説明

脂肪種子および微生物供給源からの脂質の抽出および脱ろう

【課題】少なくとも一つの長鎖不飽和脂肪酸を有する中性脂質組成物を主に有する脂質組成物を精製するための方法の提供。
【解決手段】脂質組成物をアセトンなどの極性溶媒に接触させる。この溶媒は、混入物質が長鎖不飽和脂肪酸中よりもこの溶媒中において溶解性が低くなるように選択される。この接触方法は、典型的には約0℃を含む、より低い温度で実施される。脂質組成物から混入物質が沈殿するとすぐに沈殿物質を脂質組成物から取り除くために分離が行われる。長鎖不飽和脂肪酸はARA、DPA、EPA、および/またはDHAを含むことができる。この方法は効率的に脂質組成物を脱ろうし、その結果として組成物が濁る傾向を軽減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は脂質、特に長鎖不飽和脂肪酸(LCPUFA)を含む脂質、の抽出および精製に向けられる。特に、方法(process)は、所望のLCPUFAを高濃度で、かつ飽和トリグリセリドのような不要な化合物を低濃度で得るために提供される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般に、脱ろう(winterization)とは低温において植物性油に存在する沈降物を取り除く方法につけられた名称である。それは、冷たい冬の数ヶ月間、綿実油を屋外で貯蔵したままにし、沈降物のない油をろ過して分ける昔の手順から始まった。乾燥分別結晶とは、冷却中に、融解温度の最も高いトリグリセリドをニート液(neat liquid)(たとえば液体脂質)から優先的に結晶化させる方法である。結晶化が完了した後、数種類の物理過程のうちの一つによって、固相を液相から分離する。あるいは、一般に低温下のトリグリセリドは、溶媒がないときより溶媒があるときの方がより安定した結晶を形成するため、溶媒結晶化を利用してトリグリセリドの結晶形成を促進する。
【0003】
ドコサヘキサエン酸(DHA)リッチな脂質を、従来の技術および発酵によって産生されたシゾチトリウム種(Schizochytrium sp.)バイオマス由来の溶媒(例えば、ヘキサン)を用いて抽出し、得られた抽出脂質を-2℃〜2℃に冷凍することによって脱ろうし、続いて遠心分離した。脂質をその後、洗練、漂白、および脱臭し、栄養補給剤として販売用にゼラチンカプセルに入れた。この産物では、時間がたつと産物中に濁りが生じるという問題が生じた。
【0004】
バイオマスから脂質を回収する一つの方法においては、図1に示されるように、乾燥させた微細藻類を商用等級のn-ヘキサンに浮遊させ、湿式粉砕する。ヘキサンは、リン脂質、遊離ステロールおよびカルテノイドのような総脂質画分のうちの他の構成成分をより劣る程度に抽出することもできるが、主としてトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドおよびエステル化ステロールを抽出する。遠心分離によって脂質リッチなミセラから使用済みのバイオマスを分離する。得られた脂質と溶媒との混合物はミセラとみなされる。精製ミセラの脂質含有量をn-ヘキサンを使って約45重量%に調整する。ミセラは脱ろうされる、特に、ミセラを約-1℃まで冷却し、8時間〜12時間保持すると、いかなる飽和脂肪または高融点構成成分も結晶化される。次に、結晶化したステアリン相を取り除くために、ミセラをろ過する。ヘキサンをミセラから取り除き、脱ろう脂質を後に残す。
【0005】
図2に示したように、脱ろう脂質を、脂質中に存在するすべてのホスファチドを水和させるために、加熱し、クエン酸またはリン酸で処理する。存在するいかなる遊離脂肪酸を中和させるために、水酸化ナトリウムを添加する。得られたゴム質(水和ホスファチド)およびソープストック(中和された脂肪酸)を遠心分離機を用いて取り除く。この脂質を水と混合し、再度遠心分離にかけ、残りのゴム質/ソープストックをすべて取り除く。この工程は最初の遠心分離で実行されうる。過酸化物、色素化合物、ならびに微量のソープストック、リン脂質、および金属を取り除くために、洗練された脂質をクエン酸で前処理した後、シリカおよび漂白土で漂白する。脂質から使用済みの漂白化合物をろ過によって容易に除去するために、ろ過助剤をサイクルの最後に添加する。
【0006】
沈降物の層が静置させることで形成されることが明らかである場合、いかなる残留するステアリンまたはワックスも結晶化させるために、漂白した脂質を約5℃から約15℃まで冷却し、約6時間〜約8時間持続させるという追加の工程を実施することができる。この工程が実行される場合、ろ過によって結晶を容易に除去させるためにろ過助剤を使用することができる。
【0007】
高真空下、上昇した温度で作用させる脱臭剤は、過酸化物を破壊するために使用するが、完全体が残った場合は、後で分解してフリーラジカル反応を起こすこともある。この工程もまた、不快臭および風味をもたらしうるいかなる残留低分子量化合物も除去する。脱臭剤への接触時間はトランス脂肪酸の形成を防ぐため最小限にする。安全で適切な食物承認酸化剤(food approved antioxidant)を添加する。安定化した脂質は、酸化防止のために窒素雰囲気下で、内側をフェノールで覆われた金属容器に詰められる。
【0008】
脂質で満たしたゼラチンカプセル内で形成される濁りは分析され、ミリスチン(14:0)脂肪酸およびパルミチン (16:0)脂肪酸を含むトリグリセリドである、トリ飽和脂肪酸グリセリドの結晶からなることがわかった。これらの結晶の融点は約50℃〜55℃であった。このトリ飽和グリセリドは6〜8%の粗抽出された脂質を含んでいた。上記の脱ろう方法によってこれらのトリ飽和グリセリドの濃度は1%未満にまで低下したが、脂質中における濁りの形成を完全に取り除くためには十分な低さではなかった。さらに、その脂質の約30%が(対応するDHAの30%も)伝統的なヘキサン(55%ヘキサンおよび45%粗製油)の脱ろう方法において取り除かれる。もう一つの問題は、残っている1%未満の飽和トリグリセリドを結晶化させるために温度を低下させた場合、さらに多くの所望のLCPUFA、例えばあるDHA分子を含むジ飽和トリグリセリドをも結晶化させる、ということであった。このことは標的産物であるDHAの有意な損失を生じるものであった。脂質の8%〜10%をさらに損失する可能性があり、つまり、一つの問題を解決しようとすると、もう一つの問題が生じた。望ましく高いレベルでLCPUFAレベルが維持され、かつ濁りを減少させるかまたは除去することができうる方法を行うことは望ましいことであった。
【発明の概要】
【0009】
概要
本発明は、主に中性脂質構成成分を有する脂質組成物を精製するための方法を含み、この組成物は少なくとも一つの長鎖ポリ不飽和脂肪酸(LCPUFA)および少なくとも一つの他の化合物を含む。方法は脂質組成物と極性溶媒を接触させる工程を含み、かつ他の化合物がLCPUFAよりもこの極性溶媒中において溶解性が低くなるように、極性溶媒を選択する。例えば極性溶媒は、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、酢酸エチルおよびそれらの混合物から選択することができる。方法は、少なくとも他の化合物の一部が沈殿するのに効果的な温度範囲で脂質組成物を維持する工程をさらに含む。例えば、温度範囲は約-20℃〜約50℃、約-5℃〜約20℃、約-5℃〜約5℃または約0度でありうる。次に方法は、脂質産物を形成するために少なくとも一部の他の化合物を脂質組成物から取り除く工程を含む。方法は、脂質組成物中における濁り形成を減少させるために特別なものであってもよく、脂質組成物中で取り除かれる化合物が濁り形成化合物である。
【0010】
様々な態様において、脂質組成物は少なくとも50%もしくは85%の中性脂質または少なくとも50%のトリグリセリドを含むことができる。LCPUFA濃度は重量パーセント基準で、方法の前より後の方が高く、かつ他の化合物の濃度は重量パーセント基準で、方法の前より後の方が低くなりうる。例えば、脂質に存在する任意のリン含有化合物の総濃度は重量パーセント基準で、方法の前より後の方が低い。本発明の方法によって、例えば精練作業が軽減される、または精練が必要ないなど、後続処理工程がそれほど必要ない、許容される産物を得ることができる。
【0011】
LCPUFAはアラキドン酸(ARA)、ω-6ドコサペンタエン酸(DPA(n-6))、ω-3ドコサペンタエン酸(DPA(n-3))、エイコサペンタエン酸(EPA)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)であってもよい。他の化合物はトリ飽和グリセリド、リン含有物質、ワックスエステル、ステロールエステルを含む飽和脂肪酸、ステロール、スクアレン、および/または炭化水素であってもよい。あるいは、他の化合物は、トリ飽和グリセリド、ホスファチド、およびワックスエステルであってもよい。あるいは、他の化合物はラウリン(C12:0)脂肪酸、ミリスチン(C14:0)脂肪酸、パルミチン(C16:0)脂肪酸およびステアリン(C18:0)脂肪酸ならびに/またはそれらが混合のトリ飽和グリセリドであってもよい。特定の態様において、脂質組成物は最初に少なくとも一つのLCPUFAと少なくとも一つの飽和トリグリセリドとを含む。LCPUFAはLCPUFA含有微生物バイオマスから選択されたLCPUFA含有生物材料(biomaterial)およびLCPUFA含有脂質を産生するよう遺伝子操作された植物由来の脂肪種子から得ることができる。また、LCPUFAは微生物由来のLCPUFA産生遺伝子を用いて遺伝子操作された植物から得ることもできる。別の態様において、LCPUFAはトローストチトリド(thraustochytrid)バイオマス、渦鞭毛藻バイオマス、モルティエラバイオマスおよび、トローストチトリド、渦鞭毛藻、またはモルティエラ由来の遺伝子を含む遺伝子操作された脂肪種子から選択される供給源から得ることができる。さらなる態様において、LCPUFAはシゾチトリウムバイオマス、トローストチトリウム(Thraustochytrium)バイオマス、クリプテコディニウム・コニー(Crypthecodinium cohnii)バイオマスまたは、シゾチトリウムもしくはトローストチトリウム由来の遺伝子を含む遺伝子操作された植物由来の脂肪種子からなる群より得られる。
【0012】
本発明の様々な態様において、溶媒:脂質組成物の比は、約1:10 〜約20:1、約1:8〜約10:1、約1:5〜約5:1、約1:2〜約2.5:1または約1:1である。他の態様において、溶媒と脂質組成物を接触させる時間は約0.5時間〜約12時間、約2時間〜約6時間、または約4時間である。
【0013】
本発明の別の態様において、脂質は、LCPUFAを含むトリグリセリド分子が選択的に抽出され、極性溶媒中では溶解しない他の化合物は抽出されないように、低温下で極性溶媒を用いて抽出される。さらなる態様において、脂質組成物をバイオマスから抽出し、細胞残屑および沈殿した他の化合物をLCPUFAと極性溶媒とを含むミセラから分離する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、脂質を回収するために極性溶媒を用いる工程;脂質組成物および極性溶媒の混合物を含むミセラを形成する工程;不要な化合物を選択的に沈殿させるためにミセラを冷却する工程;ならびに沈殿する他の化合物をミセラから分離する工程、を含む。本態様においては、脂質組成物をバイオマスから抽出することができ、かつ細胞残屑および沈殿した他の化合物をLCPUFAと極性溶媒とを含むミセラから分離することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、極性溶媒を用いてバイオマスから脂質を回収し、脂質組成物、極性溶媒および細胞残屑の混合物を含むミセラを形成させる工程を含む。方法はさらにミセラから細胞残屑を分離する工程、および不要な化合物を選択的に沈殿させるためにミセラを冷却する工程を含む。最終的に、沈殿した化合物はミセラから分離する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、非極性溶媒を用いてバイオマスから脂質を回収し、脂質組成物および非極性溶媒の混合物を含むミセラを形成させる工程を含む。方法はさらにミセラから大部分の非極性溶媒を取り除く工程、ミセラに極性溶媒を添加する工程、および不要な化合物を選択的に沈殿させるためにミセラを冷却する工程をさらに含む。最終的に、沈殿した他の化合物はミセラから分離される。本発明のもっとさらなる対応は、すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、非極性溶媒を用いてバイオマスから脂質を回収し、脂質組成物および非極性溶媒の混合物を含むミセラを形成させ、そのミセラを脱ろうする工程を含む。大部分の非極性溶媒をミセラから取り除き、極性溶媒をそれに添加する。ミセラから分離する不要化合物を選択的に沈殿させるために、ミセラを冷却する。非極性溶媒がミセラから取り除かれる場合、除去後に残る非極性溶媒は約0重量%〜約4重量%または約1重量%〜約4重量%である。
【0017】
非極性溶媒を用いた本発明の様々な態様において、非極性溶媒はヘキサンであってもよい。沈殿した他の化合物を分離または除去する工程を用いる本発明の様々な態様において、この工程は、遠心分離、ろ過、またはそれらを組合せたような液体/固体分離技術であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従前の抽出方法の工程系統図である。
【図2】従前の洗練、漂白、および脱臭方法の工程系統図である。
【図3】アセトンを用いた、1工程でDHAリッチな脂質を抽出する本発明の方法である。
【図4】アセトンを用いた、2工程でDHAリッチな脂質を抽出する本発明の方法である。
【図5】本発明の、DHAリッチな脂質ヘキサン抽出方法およびアセトン脱ろう方法である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明に従い、方法は、所望のLCPUFAの高いレベルを維持しながら、脂質中の不要な構成成分のレベルを優先的に減少させるために提供される。本明細書において用いられるように、LCPUFAは20またはそれ以上の炭素原子と2つ(好ましくは3つ)またはそれ以上の二重結合とを有する脂肪酸である。LCPUFAは、例えばリン脂質、遊離脂肪酸、および脂肪酸のトリグリセリドを含む脂肪酸エステルなどの様々な形であってもよい。当然のことながら、所望のLCPUFAを参照する場合、意味されるものは、脂質中に存在する形でのLCPUFA、最も典型的にはトリグリセリド、ならびにより少ない程度においてモノグリセリドおよびジグリセリドである。好ましくは、所望のLCPUFA濃度は重量パーセント基準で測定すると、結果として生じる脂質産物中の方が開始時の脂質組成物中のそれより高い。好ましくは、不要な構成成分は、ラウリン(Cl2:0)脂肪酸、ミリスチン(Cl4:0)脂肪酸、パルミチン(Cl6:0)脂肪酸、ステアリン(Cl8:0)脂肪酸およびこれらを混合したトリ飽和グリセリドのような飽和トリグリセリドである。他の不要な構成成分の例として、トリ飽和グリセリドの他に、リン含有化合物(たとえば、ホスファチド(phosphatide)またはリン脂質(phospholipid))、ワックスエステル、飽和脂肪酸含有ステロールエステル、ステロール、スクアレン、炭化水素などが含まれる。2つまたはそれ以上の不要な化合物は、重量パーセント基準で測定したとき、開始時の脂質と比較して、結果として生じる産物中において減少していることが好ましい。本明細書において使用される場合、他に指示がなければ、総量は通常、重量パーセント基準である。
【0020】
本発明の好ましい態様において、開始時の脂質と比較したとき、結果として生じる産物はそれほど濁りまたはくもりがない。本発明の方法の結果として、洗練などの次の処理工程を軽減するまたは省くことができる。たとえば、漂白および/または脱臭のような次の処理工程は、洗練(または精練)工程を軽減するまたは省くことに役立ちうる。洗練の例として、漂白または脱臭方法を比較例2に記載している。洗練方法を省くことができない場合は、使用する腐食剤の量を減らすことによって軽減できる。いかなる理論にも制約されることを望まないが、濁りまたはくもりの主な原因はトリ飽和トリグリセリドに起因すると考えられる。モノ置換トリグリセリドおよびジ置換トリグリセリドを減らすことはそれほど重要ではないようである。
【0021】
本明細書において使用される「脂質」という用語は、リン脂質(phospholipid);遊離脂肪酸;脂肪酸トリグリセリドを含む脂肪酸のエステル;ステロール;色素(例えば、カロチノイドおよびオキシカロチノイド)ならびに他の脂質のような様々な脂質と、フィトステロール、エルゴチオニン、リポ酸、ならびにβカロチン、トコトリエノールおよびトコフェロールを含む抗酸化剤のような脂質関連化合物とを一般に言及する。好ましい脂質および脂質関連化合物は、これらに限定するわけではないが、コレステロール、フィトステロール、デスモステロール、トコトリエノール、トコフェロール、ユビキノン、カロチノイドおよびキサントフィル(例えば、βカロチン、ルテイン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン)ならびに、脂肪酸(例えば、共役リノール酸、ω-3高度不飽和脂肪酸、ω-6高度不飽和脂肪酸(例えば、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸)、アラキドン酸、ステアリドン酸、ジホモγリノレン酸、およびγリノレン酸)またはこれらの混合物である。つまり、特に記載がなければ、「脂質」という用語は脂質および/または脂質関連化合物を言及する。
【0022】
好ましくない構成成分は、冷アセトン中または類似の極性溶媒中では比較的溶解しにくいという共通の特徴を共有する。一方、アラキドン酸(ARA)、ω-6ドコサペンタエン酸(DPA(n-6))、ω-3ドコサペンタエン酸(DPA(n-3))、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはドコサヘキサエン酸(DHA)などのLCPUFAは冷アセトン中または類似極性溶媒中で溶解する。この溶媒の重要な特徴は、それがアセトンまたは類似極性溶媒を問わず、好ましいLCPUFAは所望の温度でその溶媒中で溶解し、好ましくない化合物は同じ温度でその溶媒中で溶解しないということである。有用なガイドはアセトンまたは酢酸エチルの誘電率に近い誘電率を有する溶媒を選別することである。本発明に関連する利用に好ましい溶媒はアセトン、および例えばイソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはこれら溶媒の混合物のような類似極性溶媒を含む。溶媒はすべて極性であり、かつ二重結合と長い炭素鎖とを有するLCPUFAも極性であるため、極性溶媒中で溶解する。しかし、溶媒の極性が強すぎる場合は、LCPUFAは溶けない可能性がある。溶媒は食物用途としても有用であることが好ましい。
【0023】
粗製脂質からトリ飽和グリセリドを選択的に沈殿させるためにアセトンを利用できるということが思いがけず発見された。脱ろうしていないロットのシゾチトリウム種由来のDHAリッチな脂質をその5倍量のアセトンで処理し、冷却した場合、すべてのトリ飽和グリセリドを結晶化した後に遠心分離することによって本質的に除去した。この方法では、DHA含有トリグリセリドがほとんどまたは全く除去されなかった。結果として生じた脱ろう脂質は、脱ろうの標準方法によって生じる37%と比較して、41%のDHAを含んでいた。
【0024】
トリ飽和グリセリドを犠牲にしてトリグリセリドを含む長鎖ポリ不飽和脂肪酸の回収効率をより改善するために、または2つの飽和脂肪酸と1つのモノ不飽和脂肪酸とを含むトリグリセリドを形成するために、アセトンまたは類似溶媒による抽出と「インサイチュ」脱ろうの考え方を組み合わせることによってこの発見をさらに役立たせる方法がある。本発明の方法の1つの利点は、所望のLCPUFAがほとんど失われないということである。例えば、従前の方法では、所望のLCPUFAを含む、抽出した脂質の約30%が脱ろうの間に失われた。それに対して、従前の方法ともっとも直接に比較できる本発明の方法の態様(つまり、ヘキサン抽出の後、アセトン脱ろう)では、アセトン脱ろうの結果、開始時の抽出した脂質のわずか約7%〜約10%の損失になる。結果、本発明のこの態様において、約40%またはそれ以上の収率損失の減少が実現される。このことは従前の方法(ヘキサン抽出ならびに脱ろうに加えて完全な洗練、漂白および脱臭(RBD))を超える顕著な改善である。DHAと脂質両方の最大なる損失は、従前の方法における脱ろう工程において招かれる。
【0025】
第一に、優先される方法においては、アセトンまたは類似極性溶媒(ヘキサンを除く)を用いて、LCPUFAを含むトリグリセリド分子が選択的にシゾチトリウム種バイオマスから抽出されるような低い温度で脂質を抽出する。図3にこのような方法の工程系統図を図解している。低い温度(LCPUFA含有トリ飽和グリセリドは冷アセトン中で溶解するが、トリ飽和グリセリドは冷アセトン中で溶解しない)でアセトン選別するため、バイオマス由来のLCPUFA含有トリグリセリドを選択的に取り除き、その結果別個の脱ろう工程の必要性をなくすということが実現可能である。溶媒抽出は任意の適切な様式で実施することができる。例えば、乾燥バイオマスを冷溶媒存在下で機械的に(例えば、ミルまたはホモジナイザーで)または化学的に(酸、酵素、または塩基を用いて)溶解させることができる。細胞残屑および沈殿したトリ飽和グリセリドを1工程でミセラから分離する。洗練、漂白および脱臭による精製のような後の処理工程を必要ならば実施することができる。
【0026】
第二の選択肢は、従来の抽出方法(任意の種類の溶媒粉砕技術を含む)においてバイオマス由来の脂質を量的に回収するためにアセトンまたは類似極性溶媒を利用することである。この抽出はすべてのトリグリセリド構成成分を可溶化する温度で実施する。ミセラ(溶媒中のトリグリセリドを含む脂質)から細胞残屑を取り除く前に、ミセラを冷却させて選択的にトリ飽和グリセリドを取り除く。冷却したミセラはその後、細胞残屑とトリ飽和グリセリド構成成分の両方を取り除くために他の技術を用いて遠心分離、ろ過または分離される。この選択肢は抽出の考え方と脱ろうを組み合わせて一つの工程にする。
【0027】
第三の選択肢は、従来の抽出方法(任意の種類の溶媒粉砕技術を含む)においてバイオマス由来の脂質を量的に回収するためにアセトンまたは類似極性溶媒を利用することである。この抽出はすべてのトリグリセリド構成成分を可溶化する温度で実施する。ミセラ(溶媒中のトリグリセリドを含む脂質)由来の細胞残屑を従来の分離技術を用いて取り除く。ミセラをその後冷却し、トリ飽和グリセリドを結晶化させ、これを他の技術を用いて遠心分離、ろ過、または分離することにより取り除く。 この選択肢は2工程で、抽出と脱ろうを利用する。しかしながら、両方の課題を達成するためにアセトンまたは類似極性溶媒を利用する。図4にこのような方法の工程系統図を図解している。
【0028】
第四の選択肢は抽出溶媒としてヘキサン(例えばn-ヘキサン、イソヘキサン、またはそれらの組み合わせ)のような非極性溶媒を利用し、脱ろう溶媒としてアセトンを利用することである。好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、さらに好ましくは少なくとも98%、さらに好ましくは少なくとも99%の非極性溶媒が脱ろうの前に取り除かれる。脱臭の前のいずれかの段階において、脱ろう工程をおこなうことができる。このような方法の工程系統図が図5に示される。
【0029】
第五の選択肢は、大部分のトリ飽和グリセリド構成成分を取り除くために従来のヘキサン抽出およびヘキサンを基礎とした脱ろうを利用すること、ならびに脂質中の濁りの形成をもたらす少量のトリ飽和グリセリドを取り除くために脱臭の前に「研磨(polishing)」工程を行うことである。研磨工程はアセトンおよび/または類似溶媒を用いる。この選択肢は濁りによって生じる問題を取り除くが、脂質レベルもまた低下する。
【0030】
脂質組成物は最初に、少なくとも一つのLCPUFAおよび少なくとも一つのトリ飽和グリセリドを含むことが好ましい。最初の脂質組成物における最初の濃度中に他の化合物または不要な化合物が存在する場合、それらによって濁りの形成を生じることが好ましい。脂質抽出のためのLCPUFA含有生物材料は、LCPUFA含有微生物バイオマス、またはLCPUFA含有脂質を産生するように遺伝子操作された植物、特に微生物(藻類、菌類、原生生物、または細菌)由来のLCPUFA産生遺伝子を用いて操作された植物由来の脂肪種子を含む群から選択されることが好ましい。さらに好ましくは、脂質抽出用のLCPUFA含有生物材料がトローストチトリドバイオマス、渦鞭毛藻バイオマス、および/もしくはモルティエラバイオマス、ならびに/またはトローストチトリド、渦鞭毛藻、および/もしくはモルティエラ由来の遺伝子を含む遺伝子操作された植物由来の脂肪種子を含む群より選択される。さらに好ましくは、脂質抽出用のLCPUFA含有生物材料がシゾチトリウムバイオマス、トローストチトリウムバイオマス、および/もしくはクリプテコディニウムバイオマス(好ましくはクリプテコディニウム・コニーバイオマス)、またはシゾチトリウム、トローストチトリウム、および/もしくはクリプテコディニウム(好ましくはクリプテコディニウム・コニー)由来の遺伝子を含む遺伝子操作された植物由来の脂肪種子を含む群より選択される。
【0031】
好ましくは、最初の脂質組成物は主に中性脂質から構成される。好ましくは最初の脂質組成物は少なくとも50%の中性脂質、好ましくは少なくとも60%の中性脂質、好ましくは少なくとも75%の中性脂質、好ましくは少なくとも85%の中性脂質、ならびに好ましくは少なくとも90%の中性脂質を含む。好ましくは中性脂質は主にトリグリセリドを含む。好ましくは最初の脂質組成物は少なくとも50%トリグリセリド、好ましくは少なくとも60%のトリグリセリド、好ましくは少なくとも75%のトリグリセリド、および好ましくは少なくとも85%のトリグリセリドを含む。この段落における上記のパーセントは重量パーセントを言及している。好ましくは、所望のLCPUFAの濃度は、結果生じる産物中の濃度の方が最初の脂質組成物における濃度より高い。
【0032】
抽出または脱ろう方法のための、好ましい極性溶媒:脂質の割合は、重量基準で、約1:10〜約20:1、さらに好ましくは約1:8〜約1:10、好ましくは約1:5〜約5:1、および好ましくは約1:2〜約2.5:1である。好ましくは、極性溶媒と脂質を接触させる時間は約0.5時間〜約12時間、好ましくは約2時間〜約6時間、および好ましくは約4時間である。好ましくは、非極性脂質が使われる場合、残留非極性溶媒は約0重量パーセント〜約4重量パーセント、および好ましくは約1重量パーセント〜約4重量パーセントである。
【0033】
好ましくは、(i)冷抽出方法、(ii)抽出後続いて冷却およびろ過/遠心分離、(iii)抽出、細胞残屑のろ過/遠心分離、続いて冷却およびろ過/遠心分離、ならびに(iv)溶媒脱ろうまたは研磨工程での冷却状態、における温度は、脂質の凝固点〜好ましくない構成成分(例えばトリ飽和グリセリド)の融点、さらに好ましくは約-20℃〜約50℃、さらに好ましくは約-5℃〜約20℃、さらに好ましくは約-5℃〜約5℃、さらに好ましくは約0度である。
【0034】
方法の他の好ましい特質は、トリ飽和グリセリドと、ホスファチド(phosphatides)、ワックスエステル、ステロールエステルを含む飽和脂肪酸、ステロール、スクアレン、炭化水素などを含む冷アセトン中で比較的溶けない他の構成成分とを犠牲にしたLCPUFA含有トリグリセリドのみの選択的な回収を含む。これら好ましくない構成成分を犠牲にしてLCPUFA含有トリグリセリドのみを選択的に回収することによって、追加の後続精製工程(例えば脱ろう、洗練、および漂白)を削除または軽減することができる。
【実施例】
【0035】
実施例1
概要
シゾチトリウムから得られるDHAリッチな脂質の試料(試料1、脱ろうしていない脂質、別名「高融解」)およびシゾチトリウムから得られる別のDHAリッチな脂質から単離した沈降物(試料2)を分析して固相(試料1)および凝集物(floc)/沈降物(試料2)の性質を決定した。
【0036】
工場スケールで産生された脱ろうしていない脂質試料1(常温で半固体)を4倍量の冷アセトンで溶解し、混合した。固体白色粉末(およそ7重量%)をガラス繊維ろ紙を通してろ過し、単離した。固体白色粉末は52.4℃〜53.5℃の融解温度を有し、トリグリセリドであることを示し(薄層クロマトグラフィ(TLC)による単一スポットに基づいて)、GLCによる分析の場合、主にミリスチン酸(26%)およびパルミチン酸(66%)を含むことが示された。このような高融解のトリグリセリド画分はごくわずかなDHA/DPAとともに飽和脂肪酸を含む。単離した脂質画分(91重量%)は室温でオレンジ色の液体で、DHA41.0%およびDPA16.0%を含んでいた。DHAとDPAは試料1の開始時の脂肪酸の特性と比較しておよそ8%上昇していた、つまりこのことはDHAおよびDPAの真の「精製」である。
【0037】
シゾチトリウム由来の別のDHAリッチな再加工脂質は、常温で一定の日数保存された場合、明らかな凝集物様物質(濁り)を含んでいた。この凝集物を遠心分離によって単離した。凝集物/沈殿物(「試料2沈殿物」)を10倍量の冷アセトンで溶解し、混合、ろ過した。固体白色粉末約15重量%をガラス繊維ろ紙を通してろ過することによって単離した。固体白色粉末は50.1℃〜51.4℃の融解温度を有し、主にミリスチン酸(29%)およびパルミチン酸(59%)を含むトリグリセリドであることを示した(TLCによる単一スポットに基づいて)。これはごくわずかなDHA/DPAとともに飽和脂肪酸を含む高融解トリグリセリド画分である。単離した脂質画分(85重量%)は室温で透明なオレンジ色の液体で、DHA 41.1%およびDPA 16.3%を含んでいた。シゾチトリウム由来の再加工脂質中における凝集物の形成は、ミリスチン酸およびパルミチン酸を含む高融解トリグリセリドに起因すると考えられ、この高融解トリグリセリドは静置させると脂質から結晶化する。
【0038】
実験例
通常
試料1(250g ボトル)由来のDHAリッチな脂質の試料を冷凍保存から引きだした。これは脱ろうしていない脂質である。試料を常温まで温め、そのまま使用した。
【0039】
沈降物(試料2)を研究室の遠心分離機を用いてDHAリッチな脂質から単離した。DHAリッチな脂質は、常温で静置させたままにすると目にみえる凝集物を含む再加工されたロットの脂質であった。試料を遠心分離し、沈降物から液体化画分を移すことにより凝集物を単離した。脂質画分は常温で透明なままであった、そのため凝集物は、単離した沈降物中に存在すると考えられた。
【0040】
アセトン脱ろう
脱ろうしていない脂質(試料1)および再加工された脂質から単離した沈降物(試料2)をアセトン脱ろう法を用いて分画した。脂質構成成分を溶解しけん濁するために、沈降物および脱ろうしていない試料を過剰な冷アセトン(氷/水浴温度)中で溶解し、混合した。溶液/けん濁液を直ちに真空下でガラス繊維ろ紙を通してろ過した。ガラス繊維ろ紙とそのろ紙の上に残っている内容物とを少量の冷アセトンで洗浄した。ろ紙の内容物を風乾し重量を測定した。真空下で脂質/アセトン画分を濃縮してニート脂質(neat lipid)を産生し、重量を測定した。
【0041】
TLC
脂質クラス組成物を決定するために、シリカゲル60のプレートを用いてTLCを実施した。展開溶媒系は石油エーテル:エチルエーテル:酢酸が90:10:1からなる混合物であった。スポットのRfをモリスケイト(Morris Kates)の「脂質代謝学の技術(Techniques in Lipidology)」に載っているRfと比較した。
【0042】
融点の決定
融点を実験室で構築した融点装置を用いて決定した。
【0043】
赤外分光光度法
赤外線スペクトルをパーキンエルマー283B赤外分光計を用いて得た。液体画分はニート(neat)であると分析された。アセトン脱ろうからの固体画分はクロロホルム中で分析した。
【0044】
脂肪酸メチルエステル(FAME)
遊離脂肪酸の特性をC12からC22:6に決定する方法の直後に、メタノール中で無水HClを用いて、アセトン脱ろう画分と一緒に一定分量のDHAリッチな脂質試料1、試料2(再加工)をエステル交換した。FAME調製およびGLCの操作がすべて完了した。実験での(empirical)応答因子を決定するために、ニューチェックプレップ(NuChek Prep)分析照会基準502を用い、内部標準(C19:0)を使ってFAMEを同定し、定量した。
【0045】
ガス液体クロマトグラフィ
メチルエステルのガス液体クロマトグラフィを、ヒューレットパッカードの自動試料採取器が備わったヒューレットパッカードモデル6890シリーズIIガス液体クロマトグラフィ、ケムステーションソフトウェア、30m x 0.32mm SP-2380キャピラリーカラム(スペルコ)および水素炎イオン化検出器(flame ionization detector)を用いて実施した。オーブン温度を120℃で3分保持、1分あたり5℃上昇させて190℃、190℃で1分保持、1分あたり20℃上昇させて260℃、そして260℃で3分保持した。インジェクターの温度を295℃に設定し、検出器の温度を280℃に設定した。ヘリウムを搬送ガスとして用い、スプリット注入法を採用した。
【0046】
結果
DHA-リッチ脂質試料1
脱ろうしていないDHAリッチ脂質の試料(250g ボトル)を冷凍保存の試料1から引き出した。この試料は常温で半固体のままであって、技術的に「油(oil)」でなく「脂肪(fat)」とみなすことができる。一定分量(14.44 g)の脂肪を三角フラスコに移し、冷アセトン(氷/水浴)60mlを加えた。 脂肪構成成分を溶解/けん濁させるためフラスコを回し、直ちに真空下でガラス繊維ろ紙に通しろ過した。白色固体の画分はろ紙の上に残り、これを冷アセトン数mlで洗浄し、乾燥させた。白色固体の画分は収率6.3%で分離された(14.44gの脂肪から始めて0.91g)。
【0047】
ろ過から得た脂質/アセトン画分をロータリーエバポレーションで濃縮し、13.13gのオレンジ色の液体物質(常温で液体)を産生した。このことは全回収率が91%ということになった、したがってベンチスケールで約2%の物質が失われた。
【0048】
「アセトン脱ろう」の後分離された白色固体画分および液体画分について脂質組成物を調べるためにTLCによって分析した。白色固体画分はTLCに基づきトリグリセリドであることが示された(トリグリセリドに相当するRfを有するスポットが1つ観察された)。液体画分をスポットし、展開するとTLCによって多くのスポットが観察された。スポットのRfはスクアレン、ステリルエステル、トリグリセリドおよびステロール(すべて試験的な割当て)を含む脂質組成物と一致していた。脂質クラス組成物について更なる分析は行わなかった。
【0049】
アセトン脱ろうの後分離した白色固体画分は融点の範囲が52.4℃〜53.5℃であった。
【0050】
アセトン脱ろう後分離した固体画分および液体画分をメチルエステルにエステル交換し、このメチルエステルをガス液体クロマトグラフィで分析した。脱ろうしていないDHAリッチ脂肪(試料1)と一緒にアセトン脱ろうすることによって単離した固体画分と液体画分の両方についてのFAMEの完全な特性を表1に示す。はっきり判断されるように、固体画分は主な脂肪酸としてメチルミリスチン酸(26%)とメチルパルミチン酸(66%)とともにほんのわずかなDHA(2.4%)およびDPA(0.9%)を含んでいた。アセトン脱ろう後に単離した液体画分は他の微量の脂肪酸とともにミリスチン酸(8.3%)、パルミチン酸(23.1%)、DPA(16.0%)、DHA(41.0%)を含んでいた。この特性を開始時の脱ろうしていない脂質の特性と比較すると、約8%のDHAの濃縮が見られ、主要なトリ飽和グリセリド構成成分の除去と一致する。このことは精製工程を表している。
【0051】
DHAリッチな脂質沈殿物(試料2)
再洗練された脂質から産生された沈降物は完全にヘキサンに混合性を有するが、メタノールには混合性を有しない。少量のアセトンを沈降物に添加したとき、黄色い脂質/アセトン相の液体から分離する白い沈殿物が形成された。これらの分解試験を基に、アセトン分画を白色粉末の単離に用いた。
【0052】
一定分量(1.11g)の沈降物を三角フラスコに移し、冷アセトン(氷/水浴)10mlを添加した。フラスコを回して脂肪構成成分を溶解/けん濁させ、直ちに真空化でガラス繊維ろ紙に通してろ過した。固体の白い画分がろ紙に残り、数ミリリットルの冷アセトンで洗浄し乾燥させた。固体の白い画分は収率15%で単離された(沈降物1.11gから開始して0.17g)。
【0053】
ろ過から得た液体/アセトン画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、0.94gのオレンジ色の液体物質(常温で液体)を産生した。このことにより全回収率は85%であった。
【0054】
アセトン分画後に単離された白色固体画分と脂質画分をTLCによって分析し、脂質組成物を決定した。白色固体画分はTLCを基にトリグリセリドであることが示された(トリグリセリドに相当するRfを有するスポットが1つ観察された)。液体画分をスポットし、展開するとTLCによって多くのスポットが観察された。スポットのRfはスクアレン、ステリルエステル、トリグリセリドおよびステロール(すべて試験的な割当て)を含む脂質組成物と一致していた。脂質クラス組成物について更なる分析は行わなかった。
【0055】
アセトン脱ろう後に単離された白色固体画分は50.1℃〜51.4℃の融点範囲を有していた。
【0056】
アセトン脱ろう後に単離された固体画分および液体画分からエステル交換によりメチルエステルを生成し、このメチルエステルをガス液体クロマトグラフィによリ分析した。試料2と一緒にアセトン脱ろうすることによって単離した固体画分と液体画分の両方についてのFAMEの完全な特性を表1に示す。はっきりわかるように、固体画分は主な脂肪酸としてメチルミリスチン酸(29%)とメチルパルミチン酸(59%)と一緒にほんのわずかなDHA(6.4%)およびDPA(2.6%)を含んでいた。アセトン脱ろう後に単離した液体画分は他の微量の脂肪酸と一緒にミリスチン酸(8.4%)、パルミチン酸(23.2%)、DPA(16.3%)、DHA(41.1%)を含んでいた。
【0057】
(表1)脱ろうしていない油(試料1)、試料2沈降物、ならびにアセトン分画によって単離された試料1および試料2沈降物からの画分の脂肪酸特性

【0058】
比較例
次に示す表2は、比較図2へと続く比較図1に示された以前の方法を比較して表している。
【0059】
(表2)分析証明書
(シゾチトリウムバイオマス)
抗酸化剤の添加後に洗練、脱臭、漂白(RDB)した脱ろうしたシゾチトリウム油
表2A

表2B

* ローズマリー抽出物の添加からppte
【0060】
次に示す表3は、比較図2の漂白、脱臭、および洗練へと続く図5に記載のような本発明の方法を表している。
【0061】
(表3)アセトン脱ろうしたシゾ油
抗酸化剤添加後のRDBシゾ油
(シゾチトリウムバイオマス由来)
表3A

表3B

【0062】
実施例3
シゾチトリウム油の粗抽出物を、ヘキサンを使ってバイオマスから脂質組成物を抽出する様々な脱ろう法に供した。ヘキサンを取り除き、残留のヘキサン量を有する粗抽出油を産生した。抽出した油を次に特定のアセトン/油の割合でアセトンを使って抽出し、所定時間、特定の温度で脱ろうした。残留ヘキサンのパーセント、アセトン/油の割合、脱ろう温度および脱ろう時間を異なる実験において変化させた。これらの方法を2週間後に、ろ過時間、油回収、および濁りに関して評価した。実験の詳細とその結果を次の表4に示す。
【0063】
(表4)アセトン脱ろうしたシゾチトリウム油について検査した変数および観測のレベル

対照:ヘキサン脱ろう(45:55、油:ヘキサン)-3℃で5時間
PPT-回転試験のあと観察された沈殿物
* ろ過後にPPTを示すヘキサン脱ろうした試料(同日)、不完全な結晶化の表示。囲い込まれたフィルターを使ってケークの十分な乾燥を達成することができないので、研究室で得られる回収率は工場において同一ではなかった。工場での典型的な回収率はおよ70〜75%である。
【0064】
(表5)油回収率、ろ過時間、ならびに粗製油、ヘキサンおよびアセトン脱ろうした油の分析データ

* 実験工場のDHA回収率の推定-脱ろうした油はシゾ油方法の過去のデータを基にする。
【0065】
(表6)アセトン脱ろうしたワックスの脂肪酸組成

【0066】
結論
試料2沈降物の分析を基に、凝集物は主にミリスチン酸とパルミチン酸とを含むトリグリセリドであると考えられる。このことはTLC、IR、および結果として得られるGLCによるFAME分析を基準にしている。凝集物を含むこのトリグリセリドは高い融解温度(50.1℃〜51.4℃)を有していた。
【0067】
単離した白色粉末の高い融解温度は、この画分のトリグリセリド脂質クラス組成物を持ち、標準的な処理の際に用いられる脱ろう工程は脂質から「高い融解」画分を定量的に取り除かないということを示している。したがって、追加の「研磨」工程は完成品産物における透明度を達成するために推奨される。
【0068】
試料1における脱ろうしていない脂質の固体の寄与を推定するために、アセトン脱ろう手法が用いられた。収率6%〜7%の試料1から単離された白色固体画分は主にミリスチン酸とパルミチン酸を含むトリグリセリドであることが示された(このトリグリセリド構成成分における脂肪酸の>94%が飽和脂肪である)。パルミチン酸とミリスチン酸はおおよそ2:1の割合で存在しており、融解温度の範囲が狭く、このトリグリセリドと定義される構造を提示している。ほんのわずかなDPAおよびDHAが固体トリグリセリド画分に存在していた。アセトン脱ろう後の単離された液体画分は、開始時の37.7% DHAと比較して、41.0% DHA を含んでいた(総脂肪酸メチルエステルの割合として表す)。このことはDHAの約8%の濃縮であり、7%のトリ飽和脂肪酸グリセリドの除去と一致する。
【0069】
ほんのわずかなDHAの損失がベンチスケールのアセトン脱ろう方法において示され、脱ろうの間ほぼ量的なDHAの回収が得られることを示唆した。
【0070】
固体または溶媒を利用した脱ろう(本明細書において立証されるアセトン脱ろうであるが、他の溶媒代替物が存在する)は以下の可能性を提供し、処理工程の選択肢として考慮することができる。
(1)高融解の固体物質の真の除去を達成することができる。
(2)固体物質は主にほんのわずかなDHA(2.4%)とともにトリ飽和脂肪酸グリセリド(>94%飽和の脂肪酸)である。
(3)例示的な計算として、粗製脂質中のDHA 1,000kgから開始して、アセトン脱ろうの間、DHA 約2kgの損失を受けるだろう(1,000 x 0.07 x 0.024)。このことは絶対重量基準でDHAの約0.2%の回収損失である。
(4)透明な液体は、開始時の脱ろうしていない脂質脂肪酸特性と比較して、脱ろう後DHAが濃縮されたままである。
(5)溶媒を利用した脱ろうをDHA精製を達成するために利用することができる。
(6)トリ飽和脂肪酸グリセリド構成成分の高融解温度(>50℃)のために、伝統的な低温冷却状態が必要でない場合がある。
【0071】
本出願は、2001年12月12日に出願された米国仮出願特許第60/341,180号を参照として組み入れる。
【0072】
本発明の様々な態様を詳細に説明したが、これらの態様の当技術分野への変更および適用が生じることは自明である。しかしながら、このような改変および適応は、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内にあることをはっきりと理解されなくてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、中性脂質組成物を主に含む脂質組成物を精製するための方法であって、該脂質組成物は少なくとも一つの長鎖不飽和脂肪酸(LCPUFA)および少なくとも一つの他の化合物を含む、方法:
(a)該脂質組成物を極性溶媒と接触させる工程であって、該他の化合物は該極性溶媒中において該LCPUFAよりも溶解性が低い、工程;
(b)少なくとも該他の化合物の一部を沈殿させるために効果的な温度範囲で、該脂質組成物を維持する工程;および
(c)脂質産物を形成するために、該脂質組成物から少なくとも該他の化合物の一部を取り除く工程。
【請求項2】
脂質組成物が中性脂質を少なくとも50%含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
脂質組成物が中性脂質を少なくとも85%含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
中性脂質がトリグリセリドを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
中性脂質がトリグリセリドを少なくとも50%含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
以下の工程を含む、脂質組成物における濁りの形成を軽減させるための方法であって、該脂質組成物が少なくとも1つの長鎖不飽和脂肪酸(LCPUFA)と少なくとも1つの濁り形成化合物とを含む、方法:
(a)該脂質組成物を極性溶媒と接触させる工程であって、該濁り形成化合物は該極性溶媒中において該LCPUFAよりも溶解性が低い、工程;
(b)少なくとも該濁り形成化合物の一部を沈殿させるために効果的な温度範囲で、該脂質組成物を維持する工程;および
(c)脂質産物を形成するために、少なくとも該濁り形成化合物の一部を該脂質組成物から取り除く工程。
【請求項7】
方法の前よりも後の方が、重量パーセント基準で、LCPUFA濃度が高い、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
方法の前よりも後の方が、重量パーセント基準で、他の化合物の濃度が低い、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
方法の前よりも後の方が、重量パーセント基準で、脂質中に存在するいかなるリン含有化合物の総濃度が低い、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
方法によって、後続処理工程の少ない、許容される産物が得られる、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
方法によって、精練が軽減されたまたは精練が不要な、許容される産物が得られる、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
極性溶媒が、アセトン、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、エチルアセテート、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
極性溶媒がアセトンを含む、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
温度範囲が約-20℃〜約50℃である、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
温度範囲が約-5℃〜約20℃である、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
温度範囲が約-5℃〜約5℃である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
温度が約0℃である、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
LCPUFAが、アラキドン酸(ARA)、ω-6ドコサペンタエン酸(DPA(n-6))、 ω-3ドコサペンタエン酸(DPA(n-3))、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)からなる群より選択される、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
他の化合物が、トリ飽和グリセリド、リン含有物質、ワックスエステル、ステロールエステルを含む飽和脂肪酸、ステロール、スクアレン、および炭化水素からなる群より選択される、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
他の化合物が、トリ飽和グリセリド、ホスファチド、およびワックスエステルからなる群より選択される、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
他の化合物が、ラウリン脂肪酸(C12:0)、ミリスチン脂肪酸(C14:0)、パルミチン脂肪酸(C16:0)、ステアリン脂肪酸(C18:0)、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
脂質組成物が、少なくとも1つのLCPUFAと少なくとも1つのトリ飽和グリセリドとを最初に含む、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
他の化合物が初めの脂質組成物における初期濃度に存在する場合、該他の化合物によって濁りが形成される、請求項1〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
LCPUFAが、LCPUFA含有微生物バイオマスおよびLCPUFA含有脂質を産生させるために遺伝子操作された植物由来の脂肪種子からなる群より選択されるLCPUFA含有生物材料から得られる、請求項1〜23のいずれか一項記載の方法。

【請求項25】
LCPUFAが、微生物由来のLCPUFA産生遺伝子で操作された植物から得られる、請求項1〜24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
LCPUFAが、トローストチトリドバイオマス、渦鞭毛藻バイオマス、モルティエラバイオマス、およびトローストチトリド、渦鞭毛藻、またはモルティエラ由来の遺伝子を含む遺伝子操作された植物由来の脂肪種子からなる群より選択される供給源から得られる、請求項1〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
LCPUFAが、シゾチトリウムバイオマス、トローストチトリウムバイオマス、クリプテコディニウム・コニーバイオマス、またはシゾチトリウムもしくはトローストチトリウム由来の遺伝子を含む遺伝子操作された植物由来の脂肪種子からなる群より得られる、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
溶媒:脂質組成物の比が約1:10〜約20:1である、請求項1〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
溶媒:脂質組成物の比が約1:8〜約10:1である、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
溶媒:脂質組成物の比が約1:5〜約5:1である、請求項1〜29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
溶媒:脂質組成物の比が約1:2〜約2.5:1である、請求項1〜30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
溶媒:脂質組成物の比が約1:1である、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
LCPUFAを含むトリグリセリド分子が選択的に抽出され、かつ極性溶媒中では溶解しない他の化合物は抽出されないような低温において、該極性溶媒を用いて脂質を抽出する、請求項1〜32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
脂質組成物がバイオマスより抽出され、細胞残屑および沈殿した他の化合物が、LCPUFAと極性溶媒とを含むミセラから分離される、請求項1〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
極性溶媒と脂質組成物との接触時間が約0.5時間〜約12時間である、請求項1〜34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
極性溶媒と脂質組成物との接触時間が約2時間〜約6時間である、請求項1〜35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
極性溶媒と脂質組成物との接触時間が約4時間である、請求項1〜36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
以下の工程をさらに含む、請求項1〜37のいずれか一項記載の方法:
(a)すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、脂質を回収するために極性溶媒を使用する工程;
(b)不要化合物を選択的に沈殿させるためにミセラを冷却する工程;および
(c)沈殿した他の化合物を、該ミセラから分離する工程。
【請求項39】
脂質組成物がバイオマスより抽出され、細胞残屑および沈殿した他の化合物が、LCPUFAと極性溶媒とを含むミセラから分離される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
以下の工程をさらに含む、請求項1〜37のいずれか一項記載の方法:
(a)すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、バイオマスから脂質を回収するために極性溶媒を使用し、脂質組成物、極性溶媒、および細胞残屑の混合物を含むミセラを形成させる工程;
(b)該ミセラから該細胞残屑を分離する工程;
(c)不要な化合物を選択的に沈殿させるために該ミセラを冷却する工程;ならびに
(d)沈殿した他の化合物を、該ミセラから分離する工程。
【請求項41】
以下の工程をさらに含む、請求項1〜37のいずれか一項記載の方法:
(a)すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、脂質を回収するために非極性溶媒を使用し、脂質組成物および非極性溶媒の混合物を含むミセラを形成させる工程;
(b)該ミセラから大部分の該非極性溶媒を取り除く工程;
(c)該ミセラに極性溶媒を添加する工程;
(d)不要な化合物を選択的に沈殿させるために該ミセラを冷却する工程;ならびに
(e)沈殿した他の化合物を、該ミセラから分離する工程。
【請求項42】
以下の工程をさらに含む、請求項1〜37のいずれか一項記載の方法:
(a)すべてのトリグリセリド構成成分を実質的に可溶化する温度で実施する抽出方法において、脂質を回収するために非極性溶媒を使用し、脂質組成物および非極性溶媒の混合物を含むミセラを形成させる工程;
(b)該ミセラを脱ろうする工程;
(c)該ミセラから大部分の該非極性溶媒を取り除く工程;
(d)該ミセラに極性溶媒を添加する工程;
(e)不要な化合物を選択的に沈殿させるために該ミセラを冷却する工程;ならびに
(f)沈殿した他の化合物を、該ミセラから分離する工程。
【請求項43】
ミセラから大部分の非極性溶媒を取り除いた後の残留非極性溶媒が、該ミセラの約0重量%〜約4重量%である、請求項40〜41のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
ミセラから大部分の非極性溶媒を取り除いた後の残留非極性溶媒が、該ミセラの約1重量%〜約4重量%である、請求項40〜41のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
非極性溶媒がヘキサンである、請求項40〜43のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
分離するまたは取り除く工程が、沈殿した他の化合物を、液体/固体分離技術によって分離するまたは取り除く工程を含む、請求項1〜45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
分離するまたは取り除く工程が、沈殿した他の化合物を、遠心分離、ろ過、もしくはそれらの組み合わせによって分離するまたは取り除く工程を含む、請求項1〜46のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100530(P2013−100530A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7324(P2013−7324)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2010−58682(P2010−58682)の分割
【原出願日】平成14年12月12日(2002.12.12)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】