説明

能動的照明媒体のスキャン

【課題】撮影装置及び照明光源を用いて、能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得する。
【解決手段】暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行するステップと、前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置を用いて、少なくとも1回前記ALMをスキャンすることによって、最終露光値及び最終ゲイン値を決定するステップと、前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして前記画像を生成するステップと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は能動的照明媒体のスキャンに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナー機能を有するスキャナー及び複合機(MFP)は広く企業や消費者に用いられている。媒体を平台上に置き、照明光源(つまり、能動的照明)で受動的媒体を照らして、撮影装置を用いて受動的媒体の画像を撮影することによって、スキャナーは受動的媒体(例えば、紙文書)の電子画像を生成する。能動的照明は通常、各光軸から外れている。しかし、受動的媒体は光を拡散して反射させるため、受動的媒体は適切な照明で撮影装置によって撮像されるので、良好な品質の出力が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
モバイルハードウェア機器(例えば、スマートフォン、タブレット、電子書籍等)を含む多くのハードウェア機器は能動的に点灯する媒体(ALM)(例えばバックライト型液晶ディスプレイ)を用いて動作するディスプレイ画面を有する。ALMは受動的媒体と異なり、通常光を拡散して反射させない。また、ALMから出射する光は能動的照明に照らされた受動的媒体によって反射される光と比較して明るさが少ない。よって、このようなディスプレイ画面をスキャンすることによって得られる画像はディスプレイ画面を暗く表示する(つまり、画面の内容を見ることができない)。上記のような事情にも関わらず、ユーザーからはALMをスキャンして、ALMの内容を撮影/撮像することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、ある側面によれば、本発明は撮影装置及び照明光源を用いて、能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得する方法に関する。当該方法は、暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行するステップと、前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置を用いて、少なくとも1回前記ALMをスキャンすることによって、最終露光値及び最終ゲイン値を決定するステップと、前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして前記画像を生成するステップと、を備える。
【0005】
一般に、ある側面によれば、本発明は撮影装置及び照明光源を用いて、能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得するためにコンピューターに以下の機能を実行させる命令を備える非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体に関する。当該命令は、暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行する機能と、前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置を用いて、少なくとも1回前記ALMをスキャンすることによって、最終露光値及び最終ゲイン値を決定する機能と、前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして前記画像を生成する機能と、を備える。
【0006】
一般に、ある側面によれば、本発明は能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得するシステムに関する。当該システムは、撮影装置及び照明光源と、暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行する暗時校正器と、前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置によって生成された少なくとも1回の前記ALMのスキャンから、最終露光値及び最終ゲイン値を決定する光学設定モジュールと、前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして画像を生成する画像処理エンジンと、を備える。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下の明細書の記載及び添付されるクレームにおいて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の一以上の実施形態におけるシステムを図示する。
【図2】図2は本発明の一以上の実施形態におけるフローチャートを図示する。
【図3】図3は本発明の一以上の実施形態における実施例を図示する。
【図4】図4は本発明の一以上の実施形態におけるコンピューターシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明する。整合性を図るため、各図面における類似の要素には同様の参照符号が付加される。
【0010】
以下の本発明の実施形態の詳細な説明においては、本発明のより深い理解を提供するため、具体的な詳細について説明がされる。しかし、これらの具体的な詳細によらなくても本発明を実施しうることは当業者にとっては明らかであろう。その他の場面において、不必要に複雑な説明を回避するため、周知の要素については詳細な説明が省略されている。
【0011】
ここでは全般的に、本発明の実施形態による、外部スキャナー又はMFPの一部であるスキャナーを用いてALMの画像を生成するシステム及び方法を提供する。具体的には、暗時出力不均一性(DSNU)の校正に続き、スキャナーの照明光源を消灯した状態でALMをスキャンして、スキャナーのゲイン値及び露光値を決定する。次に、決定されたゲイン値及び露光値を固定して維持した状態で、スキャナーの照明光源を通して電流を変動させることによって、感度不均一性(PRNU)校正を実行しうる。最後に、PRNU校正に続き、スキャナーの照明光源は消灯され、ALMの最終的なスキャンが実行される。
【0012】
図1は本発明の一以上の実施形態におけるシステム(100)を図示する。図1に示すように、当該システム(100)は複数の要素で構成され、ハードウェア機器(102)及びスキャナー(120)を含む。これらの構成要素は下記で詳しく説明する。図1においては、ハードウェア機器(102)及びスキャナー(120)しか図示しないが、本明細書から当該システム(100)が任意の数のハードウェア機器及び/又はスキャナーを有しうることを当業者は理解しうるであろう。
【0013】
本発明の一以上の実施形態においては、ハードウェア機器(102)はスマートフォン、PDA、タブレット、電子書籍、モバイルコンピューター等のモバイル機器である。図1に示すように、ハードウェア機器(102)は、ハードウェア機器(102)によって取得及び/又は生成された内容(例えば、テキスト、画像、写真、動画、アニメ、2Dコード等)を表示するALM(104)を有する。ALM(104)としてバックライト型LCDを用いうる。また、ALM(104)としてタッチスクリーン(つまり、接触による入力に反応する)を用いることができ、これによってハードウェア機器(102)はユーザーから入力を受信する。
【0014】
本発明の一以上の実施形態において、スキャナー(120)はALM(104)を撮像するように構成されている。スキャナー(120)として外部スキャナーを用いうる。また、スキャナー(120)はMFPの構成要素でありうる。スキャナー(120)の各構成要素及び/又はエンジンは下記で詳しく説明する。当業者であれば、詳述される構成要素及び/又はエンジンがここに開示される以外の機能を有することを理解しうるであろうし、また、各構成要素及び/又はエンジンの機能は、代わりに任意のその他の構成要素及び/又はエンジンによって実行しうる。
【0015】
本発明の一以上の実施形態において、平台(122)はスキャナー(120)によってスキャンされる媒体を置く表面である。そして、スキャナー(120)でALM(104)を撮像するために、ハードウェア機器(102)のユーザーはハードウェア機器(102)を平台(122)の上に置く必要がありうる。平台(122)は平らで、透明性の高い(例えば、ガラス)表面でありうる。平台(122)はまたは、フラットベッドと称されうる。
【0016】
本発明の一以上の実施形態においては、照明光源(126)は平台(122)及び平台(122)の上に置かれたあらゆる媒体を照らすように構成されている。例えば、照明光源(126)はキセノン又は冷陰極蛍光でありうる。その他の例としては、照明光源(126)は発光ダイオード(LED)でありうる。本発明の一以上の実施形態においては、照明光源(126)は固定されている。また、照明光源(126)は平台(122)にわたって移動しうる。照明光源(126)を通る電流を変動させることによって照明光源(126)の明度を調整しうる(つまり、明るくまたは暗くしうる)ことは、当業者は本明細書から理解しうるであろう。
【0017】
本発明の一以上の実施形態においては、電源(124)は照明光源(126)への電圧/電流/電力を供給し、制御するように構成される。また、電源(124)は、スキャナー(120)へ供給される電力を照明光源(126)で用いるのに適した電力に変換しうる。さらに、ソフトウェアコードを用いて電源(124)にアクセスし、制御しうる。電源(124)はここに開示される以外の機能を実行しうることを当業者は理解しうるであろう。
【0018】
本発明の一以上の実施形態においては、撮影装置(128)は平台(122)に置かれた媒体(例えば、ALM(104))をスキャンするように構成されている。したがって、撮影装置(128)は電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)等の一以上のイメージセンサーを有しうる。CCDイメージセンサーにおいては、フォトダイオードを用いてフォトン(例えば、平台(122)の上の媒体から反射/拡散/出射されたフォトン)を吸収し、検知されたピクセルを表す電荷を生成する。CCDを用いてこれらの電荷を読み出す。CMOSセンサーはピクセルセンサーの配列を有する集積回路を含むイメージセンサーであり、各ピクセルは光検知器及び能動的増幅器を有する。本発明の一以上の実施形態においては、撮影装置(128)は平台(122)にわたって移動し、平台(122)の上の媒体をスキャンする。
【0019】
本発明の一以上の実施形態においては、光学設定モジュール(130)は撮影装置(128)の露光値及びゲイン値を決定するように構成されている。例えば、光学設定モジュール(130)は、異なる設定の露光値及び/又はゲイン値を用いて平台(122)の上の媒体(例えば、ALM(104))のスキャンを複数回実行し、良好なバランスのヒストグラムを有する一以上の得られた画像を特定することによって、撮影装置(128)の露光値及びゲイン値を決定しうる。本発明の一以上の実施形態においては、露光は撮影装置(128)のセンサーが有効でフォトンを吸収する間の時間に対応する。露光時間が経過すると、センサーは無効化される。本発明の一以上の実施形態においては、ゲインは撮影装置(128)内のセンサー及び/又は撮影装置(128)自体から出力される信号を増幅する因子と対応する。本発明の一以上の実施形態においては、ALM(例えば、ALM(104))が平台(122)の上に置かれると、照明光源(126)を消灯した状態で露光値及びゲイン値が決定される。光学設定モジュール(130)はここに開示される以外の機能を実行しうることを、当業者は理解しうるであろう。
【0020】
本発明の一以上の実施形態においては、暗時校正器(134)はDSNUに対する撮影装置(128)の校正をするように構成されている。DSNUは固定されたパターンノイズ(FPN)のパラメーターを記述する。FPNは特定のピクセルが通常の背景ノイズを超える明度になりがちな、露光の長いショットにおいて頻繁に見受けられる、デジタルイメージセンサーのノイズパターンである。DSNUは、外部照明のない特定の設定(例えば、温度、積分時間等)において撮像アレイにわたる平均からのオフセットを指す。つまり、DSNUは照明のない(つまり照明光源(126)の消灯時)状態でのピクセル明度のバラツキでありうる。暗時校正器(134)はここに開示される以外の機能を実行しうることを、当業者は理解しうるであろう。
【0021】
本発明の一以上の実施形態においては、光学校正器(136)は照明光源(126)を点灯し、撮影装置を固定したゲイン値及び露光値に設定して、PRNUに対する撮影装置(128)の校正をするように構成されている。PRNUはDSNUと同様にFPNの他のパラメーターである。PRNUは電気信号出力に対するピクセルの屈折力のゲイン又は比率を指す。つまり、PRNUは照明の下(つまり、照明光源(126)を点灯した状態)でのピクセル明度のバラツキでありうる。本発明の一以上の実施形態においては、光学校正器(136)は異なる非ゼロ電流を照明光源に通した状態でスキャンを複数回実行し、良好なバランスのヒストグラムを有する一以上の得られた画像を特定することによって、PRNUに対して撮影装置(128)を校正する。光学校正器(136)はここに開示される以外の機能を実行しうることを、当業者は理解しうるであろう。
【0022】
本発明の一以上の実施形態において、ヒストグラムエンジン(132)は撮影装置(128)によって生成されたスキャンからヒストグラムを生成するように構成されている。したがって、暗時校正器(134)、光学校正器(136)、及び/又は光学設定モジュール(130)からはヒストグラムエンジン(132)にアクセスしたり、利用したりしうる。ヒストグラムは、データの分配(例えば、ピクセル明度)を示すグラフ表示である。ヒストグラムエンジン(132)はここに開示される以外の機能を実行しうることを、当業者は理解しうるであろう。
【0023】
本発明の一以上の実施形態においては、画像処理エンジン(138)はいったんゲイン値及び/又は露光値が決定されて、PRNU及びDSNU校正が実行されると、画像を生成するように構成されている。つまり、画像処理エンジン(138)は、撮影装置(128)が決定された露光値/ゲイン値に設定される間、及び照明光源(126)が消灯される間に撮影装置(128)によって生成される出力(つまりスキャン)から、任意の形式(例えば、BMP、GIF、JPEG、TIFF等)の圧縮又は非圧縮の画像を生成しうる。得られた画像(例えば、画像ファイル)については印刷、ファックス、メール送信、保存等を実行しうる。
【0024】
図2は本発明の一以上の実施形態におけるフローチャートを図示する。図2に示す処理は、例えばシステム(100)の構成要素を用いて、ALMの画像を取得するのに採用しうる。本発明の異なる実施形態において、図2に示す一以上のステップは、省略、反復、及び/又は異なる順序で実行しうる。よって、本発明の実施形態は、図2に具体的に示されるステップの数及び順序に限定されると理解するべきではない。
【0025】
まず、ALMをスキャンする要求が受信される(ステップ202)。当該要求はスキャン機能を有するMFP又は外部のスキャナーが受信する。具体的には、ユーザーはMFP/外部スキャナーに設けられたコントロールパネルにある一以上のボタンを用いて要求を発する。上述のように、MFP/外部スキャナーはALMが置かれる平台、平台を照らす照明光源、及びALMから出射/反射/拡散される光を検知する撮影装置を有する。本明細書からは、ALMをスキャンする要求は実質的にはALMの画像を求めるユーザーからの要求であることを当業者は理解しうるであろう。
【0026】
ステップ204において、撮影装置はDSNUに対して校正される。上述のように、DSNUは固定されたパターンノイズ(FPN)のパラメーターを記述する。FPNは特定のピクセルが通常の背景ノイズを超える明度になりがちな、露光の長いショットにおいて頻繁に見受けられる、デジタルイメージセンサーのノイズパターンである。DSNUは、外部照明のない特定の設定(例えば、温度、積分時間等)において撮像アレイにわたる平均からのオフセットを指す。つまり、DSNUに対する校正は照明光源を消灯した状態で実行する。
【0027】
ステップ206において、撮影装置は任意のゲイン値及び露光値に設定される。本発明の一以上の実施形態においては、露光は撮影装置のセンサーが有効でフォトンを吸収する間の時間に対応する。露光時間が経過すると、センサーは無効化される。本発明の一以上の実施形態において、ゲインは撮影装置のセンサー及び/又は撮影装置自体によって出力される信号を増幅する因子と対応する。
【0028】
ステップ208において、照明光源が消灯した状態で、ALMは選択されたゲイン値及び露光値に設定された撮影装置によってスキャンされる。スキャンによって得られたデータは、ピクセル明度の分配を示すヒストグラムとして描画しうる。
【0029】
ステップ210において、得られたヒストグラムのバランスが取れているかが決定される。本発明の一以上の実施形態においては、良好なバランスのヒストグラムはガウス分布を有するか、少なくとも多くの数のピクセルが明度の軸の端に見られない分布を有するものに対応する。ヒストグラムのバランスが取れていると決定されると、選択されたゲイン値/露光値は最終的なゲイン値/露光値とみなされ、処理はステップ214へと進む。一方、ヒストグラムのバランスが取れていないと決定されると、処理はステップ212へと進み、よりバランスが取れたヒストグラムを作成するため、ゲイン値及び/又は露光値が調整される。続いて、処理はステップ208へ戻る。
【0030】
ステップ214において、非ゼロ電流を用いてMFP/外部の照明光源が点灯される。ステップ216において、撮影装置のPRNU校正が開始される(ステップ216の最初の実行の際)又は再開される(ステップ216の次回以降の実行の際)。PRNU校正の間、撮影装置は最終的な露光値及びゲイン値に設定される。つまり、PRNU校正の間は、露光値及びゲイン値は固定される。PRNU校正の際のスキャンから得られたデータはピクセル明度の分配を示すヒストグラムとして描画しうる。
【0031】
ステップ218において、得られたヒストグラムのバランスが取れているかが判断される。本発明の一以上の実施形態においては、良好なバランスのヒストグラムはガウス分布を有するか、少なくとも多くの数のピクセルが明度の軸の端に見られない分布を有するものに対応する。ヒストグラムのバランスが取れていると決定されると、処理はステップ222へと進む。一方、ヒストグラムのバランスが取れていないと決定されると、処理はステップ220へと進み、よりバランスが取れたヒストグラムを作成するため、照明光源を通る電流が異なる非ゼロ値に調整される。続いて、処理はステップ216へ戻る。
【0032】
ステップ222において、照明光源を消灯し、撮影装置を最終的な露光値及びゲイン値に設定した状態で、ALMをスキャンして、画像を生成する。画像は任意の形式(例えば、BMP、GIF、JPEG、TIFF等)の圧縮又は非圧縮の画像でありうる。得られた画像(例えば、画像ファイル)については印刷、ファックス、メール送信、保存等を実行しうる。
【0033】
本発明の一以上の実施形態において、ステップ214、216、218及び220は省略される。このような実施形態においては、ステップ210が真(つまり、「YES」)であるとして、処理はステップ210からステップ222へと進む。
【0034】
図3は本発明の一以上の実施形態における実施例を図示する。スキャン画像A(304)は能動的照明(つまり、スキャナーの照明光源が点灯され、非ゼロ電流が流されている状態)を用いてALMをスキャンして得られた画像である。図3に示すように、ALM(302)の内容はスキャン画像A(304)では見ることができず、ALMは暗く見える。スキャナーの光学系による照明の方法及び校正の方法に加え、ALMによる光の反射の仕方の結果、スキャン画像A(304)におけるALM(302)は暗くなる。上述のように、一般的なデジタルスキャナーの光学システムは、直線形CCD又はCMOSセンサー等の撮影装置によって撮像する光学系で構成されている。光学システムは紙等の受動的媒体を能動的に照らす高強度の光源によって照らされる。一般に能動的照明は光軸から外れて実行されるが、一般的な受動的媒体は拡散して光を反射させるので、媒体は十分に照らされた状態で、センサーに撮像され、その結果読みやすい出力が得られる。
【0035】
ALMディスプレイは一般に拡散して反射せず、むしろ照らされると大きく指向性を有する鏡面のようである。軸外のスキャナーの照明光源がALMディスプレイを照らすと、光のほとんどが光学システムそしてスキャナーセンサーに反射されない。また、ALMディスプレイの明度はスキャナーの照明光源から受動的メディアによって反射される光よりも大幅に低いので、より明るい出力のためにスキャナーが校正され、これによりディスプレイは暗く見える。その結果が、スキャン画像A(304)となる。
【0036】
本発明の一以上の実施形態において、画像においてALMの内容が見える状態のALMからのスキャン画像を生成するために、スキャナーはスキャナー自体の照明光源を使わず、能動的照明媒体から提供される照明のみを用いなければならない。具体的には、スキャナーは照明光源を消灯した状態で受動的(DSNU)校正を実行し(A)、続いて読取可能な出力を撮影するのに必要な適切な露光値及びゲイン値を決定するために平台のスキャンを開始する(B)。ここでのスキャンは一定の任意のレベルに光学システムの露光値及びゲイン値を設定し、続いて平台領域をスキャンすることを含む。スキャンデータに基づいて、スキャナーは適切に校正されたか、又は露光値及び/又はゲイン値を調整し、校正のために再びスキャンする必要があるかを判断する(この処理は繰り返される可能性がある)。いったん照明光源を消灯した状態で露光値及びゲイン値が適切に設定されたと判断されると(B)、照明を点灯した状態でPRNU校正が実行される(C)。PRNU校正において、確定された、最終的な固定されたゲイン値及び露光値を用いて照明光源を通る電流を変動させる。PRNU処理によってピクセル明度のバランスのとれたヒストグラムが得られると、照明光源を消灯した状態で、平台領域の最終的なスキャンが実行され(D)、スキャンされた画像は適切な宛先へ送信される(例えば、印刷出力、デジタルファイル等)。図3に示すように、スキャン画像B(315)はALMの内容(306)を含む。
【0037】
本発明の実施形態によって以下の一以上の効果が得られる:ALMをスキャンし、ALMの内容を得られた画像において表示することが可能、スキャナーの照明光源を通る電流を変動させるだけで、固定されたゲイン値/露光値を用いたPRNU校正を実行することが可能、等。
【0038】
本発明の実施形態は、用いられるプラットフォームを問わず、事実上あらゆる種類のコンピューターにおいて実現することができる。例えば、図4に示すように、コンピューターシステム(400)には、一以上のプロセッサー(402)、関連するメモリー(404)(例えば、ランダムアクセスメモリー(RAM)、キャッシュメモリー、フラッシュメモリー等)、記憶装置(406)(例えば、ハードディスク、コンパクトディスクドライブやデジタルビデオディスク(DVD)ドライブ等の光学ドライブ、フラッシュメモリースティック等)及び現在のコンピューター(図示せず)において一般的ないくつかのその他の要素及び機能が含まれる。本発明の一以上の実施形態においては、プロセッサー(402)はハードウェアである。例えば、プロセッサーは集積回路でありうる。コンピューターシステム(400)はキーボード(408)、マウス(410)、又はマイクロフォン(図示せず)等の入力手段を有しうる。また、コンピューターシステム(400)はモニター(412)(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、ブラウン管(CRT)モニター)等の出力手段を有しうる。コンピューターシステム(400)はネットワークインターフェース接続(図示せず)を介してネットワーク(414)(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)、又はその他の種類のネットワーク)に接続されうる。本発明の一以上の実施形態においては、様々な種類のコンピューターシステムが存在し、上述の入力及び出力手段はその他の形式を取りうる。一般に、コンピューターシステム(400)は少なくとも本発明の実施形態を実施するのに必要な最低限の処理、入力及び/又は出力手段を有する。
【0039】
さらに、本発明の一以上の実施形態においては、上述のコンピューターシステム(400)の一以上の要素は遠隔地に位置し、ネットワーク上で他の要素と接続しうる。また、本発明の実施形態は複数のノードを有する分散システムにおいて実現することができ、本発明の各部分(例えば、ハードウェア機器、複合機、等)は分散システムにおける異なるノードに配置されうる。本発明のある実施形態においては、ノードはコンピューターシステムに対応する。また、ノードは関連する物理メモリーを有するプロセッサーに対応しうる。また、ノードは共有メモリー及び/又は資源を有するプロセッサー又はプロセッサーのマイクロコアに対応しうる。さらに、本発明の実施形態を実行するためのコンピューターに読取可能なプログラムコードの形式であるソフトウェア命令を、コンパクトディスク(CD)、ディスケット、テープ、メモリー、又はその他のコンピューターに読取可能な記憶装置等の非一時的な、コンピューターに読取可能な記憶媒体に一時的に又は永久に保存することができる。
【0040】
本発明は限られた数の実施形態により説明されたが、当業者は本明細書を利用することによって、本明細書において開示される本発明の範囲を逸脱することなく、その他の実施形態を考案することが可能であることを理解するであろう。よって、本発明の範囲は添付されたクレームのみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置及び照明光源を用いて、能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得する方法であって、
暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行するステップと、
前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置を用いて、少なくとも1回前記ALMをスキャンすることによって、最終露光値及び最終ゲイン値を決定するステップと、
前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして前記画像を生成するステップと、
を備える。
【請求項2】
前記最終露光値及び前記最終ゲイン値を決定するステップは、
前記撮影装置を第一ゲイン値及び第一露光値に設定するステップと、
前記照明光源を消灯した状態で前記ALMをスキャンして、第一ヒストグラムを取得するステップと、
前記第一ヒストグラムのバランスに基づいて、前記撮影装置を第二ゲイン値及び第二露光値に設定するステップと、
前記照明光源を消灯した状態で前記ALMをスキャンして、第二ヒストグラムを取得するステップと、
をさらに備えるクレーム1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像を生成する前に、前記照明光源を点灯し、前記撮影装置を前記最終ゲイン値及び前記最終露光値に設定した状態で、感度不均一性(PRNU)に対する前記撮影装置の校正を実行するステップをさらに備えるクレーム1に記載の方法。
【請求項4】
PRNUに対する前記撮影装置の校正を実行するステップは、
前記照明光源に第一の非ゼロ電流を通した状態で第一ヒストグラムを取得するステップと、
前記ヒストグラムのバランスに対して前記照明光源の電源を調整するステップと、
前記電源を調整した後に、前記照明光源に第二の非ゼロ電流を通した状態で第二ヒストグラムを取得するステップと、
を備えるクレーム3に記載の方法。
【請求項5】
前記最終露光値及び前記最終ゲイン値を決定する前に、前記照明光源を消灯した状態で前記ALMをスキャンする要求をユーザーから受信するステップをさらに備えるクレーム1に記載の方法。
【請求項6】
前記ALMはモバイル機器のバックライト型液晶ディスプレイ(LCD)である、クレーム1に記載の方法。
【請求項7】
前記撮影装置は電荷結合素子(CCD)と相補型金属酸化膜半導体(CMOS)とによって構成された群から選択された少なくとも一つのものを備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
撮影装置及び照明光源を用いて、能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得するためにコンピューターに以下の機能を実行させる命令を備える非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体であって、
暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行する機能と、
前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置を用いて、少なくとも1回前記ALMをスキャンすることによって、最終露光値及び最終ゲイン値を決定する機能と、
前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして前記画像を生成する機能と、
を備える。
【請求項9】
前記最終露光値及び前記最終ゲイン値を決定するための命令は、
前記撮影装置を第一ゲイン値及び第一露光値に設定する機能と、
前記照明光源を消灯した状態で前記ALMの第一のスキャンから、第一ヒストグラムを取得する機能と、
前記第一ヒストグラムのバランスに基づいて、前記撮影装置を第二ゲイン値及び第二露光値に設定する機能と、
前記照明光源を消灯した状態で前記ALMの第二のスキャンから、第二ヒストグラムを取得する機能と、
をさらに備えるクレーム8に記載の非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体。
【請求項10】
前記画像を取得する前に、前記照明光源を点灯し、前記撮影装置を前記最終ゲイン値及び最終露光値に設定した状態で、感度不均一性(PRNU)に対する前記撮影装置の校正を実行する機能をさらに備えるクレーム8に記載の非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体。
【請求項11】
PRNUに対する前記撮影装置の校正を実行する命令は、
前記照明光源に第一の非ゼロ電流を通した状態で第一ヒストグラムを取得する機能と、
前記ヒストグラムのバランスに対して前記照明光源の電源を調整する機能と、
前記電源を調整した後に、前記照明光源に第二の非ゼロ電流を通した状態で第二ヒストグラムを取得する機能と、
を備えるクレーム8に記載の非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記最終露光値及び前記最終ゲイン値を決定する前に、前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンする要求をユーザーから受信する機能をさらに備えるクレーム8に記載の非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記ALMはモバイル機器のバックライト型液晶ディスプレイ(LCD)である、クレーム8に記載の非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記撮影装置は電荷結合素子(CCD)と相補型金属酸化膜半導体(CMOS)とによって構成された群から選択された少なくとも一つのものを備えるクレーム8に記載の非一時的コンピューター読取可能な記憶媒体。
【請求項15】
能動的に点灯する媒体(ALM)の画像を取得するシステムであって、
撮影装置及び照明光源と、
暗時出力不均一性(DSNU)に対する前記撮影装置の校正を実行する暗時校正器と、
前記照明光源を消灯した状態で前記撮影装置によって生成された少なくとも1回の前記ALMのスキャンから、最終露光値及び最終ゲイン値を決定する光学設定モジュールと、
前記照明光源を消灯した状態で、前記最終露光値及び前記最終ゲイン値に設定された前記撮影装置を用いて前記ALMをスキャンして画像を生成する画像処理エンジンと、
を備える。
【請求項16】
前記照明光源を消灯した状態での前記ALMの複数回のスキャンから、第一ヒストグラム及び第二ヒストグラムを生成するヒストグラムエンジンをさらに備え、
前記第一ヒストグラムは第一露光値及び第一ゲイン値に対応し、
前記第二ヒストグラムは第二露光値及び第二ゲイン値に対応し、
前記第二ヒストグラムは、前記第一ヒストグラムのバランスに基づいて生成される、
クレーム15に記載のシステム。
【請求項17】
前記画像を生成する前に、前記照明光源を点灯し、前記撮影装置を前記最終ゲイン値及び前記最終露光値に設定した状態で、感度不均一性(PRNU)に対する前記撮影装置の校正を実行する光学校正器をさらに備えるクレーム15に記載のシステム。
【請求項18】
前記照明光源に動作可能に接続された電源と、
前記照明光源を点灯した状態での複数回のスキャンから、第一ヒストグラム及び第二ヒストグラムを生成するヒストグラムエンジンとをさらに備え、
前記第一ヒストグラムは前記照明光源を通る第一の非ゼロ電流に対応し、
前記第二ヒストグラムは前記照明光源を通る第二の非ゼロ電流に対応し、
前記電源は前記第一ヒストグラムのバランスに基づいて調整される、
クレーム17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ALMはモバイル機器のバックライト型液晶ディスプレイ(LCD)である、クレーム15に記載のシステム。
【請求項20】
前記撮影装置は電荷結合素子(CCD)と相補型金属酸化膜半導体(CMOS)とによって構成された群から選択された少なくとも一つのものを備える請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−81172(P2013−81172A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−215432(P2012−215432)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】