説明

脂肪−芳香族生分解性ポリエステル

本発明は、脂肪族ジカルボン酸、再生可能資源由来の多官能性芳香族酸およびジオールから得られる脂肪−芳香族生分解性ポリエステルに関し、前記ポリエステルと天然または合成のいずれかに由来の他の生分解性ポリマーとのブレンドにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族ジカルボン酸、再生可能資源由来の多官能性芳香族酸およびジオールから得られる脂肪−芳香族生分解性ポリエステル類に関する。
本発明は、前記ポリエステル類と天然または合成のいずれかに由来の他の生分解性ポリマー類とのブレンドにも関する。
【背景技術】
【0002】
テレフタル酸およびジアルコールから出発して得られる脂肪−芳香族生分解性ポリエステルは文献で知られ、市販されている。鎖中の芳香族成分の存在は十分に高い溶融温度および好適な結晶化速度を有するポリマーを得るのに重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在までのところ、テレフタル酸は合成由来であり、再生可能資源からのそれの考えられる生産は極めて複雑である。このことは、それらの生分解性に関わらず、関係する再生不可能な炭素の供給原料という点からは、現在市販されているこのタイプのポリエステルの環境への影響を大幅に低下させる機会を制限する。
【0004】
さらに、テレフタル酸の含量の増加は脂肪−芳香族ポリエステルの機械的および熱的特性を改善するが、その高い含量は前記ポリエステルの生分解率を低下させてしまう。このため、使用の際、好適な生分解特性および性能を維持することができる、鎖中における高い割合での再生可能資源由来の芳香族酸の存在が望まれていた。
【0005】
実際に、本発明は、高い機械的および熱的特性を有するポリマーが、全炭素の100%とほぼ同量の、全炭素の極めて大きな割合を占める再生可能資源由来の供給原料から得られることを可能とする。事実、植物資源由来のモノマーの使用は大気中のCO2の削減および再生不可能資源の使用のさらなる制限に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
確認された全ての前記の欠点は、今、本発明のポリエステルによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aは実施例1のポリマーのX線回折図である。
【図1B】図1Bは実施例2のポリマーのX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
事実、本発明は、脂肪族ジカルボン酸、再生可能資源由来の多官能性芳香族酸およびジオールから出発して得られる脂肪−芳香族タイプの生分解性ポリエステルに関する。
【0009】
再生可能資源とみなすことができる前記製品は、それらの優れた特質によって、ヒトの生命のタイムスケールでは再生可能であり、無尽蔵であり、その結果、それらの使用は未来の世代の天然資源の利用可能性には悪影響を与えない。再生可能資源の典型的な例は野菜作物からなる。
【0010】
脂肪族ジカルボン酸として、ここで考えられるものはC2〜C22のジカルボン酸である。脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸および再生可能資源のものがより好ましく、後者の中では、C8〜C13の再生可能資源由来の脂肪族ジカルボン酸がさらに好ましく、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびブラシル酸ならびにそれらのエステルが特に好ましい。これらの酸のブレンドも特に興味深い。イタコン酸およびマレイン酸のような鎖の内部に不飽和を有する二酸もである。
【0011】
本発明の多官能性芳香族酸によれば、再生可能資源からのジカルボン酸芳香族化合物およびそれらのエステルが意味され、2,5−フランジカルボン酸およびその誘導体が特に好ましい。
【0012】
本発明の生分解性ポリエステル中の多官能性芳香族酸の含量は、ジカルボン酸の全モル数に対して、好ましくは90モル%〜5モル%の間、より好ましくは80モル%〜10モル%の間、さらにより好ましくは70モル%〜20モル%の間、特に好ましくは60モル%〜40モル%の間である。
【0013】
本発明のジオールの例には、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−メタンジオール、フェノール類のような芳香族ジオールおよびフランジオールが含まれる。
【0014】
本発明のジオールとしては、アルファ−オメガ位に2つのヒドロキシ基を有するものが好ましい。それらの分子構造のおかげで、前記アルファ−オメガ位のジオールは本発明のポリエステルの良好な結晶化度をもたらすポリマー鎖の三次元構造を発展させる。C2〜C10のタイプのジオールがより好ましいものである。C2〜C4のジオールがさらにより好ましい。
【0015】
本発明のポリエステルの分子量Mnは、好ましくは5,000〜150,000の間、より好ましくは10,000〜120,000の間、さらにより好ましくは20,000〜100,000の間である。多分散性の指数Mw/Mnは、1.4〜8の間、好ましくは1.6〜5の間である。
【0016】
本発明のポリエステルは、例えば、λ=1.5416オングストロームでのX Cu Kα照射を使用し、出力1.6kWで操作する、集中光学系ジオメトリィ(Bragg-Brentano geometry)を備えたフィリップス社製エクスパート(X'Pert)θ/2θ回折計を用いて、X線回折によって測定される、5%より高い、好ましくは8%より高い、より好ましくは10%より高い結晶化度を示す。用いる角度の範囲は0.03°の刻み幅(2θ)および1刻み当たり2秒の捕捉時間で5〜60°(2θ)である。結晶化度%は、結晶相の領域と結晶相および非結晶相の領域の合計との間の比として算出される。
【0017】
本発明のポリエステルは、(25℃、0.2g/dlの濃度のCHCl3溶液について、ウベロード粘度計を用いて測定される)0.3〜2dl/gの間の、好ましくは0.7〜1.5dl/gの間の、より好ましくは0.85〜1.2dl/gの間の固有粘度を有する。
【0018】
本発明のポリエステルのメルトフローレート(MFR)は、(例えば、発泡フィルム加工、射出成形、発泡等を含む)プラスチック材料についての典型的な用途でそれらを使用する場合、(ASTM標準D1238に従って190℃/2.16kgで測定して)0.5〜300g/10分、好ましくは1〜100g/10分、およびより好ましくは1.5〜70g/10分であり、またはさらにより好ましくは2.0〜50g/10分である。
【0019】
基本モノマーに加えて、本発明のポリエステルは脂肪族ジカルボン酸の全モル数に対して0モル%〜49モル%の間の、好ましくは0モル%〜30モル%の間の量で少なくとも1つのヒドロキシ酸を含むことができる。好適なヒドロキシ酸の例には、グリコール酸、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシバレイン酸、7−ヒドロキシヘプタン酸、8−ヒドロキシカプロン酸、9−ヒドロキシノナン酸、乳酸またはラクチドが含まれる。
【0020】
ヒドロキシ酸は自然な状態で鎖中に挿入することができるし、またそれらは二酸またはジオールと予め反応させるために製造することもできる。ヒドロキシ酸単位は鎖中にランダムに挿入することができるし、また、隣接単位とブロックを形成することもできる。
【0021】
本発明のポリマーは末端不飽和を含むことができる。前記末端不飽和は、重合段階もしくは重合前駆体の製造段階での制御した分解によるか、または好適な不飽和モノマーの添加によって発生させることができる。制御した分解とは、ポリマーが不飽和を発生させるのに必要な時間、閉じた環境内で、その溶融温度より高温に維持される熱処理を意味する。
【0022】
長鎖の2官能性分子は、官能価が末端に存在しなくても、10%より少ない量で加えられることもでき、これらの例にはダイマー酸、リシノール酸およびエポキシ基を有する酸が含まれる。アミン、アミノ酸であってもよく、アルコール中、他の全ての成分の合計分子量に対して30モル%までを占めてもよい。
【0023】
本発明のコポリエステルの製造方法において、1以上の多官能性分子は、分岐した生成物を得るために、カルボン酸(およびいずれかのヒドロキシ酸)の全分子量に対して0.1〜3モル%の間の量で有利に加えられてもよい。これらの分子の例には、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、クエン酸、ジペンタエリスリトール、モノアンヒドロソルビトール、モノヒドロマンニトール、エポキシ化された大豆油、エポキシ化されたアマニ油等のようなエポキシ化された油および酸トリグリセリドが含まれる。
【0024】
本発明のポリマーはイソシアネートおよびイソシアニド、エポキシドおよび特にポリエポキシド、オキサゾリンまたはカルボジイミドのような連鎖延長剤をなんら加える必要なく優れた性能を得ることができるが、必要に応じてポリマーの特性を改変することはなお可能である。一般に、そのような添加剤は、0.01〜2重量%の間、好ましくは0.05〜1.5重量%の間の割合で使用することができる。
【0025】
有利に使用することができるエポキシドの例は、
エポキシ化されたオイルからの、および/または1,000〜10,000の間の分子量の範囲で、1分子当たり1〜30、好ましくは5〜25の範囲のエポキシド数を有する、スチレン−グリシジルエーテル−メチルメタクリレート、グリシジルエーテルメチルメタクリレートからの全てのポリエポキシド;
ならびにジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,2−エポキシブタン、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、イソプレンジエポキシドおよび脂環式ジエポキシド、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリシジル2−メチルフェニルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、メタ−キシレンジアミンのテトラグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテル、およびそれらの混合物を含む群から選択されるエポキシドである。
【0026】
触媒を反応基の反応性を高めるのに使用することもできる。ポリエポキシドの場合、脂肪酸塩を、例えば、使用することができる。カルシウムおよび亜鉛のステアリン酸塩が特に好ましい。
【0027】
好ましくは、エポキシドは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.2〜0.8重量%の量で本発明のポリエステルに加えられる。
【0028】
有利に使用することができるカルボジイミドの例は、ポリ(シクロオクチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−ジメチレンシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(エチレンカルボジイミド)、ポリ(ブチレンカルボジイミド)、ポリ(イソブチレンカルボジイミド)、ポリ(ノニレンカルボジイミド)、ポリ(ドデシレンカルボジイミド)、ポリ(ネオペンチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−ジメチレンフェニレンカルボジイミド)、ポリ(2,2’,6,6’−テトラ−イソプロピル−ジフェニレンカルボジイミド)(スタバクゾール(商標)D)、ポリ(2,4,6−トリイソプロピル−1,3−フェニレンカルボジイミド)(スタバクゾール(商標)P−100)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピル−フェニレン−2,4−カルボジイミド)、ポリ(2,6−ジイソプロピル−1,3−フェニレンカルボジイミド)(スタバクゾール(商標)P)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)、ポリ(クメンカルボジイミド)、p−フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、1,6−ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8−オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10−デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12−ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド)およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0029】
好ましくは、前記連鎖延長剤は、0.05〜0.8重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%の量で本発明のポリエステルに加えられる。
【0030】
ポリエステルの分子量は、例えば、押出工程の際、様々な有機パーオキサイドを加えることにより有利に増大させることができる。生分解性ポリエステルの分子量の増大は、ポリエステルをパーオキサイドで処理した後、粘度の値の増大を観察することにより容易に確認できる。
【0031】
有利に用いることができるパーオキサイドの例は、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、ジ−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ−3−イン、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジセチルパーオキシカルボネート、ジミリスチルパーオキシジカルボネート、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、およびそれらの混合物のような、ジアルキルパーオキサイドの群から選択される。
【0032】
好ましくは、前記パーオキサイドは、0.5重量%より少ない、より好ましくは0.01〜0.2重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.1重量%の量で本発明のポリエステルに加えられる。
【0033】
本発明のポリエステルは、その分子量を調整した後、フィルム、射出成形品、押出コーティング物、繊維、発泡体、熱成形品、押出形材およびシート、押出吹込成形品、射出吹込成形品、回転成形品、延伸吹込成形品等のような多くの実際の用途において使用するのに好適となる特性および粘度の値を有する。
【0034】
フィルムの場合、インフレート、流延および同時押出のような製造技術を使用することができる。本発明のポリエステルを用いて得られたフィルムは、例えば、350%より高い、好ましくは400%より高い、より好ましくは500%より高い極限伸び、および70MJ/m3より高い、好ましくは90MJ/m3より高い、より好ましくは100MJ/m3より高い極限エネルギーのような優れた機械的特性を示す。
【0035】
さらに、そのようなフィルムは、ライン中またはフィルムの製造後、2軸の延伸に付すことができる。フィルムは1:2から1:15まで、好ましくは1:2.2から1:8までの延伸率である方向に引き伸ばし、延伸することもできる。延伸は無機充填剤で高度に充填させた材料の存在下に行うこともできる。そのような場合、延伸はミクロ孔を生じさせることができ、このようにして得られたフィルムは衛生用途において特に好適である。
【0036】
特に、本発明のポリエステルは:
−1方向および2方向に延伸したフィルム、ならびに他のポリマーで多層化したフィルム;
−マルチングで用いるフィルムのような、農業分野で使用するためのフィルム;
−食品用の、農業でのベール梱包用の、および廃棄物包装用のクリングフィルム;
−例えばパレット、ミネラルウォーター、シックスパックリング(six pack rings)等用のようなシュリンクフィルム;
−有機廃棄物の収集、例えば食料廃棄物および園芸廃棄物の収集用のバッグおよびゴミ袋;
−牛乳、ヨーグルト、肉、野菜等用の容器のような、単層および多層両方の熱成形した食品包装材;
−押出コーティング法を用いて得られるコーティング;
−例えば、紙、プラスチック、アルミニウムまたは金属フィルムのような硬質または軟質な基材との多層ラミネート;
−加熱して得られる部材を製造するための発泡または発泡性ビーズ;
−予備発泡品を用いて成形した発泡ブロックを含む、発泡および半発泡製品;
−発泡シート、熱成形した発泡シート、およびそれらから得られる食品包装用の容器;
−一般的な果物および野菜用の容器;
−ゲル化、分解および/または複合化した澱粉;天然の澱粉;小麦粉;天然、植物または無機由来の他の充填剤との複合材料;
−繊維;マイクロ繊維;PLA、PET、PTT等のような硬質なポリマーからなるコアと本発明の材料を用いて製造される外部シェルとを有する複合繊維;ダブレンズの複合繊維(dablens composite fibres);円形からマルチローブ(multilobed)までの異なった断面を有する繊維;フレーク状の繊維;衛生および衛生学上の製品で、ならびに農業および衣服の分野で使用するための、織物および不織布またはスパンボンドした繊維かもしくは熱で結合させた繊維
の製造に好適である。
【0037】
他の使用には、ポリエステルがプラスチックコーティングしたPVCの代わりに用いられる用途も含まれる。
【0038】
本発明のポリエステルはブレンド中でも使用することができ、それらは、
(例えば、ポリブチレン テレフタレート−コ−セバケート、ポリブチレン テレフタレート−コ−アゼレート、ポリブチレン テレフタレート−コ−ブラシレート、ポリブチレン テレフタレート−コ−アジペート、ポリブチレン テレフタレート−コ−サクシネートおよびポリブチレン テレフタレート−コ−グルタレート等の脂肪/芳香族コポリエステルのような)同じタイプのポリエステルと、
他の生分解性ポリエステル(例えば、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸および立体化学的に複合化させたポリ乳酸;ポリ−ε−カプロラクトン;ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリヒドロキシブチレートプロパノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレートデカノエート、ポリヒドロキシブチレートドデカノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレートオクタデカノエートのようなポリヒドロキシブチレート;ポリアルキレンサクシネート;ポリ−3−ヒドロキシブチレート;ポリ−4−ヒドロキシブチレート;ポリサクシネートならびに、特にポリブチレンサクシネートおよびアジピン酸および乳酸とのその共重合体)両方との、
またはポリエステル以外のポリマーとの反応性押出によって得ることもできる。ポリエステルとポリ乳酸とのブレンドが特に好ましい。
【0039】
本発明のポリエステルはブレンド中でも使用することができ、そのようなブレンドは澱粉、セルロース、キチンおよびキトサン、アルギネート、グルテンのような蛋白質、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ゴム、ロジン酸およびその誘導体、リグニン類およびそれらの誘導体、(例えばジュート、ケナフ、大麻のような)天然繊維のような天然由来のポリマーとの反応性押出によっても、得ることもできる。
【0040】
澱粉およびセルロースは変性されていてもよく、例えば、0.2〜2.5の間の置換度を有する澱粉およびセルロースのエステル、ヒドロキシプロピル化澱粉ならびに脂肪鎖で変性された澱粉を含んでいてもよい。
【0041】
澱粉は分解もしくはゲル化したいずれかの形態、または充填剤として使用することもできる。澱粉は連続もしくは分散相を示してもよく、または共連続的な(co-continuous)形態であってもよい。分散した澱粉の場合、澱粉粒子は1μmより小さい、好ましくは0.5μmより小さい平均粒子径を有する。
【0042】
澱粉の粒子径について、これらは押出しのフローの方向の、またいずれにせよ、材料の出力方向の横断方向で測定される。このため、澱粉粒子の粒子径は前記横断方向で得られる2次元の形状として測定される。平均粒子径は粒子径の数(または算術)平均として算出される。
【0043】
球状粒子の場合、粒子径は、粒子が内接し得る最小の円の直径に対応する。
【0044】
非球状粒子の場合、粒子径(d)は次の式:
【数1】

(式中、d1は粒子が内接または近似し得る楕円の内径であり、d2はその外径である。)
に従って算出される。
【0045】
澱粉が分散相を示す本発明のポリエステルの混合物は、耐老化性および耐湿性に優れた生分解性ポリマー組成物を構成することができる。実際に、これらのポリマー組成物は、低い湿度の条件下でも高い引裂強度を維持することができる。
【0046】
そのような特徴は、前記成分を混合する際の組成物の水分含量が好ましくは1重量%〜15重量%の間に保たれたときに達成することができる。しかしながら、予備乾燥され、予備可塑化された澱粉で出発したとき、この場合、1重量%未満の含量で操作することもできる。
【0047】
最終材料または最終製品において、澱粉の固有粘度を1〜0.2dl/gの間、好ましくは0.6〜0.25dl/gの間、より好ましくは0.55〜0.3dl/gの間とするために、本発明のポリエステルとの配合の前またはその間に、澱粉を低分子量に分解することも有益である。
【0048】
分解した澱粉は、水、グリセロール、ジおよびポリグリセロール、エチレンもしくはプロピレングリコール、エチレンおよびプロピレンジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、スクロース、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−へキサンジオール、1,6−へキサンジオール、1,2,6−へキサントリオール、1,3,5−へキサントリオール、ネオペンチルグリコール、ならびにポリビニルアルコールプレポリマーおよびポリマー、ポリオールのアセテート、エトキシレートおよびプロポキシレート、特にソルビトールエトキシレート、ソルビトールアセテート、およびペンタエリスリトールアセテートのような可塑化剤の存在下での、本発明のポリエステルとの混合の前またはその間に得ることができる。用いられる高沸点可塑剤(水とは異なった可塑剤)の量は、一般に澱粉に対して、0重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜30重量%である。
【0049】
水は、組成物の混合の前またはその間、澱粉相の可塑化の際、高沸点可塑剤と組み合わせるか、または単独で、可塑剤として使用することができ、押出の際、1以上の工程で脱気することにより、所望の濃度まで除去することができる。可塑化および成分の混合が終了した時に、水は最終的な含量が約0.2〜3重量%となるように脱気することにより除去される。
【0050】
水は、高沸点可塑剤と同様に澱粉相の粘度を調整し、分散粒子の粒子径を測定するのに役立つ、澱粉/ポリマー系のレオロジー特性に影響を与える。相溶化剤も混合物に加えることができる。
【0051】
それらは次のクラス:
−8より高い親水性/親油性バランスの指数値(HLB)を有し、ポリオールおよび4.5より低い解離定数pKを有するモノもしくはポリカルボン酸(ポリカルボン酸の場合、前記値は最初のカルボキシ基のpKに関する。)から得られるエステルのような添加剤;
−ポリオール、および12未満の炭素原子を有し、4.5より高いpK値(ポリカルボン酸の場合、前記値は最初のカルボキシ基のpKに関する)を有するモノまたはポリカルボン酸から得られ、5.5〜8の間のHLB値を有するエステル
−ポリオールおよび12〜22の炭素原子を有する脂肪酸から得られ、5.5より低いHLB値を有するエステル
に属することができる。
【0052】
これらの相溶化剤は、澱粉に対して、0.2〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の量で使用することができる。澱粉のブレンドは、2つの成分(第1の成分は澱粉に相溶性であるか、または溶解性であり、第2の成分はポリエステルに溶解性であるか、または相溶性である)を含むポリマーの相溶化剤を含むこともできる。
【0053】
例としては、エステル交換触媒を介した澱粉/ポリエステルのコポリマーである。そのようなポリマーは配合する際の反応性ブレンドによって製造することができるし、または別々のプロセスで製造し、次いで押出の際に加えることもできる。
【0054】
一般に、親水性単位と疎水性単位とのブロックコポリマーが特に好適である。ジおよびポリエポキシド、ジおよびポリイソシアネート、イソシアヌレート、ポリカルボジイミドならびにパーオキサイドのような添加剤を加えることもできる。それらは連鎖延長剤と同様に安定化剤として作用することができる。全ての前記生成物は所望のミクロ構造を作るのに役立つことができる。
【0055】
澱粉とポリマーマトリックスとの間の結合を形成するインサイトの反応を促進することもできる。また、脂肪族もしくは芳香族のジイソシアネートもしくはジおよびポリエポキシドまたはイソシアヌレート、あるいはオキサゾリンで延長され、1dl/gより高い固有粘度を有する脂肪−芳香族ポリマー鎖か、あるいはいずれの場合であっても、Mnと190℃、2.16kgでのMFIとの間の比が10,000より高い、好ましくは12,500より高い、より好ましくは15,000より高い脂肪−芳香族ポリエステルを、所望のミクロ構造を得るのに使用することもできる。
【0056】
ミクロ構造を改善するためのもう1つの方法は、澱粉−ポリエステルの混合物中で澱粉をコンプレックス化させることである。このことに関連して、ヨーロッパ特許第965615号の内容が本明細書中に参考として組み込まれる。
【0057】
そのような場合、本発明のポリエステルとの組成物のX線スペクトルにおいて、コンプレックスの13〜14°の範囲のピークの高さ(Hc)と、(非結晶相におけるピークのプロフィルが再び構成される)約20.5°に現れる非結晶性澱粉のピークの高さ(Ha)との間のHc/Haの比は、2より小さく、0.02より大きい。
【0058】
澱粉/ポリエステルの比は、5/95重量%から60/40重量%まで、より好ましくは10/90〜45/55重量%の範囲内である。
【0059】
本発明のポリエステルと組み合わさった、そのような澱粉をベースとするブレンド中に、ポリオレフィン;高および低加水分解度のポリビニルアルコール;エチレンビニルアルコールとエチレンビニルアセテートとのコポリマーおよびそれらの組合せ;ならびにポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート−カプロラクテート、ポリブチレンサクシネート−ラクテートのような脂肪族ポリエステル;ポリカプロラクトンポリマーおよびコポリマー;PBT;PET;PTT;ポリアミド;テレフタル酸の含量が40〜70%の間であり、スルホン化された基を有するかまたは有さず、分枝を有するかまたは有さず、可能であればジイソシアネートまたはイソシアヌレートで鎖が延長されているポリブチレンテレフタレートアジペート;ポリウレタン;ポリアミド−ウレタン;置換度が1〜3の間、好ましくは1.5〜2.5の間の、アセテート、プロピオネートおよびブチレートのような、セルロースおよび澱粉のエステル;ポリヒドロキシアルカノエート;ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸およびラクチド、それらの混合物およびコポリマーを加えることができる。
【0060】
本発明のポリエステルとの澱粉のブレンドは、7g/10分のMFI(170℃、5kg)でさえ、インフレートで容易に加工することができる。さらに、それらは、(30μm厚のブローフィルムについて、10℃、5%未満の相対湿度で測定される)20kJ/m2より高い、好ましくは30kJ/m2より高い、より好ましくは45kJ/m2より高い衝撃強さを有する。
【0061】
特に、耐性で、容易に加工できるコンパウンドは、ポリエポキシド、カルボジイミドおよび/またはパーオキサイドのような添加剤を含むかまたは含まない、本発明のポリエステルならびにポリ乳酸のポリマーおよびコポリマーと組合さった、分解した澱粉を含む。
【0062】
澱粉をベースとするフィルムは、500μmより小さい、好ましくは300μmより小さい粒子径を有する澱粉のナノ粒子の場合、透明でさえあり得る。液滴の形態にある澱粉の分散液から、2つの共連続的な相が共存する分散液となることもでき、ブレンドは加工の際より高い水分含量を許容することを特徴とする。
【0063】
一般的には、共連続的な構造を得るために、いずれかの高アミロペクチン含量の澱粉を選択すること、および/または澱粉−ポリエステルの組成物に疎水性単位と親水性単位とのブロックコポリマーを加えることができる。可能な例は、ブロックの長さ、ブロックの親水性と親油性との間のバランスおよび用いられる相溶化剤の品質を、澱粉−ポリエステルの組成物のミクロ構造をうまく調整するのに好適に変更できる、ポリビニルアセテート/ポリビニルアルコールおよびポリエステル/ポリエーテルのコポリマーである。
【0064】
本発明のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらのコポリマーのようなポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテートおよびポリエチレンビニルアルコール、ポリエステルウレタン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレアならびに二酸−ジオールタイプの芳香族ポリエステル(ここで、芳香族酸は2,5−フランジカルボン酸である。)とブレンドすることもできる。
【0065】
本発明のポリマーはポリウレタンおよびポリウレアの製造する上でプレポリマーとしても使用することもできる。ポリエステルと澱粉とのブレンドが特に好ましい。本発明のポリエステルは合成由来のポリマーとのおよび前記の天然由来のポリマーとのブレンドとしても使用することができる。
【0066】
本発明のポリエステルと、前記に開示したタイプの生分解性ポリエステルとのおよび/または天然由来のポリマーとの2成分系および3成分系のブレンドは、フィルムを製造するのに特に好適である。有利には、前記ブレンドで得られるフィルムは優れた機械的特性を示す。前記ポリエステルと澱粉およびポリ乳酸との混合物が特に好ましい。
【0067】
本発明のポリエステルとPLAのポリマーおよびコポリマーとの高い相溶性は幅広い剛性を有する材料を被覆することを許容するため、本発明のポリエステルとPLAとのブレンドが特に興味深く、前記相溶性はこれらのブレンドを射出成形および押出に特に好適なものとする。
【0068】
さらに、そのようなポリエステルと、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸またはポリL−ラクチドおよびポリD−ラクチドとのブレンド(ここで、ポリL−乳酸とポリD−乳酸との間のまたはラクチドの比率が10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20の範囲であり、脂肪−芳香族ポリエステルとポリ乳酸またはPLAブレンドとの間の比率が5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10の範囲である、)がその高い耐熱性のため特に興味深い。ポリ乳酸またはラクチドのポリマーもしくはコポリマーは、一般的に、30,000〜300,000、好ましくは50,000〜250,000の間の範囲の分子量Mnを有する。
【0069】
そのようなブレンドの透明性および靭性を改善し、ポリラクチドポリマーの板状構造を低減させるか、または回避するのに、相溶化剤または強化剤として、ポリブチレンサクシネート、およびアジピン酸および/または乳酸および/またはヒドロキシカプロン酸とのコポリマー;ポリカプロラクトン;C2〜C13のジオールとC4〜C13の二酸との脂肪族ポリマー;ポリヒドロキシアルカノエート;75〜99%の間の加水分解度のポリビニルアルコールおよびそのコポリマー;0〜70%、好ましくは0〜60%の間の加水分解度のポリビニルアセテートのような他のポリマーを導入することができる。
【0070】
ジオールとしてエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールが、酸としてアゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸およびそれらの組合せが特に好ましい。
【0071】
本発明のポリエステルとポリ乳酸との相溶性を最大とするために、本発明の脂肪−芳香族コポリエステルと高い親和性を有するブロック、および乳酸ポリマーまたはコポリマーと親和性を有するブロックを含むコポリマーの導入が極めて有用である。特に好ましい例は、本発明の脂肪−芳香族コポリマーとポリ乳酸とのブロックコポリマーである。
【0072】
そのようなブロックコポリマーは、ヒドロキシ基を末端とする2つの原ポリマーを用い、次いでそのようなポリマーをジイソシアネートのようなヒドロキシ基と反応し得る連鎖延長剤と反応させることにより得ることができる。例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート等である。
【0073】
ブレンドのポリマーが末端に酸基を有する場合、ジおよびポリエポキシド(例えば、ビスフェノールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル)、ジビニル誘導体のような、カルボキシ基と反応し得る連鎖延長剤を使用することもできる。連鎖延長剤としてカルボジイミド、ビス−オキサゾリン、イソシアヌレート等を使用することもできる。
【0074】
そのようなブロックコポリマーの極限粘度は、0.3〜1.5dl/gの間、好ましくは0.45〜1.2dl/gの間である。脂肪−芳香族コポリエステルとポリ乳酸とのブレンド中の相溶化剤の量は、0.5〜50重量%の間、より好ましくは1〜30重量%の間、さらにより好ましくは2〜20重量%の範囲である。
【0075】
有利には、本発明のポリエステルは有機と無機両方の性質を有する、核剤および充填剤とブレンドすることもできる。核剤の例には、タルク、サッカリンナトリウム塩、珪酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、窒化ホウ素、亜鉛塩、ポルフィリン、塩素、フロリン、ポルホジメチン、ポルホメチン、バクテリオクロリン、イソバクテリオコリン、ポルフィリノゲン、ホルビン、イソタクチックポリプロピレン、低分子量のPLA、およびPBTが含まれる。
【0076】
充填剤の好ましい量は、0.5〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲である。有機充填剤として、木粉、蛋白質、セルロース粉、グレープ残渣、糠、トウモロコシの皮、堆肥、他の天然繊維、ポリオールのような可塑剤を含むか、または含まない穀物のグリットを挙げることができる。
【0077】
無機充填剤として、好ましくは500nmより小さい、より好ましくは300nmより小さい、さらに好ましくは50nmより小さいサブミクロン径を有し、ラメラ中に分散および/または分解させることができる物質を挙げることができる。
【0078】
澱粉および/または特定のポリエステルと相互作用し得る分子で機能化もされている、ゼオライト、およびウォラストナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトのような様々な珪酸塩が特に好ましい。そのような充填剤の使用は、剛性、水およびガスの透過性、寸法安定性を改善し、透明性を維持することができる。
【0079】
本発明の生分解性ポリエステルはEN13432標準に従って生分解性である。
【0080】
本発明のポリエステルの製造方法は当該技術分野で知られたいずれかの方法を用いて行うことができる。特に、ポリエステルは重縮合反応を用いて有利に得ることができる。
【0081】
コポリエステルの重合方法は適当な触媒の存在下に有利に行うことができる。適当な触媒の例として、錫酸の誘導体のような錫の有機金属化合物、またはオルトブチルチタネートのようなチタンの化合物、またはAl−トリイソプロピルのようなアルミニウムの化合物もしくはアンチモンおよび亜鉛の化合物を挙げることができる。
【0082】
以下、本発明をいくつかの実施態様を記載して説明するが、これらは本発明によって保護される発明概念の非限定的な例として意図される。
【実施例】
【0083】
実施例1
60%の芳香族単位を有するポリ(ブチレン フランジカルボキシレート−コ−ブチレン セバケート)の合成
次のもの:
2,5−フランジカルボン酸のジメチルエステル(DMFD)
:5.15g(0.0280モル)
セバシン酸 :3.77g(0.0187モル)
1,4−ブタンジオール :5.88g(0.0654モル)
を、シールした機械攪拌機および蒸留液を回収するための目盛り付き試験管につなげた水冷装置を取り付けた100mlの2頚のバルーン(balloon)内に投入した。
【0084】
エステル化段階
バルーンを200℃の温度に温度制御した油浴中に浸漬し、400rpmで継続的に攪拌した。水とメタノールを反応の間に蒸留した。100ppmのテトラオルトブチルチタネート(デュポン社より市販されているタイゾール(商標))をエステル化触媒として加え、油浴の温度を3時間かけて235℃に徐々に加熱した後、蒸留を1時間行った。反応の間に得られる蒸留液の重量と理論収量との間の比として算出される、得られた転化率は約82%であった。
【0085】
重縮合段階
次いで水冷装置を、蒸留液を回収するためのコード化され(coded)、目盛りの付いた試験管を取り付けた空冷装置に替え、重縮合触媒としてさらに1000ppmのタイゾール(商標)を加えた。圧力を約10分間かけて1mbarに下げた。油の温度を240℃まで上げ、反応を2時間さらに行った。ASTM標準D2857−89に従って、クロロホルム中、25℃で測定した(2g/l)、1.06dl/gに等しい固有粘度を有する生成物を得た。
【0086】
生成物を、パーキンエルマー社製DSC7示差走査熱量計を用いて分析することによって、次の結果:
Tm=104℃、Tc=39℃、
ΔHf=19.0J/g、
ΔHc=−13.6J/g、
Tg=−18℃
を得た。
【0087】
CDCl3溶液中での1H−NMR分析(300MHz)は芳香族単位の含量(59.9%)および1.16のランダムネスインデックス(randomness index)を示した。
【0088】
生成物を、屈折率測定器を用いてゲル透過クロマトグラフィ(アジレント(商標)1100)で分析した。溶離剤は1ml/分の流速のCHCl3からなっていた。系を40℃に温度制御した。5μmの粒子径ならびにそれぞれ500Å、1,000Åおよび10,000Åの多孔度を有する、連続した3つのカラムのセットを使用した。分子量を標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
GPCのトレース:Mn=68,784、Mw=129,690、Mz=226,090、Mw/Mn=1.8854。
【0089】
ポリエステルはX線回折法で測定することによって、13%の結晶度を示した。図1aはポリマーのX線回折図を示す。
【0090】
次いで、ポリマーをASTM標準D638に従った機械的特性に関係する数値で特徴付けた。引裂抵抗をASTM標準D1922−89に従って測定した。
引張応力下での機械的特性:
降伏応力(MPa) 5.5
極限荷重(MPa) 33.5
降伏伸び(%) 30
極限伸び(%) 950
弾性率(MPa) 65
極限エネルギー(MJ/m3) 165
引裂抵抗
エルメンドルフ(N/mm) >65
【0091】
実施例2
70%の芳香族単位を有するポリ(ブチレン フランジカルボキシレート−コ−ブチレン セバケート)の合成
実施例1の方法を、次の組成:
2,5−フランジカルボン酸のジメチルエステル(DMFD)
:16.24g(0.0883モル)
セバシン酸 : 7.64g(0.0378モル)
1,4−ブタンジオール :15.63g(0.177モル)
で繰り返した。
【0092】
ASTM標準D2857−89に従って、クロロホルム中、25℃で測定した(2g/l)、0.75dl/gに等しい固有粘度を有する生成物を得た。
【0093】
生成物を、パーキンエルマー社製DSC7示差走査熱量計を用いて分析することによって、次の結果:
Tm=122.1℃、Tc=60.6℃、
ΔHf=19.8J/g、
ΔHc=−18.6J/g、
Tg=−13℃
を得た。
【0094】
CDCl3溶液での1H−NMR分析(300MHz)は芳香族単位の含量(68.9%)および1.210のランダムネスインデックスを示した。
【0095】
生成物を、屈折率測定器を用いてゲル透過クロマトグラフィ(アジレント(商標)1100)で分析した。溶離剤は1ml/分の流速のCHCl3からなっていた。系を40℃に温度制御した。5μmの粒子径ならびにそれぞれ500Å、1,000Åおよび10,000Åの多孔度を有する、連続した3つのカラムのセットを使用した。分子量を標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
GPCのトレース:Mn=45,125、Mw=88,995、Mz=152,373、Mw/Mn=1.9722。
【0096】
ポリエステルはX線回折法で測定することによって、12%の結晶度を示した。図1bはポリマーのX線回折図を示す。
【0097】
次いで、ポリマーをASTM標準D638に従った機械的特性に関係する数値で特徴付けた。引裂抵抗をASTM標準D1922−89に従って測定する。
引張応力下の機械的特性:
降伏応力(MPa) 8.9
極限荷重(MPa) 32.5
降伏伸び(%) 28
極限伸び(%) 520
弾性率(MPa) 110
極限エネルギー(MJ/m3) 115
引裂抵抗
エルメンドルフ(N/mm) >50
【0098】
実施例3
実施例1のポリマー63重量部を、(130,000のMn、3.5g/10分のMFR(190℃;2.16kg)、0.2%未満の残存ラクチドおよび約6%のD体量を有する)ポリL−ラクチドポリマー5重量部、澱粉23.5重量部、水3.5重量部およびグリセロール5重量部とブレンドした。使用した押出機は2軸の押出機(ハアケ レオコード90レオメックス(Haake Rheocord 90 Rheomex) TW−100)であった。熱のプロフィルは120〜190℃の間の範囲であった。顆粒の最終的な含水量は0.8%に等しかった。
【0099】
40mmのギオルディマシーン(Ghioldi machine)(ダイギャップ=1mm、流速20kg/時)上で顆粒をフィルム化することによって、厚み20μmのフィルムを得た。次いで20μmのフィルムをASTM標準D882−88に従った機械的特性の評価に付した(23℃、相対湿度55%およびVo=50mm/分で牽引)。結果を以下の表1に示す。
【0100】
実施例4
実施例1のポリマー80重量部を、(130,000のMn、3.5g/10分のMFR(190℃;2.16kg)、0.2%未満の残存ラクチドおよび約6%のD体量を有する)ポリL−ラクチドポリマー20重量部とブレンドした。使用した押出機は2軸の押出機(ハアケ レオコード90レオメックス TW−100)であった。熱のプロフィルは120〜190℃の間の範囲であった。顆粒の最終的な含水量は0.8%に等しかった。
【0101】
40mmのギオルディマシーン(ダイギャップ=1mm、流速20kg/時)上で顆粒をフィルム化することによって、厚み20μmのフィルムを得た。次いで20μmのフィルムをASTM標準D882−88に従った機械的特性の評価に付した(23℃、相対湿度55%およびVo=50mm/分で牽引)。結果を以下の表1に示す。
【0102】
実施例5
実施例1のポリマー70重量部を、澱粉27重量部および水2.4重量部とブレンドした。使用した押出機は2軸の押出機(ハアケ レオコード90レオメックス TW−100)であった。熱のプロフィルは120〜190℃の間の範囲であった。顆粒の最終的な含水量は0.8%に等しかった。
【0103】
40mmのギオルディマシーン(ダイギャップ=1mm、流速20kg/時)上で顆粒をフィルム化することによって、厚み20μmのフィルムを得た。次いで20μmのフィルムをASTM標準D882−88に従った機械的特性の評価に付した(23℃、相対湿度55%およびVo=50mm/分で牽引)。結果を以下の表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
生分解性試験
表2の生成物について、生分解性試験をISO標準14855−改定1に従って制御した堆肥中で行った。液体窒素中で粉砕したペレットが250μmより小さい粒子径を有する粒子に分解されるまで、前記ペレットを試験した。カラムクロマトグラフィ用の正に制御した微結晶セルロース アヴィセル(Avicel)(R)として、lot No.K29865731 202を用いた。
粉末の粒度:20μm〜160μmの間が80%であり、20μm未満が20%である。
【0106】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ジカルボン酸、多官能性芳香族酸およびジオールから得られ、該芳香族酸が再生可能資源由来のジカルボン酸であることを特徴とする脂肪−芳香族タイプの生分解性ポリエステル。
【請求項2】
再生可能資源由来の芳香族ジカルボン酸が、2,5−フランジカルボン酸およびその誘導体である、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項3】
脂肪族ジカルボン酸がC2〜C22のタイプである、請求項1に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項4】
脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸および再生可能資源由来の酸である、請求項3に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項5】
再生可能資源由来の脂肪族ジカルボン酸が、C8〜C13のタイプのジカルボン酸およびそれらのエステルである、請求項4に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項6】
再生可能資源由来の脂肪族ジカルボン酸が、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ブラシル酸およびそれらのエステルである、請求項4に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項7】
芳香族ジカルボン酸の含量が、ジカルボン酸の全分子量に対して5モル%〜90モル%の間である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の生分解性ポリエステル。
【請求項8】
芳香族ジカルボン酸の含量が10%〜80%の間である、請求項7に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項9】
芳香族ジカルボン酸の含量が20%〜70%の間である、請求項8に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項10】
本発明によるポリエステルの分子量Mnが、好ましくは5,000〜150,000の間であり、多分散性指数Mw/Mnが1.4〜8の間である、請求項1〜9のいずれか一つに記載の生分解性ポリエステル。
【請求項11】
ポリエステルの分子量Mnが10,000〜120,000の間である、請求項10に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項12】
ポリエステルの分子量Mnが20,000〜100,000の間である、請求項11に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項13】
ジオールが、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロイジトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−メタンジオール、フェノール類のような芳香族ジオールおよびフランジオールである、請求項1〜12のいずれか一つに記載の生分解性ポリエステル。
【請求項14】
ジオールがC2〜C10、好ましくはC2〜C4のタイプである、請求項13に記載の生分解性ポリエステル。
【請求項15】
同じタイプのポリエステルと、天然または合成いずれかに由来の他の生分解性ポリマー両方との、反応性押出によっても得られる、ブレンド中で使用される、請求項1〜14のいずれか一つに記載の生分解性ポリエステル。
【請求項16】
合成由来のポリマーが、脂肪/芳香族コポリエステル;ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸および立体化学的に複合化させたポリ乳酸;ポリ−ε−カプロラクトン;ポリヒドロキシブチレートバリレート、ポリヒドロキシブチレートプロパノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサノエート、ポリヒドロキシブチレートデカノエート、ポリヒドロキシブチレートドデカノエート、ポリヒドロキシブチレートヘキサデカノエート、ポリヒドロキシブチレートオクタデカノエートのようなポリヒドロキシブチレート;ポリアルキレンサクシネート;ポリ−3−ヒドロキシブチレート;ポリ−4−ヒドロキシブチレート;ポリサクシネートならびに、特にポリブチレンサクシネートおよびアジピン酸および乳酸とのそのコポリマー;またはポリエステル以外のポリマーのような生分解性ポリエステルである、請求項15に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項17】
天然由来のポリマーが、澱粉、セルロース、キチンおよびキトサン、アルギネート、グルテンのような蛋白質、ゼイン、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、天然ゴム、ロジン酸およびその誘導体、リグニンおよびそれらの誘導体である、請求項15に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項18】
澱粉およびセルロースが変性されている、請求項17に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項19】
変性された澱粉およびセルロースが、0.2〜2.5の間の置換度を有する澱粉またはセルロースのエステル、ヒドロキシプロピル化澱粉および脂肪鎖で変性された澱粉である、請求項18に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項20】
澱粉が分解もしくはゲル化したいずれかの形態で、または充填剤として加えられる、請求項17に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項21】
澱粉が連続もしくは分散相を示し、または共連続的な形態であってもよい、請求項20に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項22】
分散した澱粉が1μmより小さい、好ましくは0.5μmより小さい平均粒子径を有する、請求項21に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項23】
合成由来のポリマーがポリ乳酸であり、天然由来のポリマーが澱粉である、請求項16に記載の生分解性ポリエステルのブレンド。
【請求項24】
−1方向および2方向に延伸したフィルム、ならびに他のポリマーで多層化したフィルム;
−マルチングで用いるフィルムのような、農業分野で使用するためのフィルム;
−食品用の、農業でのベール梱包用の、および廃棄物包装用のクリングフィルム;
−有機廃棄物の収集、例えば食料廃棄物および園芸廃棄物の収集用のバッグおよびゴミ袋;
−牛乳、ヨーグルト、肉、野菜等用の容器のような、単層および多層両方の熱成形した食品包装材;
−押出コーティング法を用いて得られるコーティング;
−紙、プラスチック、アルミニウムまたは金属フィルムの層との多層ラミネート;
−加熱して得られる部材を製造するための発泡または発泡性ビーズ;
−予備発泡品を用いて成形した発泡ブロックを含む、発泡および半発泡製品;
−発泡シート、熱硬化性発泡シート、およびそれらから得られる食品包装用の容器;
−一般的な果物および野菜用の容器;
−ゲル化、分解および/または複合化した澱粉、天然の澱粉、小麦粉、または植物もしくは無機の天然の充填剤との複合材料;
−衛生および衛生学上の製品中で、ならびに農業および衣服の分野で使用するための、繊維、織物および不織布
を製造するための、請求項1〜23のいずれか一つに記載のポリエステルの使用。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2011−520005(P2011−520005A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507932(P2011−507932)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055568
【国際公開番号】WO2009/135921
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(592081988)ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ (19)
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】