説明

脂漏の処置のための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの使用

本発明は、脂漏の処置のための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、脂漏を処置するためのその使用のための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートに関する。脂漏は皮膚または頭皮に関するものであり得る。
【0002】
本発明はまた、脂漏(seborrhoea)を処置するための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを含んでなる化粧用組成物に関する。
【0003】
皮脂は、皮膚の皮脂腺による、皮膚を保護する働きをする脂質膜の分泌物であり、汗と混じって、乾燥から皮膚を保護する。
【0004】
皮脂は皮膚の耐水性を与え、表皮構造の発達に役割を果たす。
【0005】
皮脂は酸性化(乳酸と脂肪酸の存在)により皮膚を微生物から保護し、一定の耐水性を与える。皮脂は皮膚を柔軟にし、表皮の成長に役割を果たす。
【0006】
皮脂はまた、身体および頭部の毛にも見られる。皮脂は皮脂腺により産生される。人は全部で2,000,000の皮脂腺を持ち、これに身体および頭部の毛6,000,000本が加わる。
【0007】
皮脂腺分布は不均一である。皮脂腺の密度は顔面および頭皮では300〜900個/cmに達し、上胸部および背中ではこの密度は100個/cm程度である。
【0008】
皮脂腺は全分泌型の分泌であり、すなわち、完全な細胞排出である。その分泌部分は胞状(alveolar)である。
【0009】
脂漏は、皮脂腺による過剰な皮脂生産からなる。
【0010】
脂漏は様々な原因を持ち得る。
【0011】
・神経系:皮脂機能を激化する感情的なストレス、神経の緊張
・疲労
・偏った食事
・ある種の投薬(向精神薬)
・皮膚および/または頭皮を「剥離」し、反応性脂漏を誘発する不適切な美容処置
・主な原因はホルモンである。皮脂腺はホルモン依存性であり、その活動はアンドロゲンにより影響を受ける。アンドロゲンは、皮脂腺でアンドロゲンを代謝し皮脂の生産を促す5−αレダクターゼ酵素の影響下でのみ活性を示す。5−αレダクターゼ酵素の活性亢進が脂漏を生じる。
・脂漏の徴候は、皮脂腺が最も多くて大きい顔面の中央領域(額、鼻、顎)に見られる。脂漏はまた頭皮にも見られ、前頭および前頭側頭骨領域ならびに頭頂部に多い。
【0012】
脂漏は審美的問題を生じる。皮膚の場合、皮膚はてかりを示し、顔色が悪く、毛包の開口部が拡大する。さらに、化粧持ちが悪く、いわゆる、脂性肌型である。
【0013】
頭皮の脂漏の場合、毛髪はべたつき感があり、つやがなく、スタイリングが難しい。脂漏が強い場合には、脂性湿性肌と呼ばれ、酸敗臭に関連する場合もある。
【発明の概要】
【0014】
脂漏を処置し、脂漏に関連する審美的問題を矯正するために、驚くことに、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを使用すると5−αレダクターゼ酵素の活性を阻害することができ、ひいては皮脂の分泌を軽減することができるということが証明された。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】
【発明の具体的説明】
【0016】
1)2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエート:
2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエート(式1)(ラウリン酸グリセリルまたはモノラウリン酸グリセリルとも呼ばれる)は、化学式C1530を有する、ラウリン酸とグリセロールから形成されたエステルである。これは通常、例えば家庭用洗濯用製品などの乳化剤として用いられるだけでなく、食品にも用いられる。
【化1】

式1:2,3-ジヒドロキシプロピルドデカノエート
【0017】
2)5−αレダクターゼ酵素
5−αレダクターゼ酵素には、5−αレダクターゼ1と、5−αレダクターゼ2との2つのアイソザイムがある。1型は本質的に皮膚で発現され、皮脂腺および皮膚乳頭に存在し、pH7で活性があり、2型は前立腺で発現され、pH5で活性がある(Luu-The et al, Characterization, Expression and Immunohistochemical localization of 5-alpha reductase in human skin, The Journal of Investigate Dermatology, p221-226, 1994)。
【0018】
5−αレダクターゼ酵素は、ステロイド代謝に関与する酵素である(Luu-The et al, Characterization, Expression and Immunohistochemical localization of 5-alpha reductase in human skin, The Journal of Investigate Dermatology, p221-226, 1994)。
【0019】
より具体的には、この酵素はテストステロン(式2)のΔ4,5結合を還元し、生じるジヒドロテストステロン(アンドロスタノロン)(DHT)(式3)もまたアンドロゲンホルモンである。
【0020】
皮脂腺はホルモン依存性であり、その機能はテストステロンと関連がある。テストステロンは精巣、卵巣(アンドロステンジオン)、および副腎(デヒドロエピアンドロステロン)によって生産される。標的細胞では、テストステロンは5−αレダクターゼ酵素によって活性型DHTに変換される。サイトゾル受容体と結びついた後、DHTは核受容体に結合し、皮脂の生産を担うタンパク質の合成を誘導する。
【化2】

式2:テストステロン
【化3】

式3:ジヒドロテストステロン(DHT)
【0021】
脂漏は、サイトゾル受容体の数の増加に関連する5−αレダクターゼ酵素の活性亢進と関連がある。
【0022】
従って、5−α−レダクターゼ酵素活性を阻害するとアンドロゲン代謝、ひいては皮脂生産を軽減することができる。
【0023】
3)生物学的結果:2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを用いた5−αレダクターゼ活性の阻害:
プロトコール:
生物学的モデル:
・細胞種:正常ヒト皮膚繊維芽細胞(NHDF)
・培養条件:37℃、5%CO
・培養培地:2mMのL−グルタミン、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM
・試験培養培地:2mMのL−グルタミン、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシンおよび1%ウシ胎仔血清を添加したDMEM
・放射性標識テストステロン:
[4−14C]テストステロン(Amersham)。放射性標識テストステロンはエタノールに溶解し、試験培養培地で希釈した。
【0024】
試験化合物:
・試験化合物:2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエート
・陽性対照:フィナステリド
・フィナステリドは5−αレダクターゼ活性を阻害し、従って、テストステロンからDHTへの代謝を妨げることがよく知られている。
・対照:エタノール(5−αレダクターゼ阻害活性を持たない)
【0025】
細胞培養および処置:
繊維芽細胞をコンフルエントに達するまで培養した。次に、培養培地を除去し、試験化合物を含有する、または含有しない試験培養培地に置き換え、陽性対照または対照および細胞を24時間プレインキュベートした。インキュベーション後、細胞を試験化合物または陰性対照で処理し、放射線標識テストステロンを加えた。次に、これらの細胞を24時間インキュベートした。総ての実験を3回行った。
【0026】
抽出および分析:
上清から2倍容量のクロロホルム/メタノールでステロイドを抽出し、乾燥させた。種々の分子化合物(テストステロン代謝産物)を、ジクロロメタン、酢酸エチルおよびメタノールを含んでなる溶媒混合物中、シリカプレート(RE/silica, Whatman)上での薄層クロマトグラフィーにより分離した。これらのプレートをオートラジオグラフィーに付し、テストステロン代謝産物を、β線検出装置であるホスホルイメジャーと特殊なソフトウエア(Packard Instrument)を用いて定量した。放射線標識DHTの検出量の減少は5−αレダクターゼ酵素活性のサインである。
【0027】
データ処理:
・生データをマイクロソフトExcel(商標)ソフトウエアで解析した。
・平均の標準誤差の計算=標準偏差/ √(n)
・生存力=(サンプルの光学密度/対照の光学密度)×100
結果は、ヒト繊維芽細胞によるDHT生産に対する2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの効果を示す添付の図1に示す。
【0028】
エタノール対照はテストステロン代謝に効果は無く、従って、5−αレダクターゼ活性を阻害しないことが観察される。
【0029】
10μMで試験した陽性対照フィナステリドは、テストステロンのDHTへの代謝を有意に低下させ、従って、5−αレダクターゼ活性を阻害する。
【0030】
2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの場合、5−αレダクターゼ活性の阻害も観察される。さらに、この阻害の用量効果も見られる、75μMの2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの場合、5−αレダクターゼ酵素活性は66%に低下する。
【0031】
これらの結果は、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートが実際に5−αレダクターゼ酵素活性を阻害することを示す。
【0032】
従って、本発明の1つの目的は、脂漏、優先的には皮膚または頭皮の脂漏を処置するための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの使用である。本発明は、皮脂てかり防止化粧用剤(sebo-mattifying cosmetic agent)としての2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの使用に関する。
【0033】
脂漏は男性型脱毛症と関連する場合が多い。脱毛症は部分的または完全な毛髪の喪失と定義される。毛髪の寿命は、3つの連続する段階を含む毛周期として知られる周期を受ける。成長期は、毛根部での強い代謝活性を伴う活発かつ連続的な成長の段階である。退行期には、有糸分裂活性は低下する。毛髪は退行し、毛包の発育が阻害され、その皮膚埋植部分がますます高いレベルに見られる。最後の段階は、毛包休止期と新しい毛に押し出された毛の抜け落ちからなる休止期である。その毛周期が完了すると、次の毛周期が始まる。ヒトでは毛根の寿命に対しておよそ20〜25周期が存在する。老化の過程で、毛は細くなり、寿命は短くなる。
【0034】
こうしてみると、遺伝性男性型脱毛症(従来、脂漏性脱毛症として知られていた)は最も一般的な形態の脱毛症であり、男性のおよそ70%に影響を及ぼす。寿命の短い毛は男性型脱毛症の主要な特徴である。他の症状の総て、単にこの寿命の短さの結果である。まず、この形態の脱毛症によって引き起こされる問題は、アンドロゲンは成長期を加速し、毛を休止期へ移行させるのが速すぎ、毛包に高品質のケラチンを生産させる十分な時間がないことによる。その後、悪循環が起こり、毛の生産が速くなり、抜け落ちが速くなり、互いの引き継ぎが速くなり、その度ごとに前のものよりも弱く短い毛が作られる。やがて、更新周期のストックが尽き、毛包はもはや生産は行わず、死に至る。過剰なアンドロゲンによるこの形態の脱毛はまた、閉経期またはアンドロゲン処置後の女性にも影響を及ぼす。それは側頭および頭頂で始まる。
【0035】
結論として、5−αレダクターゼ酵素活性を引き下げれば、脂漏を阻害し、ひいては抜け毛を遅延させるはずである。
【0036】
4)組成物
本発明はまた、脂漏を処置するための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを含んでなる化粧用組成物に関する。特に、本発明は、皮膚または頭皮の脂漏を処置するための2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを含んでなる化粧用組成物に関する。本発明の対象はまた、本発明による化粧用組成物を皮膚または頭皮に適用することを含んでなる、脂漏の美容的処置方法からなる。特に、本発明の対象は、皮膚または頭皮の脂漏の美容的処置方法からなる。
【0037】
本発明によれば、化粧用組成物は、組成物の総重量に対して、0.01〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より具体的には1〜5重量%の2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを含んでいてもよい。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、化粧用組成物はアベンヌ温泉水(Avene thermal spring water)をさらに含んでなるものである。
【0039】
アベンヌ温泉水の組成は次の通りである。
【0040】
【表1】

【0041】
本発明のさらなる実施形態は、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートが唯一の有効成分である化粧用組成物である。
【0042】
本発明によれば、化粧用組成物は、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエート、アベンヌ温泉水および美容上許容される基材を含んでなるものである。
【0043】
「美容上許容される基材(cosmetically acceptable substrate)」とは、化粧用組成物の製造、保存、または投与に好適な任意のアジュバントまたは賦形剤を表す。
【0044】
本発明による組成物は、特に、水性アルコール型、水中油型もしくは油中水型もしくは多重エマルション、油性ゲル、または液体、ペースト状または固体無水製品の形態、または小球体存在下の分散物の形態での局所適用に通常用いられるいずれの形態であってもよい。これらの組成物は常法を用いて作製される。
【0045】
該組成物は好適ないずれの投与形態であってもよい。該組成物は水溶液、アルコール溶液、水性アルコール溶液または油性溶液、ローションまたは美容液タイプの分散物、懸濁液、マイクロカプセルまたは微粒子の形態;イオンおよび/または非イオン小胞分散物、水性、油性ローション、または美容液の形態;フォーム、固体剤形、例えば、スティック;加圧噴射剤も含んでなるエアゾール組成物、ゲルまたはパッチの形態であり得る。
【0046】
この組成物は様々な流動性を備えていてよく、白色もしくは有色のクリーム、軟膏、ミルクまたはペースト状を呈していてもよい。該組成物は所望により、エアゾール形態で皮膚または毛髪に適用してもよい。
【0047】
本発明による組成物は、ヘアケア組成物、特に、シャンプー、セットローション、スタリングローション、クリームまたはゲル、毛染め組成物または抜け毛予防ゲルの形態であってもよい。
【0048】
該組成物はまた、顔用もしくは体用の洗浄、保護、または衛生組成物(例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、化粧落としクリーム、保護用または処置用ボディーローション、スキンケアローション、ゲルまたはフォーム)、ファンデーションなどのメイクアップ組成物の形態であってもよい。
【0049】
組成物がエマルションである場合、油脂相の割合は、組成物の総重量に対して5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲であってよい。エマルション形態の組成物に用いられる脂、ワックス、乳化剤、および補助乳化剤は、化粧品分野で従来から用いられているものから選択される。
【0050】
油脂相:
油脂相とは、オイル、ガム、ペースト、およびワックスなどの親油性化合物を意味する。
オイルは、好ましくは、植物油、動物油、鉱油、合成油、シリコーン油、液体脂肪酸エステル、液体脂肪酸、および液体脂肪アミドから選択される。
【0051】
植物油の例としては、特に、アーモンド油、アボカド油、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ液体ワックス、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、ゴマ油、落花生油、グレープシードオイル、ダイズ油、ナタネ油、ベニバナ油、ココヤシ油、コーン油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、およびカロフィラム油が挙げられる。
【0052】
動物油の例としては、特にペルヒドロスクアレンが挙げられる。
【0053】
合成油の例としては特に、スクアレン、ポリ(α−オレフィン)(イソデデカンまたはイソヘキサデカンなど)、トランスエステル化植物油、およびフッ素化油が挙げられる。
【0054】
シリコーン油の例としては、環状ポリジメチルシロキサン(INCI名:シクロメチコン)、例えば、デカメチルペンタシロキサン、低粘度直鎖ポリメチルシロキサンが挙げられる。
【0055】
本発明における使用に好適なワックスは、例えば、動物、植物、無機質または合成起源のワックス、例えば、蜜蝋、鯨蝋、フッ素化またはペルフルオロ化ワックス、ラノリンワックス、カンデリラ(Candellila)蝋、オーリクリー(Ouricury)蝋、カルナバ(Carnauba)蝋、木蝋燭(Japan wax)、カカオ脂蝋、コルク線維ワックスまたはサトウキビ蝋、米糠蝋、松蝋、綿蝋;微晶質ワックス、パラフィンワックス、ワセリン、石油ゼリー、オゾケライト、モンタン蝋、水添ホホバ油などの40℃を超える温度の水添油、ポリエチレンワックスおよびFischer-Tropsch合成により得られるワックスがある。
【0056】
ワックスはまた蝋状脂肪アルコールおよび蝋状脂肪エステルから選択してもよい。
【0057】
蝋状脂肪酸エステルは脂肪酸エステル、すなわち、少なくとも10個の炭素原子とモノアルコールまたはポリオールを含んでなるカルボン酸エステルである。本発明による組成物において用いることができる好適な蝋状脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、またはトリエステルであってもよい。蝋状エステルの例としては、ミリスチル酸ミリスチル、およびステアリン酸ステアリルが挙げられる。
【0058】
本発明による組成物において用いることができる好適な蝋状脂肪酸は、好ましくは12〜24個の炭素原子を含んでなり、飽和型でも不飽和型でもよく、所望により分岐していてもよく、1または複数のヒドロキシ官能基を有していてもよい。例としては、ラウリン酸、ステアリン酸、セチル酸、およびベヘン酸が挙げられる。
【0059】
蝋状アミドの例としては、n−オレイルジヒドロスフィンゴシンなどのセラミドが挙げられる。
【0060】
乳化剤:
乳化剤は、2つの互いに不溶の相の分散を容易にする。乳化剤および補助乳化剤は、組成物の総重量の0.3〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、優先的には0.5〜10重量%の割合で組成物中に存在する。
【0061】
この乳化系は特に、エトキシル化脂肪アルコール、脂肪酸およびPEGエステル、エトキシル化脂肪酸部分的グリセリド、ポリグリセロール脂肪酸トリグリセリドおよびそれらのエトキシル化誘導体から選択される1または複数の化合物を含んでなり得る。
【0062】
本発明によるエトキシル化脂肪酸アルコールとしては、ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加生成物、特に、6〜12個のオキシエチレン化基を含んでなるもの(例えば、Beheneth−9またはBehenth−10);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加生成物、特に、6〜12個のオキシエチレン基を含んでなるもの(例えば、steareth−9);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加生成物、例えば、6〜12個のオキシエチレン基を含んでなるもの(Isosteareth−9)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
非イオン界面活性剤としてはまた、上記のものに対する種々のオキシエチレン化脂肪アルコール、すなわち、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加生成物(laureth−9〜laureth−50);セテアリールまたはセチルステアリルアルコールのエチレンオキシド付加生成物(Ceteareth−9〜Ceteareth−30)、セチルアルコールのエチレンオキシド付加生成物(Ceteth−9〜Ceteth−30);およびそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
また、付加的な界面活性剤が組成物に含まれてもよい。これらの付加的界面活性剤は、パルミチン酸塩、ステアリン酸、ベヘン酸、グリセロール脂肪エステル(ステアリン酸グリセリルなど)などの、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸塩;2〜8個のエチレンオキシド基を含んでなる、脂肪酸塩およびグリセロール脂肪エステルのオキシエチレン化誘導体およびそれらの混合物;ならびに当業者に公知の任意の乳化剤およびコンディショニング剤であってよい。
【0065】
保存剤:
保存剤は、組成物の総重量に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%の割合で組成物中に存在する。
【0066】
該組成物は、1または複数の芳香族置換基を含有するのに好適なアルコール、例えば、フェノキシエタノール(2−フェノキシエタノールなど)、1−フェノキシ−2−プロパノール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシビフェニル、パラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムエチルパラベン、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムイソブチルパラベン、ナトリウムブチルパラベンまたはナトリウムイソブチルパラベンなど)、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ハロゲン化誘導体(ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)、クロルブタヌルム(chlorbutanulum)、2,4−ジクロロベンジルアルコール、N−(4−クロロフェニル−N’−(3,4−ジクロロフェニル尿素、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、クロロキシレノール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、ブトコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾール、1または複数の陽イオン窒素を含有する活性物質(例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、ジイソブチルエトキシエチル−ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジイソブチル−フェノキシ−エトキシエチル−ジメチルベンジル−アンモニウムクロリド、N−アルキル−N,N−ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、ブロミド、サッカリナート、塩化トリメチルアンモニウム、クロロヒドロキシル酢酸ナトリウムアルミニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、ジアミノアルキルアミド、有機酸およびそれらの塩、例えば、クエン酸など)、不飽和抗菌剤(ファルネソール、テルビナフィンまたはナフチフィンなど)、複素環式芳香族剤(ボフォナゾール、クロコナゾール、イソコナゾールなど)、当業者に公知の他のいずれかの抗微生物または抗真菌剤;ならびにそれらの混合物から選択される保存剤または抗真菌剤などの抗菌剤をさらに含んでもよい。
【0067】
増粘剤:
増粘剤は、組成物の総重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の割合で組成物中に存在する。
【0068】
該組成物はまた、増粘剤またはレオロジー改質剤、例えば、疎水性改質エトキシル化非イオンウレタン、増粘ポリカルボン酸(例えば、アクリレート/steareth−20メタクリレートコポリマー、カルボマー、アクリレートコポリマー、およびアクリレート/C10−C30アルキルアクリレートクロスポリマーなど);天然ガムおよびクレー、改質クレー(ベントンなど)、金属脂肪酸塩(ステアリン酸アルミニウムなど)および疎水性シリカ;ならびにそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0069】
pH調整剤:
該組成物はまた、組成物のpH範囲を調整するための酸および塩基を含んでもよい。塩基は無機塩基(水酸化ナトリウム、カリ、アンモニア)または有機塩基(モノ、ジまたはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N−メチル−グルカミンなど)、塩基性アミノ酸(アルギニンおよびリシンなど);およびそれらの混合物であってもよい。
【0070】
該組成物はさらに、pH緩衝剤、ビタミン、芳香剤、および当業者に周知の他の有用な化合物などの1または複数の他の成分をさらに含んでなり得る。
【0071】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0072】
実施例:皮膚用組成物
【表2】

【0073】
実施例2:毛髪用組成物
【表3】

【0074】
実施例3:毛髪用組成物
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂漏を処置するための、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートの使用。
【請求項2】
脂漏が皮膚に関連する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
脂漏が頭皮に関連する、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
抜け毛を遅延させるための、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
脂漏を処置するための、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを含んでなる、抗脂漏組成物。
【請求項6】
脂漏が皮膚に関連する、請求項5に記載の抗脂漏組成物。
【請求項7】
脂漏が頭皮に関連する、請求項5に記載の抗脂漏組成物。
【請求項8】
2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエート組成物の総重量に対して、0.01〜20%、好ましくは0.5〜10%、より具体的には1〜5重量%含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の抗脂漏組成物。
【請求項9】
単一の有効成分として、2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエートを含んでなる、請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗脂漏組成物。
【請求項10】
アベンヌ温泉水を含んでなる、請求項5〜8のいずれか一項に記載の抗脂漏組成物。
【請求項11】
2,3−ジヒドロキシプロピルドデカノエート、アベンヌ温泉水、および美容上許容される基材を含んでなる、請求項5〜10のいずれか一項に記載の抗脂漏組成物。
【請求項12】
請求項5〜11の少なくともいずれか一項に記載の化粧用組成物を、皮膚または頭皮に適用することを含んでなる、脂漏の美容的処置の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−514328(P2013−514328A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543777(P2012−543777)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070028
【国際公開番号】WO2011/073370
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500166231)ピエール、ファブレ、デルモ‐コスメティーク (30)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE DERMO−COSMETIQUE
【Fターム(参考)】