説明

脂肪族−芳香族コポリエステルとエチレン−ビニルアセテートコポリマーとのブレンド

本発明では、脂肪族−芳香族コポリエステルとポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマーとのブレンド及びそれから造られる造形品が提供される。これらのブレンドは、単独の脂肪族−芳香族コポリエステルよりも大きい溶融強度を有し、増大した溶融強度と良好な加工性を示す。加えて、当該ブレンド及び造形品は、コンポスト化環境において生崩壊性及び/又は生分解性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族−芳香族コポリエステルとビニルアセテートを含有するポリオレフィンとの生分解性ブレンドに関する。更に詳細には、本発明は、脂肪族−芳香族コポリエステルとポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマーとのブレンド及びそれから造られる造形品に関する。これらのブレンドは、当該コポリエステル単独よりも大きい溶融強度を有し、かつより良好な加工性を示す。
【背景技術】
【0002】
ある種の脂肪族−芳香族コポリエステル、本明細書では「AAPE」とも略するが、これは、生分解性であること、即ち、コンポスト化環境内で破砕及び微生物分解を受けることが知られている。これらのコポリエステルは、残念なことに、ポリエチレンのような他のフィルム樹脂に比して溶融強度が小さいという欠点を有し、これにより通常の加工装置での加工(例えば、インフレートフィルム、キャストフィルム、繊維などを得ること)を困難にしている。例えば、溶融強度が小さいと、結果として、屡、線状破壊を起こし、安定性がなくて、加工装置での処理量も低くなり、そのため、最終ポリマー製品の価格が高くなってしまう。この加工性が欠如していることで、AAPEコポリエステルの応用範囲が制限されているが、これを、低価格となし、大きい溶融強度となすことが、特に望まれている。
【0003】
溶融強度は、特に、低剪断速度では、ポリマーの粘度と関係している。それは、溶融状態での剛性又は「弾性」の測度である。一般に、溶融強度が大きくなると、結果として、フィルムや、例えば異形材、押出ブロー成形ボトル、繊維などのような他の製品における加工の容易性が増大し、造られた製品の機械的特性もより良好となる。溶融強度は、多くの異なる方法で測定可能である。例えば、ポリマーの低い粘度、即ち「ゼロ剪断」粘度が、溶融強度の一つの指標として使われている。代替的な方法は、ポリマーが自重で所定の距離垂れ下る時間を測定することである。この後者のアプローチによれば、溶融強度を測定するためのより直感的な方法が与えられ、また、フィルムの冷却の仕方によって、溶融強度の増大に寄与できるということも、包含されている。更に、第3の方法は、ポリマーのメルトインデックスを決定することであり、このメルトインデックスは、ポリマーの溶融強度と逆の相関関係があることが知られている。
【0004】
ポリエステルとビニルアセテート含有ポリマーとのブレンドは、既に報告されている。例えば、米国特許第3,937,757号明細書には、エチレンビニルアセテートを含む5〜50重量%のポリオレフィンとブレンドしたポリブチレンテレフタレート(PBT)系の成形コンパウンドが記載されている。このPBTには、20%までの変性用の酸又はグリコールが含まれてもよい。当該ブレンドから造られる成形品は、改善された電気抗トラッキング性を有する。米国特許第5,225,490号、同第5,661,193号、同第5,817,721号、同第5,889,135号、同第6,018,004号、同第6,020,039号、及び同第6,303,677号明細書には、生分解性の成形品、接着剤、発泡体、及び塗膜などに有用な生分解性ポリエステルが開示されている。米国特許第5,599,858号、同第5,580,911号、同第5,446,079号、及び同第5,559,171号明細書には、セルロースエステルと生分解性ポリエステルを含有する二成分系及び三成分系ブレンドが開示されている。これらのブレンドは、繊維、フィルム、及び造形品を含む造形品用に有用であると開示されている。
【0005】
AAPE及びそのブレンドのあるものは、屡、不適切な溶融強度を有し、低温での加工が困難である。例えば、セルロースエステルとAAPEのブレンドは、そのセルロースエステルの方がより高温の溶融温度であるため、高温での加工温度を要し、溶融強度で得られる利益を相殺してしまう。更に、溶融強度を改善するために他のポリマーとAAPEをブレンドすることは、屡、高価となり、ポリマーの生分解性を減殺してしまう。よって、溶融強度を増大させるがコンポスト化速度を著しく低下させるブレンド及び添加剤では、少しの利益も得られない。したがって、改善された溶融強度を呈しつつ満足のいく生分解性が得られる低廉なAAPEコポリエステルを開発することが望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々は、脂肪族−芳香族コポリエステルとポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマー(本明細書では、「EVAc」とも略される)とのブレンドが、単独のAAPEに比して、改善された溶融強度及び加工性を有することを見出した。これらのブレンドは、例えば、フィルム、繊維、異形材、及び成形品のような造形品の製造に有用である。よって、本発明によれば、
(A)50〜99重量%の脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル(AAPE)、及び
(B)1〜50重量%のポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマー(EVAc)
を含み、ASTM法D−1238により測定されて、AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する、ポリマーブレンドが提供される。ここで、重量%は、ブレンドの全重量に基づいている。溶融強度に所望の改善を達成するために、本発明のブレンドでは、かなりの量(即ち、5重量%以上)のセルロースエステルを含めることを意図していない。好ましい実施態様では、本発明のブレンドには、セルロースエステルが含まれない。EVAcに加えて、本発明のブレンドには、溶融強度を更に増大させるために分枝剤及び/又は連鎖延長剤が含まれてもよい。本発明のブレンドは、廉価に製造でき、かつ優れた溶融強度、加工性、及び良好な機械的特性を示す。更に、当該ブレンドは、コンポスト化環境内で優れた破砕及び分解を示す。
【0007】
脂肪族及び芳香族残基に加えて、本発明のブレンドには、当該環境内での崩壊性と生分解性を促進させるために、生分解性添加剤が含まれてもよい。よって、本発明のその他の態様は、
(A)ポリマーブレンドの全重量に対して50〜98重量%の、
(a)一種以上の1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレング リコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又は1,4−シクロ ヘキサンジメタノールの残基を含むジオール残基、及び
(b)(i)ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグリ コール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジピン 酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及び
(ii)ジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及びイ ソフタル酸から選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基、
を含むジ酸残基、
を含む脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル、
(B)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%の、EVAcの全重量に対して 4〜30重量%のビニルアセテートの残基を含むEVAc、及び
(C)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜40重量%の生分解性添加剤、
を含むポリマーブレンドであり、当該ブレンドは、ASTM法D−1238によって測定されて、AAPEメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する。生分解性添加剤の具体例には、熱可塑性澱粉、微晶質セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、又はポリビニルアルコールが含まれる。
【0008】
また、本発明によれば、AAPE/EVAcブレンドから造られる、例えばフィルム、繊維加工物、押出加工物及び成形加工物のような造形品が提供される。これらの造形品は、生崩壊性及び/又は生分解性であってよく、使い捨てオムツ、女性の衛生製品、ベッドライナー、包帯、食品及びゴミ袋、農業用堆肥シートなどのような多くの有益な市販製品に用いられてよい。更に、また、本発明によれば、本発明のブレンドの作製方法及びAAPEの溶融強度の改善方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、成形品、繊維、及びフィルムの用途に有益な、本明細書中、「AAPE」又は「AAPE's」として略記される脂肪族−芳香族ポリエステルのブレンドが提供される。当該ブレンドは、AAPE単独に優る増大した溶融強度、より高い処理量、及び低温でのより良好な加工性を有する。一般の実施態様では、本発明によれば、
(A)50〜99重量%の脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル(AAPE)、及び
(B)1〜50重量%のポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマー(EVAc)
を含み、当該AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有するポリマーブレンドが提供される。当該重量%は、前記ブレンドの全重量に基づいている。本発明のブレンドでは、かなりの量(即ち、5重量%以上)のセルロースエステルは含まず、その他の実施態様では、セルロースエステルを全く含まない。本発明のブレンドには、溶融強度を更に改善するため、分枝剤及び/又は連鎖延長剤が含まれてもよい。本発明のブレンドから造られる造形品は、生崩壊性であり、コンポスト化環境下で優れた破砕及び分解を示し、ASTM標準法D6340−98によって定義される生分解性であると考えられている。更に、本発明のブレンドには、当該環境下でのその崩壊性や生分解性を促進させるために、一種以上の生分解性添加剤が含まれてもよい。
【0010】
本明細書で用いる用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含み、一種以上の二官能性カルボン酸と一種以上の二官能性ヒドロキシル化合物との重縮合によって得られる合成ポリマーを意味すると解されている。典型的に、二官能性カルボン酸は、ジカルボン酸であり、そして二官能性ヒドロキシル化合物は、例えば、グリコール及びジオールのような二価アルコールである。本明細書で用いる用語「脂肪族−芳香族ポリエステル」は、脂肪族もしくは脂環式ジカルボン酸又はジオール及び芳香族ジカルボン酸又はジオールからの残基の混合物を含むポリエステルを意味する。本発明のジカルボン酸及びジオールモノマーに関して本明細書で用いる用語「非芳香族」は、当該モノマーのカルボキシル基又はヒドキシル基が芳香族核を経て結合されていないことを意味する。例えば、アジピン酸には、その主鎖に芳香族核が含まれない、つまり、カルボン酸基に結合している炭素原子の主鎖は、かくして「非芳香族」である。逆に、用語「芳香族」は、ジカルボン酸又はジオールが、例えばテレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸のような主鎖に芳香族核が含まれることを意味する。したがって、「非芳香族」には、例えばジオール及びジカルボン酸のような脂肪族及び脂環式構造の両者が含まれることを意味し、それには、主鎖として、直鎖もしくは分枝鎖又は脂環式配置の構成炭素原子が含まれ、この構成炭素原子は、本来、飽和、即ちパラフィン系であっても、不飽和、即ち非芳香族の炭素−炭素二重結合を含有し、あるいはアセチレン系の、即ち炭素−炭素三重結合を含有しているものであってもよい。よって、本発明の明細書及び特許請求の範囲の文脈においては、非芳香族には、直鎖及び分枝鎖構造(本明細書では、「脂肪族」という。)並びに脂環式構造(本明細書では、「alicyclic(脂環式)」又は「cycloaliphatic(脂環式)」という。)が含まれることを意図している。しかしながら、用語「非芳香族」には、当該脂肪族又は脂環式ジオールもしくはジカルボン酸の主鎖に結合している芳香族置換基が含まれることは、意図していない。本発明では、二官能性カルボン酸は、典型的に、例えばアジピン酸のような脂肪族ジカルボン酸であるか、又は例えばテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸である。二官能性ヒドロキシル化合物は、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのような脂環式ジオール、例えば1,4−ブタンジオールのような直鎖もしくは分枝鎖脂肪族ジオール、又は例えばヒドロキノンのような芳香族ジオールであってよい。本明細書で用いる用語「残基」は、相当するモノマーを含む重縮合反応によってポリマー又は可塑剤中に取り込まれた有機構造体を意味する。本明細書で用いる用語「繰返し単位」は、カルボニルオキシ基によって結合したカルボン酸残基及びジオール残基を有する繰返し有機構造体を意味する。よって、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はその会合した酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、又はそれらの混合物から誘導されてよい。従って、本明細書で用いるように、用語ジカルボン酸には、ジオールと重縮合させて高分子量のポリエステルとする工程に有用な、ジカルボン酸及びその会合した酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物又はそれらの混合物を含むジカルボン酸の誘導体が含まれることを意図している。
【0011】
本発明に用いられるAAPEは、典型的に、実質的に等しい割合で反応して、その相当残基としてポリエステルポリマー中に取り込まれるジカルボン酸とジオールとから製造される。したがって、本発明のAAPEには、繰返し単位の全モルが100モル%に等しくなるように、実質的に等しい割合のジ酸残基(100モル%)とジオール残基(100モル%)が含まれる。本発明の開示において与えられるモル%は、それ故、ジ酸残基の全モル、ジオール残基の全モル、又は繰返し単位の全モルに基づいている。例えば、全ジ酸残基に対して、30モル%のアジピン酸を含むポリエステルは、当該ポリエステルが100モル%の全ジ酸残基のうち30モル%のアジピン酸残基を含有していることを意味する。よって、全ての100モルのジ酸残基のうち30モルのアジピン酸残基が存在している。その他の具体例では、全ジオール残基に対して、30モル%の1,6−ヘキサンジオールを含むポリエステルは、当該ポリエステルが100モル%の全ジオール残基のうち30モル%の1,6−ヘキサンジオール残基を含有していることを意味する。よって、全ての100モルのジオール残基のうち30モルの1,6−ヘキサンジオール残基が存在している。
【0012】
本発明のブレンドには、AAPEとポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマー(EVAc)が含まれる。当該AAPEは、2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、2〜8個の炭素原子を有するポリアルキレンエーテルグリコール、及び4〜12個の炭素原子を有する脂環式ジオールから選ばれる一種以上の置換もしくは非置換の、直鎖又は分枝鎖ジオールの残基を含むジオール残基を含む、直鎖又は分枝鎖のランダムコポリエステル及び/又は連鎖延長したコポリエステルであってよい。当該置換ジオールには、典型的に、ハロ、C6〜C10のアリール、及びC1〜C4のアルコキシから独立して選ばれる、1〜4個の置換基が含まれる。使用されてよいジオールの具体例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオ−ジエタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールが含まれるが、これに限定されない。このうち、好ましいジオールには、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又は1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる一種以上のジオールが含まれる。また、AAPEには、ジ酸残基の全モルに対して、35〜99モル%の、2〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸及び5〜10個の炭素原子を有する脂環式酸から選ばれる一種以上の置換もしくは非置換の、直鎖又は分枝鎖の非芳香族ジカルボン酸の残基を含有するジ酸残基も含まれる。当該置換非芳香族ジカルボン酸には、典型的に、ハロ、C6〜C10のアリール、及びC1〜C4のアルコキシから選ばれる1〜4個の置換基が含まれる。非芳香族ジ酸の非限定的具体例には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、及び2,5−ノルボルナンジカルボン酸が含まれる。非芳香族ジカルボン酸に加えて、当該AAPEには、ジ酸残基の全モルに対して、1〜65モル%の、6〜10個の炭素原子を有する一種以上の置換もしくは非置換の芳香族ジカルボン酸の残基が含まれる。置換芳香族ジカルボン酸が使用される場合には、それらには、典型的に、ハロ、C6〜C10のアリール、及びC1〜C4のアルコキシから選ばれる1〜4個の置換基が含まれる。本発明のAAPEに用いられてよい芳香族ジカルボン酸の非限定的具体例は、テレフタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸の塩、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸の塩である。より好ましくは、非芳香族ジカルボン酸にはアジピン酸が含まれ、芳香族ジカルボン酸にはテレフタル酸が含まれ、そしてジオールには1,4−ブタンジオールが含まれる。
【0013】
本発明のAAPEに係る他の好ましい配合物は、100モル%のジ酸成分及び100モル%のジオール成分に対して、以下のモル%で、以下のジオール及びジカルボン酸(又はジエステルのようなそれらのポリエステル形成性等価物)から製造されるものである。
(1)グルタル酸(30〜75%);テレフタル酸(25〜70%);1,4−ブタンジオール(90〜100%;及び変性ジオール(0〜10%)、
(2)コハク酸(30〜95%);テレフタル酸(5〜70%);1,4−ブタンジオール(90〜100%);及び変性ジオール(0〜10%)、及び
(3)アジピン酸(30〜75%);テレフタル酸(25〜70%);1,4−ブタンジオール(90〜100%);及び変性ジオール(0〜10%)。
当該変性ジオールは、好ましくは、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレンングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれる。最も好ましいAAPEは、50〜60モル%のアジピン酸残基、40〜50モル%のテレフタル酸残基、及び少なくとも95モル%の1,4−ブタンジオール残基を含む直鎖、分枝鎖又は連鎖延長されたコポリエステルである。より好ましいものは、アジピン酸残基が55〜60モル%含まれ、テレフタル酸残基が40〜45モル%含まれ、そしてジオール残基に95モル%の1,4−ブタンジオール残基が含まれるものである。かかる配合物は、テネシー州、キングスポートのEastman Chemical 社から、登録商標EASTAR BIOコポリエステルの下に市販されている。
【0014】
好ましいAAPEの付加的な、特別の具体例には、(a)50モル%のグルタル酸残基、50モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基、(b)60モル%のグルタル酸残基、40モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基、又は(c)40モル%のグルタル酸残基、60モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基を含むポリ(テトラメチレングルタレート−co−テレフタレート);(a)85モル%のコハク酸残基、15モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基又は(b)70モル%のコハク酸残基、30モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基を含むポリ(テトラメチレンスクシネート−co−テレフタレート);70モル%のコハク酸残基、30モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%のエチレングリコールの残基を含むポリ(エチレンスクシネート−co−テレフタレート);及び(a)85モル%のアジピン酸残基、15モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基又は(b)55モル%のアジピン酸残基、45モル%のテレフタル酸残基、及び100モル%の1,4−ブタンジオール残基を含むポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)が含まれる。
【0015】
当該AAPEには、10〜1000個の繰返し単位、そして好ましくは、15〜600個の繰返し単位が含まれる。当該AAPEは、100mLの60/40の重量比のフェノール/テトラクロロエタン溶液中0.5g濃度のコポリエステルを用いて、25℃の温度下で測定して、0.4〜2.0dL/g、又はより好ましくは、0.7〜1.6dL/gの内部粘度を有するものであればよい。
【0016】
当該AAPEには、選択的に、分枝剤の残基が含まれていてもよい。この分枝剤に係るモル%範囲は、ジ酸又はジオール残基(当該分枝剤がカルボキシル基又はヒドロキシル基を含有しているか否かに左右される)の全モルに対して、0〜2モル%、好ましくは0.1〜1モル%、そして最も好ましくは0.1〜0.5モル%である。当該分枝剤は、好ましくは、平均分子量50〜5000、より好ましくは92〜3000、及び3〜6の官能価を有する。当該分枝剤は、例えば、3〜6個のヒドロキシ基を有するポリオール、3〜4個のカルボキシル基(又はエステル形成性等価基)を有するポリカルボン酸又は全部で3〜6個のヒドロキシル基及びカルボキシル基を有するヒドロキシ酸のエステル化残基であってよい。加えて、当該AAPE又はEVAcは、反応押出時に過酸化物が添加されることによって分枝されていてもよい。
【0017】
分枝剤として使用されてもよい代表的な低分子量ポリオールには、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ポリエーテルトリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,4、−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、及びジペンタエリスリトールが含まれる。より高分子量のポリオール(Mw400〜3000)分枝剤の具体例には、酸化エチレン及び酸化プロピレンのような2〜3個の炭素原子を有する酸化アルキレンをポリオール開始剤で縮合させることによって誘導されるトリオールがある。分枝剤として使用されてよい代表的なポリカルボン酸には、ヘミメリット酸、トリメリット(1,2,4−ベンゼントリカルボキシル)酸及び無水物、トリメシン(1,3,5−ベンゼントリカルボキシル)酸、ピロメリット酸及び無水物、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1,2,2,−エタンテトラカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、及び1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸が含まれる。当該酸は、その水素形態で用いられてよいが、それらは、好ましくはその低級アルキルエステル又は環状無水物が形成される場合には環状無水物として使用される。代表的なヒドロキシ酸の分枝剤には、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸、粘液酸、トリヒドロキシグルタル酸、4−カルボキシフタル酸無水物、ヒドロキシイソフタル酸、及び4−(βーヒドロキシエチル)フタル酸が含まれるが、これらに限定されない。かかるヒドロキシ酸には、3個以上のヒドキシル基及びカルボキシル基の組み合わせが含まれる。特に好ましい分枝剤には、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及び1,2,4−ブタントリオールが含まれる。
【0018】
また、本発明の脂肪族−芳香族ポリエステルには、その溶融粘度を増大させるための一種以上のイオン含有モノマーが含まれていてもよい。当該イオン含有モノマーは、スルホイソフタル酸及びその誘導体から選ばれることが好ましい。このタイプのモノマーの典型的な具体例には、スルホイソフタル酸ナトリウム又はスルホイソフタル酸ナトリウムのジメチルエステルである。イオン含有モノマーの好ましい濃度範囲は、ジ酸残基の全モルに対して、0.1〜5.0モル%、より好ましくは0.3〜2.0モル%である。
【0019】
本発明の分枝AAPEの一具体例は、100モル%の1,4−ブタンジオール残基、43モル%のテレフタル酸残基、57モル%のアジピン酸残基、及び分枝剤としての0.25モル%のペンタエリスリトールを含有するポリ−(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)である。このAAPEは、ジメチルアジペート、ジメチルテレフタレート、ペンタエリスリトール及び1,4−ブタンジオールのエステル交換及び重縮合によって製造されてよい。当該AAPEは、190℃で1時間、200℃で2時間、210℃で1時間、次いで250℃で1.5時間、チタニウムテトライソプロポキシドとして当初から存在する100ppmのTi存在下の減圧下で、ジ酸、ジオール、及び分枝剤を加熱することによって製造されてもよい。
【0020】
分枝AAPEのその他の具体例は、100モル%の1,4−ブタンジオール残基、43モル%のテレフタル酸残基、57モル%のアジピン酸残基、及び分枝剤としての0.25モル%のピロメリット酸二無水物を含有するポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)である。このAAPEは、押出機を用いて、線状ポリ(テトラメチレンアジペート−co−テレフタレート)とピロメリット酸二無水物との反応押出を経て製造される。
【0021】
また、本発明のブレンドには、AAPEの全重量に対して、0〜5重量%、好ましくは0.3〜3.5重量%、そしてより好ましくは0.5〜2.5重量%の一種以上の連鎖延長剤が含まれてもよい。代表的な連鎖延長剤は、例えば、米国特許第5,817,721号明細書に開示されるもののようなジビニルエーテル、又は例えば、米国特許第6,303,677号明細書に開示されるもののようなジイソシアネートである。代表的なジビニルエーテルは、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,5−ヘキサンジオールジビニルエーテル、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルである。
【0022】
代表的なジイソシアネートは、2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレン−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びメチレンビス(2−イソシアナトシクロヘキサン)である。好ましいジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートである。また、主として、三価以上の官能基をもつイソシアヌレート基及び/又はビウレア基を含有する三官能性イソシアネート化合物を用いること、又は、そのジイソシアヌレート化合物を、一部、トリ−又はポリイソシアネートと置換することも可能である。
【0023】
本発明のAAPEは、典型的な重縮合反応条件を用いて、適当なジカルボン酸、エステル、無水物、又は塩、適当なジオールもしくはジオール混合物、及びいずれかの分枝剤から容易に製造される。それらは、連続、半連続、及びバッチ形態の操作によって製造されてもよく、そして種々な反応タイプが用いられてもよい。好適な反応器のタイプの具体例には、撹拌タンク、連続撹拌タンク、スラリー反応器、管状反応器、塗付フィルム反応器、落下フィルム反応器、又は押出反応器が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で用いる用語「連続」は、反応体の装入と生成物の取出しが中断なく同時に行われる操作を意味する。「連続」とは、「バッチ」法に比して、その操作が実質的又は完結的に連続操作であることを意味する。「連続」は、例えば、開始、反応器の保全、又は計画的な操業停止時間に起因する操作の連続性における通常の中断を決して許容しないこと、を意味しない。本明細書で用いる用語「バッチ」法は、全ての反応体が反応器に添加され、次いで反応の所定コースに従って処理され、その際、何らの材料も反応器に供給されず、また取り出されない操作を意味する。用語「半連続」は、反応体の一部が処理の始めに装填され、残余の反応体が反応の進行につれて連続的に供給される操作を意味する。また、これに代わって、半連続法には、一種以上の生成物が反応の進行につれて連続的に取り出されることを除いて、全ての反応体が処理の始めに添加されるバッチ工程に類似する操作が含まれてもよい。当該方法は、仮にポリエステルがあまりに長時間、高温下で反応器内に止まらざるを得ない場合には、外観が悪化することがあるので、経済的理由のため及びポリマーに優れた着色を行うための連続処理として好都合に操作される。
【0024】
本発明のポリエステルは、当業者に公知な、例えば、米国特許第2,012,267号明細書に記載される方法によって製造される。かかる反応は、通常、例えば、アルコキシチタン化合物、アルカリ金属の水酸化物及びアルコラート、有機カルボン酸塩、アルキル錫化合物、金属酸化物などのような重縮合触媒の存在下に、150℃〜300℃の温度で実施される。当該触媒は、典型的に、反応体の全重量に対して、10〜1000ppmの量で使用される。
【0025】
当該ジオールとジカルボン酸との反応は、慣用のポリエステル重合条件を用いて行われてよい。例えば、エステル交換反応手段によって、即ちジカルボン酸成分のエステル形態からポリエステルが製造されるときには、その反応工程には、二段階工程が含まれてよい。第1段工程では、ジオール成分と例えばジメチルテレフタレートのようなジカルボン酸成分とが、典型的に150℃〜250℃の高温下で、0.5〜8時間、0.0kPaゲージ〜414kPaゲージ(60ポンド/平方インチ、「psig」)の圧力下で反応される。好ましくは、そのエステル交換反応の温度は、180℃〜230℃、1〜4時間の範囲であり、他方、好ましい圧力は、103kPaゲージ(15psig)〜276kPaゲージ(40psig)の範囲である。その後、反応生成物は、より高温下かつ減圧下で加熱されて、ジオールが除去されたポリエステルとなるが、そのジオールは、これらの条件下で容易に蒸発されて、系から取り除かれる。この第2段工程、即ち重縮合工程は、続いて、より減圧下で、一般には230℃〜350℃、好ましくは250℃〜310℃、そして最も好ましくは260℃〜290℃の温度下で、0.1〜6時間、又は好ましくは0.2〜2時間、内部粘度で測定されて、所望の重合度を有するポリマーが得られるまで続行される。この重縮合工程は、53kPa(400トール)〜0.013kPa(0.1トール)の範囲の減圧下で行われてもよい。撹拌又は適当な条件が、両段階で用いられて、好適な熱交換及び反応混合物の表面更新が確保される。この両段階での反応速度は、例えば、四塩化チタン、二酢酸マンガン、酸化アンチモン、ジブチル錫二酢酸塩、塩化亜鉛、又はこれらの組み合わせのような適当な触媒によって増大する。また、特に、酸とエステルの混合モノマー供給が用いられるときには、米国特許第5,290,631号明細書に記載されるものと類似した、三段階製造手段が使用されてもよい。例えば、30モル%のテレフタル酸残基を含有する典型的な脂肪族−芳香族コポリエステル、ポリ(テトラメチレングルタレート−co−テレフタレート)は、チタンテトライソプロポキシドとして当初存在する100ppmのTiの存在下に、先ず、200℃で1時間、次いで245℃で0.9時間、減圧下で、ジメチルグルタレート、ジメチルテレフタレート、及び1,4−ブタンジオールを加熱することによって製造してもよい。
【0026】
エステル交換反応によるジオール成分とジカルボン酸成分との反応を、完了するまで行わせることを確保するため、1モルのジカルボン酸成分に対して1.05〜2.5モルのジオール成分を使用することが望ましいことが、時にある。しかしながら、当業者であれば、ジカルボン酸成分に対するジオール成分の割合は、一般に、反応工程が起こる反応器の設計によって定まることが理解されよう。
【0027】
直接エステル化による、即ちジカルボン酸成分の酸形態からのポリエステルの製造では、ポリエステルは、ジカルボン酸又はジカルボン酸の混合物をジオール成分又はジオール成分の混合物及び分枝状モノマー成分と反応させることによって製造される。この反応は、7kPa(1psig)〜1379kPa(200psig)、好ましくは689kPa(100psig)未満の圧力下で行なって、1.4〜10の平均重合度を有する低分子量のポリエステル生成物が得られる。直接エステル化反応時に使用される温度は、典型的に180℃〜280℃、より好ましくは220℃〜270℃である。この低分子量ポリマーは、次いで、重縮合反応によって重合されてよい。
【0028】
また、本発明のブレンドには、1〜50重量%のポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマー、本明細書では略して「EVAc」という、が含まれる。当該ブレンドに存在する他のEVAc量の代表例には、1〜30重量%、1〜20重量%、及び1〜10重量%がある。EVAcのビニルアセテート(「VA」)成分は、意図するブレンドの使用によって、純粋なポリビニルアセテート(100重量%のVA)から純粋なポリエチレン(0重量%のVA)まで含む配合物の範囲から選定される。典型的に、50重量%未満のVAは、良好な生分解性を維持しながら良好な溶融強度を得るのに好ましい。EVAcにおける典型的なVAの範囲は、4〜50重量%、4〜40重量%、及び4〜30重量%である。種々な範囲のVA含量及びメルトインデックス値を有するEVAc樹脂は、例えば、DuPont 社から、商標ELVAX(登録商標)及びBYNEL(登録商標)の下に市販されている。
【0029】
EVAc樹脂は、広範囲の粘度(メルトインデックスで示され、本明細書では「MI」と略される)まで製造されている。典型的に、当該MIは、190℃、2.16kgで、0.1〜100g/10分の範囲であり、ASTM法D−1238を用いて測定されてよい。EVAcに係るMIの選定は、良好な混合を確保し、かつAAPEのMIを超えるブレンドのMIにおける増加によって示される溶融強度を改善するために、AAPEのMIによって指示される。当該EVAcは、ブレンドの溶融強度に関し最適効果を有するための本加工温度でのAAPEのMIより小さいMIを有することが必要である。用語「加工温度」は、本発明のブレンドが、例えば、繊維、発泡体、インフレートフィルム、カレンダーフィルム、成形品、押出製品などのような造形品に製造され、又は加工される温度を意味すると解される。EVAcのメルトインデックスは、好ましくは190℃、2.16kgで、0.1〜30g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分、そして最も好ましくは0.1〜15g/10分である。例えば、当該EVAcは、ビニルアセテート残基の全重量に対して、4〜40重量%が含まれ、そしてこれは190℃、2.16kgで、0.1〜30g/10分のメルトインデックスを有する。
【0030】
また、少ない量の他のコモノマーが、当該EVAcに含まれてもよい。例えば、ビニルアルコールコポリマーは、EVAcを部分的にあるいは完全に鹸化することによって製造することができる。殆ど純粋なポリ(ビニルアルコール)からなるポリマーは、コンポスト化が可能であることが既知であり、従って、それらがブレンド中に存在することは、いかなる量であっても好都合である。また、塩化ビニル、エチルアクリレート、メタクリレート、マレイン酸又は無水物、アクリル酸エステル、1−ブテンなどのような他のコモノマーも、含むことが可能である。典型的に、それらの配合量は、良好な生分解性を維持するために少ない(例えば、5重量%未満)こととなるが、より多くの量も、生分解性の添加剤及び促進剤を添加することによって補償されてよい。更にまた、一酸化炭素及びビニルケトンのような光分解性のコモノマーも、破砕を促進することが当該分野で知られており、それらが本明細書に記載されるブレンドに含まれてもよい。
【0031】
本発明のブレンドには、コンポスト化環境における崩壊と生分解性を促進させるために生分解性添加剤が含まれてもよい。よって、本発明のその他の態様は、
(A)ポリマーブレンドの全重量に対して50〜98重量%の、
(a)一種以上の1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレング リコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又は1,4−シクロ ヘキサンジメタノールの残基を含むジオール残基、及び
(b)(i)ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグリ コール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジピン 酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及び
(ii)ジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及びイ ソフタル酸から選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基、
を含むジ酸残基、
を含む脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル、
(B)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%の、EVAcの全重量に対して 4〜30重量%のビニルアセテートの残基を含むEVAc、及び
(C)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜40重量%の生分解性添加剤、
を含むポリマーブレンドであり、当該ブレンドは、ASTM法D−1238によって測定されて、AAPEメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する。
【0032】
前記したように、本発明のブレンドには、かなりの量のセルロースエステルは含まれず、そして、一実施態様では、セルロースエステルは全く含まれない。ジオール残基とジ酸残基を含むAAPE、及び当該ブレンドのEVAc成分は、前述したとおりである。また、当該ブレンドには、前記したような分枝剤及び連鎖延長剤が含まれてもよい。
【0033】
当該AAPEには、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる一種以上のジオールの残基が含まれる。加えて、当該AAPEには、好ましくは、ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグリコール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジピン酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及びジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基が含まれる。より好ましくは、当該AAPEには、1,4−ブタンジオール、アジピン酸、及びテレフタル酸の各残基が含まれる。最も好ましくは、当該AAPEには、100モル%の1,4−ブタンジオールの残基、40〜50モル%のテレフタル酸の残基、及び50〜60モル%のアジピン酸の残基が含まれる。
【0034】
当該ブレンドには、ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%の、EVAcの全重量当り4〜30重量%のビニルアセテートを含むエチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVAc)が含まれてよい。このEVAc中に存在してもよいVAの他の代表的範囲は、4〜50重量%及び4〜40重量%である。VAに加えて、当該EVAcには、例えば、ビニルアルコール、塩化ビニル、マレイン酸無水物、エチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸エステル、1−ブテンなどのような前述した少量(即ち、0.1〜10重量%)の付加的なコモノマーが含まれてもよい。
【0035】
当該EVAcは、当該ブレンドのメルト強度に最適な効果をもたらすために、加工温度で、AAPEのMIよりも小さいMIを有していなければならない。当該EVAcのメルトインデックスは、ASTM法D−1238により測定して、好ましくは190℃、2.16kgで、0.1〜30g/10分、より好ましくは190℃、2.16kgで、0.1〜20g/10分、そして最も好ましくは190℃、2.16kgで、0.1〜15g/10分の範囲である。例えば、当該EVAcには、ビニルアセテート残基の全重量に体押して4〜40重量%が含まれ、そしてこれは190℃、2.16kgで、0.1〜30g/10分のメルトインデックスを有する。
【0036】
当該ブレンドには、1〜40重量%の生分解性添加剤が含まれてよい。他の生分解性添加剤の量についての具体例は、5〜30重量%及び15〜30重量%である。かかる添加剤の一つの効果は、ブレンドの生分解性を増大させ、高濃度EVAcに起因する生分解性の低下を補償することである。本発明のAAPE、ブレンド、造形品、及び添加剤に関して本明細書中で使用する用語「生分解性の」は、そのAAPE、ブレンド、添加剤、及び造形品が、例えば「水性又はコンポスト環境下における標識プラスチック材料の好気性生分解を測定するための標準試験法」と題するASTM標準法のD6340−98によって定義される適宜で実証可能な一定期間において、例えばコンポスト化環境のような環境の影響下で分解することを意味する、と解されている。また、本発明のAAPE、ブレンド、造形品、及び添加剤は、これらの材料が、例えばDIN標準54900により定義されるようなコンポスト化環境で容易に破砕されることを意味する「生崩壊性」であってもよい。例えば、生分解性のAAPEは、当該環境では、熱、水、空気、微生物や他の要因によって、当初は分子量が低下する。この分子量の低下によって、結果として物性(皮膜強度)の喪失が起こり、そして屡、皮膜破損に至る。一度、AAPEの分子量が十分に低下すると、そのモノマー及びオリゴマーは、その後、微生物によって消化されてしまう。好気性環境下では、これらのモノマー又はオリゴマーは、究極的に酸化されて、CO2、H2O、及び新しい細胞バイオマスとなる。嫌気性環境下では、当該モノマー又はオリゴマーは、究極的に酸化されて、CO2、H2、酢酸塩、メタン、及び細胞バイオマスとなる。成功裡に生分解性させるには、直接の物理的接触が、生分解性の材料と活性微生物個体群又はその活性微生物個体により作られる酵素との間に達成されねばならない。本発明のフィルム及びブレンドを分解させるのに有用な活性微生物個体群は、一般に、市営の又は工業廃水処理施設あるいはコンポスト化施設から得ることができる。更にまた、成功裡に生分解させるには、好適なpH、温度、酸素濃度、適当な養分、及び湿気量のような、ある種の最小限の物理的、化学的要件と遭遇することが必要である。本明細書に記載されるもののようなAAPEは、一般に、当業者に生分解性であると看做されており、本発明のブレンドも、また、生分解性であると考えられている。
【0037】
コンポスト化は、固体有機廃棄物の微生物分解と土壌への還元として定義できる。コンポスト堆積物の重要な特性の一つは、それらが自己加熱性であって、熱が、有機物の代謝分解の自然副産物であることである。堆積物の大きさ、又はその断熱能力に左右されるが、当該熱が取り込まれて、内部温度の上昇が起こる。コンポスト堆積物内での効率のよい分解は、自然発生的に起こる微生物個体群の前進的分化と継続に任される。当該コンポストの微生物個体群は、当初、中等温度好性の種(最適な生長温度は20℃〜45℃)が優位を占める。
【0038】
その進行は、自生種の中等温度好性のミクロフローラの増殖と有機質の代謝から始まる。この結果、大量の代謝熱が発生し、それが内部堆積温度を約55〜65℃まで上昇させる。その温度が高くなるほど、一方で、高温度好性種の成長を容易にする(最適の生長範囲は45〜60℃))選定圧として働き、他方で、中等温度好性種を抑制するのに働く。
【0039】
当該温度分布は、自然界では、屡、循環し、中等温度好性の個体群と高温度好性の個体群とを交代させるが、市営のコンポスト施設では、最適の分解速度を得るために、それらの稼動温度を55〜60℃の温度間にコントロールするように試みる。また、市営のコンポスト設備では、典型的に、好気性処理であり、それによって加速された生分解速度を許容する微生物の代謝要求に十分な酸素を供給する。
【0040】
本発明のブレンドに含まれてよい代表的な具体例には、微晶質セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリビニルアルコール、熱可塑性澱粉又は他の炭水化物、又はそれらの組み合わせが含まれる。生分解性添加剤は熱可塑性澱粉であることが、好ましい。熱可塑性澱粉は、組織を破壊した結晶構造を付与するため押出煮沸によってゲル化した澱粉である。ここで使用する熱可塑性澱粉には、例えば、Bastioli. D 著の「Degraddable Polymers(分解性ポリマー)」、1995年、Chapman & Hall、ロンドン、112〜137頁に記載されるような、「分解性澱粉」並びに「ゲル化澱粉」が含まれることを意図している。ゲル化とは、当該澱粉顆粒が、十分に膨張して、水中で滑らかな粘調分散体を形成するように分断されていることを意味する。ゲル化は、水又は60℃の温度の水溶液の存在下で加熱するような、いかなる周知の方法によっても達成される。強アルカリを存在させると、この処理が容易となることが知られている。この熱可塑性澱粉は、トウモロコシ、小麦、米、ポテト、及びタピオカのような穀物又は根菜作物由来の未変性澱粉から、澱粉のアミロース及びアミロペクチン成分から、部分分解澱粉及び誘導澱粉のような変性澱粉から、そしてまた、澱粉のグラフトコポリマーから製造されてもよい。熱可塑性澱粉は、National Starch 社から市販されている。
【0041】
本発明のブレンドには、選択的に当該分野で慣用の種々な添加剤及び/又は加工助剤が含まれてもよい。例えば、当該ブレンドには、本発明組成物の全重量に対して、0〜50重量%の、滑剤、粘着防止剤、可塑剤、熱安定化剤、酸化防止剤、プロオキシダント、酸スカベンジャー、紫外線安定化剤、光破壊促進剤、帯電防止剤、顔料、色素、及び着色剤から選ばれる一種以上の添加剤を含めることができる。好ましくは、当該ブレンドには、0〜30重量部の、ブレンドの表面特性を変え、流動性を高め、あるいは処理装置へのブレンドの付着を防止するための加工助剤が含まれる。加工助剤の代表的な具体例は、炭酸カルシウム、タルク、粘土、雲母、ウォラストナイト、カオリン、珪藻土、TiO2、NH4Cl、シリカ、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、及びリン酸カルシウムである。更に、本発明のブレンド内部における加工助剤の量の具体例は、5〜25重量%及び10〜20重量%である。また、当該加工助剤は、生分解促進剤であること、つまり、当該加工助剤が、コンポスト環境内で生分解性の速度を増大させ、促進させること、が好ましい。また、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウムなどのような、コンポスト環境のpHを変えるように機能する加工助剤は、その生分解工程を加速させることがある。本発明では、その好ましい加工助剤は、炭酸カルシウムである。
【0042】
典型的な可塑剤には、ジオクチルアジペート、ホスフェート、及びジエチルフタレートが含まれる。着色剤は、モノマー、オリゴマー、及びポリマーであってよい。好ましいポリマー着色剤は、着色発生モノマー、即ち色素が共役的にポリマー中に取り込まれた脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族コポリエステル、又は芳香族ポリエステルである。かかる代表的なポリマー着色剤は、Weaver 等の米国特許第4,892,922号、同第4,892,923号、同第4,882,412号、同第4,845,188号、同第4,826,903号及び同第4,749,773号明細書に記載されている。
【0043】
ブレンドを形成させる各成分の物理的混合は、適当な溶剤、例えば、アセトン、THF、CH2Cl2/MeOH、CHCl3、ジオキサン、DMF、DMSO、AcOMe、AcOEt、及びピリジン中で各成分を混合するような、多くの方法で達成することができる。好ましくは、ブレンド成分は、熱混合によって混合される。その最も好ましい方法は、バッチミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ロールミル、トルクレオメーター、一軸スクリュー押出機、又は二軸スクリュウ押出機のような高剪断条件下の装置内で熱混合することである。本明細書で使用する、用語「高剪断」とは、50秒-1以上の剪断速度を意味する。良好な混合は、ブレンドの団結性を達成することを助けるため望ましく、これは、二軸スクリュウ押出機で起こるような高剪断流でかつ顕著な伸張流を有するミキサーで容易に達成される。この高い伸び応力によって、粘度差があっても粒子を破壊するのに役立ち、良好な均一混合が確保される。例えば、一軸スクリュー押出機のような、主として剪断流に依存するミキサーの場合には、マトリクス相に対する分配相の粘度比(即ち、メルトインデックス比の逆数)は、3〜4未満であることが望ましい。
【0044】
熱混合によって得られるブレンドは、例えば、押出し、吹込み成形、射出成形、カレンダー掛けなどのような当業者に公知の方法によって造形品に変えることができる。よって、本発明では、また、前述したようなブレンドを含む造形品も提供される。当該造形品には、フィルム、繊維加工物、押出加工物、又は成形加工物が含まれ、そしてDIN標準54900により規定される生崩壊性、及び/又はASTM標準法、D6340−98により規定される生分解性であってもよい。当該ブレンド成分は、例えば、タンブラー内で一緒に混合され、次いで、溶融混合のため押出機のホッパーに装填される。これに代わって、当該ブレンド成分は、それらの所望の重量比でペレットを秤量する種々な供給装置によって押出機のホッパーに添加されてもよい。押出機を出るときに、均一なブレンドは、フィルム、異形材、繊維、又は成形加工物にされてよい。本発明のブレンドから造られるフィルムは、いかなる方法にも限定されない。例えば、当該フィルムは、平滑なシート又はチューブとされ、そしてまた、例えば、原寸の2〜6倍まで、いずれの方向に延伸されてもよい。これに代えて、当該ポリマーは、押出又は射出成形を経て、例えば、ボトル、異形材、繊維、チューブなどのような他の製品に造形されてもよい。
【0045】
本発明の一つの実施態様では、当該造形品は、キャストされ、インフレートされ、カレンダー掛けされ、あるいは押出されたフィルムである。このようにして造られたフィルムは、良好な引張特性を有し、AAPE、EVAc、及び他の成分の種類と量によっては、極めて柔軟である。また、当該フィルムには、相当な量の着色剤(例えば、顔料又は色素)が含まれてもよい。
【0046】
更に、本発明の造形品の具体例には、成形部品、押出加工物、繊維、非織成物、及び発泡加工物があり、これらは生分解性であるという利点がある。フィルム及び繊維は、延伸することが可能である。これらブレンド(特に、1,4−ブタンジオールを含有するもの)の多くにおける延伸は、改善された物性によって達成される。これらのフィルムは、一軸又は二軸方向に延伸でき、インフレート法で延伸されてもよい。
【0047】
本発明の造形品には、薄いフィルムが望ましい包装用途に有用なフィルムが含まれる。特に有用な製品は、バリア及び/又は生分解性として機能する薄いフィルムである。例えば、当該造形品は、幼児用オムツ、失禁用ブリーフ、衛生ナプキン、性病予防器具、タンポン、ベッドライナー、差込便器ライナー、包帯などのような使い捨て吸収製品に用いられるバッグ又は保護バリアフィルムであってよい。また、当該造形品は、例えば、オムツの構成に必要な、タブ、不織布、繊維、テープ、及び他の部材のような保護バリアフィルムとして使われることに加えて、使い捨てオムツの他の部材の内部で機能を果たしてもよい。
【0048】
本発明のブレンドから造られるフィルムは、望ましい湿気バリア性を有する。当該ブレンドを用いて、そのブレンドの組成を変えることによって、その的確な透過速度を調整することができる。また、その水蒸気透過速度は、当該脂肪族−芳香族コポリエステルに存在する芳香族ジカルボン酸モノマーの含有量によっても調整することが可能である。勿論、当該ブレンドの水蒸気透過速度は、不溶性の疎水剤を添加することによって、付加的に調整することもできる。
【0049】
造形品の他の具体例は、成形したプラスチック部品、又は固体としての発泡プラスチック物である。かかる部品の具体例には、眼鏡フレーム、歯ブラシの柄、玩具、自動車装備品、道具の柄、カメラパーツ、カミソリパーツ、インクペン軸、使い捨て注射器、ボトルなどが含まれる。本発明のプラスチック部品、特にプラスチック部材の表面積を増大させるように発泡法で造られたものは、特に、そのプラスチック部品が環境的に永続しないことが望まれる用途に有用である。
【0050】
また、本発明の造形品には、例えば、ヤーン、織物、メルトブローンウェブ、不織布(spunbonded web)、不織布(nonwoven fabric)、又はそれらの組み合わせのような繊維加工物も含まれる。この繊維加工物には、1層以上の繊維層も含まれる。繊維加工物の代表的な具体例には、ハンカチ、ガーゼ、ティッシュ、オムツ、繊維含有クリーニング製品、積層バインダー、衛生ナプキン、パンティーライナー、タンポン、トレーニングパンツ、失禁用製品、包帯、手術用品、又は例えば、使い捨てオムツのような衛生製品に見られる一種以上のこれら物体の組み合わせが含まれるが、これに限定されない。繊維加工物の他の限定されない具体例には、タバコフィルター、オムツのトップシート、衛生ナプキン、釣り糸、釣り用ネット、手術衣の作製用繊維、衛生製品、吸収繊維、液体運搬用繊維などが含まれる。適当な溶剤から紡糸されることに加えて、本発明のブレンドは、溶融防止されて繊維にされてもよい。当該繊維は、紡糸後に繊維を引張ることによって、あるいは防止時に延伸すること(キャビネット延伸)によって延伸され、捲縮されてもよい。また、繊維は、疎水剤を含有するか、あるいは選択的に、疎水性剤で被覆されてもよい。
【0051】
前記したブレンド及び造形品に加えて、本発明では、また、高剪断速度で、
(A)ポリマーブレンドの全重量に対して50〜98重量%の、
(a)一種以上の1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレング リコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又は1,4−シクロ ヘキサンジメタノールの残基を含むジオール残基、及び
(b)(i)ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグリ コール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジピン 酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及び
(ii)ジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及びイ ソフタル酸から選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基、
を含むジ酸残基、
を含む脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル、
(B)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%の、EVAcの全重量に対して 4〜30重量%のビニルアセテートの残基を含むEVAc、及び
(C)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜40重量%の生分解性添加剤、
を混合することを含んでなるポリマーブレンド(当該ポリマーブレンドは、ASTM標準D−1238によって測定されて、前記AAPEメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する)の製造方法が提供される。
【0052】
更に、本発明では、高剪断速度で、
(A)50〜99重量%の脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル(AAPE)、及び
(B)1〜50重量%の、加工温度でAAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有するEVAc
を混合すること(ここで、当該混合物は、ASTM標準D−1238により測定されて、AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する)を含んでなるAAPEのメルト強度を増大させる方法が提供される。当該重量%は、ブレンドの全重量に基づいている。当該ブレンドの、ジオール残基とジ酸残基とを含むAAPE及びEVAcの各成分は、前述したとおりである。また、当該ブレンドには、前記したように、分枝剤及び連鎖延長剤が含まれていてもよい。
【0053】
当該AAPEには、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる一種以上のジオールの残基が含まれる。加えて、当該AAPEには、好ましくは、ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグリコール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジピン酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及びジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基が含まれる。より好ましくは、当該AAPEには、1,4−ブタンジオールのジオール残基、アジピン酸の非芳香族ジカルボン酸残基、及びテレフタル酸の芳香族ジカルボン酸残基が含まれる。最も好ましくは、当該AAPEには、100モル%の1,4−ブタンジオールの残基、40〜50モル%のテレフタル酸の残基、及び50〜60モル%のアジピン酸の残基が含まれる。
【0054】
当該ブレンドには、ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%の、EVAcの全重量に対して4〜30重量%のビニルアセテートを含むエチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVAc)が含まれてよい。当該EVAcにおけるVA量の他の具体例は、4〜50重量%及び4〜40重量%である。VAに加えて、当該EVAcには、例えば、ビニルアルコール、塩化ビニル、エチルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸エステル、1−ブテン等のような前述した少量(即ち、0.1〜10重量%)の付加コモノマーが含まれてもよい。
【0055】
当該EVAcは、当該ブレンドのメルト強度に最適な効果をもたらすため、本発明の加工温度で、AAPEのMIより小さいMIを有する。当該EVAcのメルトインデックスは、ASTM法D−1238により測定されて、好ましくは190℃、2.16kgで0.1〜30g/10分、より好ましくは190℃、2.16kgで0.1〜25g/10分、そして最も好ましくは190℃、2.16kgで0.1〜15g/10分である。例えば、当該EVAcには、ビニルアセテート残基の全モルに対して4〜40モル%のビニルアセテートを有し、190℃、2.16kgで0.1〜30g/10分のメルトインデックスを有する。
【0056】
当該ブレンドには、1〜40重量%の生分解性添加剤が含まれてよい。生分解性添加剤の量の他の具体例は、5〜30重量%及び5〜20重量%である。本発明のブレンドに含まれてよい代表的な生分解性添加剤の具体例には、微晶質セルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリビニルアルコール、熱可塑性澱粉又は他の炭水化物、又はそれらの組み合わせが含まれる。また、当該ブレンドには、好ましくは、ブレンドの表面特性を変えるため、流動性を高めるため、そして当該ブレンドの加工装置への付着を防止するために、0〜30重量%の一種以上の加工助剤が含まれてもよい。加工助剤の代表的な具体例には、炭酸カルシウム、タルク、粘土、雲母、ウォラストナイト、カオリン、珪藻土、TiO2、NH4Cl、シリカ、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、及びリン酸カルシウムが含まれる。好ましい加工助剤は、炭酸カルシウムである。
【実施例】
【0057】
本発明は、更に、以下の実施例によって説明、記載される。
【0058】
実施例1〜8
ブレンドの調製: これらの実施例では、本発明の代表的なブレンドの調製について記述する。脂肪族−芳香族ポリエステルは、脂肪族−芳香族成分として、ブタンジオール及び57/43比のアジピン酸とテレフタル酸から調整した。本ポリマーの内部粘度(I.V.)は、1.05dL/g(メルトインデックス=35g/10分)であった。混合に用いたEVAc樹脂は、DuPont 製のELVAX(登録商標)系であった。第1の樹脂(DuPont ELVAX(登録商標)470)は、0.7メルトインデックス(MI)を有し、12重量%のビニルアセテート量を有していた。第2の樹脂(DuPont ELVAX(登録商標)670)は、0.3MIを有し、18重量%のビニルアセテート量を有していた。第3の樹脂は、DuPont BYNEL(登録商標)CXA6831であり、これは、9重量%のビニルアセテート量を有し、ASTM法D−1238により測定して、190℃、2.16kgで2.0g/10分のメルトインデックスを有し、また、多層押出における結束層としての少量のマレイン酸無水物を含有していた。
【0059】
混合は、中間剪断混合スクリューを備えた Werner Pfleidder 二軸スクリュー押出機を用いて行った。ペレットは、重量計量供給装置を用いて、供給口で、適当な割合で混合した。前記した成分に加えて、これらの樹脂は粘着性であるため、約20重量%の炭酸カルシウムを粘着防止剤として添加した。供給時の粘着を防止するため供給ゾーンでの温度を100℃に設定したことを除き、全ての加熱ゾーンを170℃に設定した。40ポンド/時間の全体の供給速度で、スクリュー速度を、公称の250rpmとした。公称の溶融温度は180〜190℃であった。ストランドダイと水浴を備えた二軸スクリューで押出し、引き続きペレタイザーでペレット化した。これらの混合ペレットを、その後、後の実験に用いた。サンプル組成は、表Iに記載した。混合比は、炭酸カルシウムの添加前のものである。
【0060】
また、ブレンドのメルトインデックスについても、表Iに示す。表示したメルトインデックスは、屡、ブレンドに対して適用される混合近似の対数則(即ち、log(MIブレンド)=xalog(MIa)+xblog(MIb))を用いて計算された値である。これは、L.E. Nielsen 著の「Polymer Rheology(ポリマーレオロジー)」、Marcel Dekker、ニューヨーク(1977年)、63頁に記載され、式中、xは、各成分「a」及び「b」の重量フラクションを表す。この等式は、良好な混合がなされた時の、混合粘度と完全加工物に係る近似関係式から誘導される。通常、メルトインデックスが大きくなる程、粘度が低下する、よって、その溶融強度は、小さくなる。
【0061】
【表1】

【0062】
垂れ下り試験及び溶融強度: 比較として、垂れ下り試験を、溶融強度に係る効果を測定するために、実施例1〜8の種々な樹脂及びブレンドに関して行い、そのデータを表Iに含めた。ストランドを、24のL/Dで、1インチのKillion押出機から固定速度で押出した。ダイを時間「ゼロ」で清浄に拭い、押出物が床に当る(約1m)のに要する時間を「垂れ下り時間」と呼んだ。ダイを150℃(302°F)に設定して、押出を170℃(338°F)で行った。これによって、効果的な溶融温度は、約160℃(320°F)であると見積もった(ストランドは、降下時に冷却された)。AAPEの対照(実施例1)は、床に達するまで13.6秒間要した。EVAc樹脂を20%添加すると(実施例2及び3)、垂れ下り時間が増加した(このようにして、溶融強度を増大させた)。更に、また、表Iに示されるように、粘度比又は溶融強度比の増大を示すメルトインデックスも、相応して低下した。
【0063】
インフレートフィルムの押出し: 実施例1,3及び8から作製したペレットを、インフレートフィルムのラインに載せて、フィルムを作製した。ペレットは、65℃で8時間予備乾燥して、湿気を取り除いた。当該押出機は2.5インチで、6インチ径のインフレートフィルムダイを備えていた。二重リップのエアリングを、冷却に用いた。
【0064】
フィルムを、2.5の公称インフレート比を用いて、公称最終厚さ1及び2ミルを有するように作製した。当該EVAcのブレンドによって、バブル糸曳きと安定化をおおいに容易にし、かつ粘着性/粘着力を著しく下げるその増加した溶融強度に起因して、フィルムラインでの加工がはるかに容易となった。また、これらのブレンドによって、(より高い粘度のため)先の走行から発生する分解したポリエチレンをより良く放出させることが可能となり、それによって始動時間が最小となる。
【0065】
実施例1,3及び8では、機械的特性に関して試験した。対照サンプル(実施例1)では、それぞれ、縦及び横方向に24及び20MPaの破断応力を有していた。破断時伸びは、それぞれの方向に600%を超えていた。20重量%のEVAcを含む実施例3では、僅かに破断応力が低下し、それぞれ15及び13MPaを有していた。破断時伸びは、縦及び横方向に関して470%及び600%を超えていた。実施例8では、27及び20MPaの破断応力を有し、破断時伸びは、600%を超える値であった。よって、10%のEVAcを含む実施例8は、それを含まない対照よりも良好な特性を有していた。EVAcの量が多くなる(実施例3)と、フィルム強度が僅かに低下した。それにも拘らず、このフィルムは、依然として、非常に強靭でかつ延性があり、必要な場合、例えば澱粉のような他のより脆い成分にも順応させることができた。
【0066】
実施例9
EVAcと澱粉を有するブレンド: この想定実施例は、熱可塑性澱粉を三成分系ブレンドとなすために配合することができる手順を説明するために含まれる。当該脂肪族−芳香族ポリエステルは、その脂肪族−芳香族成分としてブタンジオール及び45/比のアジピン酸とテレフタル酸からなり、当該ブレンドの50%を構成する。このポリマーのI.V.は、1.05dL/g(メルトインデックス=35g/10分)である。当該ブレンドに用いるEVAcは、0.7メルトインデックス(ML)及び12%のビニルアセテート(例えば、DuPonc ELVAX(登録商標)470)量を有し、当該ブレンドの10%を構成する。熱可塑性澱粉は、10重量%の炭酸カルシウムと共に30重量%で添加する。混合は、中間剪断混合スクリューを備えたWerner Pfleidder 二軸スクリュー押出機を用いて行う。ペレットは、重量計量供給装置を用いて、供給口で、適当な割合で混合する。供給時の粘着を防止するため供給ゾーンでの温度を100℃に設定したことを除き、全ての加熱ゾーンを170℃に設定する。40ポンド/時間の全体の供給速度で、スクリュー速度を、公称の250rpmとする。公称の溶融温度は180〜190℃である。ストランドダイと水浴を備えた二軸スクリューで押出し、引き続きペレタイザーでペレット化して、最終のペレット形態とする。これらのペレットは、次いで、成形し、あるいは押出して、フィルム又は繊維のような最終製品となすことができる。
【0067】
実施例10
AAPEの生分解性を促進させるCaCO3の効果: 三つの実験では、DIN標準54900による崩壊試験を行うために、それぞれが5、10、20、及び30重量%の炭酸カルシウムを含有するEASTAR BIO(登録商標)フィルムの反復試験試料(例えば、セット当り3種の全く同一のサンプル)を、5、10、20、及び30重量%のタルクを含有する同じ厚さのEASTAR BIO(登録商標)フィルムの反復試験試料と比較した。全ての場合に、炭酸カルシウムを含有するEASTAR BIO(登録商標)フィルムは、タルクを含有する相当フィルムの150%以上の崩壊速度を有していた。更に、同じ実験では、20重量%の炭酸カルシウムを含有する及びそれを含有しないEASTAR BIO(登録商標)/EVACブレンドを試験したところ、20重量%の炭酸カルシウムを含有するEASTAR BIO(登録商標)/EVACフィルムは、炭酸カルシウムを含有しないフィルムの完全崩壊期間の90日に対して60日で完全に崩壊した。
【0068】
実施例11
AAPEの好気生分解性: EASTAR BIO(登録商標)脂肪族−芳香族ポリエステル(Eastman Chemical製)を、ASTM標準法、D6340−98を用いて、生分解性に関して試験した。押出フィルムを、35%の全炭素として14Cを含有するEASTAR BIO(登録商標)脂肪族−芳香族ポリエステル(Eastman Chemical製)から作製した。第1セットの反復試験片、例えば三つの同じサンプルからなる1セットでは、そのAAPEには、当該ポリエステルの全般に亘って分配された4%の14C標識を含有していた。第1セットの反復試験片を、ASTM法6340−98にしたがって作製した活性MSWコンポスト(このコンポストには、58重量%(±2%)の炭素を含有していた)を用いて試験した。否定的対照として役立つ第2の反復試験片を作製したが、そのAAPEには、当該ポリマー全般に亘って分配された4%の14C標識を含有していた。このセットは、121℃、17ポンド/インチ2で、20分間滅菌したコンポストで試験した。
【0069】
108dpm(±2%)カウント/gを有するフィルムサンプル(それぞれ700g)を、ASTM法6340−98にしたがって、26dpmのバックグランドカウントを与えるMSWコンポストを含有する試験装置中に添加して混合した。このコンポストは、ASTM6340−98法に記載されるように調製したが、これは、実験初期で、56重量%の湿気含量、7.1のpHを示し、そして炭素対窒素の比は、14:1であった。湿気は、試験を通して、55〜60重量%の間に維持した。試験装置の温度は、試験の最初の二日間は58℃に維持し、その後は、残余の試験のため54〜56℃に維持した。
【0070】
酸素ガスを、15mL/分(±2mL/分)の速度で装置を通過させた。装置を出る全てのガスは、酸トラップを通過させ、続いて2個の250mLのCO2吸収カラムを連続して通過させた。当該カラムには、Carbosorb(登録商標)E+トラップ剤(Perkin-Elmer 製)を充填した。それぞれのカラムからでるCO2トラップ流体は、毎日排水し、その量を測定した。それぞれのカラムから1mLのサンプルを採取し、これを標準ガラスのシンチレーションバイアル内で、16mLのPERMAFLOUR(登録商標)E+シンチレーション試薬(Perkin-Elmer 製)及び3mLのメタノールと混合した。このバイアルを10回反転させて混合し、計数ラック内に配置した。全てのサンプルは、計数前に、8時間放置した。この期間に分離したサンプルは全て、計数前に再混合した。
【0071】
ASTM法D6340−98にしたがって、結果の算定及び内挿を行って、表IIに示す。表IIの結果から明らかなように、当該AAPEは、コンポスト化環境内での360日後に殆どが完全に分解していることを示している。この実施例及び実施例10の結果によれば、本発明のブレンドは、ASTM法D6340−98に定義されるような、生分解性であると思われる。
【0072】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)50〜99重量%の脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル(AAPE)、及び
(B)1〜50重量%のポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)コポリマー(EV Ac)
を含むポリマーブレンドであって、当該ブレンドが、ASTM法D−1238により測定されて、前記AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有し、そして、前記重量%が、前記ブレンドの全重量に基づいている、ポリマーブレンド。
【請求項2】
前記AAPEが、
(A)2〜8個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、2〜8個の炭素原子を有するポリ アルキレンエーテルグリコール、及び4〜12個の炭素原子を有する脂環式ジオ ールから選ばれる、一種以上の置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のジ オールの残基を含むジオール残基であって、ここで、前記置換のジオールには、 ハロ、C6〜C10のアリール、及びC1〜C4のアルコキシから独立して選ばれる 1〜4個の置換基が含まれる当該ジオール残基、及び
(B)(i)ジ酸残基の全モルに対して35〜99モル%の、2〜12個の炭素原子を 有する脂肪族ジカルボン酸及び5〜10個の炭素原子を有する脂環式ジカ ルボン酸から選ばれる一種以上の置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分 枝鎖の非芳香族ジカルボン酸の残基からなるジ酸残基であって、ここで、 前記置換の非芳香族ジカルボン酸には、ハロ、C6〜C10のアリール、及 びC1〜C4のアルコキシから選ばれる1〜4個の置換基が含まれる当該ジ 酸残基、及び
(ii)ジ酸残基の全モルに対して1〜65モル%の、6〜10個の炭素原子 を有する一種以上の置換もしくは非置換の芳香族ジカルボン酸の残基から なるジ酸残基であって、ここで、前記置換の芳香族ジカルボン酸には、ハ ロ、C6〜C10のアリール、及びC1〜C4のアルコキシから選ばれる1〜 4個の置換基が含まれる当該ジ酸残基、
を含むジ酸残基、
を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記非芳香族ジカルボン酸が、グルタル酸、ジグリコール酸、コハク酸、アジピン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選ばれる一種以上のジカルボン酸を含み、そして、前記芳香族ジカルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸の塩、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸の塩から選ばれる一種以上のジカルボン酸を含む、請求項2に記載にポリマーブレンド。
【請求項4】
前記ジオールが、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる一種以上のジオールを含む、請求項3に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
前記EVAcが、ASTM法D−1238によって測定されて、加工温度で、前記AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する、請求項4に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記EVAcが、EVAcの全重量に対して4〜40重量%含み、ビニルアセテートが、ASTM法D−1238によって測定されて、190℃、2.16kgで0.1〜30g/10分のメルトインデックスを有する、請求項5に記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
前記非芳香族ジカルボン酸がアジピン酸を含み、前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸を含み、そして前記ジオールが1,4−ブタンジオールを含む、請求項6に記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
酸又はジオール残基の全モルに対して、0〜2モル%の、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ポリエーテルトリオール、グリセロール、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物、4−カルボキシフタル酸無水物、及びヒドロキシイソフタル酸から選ばれる一種以上の分枝剤の残基を更に含む、請求項6に記載のポリマーブレンド。
【請求項9】
ポリマーブレンドの全重量に対して、0〜5重量%の、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びメチレンビス(2−イソシアナトシクロヘキサン)から選ばれる一種以上の連鎖延長剤を更に含む、請求項8に記載のポリマーブレンド。
【請求項10】
前記ポリマーブレンドが、
(A)ポリマーブレンドの全重量に対して、50〜98重量%の脂肪族−芳香族ランダ ムコポリエステル、ここで、当該脂肪族−芳香族コポリエステルには、
(a)一種以上の1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレン グリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又は1,4−シ クロヘキサンジメタノールの残基を含むジオール残基、及び
(b)(i)ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグ リコール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジ ピン酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及び
(ii)ジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及び イソフタル酸から選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基、
を含むジ酸残基が含まれる、
(B)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%のEVAc、ここで、当該E VAcには、EVAcの全重量に対して4〜30重量%のビニルアセテート残基 が含まれる、及び
(C)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜40重量%の生分解性添加剤、
を含む、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項11】
前記生分解性添加剤が、一種以上の熱可塑性澱粉、微晶質セルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、又はポリビニルアルコールを含む、請求項10に記載のポリマーブレンド。
【請求項12】
前記ジオールが1,4−ブタンジオールを含み、前記非芳香族ジカルボン酸がアジピン酸を含み、そして前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸を含む、請求項10又は11に記載のポリマーブレンド。
【請求項13】
前記EVAcが、ASTM法D−1238により測定されて、加工温度で、AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有する、請求項11に記載のポリマーブレンド。
【請求項14】
0〜30重量%の、炭酸カルシウム、タルク、粘土、雲母、ウォラストナイト、カオリン、珪藻土、TiO2、NH4Cl、シリカ、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、及びリン酸カルシウムから選ばれる一種以上の加工助剤を更に含む、請求項11に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
前記加工助剤が生分解性促進剤でもある、請求項14に記載のポリマーブレンド。
【請求項16】
前記加工助剤が炭酸カルシウムである、請求項15に記載のポリマーブレンド。
【請求項17】
請求項6又は11に記載のポリマーブレンドを含んでなる造形品。
【請求項18】
前記造形品が、フィルム、繊維加工物、押出加工物、又は成形加工物である、請求項17に記載の造形品。
【請求項19】
前記造形品が、DIN標準54900により測定されるような生崩壊性である、請求項18に記載の造形品。
【請求項20】
前記造形品が、ASTM標準法6340−98により測定されるような生分解性である、請求項19に記載の造形品。
【請求項21】
前記造形品が、キャストされた、インフレートされた、カレンダー掛けされた、又は押出されたフィルムである、請求項20に記載の造形品。
【請求項22】
前記造形品がバッグである、請求項21に記載の造形品。
【請求項23】
前記繊維加工物が、一種以上のヤーン、織物、溶融ブローウェブ、不織ウェブ、又は不織布を含む、請求項20に記載の造形品。
【請求項24】
前記繊維加工物が、一以上の繊維層を含む、請求項23に記載の造形品。
【請求項25】
前記繊維加工物が、ハンカチ、ガーゼ、ティッシュ、オムツ、繊維含有クリーニング製品、積層バインダー、衛生ナプキン、パンティライナー、タンポン、トレーニングパンツ、失禁製品、バンド、包帯、又は手術用品から選ばれる一種以上の加工物を含む、請求項24に記載の造形品。
【請求項26】
高剪断速度で、
(A)ポリマーブレンドの全重量に対して、50〜98重量%の、
(a)一種以上の1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレン グリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、又は1,4−シ クロヘキサンジメタノールの残基を含むジオール残基、及び
(b)(i)ジ酸残基の全モルに対して35〜95モル%の、グルタル酸、ジグ リコール酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びアジ ピン酸から選ばれる一種以上の非芳香族ジカルボン酸の残基、及び
(ii)ジ酸残基の全モルに対して5〜65モル%の、テレフタル酸及び イソフタル酸より選ばれる一種以上の芳香族ジカルボン酸の残基、
を含むジ酸残基、
を含む脂肪族−芳香族ランダムコポリエステル、
(B)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜20重量%の、EVAcの全重量に対し て4〜30重量%のビニルアセテート残基を含むEVAc、及び
(C)ポリマーブレンドの全重量に対して1〜40重量%の生分解性添加剤、
を混合することを含む、ASTM法D−1238により測定して、AAPEのメルトインデックスよりも小さいメルトインデックスを有するポリマーブレンドの製造方法。
【請求項27】
前記生分解性添加剤が、一種以上の熱可塑性澱粉、微晶質セルロース、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、又はポリビニルアルコールを含む、請求項26に記載のポリマーブレンドの製造方法。

【公表番号】特表2007−520591(P2007−520591A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545741(P2006−545741)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/041066
【国際公開番号】WO2005/066272
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】