説明

脂肪代替組成物

【課題】脂肪を原料として含まないにも関わらず、コクのある口当たりを有するという脂肪様の官能特性を有する脂肪代替組成物及びその製造方法、並びに前記脂肪代替組成物を含有する脂肪低減食品を提供すること。
【解決手段】(a)タンニン酸、(b)コラーゲン、(c)アラビアガムの3成分によって形成される回転楕円形状の粒子を含み、前記粒子が1.0〜20.0μmの範囲の平均粒子径を有する脂肪代替組成物、該脂肪代替組成物を含有する脂肪低減食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪球様の粒子を含む脂肪代替組成物に関する。また、本発明は、前記脂肪代替組成物の製造方法及び前記組成物を含有する脂肪低減食品製品に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の健康志向に伴い、無脂肪牛乳や低脂肪ミルクコーヒー、カロリーハーフマヨネーズなど、脂肪分を低減させて、脂質やカロリーを抑えた商品が多く販売されている。しかし、脂肪分を減少させると、口当たりから舌触り、喉越しにかけてのコクが乏しくなる。「コク」とは、英語では「Body」とも表現され、味の濃厚感や厚みを表し、おいしさの重要な因子となっている。クリームなどの水中油型乳化食品において、コクを知覚させる要素として脂肪球のもたらす微細なテクスチャーが関わっていると考えられており、そのため、非凝集性の変性タン白粒子を含むクリーム代替食品成分(特許文献1)、変性乳清タンパク質粒子を含む滑らかな脂肪質の乳濁液様の官能的性質を有する組成物(特許文献2)などの、脂肪球様微粒子の形成による脂肪代替品が種々提案されている。
【0003】
中でも乳製品に関しては、近年、乳原料価格が高騰していることからも、乳原料を減らしつつ乳脂肪感を付与させることは、今後の大きな課題である。
【0004】
また、乳脂肪を多く含む食品としてホイップクリームが知られており、製菓・製パンなどのフィリングやトッピング材料として広く利用されている。しかし、ホイップクリームは脂質を40%程度含み、高カロリー食品であることから、近年の健康志向・ダイエット志向において敬遠される傾向にある。そのため、無脂肪のホイップクリーム代替品として、ゼラチンとカラギナンを使用したホイップクリーム状食品(特許文献3)、卵白と糖類をホイップ後加熱して得られるホイップクリーム様食品(特許文献4)の提案もなされているが、滑らかな軽い口どけ感や、脂肪球によって知覚されるコクに乏しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平2−502254号公報
【特許文献2】特表2003−535609号公報
【特許文献3】特開平5−63号公報
【特許文献4】特開2006−129745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、脂肪を原料として含まないにも関わらず、コクのある口当たりを有するという脂肪様の官能特性を有する脂肪代替組成物及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記脂肪代替組成物を含有する脂肪低減食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、タンニン酸、コラーゲン、アラビアガムの3成分を含有させたところ、脂肪球様の粒子が得られ、しかもこの粒子にはタンニン酸の収斂味やコラーゲンの不快味が低減していることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕(a)タンニン酸、
(b)コラーゲン、
(c)アラビアガム
の3成分によって形成される回転楕円形状の粒子を含み、前記粒子が1.0〜20.0μmの範囲の平均粒子径を有する脂肪代替組成物、
〔2〕前記(a)、(b)、(c)の含有量[A]、[B]、[C](単位:重量%)の比が以下の式の範囲内にある前記〔1〕に記載の脂肪代替組成物、
i)3.0≦([B]/[A])≦20.0
ii)0.5≦([B]/[C])≦5.0
〔3〕乳脂肪の代替物である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の脂肪代替組成物、
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の脂肪代替組成物を含有する脂肪低減食品、
〔5〕下記A1とB2、又はA2とB1、又はA2とB2を混合する工程を含むことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の脂肪代替組成物の製造方法、
A1:タンニン酸又はそれを含有する水溶液
A2:タンニン酸及びアラビアガムを含有する水溶液
B1:コラーゲン又はそれを含有する水溶液
B2:コラーゲン及びアラビアガムを含有する水溶液
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の脂肪代替組成物は脂肪様の官能特性を有しているため、例えば、水中油型乳化食品の脂肪分として脂肪代替組成物を使用することで、脂質量を低減させながら、コクのある濃厚な口当たりを知覚させることが可能である。また、タンニン酸の収斂味やコラーゲンの不快味が低減し、嗜好性を低下させることなくこれらの美容健康効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の脂肪代替組成物は、
(a)タンニン酸、
(b)コラーゲン、
(c)アラビアガム
の3成分によって形成される回転楕円形状の粒子を含み、前記粒子が1.0〜20.0μmの範囲の平均粒子径を有することを特徴とする。
【0011】
〔(a)タンニン酸〕
タンニン酸は、五倍子、没食子などの植物に多く含まれるポリフェノールの一種であり、古くより漢方薬や収斂薬として利用されている成分である。タンニン酸の分子式はC765246であり、下式(1):
【0012】
【化1】

【0013】
に示す化学構造を有する加水分解型タンニンである。本発明においてタンニン酸は、工業的に精製されたものを用いることもできるが、五倍子、没食子などタンニン酸を多量に含む高タンニン酸含有天然植物の抽出物又はその半精製物をそのまま用いてもよい。
【0014】
本発明の脂肪代替組成物中における前記(a)タンニン酸の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%がより好ましい。
【0015】
〔(b)コラーゲン〕
コラーゲンは、動物組織における主要な構成タンパク質であり、皮膚、血管、内臓、骨などの至るところに存在していることが知られている。コラーゲンを加熱・変性させて得られるゼラチンの他、それをさらに酵素などで加水分解したコラーゲンペプチドも包含してコラーゲンという。
【0016】
本発明においてコラーゲンは、由来生物や製法、ゼリー強度に関して特に限定されずに使用することができる。分子量に関しても特に限定はないが、平均分子量5,000以上であることがタンニン酸の収斂味の低減や、コク味の付与の点で好ましい。尚、コラーゲンの分子量に関する情報は、粘度測定やHPLC及びゲルろ過法等の定量方法によって得られ、すでに公知の手法を使用することが可能である。ここで平均分子量とは重量平均分子量をいう。
【0017】
本発明の脂肪代替組成物中における前記(b)コラーゲンの含有量は、1〜25重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
【0018】
〔(c)アラビアガム〕
アラビアガムは、アカシアガム、アラビアゴム又はアカシア食物繊維とも呼ばれ、熱帯地方に生育するマメ科のアラビアゴムノキ(学名Acacia senegal)から採取される多糖類である。
【0019】
本発明の脂肪代替組成物中における前記(c)アラビアガムの含有量は、0.2〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
【0020】
特に、本発明の脂肪代替組成物において、前記(a)タンニン酸の含有量[A](重量%)と前記(b)コラーゲンの含有量[B](重量%)と前記(c)アラビアガムの含有量[C](重量%)とを、以下の式の範囲内に調整することが好ましい。
i)3.0≦([B]/[A])≦20.0
ii)0.5≦([B]/[C])≦5.0
【0021】
前記i)について、([B]/[A])が3.0未満では、タンニン酸由来の収斂味のマスキングが不十分かつコクを付与する効果が十分得られない。また、([B]/[A])が20.0を超えるとゲル化や粘度上昇などの不都合な現象が起きる。([B]/[A])は、より好ましくは5.0≦([B]/[A])≦10.0である。
前記ii)について、([B]/[C])が0.5未満では、多量のアラビアガムによって味や粘度に悪影響が出る。また、([B]/[C])が5.0を超えるとタンニン酸とコラーゲンが凝集を起こしてしまう。([B]/[C])は、より好ましくは1.0≦([B]/[C])≦3.0である。
【0022】
〔任意成分〕
本発明の脂肪代替組成物には、所望により、糖質、果汁、野菜汁、豆乳、乳製品、茶類、コーヒー、チョコレート類、アルコール類、グリセリン、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、タンパク質、油脂類、乳化剤、安定剤、増粘多糖類、高甘味度甘味料などの任意成分を含有してもよい。これらの任意成分を適宜選択することで、嗜好性の幅を広げることができる。尚、前記任意成分は、嗜好性や物理的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。
【0023】
〔粒子〕
本発明の脂肪代替組成物は、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分の3成分によって形成される回転楕円形状の粒子を含有することで、脂肪様の官能特性を有する。
【0024】
前記粒子が(a)成分、(b)成分及び(c)成分の3成分からなることは、これらの3成分を水中で混合することで白濁コロイドが生じることで確認できる。
【0025】
前記粒子は、1,000倍の倍率の光学顕微鏡での目視により、回転楕円形状の不溶性粒子として確認できる。尚、回転楕円形とは、楕円をその長軸又は短軸を回転軸として得られる回転体の形であり、球形や扁球を包含する。前記のような回転楕円形であることで、口当たりなどの官能特性を良好にすることができる。
【0026】
前記粒子の平均粒子径は、1.0〜20.0μmの範囲である。前記平均粒子径が1.0μm未満では口当たりの濃厚感が弱い。前記平均粒子径が20.0μmを超える場合は濃厚感に乏しく、口当たりにざらつきを感じることもある。
前記粒子の平均粒子径は1.0〜10.0μmの範囲にあることが好ましく、コク(濃厚感)の付与の観点では、1.0〜5.0μmの範囲にあることがより好ましい。
【0027】
尚、前記粒子の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(例えば島津製作所(株)製、「SALD」シリーズ)を使用して、体積基準(全粒子の体積の総和中で特定粒子径の粒子がどれだけの体積を占めるかを示す基準)で粒度分布を測定し、算出される。
【0028】
本発明の脂肪代替組成物は、脂肪様の官能特性を有するため、乳脂肪代替物として利用することができる。
例えば、乳飲料、クリーム、ホイップクリーム、アイスクリーム、ミルクキャンディなどの、乳を含有する食品の代替物が得られる。本発明の脂肪代替組成物は原料としても使用でき、例えば乳を含有する食品に添加して、乳のコク(濃厚感)を増加させることもできる。また、起泡性や気泡安定性に関して乳同様の物理的特性を有するため、ホイップクリームやアイスクリームにおいて、乳原料を本組成物に置き換えた場合も同等のオーバーランやテクスチャーを与えることができる。
【0029】
以上のような構成を有する本発明の脂肪代替組成物の製造方法は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を混合する際、(c)成分を予め(a)成分及び/又は(b)成分と混合溶解して溶液状態としておく。また、その他の任意成分は、任意の工程で添加すればよい。
【0030】
即ち、本発明の脂肪代替組成物は、下記A1とB2、もしくはA2とB1、もしくはA2とB2を混合する工程により製造することができる。
A1:タンニン酸又はそれを含有する水溶液
A2:タンニン酸及びアラビアガムを含有する水溶液
B1:コラーゲン又はそれを含有する水溶液
B2:コラーゲン及びアラビアガムを含有する水溶液
【0031】
尚、前記各成分を混合する際の条件については、特に限定はないが、反応界面での急激な凝集を防ぐため、攪拌しながら混合するか、60℃程度まで加温した状態で混合することが好ましい。
【0032】
また、本発明は、脂肪低減食品を提供する。即ち、通常は水中油型乳化食品である食品製品において、その脂肪球の一部もしくは全てを(a)、(b)、(c)の3成分によって形成される粒子に置換することにより、本来脂肪球のもたらすコクはそのままに、脂肪含量を低減させることができる。前記水中油型乳化食品としては、例えば、乳飲料・クリームなどの乳製品の他に、チョコレートクリーム、マヨネーズなどが挙げられる。
前記脂肪低減食品は、前記脂肪代替組成物を乳原料の代わりに使用することで簡単に製造することができる。前記脂肪代替組成物と乳原料との置換の程度は、特に限定はなく、一部であってもよいし、全部であってもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
【0034】
(実施例1)
[乳濁液組成物Aの作製]
ゼラチン(商品名:APH−250、新田ゼラチン株式会社製、以下同じ)1gとアラビアガム(商品名:インスタントガムAB、コロイドナチュレルインターナショナル社製、以下同じ)1gを70℃の水に溶かし、80gの水溶液を調製した。ここにタンニン酸(商品名:タンニン酸AL、富士化学工業株式会社製、以下同じ)0.24gを60℃の水に溶かして20gに調製した水溶液を加えて混合し、白色の乳濁液組成物Aを得た。得られた組成物は、コラーゲン臭や収斂味はなく、口当たりや喉越しにコクを知覚させるものであった。
【0035】
(実施例2)
[乳濁液組成物Bの作製]
ゼラチン2gとアラビアガム2gを80℃の水に溶かし、30gの水溶液を調製した。ここにタンニン酸(商品名:タンニン酸AL、富士化学工業株式会社製、以下同じ)0.7gを80℃の水に溶かして70gに調製した水溶液を加えて混合し、白色の乳濁液組成物Bを得た。得られた組成物は、コラーゲン臭や収斂味はなく、口当たりや喉越しにコクを知覚させるものであった。
【0036】
(実施例3)
[クリーム状組成物Cの作製]
砂糖40g、酵素水飴(Bx.75、日本コーンスターチ株式会社製、以下同じ)40g、アラビアガム5g、水10gを混合して、Bx.84(水分値16%)になるまで加熱濃縮し、続いてコラーゲンペプチド(商品名:SCP−5200、新田ゼラチン株式会社製)10gを水8gに溶かした溶液を添加混合し、最後にタンニン酸2gを水4gに溶かした溶液を添加混合して、クリーム状組成物Cを得た。得られた組成物は、コラーゲン臭や収斂味はなく、口当たりや喉越しにコクを知覚させるものであった。
【0037】
(実施例4)
[ホイップクリーム状組成物Dの作製]
コラーゲンペプチド(商品名:HBC−P20、新田ゼラチン株式会社製)20gを60℃の水28gに溶かした。ここにタンニン酸4gとアラビアガム10gを60℃の水20gに溶かして調製した水溶液を加えて混合した。その後、ボウルに移し、砂糖10gを加え、氷浴で冷やしながらハンドミキサーで比重が0.5になるまで泡立て、ホイップクリーム状組成物Cを得た。得られた組成物は、コラーゲン臭や収斂味はなく、口当たりや喉越しにコクを知覚させるものであった。
【0038】
<粒度分布測定>
実施例1〜4の組成物中の不溶性粒子について、レーザー回析式粒度分布測定装置(「SALD−2000J」、島津製作所(株)製)を用い、公知の方法によって粒度分布を測定した。具体的な操作としては、試料に40℃の水を攪拌しながら加えていき、測定可能な濃度に希釈してサンプラ攪拌槽に投入し、ポンプ速度調整ツマミを6の位置にして攪拌させながら粒度分布を測定した。分布基準は、体積基準(全粒子の体積の総和中で特定粒子径の粒子がどれだけの体積を占めるか)を用いた。平均粒子径は、当該装置用のソフトウェア(WingSALD−2000J、島津製作所(株)製)によって算出した。その結果、実施例1〜4の組成物の平均粒子径はそれぞれ、2.4μm、16.6μm、2.5μm、2.2μmであり、また、いずれの場合も直径が100μmを超える粒子は2%未満であった。
【0039】
<粒子形状の観察>
実施例1〜4の組成物中の不溶性粒子を1,000倍の倍率の光学顕微鏡(「BX41」、オリンパス株式会社製)で観察したところ、一様に回転楕円形状であることが確認できた。
【0040】
(比較例1)
ゼラチン1g、アラビアガム1gを70℃の水に溶かして100gの水溶液を調製した。得られた水溶液は、コクは感じられず、不快なコラーゲン臭を強く感じるばかりか、室温まで冷やしたところ、ゲル化してしまった。
【0041】
(比較例2)
ゼラチン1gを70℃の水に溶かし、80gの水溶液を調製した。ここにタンニン酸0.24gを60℃の水に溶かして20gに調製した水溶液を加えて混合したところ、ただちに凝集が生じ、沈殿塊を形成してしまった。
【0042】
(比較例3)
アラビアガム1gを70℃の水に溶かし、80gの水溶液を調製した。ここにタンニン酸0.35gを60℃の水に溶かして20gに調製した水溶液を加えて、水溶液を調製した。得られた水溶液は、コクは感じられず、タンニン酸の不快な収斂味を感じるものであった。
【0043】
(比較例4)
実施例1のタンニン酸を柿タンニン(商品名:パンシルPS−M、リリース科学工業株式会社製)に置き換え、実施例1と同様に水溶液を調製した。得られた水溶液は、褐色の沈殿は生じたが白濁はせず、コラーゲン臭も低減していたがコクが感じられないものであり、室温まで冷やしたところ、ゲル化してしまった。
【0044】
(実施例5)
[ミルクコーヒー風飲料の作製]
乳濁液組成物A100gに対して、インスタントコーヒー粉末2gと砂糖9gを60℃の水10gに溶かしておいたものを加え、ミルク香料0.02gを添加し、ミルクコーヒー風飲料を作製した。得られた飲料は、口当たりから喉越しにかけて乳様のコクを有し、無脂肪ながら、見た目も味もミルクコーヒーに酷似した飲料であった。
【0045】
(実施例6)
[クリーミングパウダーの作製]
乳濁液組成物B100gにカゼインナトリウム1g、ミルク香料0.1gを添加し、凍結乾燥させた後粉砕して、クリーミングパウダーを得た。これをコーヒーに添加するとマイルドなコクを付与することができた。
【0046】
(実施例7)
[ミルク風ハードキャンディの作製]
砂糖500g、酵素水飴450gを混合溶解し、真空釜にて−550mmHg、115℃の条件下で水分値5.0重量%まで濃縮した後、クリーム状組成物C150gを加え、さらに水分値3.0重量%まで濃縮し、その後ミルク香料1gを添加混合し、ハードキャンディを得た。得られたハードキャンディは、ミルク様のコクのある滑らかな舐め心地のキャンディであった。
【0047】
(実施例8)
[ホイップクリームの作製]
生クリーム(タカナシ乳業株式会社製)100gと砂糖5gを混合し、氷浴で冷やしながら比重0.5まで泡立て、その後35℃に保温したホイップクリーム状組成物D100gと混合し、ホイップクリームを得た。得られたホイップクリームは、低脂肪でありながら濃厚感のある、嗜好性に優れたホイップクリームであった。
【0048】
(実施例9)
[アイスクリームの作製]
脱脂粉乳(森永乳業株式会社製)20g、砂糖20g、酵素水飴10g、卵黄20g、バニラ香料0.1g、40℃の水60gをハンドミキサーで攪拌混合し、ホイップクリーム状組成物D40gを添加して、氷浴で冷やしながら混合した後、フリーザーにて冷却し、アイスクリームを得た。得られたアイスクリームは、低脂肪でありながら濃厚感のあるアイスクリームであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タンニン酸、
(b)コラーゲン、
(c)アラビアガム
の3成分によって形成される回転楕円形状の粒子を含み、前記粒子が1.0〜20.0μmの範囲の平均粒子径を有する脂肪代替組成物。
【請求項2】
前記(a)、(b)、(c)の含有量[A]、[B]、[C](単位:重量%)の比が以下の式の範囲内にある請求項1に記載の脂肪代替組成物。
i)3.0≦([B]/[A])≦20.0
ii)0.5≦([B]/[C])≦5.0
【請求項3】
乳脂肪の代替物である、請求項1又は2に記載の脂肪代替組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪代替組成物を含有する脂肪低減食品。
【請求項5】
下記A1とB2、又はA2とB1、又はA2とB2を混合する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪代替組成物の製造方法。
A1:タンニン酸又はそれを含有する水溶液
A2:タンニン酸及びアラビアガムを含有する水溶液
B1:コラーゲン又はそれを含有する水溶液
B2:コラーゲン及びアラビアガムを含有する水溶液

【公開番号】特開2013−111026(P2013−111026A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260900(P2011−260900)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】