説明

脂肪含有量が減少した食品を製造する方法

小麦粉及び/又はライ麦粉並びに添加脂肪を含む食品を製造する方法において、上記粉の0.5〜100重量%をワキシ小麦粉に置換することにより、上記ワキシ小麦粉が食品中20〜100重量%の脂肪分と置き換る食品を製造する方法及び脂肪含有量が減少した食品を製造するためのワキシ小麦粉の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートニング及び/若しくは油又は他の脂肪レベルなどが減少した、脂肪含有量が減少した食品を製造する方法に関する。別の態様では、本発明は、脂肪含有量レベルが減少した食品に関する。よりさらなる態様では、本発明は、パフスナック製品及びインスタントヌードルスナックの製造方法に関すると共に、半製品(half product)のベーキング(baking)、フライ、又はマイクロ波調理によって製造されたパフスナック製品及びインスタントヌードルスナックに関する。
【背景技術】
【0002】
ベークド商品(baked goods)は、通常は、小麦粉及び脂肪から製造し、例えば、5〜30%の脂肪(モノグリセリド類及びジグリセリド類を含有するショートニング及び/又は油など)を含有する。脂肪含有量によって、特徴的な柔らかい食味/テクスチャーが得られ、長期間のシェルフライフを得ることができる。
【0003】
ハンバーガーバンズは、通常は、強力粉及び高レベル(5〜15%)のショートニング及び/又は油、並びに高レベルの砂糖から製造される。ハンバーガーバンズ及び他のパンにおける高レベルの脂肪及び砂糖は、栄養的観点からは望ましくない。しかし、消費者は、一般に、栄養のために味を犠牲にすることを望んでいない。
【0004】
ケーキは、通常は、薄力粉及び高レベル(約10〜約30%)のショートニング及び/又は油から製造される。ケーキは、一般に、脂肪及び砂糖含有量が高いため、栄養価は高いと見なされない。
【0005】
パフペストリーは、一般に、等量の強力粉及びショートニング(例えば、バター)から製造される。品質は膨化性(expansion)及び積層性(lamination)によって決定され、これは少なくともいくらかは高脂肪含有量によるものである。栄養的に、このような高脂肪ペストリー製品は望ましくない。
【0006】
米国特許第6,042,867号には、種々の比率のワキシ小麦粉を含有する、パン、ケーキ、又はヌードル及びワキシ小麦から形成されたその他の食品の製造のための粉混合物が記載されている。パンの場合、ワキシ小麦粉の含有量は、0.5〜30%である。さらに、パンは油脂(例えば、13%のショートニングオイル)を含有する。ケーキに関しては、最大90%もの含有量のマーガリン又はバターなどのショートニングと共に、1〜30%のワキシ小麦粉含有量が記載されている。
【0007】
国際特許公開番号WO200149131号には、酸敗臭を抑制する物質を添加することなく安定性を保持したモチ性穀物製品の製造方法が記載されている。食用油脂が食品の膨化に使用されている。
【0008】
脂肪含有量が低く、それと同時に食味及びテクスチャー/外観を保持した食品が必要とされている。
【0009】
ガム、タンパク質とガムとの組み合わせ、及び他の脂肪代替物を含む種々のベークド製品が、低脂肪製品を得るために使用されている。しかし、このような添加物は高価であり、味及びテクスチャーのために高レベルの脂肪を使用する食品には不適切であり、製品の外観を変えてしまう場合がある。
【0010】
驚くべきことに、食品の味、食味、テクスチャー、又は外観を損なうことなく、ワキシ粉製品、例えば、ワキシ小麦粉が、ベークド商品などの食品中の脂肪含有量の一部又は全部と置き換えることができることが本出願人によって見出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は、食品、特にハンバーガーバンズ、ケーキ、及びペストリーなどのベークド商品の、製品の特徴的な食味及びテクスチャーを維持しながら食品、特にハンバーガーバンズ、ケーキ、及びペストリーなどのベークド商品の脂肪含有量を減少させるという問題を解決するための一連の研究を行った。本出願人は、ワキシ小麦粉を使用することにより、ベークド製品の20〜100重量%(30〜80重量%など(30〜40重量%、30〜50重量%、30〜60重量%、及び30〜75重量%が含まれる))の脂肪含有量を置換することができることを見出した。脂肪置換範囲は有意であり、関連する実施の形態に依存して変化し得る。
【0012】
本発明者等は、ワキシ小麦粉から調製した粉混合物から製造したハンバーガーバンズ及びケーキなどの食品が、優れたテクスチャー及び食味を有し、製品の栄養の質が改良されることを見出した。このテクスチャーは、伝統的に、ハンバーガーバンズ及びケーキの脂肪及び砂糖によって付与されていた。しかし、ワキシ小麦粉が、脂肪を含有する従来品に匹敵するか、より良好であるテクスチャーを有する製品を提供することに寄与することが本発明者等によって見出された。ワキシ小麦粉から製造したペストリーの場合、製品は、脂肪を添加しないにもかかわらず、膨化性及び浮き(lift)が改良された。後者については、本発明のクロワッサンは30%未満の脂肪しか含まないが従来品同様の望ましい「フワフワした」テクスチャーを有する。
【0013】
例えば、ハンバーガーバンズなどにおける本発明の他の実施形態は、伝統的に使用されるレベルと比較して製品中の砂糖使用量をも有意に減少させ、それによって「より健康な」より望ましい食品を製造することもできるというさらなる利点を有する。砂糖含有量は、20重量%又はそれ以上(20〜30重量%、25〜35重量%、30〜40重量%、35〜45重量%、及び40〜50重量%など)減少させることができる。
【0014】
低脂肪、より低い脂肪、又は無脂肪で且つ優れた品質及びテクスチャーの栄養価が高いベークドスナック又は食品を製造するために行ったさらなる研究では、本発明者等は、驚くべこきことに、いかなる脂肪も添加することなくワキシ小麦粉を使用してすぐに食されるスナック食品を製造することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の最も広い態様は、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ソルガム粉、グリーンピース粉、タピオカ粉、ダイズ粉、ライ麦粉、及び/又は、ならびに任意の他の粉及び添加脂肪を含む食品を製造する方法において、前記粉の0.5〜100重量%のワキシ(waxy)小麦粉に置換することにより、上記食品中の20〜100重量%の脂肪分と置き換わる食品を製造する方法が含まれる。
【0016】
本発明の食品は、通常、パン、ロール、ピザベース、トルティーヤ、春巻きのペストリー、ハンバーガーバンズなどのバンズ、ケーキ、マフィン、クロワッサン、ブリオッシュ又はチャイニーズバンズなどのペストリー、パイ及びタルトなどのペストリー製品、パフスナック、ならびにヌードル、特にすぐに食せるヌードルスナック、ビスケット、及びウエハースから選択される、製品中の脂肪分がワキシ小麦粉に置換されている食品である。
【0017】
本発明のベークド食品は、ベークド食品中の脂肪成分がワキシ小麦粉に置換されている、パン、ロール、ハンバーガーバンズなどのバンズ、ケーキ、クロワッサン又はブリオッシュなどのペストリー、パイ及びタルトなどのペストリー製品、パフスナック、ならびにすぐに食せるヌードルスナックなどのベーカリー品目であることが好ましい。
【0018】
本明細書で言う押し出し成形半製品は、ベーキング、フライ、又はマイクロ波調理などの食することができる製品にするためのさらなる処理に供する、厚さを薄くした(例えば、0.5〜5mm)押し出し成形製品を意味する。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、
(a)ワキシ小麦粉、又はワキシ小麦粉と小麦粉との混合物を30〜75部(例えば、40〜60部)の水と混合して、それによりドウ又は生地を形成させる工程、
(b)上記ドウ又は生地を約15〜30℃で1分間〜約2時間休ませる工程、ならびに
(c)上記ドウを約0.5〜5mm(1.5〜3mmなど)の厚さにする工程、上記ドウを複数の小片に切断する工程、及び上記ドウを乾燥又は蒸し加熱及び/若しくはマイクロ波調理、蒸し加熱及び/若しくはベーキング、又は蒸し加熱及び/若しくはフライに供する工程、又は
(d)上記ドウ又は生地の薄層を約180℃〜220℃に加熱したプレート上に約80〜140秒間伸ばして、それにより膨らんだウエハースを得る工程、
を含む、食品を製造する方法が提供される。
【0020】
別の態様において、上記方法は、
(a)100部のワキシ小麦粉、又は少なくとも50%のワキシ小麦粉を含むワキシ小麦粉と小麦粉との混合物を30〜75部(40〜60部など)の水と混合して、それによりドウを形成させる工程、
(b)上記ドウを15〜30℃で1分間〜約2時間休ませる工程、ならびに
(c)上記ドウを約0.5〜5mm(1.5〜3mmなど)の厚さにする工程、上記ドウを複数のスナック片へと約1.5〜3mmの厚さに切断する工程、上記スナック片を約2〜3.5分間蒸気と接触させる工程、及び/又は上記スナック片を130〜190℃で約3〜9分間ベーキングして、膨らんだ高光沢のスナック食品を得る工程、又は
(d)上記ドウの薄層を180℃〜220℃に加熱したプレート上に80〜140秒間伸ばして、それにより膨らんだウエハースを得る工程、
を含む、すぐに食することができるスナック食品の製造のためであることが好ましい。
【0021】
本発明はまた、脂肪含有量を低減した食品、特に、ハンバーガーバンズなどのベーカリー製品又はヌードル製品の製造におけるワキシ小麦の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明で、ワキシ小麦粉は、アミロース含有量が5%未満、好ましくは1%又はそれ未満(実質的にゼロなど)の小麦粉をいう。
【0023】
本発明の最も広い態様は、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ソルガム粉、グリーンピース粉、タピオカ粉、ライ麦粉、及び/又は、ならびに任意の他の粉及び添加脂肪を含む食品を製造する方法の提供であり、この方法には、上記粉を0.5〜100重量%のワキシ小麦粉に置換することを含み、上記食品中の20〜100重量%の脂肪分を上記ワキシ小麦粉に置き換える方法が含まれる。
【0024】
ベークド食品は、製品中の脂肪分がワキシ小麦粉に置換されている、パン、ロール、ハンバーガーバンズなどのバンズ、ケーキ、マフィン、ピザベース、クロワッサン又はブリオッシュなどのペストリー、パイ及びタルトなどのペストリー製品、パフスナック、ならびにすぐに食せるヌードルスナックなどのベーカリー品目であることが好ましい。
【0025】
本発明の食品中のワキシ小麦粉の含有量は、最終用途によって変り得る。ワキシ小麦粉含有量は、粉含有量の0.5〜100重量%、より好ましくは0.5〜50重量%(例えば、1〜30重量%(10〜30重量%又は代替的には1〜10重量%の粉含有量など))、又は他の実施の形態では、70〜100重量%(75〜95重量%の粉含有量など)である。
【0026】
本発明によるインスタントヌードルスナック中のワキシ小麦粉含有量は、70〜100重量%(75〜95重量%のワキシ小麦粉含有量など)であり、非ワキシ粉が存在する場合は、強力粉及び/又はワキシメイズ(waxy maize)デンプンであることが好ましい。別の実施の形態では、非ワキシ小麦粉を、マッシュポテト又は他のデンプン材料と置換することができる。
【0027】
パン及びハンバーガーバンズなどのバンズの製造におけるワキシ小麦粉の含有量は、一般に、粉含有量の0.5〜50重量%、より好ましくは1〜10重量%の量であり、残りの粉は、強力粉である。
【0028】
ケーキの製造におけるワキシ小麦粉の含有量は、一般に、粉含有量の0.5〜50重量%(1〜20重量%など)、より好ましくは10〜30重量%の量であり、粉含有量の残りは、薄力粉である。
【0029】
ペストリー中のワキシ小麦粉の含有量は、一般に、粉含有量の約0.5〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%(10〜30重量%など)の量であり、粉含有量の残りは、通常、強力粉である。
【0030】
トルティーヤ及びピザベース中のワキシ小麦粉の含有量は、一般に、粉含有量の0.5〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%の量であり、粉含有量の残りは、通常、強力粉である。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、
(a)ワキシ小麦粉、又は上記ワキシ小麦粉と小麦粉との混合物を約30〜75部(40〜60部など)の水と混合して、それによりドウを形成させる工程、
(b)上記ドウ又は生地を約15〜30℃で約1分間〜約2時間休ませる工程、ならびに
(c)上記ドウを約0.5〜5mm(1.5〜3mmなど)の厚さにする工程、上記ドウを複数の小片に切断する工程、上記ドウを乾燥又は蒸し加熱及び/若しくはマイクロ波調理、蒸し加熱及び/若しくはベーキング、又は蒸し加熱及び/若しくはフライに供する工程、又は
(d)上記ドウ又は生地の薄層を約180〜220℃に加熱したプレート上に約80〜140秒間伸ばして、それにより膨らんだウエハースを得る工程、
を含む、食品を製造する方法が提供される。
【0032】
本発明の好ましい態様は、
(a)100部のワキシ小麦粉、又は少なくとも50%のワキシ小麦粉を含むワキシ小麦粉と小麦粉との混合物を30〜75部(40〜60部など)の水と混合して、それによりドウを形成させる工程、
(b)上記ドウを約15〜30℃で約1分間〜約2時間休ませる工程、ならびに
(c)上記ドウを約0.5〜5mm(1.5〜3mmなど)の厚さにする工程、上記ドウを約1.5〜3mmの厚さの複数のスナック片に切断する工程、上記スナック片を約2〜3.5分間蒸気と接触させる工程、及び/又は上記スナック片を130〜190℃で約3〜9分間ベーキングして、膨らんだ高光沢のスナック食品を得る工程、又は
(d)上記ドウの薄層を約180〜220℃に加熱したプレート上に約80〜140秒間伸ばして、それにより膨らんだウエハースを得る工程、
を含む、すぐに食すことのできるスナック食品を製造する方法が提供される。
【0033】
パフスナックなどのすぐに食すことのできるスナック食品中のワキシ小麦粉の含有量は、一般に、約50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%(75〜95重量%など)の粉含有量の程度であり、残りの「粉」は、強力粉、薄力粉、ライ麦粉、米粉、タピオカ粉、マッシュポテト、若しくは他のデンプン材料、又はそれらの混合物である。
【0034】
上記のように、本発明者等は、驚くべきことに、食品の味、食味、テクスチャー、又は外観を損なうことなく、ワキシ小麦粉をベークド商品などの食品中の脂肪含有量と一部又は完全に置き換えることができることを見出した。本発明者等は、優れた食味及びテクスチャーの栄養価の高い食品が一定の比率の小麦粉をワキシ小麦に置き換えた製品で得られることを見出した。
【0035】
ワキシ小麦粉から製造したインスタントヌードルスナックから、光沢のある表面及び非常にサクサクしたテクスチャーを有する高品質のヌードルが製造されることが見出された。メイズデンプンを混合した通常の小麦粉からは、外観及びサクサク感(crispness)が劣る低品質の製品が製造される。
【0036】
パフスナックの場合、ワキシ小麦粉から製造された製品は、金色の光沢のある表面などの固有の外観、良好な膨化性、及びサクサクしたテクスチャーを有していた。
【0037】
ウエハースの場合、ワキシ小麦粉から製造された製品は、サクサクしており、伸びが増大し、調理時間が短縮された。
【0038】
例えば、30%未満の脂肪を含有し、且つ脂肪の代わりにワキシ小麦粉を使用して製造したクロワッサンの場合、図4で認められ得るように、クロワッサンは優れたテクスチャー及び積層性を示した。これを、図3に示す非ワキシ小麦粉を使用して製造した標準的なクロワッサンと比較すると非常に好ましい結果である。
【0039】
本発明の食品は、少量の食塩若しくは他の香味成分(チキンストック又は他のストックなど)、酵母改良剤(improver)、酵母、砂糖、及び/又はグルテンを含有し得る。他の少量の成分には、湿潤剤、ホエイ粉末、ガム、1%未満のレベルの着色料、人工香料、ベーキングパウダー、及び保存料、並びに粉を含有する食品の製造に用いられる既知の他の成分が含まれ得る。
【0040】
本発明の実施の形態を、以下の非限定的な実施例をあげてここに記載する。以下の実施例中の量は、配合物の粉含有量の重量%で示す。
【実施例1】
【0041】
インスタントヌードルスナック
表1に示した材料を使用して、インスタントヌードルスナックを製造した。
【0042】
【表1】

【0043】
インスタントヌードルスナックの製造工程は以下の通りであった:
1.ドウを混合し、
2.低速で1分間乾式混合し、
3.ドウを低速で1分間混合し、
4.ドウを高速で1分間混合し、
5.ドウを低速で3分間混合し、
6.ドウシートを休ませ(23℃で30分間)、
7.ドウシートを薄く伸ばし(reduce)(3mm−2.2mm−1.5mm)、
8.ステップ7の製品をヌードルカッターで切断し(20番のカッター)、
9.蒸し加熱し(100℃で3分間)、且つ
10.ベーキングする(160℃で3.5分間)。
ワキシ小麦粉により、金色の光沢のある表面及び非常にサクサクしたテクスチャーを有する高品質のインスタントヌードルスナックが製造された。次いで、ヌードルを室温で保存し、1、2、及び4ヶ月後に比較した。パネリストは、それらのテクスチャーに関してヌードルを評価し、2ヶ月後のその結果を表2に示す。コントロールのヌードルが、一般に、ワキシ小麦粉を使用したヌードルよりも硬く且つ乾燥していることが見出された結果となった。2ヶ月後、パネリストは以下のコメントを示した。表2。
【0044】
【表2】

【実施例2】
【0045】
パフスナック
ワキシ小麦粉を70〜100重量%含有し、残りの部分はインスタントマッシュポテトである乾燥混合物を用いてパフスナックを製造した。表3に示した材料をパフスナックの製造に使用した。
【0046】
【表3】

【0047】
パフスナックの製造工程は以下の通りであった:
1.ドウを混合し、
2.形成されたドウシートを休ませ(23℃で30分間)、
3.ドウシートを薄く伸ばし(3mm−2.2mm−1.5mm)、
4.ドウシートを切断し、
5.ステップ4の製品を蒸し加熱し(100℃で3分間)、
6.ステップ5の製品を乾燥させ(23℃で24時間)、且つ
7.ステップ6の製品をベーキングする(180℃で7.5分間)。
製造されたパフスナックは、固有の外観及びサクサクしたテクスチャーを有していた。
【実施例3】
【0048】
マイクロ波調理可能なパフスナック
ワキシ小麦粉を70〜100重量%含有し、残りの部分はインスタントマッシュポテトである乾燥混合物を用いてマイクロ波調理可能なパフスナックを製造した。表4に示した材料をマイクロ波調理可能なパフスナックの製造に使用した。
【0049】
【表4】

【0050】
インスタントヌードルスナックの製造工程は以下の通りであった:
1.ドウを混合し、
2.ドウシートを休ませ(23℃で30分間)、
3.ドウシートを薄く伸ばし(3mm−2.2mm−1.5mm)、
4.切断し、
5.ステップ4の製品を乾燥させ、且つ
6.ステップ5の製品をパフ化(puffing)する(調理レベルでおよそ20秒間)。
マイクロ波でパフ化したスナックは、固有の外観及びサクサクしたテクスチャーを有していた。
【実施例4】
【0051】
ウエハース
ワキシ小麦粉を50〜100重量%含有し、残りの部分は普通の小麦粉である混合物を用いてウエハースを製造した。表5に示した材料をウエハースの製造に使用した。
【0052】
【表5】

【0053】
ウエハースの製造工程は以下の通りであった:
1.全成分を生地と混合し、
2.混合物を1分間静置し、
3.スプーンで生地をホットプレート上にのせ、且つ
4.調理する(20秒毎に返しながら214℃で100秒間)。
表6に示す以下の所見が得られた。
【0054】
【表6】

【実施例5】
【0055】
ハンバーガーバンズ
表7に示した材料を使用して、ハンバーガーバンズを製造した。
【0056】
【表7】

【0057】
ハンバーガーバンズの製造工程は以下の通りであった:
1.低速で2分間、高速で8分間混合し、
2.最終ドウ温度を28〜32℃に上昇させ、
3.中間の寝かせを行なう(proof)(3分間)、
4.成形し(50〜120gを秤量し、6〜12mmのシートにする)、
5.最終の寝かせを行なう(38℃、RH85%、30〜120分)、且つ
6.ベーキング(180〜210℃、10〜20分)。
両ハンバーガーバンズ(コントロール及びワキシ小麦粉)のパンの身の柔らかさ及び弾力性を、テクスチャーアナライザーを使用して分析した。結果を、表8に示す。
【0058】
【表8】

【0059】
官能検査では、両ハンバーガーバンズは非常に類似していた。優れた味、テクスチャー、及び質のバンズに必要な添加脂肪の量は、有意に減少した。
【実施例6】
【0060】
ケーキ
ワキシ小麦粉を0.5〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%含有し、残りの部分は薄力粉である混合物を用いてケーキを製造した。表9に示した材料をケーキの製造に使用した。
【0061】
【表9】

【0062】
マデイラケーキの製造工程は以下の通りであった:
1.全ての粉体成分を混合し、
2.湿った成分を低速で2分間混合し、
3.高速で6分間撹拌してSG1.3〜1.6の均一な生地を得、且つ
4.生地をケーキパンに入れ、160℃で105分間ベーキングする。
次いで、ケーキを3〜4℃及び室温で保存し、以下、1週間、2週間、及び5週間の測定点で比較した。パネリストは、ケーキのテクスチャーに関して評価した。コントロールのケーキが一般にワキシ小麦粉を使用したケーキよりも硬く且つ乾燥していることが見出される結果を示した。2週間後、パネリストは表10に示す以下のコメントを示した。
【0063】
【表10】

【実施例7】
【0064】
ペストリー
ワキシ小麦粉を0.5〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%含有し、残りの部分は強力粉である混合物を用いてペストリーを製造した。表11に示した材料をペストリーの製造に使用した。
【0065】
【表11】

【0066】
ペストリーの製造工程は以下の通りであった:
1.粉、食塩、及び水を混合してマーガリンと同じぐらいの硬さのドウを形成させ、
2.4分間低速、2分間高速で混合し、
3.ドウを20分間休ませ、
4.ドウを押し伸ばし(flatten out)、マーガリンを均一に上部にのせ、
5.ドウの2つ半片を互いに折り畳み、
6.10分間休ませ、
7.ステップ5を繰り返し、
8.5分間休ませ、
9.麺棒で延ばし、
10.四角形に切り、且つ
11.220℃で13分間ベーキングする。
ペストリーの製造過程は、配合と無関係に同一にした。次いで、製品の浮き(lift)及び膨化性に関して評価し、評価の結果を表12に示す。
【0067】
【表12】

【0068】
ワキシ小麦粉を使用したペストリーは、コントロールと比較して良好な浮き(lift)及び膨化性を示し、これらは表12に示す各製品の高さの値において認められる。
【実施例8】
【0069】
クロワッサン
ワキシ小麦粉を1〜30重量%、より好ましくは20〜30重量%を含有させた粉混合物を使用してクロワッサンを製造した。表13に示した材料をクロワッサンの製造に使用した。
【0070】
【表13】

【0071】
クロワッサンの製造工程は以下の通りであった:
1.酵母を牛乳と合わせて溶かし、粉、砂糖、食塩、及び改良剤を使用してドウを形成させ、ドウを成形し、残りの成分を添加する。三つ折りし、冷蔵庫で10〜30分間休ませ、さらに三つ折りし、再度休ませ、さらに三つ折りし、一晩休ませ、
2.所望の形状に成形し、且つ
3.35〜45分間寝かせる。溶き卵を塗り、210℃で18分間ベーキングする。
官能検査の結果は、ワキシ小麦粉を使用したクロワッサンは味及びテクスチャーに関して許容可能であることを示した。ワキシ小麦粉を使用したクロワッサンの内部の状況は、製品の積層性に関してより良好であった。添付の図1に示すように、コントロールのクロワッサンは、隙間や空間のある構造を有し、濃い色の外皮を有していたが、ワキシ小麦粉を使用したクロワッサンは、良好な積層性を有し、外皮がより望ましい茶色であった。
【実施例9】
【0072】
部分的に焼いたピザベース
ワキシ小麦粉を1〜10%、好ましくは5%含有させた粉混合物を使用してピザベースを製造した。表14に示した材料を、ピザベースの製造に使用した。
【0073】
【表14】

【0074】
ピザベースの製造工程は以下の通りであった:
1.全成分を混合し、
2.225〜270gに秤量し、
3.25分間休ませ、
4.所望の形状に押し延ばし、且つ
5.190℃で3分間ベーキングする。
ワキシ小麦粉を使用したピザベースはコントロールと同様の官能的特徴を示し、その鮮度保持性が改良された。
【実施例10】
【0075】
チャイニーズバンズ(マントウ)
ワキシ小麦粉を1〜30重量%、好ましくは10〜30重量%含有させた粉混合物を使用してチャイニーズバンズを製造した。表15に示した材料を、チャイニーズバンズの製造に使用した。
【0076】
【表15】

【0077】
チャイニーズバンズの製造工程は以下の通りであった:
1.砂糖、温水、及び酵母を混合する。泡立つまで10分間静置し、
2.粉及びマーガリンを添加し、柔らかく弾力性を示すまでこね、ドウの1/4を取り出してココヤシ(coco)パウダーと混合してチョコドウ(choco dough)を形成させ、
3.ドウに覆いをして温かい場所で2時間又はドウが2倍のかさになるまで休ませ、この2時間の間に数回こねる。使用前に再度こね、
4.プレーンなドウ及びチョコドウを個別にまとめるか所望のサイズのバンズに形成し、且つ
5.プレーンなドウの中心にチョコドウを入れて小さな塊にし、終了まで、すなわち、弱火で4分間、強火で2分間蒸す。
ワキシ小麦粉を使用して製造したチャイニーズバンズとコントロールとを比較した場合に官能特性に関して有意には異ならなかったが、マーガリンを40%減少させた。
【実施例11】
【0078】
セイボリーケーキ(マレーシア/インドスタイル)を作製するための小麦粉ベースのシート
ワキシ小麦粉を30〜50重量%含有させた粉混合物を使用してシートを製造した。表16に示した材料を、小麦粉ベースのシートの製造に使用した。
【0079】
【表16】

【0080】
シートの製造工程は以下の通りであった:
1.小麦粉及び水を混合してドウを作製し、柔らかく弾力性を示すまでこね、
2.全ての油を添加するまでドウをこねながら油を少しずつ加え、2時間休ませ、且つ
3.ドウを10等分し、薄いシートにする。
ワキシ小麦粉から作製したシートは、非常に伸張性が高く、コントロールほど油っぽくない。
【実施例12】
【0081】
低血糖指数(GI)のアメリカンスタイルマフィン
表17に示した材料を使用して低GIアメリカンスタイルマフィンを製造した。
【0082】
【表17】

【0083】
マフィンの製造工程は以下の通りであった。
1.油を除く全ての成分を低速で1分間混合し、混合容器の側面に張り付いた成分を掻き落とし、
2.中速で3分間混合し、
3.油中に添加し、続いて低速で2分間ブレンドし、
4.110g部(portions)の混合物をペーパーカップで裏打ちしたマフィントレイに配分し、且つ
5.ステップ4の製品を200℃でベーキングする。
【0084】
ワキシ小麦粉を含有するマフィンは、柔らかく且つしっとりした食感を有していた。これらはまた、コントロールと比較して体積が増加し、低GI製品のガイドラインを満たすと同時に、良好な食味を維持していた。
【0085】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、文脈から他を意味すると読むことができない限り、「含む」という語、若しくは「含み」又は「含んで」などの変形形態は、記載の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を排除しないと理解される。
【0086】
本明細書中の任意の先行技術の参考文献は、先行技術がオーストラリアにおける通常の一般知識の一部を形成する知識又はいかなる示唆と捉えられず、且つ捉えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1a】非ワキシ小麦粉から作製したパフスナックの斜視図を示す。
【図2a】ワキシ小麦粉から作製したパフスナックの斜視図を示す。
【図1b】図1aのパフスナックの側面図である。
【図2b】図2aのパフスナックの側面図である。
【図3】非ワキシ小麦粉から作製したクロワッサンの断面図である。
【図4】ワキシ小麦粉から作製したクロワッサンの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、ソルガム粉、グリーンピース粉、タピオカ粉、ダイズ粉、ライ麦粉、及び/又は、ならびに任意の他の粉及び添加脂肪(added fat)を含む食品を製造する方法において、前記粉の0.5〜100(w/w)%をワキシ小麦粉(waxy flour;モチ性小麦粉)に置換することにより、ワキシ小麦粉が20〜100(w/w)%の脂肪分と置き換わる食品を製造する方法。
【請求項2】
食品が、小麦粉及び/又はライ麦粉を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
食品が、パン、ロール、ピザベース、トルティーヤ、春巻きのペストリー、ハンバーガーバンズなどのバンズ、ケーキ、クロワッサン、ブリオッシュ又はチャイニーズバンズ(Chinese buns)などのペストリー、パイ及びタルトなどのペストリー製品、パフスナック、及びヌードル(特にすぐに食せるヌードルスナック)、ビスケット、ならびにウエハースから選択される、製品中の脂肪分がワキシ小麦粉に置換されている食品である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
食品が、食品中の脂肪成分がワキシ小麦粉に置換されている、パン、ロール、ハンバーガーバンズなどのバンズ、ケーキ、クロワッサン又はブリオッシュなどのペストリー、パイ及びタルトなどのペストリー製品、パフスナック、ならびにすぐに食せるヌードルスナックから選択される、製品中の脂肪分がワキシ小麦粉に置換されている食品である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
粉含有量の70〜100%がワキシ小麦粉であるインスタントヌードルスナック食品などのヌードルの製造方法である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
粉含有量の0.5〜50%がワキシ小麦粉である、パン及びハンバーガーバンズなどのバンズの製造方法である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
粉含有量の0.5〜50%がワキシ小麦粉である、ペストリー食品を製造する方法である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
(a)ワキシ小麦粉、又はワキシ小麦粉と小麦粉との混合物を30〜75部の水と混合して、それによりドウを形成させる工程、
(b)前記ドウ又は生地(batter)を15〜30℃で1分間〜2時間休ませる工程、ならびに
(c)前記ドウを0.5〜5mm(1.5〜3mmなど)の厚さにする(reducing)工程、前記ドウを複数の小片に切断する工程、及び前記ドウを押し出し成形又は蒸し加熱(steaming)及び/若しくはマイクロ波調理、蒸し加熱及び/若しくはベーキング(baking)、又は蒸し加熱及び/若しくはフライに供する工程、又は
(d)前記ドウ又は生地の薄層を180℃〜220℃に加熱したプレート上に80〜140秒間伸ばして、それにより膨らんだウエハースを得る工程、
を含む、食品を製造する方法。
【請求項9】
(a)100部のワキシ小麦粉、又は少なくとも50%のワキシ小麦粉を含むワキシ小麦粉と小麦粉とのブレンドを30〜75部の水と混合して、それによりドウを形成させる工程、
(b)前記ドウを15〜30℃で1分間〜約2時間休ませる工程、ならびに
(c)前記ドウを約0.5〜5mm(1.5〜3mmなど)の厚さにする工程、前記ドウを複数のスナック片へと約1.5〜3mmの厚さに切断する工程、前記スナック片を約2〜3.5分間蒸気と接触させる工程、及び/又は前記スナック片を130〜190℃で約3〜9分間ベーキングして、膨らんだ高光沢のスナック食品を得る工程、又は
(d)前記ドウの薄層を180℃〜220℃に加熱したプレート上に80〜140秒間伸ばして、それにより膨らんだウエハースを得る工程、
を含む、すぐに食せるスナック食品を製造するための請求項8に記載の方法。
【請求項10】
製品の脂肪含有量が、前記方法によって作製されていない対応製品と比較して味又は食味テクスチャー(eating quality texture)を損なうことなく減少している、請求項1〜9のいずれかに記載された方法によって得ることができる製品。
【請求項11】
製品がハンバーガーバンズである、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
ハンバーガーバンズの砂糖含有量が、前記方法によって作製されていないハンバーガーバンズと比較して減少している、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
砂糖含有量が50%減少している、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
脂肪含有量が減少した食品の製造におけるワキシ小麦の使用。
【請求項15】
製品がベーカリー製品である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
ベーカリー製品が、パン、ロール、ハンバーガーバンズなどのバンズ、ケーキ、クロワッサン若しくはブリオッシュなどのペストリー、又はパイ及びタルトなどのペストリー製品である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
食品が粉を含み、粉が約0.5〜50重量%のワキシ小麦粉を含む、請求項15又は16のいずれかに記載の使用。
【請求項18】
ワキシ小麦のアミロース含有量が5重量%以下である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
アミロース含有量が1重量%以下である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
製品がハンバーガーバンズである、請求項15〜19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
食品が粉を含むヌードル製品であり、粉が約70〜100重量%のワキシ小麦粉を含む、請求項14に記載の使用。
【請求項22】
ワキシ小麦のアミロース含有量が5重量以下である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
アミロース含有量が1重量%以下である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
バンズの20〜100%の脂肪含有量をワキシ小麦に置き換えた、0.5〜50重量%のワキシ小麦粉を含むハンバーガーバンズ。
【請求項25】
ワキシ小麦の含有量が1〜10重量%の範囲である、請求項24に記載のハンバーガーバンズ。
【請求項26】
非ワキシ小麦から製造したハンバーガーバンズと比較して砂糖含有量が減少している請求項25に記載のハンバーガーバンズ。
【請求項27】
砂糖含有量が最大50%まで減少している請求項26に記載のハンバーガー。
【請求項28】
バンズの20〜100%の脂肪含有量をワキシ小麦と置き換えた、0.5〜50重量%のワキシ小麦粉を含むクロワッサン。
【請求項29】
30%の脂肪が置換されている、請求項28に記載のクロワッサン。
【請求項30】
ワキシ小麦の含有量が20〜30重量%の範囲である、請求項29に記載のクロワッサン。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−528489(P2006−528489A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521341(P2006−521341)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000988
【国際公開番号】WO2005/011406
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504333846)ジョージ ウエストン フーズ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】GEORGE WESTON FOODS LTD
【Fターム(参考)】