説明

脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体、それからなる食品製剤、化粧品、抗肥満薬

【課題】 副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体、それからなる食品製剤、化粧品、抗肥満薬を提供する。
【解決手段】 脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体は、イソキノリンアルカロイドとカプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸のいずれかと結合してなる誘導体であり、蓮の実の粉砕物とエステル交換用リパーゼを添加し加温、又は、魚類、大豆と納豆菌により発酵し、植物油で抽出して得られる。食品製剤又は化粧品は、イソキノリンアルカロイド誘導体、菊の花エキス含有植物油、松の葉エキス含有植物油からなるものである。抗肥満薬はイソキノリンアルカロイド誘導体からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体、菊の花エキス含有植物油、松の葉エキス含有植物油を含有する組成物からなる食品製剤、化粧品及び抗肥満薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームにあらわされるような脂肪の蓄積による内臓脂肪の増加と生活習慣病との関連性が話題となり、生活習慣の改善策として食事の見直し、運動の導入が啓蒙されている。しかし、メタボリックシンドロームを煩っている日本人の数は、1000万人とも、2000万人とも言われている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
また、メタボリックシンドロームに関する疾患である高血圧、糖尿病、動脈硬化症、高脂血症に対する治療費や薬剤費は年間に数兆円とも、言われており、国民医療費の負担が非常に大きい。厚生労働省も健康日本21の中で、この生活習慣病の減少を目標としている。
【0004】
生活習慣病に至るメタボリックシンドロームの根源は、脂肪の蓄積であると報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
メタボリックシンドロームを解決すべく脂肪の減少を期待した様々な取り組みがなされているものの、体脂肪の蓄積の完全なる解決には至っていない。
【0006】
医薬品として利用されているクロフィブラート系薬剤は、肝臓において中性脂肪の合成を抑制する働きを有するものの、副作用として肝機能障害が認められ、また、コレステロール合成を抑制するスタチン系薬剤には筋肉障害や肝臓障害の副作用が認められている(例えば、非特許文献3参照。)
【0007】
天然由来の中性脂肪を減少させる有用成分として特定保健用食品として市販されているものとして、グロビン蛋白分解物、ウーロン茶重合ポリフェノール、ジアシルグリセロールなどが知られている。しかし、それぞれの成分の働きは軽度であり、また、大量の摂取を継続する必要がある。
【0008】
水生植物には余分な脂肪を排除する性質が備わり、特に、蓮は、水の中で脂肪を利用しながら生育するという特徴があり、脂肪利用に関する働きが強い。
【0009】
これらの点に着目し、蓮由来の成分を利用した中性脂肪を低下させる発明としては、チンピ、茶、蓮 肉およびシコンから選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有することを特徴とする痩身用化粧料およびチンピ、蓮肉、カミツレおよびシコンから選ばれる一種または二種以上の抽出物を含有することを特徴とする脂肪分解促進剤に関する発明がみられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、蓮植物体から得られた抽出物、該抽出物の製造方法及び肥満防止剤として、蓮植物体を含水アルコールで抽出した抽出液を合成高分子系樹脂又はイオン交換樹脂に通液させることによって総アルカロイドと総ポリフェノールを高濃度に溶出させて得られる抽出物は、脂肪 や澱粉の体内における分解を阻害し、かつ代謝を高めて肥満を解消するという発明がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
しかし、上記のいずれの発明においても、有用な物質として特定された成分や誘導体は同定されておらず、また、その働きについても、確認されていない。
【0012】
これらの現状から、医薬品、化粧品、食品などの産業界では、国民医療費を圧迫するメタボリックシンドロームに対して、副作用が少なく、優れた作用を呈する長期間使用ができる天然の植物由来の成分とそれを利用した医薬品、化粧品、食品が切望されている。
【特許文献1】特許第3696965号公報
【特許文献2】特許第3671190号公報
【非特許文献1】健康局総務課生活習慣病対策室、平成18年5月8日発表、平成16年国民健康・栄養調査結果の概要について。
【非特許文献2】河田 純男ら、日本消化器病学会雑誌、102巻、1384−1391、2005。
【非特許文献3】平川 洋次ら、日本薬理学雑誌、118巻、389〜395、2001。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の中性脂肪を減少させる素材としては、グロビン蛋白分解物、ウーロン茶ポリフェノール、ジアシルグリセロールなどが使用されているものの、それらの働きは軽度であり、十分な脂肪減少とメタボリックシンドロームの解決法としては不十分である。
【0014】
また、化学合成された脂肪分解作用を呈する化合物、たとえば、マジンドールには依存性、肺性高血圧、口の渇き、便秘、嘔吐、不眠、頭痛、脱力感、めまい、だるい、いらいら感、神経過敏、興奮、動悸、血圧変動などの副作用が報告され、また、作用の耐性もあることから、長期間服用することができない問題点がある。
【0015】
この発明は上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体を提供することにある。
【0016】
また、蓮の実の粉砕物にカプリル酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体を提供することにある。
【0017】
食用魚類、蓮の実及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体を提供することにある。
【0018】
さらに、脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる副作用が弱く、優れた食品製剤を提供することにある。
【0019】
加えて、脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品を提供することにある。
【0020】
また、イソキノリンアルカロイド誘導体からなる副作用が弱く、優れた脂肪分解作用を有する抗肥満薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、脂肪分解作用を有する下記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。
【0022】
【化1】

【0023】
Xは、カプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸から選択されるいずれか一つ。
【0024】
請求項2に記載の発明は、蓮の実の粉砕物にカプリル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがカプリル酸である脂肪分解作用を有する下記の式(2)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。
【0025】
【化2】

【0026】
請求項3に記載の発明は、蓮の実の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがパルミチン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(3)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。
【0027】
【化3】

【0028】
請求項4に記載の発明は、蓮の実の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがエイコサペンタエン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(4)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。
【0029】
【化4】

【0030】
請求項5に記載の発明は、蓮の実の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがドコサヘキサエン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(5)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。
【0031】
【化5】

【0032】
請求項6に記載の発明は、食用魚類、蓮の実及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる請求項1に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体に関するものである。
【0033】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤に関するものである。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品に関するものである。
【0035】
請求項9に記載の発明は、請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体からなる抗肥満薬に関するものである。
【0036】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
【0037】
請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0038】
請求項2に記載の蓮の実の粉砕物にカプリル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソキノリンアルカロイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0039】
請求項3に記載の蓮の実の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソキノリンアルカロイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0040】
請求項4に記載の蓮の実の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソキノリンアルカロイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0041】
請求項5に記載の蓮の実の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られるイソキノリンアルカロイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0042】
請求項6に記載の食用魚類、蓮の実及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られるイソキノリンアルカロイド誘導体によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0043】
請求項7に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【0044】
請求項8に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品によれば、副作用が弱く、優れたセルライト改善作用が発揮される。
【0045】
請求項9に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体からなる抗肥満薬によれば、副作用が弱く、優れた脂肪分解作用が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、この発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0047】
まず、脂肪分解作用を有する下記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【0048】
【化6】

【0049】
Xは、カプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸から選択されるいずれか一つ。
【0050】
そもそも、イソキノリンアルカロイドとは植物や微生物により生合成されるアルカロイド系の物質である。
【0051】
ここでいうイソキノリンアルカロイド誘導体とは、式(1)で示されるように、イソキノリンアルカロイドに、カプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸から選択されるいずれか一つが結合した誘導体である。
【0052】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は、母核の窒素原子にカプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸のいずれかの物質のカルボン酸基から最も離れた炭素部分が共有結合している。
【0053】
前記のイソキノリンアルカロイドは蓮の実、茎、葉や根に広く分布しているものの、イソキノリンアルカロイドの構造が不安定であるという欠点があり、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体が構造的に安定であり、脂肪分解作用に優れていることから好ましい。
【0054】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は、カプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸のいずれかが結合することにより、その脂溶性が高まる結果、イソキノリンアルカロイド誘導体の構造が安定化され、イソキノリンアルカロイドに比して脂肪分解作用に優れている。
【0055】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などを分解する酵素を誘導して脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪を分解する。
【0056】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、中性脂肪やリン脂質内に浸透しやすく、リパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。ホスホリパーゼとしては、ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼDなどがある。
【0057】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪やリン脂質を分解するリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
【0058】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂溶性の高い特徴を有するカプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸から選択されるいずれか一つが結合していることからイソキノリンアルカロイドに比して小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、体内に吸収されやすい。
【0059】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてイソキノリンアルカロイドとそれぞれのカプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸のいずれかに分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体も安全性が高い。
【0060】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがカプリル酸の場合、カプリル酸の中鎖飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、脂肪組織に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0061】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、脂肪組織に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0062】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがエイコサペンタエン酸の場合、エイコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0063】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがドコサヘキサエン酸の場合、ドコサヘキサエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0064】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがドコサペンタエン酸の場合、ドコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0065】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがアルファ−リポ酸の場合、アルファ−リポ酸の脂肪酸残基が抗酸化作用を呈することから、脂質の酸化や過酸化を抑制しし、脂質分解酵素に働いて脂肪分解が安定的に高まることから好ましい。
【0066】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがガンマ−リノレン酸の場合、ガンマ−リノレン酸の不飽和脂肪酸残基が脂肪細胞から排出されるサイトカインを抑制させ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0067】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがステアリン酸の場合、ステアリン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪組織内に吸収されやすく、標的となるリパーゼに働いて脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0068】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがメチルステアリン酸の場合、メチルステアリン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪組織内に吸収されやすく、標的となるリパーゼに働いて脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0069】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがラウリル酸の場合、ラウリル酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、脂肪に働き、リパーゼ活性化作用が増強されることから好ましい。
【0070】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xが14−メチルパルミチン酸の場合、14−メチルパルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、リパーゼに働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0071】
また、イソキノリンアルカロイド誘導体を蓮の実を原料として加工し、粉砕して有機溶媒や植物油により抽出し、精製することは入手が容易で、経済的であることから、好ましい。
【0072】
ここで抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。また、松の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや柿の葉エキスを含有した有機溶媒などを用いることにより、抗酸化作用により目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0073】
抽出に用いる植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられ、また、松の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや柿の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0074】
さらに、イソキノリンアルカロイド誘導体に利用される脂肪酸を植物、豆類、食用魚類より精製し、または、精製油脂を用いることは、好ましい。
【0075】
たとえば、これらの脂肪酸を不二製油、日清製油、ニッスイ製薬、日水漁業、東洋漁業より入手して、結合酵素を用いた生合成により、又は、化学的に合成することができる。
【0076】
これらの原料から生化学的な酵素反応によりイソキノリンアルカロイド誘導体を得る場合には、エステル結合反応を生じる酵素、たとえば、アマノエンザイム製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどが用いられる。
【0077】
また、化学合成反応による場合には、マグネシウム、アルミニウムなどの金属触媒とともに、加温される。これらの原料は、反応槽に入れられ、前記の有機溶媒とともに、反応が行われる。この反応物は、前記の有機溶媒を用いて抽出し、その溶媒を除去して粗生成物として得ることは、精製に要するコストを削減できることから、好ましい。
【0078】
目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を天然の素材から前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出し、さらに、精製することにより得ることができる。天然の素材として、蓮の実などの植物、海藻、キノコ、食用動物、食用魚類、軟体動物、昆虫、甲殻類などがある。特に、蓮の実、食用魚類の頭部やウナギの頭部は、含量が高いことから、抽出しやすいという特徴がある。
【0079】
産業上、食用魚類の頭部は食用魚類の加工時に除去され、廃棄物として廃棄されており、利用されていない。この食用魚類の頭部やウナギの頭部を原料として前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出、又は、精製することは廃棄物を有効に利用し、廃棄物の量を軽減することから好ましい。
【0080】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を微生物や酵母を用いた発酵により得ることは食用として安全性が確認されており、食経験も豊富であることから好ましく、この場合、用いる微生物としては納豆菌、乳酸菌、紅麹、枯草菌があり、酵母としてはビール酵母や酒精酵母があり、特に、納豆菌はエステル交換作用に優れていることから好ましい。
【0081】
前記の発酵は蓮の実、食用魚類、食用魚類の頭部や内臓、大豆や牛乳などの発酵ベースに前記の微生物又は酵母を添加して発酵タンクを用いて実施される。この発酵後、微生物又は酵母と発酵液の混合物から目的とする前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を前記の有機溶媒や植物油を用いて抽出することにより得ることができる。
【0082】
植物から抽出する場合、ハス科の植物である蓮の種子、果実や実、根、葉や茎などの植物体、緑茶、ギョウジャニンニク、タマネギ、ニンニク、大豆、ギジギシ、カンゾウ、ツリフネソウ、ハナイカダ、大麦若葉、葛の花、トウガラシ、カキ、梨、栗、タラ、ワサビ、ワラビ、稲、小麦、トウモロコシ、ダイコン、菜の花、サクラ、マツ、アオキ、アカネ、アカメガシワ、アケビ、アマチャズル、アマドコロ、アロエ、イカリソウ、イタドリ、イノコズチ、イブキジャコウソウ、ウコギ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、エビスグサ、オウレン、オオバコ、オケラ、オクラ、オトギリソウ、オナモミ、オミナエシ、カキドオシ、カラスウリ、カラスビシャク、カワラケツメイ、カワラナデシコ、カンアオイ、キクイモ、キキョウ、キササゲ、キハダ、キランソウ、キンミズヒキ、クガイソウ、クサボケ、クズ、クチナシ、コウホネ、コブシ、サイカチ、サボンソウ、サルトリイバラバッケツ、サンシュユ、ジャノヒゲ、シラン、スイカズラ、セリ、センブリ、タムシバ、タラノキ、タンポポ、チガヤ、ツリガネニンジン、ツワブキ、トチノキ、トチバニンジン、ナンテン、ノイバラ、ハコベ、ハトムギ、ハハコグサ、ヒキオコシ、ヒシ、ヒトツバ、ビワ、フキ、フクジュソウ、フジ、マタタビ、マンゴスチン、メハジキ、ヤマノイモ、ユキノシタ、ヨモギ、リンドウ、レンギョウ、ロウバイ、ワレモコウなどの葉、茎、花、実又は根は、入手しやすいことから好ましい。
【0083】
このうち、ここでいう蓮とは、学名Nelumbo nuciferaであり、日本各地、中国大陸から東南アジアに広く分布する多年生草本である。ここで用いる蓮はいずれの産地でも良い。用いる蓮の実は楕円形で、あり、種子とも呼ばれる。さらに、蓮の花、葉、茎や地下茎を持つものであれば、いずれの植物体も用いられる。
【0084】
このうち、蓮の実や茎は食経験も豊富であり、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を安定的に供給できることから好ましい。
【0085】
前記の脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は前記の有機溶媒又は植物油で抽出される。つまり、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0086】
さらに、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を緑茶から抽出する場合、日本産の緑茶、粉茶、中国産のアッサム系の緑茶の葉部、茎又は根は、入手しやすいことから好ましい。ここでいう緑茶とは、代表的には学名Camellia sinensisであり、Camellia属の全ての緑茶を含む。
【0087】
また、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体の分離には、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。分離する場合、前記の有機溶媒や植物油が用いられ、松の葉エキス含有植物油を粗精製の段階で用いることにより、松の葉エキスによる抗酸化作用と防腐作用が発揮され、目的とする誘導体が安定に維持されることから好ましい。
【0088】
前記の反応物や組成物から、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を精製することは純度の高い物質として摂取した場合にその摂取量を減少させることができる点から好ましい。高度に精製される場合、分離用担体又は樹脂が利用され、精製される。分離用担体又は樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300マイクロmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
【0089】
例えば、逆相担体又は樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。
【0090】
また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体又は樹脂として利用される。
【0091】
アフィニティ担体又は樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体又は樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
【0092】
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体又は樹脂、分配性担体又は樹脂、分子篩用担体又は樹脂及びイオン交換担体又は樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体又は樹脂及び分配性担体又は樹脂はより好ましい。
【0093】
分離用溶媒として前記の有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体又は樹脂が用いられる。また、医薬品製造又は食品製造に利用される担体又は樹脂は好ましい。
【0094】
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2又はXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
【0095】
得られた抽出物は、分離前に分離用担体又は樹脂を膨潤化させるための溶媒に懸濁される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、3〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜60℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
【0096】
分離用溶媒には、水、又は、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
【0097】
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸又はそれらの混合液が好ましい。ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコール又は低級アルコールと水の混合液が好ましい。
【0098】
分離された分画を採取後、乾燥又は真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を粉末又は濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
【0099】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0100】
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0101】
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0102】
前記の化粧品としては、セルライトや皮下脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0103】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0104】
また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0105】
次に、蓮の実の粉砕物にカプリル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがカプリル酸である脂肪分解作用を有する下記の式(2)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【0106】
【化7】

【0107】
ここでいうイソキノリンアルカロイド誘導体とは、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体であり、イソキノリンアルカロイドに、カプリル酸のカルボキシル酸から最も離れた炭素が共有結合した誘導体である。
【0108】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪やリン脂質を分解し、脂肪やリン脂質の蓄積を改善又は予防する。
【0109】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、脂肪内に浸透しやすく、リパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、中性脂肪やリン脂質を分解する。
【0110】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、カプリル酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼなどの脂質分解酵素に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0111】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は蓮の実の粉砕物にカプリル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0112】
蓮の実とは蓮の果実である。蓮はハス科の食用植物であり、学名Nelumbo nuciferaで、日本、アジア、世界各地に自生する。料理や化粧品素材として古くから利用され、利用経験が豊富であり、その安全性も確認されている。
【0113】
また、化粧品原料としてもハスエキス、ハス果実エキス、ハス花エキス、ハス花油などとして利用されている。ここで用いる蓮は日本、韓国、中国、台湾などのアジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに自然に繁殖したもの、または、栽培されたいずれの蓮でも用いられ、このうち、日本、中国産のものは、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価であることから、好ましい。
【0114】
蓮の実は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0115】
採取された蓮の実は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0116】
蓮の実は粉砕される。粉砕には粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0117】
ここで用いられるカプリル酸は、ヤシ油、植物油、なたね油、綿実油、とうもろこし油、ベニバナ油、ゴマ油、コメ油、ヒマワリ油、オリーブ油などから得られ、リョーショク、日清製油や不二製油株式会社などのヤシや大豆などの植物より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0118】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0119】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の蓮の実の粉砕物、カプリル酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0120】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、カプリル酸は0.02〜2重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.08重量が好ましい。
【0121】
前記の加温の温度として、10〜42℃が好ましく、18〜39℃がより好ましい。
【0122】
前記の加温の時間として、2〜48時間が好ましく、6〜28時間がより好ましい。
【0123】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり40〜140回の速度が好ましい。
【0124】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0125】
生成された脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0126】
このうち、松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0127】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0128】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0129】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.4〜4重量が好ましい。
【0130】
分離されたイソキノリンアルカロイド誘導体は、体内に吸収された後、過剰量はエステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0131】
前記の反応物から、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0132】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を得ることは好ましい。
【0133】
このようにして得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0134】
得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0135】
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0136】
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0137】
前記の化粧品としては、脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0138】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0139】
また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0140】
次に、蓮の実の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがパルミチン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(3)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【0141】
【化8】

【0142】
ここでいうイソキノリンアルカロイド誘導体とは、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体であり、イソキノリンアルカロイドに、パルミチン酸のカルボキシル酸から最も離れた炭素が共有結合した誘導体である。
【0143】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪やリン脂質を分解し、脂肪やリン脂質の蓄積を改善又は予防する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。さらに、脂肪内に浸透しやすく、リパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、中性脂肪やリン脂質を分解する。
【0144】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
【0145】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼに働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0146】
生成された脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0147】
蓮の実とは蓮の果実である。蓮はハス科の食用植物であり、学名Nelumbo nuciferaで、日本、アジア、世界各地に自生する。料理や化粧品素材として古くから利用され、利用経験が豊富であり、その安全性も確認されている。
【0148】
また、化粧品原料としてもハスエキス、ハス果実エキス、ハス花エキス、ハス花油などとして利用されている。ここで用いる蓮は日本、韓国、中国、台湾などのアジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに自然に繁殖したもの、または、栽培されたいずれの蓮でも用いられ、このうち、日本、中国産のものは、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価であることから、好ましい。
【0149】
蓮の実は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0150】
採取された蓮の実は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0151】
蓮の実は粉砕される。粉砕には、粉砕機が用いられ、たとえば粉砕機として株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0152】
ここで用いられるパルミチン酸は、ヤシ油、植物油、なたね油、綿実油、とうもろこし油、ベニバナ油、ゴマ油、コメ油、ヒマワリ油、オリーブ油などから得られ、リョーショク、日清製油や不二製油株式会社などのヤシや大豆などの植物より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。
【0153】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0154】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の蓮の実の粉砕物、パルミチン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0155】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、パルミチン酸は0.02〜0.5重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.04重量が好ましい。
【0156】
前記の加温の温度として、10〜30℃が好ましく、13〜27℃がより好ましい。
【0157】
前記の加温の時間として、1〜24時間が好ましく、2〜14時間がより好ましい。
【0158】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり8〜120回の速度が好ましい。
【0159】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0160】
生成された脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0161】
ここでいう松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0162】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0163】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0164】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.4〜3重量が好ましい。
【0165】
分離されたイソキノリンアルカロイド誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0166】
前記の反応物から、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0167】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を得ることは好ましい。
【0168】
このようにして得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0169】
得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0170】
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0171】
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0172】
前記の化粧品としては、脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0173】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0174】
また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0175】
次に、蓮の実の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがエイコサペンタエン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(4)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【0176】
【化9】

【0177】
ここでいうイソキノリンアルカロイド誘導体とは、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体であり、イソキノリンアルカロイドに、エイコサペンタエン酸のカルボキシル酸から最も離れた炭素が共有結合した誘導体である。
【0178】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪やリン脂質を分解し、脂肪やリン脂質の蓄積を改善又は予防する。
【0179】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、エイコサペンタエン酸が脂肪から放出される腫瘍壊死因子やIL−6などの炎症性サイトカイン類を抑制して、炎症を抑制しつつ、リパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。
【0180】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
【0181】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、エイコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼなどの脂質分解酵素に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0182】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は蓮の実の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0183】
蓮の実とは蓮の果実である。蓮はハス科の食用植物であり、学名Nelumbo nuciferaで、日本、アジア、世界各地に自生する。料理や化粧品素材として古くから利用され、利用経験が豊富であり、その安全性も確認されている。
【0184】
また、化粧品原料としてもハスエキス、ハス果実エキス、ハス花エキス、ハス花油などとして利用されている。ここで用いる蓮は日本、韓国、中国、台湾などのアジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに自然に繁殖したもの、または、栽培されたいずれの蓮でも用いられ、このうち、日本、中国産のものは、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価であることから、好ましい。
【0185】
蓮の実は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0186】
採取された蓮の実は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0187】
蓮の実は粉砕される。粉砕は、粉砕機として株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0188】
ここで用いられるエイコサペンタエン酸は、魚類由来で魚油より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。日本水産製のエイコサペンタエン酸は品質も安定していることから、好ましい。
【0189】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0190】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の蓮の実の粉砕物、エイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0191】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、エイコサペンタエン酸は0.02〜0.5重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.04重量が好ましい。
【0192】
前記の加温の温度として、10〜30℃が好ましく、13〜27℃がより好ましい。
【0193】
前記の加温の時間として、1〜24時間が好ましく、2〜14時間がより好ましい。
【0194】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり8〜120回の速度が好ましい。
【0195】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0196】
生成された脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0197】
前記の松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0198】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0199】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0200】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.4〜3重量が好ましい。
【0201】
分離されたイソキノリンアルカロイド誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0202】
前記の反応物から、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0203】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を得ることは好ましい。
【0204】
このようにして得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0205】
得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0206】
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0207】
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0208】
前記の化粧品としては、脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0209】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0210】
また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0211】
次に、蓮の実の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる前記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがドコサヘキサエン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(5)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【0212】
【化10】

【0213】
ここでいうイソキノリンアルカロイド誘導体とは、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体であり、イソキノリンアルカロイドに、ドコサヘキサエン酸のカルボキシル酸から最も離れた炭素が共有結合した誘導体である。
【0214】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪やリン脂質を分解し、脂肪やリン脂質の蓄積を改善又は予防する。
【0215】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、ドコサヘキサエン酸が脂肪から放出される腫瘍壊死因子やIL−6などの炎症性サイトカイン類を抑制して、炎症を抑制しつつ、リパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。
【0216】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼやリン脂質を分解するホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
【0217】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体においてドコサヘキサエン酸の不飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0218】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は蓮の実の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られる。
【0219】
蓮の実とは蓮の果実である。蓮はハス科の食用植物であり、学名Nelumbo nuciferaで、日本、アジア、世界各地に自生する。料理や化粧品素材として古くから利用され、利用経験が豊富であり、その安全性も確認されている。
【0220】
また、化粧品原料としてもハスエキス、ハス果実エキス、ハス花エキス、ハス花油などとして利用されている。ここで用いる蓮は日本、韓国、中国、台湾などのアジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに自然に繁殖したもの、または、栽培されたいずれの蓮でも用いられ、このうち、日本、中国産のものは、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価であることから、好ましい。
【0221】
蓮の実は新鮮なもの、乾燥されたもののいずれでも良い。
【0222】
採取された蓮の実は水道水で洗浄されることは好ましい。
【0223】
蓮の実は粉砕される。粉砕には、粉砕機が用いられ、たとえば株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20などが用いられる。
【0224】
ここで用いられるドコサヘキサエン酸は、魚類由来で魚油より抽出され、精製されたものが、不純物の少ないことから好ましい。日本水産製のドコサヘキサエン酸は品質も安定していることから、好ましい。
【0225】
ここで用いるエステル交換用リパーゼは、エステル交換反応用リパーゼとしては、たとえば、ノボザイム社製のリポザイムやノボザイム435、名糖産業社製のリパーゼPLやリパーゼQLM、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30G、リパーゼG「アマノ」50、リパーゼF−AP15、ニューラーゼF3Gなどの品質が高いものが用いられ、これらは安全性が確認されていることから、好ましい。
【0226】
清浄なステンレス製寸胴などに前記の蓮の実の粉砕物、ドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼが添加され、加温される。ここに、溶媒として水道水を添加することは、反応を円滑にすることから好ましい。
【0227】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、ドコサヘキサエン酸は0.02〜0.5重量が好ましく、エステル交換用リパーゼは0.0001〜0.04重量が好ましい。
【0228】
前記の加温の温度として、10〜30℃が好ましく、13〜27℃がより好ましい。
【0229】
前記の加温の時間として、1〜24時間が好ましく、2〜14時間がより好ましい。
【0230】
前記の加温は、攪拌されながら、行うことが好ましく、1分間当たり8〜120回の速度が好ましい。
【0231】
加温された後に、冷却される。冷却方法は、自然冷却又は水冷が好ましい。
【0232】
生成された脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0233】
ここでいう松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0234】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0235】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0236】
添加する蓮の実の粉砕物1重量に対し、添加する植物油は0.4〜3重量が好ましい。
【0237】
分離されたイソキノリンアルカロイド誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼにより分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0238】
前記の反応物から、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0239】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、溶媒を除去して目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を得ることは好ましい。
【0240】
このようにして得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0241】
得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0242】
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0243】
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0244】
前記の化粧品としては、脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0245】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0246】
また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0247】
次に、食用魚類、蓮の実及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【0248】
ここでいう脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体とは、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体である。
【0249】
すなわち、イソキノリンアルカロイドに、カプリル酸、パルミチン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが結合した誘導体である。
【0250】
このイソキノリンアルカロイド誘導体は、カプリル酸、パルミチン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸のいずれかの物質のカルボン酸基から最も離れた炭素部分が共有結合している。
【0251】
ここでいうイソキノリンアルカロイド誘導体は、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸が結合することにより、イソキノリンアルカロイドの構造が安定化される特長を有する。
【0252】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪を分解し、脂肪の蓄積を予防する。
【0253】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、血流とリンパ流を増強してリパーゼやリン脂質分解酵素などの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。
【0254】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
【0255】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、不飽和脂肪酸残基や飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0256】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂溶性の高い特徴を有するカプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい特長を有する。
【0257】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は過剰に摂取され、吸収された場合、その過剰量は血中のエステラーゼにより分解されてイソキノリンアルカロイドとそれぞれのカプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸のいずれかに分解され、それぞれは安全性が確認されていることから、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体も安全性が高い。
【0258】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがカプリル酸の場合、カプリル酸の中鎖飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、脂肪組織に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0259】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがパルミチン酸の場合、パルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、脂肪組織に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0260】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがエイコサペンタエン酸の場合、エイコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0261】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがドコサヘキサエン酸の場合、ドコサヘキサエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0262】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがドコサペンタエン酸の場合、ドコサペンタエン酸の不飽和脂肪酸残基が炎症性プロスタグランジン産生抑制作用を呈することから、炎症作用を抑制しつつ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0263】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがアルファ−リポ酸の場合、アルファ−リポ酸の脂肪酸残基が抗酸化作用を呈することから、脂質の酸化や過酸化を抑制しし、脂質分解酵素に働いて脂肪分解が安定的に高まることから好ましい。
【0264】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがガンマ−リノレン酸の場合、ガンマ−リノレン酸の不飽和脂肪酸残基が脂肪細胞から排出されるサイトカインを抑制させ、リパーゼに働いて脂肪分解作用が安定的に発揮されることから好ましい。
【0265】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがステアリン酸の場合、ステアリン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪組織内に吸収されやすく、標的となるリパーゼに働いて脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0266】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがメチルステアリン酸の場合、メチルステアリン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、脂肪組織内に吸収されやすく、標的となるリパーゼに働いて脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0267】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xがラウリル酸の場合、ラウリル酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、脂肪に働き、リパーゼ活性化作用が増強されることから好ましい。
【0268】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体のうち、Xが14−メチルパルミチン酸の場合、14−メチルパルミチン酸の飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透し、細胞内に吸収されやすく、リパーゼに働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0269】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は、食用魚類、蓮の実及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られるものである。ここでいう食用魚類としては、食用に用いる魚類のことであり、このうち、ウナギは食経験が豊富である。
【0270】
ウナギの頭部や内臓は食経験もあり、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸を含んでいることから好ましい。
【0271】
また、 漁業では加工過程においてウナギの頭部や内臓は廃棄されることから、廃棄物の有用利用ができることから好ましい。
【0272】
このうち、浜名湖湖畔で養殖されて成長したウナギは、好ましい。また、解体場で屠殺後解体し、頭部及び内臓を切断し、採取することは好ましい。
【0273】
集められたウナギの頭部及び内臓を包丁により裁断し、中山技術研究所製DM−6にて粉砕することは好ましい。
【0274】
ここでいう蓮の実とは蓮の果実である。蓮はハス科の食用植物であり、学名Nelumbo nuciferaで、日本、アジア、世界各地に自生する。料理や化粧品素材として古くから利用され、利用経験が豊富であり、その安全性も確認されている。
【0275】
また、化粧品原料としてもハスエキス、ハス果実エキス、ハス花エキス、ハス花油などとして利用されている。ここで用いる蓮は日本、韓国、中国、台湾などのアジア、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに自然に繁殖したもの、または、栽培されたいずれの蓮でも用いられ、このうち、日本、中国産のものは、農薬の使用履歴が追跡でき、品質が安定し、安価であることから、好ましい。
【0276】
蓮の実は中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されることは好ましい。
【0277】
ここでいう大豆は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地のものも、利用でき、使用に際して中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕されることが好ましい。
【0278】
ここでいう納豆菌とは、納豆や食品の加工用に用いられる枯草菌の一種である。納豆素本舗製の納豆菌は発酵に適していることから、好ましい。
【0279】
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、食用魚類1重量に対し、蓮の実は0.03〜0.3重量が好ましく、大豆は0.1〜3重量が好ましく、納豆菌は0.001〜0.03重量が好ましい。
【0280】
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
【0281】
また、この発酵は、30〜40℃に加温され、発酵は、24〜72時間行われる。発酵後に、抽出を効率良く実施するために、水道水で希釈される。
【0282】
前記の発酵により生成された脂溶性イソキノリンアルカロイド誘導体は植物油で抽出される。植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0283】
前記の菊の花エキス含有植物油は、菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0284】
菊の花エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0285】
農薬を使用せずに栽培された菊の花が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0286】
前記の松の葉エキス含有植物油は、松の葉の粉砕物に植物油を添加して抽出される油溶性ポリフェノールを含有する抗酸化作用に優れた植物油であり、目的とする誘導体を安定的に分離できる。
【0287】
松の葉エキス含有植物油に用いる松の葉は、日本産、中国産、台湾産のいずれでも用いられる。
【0288】
農薬を使用せずに栽培された松の葉が農薬による危険性を回避できることから好ましい。
【0289】
前記の発酵物1重量に対して松の葉エキス含有植物油の添加量は、0.02〜2重量である。この場合、攪拌による抽出が好ましく、攪拌温度は10〜30℃が好ましく、攪拌時間は0.5〜3時間が好ましい。
【0290】
前記の攪拌後、上層に分離した松の葉エキス含有植物油を採取し、水分を除去することは好ましい。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2などの乾燥機が用いられる。
【0291】
分離されたイソキノリンアルカロイド誘導体は、体内に吸収された後、過剰量は、エステラーゼなどの消化酵素により分解され、さらに、肝臓において代謝されることから、安全性も高く、副作用も少ない。
【0292】
前記の反応物から、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
【0293】
分離用担体又は樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。適切な分離用溶媒により分離し、精製され、有機溶媒を除去して目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を得ることは好ましい。
【0294】
分離用溶媒としてはメタノール、エタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、エーテルなどが用いられ、このうち、食品加工用エタノール又は含水エタノールはその利用範囲が高いことから好ましい。
【0295】
このようにして得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は、液体又は粉末として得られる。
【0296】
得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は医薬品、食品製剤、化粧品、衛生用具、衣類や繊維、プラスチックなどに利用される。
【0297】
医薬品としては、抗肥満薬、局所の脂肪分解薬、抗セルライト剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善などに利用される。また、動物に用いる獣医用の医薬品やペットに用いる医薬品としても脂肪分解剤、抗肥満剤、しわ除去剤、脂肪肝抑制剤、高脂血症改善剤、抗動脈硬化剤などとして利用される。
【0298】
前記の食品製剤としては、肥満を予防又は改善するサプリメント、セルライトの改善や局所の脂肪減少、メタボリックシンドロームや生活習慣病の予防や改善を目的としたサプリメントなどに使用される。また、動物に用いる獣医用の食品や食品製剤、又はペットに用いる食品製剤としても脂肪分解、肥満の改善と予防、しわ除去、脂肪肝抑制、高脂血症改善、動脈硬化抑制や予防の目的などとして利用される。
【0299】
前記の化粧品としては、脂肪の蓄積により生じるたるみを改善又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、脂肪の蓄積により表面にデコボコを生じたセルライトを解消又は予防する化粧品、医薬部外品やマッサージオイルとして利用される。また、動物に用いる獣医用の化粧品やペットに用いる化粧品としても利用される。
【0300】
前記の医薬品、食品、化粧品は、メタボリックシンドロームとそれに派生する皮膚疾患に対して優れた治療または予防的な働きを呈する。また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加した繊維を利用して脂肪を除去する目的とした衣類にも利用され、特に、下着、ストッキング、肌着、水着、靴下、パジャマ、布団やシーツなどに利用される。
【0301】
また、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を添加したプラスチックを利用して脂肪分解を目的とした容器やトイレ、バスなどに利用される。
【0302】
次に、前記の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤について説明する。
【0303】
ここでいう脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体とは、粗生成物、混合物、合成された物、有機溶媒や植物油で抽出して精製された純度の高い物質のいずれでもよく、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体とは、イソキノリンアルカロイドのXの位置に、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが共有結合した誘導体である。
【0304】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪やリン脂質を分解し、脂肪の蓄積を予防する。
【0305】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、血流とリンパ流を増強してリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化し、脂肪を分解する。
【0306】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素を活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。
【0307】
特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、脂肪を分解する。
【0308】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、不飽和脂肪酸残基や飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼやホスホリパーゼなどの脂質分解酵素に働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0309】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂溶性の高い特徴を有するカプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい特長を有する。
【0310】
ここでいう菊の花エキス含有植物油は菊の花の粉砕物を植物油で抽出して得られる抗酸化作用に優れた植物油である。
【0311】
植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、
【0312】
株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油は品質が高く、不純物が少ないことから、好ましい。
【0313】
松の葉エキス含有植物油は、日本、中国、アジア産の松の葉を粉砕機により粉砕され、植物油により抽出して得られる。
【0314】
松の葉の粉砕された原料を、ヤクルト薬品工業株式会社製のオノズカR−10、Y−NC、アマノエンザイム株式会社製のセルラーゼ A「アマノ」3、セルラーゼ T「アマノ」4などのセルラーゼにより処理することは、抽出効率が向上することから好ましい。
【0315】
前記の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、添加される菊の花エキス含有植物油は0.01〜0.5重量であり、松の葉エキス含有植物油は0.01〜0.5重量であり、これにより組成物が得られる。
【0316】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0317】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.5重量を上回る場合、イソキノリンアルカロイド誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0318】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.01重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0319】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.5重量を上回る場合、イソキノリンアルカロイド誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0320】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は30〜45℃であり、加温時間は6〜40時間である。
【0321】
加温温度が30℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が45℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。加温時間が40時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
【0322】
この組成物は、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0323】
また、このように構成することにより、イソキノリンアルカロイド誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。特に、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化から守られて構造を維持する。
【0324】
さらに、前記の組成物が他の原料とともに加工され、食品製剤になる。この場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤等)、カプセル状等の形状の食品製剤にすることができる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等を適宜添加してもよい。
【0325】
前記の食品製剤は、1日数回に分けて経口摂取される。1日の摂取量は0.2〜10gが好ましく、0.3〜6gがより好ましく、0.5〜4gがさらに好ましい。1日の摂取量が、0.2gを下回る場合、十分な脂肪分解作用が発揮されないおそれがある。1日の摂取量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。上記の他に、飴、せんべい、クッキー、飲料等の形態で使用することができる。
【0326】
ここでいう食品製剤とは、人間が食する保健機能食品、健康補助食品、一般食品、病院で用いる病院用食品、また、動物用の飼料又はペット用サプリメント、ペットフードである。
【0327】
この食品製剤は、脂肪分解促進、肥満の防止、脂肪やコレステロール蓄積による心疾患、肝臓機能改善、疲労回復、筋肉増強、ダイエット、滋養強壮の目的などで使用される。
【0328】
次に、前記の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品について説明する。
【0329】
ここでいう脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体とは、粗生成物、混合物、合成された物、抽出して精製された純度の高い物質のいずれでもよく、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体とは、イソキノリンアルカロイドに、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが共有結合した誘導体である。
【0330】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪を分解し、脂肪の蓄積を予防する。
【0331】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、血流とリンパ流を増強してリパーゼを活性化し、脂肪を分解する。
【0332】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼを活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。
特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、中性脂肪を分解する。
【0333】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、不飽和脂肪酸残基や飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼに働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0334】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂溶性の高い特徴を有するカプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい特長を有する。
【0335】
ここでいう菊の花エキス含有植物油は菊の花の粉砕物に植物油を添加して抽出して得られる油であり、抗酸化作用に優れている。
【0336】
ここで用いる植物油としては、植物油としては、ヤシ油、パーム油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、コメ油、胚芽油、コーン油、ベニバナ油、アマニ油、アーモンド油、ゴマ油、カカオ油、キャノーラ油、グレープシード油、エゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シソ油、茶油、ツキミソウ油、パンプキンシード油、ピーナッツ油、ブドウ油、ヘーゼルナッツ油、綿実油、落花生油などの食用又は化粧品に用いられる油が用いられる、また、柿の葉エキス、クコシエキス、緑茶エキス、菊エキスや松の葉エキスを含有した植物油などを用いることにより、目的とする誘導体が安定に維持されることからさらに好ましい。
【0337】
株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油は品質が高く、不純物が少ないことから、好ましい。
【0338】
松の葉エキス含有植物油は、日本、中国、アジア産の松の葉を粉砕機により粉砕され、植物油により抽出して得られる。
【0339】
松の葉の粉砕された原料を、ヤクルト薬品工業株式会社製のオノズカR−10、Y−NC、アマノエンザイム株式会社製のセルラーゼ A「アマノ」3、セルラーゼ T「アマノ」4などのセルラーゼにより処理することは、抽出効率が向上することから好ましい。
【0340】
前記の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、添加される菊の花エキス含有植物油は0.05〜0.8重量であり、松の葉エキス含有植物油は0.05〜0.8重量であり、これにより組成物が得られる。
【0341】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.05重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0342】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、菊の花エキス含有植物油の重量が0.8重量を上回る場合、イソキノリンアルカロイド誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0343】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.05重量を下回る場合、目的とする組成物が十分に得られないおそれがある。
【0344】
イソキノリンアルカロイド誘導体1重量に対し、松の葉エキス含有植物油の重量が0.8重量を上回る場合、イソキノリンアルカロイド誘導体の溶解性が低下し、析出するおそれがある。
【0345】
前記の組成物を得るために、混合後も加温されることは好ましい。加温条件として温度は30〜45℃であり、加温時間は6〜40時間である。
【0346】
加温温度が30℃を下回る場合、十分な反応が生じないおそれがある。加温温度が45℃を上回る場合、酸化により生成された反応物が褐色に変色するおそれがある。加温時間が6時間を下回る場合、十分な生成物が得られないおそれがある。
【0347】
加温時間が40時間を上回る場合、酸化により生成された生成物が褐色に変色するおそれがある。
【0348】
この組成物は、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体を少しずつ、持続的に放出させて、持続性組成物となることから、好ましい。
【0349】
また、このように構成することにより、イソキノリンアルカロイド誘導体が菊の花エキス含有植物油の抗酸化力により安定に維持されて酸化による分解が抑制される。特に、不飽和脂肪酸の二重結合が酸化から守られて構造を維持する。
【0350】
さらに、化粧品として前記の組成物が他の原料とともに加工される。その後、常法に従って油分、界面活性化剤、ビタミン剤、紫外線吸収剤、増粘剤、保湿剤、副素材等とともに用いることができる。
【0351】
化粧水、クリーム、軟膏、ローション、乳液、パック、オイル、石鹸、洗顔料、香料、オーディコロン、浴用剤、シャンプー、リンス等の形態とすることができる。化粧品製剤の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状又は粉末状として用いることができる。
【0352】
化粧品として皮膚に1日数回に分けて塗布される。1日の塗布量は0.01〜10gが好ましく、0.05〜3gがより好ましく、0.1〜2gがさらに好ましい。1日の塗布量が、0.01gを下回る場合、しわやたるみの治療または防止効果が発揮されないおそれがある。1日の塗布量が、10gを越える場合、コストが高くなるおそれがある。
【0353】
ここでいう化粧品とは、人間に用いる化粧品である基礎化粧品、美白化粧品、毛髪洗浄剤、トリートメント剤、染め剤、育毛剤、養毛剤、ボディウォッシュ、医薬部外品である。その他に、動物に用いる皮膚改善剤又はペット用シャンプー、ボディウォッシュである。
【0354】
この化粧品は脂肪分解作用を呈することにより優れたセルライト改善効果を発揮する。すなわち、脂肪の皮下蓄積により脂肪周囲の血流が停滞し老廃物が蓄積することによりセルライトが発生する。このセルライトの除去のためには脂肪の浸漬しやすい脂肪分解作用を呈する物質が働くことが好ましい。その点、この化粧品は脂肪分解することにより、セルライトを除去し、また、セルライトを予防する働きがある。
【0355】
特に、冷え性や循環が低下している女性の下肢のセルライトに対して優れたセルライト除去作用を呈する。また、脂肪の炊く関によるシワや表皮の凹凸に対しても改善作用を示す。
【0356】
さらに、この化粧品は脂肪に蓄積しやすい化学物質やアレルゲンによるアトピーや化学物質過敏症に対しても、脂肪を除去することにより、改善又は予防的な働きを呈する。
【0357】
次に、前記の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体からなる抗肥満薬について説明する。
【0358】
ここでいう脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体とは、粗生成物、混合物、合成された物、抽出して精製された純度の高い物質のいずれでもよく、前記のイソキノリンアルカロイド誘導体とは、イソキノリンアルカロイドに、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが共有結合した誘導体である。
【0359】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は中性脂肪やリン脂質などの脂肪分解作用を呈し、蓄積した中性脂肪を分解し、脂肪の蓄積を予防する。
【0360】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪酸側鎖を有することから、脂肪組織に侵入しやすく、脂肪細胞の増殖因子の働きを抑制する結果、脂肪細胞の増加を抑制する。また、血流とリンパ流を増強してリパーゼやホスホリパーゼなどの脂肪分解酵素を活性化し、中性脂肪やリン脂質などの脂肪を分解する。
【0361】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂肪組織や臓器内の脂肪細胞の増殖を抑制し、かつ、中性脂肪を分解するリパーゼやホスホリパーゼを活性化することにより、蓄積した脂肪を分解する。特に、臓器内に侵入した脂肪細胞に対してその増殖を抑制し、中性脂肪を分解する。
【0362】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体において、不飽和脂肪酸残基や飽和脂肪酸残基が細胞膜に浸透して脂肪細胞内に吸収されやすく、標的となる脂肪内のリパーゼに働きやすく、脂肪分解作用が増強されることから好ましい。
【0363】
前記のイソキノリンアルカロイド誘導体は脂溶性の高い特徴を有するカプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸から選択されるいずれか一つが結合していることから小腸や皮膚の細胞膜に馴染みやすく、吸収されやすい特長を有する。
【0364】
医薬品として用いる場合には、不純物による影響を除去することが必要となるために、酵素反応により合成され、溶媒の残留の少ない前記の構造のイソキノリンアルカロイド誘導体を用いることが好ましい。
【0365】
医薬品として経口剤又は非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、歯磨き粉等に配合されて利用される。
【0366】
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラック又は砂糖で被覆することもできる。
【0367】
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を含有させることができる。
【0368】
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。ここで用いる外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
【0369】
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
【0370】
ここでいう抗肥満薬は、皮膚や全身又は局所の脂肪の過剰な蓄積、また、脂肪の蓄積に起因した種々の疾患、たとえば、肝障害、心疾患や動脈硬化に対して治療又は予防効果を目的とした医薬品又は医薬部外品製剤である。
【0371】
全身の脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があり、特に、内臓脂肪は内臓器官に蓄積し、実質臓器に障害を与える悪質な脂肪組織である。すなわち、内臓脂肪は脂質過酸化物を放出し、実質組織の細胞膜を破壊し、かつ、脂肪組織から分泌される因子である腫瘍壊死因子やインターロイキン類が実質組織を破壊する。たとえば、内臓脂肪の蓄積による肝障害や胆管障害、腎臓障害、心疾患が知られており、生活習慣病やメタボリックシンドロームに関係しており、この抗肥満薬は生活習慣病やメタボリックシンドローム改善作用を呈する。
【0372】
この抗肥満薬は疾病の原因物質である内臓脂肪を減少させることにより、肝機能、腎機能、心機能障害を改善する。また、皮膚外用剤としてセルライト除去にも利用される。
【0373】
加えて、家畜、ペットの肥満や脂肪蓄積の改善を目的とした獣医用医薬品としても利用できる。
【0374】
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、以下の説明は例であり、形態を変化させて実施することができる。
【0375】
まず、発酵により得られるイソキノリンアルカロイド誘導体について説明する。
【実施例1】
【0376】
浜名湖湖畔で養殖されて成長したウナギ(学名Anguilla japonica)80匹を原料として用いた。成長したウナギを解体場で屠殺後解体し、頭部及び内臓を切断し、採取した。体部は、食用に供し、頭部及び内臓を集めた。
【0377】
集められた頭部及び内臓1.9kgを包丁により裁断し、中山技術研究所製DM−6にて粉砕した。
【0378】
これを清浄な培養用タンクに入れ、水道水3.5Lを添加した。これに無農薬で栽培された静岡県で採取された蓮の実1.9kgを水道水で洗浄後、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥し、中山技術研究所製DM−6にて粉砕した。この粉砕物190gを前記の寸胴に添加した。これに、中国産大豆を水洗後、90分間、39℃に加温して、粉砕し、大豆粉砕物1.5kgを得た。
【0379】
これに、納豆素本舗製の納豆菌19gを添加した。37℃の温度で、攪拌しながら、40時間発酵した。
【0380】
発酵が終了したタンクに、水道水3.9Lを添加した。これを発酵物とした。
【0381】
前記の発酵物に、理研ビタミン製のヤシ油の1kgを添加して3時間攪拌し、混合した。
【0382】
これを静置して上層に分離したヤシ油により分離される油溶性部分を液体として採取した。水分を除去するために、東洋技研製TGD−250LF2に供し、油状物質として、目的とするイソキノリンアルカロイド誘導体を得た。これを実施例1の検体とした。
【0383】
以下に、カプリル酸を共有結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体の調製について記載する。
【実施例2】
【0384】
無農薬で栽培された愛知産の蓮の実1kgを購入し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。この蓮の実1kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して蓮の実の粉砕物とした。
【0385】
清浄な寸胴に蓮の実の粉砕物1kgを入れ、水道水を9L添加した。これに、リョーショクより購入したカプリル酸230gを添加して攪拌した。
【0386】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを10g添加し、32℃に加温して、65回/分の速度で10時間攪拌し、これを加温液とした。
【0387】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1.1kgを添加し、油部分を採取した。
【0388】
この油部分を真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してカプリル酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例2の検体とした。
【0389】
以下に、ラウリル酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体の調製について記載する。
【実施例3】
【0390】
無農薬で栽培された愛知産の蓮の実2kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料の蓮の実とした。
【0391】
この蓮の実2kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して蓮の実の粉砕物とした。
【0392】
清浄な寸胴に蓮の実の粉砕物1kgを入れ、水道水を10L添加した。これに、リョーショクより購入したラウリル酸220gを添加して攪拌した。
【0393】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを10g添加し、30℃に加温して、70回/分の速度で11時間攪拌し、これを加温液とした。
【0394】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0395】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してラウリル酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例3の検体とした。
【0396】
以下に、エイコサペンタエン酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体の調製について記載する。
【実施例4】
【0397】
無農薬で栽培された中国産の蓮の実3kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機により乾燥させた。これを原料の蓮の実とした。この蓮の実2.2kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して蓮の実の粉砕物とした。
【0398】
清浄な寸胴に蓮の実の粉砕物1.9kgを入れ、水道水を19L添加した。これに、日本水産製のエイコサペンタエン酸300gを添加して攪拌した。
【0399】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを19g添加し、29℃に加温して、60回/分の速度で13時間攪拌し、これを加温液とした。
【0400】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、味の素製の大豆油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0401】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してエイコサペンタエン酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例4の検体とした。
【0402】
以下に、ドコサヘキサエン酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体の調製について記載する。
【実施例5】
【0403】
無農薬で栽培された中国産の蓮の実2.9kgを採取し、水道水により十分に洗浄し、乾燥機(西村機械製、GZQ3型)により乾燥させた。これを原料の蓮の実とした。
【0404】
この蓮の実2.5kgを粉砕機(三力製作所製、三力式万能粉砕機)に供し、粉砕して蓮の実の粉砕物とした。
【0405】
清浄な寸胴に蓮の実の粉砕物1.1kgを入れ、水道水を10L添加した。これに、日水製薬製のドコサヘキサエン酸350gを添加して攪拌した。
【0406】
これに、アマノエンザイム社製のリパーゼAY「アマノ」30Gを11g添加し、25℃に加温して、69回/分の速度で12時間攪拌し、これを加温液とした。
【0407】
前記の加温液の入った寸胴を水道水により冷却後、理研ビタミン製のヤシ油1kgを添加し、油部分を採取した。
【0408】
これを真空乾燥機(エーキューエム九州テクノス製、クリーンドライ)により乾燥してドコサヘキサエン酸を結合させたイソキノリンアルカロイド誘導体を油状の液体として得た。また、これを実施例5の検体とした。
【0409】
以下に、イソキノリンアルカロイド誘導体の精製物について説明する。
【実施例6】
【0410】
実施例4で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体300gをエタノール500mLに懸濁し、三菱化学製ダイヤイオンの880gを充填したカラムに供した。これを5%エタノール含有水1000mLで洗浄した。さらに20%エタノール含有水950mLで洗浄後、70%エタノール含有水900mLで溶出し、次いで90%エタノール含有水の分画を採取した。
【0411】
この分画を減圧乾燥機に供してエタノールと水を留去した後、日本エフディ製の凍結乾燥機によりイソキノリンアルカロイド誘導体の油状の精製物30gを得た。これを実施例6の検体とした。
【0412】
以下に、イソキノリンアルカロイド誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
【0413】
上記のように得られた実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6で得られたそれぞれのイソキノリンアルカロイド誘導体を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。
【0414】
その結果、実施例1の検体からは、イソキノリンアルカロイド誘導体としてイソキノリンアルカロイドに、カプリル酸、ラウリル酸、パルミチン酸、14−メチルパルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸が結合したイソキノリンアルカロイド誘導体が同定された。
【0415】
また、実施例2の検体からは、イソキノリンアルカロイドに、カプリル酸が結合したイソキノリンアルカロイド誘導体が同定された。カプリル酸のカルボン酸から最も離れた炭素が共有結合していた。
【0416】
また、実施例3の検体からは、イソキノリンアルカロイドに、ラウリル酸が結合したイソキノリンアルカロイド誘導体が同定された。ラウリル酸のカルボン酸から最も離れた炭素が共有結合していた。
【0417】
また、実施例4及び実施例6の検体からは、イソキノリンアルカロイドに、エイコサペンタエン酸が結合したイソキノリンアルカロイド誘導体が同定された。エイコサペンタエン酸のカルボン酸から最も離れた炭素が共有結合していた。
【0418】
また、実施例5の検体からは、イソキノリンアルカロイドに、ドコサヘキサエン酸が結合したイソキノリンアルカロイド誘導体が同定された。ドコサヘキサエン酸のカルボン酸から最も離れた炭素が共有結合していた。
【0419】
以下に、SCIDマウスとヒト由来脂肪細胞を用いた脂肪減少効果の試験について説明する。
(試験例2)
【0420】
ここで用いたSCIDマウスとは重症複合免疫不全マウスであり、免疫機能が低下していることから、種々のヒト由来細胞や組織が移植可能で、ヒト由来脂肪細胞を体内で増殖及び成育させることができ、この方法は試験例が豊富であり、医薬品の開発及び研究にも利用されている。和光純薬製のヒト由来白色脂肪細胞培養キットを購入し、培養することにより増殖させ、ヒト由来脂肪細胞とした。
【0421】
このSCIDマウスの背部に、前記のように培養したヒト由来脂肪細胞10万個を移植した。餌としてマウス飼育用固形試料を食べさせた。移植の翌日より、実施例1で得られた検体1を0.2%アラビアゴム水に懸濁して14日間、経口投与した。また、水摂取対照群には、0.2%アラビアゴム水のみを投与した。
【0422】
1群の動物数を5匹とし、投薬14日後に、エーテル麻酔下で、腹部動脈より採血し、遠心分離して得られた血清を用いて血中中性脂肪量を和光純薬製キット(アセチルアセトン法)にて測定した。
【0423】
その結果、水摂取対照群の血中中性脂肪値に比し、実施例1のイソキノリンアルカロイド誘導体1mgを経口投与したSCIDマウスの血中中性脂肪値は、平均値として57%となり、検体による血中の中性脂肪値の減少効果が確認された。
【0424】
これらの結果から、実施例1で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体は、中性脂肪を減少させる作用が確認された。
【0425】
また、イソキノリンアルカロイド誘導体1mg投与した動物の背部に移植したヒト由来脂肪組織の重量は、水摂取対照群の値に比し、51%となり、脂肪組織の減少作用が認められた。
【0426】
一方、溶媒のみを投与した動物の背部に移植したヒト由来脂肪組織の重量は、水摂取対照群の値に比し、99%となり、脂肪組織に変化は認められなかった。
【0427】
さらに、イソキノリンアルカロイド誘導体1mg投与した動物の体重は、水摂取対照群の値に比し、80%となり、体重の減少作用も認められた。
【0428】
一方、溶媒のみを投与した動物の体重は、水摂取対照群の値に比し、101%となり、体重に変化は認められなかった。
【0429】
これらの結果から、実施例1で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体には、体重減少、脂肪減少、血糖値減少の効果が認められた。しかし、投薬期間の症状、その他の臓器には肉眼的に異常は認められず、毒性は確認できなかった。
【0430】
以下に、イソキノリンアルカロイド誘導体を含有する食品製剤の製造について記載する。
【実施例7】
【0431】
前記の実施例1で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体100gを食品加工用混合器(ツカサ製、パウミキサー、シングルタイプ)に入れ、株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油20gを添加した。これに、株式会社東洋発酵製の松の葉エキス含有大豆油11gを添加し、攪拌しながらこれを37℃で24時間加温して冷却後、組成物約125gを得た。
【0432】
この組成物120gに、食用セルロース300g、アスコルビン酸1.2g及び食用香料11gを食品加工用ミキサー(ツカサ製、パウミキサー、Wタイプ)に添加し、混合した。これを常法により粉末化し、乾燥後、ブタ由来ゼラチン製ハードカプセルに、1粒280mgとして充填し、食品製剤を得た。これを実施例7の検体とした。以下に、中性脂肪の高い方に対する食品製剤の試験について説明する。
(試験例3)
【0433】
177〜544mg/dLの中性脂肪値を示す男性5名及び女性5名に、実施例7で得られた食品製剤を毎食後に3錠(840mg)ずつ、1日3回、28日間摂取させた。試験実施前及び摂取28日間後の血中中性脂肪値を検査した。
【0434】
その結果、実施例7の食品製剤の摂取は、摂取前に比して中性脂肪値が男性の平均値で29%、女性の平均値で30%となり、いずれも減少させた。また、血糖値も男性の平均値で19%、女性の平均値で18%、摂取前に比していずれも減少が認められた。さらに、体重についても、男性の平均値で14%、女性の平均値で18%、摂取前に比していずれも減少が認められた。
【0435】
なお、食品製剤摂取による体調の変化はなく、血液検査、その他の血液生化学検査、尿検査の検査値にも、いずれも、副作用は認められなかった。
【0436】
これらの結果、実施例7の食品製剤は、中性脂肪の高めの方に対して中性脂肪、血糖値及び体重を減少させた。また、実施例7の食品製剤摂取による副作用は認められず、安全性が確認された。
【実施例8】
【0437】
前記の実施例2で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体100gを化粧品加工用混合器(寿工業製、ポーレコンテナミキサー)に入れ、株式会社東洋発酵製の菊の花エキス含有植物油10gを添加した。これに、株式会社東洋発酵製の松の葉エキス含有大豆油30gを添加し、攪拌しながらこれを37℃で24時間加温して冷却後、組成物約110gを得た。
【0438】
この組成物を前記の混合器に入れ、ミツロウ(アピ製)450g及びスクワラン(日本水産製)1gを添加し、混合して、化粧品製剤としてクリームを得た。これを実施例8の検体とした。同時に、実施例2で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体を除いた基材のみのクリームを調製した。
【0439】
以下に、化粧品の効果及び副作用について評価した試験例を示す。
(試験例6)
【0440】
両足の大腿部にセルライトが認められる28〜60才の健常女性10人に対し、右足大腿部に実施例8で得られたクリーム3gを、毎日、左足大腿部に基材のみからなるクレーム3gを、14日間塗布した。塗布終了後に、油分(モリテックス製、トリプルセンス)及び皮膚弾性力(インテグラル製、衝撃波測定装置、RVM600)を測定した。
【0441】
その結果、イソキノリンアルカロイド誘導体を含有するクリームを塗布した右足の油分は、基材のみを塗布した左足の油分に比して、62%となった。また、右足の皮膚の弾性力は、左足に比して144%となり、弾性力の向上が認められた。
【0442】
さらに、大腿部の観察により、イソキノリンアルカロイド誘導体を含有するクリームを塗布した右足の大腿部ではセルライトが減少しており、大腿部の周囲の長さも左足に比して減少していた。
【0443】
これらの結果は、実施例8の化粧品は中性脂肪を減少させ、セルライトを減少させることが判明した。さらに、この化粧品の塗布による副作用は認められず。安全性が確認された。
【0444】
以下に、イソキノリンアルカロイド誘導体からなる抗肥満薬について述べる。
【実施例9】
【0445】
清浄なステンレス製溶解槽に、前記の実施例6で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体30g、ラノリン130g、マクロゴールド110g、ミツロウ20g、オゾケライト30gを添加し、37℃で1時間溶解した。これを混練機に供し、混合した。これを再度、溶解槽で溶解して、過熱し、脱気装置により脱気させて、目的とする抗肥満薬を軟膏剤として得た。
【0446】
なお、対照として前記の実施例6で得られたイソキノリンアルカロイド誘導体の代わりとしてラノリンを用いた対照となる検体を作製し、対照検体として試験に用いた。
【0447】
以下に、抗肥満薬を用いた試験について説明する。
(試験例4)
【0448】
前記の抗肥満薬を用いた臨床試験を実施した。すなわち、肥満度(BMI、体重(kg)を身長(m)の二乗で除した値)28以上、体脂肪率(タニタ製体脂肪計にて測定)30%以上の女性8名に、前記の実施例9で得られた軟膏剤を腹部に5gを供し、塗布した。塗布は一日一回とし、30日間行った。塗布30日後に、体脂肪率、体重、血中中性脂肪値を測定した。
【0449】
その結果、塗布30日後の平均値は塗布前に比し、肥満度については39%低下し、体脂肪率については45%低下した。また、血中中性脂肪量については29%減少した。これらの結果、実施例9の軟膏剤は、腹部の肥満に対して改善効果を発揮することが確認できた。
【0450】
なお、血糖値にも19%の低下が認められた。一方、自覚症状、血液検査値、その他の血液生化学検査などには、異常は認められず、実施例3の抗肥満薬の安全性が確認された。
【0451】
なお、ラノリンなどの基材のみを用いた軟膏剤では、使用前の値に比して肥満度では101%、体脂肪率では99%、血中中性脂肪については103%であり、変化はいずれも認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0452】
本発明である脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体は、全身及び内臓の脂肪の過剰な蓄積を防止及び改善した副作用の弱い、優れた働きを示し、肥満、内臓脂肪の蓄積、皮下脂肪の蓄積に苦しむ患者、肥満、生活習慣病の患者又はその予備軍のQOLを改善するものである。
【0453】
また、本発明である脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体からなる食品製剤は、メタボリックシンドロームの原因である内臓脂肪や皮下脂肪の蓄積を改善又は予防し、国民生活の質的向上に寄与するものである。
【0454】
さらに、脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体からなる化粧品は、セルライトや脂肪による皮膚の凹凸に対して改善又は予防効果を示し、国民のQOLを向上させるものである。
【0455】
加えて、脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体からなる抗肥満薬によれば、メタボリックシンドロームの原因である肥満に対して脂肪を減少させて肥満を改善又は予防に貢献し、国民生活を向上させる。この抗肥満薬は副作用が少なく、優れた脂肪分解作用を発揮することにより、医療及び医薬品業界の活性化に寄与するものである。
【0456】
蓮の実や食用魚類の頭部や内臓は、廃棄物として処理されている。本発明は、これらの廃棄物を有効に利用する点から廃棄物を減少させ、廃棄物による土壌や海洋の富栄養による環境破壊を予防でき、かつ、漁業や農業資源の有効活用が期待され、さらに、漁業や農業や関連産業の発展に寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪分解作用を有する下記の式(1)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体。
【化1】

Xは、カプリル酸、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、アルファ−リポ酸、ガンマーリノレン酸、ステアリン酸、メチルステアリン酸、ラウリル酸、14−メチルパルミチン酸から選択されるいずれか一つ。
【請求項2】
蓮の実の粉砕物にカプリル酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがカプリル酸である脂肪分解作用を有する下記の式(2)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体。
【化2】

【請求項3】
蓮の実の粉砕物にパルミチン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがパルミチン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(3)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体。
【化3】

【請求項4】
蓮の実の粉砕物にエイコサペンタエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがエイコサペンタエン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(4)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体。
【化4】

【請求項5】
蓮の実の粉砕物にドコサヘキサエン酸及びエステル交換用リパーゼを添加し、加温し、植物油で抽出して得られ、請求項1に記載のイソキノリンアルカロイド誘導体のうちXがドコサヘキサエン酸である脂肪分解作用を有する下記の式(5)で示されるイソキノリンアルカロイド誘導体。
【化5】

【請求項6】
食用魚類、蓮の実及び大豆に納豆菌を添加して発酵させた発酵物を植物油で抽出して得られる請求項1に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体。
【請求項7】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.01〜0.5重量、松の葉エキス含有植物油0.01〜0.5重量を含有する組成物からなる食品製剤。
【請求項8】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体1重量に、菊の花エキス含有植物油0.05〜0.8重量、松の葉エキス含有植物油0.05〜0.8重量を含有する組成物からなる化粧品。
【請求項9】
請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4又は請求項5又は請求項6に記載の脂肪分解作用を有するイソキノリンアルカロイド誘導体からなる抗肥満薬。

【公開番号】特開2008−308446(P2008−308446A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158109(P2007−158109)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(504447198)
【Fターム(参考)】