説明

脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法

本発明の脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法は、(1)1種又はそれ以上の環式アミンを選択する工程、(2)前記1種又はそれ以上の環式アミンを、1つ又はそれ以上の反応器系において、少なくとも1時間又はそれ以上の期間、120℃から約250℃の範囲の温度及び700から3500psigの範囲の圧力で、1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系の存在下、アンモニア及び水素、場合により水、並びに場合により1種又はそれ以上の溶媒と接触させる工程、(3)1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン、場合により前記1種又はそれ以上の環式アミンの一部、場合により前記アンモニアの一部、場合により前記水素の一部、場合により水、及び場合により前記1種又はそれ以上の溶媒の一部を含む生成混合物を形成する工程などを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年7月31日に出願された、「脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法(PROCESS FOR THE CONVERSION OF ALIPHATIC CYCLIC AMINES TO ALIPHATIC DIAMINES)」という発明の名称の米国特許仮出願第61/230,335号の優先権を主張する非仮出願であり、その教示は、本明細書において以下に全体が再現されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド又は1,3−シアノシクロヘキサンカルボキシアルデヒドの還元的アミノ化は、二環式アミン又はBA(3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン)として公知の副生成物を生じる。二環式アミンの形成は、所望の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの低収率の一因となる。現在、そのような副生成物を所望のジアミン生成物に転化する有意義な手段はない。したがって、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、本発明は、(1)1種又はそれ以上の環式アミンを選択する工程、(2)前記1種又はそれ以上の環式アミンを、1つ又はそれ以上の反応器系において、少なくとも1時間又はそれ以上の期間、120℃から約250℃の範囲の温度及び700から3500psigの範囲の圧力で、1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系の存在下、アンモニア及び水素、場合により水、並びに場合により1種又はそれ以上の溶媒と接触させる工程、(3)1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン、場合により前記1種又はそれ以上の環式アミンの一部、場合により前記アンモニアの一部、場合により前記水素の一部、場合により水、及び場合により前記1種又はそれ以上の溶媒の一部を含む生成混合物を形成する工程、(4)反応器系から前記生成混合物を取り出す工程、(5)蒸留によって、前記生成混合物から、前記アンモニア部分、前記水素部分、又はそれらの混合物の少なくとも一部を除去する工程、(6)蒸留によって、前記水部分の少なくとも一部を除去する工程、(7)蒸留によって、前記1種又はそれ以上の任意の溶媒部分の少なくとも一部を除去する工程、(8)前記1種又はそれ以上の環式アミン部分の少なくとも一部を除去する工程、(9)それによって前記生成混合物から前記1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンを分離する工程、及び(10)それによって前記1種又はそれ以上の環式アミンを1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンに転化する工程を含む、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法を提供する。
【0006】
別の実施形態において、本発明はさらに、前述の方法に従って生成された1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンを提供する。
【0007】
別の実施形態において、本発明は、前述のいずれかの実施形態に従って脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法であって、1種又はそれ以上の環式アミンが3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン及びアザビシクロ[3.3.1]ノン−2−エンからなる群から選択されることを除き、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含む方法を提供する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、前述のいずれかの実施形態に従って、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法であって、1種又はそれ以上の環式アミンがヘキサヒドロ−1H−アゼピンを含むことを除き、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミンを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法を提供する。
【0010】
一実施形態において、本発明は、(1)1種又はそれ以上の環式アミンを選択する工程、(2)前記1種又はそれ以上の環式アミンを、1つ又はそれ以上の反応器系において、少なくとも1時間又はそれ以上の期間、120℃から約250℃の範囲の温度及び700から3500psigの範囲の圧力で、1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系の存在下、アンモニア及び水素、場合により水、並びに場合により1種又はそれ以上の溶媒と接触させる工程、(3)1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン、場合により前記1種又はそれ以上の環式アミンの一部、場合により前記アンモニアの一部、場合により前記水素の一部、場合により水、及び場合により前記1種又はそれ以上の溶媒の一部を含む生成混合物を形成する工程、(4)反応器系から前記生成混合物を取り出す工程、(5)蒸留によって、前記生成混合物から、前記アンモニア部分、前記水素部分、又はそれらの混合物の少なくとも一部を除去する工程、(6)蒸留によって、前記水部分の少なくとも一部を除去する工程、(7)蒸留によって、前記1種又はそれ以上の任意の溶媒部分の少なくとも一部を除去する工程、(8)前記1種又はそれ以上の環式アミン部分の少なくとも一部を除去する工程、(9)それによって前記生成混合物から前記1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンを分離する工程、及び(10)それによって前記1種又はそれ以上の環式アミンを1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンに転化する工程を含む、脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明はさらに、前述の方法に従って生成された1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンを提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、前述のいずれかの実施形態に従って脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法であって、1種又はそれ以上の環式アミンが3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン及びアザビシクロ[3.3.1]ノン−2−エンからなる群から選択されることを除き、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含む方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、前述のいずれかの実施形態に従って脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法であって、1種又はそれ以上の環式アミンがヘキサヒドロ−1H−アゼピンを含むことを除き、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミンを含む方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、1種又はそれ以上の脂環式アミン副生成物を、所望の脂肪族ジアミンに転化することができる。一実施形態において、1種又はそれ以上の環式アミンは3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン及びアザビシクロ[3.3.1]ノン−2−エンからなる群から選択される。そのような環式アミンは、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第61/230,319号に記載のとおり、1種又はそれ以上の脂環式シアノアルデヒドの還元的アミノ化の1種又はそれ以上の副生成物であることができる。別の実施形態において、1種又はそれ以上の脂環式アミンはヘキサヒドロ−1H−アゼピンを含む。一実施形態において、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンは1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含む。別の実施形態において、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンはヘキサメチレンジアミンを含む。
【0015】
1種又はそれ以上の脂環式アミンを、1つ又はそれ以上のバッチ式又は連続式反応器系において、少なくとも1時間又はそれ以上の期間、130℃から300℃の範囲の温度及び700から4000psigの範囲の圧力で、1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系の存在下、アミン(例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、又はブチルアミン)、及び水素、場合により水、並びに場合により1種又はそれ以上の溶媒(例えばt−ブタノール、又はt−ブチルアミン)と接触させて、生成混合物を形成する。1つ又はそれ以上の反応器系は、直列又は並列に連結された、1つ又はそれ以上の連続式反応器、1つ又はそれ以上のバッチ式反応器、又は1つ又はそれ以上のセミバッチ式反応器を含む。アンモニアは、2から100の範囲、例えば20から80の範囲のモル当量で存在することができる。反応器温度は、130℃から300℃、例えば140℃から250℃、又は別の場合には140℃から200℃の範囲であることができる。反応器圧力は、700から4000psig、例えば700から3500psigの範囲、又は別の場合には700から2000psigの範囲であることができる。水素は、5から1000psig、例えば100から1000psig、又は別の場合には200から600psigの範囲の分圧を有することができる。反応器は、バッチ式反応器、又は連続式反応器であることができる。1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系は、Co、Ni、Ru、Fe、Cu、Re、Pd、それらの酸化物、それらの混合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された金属を含むことができる。そのような1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系は、バルク金属触媒系、スポンジ金属触媒系、担持金属触媒系、それらの混合物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。そのような1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系は、バルクCoベース触媒系を含むことができる。1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系はさらに、1種又はそれ以上の助触媒、又は1種又はそれ以上の結合剤、又は1種又はそれ以上の触媒担体(catalyst support)を含むことができる。そのような1種又はそれ以上の助触媒は、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属からなる群から選択することができる。そのような1種又はそれ以上の結合剤は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、それらの混合物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。そのような1種又はそれ以上の触媒担体は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、それらの混合物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。そのような1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系は、Grace Davison Catalyst CompanyからRaney Cobalt Catalystとして、BASFからCo−0179Tコバルト触媒として、及びBASFからCo−138E触媒として市販されている。アンモニアなどのアミンは、1種又はそれ以上の脂環式アミンに対して過剰量で存在する。アンモニアなどのアミンは、例えば、1種又はそれ以上の脂環式アミン1モル当たり2から100モルの範囲、又は別の場合には1種又はそれ以上の脂環式アミン1モル当たり10から90モルの範囲、又は別の場合には1種又はそれ以上の脂環式アミン1モル当たり20から80モルの範囲で存在することができる。水素は、例えば、1種又はそれ以上の脂環式アミン1モル当たり0.1から30モルの範囲、又は別の場合には1種又はそれ以上の脂環式アミン1モル当たり0.1から10モルの範囲、又は別の場合には1種又はそれ以上の脂環式アミン1モル当たり0.1から6モルの範囲で存在することができる。
【0016】
1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系は、1種又はそれ以上の脂環式アミン、水素、及びアンモニアの間の反応を触媒するのに必要な量で存在することができる。1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系は、例えば、固定床触媒系を含むことができる。
【0017】
1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン、場合により1種又はそれ以上の脂環式アミンの一部、場合によりアンモニアの一部、場合により水素の一部、場合により水の一部、及び場合により1種又はそれ以上の触媒の一部を含む生成混合物は、上記のとおり、1つ又はそれ以上の反応器系で形成される。その後、生成混合物を、1つ又はそれ以上の反応器系から取り出し、順番に配置された1つ又はそれ以上の蒸留カラムに移す。生成混合物が順番に配置された1つ又はそれ以上の蒸留カラムに移された後、少なくともアンモニアの一部、少なくとも水素の一部、又はそれらの混合物を、1つ又はそれ以上の蒸留工程によって、生成混合物から除去する。
【0018】
続いて、場合により存在するならば、1種又はそれ以上の溶媒及び/又は水の少なくとも一部を、1つ又はそれ以上の蒸留工程によって除去する。続いて、1種又はそれ以上の脂環式アミンの少なくとも一部を、1つ又はそれ以上の蒸留工程によって除去し、それによって1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンを生成混合物から分離し、1種又はそれ以上の環式アミンを1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンに転化する。蒸留工程は、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第61/230,300号にさらに記載されている。
【0019】
1種又はそれ以上の脂環式アミン、水素、及びアンモニアの間の反応は、場合により、1種又はそれ以上の溶媒、水、それらの混合物、又はそれらの組み合わせの存在下で行うことができる。反応器への供給物は、供給物、すなわち1種又はそれ以上の脂環式アミン、水素、及びアンモニアの重量に対して、0から90重量%の1種又はそれ以上の溶媒、水、それらの混合物、又はそれらの組み合わせ、又は別の場合には、供給物の重量に対して、0から30重量%の1種又はそれ以上の溶媒、水、それらの混合物、又はそれらの組み合わせ、又は別の場合には、供給物の重量に対して、0から10重量%の1種又はそれ以上の溶媒、水、それらの混合物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
1種又はそれ以上の脂環式アミン、水素、及びアンモニアの間の反応は、連続式反応器系で行うことができ、又は別の場合には、バッチ式反応器系で行うことができ、又は別の場合には、セミバッチ式反応器系で行うことができる。そのような反応器系は、一般に当業者に公知である。連続式反応器系、又はバッチ式反応器系、又はセミバッチ式反応器系は、直列、並列、又はそれらの組み合わせの1つ又はそれ以上の反応器を含むことができる。
【0021】
本発明に従って生成された1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンは、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、又はヘキサメチレンジアミンを含むことができる。
【0022】
1種又はそれ以上の環式アミン副生成物の1種又はそれ以上の所望の脂肪族ジアミンへの転化は、例えば、下記の図式によって例示することができる。
【化1】

【0023】
別の場合には、1種又はそれ以上の環式アミン副生成物の1種又はそれ以上の所望の脂肪族ジアミンへの転化は、例えば、下記の図式によって例示することができる。
【化2】

【0024】
本発明に従って生成された1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンは、脂肪族ジイソシアナート(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)の前駆体として、ある種のポリウレタン系の鎖延長剤として、又はエポキシ硬化剤として用いることができる。
【実施例】
【0025】
以下の実施例は本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0026】
本発明実施例1〜5を以下の手順に従って調製した。
【0027】
本発明実施例1
4.6gの二環式アミン、及び2.3gのBASF Co−138触媒を、300mlのAutoclave Engineers反応器に加えた。反応器を密閉し、反応器に56gの無水アンモニアを充填した。反応器圧力は、17℃で約119psigであった。水素圧力を約506psigで適用した。反応器を約24時間、約1000rpmで攪拌し、約140℃に加熱した。反応器圧力は、約1889psigであった。アンモニア及び水素を排気して、約89モル%の出発材料、及び11モル%の1,3−シス−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する生成物を得た。これらはガスクロマトグラフィ(GC)分析によって決定した。表Iはさらに、触媒の種類、水素圧力、溶媒の種類、反応器温度、アンモニアの量(モル当量)、及び転化率(%)を記載する。
【0028】
本発明実施例2
4.7gの二環式アミン、及び9.5gのt−ブタノール、及び2.3gのBASF Co−138触媒を、300mlのAutoclave Engineers反応器に加えた。反応器を密閉し、反応器に50.1gの無水アンモニアを充填した。反応器圧力は、20℃で約122psigであった。水素圧力を約502psigで適用した。反応器を約23時間、約1000rpmで攪拌し、約140℃に加熱した。反応器圧力は、約1589psigであった。アンモニア及び水素を排気して、約84.4モル%の出発材料、及び15.6モル%の1,3−シス−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する生成物を得た。これらはガスクロマトグラフィ(GC)分析によって決定した。表Iはさらに、触媒の種類、水素圧力、溶媒の種類、反応器温度、アンモニアの量(モル当量)、及び転化率(%)を記載する。
【0029】
本発明実施例3
4.65gの二環式アミン、及び9.5gのt−ブタノール、及び2.4gのBASF Co−179触媒を、300mlのAutoclave Engineers反応器に加えた。反応器を密閉し、反応器に49.8gの無水アンモニアを充填した。反応器圧力は、17℃で約122psigであった。水素圧力を約614psigで適用した。反応器を約23時間、約1000rpmで攪拌し、約140℃に加熱した。
【0030】
反応器圧力は、約1735psigであった。アンモニア及び水素を排気して、約92.2モル%の出発材料、及び7.8モル%の1,3−シス−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する生成物を得た。これらはガスクロマトグラフィ(GC)分析によって決定した。表Iはさらに、触媒の種類、水素圧力、溶媒の種類、反応器温度、アンモニアの量(モル当量)、及び転化率(%)を記載する。
【0031】
本発明実施例4
4.66gの二環式アミン、及び9.5gのt−ブタノール、及び2.3gのBASF Co−138触媒を、300mlのAutoclave Engineers反応器に加えた。反応器を密閉し、反応器に50.3gの無水アンモニアを充填した。反応器圧力は、20℃で約125psigであった。水素圧力を約327psigで適用した。反応器を約22時間、約1000rpmで攪拌し、約140℃に加熱した。反応器圧力は、約1540psigであった。アンモニア及び水素を排気して、約87.6モル%の出発材料、及び12.4モル%の1,3−シス−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する生成物を得た。これらはガスクロマトグラフィ(GC)分析によって決定した。表Iはさらに、触媒の種類、水素圧力、溶媒の種類、反応器温度、アンモニアの量(モル当量)、及び転化率(%)を記載する。
【0032】
本発明実施例5
4.60gの二環式アミン、及び9.6gのt−ブタノール、及び2.6gのBASF Co−138触媒を、300mlのAutoclave反応器に加えた。反応器を密閉し、反応器に51.6gの無水アンモニアを充填した。反応器圧力は、16℃で約110psigであった。水素圧力を約825psigで適用した。反応器を約22時間、約1000rpmで攪拌し、約140℃に加熱した。反応器圧力は、約1983psigであった。アンモニア及び水素を排気して、約92.3モル%の出発材料、及び7.7モル%の1,3−シス−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含有する生成物を得た。これらはガスクロマトグラフィ(GC)分析によって決定した。表Iはさらに、触媒の種類、水素圧力、溶媒の種類、反応器温度、アンモニアの量(モル当量)、及び転化率(%)を記載する。
【0033】
比較例A
4.7gの二環式アミン、及び58.7gのt−ブチルアミン、及び2.3gのBASF Co−138触媒を、300mlのAutoclave Engineers反応器に加えた。反応器にアンモニアは充填しなかった。反応器圧力は、21℃で約1psigであった。水素圧力を約483psigで適用した。反応器を約23時間、約1000rpmで攪拌し、約140℃に加熱した。反応器圧力は、約686psigであった。水素を排気して、約100重量%の出発材料を含有し、1,3−シス−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン又は他のいずれのジアミン生成物も含有しない生成物を得た。これらはガスクロマトグラフィ(GC)分析によって決定した。表Iはさらに、触媒の種類、水素圧力、溶媒の種類、反応器温度、アンモニアの量(モル当量)、及び転化率(%)を記載する。
【表1】

【0034】
本発明は、その精神及びその本質の属性から逸脱することなく、他の形態で実施することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書よりむしろ添付の特許請求の範囲を参照するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式アミンを脂肪族ジアミンに転化する方法であって、
1種又はそれ以上の環式アミンを選択する工程、
前記1種又はそれ以上の環式アミンを、1つ又はそれ以上の反応器系において、少なくとも1時間又はそれ以上の期間、120℃から約250℃の範囲の温度及び700から3500psigの範囲の圧力で、1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系の存在下、アンモニア及び水素、場合により水、並びに場合により1種又はそれ以上の溶媒と接触させる工程、
1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン、場合により前記1種又はそれ以上の環式アミンの一部、場合により前記アンモニアの一部、場合により前記水素の一部、場合により水、及び場合により前記1種又はそれ以上の溶媒の一部を含む生成混合物を形成する工程、
反応器系から前記生成混合物を取り出す工程、
蒸留によって、前記生成混合物から、前記アンモニア部分、前記水素部分、又はそれらの混合物の少なくとも一部を除去する工程、
蒸留によって、前記水部分の少なくとも一部を除去する工程、
蒸留によって、前記1種又はそれ以上の任意の溶媒部分の少なくとも一部を除去する工程、
前記1種又はそれ以上の環式アミン部分の少なくとも一部を除去する工程、
それによって前記生成混合物から前記1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンを分離する工程、及び
それによって前記1種又はそれ以上の環式アミンを1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンに転化する工程を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法に従って生成された、1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン。
【請求項3】
前記1種又はそれ以上の環式アミンが3−アザビシクロ[3.3.1]ノナン及びアザビシクロ[3.3.1]ノン−2−エンからなる群から選択され、前記1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1種又はそれ以上の環式アミンがヘキサヒドロ−1H−アゼピンを含み、前記1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンがヘキサメチレンジアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の反応器系が、直列、並列若しくはそれらの組み合わせの1つ又はそれ以上の連続式反応器、1つ又はそれ以上のバッチ式反応器、又は1つ又はそれ以上のセミバッチ式反応器、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系が、Co、Ni、Ru、Fe、Cu、Re、Pd、それらの酸化物、それらの混合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系が、バルク金属触媒系、スポンジ金属触媒系、担持金属触媒系、それらの混合物、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系がバルクCoベース触媒系を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1種又はそれ以上の不均一金属ベース触媒系がさらに、1種又はそれ以上の助触媒、又は1種又はそれ以上の結合剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1種又はそれ以上の助触媒がアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1種又はそれ以上の結合剤が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、それらの混合物、又はそれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1種又はそれ以上の脂肪族ジアミンが、エポキシの硬化剤として、ポリオールの開始剤として、又は脂肪族ポリイソシアナートの中間体として用いられる、請求項2に記載の1種又はそれ以上の脂肪族ジアミン。

【公表番号】特表2013−500994(P2013−500994A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523078(P2012−523078)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/043878
【国際公開番号】WO2011/014752
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】