説明

脂肪族ポリグリコシドを用いたベシクルの使用によって製造した製品およびその用途

【課題】ベシクル及びリポゾームを、安定且つ希釈可能な形で容易に得るシステムを提供する。
【解決手段】ベシクルまたはリポソームの分散液を形成可能な界面活性剤システムであって、次式:RO(X)n(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3の間の値である。)で表される少なくとも1種の脂肪族ポリグリコシド、および可溶化剤または共界面活性剤を包含するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の脂肪族ポリキシロシドの使用に基づく、ベシクルまたはリポソームの分散液の調製方法に関する。この方法で形成される組織化システムは、化粧品、医薬品、農芸化学、洗浄剤、水処理や土壌および帯水層の除染などの様々な産業で使用することができる。
【背景技術】
【0002】
組織化システム、ベシクルまたはリポソームとは、大きさが数ミクロンまたは1ミクロン以下(通常、0.1〜10μm)のほぼ球形のカプセルを形成する、一層または複数層の界面活性剤からなる超分子凝集体である。このようなカプセルは、その層の内側、層間および層内部に、1種以上の活性物質が溶解または分散した水相または非水相を含有し、全体として1つ以上の相を封入した構造となる。このような凝集は、複数の界面活性剤層が中心から外面に向かって重なるように構成されている場合は、一般的にオニオン層、マルチラメラベシクルまたはMLVとも呼ばれ、一方、1層または数層のみからなり、封入に適した部位となる中央腔を有する場合には、ユニラメラベシクル、ULVまたはリポソームと呼ばれる。組織化システム、ベシクルまたはリポソームを調製するための方法は無数にあり、特によく知られている方法として、R.G. LaughlinによってColloids Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 128 (1997)に記載されている方法を挙げることができる。第1の方法は、高い剪断力を(通常はラメラ状の液晶相の形状である)界面活性剤溶液または脂質溶液に加える方法である。この剪断力は、音波処理、液体を強制的に検量オリフィスを通過させる処理、膜濾過、または高圧ホモジェナイザー処理によって加えることができる。第2の方法は、界面活性剤溶液を適切な溶媒で希釈するか若しくは透析に付すことによって、ベシクルを沈殿させる方法である。この方法は、ベシクルの粒度分布と平均サイズを調整するために、剪断法と組み合わせることもできる。第3の方法は、溶媒の除去によって形成された固体フィルム、通常は脂質フィルムを水和させる方法である。その他の方法として、溶液に溶媒を注入する方法や、不溶性界面活性剤の液滴を極性表面に沈着させ、水に浸漬する方法が挙げられる。一般的な方法の更なる例として、化学反応、例えば、媒体の酸性化による脂肪酸の沈殿や、重合反応なども挙げることができる。
【0003】
国際公開公報 WO 93/19735は、層状界面活性剤の濃縮溶液から開始し、クエット型のセルによって付加する剪断力によって大きさを制御したカプセルを製造する方法を開示している。国際公開公報 WO 01/32146は、アクリレートなどの末端基を重合によって安定化した、両親媒性共重合体からなるカプセルを開示している。特に米国特許公開公報 US 2004057988A1は、濃縮、乾燥、固体フィルムの再水和、およびそれに続く濾過によってリポソームを製造する方法を開示している。ヨーロッパ特許公開公報 EP 023126A1は、脂質分散液を通常は液体窒素内で急激に冷却することによるリポソームの製造方法を提供する。米国特許第4,752,425号および米国特許第4,737,323号は、溶媒で希釈した脂質溶液を水相に注入し、溶媒を連続的に除去することによってリポソームを製造する方法を提供する。
【0004】
Advances in Colloid and Interface Science 121 (2006)においてS. Segotaは、ベシクルおよびリポソームの形成に特に適した界面活性剤の構造を記述している。このような分子の主なクラスは、各極性頭部に2つ以上の親油性鎖を有している。これらは主としてリン脂質および糖脂質であり、天然抽出または合成により得ることができるものである。ジアルキル−ジメチル−アンモニウムヒドロキシドなどの2本鎖型の界面活性剤、またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン性)とジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(カチオン性)の混合物のような、一般的にカタニオニック(catanionic)と呼ばれる正負の電荷を帯びた界面活性剤のペアを用いたベシクルについても記載されている。
【0005】
ベシクルは、1本鎖型の界面活性剤によっても形成されるが、一般的には、界面活性剤/共界面活性剤/水複合混合物、例えば、エトキシル化脂肪族アルコール(5個のエチレンオキシド単位を有するラウリン酸アルコール、即ち、C125)にベシクルの形成に必須の共界面活性剤としてコレステロールを導入した混合物によって形成される。
【0006】
アルキルポリグリコシドは、非イオン系界面活性剤の一クラスを構成するものであり、それを構成する成分が再生可能な原料に由来すること、皮膚および粘膜に対する刺激が比較的穏やかであること、生分解の容易性および環境負荷の低さから特に高く評価されている。
【0007】
ドイツ国特許公開公報 DE19634374A1は、下記式(1)で表されるアルキルポリグルコシド、即ち、APGを用いて形成したベシクルの分散液を開示している。
RO(G)n (1)
(式中、Rは炭素数12〜22の直鎖状脂肪族ラジカルを表し、nは糖鎖の重合度(即ち、Dp)を表し、1〜2の間の値である(プロダクトA)。)
APGは、炭素数12〜22の直鎖状脂肪族アルコール(プロダクトB)と、A/Bの重量比が1/(0.1〜2)となるように混合することが必須である。言い換えれば、システムA+Bの総重量に対してC12〜C22アルコールが9.1〜66.7重量%である。該混合物は、ステロール類(植物ステロールなど)やジセチルリン酸塩などの、容易にリポソームを形成することが知られている脂質共界面活性剤を更に含有することが好ましいとされている。
【0008】
Nonionic Surfactants, Alkyl Polyglucosides, Surfactant Science Series vol.91, M. Dekker, NY, 2000において、D. Balzerは、溶液中のAPGの結晶構造および液晶構造について検討した。炭素数8〜10のアルキル鎖を有するAPGは、78〜81重量%の範囲の時にラメラ相を形成する(C8/C10 APG、n=1.5)。一方、炭素数12〜14のアルキル鎖を有する、より長いAPGは、65重量%を超えた時にラメラ相を形成する(C12/C14 APG、n=1.3)。
【0009】
ラメラ相の形成がベシクルまたはリポソームの形成に必須の条件の1つであると仮定すると、式(1)のAPGは65%を超える濃度においてのみ、ベシクルまたはリポソームの形成が可能ということになる。
【0010】
最後に、2001年に発行された米国特許第6,251,425号には、APGはステロイド不存在下ではベシクルを形成することのできない一級界面活性剤であると明確に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開公報 WO93/19735
【特許文献2】国際公開公報 WO 01/32146
【特許文献3】米国特許公開公報 US 2004057988A1
【特許文献4】ヨーロッパ特許公開公報 EP 023126A1
【特許文献5】米国特許第4,752,425号
【特許文献6】米国特許第4,737,323号
【特許文献7】ドイツ国特許公開公報 DE19634374A1
【特許文献8】米国特許第6,251,425号
【0012】
【非特許文献1】Colloids Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 128 (1997)
【非特許文献2】Advances in Colloid and Interface Science 121 (2006)
【非特許文献3】Nonionic Surfactants, Alkyl Polyglucosides, Surfactant Science Series vol.91, M. Dekker, NY, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ベシクルおよびリポソームの製造およびその応用の複雑さ、そして上記の組織化システムを、APGのみを用いて、安定且つ希釈可能な形で容易に得ることの難しさが、本発明において解決しようとする技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のベシクルまたはリポソームは、下記式で表される少なくとも1種の脂肪族ポリグリコシド(脂肪族ポリキシロシド)を用いて製造したものである。
RO(X)n (2)
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族ラジカルを表し、Xは、L型またはD型であって、フラノース型またはピラノース型のα−キシロース残基またはβ−キシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3、好ましくは1〜1.5の間の値である。)
【発明の効果】
【0015】
本発明者らは、式(2)の脂肪族ポリグリコシドは、その脂肪族鎖が炭素数12以下のもの(例えば、直鎖状アルキル鎖)であっても、組織化システムの分散液や安定且つ希釈可能なベシクルまたはリポソームを容易に形成することができることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。組織化システム、ベシクルまたはリポソームが「容易に」得られるということは、単独でこのようなシステムを形成するステロイドや脂肪族アルコールに代表される共界面活性剤の使用を必要とせず、更には超音波処理機やクエット型混合器などの特殊な混合器を使用することなく、沈殿または凍結、あるいは溶媒の注入または溶媒の蒸発によって得られる固相を介することなく、驚くほど簡便に本発明が実施可能であることを意味する。「安定」とは、本発明の方法によって得られたベシクルまたはリポソームは、保存期間および保存温度(通常は4℃〜60℃)の関数として求めた耐久性および平均サイズ維持性が高いことを意味する。「希釈可能」とは、初期ベシクルまたはリポソームの耐久性およびサイズを確保しつつ、ベシクルまたはリポソームの濃縮溶液を適当な溶媒、通常は水性溶媒に分散することが可能であり、そのときの希釈因子が2〜1000倍、好ましくは5〜100倍であることを意味する。本発明の特徴の1つは、形成した組織化システム、ベシクルまたはリポソームが、例え複雑な処方(例えば、エマルジョン、洗浄用または清浄用の製剤、作物保護剤または土壌除染剤)においても、驚くべき安定性を示すことである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1で得られた多層ベシクルの凍結割断レプリカを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得た画像である。
【図2】実施例2で得られた、15質量%のXyl C10 DP=1.5を用いて作製した多層ベシクルの凍結割断レプリカを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得た画像である。
【図3】実施例2で得られた、7.5質量%のXyl C10 DP=1.5を用いて作製した多層ベシクルの凍結割断レプリカを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得た画像である。
【図4】実施例2で得られた、1.875質量%のXyl C10 DP=1.5を用いて作製した多層ベシクルの凍結割断レプリカを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得た画像である。
【図5】実施例2で得られた、0.9375質量%のXyl C10 DP=1.5を用いて作製した多層ベシクルの凍結割断レプリカを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得た画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ベシクルまたはリポソームを形成可能な界面活性剤システムを水相、溶媒または油剤の中に分散させることを包含する、マルチラメラベシクルまたはリポソームの分散液を製造するための方法であって、該界面活性剤システムが、5〜99質量%、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%の下記式で表される少なくとも1種の脂肪族ポリグリコシドを含有することを特徴とする方法である。
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3の間の値である。)
【0018】
更に本発明は、化粧品用、医薬品用または植物療法用の活性物質、香料、酵素、栄養物、微量元素、生物材料、エッセンシャルオイル、および有機分子を酸化または分解することが可能な薬剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有効成分をマルチラメラベシクルまたはリポソームに封入するための方法であって、該有効成分は希釈せずに、あるいは油剤、溶媒または水で希釈して界面活性剤システムと混合し、そして得られた混合物を水相、溶媒または油剤に分散することを包含し、該界面活性剤システムが、5〜99質量%、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%の下記式で表される少なくとも1種の脂肪族ポリグリコシドを含有することを特徴とする方法。
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3の間の値である。)
【0019】
「分散液」という用語には、溶解液、可溶化物、および水性または非水性の連続相に形成された懸濁液またはコロイド溶液が含まれる。
【0020】
本発明の界面活性剤システムは、下記成分を包含する。
5〜99質量%、好ましくは30〜90質量%の下記式:
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3、好ましくは1〜1.5の間の値である。)
で表される脂肪族ポリグリコシド、
0.1〜70質量%の、親水性親油性比(HLB)が10以上である少なくとも1種の共溶媒、および
0〜70質量%、好ましくは0.1〜70質量%の、直鎖状または分岐状C1〜C20アルコール、C3〜C20グリコールエーテル、アミルグリコシド、ブチルグリコシド、ヘキシルグリコシド、2−エチルヘキシルグリコシド、オクチルグリコシド、イソノニルグリコシド、イソデシルグリコシド、オクチルデシルグリコシド、グリセロール、グリセロールの部分誘導体、テルピノールならびに直鎖状または分岐状C1〜C20アルコールと酢酸、蟻酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、ラウリン酸およびオレイン酸からなる群より選ばれる有機酸とのエステルからなる群より選ばれるヒドロトロープまたは共溶媒、および
0.1〜70質量%の水。
【0021】
該界面活性剤システムは、95〜5質量%、好ましくは70〜10質量%の他の脂肪族ポリグリコシド、好ましくはペントシドまたはヘキソシドを含んでいてもよい。
【0022】
ベシクルまたはリポソームの安定性および分散性をより向上させるために、1種以上の式(2)の脂肪族ポリグリコシドおよび1種以上の共界面活性剤および/または1種以上の共溶媒を含む界面活性剤システムを有利に使用することができる。共界面活性剤は、それ自体が必ずしも組織化システムやリポソームを形成するものではない。この場合、共界面活性剤および/または共溶媒に対する脂肪族ポリグリコシドの質量比は0.5〜1000倍、好ましくは1〜100倍である。言い換えれば、共界面活性剤または共溶媒の量は、全体の1〜50質量%となることが好ましい。
【0023】
安定且つ水性媒体で希釈可能な分散液を得るためには、好ましくはHLBが10超、より好ましくは15超の共界面活性剤を使用する。HLBは、hydrophilic-lipophilic balance(親水性親油性比)の略であり、“Technique et Documentation (Lavoisier)”によって1983年に発行されたGalenica collection内の“Agents de surface et emulsion”に詳細な説明があり、グリフィン法(Griffin WC: “Calculation of HLB Values of Non-Ionic Surfactants”, Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5 (1954): 259)またはデイビス法(Davies JT: “A quantitative kinetic theory of emulsion type, I. Physical chemistry of the emulsifying agent”, Gas/Liquid and Liquid/Liquid Interface Proceedings of the International Congress of Surface Activity (1957): 426-438)によって計算することができる。
【0024】
共界面活性剤として使用可能な化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。オクチルポリグリコシド、ヘキシルポリグリコシド、2−エチルヘキシルポリグリコシド、ブチルポリグリコシド、2−メチルヘキシルポリグリコシドおよび3−メチルヘキシルポリグリコシドなどのポリグリコシド;ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸およびトリオレイン酸からなる群より選ばれる有機酸のエトキシ化ソルビタンエーテルなどのポリエトキシ化ソルビタンエーテル;40モルのエチレンオキシドを含む水素化ヒマシ油などのポリエトキシ化油;ならびに23個のエトキシレート単位を有するラウリルアルコールおよび28個のエトキシレート単位を有するオレイルアルコールなどの高エトキシル化脂肪族アルコール。共溶媒としては、エタノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノールおよびドデカノールなどの直鎖状アルコール;2−エチルヘキサノール、イソアミルアルコール、3−メチルブタノール、2−ブチルオクタノール、2−ブチルデカノール、2−ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノールおよびテルピノールなどの分岐アルコール;モノグリセロールエステルなどのグリセロールおよびその誘導体;ポリグリセロールモノステアレートやポリグリセロールポリリシノレートなどのポリグリセロールおよびその誘導体;ブチレングリコール;プロピレングリコール;ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテルおよびトリエチレングリコールブチルエーテルなどのグリコールエーテルとその酢酸エステルが挙げられる。更にC12〜C24脂肪酸(飽和脂肪酸でも、1つ以上の不飽和結合を有するものでもよい)のメチルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、2-エチルヘキシルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、デシルエステルおよびイソデシルエステルなどの脂肪酸エステルも使用することができる。
【0025】
安定であり、且つ非水性媒体で希釈可能な分散液を得るための好ましい態様においては、HLBが10未満、好ましくは7未満、更に好ましくは5未満の共界面活性剤を、HLBが10以上の共界面活性剤の代わりに有利に使用することができる。HLBの低い共界面活性剤は以下の具体例から選択することができるが、これらに限定されるものではない。ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステルおよびソルビタントリステアリン酸エステルなどのソルビタンエステル;POE(2)ソルビタンステアリン酸エステルなどの軽度エトキシ化ソルビタンエステル;プロピレングリコールモノオレイン酸エステルおよびプロピレングリコールモノミリスチン酸エステルなどの脂肪酸のプロピレングリコールエステル;グリセロールモノオレイン酸エステルおよびグリセロールモノステアリン酸エステルなどのグリセロールモノエステル;ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖トリステアリン酸エステル、ショ糖ポリステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖トリパルミチン酸エステル、ショ糖ポリパルミチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖トリラウリン酸エステルおよびショ糖ポリラウリン酸エステルなどの糖エステル;セチルアルコールPOE(2)およびオレイルアルコールPOE(2)などの軽度エトキシ化脂肪族アルコール;ならびに5モルのエチレンオキシドを含む水素化ヒマシ油などの軽度エトキシ化油。
【0026】
本発明は、種々の分野に応用可能である。本発明は、化粧品用、医薬品用または植物療法用の活性物質、香料、酵素、栄養物、微量元素、生物材料、エッセンシャルオイルおよび有機分子を酸化または分解することが可能な薬剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有効成分を含有するベシクルまたはリポソームであって、該ベシクルまたはリポソームの総質量に対して1〜99質量%、好ましくは10〜95質量%、更に好ましくは30〜90質量%の有効成分を含有し、該有効成分は希釈されていないか、あるいは油剤、溶媒または水で希釈されていることを特徴とする、ベシクルまたはリポソームに関する。更に本発明は、0.01〜90質量%、好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは1〜20質量%のベシクルまたはリポソームを含有し、少なくとも1種の本発明の界面活性剤システムを使用して調製した水中油型エマルジョン、水性溶液または水−アルコール系溶液、あるいは水性ゲルまたは水−アルコール系ゲルのみならず、0.01〜90質量%、好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは1〜10質量%のベシクルまたはリポソームを含有し、少なくとも1種の本発明の界面活性剤システムを使用して調製した油中水型エマルジョン、溶媒または混合溶媒、あるいはマイクロエマルジョンにも関する。
【0027】
化粧品および(皮膚科用)医薬品
化粧品、皮膚科用医薬品およびその他の医薬品の分野においては、特に活性物質の長期間にわたる放出、または外部ストレス(例えば、温度上昇、剪断力の付加やpHの変化などの化学反応)、加水分解反応や酸化反応、または酵素反応による放出を達成するために、活性物質を本発明を用いて封入する。感受性の高い物質、特に酸化や紫外線に対する感受性の高い物質を保護し、その効果を保持するために、本発明のベシクルに封入することも可能である。また、真皮、外皮または皮下組織を経由して標的作動部位にベシクルを送達したり、所望の効果を長期間継続させるために特に皮膚や毛髪から吸収させることも考えられる。
【0028】
本発明の特徴は、複雑な環境、特にエマルジョンおよび界面活性剤の濃縮溶液においても、安定なベシクルが製造可能な点にある。
【0029】
従って、本発明の方法によって製造したベシクルは、特に溶液、分散液、ゲル、ローションなどの形態の水性製品、および水中油型(O/W)エマルジョン、油中水型(W/O)エマルジョン、またはより複雑なシステムである多層エマルジョン(W/O/WまたはO/W/O)などに使用することができ、クリーム、乳液、軟膏、滑剤、ゲル、ローションの製造に特に好適に使用することができる。
【0030】
本発明の方法によって製造したベシクルは、水性媒体および非水性媒体の両方に分散することができるので、水を少量または全く使用しない分野においても用途がある。こういった分野の一例として、マッサージオイル、日焼け止めオイル、スポーツ選手用オイルや皮膚治療用オイルが挙げられる。本発明は、化粧用などの固形または練り物状の製品(例えば、口紅、マスカラおよびファンデーション)の分野においても有用である。
【0031】
ベシクルに封入する物質として、ビタミンA、ビタミンEおよびビタミンCなどのビタミン類;酢酸ベンジル、酢酸リナリル、安息香酸リナリル、シトラール、シトロネラール、リリアール、オイゲノール、シトロネロール、リナロオール、テルペン誘導体、セージ抽出物、カモミール抽出物、カーネーション抽出物、ベチパー抽出物およびハイブリッドラベンダー抽出物などの合成または天然香料;ラベンダー、タイム、セイボリー、セージ、ミント、クミン、キャラウェイ、グリーンアニス、フェンネル、ディル、ユーカリ、カユプテ、ニアウリ、クローブ、パイン、シダー、サイプレス、ジュニパー、レモン、オレンジ、ベルガモット、シナモン、ベイおよびカモミールなどのエッセンシャルオイル;植物抽出物、α−ビスアボロール、パンテノールおよびα−トコフェロールなどの抗炎症剤;アラントインなどの火傷治療剤;レチノールなどのアンチエイジング剤;ジヒドロキシアセトン(DHA)などのセルフタンニング剤;コウジ酸、クマル酸およびアルブチンなどの美白剤;カフェインなどの痩身剤;アルミニウム塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩およびジエチレントリアミン五酢酸などの制汗剤;亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオン、サリチル酸、ピリドン塩およびピペラジン誘導体などのフケ防止剤;ベンゾフェノン誘導体、ケイ皮酸エステル、サリチル酸エステルおよび3−ベンジリデンカンファーなどの紫外線フィルター剤;アスコルビン酸およびその誘導体、クエン酸およびその誘導体、グルタミン酸、グルタミン酸塩およびその誘導体、乳酸およびその誘導体、酒石酸およびその誘導体、バイオフラボノイド類、ブチルヒドロキシ−ヒドロキシアニソール、ならびにカロテンおよびその誘導体などの抗酸化剤;重亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩;クロロブタノール;パラベン、フェノキシエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、ホルムアルデヒド、パンタンジオールおよびソルビン酸などの保存料;グリセロール、ソルビトール、コラーゲン、プロコラーゲン、ゼラチン、アロエベラ、ヒアルロン酸および尿素などの保湿剤;アセタミプリド、エトフェノプロクス、パーメトリン、サイパーメトリン、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよびブチルアセチルアミノプロピオネートなどの避虫剤が挙げられる。更に薬学的に活性な材料も封入することが可能であり、例えば、グルコン酸クロロヘキシジン、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸および塩化セチルピリジウムなどの殺菌剤;アルニカチンキ、ユーカリプトール、メントールおよびジメトキシ−1,2−ベンゼンなどの抗炎症剤;トレチノイド誘導体、アゼライン酸およびサリチル酸などの抗挫創剤;ピリドン誘導体(シクロピロキソールアミンなど)、イミダゾール誘導体(クロトリマゾールなど)、葉酸およびリボフラビンなどの防カビ剤;粘液酸、フィチン酸、NTAおよびEDTAなどの封鎖剤;着色剤;pH調整剤;ならびに天然または合成香料が挙げられる。
【0032】
洗浄剤
本発明の方法によって製造した組織化システム、ベシクルまたはリポソームは、洗浄用製品、特に洗剤、柔軟材、硬質面用洗剤、食器用洗剤および車両清掃用洗剤に使用することができる。
【0033】
洗浄剤、特に液状またはゲル状の洗剤の分野においてベシクルに封入する物質の一例としては、「洗い立て」の爽快感と清潔な布類の好ましい香りを長持ちさせるため、または製品に含まれる、清潔な布類の好ましい香りを洗濯の際に分解しうる酵素(リパーゼなど)から香り成分を保護するための香料が挙げられる。更に紫外線、熱分解、化学分解(特にアルカリ性のpHによる分解)から酵素を保護するために、ベシクルに酵素を封入することもできる。従ってベシクルは、香料と共に紫外線吸収剤、漂白剤またはくすみ防止剤を含んでいてもよく、更には、漂白活性剤、ノニオン性またはカチオン性ビタミン、抗微生物剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、制汗剤、臭い防止剤、栄養物、皮膚保護剤および皮膚保湿剤を含んでいてもよい。
【0034】
香料や香気成分の具体例としては、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、安息香酸リナリル、シトラール、シトロネラール、リリアール、オイゲノール、シトロネロール、リナロオール、テルペン誘導体、セージ抽出物、カモミール抽出物、カーネーション抽出物、ベチパー抽出物およびハイブリッドラベンダー抽出物などの合成または天然香料;ならびにラベンダー、タイム、セイボリー、セージ、ミント、クミン、キャラウェイ、グリーンアニス、フェンネル、ディル、ユーカリ、カユプテ、ニアウリ、クローブ、パイン、シダー、サイプレス、ジュニパー、レモン、オレンジ、ベルガモット、シナモン、ベイおよびカモミールなどのエッセンシャルオイルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
漂白成分としては、例えば、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムや過酸を使用することができる。
【0036】
漂白活性剤としては、例えばN,N,N’,N’−テトラアセチルエチレンジアミンおよびその誘導体、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびその誘導体、ならびに4−ベンゾイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0037】
酵素は、特に脂肪や食品による汚れを洗浄する際に、洗浄用製品の洗浄作用を完全にすることが可能である。使用可能な酵素としては、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、パーオキシダーゼおよびプロテアーゼ(特にノボザイム社の販売するプロテアーゼ)が挙げられる。
【0038】
作物保護用製品
本発明は、農芸化学分野、特に除草剤、殺虫剤、殺カビ剤、殺藻剤、殺鼠剤、殺貝剤、殺ダニ剤、生長調節因子、栄養物、微量元素、肥料、誘導因子、昆虫用忌避剤、動物用忌避剤、鳥用忌避剤、および昆虫やげっ歯類に対するえさのための製剤においても有用である。作物保護用製品は、水性溶液または非水性溶液、水中油型(O/W)エマルジョンまたは油中水型(W/O)エマルジョン、マイクロエマルジョン、サスポエマルジョン、ゲル、乳化可能な濃縮物、あるいは崩壊または分散可能な顆粒、水和剤、錠剤または棒剤のいずれの形態でもよい。
【0039】
本発明のベシクルに物質を封入する目的は、活性材料の正確な量での投与と放出制御、駆除剤の毒性の低減、あるいは生物学的に活性な物質を外部ストレスから保護することが挙げられる。このような外部ストレスとは、紫外線や化学反応(例えば、pHの変化や、硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのイオンとの錯体形成)である。
【0040】
本発明のベシクルに封入する駆除剤の具体例を以下に列挙するが、これらに限定されるものではない。本発明と共に使用可能な除草剤としては、ベンジプラム、シプラゾールおよびホメサフェンなどのアミド型化合物;メタミホプおよびペンタノクロールなどのアニリド;アリールアラニン;アラクロール、メタゾクロール、プロパクロールおよびテルブクロールなどのクロロアセタニリド;ベンゾフルオールおよびピリミスルファンなどのスルホアニリド;ジカンバ、2,3,6−TBAおよびトリカンバなどの安息香酸;フタル酸;ピコリン酸;キノリン−カルボン酸;ベンゾイルシクロヘキサンジオン;ベンゾフラニル−アルキルスルホネート;カルバメート;クロロブファム、クロロプロファム、デスメジファム、フェンメジファムおよびフェンメジファムエチルなどのカルバニル酸エステル;クロプロキシジム、シクロキシジムおよびプロホキシジムなどのシクロヘキサンオキシム;シクロプロキシリソキサゾール;ベンズフェンジゾンおよびフルミキサジンなどのジカルボキシイミジン;ジニトロアニリン;ジニトロフェノール;エトキシフェンなどのジフェニルエーテル;ジチオカルバメート;ハロゲン化脂肪族系除草剤;イミダゾリノン;ブロモキシニル、クロロキシニルおよびジクロベニルなどのニトリル;2,4−DEP、ホサミン、グルホシネート、グリホサートおよびオキサジアゾロンズなどの有機リン系除草剤;2,4−DEB、エチニプロミド、2,4−D、MCPA、2,4−DB、ジクロプロプ、メコプロプ、ジクロホプ、フェナキソプロプ、フルアジホプ、クロジナホプおよびハロキシホプなどのフェノキシ系除草剤;フェニレンジアミン;メタゾクロールおよびベンゾフェナプなどのピラゾール;ピリダジン;ピリダジノン;アミノピラリドなどのピリジン;ピリミジンジアミン; スルファレートおよびチオベンカルブなどのトリカルバメート;チオカーボネート;トリヒドロキシトリアジン、アトラジン、シプラジン、アラトン、プロメトンおよびアジプトリンなどのトリアジン;トリアジノン;トリアゾール;ベンズカルバゾンおよびプロポキシカルバゾンなどのトリアゾロン;トリアゾロピリミジン;フェニル尿素などの尿素系除草剤;アミドスルフロン、エトキシスルフロン、メゾスルフロン、クロロスルフロン、メトスルフロンおよびトリアスルフロンなどのスルホニル尿素系除草剤;ならびにブチウロンおよびチアザフルロンなどのチアジアゾリル尿素系除草剤が挙げられる。そのほかに四級アンモニウムおよびその誘導体;ならびに硫酸銅、スルファミン酸アンモニウム、塩素酸ナトリウムおよびシアン酸カリウムなどの無機除草剤が挙げられる。
【0041】
本発明のベシクルに封入可能な殺虫剤の一例としては、d−リモネン、ニコチン、ピレトリン、ジャスモリンおよびピレスロイドなどの植物由来成分;アリルメチルカルバメートなどのカルバメート系殺虫剤;カルボフラン、カルボスルファンおよびプリミカルブなどの複素環式モノメチルカルバメートおよび複素環式ジメチルカルバメート;オキサミルオキシム、チオファノックスおよびメトミルオキシムなどのカルバメートオキシム;DDT、メトキシクロール、ヘキサクロロシクロヘキサン(HCH)およびその誘導体、ヘプタクロールおよびマイレックスなどの有機塩素系殺虫剤;オルトホスフェート(クロロフェンビンホス、ジクロロボスなど)、ホスホロチオネート(ブロモホス、ジアジノン、パラチオンなど)、ホスホロチオレート、ホスホロチオロチオネート(ジメトエート、ジスルホトン、メナゾンなど)、ホスホネート(トリクロルホン、ブトネートなど)およびピロホスホラミド(シュラーダン)などの有機リン系殺虫剤;昆虫の成長を阻害する殺虫剤であるキチン阻害剤(ノバルロン、ペンフルロンなど)および天然または合成の幼若ホルモン(メトプレン、キノプレンなど);クロロジメホルムおよびアミトラズなどのホルマミジン系殺虫剤;ジフルベンズロンおよびペンフルロンなどのベンゾイルフェニル尿素から誘導した殺虫剤;ならびにボラックス、オレイン酸銅およびチオシアン酸ナトリウムなどの無機殺虫剤が挙げられる。
【0042】
本発明のベシクルに封入可能な殺カビ剤の一例としては、ボルドー混合物、塩基性塩化銅、酸化銅および水酸化銅などの銅殺カビ剤;PMA、酢酸メトキシエチル水銀およびチオメルサールなどの有機水銀剤である、水銀系殺カビ剤;チラムおよびマネブなどのジチオカルバメート;カプタンなどのフタルイミド;クロロタロニルなどのフタロニトリル;ビンクロゾリンなどのジカルボキシイミド;ジノキャップおよびジノクトンなどのジニトロフェノール;ベノミルおよびシペンダゾールなどのベンズイミダゾール;カルボキシンなどのオキサチイン;トリデモルフおよびカルバモルフなどのモルホリン;エチリモルなどのヒドロキシアミノピリミジン;カズガマイシンおよびストロビルリンとその誘導体などの抗生物質系殺カビ剤;メタラキシルなどのフェニルアミド;ピラゾホスおよびホセチルなどの有機リン系化合物;シアゾファミド、イプロジオンおよびプロクロラズなどのイミダゾール;ヘキサコナゾールおよびエポキシコナゾールなどのトリアゾール;グアニジン誘導体;ならびにキントゼン、ジクロラン(dichloranまたはdicloran)およびクロロタロニルなどの塩化芳香族化合物が挙げられる。
【0043】
水処理、ならびに土壌および帯水層の除染における用途
本発明は、土壌および帯水層の除染、ならびに水処理、特に浄化槽の処理に関する分野においても有用である。
【0044】
環境の酸素化を可能にする薬剤の導入によって、汚染された土壌(特に炭化水素によって汚染された土壌)のバイオレメディエーション(bioremediation)の成績が向上することは、既に広く知られている。この方法の目的は、通常は化学反応によって、環境に酸素を供給することが可能な製剤を注入し、汚染物を生分解可能な微生物の数を増やすことにある。このような製剤は、米国特許第5,264,018号に開示されている。
【0045】
帯水層や地下水の汚染、特に塩素化合物による汚染の場合、汚染物質を直接そして完全に分解するため、または微生物による完全な生分解をより簡便に行いやすくするために、酸化反応を開始する化合物を導入するとよい。このような化合物の一例が、米国特許第6,268,205号などに記載のフェントン試薬である。しかし、どのような場合においても、このような試薬は比較的不安定であり、急速に分解されて、活性部位に到達する前にその効力の大部分を失ってしまう。そのため、酸素および/または水素を放出する試薬、および/または汚染物質を酸化する試薬を本発明のベシクルに封入することは有益である。こうすることによって、処理を行うべき場所への到達を確実にし、長期にわたる効能を維持するための制御された放出を可能にし、また環境に対する物質の毒性を低下させることができる。
【0046】
上記の目的で本発明のベシクルの分散液に封入することができる物質の具体例としては、過酸化水素、尿素/過酸化水素錯体、過炭酸ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸ナトリウムおよび重亜硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。更に、処理する媒体の酸素化、バイオレメディエーションおよび酸化を強化するために、触媒、微量元素に富んだ栄養物、酵素、細菌、pH調節剤や錯体形成剤を封入してもよい。
【0047】
調製方法
封入する物質は、液体状または液体に溶解した状態のものが好ましい。従って、封入する物質は水、溶媒または油剤で、完全溶解濃度まで希釈することができる。こうして、有効成分および任意に用いられるその溶媒が、封入される相を構成する。
【0048】
封入される相の量は、ベシクルまたはリポソームの総質量に対して1〜99質量%、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。
【0049】
ベシクルまたはリポソームは、封入される相と本発明の界面活性剤システムとを、室温または室温より高いが好ましくは100℃未満の温度で充分に混合することにより調製する。剪断力の小さい混合機を用いることが好ましい。剪断力の小さい混合機の例としては、1つ以上のプロペラやアンカーを備えた振子型振動機、1つ以上のプロペラからなる中央撹拌子と反応容器の形状に合った1つ以上の掻き取りブレードからなる周縁撹拌子とを備えた二重回転式撹拌機などを挙げることができる。混練機やミキサーを用いることもできる。回転子/固定子、鋸歯付きの高速プロペラ、モーターで駆動されるシャフトとブレードを備えた水平型撹拌機、コロイドミルなどの、剪断力の高い撹拌機の使用を避けることが好ましい。撹拌時間は、例えば、数分から数時間の範囲で選ぶことができ、粘性液体が得られるまで撹拌を行う。得られる粘性液体の粘度は、一般的には、混合物または均一なペーストの温度(特に25℃)において、ブルックフィールド粘土計で測定した値が100〜500,000センチポイズである。こうして得られるベシクルまたはリポソームの濃縮調製物は、医薬品用、化粧品用および洗浄用の製品の調製や、水処理および帯水層の除染の用途に直ちに用いることができるし、また、使用温度(一般に4〜45℃の範囲またはそれ以上の温度であるが、好ましくは100℃未満)で貯蔵することもできる。上記濃縮調製物の安定性を高めるために、細菌や真菌の増殖を止めるか遅らせるための薬剤を添加することが必要な場合もあり得る。そのような薬剤を添加する場合は、撹拌を行う際に、所望の効果が得られる濃度で添加すればよい。
【0050】
水性連続相からなる化粧品用の製品、即ち、溶液、ゲル、または水中油型エマルジョンの形の化粧品用製品においては、ベシクルまたはリポソームの比率は、製品の総量に対して0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜20質量%である。逆相型の製品(inverted preparations)(特に油中水型エマルジョン)の場合は、ベシクルまたはリポソームの比率は、一般的に、製品の総量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。
【0051】
洗浄用の製品、特に液状またはゲル状の洗浄剤に加える1種以上の酵素を封入する場合は、ベシクルまたはリポソームは、ベシクルまたはリポソームの総量に対して2〜15質量%の酵素を含むことができ、ベシクルまたはリポソームの比率は、製品の総量に対して0.1〜15質量%である。
【0052】
香料やエッセンシャルオイルを、例えば、布製品の洗い立ての爽快感を長持ちさせるために封入する場合は、ベシクルまたはリポソームの比率は、例えば、製品の総量に対して0.1〜20質量%の範囲とすることができる。
【0053】
植物保護用製品の場合は、ベシクルまたはリポソームに封入した有効成分の濃度と製品中のベシクルまたはリポソームの比率は、有効成分の特性や、有効成分の使用を認可する各国の法規によって異なる。スルホニル尿素化合物群(メトスルフロンメチルなど)のような非常に活性の高い有効成分分子を含む製品においては、ベシクルまたはリポソームの比率は、例えば、製品の総量に対して0.01〜10質量%の範囲とすることができる。また、それより活性の低い除草剤(たとえば2,4−Dジメチルアミン塩)を含む製品においては、ベシクルまたはリポソームの比率は、例えば、製品の総量に対して10〜90質量%の範囲とすることができる。
【0054】
貯水槽や浄化槽を処理するためには、0.1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%のベシクルまたはリポソームを含有する製品を用いた処理を断続的に行うことができる。帯水層や地下水を処理するためには、0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%のベシクルまたはリポソームを含有する製品を用いた処理を、除染作業中に断続的に行うか、または除染作業の全期間にわたり連続的に行うことができる。
【0055】
ベシクルまたはリポソームの特性評価の方法
特性評価方法は、界面活性剤溶液の凍結割断レプリカを作成して透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより行う。この方法は広く種々の文献に記載されており、一例として、特に A. GULIK, L.P. AGGERBECK, J.C. DEDIEU and T. GULIK-KRZYWICKI, Journal of Microscopy, Vol. 125, Pt 2, February 1982, pp. 207-213 を挙げることができる。より最近の文献としては、 O. MONDAIN-MONVAL, Current Opinion in Colloid and Interface Science, 10 (2005), 250-255 を挙げることができる。
【0056】
特性評価に用いた方法は凍結エッチング法であり、この方法では、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することのできる構造のレプリカを作成する。この技法には以下の主要な4工程がある。
【0057】
1.凍結
2.割断と「エッチング」
3.シェーディングとレプリカ形成
4.レプリカの洗浄
【0058】
最後に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてレプリカの画像を撮影し、画像を目視で分析する。
【0059】
ベシクルまたはリポソームが本発明の要件を満足するためには、画像に球状または略球状の凹凸状物体の均一な分散が見られることが必要であり、更に多層ベシクルの場合は、いくつかの層の積層を反映するいくつかの球状条痕が周縁部に見られることも必要である。更に画像には、直線状条痕で示される広範な開裂領域が見られないことが必要である。そのような開裂領域は、システムがベシクルやリポソームを自発的に形成できなかった結果として生じた、球状化しなかったラメラ相の存在を反映するものである。
【0060】
以下の実施例に参照して本発明を更に詳細に説明するが、本願の実施例は具体的説明のためだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。また、実施例で得られた産物の特性を上記の判定基準に従って評価した。
【実施例】
【0061】
実施例1: 本発明の多層ベシクルの製造
5.25gのオクチル/デシルポリキシロシド(Xyl C8/C10 DP=1.13)と44.75gの水/グリセロール混合物とを、機械式撹拌機を用いて、温度80℃で、500回/分の回転数で30分間撹拌して混合した後、撹拌を続けながら室温まで冷却した。得られた調製物から凍結割断レプリカを作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
【0062】
TEMで得られた画像を図1に示す。図1は、0.2〜1μmの多数のベシクルの存在を明らかに示している。多数の円形の溝が見え、これは多層ベシクルの形成を反映するものである。
【0063】
実施例2: 本発明の多層ベシクルの強度の実証
デシルポリキシロシド(Xyl C10)を4種の濃度で水/グリセロール溶液に加え、機械式撹拌機を用いて、温度80℃で、500回/分の回転数で30分間撹拌して分散させた後、撹拌を続けながら室温まで冷却した。
【0064】
得られた4種の分散体の各々からサンプルを取り、凍結割断レプリカを作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。特徴的構造の存在によって、多層ベシクルが維持されていることが証明された。TEMで得られた4つの画像をそれぞれ図2〜図5に示す。
【0065】
更に得られた結果を下記の表1にまとめた。
【0066】
【表1】

【0067】
比較例1
デシルポリキシロシド(Xyl C10 DP=1.25)とデシルポリグルコシド(Glu C10 DP=1.3)を、それらの合計量が15質量%となる濃度で水/グリセロール溶液中に実施例1と同様の方法で分散させた。
【0068】
上記の方法で得られた界面活性剤混合物中のGlu C10 DP=1.3の比率をRと命名した。この比率Rを、Glu C10 DP=1.3のみを含有する溶液の場合のR=1から、Xyl C10 DP=1.25のみを含有する溶液の場合のR=0までの範囲で種々に変化させた混合物を作成した。各々の混合物について凍結割断レプリカを作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。結果を下記の表2に示した。下記表においては、多層ベシクル(multilayered vesicle)が観察された場合を記号「MLV」で示し、球状化しなかったラメラ相(lamellar phase)が観察された場合を記号「L」で示し、ミセル相(micellar phase)が観察された場合を記号「MC」で示した。
【0069】
【表2】

【0070】
本比較例は、ここで試験した希釈率に関しては、ラメラ相を得るために界面活性剤混合物中に少なくとも70質量%のアルキルキシロシド(Xyl C10 DP=1.25)が必要であること、そして多層ベシクルの均一分散体を得るためには界面活性剤混合物中に少なくとも80質量%のアルキルキシロシド(Xyl C10 DP=1.25)が必要であることを示している。
【0071】
デシルポリグルコシド単独およびデシルポリグルコシドを40〜90質量%含有する混合物はベシクルを形成しなかった。この結果は、アルキルポリキシロシドがベシクルを形成する特異性を有することを示している。
【0072】
実施例3: 本発明の多層ベシクルの水性分散体の低温安定性
デシルポリキシロシド(Xyl C10 DP=1.5)とHLB値の異なるの種々の共界面活性剤との混合物を7.5質量%の濃度で水/グリセロール溶液中に実施例1と同様の方法で分散させた。共界面活性剤に対する界面活性剤の比は10である。使用した各共界面活性剤について、得られた分散体を温度5℃で3ヶ月(90日)間保存し、その後、目視と光学顕微鏡(倍率10倍)で調べた。5℃での保存安定性試験の前に、全てのサンプルについて凍結割断レプリカを作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その後、5℃で90日間安定であったサンプルについて凍結割断レプリカを作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
【0073】
共界面活性剤のHLB(親水性親油性比)との関連で、得られた結果を下記の表3にまとめた。
【0074】
【表3】

【0075】
HLB値の高い(14を超える)共界面活性剤の存在は、良好な安定性を付与し、5℃で3ヶ月間の保存後にも多層ベシクルの均一分散体を維持する効果を発揮した。HLB値の低い(11未満の)共界面活性剤の場合は、上記保存条件下で多層ベシクルの劣化が生じた。
【0076】
実施例4: 本発明の多層ベシクルの油性分散体
45gのオクチル/デシルポリキシロシド(Xyl C8/C10 DP=1.3)、24gのオレイン酸ソルビタン(OLEON社製の Radia 7125、HLB=4.7)および31gの水を、機械式撹拌機を用いて、温度50℃で、500回/分の回転数で撹拌・混合して、第1の分散体を調製した。加熱を止めて、得られた混合物が室温になるまで機械的撹拌を継続した。
【0077】
室温で機械的撹拌することによって、上記混合物の45gを55gのパラフィン油(Marcol 82)に分散した。
【0078】
こうして、油中の液晶層均一分散体が得られた。交差させた2枚の偏光子の間にサンプルをおいて光学顕微鏡で観察すると、本発明のベシクルに特徴的な構造が確認できた。
【0079】
比較例2
ドデシルポリキシロシド(Xyl C12 DP=1.3)を3.8質量%の濃度で水/グリセロール溶液中に実施例1と同様の方法で分散させた。こうして第1の調製物を得た。
【0080】
一方、2−ブチルオクチルポリキシロシド(Xyl Iso12 DP=1.3)を15質量%の濃度で水/グリセロール溶液中に実施例1と同様の方法で分散させた。こうして第2の調製物を得た。
【0081】
上記第1の調製物は、界面活性剤システムが沈殿した不均一な混合物であった。混合物の上相を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、ベシクルの存在は見られなかった。
【0082】
上記第2の調製物は、わずかに不透明な溶液であった。溶液を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、球状化していないラメラ相が存在し、ベシクルは全く存在しなかった。
【0083】
本比較例は、重合度が1〜1.5の間で炭素数が12以上である長鎖のアルキルキシロシドが本発明のベシクルを形成するのは難しいことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベシクルまたはリポソームを形成可能な界面活性剤システムを水相、溶媒または油剤の中に分散させることを包含する、マルチラメラベシクルまたはリポソームの分散液を製造するための方法であって、該界面活性剤システムが、5〜99質量%の下記式で表される少なくとも1種の脂肪族ポリグリコシドを含有することを特徴とする方法。
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3の間の値である。)
【請求項2】
化粧品用、医薬品用または植物療法用の活性物質、香料、酵素、栄養物、微量元素、生物材料、エッセンシャルオイル、および有機分子を酸化または分解することが可能な薬剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有効成分をマルチラメラベシクルまたはリポソームに封入するための方法であって、該有効成分は希釈せずに、あるいは油剤、溶媒または水で希釈して界面活性剤システムと混合し、そして得られた混合物を水相、溶媒または油剤に分散することを包含し、該界面活性剤システムが、5〜99質量%の下記式で表される少なくとも1種の脂肪族ポリグリコシドを含有することを特徴とする方法。
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3の間の値である。)
【請求項3】
下記成分を包含する界面活性剤システム。
5〜99質量%の下記式:
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3、好ましくは1〜1.5の間の値である。)
で表される脂肪族ポリグリコシド、
0.1〜70質量%の、親水性親油性比(HLB)が10以上である少なくとも1種の共界面活性剤、および
0.1〜70質量%の水。
【請求項4】
下記成分を更に包含することを特徴とする、請求項3に記載の界面活性剤システム。
0〜70質量%の、直鎖状または分岐状C1〜C20アルコール、C3〜C20グリコールエーテル、アミルグリコシド、ブチルグリコシド、ヘキシルグリコシド、2−エチルヘキシルグリコシド、オクチルグリコシド、イソノニルグリコシド、イソデシルグリコシド、オクチルデシルグリコシド、グリセロール、グリセロールの部分誘導体、テルピノールならびに直鎖状または分岐状C1〜C20アルコールと酢酸、蟻酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、ラウリン酸およびオレイン酸からなる群より選ばれる有機酸とのエステルからなる群より選ばれるヒドロトロープまたは共溶媒。
【請求項5】
下記成分を包含する界面活性剤システム。
5〜99質量%の下記式:
RO(X)n
(式中、Rは、直鎖状または分岐状であり、炭素数が8〜10の飽和または不飽和脂肪族鎖を表し、Xはキシロース残基を表し、nは平均オリゴマー化度を表し、1〜3の間の値である。)
で表される脂肪族ポリグリコシド、
0.1〜70質量%の、親水性親油性比(HLB)が10未満である少なくとも1種の共界面活性剤、および
0.1〜70質量%の水。
【請求項6】
下記成分を更に包含することを特徴とする、請求項5に記載の界面活性剤システム。
0.1〜70質量%の、直鎖状または分岐状C1〜C20アルコール、C3〜C20グリコールエーテル、アミルグリコシド、ブチルグリコシド、ヘキシルグリコシド、2−エチルヘキシルグリコシド、オクチルグリコシド、イソノニルグリコシド、イソデシルグリコシド、オクチルデシルグリコシド、グリセロール、グリセロールの部分誘導体、テルピノールならびに直鎖状または分岐状C1〜C20アルコールと酢酸、蟻酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、グルタミン酸、アジピン酸、ラウリン酸およびオレイン酸からなる群より選ばれる有機酸とのエステルからなる群より選ばれるヒドロトロープまたは共溶媒。
【請求項7】
化粧品用、医薬品用または植物療法用の活性物質、香料、酵素、栄養物、微量元素、生物材料、エッセンシャルオイルおよび有機分子を酸化または分解することが可能な薬剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の有効成分を含有するベシクルまたはリポソームの形のシステムであって、該ベシクルまたはリポソームの総質量に対して1〜99質量%の有効成分を含有し、該有効成分は希釈されていないか、あるいは油剤、溶媒または水で希釈されていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
水中油型エマルジョン、水性溶液または水−アルコール系溶液、あるいは水性ゲルまたは水−アルコール系ゲルの形であり、0.01〜90質量%のベシクルまたはリポソームを含有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
油中水型エマルジョン、溶媒または混合溶媒、あるいはマイクロエマルジョンの形であり、0.01〜90質量%のベシクルまたはリポソームを含有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のベシクルまたはリポソームの分散液を使用することを包含する、水処理または土壌の除染のための、化粧品用、医薬品用、植物療法用または洗浄用の製品の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230119(P2011−230119A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82354(P2011−82354)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(598110677)
【Fターム(参考)】