説明

脂漏性皮膚炎治療用の薬用シャンプー

【課題】 脂漏性皮膚炎治療用の薬用シャンプーを提供することである。
【解決手段】 式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドンおよび少なくとも1種のアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性界面活性剤、あるいはこれらの界面活性剤の混合物を含み、4.5〜6.5のpHを有する脂漏性皮膚炎治療用の薬用シャンプーである。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂漏性皮膚炎治療用の薬用シャンプーに関する。
【背景技術】
【0002】
脂漏性皮膚炎は炎症の徴候としての紅斑の存在、時折かゆみやひりひりする感じを伴う重度のはがれ(scaling)、および他の体部への湿疹性転移の発生を特徴とするため、単純なふけとは違う頭皮障害を意味すると解される。それは斑点状に存在するが、頭皮全体を冒すことが多く、しばしば額の生えぎわ、前額部、首や耳の周囲まで及ぶ。深刻な場合、頭皮で二次感染が起こり、その転移は一様な海綿状の小疱やかさぶたの形成を示し、滲出をもたらすこともある。
【0003】
脂漏性皮膚炎はしばしば幼時にも発生するが、通常は8〜12ヵ月で自然に治る。幼児の紅斑、はがれ、時には小疱およびかさぶたからなる頭皮変化は数週間で自然に戻り、幼児期の間ずっと断続的に再発または持続しうる。これらはしばしばまぶた、鼻および耳の周囲における同様の症状と組み合わさっている。その後、症状は通常、思春期の後に発生し、一生涯持続したり、さらに激しさが増したりさえする。人口の約1〜3%がこの病気に冒されている。
【0004】
1−ヒドロキシ−2−ピリドンおよびそれらの塩はほぼすべての人々に発生する頭皮の臨床的に非炎症性のはがれを特徴とする通常のふけに対して活性を示すことが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】DE 22 34 009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで最も有望な脂漏性皮膚炎の治療はコルチコステロイド製剤の局所適用であったが、最近は抗真菌剤を用いた局所治療が重要になっている。
コルチコステロイド製剤はもっぱら炎症性過程において作用活性を示すが、ケトコナゾールのような抗真菌剤はもっぱら脂漏性皮膚炎の原因と考えられているピチロスポルム菌株の酵母菌に対して活性である。しかしながら、本発明の1−ヒドロキシ−2−ピリドンは1つの物質で両方の物質の性質を兼ね備えており、ピチロスポルム菌株に対して抗炎症作用および抗真菌活性を示す。
ケトコナゾールと比較して、本発明の物質は局所接触時間が短くても真菌の成長と関係がある皮膚層に早く集まるため迅速な治療が可能となる。
ケトコナゾールは試験管内でグラム陽性菌に対して不活性であるが(KinsmanらのJ. Med. Microbiol. 16, No.2, IV(1983年)、本発明のヒドロキシピリドンはグラム陽性およびグラム陰性の好気性および嫌気性菌に対して活性を示す(DittmarらのArzneim. Forschung, 31(II), No.8a,
第1317〜1322頁(1981年))。二次的に感染した症例の治療に関して、これは極めて重要な発見である。
ケトコナゾールと比較して、本発明において使用される化合物は更に薬剤の製造におけるそれらの加工性に関して非常に重要な利点を有する。これらの化合物は水、アルコールおよびアルコール性水溶液に溶解するため、ヘアローションおよび透明なゲル製剤の製造は問題なく可能である。
本発明の製剤は癜風、胴体表面の非炎症性皮膚真菌症の治療にも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は脂漏性皮膚炎の治療のための薬剤の製造における式I:
【化1】

の1−ヒドロキシ−2−ピリドンの使用に関する。
上記式Iにおいて、
1、R2およびR3は同一または異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、そして
4は6〜9個の炭素原子を有する飽和炭化水素基または式II
【化2】

〔式中、
XはSまたはOであり、
Yは水素原子または2個以下のハロゲン原子、例えば塩素および/または臭素であり、
Zは単結合であるか、2価の基O、S、−CR2−(R=Hまたは(C1〜C4)−アルキル)、または2〜10個の炭素、適当ならば連鎖の形態で結合した酸素および/または硫黄原子を有する他の2価の基であり、これらの基が2個以上の酸素および/または硫黄原子を有する場合、後者は少なくとも2個の炭素原子により互いに離れていなければならず、さらに2個の隣接する炭素原子は二重結合により互いに結合していてもよく、そして炭素原子の自由原子価はHおよび/または(C1〜C4)−アルキル基により飽和しており、
Arは遊離または塩形態のフッ素、塩素、臭素、メトキシ、(C1〜C4)−アルキル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシからなる群より選択される3個以下の基により置換されうる2個以下の環を有する芳香族環系である〕の基である。
Z基において、炭素鎖のメンバーは好ましくはCH2基である。CH2基がC1〜C4アルキル基により置換される場合、CH3およびC25が好ましい置換基である。Z基の例は:−O−、−S−、−CH2−、−(CH2m−(m=2〜10)、−C(CH32−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−、−SCH(C25)−、−CH=CH−CH2O−、−O−CH2−CH=CH−CH2O−、−OCH2−CH2O−、−OCH2−CH2CH2O−、−SCH2CH2CH2S−、−SCH2CH2CH2CH2O−、−SCH2CH2OCH2CH2O−、−SCH2CH2OCH2CH2O−CH2CH2S−または−S−CH2−C(CH32−CH2−S−である。
S基は硫黄原子であり、O基は酸素原子である。「Ar」なる用語はフェニル、またはナフチル、テトラヒドロナフチルおよびインデニルのような縮合系、さらにビフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルエーテルおよびジフェニルチオエーテルから誘導されるもののような独立した系を意味する。
式Iにおいて、炭化水素基R4はメチレンまたはエチレン基を介してピリドン環に結合されうる、またはエンドメチル基を有しうるアルキルまたはシクロヘキシル基である。しかしながら、R4は好ましくは少なくとも1個の脂肪族炭素原子を介してピリドン基に結合した芳香族基であってもよい。
【0007】
式Iにより表される化合物の重要な代表例は:
6−〔4−(4−クロロフェノキシ)フェノキシメチル〕−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、6−〔4−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノキシメチル〕−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、6−(ビフェニリル−4−オキシメチル)−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、6−(4−ベンジル−フェノキシメチル)−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、6−〔4−(2,4−ジクロロ−ベンジルオキシ)フェノキシメチル〕−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、6−〔4−(4−クロロフェノキシ)フェノキシメチル〕−1−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−ピリドン、6−〔4−(2,4−ジクロロベンジル)フェノキシメチル〕−1−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−ピリドン、6−〔4−(シンナミルオキシ)フェノキシメチル〕−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−〔4−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)フェノキシメチル〕−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−n−ヘキシル−、−6−イソ−ヘキシル−、−6−n−ヘプチル−または6−イソ−ヘプチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−オクチル−または−6−イソオクチル−2−ピリドン、特に1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−メチル−または−6−シクロヘキシルエチル−2−ピリドン(ここで、シクロヘキシル基はそれぞれメチル基を有してもよい)、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−6−ベンジル−または−6−ジメチルベンジル−2−ピリドン、あるいは1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(β−フェニルエチル)−2−ピリドンである。
【0008】
本明細書において、「飽和」なる用語は脂肪族の多重結合、すなわちエチレンまたはアセチレン結合を含まない基を意味する。
上記の式Iの化合物は遊離形態で、または塩として使用することができ、遊離形態での使用が好ましい。
【0009】
有機塩基が使用される場合、好ましくは揮発性の少ない塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−n−プロパノール、ジメチルアミノプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール、トリイソプロパノールアミンのような低分子量のアルカノールアミンが使用される。
さらに、揮発性の少ない塩基の例としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、シクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ドデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、ジメチルステアリルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペラジン、4−メチルシクロヘキシルアミン、N−ヒドロキシエチルモルホリンが挙げられる。水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムまたは水酸化テトラエチルアンモニウムのような水酸化第四アンモニウムの塩、さらにグアニジンおよびその誘導体、特にそのアルキル化生成物もまた使用することができる。しかしながら、塩生成剤として例えばメチルアミン、エチルアミンまたはトリエチルアミンのような低分子量のアルキルアミンを使用することもできる。さらに、本発明において使用される化合物として適当な塩は無機カチオンとの塩、例えばアルカリ金属塩、特にナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩;特にマグネシウムまたはカルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;および2または4価のカチオンとの塩、例えば亜鉛、アルミニウムまたはジルコニウム塩である。
式Iの化合物の製剤において使用される活性化合物は例えばUS 2 540 218に記載の方法に従って製造することができる。
【0010】
本発明の上記の化合物の使用において、液体から半固体の医薬製剤、特にヘアローション、シャンプー、液体ソープ、並びにクリーム剤、軟膏およびゲル製剤が適当である。
この場合、これらは実際の使用目的に応じて短期間または長期間、皮膚および/または頭皮に常に適用される製剤である。本発明の化合物を加えることにより、脂漏性皮膚炎の有効な治療が行なわれる。
【0011】
本発明の製剤がシャンプーとして存在する場合、これらは透明な液体または不透明な液体状態、クリーム状態、さらにゼラチン状態であってよい。これらのシャンプーの基剤である界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性であり、これらの物質の組合わせとして存在することができる。
【0012】
しかしながら、好ましくはアニオン性界面活性剤は単独で、または適当ならば補助界面活性剤として両性界面活性剤を加えて塩基界面活性剤として他のアニオン性界面活性剤との混合物として使用される。
【0013】
単独の洗浄剤として、両性界面活性剤はそれらの発泡性、増粘性、さらに部分的に皮膚および目の粘膜の耐性がごく普通であるため、実質的に意義がない。しかしながら、種々のアニオン性界面活性剤と組合わせて、これらの性質は共働作用により改善される。このことからアニオン性シャンプー基剤の最適化には両性界面活性剤が比較的重要であることがわかる。
【0014】
非イオン性界面活性剤を補助界面活性剤として使用することもできる。
このタイプのアニオン性洗浄剤の例は(C10〜C20)−アルキル−および−アルキレンカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、脂肪アルコールスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、アルキロールアミドスルフェートおよびスルホネート、脂肪酸アルキロールアミドポリグリコールエーテルスルフェート、アルカンスルホネートおよびヒドロキシアルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、イソチオネートのアシルエステル、α−スルホ脂肪酸エステル、アルキルベンゾスルホネート、アルキルフェノールグリコールエーテルスルホネート、スルホスクシネート、スルホコハク酸ヘミエステルおよびジエステル、脂肪アルコールエーテルホスフェート、タンパク質−脂肪酸縮合生成物、アルキルモノグリセリドスルフェートおよびスルホネート、アルキルグリセリドエーテルスルホネート、脂肪酸メチルタウリド、脂肪酸サルコシネートまたはスルホリシノレエートである。これらの化合物およびそれらの混合物はそれらの水溶性または水分散性塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ−、ジ−およびトリエタノールアンモニウム塩、並びに類似のアルキロールアンモニウム塩の形態で使用される。
【0015】
シャンプーに添加することができる両性界面活性剤の例はアルカリ金属、モノ−、ジ−およびトリアルキロールアンモニウム塩としてのN−((C12〜C18)−アルキル)−β−アミノプロピオネートおよびN−((C12〜C18)−アルキル)−β−イミノジプロピオネート;N−アシルアミドアルキル−N,N−ジメチルアセトベタイン、好ましくはN−((C8〜C18)−アシル)アミドプロピル−N,N−ジメチルアセトベタイン;(C12〜C18)−アルキル−ジメチルスルホプロピルベタイン;イミダゾリンに基づく両性界面活性剤(商品名:Miranol(登録商標)、Steinapon(登録商標)、好ましくは1−(β−カルボキシメチルオキシエチル)−1−(カルボキシメチル)−2−ラウリルイミダゾリニウムのナトリウム塩;アミンオキシド、例えば(C12〜C18)−アルキルジメチルアミンオキシドまたは脂肪酸アミドアルキルジメチルアミンオキシドである。
【0016】
洗浄剤として使用することができる適当な非イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪アルコールエトキシレート(アルキルポリエチレングリコール);アルキルフェノールポリエチレングリコール;アルキルメルカプタンポリエチレングリコール;脂肪アミンエトキシレート(アルキルアミノポリエチレングリコール);脂肪酸エトキシレート(アシルポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコールエトキシレート(Pluronic(登録商標));脂肪酸アルキロールアミド(脂肪酸アミドポリエチレングリコール);スクロースエステル;アルキルポリグルコシド;ソルビトールエステルおよびポリグリコールエーテルである。
【0017】
適当なカチオン性界面活性剤は、例えば、ジ−((C10〜C24)−アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、好ましくはジ−((C12〜C18)−アルキル)ジメチルアンモニウムクロライドまたはブロミドのような第四アンモニウム塩;(C10〜C24)−アルキルジメチルエチルアンモニウムクロライドまたはブロミド;(C10〜C24)−アルキルトリメチルアンモニウムクロライドまたはブロミド、好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロライドまたはブロミドおよび(C20〜C22)−アルキルトリメチルアンモニウムクロライドまたはブロミド;(C10〜C24)−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドまたはブロミド、好ましくは(C12〜C18)−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;N−((C10〜C18)−アルキル)ピリジニウムクロライドまたはブロミド、好ましくはN−((C12〜C16)−アルキル)ピリジニウムクロライドまたはブロミド;N−((C10〜C18)−アルキル)イソキノリニウムクロライド、ブロミドまたはモノアルキルスルフェート;N−((C12〜C18)−アルキルコラミノホルミルメチル)ピリジニウムクロライド;N−((C12〜C18)−アルキル)−N−メチルモルホリニウムクロライド、ブロミドまたはモノアルキルスルフェート、N−((C12〜C18)−アルキル)−N−エチルモルホリニウムクロライド、ブロミドまたはモノアルキルスルフェート;(C16〜C18)−アルキル−ペンタオキシエチルアンモニウムクロライド;ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リン酸とのN,N−ジエチルアミノエチルステアリルアミドおよび−オレイルアミドの塩;N−アシルアミドエチル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド、ブロミドまたはモノアルキルスルフェートおよびN−アシルアミドエチル−N,N−ジエチル−N−ベンジルアンモニウムクロライド、ブロミドまたはモノアルキルスルフェートであり、ここでアシルは好ましくはステアリルまたはオレイルである。
【0018】
本発明の製剤はさらに添加剤、例えば芳香族物質、着色剤、不透明剤およびパール光沢剤、例えば脂肪酸およびポリオールのエステル、脂肪酸のマグネシウムおよび亜鉛塩、コポリマーに基づく分散液、増粘剤、例えば塩化ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム、硫酸ナトリウム、脂肪酸アルキロールアミド、天然ゴムのセルロース誘導体、コラーゲン水解物、更に、脂肪、油、脂肪アルコール、シリコーン、角質溶解および角膜形成作用を有する物質、例えば硫黄、サリチル酸または酵素を含有することができる。
シャンプーは知られている方法で各成分を互いに混合し、更に必要ならば特定の製剤形態に合わせて加工することにより製造される。これらの様々な製剤の幾つかを例として実施例に記載する。
【0019】
本発明の製剤は水性および水性−アルコール性ヘアローションの形態、さらにゲル形態およびスプレーまたはフォームとしてのエアゾル形態で存在してもよい。使用されるアルコールは好ましくはエタノールおよびイソプロピルアルコールである。
【0020】
1−ヒドロキシ−2−ピリドンが使用されうる本発明の更なる製剤の例として、クリーム剤、軟膏剤および主に毛のない頭と体部分の治療に使用される製品が挙げられる。
これらのすべての製剤の製造もまた、すでにシャンプーの際に述べたように知られている方法により本発明において使用される活性化合物を加えて行なわれる。上記の1−ヒドロキシ−2−ピリドンのうち、本発明の製剤は1種の化合物または数種の化合物を組合わせて含有することができる。
【0021】
製剤のpHは皮膚の生理的範囲のpH、すなわち約4.5〜6.5のpHである。塩形態の化合物を使用する場合は有機酸を使用して上記のpH範囲に調整しなければならないが、遊離化合物を使用する場合はこの処置を必要としない。
【0022】
本発明の製剤において、活性化合物は通常約0.05〜約10%の量で含まれる。この範囲内で、特定の製剤の濃度はそれらの使用目的に応じて変わる。使用前に希釈される濃縮薬のような特定の製剤形態は相当高い濃度であり得る。
これらが皮膚および頭皮に残留する製剤、例えばゲル製剤、軟膏、クリーム剤またはヘアローションである場合、例えば約0.05%〜約1%、好ましくは0.1〜0.5%の低
濃度が使用される。これらが場合により希釈後、頭皮で短時間しか作用しない製剤、例えばシャンプーまたは液体ソープである場合、より高い濃度で好都合に使用される。これらの場合、例えば約0.2〜約10%、好ましくは約0.5〜約2%の濃度が好都合である。
【実施例】
【0023】
特に断りがなければ、次の定量データは重量に基づく。
実施例1
次の組成を有する本発明の製剤:
シャンプー
(アニオン性洗浄剤に基づく)
【表1】

【0024】
実施例2
次の組成を有する本発明の製剤:
シャンプー
(補助界面活性剤として両性界面活性剤を有するアニオン性洗浄剤に基づく)
【表2】

【0025】
実施例3
次の組成を有する本発明の製剤:
シャンプー
(補助界面活性剤として非イオン性界面活性剤を有するアニオン性洗浄剤に基づく)
【表3】

【0026】
実施例4
次の組成を有する本発明の製剤:
液体ソープ
【表4】

【0027】
実施例5
次の組成を有する本発明の製剤:
ヘアローション
【表5】

【0028】
実施例6
次の組成を有する本発明の製剤:
ゲル製剤
【表6】

【0029】
実施例7
次の組成を有する本発明の製剤:
クリーム剤
【表7】

【0030】
実施例8
全部で180人の患者による臨床試験において、頭皮の脂漏性皮膚炎の症状(深刻なはがれ、炎症、かゆみ)を4週間にわたって1%濃度のシクロピロックス(ciclopirox)シャンプーで週に1〜2回処置することにより効果的に治療できた。
【0031】
実施例9
180人の患者による臨床試験において、4週間にわたって0.77%濃度のシクロピロックスゲル製剤を適用することにより頭皮、顔および上体の脂漏性皮膚炎をうまく治療できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドン(ただし、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−〔4−(4−クロロフェノキシ)フェノキシメチル〕−2(1H)ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロヘキシル−2(1H)ピリドンおよび1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)ピリドンを除く)および少なくとも1種のアニオン性、カチオン性、非イオン性または両性界面活性剤、あるいはこれらの界面活性剤の混合物を含み、4.5〜6.5のpHを有する脂漏性皮膚炎治療用の薬用シャンプー。
【化1】

上記式(I)において、
1、R2およびR3は同一または異なって、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、そして
4は6〜9個の炭素原子を有する飽和炭化水素基または式(II)
【化2】

〔式中、XはSまたはOであり、
Yは水素原子または2個以下のハロゲン原子であり、
Zは−O−、−S−、−CH2−、−(CH2m−(m=2〜10)、−C(CH32−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−、−SCH(C25)−、−CH=CH−CH2O−、−O−CH2−CH=CH−CH2O−、−OCH2−CH2O−、−OCH2−CH2CH2O−、−SCH2CH2CH2S−、−SCH2CH2CH2CH2O−、−SCH2CH2OCH2CH2O−、−SCH2CH2OCH2CH2O−CH2CH2S−または−S−CH2−C(CH32−CH2−S−であり
Arは遊離または塩形態のフッ素、塩素、臭素、メトキシ、(C1〜C4)−アルキル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシからなる群より選択される3個以下の基により置換されうる2個以下の環を有する芳香族環系である〕の基である。
【請求項2】
Arはビフェニル、ジフェニルアルカンまたはジフェニルエーテルから誘導される二環式系である式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドンを含む請求項1記載の薬用シャンプー。
【請求項3】
4位でシクロヘキシル基を有する式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドンを含む請求項1または2記載の薬用シャンプー。
【請求項4】
4位で式−CH2−CH(CH3)−CH2−C(CH33のオクチル基を有する式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドンを含む請求項1〜3の何れかの項記載の薬用シャンプー。
【請求項5】
含まれる界面活性剤は単独の、あるいは他のアニオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤との混合物としての少なくとも1種のアニオン性界面活性剤である請求項1記載の薬用シャンプー。
【請求項6】
式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドンは0.2%〜10%の濃度で含まれる請求項1記載の薬用シャンプー。
【請求項7】
式Iの1−ヒドロキシ−2−ピリドンは0.5%〜2%の濃度で含まれる請求項1記載の薬用シャンプー。

【公開番号】特開2006−176540(P2006−176540A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78057(P2006−78057)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【分割の表示】特願平10−515223の分割
【原出願日】平成9年9月16日(1997.9.16)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】