向で直列配置された複数のスリーブ部材が配設されていると共に、該コイル部材と該可動子本体との一方に対して該複数のスリーブ部材を弾性支持せしめる弾性支持ゴムが設けられているものである。
【0018】
第4の態様によれば、スリーブ部材が弾性支持ゴムによって弾性支持されていることによって、可動子本体の傾動や軸直角方向の変位等に対して、弾性支持ゴムの弾性変形でスリーブ部材の変位が許容される。それ故、スリーブ部材に対する可動子本体の部分的な接触が抑えられて、偏摩耗による耐久性の低下等が回避される。
【0019】
しかも、複数のスリーブ部材が軸方向で直列配置されて、それら複数のスリーブ部材が何れもコイル部材と可動子本体との一方に対して弾性支持されていることから、可動子本体における永久磁石と磁極形成部材との位置ずれや寸法誤差等に起因して、可動子本体がスリーブ部材に部分的に接触するのも回避されて、耐久性の低下が防止される。
【0020】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載された能動型制振器において、前記複数のスリーブ部材を相互に弾性連結して、それら複数のスリーブ部材の相対的な傾動を許容する第1の弾性支持ゴムと、該複数のスリーブ部材をそれぞれ前記コイル部材に弾性支持させて、それら各スリーブ部材の該コイル部材に対する傾動を許容する第2の弾性支持ゴムとを、含んで前記弾性支持ゴムが構成されているものである。
【0021】
第5の態様によれば、複数のスリーブ部材の相対的な傾動が第1の弾性支持ゴムによって許容されていることにより、可動子本体における永久磁石と磁極形成部材との位置ずれや寸法誤差等に起因して、可動子本体がスリーブ部材に部分的に接触するのが、より効果的に防止されて、耐久性の低下が回避される。
【0022】
また、各スリーブ部材のコイル部材に対する傾動が、第2の弾性支持ゴムによって許容されている。これにより、可動子本体のコイル部材に対する傾動や位置ずれが、スリーブ部材の傾動や変位によって許容されて、局所的な当接による偏摩耗が防止される。
【0023】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載された能動型制振器において、前記インナ軸部材が前記可動子本体を貫通して設けられて、該インナ軸部材の他方の端部に規定ナットが螺着されていると共に、該可動子本体と前記インナ取付部材の間にコイルスプリングが介装されており、該コイルスプリングの付勢力によって該可動子本体が該規定ナットに押し付けられているものである。
【0024】
第6の態様によれば、コイルスプリングの付勢力によって可動子本体が規定ナットに押し付けられることで、可動子本体を構成する永久磁石と磁極形成部材が当接状態に保持される。
【0025】
また、このようなコイルスプリングを用いた構造では、可動子が固定子に対して板ばね等によって軸直角方向やこじり方向で位置決めされた構造に比して、支持ゴム弾性体の加硫成形時の収縮や部品の寸法誤差等によって、可動子の固定子に対する相対的な位置ずれが生じ易くなる。そこにおいて、弾性支持ゴムによって傾動や変位を許容されるように支持されたスリーブ部材が、可動子本体とコイル部材の間に配設されていることによって、可動子の固定子に対する傾動や位置ずれがスリーブ部材によって許容されている。それ故、コイルスプリングを用いて部品点数の少ない構造を採用することが可能とされて、構造の簡略化が図られる。
【0026】
また、スリーブ部材が傾動や変位を許容されていることにより、可動子本体が板ばね等によって軸直角方向やこじり方向で位置決めされていなくても、可動子本体が局所的にスリーブ部材に接触することによる偏摩耗等が防止されて、耐久性の低下が回避される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、支持ゴム弾性体の挟持部がアウタ筒部材と蓋部材の間で挟まれて非接着で支持されることから、支持ゴム弾性体の接着部分を少なくすることができて、製造工程数の削減や接着剤の使用量の低減等が実現される。しかも、ストッパゴムとシールゴムが支持ゴム弾性体と一体形成されていることによって、可動子の変位量を制限することによる支持ゴム弾性体の耐久性の確保や、アウタ筒部材と蓋部材の間への異物の侵入の防止が、少ない部品点数で実現されて、製造容易性の更なる向上も図られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1実施形態としての能動型制振器の縦断面図。
【図2】図1に示された能動型制振器の一部を拡大して示す縦断面図。
【図3】図1に示された能動型制振器を構成する支持ゴム弾性体の一体加硫成形品の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1には、本発明の1実施形態としての能動型制振器10が示されている。能動型制振器10は、図示しない制振対象部材としての車両ボデーに取り付けられる固定子12と、固定子12に対する相対的な変位を許容された可動子14とが、支持ゴム弾性体16によって弾性連結された構造を有している。なお、以下の説明において、上下方向とは、可動子14の加振変位方向である図1中の上下方向を言う。
【0031】
より詳細には、固定子12は、コイル18の周囲にヨーク20,22を組み付けたコイル部材24を含んで構成されている。コイル18は、導電性の線材が合成樹脂等の非磁性材料で形成された筒状のボビンに巻回されることによって形成されている。なお、本実施形態では、コイル部材24aとコイル部材24bが軸方向で上下2段に配設されており、コイル部材24aのコイル18aと、コイル部材24bのコイル18bが、周方向で相互に逆向きに巻回されている。
【0032】
また、コイル18の周囲には、磁路を形成する第1ヨーク20と第2ヨーク22が組み付けられている。ヨーク20,22は、何れも強磁性材料で形成されており、第1ヨーク20が略鉤形断面で周方向に延びていると共に、第2ヨーク22が略円環板形状を呈している。なお、コイル部材24aにおいて、第1ヨーク20がコイル18aの上面および外周面を覆っていると共に、第2ヨーク22がコイル18bの下面を覆っている。一方、コイル部材24bにおいて、第1ヨーク20がコイル18bの下面および外周面を覆っていると共に、第2ヨーク22がコイル18bの上面を覆っている。要するに、コイル部材24aのヨーク20,22と、コイル部材24bのヨーク20,22は、軸直角方向に広がる平面に対する略対称形状とされている。
【0033】
また、第1ヨーク20の内周端部には、軸方向で第2ヨーク22側に突出する磁極部26が一体形成されていると共に、第2ヨーク22の内周端部には、第1ヨーク20側に突出する磁極部28が一体形成されており、それら磁極部26,28が軸方向に所定の磁気ギャップを隔てて離隔位置している。これにより、コイル18a,18bへの通電時には、各コイル部材24において、第1ヨーク20の磁極部26と第2ヨーク22の磁極部28に相互に異なる磁極が形成されるようになっている。
【0034】
また、第2ヨーク22の内周端部には、切欠き部分が形成されている。この切欠き部分は、コイル部材24aの第2ヨーク22において内周面及び下面に開口するように設けられた環状の切欠きであって、下部が上部に比して大径とされた段付き形状となっている。このような切欠き部分が設けられていることによって、コイル部材24aとコイル部材24bが上下に重ね合わされた配設状態では、図2に示されているように、それらコイル部材24a,24bの重ね合わせ部分において内周面に開口する嵌着凹溝30が形成されている。
【0035】
なお、コイル部材24bには、図示しない外部の電源装置に接続するための外部コネクタ32が設けられている。外部コネクタ32は、コイル18bが巻回されるボビンと一体形成されて、コイル18bの巻き線と電気的に接続された端子を備えている。また、外部コネクタ32は、コイル部材24bよりも下方に設けられて、後述するアウタ筒部材34を貫通して外周側に突出している。そして、外部コネクタ32が電線を介して外部の電源装置に接続されており、コイル18a,18bに電源装置から給電されるようになっている。なお、コイル18aとコイル18bは、単一の線材で形成される等して電気的に接続されており、電源装置からコイル18bを介してコイル18aにも給電されるようになっている。
【0036】
また、コイル部材24には、アウタ筒部材34が外挿固定されている。アウタ筒部材34は、薄肉大径の略有底円筒形状を有しており、開口周縁部(上端部)には外周側に突出するフランジ部36が一体形成されている。更に、アウタ筒部材34の周壁部には、軸方向の中間部分に段差部38が設けられており、アウタ筒部材34の周壁部は、段差部38を挟んで上側が下側よりも大径とされた段付き円筒形状とされている。そして、コイル部材24a,24bは、アウタ筒部材34の周壁部に上方から圧入固定されていると共に、コイル部材24bが後述する支持部材100とは反対側において段差部38に軸方向上側から当接することで、アウタ筒部材34に対して軸方向で位置決めされている。なお、アウタ筒部材34の段差部38には、上面に開口して周方向に延びる凹溝が形成されて、その凹溝にリング状の封止ゴム39が嵌め込まれており、この封止ゴム39によってコイル部材24bと段差部38およびコイル部材24bと外部コネクタ32の重ね合わせ面がシールされている。
【0037】
また、アウタ筒部材34の底壁面には、径方向中央部分を貫通する開口が設けられており、その開口がストッパ部材40によって閉塞されている。ストッパ部材40は、プレート状の取付金具42によって緩衝ゴム44を支持した構造を有している。取付金具42は、略円板形状を有しており、中央部分には上方に開口する嵌着凹所46が形成されている。更に、取付金具42の外周部分には、上方に開口して周方向環状に延びる凹溝が形成されており、この凹溝にゴム弾性体で形成されたOリング48が配設されている。緩衝ゴム44は、円形ブロック形状のゴム弾性体であって、中央部分が外周部分に比して厚肉とされて上方に突出していると共に、中央部分と外周部分の間には環状の溝が上方に開口して形成されている。この緩衝ゴム44は、取付金具42に設けられた嵌着凹所46に嵌め込まれており、嵌着凹所46の開口部から上方に突出している。
【0038】
そして、ストッパ部材40は、取付金具42の径方向中間部分が周上の複数箇所でアウタ筒部材34の底壁部に下方から重ね合わされてボルト固定されることにより、アウタ筒部材34の開口を塞ぐように取り付けられている。また、ストッパ部材40の緩衝ゴム44は、中央部分がアウタ筒部材34の開口を通じて上方に突出していると共に、外周部分がアウタ筒部材34の開口の周縁部と取付金具42との間で圧縮されて挟持されている。更に、Oリング48がアウタ筒部材34と取付金具42の間で狭まれて圧縮されることにより、アウタ筒部材34と取付金具42の重ね合わせ面間がシールされて、アウタ筒部材34の内周空間に対する水等の侵入が防止されている。
【0039】
また、アウタ筒部材34の軸方向一方の開口部は、蓋部材50によって閉塞されている。蓋部材50は、逆向きの略皿形状とされており、開口周縁部(下端部)には外周側に突出する段差の外周端から下方に向かって延び出すかしめ片52が一体形成されている。また、蓋部材50は、径方向の中間部分が内周側に向かって上傾するテーパ部54とされていると共に、中央部分が軸直角方向に広がる受圧部56とされている。
【0040】
そして、蓋部材50のかしめ片52が、アウタ筒部材34のフランジ部36に対してかしめ固定されることにより、蓋部材50がアウタ筒部材34の開口部に固定されて、アウタ筒部材34の開口部が蓋部材50で覆われている。これにより、アウタ筒部材34と蓋部材50の間に外部から隔てられた空間が形成されており、かかる空間にコイル部材24が収容されている。
【0041】
また、アウタ筒部材34と蓋部材50の間に形成された空間には、可動子14が収容配置されている。可動子14は、可動子本体58にインナ軸部材60が挿通されていると共に、インナ軸部材60の軸方向一方の端部(上端部分)にインナ取付部材62が取り付けられた構造を有しており、固定子12に挿入配置されている。
【0042】
可動子本体58は、略円環板形状で上下面に着磁された永久磁石64が、何れも略円環板形状の強磁性体で形成された磁極形成部材としての上側磁極形成部材66と下側磁極形成部材68によって挟まれた構造を有している。これにより、上側磁極形成部材66と下側磁極形成部材68の外周面には、相互に異なる磁極が形成されている。なお、上側磁極形成部材66と下側磁極形成部材68は、何れも内周部分が軸方向に突出して厚肉となっている。
【0043】
また、可動子本体58の中心孔には、インナ軸部材60が挿通されている。インナ軸部材60は、可動子本体58の中心孔よりも軸方向寸法を大きくされた小径ロッド形状の部材であって、上端部と下端部がそれぞれ可動子本体58よりも軸方向外側に突出していると共に、それら上下端部にそれぞれねじ山が形成されている。また、可動子本体58を貫通して軸方向下側に突出するインナ軸部材60の下端部には、規定ナット70が螺着されている。この規定ナット70の上端面が可動子本体58を構成する下側磁極形成部材68の下面に当接されることによって、可動子本体58とインナ軸部材60の軸方向での相対位置が規定されている。なお、規定ナット70には、下方からロックボルト72が螺入されており、規定ナット70の緩みが防止されて、規定ナット70がインナ軸部材60に対して軸方向で位置決めされている。
【0044】
また、可動子本体58から軸方向上側に突出するインナ軸部材60の上端部分には、インナ取付部材62が取り付けられている。インナ取付部材62は、逆向き小径の略有底円筒形状を呈する硬質の部材であって、可動子本体58に対して上方に所定距離を隔てた位置に配設されている。そして、インナ取付部材62は、上底壁部の中央に貫通形成された挿通孔にインナ軸部材60の上端部分を挿通されると共に、インナ軸部材60の上端のねじ山形成部分に螺着されるナット74に当接することで軸方向上側の位置が規定されている。
【0045】
また、インナ取付部材62と可動子本体58の軸方向対向面間には、コイルスプリング76が介装されている。コイルスプリング76は、インナ軸部材60に外挿されており、可動子本体58を下方に付勢して規定ナット70に押し付けていると共に、インナ取付部材62を上方に付勢してナット74に押し付けている。なお、コイルスプリング76は、その上端部がインナ取付部材62に重ね合わされた環状の上側支持部材78によって軸直角方向で位置決めされていると共に、その下端部が可動子本体58に重ね合わされた環状の下側支持部材80によって軸直角方向で位置決めされている。
【0046】
かくの如き構造とされた可動子14は、可動子本体58がコイル部材24a,24bに対して所定の微小隙間をもって挿入されており、固定子12に対して上下方向の相対変位を許容されている。
【0047】
また、コイル部材24a,24bと可動子本体58との径方向間には、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84が配設されている。スリーブ部材82,84は、ステンレスや合成樹脂等の非磁性材料で形成された略円筒形状の部材であって、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84が同一中心軸上に配設されて軸方向で直列配置されている。また、上側スリーブ部材82の上端部が略直角に屈曲して内周側に延び出していると共に、上側スリーブ部材82の下端部が略直角に屈曲して外周側に延び出す下端支持部86とされている。一方、下側スリーブ部材84の下端部が略直角に屈曲して内周側に延び出していると共に、下側スリーブ部材84の上端部が略直角に屈曲して外周側に延び出す上端支持部88とされている。
【0048】
そして、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84は、コイル部材24a,24bに内挿されており、上側スリーブ部材82の下端支持部86と下側スリーブ部材84の上端支持部88がコイル部材24a,24bの内周面に開口する嵌着凹溝30に挿入されている。
【0049】
さらに、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84は、弾性支持ゴム90,92を介して、コイル部材24a,24bによって弾性支持されている。より詳細には、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84は、図2に示されているように、第1の弾性支持ゴム90を介して上下に弾性連結されていると共に、第2の弾性支持ゴム92を介してコイル部材24a,24bによって弾性支持されている。
【0050】
第1の弾性支持ゴム90は、略一定の円形断面で周方向に延びる環状のゴム弾性体であって、上側スリーブ部材82の下端支持部86と下側スリーブ部材84の上端支持部88との間に介装されている。これにより、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84は、第1の弾性支持ゴム90によって弾性連結されており、第1の弾性支持ゴム90の弾性変形によって相対的な傾動および変位を許容されている。
【0051】
第2の弾性支持ゴム92は、第1の弾性支持ゴム90と略同一形状のゴム弾性体であって、上側スリーブ部材82の下端支持部86の上面とコイル部材24aの第2ヨーク22との間と、下側スリーブ部材84の上端支持部88の下面とコイル部材24bの第2ヨーク22との間に、それぞれ配設されている。これにより、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84は、コイル部材24a,24bに対して、それぞれ独立して傾動および変位を許容されている。なお、第1, 第2ヨーク20,22の内周面と上下スリーブ部材82,84との間や、可動子本体58の外周面と上下スリーブ部材82,84との間には、微小な隙間が設けられており、それによって上下スリーブ部材82,84の傾動が許容される。
【0052】
また、可動子14の上端部分は、固定子12に対して、支持ゴム弾性体16によって弾性連結されている。支持ゴム弾性体16は、図3に示されているように、外周側に向かって次第に薄肉となる略円環板形状を有しており、内周面がインナ取付部材62の外周面に固着されることによって、インナ取付部材62が支持ゴム弾性体16の中央部分に固着されている。また、支持ゴム弾性体16の外周端部には、挟持部94が一体形成されている。この挟持部94は、一定の略矩形断面で周方向環状に延びており、軸方向の両側に突出して支持ゴム弾性体16の他の部分よりも厚肉とされている。なお、本実施形態の支持ゴム弾性体16は、内周面がインナ取付部材62に加硫接着されており、インナ取付部材62を備えた一体加硫成形品として形成されている。
【0053】
そして、支持ゴム弾性体16は、図1に示されているように、挟持部94がアウタ筒部材34と蓋部材50によって非接着で支持されており、外周端部が固定子12に取り付けられている。より詳細には、支持ゴム弾性体16の挟持部94は、蓋部材50に形成された第1挟持溝96と、アウタ筒部材34に形成された第2挟持溝98との対向部間で挟まれて非接着で支持されている。
【0054】
第1挟持溝96は、蓋部材50の外周部分に設けられており、アウタ筒部材34側となる下方に向かって開口して、全周に亘って連続的に延びる環状の凹溝とされている。
【0055】
第2挟持溝98は、アウタ筒部材34に支持部材100が取り付けられることによって形成されている。支持部材100は、略一定の断面形状で全周に亘って延びる環状の部材であって、円環板形状とされた底壁の内周端部から上方に向かって突出する内周壁102を備えている。この支持部材100は、アウタ筒部材34の開口部分に圧入されており、コイル部材24aの第1ヨーク20に対して軸方向で上方から重ね合わされることによって、アウタ筒部材34に対して軸方向で位置決めされている。そして、支持部材100がアウタ筒部材34に取り付けられることによって、支持部材100の内周壁102とアウタ筒部材34の径方向間には、蓋部材50側となる上方に向かって開口して、周方向環状に延びる第2挟持溝98が形成されている。
【0056】
そして、支持ゴム弾性体16の挟持部94は、図1に示されているように、上端部分が第1挟持溝96に嵌め込まれると共に、下端部分が第2挟持溝98に嵌め込まれて、それら第1挟持溝96と第2挟持溝98の対向部間で軸方向に挟まれている。これにより、支持ゴム弾性体16の外周端部を構成する挟持部94が、固定子12によって非接着で支持されており、固定子12と可動子14が支持ゴム弾性体16によって弾性連結されている。
【0057】
また、支持ゴム弾性体16の内周側には、ストッパゴム104が設けられている。ストッパゴム104は、略円形ブロック状とされており、インナ軸部材60およびインナ取付部材62の上面を覆うように配設されている。本実施形態では、ストッパゴム104がインナ軸部材60およびインナ取付部材62の上面を覆うように加硫接着されている。そして、ストッパゴム104は、インナ取付部材62と蓋部材50の受圧部56との対向面間に配設されて、受圧部56に対して所定距離を隔てて下方に配置されている。
【0058】
さらに、支持ゴム弾性体16の外周側には、シールゴム106が設けられている。シールゴム106は、図3に示されているように、外周側に凸となる略半円形断面を有しており、図1に示されているように、アウタ筒部材34と蓋部材50の連結部分で挟まれて圧縮されている。これにより、アウタ筒部材34と蓋部材50の連結部分がシールゴム106でシールされて、それらアウタ筒部材34と蓋部材50の連結部分を通じた水等の侵入が防止されている。
【0059】
それらストッパゴム104とシールゴム106は、支持ゴム弾性体16と一体形成されている。即ち、ストッパゴム104の外周端部の下端が支持ゴム弾性体16の内周端部の上端と繋がっており、ストッパゴム104が支持ゴム弾性体16と一体とされていると共に、シールゴム106が挟持部94の外周面から外周側に突出するように設けられて、挟持部94と一体形成されている。要するに、本実施形態において、支持ゴム弾性体16とストッパゴム104とシールゴム106は、インナ軸部材60およびインナ取付部材62を備えた一体加硫成形品として、同時に加硫成形されている。
【0060】
かくの如き構造とされた能動型制振器10は、例えば、蓋部材50に図示しないブラケットが外嵌されて、そのブラケットが車両ボデー等に固定されることで、車両に装着されるようになっている。そして、車両への装着状態において、電源装置からコイル18に給電されることによって、第1,第2ヨーク20,22の磁極部26,28にそれぞれ異なる磁極が形成される。これにより、固定子12の磁極部26,28と、可動子14の磁極形成部材66,68との間で磁気的な吸引力又は排斥力が作用して、可動子14が支持ゴム弾性体16の弾性に抗して上下に加振変位されるようになっており、もって、能動的な制振作用が発揮されるようになっている。なお、本実施形態の能動型制振器10では、可動子14自体の質量をマスとしてマス−バネ系が構成されているが、可動子14にマス部材を設けることで、発揮される能動的な制振作用の向上を図ることもできる。
【0061】
また、能動型制振器10では、可動子14の固定子12に対する軸方向での相対変位量が、ストッパによって制限されている。即ち、規定ナット70と取付金具42の緩衝ゴム44を介した当接によって、可動子14の固定子12に対する下方への相対変位量を制限するバウンドストッパが構成されている。更に、インナ取付部材62と蓋部材50の受圧部56とのストッパゴム104を介した当接によって、可動子14の固定子12に対する上方への相対変位量を制限するリバウンドストッパが構成されている。
【0062】
このような本実施形態に従う構造とされた能動型制振器10によれば、支持ゴム弾性体16の外周端部(挟持部94)が、アウタ筒部材34と蓋部材50の間で挟まれることによって、非接着で支持されている。これにより、支持ゴム弾性体16の固定子12側への接着が不要とされて、接着工程が省略されることで製造工程数の削減が図られる。
【0063】
さらに、支持ゴム弾性体16の挟持部94が第1挟持溝96と第2挟持溝98の間で挟まれていることによって、可動子14の加振によって支持ゴム弾性体16が弾性変形しても、挟持部94の変形が第1, 第2挟持溝96,98によって抑えられる。これにより、挟持部94の抜けが防止されて、固定子12と可動子14の支持ゴム弾性体16による弾性連結が維持されることから、目的とする制振性能を安定して得ることができる。
【0064】
しかも、第2挟持溝98を構成する支持部材100は、コイル部材24aに対して軸方向で重ね合わされており、コイル部材24aを利用してアウタ筒部材34に対して位置決めされている。これにより、アウタ筒部材34への圧入代が小さい支持部材100であっても、充分な固定強度を得ることができて、支持ゴム弾性体16の安定した支持が実現される。
【0065】
加えて、コイル部材24aは、アウタ筒部材34の段差部38に対してコイル部材24bを介して重ね合わされることで、アウタ筒部材34に対して支持部材100とは反対側の軸方向で位置決めされている。それ故、支持部材100がアウタ筒部材34に対して軸方向でより効果的に位置決めされて、支持ゴム弾性体16の安定した支持が有利に実現されている。
【0066】
また、ストッパゴム104およびシールゴム106が支持ゴム弾性体16と一体形成されていることによって、ストッパゴム104とシールゴム106が部品点数の増加を要することなく設けられている。それ故、ストッパゴム104を設けたことによる後述の緩衝的なストッパ作用や、シールゴム106を設けたことによるシール性の確保が、少ない部品点数と簡単な構造によって実現されている。
【0067】
また、部品点数の削減とそれに伴う構造の簡略化は、コイル部材24a,24bと可動子本体58の間に上下のスリーブ部材82,84が配設されていることによっても、実現されている。
【0068】
すなわち、従来の能動型制振器では、可動子本体の傾動や位置ずれによる可動子本体およびコイル部材の偏摩耗等を防ぐために、可動子本体を強固に且つ高精度に位置決めする必要があり、例えば可動子本体の上下両側に可動子と固定子を連結する板ばねを設けた構造等が採用されていた。しかしながら、このような構造では、少なくとも2枚の板ばねが必要となって、部品点数の増加とそれに伴う構造の複雑化が問題になる。そこで、能動型制振器10では、軸方向に直列配置された上下のスリーブ部材82,84がコイル部材24a,24bと可動子本体58の間に介装されていると共に、それらスリーブ部材82,84が第1, 第2の弾性支持ゴム90,92によって弾性支持された構成が、採用されている。これにより、複数の板ばねを用いて可動子本体58とコイル部材24a,24bを強固且つ高精度に位置決めすることなく、コイル部材24a,24bと可動子本体58の相対的な傾動や位置ずれ、寸法誤差等が、スリーブ部材82,84の傾動や変位によって吸収される。それ故、コイル部材24a,24bと可動子本体58の局所的な当接による耐久性の低下や、引っ掛かりによる作動不良等が、部品点数の少ない簡単な構造で防止される。
【0069】
加えて、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84が軸方向で直列に配置されて、第1の弾性支持ゴム90を介して弾性的に連結されており、上側スリーブ部材82と下側スリーブ部材84の相対的な変位や傾動が許容されている。これにより、永久磁石64を磁極形成部材66,68で挟んだ構造を有する可動子本体58を採用する場合に、それら永久磁石64と磁極形成部材66,68の寸法誤差等に起因する位置ずれ等に対して、上下のスリーブ部材82,84が相互に略独立して追従し得るようになっている。その結果、可動子本体58が上下のスリーブ部材82,84に対して部分的に強く押し当てられるのを回避することができて、耐久性の向上や作動安定性の確保が実現される。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態の能動型制振器10では、コイル18a,18bが上下2段に配置されており、それに対応して可動子本体58の構造やスリーブ部材82,84の数等が設定されているが、コイル18の数やそれに対応する可動子本体の構造、スリーブ部材の数等は、特に限定されない。即ち、3つ以上のコイル18が上下に並んで配設されていても良いし、それに応じて可動子本体が2つ以上の永久磁石と、それを挟む3つ以上の磁極形成部材を備えていても良い。更に、その場合には、3つ以上のスリーブ部材が上下方向に直列配置されると共に、それらスリーブ部材が弾性支持ゴムによって弾性支持されるようにしても良い。
【0071】
また、上下のスリーブ部材82,84は、必ずしもコイル部材24a,24bに取り付けられた構造に限定されず、例えば、可動子本体58に対して弾性支持ゴムを介して取り付けられていても良い。この場合にも、上下のスリーブ部材82,84の変位や傾動によって、可動子本体58とコイル部材24a,24bとの局所的な当接が回避されて、偏摩耗による耐久性の低下や引っ掛かりによる作動不良等が防止される。
【0072】
また、能動型制振器10では、弾性支持されたスリーブ部材82,84によって、可動子本体58の構成部品の寸法誤差や、可動子本体58のコイル部材24a,24bに対する傾動や変位、位置ずれが許容されていることから、可動子本体58のコイル部材24a,24bに対する位置決めの精度を高めるために従来採用されていた上下の板ばねは省略されている。しかしながら、可動子本体58の上下両側に軸直角方向で広がる板ばねを配設して、中央部分を可動子14に固定すると共に、外周部分を固定子12に固定することで、可動子14の固定子12に対する高精度な位置決めを実現することもできる。
【符号の説明】
【0073】
10:能動型制振器、12:固定子、14:可動子、16:支持ゴム弾性体、18;コイル、20:第1ヨーク(ヨーク)、22:第2ヨーク(ヨーク)、24:コイル部材、34:アウタ筒部材、38:段差部、50:蓋部材、58:可動子本体、60:インナ軸部材、62:インナ取付部材、64:永久磁石、66:上側磁極形成部材(磁極形成部材)、68:下側磁極形成部材(磁極形成部材)、70:規定ナット、76:コイルスプリング、90:第1の弾性支持ゴム、92:第2の弾性支持ゴム、94:挟持部、96:第1挟持溝、98:第2挟持溝、100:支持部材、104:ストッパゴム、106:シールゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルにヨークを組み付けたコイル部材を備える筒状の固定子と、該固定子に挿入配置されて相対的な軸方向の加振変位を許容された可動子が、支持ゴム弾性体によって弾性連結されている能動型制振器において、
前記固定子には前記コイル部材に外挿固定されたアウタ筒部材が設けられており、該アウタ筒部材の軸方向一方の開口部が蓋部材によって閉塞されていると共に、前記可動子には加振方向に延びるインナ軸部材が設けられて、該インナ軸部材の軸方向一方の端部にインナ取付部材が設けられており、該インナ取付部材が前記支持ゴム弾性体の中央部分に固着されていると共に、該支持ゴム弾性体の外周部分には厚肉とされた環状の挟持部が一体形成されて、該挟持部が該アウタ筒部材と該蓋部材との間で軸方向に挟まれて非接着で支持されている一方、
該インナ軸部材の該蓋部材に対する対向面にはストッパゴムが固着されていると共に、該アウタ筒部材と該蓋部材の連結部分にはそれらアウタ筒部材と蓋部材の間で狭圧されるシールゴムが設けられており、それらストッパゴムとシールゴムが何れも該支持ゴム弾性体と一体形成されていることを特徴とする能動型制振器。
【請求項2】
前記蓋部材の外周部分には軸方向で前記アウタ筒部材側に開口する第1挟持溝が設けられていると共に、筒状の内周壁を備えた環状の支持部材が該アウタ筒部材に挿入されて軸方向で該蓋部材側に開口する第2挟持溝が設けられており、それら第1挟持溝と第2挟持溝の対向部間で前記支持ゴム弾性体の前記挟持部が挟まれて非接着で支持されていると共に、該アウタ部材が外挿固定された前記コイル部材に対して該支持部材が軸方向に重ね合わされて該アウタ部材に対して軸方向で位置決めされている請求項1に記載の能動型制振器。
【請求項3】
前記アウタ筒部材には段差部が設けられており、前記コイル部材が前記支持部材と反対の軸方向側において該段差部への当接により該アウタ筒部材に対して軸方向で位置決めされている請求項2に記載の能動型制振器。
【請求項4】
前記可動子が軸方向に着磁された永久磁石を磁極形成部材で軸方向に挟んで構成された可動子本体を備えており、該可動子本体が前記固定子の前記コイル部材に挿入されている一方、
該コイル部材と該可動子本体の間には軸方向で直列配置された複数のスリーブ部材が配設されていると共に、該コイル部材と該可動子本体との一方に対して該複数のスリーブ部材を弾性支持せしめる弾性支持ゴムが設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の能動型制振器。
【請求項5】
前記複数のスリーブ部材を相互に弾性連結して、それら複数のスリーブ部材の相対的な傾動を許容する第1の弾性支持ゴムと、
該複数のスリーブ部材をそれぞれ前記コイル部材に弾性支持させて、それら各スリーブ部材の該コイル部材に対する傾動を許容する第2の弾性支持ゴムと
を、含んで前記弾性支持ゴムが構成されている請求項4に記載の能動型制振器。
【請求項6】
前記インナ軸部材が前記可動子本体を貫通して設けられて、該インナ軸部材の他方の端部に規定ナットが螺着されていると共に、該可動子本体と前記インナ取付部材の間にコイルスプリングが介装されており、該コイルスプリングの付勢力によって該可動子本体が該規定ナットに押し付けられている請求項5に記載の能動型制振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−60963(P2013−60963A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197919(P2011−197919)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】