説明

脂肪族カルボン酸のアミドの連続的製法

本発明は、少なくとも1種の式(I)のカルボン酸エステル:R−COOR(I)[式中、Rは、水素または1〜100個の炭素原子を有する、場合によっては置換された脂肪族炭化水素基を表し、Rは、1〜30個の炭素原子を有す炭化水素基を表すか、またはRおよびRは、5、6または7個の環員を有する、場合によっては置換された環を形成している]を、少なくとも1種の式(II)のアミン:HNR(II)[式中、RおよびRは互いに独立に、水素または1〜100個のC原子を有する炭化水素基を表す]と、マイクロ波照射下、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で反応させてカルボン酸アミドにすることによって、脂肪族カルボン酸のアミドを連続的に製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的規模で、マイクロ波の照射下で脂肪族カルボン酸のアミドを連続的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミドは、化学原料として多様に使用されている。例えば、低級脂肪族カルボン酸のアミドは、優れた溶解能を有する非プロトン性極性液である。脂肪酸アミドはとりわけその表面活性によって、例えば溶媒として、洗濯洗剤および洗浄剤の成分として、また化粧品中で使用されている。さらに、これらは、金属加工における助剤として、農薬を配合する際に、ポリオレフィン用の耐電防止剤として、また石油の生産および処理において成功裏に使用されている。さらに、カルボン酸アミドは、種々の医薬品および農業用化学物質を製造するための重要な原料でもある。
【0003】
遊離カルボン酸をアミンでエステル化することに加えて、とりわけ工業的規模でカルボン酸アミドを製造するためには、例えば酸塩化物、酸無水物および酸エステルなどの反応性カルボン酸誘導体を適切なアミンと反応させることが重要である。酸塩化物から出発してアミドを合成すると、少なくとも等モル量の処分すべき塩および望ましくないアミド残分のハライドイオンが生じる一方、とりわけカルボン酸と脂肪族アルコールとの容易に入手可能なエステルのアミンに対する反応性は、比較的低いので、このアミノ分解には、長時間の反応時間、高温および/または強塩基性触媒が必要である。これらの反応条件下では多くの場合に、望ましくない副反応、例えば、アミンの酸化、第二級アミンから第一級および第三級アミンへの熱による不均化および/またはカルボン酸の脱カルボキシル化が生じる。このことによって、目的生成物の特性、例えば、その色などが損なわれ、収量が低下し、多くの場合に、追加の精製ステップが必要になる。
【0004】
アミンを合成するためのより新しいアプローチは、アミドにするためのカルボン酸エステルとアミンとの反応をマイクロ波によって支援することである。これは、溶媒なしでも実施でき、したがって、空間的/時間的収量の増大の他に、環境負荷の低下ももたらす。
【0005】
Zradniら(Synth. Commun. 2002、32、3525〜3531頁)(非特許文献1)は、より大量の、即ち等モル量までのカリウムtert−ブトキシドの存在下、マイクロ波の作用下で、種々のカルボン酸のエステルをアミンと反応させることによるアミドの製造を開示している。この場合、ミリモル規模で操作している。
【0006】
Perreuxら(Tetrahedron 59 (2003年)、2185〜2189頁)(非特許文献2)は、第一級アミンによるカルボン酸エステルのマイクロ波支援アミノ分解によるカルボン酸アミドの製造を開示している。この場合、モノモード反応器を用いて実験室規模で操作している。
【0007】
しかしながら、実験室規模から工業的規模へのこのようなマイクロ波支援アミノ分解のスケールアップおよびそれに伴う、工業的に大規模に適用するのに有意な空間的/時間的収率で1年当たり数トン、例えば、数十トン、数百トンまたは数千トンを生産するのに適したプラントの開発は、今日まで実現できていない。その理由は一つには、通常は数ミリメートルから数センチメートルに限られる反応物へのマイクロ波の侵入深さであり、このためとりわけバッチ法で実施される反応が小さな容器に限定され、または撹拌反応器では、反応時間が非常に長くなる。大量の物質にマイクロ波を照射するのに望ましい場の強さの増大は、とりわけ化学反応のスケールアップのために従来は好まれて使用されていたマルチモード装置では、放電プロセスおよびプラズマ形成の発生によって、狭い範囲に制限される。さらに、マイクロ波炉に入射されたマイクロ波がその壁面および反応混合物に当たって多かれ少なかれ制御されず反射することによって引き起こされ、このマルチモードマイクロ波装置中で反応物の局所的な過熱をもたらす、マイクロ波フィールドの不均一性が、規模の拡大の際に問題となる。加えてここで、反応中にしばしば変化する反応混合物のマイクロ波吸収係数が、信頼でき再現可能な反応の実施に関して困難をもたらす。
【0008】
WO90/03840号(特許文献1)は、連続実験室用マイクロ波反応器内で種々の化学反応を連続的に実施する方法を開示している。例えば、コハク酸ジメチルをアンモニアと135℃で反応させて、51%の収率でスクシンアミドにしている。しかし、達成される収率も、またマルチモードで駆動されるマイクロ波の24mlという反応体積も、工業的大規模へのスケールアップを可能にするものではない。マルチモードマイクロ波アプリケータではマイクロ波エネルギーがアプリケータ室に多かれ少なかれ均一に分布し、管コイルに収束されないため、反応物のマイクロ波吸収に関してこの方法の効率は低い。入射されるマイクロ波出力を著しく高めると、望ましくないプラズマ放電、またはいわゆる熱暴走作用が生じ得る。さらに、ホットスポットとも称される、経時的に変化するアプリケータ室内のマイクロ波場の空間的な不均一性によって、信頼でき再現可能な反応の実施は大規模では不可能である。
【0009】
さらに、ただ一つの空間方向にのみ伝播し、正確な寸法の導波管によって反応容器上に集束される、単一の波動モードで駆動されるモノモードまたは単一モードのマイクロ波アプリケータが公知である。この装置によって確かにより高い局所的な場の強さが可能であるが、従来は、幾何的要件(例えば電場の強さはその波頂で最大であり、節点(node point)ではほぼ0になる)によって、実験室規模の小さな反応体積(≦50ml)に限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO90/03840号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Zradniら(Synth. Commun. 2002、32、3525〜3531頁)
【非特許文献2】Perreuxら(Tetrahedron 59 (2003年)、2185〜2189頁)
【非特許文献3】K. Lange、K.H. Loecherer、「Taschenbuch der Hochfrequenztechnik」、第2巻、K21頁から
【非特許文献4】D. Bogdal、Microwave-assisted Organic Synthesis、Elsevier 2005
【非特許文献5】「Microwave Synthesis」、B. L. Hayes著、CEM Publishing 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、工業的規模でもマイクロ波照射下でカルボン酸エステルおよびアミンを反応させてアミドにすることができる、脂肪族カルボン酸のアミドの製造方法が探し求められていた。その際、可能な限り短い反応時間で、可能な限り高い、即ち、定量的変換率までの変換率が達成されるべきである。さらにその方法は、可能な限りエネルギーを節約したカルボン酸アミドの製造を可能にすべきであり、即ち、使用されるマイクロ波出力は可能な限り定量的に反応物に吸収されるべきであり、したがってその方法は、高いエネルギー効率を示すべきである。その場合、副生成物は生じないか、または僅かな量でのみ生じるべきである。さらに、アミドは僅かのみの固有色を有するべきである。またその方法は、信頼でき、再現可能な反応の実施を保証すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意外にも、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で、マイクロ波を照射して短時間だけ加熱することによって、脂肪族カルボン酸のエステルをアミンと連続的な方法で反応させることにより、脂肪族カルボン酸のアミドを工業的に重要な量で製造できることが判明した。その場合、マイクロ波アプリケータに入射されるマイクロ波エネルギーは、実質的に定量的に反応物によって吸収される。このことに加えて、本発明による方法は、実施の際に高い信頼性を有し、使用される反応条件の高い再現性を示す。本発明による方法に従って製造されたアミドは、従来の製法と比較して、従来の製法では追加の方法ステップなしには得られない高い純度および低い固有色を示す。
【0014】
本発明の目的は、脂肪族カルボン酸のアミドの連続的な製造方法であるが、この方法では、少なくとも1種の式(I)のカルボン酸エステルを
−COOR (I)
[式中、
は、水素または1〜100個の炭素原子を有する置換されていてもよい脂肪族炭化水素基を表し、
は、1〜30個の炭素原子を有する、場合によっては置換された炭化水素基を表すか、または
およびRは、5、6または7個の環員を有する、場合によっては置換された環を形成している]、
少なくとも1種の式(II)のアミンと
HNR (II)
[式中、
およびRは互いに独立に、水素または1〜100個のC原子を有する、場合によっては置換された炭化水素基を表す]
マイクロ波照射下、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で反応させて、カルボン酸アミドにする。
【0015】
本発明による式(I)の好ましいエステルは、式(III)のカルボン酸
COOH (III)
および式(IV)のアルコール
OH (IV)
[式中、RおよびRは上記の意味を有する]に由来し、これらから、例えば縮合などの公知の方法に従って製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
脂肪族カルボン酸IIIとは、ここでは一般的に、1〜100個のC原子を有し場合によっては置換された脂肪族炭化水素基上に、少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物およびギ酸と理解される。好ましい一実施形態では、脂肪族炭化水素基Rは、非置換アルキル−またはアルケニル基である。さらなる好ましい一実施形態では、脂肪族炭化水素基は1個または複数、例えば、2個、3個、4個以上のさらなる置換基を有する。適切な置換基は例えば、ヒドロキシ−、C〜C−アルコキシ−、例えば、メトキシ−、ポリ(C〜C−アルコキシ)−、ポリ(C〜C−アルコキシ)アルキル−、エステル−、ケト−、アミド−、シアノ−、ニトリル−、ニトロ−および/または5〜20個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基であるが、ただし、これらの置換基は、反応条件下で安定であり、どのような副反応にも、例えば、脱離反応に加わらないことを条件とする。C〜C20アリール基はそれ自体がやはり、例えばC〜C20−アルキル−、C〜C20−アルケニル−、C〜C−アルコキシ−、例えば、メトキシ−、エステル−、アミド−、シアノ−、ニトリル−および/またはニトロ基などの置換基を有してもよい。しかしながら、脂肪族炭化水素基は多くても、その有する価と同じ数の置換基を有する。
【0017】
脂肪族カルボン酸エステルの炭化水素基は好ましくは、さらなる置換基として、遊離のカルボン酸またはカルボキシレート基を有さない。これらはそれ自体が、式(II)のアミンと反応して、望ましくない副生成物になり得るからである。
【0018】
特定の一実施形態では、脂肪族炭化水素基Rは、少なくとも1個のさらなるエステル基−COORを有する。したがって、本発明による方法は、2個以上、例えば、2個、3個、4個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸に由来するポリカルボン酸エステルを反応させてポリカルボン酸アミドを得るのにも同様に適している。本発明による方法では、エステル基を全部または一部だけアミドに移行させることができる。例えば反応混合物中におけるカルボン酸エステルとアミンとの化学量論比によって、アミド化度を調整することができる。
【0019】
本発明によれば、1〜50個のC原子を有する、とりわけ2〜26個のC原子を有する、例えば、3〜20個のC原子を有する、場合によっては置換された脂肪族炭化水素基Rを有するカルボン酸に由来する式(I)の脂肪族カルボン酸エステルが特に好ましい。それらは、天然由来であっても合成由来であってよい。脂肪族炭化水素基はまた、例えば酸素、窒素、リンおよび/または硫黄などのヘテロ原子を含有してもよいが、好ましくはC原子3個当たりヘテロ原子1個以下である。
【0020】
脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐または環式であってよい。エステル基は、第一級、第二級または第三級C原子に結合していてよい。好ましくは、第一級C原子に結合している。炭化水素基は飽和していてもよく、またその炭化水素基Rが少なくとも2個の炭素原子を含む場合には、不飽和であってもよい。エステル基と共役するC=C二重結合を有さない好ましい不飽和炭化水素基は好ましくは、1つまたは複数のC=C二重結合を、特に好ましくは1つ、2つまたは3つのC=C二重結合を有する。したがって、本発明による方法は特に、ポリ不飽和カルボン酸のアミドを製造するのに有効である。というのも、不飽和カルボン酸の二重結合は、本発明による方法の反応条件下で攻撃されないからである。好ましい環式脂肪族炭化水素基は、4個、5個、6個、7個、8個以上の環原子を有する少なくとも1個の環を有する。
【0021】
好ましい一実施形態では、Rは、1、2、3または4個のC原子を有する飽和アルキル基を表す。これは、直鎖であってもよく、また少なくとも3個のC原子の場合には、分岐であってもよい。エステル基は、第一級、第二級C原子に結合していでもよく、またピバル酸の場合など、第三級C原子に結合していてもよい。特に好ましい一実施形態では、アルキル基は、非置換アルキル基である。さらなる特に好ましい一実施形態では、アルキル基は、1〜9個、好ましくは1〜5個、例えば2個、3個または4個のさらなる上記の置換基を有する。しかしながら、アルキル基は多くても、その有する価と同じ数の置換基を有する。好ましいさらなる置換基は、エステル基および場合によっては置換されたC〜C20−アリール基である。
【0022】
さらなる好ましい一実施形態では、式(I)のカルボン酸エステルは、エチレン系不飽和カルボン酸に由来する。この場合、Rは、2〜4個の炭素原子を有する、場合によっては置換されたアルケニル基を表す。エチレン系不飽和カルボン酸とはこの場合、カルボキシル基と共役するC=C二重結合を有するカルボン酸であると理解される。アルケニル基は直鎖であってもよく、またそれが少なくとも3個のC原子を含む限り、分岐していてもよい。好ましい一実施形態では、アルケニル基は、非置換アルケニル基である。特に好ましくは、Rは、2個または3個のC原子を有するアルケニル基である。さらなる好ましい一実施形態では、アルケニル基は、1個または複数、例えば2個、3個以上のさらなる上記の置換基を有する。しかしながら、アルケニル基は多くても、その有する価と同じ数の置換基を有する。好ましい一実施形態では、エチレン系不飽和カルボン酸のアルケニル基Rは、さらなる置換基として、エステル基または場合によっては置換されたC〜C20−アリール基を有する。したがって、本発明による方法は、エチレン系不飽和ジカルボン酸エステルを反応させるのにも同様に適している。
【0023】
さらなる好ましい一実施形態では、カルボン酸エステル(I)は、脂肪酸に由来する。この場合、Rは、5〜50個のC原子を有する、場合によっては置換された脂肪族炭化水素基を表す。この場合、特に好ましくは、これらは、6〜30個のC原子を有する、とりわけ7〜26個のC原子を有する、例えば、8〜22個のC原子を有する脂肪族炭化水素基を有する脂肪酸に由来する。好ましい一実施形態では、脂肪酸の炭化水素基は、非置換アルキル−またはアルケニル基である。さらなる好ましい一実施形態では、脂肪酸の炭化水素基は、1個または複数、例えば、2個、3個、4個以上のさらなる置換基を有する。特定の一実施形態では、脂肪酸の炭化水素基は、1個、2個、3個、4個以上のさらなるカルボン酸エステル基を有する。
【0024】
本発明による方法によってアミド化するのに適しているカルボン酸エステル(I)は例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ピバル酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2,2−ジメチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸およびメトキシケイ皮酸、マロン酸、コハク酸、ブタンテトラカルボン酸、フェニル酢酸、(メトキシフェニル)酢酸、(ジメトキシフェニル)酢酸、2−フェニルプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4−ヒドロキシフェノキシ酢酸、アセト酢酸、ヘキサン酸、シクロヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、ネオノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ネオウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、テトラデカン酸、12−メチルトリデカン酸、ペンタデカン酸、13−メチルテトラデカン酸、12−メチルテトラデカン酸、ヘキサデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、14−メチルヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イソオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸およびテトラコサン酸、ミリストレイン酸、パルミトオレイン酸、ヘキサデカジエン酸、デルタ−9−cis−ヘプタデセン酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、ゴンド酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、鯨油酸、エルカ酸、ドコサジエン酸およびテトラコセン酸、ドデセニルコハク酸およびオクタデセニルエニルコハク酸および不飽和脂肪酸から製造され得るダイマー脂肪酸ならびにそれらの混合物に由来する。さらに、例えば綿実油、ヤシ油、ラッカセイ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、パーム核油、ナタネ油、オリーブ油、カラシ油、ダイズ油、ヒマワリ油ならびに獣脂油、骨油および魚油などの天然油脂から得られるカルボン酸エステル混合物が適している。本発明による方法のためのカルボン酸エステルまたはカルボン酸エステル混合物として同様に適したエステルは、トール油脂肪酸ならびに樹脂酸およびナフテン酸に由来する。
【0025】
好ましい一実施形態では、Rは、脂肪族基を表す。これは、好ましくは1〜24個、より好ましくは2〜18個、特に3〜6個のC原子を有する。脂肪族基は、直鎖であってもよく、また少なくとも3個のC原子を含む場合には、分岐または環式であってもよい。さらに、飽和であってもよく、また少なくとも3個のC原子を有する場合には、不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。炭化水素基Rは場合によって、例えばC〜C20−アリール基などの置換基を有してよく、かつ/または例えば酸素および/または窒素などのヘテロ原子によって中断されていてよい。特に好ましい脂肪族基Rは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびメチルフェニルである。
【0026】
特定の一実施形態では、式(I)のエステルは、脂肪族R基が1個または複数、例えば2個、3個、4個、5個、6個以上のさらなるヒドロキシル基を有する式(IV)のアルコールに由来する。ヒドロキシル基は、炭化水素基の隣接するC原子に結合していても、またさらに離れた炭素原子に結合していてもよいが、しかし、炭素原子1個当たり多くても1個のOH基である。エステル(I)のベースとなるポリオールのOH基はこの場合、全部がエステル化されていても、また一部のみエステル化されていてもよい。これらは、同じカルボン酸でエステル化されていても、また異なるカルボン酸でエステル化されていてもよい。例えば、本発明による方法はとりわけ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリトリトール、フルクトースおよびグルコースなどのポリオールに由来するエステルを転換するのに適している。好ましい一実施形態では、トリグリセリド、とりわけ生体起源のトリグリセリドを使用する。この場合、例えば、反応混合物中におけるカルボン酸エステル基とアミノ基との化学量論比によって、アミド化度を調整することができる。
【0027】
さらなる好ましい一実施形態では、Rは、5〜12員の環員を有する、場合によっては置換されたC〜C12−アリール基または場合によっては置換されたヘテロ芳香族基を表す。好ましいヘテロ原子は、酸素、窒素および硫黄である。好ましい置換基は例えば、ニトロ基である。特に好ましい芳香族R基は、ニトロフェニル基である。
【0028】
式(I)のエステルが由来する適切なアルコール(IV)の例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ネオペンタノール、n−ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビタン、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、フェノール、ナフトールおよびそれらの混合物である。さらに、例えばヤシ脂肪族アルコール、パーム核脂肪族アルコールおよび獣脂脂肪族アルコールなどの天然原料から得られる脂肪族アルコール混合物も適している。メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノールおよびグリセロールなどの低級脂肪族アルコールが特に好ましい。
【0029】
本発明に特に適した式(I)のエステルの例は、例えば脂肪酸メチルエステルなど、脂肪族カルボン酸と1〜4個のC原子を有するモノアルコールとのエステル、ならびに例えばトリオレイン、トリステアリンおよび生物起源の油脂など、脂肪酸のトリグリセリドである。
【0030】
また、本発明による方法に従って、ヒドロキシカルボン酸の分子内および分子間エステルをアミドに変換することもでき、この場合、そのヒドロキシル基は、とりわけ多くても当モル量(エステル基に対して)の式(II)のアミンでアミノ分解する際には、保持されたままである。そのようなエステルの例は、カプロラクトンおよびラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)などのラクトンである。
【0031】
本発明による方法は好ましくは、第二級アミドを製造するのに適している。このためには、カルボン酸エステル(I)を、Rが1〜100個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Rが水素を表すアミン(II)と反応させる。
【0032】
本発明による方法はさらに特に好ましくは、第三級アミドを製造するのに適している。このためには、カルボン酸エステル(I)を、RおよびR基が両方とも互いに独立に、1〜100個の炭素原子を有する炭化水素基を表すアミン(II)と反応させる。この場合、基RおよびRは、同じでも、異なっていてもよい。特に好ましい一実施形態では、RおよびRは、同じである。
【0033】
第1の好ましい一実施形態では、Rおよび/またはRは互いに独立に、脂肪族基である。これは、好ましくは1〜24個、より好ましくは2〜18個、特に3〜6個のC原子を有する。脂肪族基は、直鎖でも、分岐していても、環式であってもよい。これはさらに、飽和であっても、不飽和であってもよい。炭化水素基は、置換基を有していてもよい。そのような置換基は例えば、ヒドロキシ−、C〜C−アルコキシ−、アルコキシアルキル−、シアノ−、ニトリル−、ニトロ−および/または例えばフェニル基などのC〜C20−アリール基であってよい。C〜C20−アリール基はそれ自体が場合によっては、ハロゲン原子、C〜C20−アルキル−、C〜C20−アルケニル−、ヒドロキシル−、例えばメトキシ−などのC〜C−アルコキシ−、エステル−、アミド−、シアノ−、ニトリル−および/またはニトロ基で置換されていてもよい。特に好ましい脂肪族基は、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル、ヒドロキシブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびメチルフェニルである。特に好ましい一実施形態では、Rおよび/またはRは互いに独立に、水素、C〜C−アルキル−、C〜C−アルケニル−またはC〜C−シクロアルキル基を、特に1、2または3個のC原子を有するアルキル基を表す。これらの基は、3個までの置換基を有していてもよい。
【0034】
さらなる好ましい一実施形態では、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環を形成している。この環は好ましくは、4員以上、例えば、4員、5員、6員以上などの環員を有する。その場合、好ましいさらなる環員は、炭素、窒素、酸素および硫黄原子である。環はそれ自体が再び、例えばアルキル基などの置換基を有していてもよい。適切な環構造は例えば、モルホリニル−、ピロリジニル−、ピペリジニル−、イミダゾリル−およびアゼパニル基である。
【0035】
さらなる好ましい一実施形態では、Rおよび/またはRは互いに独立に、場合によっては置換されたC〜C12−アリール基または5〜12員の環員を有する、場合によっては置換されたヘテロ芳香族基を表す。ヘテロ芳香族基の好ましいヘテロ原子は、酸素、窒素および/または硫黄である。
【0036】
さらなる好ましい一実施形態では、Rおよび/またはRは互いに独立に、ヘテロ原子で中断されているアルキル基を表す。特に好ましいヘテロ原子は、酸素および窒素である。
【0037】
例えば、Rおよび/またはRは互いに独立に好ましくは、式(V)の基を表す。
【0038】
−(RO)−R (V)
式中、
は、2〜6個のC原子を有する、好ましくは例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなど、2〜4個のC原子を有するアルキレン基またはその混合物を表し、
は、水素、1〜24個のC原子を有する炭化水素基または式−R−NR1112の基を表し、
nは、2〜50、好ましくは3〜25、とりわけ4〜10の数を表し、
11、R12は互いに独立に、1〜24個のC原子、好ましくは2〜18個のC原子を有する脂肪族基、5〜12員の環員を有するアリール基またはヘテロアリール基、1〜50個のポリ(オキシアルキレン)単位を有するポリ(オキシアルキレン)基(ただし、ポリ(オキシアルキレン)単位は2〜6個のC原子を有するアルキレンオキシド単位に由来する)を表すか、またはR11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4、5、6員以上の環員を有する環を形成している。
【0039】
さらに好ましくは、Rおよび/またはRは互いに独立に、式(VI)の基を表す。
【0040】
−[R−N(R10)]−(R10) (VI)
式中、
は、2〜6個のC原子を有する、好ましくは例えばエチレン、プロピレンなど、2〜4個のC原子を有するアルキレン基またはその混合物を表し、
10はそれぞれ互いに独立に、水素、24個までのC原子、例えば、2〜20個の炭素原子などを有するアルキル−またはヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基−(R−O)−Rまたはポリイミノアルキレン基−[R−N(R10)]−(R10)を表し、ここで、R、R、RおよびR10は上記で示された通りであり、qおよびpは互いに独立に1〜50を表し、
mは、1〜20、好ましくは2〜10、例えば、3、4、5または6などの数である。式IVの基は好ましくは、1〜50個、とりわけ2〜20個の窒素原子を含有する。
【0041】
特定の一実施形態では、本発明による方法は、第三級アミノ基を有し、したがって塩基性のカルボン酸アミドを製造するのに適しており、この場合、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で、マイクロ波照射下、少なくとも1種の脂肪族カルボン酸エステル(I)を、第一級および/または第二級アミノ基および少なくとも1個の第三級アミノ基を有する少なくとも1種のポリアミンと反応させて、塩基性カルボン酸アミドにする。第三級アミノ基とはこの場合、窒素原子が酸性プロトンを有さない構造単位であると理解される。例えば、第三級アミノ基の窒素が3個の炭化水素基を有していても、また複素環系の一部であってもよい。この実施形態では、Rは好ましくは、上記の意味のいずれか、特に好ましくは水素、1〜24個のC原子を有する脂肪族基または6〜12個のC原子を有するアリール基を、特にメチルを表し、Rは、第三級アミノ基を有する式(VII)の炭化水素基を表す。
【0042】
−(A)−Z (VII)
式中、
Aは、1〜12個のC原子を有するアルキレン基、5〜12個の環員を有するシクロアルキレン基、6〜12員の環員を有するアリーレン基または5〜12員の環員を有するヘテロアリーレン環を表し、
sは、0または1を表し、
Zは、式−NR1314の基または少なくとも5員の環員を有する窒素含有環式炭化水素基を表し、
13およびR14は互いに独立に、C〜C20−炭化水素基または式−(R−O)−R(III)のポリオキシアルキレン基(ここで、R、Rおよびpは上記の意味を有する)を表す。
【0043】
好ましくは、Aは、2〜24個のC原子を有するアルキレン基、5〜12員の環員を有するシクロアルキレン基、6〜12員の環員を有するアリーレン基または5〜12員の環員を有するヘテロアリーレン基を表す。特に好ましくは、Aは、2〜12個のC原子を有するアルキレン基を表す。好ましくは、sは1を表す。より好ましくは、Aは、1〜6個のC原子を有する直鎖または分岐アルキレン基を表し、sは1を表す。
【0044】
さらに好ましくは、Zが式−NR1314の基を表す場合、Aは、2、3または4個のC原子を有する直鎖または分岐アルキレン基、とりわけエチレン基または直鎖プロピレン基を表す。これに対して、Zが含窒素環式炭化水素基を表す場合、Aが1、2または3個のC原子を有する直鎖アルキレン基を、とりわけメチレン−、エチレン−または直鎖プロピレン基を表す化合物が特に好ましい。
【0045】
構造要素Aに好ましい環式基は、単環式であっても、また多環式であってもよく、例えば、2個または3個の環系を含有してよい。好ましい環系は、5、6または7員の環員を有する。好ましくはこれらは、全部で約5〜20個のC原子、とりわけ6〜10個のC原子を含有する。好ましい環系は、芳香族であり、C原子のみを含有する。特定の一実施形態では、構造要素Aは、アリーレン基から形成されている。構造要素Aは、例えばアルキル基、ニトロ−、シアノ−、ニトリル−、オキシアシル−および/またはヒドロキシアルキル基などの置換基を有していてもよい。Aが単環式芳香族炭化水素である場合、アミノ基またはアミノ基を有する置換基は好ましくは、互いにオルトまたはパラ位に位置している。
【0046】
好ましくは、Zは、式−NR1314の基を表す。この場合、R13およびR14は互いに独立に、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族炭化水素基を表す。R13およびR14として、アルキル基が特に好ましい。R13および/またはR14がアルキル基である場合、これらは好ましくは、1〜14個のC原子、例えば1〜6個のC原子などを有する。これらのアルキル基は、直鎖、分岐および/または環式であってよい。特に好ましくは、R13およびR14は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびイソブチルなど、1〜4個のC原子を有するアルキル基を表す。さらなる一実施形態では、R13および/またはR14基は互いに独立に、式(III)のポリオキシアルキレン基を表す。
【0047】
13および/またはR14として特に適した芳香族基には、少なくとも5員の環員を有する環系が含まれる。これらは、S、OおよびNなどのヘテロ原子を含有してよい。R13および/またはR14として特に適した芳香脂肪族基には、C〜Cアルキル基を介して窒素に結合している少なくとも5員の環員を有する環系が含まれる。これらは、S、OおよびNなどのヘテロ原子を含有してよい。芳香族基、さらに芳香脂肪族基も、例えばアルキル基、ニトロ−、シアノ−、ニトリル−、オキシアシル−および/またはヒドロキシアルキル基などのさらなる置換基を有してもよい。
【0048】
さらなる好ましい一実施形態では、Zは、窒素を含有するが、その窒素原子がアミドを形成することができない、環式炭化水素基を表す。この環系は、単環式であっても、二環式であっても、多環式であってよい。好ましくはこれは、1個または複数の5員および/または6員の環を含有する。この環式炭化水素は、酸性プロトンを有さない1個または複数、例えば2個または3個の窒素原子を含有し、特に好ましくは、1個の窒素原子を含有する。この場合、例えばピリジンなど、その窒素が芳香族π電子六重項の形成に参加している窒素含有芳香族が特に適している。同様に、その窒素原子がプロトンを有さず、例えば、アルキル基で全て飽和されている窒素含有ヘテロ脂肪族も適している。この場合、ZとAまたは式(II)の窒素との結合は好ましくは、例えば1−(3−アミノプロピル)ピロリジンのように、複素環の窒素原子を介して行われる。Zによって表される環式炭化水素は、例えばC〜C20−アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ−、シアノ−、ニトリル−、ヒドロキシル−および/またはヒドロキシアルキル基などのさらなる置換基を有してよい。
【0049】
カルボン酸エステル(I)とポリアミン(VI)との化学量論的比に従って、それぞれ少なくとも1個の水素原子を有する1個または複数のアミノ基が、カルボン酸アミドに変換される。ポリカルボン酸エステルを式(VI)のポリアミンと反応させる場合、とりわけ第一級アミノ基をイミドに変換することもできる。
【0050】
第一級アミドを本発明によって製造するためには、アンモニアの代わりに好ましくは、加熱するとアンモニアガスを放出する窒素含有化合物を使用する。そのような窒素含有化合物の例は、尿素およびホルムアミドである。
【0051】
適切なアミンの例は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ベンジルアミン、フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタアミンおよびこれらの混合物である。第三級アミン基を有する適切なアミンの例は、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−2−メチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)ピロリジン、1−(3−アミノプロピル)−4−メチルピペラジン、3−(4−モルホリノ)−1−プロピルアミン、2−アミノチアゾール、ならびに、N,N−ジメチルアミノアニリンの、アミノピリジンの、アミノメチルピリジンの、アミノメチルピペリジンの、およびアミノキノリンの様々な異性体、ならびに2−アミノピリミジン、3−アミノピラゾール、アミノピラジンおよび3−アミノ−1,2,4−トリアゾールである。種々のアミンの混合物も、適している。これらのうち、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、エチルメチルアミンおよびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンが特に好ましい。
【0052】
脂肪族C〜C20−カルボン酸および脂肪族C〜C−アルコールのエステルを第一級または第二級脂肪族C〜C−アルキルアミンと反応させることによって、脂肪族C〜C−アルキルアミンのアミドを製造する、本発明による方法が特に好ましい。さらに、脂肪酸および低級脂肪族C〜C−アルコールからのエステルを、少なくとも1個の第一級および/または第二級アミノ基ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基を有するポリアミンと反応させることによって、塩基性アミドを製造する、本発明による方法が特に好ましい。さらに、例えば生物起源のトリグリセリドなど、脂肪酸とポリオールとのエステルを、C〜C−アルキル基を有する第一級または第二級脂肪族アミンと反応させることによって、アミドを製造する本発明による方法が特に好ましい。さらに、脂肪酸とポリオールとのエステルを、少なくとも1個の第一級および/または第二級アミノ基ならびに少なくとも1個の第三級アミノ基を有するポリアミンと反応させることによって、塩基性アミドを製造する本発明による方法が特に好ましい。
【0053】
カルボン酸エステル(I)が2個以上のエステル基を含有し、かつアミン(II)が2個以上のアミノ基を含有する場合、または両方の反応成分がそれぞれ1個のエステル基およびアミノ基を有する場合、本発明による方法に従って、ポリマーを製造することもできる。この場合、装置を設計する際に、マイクロ波照射の間に上昇する反応混合物の粘度に、注意を払うべきである。
【0054】
本発明の方法はとりわけ、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルブチルアミド、N,N−ジメチル(フェニル)アセトアミド、N,N−ジメチル(p−メトキシフェニル)アセトアミド、N,N−ジエチル−2−フェニルプロピオン酸、N−メチルオクタン酸アミド、N,N−ジメチルオクタン酸アミド、N−メチルヤシ油脂肪酸アミド、N,N−ジメチルヤシ油脂肪酸アミド、N−エチルヤシ油脂肪酸アミド、N,N−ジエチルヤシ油脂肪酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N,N−ジエチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルタル油脂肪酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピルヤシ油脂肪酸アミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノ)プロピル獣脂脂肪酸アミド、N−エチルマンデル酸アミド、N,N−ジメチル乳酸アミド、オクタン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジグリコールアミド、ヤシ油脂肪酸ジグリコールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、トール油脂肪酸モノエタノールアミド、トール油脂肪酸ジエタノールアミドおよびトール油脂肪酸ジグリコールアミドならびにこれらの混合物を製造するのに適している。
【0055】
本発明による方法では、脂肪族カルボン酸エステル(I)およびアミン(II)を任意の比で互いに反応させることができる。好ましくは、エステルとアミンとをそれぞれエステル基およびアミン基のモル当量に関して、10:1〜1:100、好ましくは2:1〜1:10、特に1.2:1〜1:3のモル比で反応させる。特定の一実施形態では、エステルとアミンを等モル量で使用する。
【0056】
多くの場合に、過剰のアミン、即ち、少なくとも1.01:1.00、とりわけ50:1から1.02:1、例えば、10:1から1.1:1のアミンとエステルとのモル比で操作することが有利であることが判明している。その場合、エステル基は実際にアミドに対して定量的に反応する。使用されるアミンが易揮発性である場合に、この方法は特に好ましい。易揮発性とはこの場合、そのアミンが標準圧力で、好ましくは200℃未満、より好ましくは160℃未満、例えば、100℃未満などの沸点を有し、したがって、アミドから蒸留によって分離除去できることを意味する。
【0057】
脂肪族炭化水素基Rが1個または複数のヒドロキシル基を有する場合、カルボン酸エステル(I)とアミン(II)との反応を好ましくは、それぞれ反応混合物中のエステル基およびアミノ基のモル当量に関して100:1〜1:1、好ましくは10:1〜1.001:1、特に5:1〜1.01:1、例えば、2:1〜1.1:1などのモル比で行う。
【0058】
好ましい一実施形態では、反応を促進または完了するために、触媒の存在下で操作する。好ましくはその場合に、塩基性触媒または数種のこれらの触媒からなる混合物の存在下で操作する。塩基性触媒として、本発明の枠内で全く一般的に、カルボン酸エステルをアミンでアミド化してカルボン酸アミドにすることを促進するのに適した塩基性化合物を使用する。適切な触媒の例は、例えば金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはアルコキシドなどの無機および有機塩基である。好ましい一実施形態では、塩基性触媒を、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩およびアルコキシドの群から選択する。この場合、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドおよび炭酸カリウムが特に好ましい。シアニドイオンも触媒として適している。これらの物質は、固体で、または溶液として、例えばアルコール溶液などとして使用することができる。その場合、使用される触媒の量は、選択された反応条件下での触媒の活性および安定性によって左右され、それぞれの反応に合わせるべきである。この場合、使用される触媒の量は幅広く変動し得る。多くの場合、使用されるアミン1モルに対して塩基0.1〜2.0モル、例えば、塩基0.2〜1.0モルを用いて操作するのが有効である。使用されるカルボン酸エステルおよびアミンの量に対して好ましくは0.001〜10重量%の範囲、より好ましくは0.01〜5重量%の範囲、例えば、0.02〜2重量%などの触媒量で上記の反応促進作用性化合物を使用するのが特に好ましい。
【0059】
アミドの本発明による製造は、カルボン酸エステルおよびアミンおよび場合によっては触媒を混合し、続いて、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータ中のマイクロ波伝播方向にある反応管中で、反応混合物にマイクロ波を照射することによって行う。
【0060】
好ましくは、マイクロ波発生器と接続されている中空導波管内に存在する十分にマイクロ波透過性の反応管中で、反応混合物へのマイクロ波の照射を行う。好ましくは、反応管は中空導波管の中心対称軸と軸方向に並んでいる。
【0061】
マイクロ波アプリケータとして機能する中空導波管を好ましくは、空洞共振器として構成する。さらに好ましくは、中空導波管内で吸収されなかったマイクロ波は、その末端で反射される。空洞共振器の長さは好ましくは、定常波がその中で生じるような寸法である。マイクロ波アプリケータを反射型の共振器として形成することによって、発生器から供給される同じ出力で電場の強さの局所的な上昇および高いエネルギー活用が達成される。
【0062】
空洞共振器を好ましくは、E01nモードで稼働させる。ただし、nは整数を表し、共振器の中心対称軸に沿ったマイクロ波場の極大の数を示す。この操作に際して、電場を空洞共振器の中心対称軸の方向に向ける。空洞共振器は、中心対称軸の領域に1つの極大を有し、外側面に向かって値0へと減少する。この場の形状は、中心対象軸の周りで回転対称である。nが整数となる長さを有する空洞共振器を使用することにより、定常波の形成が可能である。反応管を通過する反応物の所望の流速、必要な温度、および共振器内での必要な滞留時間に応じて、使用されるマイクロ波放射線の波長に対する共振器の長さを選択する。好ましくは、nは1〜200、より好ましくは2〜100、特に3〜50、とりわけ4〜20、例えば、3、4、5、6、7、8、9または10などの整数である。
【0063】
空洞共振器のE01nモードはまた、英語でTM01nモードとも称される。例えば、K. Lange、K.H. Loecherer、「Taschenbuch der Hochfrequenztechnik」、第2巻、K21頁以下(非特許文献3)を参照されたい。
【0064】
マイクロ波アプリケータとして機能する中空導波管へのマイクロ波エネルギーの入射は、適切な寸法の穴またはスリットを通して行うことができる。本発明による特に好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴う中空導波管内に存在する反応管中で行う。この方法にとって特に好ましいマイクロ波装置は、空洞共振器と、空洞共振器にマイクロ波場を結合するための結合装置と、2つの対向する端壁に位置し、反応管を共振器中を貫通させるための、それぞれ1つの開口部とから構成されている。空洞共振器中へのマイクロ波の結合は好ましくは、空洞共振器内に突出している結合ピンを介して行う。好ましくは、結合ピンは、結合アンテナとして機能する、好ましくは金属製の内部導体管として形成されている。特に好ましい一実施形態では、この結合ピンは、端面開口部の一方を通って、空洞共振器内に突出している。特に好ましくは、反応管は、同軸遷移の内部導体管に接続され、特に、その空洞を通って空洞共振器内に導かれている。好ましくは、反応管は、空洞共振器の中心対象軸と軸方向に並んでいる。このために、空洞共振器は好ましくは、2つの対向する端壁に位置し、反応管を貫通させるための、それぞれ1つの中心開口部を備えている。
【0065】
結合ピンへの、または結合アンテナとして機能する内部導体管へのマイクロ波の供給は例えば、同軸の接続線によって行うことができる。好ましい一実施形態では、マイクロ波場を中空導波管を介して共振器に供給するが、この場合、空洞共振器から中空導波管の壁面に存在する開口部内に突き出た結合ピンの端部が、中空導波管内に突き出し、中空導波管からマイクロ波エネルギーを取り出して、共振器内に結合する。
【0066】
特定の一実施形態において、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴うE01n丸形中空導波管内に軸対称に存在するマイクロ波透過性反応管内で行う。この場合、反応管は、結合アンテナとして機能する内部導体管の空洞を通って空洞共振器へと導かれる。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸入射を伴うE01n空洞共振器中を貫通するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大がn=2以上形成されるように設定される。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸入射を伴うE01n空洞共振器を貫通するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大をn=2以上有する定常波が形成されるように設定される。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴う円筒形E01n空洞共振器内に軸対称に存在するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大がn=2以上形成されるように設定される。さらなる好ましい一実施形態においては、マイクロ波による反応混合物の照射は、マイクロ波の同軸遷移を伴う円筒形E01n空洞共振器内に軸対称に存在するマイクロ波透過性反応管内で行うが、その際、空洞共振器の長さは、マイクロ波場の極大をn=2以上有する定常波が形成されるように設定される。
【0067】
例えば、マグネトロン、クライストロンおよびジャイロトロンなどのマイクロ波発生器が当業者に公知である。
【0068】
本発明による方法を実施するために使用される反応管は好ましくは、十分にマイクロ波透過性の高融点材料から製造されている。特に好ましくは、非金属製の反応管を使用する。本明細書において十分にマイクロ波透過性とは、可能な限り僅かなマイクロ波エネルギーを吸収し、熱に変換する材料であると理解される。物質の、マイクロ波エネルギーを吸収し熱に変換する能力の尺度としてしばしば、誘電損率tanδ=ε’’/ε’が使用される。誘電損率tanδは、誘電損ε’’と比誘電率ε’の比として定義される。種々の材料のtanδ値の例は例えば、D. Bogdal、Microwave-assisted Organic Synthesis、Elsevier 2005(非特許文献4)に挙げられている。本発明に適した反応管としては、2.45GHzおよび25℃で測定して0.01未満、とりわけ0.005未満、特に0.001未満のtanδを有する材料が好ましい。好ましいマイクロ波透過性で熱に安定な材料としては、第一に、好物をベースとした材料、例えば石英、酸化アルミニウム、サファイア、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素などが該当する。とりわけフルオロポリマー、例えばテフロンなどの熱に安定なプラスチック、およびポリプロピレンやポリアリールエーテルケトン、例えばガラス繊維強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリング・プラスチックも、管材料として適している。反応中の温度条件に耐えるためには、これらのプラスチックでコーティングされた石英または酸化アルミニウムなどの鉱物が反応器材料としてとりわけ実証済みである。
【0069】
本発明による方法に特に適した反応管は、1mm〜約50cm、とりわけ2mm〜35cm、特に5mm〜15cm、例えば10mm〜7cmの内径を有する。反応管とは本明細書において、長さと直径の比が5より大きく、好ましくは10〜100000、特に好ましくは20〜10000、例えば30〜1000である容器であると理解される。その際、反応管の長さとは、マイクロ波照射が行われる反応管の区間であると理解される。反応管中に、バッフルおよび/または他の混合要素を組み込んでもよい。
【0070】
本発明による方法に特に適したE01空洞共振器は好ましくは、使用されるマイクロ波放射線の波長の少なくとも半分に相当する直径を有する。好ましくは、空洞共振器の直径は、使用されるマイクロ波放射線の波長の半分の1.0〜10倍、特に好ましくは1.1〜5倍、とりわけ2.1〜2.6倍である。好ましくは、E01空洞共振器は円形の断面を有し、これは、E01丸形中空導波管とも称される。特に好ましくはこれは、筒形、特に円筒形を有する。
【0071】
反応管は通常、入口に計量ポンプおよび圧力計を、かつ出口に圧力維持装置および熱交換機を備えている。これによって、非常に広い圧力範囲および温度範囲での反応が可能となる。
【0072】
エステル、アミンおよび場合によっては触媒および/または溶媒からなる反応混合物の製造は、連続的、断続的、またはセミバッチ式プロセスで実施することができる。したがって反応混合物を、先行する(セミ)バッチ式プロセスで、例えば、撹拌容器中で製造することができる。好ましい一実施形態では、出発物質のアミンおよびカルボン酸エステルを、両方とも互いに独立に場合によっては溶媒で希釈し、反応管に入れる直前になって初めて混合する。例えば、とりわけ互いに無制限に混合可能ではない出発物質を使用する場合、アミンとエステルの混合を混合区域で行い、そこから、反応混合物を反応管へ搬送するのが有効である。さらに好ましくは、本発明による方法に、出発物質を液体の形態で供給する。このために、より高融点および/またはより高粘性の出発物質は、例えば溶融状態で、かつ/または溶媒を加えて例えば溶液、分散液もしくはエマルションとして使用することができる。使用する場合、触媒は、出発物質の1種または出発物質混合物に、反応管の入口より前で加えることができる。好ましくは、触媒は液体の形態で、例えば出発物質の1つ中または反応条件下で不活性な溶媒中の溶液として使用する。本発明による方法によれば、不均一系も転換することができるが、この場合、反応物を搬送するために、対応する工業設備が必要である。
【0073】
反応混合物は、反応管中に、内部導体管を貫通する端部においても、また反対側の端部においても供給することができる。したがって、反応混合物は、マイクロ波の伝播方向と平行に、または逆平行にマイクロ波アプリケータを貫通することができる。
【0074】
管断面、照射ゾーンの長さ(これは、反応物がマイクロ波放射にさらされる反応管の区間であると理解される)、流速、空洞共振器の幾何形状、および入射されるマイクロ波出力を変えることによって、最大反応温度に可能な限り迅速に到達し、最大温度での滞留時間を短時間にとどめて、副反応または後続の反応の発生が可能な限り少なくなるように、好ましくは反応条件を調整する。反応を完了するために、場合によっては中間冷却の後に、反応物を複数回、反応管中を貫流させることができる。しばしば、反応生成物を、反応管から出た直後に、例えば、ジャケット冷却または減圧によって冷却することが有効である。よりゆっくりと経過する反応ではしばしば、反応管から出た後の反応生成物をなお一定時間、反応温度に保持することが有効である。
【0075】
好ましくは、マイクロ波照射による温度上昇を例えば、マイクロ波強度、流速の調節によって、かつ/または例えば窒素流による反応管の冷却によって、最大500℃までに制限する。特に、120〜最大400℃、とりわけ135〜最大350℃、特に155〜最大300℃の温度で、例えば180〜270℃の温度で反応を実施することが有効である。
【0076】
マイクロ波照射の継続時間は、例えば反応管の幾何形状、入射されるマイクロ波エネルギー、特定の反応および所望の変換率などの様々な因子に左右される。通常、マイクロ波照射は、30分未満、好ましくは0.01秒〜15分、より好ましくは0.1秒〜10分、とりわけ1秒〜5分、例えば5秒〜2分の時間にわたって行う。その際、空洞共振器を出るときに反応物が所望の最大温度を有するように、マイクロ波放射の強度(出力)を調整する。好ましい一実施形態では、反応生成物を、マイクロ波照射の終了直後に可能な限り迅速に、120℃未満、好ましくは100℃未満、特に60℃未満の温度に冷却する。さらなる好ましい一実施形態では、存在する場合には、触媒を、反応管から出た直後に中和する。
【0077】
好ましくは、反応を大気圧〜500バール、より好ましくは1.5バール〜150バール、とりわけ3バール〜100バール、特に1.5バール〜100バール、例えば10バール〜50バールの圧力で行う。出発物質、生成物、場合によっては存在する溶媒の沸点(標準圧力で)より上で、かつ/または反応中に生じるアルコールの沸点より上で操作する、高圧下の操作が特に有効である。特に好ましくは、反応混合物がマイクロ波照射中、液体状態にとどまり、沸騰しないような高い圧力に調整する。
【0078】
副反応を回避し、かつ可能な限り純粋な生成物を製造するために、出発物質および生成物を、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムなどの不活性保護ガスの存在下で取り扱うことが有効である。
【0079】
例えば、反応媒体の粘度を低下させ、かつ/または不均一系である場合には、反応混合物を流動化するために、溶媒の存在下で操作するのが有効であることが判明している。このために、原理的には、使用される反応条件下で不活性であり、出発物質または生じた生成物と反応しない、全ての溶媒を使用することができる。適切な溶媒を選択する際の重要な要因は、その極性であり、これは一方では溶解特性を、他方ではマイクロ波放射との相互作用の規模を決定する。適切な溶媒を選択する際の特に重要な要因は、その誘電損ε’’である。誘電損ε’’は、物質とマイクロ波放射線とが相互作用した場合に熱に変換されるマイクロ波放射の割合を示している。最後の値は、本発明による方法を実施するための溶媒の適合性にとって特に重要な判断基準であることが判明している。
【0080】
最小のマイクロ波吸収を示し、したがって、反応系の加熱に僅かにしか寄与しない溶媒中で操作するのが特に有用である。本発明による方法にとって好ましい溶媒は、室温および2450MHzで測定して10未満、好ましくは1未満、例えば0.5未満の誘電損ε’’を有する。種々の溶媒の誘電損についての概観は例えば、「Microwave Synthesis」、B. L. Hayes著、CEM Publishing 2002(非特許文献5)に見出すことができる。本発明による方法に適しているのはとりわけ、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトンなどの10未満のε’’値を有する溶媒、とりわけ1未満のε’’値を有する溶媒である。1未満のε’’値を有する特に好ましい溶媒の例は、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、ヘキサン、シクロヘキサン、デカン、ペンタデカン、デカリンなどの芳香族および/または脂肪族炭化水素ならびにベンジン留分、灯油、ソルベントナフサ、Shellsol(登録商標)AB、Solvesso(登録商標)150、Solvesso(登録商標)200、Exxsol(登録商標)、Isopar(登録商標)およびShellsol(登録商標)タイプなどの市販の炭化水素混合物である。好ましくは10未満、特には1未満のε’’値を有する溶媒混合物は、本発明による方法を実施するのに同様に好ましい。
【0081】
さらなる好ましい一実施形態では、本発明による方法を、例えば5以上のより高いε’’値、とりわけ10以上のε’’値を有する溶媒中で実施する。それ自体で、即ち、溶媒および/または希釈剤が存在しなくても、非常に低いマイクロ波吸収しか示さない反応混合物を反応させる場合にはとりわけ、この実施形態が有効である。例えば、10未満、好ましくは1未満の誘電損ε’’を有する反応混合物の場合にとりわけ、この実施形態は有効である。しかしながら、溶媒添加によってしばしば観察される反応混合物の加熱の促進には、最大温度を維持するための対策が必要である。
【0082】
溶媒の存在下で操作する場合、反応混合物中のその割合は好ましくは、2〜95重量%、特に5〜90重量%、とりわけ10〜75重量%、例えば30〜60重量%である。特に好ましくは、反応を無溶媒で実施する。
【0083】
さらなる好ましい一実施形態では、反応混合物に、不溶性で、高いマイクロ波吸収性を有する物質を加える。これらは、反応混合物の著しい局所的な加熱をもたらし、その結果、反応をさらに促進する。そのような適切な集熱体(Waermesammler)は例えば、グラファイトである。
【0084】
約1cm〜1mの波長および約300MHz〜30GHzの周波数を有する電磁線をマイクロ波と称する。この周波数範囲が原理的に、本発明による方法に適している。好ましくは本発明による方法では、工業的、科学的、医学的、家庭用および類似の用途のために認められている周波数を有する、例えば、915MHz、2.45GHz、5.8GHzまたは24.12GHzなどの周波数を有するマイクロ波放射を使用する。
【0085】
本発明による方法を実施するために空洞共振器に入射されるマイクロ波出力はとりわけ、目的の反応温度に依存するが、しかし、反応管の幾何形状、したがって反応体積および必要な照射の継続時間にも依存する。これは通常、200W〜数100kW、とりわけ500W〜100kW、例えば1kW〜70kWである。これは、1個または複数のマイクロ波発生器によって発生させることができる。
【0086】
好ましい一実施形態では、反応を耐圧性で化学薬品に不活性な管中で実施するが、その際、場合によっては、出発物質および生成物ならびに、存在する場合には溶媒は圧力蓄積をもたらすことがあり得る。反応の終了時に、減圧することによって易揮発性成分および場合によっては溶媒を揮発および分離除去するために、かつ/または反応生成物を冷却するために、この過剰圧力を利用することができる。副生成物として形成されるアルコールを冷却および/または減圧の後に、慣用の方法、例えば相分離、蒸留、ストリッピング、フラッシュおよび/または吸収によって、分離することができる。しばしば、アルコールは生成物中にも残留し得る。
【0087】
特に高い転換率を達成するために、多くの場合、得られた反応生成物を、場合によっては生成物および/または副生成物を排出した後に再び、マイクロ波照射に掛けることが有効であるが、その際に、場合によっては、消費されたまたは不足している出発物質の分だけ、使用される反応体の割合を補充することができる。
【0088】
通常、本発明による方法によって製造されるアミドは、さらなる使用に十分な純度で生じるので、さらなる精製または後処理は必要ない。しかし、特殊な要求のために、通常の精製法、例えば蒸留、再結晶化、濾過またはクロマトグラフィー法に従って、さらに再精製することもできる。
【0089】
本発明による方法の利点は、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にあり、とりわけ同軸移行を伴うE01空洞共振器内部に存在する反応管内で、対称マイクロ波場の中心で反応物が非常に均等に照射されることにある。本発明による反応器設計により、非常に高い圧力および/または温度でも反応を実施することが可能となる。温度上昇および/または圧力上昇によって、公知のマイクロ波反応器と比べても転換率および収率の明らかな上昇が観察され、その際、不所望な副反応および/または着色が生じることもない。その際、意外にも、空洞共振器に入射されるマイクロ波エネルギーを利用すると、非常に高い効率が達成され、これは通常、入射されるマイクロ波出力の50%超、しばしば80%超、一部では90%超、特殊な場合には95%超、例えば98%超であり、したがって、慣用の製法と比べて、また従来技術のマイクロ波法と比べても経済的で生態学的な利点を示す。
【0090】
加えて、本発明による方法によって、制御された信頼でき再現可能な反応の実施が可能となる。反応管中の反応物は、マイクロ波の伝播方向に対して平行に移動するので、例えば波頂および節点におけるマイクロ波場の強度変化によって局所的な過熱をもたらす制御不可能な場の分布による公知の過熱現象は、反応物の流動によって解消される。前記の利点によって、例えば10kW超、または100kW超の高いマイクロ波出力で操作することも可能となり、したがって、空洞共振器中での短時間のみの滞留時間とあいまって、1つのプラントで1年当たり100トン以上の大量の生産量を達成することが可能となる。
【0091】
その際、連続的に通過する流管中で、マイクロ波場での反応物の滞留時間が非常に短いにも関わらず、過剰に使用される成分に対して一般に80%超、多くの場合に90%超、例えば95%超の転換率で、非常に十分なアミド化が生じ、その際、特記すべき量の副生成物が形成されないことは意外であった。さらに意外だったことに、これらの反応条件下で、アミノ分解の際に生じたアルコールを分離することなく、前記の高い転換率を達成することができる。同じ寸法の流管中、熱ジャケット加熱下でのこれらの反応混合物の対応する反応では、適切な反応温度を達成するために、極めて高い壁体温度が必要であり、これは、着色した化学種の形成はもたらすが、同じ時間内で、僅かなアミド形成しかもたらさない。
【0092】
したがって、本発明による方法によって、非常に迅速で、エネルギーを節減する安価なカルボン酸アミドの製造が、高収率および高純度で工業的大規模量で可能となる。この方法では、アルコールの他には、重大な量の副生成物は生じない。そのような迅速で選択的な反応は、従来の方法によっては達成することができず、かつ単に高温に加熱するだけでは期待できなかった。
【実施例】
【0093】

マイクロ波照射下での反応混合物の反応を、円柱形空洞共振器(60×10cm)内に軸対称に存在するセラミック管(60×1cm)中で行った。中空共振器の一方の端部で、セラミック管は、結合アンテナとして機能する内部導体管の空洞を通り抜けて延びていた。マグネトロンによって生じさせた周波数2.45GHzのマイクロ波場を結合アンテナによって、中空共振器内に結合し(E01空洞アプリケータ;モノモード)、そこで定常波が生じた。
【0094】
マイクロ波出力を実験期間にわたってそれぞれ、照射ゾーンの端部で反応物の所望の温度が一定に保持されるように調整した。したがって、実験の記載で述べられているマイクロ波出力は、入射されたマイクロ波出力の時間的な平均値を表している。反応混合物の温度測定は、反応ゾーン(ステンレス鋼毛細管、直径1cm、約15cm区間)を出た直後にPt100温度センサによって行った。反応混合物によって直接吸収されなかったマイクロ波エネルギーは、結合アンテナとは反対側の空洞共振器の端面で反射され、反応混合物によって復路でも吸収されずに、マグネトロンの方向に反射されたマイクロ波エネルギーはプリズム系(サーキュレータ)によって、水を入れた容器内に導かれた。入射されたエネルギーと、この水負荷の加熱との差違から、反応物中に導入されたマイクロ波エネルギーを算出した。
【0095】
高圧ポンプおよび適切な減圧弁によって、反応管中の反応混合物を、全ての出発物質および生成物または縮合生成物を常に液体の状態にしておくのに十分な作業圧力にした。エステルおよびアミンを含有する反応混合物を一定の流料で、反応管中をポンプ給送し、流速を変更することによって照射帯域における滞留時間を調節した。
【0096】
生成物の分析はH−NMR分光法によって、500MHz、CDCl中で行った。
【0097】
例1
ヤシ油脂肪酸−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アミドの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、ヤシ油脂肪4.6kg(6mol/分子量764g/mol)を初めに投入し、55℃に加熱した。この温度で、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン2.76kg(27mol)および触媒としてナトリウムメチラート100gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0098】
こうして得られた反応混合物を35バールの操作圧で連続的に5l/時で、ポンプを用いて反応管に通し、2.5kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの92%が反応物によって吸収された。照射ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は、約34秒であった。反応管の端部で、反応混合物は271℃の温度を有した。反応器を出た直後に、反応混合物を室温に冷却した。
【0099】
反応生成物はやや黄色に着色していた。生じたグリセリンおよび過剰のN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを分離した後に、ヤシ油脂肪酸(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アミド5.4kgが純度95%で得られた。
【0100】
例2
N,N−ジエチルヤシ油脂肪酸アミドの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、ヤシ油脂肪4.2kg(5.5mol/分子量764g/mol)を初めに投入し、45℃に加熱した。この温度で、ジエチルアミン2kg(27mol)および触媒としてナトリウムエチラート100gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0101】
こうして得られた反応混合物を35バールの操作圧で連続的に4.5l/時で、ポンプを用いて反応管に通し、2.2kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの91%が反応物によって吸収された。照射ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は、約38秒であった。反応管の端部で、反応混合物は265℃の温度を有した。反応器を出た直後に、反応混合物を室温に冷却した。
【0102】
反応生成物はやや黄色に着色していた。生じたグリセリンおよび過剰のジエチルアミンを分離した後に、N,N−ジエチルヤシ油脂肪酸アミド3.7kgが純度97%で得られた。
【0103】
例3
N,N−ジメチルアセトアミドの製造
ガス送込管、攪拌機、内部温度計および均圧管を備えた10lのBuechi撹拌オートクレーブに、酢酸エチルエスエル1.76kg(20mol)を初めに投入し、ジエチルアミン6kg(40モル、エタノール中30%溶液として)および触媒としてナトリウムエチラート100gを徐々に加え、撹拌下で均一化した。
【0104】
こうして得られた反応混合物を35バールの操作圧で連続的に6l/時で、ポンプを用いて反応管に通し、3.2kWのマイクロ波出力を当てたが、そのうちの95%が反応物によって吸収された。照射ゾーンにおける反応混合物の滞留時間は、約28秒であった。反応管の端部で、反応混合物は278℃の温度を有した。反応器を出た直後に、反応混合物を室温に冷却した。
【0105】
転換率は理論値の88%に達した。反応生成物は無色であった。原料を蒸留によって分離した後に、N,N−ジメチルアセトアミド1.5kgが純度>99%で得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族カルボン酸のアミドを連続的に製造する方法であって、少なくとも1種の式(I)のカルボン酸エステルを
−COOR (I)
[式中、
は、水素または1〜100個の炭素原子を有する、場合によっては置換された脂肪族炭化水素基を表し、
は、1〜30個の炭素原子を有する、場合によっては置換された炭化水素基を表すか、または
およびRは、5、6または7個の環員を有する、場合によっては置換された環を形成している]、
少なくとも1種の式(II)のアミンと
HNR (II)
[式中、
およびRは互いに独立に、水素または1〜100個のC原子を有する置換されていてもよい炭化水素基を表す]
マイクロ波照射下、長軸がモノモードマイクロ波アプリケータのマイクロ波伝播方向にある反応管中で反応させて、カルボン酸アミドにする方法。
【請求項2】
導波管を介してマイクロ波発生器に接続している中空導波管内部に存在する十分にマイクロ波透過性の反応管中で、マイクロ波による前記反応混合物の照射を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ波アプリケータが空洞共振器として構成されている、請求項1および2のいずれか一つに記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ波アプリケータが、反射型の空洞共振器として構成されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記反応管が、中空導波管の中心対称軸と軸方向に並んでいる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記反応混合物の照射を、マイクロ波の同軸遷移を伴う空洞共振器内で行う、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記空洞共振器をE01nモード(ここで、nは1〜200の整数である)で動作させる、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記空洞共振器内で、定常波を生じさせる、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記反応物を前記マイクロ波照射によって、120〜500℃に加熱する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロ波照射を大気圧より高い圧力で行う、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
が2〜26個のC原子を含む、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
が、少なくとも1個のさらなるエステル基−COOR(式中、Rは、1〜30個の炭素原子を有する、場合によっては置換された炭化水素基を表す)を有する、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
が、2〜100個のC原子を有し、少なくとも1個のC=C二重結合を含む、場合によっては置換された脂肪族炭化水素基を表す、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
が2〜24個のC原子を含む、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
が1個または複数のさらなるヒドロキシル基を有する、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
式(I)の化合物が、脂肪族カルボン酸と1〜4個のC原子を有するモノアルコールとのエステルである、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
式(I)の化合物が、同じまたは異なる、場合によっては置換された脂肪族カルボン酸と、2〜6個のヒドロキシル基を有するポリアルコールとのエステルである、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
式(I)の化合物が、分子内エステルである、請求項1〜17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
および/またはRが互いに独立に、2〜24個のC原子を有する脂肪族基である、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4員以上の環員を有する環を形成している、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
および/またはRが互いに独立に、場合によっては置換されたC〜C12−アリール基または5〜12員の環員を有する、場合によっては置換されたヘテロ芳香族基を表す、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
および/またはRが互いに独立に、式(V)の基
−(RO)−R (V)
[式中、
は、2〜6個のC原子を有するアルキレン基またはその混合物を表し、
は、水素、1〜24個のC原子を有する炭化水素基または式−R−NR1112の基を表し、
nは、2〜50の数を表し、
11、R12は互いに独立に、1〜24個のC原子を有する脂肪族基、5〜12員の環員を有するアリール基またはヘテロアリール基、1〜50個のポリ(オキシアルキレン)単位を有するポリ(オキシアルキレン)基(ここで、前記ポリ(オキシアルキレン)単位は2〜6個のC原子を有するアルキレンオキシド単位に由来する)を表すか、またはR11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4、5、6員以上の環員を有する環を形成している]
を表す、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項23】
および/またはRが互いに独立に、式(VI)の基
−[R−N(R10)]−(R10) (VI)
[式中、
は、2〜6個のC原子を有するアルキレン基またはその混合物を表し、
10はそれぞれ互いに独立に、水素、24個までのC原子を有するアルキル−またはヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基−(R−O)−Rまたはポリイミノアルキレン基−[R−N(R10)]−(R10)を表し、
は、2〜6個のC原子を有するアルキレン基またはその混合物を表し、
は、水素、1〜24個のC原子を有する炭化水素基または式−R−NR1112の基を表し、
11、R12は互いに独立に、1〜24個のC原子を有する脂肪族基、5〜12員の環員を有するアリール基またはヘテロアリール基、1〜50個のポリ(オキシアルキレン)単位を有するポリ(オキシアルキレン)基(ここで、ポリ(オキシアルキレン)単位は2〜6個のC原子を有するアルキレンオキシド単位に由来する)を表すか、またはR11およびR12は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4、5、6員以上の環員を有する環を形成していて、qおよびpは互いに独立に1〜50を表し、
mは、1〜20の数である]
を表す、請求項1〜18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項24】
式(II)のアミンが第一級アミンである、請求項1〜19および/または21〜25のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
式(II)のアミンが第二級アミンである、請求項1〜23のいずれか一つに記載の方法。

【公表番号】特表2012−531451(P2012−531451A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518033(P2012−518033)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003445
【国際公開番号】WO2011/000462
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】