説明

脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルを含有する錠剤およびその製法

【課題】脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルを実用的な圧縮速度において打錠障害なく圧縮成形を可能とし、実用的な特性を有する錠剤とすること、またマイクロカプセル内包物の滲み出しがなく経時的な力価低下のない実用的な使用に耐えうる錠剤の提供。
【解決手段】本発明は、マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルと、平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末とを含み、該セルロース粉末の含有量が上記マルチコアマイクロカプセルに対して70〜120質量部であるマルチコアマイクロカプセル含有錠剤およびその製法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルを含有する錠剤およびその製法に関する。特に錠剤化において実用的な圧縮速度においてもキャッピングやラミネーション等の打錠障害を発生することなく実用的な特性を有する錠剤とすることができ、かつ打錠時のマイクロカプセルからの滲み出しが抑制されているため、経時的な成分劣化の少ない安定な錠剤が得られる。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、スターチ、ゼラチン、脂肪、ポリサッカリド、蝋又はポリアクリル酸のような殻物質でコーティングされた内部に1種以上の活性成分を含有する小粒子の固体である。例えば、活性成分が液体の場合、マイクロカプセルでは内部に封入することが可能であり、流動性の良い粉体とでき取り扱い性が向上する。また、互いに反応してしまうため同時には取り扱えない複数の活性成分を分離でき、また酸化しやすい活性成分を保護することができ、さらには活性成分の放出速度を制御することも可能となる。
【0003】
マイクロカプセルにはシングルコアタイプとマルチコアタイプがあり、マイクロコアタイプは、それらが破壊され易いため、マイクロカプセル壁の厚みを増加し強度を高める必要があるが、強度を高めるとマイクロカプセル内に封入可能な容量が減少してしまう。一方、マルチコアタイプは、複数のマイクロカプセルがさらに殻物質で被覆されたものであるが、近年、特許文献1または2のような、マイクロカプセル内部の封入量を大きく保ったまま、殻物質の被覆性が優れ、酸化耐性、湿度耐性に優れるマルチコアタイプのマイクロカプセルが開発されている。
【0004】
DHAを含有するマイクロカプセルの錠剤化については特許文献3〜5にドコサヘキサエン酸(DHA)およびローズマリーを含むコビーズレットを含む錠剤について記載されている。従来のマイクロカプセル含有錠剤は、錠剤化処理の圧縮力に耐えられずマイクロカプセルが損傷し、滲み出したDHAが酸化され不快な臭いを発するものであったが、該特許文献には、マイクロカプセルをゼラチンベースまたは非ゼラチンベースの物質でコーティングすることで、錠剤化処理の圧縮力に耐えうる強度が付与され、においのない錠剤とできるとの記載がある。
【0005】
また、特許文献6には、圧縮時の、液状活性成分の滲み出しや打錠障害を防止し、充分な錠剤硬度を有する錠剤としうるセルロース粉末が開示されているが、該特許文献には、活性成分としてDHA、EPAの記載はあるものの、これらを含有するマイクロカプセルを錠剤化することの記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−522313号公報
【特許文献2】特表2006−506410号公報
【特許文献3】特表2005−527551号公報(WO2003/082249)
【特許文献4】特表2005−527559号公報(WO2003/082313)
【特許文献5】特開2006−077024号公報
【特許文献6】WO2004/106416
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルを実用的な圧縮速度において打錠障害なく圧縮成形を可能とし、実用的な特性を有する錠剤とすること、またマイクロカプセル内包物の滲み出しがなく経時的な力価低下のない実用的な使用に耐えうる錠剤を提供することを目的とする。
【0008】
例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)等を含有する、いわゆるオメガ3脂肪酸を含むマイクロカプセルを賦形剤等と共に圧縮すると、圧縮時にマイクロカプセルが損傷し、オメガ3脂肪酸がマイクロカプセルから滲み出すという課題があった。そして滲みだしたオメガ3脂肪酸が酸素によって酸化されると力価が低下し、同時に特有の魚臭により商品価値が著しく低下するという課題があった。特許文献1〜3にはドコサヘキサエン酸(DHA)およびローズマリーを含むコビーズレットを含む錠剤について記載されているが、マイクロカプセルをゼラチンベースまたは非ゼラチンベースの物質でコーティングし錠剤化処理の圧縮力に耐えうる強度が付与され、においのない錠剤とできるとされているが、錠剤製造時の圧縮速度についての記載がない。本発明者らは、マイクロカプセルへ錠剤化処理の圧縮力に耐えうる強度が付与されると、圧縮速度によりマイクロカプセルの挙動が異なることを新たに見出した。すなわち、圧縮速度がゆっくりであると単純に錠剤化時の圧力を下げてゆけばマイクロカプセルが破壊されず、実用的な硬度が得られる条件を見つけることができるが、圧縮速度が速い場合には錠剤化時の圧力に依らずマイクロカプセルの破壊が起きにくくなるものの、今度は圧力を調整してもキャッピングやラミネーション等の打錠障害が発生してしまい、全く錠剤へ成形できないという問題があることがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマイクロカプセルの形態および該マイクロカプセルの粉体物性、賦形剤としてのセルロース粉末の粉体物性について鋭意検討を重ねた結果、脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルと、特定のセルロース粉末とを、特定範囲内で配合することでのみ、実用的な圧縮速度においても実用的な使用に耐えうる錠剤とできることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルと、平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末とを含み、該セルロース粉末の含有量が上記マルチコアマイクロカプセルに対して70〜120質量部であるマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
(2)マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの白色度が80〜100%である(1)のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
(3)マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの平均粒子径が30〜150μm、嵩密度が0.3〜0.6g/cm、安息角が35〜45°である(2)のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
(4)脂肪酸、トリグリセリドが、α−リノレン酸、オクタデカテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)である(1)〜(3)のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
(5)マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルと、平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末とを、該セルロース粉末の含有量が上記マルチコアマイクロカプセルに対して70〜120質量部である混合粉体を圧縮速度100〜900mm/secの条件で圧縮成形するマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
(6)マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの白色度が80〜100%である(5)のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
(7)マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの平均粒子径が30〜150μm、嵩密度が0.3〜0.6g/cm、安息角が35〜45°である(6)のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
(8)脂肪酸、トリグリセリドが、α−リノレン酸、オクタデカテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)である(5)〜(7)のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルを実用的な圧縮速度においても、キャッピングやラミネーション等の打錠障害がおこらず圧縮成形でき、かつマイクロカプセル内包物の滲み出しがないため経時的な力価低下のない実用的な使用に耐えうる錠剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】圧縮速度が及ぼす臼壁面圧への影響を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明で使用するマイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルは特許文献1のものが使用できる。本発明で使用するマルチコアマイクロカプセルはコアセルベーション法により製造する。高分子溶液はその環境を変化させることにより極めて濃厚な分散相と希薄な連続相とに分離することは古くから知られており、この現象をコアセルベーション、生じる濃厚液滴をコアセルベートと称している。相分離は熱力学的平衡状態であり、相分離誘起剤を添加することによりいままで単一の分子として安定に存在していたものが不安定となり、会合によって系の自由エネルギーを低下させることに基づいて相分離が起こる。相分離法には1種類の高分子の相分離を利用するシンプルコアセルベーション法と2種以上の高分子を用いるコンプレックスコアセルベーション法とがあり、繁用される高分子として、前者では水溶液系から相分離させるゼラチン、有機溶液系からのエチルセルロースがあげられる。後者においてはゼラチンとアラビアゴムとの静電気的相互作用を利用した組合せが一番利用されかつ研究されている。本発明で使用するマルチコアカプセルはゼラチンとポリリン酸ナトリウムを用いるコンプレックスコアセルベーション法を用いる。具体的な調製方法は以下である。
【0015】
(1)ゼラチンに脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を分散乳化してO/Wエマルションを調製する。
(2)ポリリン酸ナトリウム溶液を添加する(連続相はゼラチンとポリリン酸ナトリウムである。)
(3)酢酸溶液を添加してpHを下げることによりコアセルベート滴をつくる。このコアセルベート滴は脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物の周りに皮膜となって析出する。(脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物はゼラチン+ポリリン酸ナトリウムのコアセルベート滴で包まれることになる)。
(4)冷却過程でカプセル同士が凝集する(シングルカプセルが凝集してマルチコアカプセルを形成する)。
(5)トランスグルタミナーゼでゼラチンを架橋する(加熱しても溶けなくなる)。
(6)噴霧乾燥で粉末化する。
【0016】
本発明のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤に含まれる脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルは、その白色度が80〜100%であることが好ましい。白色度が80%未満であるとマルチコアマイクロカプセルの殻物質の被覆性が不十分であり打錠時の滲み出しを生じやすくなる。
【0017】
また脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルは、平均粒子径が30〜150μm、嵩密度が0.3〜0.6g/cm、安息角が35〜45°であることが好ましい。平均粒子径が30μm未満であると流動性が悪くなり錠剤重量のばらつきを生じやすくなる。また、150μmを超えると賦形剤であるセルロース粉末との分離偏析が生じやすくなる。嵩密度が0.3g/cm未満だと流動性が悪くなり錠剤重量のばらつきを生じやすくなる。また、0.6g/cmを超えると賦形剤であるセルロース粉末との分離偏析が生じやすくなる。安息角が35°未満であると賦形剤であるセルロース粉末との分離偏析が生じやすくなり、45°を超えると流動性が悪くなり錠剤重量のばらつきを生じやすくなる。好ましくは35〜44°、特に好ましくは35〜42°である。
【0018】
また本発明のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤は、平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末を含む必要がある。平均重合度が150未満であると圧縮成形性が不足するので好ましくない。また平均重合度が450を超えると、原料セルロースの加水分解が十分進行していないため、セルロースの非晶質部分を多く含み、繊維性が強く現れ弾性回復し易くなるため、成形性を損なう傾向にある。また、平均重合度が450を超えると、たとえ、後述するポリエチレングリコール保持率が高くても、成型圧縮時には液状成分が浸みだし、打錠障害を発生するため好ましくない。また本発明に含まれるセルロース粉末の平均粒子径は30〜250μmである必要がある。平均粒子径が30μm未満であるとセルロース粒子が凝集しやすく、活性成分と混合する際に、活性成分が均一に分散せず、得られた錠剤の活性成分含量のばらつきが大きくなるので好ましくない。一方、平均粒径が250μmを超えると、活性成分が分離偏析し、含量均一性の低下を生じやすくなる。また本発明に含まれるセルロース粉末は見掛け比容積が7.0cm/gを超える必要がある。見掛け比容積が7.0cm/g以下であると成形性が不足し、成型体に充分な力学強度を与えることができない。見掛け比容積の上限に制限はないが、せいぜい13.0cm/g程度である。13.0cm/gを超えると、セルロース粉末の流動性が悪化したり、セルロース粒子が凝集し易くなり、活性成分と混合する際に、活性成分が均一に分散せず、得られた錠剤の活性成分含量のばらつきが大きくなるので好ましくない。
【0019】
さらに本発明に含まれるセルロース粉末は、平均分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上である必要がある。好ましくは200%以上、特に好ましくは250%以上である。平均分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%未満であると、液状活性成分が浸みだした場合に、結合剤として働くセルロース粒子同士の接触が粗になり、成型体に十分な力学強度を付与できず、打錠障害が生じる。ポリエチレングリコール保持率は大きければ大きい程良く、その上限に制限はないが、せいぜい440%である。
【0020】
次に、本発明で使用するセルロース粉末の含有量は、上記脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルに対して70〜120質量部である必要がある。70質量部未満であると成形性が不足して実用的な硬度を付与できない。また120質量部を超えると流動性が不足して錠剤ばらつきを生じる。殻物質が十分に被覆されたマルチコアマイクロカプセルは、圧縮速度が100mm/sec未満の場合には、打圧を下げることで実用的な硬度(錠剤径が0.8cm以下の場合は40−50N、それ以上は50−70N)が得られるが、圧縮速度が100mm/sec以上の場合には打圧に依存せずキャッピングやラミネーション等の打錠障害が発生し、全く錠剤の形に成形できないことがわかった。殻物質が十分に被覆されたマルチコアマイクロカプセルは、圧縮速度が低い場合には、臼壁面荷重が打圧に依存し、打圧が低いほど臼壁面荷重が小さくなり硬い錠剤が得られるのに対し、圧縮速度が速くなると臼壁面荷重が打圧に依存せずにほぼ一様に高くなるため、キャッピングやラミネーション等の打錠障害を生じてしまうものと推察された(図1)。これは殻物質が十分に被覆されたマルチコアマイクロカプセルが、シングルタイプのマイクロカプセルに対し殻の強度が強いことによるものであるが、殻物質が十分に被覆されたマルチコアマイクロカプセルは圧縮速度が100mm/sec以上であると、臼壁面荷重が打圧に依らず高くなってしまい、極端に成形性が低下する性質があることについては従来知られていなかった。特許文献1〜3のコビーズレットについても同様に、圧縮速度が速くなると全く錠剤へ成形できなかった。本発明者らは100mm/sec以上の圧縮速度において、殻物質が十分に被覆されたマルチコアマイクロカプセルを実用的な錠剤とするために、賦形剤の中でも最も成形性が高いとされるセルロース粉末の種類と含有量について検討を行ったが、特許文献6のセルロース粉末(市販品「セオラス」KG−1000、ST−100として入手可能)を使用する場合にのみ打錠障害を回避し、実用的な硬度を付与できることがわかった。該特許文献には、従来知られている結晶セルロースや粉末セルロースよりも少ない添加量で打錠障害を回避できるとの記載があり、該セルロース粉末がセルロース粉末の中でも最も成形性が良いものと思われるのであるが、該特許文献のセルロースをもってしても多量の配合が必要なことが明らかとなった。以上のようにロータリー打錠機等の実用的な圧縮速度で圧縮成形する際には、特定範囲の粉体物性を有するセルロース粉末を、マルチコアマイクロカプセルに対して適切な含有量を配合させることでのみ実用的な錠剤重量ばらつきと実用的な硬度を両立しうることが明らかとなった。
【0021】
錠剤の硬度は、錠剤重量が増すほど粉体間の接触面積が増して高くなるが、錠剤重量が大きくなるほど嚥下しにくくなり服用性が低下する。DHA、EPAの一日摂取量としては500〜1000mgが推奨されているため、一錠中に含まれるDHA、EPA量が少ないと摂取する錠剤数も多くなる。本発明の方法を用いれば、マルチコアマイクロカプセル自身が、その内部に封入可能なDHA、EPAの含量を多くできること、特定範囲のセルロース含量を添加することにより、マルチコアマイクロカプセルを一錠中に多量に配合できることから、錠剤を小型化でき、一日摂取量も低減することが可能である。DHA、EPAを含むマルチコアマイクロカプセルは一錠中に30〜50重量%以上含まれることが好ましく、特に好ましくは40〜50重量%である。
【0022】
また、本発明のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤は、錠剤の重量ばらつき(重量CV)が1.0%以下、硬度が40N以上、摩損度が0.5%以下、崩壊時間が30分以内であることが好ましい。さらに好ましくは重量CVが0.9%以下、硬度が50N以上、摩損度が0.4%以下である。
【0023】
本発明のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤は、マルチコアマイクロカプセルとセルロース粉末の他に、必要に応じて結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、崩壊剤等の他の成分を含有しても構わない。また他の成分は希釈剤として使用してもよい。
【0024】
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、トレハロース等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等が挙げられる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類を挙げることができる。それを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0026】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィリンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0030】
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0031】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等が挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。しかし、活性成分との反応性や吸湿性が低いため製剤の保存安定性に優れ、且つ、食経験豊富で安全性が高いという本発明の効果を損ねないよう注意が必要である。
【0032】
本発明のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤は、医薬品分野で通常行われる固形製剤の製造法の何れを用いても製造することができる。例えば、マルチコアマイクロカプセルとセルロース粉末と必要により結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を均一に混合した後に打錠する直接粉末圧縮法を用いることができる。固形製剤とするための圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機、多層錠剤成形機、有核打錠等の圧縮機を使用でき、特に制限されない。
【0033】
また、本発明のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤それ自体に、活性成分の溶出性の制御や味のマスキングや防湿等の目的でコーティングが施されていてもよい。コーティング剤としては、例えばセルロース系コーティング剤(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(オイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、シェラック、シリコン樹脂等から選択される1種以上を用いることができる。これらのコーティング剤の使用方法は公知の方法を用いることができる。コーティング剤は有機溶媒に溶解しても、水に懸濁させて用いてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例、比較例における各試験法、及び物性の測定方法は以下の通りである。
【0035】
(1)白色度
マルチコアマイクロカプセルの粉末をSPECTROPHOTOMETER SE2000(東京電色(株)製)によりL、a、bの値を求め以下の式により算出した。
白色度=100−[(100−L)+(a+b)]0.5
【0036】
(2)平均粒子径(μm)
粉体試料の平均粒子径はロータップ式篩振盪機(平工作所製、商品名、シーブシェーカーA型)、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、累積重量50%粒径として表した。
【0037】
(3)嵩密度(g/cm
100cmのメスシリンダーを使用し、粉体試料を定量フィーダーなどを用いて2〜3分かけて粗充填し、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平になるようにならし、その容積を読み取る。投入した粉体試料の重量を読み取った容積で割りかえした値である。粉体の重量は、容積が70〜100cmになるよう適宜設定した。
【0038】
(4)安息角(°)
杉原式安息角測定器(スリットサイズ奥行10×幅50×高さ140mm、幅50mmの位置に分度器を設置)を使用し、定量フィーダーを使用し、セルロース粉末を3g/分でスリットに投下した際の動的自流動性を測定した。装置底部とセルロース粉末の形成層との角度が安息角である。
【0039】
(5)平均重合度
第14改正日本薬局方、結晶セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により測定した値とした。
【0040】
(6)見かけ比容積(cm/g)
100cmのメスシリンダーを使用し、粉体試料を定量フィーダーなどを用いて2〜3分かけて粗充填し、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平になるようにならし、その容積を読み取り、これを粉体試料の重量で割りかえした値である。粉体の重量は、容積が70〜100cmになるよう適宜設定した。
【0041】
(7)平均分子量が400のポリエチレングリコール保持率(重量%)
セルロース粉末試料2.0gをガラス盤上において、ビューレットからポリエチレングリコール(三洋化成(株)、ポリエチレングリコール400)を滴下しながら、その都度スパチラで混練し、粉体表面にマクロゴールが浸みだす点を終点として、以下の計算式により飽和保持率(%)を算出した。
飽和保持率=(セルロース粉末に吸収されたポリエチレングリコール重量)×100/(セルロース粉末重量)
【0042】
(8)錠剤質量ばらつき(%)
ロータリー打錠により得られた錠剤20錠の重量を測定し、平均重量と、重量の標準偏差をとり、(標準偏差/平均重量)×100で定義される変動係数(%)から質量ばらつきを評価した。変動係数が小さいほど、ばらつきが小さい。
【0043】
(9)錠剤硬度(N)
錠剤をシュロインゲル硬度計(フロイント産業(株)製、商品名、6D型、8M型、あるいはその相当品)を用いて、円柱状成型体あるいは錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊しそのときの荷重を測定した。試料10個の平均値で表した。
【0044】
(10)崩壊時間(min)
第15改正日本薬局方に記載の方法に準拠し、崩壊試験機(NT−40HS、富山産業製)を用い、純水37℃、ディスク無しの条件にて測定した。
【0045】
(11)摩損度(%)
錠剤20個の重量(Wa)を測定し、これを摩損度試験機(ジャパンマシナリー(株)製、商品名、PTF−3RA型)に入れ、25rpmで4分間回転した後、錠剤に付着している微粉を取り除き、再び重量(Wb)を測定し、次式より摩損度を計算した。
摩損度=100×(Wa−Wb)/Wa
【0046】
[実施例1]
(魚油を内包するマルチコアマイクロカプセルの調製)
54.5グラムのゼラチン275ブルーム・タイプ・A(Bloom type A)(等電点は約9)を0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含有する600グラムの脱イオン水と攪拌しながら50℃で完全に溶解するまで混合した。次いで30%のエイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA)と20%ドコサヘキサエン酸エチルエステル(DHA)を含有する90グラムの魚油を当該ゼラチン溶液に加え、ホモジナイザーを用いて攪拌しO/W型エマルジョンとした。当該乳剤を0.5%のアスコルビン酸ナトリウムを含有する700グラムの脱イオン水で50℃で希釈し、次いで5.45グラムのポリホスフェートナトリウムを0.5%アスコルビン酸ナトリウムを含有する104グラムの脱イオン水に溶解した溶液を当該乳剤に添加し、300rpmで攪拌しながら10%の酢酸水溶液でpH4.5に調整した。pH調整とpH調整後の冷却工程の間に、当該ゼラチンとポリホスフェートから形成されたコアセルベートが当該油脂小滴をコートし、一次マイクロカプセルを形成した。冷却は、当該ゼラチンとポリホスフェートのゲル化点以下まで実施し、一次マイクロカプセルは集塊を形成し始めて、さらに水相に残留するポリマーが一次マイクロカプセルの塊をコートし、外殻を有し且つ平均サイズが80μmのマイクロカプセルのカプセル化された集塊が形成した。一旦、当該温度が5℃にまで冷却された後、トランスグルタミナーゼを当該混合物に添加し、更に殻を架橋により強化した。当該混合物は次に、室温にまで温めて、12時間に亘り攪拌を維持した。最後に、当該マイクロカプセル懸濁液を水で洗浄した。当該洗浄された懸濁液をスプレードライ(固形分約10.6%、回転盤回転数15000rpm)し、38μm篩で小粒子を除去、250μm篩で粗大分を除去してマルチコアマイクロカプセルAとした。Aの粉体物性を表1に示す。
【0047】
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルA50重量部と結晶セルロース「セオラス」ST−100(旭化成ケミカルズ(株)、特許文献6のセルロース粉末に相当)50重量部(Aに対し100質量部)とをポリ袋中で3分間十分混合し、次いで該混合粉体に対し1重量%のショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルS−370)を加え30秒混合した後、ロータリー打錠機(LIBLA2、菊水製作所、攪拌フィードを使用、打圧9kN)を用い、ターンテーブル回転数10rpm(ターンテーブル直径410mm、圧縮速度215mm/sec)にて圧縮成形した。錠剤の重量は500mg、直径12mmとした。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0048】
[実施例2]
(錠剤の調製)
結晶セルロース「セオラス」ST−100を36重量部(Aに対し72質量部)とする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0049】
[比較例1]
(錠剤の調製)
結晶セルロースを「セオラス」PH−102(旭化成ケミカルズ)とする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。硬度、摩損度が実用特性を満たさなかった。
【0050】
[比較例2]
(錠剤の調製)
結晶セルロース「セオラス」ST−100を34重量部(Aに対し68質量部)とする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。硬度、摩損度が実用特性を満たさなかった。
【0051】
[比較例3]
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAを60重量部、結晶セルロース「セオラス」ST−100を40重量部(Aに対し66.6質量部)とする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。硬度、摩損度が実用特性を満たさなかった。
【0052】
[実施例3]
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAを40重量部、結晶セルロース「セオラス」ST−100を38重量部(Aに対し95質量部)、フィッシュコラーゲン(ルスロ製)を20重量部、ショ糖脂肪酸エステルを2%、ターンテーブル回転数を30rpm(644mm/sec)、打圧6kN、錠剤重量を625mgとする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0053】
[比較例4]
(錠剤の調製)
結晶セルロースを「セオラス」PH−102とする以外は実施例3と同様に操作した。
錠剤物性を表1に示す。打錠障害により錠剤とならなかった。
【0054】
[実施例4]
(錠剤の調製)
結晶セルロース「セオラス」ST−100を30重量部(Aに対し75質量部)、フィッシュコラーゲンを28重量部とする以外は実施例3と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0055】
[比較例5]
(錠剤の調製)
結晶セルロース「セオラス」ST−100を50重量部(Aに対し125質量部)、フィッシュコラーゲンを8重量部とする以外は実施例3と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CVが2.1%と高く実用特性を満たさなかった。
【0056】
[実施例5]
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAを30重量部、結晶セルロース「セオラス」ST−100を30重量部(Aに対し100質量部)、フィッシュコラーゲンを40重量部とする以外は実施例3と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0057】
[比較例6]
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAを30重量部、結晶セルロース「セオラス」ST−100を20重量部(Aに対し66.6質量部)、フィッシュコラーゲンを50重量部とする以外は実施例3と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。硬度、摩損度が実用特性を満たさなかった。
【0058】
[比較例7]
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAを30重量部、結晶セルロース「セオラス」ST−100を40重量部(Aに対し133質量部)、フィッシュコラーゲンを30重量部とする以外は実施例3と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CVが1.1%と高く実用特性を満たさなかった。
【0059】
[実施例6]
(魚油を内包するマルチコアマイクロカプセルの調製)
【0060】
pH調製時の攪拌回転数を600rpm、スプレードライ時の回転盤回転数を30000rpm)とする以外は実施例1と同様に操作しマルチコアマイクロカプセルBを得た。但し篩による小粒子の除去、粗大粒子の除去は実施しなかった(特許文献1に相当)。Bの粉体物性を表1に示す。
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAをマルチコアマイクロカプセルBとする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0061】
[実施例7]
(魚油を内包するマルチコアマイクロカプセルの調製)
スプレードライ時の固形分を5重量%、篩サイズを20μm、75μmとする以外は実施例1と同様に操作しマルチコアマイクロカプセルCを得た。Cの粉体物性を表1に示す。
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAをマルチコアマイクロカプセルCとする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いもなかった。
【0062】
[実施例8]
(魚油を内包するマルチコアマイクロカプセルの調製)
O/W型エマルジョンを0.5%のアスコルビン酸ナトリウムを含有する700グラムの脱イオン水で希釈する工程を省略、スプレードライ時の固形分を約17.1%、回転盤回転数を8000rpmとする以外は実施例1と同様に操作しマルチコアマイクロカプセルDとする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。
(錠剤の調製)
マルチコアマイクロカプセルAをマルチコアマイクロカプセルDとする以外は実施例1と同様に操作した。錠剤物性を表1に示す。重量CV1.0%以下、硬度40N以上、摩損度0.5%以下、崩壊時間30分以下の実用特性を全て満たした。また40℃で3ヶ月放置後の臭いはわずかにあった。使用したマルチコアマイクロカプセルの白色度が低く、外殻の被覆が不十分であったためである。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルを実用的な圧縮速度において製造できるため、実用的な使用に耐えうる錠剤を安価かつ大量に供給可能である。また得られた錠剤は、マイクロカプセル内包物の滲み出しがないため経時的な力価低下がなく、成分の効果を十分に発揮する錠剤として提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルと、平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末とを含み、該セルロース粉末の含有量が上記マルチコアマイクロカプセルに対して70〜120質量部であることを特徴とするマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
【請求項2】
マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの白色度が80〜100%であることを特徴とする請求項2に記載のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
【請求項3】
マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの平均粒子径が30〜150μm、嵩密度が0.3〜0.6g/cm、安息角が35〜45°であることを特徴とする請求項2に記載のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
【請求項4】
脂肪酸、トリグリセリドが、α−リノレン酸、オクタデカテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)であることを特徴とする請求項1〜3に記載のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤。
【請求項5】
マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルと、平均重合度が150〜450、平均粒子径が30〜250μm、及び見掛け比容積が7cm/gを超え、分子量400のポリエチレングリコール保持率が190%以上であるセルロース粉末とを、該セルロース粉末の含有量が上記マルチコアマイクロカプセルに対して70〜120質量部である混合粉体を圧縮速度100〜900mm/secの条件で圧縮成形することを特徴とするマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
【請求項6】
マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの白色度が80〜100%であることを特徴とする請求項5に記載のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
【請求項7】
マイクロカプセルの集塊が第二の殻で囲まれた脂肪酸、トリグリセリドまたはその混合物を含むマルチコアマイクロカプセルの平均粒子径が30〜150μm、嵩密度が0.3〜0.6g/cm、安息角が35〜45°であることを特徴とする請求項6に記載のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。
【請求項8】
脂肪酸、トリグリセリドが、α−リノレン酸、オクタデカテトラエン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)であることを特徴とする請求項5〜7に記載のマルチコアマイクロカプセル含有錠剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−84482(P2011−84482A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236511(P2009−236511)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【出願人】(306007864)ユニテックフーズ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】