説明

脂環式エポキシ基含有硬化性樹脂組成物、その製法及びその硬化物

【課題】 レジスト組成物調製時の溶解性並びに安定性を高めると共に、レジスト成膜時の膜厚均一性、線幅均一性、現像時のレジスト膜の密着性等の特性を向上させ、且つ安全性を向上させた硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位及び(B)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位を含む共重合体と、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを全溶媒中30〜100質量%含有する溶媒とを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体プロセスにおける遠紫外線、電子線、イオンビーム、X線などの活性光線を用いたリソグラフィーや、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品に設けられる絶縁膜、保護膜等を形成するための材料に用いられる感放射線性樹脂、液晶表示材料( 液晶表示用フォトスペーサー、液晶表示用リブ形成材料、オーバーコート、カラーフィルター形成用カラーレジスト、TFT絶縁膜など)を形成するための液晶レジスト用材料、塗料、コーティング剤、粘接着剤等として使用される脂環式エポキシ基含有硬化性樹脂組成物、その製法及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
液状フォトレジスト(以下、「レジスト」と略すことがある。)に用いられる溶媒としては、従来、種々のものが知られており、レジスト樹脂組成物の溶解性、塗布性、感度、現像性、形成されるパターン特性などを考慮して適切な溶剤(溶媒)が選択、使用されている。上記溶解性、塗布性、レジスト形成特性など諸特性に優れた溶剤として、例えばエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが知られていたが、人体に対する安全性の問題が指摘されてからはレジストの溶媒として全く使用されなくなり、これに代り安全性の高い溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが主に使用されるようになってきた(特許文献1〜3等)。また、安全性の高い溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート以外にもエチルラクテート及びメチル−n−アミルケトン等が知られている。
【0003】
しかし、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに比べて安全性が高いとされているこれらの溶剤についてみると、レジスト形成特性及び樹脂溶解性などの特性が十分でないという問題がある。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの場合、レジストを基板上に塗布、成膜したときの溶剤の残膜率(製膜後の膜中の溶剤残存率をいう。)が高く、線幅均一性、現像時のレジスト膜の密着性等の低下の問題があった。この原因として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート自身は蒸発速度の早い溶剤であるが、レジスト樹脂の溶剤として用いると、塗布表面のみ蒸発が進み、表面にいわゆる皮膜が形成され、それゆえ塗布面内部に包含された溶剤が蒸発しにくくなることが挙げられる。また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに比べ樹脂溶解性、開始剤溶解性等に劣ることが知られている。また、特に側鎖に脂環式エポキシ基を有する共重合樹脂を含有する硬化性樹脂組成物を長期間保管した場合の組成物の経時安定性が低いという問題もある。このため、安全性が高くしかも樹脂溶解性、開始剤溶解性、樹脂組成物の経時安定性の優れた溶媒が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平3−1659号公報
【特許文献2】特公平4−56973号公報
【特許文献3】特公平4−49938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、側鎖に脂環式エポキシ基を含む共重合樹脂を含有する硬化性樹脂組成物であって、安全性が高く、樹脂溶解性等に優れるとともに、経時安定性に優れる硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物の製造法、及び該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、膜厚が均一で、基板に対する密着性及び耐溶剤性に優れた塗膜(レジスト膜等)を形成できる硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物の製造法、及び該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記した問題点を解決するために鋭意研究を行った結果、脂環式エポキシ基を含む構造単位とアルカリ可溶性基を含む構造単位とを有する共重合樹脂と、溶媒としてジプロピレングリコールジメチルエーテルを含む硬化性樹脂組成物が上記の問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位及び(B)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位を含む共重合体と、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを全溶媒中30〜100質量%含有する溶媒とを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供する。
【0008】
(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8又は9−イル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種の化合物であってもよい。
【0009】
上記共重合体は、さらに、(C)エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位を含んでいてもよい。
【0010】
また、本発明は、(1)重合溶媒として、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒を使用して共重合体を製造する工程、又は(2)共重合体の溶媒を、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒に溶媒交換する工程を含むことを特徴とする、上記の硬化性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0011】
さらにまた、本発明は、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の硬化性樹脂組成物は、安全性が高く、樹脂溶解性に優れるとともに、組成物の経時安定性に優れる。本発明の硬化性樹脂組成物によれば、膜厚が均一で、基板に対する密着性及び耐溶剤性に優れた塗膜(レジスト膜等)を形成することできる。また、線幅が均一で、硬度の高いレジスト膜を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位及び(B)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位を含む共重合体と、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを全溶媒中30〜100質量%含有する溶媒とを含むことを特徴とする。
【0014】
<共重合体>
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(構造単位)及び(B)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位(構造単位)を含んでいる。
【0015】
<(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位>
脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位は、対応する脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。
【0016】
脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート[2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物]、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどの3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0017】
脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)が好ましく、中でも、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、エポキシ化ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート[3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物]がより好ましい。
【0018】
脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位の共重合体に占める割合は、用いるモノマーの種類やレジストのタイプ(ネガ型又はポジ型)によっても異なるが、通常、共重合体を構成する全モノマー単位に対して30〜95質量%であり、好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは60〜85質量%である。脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位の含有量をこのような範囲とすることにより、主に耐薬品性(耐溶剤性、耐アルカリ性等)をより向上させることができる。
【0019】
<(B)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位>
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位はポリマーにアルカリ可溶性を付与する機能を有する。これによってポリマーは現像時にアルカリ水溶液(現像液)に溶解する。
【0020】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位はアルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。前記アルカリ可溶性基としては、レジストの分野で通常用いられる基を使用でき、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基などが挙げられる。アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物の代表的な例として、不飽和カルボン酸又はその酸無水物、ヒドロキシスチレン又はその誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。これらのなかでも、特に不飽和カルボン酸又はその酸無水物が好ましい。
【0021】
不飽和カルボン酸又はその酸無水物として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)が例示される。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。アルカリ可溶性基を有する重合性不飽和化合物は単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
アルカリ可溶性基を含むモノマー単位の共重合体に占める割合は、用いるモノマーの種類やレジストのタイプ(ネガ型又はポジ型)によっても異なるが、通常、共重合体を構成する全モノマー単位に対して5〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。この割合が小さすぎるとアルカリ現像液に対して溶解しにくく現像性が悪くなる場合があり、逆に大きすぎると現像後のエッチング耐性が悪くなる場合がある。
【0023】
<(C)エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位>
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、上記モノマー単位(A)、(B)以外に、(C)エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位(構造単位)を含んでいてもよい。
【0024】
エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位は、対応するエポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に含まれる脂環としては、例えば、炭素数5〜20の脂環式炭化水素環が挙げられ、単環であっても、縮合環や橋かけ環等の多環であってもよい。代表的な脂環式炭化水素環として、例えば、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、パーヒドロインデン環、デカリン環、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.03,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[4.2.2.12,5]ウンデカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環などが挙げられる。脂環式炭化水素環には、メチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基など)、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、オキソ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基などの置換基を有していてもよい。脂環としては、例えばトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、アダマンタン環等の多環の脂環式炭化水素環(橋かけ環式炭化水素環)であるのが好ましい。
【0025】
エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(シクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(シクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(シクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどのシクロヘキサン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレート等の2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);1−アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンタン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など);ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート{トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物}、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート{トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−9−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン−8−イル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物}、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート{2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−9−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、又はこれらの混合物}、ジシクロペンテニルオキシブチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシヘキシル(メタ)アクリレートなどのトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環を含む重合性不飽和化合物((メタ)アクリル酸エステル誘導体など)などが挙げられる。エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0026】
エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物としては、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環又はアダマンタン環を含む重合性不飽和化合物が好ましく、中でも、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0027】
エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位の共重合体に占める割合は、所望する要求性能により適宜選択できる。
【0028】
<その他のモノマー単位>
本発明の脂環式エポキシ基含有硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、上記(A)、(B)、(C)以外のモノマー単位を含有することができる。このようなモノマー単位は、対応する重合性不飽和化合物を共重合に付すことによりポリマー中に導入できる。
【0029】
その他のモノマー単位に対応する重合性不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル等];ベンジル(メタ)アクリレートなどの分子内に芳香族環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンビニルナフタレンなどのスチレン系化合物;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0030】
また、その他のモノマー単位に対応する重合性不飽和化合物には、親水性基を有するラジカル重合性モノマーも含まれる。親水性基として、例えば、水酸基(フェノール性のものを除く)、第4級アンモニウム基、アミノ基、複素環式基等が挙げられる。親水性基を有するラジカル重合性モノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソオクチルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;2−アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;2−ビニルピロリドン等のビニル基を有する複素環式化合物(含窒素複素環式化合物等)などを挙げることができる。
【0031】
<溶媒>
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶媒としてジプロピレングリコールジメチルエーテルを全溶媒中30〜100質量%含んでいる。ジプロピレングリコールジメチルエーテルは、全溶媒中、50〜100質量%含まれていることが好ましく、70〜100質量%含まれていることがより好ましく、80〜100質量%含まれていることがさらに好ましい。ジプロピレングリコールジメチルエーテルの含有量を全溶媒中30〜100質量%とすることにより、硬化性樹脂組成物の溶解性、経時安定性、塗布性、感度、現像性、形成されるパターン特性などが優れたものとなり、かつ安全性が高くなる。
【0032】
ジプロピレングリコールジメチルエーテルは、エチレングリコール系溶剤と比較して、人体に対する安全性が高い。例えば、エチレングリコール系溶剤は特殊健康診断受診対象となるが、プロピレングリコール系溶剤はその対象にならない。また、エチレングリコール系溶剤の分解物であるエチレングリコールは毒性が高いが、プロピレングリコール系溶剤の分解物であるプロピレングリコールは食品添加物などにも使用されており安全性が高い。
【0033】
硬化性樹脂組成物全体に対するジプロピレングリコールジメチルエーテルの含有量は、例えば30〜80質量%とすることができ、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜80質量%とすることができる。ジプロピレングリコールジメチルエーテルの含有量をこのような範囲とすることにより、硬化性樹脂組成物の溶解性、経時安定性、塗布性、感度、現像性、形成されるパターン特性などをより優れたものとすることができ、かつ安全性をより高くできる。
【0034】
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶媒としてジプロピレングリコールジメチルエーテル以外の溶媒を含んでいてもよい。他の溶媒としては、例えば、エーテル[ジエチルエーテル;エチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル(ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテルなど)、プロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル(ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジプロピレングリコールジC2-4アルキルエーテルなど)、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアルキルエーテル等のグリコールエーテル類などの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど]、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート等のカルボン酸エステル類;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ又はジアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ又はジアセテート、1,3−プロパンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,6−ヘキサンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジアセテート等のグリコールアセテート類又はグリコールエーテルアセテート類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル等のモノ又はジプロピレングリコールジアルキルエーテル(ジプロピレングリコールジメチルエーテルを除く)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノ又はジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートなどが好ましい。
【0035】
硬化性樹脂組成物全体に対する溶媒含有量は、例えば10〜80質量%とすることができ、好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜80質量%とすることができる。このような範囲とすることにより、硬化性樹脂組成物の溶解性、経時安定性、塗布性、感度、現像性、形成されるパターン特性などをより優れたものとすることができ、かつ安全性をより高くできる。
【0036】
溶媒におけるジプロピレングリコールジメチルエーテルと他の溶媒との重量比(前者:後者)は、100:0〜30:70であり、好ましくは100:0〜50:50、より好ましくは100:0〜70:30、さらに好ましくは100:0〜80:20とすることができる。このような比率とすることにより、硬化性樹脂組成物の溶解性、経時安定性、塗布性、感度、現像性、形成されるパターン特性などを優れたものとなり、かつ安全性が高くなる。
【0037】
<共重合体の製造方法>
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる共重合体は、モノマー単位(A)、(B)に対応する重合性不飽和化合物と、必要に応じてモノマー単位(C)及び他のモノマーに対応する重合性不飽和化合物とを含む単量体混合物を共重合(ビニル重合)に付すことにより製造できる。
【0038】
重合に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用できる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、過酸化水素などが挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤として使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。上記のなかでもアゾ化合物が好ましく、特に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが好ましい。
【0039】
重合開始剤の使用量は、円滑な共重合を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、全単量体成分及び重合開始剤の総量に対して、1〜30質量%程度であり、好ましくは5〜25質量%程度である。
【0040】
本発明においては、ラジカル重合において一般的に使用されている連鎖移動剤を併用してもよい。具体例としては、チオール類(n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、トリエチレングリコールジメルカプタン等)、チオール酸類(メルカプトプロピオン酸、チオ安息香酸、チオグリコール酸、チオリンゴ酸等)、アルコール類(イソプロピルアルコール等)、アミン類(ジブチルアミン等)、次亜燐酸塩類(次亜燐酸ナトリウム等)、α−メチルスチレンダイマー、タービノーレン、ミルセン、リモネン、α−ピネン、β−ピネン等を挙げることができ、連鎖移動剤の量は全ラジカル重合性単量体の量に対して、好ましくは0.001〜3質量%である。連鎖移動剤を使用する場合は、予め重合性ビニル単量体に混合させておくことが好ましい。
【0041】
重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、スチレン系ポリマーやアクリル系ポリマーを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができる。これらのなかでも溶液重合が好ましい。モノマー、重合開始剤は、それぞれ、反応系に一括供給してもよく、その一部又は全部を反応系に滴下してもよい。例えば、一定温度に保持したモノマーと重合溶媒の混合液中に、重合開始剤を重合溶媒に溶解した溶液を滴下して重合する方法や、予め単量体、重合開始剤を重合溶媒に溶解させた溶液を、一定温度に保持した重合溶媒中に滴下して重合する方法(滴下重合法)などを採用できる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
【0042】
重合溶媒は単量体組成等に応じて適宜選択できる。重合溶媒としては、上記例示の溶媒を使用できる。重合溶媒としては、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを30質量%以上(さらに50質量%以上、特に80質量%以上)含む溶媒が好ましい。このような重合溶媒を使用することにより、硬化性樹脂組成物製造時に溶媒置換等の処理を省略でき、製造工程をより簡略化できる。
【0043】
上記方法により本発明の共重合体が生成する。共重合体の重量平均分子量は、例えば500〜100000、好ましくは1000〜40000、さらに好ましくは2000〜30000程度である。共重合体の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1〜3程度である。
【0044】
[硬化性樹脂組成物の製造方法]
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法は、(1)重合溶媒として、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒を使用して共重合体を製造する工程、又は(2)共重合体の溶媒を、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒に溶媒交換する工程を含んでいることを特徴とする。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法では、上記方法で得られた共重合体の重合液について、必要に応じて固形分濃度を調整したり、溶媒交換したり、濾過処理を施すことができる。ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒中のジプロピレングリコールジメチルエーテルの含有量は30質量%以上(さらに50質量%以上、特に80質量%以上)であることが好ましい。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法では、さらに必要に応じて、硬化触媒[熱酸発生剤(熱硬化触媒、熱カチオン重合開始剤)、光酸発生剤(光硬化触媒、光カチオン重合開始剤)]、光ラジカル開始剤、硬化剤、硬化促進剤、感放射線性成分、反応性希釈剤、添加剤(架橋剤、充填剤、着色用顔料、重合禁止剤、密着性付与剤、消泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、低応力化剤、可とう性付与剤、ワックス類、樹脂、架橋剤、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤など)を配合することができる。また、重合により生成したポリマーを沈殿又は再沈殿等により精製し、この精製したポリマーを、前記適宜な添加物とともに用途に応じた溶媒に溶解することにより、硬化性樹脂組成物を得ることもできる。硬化性樹脂組成物を構成する溶媒としては、全溶媒に対して30〜100質量%のジプロピレングリコールジメチルエーテルと、必要に応じて、他の溶媒として前記例示の溶媒を使用できる。
【0047】
前記硬化触媒のうち、熱酸発生剤としては、例えば、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L(以上、三新化学工業社製品、商品名)、CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、CP−66、CP−77(旭電化工業社製品、商品名)、FC−520(3M社製品、商品名)などに代表されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。
【0048】
光酸発生剤としては、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、旭電化工業株式会社製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業社製、商品名)、UVAC1591[ダイセル・サイテック(株)社製、商品名]、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758(以上、日本曹達社製品、商品名)、PI−2074(ローヌプーラン社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学社製、商品名)、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)などに代表されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。
【0049】
光ラジカル開始剤としては、例えばベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類;ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル[日本化薬(株)製 カヤキュアEPA等]、2,4−ジエチルチオキサンソン[日本化薬(株)製 カヤキュアDETX等]、2−メチル−1−[4−(メチル)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1[チバガイギー(株)製 イルガキュア907等]、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾ−ル[土谷化学(株)製B−CIM等]を単独、もしくは混合して使用することができ、必要に応じて光増感剤を加えることができる。重合開始剤は、硬化性樹脂組成物中に1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。
【0050】
硬化触媒の添加量は、硬化性樹脂組成物中の前記共重合体(樹脂分)に対して、例えば0.05〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。硬化触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0051】
前記架橋剤としては、多官能性アルコール化合物や多官能性チオール化合物類等を使用できる。
【0052】
多官能性アルコール化合物としては、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1 ,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリブチレングリコール類、ポリテトラメチレングリコール類などのポリアルキレングリコール類、ポリカプロラクトンジオール類、ポリカプロラクトントリオール類、ポリカーボネートジオール類などが挙げられる。
【0053】
多官能性チオール化合物としては、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、テトラエチレングリコールビス3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス3−メルカプトプロピオネート、トリス(3−メルカプトプロピニルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス3−メルカプトプロピオネート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)などが挙げられる。多官能性アルコール化合物や多官能性チオール化合物類は1種単独であってもよく、2種以上存在していてもよい。
【0054】
前記感放射線性成分としては、多官能性(メタ)アクリレート、多官能性エポキシ化合物、多官能性ウレタン(メタ)アクリレート、多官能性エポキシ(メタ)アクリレート(エポキシ基にアクリル酸付加したタイプ)等が挙げられる。多官能性(メタ)アクリレートと熱または放射線重合開始剤、多官能性エポキシ化合物と熱または放射線酸発生剤を組み合わせて配合してもよい。これら感放射線性成分や熱または放射線重合開始剤、熱または放射線酸発生剤はそれぞれ1種単独であってもよく、2種以上存在していてもよい。
【0055】
多官能性(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類、両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプリラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類、グリセリン、1,2,4,−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類、3価以上の多価アルコールのポリアルキレングリコール付加物のポリ(メタ)アクリレート類、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキッド樹脂(メタ)アクリレート、シリコン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種単独であってもよく、2種以上存在していてもよい。
【0056】
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021」、商品名「セロキサイド2081」、商品名「セロキサイド3000」、商品名「EHPE3150」、商品名「エポリードGT401」(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、商品名「エポライト4000」(共栄社化学製)などを使用できる。これらは1種単独であってもよく、2種以上存在していてもよい。
【0057】
前記反応性希釈剤としては、上記共重合体を溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えば、1種以上の(メタ)アクリル基を有する重合性ビニルモノマーなどが使用できる。なお、反応性希釈剤は前記感放射線性成分としても機能しうる。
【0058】
反応性希釈剤としては、具体的には、例えば、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等のアルキルあるいはシクロアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0059】
これらのうち、反応性希釈剤としては、引火点が100℃以上であるものが製造工程における安全性確保の面から好ましい。また、反応性希釈剤としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のポリオールまたはそのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0060】
反応性希釈剤は、前記共重合体100質量部に対して、例えば、1〜1000質量部、好ましくは50〜700質量部、さらに好ましくは100〜500質量部の割合で配合できる。
【0061】
本発明の硬化性樹脂組成物に必要に応じて添加する充填剤としては、エポキシ樹脂等の反応性樹脂、硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー及び炭酸カルシウム等が挙げられる。着色用顔料としては、フタロシアニングリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン及びカーボンブラック等が挙げられる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等が挙げられる。
【0062】
こうして得られる硬化性樹脂組成物は、硬化により基材や基板に対して高い密着性を有するとともに、耐溶剤性や耐アルカリ性等の耐薬品性に優れた硬化物(硬化皮膜等)を得ることができる。そのため、液晶レジスト用材料のほか、塗料、インキ、コーティング剤、粘接着剤等の構成成分としても有用であり、特に電子材料分野で好適に使用できる。
【0063】
[硬化物]
本発明の硬化物は、例えば、上記硬化性樹脂組成物を、スピンコーター、スリットコーターなどの方式によって、各種基材又は基板へ塗工して塗膜を形成した後、該塗膜を硬化させることにより得ることができる。基材又は基板としては、ガラス、セラミック、シリコンウエハ、金属、プラスチックなどが挙げられる。スピンコーターやスリットコーター等による塗工は公知の方法により行うことができる。本発明の硬化物は、基板密着性、耐溶剤性、硬度、膜厚均一性、線幅均一性、感度、現像性、形成されるパターン特性などの諸物性に優れている。
【0064】
塗膜の硬化は加熱すること、あるいは活性エネルギー線を照射し露光すること、又は露光後に加熱することにより行われる。上記硬化性樹脂組成物を熱により硬化させる場合、加熱温度は50℃から260℃の範囲、好ましくは80℃から240℃の範囲である。また、上記硬化性樹脂組成物を光により硬化させる場合、露光には種々の波長の光線、例えば、紫外線、X線、g線、i線、エキシマレーザーなどが使用される。硬化後の塗膜の厚みは、用途によって適宜選択できるが、一般には0.1〜40μm、好ましくは0.3〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm程度である。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0066】
合成例1
流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル250質量部を入れ、撹拌しながら65℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸30質量部、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレート60質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート200質量部を、ジプロピレングリコールジメチルエーテル70質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、65℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル220質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて3時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、3時間、65℃に保持し、その後ジプロピレングリコールジメチルエーテル140質量部で希釈した後、室温まで冷却して共重合体Aの溶液を得た。得られた共重合体A溶液の固形分は30.8質量%、酸価は75mg−KOH/g(固形分換算)、重量平均分子量Mwは11,400、分散度は2.23であった。
【0067】
合成例2
流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル250質量部を入れ、撹拌しながら65℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸30質量部、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレート60質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート200質量部を、ジプロピレングリコールジメチルエーテル70質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、65℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル220質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて3時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、3時間、65℃に保持し、その後ジプロピレングリコールジメチルエーテル70質量部およびジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル70質量部で希釈した後、室温まで冷却して共重合体Aの溶液を得た。得られた共重合体A溶液の固形分は31.1質量%、酸価は71mg−KOH/g(固形分換算)、重量平均分子量Mwは11,800、分散度は2.22であった。
【0068】
合成例3
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル110質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート140質量部を入れ、撹拌しながら65℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸30質量部、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレート60質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート200質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、65℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル230質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて3時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、3時間、65℃に保持し、その後プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート130質量部で希釈した後、室温まで冷却して共重合体Aの溶液を得た。得られた共重合体A溶液の固形分は31.2質量%、酸価は73mg−KOH/g(固形分換算)、重量平均分子量Mwは10,800、分散度は2.16であった。
【0069】
合成例4
還流冷却器、滴下ロートおよび攪拌機を備えた1Lのフラスコ内に窒素を0.02L/分で流して窒素雰囲気とし、ジプロピレングリコールジメチルエーテル250質量部を入れ、撹拌しながら65℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸30質量部、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8又は9−イルアクリレート260質量部を、ジプロピレングリコールジメチルエーテル70質量部に溶解して溶液を調製し、該溶解液を、滴下ロートを用いて4時間かけて、65℃に保温したフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)30質量部をジプロピレングリコールジメチルエーテル220質量部に溶解した溶液を、別の滴下ロートを用いて3時間かけてフラスコ内に滴下した。重合開始剤の溶液の滴下が終了した後、3時間、65℃に保持し、その後ジプロピレングリコールジメチルエーテル140質量部で希釈した後、室温まで冷却して共重合体Bの溶液を得た。得られた共重合体B溶液の固形分は29.8質量%、酸価は68mg−KOH/g(固形分換算)、重量平均分子量Mwは11,100、分散度は2.21であった。
【0070】
比較合成例1
合成例1において、ジプロピレングリコールジメチルエーテルをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに変更した以外は合成例1と同様にして共重合体Aを合成した。得られた共重合体A溶液の固形分は31.1質量%、酸価は70mg−KOH/g(固形分換算)、重量平均分子量Mwは11,600、分散度は2.33であった。
【0071】
比較合成例2
合成例1において、ジプロピレングリコールジメチルエーテルをエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに変更した以外は合成例1と同様にして共重合体Aを合成した。得られた共重合体A溶液の固形分は31.2質量%、酸価は75mg−KOH/g(固形分換算)、重量平均分子量Mwは11,600、分散度は2.26であった。
【0072】
実施例1
合成例1で製造した共重合体溶液50質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート50質量部、開始剤としてチバガイギー製「イルガキュア907」2質量部を配合して硬化性樹脂組成物1を調製した。
【0073】
実施例2
共重合体溶液を合成例2で製造したものに変えた以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物2を調製した。
【0074】
実施例3
共重合体溶液を合成例3で製造したものに変えた以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物3を調製した。
【0075】
実施例4
共重合体溶液を合成例4で製造したものに変えた以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物4を調製した。
【0076】
比較例1
共重合体溶液を比較合成例1で製造したものに変えた以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物5を調製した。
【0077】
比較例2
共重合体溶液を比較合成例2で製造したものに変えた以外は実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物6を調製した。
【0078】
評価試験
(1)評価用試験片の作製
基材に、各実施例及び比較例で得られた共重合体溶液(硬化性樹脂組成物)をスピンコーターで塗布したのち、80℃のホットプレートで10分間加熱後、230℃ のオーブン中で30分間加熱することで各評価用試験片を作製した。基材として、ガラス板とステンレス板を用いた。
【0079】
(2)安定性
各実施例及び比較例において、室温で2週間貯蔵した共重合体溶液を使用し、前記(1)と同様にして、評価用試験片(基材:ガラス板、ステンレス板)を作製した。
貯蔵前の共重合体溶液を使用して作製した評価用試験片[前記(1)]と比較し、同等の膜厚の均一な塗膜であれば◎ 、僅かに膜厚が変化するがほぼ同等の塗膜であれば○ 、大きく膜厚が変化するようであれば△ 、均一な塗膜が形成できなければ×とした。ガラス板で作製した評価試験片を用いた場合も、ステンレス板で作製した評価用試験片を用いた場合も同様の結果が得られた。
【0080】
(3)密着性
前記(1)で作製した評価用試験片(基材:ガラス板、ステンレス板)を用い、JISK−5600−5−6に準拠し、基材からの剥離により密着性を測定した。また、JISK5600−5−68.3表1試験結果の分類で規定された分類に従って、下記基準に基づいて評価した。
◎:試験結果の分類の「0 」であった。
○:試験結果の分類の「1 」であった。
△:試験結果の分類の「2 」であった。
×:試験結果の分類の「3 」「4 」であった。
【0081】
(4)耐溶剤性
実施例及び比較例において、ガラス板で作製した評価用試験片へ、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチルピロリドン(NMP)をそれぞれ1滴づつ滴下し、10分間放置した。その後水洗し、溶剤を滴下した箇所が全く変化していなかったら◎ 、僅かに溶剤の跡が残るが、拭き取れば消えるようであれば○ 、溶剤の跡が残り、拭き取っても消えないようであれば△ 、全面的に変色していたら×とした。ステンレス板で作製した評価用試験片を用いた場合も同様の結果が得られた。
【0082】
評価試験の結果を表1 に示す。なお、表1中、数値の単位は重量部を表す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1中の溶媒の略語は以下のものを表す。
DMM : ジプロピレングリコールジメチルエーテル
DPMNP : ジプロピレングリコールメチルn−プロピルエーテル
MMPGAC : プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EGA : エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
【0085】
表より明らかなように、実施例の硬化性樹脂組成物、及び該樹脂組成物から得られた硬化塗膜は、安定性、基板密着性及び耐溶剤性の何れの点でも優れていた。これに対し、比較例の硬化性樹脂組成物、及び該樹脂組成物から得られた硬化塗膜は、安定性、密着性の点で劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、使用溶剤の安全性の問題を解決しつつ、樹脂溶解性、組成物の安定性、塗布性に優れるとともに、レジスト用材料として用いた場合における感度、現像性、形成されるパターン特性などの諸物性に優れた硬化性樹脂組成物が得られる。この硬化性樹脂組成物を硬化して得られた塗膜は、膜厚均一性、基板に対する密着性、耐溶剤性などの諸物性に優れているため、レジスト用材料のほか、塗料、コーティング剤、粘接着剤等として利用でき、特に電子材料分野で好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位及び(B)アルカリ可溶性基を含むモノマー単位を含む共重合体と、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを全溶媒中30〜100質量%含有する溶媒とを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)脂環式エポキシ基含有重合性不飽和化合物が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8又は9−イル(メタ)アクリレートから選択された少なくとも1種の化合物である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記共重合体が、さらに、(C)エポキシ基非含有脂環式重合性不飽和化合物に対応するモノマー単位を含んでいる、請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(1)重合溶媒として、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒を使用して共重合体を製造する工程、又は(2)共重合体の溶媒を、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含有する溶媒に溶媒交換する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。

【公開番号】特開2013−1749(P2013−1749A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132052(P2011−132052)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】